説明

基板検査装置

【課題】試験中に作業者が誤って天板を開けてしまい、基板を傷めてしまう危険性のない基板検査装置を提供する。
【解決手段】ピンボード3とプローブピンが下降しており、天板2が係止機構6に掛かっている状態から、レバー4を操作してピンボード3とロックピン7を上昇させる。すると、ロックピン7が装置本体1の上面から大きく突出し、天板2のストッパ5と係合し、天板2を上方へ回動させようとすると、ストッパ5の隅角部がロックピン7にあたり、上方へは回動できない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機器や家電製品等に用いられる基板(いわゆるFTC基板)の機能検査や動作確認を行うために用いる基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業機器や家電製品等に使用される基板を製品に組み込む前に機能検査や動作確認を行う場合、一般には、検査対象となる被検査基板の各種テストポイントに通電検査用のプローブピンを押し当て、プローブピンから通電して検査する方法が用いられる。
【0003】
このような基板検査装置は、側面に昇降レバーが付いた装置本体を有し、装置本体の上面に天板を備え、天板の下方には、所定の配列パターンに従って複数のプローブピンを設けたピンボードを配置しており、昇降レバーの操作によりピンボードが待機位置と検査位置の間で上下に昇降するようになっている。下方の待機位置にあるピンボードを検査位置まで上昇させると、プローブピンの先端が天板で保持した検査対象の基板のテストポイントに当接する。そこで、装置本体が備える電源や外部電源から通電すると、各プローブピンに対して通電がなされ、基板の通電検査が行われる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−72527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこのような構造の基板検査装置では、試験中に作業者が誤って天板を開けてしまい、基板を傷めてしまう危険性があった。
【0006】
本発明は、このような事故を防止するために、試験中に天板が開かないようにするための、基板検査装置の天板開閉のロック機構と、これを用いた基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板検査装置のうち請求項1に係るものは、装置本体下部に位置し、プローブピンを備え、検査対象とする基板をセットした状態でレバー等の操作体で上下動させ得るピンボードと、前記装置本体上部に位置し、樹脂製等のピンで前記ピンボード上の前記基板を押さえることで前記プローブピンを前記基板に接触させるために上下方向に回動開閉可能な天板からなり、前記プローブピンを介して通電して前記基板の動作試験行う基板検査装置であって、前記装置本体上面に前記天板の係止機構を備える基板検査装置において、前記ピンボードとともに上昇して前記装置本体上面に突出し、前記天板の一部と係合可能なロック機構を有することを特徴とする。
【0008】
同請求項2に係るものは、請求項1の基板検査装置において、ロック機構は、前記天板の隅部の形成した上方向に伸びる曲げ部に出入可能なピンを含むことを特徴とする。
【0009】
同請求項3に係るものは、請求項2の基板検査装置において、前記天板を前記装置本体の先方側へ引いて前記ロック機構から前記天板の隅部を外すことを特徴とする基板検査装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、天板を開くために、大きく分けて2つの手順を踏まなければならず、天板が閉まっている状態で単純に天板を持ち上げても天板を開くことができず、装置本体の手前側に引いて、それから持ち上げることで天板を開けるようにしたので、前述のような誤操作をなくせるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に関して、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明の実施例に係る基板検査装置の外観を示す斜視図で、天板を閉じた状態の図(A)と天板を開けた状態の図(B)である。
【0013】
図中1が装置本体、2が天板、3がピンボードである。ピンボード3は、通常は装置本体1の下部に位置し、プローブピン(後出)を備え、検査対象とする基板(後出)をセットした状態で操作体(図示の例ではレバー4)で上下動させ得る。天板2は、装置本体1の上部に上下方向で回動可能に軸支してあり、樹脂製等のピン2bでピンボード3上の基板を押さえ、そのことでプローブピンを基板に接触させ得るようになっている。なお、ピンとプローブピンによる基板検査の構造については周知であるので図示及び詳細な説明は省略する。
【0014】
図2は、図1の装置の要部の拡大断面図であり、図2(A)は天板2が開いていてピンボード3とともに図示しないプローブピンが下降しており、また天板2のストッパ5の係止部5aが装置本体1の上面に設けた係止機構6(図示の例では丸棒材)から離脱しており、天板2は自由に上昇させてピンボード3上を開放できる状態である。ピンボード3はともに昇降動するロックピン7を備えており、図2(A)の状態では若干装置本体1の上面に突出するだけで、天板2の係止とは無関係の状態となっている。
【0015】
