説明

基準気体を収容するコンテナ、基準流体のセット、基準流体を収容するカセット、及び、基準流体を含む装置

【解決手段】
例えば血液等の生理学的液体内で気体パラメータを決定するための装置の較正又は品質制御を実行する際に使用するための解放気体のための可撓性コンテナに関する。該可撓性コンテナは、圧力変換を必要としないように基準気体を保持し周囲圧力に対して閉じるよう構成される。可撓性コンテナは、連続的な内側表面を持ち、使用まで貫通されない。内側表面は基準気体との反応度が無いか又は低い。基準気体又は二酸化炭素を含んでいてもよい。基準流体のセット及び該セットを保持するカセットを本装置内で使用することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、生理学的流体において気体パラメータを決定するための装置で使用するための基準気体の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、基準気体の成分は、基準気体の成分が液相内に溶解される上部空き高ゼロの流体コンテナ内に提供され得る。気相は、液体中の気体の濃度の圧力及び温度の依存性を最小に抑えるため、この種のコンテナ(ゼロの上部空き高のコンテナ)には存在していない。しかし、例えば酸素等の幾つかの気体に対しては、液体の構成要素の残りの部分が、酸素を転化するか又は酸素と反応し、それにより、液体中の濃度が長期間に亘って一定の基準レベルを維持するのに十分なほどには一定していない。
【0003】
上部空き高ゼロの基準液体のためのコンテナは、EP−A1243336、WO99/40430、US−A−2003/0019306、US−A−6,632,675、6,136,607、6,016,683、4,384,925、並びに、US−A−4,116,336に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基準気体を提供する別の態様は、基準気体を加圧コンテナ内に提供することであったが、内部の大きな圧力及び輸送中の安全面の両方に起因した問題をかかえている。更には、加圧基準気体に適したコンテナを製造するコストは高くなり、よっって、循環システムを必要としている。また、高い圧力は、気体を装置により操作し得る圧力にするためコンテナが設置される装置において、減圧バルブの装備を要求している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、新規な種類の基準気体コンテナに関する。
第1の態様では、本発明は、生理学的流体のパラメータを決定するための装置用の基準気体を収容するコンテナに係り、該コンテナは、可撓性材料から形成されたコンテナ壁を備え、該コンテナは、少なくとも実質的に気密性であり、基準気体との反応度が低いか又は基準気体とは反応しない、非破壊の内側表面を持ち、該基準気体の圧力は、周囲の圧力に少なくとも実質的に等しい。
【0006】
本発明の要旨では、周囲からの及び/又はコンテナ内の1種類以上の気体が、コンテナ内に気体を充填してから一定期間の間に且つ気体が使用されるようになるまで、コンテナから拡散し又はコンテナ内へと拡散したことによっては、基準気体内のパラメータの初期分圧の許容可能な最大変化を超える変化が生じないとき、コンテナは、少なくとも実質的に気密性を有するといえる。この最大の変化は、実行されるべき測定の正確さ及び/又は精度に対する要求によって決定される。
【0007】
臨床の現場では、基準気体への要求度は、一般に、非常に高いので、基準気体におけるパラメータの初期分圧のうち、±2(体積/体積)%以下、好ましくは±1%、より好ましくは±0.5%の最大変化が許容される。周期時間は、好ましくは、少なくとも1ヶ月であり、より好ましくは、少なくとも1年であり、更により好ましくは、少なくとも3年である。壁が気密性を有するべき最も一般的な気体の成分は、主要には、酸素、窒素、二酸化炭素及び、コンテナ内に含まれる任意の基準気体成分若しくは希釈液である。
【0008】
長期間に亘って安定した基準気体を提供する基準気体コンテナの利点は、利便性があり、使用者によって厳密に制御される必要はなく、格納し、輸送することができるということである。
【0009】
本基準気体は、室温及び周囲圧力で、完全にその気相にある気体である。基準気体は、所定の分圧のパラメータを有する。コンテナは、例えば、所定の分圧にある他の基準気体等の他の気体成分、又は、例えば窒素、二酸化炭素、アルゴン若しくはヘリウム等の希釈剤として適した任意の気体成分を含んでいてもよい。当然ながら、コンテナ内に存在する気体は、互いに不活性(互いとの反応度が低いか或いは互いに反応しない)でなければならない。
【0010】
本発明の要旨では、「周囲圧力に少なくとも実質的に等しい」とは、周囲圧力の高々2倍であり、通常では、周囲圧力より小さい圧力ではないことを意味している。通常では、当該圧力は、周囲圧力に近いが、周囲圧力の2倍以内の圧力が、特にコンテナへの侵入の後に存在し得る。
【0011】
好ましくは、コンテナ内に気相のみが存在するのがよい。流体又は固体がコンテナ内に存在する場合、それは、基準気体が転化もしなければ反応もしないこと、或いは、可能な限り少量の基準気体しか転化せず、反応もしないことを確実にするため、基準気体に対して不活性(基準気体との反応度が低いか或いは該基準気体とは反応しない)である。
【0012】
本発明の要旨では、コンテナ壁の材料は、壁の変形又は撓みによって、コンテナの体積が、これに対応してコンテナから除去される基準気体の体積に近い体積(例えば、10%以内)で減少され得るとき、可撓性を持つといえる。当然ながら、コンテナは、周囲圧力より高い初期内部圧力を持ち、これにより、内部体積の減少は、コンテナから気体の体積を最初に除去するときには発生しない。
【0013】
内側表面は、それがプローブ又はバルブ等のアクセス装置によって破壊されなかった連続表面であるとき、非破壊表面となる。よって、表面が非破壊的であるとき内側表面を介して気体へのアクセスは可能とはならない。これは、内側表面を貫通するバルブの提供とは対照的である。使い捨てバルブとして適した経済的なバルブは、完全には気密性ではなく、通常、バルブそれ自体並びにバルブの回りの密封部の両方を通した気体拡散/漏れの重大な源となる。
【0014】
気体のうち2%(体積/体積)より小さい量、好ましくは±1%、より好ましくは±0.5%が、1ヶ月、より好ましくは少なくとも1年、更により好ましくは少なくとも3年のインターバルの間に、転化し又は反応したとき、材料は、気体との低い反応度或いは気体と反応しないといえる。気体に対する反応度が無いか又は反応度が低い材料の選択は、コンテナに保持されるべき1種以上の気体に依存している。
【0015】
