基礎補強構造
【課題】効率的に基礎に生じる構造的ひび割れを防ぐことができる。
【解決手段】布基礎2の側面2bに長手方向が水平方向となる横繊維シート3aが接着されて、布基礎2のコーナー部分及び柱5の直下の布基礎2の側面2bなどに間隔をあけて、長手方向が鉛直方向になる縦繊維シート3bが横繊維シート3aの上から重ねて接着される。
【解決手段】布基礎2の側面2bに長手方向が水平方向となる横繊維シート3aが接着されて、布基礎2のコーナー部分及び柱5の直下の布基礎2の側面2bなどに間隔をあけて、長手方向が鉛直方向になる縦繊維シート3bが横繊維シート3aの上から重ねて接着される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の基礎補強構造に関し、無筋コンクリート基礎、もしくは、鉄筋の配筋不足や、ひび割れ等劣化した鉄筋コンクリート基礎、またはべた基礎の立上り部分などからなる基礎の補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の住宅の基礎は、鉄筋コンクリート構造の布基礎やべた基礎が施工されることが多く、地盤沈下や地震に対して所定の強度を有する構造になっていることがほとんどである。これは、昭和56年6月に建築基準法が改正され、「新耐震基準」として壁量規定の見直しや、構造用合板や石膏ボード等の面材を張った壁などが追加され、床面積あたりの必要壁長さや、軸組の種類・倍率が改定された。改正後に建てられた住宅などは、阪神・淡路大震災で倒壊などの被害が少なかったとされている。また、平成12年には建築基準法の大改正と品確法の施行により、地盤の地耐力による基礎構造(布基礎、ベタ基礎、杭基礎)が規定され、耐力壁の配置にバランス計算、もしくは偏心率計算が必要となり、筋交いの端部と耐力壁の脇の柱頭・柱脚の仕様やホールダウン金物などに関する基準化がなされている。
しかし、特に昭和56年6月以前の住宅においては、無筋コンクリート構造の布基礎や鉄筋の少ない基礎が施工されたケースが多い。これらのコンクリート構造の布基礎では、引張力を負担する鉄筋が無い、又は少ないため強度が不足し、面内曲げモーメントによる構造的ひび割れが生じるなどの問題があり、何らかの補強対策を施すことが必要とされている。
補強方法としては、既設の無筋コンクリート構造の基礎に鉄筋コンクリートの増し打ちを行う方法が行われている。
また、高引張り強度を有する繊維素材をシート状にした繊維シートを基礎の側面に接着し、基礎に作用する引張力を繊維シートに負担させて基礎に生じる構造的ひび割れを防止する方法が提案されている。特許文献1に示す既存建築物の基礎の補強方法では、無筋コンクリート構造の基礎の両面に基礎のフーチング上の立ち上がり部から基礎天端まで所望の水平長さ範囲で繊維シートを接着している。
また、地震などの水平力が構造物に加わると、耐力壁端部の柱に生じる引抜き力により、その柱下の土台を基礎に固定するアンカーボルト埋設部分で、柱の引抜きによるアンカーボルトの引張力や水平力によるせん断力で構造的ひび割れが生じやすい。また、基礎に形成された例えば床下換気口などの開口部の周りや、基礎の出隅、入隅部分などでは部分的なせん断破壊が生じやすい。
特許文献2に示す建築物の基礎の補強方法では、床下換気口などの開口部周りや、柱下の引き抜き力が作用する部分に斜めクロス状に編んだ繊維シートを接着している。
【特許文献1】特開2006−132081号公報
【特許文献2】特開2006−57433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の無筋コンクリートの基礎の耐震補強方法では以下のような問題があった。
鉄筋コンクリートの増し打ちによる補強は、鉄筋コンクリートの打ち増しを既設の基礎と同じかそれ以上の幅とする必要があり、工期的、費用的にも実用的ではなかった。また、鉄筋コンクリートの増し打ちによって建物の荷重が増えてしまい、基礎が配設されている地盤が軟弱地盤の場合には、地盤沈下の恐れが生じるという問題があった。
また、特許文献1に示す無筋コンクリート構造の布基礎の両側面に基礎の立ち上がり部から天端まで繊維シートを接着して全体に同一な補強を行う方法では地盤や構造物の基礎の状況によっては過度の補強構造となってしまう。また、特許文献2に示す方法は開口部の周りなど構造的ひび割れの生じやすい部分のみ補強を行う方法で、基礎を全体的に補強する方法ではなかった。
【0004】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、建物の基礎部分の荷重を増やさずに、構造物の形状や重さ、基礎の状況及び地盤の地耐力に合わせて効率的に補強できて、基礎に生じるせん断や曲げ破壊による構造的ひび割れを防ぐことができ、すでに構造的ひび割れが生じている基礎にも補強することができる基礎補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る基礎補強構造は、構造物の基礎に生じるせん断や曲げ破壊を抑制し、基礎の耐震性を向上するための基礎補強構造であって、基礎の側面に部分的に補強部材が接着されることを特徴とする。
本発明では、要望される補強強度にあわせて構造物の基礎の側面に補強部材を部分的に接着しているので、過剰な補強構造となることがなく、建物及び地盤の状況に合わせて基礎を補強することができる。
【0006】
