説明

基板処理装置及び基板処理方法

【課題】チャンバーの内部の温度変化を最少化する基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の基板処理装置は、基板を搬入する搬入口が形成されたチャンバーと、前記チャンバー内に設置され、搬入された前記基板が位置する支持部材と、前記支持部材との間で熱伝導可能に設置される温度調節部材と、を含む。前記チャンバーには、前記支持部材よりも低い位置にある下部空間に気体を流入させる流入口と、前記支持部材よりも高い位置にある上部空間の気体を排気させる流出口と、が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する装置及び方法に関し、より詳細には、基板に対してベーク工程を遂行する基板処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子又は液晶ディスプレイを製造するために、フォトリソグラフィー、蝕刻、イオン注入蒸着、洗浄等の多様な工程が遂行される。このような工程の中で、フォトリソグラフィー工程では基板上に所望のパターンを形成させる。
【0003】
フォトリソグラフィー工程では、基板上にフォトレジストのような薬液を塗布する塗布工程、塗布された感光膜の上に特定パターンを形成する露光工程、及び露光された感光膜に不必要な領域を除去する現像工程が順次的に行われる。
【0004】
その中で、塗布洗浄工程においては、基板上に薬液を塗布した後にその薬液を乾燥させる。薬液を乾燥させる工程では、外部から密閉されたチャンバー内で基板を加熱し、基板から発生されるヒューム(Fume)と空気を出口から排気する。
【0005】
このとき、排出されるヒュームと空気の量と同程度の量の空気が、チャンバーの外部から異物と共にチャンバー内部に流入する。流入した外部空気はその温度が内部空気よりも低く、そのため、工程進行の際にチャンバー内の温度が設定温度よりも低くなる場合がある。また、チャンバーは密閉された内部構造を有するので、基板を位置させる支持部材の下部領域に空気が停滞し、この停滞した空気が支持部材を設定温度以上に加熱させ、支持部材が熱変形を生じることや異物が発生することで、工程不良を生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許公開第10−2003−347198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ベーク工程中でのチャンバー内部の温度変化を最少化する基板処理装置及び基板処理方法を提供することを課題とする。
【0008】
また、チャンバー内部に外部から異物が流入することを防止する基板処理装置及び基板処理方法を提供することを課題とする。
【0009】
また、支持部材が熱変形することを最少化する基板処理装置及び基板処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の基板処理装置は、基板が搬入される搬入口が形成されたチャンバーと、前記チャンバーの内部に設置され、搬入された前記基板を位置させる支持部材と、前記支持部材と熱伝導可能に設置される温度調節部材と、を含み、前記チャンバーには、前記支持部材より低い位置にあ下部空間に気体を流入させる流入口と、前記支持部材より高い位置にある上部空間の気体を排気させる流出口と、が形成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の基板処理方法は、チャンバーの内部で支持部材に配置された基板を加熱部材によって加熱するベーク工程を遂行し、前記チャンバーの外部から流入した気体が、前記支持部材の下にある下部空間で前記加熱部材によって加熱された後に、前記支持部材の上にある上部空間に移動し、その後に前記チャンバーの外に排気されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ベーク工程中でのチャンバー内部の温度変化を最少化することができる。
【0013】
また、本発明によると、チャンバー内部に外部の異物質が流入することを防止することができる。
【0014】
また、本発明によると、支持部材の熱変形を最少化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態による基板処理装置の断面図である。
【図2】同上の基板処理装置を上方から視た断面図である。
【図3】ベーク工程が遂行される間のチャンバー内の気体の流れを示す図面である。
【図4】第2実施形態による基板処理装置の断面図である。
【図5】第3実施形態による基板処理装置を上方から視た断面図である。
【図6】第4実施形態による基板処理装置を上方から視た断面図である。
【図7】第5実施形態による基板処理装置の断面図である。
【図8】同上の基板処理装置を上方から視た断面図である。
