説明

基準スケールとその製造方法、及び、加工装置

【課題】正確な位置の判別を可能にする基準スケールを提供する。
【解決手段】基準スケール10は、基準穴11aが所定の間隔で形成されている熱耐性の強い基板11と、基板11の各穴11aに充填され基板11と異なるX線の透過性を有する基材部12と、基材部12の一面に所定の精度の良い間隔で配置され基材部12と異なるX線の透過性を有し相対的に薄く形成された金属層13とを備えて構成される。この構成により、基準スケール10を撮影したX線画像の金属層13に対応する位置の精度は従来より高くなり、正確な位置の判別を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線あけ装置等の加工装置で、加工位置の判別・特定等のために使用される基準スケールとその製造方法、及び、該基準スケールを用いた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線穴あけ装置で、プリント基板等、穴あけ対象物の穴あけ位置を簡単な構成で且つ精度よく特定できるように、所定の間隔で基準穴が明けられている構造の基準スケールを用いることが行われている(例えば、特許文献1)。
【0003】
具体的には、この穴あけ装置は、基準スケールにX線を照射し、X線カメラにより基準スケールを撮影した画像を取得し、取得した画像に含まれる基準スケールの基準穴の位置を基準にして、穴あけ対象物の穴あけ位置を求める処理を行っている。
【特許文献1】特開平9−85693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基準スケールは、ある程度の強度が必要であり、一定の厚さをもって形成される。一方、X線源から照射されるX線は平行光ではなく所定の角度を持って放射されているので基準スケールを垂直方向に通過するとは限らず、斜め方向に通過することがある。基準スケールが比較的大きな厚みを有している場合、X線が斜め方向に通過すると、基準スケールに明けられた基準穴の入射側エッジと出射側エッジとが同時に撮影されてしまい、基準穴の外周部が不明瞭になる。そのため正確な基準穴の外周部の位置の判別が困難となり、基準穴の中心座標を検出する精度が低下してしまう。
スケールの厚みを薄くすれば、両エッジが略重なり、基準穴の外周部が鮮明に撮影されるのでこの問題は解決できる。しかし基準穴の外周部を十分鮮明に撮影するためには、基準穴の周辺部の厚さを十分薄く、例えば10〜100μm程度にする必要がある。しかしそのような加工は極めて困難である。
さらに、基準スケールは、温度変化に伴って伸縮してしまい、温度に依存しない正確な位置合わせが困難である。そのため、従来の基準スケールの基準穴の位置を基準にした場合、穴あけ対象物の穴あけ位置を特定する精度を向上させようとしても限界があった。
【0005】
これらの問題は、穴あけ機に限らず、一定の厚みを有する基準スケールのX線画像を用いて位置合わせを行う装置、及び基準スケール一般に広く存在する。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたもので、正確な基準穴の位置の判別を可能にする基準スケール及びその製造方法、及び穴あけ対象物に穴を明ける位置を正確に判別可能な加工装置を提供することを目的にする。
また、本発明は、熱による影響の小さい基準スケール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る基準スケールは、
位置を測定するために使用する基準スケールであって、
穴が所定の間隔で形成されている基板と、
前記基板の各穴に配置され、前記基板と異なるX線の透過性を有する基材部と、
前記基材部の一面に前記所定の間隔で配置され、前記基材部と異なるX線の透過性を有する基準体と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
前記基材部は、前記基板よりもX線の透過性が高く、
前記基準体は、前記基材部よりもX線の透過性が低くてもよい。
【0009】
前記基板は、金属、又はセラミックから構成され、
前記基材部は、金属、セラミック、又は樹脂から構成され、
前記基準体は、金属から構成されていてもよい。
【0010】
前記各穴が形成される所定の間隔より前記各基準体が形成される所定の間隔の方が精度が高くてもよい。
【0011】
前記基板の主面と前記基材部の主面とは、面一に形成されており、
前記基準体は、前記基材部の一面上に配置されていてもよい。
【0012】
前記基準体は、厚さ5μm〜1mmの厚さに形成されていてもよい。
【0013】
前記基準体は、フォトリソグラフィー法により形成されていてもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る基準スケールの製造方法は、
複数の穴が所定の間隔で形成されている基板の該各穴に、X線の透過性が前該基板よりも高い物質を配し、
当該物質上に、前記所定の間隔で、フォトリソグラフィー法により、所定のX線透過性の基準部を形成する、
