基板上に金属−セラミックコーティングを製造するめっき又はコーティング方法
基板上に硬さが増加した金属−セラミック複合コーティングを製造する方法は、セラミック相のゾルをめっき液又は電解液を添加することを含む。めっき若しくはコーティングの前及び/又は間に、セラミック相のナノ粒子が基板の直接上に若しくは基板で形成する、並びに/あるいは金属−セラミックコーティングが主として結晶構造で基板上に形成する、並びに/あるいはめっき液若しくは電解液中でのセラミック相のナノ粒子の形成及び/又はセラミック相の粒子の凝集を実質的に避けるのに十分低く調節したゾル添加割合で、ゾルを添加することができる。セラミック相は、Ti、W、Si、Zr、Al、Y、Cr、Fe、Pb、Co若しくは希土類元素の単一又は混合酸化物、炭化物、窒化物、ケイ酸塩、ホウ化物であってよい。セラミック相以外のコーティングは、Ni、Ni−P、Ni−W−P、Ni−Cu−P、Ni−B、Cu、Ag、Au、Pdを含んでもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造する改善されためっき又はコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
時々電着と呼ばれる電気めっきでは、カソードを形成する金属めっきされる導電性物品及びアノードを、1つ又は複数の溶解した金属塩を含む電解液に浸漬し、電池又は整流器が直流を供給する。一方法では、アノードがめっき金属であり、アノードの金属分子が酸化されて、電解液に溶解し、カソードでは、溶解した金属イオンが還元されて、カソード/物品上にめっきされる。別の方法では、アノードは消耗性ではなく、めっき金属のイオンは電解液中に供給され、定期的に補充されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無電解めっき又は析出は、還元剤、典型的には水溶液中の次亜リン酸ナトリウムが、アノードからの溶液中のめっき金属の金属イオンを還元し、それがカソード/物品上に析出する、非ガルバニック(non−galvanic)めっき又はコーティング方法である。無電解ニッケルめっきを使用して、金属又はプラスチック基板であり得る基板上に、ニッケルNi−P又はNi−Bのコーティングを析出させることができる。
【0004】
無電解めっきを使用して、基板上に、金属−セラミック複合コーティング、例えばNi−P−TiO2コーティングを形成することもできる。TiO2ナノ粒子を無電解めっき液に添加し、Ni−P−TiO2マトリックス中Ni−Pと共に基板上に共析出させる。TiO2粒子は溶液中で凝集する傾向があるので、基板上に不均一に分布し、コーティングに不均一な特性を与える恐れがあり、これを減少させる目的で、溶液を連続的に撹拌し、及び/又は界面活性剤を添加して、TiO2粒子の溶液中への良好な分散を確実にする。
【0005】
最初に電気めっきにより物品上にNi−Pのコーティングを形成し、次いでゾル−ゲル法により、TiO2ゾル中に前記物品を浸漬してコーティング時/中にTiO2を析出させることにより、Ni−P−TiO2コーティングを基板又は物品上に形成してもよい。
【0006】
物品若しくは表面のめっき又はコーティングは、これらを行わなければ欠けてしまう所望の特性を表面に与えるため、又は特性、例えば耐摩耗性、耐食性、若しくは特定の外観を所望の程度に改善するために行う。
【課題を解決するための手段】
【0007】
広義には、一態様では、本発明は、セラミック相のゾルをめっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造する方法を含む。
【0008】
本発明はまた、セラミック相を、セラミック相のナノ粒子が基板の直接上に若しくは基板で形成するのに十分少量のゾルとして、めっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法を含む。本発明はまた、セラミック相を、金属−セラミックコーティングが主として結晶構造で基板上に形成するのに十分少量のゾルとして、めっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法を含む。
【0009】
本発明はまた、セラミック相を、めっき液若しくは電解液中でのセラミック相のナノ粒子の形成及び/又はセラミック相の粒子の凝集を実質的に避けるのに十分少量のゾルとして、めっき液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法を含む。
【0010】
特定の実施形態では、めっき又はコーティングを行っている間に、セラミック相のナノ粒子が基板の直接上に若しくは基板で形成する、及び/又は金属−セラミックコーティングが主として結晶構造で基板上に形成する、及び/又はめっき液若しくは電解液中でのセラミック相のナノ粒子の形成及び/又はセラミック相の粒子の凝集を実質的に避けるのに十分少量に調節したゾル添加割合で、ゾルを添加する。めっき中に、調節した遅い速度でゾルをめっき液に添加するこれらの実施形態では、ゾル1リットル当たりセラミック相の20〜250g、又はより好ましくは25〜150gのゾル濃度を有するゾルを、めっき液1リットル当たり30〜250ml、又はより好ましくは100〜150mlの割合でめっき液に添加してよく、ゾルを1秒当たり0.001〜0.1ml、又はより好ましくは0.005〜0.02mlの範囲の速度で添加してもよい。
【0011】
他の実施形態では、めっき又はコーティングを行う前に、ゾルを添加する。セラミック相のナノ粒子が基板の直接上に若しくは基板で形成する、及び/又は金属−セラミックコーティングが主として結晶構造で基板上に形成する、及び/又はめっき液若しくは電解液中でのセラミック相のナノ粒子の形成及び/又はセラミック相の粒子の凝集を実質的に避けるのに十分少量で、ゾルを添加する。めっき前にゾルをめっき液に添加するこれらの実施形態では、ゾル1リットル当たりセラミック相の20〜250g、又はより好ましくは25〜150gのゾル濃度を有するゾルを、めっき液1リットル当たりゾル0.5〜100ml、又はより好ましくは1.25〜25mlの割合でめっき液に添加してもよい。
【0012】
他の実施形態では、めっき又はコーティングの前及び間の両方で、ゾルを添加してもよい。特定の実施形態では、セラミック相は、Ti、W、Si、Zr、Al、Y、Cr、Fe、Pb、Co若しくは希土類元素の単一又は混合酸化物、炭化物、窒化物、ケイ酸塩、ホウ化物である。
【0013】
特定の実施形態では、セラミック相以外のコーティングは、Ni、Ni−P、Ni−W−P、Ni−Cu−P、Ni−B、Cu、Ag、Au、Pdを含む。
【0014】
特定の実施形態では、基板は、軟鋼、合金鋼、Mg、Al、Zn、Sn、Cu、Ti、Ni、Co、Mo、Pb、又は合金などの金属基板である。他の実施形態では、基板は、プラスチック又はセラミック基板などの非金属基板である。
【0015】
本明細書中の「ゾル」という用語は、セラミック相の溶液を意味する。セラミック相の分子、例えばTiO2の分子は、ゾル中に網目構造で存在し、めっき工程中に表面で反応して結晶金属−セラミック複合コーティングを形成すると考えられている。
【0016】
めっき工程は、無電解めっき若しくはコーティング工程、又は代わりにガルバニックめっき工程であってよい。めっき工程がガルバニックめっき工程である場合、めっき電流は10mA/cm2〜300mA/cm2、好ましくは20mA/cm2〜100mA/cm2の範囲にあってよい。
【0017】
本明細書中、めっき及びコーティングは、互換的に使用される。
【0018】
別の態様では、本発明は、上記の工程によりめっき若しくはコーティングされた物品又は表面を含む。
【0019】
本明細書で使用する「〜を含む(comprising)」という用語は、「少なくとも一部〜からなる」を意味する。「〜を含む」という用語を含む本明細書中の各々の記載を解釈する場合、この用語により前置きをされるもの以外の特徴が存在してもよい。「comprise」及び「comprises」などの関連用語は、同様に解釈すべきである。
【0020】
後の説明では、以下の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、いくつかの実施例において後で記載する実験研究で使用する装置の概略図である。
【図2】図2は、(a)従来のNi−Pコーティング、並びに(b)0.02ml/s、(c)0.007ml/s、及び(d)0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す図である。
【図3】図3は、(a1、a2)従来のNi−Pコーティング、並びに(b1、b2)0.02ml/s、(c1、c2)0.007ml/s、及び(d1、d2)0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングの、横断面形態及び元素分布を示す図である。
【図4】図4は、(a)0.004ml/s、(b)0.007ml/s、及び(c)0.02ml/sの異なるゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティング、並びに(d)従来のNi−PコーティングのXRDスペクトルを示す図である。
【図5】図5は、異なるゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの微小硬さを示す図である。
【図6】図6は、(a)従来のNi−Pコーティング、並びに(b)0.02ml/s、(c)0.007ml/s、及び(d)0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングについての摩耗痕画像を示す図である。
【図7】図7は、(a)従来のNi−Pコーティング、並びに(b)30ml/L、(c)60ml/L、(d)90ml/L、(e)120ml/L、(f)150ml/L、及び(g)170ml/Lの異なるTiO2ゾル濃度で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す図である。
【図8】図8は、従来のNi−Pコーティング、並びに(b)30ml/L、(c)60ml/L、(d)90ml/L、(e)120ml/L、(f)150ml/L、及び(g)170ml/LのTiO2ゾル濃度で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングのXRDスペクトルを示す図である。
【図9】図9は、異なるTiO2ゾル濃度で調製した新規Ni−P−TiO2コーティングの微小硬さを示す図である。
【図10】図10は、従来のNi−Pコーティング、並びに(b)30ml/L、(c)60ml/L、(d)90ml/L、(e)120ml/L、(f)150ml/L、及び(g)170ml/LのTiO2ゾル濃度で調製した新規Ni−P−TiO2コーティングの摩耗痕を示す図である。
【図11】図11は、従来の電気めっきNiコーティング、並びに(b)1.25ml/L、(c)2.5ml/L、(d)7.5ml/L、(e)12.5ml/L、(f)50ml/Lの異なるTiO2ゾル濃度で調製したNi−TiO2複合コーティングの表面形態を示す図である。
【図12】図12は、異なるTiO2ゾル濃度で調製したNi−TiO2複合コーティングの微小硬さ結果を示す図である。
【図13】図13は、異なるTiO2ゾル濃度で調製したNi−TiO2複合コーティングの摩耗体積損失を示す図である。
【図14】図14は、(a)10mA/cm2、(b)50mA/cm2、(c)100mA/cm2の異なるめっき電流で調製したNi−TiO2複合コーティングの表面形態を示す図である。
【図15】図15は、異なるめっき電流で調製したNi−TiO2複合コーティングの微小硬さ結果を示す図である。
【図16】図16は、異なる電流で調製したNi−TiO2複合コーティングの摩耗体積損失を示す図である。
【図17】図17は、(a)0.007ml/s及び(b)0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の表面形態を示す図である。
【図18】図18は、(a)0.007ml/s及び(b)0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の横断面形態を示す図である。
【図19】図19は、0.007ml/s及び0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の反射率を示す図である。
【図20】図20は、(a)50ml/L、(b)90ml/L、(c)120ml/L、及び(d)150ml/LのTiO2ゾル濃度で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の表面形態を示す図である。
【図21】図21は、(a)50ml/L、(b)90ml/L、(c)120ml/L、及び(d)150ml/LのTiO2ゾル濃度で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の横断面形態を示す図である。