生理学的流体の例には、全血、血漿、血清、髄液、つば、及び、尿を挙げることができる。
生理学的流体の気体パラメータは、生理学的流体に存在し得る任意の気体パラメータ、とりわけ酸素又は二酸化炭素である。他の気体パラメータは、一酸化炭素、或いは、イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン若しくはNO等の麻酔気体が挙げられる。
【0016】
本発明に係る基準気体を収容するコンテナは、生理学的流体の気体パラメータを決定するための装置で使用することができる。そのような装置は、生理学的流体の気体パラメータに感度を持つセンサを備えている。装置において、コンテナの基準気体は、他の基準気体又は基準液体等の他の基準材料と組み合わせて使用することができる。
【0017】
基準気体は、気体パラメータに感度を有するセンサの較正又は品質制御のため使用することができる。
センサの較正は、センサ応答値と基準材料の所定のパラメータ値との間の対応関係の実験的決定として理解されるべきである。通常では、前記対応関係は、所定のパラメータ値を有する1つ以上の基準材料に対するセンサ応答値を得、それらの間の対応関係を決定することによって見い出される。
【0018】
次に、上記較正において決定される対応関係は、生理学的流体におけるパラメータが決定されるべきとき使用される。最初に、生理学的流体に対するセンサ応答が得られる。次に、センサ応答が、決定された対応関係を使用することにより測定されたパラメータ値へと変換される。
【0019】
当該変換は、測定パラメータ値を提供するためのアルゴリズムを備えるプラグラム式制御手段によって実施することができる。当該アルゴリズムは、各較正工程で調整することができる。
【0020】
任意数の基準材料を、較正工程で使用することができる。センサの信頼できる較正結果を得るために必要とされる基準材料の数は、センサの性質、及び、精度及び/又は正確さへの要求度に依存している。よって、較正工程における1ないし5つの異なるパラメータレベルを表す基準材料を使用することが好ましい。多数の例では2つ又は3つの異なるレベルが、より好ましい。ほとんどのセンサに対して、これは、十分に信頼できる結果を提供し、これと同時に異なる基準材料の数を制限するからである。しかし、幾つかのセンサ、例えば多数のバイオセンサに対しては、十分に信頼できる結果を得るためには、4つ又は5つの基準材料が必要とされる。
【0021】
1つより多い基準材料を使用して一度センサを最初に較正することで十分となり得る。任意の引き続く較正を、1つのみの基準材料を使用して実施することができ、これは、センサ応答と所定のパラメータ値との間の以前に決定された対応関係を修正するため、単に使用される。
【0022】
しかし、多数のセンサは、定期的に較正される必要があり、少なくとも2つのパラメータレベルを表す基準材料をしばしば使用する。2つより多いパラメータレベルを表す基準材料を使用した較正は、幾つかの場合において、より信頼できる較正を提供することができる。例えば、二酸化炭素センサは、しばしば2点で較正される。これに対して、酸素センサは、しばしば1点ないし3点で較正される。
【0023】
センサの品質制御は、センサの測定値が高精度及び/又は正確であるという実験的実証として理解されるべきである。通常、そのような実証は、基準材料の測定されたパラメータ値がその受容可能な範囲以内にあるか否かを決定することにより実施される。基準材料の測定されたパラメータ値は、上述されたような較正対応関係を使用して、センサ応答を測定値へと変換することにより得られる。測定されたパラメータ値が、基準材料の受容可能な範囲内にあるか否かが決定される。
【0024】
受容可能な範囲は、一般に、所定のパラメータ値付近でその中央値が定められる。当該範囲の制限は、例えば、センサのばらつき、品質制御及び較正の両方に関して基準材料の所定のパラメータ値を決定するときのばらつき、精度及び正確さに対する要求度に依存している。
【0025】
好ましくは、コンテナは、コンテナ壁の貫通、好ましくは可撓性材料の貫通時においてのみ基準気体へのアクセスを提供するように構成されている。このことは、コンテナにバルブも他の貫通手段も提供せず、或いは、壁を通したアクセスを提供することによって得ることができる。よって、コンテナ内で気体へのアクセスを得る唯一の態様は、壁の貫通によってなされる。
【0026】
しかし、コンテナは、可撓性材料の貫通を容易にするため、コンテナの壁の内部及び/又は外部に取り付けられているがコンテナの内側表面を貫通しない、隔壁、コネクター又はバルブ等のアクセス装置を備えていてもよい。
【0027】
可撓性材料は、適切な可撓性、非反応性及び気密性を提供する任意材料から作られてもよく、該材料として、例えば、コンテナ内の基準気体パラメータの濃度が一定に維持されるべき期間に依存して、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレンテレフタレート(PETP)、配向性ポリアミド(OPA,ナイロン)、又は、ポリアミド(PA)等が挙げられる。
【0028】
好ましい実施例では、可撓性材料は、コンテナの非破壊内側表面の少なくとも一部を形成する内側層と、外側層とを有する複合層である。これらの層は、組み合わせて、適切な非反応性、可撓性及び気密性を提供する任意の材料から作られてもよい。内側層は、例えば、可撓性材料のため上述された材料のうち任意のものから作られてもよい。
【0029】
可撓性材料が複合層であるとき、気密性を提供する層は、プローブ又はバルブ等のアクセス装置によって貫通されないことが好ましい。
非破壊内側表面の貫通前には、気体の外側層へアクセスが存在しないか又はアクセスが制限されるだけであり、従って、例えば、更なる気密性を提供し及び/又は複合層に機械的強度を提供するなど、基準気体との非反応性とは異なる目的を満足させることができる。この強度は、気体の使用前に複合層の貫通を容易にするため、内側層を機械的に保護すると共に、分類等のための基礎を形成するのに有用となり得る。外側層は、例えば、塩化ポリビニル(PVC)、塩化ポリビニリデン(PVdC)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、アルミニウム、金、シリコンをベースとしたポリマー(SiOx)、OPA、PETP、PP又はPEの層であってもよい。
【0030】
好ましくは、レトルト接着剤等の適切な接着剤は、互いに複合層の層を取り付けるため使用される。レトルト接着剤は、アルミニウムに結合させること、並びに、高温硬化、消毒、及び/又は、溶接の間に高温に耐えることが特に得意である。
【0031】
