説明

基盤内の物体を検出するための検出装置および方法

【課題】基盤内の物体を検出するための装置および方法を広範囲に改良し、操作員が、物体が基盤のどこに位置するのか空間的な割当てを得られるようにすることである。さらに、操作員が検出する場合の手間が減じられることが望ましい。
【解決手段】センサユニット(44;101;121)の少なくとも1つの別のセンサ素子(48.2,48.3;102.2〜102.4;122.2〜122.5)により少なくとも1つの別の受信信号(52.2〜52.5)を同時に受信する別のステップと、制御・評価ユニット(46)によって少なくとも1つの別の受信信号(52.2〜52.5)から少なくとも1つの別の深部断面図(69.2〜69.5;85.2〜85.5,86.2〜86.5)を同時に計算するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の基盤内の物体を検出するための方法ならびに請求項10の上位概念部に記載の特徴を有する基盤内の物体を検出するための検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基盤内で検出される典型的な物体は、水道管、鉄筋、電気および給電線、吸湿装置および中空空間である。「物体」という概念は、この特許出願では、基盤に埋設されており、まとまっている任意の堅固な物体、液状およびガス状の物体である。給電線は、事故の危険性に基づき、破断した場合には高い信頼性をもって検出装置によって検出される必要がある。給電線は、送電を行う電気線であり、作動時には基盤の給電線を検出するために利用できる磁場が生成される。電話ケーブルまたはアンテナケーブルは、電気線であるが、極わずかな電流のみを伝達するものであり、本願の「給電線」の概念の定義にはあてはまらない。
【0003】
特許文献1は、基盤内の物体を検出するための方法および装置を開示している。検出装置は、センサユニット、制御・評価ユニットおよび表示ユニットを備える。制御・評価ユニットは、第1および第2リアルタイム通信接続部を介してセンサユニットおよび表示ユニットに接続されている。この場合、「リアルタイム通信接続部」という概念は、時間的遅延のない通信接続部の他に、センサユニットによる受信信号の検出と、表示ユニットにおける深部断面図の表示との間の時間的遅延が極めて小さく、これにより、表示ユニットの深部断面図が実質的にセンサユニットの実際位置における基盤の深部断面図を示す通信接続部を含む。
【0004】
検出装置は、基盤の表面を平行な線形の測定軌道で案内される。センサユニットにより検出される受信信号は、別の断面線の走査時に第1リアルタイム通信接続部を介して、基盤の深部断面図を計算する制御・評価ユニットに伝達される。基盤の深部断面図は、別の断面線の操作時に第2リアルタイム通信接続部を介して、制御・評価ユニットから表示ユニットに伝達され、表示ユニットに表示される。操作員のための見通しおよび空間的配向を改善するために、深部断面図は特に、物体を表示するための深さ目盛およびグラフィックパターンを含む。
【0005】
基盤の所定の面を検出するために、複数の平行した測定軌道で基盤の表面にわたって検出装置を案内しなければならないことが欠点である。個々の測定軌道の深部断面図は、いわばリアルタイムに表示ユニットに表示されるが、平行した測定軌道の深部断面図は同時に表示されず、操作員は、物体が基盤のどこに位置するのかを空間的に把握できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ国特許出願第10205002号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、基盤内の物体を検出するための装置および方法を広範囲に改良し、操作員が、物体が基盤のどこに位置するのかを空間的に把握できるようにすることである。さらに、操作員が検出する場合の手間が減じられることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、冒頭で述べた基盤内の物体を検出するための方法において、独立請求項1に記載の特徴によって、また冒頭で述べた基盤内の物体を検出するための装置において、独立請求項10に記載の特徴によって解決される。有利な構成が従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明に係る基盤内の物体を検出するための方法は、センサユニットの別のセンサ素子により少なくとも1つの別の受信信号を同時に受信する別のステップ、および、制御・評価ユニットにより少なくとも1つの別の受信信号から少なくとも1つの別の深部断面図を同時に計算するステップを含むことを特徴とする。1つの受信信号と同時に別の受信信号が受信されることにより、制御・評価ユニットは少なくとも1つの別の深部断面図を計算することができる。地盤上で検出装置が前進移動される場合に複数の断面図が計算され、表示ユニットに表示され、これにより、操作員が検出する場合の手間が減じられる。
【0010】
好ましくは、平面図が深部断面図から計算されて表示ユニットに表示され、平面図は、第1深さと第2深さとの間の深さ範囲にわたる平均値、メジアン、最大値または重み付け合計として計算される。操作員は、基盤のどこに物体が位置するのかについて、平面図から直接に空間的な印象を得る。特に好ましくは、第1および第2深さは調節可能であり、操作員は、平面図に表示される物体を所定の深さ範囲に制限することができる。
【0011】
平面図には、特に好ましくは閾値を超過した物体のみが表示され、閾値は好ましくは調節可能である。閾値が調節できることにより、操作員は、平面図の表示を自身の要求に適合させることができる。閾値を超えた不自然な結果および障害は取り除くことができるので、操作員が示したいと望む物体だけが平面図に示される。
【0012】
特に好ましくは、深部断面図は補間される。深部断面図の補間により、平面図における物体の解像度を高めることができる。補間は、例えば線形前進移動で基盤上を移動される案内式の検出装置に適している。前進方向に対して垂直な水平方向における物体の解像度は実質的にセンサエレメントの数によって規定されるのに対し、前進方向に高度な走査が行われることにより物体の高解像度が得られる。深部断面図の補間により、水平方向の解像度を高めることができる。
【0013】
好ましい実施形態では、別のセンサユニットのセンサ素子によりさらなる受信信号が受信される。物体の受信信号を受信するために異なるセンサ特性を有する複数のセンサユニットを使用することにより、測定品質および測定の信頼性を高めることができる。「センサ特性」という概念には、大きさ、位置、配向、センサ種類などセンサユニットの全ての特性が要約されている。レーダセンサの場合には、偏波(線形、円形、平行、垂直方向)、帯域幅、周波数帯域、変調形式などのセンサ特性が挙げられ、誘導センサの場合には、振幅、周波数範囲、励起パターン、感度、帯域幅などの他のセンサ特性が挙げられる。
