基礎コンクリートの補強構造
【課題】基礎コンクリートの開口部を有効に補強できる補強構造を提供すること。
【解決手段】開口部1左右の基礎コンクリート2に固定する左右一対の第1ベースプレート3と第1ベースプレート3間に架設される棒状連結材4とから構成される補強金具により、基礎コンクリート2の開口部1を補強する基礎コンクリート2の補強構造であって、補強金具を構成する第1ベースプレート3の起立平板部間に棒状連結材4を架設し、棒状連結材4の両端部に形成されたネジ部にナットを螺合させることにより、第1ベースプレート3と棒状連結材4とを止着固定することによって、開口部1を有する基礎コンクリート2を補強する、基礎コンクリート2の補強構造。
【解決手段】開口部1左右の基礎コンクリート2に固定する左右一対の第1ベースプレート3と第1ベースプレート3間に架設される棒状連結材4とから構成される補強金具により、基礎コンクリート2の開口部1を補強する基礎コンクリート2の補強構造であって、補強金具を構成する第1ベースプレート3の起立平板部間に棒状連結材4を架設し、棒状連結材4の両端部に形成されたネジ部にナットを螺合させることにより、第1ベースプレート3と棒状連結材4とを止着固定することによって、開口部1を有する基礎コンクリート2を補強する、基礎コンクリート2の補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有する基礎コンクリートの補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に我が国の木造建築物は、基礎コンクリート上に土台を載置し、この土台上に柱を立設した構造のものとなっている。
このような木造建造物の基礎コンクリートとしては、土台全体に対応して巡らして形成される布基礎やベタ基礎が多く用いられている。
リフォームや防蟻工事の際には、配線や配管を通したり、或いは人が出入りしたりする必要があることから、この基礎コンクリートを一部切り欠き、開口部とすることがある。
【0003】
しかしながら、リフォームや防蟻工事が終了した後においても、この開口部をそのまま放置しておくと、基礎コンクリートの強度が低下してしまっており、好ましくない。
即ち、開口部のある基礎コンクリートは、開口場所によっては柱などから大きな力を受けており、その荷重を充分に保持することができない。
【0004】
そこで、このように開口部を有する基礎コンクリートを補強する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この場合、土台が必須であり、その土台がしっかりしていないと強度が出ないという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2007−40103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解消し、開口部を有する基礎コンクリートを有効に補強することのできる補強構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、請求項1に係る本発明は、開口部を有する基礎コンクリートの前記開口部左右の基礎コンクリートに当接して止着固定する左右一対の第1ベースプレートと、前記第1ベースプレート間に架設される棒状連結材と、から構成される補強金具により、開口部を有する基礎コンクリートを補強してなる基礎コンクリートの補強構造であって、
前記補強金具を構成する前記第1ベースプレートは、平板部と、前記平板部から垂直に立設した起立平板部と、によって断面略T字状に形成されており、
かつ、前記平板部には、前記基礎コンクリートに当接して止着固定するためのあと施工アンカー取付け用孔が前記起立平板部を挟んで左右両側に形成されていると共に、前記起立平板部の端面から前記平板部方向に向かって、前記棒状連結材を挿入し架設するための切り欠きを設け、
前記棒状連結材は、全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトと、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトを内部に収容する、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトより長さの短いさや管とからなっていて、前記棒状連結材の両端部には全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部が一部露出しており、
前記第1ベースプレートに設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレートに前記棒状連結材を架設し、前記棒状連結材の両端部に露出している全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部に螺合させたナットにより前記第1ベースプレートと前記棒状連結材とを止着固定してなる、開口部を有する基礎コンクリートの補強構造を提供するものである。
請求項2に係る本発明は、ナットを二重ナットとした、請求項1記載の補強構造を提供するものである。
請求項3に係る本発明は、前記起立平板部に設けられた切り欠きが、略馬蹄形乃至略こけし形である、請求項1又は2に記載の補強構造を提供するものである。
請求項4に係る本発明は、前記棒状連結材が取り外し自在である、請求項1〜3のいずれかに記載の補強構造を提供するものである。
請求項5に係る本発明は、前記棒状連結材の左右延長線上に1対の第2ベースプレートをそれぞれ追加して設け、左右それぞれの第1ベースプレートと第2のベースプレートの間に、それぞれ全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材を挿入し、前記第1ベースプレート、第2ベースプレートにそれぞれ設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレート、第2ベースプレートに前記全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材をそれぞれ架設し、全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材のネジ部に螺合させたナットにより前記第1ベースプレート、第2ベースプレートと、前記全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材とをそれぞれ止着固定してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の補強構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リフォームや防蟻工事の際に開けられた開口部を有する基礎コンクリートを有効に補強することができる。
即ち、本発明によれば、リフォームや防蟻工事の際に開けられた開口部を有する基礎コンクリートであっても、開口部のない基礎コンクリートのレベル以上に強度を戻すことが可能である。
従って、本発明によれば、開口部を有する基礎コンクリート上の木造建造物の強度を低下させるおそれが回避される。
さらに、本発明の補強構造は、第1ベースプレートの起立平板部の端面から平板部方向に向かって、棒状連結材を挿入し架設するための切り欠きを設けたものであるため、その正面方向から容易に棒状連結材を出し入れすることができる。従って、棒状連結材が取り外し自在となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
請求項1に係る本発明は、開口部を有する基礎コンクリートの補強構造であって、開口部を有する基礎コンクリートの前記開口部左右の基礎コンクリートに当接して止着固定する左右一対の第1ベースプレートと、前記第1ベースプレート間に架設される棒状連結材と、から構成される補強金具により、開口部を有する基礎コンクリートを補強してなる基礎コンクリートの補強構造であって、
前記補強金具を構成する前記第1ベースプレートは、平板部と、前記平板部から垂直に立設した起立平板部と、によって断面略T字状に形成されており、
かつ、前記平板部には、前記基礎コンクリートに当接して止着固定するためのあと施工アンカー取付け用孔が前記起立平板部を挟んで左右両側に形成されていると共に、前記起立平板部の端面から前記平板部方向に向かって、前記棒状連結材を挿入し架設するための切り欠きを設け、
前記棒状連結材は、全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトと、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトを内部に収容する、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトより長さの短いさや管とからなっていて、前記棒状連結材の両端部には全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部が一部露出しており、