例えば、複合層を溶接するとき、この溶接は、複合層の2つの部分を互いに溶接表面で位置決めすることによって通常実行される。好ましくは、溶接表面は、内側表面のことなる部分である。溶接は、気体が複合層の外側層又は任意の中間層と直接接触しないように、非破壊の内側表面を提供する。しかし、溶接表面は、内側表面の一方の部分と、外側表面の別の部分とであってもよい。このように複合層の別の部分の外側表面に溶接される内側表面は、非破壊の内側表面も提供する。この場合には、複合層のエッジは、コンテナの内部で終わっているので、当該エッジは、基準気体の成分を転化するか又は当該成分と反応する材料を提供してはならない。
【0032】
溶接において、気体の拡散を防止する唯一の材料は、通常、結合された溶接層である。かくして、(溶接層の材料の気密性及び溶接層の寸法に応じて)気体のコンテナ内への小さい拡散又はコンテナからの小さい拡散を溶接時に見ることができる。必要ならば、溶接は、例えば、アルミニウム又はシリコンをベースとしたポリマー等、更なる気密性を提供する材料によってコンテナの外側で密封することができる。
【0033】
当然ながら、複合層は、任意数の層を持っていてもよく、任意数の層が内側層と外側層との間に介在されていてもよい。かくして、複合層は、内側層と外側層との間に介在された1つ以上の中間層を更に備えていてもよい。従って、第3の層が、内側層と外側層との間に提供されていてもよい。この場合には、外側層が主要には複合層に機械的強度を提供し、内側層が気体に対して「反応抵抗」並びに良好な溶接特性を提供する場合、第3の層を、複合層に気密性を提供するか又は内側層及び/又は外側層の気密性を改善するため使用することができる。内側層の要求された反応抵抗を除いた個々の層の特性は、個々の層に異なる態様で分布させることができる。
【0034】
この中間層又はこれらの中間層は、追加の層がいずれの特性を付与するか又は改善するかに応じて、内側層及び外側層に関して上記された任意材料から作ることができる。
好ましい実施例では、内側層は、ポリプロピレン又はポリエチレンから作られ、中間層は、アルミニウムから作られ、外側層は、ポリエチレンテレフタレートから作られる。
【0035】
当該実施例では、内側層及びアルミニウム層の間に介在された、配向性ポリアミド(OPA;ナイロン)から作られた更なる層を備えることが望ましい。
可撓性材料を提供する一つの態様は、基準気体との反応度が低い内側層を提供することであり、これに対して、別の層は、気密層を提供するため例えばアルミニウムの金属被覆により形成される。この金属被覆層は、所望の気密性を提供し、機械的抵抗を提供する層によって覆われていてもよい。
【0036】
一実施例では、コンテナ全体が、同じ可撓性材料から作られ、可撓性材料の内側表面がコンテナの内側表面を形成する。そのような可撓性材料は、複合層であるのが好ましい。これは、コンテナの製造を容易に経済的にする。
【0037】
好ましくは、基準気体は、所定の分圧の酸素を含んでいる。酸素は、酸素を転化させるか又は酸素と反応する多数の材料に起因して取り扱いが特に困難である。これらの材料は、生理学的流体においてパラメータを決定するため与えられた型式の装置に適切である従来の基準液体に関して使用される。好ましくは、コンテナの内側表面も、コンテナ内の他の基準気体成分又は他の物質のいずれも、酸素を転化させたり酸素を吸収するべきではない。酸素を転化させる物質には、例えば、色素、ラクテート、グルコース、及び、他の糖類及び有機緩衝剤等の多数の有機材料、並びに、多数の金属等が含まれる。
【0038】
上記種類のコンテナを使用するとき、少なくとも200mmHgの所定の分圧の酸素を含む基準気体を得ることが可能となる。そのような高い酸素分圧は、本願の発明者らにとって、この種の使用のための可撓性コンテナにおいては以前には見られなかったものであり、特に多検体基準流体では見られなかったものである。
【0039】
上記に加えて又は代替例として、基準気体は、所定の分圧の二酸化炭素を含むのが好ましい。
別の実施例では、コンテナは、少なくとも実質的に剛性の壁と、可撓性材料からできた1つ以上の壁とを備え、剛性壁の内側表面はコンテナの内側表面の一部を形成する。剛性壁の利点は、コンテナを取り扱い、分類し、取り付け、貫通させるなどするときに認めることができる。当該状況において、より剛性の壁は、コンテナを取り扱うことを更に容易にすることができる。
【0040】
より剛性の壁は、OPA、PE及び/又はPPから作ることができ、当該剛性は、材料のより厚い層を提供することによって得られる。代替例として、より剛性の壁は、複合層として提供されてもよい。そのような場合には、複合層は、可撓性材料の複合層に関して上述されたものと同じ材料から作られた層から構成されてもよい。剛性度は、複合層に既に与えられた1つ以上の層のより厚い層を提供することにより、又は、内側層及び外側層の間に介在されたより剛性の層を提供することによって得ることができる。より剛性の層は、例えば、OPA、PE及び/又はPPから作られていてもよい。より剛性の層は、より剛性の壁の複合層が、溶接領域においてより剛性の層を含んでないように、他の層内に封じ込められていてもよい。
【0041】
別の実施例は、例えば接着若しくは溶接により、より剛性のシート、プレート若しくはディスクを可撓性材料上に固定することによって提供される。
本発明の第2の態様は、生理学的流体のパラメータを決定するための装置の較正及び/又は品質制御を実施するための基準流体のセットに関している。当該セットは、第1の態様に従って説明されたような第1のコンテナと、基準液体を収容する第2のコンテナと、を備えている。
【0042】
当該セットは、1つ以上の追加の第1及び/又は第2のコンテナを更に備えていてもよい。通常では、これらの追加のコンテナの少なくとも幾つかは、同じ気体パラメータの1つ以上の他のレベルを備える。較正及び品質制御は、通常、より信頼できる較正若しくは品質制御を達成するため、同じパラメータの異なるレベルを使用する。
【0043】
好ましくは、基準液体及び基準気体は、同じパラメータの分圧を各々有する。かくして、基準液体及び基準気体は、例えば、酸素、二酸化炭素等の生理学的流体に存在する所定の分圧の物質若しくは構成要素を含んでいる。気体が酸素である場合、好ましくは、気体コンテナにはより高いレベルのものが存在し、液体コンテナにはより低いレベルのものが存在する。
【0044】
第2のコンテナ内の基準液体は、少なくとも実質的に気相を含んでいないことが望ましい。第2のコンテナは、周囲の圧力及び温度におけるばらつきにより鈍感にさせるため、上部空き高ゼロで基準液体を保持する。
【0045】