【図9】第6実施形態による基板処理装置を上方から視た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、添付図面の図1乃至図9を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態は様々な形態に変形可能であり、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されない。本実施形態は、当業者に詳細に説明するためのものであり、図面では本発明を概略的に示している。
【0017】
図1は本発明の実施形態による基板処理装置を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の基板処理装置はチャンバー10、ドア20、支持部材30、温度調節部材40、及び区画部材50を含む。
【0019】
チャンバー10は基板処理装置の外観を形成する。また、チャンバー10は基板が処理される内部空間が形成されるように設けられる。
【0020】
チャンバー10の一面には基板が搬入される搬入口103が形成され、搬入口103にはドア20が設けられる。ドア20は搬入口103を開閉する。ドア20が開けられて搬入口103が開放されると、基板がチャンバー10の内部空間に搬入される。基板が搬入された後、チャンバー10の内部空間で基板が処理される間は、ドア20が搬入口103を遮蔽する。
【0021】
チャンバー10又はドア20には、ドア20が搬入口103を遮蔽した状態のときにドア20又はチャンバー10と対向する面に、シーリング部材21が設置される。シーリング部材21は、ドア20が搬入口103を遮蔽した状態で、外部気体が搬入口103に流入することを遮断する。したがって、シーリング部材21が設置されることで、ベーク工程が遂行される間の搬入口103の遮蔽性が向上し、チャンバー10内部に低温の気体や異物が流入することが防止される。
【0022】
チャンバー10の内部空間には支持部材30、リフトピン(図示せず)、温度調節部材40、及び区画部材50が設置される。
【0023】
リフトピンは支持部材30に形成されたホール(図示せず)に位置する。チャンバー10内部に搬入された基板は支持部材30の上に上昇したリフトピンに置かれる。リフトピンに基板が置かれると、リフトピンが支持部材30の下に移動することで、基板は支持部材30に配置される。
【0024】
温度調節部材40は、支持部材30又は基板との間で熱伝導可能に設置される。加熱部材40は支持部材30の内に設けられるか、或いは支持部材30の下面に接するように設けられる。基板処理装置は基板を加熱するベーク工程又は冷却工程を遂行する。以下、温度調節部材40が加熱部材であり、基板処理装置がベーク工程を遂行する場合を例に挙げて説明する。ベーク工程は、基板上への感光液の塗布前後に遂行することができる。また、現像工程の前後に遂行することもできる。
【0025】
また、本発明の実施形態による基板処理装置は、ベーク工程を遂行する装置以外にも蒸着、蝕刻、ガス供給工程を遂行する装置にも適用され得る。
【0026】
加熱部材40が動作して熱が発生すれば、熱は支持部材30に伝導され、支持部材30に配置された基板を加熱する。
【0027】
支持部材30は、チャンバー10の下面から離隔して固定される。したがって、チャンバー10の内部には、支持部材30よりも高い位置に設けられる上部空間100と、支持部材30よりも低い位置に設けられる下部空間101とが形成される。また、支持部材30は、チャンバー10の内壁から離隔して設けられる。したがって、上部空間100と下部空間101とは連通される。
【0028】
チャンバー10には、下部空間101に連結する流入口110と、上部空間100に連結する流出口120とが形成される。流入口110に連結する配管には、フィルター111が設置される。また、流出口120に連結される配管は、チャンバー10内部の気体を強制に排気するための排気部材121に連結される。
【0029】
区画部材50は、第1区画部材51と第2区画部材52とを含む。区画部材50は、支持部材30とチャンバー10の内壁との間に設けられ、上部空間100と下部空間101との間での気体の流動を遮断する。第1区画部材51は、第1区画部材51の下面と支持部材30の上面とが一部接するように設けられる。また、第2区画部材52は、第2区画部材52の上面と支持部材30の下面とが一部接するように設けられる。これにより、支持部材30の側面31は区画部材50と接しないように設けられる。ベーク工程が遂行される間、区画部材50は、熱膨張した支持部材30の側面がチャンバー10の内面に向けて移動することを妨げない。そのため、ベーク工程が遂行される間に、支持部材30が熱膨張によって変形することが防止される。
【0030】
図2は上方から視た基板処理装置の断面図である。
【0031】
図1及び図2に示すように、区画部材50は、開放部102を形成するように設けられる。開放部102は、上部空間100と下部空間101とを連通させる。上方から視たとき、支持部材30は長方形状を成すように設けられ、区画部材50は、支持部材30の外側にてコ字状を成すように設けられる。開放部102は、流入口110が形成されたチャンバー10の側面と対向する側面に隣接して形成される。上部空間100と下部空間101の気体は、区画部材50が位置する領域では流動が遮断され、開放部102が位置する領域では流動可能である。