ことを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る加工装置は、
加工対象物を支持する支持手段と、
前記支持手段に配置された基準スケールと、
前記基準スケールに向けてX線を照射するX線源と、
前記X線源からのX線を用いて前記基準スケールの画像を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段の撮像画像に基づいて、加工位置を決定して、前記加工対象物を加工する加工手段と、
を備える加工装置において、
前記基準スケールは、
位置を測定するために使用する基準スケールであって、
穴が所定の間隔で形成されている基板と、
前記基板の各穴に配置され、前記基板と異なるX線の透過性を有する基材部と、
前記基材部の一面に前記所定の間隔で配置され、前記基材部と異なるX線の透過性を有する基準体と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、基板と基材部とで異なるX線透過性を有することとしたので、X線カメラの画像上で、基板と基材部とを容易に識別できる。さらに、基準体が形成されている部分では、基材部と基準体とが共にX線を遮蔽するので、基材部と基準体との区別も容易である。
また、本発明では基準穴の形成精度は低くても、基準体の形成精度を高くすることが可能である。本発明においては位置合せの基準は基準穴の外周部ではなく、形成精度の高い基準体の外周部であるため、穴あけ対象物の穴あけ位置を特定する精度を向上させることができる。さらに、基準体を薄く形成することにより、そのエッジが明確になり、位置判定が容易となるので、さらに穴あけ対象物の穴あけ位置を特定する精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る基準スケール及びその製造方法について図面を参照して説明する。
図1(a)は、本実施形態に係る基準スケール10の概観図、図1(b)は、図1(a)に示す基準スケールを直線Sa−Sa’で切断した場合の矢視断面図である。
【0018】
基準スケール10は、所定ピッチで基準穴11aが形成された基板11と、基板11の穴11aに充填された基材部12と、基材部12の上面に形成された金属層13と、を備える。
【0019】
基板11は、例えばノビナイト(登録商標)のような熱変形の少ない鋳物から構成され、例えば、5mm程度の厚さを有する。基板11には、所定の間隔(ピッチ)で並んだ基準穴11aが形成されている。各基準穴11aには基材部12が充填される。
【0020】
基材部12は、図1(b)に示すように、その両面が基板11の両面と面一に形成され、例えば、フェノール樹脂やガラスエポキシ樹脂等のX線の透過性が高い樹脂から構成されている。基材部12の上面には、金属層13が形成される。
【0021】
金属層13は、X線の透過性が小さくまた比較的加工がしやすいステンレスや銅等から構成されている。金属層13は、充填部12の上面に所定の間隔(ピッチ)で形成されている。また金属層13は、例えば円形に形成され、その厚さは、基板11の厚さよりも十分小さく、例えば10μm〜100μm程度である。
【0022】
次に、このようにして形成された基準スケール10を用いて穴あけ装置の位置合わせを行う方法を説明する。
基準スケール10を位置合わせに使用する穴あけ装置の基本構成は、例えば、前述の特開平9−85693号公報に開示されている穴あけ装置と同一である。
【0023】
即ち、この実施の形態の穴あけ装置は、a)一対の識別用マークが設けられたプリント基板を載置する作業テーブルと、b)該作業テーブルに配設された上述の基準スケール10と、c)プリント基板の識別用マークをそれぞれ撮影するように固定側と可動側とに設けてある撮影手段(X線カメラ)と、d)識別用マークの撮影結果に基づいて作業テーブル上のプリント基板に穴あけするように固定側と可動側とに設けてある穴あけ手段(ドリル)と、e)固定側の撮影手段及び穴あけ手段の位置を調整する第1の移動手段と、f)固定側の撮影手段及び上記穴あけ手段に対し可動側の撮影手段及び穴あけ手段を一体的に接近、離反させる第2の移動手段とを備える。基準スケール10に予め定められたピッチで設けてある金属層13の1つは、固定側の撮影手段と対向可能であり、その他の金属層13は、第2の移動手段によって可動側の撮影手段が固定側の上記撮影手段に対して接近、離反する方向に沿って配列されている。
【0024】
なお、基準スケール10は、作業テーブルに着脱可能に配置されてもよい。
【0025】
次に、この穴あけ装置が実施する穴あけの処理について説明する。
1)まず、プリント基板に穴あけすべき穴の間隔に応じて可動側の撮影手段及び穴あけ手段を第2の移動手段により移動させ、基準スケール10の複数の金属層13のうち固定側及び可動側の両撮影手段の近傍に位置するものをそれぞれ撮影する。
2)次に、固定側及び可動側の撮影手段の画像領域内における各金属層13の中心位置を画像処理によりそれぞれ求める。
3)次に、求めた金属層13の中心位置と、金属層13のピッチとに基づいて、両撮影手段の間隔を算出する。