【0014】
方法の好ましい変化態様では、センサユニットは第1前進方向および第2前進方向に平行した測定軌道で基盤上を移動され、第1および第2前進方向に受信信号から複数の深部断面図が計算される。この場合、特に好ましくは、第1および第2前進方向の深部断面図から共通の平面図が計算され、表示ユニットに表示される。個々の測定軌道の深部断面図から共通の平面図が計算され、表示ユニットに表示されることにより、より大きい面領域を検出し、共通の測定結果として表示することもできる。
【0015】
1つのセンサユニットの受信信号および別のセンサユニットの受信信号から、第1変化態様では制御・評価ユニットによって共通の深部断面図が計算され、共通の深部断面図から平面図が計算される。共通の深部断面図および共通の平面図は、全ての物体が1つの図に表示されるという利点を有する。さらに物体の種類を検出するときの信頼性が高められる。
【0016】
1つのセンサユニットの受信信号および別のセンサユニットの受信信号から、第2変化態様では制御・評価ユニットによって別個の深部断面図、およびこれら別個の深部断面図から別個の平面図が計算される。別個の深部断面図および別個の平面図は、深部断面図および平面図のための表示および計算パラメータを深さ範囲および検出すべき物体に適合させることができるという利点を有する。
【0017】
基盤内の物体を検出するための装置では、本発明によれば、センサユニットは少なくとも1つの別のセンサ素子を備え、制御・評価ユニットは、センサ素子の受信信号から同時に深部断面図を計算するように構成されている。複数のセンサ素子を有するセンサユニットは、同時に複数の受信信号が受信され、制御・評価ユニットにより平行した深部断面図が計算されることを可能にする。
【0018】
好ましくは、制御・評価ユニットは、深部断面図から平面図を、第1深さと第2深さと間の深さ領域にわたる平均値、メジアン、最大値または重み付け合計として計算し、表示ユニットに表示し、第1深さおよび第2深さは、特に好ましくは調節可能に構成されている。上記数学関数、中間値、メジアン、最大値、重み付け合計の他に、平面図を計算するためにあらゆる適宜な数学関数を用いることができる。平面図から、操作員は基盤に対する物体の空間的な位置を直接的に把握することができる。第1および第2深さが調節可能であることにより、基盤の異なる深さに埋設されている物体を互いに別個に平面図で示すことができる。操作員は、平面図で示される物体を種々異なる深さ範囲に制限することができる。
【0019】
好ましくは、平面図に表示される水平方向の面領域は、第1水平方向および第2水平方向に個々に調節可能に構成されている。その水平方向の面領域の調節可能性により、操作員は自分に関心のある面領域に平面図を制限することができる。表示ユニットの大きさは制限されているので、平面図の寸法を調節して水平方向面領域に適合させることができる。
【0020】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの深部断面図および平面図は同時に表示ユニットに表示可能である。この場合、表示ユニットに表示された深部断面図は、特に好ましくはロッカースイッチにより調節可能であり、ロッカースイッチの位置は平面図に表示されている。操作員は、ロッカースイッチによって深部断面図の間で切換を行うことができる。ロッカースイッチの位置が平面図に表示されていることにより、深部断面図のどの個所を観察しているかが操作員にわかるようになっている。
【0021】
好ましい実施形態では、第1センサユニットには第1センサ素子および第2センサ素子が設けられており、第2センサユニットには第3センサ素子が設けられており、第3センサ素子は、少なくとも1つのセンサ特性において第1および第2センサ素子とは異なっている。異なるセンサ種類を用いることにより、または異なるセンサ特性を有する1つのセンサ種類を用いることにより、異なる物体および物体の各々の深さを信頼性良く検出することができる。例えば、コイル形式の誘導センサは、小さいコイル直径では信頼性良く表面近傍および相互に近接している物体(間隔が狭い)を検出し、これに対して大きいコイル直径のコイルは、表面から離間した物体を信頼性良く検出する。誘導センサにおいて小さいコイルと大きいコイルとを組み合わせることにより、表面近傍の物体ならびに表面から離間した物体が信頼性良く検出される。検出装置の使用分野に応じて、既知の全てのセンサ素子を相互に組み合わせることができる。
【0022】
特に好ましくは、第1センサユニットは任意の物体を検出するように構成されており、第2センサユニットは給電線を検出するように構成されている。給電線は、給電性破断時の事故危険性より、高い信頼性をもって検出装置によって検出される必要がある。給電線を検出するためにのみ設けられた第2センサユニットにより、給電線の検出信頼性が高められる。第1センサユニットによって、例えば基盤内の物体の空間的配置を決定し、第2センサユニットによって、どの物体が電流線であるかを決定することができる。
【0023】
特に好ましくは、第1表示モードでは第1センサユニットの測定結果が、第2表示モードでは第2センサユニットの測定結果が、第3表示モードでは、第1および第2センサユニットの測定結果が表示ユニットに表示可能である。2つの異なるセンサユニットを備える検出装置では、制御・評価ユニットは共通の深部断面図および/または別個の深部断面図を計算する。共通の深部断面図から共通の平面図が計算され、表示ユニットに表示される。共通の深部断面図および共通の平面図は、全ての物体を1つの図に表示できるという利点を有する。別個の深部断面図、これにより計算される別個の表面図は、同時に、または順次に表示ユニットに表示することができる。
【0024】
以下に本発明の実施例を図面に基づき説明する。図面は実施例を必ずしも実寸大で示すものではなく、むしろ、説明のために役立つものとして概略的に、わずかに変形して示されている。図面から直接に認識できる教示を補足する観点から、従来技術を参照されたい。この場合、本発明の一般的な思想から逸脱することなしに多様な改変および変更を実施形態の形式および詳細に関して行うことができることが考慮されるべきである。詳細な説明、図面および請求項に開示された本発明の特徴は、本発明のさらに改良するために個々に、または任意の組み合わせとして重要な意味を持つ。特に、詳細な説明、図面および/または請求項に開示された少なくとも2つの特徴の全ての組み合わせが本発明に該当する。本発明の一般的な思想は、以下に示し、説明する好ましい実施形態の正確な形式または詳細に制限されない。または請求項に記載の対象に比較して制限されている対象に制限されない。所与の測定範囲では、上記限界内の値も限界値として開示されるべきであり、任意に使用可能および請求可能であるべきである。簡略化のために、以下では同一または類似機能を有する同一または類似部分には等しい符号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】鉄格子が埋め込まれたコンクリート底部と、レンガからなる後壁とを備え、水平方向および垂直方向に延びる給電線を有する内部空間で使用される本発明による検出装置を示す図である。