【0032】
図3はベーク工程が遂行される間のチャンバー10内部での気体の流れを示した図面である。
【0033】
図3に示すように、フィルター111で異物が濾過された気体は、流入口110に流れ込んで下部空間101内を流動する。このとき、流入口110に流入させる気体としては、不活性気体である窒素、空気等を選択することができる。加熱部材40が動作して発生した熱は、支持部材30の下面に伝導される。したがって、下部空間101を流動する気体は、加熱部材40で発生した熱によって加熱される。加熱されて膨張された気体は、開放部102を通じて上部空間100に移動する。
【0034】
また、ベーク工程が遂行される間に排気部材121が動作し、流出口120に吸入圧力を与えることで、チャンバー10内部の気体が強制に排気される。即ち、上部空間100の気体と基板で蒸発されたヒュームは、流出口120を通じてチャンバー10の外に強制排気される。上部空間100の気体とヒュームが排気されると、上部空間100の圧力は、加熱された気体がある下部空間101の圧力よりも低くなる。この圧力差によって、下部空間101の気体は上部空間100に流動する。
【0035】
また、流入口110に流入した気体は、流入口110が形成されたチャンバー10の側面とは反対の部分に形成された開放部102に向けて流動し、その間に加熱される。気体は流動しながら加熱されるので、熱伝達効率が向上する。そして、気体の流動距離が長く形成されるので、気体の吸収する熱量が増加する。これにより、下部空間101から上部空間100に流動する気体と、上部空間100の気体との間での温度差が小さくなる。そのため、ベーク工程が遂行される間に、上部空間100の温度は一定に維持されやすくなる。
【0036】
そして、支持部材30は上面と下面の全てが気体との間で熱交換を行う。即ち、支持部材30の下面も下部空間101の気体との間で熱交換を行うので、支持部材30の上面との温度差が大きく発生しない。これにより、支持部材30の下面で熱膨張が大きく発生して、支持部材30に変形が発生することが防止される。
【0037】
図4は第2実施形態による基板処理装置の断面を示す図面である。
【0038】
図4に示すように、加熱部材40は第1加熱部材41と第2加熱部材42を含む。
【0039】
第2加熱部材42は第1加熱部材41より下に位置する。したがって、加熱部材40が支持部材30の内に位置するとき、第2加熱部材42は第1加熱部材41よりも下部空間101の近くに配される。
【0040】
第1加熱部材41と第2加熱部材42は、各々が温度制御自在である。したがって、支持部材30に位置する基板を設定温度に加熱しながら、下部空間101で加熱された後に上部空間100に流動する気体と上部空間100の気体との温度差を最小化するように、第1加熱部材41と第2加熱部材42の温度を制御することができる。
【0041】
図5は第3実施形態による基板処理装置を上部から見た断面図である。
【0042】
図5に示すように、開放部102は支持部材30とチャンバー10の内壁との間に複数形成される。そのうちで第1開放部103は、流入口110が形成されたチャンバー10の側面と対向する側面に隣接して形成される。そして、第2開放部104と第3開放部105は、流入口110が形成されたチャンバー10の側面と接する他の側面に隣接して形成される。第2開放部104と第3開放部105は、流入口110が形成されたチャンバー10の側面よりも、第1開放部103が形成されるチャンバー10の側面の方に近く位置する。したがって、流入口110に流入した気体は流動距離が長く設けられ、加熱部材で加熱された後に上部空間100に流動する。
【0043】
開放部102が複数に設けられると、流入口110に流入される気体の量と、流出口120に排気される気体の量が増加する。したがって、気体に含まれて排気されるヒュームの量も増加し、チャンバー10内部のヒュームによって発生する基板不良が防止される。
【0044】
図6は第4実施形態による基板処理装置を上方から視た断面図である。
【0045】
図6に示すように、遮断部材50はロ字状に設けられる。そして、遮断部材50にはホール501が形成される。
【0046】
図7は第5実施形態による基板処理装置を示す断面図であり、図8は上方から視た断面図である。
【0047】
図7及び図8に示すように、流入口110はチャンバー10の下面に形成され、流出口120は、チャンバー10の上面に形成される。そして、開放部102はチャンバー10の側面の全てに形成される。区画部材50が支持部材30とチャンバー10の内壁との間に設けられない構造とすることも可能である。これにより、流入口110に流入する気体と流出口120から排気される気体の量が増加し、気体に含まれて排気されるヒュームの量が増加する。
【0048】
図9は第6実施形態による基板処理装置を上方から視た図面である。
【0049】