【図22】図22は、50、90、120及び150ml/LのTiO2ゾル濃度で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の反射率を示す図である。
【図23】図23は、(a)従来の無電解めっきNi−Pコーティング、(b)従来のNi−P−ZrO2複合コーティング、及び(c)120ml/Lのゾル濃度の新規Ni−P−ZrO2複合コーティングの表面形態を示す図である。
【図24】図24は、(a)従来の無電解めっきNi−Pコーティング、(b)従来のNi−P−ZrO2複合コーティング、及び(c)120ml/Lのゾル濃度の新規Ni−P−ZrO2複合コーティングのXRDスペクトルを示す図である。
【図25】図25は、(a)従来の無電解めっきNi−Pコーティング、(b)従来のNi−P−ZrO2複合コーティング、及び(c)120ml/Lのゾル濃度の新規Ni−P−ZrO2複合コーティングの微小硬さを示す図である。
【図26】図26は、(a)従来のNi−TiO2複合コーティング、及び(b)新規ゾル増強Ni−TiO2複合コーティングの表面二次電子形態を示す図である。(a)及び(b)中の挿入図は、局所的に拡大した後方散乱電子像である。
【図27】図27は、従来のNi−TiO2複合コーティング及び新規ゾル増強Ni−TiO2複合コーティングについてのアニーリング温度の関数としての微小硬さの変動を示す図である。
【図28】図28は、1×10-4s-1の歪み速度で試験した(A)従来の、及び(B)ゾル増強Ni−TiO2複合材料についての工学的応力−歪み曲線を示す。
【図29】図29は、従来のAuコーティング及び(b)新規ゾル増強Auコーティング上の摩耗痕を示す図である。
【図30】図30は、従来のAuコーティング及び(b)新規ゾル増強Auコーティング上の摩耗痕を示す図である。
【図31】図31は、コーティングの微小硬さへのAl2O3ゾル濃度の影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、セラミック相のゾルをめっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造する方法を含む。
【0023】
ゾルは、ゾルが透明である(セラミック相の粒子が見かけ上はゾル中に存在しない)濃度を有していてよく、特定の実施形態では、約10〜約200g/L、又は約20〜約100g/Lの間のセラミック相濃度を有していてもよい。
【0024】
めっき工程中にセラミック相のゾルを前記溶液又は電解液に添加する場合、めっき若しくはコーティング工程の間ずっと、又は特定の実施形態では、めっき工程の期間全体未満であるがめっき工程の期間の少なくとも80%若しくは少なくとも70%若しくは少なくとも60%若しくは少なくとも50%の間、ゾルを添加してよい。任意で、めっき又はコーティングの開始前に一定量のゾルを前記溶液又は電解液に添加してもよい。
【0025】
特定の実施形態では、めっき液又は電解液1L当たり約0.02ml未満の割合でゾルを添加してよく、約0.01ml/L未満、及び好ましくは約0.07ml/L未満、及び約0.001〜約0.005ml/Lの範囲の割合でゾルを添加してよい。ゾルをめっき液中に滴下する若しくは噴霧することにより、又は必要とされる遅い速度でゾルを添加することができる任意の他の技術により、必要とされる遅い速度でゾルをめっき液に添加してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態に関して、めっき中並びに十分に遅い速度及び低い濃度でセラミック相をゾルとして添加する場合、ゾルからのセラミック相の分子は、基板の表面に接触又は非接触の状態でナノ粒子をその場で形成し、非晶構造よりもむしろ主として結晶性を有する金属−セラミック複合コーティングが形成されると考えられている。
【0027】
特定の実施形態では、セラミック相は、Ti、W、Si、Zr、Al、Y、Cr、Fe、Pb、Co若しくは希土類元素の単一又は混合酸化物、炭化物、窒化物、ケイ酸塩、ホウ化物である。
【0028】
特定の実施形態では、基板は、金属基板、例えば軟鋼、合金鋼、Mg、Al、Zn、Sn、Cu、Ti、Ni、Co、Mo、Pb、又は合金である。他の実施形態では、基板は、非金属基板、例えばプラスチック及びセラミック基板である。
【0029】
改善された耐摩耗性若しくは耐食性を物品又は表面に与えるため、導電性コーティングを表面又は物品に与えるため、あるいは例えば装飾目的で光学的性質を変化させるために、めっき又はコーティングを行ってもよい。
【0030】
本発明の方法により、発明者等は、約1025HVの微小硬さを有するNi−P−TiO2コーティングを達成することができた。めっきの開始前に、ゾルの形態ではなく、TiO2のナノ粒子がめっき液に添加される従来の電気めっき方法では、典型的には670〜800HV程度の硬さが達成される。
【0031】
基板が軟炭素鋼である別の特定の実施形態では、本発明の方法によりめっき又はコーティングされる基板は、非常に低い光反射を有する、すなわち超黒色である。
【0032】
めっき工程は、無電解めっき又はコーティング方法であってよく、該方法では、アノードがめっき金属を含み、カソードがめっき又はコーティングされる物品を含み、かつセラミック相を、還元剤、例えば次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ホルムアルデヒド、デキストロース、ロッシェル塩、グリオキサール、硫酸ヒドラジンを含む溶液にゾルとして添加する。
【0033】
あるいは、めっき方法は、アノードがめっき金属を含み、又はめっき金属のイオンが電解液中に供給され、カソードがめっきされる物品を含み、セラミック相がゾルとして電解液に添加されるガルバニックめっき工程であってもよい。
実施例
【0034】
実験研究の以下の説明は、実施例により本発明をさらに説明する。
実施例1−異なるゾル割合での無電解めっきによる、Mg合金上のNi−P−TiO2複合コーティング
【0035】
透明なTiO2ゾルを以下のように調製した:チタンブトキシド(0.04g/ml)8.68mlを、エタノール35ml及びジエタノールアミン2.82mlの混合溶液に溶解した。2時間の磁気撹拌後、得られた溶液を、磁気撹拌下で脱イオン水0.45ml及びエタノール4.5mlの混合物を滴下することにより加水分解した。2時間の撹拌後、TiO2ゾルを茶色ガラス瓶中に保存し、室温で24時間ねかせた。
【0036】
めっき中に調節した速度で滴下することにより(1滴=約0.002ml)、透明なTiO2ゾルを、従来のNi−P無電解めっき(EP)液150ml中に添加した。めっき中、約200r/分の速度で磁気撹拌することにより、溶液を連続的に撹拌した。溶液温度は80〜90℃に保ち、めっき時間は約90分とした。図1は、使用した実験装置を示している。図1中、以下の参照番号は、以下の部品を示す。
1.分液漏斗
2.TiO2ゾル出口
3.蓋
4.エルレンマイヤー
5.ビーカー
6.水
7.無電解めっき液
8.試料
9.ブラケット
10.磁気撹拌機
11.鉄クレードル(siderocradle)
12.漏斗台
【0037】
めっき工程を異なるゾル滴下速度及びゾル濃度で繰り返した。
【0038】
分析で、コーティングは、主として結晶性であり、従来のNi−Pコーティングについての約590HV0.2及び従来のNi−P−TiO2複合コーティングについての約700HV0.2と比較して1025HV0.2までの微小硬さを有することが分かった。コーティングの摩耗痕の幅は、約500μmの従来の複合コーティングについての対応する幅と比較して、いくつかの場合では約160μmに減少した。
【0039】
図2は、0.004、0.007、0.02ml/sのゾル滴下率で、120ml/LのTiO2ゾル濃度で製造したNi−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0040】
図2aを参照すると、従来のEP Ni−Pコーティングは、矢印で示すように、EP工程中のH2の形成によりもたらされるいくつかの孔を含む典型的な「カリフラワー様」構造を有する。
【0041】
TiO2ゾルを0.02ml/sの率でEP Ni−P溶液中に滴下すると、「カリフラワー」構造はより小さくなった(図2b参照)。微小Ni結晶のクラスターが境界面で形成しており、これはTiO2ゾルの添加がNi結晶の核形成を促進し、Ni結晶の成長を妨げたことを示している。
【0042】
図2cは、0.007ml/sのゾル滴下率で製造したコーティングを示す。これは図2aの緻密で滑らかなコーティングであった。図2cの右上挿入図中に矢印で示すように、よく分散した白色ナノ粒子が表面上に分布していた。これらの粒子はTiO2ナノ粒子であると考えられる。
【0043】
0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率でも、コーティングは緻密で滑らかであった(図2d参照)。図2d中に矢印で示すように、緩いTiO2粒子がNi結晶間の境界面に集まった。
【0044】
図3は、Ni−Pコーティング、及び異なるTiO2ゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの、横断面形態及び元素分布を示す。
【0045】
従来のNi−Pコーティングは約25μmの厚さを有し緻密であり(図3a1参照)、Mg基板に良好に接着する。Ni及びP元素は、コーティングに沿って均一に分布している(図3a2参照)。
【0046】
図3b1及び3b2は、0.02ml/sのゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの、微小構造及び元素分布を示す。コーティングは、Ni−Pコーティングよりも薄かった。厚さは、0.007ml/sのゾル滴下率で約23μmから約20μmに(図3c1及び3c1)、0.004ml/sの滴下率で18μmに(図3d1参照)さらに減少した。
【0047】
図4a〜cは、異なる滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングについてのXRDスペクトルを示し、図4dはNi−Pコーティングについて示している。従来のEP媒体P含有コーティングは、典型的な半結晶構造、すなわち非晶相及び結晶相の混合を有する一方で、Ni−P−TiO2複合コーティングは、完全な結晶相構造を有する。
【0048】
粉末法により調製した複合コーティングについての約710HV200及び従来のNi−Pコーティングについての約570HV200と比較して、本発明の工程により製造した複合コーティングは、約1025HV200までの硬さを有する。図5は、0.004ml/s〜0.02ml/sのゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの微小硬さを示す。0.007ml/sの滴下率で最も大きい硬さが得られた。
【0049】
図6aでは、従来のNi−Pコーティングの摩耗痕の幅は約440μmであった。多くの深い鋤線(plough line)が観察される。対照的に、図6b、c、及びdから分かるように、新規Ni−P−TiO2複合コーティングは、より良好な耐摩耗性を有していた。複合コーティングの摩耗痕は、0.02ml/sで約380μm、0.007ml/sで160μm、及び0.004ml/sで340μmのより狭い幅を有していた。新規複合コーティングはまた、従来のNi−Pコーティングと比較して、非常に少ない鋤線を有していた。
実施例2−異なるゾル濃度での無電解めっきによる、Mg上のNi−P−TiO2複合コーティング
【0050】
ゾル中のTiO2濃度の影響も研究した。Ni−P−TiO2複合コーティングは実施例1に記載のように調製したが、0.007ml/sの一定のゾル滴下率並びに30、60、90、120、150、及び170ml/L(1.2、2.4、3.6、4.8、6.0、6.8g/L)のTiO2ゾルのゾル濃度であった。
【0051】
図7は、従来のNi−Pコーティング及び異なるTiO2ゾル濃度で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0052】
図7aは、矢印で示すように、EP工程中のH2の形成による表面上のいくつかの孔を含む、従来のNi−Pコーティングの典型的な「カリフラワー」様構造を示す。
【0053】
図7b及び7cは、それぞれ30ml/L及び60ml/Lの濃度でTiO2ゾルをEP液中に滴下した複合コーティングの表面形態を示す。工程中、EP液中に白色TiO2粒子は観察されなかった。多くの微小Ni微結晶が、大きなNi粒子上、又はNi粒子間の低い境界面に形成し集まった(図7b参照)。60ml/Lのゾル濃度では、多くのよく分散した微小Ni微結晶が、集合することなく表面上に形成し(図7c参照)、Ni微結晶はより滑らかな表面を有し、より小さくなった。ゾル濃度が増加するにつれて、白色TiO2粒子がEP液中に形成された。
【0054】
