説明

基材と連結部材との接合構造

【課題】 特に、ロウ付け困難な物品同士の接合の構造の提供。
【解決手段】 基材(10)と連結部材(20)との接合構造であって、前記基材は、その表面から内部に向かい前記連結部材の連結部分(22)に適合する穴(30)と、その適合穴の底部穴(31)と開口部穴(32)の中間部に設けられた前記適合穴より大なる径を有し、接合材溜りとなる膨出穴(36)とが設けられた後、適量の接合材(40)が前記開口部穴より注入され、そして、前記連結部材の連結部分の埋設表面には少なくとも一箇所以上の凹部(24)が設けられ、前記基材開口部穴より挿入固定された事を特徴とする基材と連結部材の接合構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品同士の接合構造に関する。特にロウ付けが困難な金属に対する接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロウ付け困難な金属の代表であるチタン、チタン合金(以下チタン合金と呼ぶ)と他の金属等の接合には、特開平05−257090の様に、チタン合金表面に前処理としてニッケルメッキ等を施し、その上からロウ付けする事が行われてきていた。
【0003】
又、アルミニューム合金やマグネシューム合金のロウ付けはチタン合金より更に困難で、特開2000−310752の様に、ネジによるカシメ等により連結接合され接合強度を保っていた。
【特許文献1】特開平05−257090
【特許文献2】特開2000−310752
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記チタン合金と他の金属とのメッキを介した接合に於いては、接合が弱く、少し応力が掛かるとメッキ表面が剥がれて接合構造が破綻する事が度々起きていた。
【0005】
又、アルミニューム合金や、マグネシューム合金等の場合の様に、機械的なネジ締め等により物では、デザイン的な見栄えも悪く、ネジ締め出来ない細い部材を使用することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、基材と連結部材との接合構造であって、前記基材は、その表面から内部に向かい前記連結部材の連結部分に適合する穴と、その適合穴の底部穴と開口部穴の中間部に設けられた前記適合穴より大なる径を有し、接合材溜りとなる膨出穴とが設けられた後、適量の接合材が前記開口部穴より注入され、そして、前記連結部材の連結部分の埋設表面には少なくとも一箇所以上の凹部が設けられ、前記基材開口部穴より挿入固定された事を特徴とする基材と連結部材の接合構造を提供する。
【0007】
更に、前記基材と連結部材との少なくとも一方又は両方が、ロウ付けが困難な金属よりなる事を特徴とする基材と連結部材の接合構造の提供。
【0008】
そして、前記基材がプラスチック材で、連結部材が金属である事を特徴とする基材と連結構造の接合構造の提供。
【0009】
そして又、前記基材がメガネフレームであり、連結部材がメガネ部品である事を特徴とする基材と連結部材の接合構造も提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ロウ付けが困難な金属の接合に於いて、ロウ付けする事無しに、非常に強い接合力を持った、しかも接合の位置決めがしっかり出来る接合構造を得る事が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図により本発明の裁量の形態を説明するが、本発明は以下の実施例、図によって限定される物ではなく、特許請求の範囲によって決められる事は言うまでも無い。
【0012】
図1〜5は、本発明の接合構造の基材の断面図及び連結部材の正面図であり、基材10の表面11から内部に向かい、連結部材20に適合する穴30と、その適合穴30の底部穴31と開口部穴32が設けられている。そしてその底部穴31と開口部穴32の中間部には、前記適合穴30より大きい径を有し、接合材溜となる円筒形の膨出穴36が設けられる。
【0013】
そして、前記開口穴32から適量の接合材40が注入される。ここで適量とは、底部穴31と、開口部穴32と、中間部膨出穴36との総体積から挿入される連結部材20の連結部分22の体積分を差し引いた量と等しいか、僅かに少ない量が好ましく、開口部穴32から漏れ出ない量が良い。