【図2A】本発明による手動式検出装置の第1実施形態における検出すべき基盤に対向しない検出装置の上面を示す図である。
【図2B】第1センサユニットおよび第2センサユニットを備える測定装置が内部に配置され、検出装置で検出すべき基盤に対向する下面を示す図である。
【図3A】3つのセンサ素子を有する図2Bの第1センサユニットの概略図である。
【図3B】2つの異なる方向の磁界勾配を測定する4つの第1磁界センサ素子および3つの第2磁界センサ素子を有する電流センサユニットとして構成された図2Bの第2センサユニットを示す図である。
【図4】第1作動モードで前進方向に検出すべき基盤上を移動される図2の検出装置の測定結果を示す平面図および深部断面図である。
【図5A】第2作動モードで平行した軌道で、2つの直交する前進方向に検出すべき基盤上を移動される図2A、図2Bの検出装置を示す図である。
【図5B】第2作動モードで検出装置の測定記録を示す平面図および2つの深部断面図である。
【図6A】列および行に規則的に配置された4つのセンサ素子を有する保持式の検出装置のためのセンサユニットの第1実施形態を示す図である。
【図6B】ずらして配置された5つのセンサ素子を備えるセンサユニットの第2実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、内部空間2の物体を検出するための本発明による装置1の使用法を示す。検出装置1は、保持式または案内式の検出装置として構成されている。保持式の検出装置は、押込み運動なしに検出すべき基盤で保持され、案内式の検出装置は、線形軌道または任意の軌道に沿って検出されるべき基盤上を案内される。操作員が検出すべき基盤で手により保持または案内する検出装置は手動保持式または手動案内式と呼ぶ。
【0027】
内部空間2は、底部3、右および左側壁4,5、後壁6ならびに天井7からなる。底部3は、鉄格子8が埋め込まれたコンクリートカバーからなる。後壁6は、壁石材もしくはレンガ9から組み立てられている。後壁6には、水平方向に配置された給電線11および水平方向に配置された給電線11から分岐して垂直方向に配置された給電線12.1,12.2,12.3が延びている。
【0028】
図2Aは、ケーシング22と、グリップ23と、4つのホイール25を有する移動ユニット24と、表示ユニット26と、操作ユニット27とを備える手動案内式の検出装置21の第1実施形態を示す。
【0029】
使用者は、グリップ23および移動ユニット24により前進方向28に、例えば底部3または後壁6として構成された検出すべき基盤で検出装置21を案内する。グリップ23は、測定時に基盤3,6に対向しない検出装置21の上面29に配置されており、ケーシング22と結合されている。表示ユニット26はディスプレイ30を備え、ディスプレイ30には検出装置21の測定結果が測定画像として表示される。
【0030】
操作装置27は、測定を開始し、検出装置21を調節するための役割を果たす。測定ユニット27は、第1および第2操作ユニット31A,31Bからなり、これらの操作ユニットはディスプレイ30と並んで上面29に配置されている。第1操作ユニット31Aは、検出装置21をスイッチオン・オフするためのオン・オフキー32と、ディスプレイ30に線形マークまたは十字マークを位置決めし、変位させることのできるロッカースイッチ33と、2つのほかの操作キー34,35とを備える。第2操作ユニット31Bは、ディスプレイ30に表示されているファンクションメニューの種々異なるファンクションを起動するための5つのファンクションキー36A〜36Bを備える。さらに操作ユニット27は、測定を開始および終了するために、グリップ23に配置された2つの開始/終了キー37A,37Bを備える。
【0031】
検出装置21の検出フィールドは制限されており、ケーシング22の全長に対応していない。検出フィールドの制限は、ケーシング22の右側のケーシング縁部では右上側および右下側のマーク39A,39Bによって示され、左側のケーシング縁部では左上側および左下側のマーク38A,38Bによって示される。マークによって、操作員は、検出すべき基盤に検出装置21を配置することができる。検出フィールドの中央は、上側ケーシング縁部および下側ケーシング縁部に、上側および下側マーク40A,40Bによって示される。
【0032】
図2Bは、検出装置21における検出時に基盤3,6に対面する下面42を示す。下面42には、ケーシング22の内側に測定装置43が位置する。測定装置43は、センサユニット44、第2センサユニット45、制御・評価ユニット46および電圧源47を備える。
【0033】
制御・評価ユニット46は、第1および第2センサユニット44,45を制御し、センサユニット44,45によって受信した受信信号を評価し、測定画像の形態で測定結果を表示ユニット26に出力するための役割を果たす。制御・評価ユニット46は、リアルタイム通信接続を介して第1および第2センサユニット44,45に接続されており、別のリアルタイム通信接続を介して表示ユニット26に接続されている。電圧源47は、第1センサユニット44、第2センサユニット45、制御・評価ユニット46および表示ユニット26に接続されており、ユニット44,45,46,26に測定動作に必要な電力を供給する。
【0034】
第1センサユニット44は、センサ素子48.1〜48.3を備える。センサ素子48.1〜48.3は、誘導センサ、容量センサ、レーダセンサ、磁界センサなど、基盤内の物体を検出するために適したセンサとして形成されている。
【0035】
センサ素子48.1〜48.3は、水平面に対して平行に第1列および第2列にずらしてケーシング22の下面に配置されている。水平面は、第1および第2水平方向X,Yによって規定されており、Y方向は前進方向28に対して平行に延びている。Z方向は、水平なYおよびY方向に対して垂直に基盤に向かう方向として規定されている。センサ素子48.1〜48.3はずらされた配置で配置されている。この配置ではセンサ素子は、列および行に規則的に配置されているのではなく、前後列もしくは前後行の中間スペースに配置されている。センサ素子48.1,48.2は第1列に配置されており、センサ素子48.3は、第2列のセンサ素子48.1とセンサ素子48.2との間に配置されている。
【0036】
検出装置21は、測定時には前進方向28に所定の進行速度で検出すべき基盤上を移動される。測定装置43は、さらに前進方向28の座標を検出する座標検出ユニット49を備える。任意の前進運動を行うことができる手動案内式の検出装置では、座標検出ユニットによって、ケーシング22の下面に平行な一平面の座標を検出することができる。
【0037】