前記第1ベースプレートに設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレートに前記棒状連結材を架設し、前記棒状連結材の両端部に露出している全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部に螺合させたナットにより前記第1ベースプレートと前記棒状連結材とを止着固定してなるものである。
【0011】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。図1は、本発明の補強構造の第1の態様を示す正面図であり、図2はその平面図である。
また、図3は、本発明の補強構造の第2の態様を示す正面図である。
【0012】
図1に示されるものと図2に示されるものとは、図1に示されるものが棒状連結材4を1列使用した1列補強構造であるのに対して、図3に示されるものは棒状連結材4を2列使用した2列補強構造である点で異なっている。
【0013】
請求項1に係る本発明の補強構造は、開口部1を有する基礎コンクリート2の前記開口部1左右の基礎コンクリートに当接して止着固定する左右一対の第1ベースプレート3と、前記第1ベースプレート3間に架設される棒状連結材4と、から構成される補強金具により、開口部1を有する基礎コンクリート2を補強してなるものである。
このような補強金具の材質は、ステンレス鋼や鉄等に限られず、亜鉛メッキなどの防錆処理が施されたものであってもよい。
【0014】
なお、開口部1は、元々基礎コンクリート2に設けられているものであってもよいし、或いはリフォームや防蟻工事の際に開けられたものであってもよい。開口部1としては、例えば、幅が450mm、高さが300mm程度のものがあるが、これに限定されるものではない。
ここで基礎コンクリート2は、柱部分に独立して形成される独立基礎ではなく、土台全体乃至は土台の大半の部分に形成される布基礎とベタ基礎が対象となる。この基礎コンクリート2は、通常の鉄筋コンクリートからなるものである。
また、開口部1は、図1などに示すように基礎コンクリート2の上側に設けられているものでもよいし、反対に図20に示すように基礎コンクリート2の下側に設けられているものでもよい。
【0015】
次に、第1ベースプレート3の形状を図4、5、6に示す。図4は、そのような第1ベースプレート3の正面図、図5はその側面図、図6はその平面図である。
前記補強金具を構成する第1ベースプレート3は、図6に示すように、平板部31と、前記平板部31から垂直に立設した起立平板部32と、によって断面略T字状に形成されている。
第1ベースプレート3の前記平板部31には、図4に示すように、前記基礎コンクリート2に当接して止着固定するためのあと施工アンカー取付け用孔33が、前記起立平板部32を挟んで左右両側に形成されている。
図4では、あと施工アンカー取付け用孔33は左右1箇所ずつの合計2箇所形成されているが、これに限定されるものではない。
【0016】
このような第1ベースプレート3を、開口部1を有する基礎コンクリート2の前記開口部1左右の基礎コンクリートに当接して止着固定するには、例えば前記あと施工アンカー取付け用孔33に、図7に示すような座金(ワッシャー)35と、あと施工アンカー36として、高強度ねじ固定式アンカーであるハードエッジアンカー(サンコーテクノ株式会社製、商品名)とを用いて行えばよい。
【0017】
また、前記平板部31には、図5に示すように、前記起立平板部32の端面から前記平板部31方向に向かって、棒状連結材4を挿入し架設するための切り欠き34を1つ設けている。
このような第1ベースプレート3の大きさは、通常、縦60〜68mm、横140mm、厚さ10〜12mm、起立平板部32の高さ70〜73mmのものであるが、これに限定されるものではなく、基礎コンクリート2の開口部1の大きさ等に応じて種々の大きさのものを用いることができる。
このような第1ベースプレートは、T型鋼を用い、これに所定の切り欠きを設けることにより得ることができる。
【0018】
前記起立平板部32に設けられた切り欠き34は、図5に示すように、略馬蹄形乃至略こけし形である。より好ましくは、切り欠きの最先端が大きな円形乃至楕円形とされている、略こけし形である。
このように本発明の補強構造は、第1ベースプレートの起立平板部の端面から平板部方向に向かって、棒状連結材を挿入し架設するための切り欠き(略馬蹄形乃至略こけし形の切り欠き)を設けたものであるため、その正面方向から容易に棒状連結材を出し入れすることができる。従って、棒状連結材が取り外し自在(脱着容易)となっている。
【0019】
本発明において、棒状連結材は、全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトと、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトを内部に収容する、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトより長さの短いさや管と、からなっている。
なお、本発明においては、全ネジボルトと、両端を必要長さにネジ切りしたボルトとは、同様の作用・機能を持つことから、いずれも用いることができる。以下の説明においては、全ネジボルトと、両端を必要長さにネジ切りしたボルトとの両者を合わせたものを、「全ネジボルト等」と称している。
また、棒状連結材4は、図8に示す如き全ネジボルト等401と、図9に示す如き前記全ネジボルト等401を内部に収容する、前記全ネジボルト等401より長さの短いさや管402とからなっている。
このように外側のさや管402の方が、内側の全ネジボルト等401より長さが短いことから、前記棒状連結材4の両端部には全ネジボルト等401のネジ部41が一部露出している。
【0020】
従って、一部露出している、この全ネジボルト等401のネジ部41を利用して、棒状連結材4と第1ベースプレート3とを止着固定する。
即ち、前記第1ベースプレート3に設けられている切り欠き34を通じて、前記のようにして開口部1を有する基礎コンクリート2の前記開口部1左右の基礎コンクリートに当接して止着固定されている第1ベースプレート3に、前記棒状連結材4を挿入し架設し、前記棒状連結材4の両端部に露出している全ネジボルト等401のネジ部41に螺合させたナット42により前記第1ベースプレート3と前記棒状連結材4とを止着固定する。
なお、図8に示す全ネジボルト等401は、長さが752mm、直径が20mmのものであるが、これに限定されるものではなく、基礎コンクリート2の開口部1の大きさ等に応じて種々の大きさのものを用いることができる。
また、図9に示すさや管402は、長さが627mm、直径が27.2mm、厚さ2.9mmのものであるが、これに限定されるものではなく、基礎コンクリート2の開口部1の大きさや全ネジボルト等401の大きさ等に応じて種々の大きさのものを用いることができる。
【0021】
このとき、図1、2、3の左側部分に示すようにナット42を二重ナットとすると、より強固に前記第1ベースプレート3と前記棒状連結材4とを止着固定することができる。なお、これら図では、二重ナットとしたナット42は、まだ完全に締め付け固定していない状態を示している。完全に締め付け固定した状態のものの一部切り欠き拡大図を図10に示す。なお、図中、符号43は座金である。
【0022】
なお、本発明では、前記棒状連結材4の両端部にネジ部41を設ける方法として、図8に示す如き全ネジボルト等401と、図9に示す如き、前記全ネジボルト等401を内部に収容する、前記全ネジボルト等401より長さの短いさや管402と、から構成することにより、前記棒状連結材4の両端部に全ネジボルト等401のネジ部41を一部露出させているが、この他に、文字通り棒状連結材4となる棒状部材の両端部に直接ネジ部41を形成させることによっても可能である。
【0023】
前記したように、図1に示されるものと図2に示されるものとは、図1に示されるものが棒状連結材4を1列使用した1列補強構造であるのに対して、図3に示されるものは棒状連結材4を2列使用した2列補強構造である点で異なっている。
図3に示すように、棒状連結材4を2列使用した2列補強構造とすることにより、充分な強度のものとすることができる。
【0024】
なお、本発明においては、全ネジボルト材と、両端を必要長さにネジ切りしたボルト材とは、同様の作用・機能を持つことから、いずれも用いることができる。以下の説明においては、全ネジボルト材と、両端を必要長さにネジ切りしたボルト材との両者を合わせたものを、「全ネジボルト材等」と称している。