図7dは、90ml/Lのゾル濃度で製造したコーティングの表面形態を示す。微小Ni微結晶は、よく分散し、より小さい。図7dに矢印で示すように、上に多くの小さなよく分散したNi微結晶を有する大型のNi結晶が観察された。120ml/Lのゾル濃度では、微小Ni結晶はほとんど消滅し(図7e参照)、図7eの挿入図に矢印で示すように、ナノサイズのTiO2粒子がよく分散して表面上に観察された。
【0055】
図8は、従来のNi−Pコーティング、及び異なるTiO2ゾル濃度の新規Ni−P−TiO2複合コーティングのXRDスペクトルを示す。従来のEP Ni−Pコーティングは、典型的な半結晶構造、すなわち非晶相及び結晶相の混合を有する一方で(図5a参照)、新規Ni−P−TiO2複合コーティングは、図8b、8c、8d、及び8eに示すようにより低いTiO2ゾル濃度でより良好な結晶化度を有する異なる相構造を有する。コーティングは、150及び170ml/Lのより高いゾル濃度で半結晶構造を有する(図8f及び8g参照)。
【0056】
複合コーティングの微小硬さへのゾル濃度の影響を図9に示す。30〜60ml/Lの比較的低いTiO2ゾル濃度では、微小硬さは約700HV200であった。白色TiO2粒子は観察されなかった。60〜120ml/Lのゾル濃度では、白色TiO2粒子がEP液中に観察され、微小硬さは、最大約1025HV200まで増加した。
【0057】
従来のNi−Pコーティング、及び異なるTiO2ゾル濃度で製造した新規Ni−P−TiO2複合コーティング上の摩耗痕の画像を図10に示す。
【0058】
30〜60ml/Lのゾル濃度では、図10b及び10cに示すように、摩耗痕が不連続になり、鋤線がほぼ観察されない。90〜120ml/Lのゾル濃度では、摩耗痕はより狭く(しかしより連続的に)なり、摩耗痕の幅は約240μm〜約160μmに減少した。図10d及び10eは、150及び170ml/Lのゾル濃度で製造したコーティング上の摩耗痕を示す。
【0059】
本発明者等は、ゾルをEP液中に滴下すると、撹拌下でゾルが急速に希釈されることを認めた。溶液は透明に保たれ、白色粒子は肉眼で見ることはできず、このことは、TiO2粒子が非常に小さいことを示している。TiO2ナノ粒子は、凝集してクラスターを形成する機会がない。そのため、ナノサイズのTiO2粒子がNiとともに析出し、金属/ナノ酸化物複合コーティングを形成する。ナノ粒子の分散はまた、硬さ及び耐摩耗性の改善に寄与する。
実施例3−異なるゾル濃度での電気めっきによる、軟鋼上のNi−TiO2コーティング
【0060】
電気めっきの開始時に実施例1に記載のように調製したTiO2ゾルを従来のNi電気めっき液中に添加することにより、Ni−TiO2電気めっきコーティングを炭素鋼上に形成した。浴組成及び電気めっきパラメータを以下の表に列挙する。実施例1に記載のように調製した12.5ml/Lの透明なTiO2ゾル溶液を電気めっき液に添加し、次いで、50mA/cm2の電流でNi−TiO2複合コーティングを炭素鋼上に形成した。比較のため、Ni及びNi−TiO2コーティングをゾルの添加なしで調製した。10g/LのTiO2ナノ粒子(直径<25nm)濃度で、Ni−TiO2コーティングを調製した。
【表1】
【0061】
従来法で形成したNi−TiO2複合コーティングについての356HV100及びNiコーティングについての321HV100と比較して、形成したNi−TiO2複合コーティングは428HV100の微小硬さを有していた。
【0062】
0、1.25、2.5、7.5、12.5、及び50ml/L(0、0.05、0.0625、0.3、0.5、2g/L)のTiO2ゾル濃度でコーティングを調製した。
【0063】
図11は、0、1.25、2.5、7.5、12.5、及び50ml/Lのゾル濃度で調製したNi−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0064】
図12は、0、1.25、2.5、7.5、12.5、及び50ml/Lのゾル濃度で調製したNi−TiO2複合コーティングの微小硬さを示す。Niコーティングの微小硬さは、ほとんど320HV100であった。Ni−TiO2複合コーティングは、1.25ml/L〜12.5ml/Lのゾル濃度で、428HV100まで微小硬さが増加した。
【0065】
図13を参照すると、Niコーティングは、約8×10-3mm3の最悪の摩耗体積損失を有した。Ni−TiO2複合コーティングは、より優れた耐摩耗性を有した。
実施例4−異なる電流での電気めっきによる、軟鋼上のNi−TiO2コーティング
【0066】
実施例3のようにコーティングを調製したがめっき電流は異なっていた。図14は、10、50、100mA/cm2の電流で12.5ml/LのTiO2ゾル添加により調製したNi−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0067】
図15は、10、50、100mA/cm2の電流で12.5ml/LのTiO2ゾル添加により調製したNi−TiO2複合コーティングの微小硬さを示す。10mA/cm2では、コーティングは約300HV100の微小硬さを有し、50mA/cm2では微小硬さは428HV100に増加し、100mA/cm2の電流では微小硬さは約380HV100であった。
【0068】
図16は、Ni−TiO2複合コーティングの摩耗体積損失を示す。コーティングは、50mA/cm2で最高の耐摩耗性を有し、摩耗体積損失は約0.004mm3であった。
実施例5−無電解めっきによる、炭素鋼上の超黒色Ni−P−TiO2複合コーティング
【0069】
実施例1のように調製したTiO2ゾルを、調節した率で、従来のNi無電解溶液中に添加することにより、超黒色表面を有するNi−P−TiO2無電解コーティングを、炭素鋼上に形成した。90ml/L(3.6g/L)の透明なTiO2溶液を150mlのめっき液に0.007ml/sの率で添加すると、可視光の0.1〜0.5%で最低の反射率を有する超黒色表面を有するNi−P−TiO2無電解コーティングが形成された。
【0070】
図17は、0.007及び0.004ml/sの異なるゾル添加率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0071】
図18は、異なるゾル添加率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの横断面形態を示す。
【0072】
図19は、可視光の範囲における、異なるゾル添加率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の反射率を示す。TiO2ゾルを0.007ml/sで添加した場合、より低い反射率が得られた。
【0073】
図20は、50、90、120、及び150ml/Lの異なるゾル濃度で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0074】
図21は、異なるゾル濃度で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの横断面形態を示す。
【0075】
図22は、異なるゾル濃度で調製した可視光の範囲におけるNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の反射率を示す。
実施例6−電気めっきによる、炭素鋼上のCu−TiO2コーティング
【0076】
実施例1のように調製した少量のTiO2ゾルを、従来の電気めっきCu液中に添加し、次いでCu−TiO2複合コーティング合成をその場で行った。従来のCuコーティングの150HVと比較して、この新規Cu−TiO2複合コーティングは、210HVの微小硬さを有し、40%の増加を示した。
実施例7−無電解めっきによる、Mg合金上のNi−P−ZrO2複合コーティング
【0077】
透明なZrO2ゾルを以下のように調製した:ジルコニウムプロポキシド45mlを、エタノール124ml及びジエタノールアミン11.3mlの混合溶液に溶解した。2時間の磁気撹拌後、得られた溶液を、磁気撹拌下で脱イオン水1.84ml及びエタノール16.2mlの混合物を滴加することにより加水分解した。2時間の撹拌後、ZrO2ゾルを茶色ガラス瓶中に保存し、室温で24時間ねかせた。めっき中に調節した率で滴下することにより(1滴=約0.002ml)、透明なZrO2ゾルを、従来のNi−P無電解めっき(EP)液中に添加した。めっき中、約200r/分の速度で磁気撹拌することにより、溶液を連続的に撹拌した。溶液温度は80〜90℃に保ち、めっき時間は約90分とした。
【0078】
図23は、120ml/LのZrO2ゾル濃度で、0.007ml/sのゾル滴下率で製造したNi−P−ZrO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0079】
図24は、120ml/LのZrO2ゾル濃度で、0.007ml/sのゾル滴下率で製造したNi−P−ZrO2複合コーティングのXRDスペクトルを示す。
【0080】
図24a及びbに示すように、従来の無電解めっきNi−P及びNi−P−ZrO2コーティングは、典型的な半結晶体、すなわち結晶体状態及び非晶状態の混合を有していた。対照的に、Ni−P−ZrO2複合コーティングは、図24cに示すように完全な結晶状態を有していた。
【0081】
図25は、120ml/LのZrO2ゾル濃度で、0.007ml/sのゾル滴下率で製造したNi−P−ZrO2複合コーティングの機械的特性を示す。従来のNi−Pコーティングの590HV200及び従来のNi−P−ZrO2複合コーティングの759HV200と比較して、Ni−P−ZrO2複合コーティングの微小硬さは1045HV200に増加した。
実施例8−軟炭素鋼上のNi−TiO2複合コーティング
【0082】
電気めっき中、低く調節した率で、実施例1に記載のように調製したTiO2ゾルを従来のNi電気めっき液中に添加することにより、Ni−TiO2電気めっきコーティングを軟炭素鋼上に析出させた。12.5ml/Lの透明なTiO2ゾル溶液を、電気めっき液中に添加し、次いで、50mA/cm2の電流でNi−TiO2複合コーティングを炭素鋼上に形成させた。比較のため、Ni−TiO2コーティングを、10g/Lの固体TiO2ナノ粒子(直径<25nm)で調製した。
【0083】
図26は、(a)従来のNi−TiO2複合コーティング、及び(b)ゾル増強Ni−TiO2複合コーティングの表面二次電子形態を示す。(a)及び(b)中の挿入図は、局所的に拡大した後方散乱電子像である。従来のNi−TiO2コーティングは、非常に粗い不均一な表面を示した(図26a)。約4μmの大きさの大きな球状Niノジュールがはっきりと見られ、その上には図1a中の挿入図に示すように多くの超微粉Niノジュール(約300nm)が存在した。挿入図(BSE像)中矢印で指し示すように、TiO2ナノ粒子(約400nm)の大きなクラスターがNiノジュール中に組み込まれていた。対照的に、ゾル増強Ni−TiO2複合コーティングは、はるかに滑らかな表面を有していた(図26b)。Niノジュールの2つの形状、すなわち球状及び錐体様が表面上に示された。約1.5μmの大きさの錐体様Niノジュールは、球状Niノジュール中に比較的均一に分布していた。球状Niノジュールの大きさは非常に小さく、約200nmであることが、図1b中の挿入図からはっきり分かる。
【0084】
図27は、アニーリング温度の関数としての微小硬さの変動を示す:■−従来のNi−TiO2複合コーティング;●−ゾル増強Ni−TiO2複合コーティング。従来のコーティングの約280HV50と比較して、析出したゾル増強コーティングは約407HV50の高い微小硬さを有した。低温アニーリング(150℃まで)後の従来のコーティングの微小硬さは約280HV50であり、引き続いて、コーティングを400℃で90分間アニールすると約180HV50まで比較的定常的に減少した。対照的に、ゾル増強コーティングについては、高い微小硬さ(約407HV50)を250℃まで安定化させることができる。
【0085】
図28は、1×10-4s-1の歪み速度で試験した(A)従来の、及び(B)ゾル増強Ni−TiO2複合材料についての工学的応力−歪み曲線を示す。従来の複合材料の約600MPa及び約0.8%の歪みと比較して、ゾル増強複合材料は、有意に増加した約1050MPaの引張り強さと約1.4%の歪みを示す。
実施例9−Ni被覆真鍮上のAu−TiO2複合材料
【0086】
実施例1に記載のように調製した少量のTiO2ゾルを、従来の電気めっきAu液中に添加して、Au−TiO2複合コーティングの合成をもたらした。以下の表に要約するように、微小硬さ及び耐摩耗性が大幅に改善された。
【表2】
【0087】
図29は、(a)従来のAuコーティング、及び(b)ゾル増強Auコーティング上の摩耗痕を示す。10mA/cm2の電流密度で6.5分間、電気めっきを行った。摩耗痕の幅から摩耗体積損失を測定し計算した。ゾル増強Auコーティングの約1.43×10-3mm3と比較して、従来のAuコーティングの摩耗体積損失は約1.58×10-3mm3であることが分かった。
【0088】