測定は、50〜5.000Hzの繰返し周波数により繰り返される測定ステップからなる。測定ステップは3つの部分測定ステップからなる:第1部分ステップでは、第1レーダセンサ素子48.1が第1送信信号TX1を送信し、3つのレーダセンサ素子48.1〜48.3はそれぞれ受信信号TX1/RX1, TX1/RX2, TX1/RX3を受信する。第2部分ステップでは、第2レーダセンサ素子48.2が第2送信信号TX2を送信し、3つのレーダセンサ素子48.1〜48.3はそれぞれ受信信号TX2/RX1, TX2/RX2, TX2/RX3を受信する。第3部分ステップでは、第3レーダセンサ素子48.3が第3送信信号TX3を送信し、3つのレーダセンサ素子48.1〜48.3はそれぞれ受信信号TX3/RX1, TX3/RX2, TX3/RX3を受信する。送信モードでは常に1つのレーダセンサ素子のみが送信信号を送信し、受信モードでは全てのレーダセンサ素子48.1〜87.3が受信信号を受信するように、レーダセンサ素子48.1〜48.3が制御・評価ユニット46によって制御される。センサ信号TX1,TX2,TX3を送信する3つのセンサ素子48.1〜48.3では、9個の受信信号が生じる。
【0038】
図3Aは、3つのセンサ素子48.1,48.2,48.3を有する第1センサユニット44の。9個の受信信号TXi/RXj, (i, j =1, 2, 3)の空間的割り当てを説明する概略図を示す。
【0039】
9個の受信信号はTXi/RXj, (i, j =1, 2, 3)は、3つのモノスタティック受信信号TXi/RXj, (i, j =1, 2, 3)および6つのバイスタティック受信信号TXi/RXj, (i, j =1, 2, 3)およびi≠jを含む。モノスタティックとは、1つのセンサ素子が送信し、同時に受信するモードであり、バイスタティックとは、1つのセンサ素子が送信し、別のセンサ素子が受信するモードである。9つの受信信号は、XY平面に6つの限定された面領域に割り当てられる。それぞれのセンサ素子47.1,47.2,47.3はモノスタティック面領域50.1,50.2,50.3に割り当てられている。モノスタティック面領域50.1,50.2,50.3にはモノスタティック受信信号TXi/RXj, (i, j =1, 2, 3)が割り当てられる。モノスタティック面領域50.1,50.2,50.3は、XY平面に座標X1/Y1, X5/Y1およびX3/Y3を含む。
【0040】
図3Aは、バイスタティック面領域と呼ばれる他の3つの限定された面領域51.1,51.2,51.3を示す。バイスタティック受信信号TX1/RX2およびTX2/RX1は平均化され、平均化された信号はバイスタティック面領域51.1に割り当てられる。バイスタティック面領域51.1は、第1面領域50.1と第2面領域50.1の間に配置され、XY平面の座標X3/Y1を含む。バイスタティック受信信号TX1/RX3およびTX3/RX1は平均化され、平均化された信号はバイスタティック面領域51.2に割り当てられる。バイスタティック面領域51.2は、第1面領域50.1と第3面領域50.3の間に配置され、XY平面の座標X2/Y2を含む。バイスタティック受信信号TX2/RX3およびTX3/RX2は平均化され、平均化された信号はバイスタティック面領域51.3に割り当てられる。バイスタティック面領域51.3は、第2面領域50.2と第3面領域50.3の間に配置され、XY平面の座標X4/Y2を含む。平均値形成の他に、バイスタティック受信信号から、例えばメジアン、最大値または重み付け合計を計算することができる。「平均化された信号」という概念は、平均値、メジアン、最大値、重み付け合計など適宜な数学的関数によってバイスタティック受信信号から計算された信号として理解される。
【0041】
前進方向28に沿って前進速度で移動される6つの面領域50.1〜50.3,51.1〜51.3は、中心点と幅によって規定される5つの受信路52.1,52.2,52.3,52.4,52.5を形成する。受信路52.1〜52.5の中心点は、X座標X1, X2, X3, X4 X5に相当し、受信路52.1〜52.5の幅は面領域の幅に相当する。検出装置21の前進方向の前進によりY座標が変更される。座標検出ユニット49は、面領域50.1〜50.3,51.1〜51.3のY座標を検出するか、もしくは面領域50.1〜50.3,51.1〜51.3に対して既知の間隔をおいて配置された基準座標を検出する。
【0042】
前進時には受信信号が検出され、検出された受信信号から既に深部断面図の一部が計算される。深部断面図のこの部分は、リアルタイム通信接続を介して制御・評価ユニット44から表示ユニット26に伝達される。深部断面図は前進時に規則的に更新される。受信路52.1〜52.5は、受信信号が表示され、規則的に更新された痕跡を形成する。
【0043】
図3Bは、検出装置21の第2センサユニット45を拡大図で示す。第2センサユニット45は、給電線を検出するための電流センサユニットとして構成されており、配線板55に交互に固定された4つの第1磁界センサ素子53.1,53.2,53.3,53.4および3つの第2磁界センサ素子54.1,54.2,54.3を備える。配線板55は、第1および第2磁界センサ素子53.1〜53.4,54.1〜54.3を機械的に固定し、電気的に接続するための保持素子としての役割を果たす。配線板55に配置された接続素子56は、配線板55を制御・評価ユニット46に接続する。
【0044】
第1磁界センサ素子53.1〜53.4は第1磁界勾配ΛBxを第1水平方向Xに検出し、第2磁界センサ素子54.1〜54.3は第2磁界勾配ΛBzを深さ方向Zに検出する。検出時に均質な直流磁場を除去するために、第1および第2磁界センサ53.1〜53.4,54.1〜54.3は勾配センサ素子として構成されており、差分値ΛBx,ΛBzを計算する。隣接する第1および2磁界センサ素子の差分値ΛBx,ΛBzから、平均値ΛBxz= sqrt[(ΛBx)2 + (ΛBz2)]が計算される。図3Bに示した4つの第1磁界センサ素子53.1〜53.4および3つの第2磁界センサ素子54.1〜54.3を有する電流センサユニット45は、第1の水平方向Xに沿って6つの異なるX座標に割り当てられた6つの測定値ΛBxz,1〜ΛBxz,6を供給する。制御・評価ユニット46は、測定値ΛBxz,1〜ΛBxz,6から基盤内の給電線の延びを検出し、給電線を有する基盤の水平方向図(XY図)を表示ユニット26に伝達する
図4は、表示ユニット26のディスプレイ30を示す。ディスプレイ30には、検出装置21が線形の前進運動で前進方向28に沿って基盤に移動される第1作動モードにおける検出装置21の測定画像が表示される。第1作動モードでは、X方向の測定幅は検出フィールドの幅に制限されている。検出フィールドの幅は、検出装置21のケーシング22の上側および下側マーク38A,38B,39A,39Bによって操作員に示される。X方向の解像度は、受信信号52.1〜52.5の数によって規定されている。