図9に示すように、支持部材30は円形状に設けられる。
【0050】
本発明による基板は、例えば、ガラス基板や平板表示パネルに使用される基板である。ガラス基板の処理に使用される場合、支持部材30は、円形又は四角形に選択的に設けられる。また、区画部材50又はチャンバー10も、円形又は四角形に選択的に設けられる。
【0051】
以上の詳細な説明は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明は多様な他の組合、変更及び環境で使用することができる。即ち、本明細書に開示した発明の概念の範囲、前述した開示内容と均等な範囲、当業界の技術や知識の範囲内で、変更又は修正が可能である。したがって、以上の詳細な説明は、開示した実施形態で本発明を制限するものではない。また、特許請求の範囲は、他の実施状態も含むように解釈されるべきものである。
【符号の説明】
【0052】
10 チャンバー
20 ドア
30 支持部材
40 温度調節部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が搬入される搬入口が形成されたチャンバーと、
前記チャンバーの内部に設置され、搬入された前記基板を位置させる支持部材と、
前記支持部材と熱伝導可能に設置される温度調節部材と、を含み、
前記チャンバーには前記支持部材よりも低い位置にある下部空間に気体を流入させる流入口と、前記支持部材よりも高い位置にある上部空間の気体を排気させる流出口とが形成されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記支持部材は前記チャンバーの内壁から離隔して設けられ、
前記支持部材と前記チャンバーの内壁との間には、一部分に開放部が形成されるように区画部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記流入口は前記チャンバーの側面に形成され、
前記開放部は前記流入口が形成された前記チャンバーの側面とは反対側の箇所に形成されることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記支持部材は上方から視たとき、長方形状となるように設けられることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記区画部材は上方から視たとき、コ字状となるように設けられることを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板処理装置は、前記搬入口を開閉するドアをさらに含み、
前記ドアの前記チャンバーと対向する面、又は前記チャンバーの前記ドアと対向する面に、シーリング部材が設置されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記温度調節部材は、前記支持部材の内部に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記温度調節部材は、加熱部材であることを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記加熱部材は、第1加熱部材と、前記第1加熱部材よりも下に位置する第2加熱部材とを包含することを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記流出口は、前記チャンバー内部の気体を強制的に排気させる排気部材に連結されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
チャンバーの内部で支持部材に配置された基板を、加熱部材によって加熱するベーク工程を遂行し、前記チャンバーの外部から流入した気体が、前記支持部材の下にある下部空間で前記加熱部材によって加熱された後に、前記支持部材の上にある上部空間に移動し、その後に前記チャンバーの外に排気されることを特徴とする基板処理方法。
【請求項12】
前記気体は、前記チャンバーの側面に形成された流入口を通じて流れ込み、前記流入口が形成された前記チャンバーの側面とは反対側の箇所に形成された開放部を通じて、前記下部空間から前記上部空間に流動することを特徴とする請求項11に記載の基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−98570(P2013−98570A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−240367(P2012−240367)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【出願人】(500376449)セメス株式会社 (61)
【氏名又は名称原語表記】SEMES CO., Ltd
【住所又は居所原語表記】278, Mosi−ri, Jiksan−eup, Seobuk−gu, Cheonan−si, Chungcheongnam−do 330−290, Republic of Korea
【Fターム(参考)】