当該セットを、他のパラメータに関してもセンサを較正するために有用にするため、好ましくは、第2のコンテナは、生理学的流体を他の選択されたパラメータの所定の基準レベルで備える。この態様では、基準液体は、多数の生理学的流体のパラメータを決定するように構成された装置の較正又は品質制御を実行するために使用することができる。そのような装置は、複数のセンサを備えていてもよく、各々のセンサは、生理学的流体のパラメータの一つに対して感度を有する。
【0046】
当然ながら、気体コンテナは、単一の気体パラメータよりも多いパラメータを較正するため使用されるようにするため、単一よりも多い基準気体を備えていてもよい。
基準気体のセットは、多パラメータのレベルを表す多検体基準流体であるのが好ましく、これらのパラメータには、例えば、Li、Na、K、Ca2+、Mg2+、Cl、HCO及びNH(NH)等の電解質のPH、濃度、特に酸素及び二酸化炭素等の他の分解気体の濃度(従来では、例えば、ρO、ρCO等の分圧の形態で報告されている)、ヘマトクリット(Hct)、ヘモグロビンと、例えばオキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、メタヘモグロビン、カルボキシヘモゴルビン、サルファヘモグロビン及び胎児性ヘモゴルビン等のヘモグロビン誘導体との濃度、例えばグルコース、クレアチニン、クレアチン、尿素(BUN)、尿酸、乳酸、ビルビン酸、アルコルビン酸、リン酸塩、タンパク質、ビリルビン、コレステロール、トリグリセリド、フェニルアラニン及びチロシン等の代謝因子の濃度、例えば乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、リパーゼ、アミラーゼ、コリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)、及び、クレアチニンキナーゼ(CK)等の酵素の濃度、例えば、抗体及びヌクレオチドフラグメント等のリガントの濃度、例えば、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、トロポニン、ミオグロビン、人間の繊毛膜刺激ホルモン、及び、C反応性タンパク質等のバイオマーカーの濃度が含まれている。
【0047】
好ましくは、基準流体のセットは、4ないし20のパラメータのレベルを表すのがよい。
本発明の第3の態様は、生理学的流体のパラメータを決定するための装置で使用するためのカセットに係り、該カセットは、第1の態様に係る第1のコンテナを備え、該カセットは、装置からの消費物を受け取るように較正された可撓性の消費物コンテナを更に備えている。本装置が気体状の消費物を生成する場合には、消費物のコンテナは、通常、装置からそのような気体状の消費物を排出するための排気口等の装置が備え付けられている。
【0048】
通常、この種のカセットは、可撓性液体コンテナのみが備え付けられていた。本態様は、時間が経過し、可撓性基準気体コンテナからの基準気体が使用されるとき、サンプル及び装置内で測定された外部の品質制御(QC)液体を取り上げるため、スペースが消費物コンテナのためのカセット内で解放されるという利点を有する。気体が、コンテナ内の周囲圧力に近い状態で保持されるので、この効果は、気体コンテナからの気体の引き出しの開始時点付近で既に見られる。これは、カセット内に存在するスペースの効率的な使用を提供する。
【0049】
基準気体コンテナのみを保持する代わりに、本カセットは、コンテナの利点だけではなく完全なセットの利点を得るため第2の態様に係るセットを実際に備えることが好ましい。
【0050】
従って、好ましい実施例では、当該カセットは、基準気体を保持する第2の可撓性コンテナを更に備えている。可撓性消費物コンテナは、カセット内に最初に存在する基準液体の体積を超える体積を保持するように構成されるのが好ましい。当該液体は、装置によって使用されるべきであり、その後、装置内に測定されるサンプルと共に、消費物として排気されるからである。よって、可撓性消費物コンテナは、基準液体及び基準気体を使用することが開始されるとき、空であってもよく、基準液体及び基準気体が使用されるとき、消費物コンテナに、空間が利用可能にされる。該消費物コンテナは、それが使用済みの基準液体及びサンプルを受け取るとき上記空間の少なくとも一部を占有する。通常では、基準液体の量に加えて消費物コンテナ内に保持されるべきサンプルの量は、基準液体の量の30%から50%のインターバルのように、20%から200%のインターバルにあってもよい。よって、カセット内の可撓性気体コンテナの存在は、使用済みの基準液体及びサンプルの両方のため、並びに、使用済みの外部QC液体のための空間を作る。
【0051】
第4の態様は、生理学的流体の気体パラメータを決定するための装置に係り、該装置は、 パラメータの所定の分圧を備える第1の態様に係る第1のコンテナと、基準気体入口と、パラメータに感度を有するセンサと、センサに基準気体を導くための案内装置と、本装置の機能を制御するためのプログラム可能装置と、を備える。
【0052】
本発明の要旨では、基準気体入口は、第1のコンテナから基準気体を受け入れるように構成され、この気体を案内装置に利用可能にさせる。基準気体は、センサが感度を有するパラメータの分圧を有する。
【0053】
本装置は、基準流体のセットのために上述されたパラメータ等、生理学的流体の他のパラメータに感度を有する更なるセンサを備えていてもよい。
本願明細書で使用されるとき、「センサ」という用語は、任意種類の装置を指し示しており、該装置の何らかの部分は、本願では、検出部と称され、該検出部は、その関心のある化学種と選択的に相互作用し、これによって当該化学種の所望の特徴の関数となる、明確で測定可能な応答を生成することができる。よって、当該特徴を該応答から導き出すことができる。或いは、検出部は、流体のバルク特性に応答することができ、当該応答は、任意の特定の化学種に関して選択的ではないが、当該液体の1つ以上の化学種の総濃度の関数となり、よって、所望の特徴が当該応答から導出可能となる。
【0054】
関連する種類のセンサは、例えば、電位センサ、大気圧センサ、光学センサ等、前述したパラメータのうち幾つかを決定するように構成されたセンサである。
センサは任意の設計で作られてもよい。従って、小型化された平坦なセンサ及び従来のセンサの両方は、本発明に係る基準気体を収容するコンテナを使用して、適切に較正され、品質制御される。
【0055】
当然ながら、本装置は、第1のコンテナのみの例に対する代替例として、第2の態様に係る基準流体のセットと、第3の態様に係るカセットとを備える。よって、第1のコンテナに加えて、本装置は、基準液体を収容する第2のコンテナを更に備えていてもよい。
【0056】
本装置は、そのパラメータが決定されるべき生理学的流体のサンプルを受け取り、該サンプルをセンサへと導くための案内装置と、該サンプルをセンサから消費物コンテナへと導くための装置と、を更に備えていてもよい。