4)次に、両識別用マークが両撮影手段の画像領域内にそれぞれ入るようにプリント基板を作業テーブル上にセットする。
5)次に、両撮影手段により両識別用マークを撮影し、画像処理により両識別用マークの中心位置を検出する。
6)次に、各識別用マーク中心位置と両撮影手段の間隔とに基づいて両識別用マークの間隔を求める。
7)次に、両識別用マークの間隔と穴あけすべき穴の間隔との誤差を求める。
8)次に、識別用マークの中心位置から誤差分だけ補正された穴あけ位置を設定する。
9)そして、両移動手段により両穴あけ手段を各穴あけ位置にそれぞれ移動させ、プリント基板に穴あけする。
【0026】
この穴あけ処理において、図2(a)に示すように上方のX線源20からX線を照射し、その下方に設置されたX線カメラ等の撮影手段30で基準スケール10を撮影することによって得られる画像の例を図2(b)に示す。
【0027】
基板11と基材部12とでは、X線の透過性が大きく異なるため、X線画像上で基材部12の識別が容易である。
さらに、その基材部12の上に、金属層13が配置されているので、金属層13配置部分のX線の透過性が周囲よりも低く、金属層13の像を容易に識別することができる。
さらに、図2(b)に示す画像において、外側の2重円の外側の円C1が基板11に形成された基準穴11aのX線源20側のエッジP1の像に対応し、内側の円C2が基準穴11aの撮影手段30側のエッジP2に対応する。また、内側の2重円の外側の円C3が基板11に形成された金属層13のX線源20側のエッジP3の像に対応し、内側の円C4が基板11の金属層13の撮影手段30側のエッジP4に対応する。
【0028】
基準穴11aの画像に関しては、基板11の厚さのため、円C1とC2とが分離している。しかし、金属層13の画像は、金属層13が非常に薄いため、円C3とC4とは重なっている。このため、金属層13の外周部を示す画像が鮮明になり、正確な外周部の位置の判別が容易に行えるようになる。その結果、円の中心座標を検出する精度が向上する。また、後述するように金属層13は、その形状及びピッチが非常に高精度に形成されているので、これを基準とする位置合わせも正確である。
【0029】
また、基板11として熱膨張係数の小さい鋳物を使用しているので、温度変化の影響を受けにくい基準スケール10が得られる。
また、仮に、基準穴11aの位置や形状の精度が低いとしても、基準穴11a自体を位置決めに使用するのではなく、金属層13を位置決めに使用するので、問題とならない。すなわち本実施例における基準穴11aの形成精度は高い必要が無い。従って、正確に基準穴を加工しようとする場合に比して、加工が容易である。
【0030】
さらに、金属層13は、後述する製造手法等により、正確な位置及び形状に加工可能であり、正確な位置合わせが可能である。
【0031】
次に、基準スケール10の製造方法を図3、図4を参照して説明する。
【0032】
まず、例えばノビナイト(登録商標)等の、比較的熱膨張率の小さい材料から構成される基板11を用意する。基板11は、例えば、幅2〜3cm、長さ0.3m〜1.5m、厚さ5mm程度のサイズを有する。
【0033】
次に、基板11に、図3(a)に例示するように、例えば1cmの間隔で、例えば、直径5mmの円形の基準穴11aを複数個形成する。なお、各基準穴11aの形状及び位置精度は比較的低くてもよく、例えば1mmオーダーであってもかまわない。
【0034】
次に、図3(b)に示すように、形成した複数の基準穴11aに、樹脂を充填する。充填する樹脂としてはフェノール樹脂や、ガラスエポキシ樹脂等が考えられる。充填した樹脂を加熱又は紫外線を照射する等して硬化し、基材部12を形成する。このとき、基材部12と基板11の表面とが面一となるように調整することが望ましい。
【0035】
次に、基板11及び基材部12の一面上に、スパッタリング等によって、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、等からなる厚さ10μmの金属層21を図3(c)に示すように形成する。あるいは、基板11及び基材部12の一面上に、ステンレス膜等を熱圧着して金属層21を形成してもよい。
【0036】
次に、図3(d)に示すように、この金属層21の上に、感光性樹脂を適当な厚さで塗布し、フォトレジスト層22を形成する。
【0037】
次に、予め形成しておいた、金属層13形成用のマスクパターン(レチクル)を用いて、図3(e)に示すように、フォトレジスト層22を露光する。マスクパターンは、形成予定の金属層13の形状及び間隔に対応する光マスクが高精度(少なくとも、基準穴11aのピッチの精度よりも高い)で形成されている。露光方法は、拡大投影露光でも縮小投影露光でもよい。
【0038】
次に、露光済のレジスト層をエッチャントを用いて現像し、図4(a)に示すように、レジストパターン23を形成する。
【0039】
次に、このレジストパターン23を、エッチングマスクとして用いて、金属層21をパターニングし、図4(b)に示すように、金属層13を形成する。