図30は、(a)従来のAuコーティング、及び(b)ゾル増強Auコーティング上の摩耗痕を示す。50mA/cm2の電流密度で2.5分間、電気めっきを行った。ゾル増強Auコーティングの約0.82×10-3mm3と比較して、従来のAuコーティングの摩耗体積損失は約1.62×10-3mm3であると計算され、ゾル増強コーティングの耐摩耗性が有意に改善されることを示した。
実施例10−炭素鋼上のCu−ZrO2複合コーティング
【0089】
実施例7に記載のように調製したZrO2ゾルを、従来の電気めっきCu液中に添加して、Cu−ZrO2複合コーティングの合成をもたらした。10g/LのZrO2ナノ粒子(直径<25nm)濃度で、Cu及びCu−ZrO2(固体粒子混合)コーティングも調製した。以下の表は、Cu、従来の(固体粒子混合)、及びゾル増強Cu−ZrO2複合コーティングの、微小硬さ及び電気抵抗を列挙している。従来のCu−ZrO2コーティングの約133HV50と比較して、ゾル増強Cu−ZrO2複合コーティングは、有意に増加した約153HV50の微小硬さを有していた。
【表3】
【0090】
Al2O3ゾルを従来の電気めっきCu液中に添加することにより、Cu−Al2O3複合コーティングを調製した。前駆物質としてのトリ−sec−ブトキシド((C2H5CH(CH3)O)3Al)を使用して、Al2O3ゾルを合成した。少量の無水エタノールをビーカー中の97%Alトリ−sec−ブトキシド1.7017gに添加し、8.0630gの質量の増加を無水エタノールの重量として記録した。アルミニウムイソ−プロポキシドと水のモル比は、0.01:12.4であった。磁気撹拌下、脱イオン水158mLを、Alトリ−sec−ブトキシド及びエタノールの混合物中にゆっくり添加し、30%硝酸数滴を溶液中に添加して、pH値を3.5に調整した。この段階で、溶液は白色沈殿を含んでおり、全ての白色沈殿が溶解するまで60℃のホットプレート上でこれを撹拌した。最終的に、透明な酸化アルミニウムゾルを調製した。
【0091】
図31は、コーティングの微小硬さへのAl2O3ゾル濃度の影響を示す。Cuコーティングの約145HV50と比較して、ゾル増強Cu−Al2O3コーティングは、約181HV50の最大微小硬さを有し、約25%の改善を示す。
【0092】
前記は、実施形態及びその実施例を含む本発明を説明する。当業者に明白な修正及び変更は、添付の特許請求の範囲に定義されるその範囲に組み込まれることを意図している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造する改善されためっき又はコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
時々電着と呼ばれる電気めっきでは、カソードを形成する金属めっきされる導電性物品及びアノードを、1つ又は複数の溶解した金属塩を含む電解液に浸漬し、電池又は整流器が直流を供給する。一方法では、アノードがめっき金属であり、アノードの金属分子が酸化されて、電解液に溶解し、カソードでは、溶解した金属イオンが還元されて、カソード/物品上にめっきされる。別の方法では、アノードは消耗性ではなく、めっき金属のイオンは電解液中に供給され、定期的に補充されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無電解めっき又は析出は、還元剤、典型的には水溶液中の次亜リン酸ナトリウムが、アノードからの溶液中のめっき金属の金属イオンを還元し、それがカソード/物品上に析出する、非ガルバニック(non−galvanic)めっき又はコーティング方法である。無電解ニッケルめっきを使用して、金属又はプラスチック基板であり得る基板上に、ニッケルNi−P又はNi−Bのコーティングを析出させることができる。
【0004】
無電解めっきを使用して、基板上に、金属−セラミック複合コーティング、例えばNi−P−TiO2コーティングを形成することもできる。TiO2ナノ粒子を無電解めっき液に添加し、Ni−P−TiO2マトリックス中Ni−Pと共に基板上に共析出させる。TiO2粒子は溶液中で凝集する傾向があるので、基板上に不均一に分布し、コーティングに不均一な特性を与える恐れがあり、これを減少させる目的で、溶液を連続的に撹拌し、及び/又は界面活性剤を添加して、TiO2粒子の溶液中への良好な分散を確実にする。
【0005】
最初に電気めっきにより物品上にNi−Pのコーティングを形成し、次いでゾル−ゲル法により、TiO2ゾル中に前記物品を浸漬してコーティング時/中にTiO2を析出させることにより、Ni−P−TiO2コーティングを基板又は物品上に形成してもよい。
【0006】
物品若しくは表面のめっき又はコーティングは、これらを行わなければ欠けてしまう所望の特性を表面に与えるため、又は特性、例えば耐摩耗性、耐食性、若しくは特定の外観を所望の程度に改善するために行う。
【課題を解決するための手段】
【0007】
広義には、一態様では、本発明は、セラミック相のゾルをめっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造する方法を含む。
【0008】
本発明はまた、セラミック相を、セラミック相のナノ粒子が基板の直接上に若しくは基板で形成するのに十分少量のゾルとして、めっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法を含む。本発明はまた、セラミック相を、金属−セラミックコーティングが主として結晶構造で基板上に形成するのに十分少量のゾルとして、めっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法を含む。
【0009】
本発明はまた、セラミック相を、めっき液若しくは電解液中でのセラミック相のナノ粒子の形成及び/又はセラミック相の粒子の凝集を実質的に避けるのに十分少量のゾルとして、めっき液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法を含む。
【0010】
特定の実施形態では、めっき又はコーティングを行っている間に、セラミック相のナノ粒子が基板の直接上に若しくは基板で形成する、及び/又は金属−セラミックコーティングが主として結晶構造で基板上に形成する、及び/又はめっき液若しくは電解液中でのセラミック相のナノ粒子の形成及び/又はセラミック相の粒子の凝集を実質的に避けるのに十分少量に調節したゾル添加割合で、ゾルを添加する。めっき中に、調節した遅い速度でゾルをめっき液に添加するこれらの実施形態では、ゾル1リットル当たりセラミック相の20〜250g、又はより好ましくは25〜150gのゾル濃度を有するゾルを、めっき液1リットル当たり30〜250ml、又はより好ましくは100〜150mlの割合でめっき液に添加してよく、ゾルを1秒当たり0.001〜0.1ml、又はより好ましくは0.005〜0.02mlの範囲の速度で添加してもよい。
【0011】
他の実施形態では、めっき又はコーティングを行う前に、ゾルを添加する。セラミック相のナノ粒子が基板の直接上に若しくは基板で形成する、及び/又は金属−セラミックコーティングが主として結晶構造で基板上に形成する、及び/又はめっき液若しくは電解液中でのセラミック相のナノ粒子の形成及び/又はセラミック相の粒子の凝集を実質的に避けるのに十分少量で、ゾルを添加する。めっき前にゾルをめっき液に添加するこれらの実施形態では、ゾル1リットル当たりセラミック相の20〜250g、又はより好ましくは25〜150gのゾル濃度を有するゾルを、めっき液1リットル当たりゾル0.5〜100ml、又はより好ましくは1.25〜25mlの割合でめっき液に添加してもよい。
【0012】
他の実施形態では、めっき又はコーティングの前及び間の両方で、ゾルを添加してもよい。特定の実施形態では、セラミック相は、Ti、W、Si、Zr、Al、Y、Cr、Fe、Pb、Co若しくは希土類元素の単一又は混合酸化物、炭化物、窒化物、ケイ酸塩、ホウ化物である。
【0013】
特定の実施形態では、セラミック相以外のコーティングは、Ni、Ni−P、Ni−W−P、Ni−Cu−P、Ni−B、Cu、Ag、Au、Pdを含む。
【0014】
特定の実施形態では、基板は、軟鋼、合金鋼、Mg、Al、Zn、Sn、Cu、Ti、Ni、Co、Mo、Pb、又は合金などの金属基板である。他の実施形態では、基板は、プラスチック又はセラミック基板などの非金属基板である。
【0015】
本明細書中の「ゾル」という用語は、セラミック相の溶液を意味する。セラミック相の分子、例えばTiO2の分子は、ゾル中に網目構造で存在し、めっき工程中に表面で反応して結晶金属−セラミック複合コーティングを形成すると考えられている。
【0016】
めっき工程は、無電解めっき若しくはコーティング工程、又は代わりにガルバニックめっき工程であってよい。めっき工程がガルバニックめっき工程である場合、めっき電流は10mA/cm2〜300mA/cm2、好ましくは20mA/cm2〜100mA/cm2の範囲にあってよい。
【0017】
本明細書中、めっき及びコーティングは、互換的に使用される。
【0018】
別の態様では、本発明は、上記の工程によりめっき若しくはコーティングされた物品又は表面を含む。
【0019】
本明細書で使用する「〜を含む(comprising)」という用語は、「少なくとも一部〜からなる」を意味する。「〜を含む」という用語を含む本明細書中の各々の記載を解釈する場合、この用語により前置きをされるもの以外の特徴が存在してもよい。「comprise」及び「comprises」などの関連用語は、同様に解釈すべきである。
【0020】
後の説明では、以下の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、いくつかの実施例において後で記載する実験研究で使用する装置の概略図である。
【図2】図2は、(a)従来のNi−Pコーティング、並びに(b)0.02ml/s、(c)0.007ml/s、及び(d)0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す図である。
【図3】図3は、(a1、a2)従来のNi−Pコーティング、並びに(b1、b2)0.02ml/s、(c1、c2)0.007ml/s、及び(d1、d2)0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングの、横断面形態及び元素分布を示す図である。
【図4】図4は、(a)0.004ml/s、(b)0.007ml/s、及び(c)0.02ml/sの異なるゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティング、並びに(d)従来のNi−PコーティングのXRDスペクトルを示す図である。
【図5】図5は、異なるゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの微小硬さを示す図である。
【図6】図6は、(a)従来のNi−Pコーティング、並びに(b)0.02ml/s、(c)0.007ml/s、及び(d)0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングについての摩耗痕画像を示す図である。
【図7】図7は、(a)従来のNi−Pコーティング、並びに(b)30ml/L、(c)60ml/L、(d)90ml/L、(e)120ml/L、(f)150ml/L、及び(g)170ml/Lの異なるTiO2ゾル濃度で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す図である。
【図8】図8は、従来のNi−Pコーティング、並びに(b)30ml/L、(c)60ml/L、(d)90ml/L、(e)120ml/L、(f)150ml/L、及び(g)170ml/LのTiO2ゾル濃度で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングのXRDスペクトルを示す図である。
【図9】図9は、異なるTiO2ゾル濃度で調製した新規Ni−P−TiO2コーティングの微小硬さを示す図である。
【図10】図10は、従来のNi−Pコーティング、並びに(b)30ml/L、(c)60ml/L、(d)90ml/L、(e)120ml/L、(f)150ml/L、及び(g)170ml/LのTiO2ゾル濃度で調製した新規Ni−P−TiO2コーティングの摩耗痕を示す図である。
【図11】図11は、従来の電気めっきNiコーティング、並びに(b)1.25ml/L、(c)2.5ml/L、(d)7.5ml/L、(e)12.5ml/L、(f)50ml/Lの異なるTiO2ゾル濃度で調製したNi−TiO2複合コーティングの表面形態を示す図である。
【図12】図12は、異なるTiO2ゾル濃度で調製したNi−TiO2複合コーティングの微小硬さ結果を示す図である。
【図13】図13は、異なるTiO2ゾル濃度で調製したNi−TiO2複合コーティングの摩耗体積損失を示す図である。
【図14】図14は、(a)10mA/cm2、(b)50mA/cm2、(c)100mA/cm2の異なるめっき電流で調製したNi−TiO2複合コーティングの表面形態を示す図である。