さらに、図11に示すように、図1に示される補強構造において、棒状連結材4の左右延長線上に、1対の第2ベースプレート3’をそれぞれ追加して設け、左右それぞれの第1ベースプレート3と第2のベースプレート3’の間に、それぞれ全ネジボルト材等5を挿入し、前記第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’にそれぞれ設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’に前記全ネジボルト材等5をそれぞれ架設し、全ネジボルト材等5のネジ部41に螺合させたナットにより前記第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’と、前記全ネジボルト材等5とをそれぞれ止着固定して、長尺であり、より強固な補強構造とすることができる。
第2のベースプレート3’は、形状、大きさ、材質等において、第1ベースプレート3と基本的に同様のものを用いることができる。
また、このとき2本使用する全ネジボルト材等5は、前記した全ネジボルト等401と同様の材質のものを用いることができるが、その長さは基礎コンクリート2の大きさ(幅)等を考慮して適宜定めればよい。図11に示す全ネジボルト材等5の長さは、それぞれ300mmであるが、これに限定されるものではない。
なお、取り付けや搬入が可能であれば、全ネジボルト等401の左右延長線上にさらにそれぞれ300mm前後の全ネジボルト材等5を連結させた構造とする必要はなく、例えば長さが1550mmというより長尺の全ネジボルト等401を1本だけ用いてもよい。この場合、例えばさや管402の長さは637mmであるが、これに限定されるものではない。
【0025】
また、図12は、図11に示される補強構造において、ナット42の一部を、大型の高ナットに変えたものを示している。図13は、図12において、補強構造のみを取り出して示した説明図である。なお、高ナットとは、長さ(厚み)の長いナットをいい、50〜80mm程度のものを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0026】
さらに、図14は、図3に示される補強構造において、下側の列を、図11に示す如き長尺のものとした例を示している。この場合において、図11の代わりに、図12、図13に示す如き、大型の高ナットを用いたものとすることもできる。
【0027】
さらにまた、図15は、図3に示される補強構造において、上下側の列をいずれも、図11に示す如き長尺のものとした例(即ち、図14において、上側の列も図11に示す如き長尺のものとした例)を示している。この場合において、図11の代わりに、図12、図13に示す如き、大型の高ナットを用いたものとすることもできる。
【0028】
このように、本発明においては、図1に示す如き、いわば短尺のもの1本構造のものから、図3に示す如き短尺のもの2本構造のもの、図11〜13に示す如き長尺のもの1本構造のもの、図14に示す如き短尺と長尺の2本構造のもの、図15に示す如く長尺の2本構造のもの、とすることができる。
【実施例】
【0029】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
参考例1(開口部のない鉄筋コンクリートからなる布基礎)
開口部のない鉄筋コンクリートからなる布基礎(幅3600mm、高さ600mm、厚さ120mm;上下主筋:D13、SD295;あばら筋:D10、@300、SD295)について、下側に支台6を2つ置き、図16に示すようにして、上から加力する曲げせん断強度試験を行ったところ、最大(Pmax試験値)29.2kNの耐力であった。
【0031】
比較例1(開口部を有する鉄筋コンクリートからなる布基礎)
図17に示すように、上側に開口部1(幅450mm、高さ300mm)を有する鉄筋コンクリートからなる布基礎(幅3600mm、高さ600mm、厚さ120mm;上下主筋:D13、SD295;あばら筋:D10、@300、SD295)について、下側に支台6を2つ置き、図17に示すようにして、上から加力する曲げせん断強度試験を行ったところ、最大14.6kNの耐力であった。
【0032】
実施例1(本発明による開口部を有する鉄筋コンクリートからなる基礎コンクリートの補強)
図18に示すように、上側に開口部1(幅450mm、高さ300mm)を有する鉄筋コンクリートからなる基礎コンクリート2(幅3600mm、高さ600mm、厚さ120mm;上下主筋:D13、SD295;あばら筋:D10、@300、SD295)について、図18に示すようにして本発明による補強を行い、次いで下側に支台6を2つ置き、図18に示すようにして、上から加力する曲げせん断強度試験(上側開口)を行ったところ、最大29.3kNの耐力が得られた。
ここで、本発明による補強は、次のようにして行った。
即ち、まず図4〜6に示す第1ベースプレート3を用いた。この第1ベースプレート3は、平板部31(縦68mm、横140mm、厚さ10mm)と、平板部31から垂直に立設した起立平板部32(縦68mm、高さ73mm、厚さ12mm)と、によって断面略T字状に形成されており、かつ、平板部31には、基礎コンクリート1に当接して止着固定するためのあと施工アンカー取付け用孔33(直径14mm)が起立平板部32を挟んで左右両側に形成されていると共に、起立平板部32の端面から平板部31方向に向かって、棒状連結材4を挿入し架設するための切り欠き34(入口部の切り欠きの大きさ22mm)
が設けられているものである。
この第1ベースプレート3のあと施工アンカー取付け用孔33(直径14mm)に、図7に示すような座金(ワッシャー)35(外径24mm、内径12mm、厚さ2.3mm)と、あと施工アンカー36としてハードエッジアンカー(サンコーテクノ株式会社製、商品名)(頭部の直径が17mm、軸部の直径が12mm、軸部の長さが75mmのもの)を挿入し、第1ベースプレート3をこれらを用いて、開口部1を有する基礎コンクリート2の開口部1左右の基礎コンクリート2に予め所定の大きさに開けられた下穴にねじ込み、図18に示すように、左右1対ずつ二段の合計4個当接して止着固定した。
次に、長さが752mm、直径が20mmの全ネジボルト等401と、この全ネジボルト等401を内部に収容する、長さが627mm、直径が27.2mm、厚さ2.9mmのさや管402とからなる棒状連結材4を2本用意し、この棒状連結材4を、それぞれ第1ベースプレート3に設けられている切り欠き34を通じて第1ベースプレート3に架設し、棒状連結材4の両端部に露出している全ネジボルト等のネジ部に螺合させたナットにより第1ベースプレート3と棒状連結材4とを止着固定した。なお、片側について二重ナットとした。
【0033】
実施例2
実施例1において、図19に示すように、棒状連結材4を構成する全ネジボルト等401及びさや管402として、長さが752mm、直径が20mmの全ネジボルト等401と、長さが627mm、直径が27.2mm、厚さ2.9mmのさや管402の組み合わせの他に、長さが1210mm、直径が20mmの全ネジボルト等401と、長さが1100mm、直径が27.2mm、厚さ2.9mmのさや管402の組み合わせからなる棒状連結材4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして曲げせん断強度試験(上側開口)を行ったところ、最大31.0kNの耐力であった。
【0034】
実施例3
実施例1において、図20に示すように、下側に開口部1(幅450mm、高さ300mm)を有する鉄筋コンクリートからなる基礎コンクリート2について補強を行ったこと以外は、実施例1と同様にして曲げせん断強度試験(下側開口)を行ったところ、最大31.4kNの耐力であった。
【0035】
実施例4
実施例1において、図21に示すように、棒状連結材4を1本のみ用い、かつ、棒状連結材4の左右延長線上に1対の第2ベースプレート3’をそれぞれ追加して設け、左右それぞれの第1ベースプレート3と第2のベースプレート3’の間に、それぞれ全ネジボルト材等5を挿入し、第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’にそれぞれ設けられている切り欠きを通じて第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’に全ネジボルト材等5をそれぞれ架設し、全ネジボルト材等5のネジ部に螺合させたナットにより第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’と、全ネジボルト材等5とをそれぞれ止着固定したこと以外は、実施例1と同様にして曲げせん断強度試験(上側開口)を行ったところ、最大30.2kNの耐力であった。