【0057】
気体が周囲圧力に近いか又は等しい圧力で提供されるとき、当該気体をセンサへと送り出すため、気体の押揚げが必要とされ得る。かくして、案内装置は、当該気体をコンテナからセンサへと圧出し又は吸引する(押揚げする)ための手段、例えば、ポンプを備えていてもよい。
【0058】
ポンプ/吸引手段は、第2のコンテナからセンサへと液体を圧出/吸引するようにも構成することもできる。かくして、案内装置は、全ての基準気体及び基準液体を周囲圧力に少なくとも実質的に等しい圧力で受け取ったり導いたりするように構成されるとき、同じ案内手段及び強制手段を、気体及び液体の両方のために使用することができるが、圧力変換は、気体に関しては要求されない。
【0059】
好ましくは、案内装置は、気体又は流体を、第1及び第2のコンテナのうち第1のコンテナからセンサへと気体又は流体を差し向け、引き続いて第1及び第2のコンテナのうち別のコンテナからセンサへと気体又は流体を差し向けるように構成された選択装置を備え、単一の流れチャンネルを使用して気体及び液体を選択装置からセンサへと導く。この接続では、単一の流れチャンネルは、気体及び液体の両方が同じ流れチャンネルを使用する限り、より多くのチャンネルへと物理的に分割させることができる。分割された状態に維持することが望ましい液体が、気体の中間区分を用いて案内/輸送される。気体の区分は、第1のコンテナからの基準気体であってもよく、又は、代替例として、周囲空気であってもよい。
【0060】
通常では、流れチャンネルは、流れチャンネル又はセンサ表面内の堆積物を除去するため、すすぎ溶液ですすがれる。クリーニング要素が、基準液体に追加されてもよく、従って、そのような液体は、基準液体及びすすぎ溶液の両方となる。すすぎ作用を改善するため、少量の周囲空気が、すすぎ溶液の流れ内に導入されてもよい。この態様では、液体区分が気体区分により分離される。これは、乱流状態を形成し、該乱流状態は、すすぎ作用を改善し、第1の液体体積部から次の液体体積部への繰越分を減少させる。
【0061】
二酸化炭素センサを備える本装置の一実施例では、基準気体の小さい区分が、周囲空気の代わりに、すすぎ溶液の区分の間に導入される。この場合においても、すすぎ溶液区分の間に導入された気体区分は、乱流を提供し、かくして、クリーニング作用を良好にする。周囲空気の代わりに基準気体を使用する利点は、二酸化炭素センサがこのすすぎ処置の間にドリフトすることを防止するように、基準気体が、二酸化炭素の分圧を有することができるということである。これは、通常の二酸化炭素センサが二酸化炭素の存在をドリフトしないように全ての時間又はほとんどの時間で必要とし、二酸化炭素無しにすすいだ後にはそのようなセンサの再調整が時間を費やしするので、利点となる。本装置は、従って、第2のコンテナから基準液体を最初に差し向け、次に第1のコンテナから基準気体を差し向け、最後に、第2のコンテナから基準液体を差し向けするように選択装置を制御するための手段を更に備えることができる。
【0062】
一般に、センサは、基準気体、基準液体及び/又は生理学的流体内のパラメータの存在若しくは濃度に関連したセンサ応答を提供するように構成されるのが好ましい。本装置は、センサ応答を受信し、当該応答に基づいて、本装置の較正若しくは品質制御を実行するための手段を更に備えることができる。
【0063】
本発明の第5の態様は、第4の態様に係る装置を作動させる方法に係り、本方法は、(a)基準気体へのアクセスを得るため第1のコンテナを最初に貫通させ、(b)第1のコンテナからセンサへと基準気体を導くための案内装置を使用し、(c)気体内のパラメータの存在又は濃度に関連したセンサ応答を提供し、(d)センサ応答に基づいて、センサを較正し又はセンサの品質制御を実行する、各工程を備える。
【0064】
好ましい実施例では、本発明の第2の態様に係るセットを最初に提供する初期の工程が実行され、工程(b)は、装置の周囲圧力に少なくとも実質的に等しい圧力の下で、第1及び第2のコンテナからセンサへと、気体及び液体を連続的に提供し、工程(c)は、第1及び第2のコンテナの気体又は液体内のパラメータの存在又は濃度に関連したセンサ応答を提供し、工程(d)は、センサ応答に基づいて較正又は品質制御を実行する。
【0065】
本発明の第6の態様は、生理学的流体の気体パラメータを決定するセンサの較正及び/又は品質制御を実行する方法に関し、本方法は、所定の分圧のパラメータを含む基準気体を収容する、本発明の第1の態様に係る第1のコンテナを貫通させ、基準気体をセンサへと提供し、センサを較正し及び/又はセンサの品質制御を実行するため少なくとも基準気体に対するセンサからの応答を使用する、各工程を備える。
【0066】
かくして、本発明の第6の態様に係る方法は、本発明の第4の態様に係る装置上で実行されるのが好ましい。基準気体をセンサに提供する工程は、本装置の案内装置を介して基準気体を導くことによって実行されてもよい。
【0067】
第1のコンテナは、カセット内で提供されてもよく、この場合には、本方法は、基準液体を第2のコンテナからセンサへと提供する工程を更に備え、基準液体は所定の分圧で同じパラメータを備え、第2のコンテナはカセット内に提供される。この場合には、前記使用工程は、センサを較正し及び/又はセンサの品質制御を実行するため少なくとも基準気体及び基準液体に対するセンサからの応答を使用する工程を備えていてもよい。かくして、本実施例では、本方法は、本発明の第3の態様に係るカセットを備える装置上で実行されてもよい。
【0068】
代替例として又は上記に加えて、本方法は、更なる基準気体のコンテナからセンサへと更なる基準気体を提供する工程を更に備え、更なる基準気体は、所定の分圧で同じパラメータを含み、更なる基準気体コンテナは、カセット内に提供されている。この場合には、前記使用工程は、センサを較正し及び/又は該センサの品質制御を実行するため少なくとも基準気体及び基準液体に対するセンサからの応答を使用する工程を備えていてもよい。

代替例として又は上記に加えて、本方法は、第2のコンテナからセンサへと基準液体を提供する工程を更に備え、該基準気体は、所定の分圧で同じパラメータを含み、第2のコンテナは、カセット内に提供されている。この場合には、前記使用工程は、センサを較正し及び/又は該センサの品質制御を実行するため少なくとも基準気体及び基準液体に対するセンサからの応答を使用する工程を備えていてもよい。
【0069】
次の説明では、本発明の好ましい実施例が図面を参照して説明される。
【実施例】
【0070】