【図15】図15は、異なるめっき電流で調製したNi−TiO2複合コーティングの微小硬さ結果を示す図である。
【図16】図16は、異なる電流で調製したNi−TiO2複合コーティングの摩耗体積損失を示す図である。
【図17】図17は、(a)0.007ml/s及び(b)0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の表面形態を示す図である。
【図18】図18は、(a)0.007ml/s及び(b)0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の横断面形態を示す図である。
【図19】図19は、0.007ml/s及び0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の反射率を示す図である。
【図20】図20は、(a)50ml/L、(b)90ml/L、(c)120ml/L、及び(d)150ml/LのTiO2ゾル濃度で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の表面形態を示す図である。
【図21】図21は、(a)50ml/L、(b)90ml/L、(c)120ml/L、及び(d)150ml/LのTiO2ゾル濃度で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の横断面形態を示す図である。
【図22】図22は、50、90、120及び150ml/LのTiO2ゾル濃度で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の反射率を示す図である。
【図23】図23は、(a)従来の無電解めっきNi−Pコーティング、(b)従来のNi−P−ZrO2複合コーティング、及び(c)120ml/Lのゾル濃度の新規Ni−P−ZrO2複合コーティングの表面形態を示す図である。
【図24】図24は、(a)従来の無電解めっきNi−Pコーティング、(b)従来のNi−P−ZrO2複合コーティング、及び(c)120ml/Lのゾル濃度の新規Ni−P−ZrO2複合コーティングのXRDスペクトルを示す図である。
【図25】図25は、(a)従来の無電解めっきNi−Pコーティング、(b)従来のNi−P−ZrO2複合コーティング、及び(c)120ml/Lのゾル濃度の新規Ni−P−ZrO2複合コーティングの微小硬さを示す図である。
【図26】図26は、(a)従来のNi−TiO2複合コーティング、及び(b)新規ゾル増強Ni−TiO2複合コーティングの表面二次電子形態を示す図である。(a)及び(b)中の挿入図は、局所的に拡大した後方散乱電子像である。
【図27】図27は、従来のNi−TiO2複合コーティング及び新規ゾル増強Ni−TiO2複合コーティングについてのアニーリング温度の関数としての微小硬さの変動を示す図である。
【図28】図28は、1×10-4s-1の歪み速度で試験した(A)従来の、及び(B)ゾル増強Ni−TiO2複合材料についての工学的応力−歪み曲線を示す。
【図29】図29は、従来のAuコーティング及び(b)新規ゾル増強Auコーティング上の摩耗痕を示す図である。
【図30】図30は、従来のAuコーティング及び(b)新規ゾル増強Auコーティング上の摩耗痕を示す図である。
【図31】図31は、コーティングの微小硬さへのAl2O3ゾル濃度の影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、セラミック相のゾルをめっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造する方法を含む。
【0023】
ゾルは、ゾルが透明である(セラミック相の粒子が見かけ上はゾル中に存在しない)濃度を有していてよく、特定の実施形態では、約10〜約200g/L、又は約20〜約100g/Lの間のセラミック相濃度を有していてもよい。
【0024】
めっき工程中にセラミック相のゾルを前記溶液又は電解液に添加する場合、めっき若しくはコーティング工程の間ずっと、又は特定の実施形態では、めっき工程の期間全体未満であるがめっき工程の期間の少なくとも80%若しくは少なくとも70%若しくは少なくとも60%若しくは少なくとも50%の間、ゾルを添加してよい。任意で、めっき又はコーティングの開始前に一定量のゾルを前記溶液又は電解液に添加してもよい。
【0025】
特定の実施形態では、めっき液又は電解液1L当たり約0.02ml未満の割合でゾルを添加してよく、約0.01ml/L未満、及び好ましくは約0.07ml/L未満、及び約0.001〜約0.005ml/Lの範囲の割合でゾルを添加してよい。ゾルをめっき液中に滴下する若しくは噴霧することにより、又は必要とされる遅い速度でゾルを添加することができる任意の他の技術により、必要とされる遅い速度でゾルをめっき液に添加してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態に関して、めっき中並びに十分に遅い速度及び低い濃度でセラミック相をゾルとして添加する場合、ゾルからのセラミック相の分子は、基板の表面に接触又は非接触の状態でナノ粒子をその場で形成し、非晶構造よりもむしろ主として結晶性を有する金属−セラミック複合コーティングが形成されると考えられている。
【0027】
特定の実施形態では、セラミック相は、Ti、W、Si、Zr、Al、Y、Cr、Fe、Pb、Co若しくは希土類元素の単一又は混合酸化物、炭化物、窒化物、ケイ酸塩、ホウ化物である。
【0028】
特定の実施形態では、基板は、金属基板、例えば軟鋼、合金鋼、Mg、Al、Zn、Sn、Cu、Ti、Ni、Co、Mo、Pb、又は合金である。他の実施形態では、基板は、非金属基板、例えばプラスチック及びセラミック基板である。
【0029】
改善された耐摩耗性若しくは耐食性を物品又は表面に与えるため、導電性コーティングを表面又は物品に与えるため、あるいは例えば装飾目的で光学的性質を変化させるために、めっき又はコーティングを行ってもよい。
【0030】
本発明の方法により、発明者等は、約1025HVの微小硬さを有するNi−P−TiO2コーティングを達成することができた。めっきの開始前に、ゾルの形態ではなく、TiO2のナノ粒子がめっき液に添加される従来の電気めっき方法では、典型的には670〜800HV程度の硬さが達成される。
【0031】
基板が軟炭素鋼である別の特定の実施形態では、本発明の方法によりめっき又はコーティングされる基板は、非常に低い光反射を有する、すなわち超黒色である。
【0032】
めっき工程は、無電解めっき又はコーティング方法であってよく、該方法では、アノードがめっき金属を含み、カソードがめっき又はコーティングされる物品を含み、かつセラミック相を、還元剤、例えば次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ホルムアルデヒド、デキストロース、ロッシェル塩、グリオキサール、硫酸ヒドラジンを含む溶液にゾルとして添加する。
【0033】
あるいは、めっき方法は、アノードがめっき金属を含み、又はめっき金属のイオンが電解液中に供給され、カソードがめっきされる物品を含み、セラミック相がゾルとして電解液に添加されるガルバニックめっき工程であってもよい。
実施例
【0034】
実験研究の以下の説明は、実施例により本発明をさらに説明する。
実施例1−異なるゾル割合での無電解めっきによる、Mg合金上のNi−P−TiO2複合コーティング
【0035】
透明なTiO2ゾルを以下のように調製した:チタンブトキシド(0.04g/ml)8.68mlを、エタノール35ml及びジエタノールアミン2.82mlの混合溶液に溶解した。2時間の磁気撹拌後、得られた溶液を、磁気撹拌下で脱イオン水0.45ml及びエタノール4.5mlの混合物を滴下することにより加水分解した。2時間の撹拌後、TiO2ゾルを茶色ガラス瓶中に保存し、室温で24時間ねかせた。
【0036】
めっき中に調節した速度で滴下することにより(1滴=約0.002ml)、透明なTiO2ゾルを、従来のNi−P無電解めっき(EP)液150ml中に添加した。めっき中、約200r/分の速度で磁気撹拌することにより、溶液を連続的に撹拌した。溶液温度は80〜90℃に保ち、めっき時間は約90分とした。図1は、使用した実験装置を示している。図1中、以下の参照番号は、以下の部品を示す。
1.分液漏斗
2.TiO2ゾル出口
3.蓋
4.エルレンマイヤー
5.ビーカー
6.水
7.無電解めっき液
8.試料
9.ブラケット
10.磁気撹拌機
11.鉄クレードル(siderocradle)
12.漏斗台
【0037】
めっき工程を異なるゾル滴下速度及びゾル濃度で繰り返した。
【0038】
分析で、コーティングは、主として結晶性であり、従来のNi−Pコーティングについての約590HV0.2及び従来のNi−P−TiO2複合コーティングについての約700HV0.2と比較して1025HV0.2までの微小硬さを有することが分かった。コーティングの摩耗痕の幅は、約500μmの従来の複合コーティングについての対応する幅と比較して、いくつかの場合では約160μmに減少した。
【0039】
図2は、0.004、0.007、0.02ml/sのゾル滴下率で、120ml/LのTiO2ゾル濃度で製造したNi−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0040】
図2aを参照すると、従来のEP Ni−Pコーティングは、矢印で示すように、EP工程中のH2の形成によりもたらされるいくつかの孔を含む典型的な「カリフラワー様」構造を有する。
【0041】
TiO2ゾルを0.02ml/sの率でEP Ni−P溶液中に滴下すると、「カリフラワー」構造はより小さくなった(図2b参照)。微小Ni結晶のクラスターが境界面で形成しており、これはTiO2ゾルの添加がNi結晶の核形成を促進し、Ni結晶の成長を妨げたことを示している。
【0042】
図2cは、0.007ml/sのゾル滴下率で製造したコーティングを示す。これは図2aの緻密で滑らかなコーティングであった。図2cの右上挿入図中に矢印で示すように、よく分散した白色ナノ粒子が表面上に分布していた。これらの粒子はTiO2ナノ粒子であると考えられる。
【0043】
0.004ml/sのTiO2ゾル滴下率でも、コーティングは緻密で滑らかであった(図2d参照)。図2d中に矢印で示すように、緩いTiO2粒子がNi結晶間の境界面に集まった。
【0044】
図3は、Ni−Pコーティング、及び異なるTiO2ゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの、横断面形態及び元素分布を示す。
【0045】
従来のNi−Pコーティングは約25μmの厚さを有し緻密であり(図3a1参照)、Mg基板に良好に接着する。Ni及びP元素は、コーティングに沿って均一に分布している(図3a2参照)。
【0046】
図3b1及び3b2は、0.02ml/sのゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの、微小構造及び元素分布を示す。コーティングは、Ni−Pコーティングよりも薄かった。厚さは、0.007ml/sのゾル滴下率で約23μmから約20μmに(図3c1及び3c1)、0.004ml/sの滴下率で18μmに(図3d1参照)さらに減少した。
【0047】
図4a〜cは、異なる滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングについてのXRDスペクトルを示し、図4dはNi−Pコーティングについて示している。従来のEP媒体P含有コーティングは、典型的な半結晶構造、すなわち非晶相及び結晶相の混合を有する一方で、Ni−P−TiO2複合コーティングは、完全な結晶相構造を有する。
【0048】
粉末法により調製した複合コーティングについての約710HV200及び従来のNi−Pコーティングについての約570HV200と比較して、本発明の工程により製造した複合コーティングは、約1025HV200までの硬さを有する。図5は、0.004ml/s〜0.02ml/sのゾル滴下率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの微小硬さを示す。0.007ml/sの滴下率で最も大きい硬さが得られた。
【0049】
図6aでは、従来のNi−Pコーティングの摩耗痕の幅は約440μmであった。多くの深い鋤線(plough line)が観察される。対照的に、図6b、c、及びdから分かるように、新規Ni−P−TiO2複合コーティングは、より良好な耐摩耗性を有していた。複合コーティングの摩耗痕は、0.02ml/sで約380μm、0.007ml/sで160μm、及び0.004ml/sで340μmのより狭い幅を有していた。新規複合コーティングはまた、従来のNi−Pコーティングと比較して、非常に少ない鋤線を有していた。
実施例2−異なるゾル濃度での無電解めっきによる、Mg上のNi−P−TiO2複合コーティング
【0050】