【0036】
実施例5
実施例4において、図22に示すように、下側に開口部1(幅450mm、高さ300mm)を有する鉄筋コンクリートからなる基礎コンクリート2について補強を行ったこと以外は、実施例4と同様にして曲げせん断強度試験(下側開口)を行ったところ、最大34.3kNの耐力であった。
【0037】
鉄筋コンクリートからなる基礎の耐力は、以下に示す建築学会の算定式を用いて計算した。
[基礎の算定式]
一般的に行なわれている住宅の布基礎の設計では、フーチング部分は地反力を処理するものとして設計し、残余の地中梁部分に曲げ耐力を期待した設計を行なっている。2階建ての住宅の布基礎の上下主筋には異型鉄筋1-D13を用いるのが一般的である。図23で示される鉄筋の終局耐力(Mmax)は、下記の式(1)で算定するのが一般的である。下記の式(1)を適用する際に鉄筋の規格が問題となる。異型鉄筋の場合、SD235、SD295、SD345(末尾の数値が基準強度Fで、単位はN/mm2である)が主に市場に流出しており、最も使用量の多いものがSD235と考えられる。しかし、構造計算を行なった住宅ではSD235で強度不足の場合には、SD295或いはSD345を用いることがある。この為、SD235〜SD345を網羅して検討する必要がある。
【0038】
・My=0.9at・δy・d ・・・(1)
【0039】
ここでatは引張主筋断面積、δyは主筋の降伏点でF値の1.1倍とした。dは有効せい(d=D-d1)をそれぞれ示す。
なお、記号D、d1、D1は、表1で示される寸法である。
【0040】
【表1】
【0041】
上下主筋には異型鉄筋1-D13を用い、規格(材質)がSD235〜SD345の布基礎の終局耐力Mmaxを計算すると、次の表2のMmax欄が構造設計で期待している終局強度時のモーメントである。
【0042】
【表2】
【0043】
実験では、図24に示す試験区間長L=3000mmの試験体中央に荷重を加えている。このとき、試験体中央の最大曲げモーメントMmaxを荷重Pに直すと、式(2)となる。
【0044】
・P=4・Mmax /L ・・・(2)
【0045】
試験区間L=3000mmとして、終局耐力をモーメントから荷重に変換すると、次の表3を得た。表3中のPが、構造設計で期待している終局強度の荷重表現である。
【0046】
【表3】
【0047】
これらの結果によれば、本発明により、開口を有する基礎コンクリートを有効に補強することができることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、リフォームや防蟻工事の際に開けられた開口部を有する基礎コンクリートを有効に補強することができる。
即ち、本発明によれば、リフォームや防蟻工事の際に開けられた開口部を有する基礎コンクリートであっても、開口部のない基礎コンクリートと殆ど遜色ないレベルにまで強度を戻すことができる。
従って、本発明によれば、開口部を有する基礎コンクリート上の木造建造物の耐震性を低下させるおそれが回避される。
さらに、本発明の補強構造は、第1ベースプレートの起立平板部の端面から平板部方向に向かって、棒状連結材を挿入し架設するための切り欠きを設けたものであるため、その正面方向から容易に棒状連結材を出し入れすることができる。従って、棒状連結材が取り外し自在となっている。
それ故、本発明は、住宅関連産業において、有効に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の補強構造の第1の態様を示す正面図である。
【図2】本発明の補強構造の第1の態様を示す平面図である。
【図3】本発明の補強構造の第2の態様を示す正面図である。
【図4】ベースプレート3の1態様を示す正面図である。
【図5】ベースプレート3の1態様を示す側面図である。
【図6】ベースプレート3の1態様を示す平面図である。
【図7】本発明に用いる座金(ワッシャー)35と、あと施工アンカー36とを示す説明図である。
【図8】全ネジボルト等401の説明図である。
【図9】さや管402の説明図である。
【図10】ベースプレート3と棒状連結材4とを、ナット42を用いて完全に締め付け固定した状態を示す一部切り欠き拡大図である。
【図11】本発明の補強構造の第3の態様を示す正面図である。
【図12】本発明の補強構造の第4の態様を示す正面図である。
【図13】本発明の補強構造の第4の態様を示す説明図である。
【図14】本発明の補強構造の第5の態様を示す正面図である。
【図15】本発明の補強構造の第6の態様を示す正面図である。
【図16】参考例1における強度試験の模様を示す説明図である。
【図17】比較例1における強度試験の模様を示す説明図である。
【図18】実施例1における強度試験の模様を示す説明図である。
【図19】実施例2における強度試験の模様を示す説明図である。
【図20】実施例3における強度試験の模様を示す説明図である。
【図21】実施例4における強度試験の模様を示す説明図である。
【図22】実施例5における強度試験の模様を示す説明図である。
【図23】基礎の算定において用いた鉄筋の形状を示す説明図である。
【図24】基礎の算定において行った、鉄筋コンクリートからなる基礎の耐力試験の模様を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 開口部
2 基礎コンクリート
3 第1ベースプレート
3’ 第2ベースプレート
4 棒状連結材
5 全ネジボルト材等
6 支台
31 平板部
32 起立平板部
33 あと施工アンカー取付け用孔
34 切り欠き
35 座金(ワッシャー)
36 あと施工アンカー
41 ネジ部
42 ナット
43 座金
401 全ネジボルト等
402 さや管
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有する基礎コンクリートの補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に我が国の木造建築物は、基礎コンクリート上に土台を載置し、この土台上に柱を立設した構造のものとなっている。
このような木造建造物の基礎コンクリートとしては、土台全体に対応して巡らして形成される布基礎やベタ基礎が多く用いられている。
リフォームや防蟻工事の際には、配線や配管を通したり、或いは人が出入りしたりする必要があることから、この基礎コンクリートを一部切り欠き、開口部とすることがある。
【0003】
しかしながら、リフォームや防蟻工事が終了した後においても、この開口部をそのまま放置しておくと、基礎コンクリートの強度が低下してしまっており、好ましくない。
即ち、開口部のある基礎コンクリートは、開口場所によっては柱などから大きな力を受けており、その荷重を充分に保持することができない。
【0004】
そこで、このように開口部を有する基礎コンクリートを補強する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この場合、土台が必須であり、その土台がしっかりしていないと強度が出ないという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2007−40103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解消し、開口部を有する基礎コンクリートを有効に補強することのできる補強構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、請求項1に係る本発明は、開口部を有する基礎コンクリートの前記開口部左右の基礎コンクリートに当接して止着固定する左右一対の第1ベースプレートと、前記第1ベースプレート間に架設される棒状連結材と、から構成される補強金具により、開口部を有する基礎コンクリートを補強してなる基礎コンクリートの補強構造であって、
前記補強金具を構成する前記第1ベースプレートは、平板部と、前記平板部から垂直に立設した起立平板部と、によって断面略T字状に形成されており、
かつ、前記平板部には、前記基礎コンクリートに当接して止着固定するためのあと施工アンカー取付け用孔が前記起立平板部を挟んで左右両側に形成されていると共に、前記起立平板部の端面から前記平板部方向に向かって、前記棒状連結材を挿入し架設するための切り欠きを設け、
前記棒状連結材は、全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトと、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトを内部に収容する、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトより長さの短いさや管とからなっていて、前記棒状連結材の両端部には全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部が一部露出しており、