【0040】
次に、図4(c)に示すように、レジストパターン23を除去する。
【0041】
最後に、図4(d)に示すように、必要に応じて、全体を保護層24でカバーして、基準スケール10を完成する。
【0042】
このようにして形成された基準スケール10では、位置合わせの基準となる金属層13がフォトリソグラフィー技術により、高精度且つ薄く形成される。従って、金属層13の画像に基づく位置合わせも高精度である。なお、本実施形態の基準スケール製造方法では、フォトリソグラフィー技術が必要となるが、加工困難な基板11に高い精度で基準穴11aを形成することに比べれば、フォトリソグラフィー技術を用いる方が容易である。また、金属層13は、非常に薄く形成できるため、位置合わせの精度が高い。
【0043】
本発明は上述した実施形態に限られず、様々な変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施の形態では、基板11の基準穴11a全体を充填材で充填したが、一部のみを充填してもよい。例えば、図5に示すように、基板の基準穴11aの一部のみ(図面では下側)にX線の透過性が高い基材部12を充填し、その基材部12の下面に金属層13を形成してもよい。
【0044】
上記実施の形態においては、基板11を鋳物、基準穴11aに充填する基材を樹脂としたが、他の材料を使用することも可能である。例えば、基板11を、穴あけ対象の基板と同一の材質や、セラミックとしてもよい。
また、基材部12を金属やセラミックとしてもよい。
要するに、基準スケール10全体としての熱膨張率が小さく、基板11と基材部12との間のX線透過性の違いが明確になるような材料・厚さで、基板11と基材部12を構成できればよい。
【0045】
また、金属層13を、セラミック等で代用してもよい。要するに、精度良く、且つ薄く形成可能で且つ充填材だけの部分と金属層13が配置された部分のX線の透過性が異なって、X線画像上で金属層13の鮮明な画像が得られるならば、任意の材質が利用可能である。
【0046】
上記実施の形態においては、基板11を貫通する基準穴11aを形成し、これに基材部12を配置したが、基準穴11aは貫通穴である必要はない。例えば、基準穴11aは、図6に示すように、基板11の厚さ方向の途中で止まっていてもよい。要するに、基板11と基材部12との間のX線透過性の違いが明確となり、基材部12と金属層13との間のX線透過性の違いが明確となるならば、任意の材質と形状が可能である。
【0047】
また、上記実施の形態では、基板の穴あけの際の位置合わせを例に説明したが、これに限るものでない。例えば、基板上に形成された特徴点の位置を測定する場合などにも、この基準スケールを利用可能である。
要するに、基準スケールを撮影した画像の金属層の位置を用いて、基板上の特定箇所の位置を測定する場合に本発明を適用可能である。
【0048】
また、上記実施の形態では、基準スケール10の製造方法として、基材部12を充填した基板11に直接金属層13を形成したが、これに限らず、別工程によって金属層13を基材部12の上に形成したものを、基板11に取り付けて一体として、基準スケール10を製造してもよい。
【0049】
この場合の基準穴11aは、図7に示すように、基板11の厚さ方向の途中で止まっており、そこに別工程によって金属層13を基材部12の上に形成したものが取り付けられて基板11と一体化されている。
【0050】
別工程によって基材部12の上に金属層13を形成する場合には、まず基材部12を板状に形成する。基材部12の材料としては、例えばフェノール樹脂やガラスエポキシ樹脂等、X線の透過性が高い樹脂が考えられる。次に、基材部12の一面に金属層、フォトレジスト層を設けた後、フォトリソグラフィー法によってパターニングした後、不要な部分を除去して金属層13を形成する。
【0051】
この場合の金属層13は図8に示すように所定の間隔をもって、基材部12上にマトリクス状に配置されている。この金属層13と基材部12とを例えばプレス加工等によって、基準穴11aに取り付けられる形状(例えば、基準穴11aと同サイズの円形)に加工する。加工した後の金属層13と基材部12の形状を図9(Aa)に示す。なお、図9(Ab)は、図9(Aa)に示す形状を直線Sb−Sb’で切断した場合の矢視断面図である。
【0052】
また、この場合の金属層13と基材部12との形状は次のようであってもよい。
すなわち、図9(Aa)に示す形状では、樹脂部材等の基材部12をプレス等にて円形に加工した中心に、円形の金属層13が設けられているのに対して、図9(Bb)に示すように、基材部12の中心には、金属層13が円形に除去され、基材部12の外縁部に金属層13が設けられているような形状であってもよい。なお、図9(Bb)は、図9(Ba)に示す形状を直線Sc−Sc’で切断した場合の矢視断面図である。
そして、このようにして加工された金属層13と基材部12は、図7に示すように、基準穴11aに取り付けられた後に例えば接着剤等で固定され、基準スケール10は完成する。
【0053】