ゾル中のTiO2濃度の影響も研究した。Ni−P−TiO2複合コーティングは実施例1に記載のように調製したが、0.007ml/sの一定のゾル滴下率並びに30、60、90、120、150、及び170ml/L(1.2、2.4、3.6、4.8、6.0、6.8g/L)のTiO2ゾルのゾル濃度であった。
【0051】
図7は、従来のNi−Pコーティング及び異なるTiO2ゾル濃度で調製した新規Ni−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0052】
図7aは、矢印で示すように、EP工程中のH2の形成による表面上のいくつかの孔を含む、従来のNi−Pコーティングの典型的な「カリフラワー」様構造を示す。
【0053】
図7b及び7cは、それぞれ30ml/L及び60ml/Lの濃度でTiO2ゾルをEP液中に滴下した複合コーティングの表面形態を示す。工程中、EP液中に白色TiO2粒子は観察されなかった。多くの微小Ni微結晶が、大きなNi粒子上、又はNi粒子間の低い境界面に形成し集まった(図7b参照)。60ml/Lのゾル濃度では、多くのよく分散した微小Ni微結晶が、集合することなく表面上に形成し(図7c参照)、Ni微結晶はより滑らかな表面を有し、より小さくなった。ゾル濃度が増加するにつれて、白色TiO2粒子がEP液中に形成された。
【0054】
図7dは、90ml/Lのゾル濃度で製造したコーティングの表面形態を示す。微小Ni微結晶は、よく分散し、より小さい。図7dに矢印で示すように、上に多くの小さなよく分散したNi微結晶を有する大型のNi結晶が観察された。120ml/Lのゾル濃度では、微小Ni結晶はほとんど消滅し(図7e参照)、図7eの挿入図に矢印で示すように、ナノサイズのTiO2粒子がよく分散して表面上に観察された。
【0055】
図8は、従来のNi−Pコーティング、及び異なるTiO2ゾル濃度の新規Ni−P−TiO2複合コーティングのXRDスペクトルを示す。従来のEP Ni−Pコーティングは、典型的な半結晶構造、すなわち非晶相及び結晶相の混合を有する一方で(図5a参照)、新規Ni−P−TiO2複合コーティングは、図8b、8c、8d、及び8eに示すようにより低いTiO2ゾル濃度でより良好な結晶化度を有する異なる相構造を有する。コーティングは、150及び170ml/Lのより高いゾル濃度で半結晶構造を有する(図8f及び8g参照)。
【0056】
複合コーティングの微小硬さへのゾル濃度の影響を図9に示す。30〜60ml/Lの比較的低いTiO2ゾル濃度では、微小硬さは約700HV200であった。白色TiO2粒子は観察されなかった。60〜120ml/Lのゾル濃度では、白色TiO2粒子がEP液中に観察され、微小硬さは、最大約1025HV200まで増加した。
【0057】
従来のNi−Pコーティング、及び異なるTiO2ゾル濃度で製造した新規Ni−P−TiO2複合コーティング上の摩耗痕の画像を図10に示す。
【0058】
30〜60ml/Lのゾル濃度では、図10b及び10cに示すように、摩耗痕が不連続になり、鋤線がほぼ観察されない。90〜120ml/Lのゾル濃度では、摩耗痕はより狭く(しかしより連続的に)なり、摩耗痕の幅は約240μm〜約160μmに減少した。図10d及び10eは、150及び170ml/Lのゾル濃度で製造したコーティング上の摩耗痕を示す。
【0059】
本発明者等は、ゾルをEP液中に滴下すると、撹拌下でゾルが急速に希釈されることを認めた。溶液は透明に保たれ、白色粒子は肉眼で見ることはできず、このことは、TiO2粒子が非常に小さいことを示している。TiO2ナノ粒子は、凝集してクラスターを形成する機会がない。そのため、ナノサイズのTiO2粒子がNiとともに析出し、金属/ナノ酸化物複合コーティングを形成する。ナノ粒子の分散はまた、硬さ及び耐摩耗性の改善に寄与する。
実施例3−異なるゾル濃度での電気めっきによる、軟鋼上のNi−TiO2コーティング
【0060】
電気めっきの開始時に実施例1に記載のように調製したTiO2ゾルを従来のNi電気めっき液中に添加することにより、Ni−TiO2電気めっきコーティングを炭素鋼上に形成した。浴組成及び電気めっきパラメータを以下の表に列挙する。実施例1に記載のように調製した12.5ml/Lの透明なTiO2ゾル溶液を電気めっき液に添加し、次いで、50mA/cm2の電流でNi−TiO2複合コーティングを炭素鋼上に形成した。比較のため、Ni及びNi−TiO2コーティングをゾルの添加なしで調製した。10g/LのTiO2ナノ粒子(直径<25nm)濃度で、Ni−TiO2コーティングを調製した。
【表1】
【0061】
従来法で形成したNi−TiO2複合コーティングについての356HV100及びNiコーティングについての321HV100と比較して、形成したNi−TiO2複合コーティングは428HV100の微小硬さを有していた。
【0062】
0、1.25、2.5、7.5、12.5、及び50ml/L(0、0.05、0.0625、0.3、0.5、2g/L)のTiO2ゾル濃度でコーティングを調製した。
【0063】
図11は、0、1.25、2.5、7.5、12.5、及び50ml/Lのゾル濃度で調製したNi−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0064】
図12は、0、1.25、2.5、7.5、12.5、及び50ml/Lのゾル濃度で調製したNi−TiO2複合コーティングの微小硬さを示す。Niコーティングの微小硬さは、ほとんど320HV100であった。Ni−TiO2複合コーティングは、1.25ml/L〜12.5ml/Lのゾル濃度で、428HV100まで微小硬さが増加した。
【0065】
図13を参照すると、Niコーティングは、約8×10-3mm3の最悪の摩耗体積損失を有した。Ni−TiO2複合コーティングは、より優れた耐摩耗性を有した。
実施例4−異なる電流での電気めっきによる、軟鋼上のNi−TiO2コーティング
【0066】
実施例3のようにコーティングを調製したがめっき電流は異なっていた。図14は、10、50、100mA/cm2の電流で12.5ml/LのTiO2ゾル添加により調製したNi−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0067】
図15は、10、50、100mA/cm2の電流で12.5ml/LのTiO2ゾル添加により調製したNi−TiO2複合コーティングの微小硬さを示す。10mA/cm2では、コーティングは約300HV100の微小硬さを有し、50mA/cm2では微小硬さは428HV100に増加し、100mA/cm2の電流では微小硬さは約380HV100であった。
【0068】
図16は、Ni−TiO2複合コーティングの摩耗体積損失を示す。コーティングは、50mA/cm2で最高の耐摩耗性を有し、摩耗体積損失は約0.004mm3であった。
実施例5−無電解めっきによる、炭素鋼上の超黒色Ni−P−TiO2複合コーティング
【0069】
実施例1のように調製したTiO2ゾルを、調節した率で、従来のNi無電解溶液中に添加することにより、超黒色表面を有するNi−P−TiO2無電解コーティングを、炭素鋼上に形成した。90ml/L(3.6g/L)の透明なTiO2溶液を150mlのめっき液に0.007ml/sの率で添加すると、可視光の0.1〜0.5%で最低の反射率を有する超黒色表面を有するNi−P−TiO2無電解コーティングが形成された。
【0070】
図17は、0.007及び0.004ml/sの異なるゾル添加率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0071】
図18は、異なるゾル添加率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの横断面形態を示す。
【0072】
図19は、可視光の範囲における、異なるゾル添加率で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の反射率を示す。TiO2ゾルを0.007ml/sで添加した場合、より低い反射率が得られた。
【0073】
図20は、50、90、120、及び150ml/Lの異なるゾル濃度で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0074】
図21は、異なるゾル濃度で調製したNi−P−TiO2複合コーティングの横断面形態を示す。
【0075】
図22は、異なるゾル濃度で調製した可視光の範囲におけるNi−P−TiO2複合コーティングの超黒色表面の反射率を示す。
実施例6−電気めっきによる、炭素鋼上のCu−TiO2コーティング
【0076】
実施例1のように調製した少量のTiO2ゾルを、従来の電気めっきCu液中に添加し、次いでCu−TiO2複合コーティング合成をその場で行った。従来のCuコーティングの150HVと比較して、この新規Cu−TiO2複合コーティングは、210HVの微小硬さを有し、40%の増加を示した。
実施例7−無電解めっきによる、Mg合金上のNi−P−ZrO2複合コーティング
【0077】
透明なZrO2ゾルを以下のように調製した:ジルコニウムプロポキシド45mlを、エタノール124ml及びジエタノールアミン11.3mlの混合溶液に溶解した。2時間の磁気撹拌後、得られた溶液を、磁気撹拌下で脱イオン水1.84ml及びエタノール16.2mlの混合物を滴加することにより加水分解した。2時間の撹拌後、ZrO2ゾルを茶色ガラス瓶中に保存し、室温で24時間ねかせた。めっき中に調節した率で滴下することにより(1滴=約0.002ml)、透明なZrO2ゾルを、従来のNi−P無電解めっき(EP)液中に添加した。めっき中、約200r/分の速度で磁気撹拌することにより、溶液を連続的に撹拌した。溶液温度は80〜90℃に保ち、めっき時間は約90分とした。
【0078】
図23は、120ml/LのZrO2ゾル濃度で、0.007ml/sのゾル滴下率で製造したNi−P−ZrO2複合コーティングの表面形態を示す。
【0079】
図24は、120ml/LのZrO2ゾル濃度で、0.007ml/sのゾル滴下率で製造したNi−P−ZrO2複合コーティングのXRDスペクトルを示す。
【0080】
図24a及びbに示すように、従来の無電解めっきNi−P及びNi−P−ZrO2コーティングは、典型的な半結晶体、すなわち結晶体状態及び非晶状態の混合を有していた。対照的に、Ni−P−ZrO2複合コーティングは、図24cに示すように完全な結晶状態を有していた。
【0081】
図25は、120ml/LのZrO2ゾル濃度で、0.007ml/sのゾル滴下率で製造したNi−P−ZrO2複合コーティングの機械的特性を示す。従来のNi−Pコーティングの590HV200及び従来のNi−P−ZrO2複合コーティングの759HV200と比較して、Ni−P−ZrO2複合コーティングの微小硬さは1045HV200に増加した。
実施例8−軟炭素鋼上のNi−TiO2複合コーティング
【0082】
電気めっき中、低く調節した率で、実施例1に記載のように調製したTiO2ゾルを従来のNi電気めっき液中に添加することにより、Ni−TiO2電気めっきコーティングを軟炭素鋼上に析出させた。12.5ml/Lの透明なTiO2ゾル溶液を、電気めっき液中に添加し、次いで、50mA/cm2の電流でNi−TiO2複合コーティングを炭素鋼上に形成させた。比較のため、Ni−TiO2コーティングを、10g/Lの固体TiO2ナノ粒子(直径<25nm)で調製した。
【0083】
図26は、(a)従来のNi−TiO2複合コーティング、及び(b)ゾル増強Ni−TiO2複合コーティングの表面二次電子形態を示す。(a)及び(b)中の挿入図は、局所的に拡大した後方散乱電子像である。従来のNi−TiO2コーティングは、非常に粗い不均一な表面を示した(図26a)。約4μmの大きさの大きな球状Niノジュールがはっきりと見られ、その上には図1a中の挿入図に示すように多くの超微粉Niノジュール(約300nm)が存在した。挿入図(BSE像)中矢印で指し示すように、TiO2ナノ粒子(約400nm)の大きなクラスターがNiノジュール中に組み込まれていた。対照的に、ゾル増強Ni−TiO2複合コーティングは、はるかに滑らかな表面を有していた(図26b)。Niノジュールの2つの形状、すなわち球状及び錐体様が表面上に示された。約1.5μmの大きさの錐体様Niノジュールは、球状Niノジュール中に比較的均一に分布していた。球状Niノジュールの大きさは非常に小さく、約200nmであることが、図1b中の挿入図からはっきり分かる。
【0084】
図27は、アニーリング温度の関数としての微小硬さの変動を示す:■−従来のNi−TiO2複合コーティング;●−ゾル増強Ni−TiO2複合コーティング。従来のコーティングの約280HV50と比較して、析出したゾル増強コーティングは約407HV50の高い微小硬さを有した。低温アニーリング(150℃まで)後の従来のコーティングの微小硬さは約280HV50であり、引き続いて、コーティングを400℃で90分間アニールすると約180HV50まで比較的定常的に減少した。対照的に、ゾル増強コーティングについては、高い微小硬さ(約407HV50)を250℃まで安定化させることができる。
【0085】