前記第1ベースプレートに設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレートに前記棒状連結材を架設し、前記棒状連結材の両端部に露出している全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部に螺合させたナットにより前記第1ベースプレートと前記棒状連結材とを止着固定してなる、開口部を有する基礎コンクリートの補強構造を提供するものである。
請求項2に係る本発明は、ナットを二重ナットとした、請求項1記載の補強構造を提供するものである。
請求項3に係る本発明は、前記起立平板部に設けられた切り欠きが、略馬蹄形乃至略こけし形である、請求項1又は2に記載の補強構造を提供するものである。
請求項4に係る本発明は、前記棒状連結材が取り外し自在である、請求項1〜3のいずれかに記載の補強構造を提供するものである。
請求項5に係る本発明は、前記棒状連結材の左右延長線上に1対の第2ベースプレートをそれぞれ追加して設け、左右それぞれの第1ベースプレートと第2のベースプレートの間に、それぞれ全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材を挿入し、前記第1ベースプレート、第2ベースプレートにそれぞれ設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレート、第2ベースプレートに前記全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材をそれぞれ架設し、全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材のネジ部に螺合させたナットにより前記第1ベースプレート、第2ベースプレートと、前記全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材とをそれぞれ止着固定してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の補強構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リフォームや防蟻工事の際に開けられた開口部を有する基礎コンクリートを有効に補強することができる。
即ち、本発明によれば、リフォームや防蟻工事の際に開けられた開口部を有する基礎コンクリートであっても、開口部のない基礎コンクリートのレベル以上に強度を戻すことが可能である。
従って、本発明によれば、開口部を有する基礎コンクリート上の木造建造物の強度を低下させるおそれが回避される。
さらに、本発明の補強構造は、第1ベースプレートの起立平板部の端面から平板部方向に向かって、棒状連結材を挿入し架設するための切り欠きを設けたものであるため、その正面方向から容易に棒状連結材を出し入れすることができる。従って、棒状連結材が取り外し自在となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
請求項1に係る本発明は、開口部を有する基礎コンクリートの補強構造であって、開口部を有する基礎コンクリートの前記開口部左右の基礎コンクリートに当接して止着固定する左右一対の第1ベースプレートと、前記第1ベースプレート間に架設される棒状連結材と、から構成される補強金具により、開口部を有する基礎コンクリートを補強してなる基礎コンクリートの補強構造であって、
前記補強金具を構成する前記第1ベースプレートは、平板部と、前記平板部から垂直に立設した起立平板部と、によって断面略T字状に形成されており、
かつ、前記平板部には、前記基礎コンクリートに当接して止着固定するためのあと施工アンカー取付け用孔が前記起立平板部を挟んで左右両側に形成されていると共に、前記起立平板部の端面から前記平板部方向に向かって、前記棒状連結材を挿入し架設するための切り欠きを設け、
前記棒状連結材は、全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトと、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトを内部に収容する、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトより長さの短いさや管とからなっていて、前記棒状連結材の両端部には全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部が一部露出しており、
前記第1ベースプレートに設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレートに前記棒状連結材を架設し、前記棒状連結材の両端部に露出している全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部に螺合させたナットにより前記第1ベースプレートと前記棒状連結材とを止着固定してなるものである。
【0011】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。図1は、本発明の補強構造の第1の態様を示す正面図であり、図2はその平面図である。
また、図3は、本発明の補強構造の第2の態様を示す正面図である。
【0012】
図1に示されるものと図2に示されるものとは、図1に示されるものが棒状連結材4を1列使用した1列補強構造であるのに対して、図3に示されるものは棒状連結材4を2列使用した2列補強構造である点で異なっている。
【0013】
請求項1に係る本発明の補強構造は、開口部1を有する基礎コンクリート2の前記開口部1左右の基礎コンクリートに当接して止着固定する左右一対の第1ベースプレート3と、前記第1ベースプレート3間に架設される棒状連結材4と、から構成される補強金具により、開口部1を有する基礎コンクリート2を補強してなるものである。
このような補強金具の材質は、ステンレス鋼や鉄等に限られず、亜鉛メッキなどの防錆処理が施されたものであってもよい。
【0014】
なお、開口部1は、元々基礎コンクリート2に設けられているものであってもよいし、或いはリフォームや防蟻工事の際に開けられたものであってもよい。開口部1としては、例えば、幅が450mm、高さが300mm程度のものがあるが、これに限定されるものではない。
ここで基礎コンクリート2は、柱部分に独立して形成される独立基礎ではなく、土台全体乃至は土台の大半の部分に形成される布基礎とベタ基礎が対象となる。この基礎コンクリート2は、通常の鉄筋コンクリートからなるものである。
また、開口部1は、図1などに示すように基礎コンクリート2の上側に設けられているものでもよいし、反対に図20に示すように基礎コンクリート2の下側に設けられているものでもよい。
【0015】
次に、第1ベースプレート3の形状を図4、5、6に示す。図4は、そのような第1ベースプレート3の正面図、図5はその側面図、図6はその平面図である。
前記補強金具を構成する第1ベースプレート3は、図6に示すように、平板部31と、前記平板部31から垂直に立設した起立平板部32と、によって断面略T字状に形成されている。
第1ベースプレート3の前記平板部31には、図4に示すように、前記基礎コンクリート2に当接して止着固定するためのあと施工アンカー取付け用孔33が、前記起立平板部32を挟んで左右両側に形成されている。
図4では、あと施工アンカー取付け用孔33は左右1箇所ずつの合計2箇所形成されているが、これに限定されるものではない。
【0016】
このような第1ベースプレート3を、開口部1を有する基礎コンクリート2の前記開口部1左右の基礎コンクリートに当接して止着固定するには、例えば前記あと施工アンカー取付け用孔33に、図7に示すような座金(ワッシャー)35と、あと施工アンカー36として、高強度ねじ固定式アンカーであるハードエッジアンカー(サンコーテクノ株式会社製、商品名)とを用いて行えばよい。
【0017】
また、前記平板部31には、図5に示すように、前記起立平板部32の端面から前記平板部31方向に向かって、棒状連結材4を挿入し架設するための切り欠き34を1つ設けている。
このような第1ベースプレート3の大きさは、通常、縦60〜68mm、横140mm、厚さ10〜12mm、起立平板部32の高さ70〜73mmのものであるが、これに限定されるものではなく、基礎コンクリート2の開口部1の大きさ等に応じて種々の大きさのものを用いることができる。
このような第1ベースプレートは、T型鋼を用い、これに所定の切り欠きを設けることにより得ることができる。
【0018】