【0045】
検出装置21は、第1センサユニット44および第2センサユニット45を備える。操作員は、測定が第1センサユニット44もしくは第2センサユニット45により行われるべきか、または第1および第2センサユニット44,45によって行われるべきかを決定する。図3は、第1センサユニット44で記録された測定画像を示す。
【0046】
ディスプレイ30は、第1作動モードで測定画像を表示する際に3つのメインフィールドに分割される:ディスプレイ30の左側縁部の第1メインフィールド60には、5つのファンクション61A〜61Eを含むファンクションメニューが示される。それぞれのファンクション61A〜61Bは、左側に位置する第2操作ユニット31Bのファンクションキー36A〜36Eによって起動される。第2メインフィールド62は、ディスプレイ30の中央領域に配置されており、測定画像を表示するための役割を果たす。第2メインフィールド62は、第1作動モードにおいては互いに上下に配置された3つの部分領域にさらに分割される:上部領域63には平面図が示され、中央部領域64には深部断面図が示され、下部領域65には割り当てられた目盛が示されている。ディスプレイ30の右側縁部の第3メインフィールド66には、操作員のために様々な情報が示されている。第3メインフィールド66は、上側のステータス領域67と下側の情報領域68にさらに分割されている。ステータス領域67の表示は、特に電圧源46の充電状態またはメモリーカードに関する情報を含み、情報は絵文字の形で表示される。情報領域68には、測定画像の現在の座標が表示される。
【0047】
深部断面図は、XY平面に対して垂直に延びる平面における測定結果の二次元図である:深部断面図は、垂直方向軸線に深さ方向が表示され、水平方向軸線にXY平面が表示されている。線形の前進移動時には、水平方向は特に前進方向に相当する;手動保持式の検出装置または手動案内式の検出装置の任意の起動に沿った移動時には、水平方向は、特に検出装置によって規定された優先方向、例えばケーシング縁部に相当する。深部断面図には、生データ、すなわち双曲線として形成された受信信号またはさらに処理された受信信号が示される。受信信号は、基盤内の物体に関する情報を獲得するための画像処理方法およびパターン検出方法によって処理される。さらに処理された受信信号を用いた深部断面図には、物体が幾何学的に表示される;物体の形状および大きさが様々な色で示される。
【0048】
平面図は、XY平面における測定結果の二次元図であり、第1深さと第2深さの間の深さ範囲にわたる平均値、メジアン、最大値、重み付け合計またはその他の適宜な数学的な関数として深部断面図から計算されたものである。この場合、深さ範囲は、第1および第2深さまたは層深さおよび層厚さで規定される。平面図を平均化する深さ範囲は、第1操作ユニット31Aのロッカースイッチ33によって調整可能に形成されている。平面図では、設定された深さ範囲内に位置する物体のみが示されている。設定された深さ範囲外に位置する他の全ての物体は平面図には表示されない。
【0049】
中央の部分領域64は、基盤内の物体がパターン検出により同定された受信路52.1の第1深部断面図69.1を示す;断面図には鉄格子8を見ることができる。深部断面図は、垂直軸線による深さ方向Zと水平軸線による第1水平方向28とによって規定される。第1受信路52.1の第1深部断面図69.1の他に、他の受信路53.2〜53.5のための他の深部断面図69.2〜69.5が格納されている。深部断面図69.1〜69.5の断面図間の遷移は未処理のままであるか、または既知の補間方法によって補間される。操作員は、ロッカースイッチ33によって深部断面図69.1〜69.5の間で切換を行うことができる。
【0050】
上部領域63は、第1深さzと第2深さz+Λzとの間の深さ範囲にわたる深部断面図69.1〜69.5から計算した平面図70を表示する。鉄格子8の格子バーは、パターン検出方法によって、平均化された受信信号から検出され、平面図70に格子バーとして表示される。操作員は、深部断面図69.1〜69.5および平面図70の色表示において複数の色パターンを選択することができる。色パターンは、異なった表示を行い、周辺の明るさに適合させるための役割を果たすものであり、さらなる機能は有していない。
【0051】
ディスプレイ30の第2メインフィールド62には、複数の垂直方向および水平方向の区画線が配置されている。これらの区画線は部分的にロッカースイッチ33によって変位可能である。ロッカーアーム33は、ファンクションメニューにより異なった設定の間で調整可能である;ステータス領域67にはロッカーアーム33の現在の設定が表示されている。第1設定では深部領域の層深さおよび層厚さがロッカーアーム33によって調節可能である。図4は、実線により垂直方向の区画線71を示し、点線により2つの垂直方向の区画線72A,72Bを示し、実線および破線により水平方向の区画線73,74を示している。実線による垂直方向の区画線71は、検出フィールドの中央を示し、ケーシング22の上側縁部および下側縁部におけるマーク40A,40Bの位置に相当する。点線で示した垂直方向の区画線72Aは、検出装置22の右側のケーシング縁部を示し、点線で示した垂直方向の区画線72Bは検出装置22の左側のケーシング縁部を示す。実線で示した水平方向の区画線73は層深さを規定し、破線で示した水平方向の区画線74は層範囲の層厚さを規定する。現在の位置の検出フィールド(x)の中心、層深さ(z)および層厚さ(Λz)についての情報は、情報領域68に表示されている。図4に示した平面図は、20mm〜80mmの深さ範囲にわたって平均化されており、層深さは20mm、層厚さは60mmである。検出フィールドの中心は、X座標0.96mに位置する。
【0052】
操作員は、第1および第2センサユニット44,45による測定を行う場合、表示モードを選択することができる。第1表示モードでは、制御・評価ユニット46は第1および第2センサユニット44,45の受信信号から別個の深部断面図および平面図を計算し、これらを同時に、または順次に表示ユニット26に表示する。第2表示モードでは、制御・評価ユニット46は、第1および第2センサユニット44,45の受信信号から共通の深部断面図および共通の平面図を計算する。
【0053】
図5A,Bは、第2作動モードにおける検出装置21を示す。第2作動モードにおいては、複数の平行した測定軌道で2つの垂直な前進方向に検出装置21が基盤上を移動される。個々の測定軌道の検出結果は自動的に組み合わされ、これにより、より大きい面領域の測定画像が得られる。
【0054】
図5Aは、基盤における測定軌道の配置を概略的に示す。測定軌道をできるだけ正確に相互に整列するために、測定グリッドが、基盤に貼り付けられるか、または基盤に直に描かれる。測定装置21は、第1前進方向75に平行した複数の測定軌道76.1〜76.6で基盤上を移動される。次いで検出装置21は、第1前進方向75に対して垂直方向の第2前進方向77に平行した複数の測定軌道78.1〜78.6で基盤上を移動される。