図28は、1×10-4s-1の歪み速度で試験した(A)従来の、及び(B)ゾル増強Ni−TiO2複合材料についての工学的応力−歪み曲線を示す。従来の複合材料の約600MPa及び約0.8%の歪みと比較して、ゾル増強複合材料は、有意に増加した約1050MPaの引張り強さと約1.4%の歪みを示す。
実施例9−Ni被覆真鍮上のAu−TiO2複合材料
【0086】
実施例1に記載のように調製した少量のTiO2ゾルを、従来の電気めっきAu液中に添加して、Au−TiO2複合コーティングの合成をもたらした。以下の表に要約するように、微小硬さ及び耐摩耗性が大幅に改善された。
【表2】
【0087】
図29は、(a)従来のAuコーティング、及び(b)ゾル増強Auコーティング上の摩耗痕を示す。10mA/cm2の電流密度で6.5分間、電気めっきを行った。摩耗痕の幅から摩耗体積損失を測定し計算した。ゾル増強Auコーティングの約1.43×10-3mm3と比較して、従来のAuコーティングの摩耗体積損失は約1.58×10-3mm3であることが分かった。
【0088】
図30は、(a)従来のAuコーティング、及び(b)ゾル増強Auコーティング上の摩耗痕を示す。50mA/cm2の電流密度で2.5分間、電気めっきを行った。ゾル増強Auコーティングの約0.82×10-3mm3と比較して、従来のAuコーティングの摩耗体積損失は約1.62×10-3mm3であると計算され、ゾル増強コーティングの耐摩耗性が有意に改善されることを示した。
実施例10−炭素鋼上のCu−ZrO2複合コーティング
【0089】
実施例7に記載のように調製したZrO2ゾルを、従来の電気めっきCu液中に添加して、Cu−ZrO2複合コーティングの合成をもたらした。10g/LのZrO2ナノ粒子(直径<25nm)濃度で、Cu及びCu−ZrO2(固体粒子混合)コーティングも調製した。以下の表は、Cu、従来の(固体粒子混合)、及びゾル増強Cu−ZrO2複合コーティングの、微小硬さ及び電気抵抗を列挙している。従来のCu−ZrO2コーティングの約133HV50と比較して、ゾル増強Cu−ZrO2複合コーティングは、有意に増加した約153HV50の微小硬さを有していた。
【表3】
【0090】
Al2O3ゾルを従来の電気めっきCu液中に添加することにより、Cu−Al2O3複合コーティングを調製した。前駆物質としてのトリ−sec−ブトキシド((C2H5CH(CH3)O)3Al)を使用して、Al2O3ゾルを合成した。少量の無水エタノールをビーカー中の97%Alトリ−sec−ブトキシド1.7017gに添加し、8.0630gの質量の増加を無水エタノールの重量として記録した。アルミニウムイソ−プロポキシドと水のモル比は、0.01:12.4であった。磁気撹拌下、脱イオン水158mLを、Alトリ−sec−ブトキシド及びエタノールの混合物中にゆっくり添加し、30%硝酸数滴を溶液中に添加して、pH値を3.5に調整した。この段階で、溶液は白色沈殿を含んでおり、全ての白色沈殿が溶解するまで60℃のホットプレート上でこれを撹拌した。最終的に、透明な酸化アルミニウムゾルを調製した。
【0091】
図31は、コーティングの微小硬さへのAl2O3ゾル濃度の影響を示す。Cuコーティングの約145HV50と比較して、ゾル増強Cu−Al2O3コーティングは、約181HV50の最大微小硬さを有し、約25%の改善を示す。
【0092】
前記は、実施形態及びその実施例を含む本発明を説明する。当業者に明白な修正及び変更は、添付の特許請求の範囲に定義されるその範囲に組み込まれることを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック相のゾルをめっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造する方法。
【請求項2】
めっき又はコーティングを行っている間に、セラミック相のナノ粒子が直接基板上に又は基板で形成するのに十分少量に調節されたゾルの添加率で、セラミック相をゾルとしてめっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法。
【請求項3】
めっき又はコーティングを行っている間に、金属−セラミックコーティングが主として結晶構造で基板上に形成するように調節されたゾル添加率で、セラミック相をゾルとしてめっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法。
【請求項4】
めっき又はコーティングを行っている間に、めっき液又は電解液中での、セラミック相のナノ粒子又は微小粒子の形成及び/又はセラミック相の粒子の凝集を実質的に避けるよう調節されたゾル添加率で、セラミック相をゾルとしてめっき液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法。
【請求項5】
前記ゾルを、前記めっき液又は電解液1L当たり約0.02ml未満の率で添加するステップを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項6】
前記ゾルを、約0.01ml/L未満の率で添加することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項7】
前記ゾルを、約0.07ml/L未満の率で添加することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項8】
前記ゾルを、約0.001〜約0.005ml/Lの範囲の率で添加することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項9】
前記ゾルを前記めっき液中に滴下することにより、前記ゾルを添加することを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項10】
前記ゾルを前記めっき液中に噴霧することにより、前記ゾルを添加することを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項11】
前記ゾルが透明である(前記セラミック相の粒子が前記ゾル中に見かけ上は存在しない)濃度を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項12】
めっき又はコーティングを行っている間に、調節された率で前記ゾルを添加するステップを含む、前記ゾルが前記ゾル1L当たり前記セラミック相20〜250gのゾル濃度を有する、請求項1から11のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項13】
めっき又はコーティングを行っている間に、調節された率で前記ゾルを添加することを含み、前記ゾルが前記ゾル1L当たり前記セラミック相25〜150gのゾル濃度を有する、請求項1から11のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項14】
前記めっき液1L当たりゾル30〜250mlの率で前記ゾルを添加することを含む、請求項12又は請求項13のいずれかに記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項15】
前記めっき液1L当たりゾル100〜150mlの率で前記ゾルを添加することを含む、請求項12又は請求項13のいずれかに記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項16】
前記めっき液1L当たりゾル0.5〜100mlの率の前記ゾルを添加することを含む、請求項12から15のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項17】
前記めっき液1L当たりゾル1.25〜25mlの率の前記ゾルを添加することを含む、請求項12から15のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項18】
前記めっき又はコーティング工程の間ずっと、前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項19】
前記めっき工程の期間全体未満であるが前記めっき工程の期間の少なくとも80%の間、前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項20】
前記めっき工程の期間全体未満であるが前記めっき工程の期間の少なくとも70%の間、前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項21】
前記めっき工程の期間全体未満であるが前記めっき工程の期間の少なくとも60%の間、前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項22】
前記めっき工程の期間全体未満であるが前記めっき工程の期間の少なくとも50%の間、前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項23】
めっき又はコーティングの開始前に一定量の前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から22のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項24】
前記セラミック相が、Ti、W、Si、Zr、Al、Y、Cr、Fe、Pb、Co若しくは希土類元素の単一又は混合酸化物、炭化物、窒化物、ケイ酸塩、ホウ化物である、請求項1から23のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項25】
前記セラミック相が、TiO2、AlO2、ZrO2、又はSiCを含む、請求項1から23のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項26】
前記セラミック相以外の前記コーティングが、Ni、Ni−P、Ni−W−P、Ni−Cu−P、Ni−B、Cu、Ag、Au、Pdを含む、請求項1から25のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項27】
前記セラミック相以外の前記コーティングが、Ni、Ni−P、又はNi−Bを含む、請求項1から25のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項28】
前記基板が、金属基板である、請求項1から27のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項29】
前記基板が、鋼、Mg、Al、Zn、Sn、Cu、Ti、Ni、Co、Mo、Pb、又はこれらの合金を含む、請求項1から27のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項30】
前記基板が、軟鋼、合金鋼、又は炭素鋼を含む、請求項1から27のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項31】
前記基板が、Mg、若しくはAl、又はこれらの合金を含む、請求項1から27のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項32】
前記基板が、非金属基板である、請求項1から31のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項33】
前記基板が、プラスチック基板である、請求項1から31のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項34】
前記基板が、セラミック基板である、請求項1から31のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項35】
前記セラミック相の分子が、前記ゾル中に網目構造で存在する、請求項1から34のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項36】
無電解めっき又はコーティング工程である、請求項1から35のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項37】
前記溶液が、還元剤として、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ホルムアルデヒド、デキストロース、ロッシェル塩、グリオキサール、又は硫酸ヒドラジンを含む、請求項36に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項38】
ガルバニックめっき工程である、請求項1から35のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項39】
前記めっき電流が、10mA/cm2〜300mA/cm2の範囲にある、請求項38に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項40】