前記起立平板部32に設けられた切り欠き34は、図5に示すように、略馬蹄形乃至略こけし形である。より好ましくは、切り欠きの最先端が大きな円形乃至楕円形とされている、略こけし形である。
このように本発明の補強構造は、第1ベースプレートの起立平板部の端面から平板部方向に向かって、棒状連結材を挿入し架設するための切り欠き(略馬蹄形乃至略こけし形の切り欠き)を設けたものであるため、その正面方向から容易に棒状連結材を出し入れすることができる。従って、棒状連結材が取り外し自在(脱着容易)となっている。
【0019】
本発明において、棒状連結材は、全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトと、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトを内部に収容する、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトより長さの短いさや管と、からなっている。
なお、本発明においては、全ネジボルトと、両端を必要長さにネジ切りしたボルトとは、同様の作用・機能を持つことから、いずれも用いることができる。以下の説明においては、全ネジボルトと、両端を必要長さにネジ切りしたボルトとの両者を合わせたものを、「全ネジボルト等」と称している。
また、棒状連結材4は、図8に示す如き全ネジボルト等401と、図9に示す如き前記全ネジボルト等401を内部に収容する、前記全ネジボルト等401より長さの短いさや管402とからなっている。
このように外側のさや管402の方が、内側の全ネジボルト等401より長さが短いことから、前記棒状連結材4の両端部には全ネジボルト等401のネジ部41が一部露出している。
【0020】
従って、一部露出している、この全ネジボルト等401のネジ部41を利用して、棒状連結材4と第1ベースプレート3とを止着固定する。
即ち、前記第1ベースプレート3に設けられている切り欠き34を通じて、前記のようにして開口部1を有する基礎コンクリート2の前記開口部1左右の基礎コンクリートに当接して止着固定されている第1ベースプレート3に、前記棒状連結材4を挿入し架設し、前記棒状連結材4の両端部に露出している全ネジボルト等401のネジ部41に螺合させたナット42により前記第1ベースプレート3と前記棒状連結材4とを止着固定する。
なお、図8に示す全ネジボルト等401は、長さが752mm、直径が20mmのものであるが、これに限定されるものではなく、基礎コンクリート2の開口部1の大きさ等に応じて種々の大きさのものを用いることができる。
また、図9に示すさや管402は、長さが627mm、直径が27.2mm、厚さ2.9mmのものであるが、これに限定されるものではなく、基礎コンクリート2の開口部1の大きさや全ネジボルト等401の大きさ等に応じて種々の大きさのものを用いることができる。
【0021】
このとき、図1、2、3の左側部分に示すようにナット42を二重ナットとすると、より強固に前記第1ベースプレート3と前記棒状連結材4とを止着固定することができる。なお、これら図では、二重ナットとしたナット42は、まだ完全に締め付け固定していない状態を示している。完全に締め付け固定した状態のものの一部切り欠き拡大図を図10に示す。なお、図中、符号43は座金である。
【0022】
なお、本発明では、前記棒状連結材4の両端部にネジ部41を設ける方法として、図8に示す如き全ネジボルト等401と、図9に示す如き、前記全ネジボルト等401を内部に収容する、前記全ネジボルト等401より長さの短いさや管402と、から構成することにより、前記棒状連結材4の両端部に全ネジボルト等401のネジ部41を一部露出させているが、この他に、文字通り棒状連結材4となる棒状部材の両端部に直接ネジ部41を形成させることによっても可能である。
【0023】
前記したように、図1に示されるものと図2に示されるものとは、図1に示されるものが棒状連結材4を1列使用した1列補強構造であるのに対して、図3に示されるものは棒状連結材4を2列使用した2列補強構造である点で異なっている。
図3に示すように、棒状連結材4を2列使用した2列補強構造とすることにより、充分な強度のものとすることができる。
【0024】
なお、本発明においては、全ネジボルト材と、両端を必要長さにネジ切りしたボルト材とは、同様の作用・機能を持つことから、いずれも用いることができる。以下の説明においては、全ネジボルト材と、両端を必要長さにネジ切りしたボルト材との両者を合わせたものを、「全ネジボルト材等」と称している。
さらに、図11に示すように、図1に示される補強構造において、棒状連結材4の左右延長線上に、1対の第2ベースプレート3’をそれぞれ追加して設け、左右それぞれの第1ベースプレート3と第2のベースプレート3’の間に、それぞれ全ネジボルト材等5を挿入し、前記第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’にそれぞれ設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’に前記全ネジボルト材等5をそれぞれ架設し、全ネジボルト材等5のネジ部41に螺合させたナットにより前記第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’と、前記全ネジボルト材等5とをそれぞれ止着固定して、長尺であり、より強固な補強構造とすることができる。
第2のベースプレート3’は、形状、大きさ、材質等において、第1ベースプレート3と基本的に同様のものを用いることができる。
また、このとき2本使用する全ネジボルト材等5は、前記した全ネジボルト等401と同様の材質のものを用いることができるが、その長さは基礎コンクリート2の大きさ(幅)等を考慮して適宜定めればよい。図11に示す全ネジボルト材等5の長さは、それぞれ300mmであるが、これに限定されるものではない。
なお、取り付けや搬入が可能であれば、全ネジボルト等401の左右延長線上にさらにそれぞれ300mm前後の全ネジボルト材等5を連結させた構造とする必要はなく、例えば長さが1550mmというより長尺の全ネジボルト等401を1本だけ用いてもよい。この場合、例えばさや管402の長さは637mmであるが、これに限定されるものではない。
【0025】
また、図12は、図11に示される補強構造において、ナット42の一部を、大型の高ナットに変えたものを示している。図13は、図12において、補強構造のみを取り出して示した説明図である。なお、高ナットとは、長さ(厚み)の長いナットをいい、50〜80mm程度のものを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0026】
さらに、図14は、図3に示される補強構造において、下側の列を、図11に示す如き長尺のものとした例を示している。この場合において、図11の代わりに、図12、図13に示す如き、大型の高ナットを用いたものとすることもできる。
【0027】
さらにまた、図15は、図3に示される補強構造において、上下側の列をいずれも、図11に示す如き長尺のものとした例(即ち、図14において、上側の列も図11に示す如き長尺のものとした例)を示している。この場合において、図11の代わりに、図12、図13に示す如き、大型の高ナットを用いたものとすることもできる。
【0028】
このように、本発明においては、図1に示す如き、いわば短尺のもの1本構造のものから、図3に示す如き短尺のもの2本構造のもの、図11〜13に示す如き長尺のもの1本構造のもの、図14に示す如き短尺と長尺の2本構造のもの、図15に示す如く長尺の2本構造のもの、とすることができる。
【実施例】
【0029】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
参考例1(開口部のない鉄筋コンクリートからなる布基礎)
開口部のない鉄筋コンクリートからなる布基礎(幅3600mm、高さ600mm、厚さ120mm;上下主筋:D13、SD295;あばら筋:D10、@300、SD295)について、下側に支台6を2つ置き、図16に示すようにして、上から加力する曲げせん断強度試験を行ったところ、最大(Pmax試験値)29.2kNの耐力であった。
【0031】
比較例1(開口部を有する鉄筋コンクリートからなる布基礎)
図17に示すように、上側に開口部1(幅450mm、高さ300mm)を有する鉄筋コンクリートからなる布基礎(幅3600mm、高さ600mm、厚さ120mm;上下主筋:D13、SD295;あばら筋:D10、@300、SD295)について、下側に支台6を2つ置き、図17に示すようにして、上から加力する曲げせん断強度試験を行ったところ、最大14.6kNの耐力であった。
【0032】
実施例1(本発明による開口部を有する鉄筋コンクリートからなる基礎コンクリートの補強)