【0055】
図5Bは、第2作動モードで生成された測定画像を表示する検出装置21のディスプレイ30を示す。測定画像は、異なる表示パラメータにより、測定中や測定後に異なる形式で表示することができる。ディスプレイ30の第2メインフィールド62は、検出装置21の第2作動モードでは、長方形の形で配置された4つの部分領域に分割されている。左上の部分領域81には平面図が表示され、右上の部分領域82には第1深部断面図が表示され、左下の部分領域83には第2深部断面図が表示され、右下の部分領域84には、第1および第2深部断面図のために割り当てられた目盛が表示されている。
【0056】
右上の部分領域82の第1深部断面図は、深さ方向Zおよび第2前進方向77によって規定された深部断面図85.1を示す。他の深部断面図85.2〜85.30は、第2前進方向77に対して垂直方向に、すなわち第1前進方向75に格納されている;6つの平行した測定軌道76.1〜76.6および測定軌道ごとに5つの受信路から30の深部断面図が生じる。左下の部分領域83の第2深部断面図は、深さ方向Zおよび第1前進方向75によって規定された深部断面図86.1を示す。他の深部断面図86.2〜86.30は、第1前進方向75に対して垂直方向に、すなわち第2前進方向77に格納されている;6つの平行した測定軌道78.1〜78.6および測定軌道ごとに5つの受信路から30の深部断面図が生じる。左上の部分領域81は、第1深さzと第2深さz+Λzとの間の深さ範囲にわたって第1および/または第2深部断面図から計算された平面図87を示す。図5に示した平面図87は、40mm〜75mmの深さ範囲にわたって平均化されており、層深さzは40mm、層厚さΛzは35mmである。
【0057】
深部断面図85.1,86.1には、実線による区画線88および破線による区画線89が配置されており、これらはロッカースイッチ33によって切換可能である。実線で示した区画線88は層深さzを規定し、破線で示した区画線89は層範囲の層厚さΛzを示す。情報領域68には、XおよびY方向(x,y)、層深さ(z)および層厚さ(Λz)における交差線(ロッカースイッチ)および深部断面図についての現在の位置情報が表示されている。
【0058】
図6Aは、2列および2行に規則的に配置された4つのセンサ素子102.1〜102.4を有するセンサユニット101の第1実施形態を示す。それぞれのセンサ素子102.1〜102.4は、送信モードでは送信素子として作動し、受信モードでは受信素子として作動する。4つのセンサ素子102.1〜102.4が上述のように制御・評価ユニット46によって制御され、いずれか1つのセンサ素子が送信して全てのセンサ素子が受信するプロセスが全てのセンサ素子のそれぞれについて行われる場合には、9個の受信領域を有する受信フィールドが生じる。
【0059】
9個の受信領域は、3種類の受信領域に分類することができる。それぞれのセンサ素子102.1〜102.4には、それぞれモノスタティック受信信号を示すモノスタティック受信領域103.1〜103.4が直接に割り当てられる;したがって4つのモノスタティック受信領域103.1〜103.4が生じる。一列または一行に隣接した2つのセンサ素子の間には、2つのバイスタティック受信信号の平均化した信号を示すそれぞれ1つの受信領域104.1〜104.4が位置する;4つのセンサ素子102.1〜102.4ではこのようにして4つの受信領域が生じる。長方形に互いに配置された4つのセンサ素子の間では、中心領域に4つのバイスタティック受信信号の平均化された信号が示される別の受信領域105が生じる;4つのセンサ素子102.1〜102.4では、このようにして別の受信領域が生じる。
【0060】
センサユニット101は、保持式の検出装置で使用するために適している。センサ素子102.1〜102.4は、第1水平方向106および第2水平方向107に沿った垂直方向の列または行に配置されている;深さ方向108としては、水平方向106,107に対して基盤内に向かう垂直な方向が規定される。図6Aに概略的に示した深部断面図は、第1および第2水平方向106,107におけるモノスタティックおよびバイスタティック受信信号から計算される。深部断面図の他に、第1および/または第2水平方向106,107の深部断面図から、または第1および第2深さの間の深さ範囲にわたる9個の受信領域から直接に、平面図が計算される。
【0061】
第1水平方向106の深部断面図は、垂直軸線による深さ方向108と水平軸線による第1水平方向106とによって規定される。第1水平方向106に、3つの受信領域103.1,104.1,103.2から第1深部断面図109.1が計算され、3つの受信領域104.2,105,104.3から第2深部断面図109.2が計算され、3つの受信領域103.3,104.4,103.4から第3深部断面図109.3が計算される。第2水平方向107の深部断面図は、垂直軸線による深さ方向108と水平軸線による第2水平方向107とによって規定される。第2水平方向107には、3つの受信領域103.1,104.2,103.3から第1垂直方向深部断面図110.1が計算され、3つの受信領域104.1,105,104.4から第2垂直方向深部断面図110.2が計算され、3つの受信領域103.2,104.3,103.4から第3垂直方向深部断面図110.3が計算される。
【0062】
3つの受信領域103.1,104.1,103.2は第1水平方向受信路111.1を形成し、3つの受信領域104.2,105,104.3は第2水平方向受信路111.2を形成し、3つの受信領域103.3,104.4,103.4は第3水平方向受信路111.3を形成する。3つの受信領域103.1,104.2,103.3は第1垂直方向受信路112.1を形成し、3つの受信領域104.1,105,104.4は第2垂直方向受信路112.2を形成し、3つの受信領域103.2,104.3,103.4は第3垂直方向受信路112.3を形成する。
【0063】
図6Bは、5つのセンサ素子122.1〜122.5をずらして配置したセンサユニット121の第2実施形態を示す。それぞれのセンサ素子122.1〜122.5は、送信モードでは送信素子として作動し、受信モードでは受信素子として作動する。5つのセンサ素子122.1〜122.5により13個の受信領域を有する受信フィールドが生じる。
【0064】