前記めっき電流が、20mA/cm2〜100mA/cm2の範囲にある、請求項38に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項41】
請求項1から40のいずれか1項に記載の工程によりめっき又はコーティングした物品又は表面。
【請求項42】
前記基板が炭素鋼であり、前記めっき又はコーティングした基板が非常に低い光反射率を有する、請求項41に記載の物品。
【請求項43】
前記めっき又はコーティングした基板が導電性である、請求項41に記載の物品。
【請求項1】
セラミック相のゾルをめっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造する方法。
【請求項2】
めっき又はコーティングを行っている間に、セラミック相のナノ粒子が直接基板上に又は基板で形成するのに十分少量に調節されたゾルの添加率で、セラミック相をゾルとしてめっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法。
【請求項3】
めっき又はコーティングを行っている間に、金属−セラミックコーティングが主として結晶構造で基板上に形成するように調節されたゾル添加率で、セラミック相をゾルとしてめっき液又は電解液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法。
【請求項4】
めっき又はコーティングを行っている間に、めっき液又は電解液中での、セラミック相のナノ粒子又は微小粒子の形成及び/又はセラミック相の粒子の凝集を実質的に避けるよう調節されたゾル添加率で、セラミック相をゾルとしてめっき液に添加することを含む、基板上に金属−セラミック複合コーティングを製造するめっき又はコーティング方法。
【請求項5】
前記ゾルを、前記めっき液又は電解液1L当たり約0.02ml未満の率で添加するステップを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項6】
前記ゾルを、約0.01ml/L未満の率で添加することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項7】
前記ゾルを、約0.07ml/L未満の率で添加することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項8】
前記ゾルを、約0.001〜約0.005ml/Lの範囲の率で添加することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項9】
前記ゾルを前記めっき液中に滴下することにより、前記ゾルを添加することを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項10】
前記ゾルを前記めっき液中に噴霧することにより、前記ゾルを添加することを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項11】
前記ゾルが透明である(前記セラミック相の粒子が前記ゾル中に見かけ上は存在しない)濃度を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項12】
めっき又はコーティングを行っている間に、調節された率で前記ゾルを添加するステップを含む、前記ゾルが前記ゾル1L当たり前記セラミック相20〜250gのゾル濃度を有する、請求項1から11のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項13】
めっき又はコーティングを行っている間に、調節された率で前記ゾルを添加することを含み、前記ゾルが前記ゾル1L当たり前記セラミック相25〜150gのゾル濃度を有する、請求項1から11のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項14】
前記めっき液1L当たりゾル30〜250mlの率で前記ゾルを添加することを含む、請求項12又は請求項13のいずれかに記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項15】
前記めっき液1L当たりゾル100〜150mlの率で前記ゾルを添加することを含む、請求項12又は請求項13のいずれかに記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項16】
前記めっき液1L当たりゾル0.5〜100mlの率の前記ゾルを添加することを含む、請求項12から15のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項17】
前記めっき液1L当たりゾル1.25〜25mlの率の前記ゾルを添加することを含む、請求項12から15のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項18】
前記めっき又はコーティング工程の間ずっと、前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項19】
前記めっき工程の期間全体未満であるが前記めっき工程の期間の少なくとも80%の間、前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項20】
前記めっき工程の期間全体未満であるが前記めっき工程の期間の少なくとも70%の間、前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項21】
前記めっき工程の期間全体未満であるが前記めっき工程の期間の少なくとも60%の間、前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項22】
前記めっき工程の期間全体未満であるが前記めっき工程の期間の少なくとも50%の間、前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項23】
めっき又はコーティングの開始前に一定量の前記ゾルを前記溶液又は電解液に添加することを含む、請求項1から22のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項24】
前記セラミック相が、Ti、W、Si、Zr、Al、Y、Cr、Fe、Pb、Co若しくは希土類元素の単一又は混合酸化物、炭化物、窒化物、ケイ酸塩、ホウ化物である、請求項1から23のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項25】
前記セラミック相が、TiO2、AlO2、ZrO2、又はSiCを含む、請求項1から23のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項26】
前記セラミック相以外の前記コーティングが、Ni、Ni−P、Ni−W−P、Ni−Cu−P、Ni−B、Cu、Ag、Au、Pdを含む、請求項1から25のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項27】
前記セラミック相以外の前記コーティングが、Ni、Ni−P、又はNi−Bを含む、請求項1から25のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項28】
前記基板が、金属基板である、請求項1から27のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項29】
前記基板が、鋼、Mg、Al、Zn、Sn、Cu、Ti、Ni、Co、Mo、Pb、又はこれらの合金を含む、請求項1から27のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項30】
前記基板が、軟鋼、合金鋼、又は炭素鋼を含む、請求項1から27のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項31】
前記基板が、Mg、若しくはAl、又はこれらの合金を含む、請求項1から27のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項32】
前記基板が、非金属基板である、請求項1から31のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項33】
前記基板が、プラスチック基板である、請求項1から31のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項34】
前記基板が、セラミック基板である、請求項1から31のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項35】
前記セラミック相の分子が、前記ゾル中に網目構造で存在する、請求項1から34のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項36】
無電解めっき又はコーティング工程である、請求項1から35のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項37】
前記溶液が、還元剤として、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ホルムアルデヒド、デキストロース、ロッシェル塩、グリオキサール、又は硫酸ヒドラジンを含む、請求項36に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項38】
ガルバニックめっき工程である、請求項1から35のいずれか1項に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項39】
前記めっき電流が、10mA/cm2〜300mA/cm2の範囲にある、請求項38に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項40】
前記めっき電流が、20mA/cm2〜100mA/cm2の範囲にある、請求項38に記載のめっき又はコーティング方法。
【請求項41】
請求項1から40のいずれか1項に記載の工程によりめっき又はコーティングした物品又は表面。
【請求項42】
前記基板が炭素鋼であり、前記めっき又はコーティングした基板が非常に低い光反射率を有する、請求項41に記載の物品。
【請求項43】
前記めっき又はコーティングした基板が導電性である、請求項41に記載の物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図10f】
【図10g】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図11f】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図18】
【図19】
【図20a】
【図20b】
【図20c】
【図20d】
【図21】
【図22】
【図23a】
【図23b】
【図23c】
【図24】
【図25】
【図26a】
【図26b】
【図27】
【図28】
【図29a】
【図29b】
【図30a】
【図30b】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図10f】
【図10g】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図11f】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図18】
【図19】
【図20a】
【図20b】
【図20c】
【図20d】
【図21】
【図22】
【図23a】
【図23b】
【図23c】
【図24】
【図25】
【図26a】
【図26b】
【図27】
【図28】
【図29a】
【図29b】
【図30a】
【図30b】
【図31】
【公表番号】特表2012−532253(P2012−532253A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518500(P2012−518500)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/NZ2010/000128
【国際公開番号】WO2011/002311
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(508037005)オークランド ユニサービシズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/NZ2010/000128
【国際公開番号】WO2011/002311
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(508037005)オークランド ユニサービシズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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