図18に示すように、上側に開口部1(幅450mm、高さ300mm)を有する鉄筋コンクリートからなる基礎コンクリート2(幅3600mm、高さ600mm、厚さ120mm;上下主筋:D13、SD295;あばら筋:D10、@300、SD295)について、図18に示すようにして本発明による補強を行い、次いで下側に支台6を2つ置き、図18に示すようにして、上から加力する曲げせん断強度試験(上側開口)を行ったところ、最大29.3kNの耐力が得られた。
ここで、本発明による補強は、次のようにして行った。
即ち、まず図4〜6に示す第1ベースプレート3を用いた。この第1ベースプレート3は、平板部31(縦68mm、横140mm、厚さ10mm)と、平板部31から垂直に立設した起立平板部32(縦68mm、高さ73mm、厚さ12mm)と、によって断面略T字状に形成されており、かつ、平板部31には、基礎コンクリート1に当接して止着固定するためのあと施工アンカー取付け用孔33(直径14mm)が起立平板部32を挟んで左右両側に形成されていると共に、起立平板部32の端面から平板部31方向に向かって、棒状連結材4を挿入し架設するための切り欠き34(入口部の切り欠きの大きさ22mm)
が設けられているものである。
この第1ベースプレート3のあと施工アンカー取付け用孔33(直径14mm)に、図7に示すような座金(ワッシャー)35(外径24mm、内径12mm、厚さ2.3mm)と、あと施工アンカー36としてハードエッジアンカー(サンコーテクノ株式会社製、商品名)(頭部の直径が17mm、軸部の直径が12mm、軸部の長さが75mmのもの)を挿入し、第1ベースプレート3をこれらを用いて、開口部1を有する基礎コンクリート2の開口部1左右の基礎コンクリート2に予め所定の大きさに開けられた下穴にねじ込み、図18に示すように、左右1対ずつ二段の合計4個当接して止着固定した。
次に、長さが752mm、直径が20mmの全ネジボルト等401と、この全ネジボルト等401を内部に収容する、長さが627mm、直径が27.2mm、厚さ2.9mmのさや管402とからなる棒状連結材4を2本用意し、この棒状連結材4を、それぞれ第1ベースプレート3に設けられている切り欠き34を通じて第1ベースプレート3に架設し、棒状連結材4の両端部に露出している全ネジボルト等のネジ部に螺合させたナットにより第1ベースプレート3と棒状連結材4とを止着固定した。なお、片側について二重ナットとした。
【0033】
実施例2
実施例1において、図19に示すように、棒状連結材4を構成する全ネジボルト等401及びさや管402として、長さが752mm、直径が20mmの全ネジボルト等401と、長さが627mm、直径が27.2mm、厚さ2.9mmのさや管402の組み合わせの他に、長さが1210mm、直径が20mmの全ネジボルト等401と、長さが1100mm、直径が27.2mm、厚さ2.9mmのさや管402の組み合わせからなる棒状連結材4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして曲げせん断強度試験(上側開口)を行ったところ、最大31.0kNの耐力であった。
【0034】
実施例3
実施例1において、図20に示すように、下側に開口部1(幅450mm、高さ300mm)を有する鉄筋コンクリートからなる基礎コンクリート2について補強を行ったこと以外は、実施例1と同様にして曲げせん断強度試験(下側開口)を行ったところ、最大31.4kNの耐力であった。
【0035】
実施例4
実施例1において、図21に示すように、棒状連結材4を1本のみ用い、かつ、棒状連結材4の左右延長線上に1対の第2ベースプレート3’をそれぞれ追加して設け、左右それぞれの第1ベースプレート3と第2のベースプレート3’の間に、それぞれ全ネジボルト材等5を挿入し、第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’にそれぞれ設けられている切り欠きを通じて第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’に全ネジボルト材等5をそれぞれ架設し、全ネジボルト材等5のネジ部に螺合させたナットにより第1ベースプレート3、第2ベースプレート3’と、全ネジボルト材等5とをそれぞれ止着固定したこと以外は、実施例1と同様にして曲げせん断強度試験(上側開口)を行ったところ、最大30.2kNの耐力であった。
【0036】
実施例5
実施例4において、図22に示すように、下側に開口部1(幅450mm、高さ300mm)を有する鉄筋コンクリートからなる基礎コンクリート2について補強を行ったこと以外は、実施例4と同様にして曲げせん断強度試験(下側開口)を行ったところ、最大34.3kNの耐力であった。
【0037】
鉄筋コンクリートからなる基礎の耐力は、以下に示す建築学会の算定式を用いて計算した。
[基礎の算定式]
一般的に行なわれている住宅の布基礎の設計では、フーチング部分は地反力を処理するものとして設計し、残余の地中梁部分に曲げ耐力を期待した設計を行なっている。2階建ての住宅の布基礎の上下主筋には異型鉄筋1-D13を用いるのが一般的である。図23で示される鉄筋の終局耐力(Mmax)は、下記の式(1)で算定するのが一般的である。下記の式(1)を適用する際に鉄筋の規格が問題となる。異型鉄筋の場合、SD235、SD295、SD345(末尾の数値が基準強度Fで、単位はN/mm2である)が主に市場に流出しており、最も使用量の多いものがSD235と考えられる。しかし、構造計算を行なった住宅ではSD235で強度不足の場合には、SD295或いはSD345を用いることがある。この為、SD235〜SD345を網羅して検討する必要がある。
【0038】
・My=0.9at・δy・d ・・・(1)
【0039】
ここでatは引張主筋断面積、δyは主筋の降伏点でF値の1.1倍とした。dは有効せい(d=D-d1)をそれぞれ示す。
なお、記号D、d1、D1は、表1で示される寸法である。
【0040】
【表1】
【0041】
上下主筋には異型鉄筋1-D13を用い、規格(材質)がSD235〜SD345の布基礎の終局耐力Mmaxを計算すると、次の表2のMmax欄が構造設計で期待している終局強度時のモーメントである。
【0042】
【表2】
【0043】
実験では、図24に示す試験区間長L=3000mmの試験体中央に荷重を加えている。このとき、試験体中央の最大曲げモーメントMmaxを荷重Pに直すと、式(2)となる。
【0044】
・P=4・Mmax /L ・・・(2)
【0045】
試験区間L=3000mmとして、終局耐力をモーメントから荷重に変換すると、次の表3を得た。表3中のPが、構造設計で期待している終局強度の荷重表現である。
【0046】
【表3】
【0047】
これらの結果によれば、本発明により、開口を有する基礎コンクリートを有効に補強することができることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、リフォームや防蟻工事の際に開けられた開口部を有する基礎コンクリートを有効に補強することができる。
即ち、本発明によれば、リフォームや防蟻工事の際に開けられた開口部を有する基礎コンクリートであっても、開口部のない基礎コンクリートと殆ど遜色ないレベルにまで強度を戻すことができる。
従って、本発明によれば、開口部を有する基礎コンクリート上の木造建造物の耐震性を低下させるおそれが回避される。
さらに、本発明の補強構造は、第1ベースプレートの起立平板部の端面から平板部方向に向かって、棒状連結材を挿入し架設するための切り欠きを設けたものであるため、その正面方向から容易に棒状連結材を出し入れすることができる。従って、棒状連結材が取り外し自在となっている。
それ故、本発明は、住宅関連産業において、有効に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の補強構造の第1の態様を示す正面図である。
【図2】本発明の補強構造の第1の態様を示す平面図である。
【図3】本発明の補強構造の第2の態様を示す正面図である。
【図4】ベースプレート3の1態様を示す正面図である。
【図5】ベースプレート3の1態様を示す側面図である。
【図6】ベースプレート3の1態様を示す平面図である。
【図7】本発明に用いる座金(ワッシャー)35と、あと施工アンカー36とを示す説明図である。
【図8】全ネジボルト等401の説明図である。
【図9】さや管402の説明図である。
【図10】ベースプレート3と棒状連結材4とを、ナット42を用いて完全に締め付け固定した状態を示す一部切り欠き拡大図である。
【図11】本発明の補強構造の第3の態様を示す正面図である。
【図12】本発明の補強構造の第4の態様を示す正面図である。
【図13】本発明の補強構造の第4の態様を示す説明図である。