図1では、生理学的流体のパラメータを決定するためのシステム10が示されている。システム10は、気体を収容する多数の可撓性コンテナ21と、センサ30、好ましくは複数のセンサの較正又は品質制御を実行するべく使用するための液体を収容する多数の第2の可撓性コンテナ22と、を備えている。これらのセンサは、pH、pCO2、pO2、cK、cNa、cCa、cClcGlu、cLac又はtHbを測定するためのセンサを備えていてもよい。第1の可撓性コンテナ21は、少なくとも周囲圧力に実質的に等しい圧力で基準気体を各々収容している。様々なコンテナ21は、様々に異なる基準気体を収容することができる。例えば、一つのコンテナ21は酸素を収容し、別のコンテナ21は二酸化炭素を収容している。代替例として、コンテナ21は、様々に異なる濃度で同じ基準気体を収容することもできる。更には、コンテナ21は、各コンテナ21内に数種類の気体を収容することができ、気体の濃度は、コンテナ21毎に変わっていてもよい。
【0071】
コンテナ21及び22が可撓性であるので、それらコンテナは、含有物の変更に適合し、それらの含有物が必要とする程度のスペースのみを占めることになる。
ポンプ36は、コンテナ21、22のうち選択されたコンテナから、バルブ等(図示せず)を備えることができる選択システム26を通して、更には、第1の案内管28、センサ30、第2の案内管34を通して、最終的に、カセット20内に存在する消費物コンテナ24へと、気体/液体を引き出すため使用される。
【0072】
なお、上記と同じポンプ36を、システム10を通して、気体並びに液体を伝達させ、これによってセンサ30を通過させるため使用することができる。この態様では、ポンプ36は、例えば気体及び液体の両方の流れ速度を画定することができる。更には、気体コンテナ21が可撓性であり、基準気体の圧力が少なくとも周囲圧力に実質的に等しいので、ポンプ36(又は、気体を強制的に移動させる他の手段)は、コンテナ21からセンサ30へと気体を移動させることが実際に要求され得る。
【0073】
コンテナ21内に周囲圧力で気体を有することの一つの利点は、この気体を、管28及び34内並びにセンサ30内の隣接する液体若しくはサンプル塊の間に分離気体区分として導入することができるという事実である。これらの気体区分は、これらの液体を分離するため使用することができ、それらの間の繰越分を防止又は減少させると共に、すすぎ溶液内で乱流状態を形成して堆積物をより良く除去することができる。このことは、上記に従ってポンプ36及び選択手段26を単に作動させることにより提供することができる。
【0074】
また、図1では、入口38は、生理学的流体のサンプルを収容するため提供される。入口38は、注射器の毛細管若しくはルアー、又は、排気先端キャップを受け入れるように形成されていてもよい。当該サンプルは、次の態様で受け入れることができる。入口プローブは、サンプラーの内側スペースから直接サンプルを吸引するため、サンプラー(図示せず)内へと導入される。該サンプルは、センサ30へと引き込まれ、測定後に、ポンプ36を使用して消費物コンテナ24へと差し向けられる。代替例として、別個のポンプを当該目的のため使用することができる。
【0075】
更には、入口38は、センサ30の品質制御を実行することが望ましい場合には、システム10内へ品質制御サンプルを導入するため使用することができる。
図1では、消費物コンテナ24は空であり、コンテナ21、22は一杯となっている。よって、図1は、コンテナ21、22を備えたカセット20がシステム10内に配置された後、生理学的流体の基準気体、基準液体又はサンプルがセンサ30へと輸送される前におけるシステム10を示している。
【0076】
図2は、コンテナ21、22内の気体/液体の一部が使用され、引き続いて消費物コンテナ24内へと輸送される、後の時点におけるシステム10を示している。更には、生理学的流体の多数のサンプルが測定され、消費物コンテナ24へと輸送することができる。
【0077】
消費物コンテナ24は、図2では、気体がコンテナ24から逃げることを可能にする排気口25を備えている。これは、コンテナ24が、カセット20を溢れさせること無く測定された使用済みの気体/液体及びサンプルの両方を受け入れることもできることを可能にしている。一実施例では、可撓性コンテナ21、22及び24は、図1に示されるように、コンテナ21、22が一杯であり、消費物コンテナ24が空である時、カセット20を完全に膨らませることができる。当該状況では、使用済みの気体も消費物コンテナ24により保持されるべき場合には、生理学的流体のサンプルの追加は、可能とはならない。よって、排気口25を通して使用済み気体を排気することは、消費物コンテナ24内にサンプルのための空間を作ることになる。
【0078】
図1及び図2では、2つの第1のコンテナ21と、3つの第2のコンテナ22とが示されている。しかし、第1のコンテナ21のうち一方が、選択システム26と周囲空気との間の接続によって代用され、これによって、例えば、分離気体区分として周囲空気を使用するため、周囲空気の気体区分をシステム10内へと導入する可能性を提供する。
【0079】
以下、センサ30の較正又は品質制御の関連する態様を説明する。
一般に、高い含有量及び低い含有量の両方の所与の物質又はパラメータをセンサ30により決定させる較正/QCサンプルを有することが望ましい。加えて、高い含有量及び低い含有量の中間の含有量を、例えば器具のQCのため使用することができる。これらのパラメータに基づく実際の較正又は品質制御は周知されている。
【0080】
現在のところ、少なくともより高い酸素濃度が、二酸化炭素と窒素等の不活性希釈剤と共に、気体コンテナ21内に提供される。実際には、本実施例では、より高い酸素濃度及びより低い酸素濃度が気体コンテナ21内に与えられる。加えて、これらの濃度の間の濃度が液体コンテナ22内に存在している。好ましくは、液体コンテナ22は、上部空き高ゼロのコンテナである。
【0081】
他の気体コンテナ21及び液体コンテナ22は、センサ30により生理学的流体内で決定されるべき、類似の高濃度、中間濃度及び低濃度又はレベルの他の物質又はパラメータを収容している。
【0082】
好ましくは、血液パラメータを決定するため、コンテナは、次の表の成分を収容している。
【0083】
【表1】

【0084】
次に、コンテナ21、22からの気体/液体は、所定の順序でセンサ30へ提供される。該センサ30は、通常の態様では、物質/パラメータの含有量を決定し、次に、較正又は品質制御される。
【0085】
図1及び図2では、選択手段26、ポンプ36、及びセンサ30を制御することができる、CPU又は他の制御手段であり得るプログラム可能な装置40が示されている。該装置は、センサ30を品質制御し又は較正するため並びに生理学的流体のパラメータを決定するべくその結果を使用するため要求される計算又は判定を実施する。勿論、プログラム可能な装置40は、例えば、プログラム可能な装置40と、システム10の制御部品26、36、30との間で制御信号を運搬するための電気的ワイヤ若しくは他の適切な接続部を用いて、少なくとも選択手段26、ポンプ36及びセンサ30に作動的に接続されている。