このように、別工程によって金属層13を基材部12の上に形成したものを、基板11に取り付けて一体として製造した基準スケール10は、基材部12を充填した基板11に直接金属層13を形成して製造した基準スケール10と比べて、金属層13の位置精度は劣るが、別途測長機等によって位置関係を把握しておけば十分に実用可能である。
【0054】
上述したように、別工程によって金属層13を基材部12の上に形成したものを、基板11に取り付けて一体として製造した基準スケール10は、基材部12を充填した基板11に直接金属層13を形成した製造した基準スケール10と比べて、位置精度は劣るが、本発明によって得られるそれ以外の利点は全て同様に得ることができる。従って、この場合の基準スケール10における金属層13の画像に基づく穴あけ対象物の穴あけ位置を特定する精度は従来の基準スケールに比べて十分高精度である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る基準スケールの概観図と断面図である。
【図2】(a)は、基準スケールとX線源と撮影手段との関係を示した図である。(b)は基準スケールを撮影したX線写真の例を示した図である。
【図3】図1で示した基準スケールの製造方法を説明するための図である。
【図4】図1で示した基準スケールの製造方法を説明するための図である。
【図5】上記実施形態に係る基準スケールの変形例の断面図である。
【図6】上記実施形態に係る基準スケールの他の変形例の断面図である。
【図7】上記実施形態に係る基準スケールの他の変形例の断面図である。
【図8】基材部上と、基材部上にマトリクス状に配置された金属層とを示した図である。
【図9】基準穴に取り付ける基材部と金属層とで構成される形状を示した図である。
【符号の説明】
【0056】
10 基準スケール
11 基板
11a 基準穴
12 基材部
13 金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置を測定するために使用する基準スケールであって、
穴が所定の間隔で形成されている基板と、
前記基板の各穴に配置され、前記基板と異なるX線の透過性を有する基材部と、
前記基材部の一面に前記所定の間隔で配置され、前記基材部と異なるX線の透過性を有する基準体と、
を備えることを特徴とする基準スケール。
【請求項2】
前記基材部は、前記基板よりもX線の透過性が高く、
前記基準体は、前記基材部よりもX線の透過性が低い、
ことを特徴とする請求項1に記載の基準スケール。
【請求項3】
前記基板は、金属、又はセラミックから構成され、
前記基材部は、金属、セラミック、又は樹脂から構成され、
前記基準体は、金属から構成される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基準スケール。
【請求項4】
前記各穴が形成される所定の間隔より前記各基準体が形成される所定の間隔の方が精度が高い、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の基準スケール。
【請求項5】
前記基板の主面と前記基材部の主面とは、面一に形成されており、
前記基準体は、前記基材部の一面上に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の基準スケール。
【請求項6】
前記基準体は、厚さ5μm〜1mmの厚さに形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の基準スケール。
【請求項7】
前記基準体は、フォトリソグラフィー法により形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の基準スケール。
【請求項8】
複数の穴が所定の間隔で形成されている基板の該各穴に、X線の透過性が前該基板よりも高い物質を配し、
当該物質上に、前記所定の間隔で、フォトリソグラフィー法により、所定のX線透過性の基準部を形成する、
ことを特徴とする基準スケールの製造方法。
【請求項9】
加工対象物を支持する支持手段と、
前記支持手段に配置された基準スケールと、
前記基準スケールに向けてX線を照射するX線源と、
前記X線源からのX線を用いて前記基準スケールの画像を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段の撮像画像に基づいて、加工位置を決定して、前記加工対象物を加工する加工手段と、
を備える加工装置において、
前記基準スケールは、
位置を測定するために使用する基準スケールであって、
穴が所定の間隔で形成されている基板と、
前記基板の各穴に配置され、前記基板と異なるX線の透過性を有する基材部と、
前記基材部の一面に前記所定の間隔で配置され、前記基材部と異なるX線の透過性を有する基準体と、
を備えることを特徴とする加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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