受信領域は、4種類の受信領域に分類することができる。それぞれのセンサ素子122.1〜122.5には、それぞれのモノスタティック受信信号を示すモノスタティック受信領域123.1〜123.5が割り当てられる;したがって5つのモノスタティック受信領域123.1〜123.5が生じる。一列に隣接した2つのセンサ素子の間には、2つのバイスタティック受信信号の平均化した信号が示されるそれぞれ1つの受信領域124.1〜124.1が位置する;5つのセンサ素子122.1〜122.5では、このようにして2つの受信領域124.1,124.2が生じる。対角線上に配置された2つのセンサ素子の間には、2つのバイスタティック受信信号の平均化された信号を示すそれぞれ1つの受信領域125.1〜125.4が生じる;5つのセンサ素子122.1〜122.5では、このようにして4つの受信領域125.1〜125.4が生じる。列に同じ配置で配置された2つのセンサ素子の間には、それぞれ2つのバイスタティック受信信号の平均化された信号を示すそれぞれ1つの受信領域126.1,126.2が位置する;5つのセンサ素子122.1〜122.5では、このようにして2つの受信領域126.1,126.2が生じる。
【0065】
センサユニット121は、特に保持式の検出装置で使用するために適している。センサ素子122.1〜122.5は、第1水平方向127および第2水平方向128に沿って配置されている;深さ方向129としては、水平方向127,128に対して基盤内に向かう垂直な方向が規定される。図6Bに概略的に示した深部断面図は、第1および第2水平方向127,128に、受信信号から計算することができる。深部断面図の他に、第1および/または第2水平方向127,128の深部断面図から、または第1および第2深さの間の深さ範囲にわたる9個の受信領域から直接に、平面図が計算される。
【0066】
第1水平方向127の深部断面図は、垂直軸線による深さ方向129と水平軸線による第1水平方向127とによって規定される。第1水平方向127に、3つの受信領域123.1,124.1,123.2から第1深部断面図130.1が計算され、2つの受信領域125.1,125.2から第2深部断面図130.2が計算され、3つの受信領域126.1,123.3,126.2から第3深部断面図130.3が計算され、2つの受信領域125.3,125.4から第4深部断面図130.4が計算され、3つの受信領域123.4,124.2,123.5から第5深部断面図130.5が計算される。第2水平方向128の深部断面図は、垂直軸線による深さ方向129と水平軸線による第2水平方向128とによって規定される。第2水平方向128には、3つの受信領域123.1,126.1,123.4から第1深部断面図130.1が計算され、2つの受信領域125.1,125.3から第2深部断面図131.2が計算され、3つの受信領域124.1,123.3,124.2から第3深部断面図131.3が計算され、2つの受信領域125.2,125.4から第4深部断面図131.4が計算され、3つの受信領域123.2,126.2,123.5から第5深部断面図131.5が計算される。
【0067】
3つの受信領域123.1,124.1,123.2は第1水平方向受信路132.1を形成し、2つの受信領域125.1,125.2は第2水平方向受信路132.2を形成し、3つの受信領域126.1,123.2,126.2は第3水平方向受信路132.3を形成し、2つの受信領域125.3,125.4は第4水平方向受信路132.4を形成し、3つの受信領域123.3,124.2,123.5は第5水平方向受信路132.5を形成している。3つの受信領域123.1,126.1,123.4は第1垂直方向受信路133.1を形成し、2つの受信領域125.1,125.3は第2垂直方向受信路133.2を形成し、3つの受信領域124.1,123.3,124.2は第3垂直方向受信路133.3を形成し、2つの受信領域125.2,125.4は第4垂直方向受信路133.4を形成し、3つの受信路123.2,126.2,123.5は第5垂直方向受信路133.5を形成している。
【0068】
保持式の検出装置の他に案内式の検出装置でセンサユニット101.121を使用してもよい。任意の軌道に沿って案内される案内式の検出装置では、装置製造者によって、XY平面における2つの垂直方向が規定される。その方向は、例えばセンサ素子の配置によって優先される方向である。センサ素子によって検出される受信信号は、XY平面において、座標検出ユニットによって検出されたXおよびY座標に割り当てられる。深部断面図は、2つの垂直方向に沿って計算される。平面図は、深部断面図から、または受信信号から直接に計算され、表示ユニットに表示される。
【符号の説明】
【0069】
3,6 基盤
8,11,12.1〜12.3 物体
26 表示ユニット
44;101;121 センサユニット
46 制御・評価ユニット
48.1〜48.3;53,54,53.1〜53.4,54,1〜54.3,102.2〜102.4;122.2〜122.5 センサ素子
52.1〜52.5 受信信号
48.1〜48.3,53,54,102.2〜102.4;122.2〜122.5
センサ素子
69.1〜69.5;85.1〜85.30,86.1〜86.30;109.1〜109.3,110.1〜110.3;130.1〜130.5,131.1〜131.5 深部断面図
70;87 平面図
75 第1前進方向
77 第2前進方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1センサユニット(44;101;121)の第1センサ素子(48.1;102.1;122.1)によって、物体(8,11,12.1〜12.3)および基盤(3,6)の特性に関係した第1受信信号(52.1)を受信するステップと、
制御・評価ユニット(46)により前記第1受信信号(52.1)から第1深部断面図(69.1;85.1,86.1)を計算するステップと、
前記第1深部断面図(69.1;85.1,86.1)を前記表示ユニット(26)に表示するステップと、を含む、基盤(3,6)内の物体(8,11,12.1〜12.3)を検出するための方法において、
前記第1センサユニット(44;101;121)の第2センサ素子(48.2,48.3;102.2〜102.4;122.2〜122.5)により第2受信信号(52.2〜52.5)を同時に受信するステップと、
前記制御・評価ユニット(46)によって、前記第2受信信号(52.2〜52.5)から第2深部断面図(69.2〜69.5;85.2〜85.5,86.2〜86.5)を同時に計算するステップと
をさらに含むことを特徴とする、基盤(3,6)内の物体(8,11,12.1〜12.3を検出するための方法。
【請求項2】
前記第1および第2深部断面図(69.1〜69.5;85.1〜85.30,86.1〜86.30;109.1〜109.3,110.1〜110.3;130.1〜130.5,131.1〜131.5)から平面図(70;87)を計算し、前記表示ユニット(26)に表示し、前記平面図(70;87)を、第1深さ(z)と第2深さ(z+Λz)との間の深さ範囲にわたる平均値、メジアン、最大値または重み付け合計として計算する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