しかし、図1及び図2を明瞭にするため、これらの接続部は図面には示されていない。
【0086】
本可撓性コンテナ21は、図3に示されており、複合層の2つのシート52及び54が、溶接縫い目部56及び58で一緒に溶接されている。コンテナ壁は、使用前に貫通されておらず、コンテナ21の含有物へのアクセスは、シート52又はシート54を貫通することにより達成される。
【0087】
代替例として、複合層の単一のシート52は、気体が充填された状態で、一方の端部で実質的に閉じられ、最終的にその他方の端部で縫い合わされた管を形成するため、その側部で溶接することができる。そのようなコンテナ21は、3つの溶接縫い目を有する。
【0088】
図3Aでは、図3のコンテナ21の複合シート54の断面Aが示されている。複合層は、内側層60がコンテナ21の内部に対面し、よってシート54の内側表面を構成するところの、4つの層60、62、64及び66を備えることが理解される。
【0089】
内側層60の機能は、コンテナ21内において気体との反応度が無いか又はほとんどないこと、並びに、複合層の2層がコンテナ21を形成するように一緒に溶接されるとき良好な密封溶接縫い目を提供することの両方である。実際、たとえ良好な溶接を得ることができたとしても、コンテナ21からの主要な気体拡散は、溶接縫い目56、58を通して発生すると考えられる。よって、これらの溶接縫い目56、58は、コンテナ21のこの部分が、当該機能を扱うための外側層66を持っていないという点で、気体に対して良好な拡散抵抗を持つべきである。
【0090】
外側層66の機能は、主要には、曲げ、アルミニウム層におけるピンホール、望ましくない貫通/破壊から、外側層を保護することであり、印刷のための適切な基礎を形成することである。また、貫通を容易にするため、複合層に所望の剛性を提供することができる。加えて、剛性は、コンテナ21が操作されるべき他の作業において望ましい。外側層66の別の機能は、周囲気体/空気が、例えばアルミニウム等の内側層又は中間層と反応することを防止するため、外側拡散バリアを提供することであり得る。
【0091】
層62及び64は、それらの目的において層60及び66を援助するようにも機能することができる。また、これらの層は、複合層に亘る気体の逃げ又は拡散を防止する拡散バリアであってもよい。
【0092】
複合層の層60、62、64、66が、使用前の輸送及び貫通の間にも互いに取り付けられた状態のままであることを確実にするため、例えばレトルト接着剤等の接着剤が層60、62、64、66を積層するため使用されるのが好ましい。
【0093】
なお、複合層がより少ない層から構成されてもよい。気体を高い酸素含有量で保持するのに適した現在のところ好ましい気体コンテナ21は、70μm厚のポリプロピレン層であるPP70である内側層60と、例えば7ないし9μmの厚さを備えたアルミニウムの拡散バリア層62と、他の層を保護するため、及び、複合層等のラベル付けのためのより良い基礎を提供すると共に複合層等の剛性を増加させるための、12μmの厚さを備えたポリエチレンテレフタレートの層であるPETP12の外側層66と、を備えている。
【0094】
第4の層64(又は、層の目的に応じて、これらの層が交換可能であるときには64)は、より良好な拡散抵抗を提供するため、内側層60及び外側層66の間に設けられていてもよい。この追加の拡散バリア層64は、15μmの厚さを備えた、配向性(二軸)ポリアミドである、OPA15であってもよい。
【0095】
例えば外側層66がOPAである複合層等の他の複合層を使用することもできる。内側層60は、50又は100μmの厚さ等のPE、又は、100μmの厚さ等のPPであってもよい。
【0096】
拡散バリアは、例えば、7,9,12又は18μmの厚さを備えたアルミニウム、又は、PVdC(サラン)等であってもよい。
図4は、可撓性機能を提供する複合層52を備え、かつ、複合層52に例えば溶接等されるように取り付けられた剛性ベース部材68を有するコンテナ21の代替実施例を示している。オプションで、別のより剛性を持つ複合層を、複合層52及びベース部材68の機能を提供するため使用することができる。当然、ベース部材68は、問題とする気体との反応度が無いか又はほとんど無いコンテナ21の内側に面した表面を有する。このベース部材68は、コンテナ21の操作及びコンテナ21上の印刷をより早期になすことを可能にする。また、内部の気体へのアクセスを得るためのコンテナ21の貫通を、ベース部材68において実行することができる。実際、この剛性を備えたものを使用することにより、図1及び図2に示されたカセット20を不必要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、基準気体及び基準液体の任意のものを使用する前に生理学的流体のパラメータを決定するための装置の関連部分を示している。
【図2】図2は、使用期間の後の図1の装置を示している。
【図3】図3及び図3Aは、ラミネートからできた気体コンテナの第1の実施例を示している。
【図4】図4は、気体コンテナの別の実施例を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的流体の気体パラメータを決定する装置のための基準気体を収容するコンテナであって、
前記コンテナは、可撓性材料から形成されたコンテナ壁を備え、該コンテナは少なくとも実質的に気密性であり、かつ、非破壊内側表面を有し、該非破壊内側表面は、基準気体との反応度が低いか又は該基準気体とは反応せず、前記基準気体の圧力は、少なくとも周囲圧力に実質的に等しい、コンテナ。
【請求項2】
前記コンテナは、前記可撓性材料の貫通によって前記基準気体へのアクセスを提供するように構成されている、請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記コンテナは、前記可撓性材料の貫通を容易にするためのアクセス装置を更に備える、請求項2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記可撓性材料は、内側層及び外側層を有する複合層であり、該内側層は、前記コンテナの前記非破壊内側表面の少なくとも一部分を形成する、上記請求項のうちいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項5】