一方図2(B)は、天板2を降ろし、ピンボード3が上昇し、それに伴ってプローブピンも上昇し、ピンとプローブピントで基板3をはさみ、プローブピンを介して基板に通電し、基板の動作試験行えるようになっている状態を示す。
【0016】
このとき、ロックピン7は装置本体1の上面から比較的大きく突出し、天板2のストッパ5と係合している。具体的には、天板2のストッパ5は隅角部が90度に折り曲げてあり、図2(B)の状態では装置本体1の後側(図中右側)に位置し、天板2を上方へ回動させようとすると、ストッパ5の隅角部がロックピン7にあたり、上方へは回動できないようになっている。なお天板2は、図2(B)の状態から若干装置本体1の前側へ移動可能となっている。
【0017】
なお図3(A)は、天板2が開いており、ピンボード3が下降している状態を示す斜視図である。また図3(B)は、天板2は開いたままであるが、レバー4の操作によりピンボード3が上昇している状態を示す斜視図である。そして、図3(A)の状態の一部を拡大して図4(A)に示す。図2(A)と同様にロックピン7は装置本体1の上面からはほとんど突出していない。一方、図3(B)の状態の一部を拡大して示す図4(B)では、ロックピン7は装置本体1の上面から大きく突出している。
【0018】
例えば、図4(A)の状態で天板2を降ろしても、天板2のストッパ5はロックピン7とは重ならない(図5(A))が、図4(B)の状態で天板2を降ろすと、天板2のストッパ5はロックピン7とはしっかりと重なる(図5(B))。
【0019】
このような状態から天板2を開く手順を、図6に示す。本手順は、大別して2つある。すなわち、図6(A)の状態では、天板2が閉まっているので、まず図6(B)のように天板2に設けてある取手2aを装置本体1の前側、すなわち操作者の手前側に引いて、天板2のストッパ5を係止機構6から外す。図示の例では、天板2のストッパ5の係止部5aを係止機構6をなす丸棒材から外す。すると、天板2のストッパ5がロックピン7の頂部を乗り越えるので、その状態で天板2の取手2aを上方へ持ち上げ、天板2を回動させる。すると、図6(C)に示すように天板2が持ち上げ得るようになり、取手2aを上に持ち上げれば天板2を開くことができる。これにより、基板の試験中に作業者が誤って天板2を開けてしまい、基板を傷めてしまう危険性がなくなる。
【0020】
すなわち、ロックピン7と天板2のストッパ5が重なっていると、取手2aを装置本体1の手前に引くだけでは天板2のロックを外すことができなくなり、天板2の誤操作による開きを防止できる。
【0021】
なお図7に示すように、この機構が天板2を閉めるときにも作用することは当然である。すなわちピンボード3が上昇している状態で天板2を閉めようとすると、ストッパ5がロックピン7にぶつかり、天板2がそれ以上下りなくなるため、基板やピンボード3上のプローブピンを傷めたりすることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例に係る基板検査装置の外観を示す斜視図
【図2】図1の装置の要部の拡大断面図
【図3】天板が開いており、ピンボードが下降している状態を示す斜視図(A)、天板は開いたままで、レバーの操作によりピンボードが上昇している状態を示す斜視図(B)
【図4】図3(A)の状態の一部を拡大して示す図(A)、図3(B)の状態の一部を拡大して示す図(B)
【図5】図4(A)の状態で天板を降ろしても、天板のストッパがロックピンと重ならない状態の図((A))、図4(B)の状態で天板を降ろすと、天板のストッパがロックピンと重なる状態の図(B)
【図6】天板2を開く手順を示す図
【図7】天板を閉めるときにも本実施例が作用すること示すよう図
【符号の説明】
【0023】
1:装置本体
2:天板
2a:取手
2b:ピン
3:ピンボード
4:レバー
5:ストッパ
5a:係止部
6:係止機構
7:ロックピン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体下部に位置し、プローブピンを備え、検査対象とする基板をセットした状態でレバー等の操作体で上下動させ得るピンボードと、前記装置本体上部に位置し、上下方向に回動開閉可能で下方回動時に樹脂製等のピンで前記ピンボード上の前記基板を押さえて前記プローブピンを前記基板に接触させる天板からなり、前記プローブピンを介して通電して前記基板の動作試験行う基板検査装置であって、
前記装置本体上面に前記天板の係止機構を備える基板検査装置において、
前記ピンボードとともに上昇して前記装置本体上面に突出し、前記天板の一部と係合可能なロック機構を有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
請求項1の基板検査装置において、ロック機構は、前記天板の隅部の形成した上方向に伸びる曲げ部に出入可能なピンを含むことを特徴とする基板検査装置。
【請求項3】
請求項2の基板検査装置において、前記天板を前記装置本体の先方側へ引いて前記ロック機構から前記天板の隅部を外すことを特徴とする基板検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−224379(P2008−224379A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62114(P2007−62114)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(392032443)株式会社アドテックス (10)
【Fターム(参考)】