【図14】本発明の補強構造の第5の態様を示す正面図である。
【図15】本発明の補強構造の第6の態様を示す正面図である。
【図16】参考例1における強度試験の模様を示す説明図である。
【図17】比較例1における強度試験の模様を示す説明図である。
【図18】実施例1における強度試験の模様を示す説明図である。
【図19】実施例2における強度試験の模様を示す説明図である。
【図20】実施例3における強度試験の模様を示す説明図である。
【図21】実施例4における強度試験の模様を示す説明図である。
【図22】実施例5における強度試験の模様を示す説明図である。
【図23】基礎の算定において用いた鉄筋の形状を示す説明図である。
【図24】基礎の算定において行った、鉄筋コンクリートからなる基礎の耐力試験の模様を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 開口部
2 基礎コンクリート
3 第1ベースプレート
3’ 第2ベースプレート
4 棒状連結材
5 全ネジボルト材等
6 支台
31 平板部
32 起立平板部
33 あと施工アンカー取付け用孔
34 切り欠き
35 座金(ワッシャー)
36 あと施工アンカー
41 ネジ部
42 ナット
43 座金
401 全ネジボルト等
402 さや管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する基礎コンクリートの前記開口部左右の基礎コンクリートに当接して止着固定する左右一対の第1ベースプレートと、前記第1ベースプレート間に架設される棒状連結材と、から構成される補強金具により、開口部を有する基礎コンクリートを補強してなる基礎コンクリートの補強構造であって、
前記補強金具を構成する前記第1ベースプレートは、平板部と、前記平板部から垂直に立設した起立平板部と、によって断面略T字状に形成されており、
かつ、前記平板部には、前記基礎コンクリートに当接して止着固定するためのあと施工アンカー取付け用孔が前記起立平板部を挟んで左右両側に形成されていると共に、前記起立平板部の端面から前記平板部方向に向かって、前記棒状連結材を挿入し架設するための切り欠きを設け、
前記棒状連結材は、全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトと、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトを内部に収容する、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトより長さの短いさや管とからなっていて、前記棒状連結材の両端部には全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部が一部露出しており、
前記第1ベースプレートに設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレートに前記棒状連結材を架設し、前記棒状連結材の両端部に露出している全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部に螺合させたナットにより前記第1ベースプレートと前記棒状連結材とを止着固定してなる、開口部を有する基礎コンクリートの補強構造。
【請求項2】
ナットを二重ナットとした、請求項1記載の補強構造。
【請求項3】
前記起立平板部に設けられた切り欠きが、略馬蹄形乃至略こけし形である、請求項1又は2に記載の補強構造。
【請求項4】
前記棒状連結材が取り外し自在である、請求項1〜3のいずれかに記載の補強構造。
【請求項5】
前記棒状連結材の左右延長線上に1対の第2ベースプレートをそれぞれ追加して設け、左右それぞれの第1ベースプレートと第2のベースプレートの間に、それぞれ全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材を挿入し、前記第1ベースプレート、第2ベースプレートにそれぞれ設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレート、第2ベースプレートに前記全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材をそれぞれ架設し、全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材のネジ部に螺合させたナットにより前記第1ベースプレート、第2ベースプレートと、前記全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材とをそれぞれ止着固定してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の補強構造。
【請求項1】
開口部を有する基礎コンクリートの前記開口部左右の基礎コンクリートに当接して止着固定する左右一対の第1ベースプレートと、前記第1ベースプレート間に架設される棒状連結材と、から構成される補強金具により、開口部を有する基礎コンクリートを補強してなる基礎コンクリートの補強構造であって、
前記補強金具を構成する前記第1ベースプレートは、平板部と、前記平板部から垂直に立設した起立平板部と、によって断面略T字状に形成されており、
かつ、前記平板部には、前記基礎コンクリートに当接して止着固定するためのあと施工アンカー取付け用孔が前記起立平板部を挟んで左右両側に形成されていると共に、前記起立平板部の端面から前記平板部方向に向かって、前記棒状連結材を挿入し架設するための切り欠きを設け、
前記棒状連結材は、全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトと、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトを内部に収容する、前記全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトより長さの短いさや管とからなっていて、前記棒状連結材の両端部には全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部が一部露出しており、
前記第1ベースプレートに設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレートに前記棒状連結材を架設し、前記棒状連結材の両端部に露出している全ネジボルト又は両端をネジ切りしたボルトのネジ部に螺合させたナットにより前記第1ベースプレートと前記棒状連結材とを止着固定してなる、開口部を有する基礎コンクリートの補強構造。
【請求項2】
ナットを二重ナットとした、請求項1記載の補強構造。
【請求項3】
前記起立平板部に設けられた切り欠きが、略馬蹄形乃至略こけし形である、請求項1又は2に記載の補強構造。
【請求項4】
前記棒状連結材が取り外し自在である、請求項1〜3のいずれかに記載の補強構造。
【請求項5】
前記棒状連結材の左右延長線上に1対の第2ベースプレートをそれぞれ追加して設け、左右それぞれの第1ベースプレートと第2のベースプレートの間に、それぞれ全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材を挿入し、前記第1ベースプレート、第2ベースプレートにそれぞれ設けられている切り欠きを通じて前記第1ベースプレート、第2ベースプレートに前記全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材をそれぞれ架設し、全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材のネジ部に螺合させたナットにより前記第1ベースプレート、第2ベースプレートと、前記全ネジボルト材又は両端をネジ切りしたボルト材とをそれぞれ止着固定してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の補強構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−84413(P2010−84413A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254097(P2008−254097)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(300051803)株式会社アサンテ (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(300051803)株式会社アサンテ (9)
【Fターム(参考)】
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