閾値を超過した物体のみを前記平面図(70;87)に表示する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1および第2深部断面図(69.1〜69.5;85.1〜85.30,86.1〜86.30;109.1〜109.3,110.1〜110.3;130.1〜130.5,131.1〜131.5)を補間する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1センサユニット(44)を、第1前進方向(75)および第2前進方向(77)に、平行した測定軌道(76.1〜76.6,78.1〜78.6)で前記基盤上(3,6)を移動させ、前記第1および第2前進方向(75,77)に、前記第1および第2受信信号から複数の前記第1及び第2深部断面図(85.1〜85.30,86.1〜86.30)を計算する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1および第2前進方向(75,77)の複数の前記第1及び第2深部断面図(85.1〜85.30,86.1〜86.30)から共通の平面図(87)を計算し、前記表示ユニット(26)に表示する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第2センサユニット(45)の第3センサ素子(53,54)によって第3受信信号を受信する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1センサユニット(44)の前記第1受信信号および前記第2受信信号並びに前記第2センサユニット(45)の前記第3受信信号から、前記制御・評価ユニット(46)によって、共通の深部断面図を計算し、前記共通の深部断面図から前記共通の平面図を計算する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1センサユニット(44)の前記第1受信信号および前記第2受信信号並びに前記第2センサユニット(45)の前記第3受信信号から、前記制御・評価ユニット(46)によって、個々の深部断面図、および前記個々の深部断面図から個々の平面図を計算する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
物体(8,11,12.1〜12.3)および基盤(3,6)の特性に関係した第1受信信号(52.1)を受信するように構成された第1センサ素子(48.1)を有する第1センサユニット(44)と
前記第1センサユニット(44)を制御し、前記第1受信信号(52.1)から第1深部断面図(69.1;85.1,86.1)を計算するように構成された制御・評価ユニット(46)と、
前記制御・評価ユニット(46)によって計算された前記第1深部断面図(69.1;85.1,86.1)を表示するように構成された表示ユニット(26)と
を備える、基盤(3,6)内の物体(8,11,12.1〜12.3)を検出するための検出装置(1;21)において、
前記第1センサユニット(44)が第2センサ素子(48.2,48.3)を備え、
前記制御・評価ユニット(46)が、前記第1受信信号から前記第1深部断面図(69.1;85.1,86.1)を、前記第2受信信号(52.1〜52.5)から第2深部断面図(69.2〜69.5;85.2〜85.5,86.2〜86.5)を同時に計算するように構成されていることを特徴とする、基盤(3,6)内の物体(8,11,12.1〜12.3)を検出するための検出装置(1;21)。
【請求項11】
前記制御・評価ユニット(46)が、前記第1及び第2深部断面図(69.1〜69.5;85.1〜85.30,86.1〜86.30;109.1〜109.3,110.1〜110.3;130.1〜130.5,131.1〜131.5)から平面図(70;87)を、第1深さ(z)と第2深さ(z+Λz)との間の深さ領域にわたる平均値、メジアン、最大値または重み付け合計として計算し、前記表示ユニット(26)に表示するように構成されている請求項10に記載の検出装置。
【請求項12】
前記第1深さ(z)および前記第2深さ(z+Λz)が調節可能に構成されている、請求項11に記載の検出装置。
【請求項13】
前記平面図(70;87)に表示される水平面領域が調節可能に構成されており、前記水平面領域が、前記第1および第2水平方向(X,Y)に別個に調節可能である、請求項11に記載の検出装置。
【請求項14】
前記第1または第2深部断面図(69.1〜69.5;85.1〜85.5,86.1〜86.5)および前記平面図(70;87)が同時に前記表示ユニット(26)に表示可能である、請求項11から13までのいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項15】
前記表示ユニット(26)に表示された前記第1または第2深部断面図(69.1〜69.5;85.1〜85.5,86.1〜86.5)が、ロッカースイッチ(33)により調節可能であり、前記ロッカースイッチ(33)の位置が前記平面図(70;87)に表示される、請求項14に記載の検出装置。
【請求項16】
第2センサユニット(45)に第3センサ素子(53.1〜53.4,54.1〜54.3)が設けられており、前記第3センサ素子が、少なくとも1つのセンサ特性において前記第1および第2センサ素子(48.1,48.2,48.3)とは異なっている、請求項10から15までのいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項17】
前記第1センサユニット(44)が任意の物体(8,11,12.1〜12.3)を検出するように構成されており、前記第2センサユニット(45)が給電線(11,12.1〜12.3)を検出するように構成されている、請求項16に記載の検出装置。
【請求項18】
第1表示モードでは前記第1センサユニット(44)の測定結果が、第2表示モードでは前記第2センサユニット(45)の測定結果が、第3表示モードでは、前記第1および第2センサユニット(44,45)の測定結果が、前記表示ユニットに(26)表示可能である、請求項16または17に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2013−24872(P2013−24872A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157579(P2012−157579)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【出願人】(591010170)ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト (339)
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
【Fターム(参考)】