前記複合層は、前記内側層と前記外側層との間に介在された1つ以上の中間層を更に備えている、請求項4に記載のコンテナ。
【請求項6】
前記内側層は、ポリプロピレン又はポリエチレンから作られており、前記中間層の少なくとも1つは、アルミニウムから作られ、前記外側層は、ポリエチレンテレフタレートから作られている、請求項5に記載のコンテナ。
【請求項7】
前記複合層は、配向性ポリアミドから作られ、かつ、前記内側層と前記外側層との間に介在された更なる層を備えている、請求項6に記載のコンテナ。
【請求項8】
前記コンテナ全体は、同じ可撓性材料から作られ、該可撓性材料の内側表面は、前記コンテナの内側表面を形成する、上記請求項のうちいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項9】
前記基準気体は、所定の分圧で酸素を含んでいる、上記請求項のうちいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項10】
前記基準気体は、少なくとも200mmHgの分圧で酸素を含んでいる、請求項9に記載のコンテナ。
【請求項11】
前記基準気体は、所定の分圧で二酸化炭素を含んでいる、上記請求項のうちいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項12】
前記コンテナは、少なくとも事実上剛性の壁と、可撓性材料から作られた1つ以上の壁と、を備え、前記剛性壁の内側表面は、前記コンテナの内側表面の一部を形成する、上記請求項のうちいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項13】
生理学的流体の気体パラメータを決定するため装置の較正及び/又は品質制御を実行するための基準気体のセットであって、
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の第1のコンテナと、
基準液体を収容する第2のコンテナと、
を備える、セット。
【請求項14】
前記基準液体及び前記基準気体の各々は、同じパラメータの分圧を有する、請求項13に記載のセット。
【請求項15】
前記流体の少なくとも1つは、他の多パラメータのレベルを表す多検体基準流体である、請求項13又は14に記載のセット。
【請求項16】
前記セットは、前記パラメータの2つの異なるレベルを表す第1のコンテナと、1つ以上の他のパラメータの3つの異なるレベルを表す第2のコンテナと、を備えている、請求項13ないし15のいずれか1項に記載のセット。
【請求項17】
生理学的流体の気体パラメータを決定するための装置で使用するためのカセットであって、
前記カセットは、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の第1のコンテナを備え、前記カセットは、前記装置からの消費物を受け取るように構成された可撓性消費物コンテナを更に備える、カセット。
【請求項18】
請求項13ないし16のいずれか1項に記載の基準流体のセットを備える、請求項17に記載のカセット。
【請求項19】
生理学的流体の気体パラメータを決定するための装置であって、
前記パラメータを所定の分圧で含んでいる請求項1ないし12のいずれか1項に記載の第1のコンテナと、
基準気体入口と、
前記パラメータに感度を有するセンサと、
前記センサに前記基準気体を導くための案内装置と、
前記装置の機能を制御するためのプログラム可能な装置と、
を備える、装置。
【請求項20】
前記装置は、請求項13ないし16のいずれか1項に記載の基準流体のセットを備える、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、請求項17又は18に記載のカセットを備える、請求項19又は20に記載の装置。
【請求項22】
生理学的流体の気体パラメータを決定するセンサの較正及び/又は品質制御を実行するための方法であって、
前記パラメータを所定の分圧で含む基準気体を収容する、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の第1のコンテナを貫通させ、
前記センサに前記基準気体を提供し、
前記センサを較正し及び/又は該センサの品質制御を実行するため少なくとも前記基準気体に対する前記センサからの応答を使用する、各工程を備える、方法。
【請求項23】
前記第1のコンテナはカセット内に設けられ、
前記方法は、第2のコンテナから前記センサへと基準液体を提供する工程を更に備え、前記基準液体は、前記と同じパラメータを所定の分圧で含み、前記第2のコンテナは、前記カセット内に設けられており、
前記使用工程は、前記センサを較正し及び/又は該センサの品質制御を実行するため少なくとも前記基準気体及び前記基準液体に対する前記センサからの応答を使用する工程を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のコンテナは、カセット内に設けられ、
前記方法は、更なる基準気体コンテナから前記センサへと更なる基準気体を提供する工程を更に備え、
前記更なる基準気体は、前記と同じパラメータを所定の分圧で含み、前記更なる基準気体のコンテナも前記カセット内に設けられており、
前記使用工程は、前記センサを較正し及び/又は該センサの品質制御を実行するため少なくとも前記基準気体に対する前記センサからの応答を使用する工程を備える、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のコンテナは、カセット内に設けられ、
前記方法は、第2のコンテナから前記センサへと基準液体を提供する工程を更に備え、
前記基準液体は、前記と同じパラメータを所定の分圧で含み、前記第2のコンテナも前記カセット内に設けられており、
前記使用工程は、前記センサを較正し及び/又は該センサの品質制御を実行するため少なくとも前記基準気体及び前記基準液体に対する前記センサからの応答を使用する工程である、請求項22ないし24のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−506129(P2008−506129A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520663(P2007−520663)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000489
【国際公開番号】WO2006/005347
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(500554782)ラジオメーター・メディカル・アー・ペー・エス (20)
【Fターム(参考)】