【0014】
この様な中間部穴36が無いと、連結部材を挿入した場合、接合材が開口部穴から溢れ、バリとなったり、それを取り去るのに、基材の表面を傷つけたりする事となる。又、ここで接合材40は、熱可塑性、熱硬化性、嫌気性等色んな種類の接着剤等が使用可能である。
【0015】
そして、基材としては、好ましくは、ロウ付け困難な、アルムニューム合金、マグネシューム合金、チタン合金等に適する。そして、連結部材としては、チタン合金、及び他の金属、合金の殆どが使用可能である。
【0016】
又、基材として、プラスチック材、連結部材として、チタン合金、及び他の金属、合金の殆どが使用可能である。
【0017】
そして、開口部穴32、底部穴31と、連結部材20の連結部分の寸法をきっちり合わせる事により、上下穴で連結部分をしっかり保持しながら接着固定する事により、連結部材20の位置決めがしっかり出来る事にもなった。
【0018】
次に図6は、本発明を応用したメガネ枠50の実施例の要部斜視図である。この場合基材としてメガネ枠50をアルミニューム合金で形成した。それにパッド足60,61をチタン合金で作り、上記構造により接合した。そして、この場合の引っ張り強度は40〜50kg/mm(アイコーエンジニアリング社製加重測定器1310N使用)で、通常の金属同士のロウ付け強度20〜30kg/mmより遥かに強く、メガネの実用にも充分耐える物となった。又、このメガネ枠50はプラスチック材であっても良い。
【0019】
次に、図7の様に、例えば、アルミニュームテンプル基材70に弾性を付加する為に、弾性を有する金属、例えばチタン合金のテンプル72を接合する際にも非常に有効であり、その接合面73には、接合材を塗布しておいても良い。
【0020】
上記、パッド足60,61の場合でも、或いはテンプル70,72の場合でも、機械による寸法だしが正確に出せるので、ロウ付けのような狂いも少ない。勿論、上記実施例としては、メガネを基に作成したが、メガネの場合のみならず、その他の製品の接合として用いられる事は言うまでも無い。
【0021】
そして、又、図8の様に、膨出穴36aが楕円球状や他の形状であっても勿論構わない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の応用範囲は広く、産業上の利用可能性はメガネに及ばず、医療用器具にも及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例の要部断面図
【図2】本発明の実施例の要部断面図
【図3】本発明の実施例の要部断面図
【図4】本発明の実施例の要部断面図
【図5】本発明の実施例の組立て後の要部断面図
【図6】本発明の実施例の応用のメガネ要部斜視図
【図7】本発明の実施例の応用のメガネの要部断面正面図
【図8】本発明の変化例の要部断面図
【符号の説明】
10、 基材
20、 連結部材
30、 適合穴
31、 底部穴
32、 開口部穴
36、36a 中間部穴(膨出穴)
40、 接合材
50、 メガネ枠
60、 パッド足
70、 テンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と連結部材との接合構造であって、前記基材は、その表面から内部に向かい前記連結部材の連結部分に適合する穴と、その適合穴の底部穴と開口部穴の中間部に設けられた前記適合穴より大なる径を有し、接合材溜りとなる膨出穴とが設けられた後、適量の接合材が前記開口部穴より注入され、そして、前記連結部材の連結部分の埋設表面には少なくとも一箇所以上の凹部が設けられ、前記基材開口部穴より挿入固定された事を特徴とする基材と連結部材の接合構造。
【請求項2】
前記基材と連結部材との少なくとも一方又は両方が、ロウ付けが困難な金属よりなる事を特徴とする請求項1記載の基材と連結部材の接合構造。
【請求項3】
前記基材がプラスチック材で、連結部材が金属である事を特徴とする請求項1記載の基材と連結部材の接合構造。
【請求項4】
前記基材がメガネフレームであり、連結部材がメガネ部品である事を特徴とする請求項1〜3項の何れか1項に記載の基材と連結部材の接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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