また、本発明に係る基礎補強構造では、補強部材はシート状の繊維補強材であって、基礎の両側面の地盤面から基礎立ち上がりの天端の範囲内に接着されている構成としてもよい。
本発明では、基礎の両側面に地盤面から基礎の天端の範囲内に、繊維補強材が接着されているので、主に基礎天端付近の構造的ひび割れの要因となるアンカーボルトのせん断力などによるひび割れや、基礎に大きな鉛直荷重がかかる重い建物(重い屋根・外壁、積雪荷重など)により、ある程度固い地盤で、図19に示すような地耐力の反力による面内曲げ応力による構造的ひび割れが地盤面上に生じやすい場合の基礎を補強することができる。これにより、ある程度固い地盤上の重い建物の二階建て及び下屋部の基礎や、重い建物の平屋建ての基礎に適用することができる。
【0007】
また、本発明に係る基礎補強構造では、補強部材はシート状の繊維補強材であって、構造物の外周に配設された基礎の外側側面のフーチング上の立ち上がり部から基礎天端の範囲内に接着されている構成としてもよい。
本発明では、構造物の外周に配設された基礎の外側側面のフーチング上の立ち上がり部から基礎天端の範囲内に、繊維補強材が接着されているので、主に立ち上がり部の天端付近と地盤面下に構造的ひび割れが生じやすい、軟らかい土質の層を多く含んだ地盤上の基礎を補強することができる。これは、部位的な地耐力不足や建物荷重の不均衡などで不同沈下による強制的な曲げ応力が働き、基礎立ち上がり部の上側又は下側が部位的に引張側となる構造的ひび割れが生じやすい基礎を補強する。これにより、比較的軟らかい地盤上の軽い建物(軽い屋根・外壁、少ない積雪量など)の二階建て及び下屋部分の基礎や、重い建物の平屋建ての基礎に適用することができる。
【0008】
また、本発明に係る基礎補強構造では、補強部材はシート状の繊維補強材であって、基礎の片側側面の地盤面から基礎の天端の範囲内に接着されている構成としてもよい。
本発明では、基礎の片側側面の地盤面から基礎の天端の範囲内に、繊維補強材が接着されているので、アンカーボルトによる構造的ひび割れが生じやすい基礎立ち上がり部の天端付近の補強や、固い地盤で不同沈下のおそれの少ない地盤上の基礎を補強することができる。これにより、固く不同沈下のおそれの少ない地盤上の軽い建物の二階建て及び下屋部分の基礎や、軽い建物の平屋建ての基礎に適用することができる。
【0009】
また、本発明に係る基礎補強構造では、補強部材はシート状の繊維補強材であって、構造物の外周に配設された基礎の内側側面の地盤面から基礎の天端の範囲内に接着されると共に、基礎の外側側面のフーチング上の立ち上がり部から基礎天端の範囲内に接着されている構成としてもよい。
本発明では、構造物の外周に配設された基礎の内側側面の地盤面から基礎の天端の範囲内と、基礎の外側側面のフーチング上の立ち上がり部から基礎天端の範囲内に繊維補強材が接着されているので、主に基礎の天端付近及び地盤面下に構造的ひび割れが生じやすく、比較的軟弱な地盤で不同沈下のおそれのある基礎を補強することができる。これは、地耐力不足で連続的な不同沈下や杭地業を行こなったことによる強制的な曲げ応力が働き、図20に示すような基礎立ち上がり部の上側及び下側が部位的に引張側となる構造的ひび割れが生じやすい基礎を補強する。これにより、比較的軟弱な地盤で不同沈下のおそれや柱状改良した地盤上の重い建物の二階建て及び下屋部分の基礎や、比較的軽い建物の三階建ての基礎に適用することができる。
【0010】
また、本発明に係る基礎補強構造では、繊維補強材は長尺のシート状であって、繊維補強材の長手方向が水平方向となる横繊維補強材と、繊維補強材の長手方向が鉛直方向となる縦繊維補強材とからなる構成としてもよい。
本発明では、繊維補強材は基礎側面に水平方向及び鉛直方向に接着されるので、基礎に作用する面内曲げモーメントによって基礎の引張側に生じる構造的ひび割れや、柱の引き抜き力によって生じる土台アンカーボルトでの引張・せん断破壊、基礎出隅・入隅部などのせん断破壊、及び重い建物での鉛直荷重による部位的曲げ応力などによる構造的ひび割れを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明に係る基礎補強構造では、繊維補強材は長尺のシート状であって、繊維補強材の長手方向が水平方向となる横繊維補強材と、繊維補強材の長手方向が斜め方向となる斜め繊維補強材とからなる構成としてもよい。
本発明では、繊維補強材は基礎側面に水平方向及び斜め方向に接着されるので、基礎に作用する面内曲げモーメントによって基礎の引張側に生じる構造的ひび割れや、杭を用いた基礎のせん断変形によって生じる斜めの構造的ひび割れを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明に係る基礎補強構造では、補強部材はフラットバーのPC板としてもよい。
本発明では、補強部材はPC板なので、基礎に作用する引張力を負担すると共に、基礎に剛性を加えることができて、基礎の変形を防ぎ基礎に生じる構造的ひび割れを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明に係る基礎の補強構造では、PC板と基礎の側面との間にはシート状の繊維補強材が接着されている構成としてもよい。
本発明では、プレキャストコンクリート板と基礎の接着面に繊維補強材を接着することにより、繊維補強材が基礎に作用する引張力を負担し、PC板によって基礎に剛性を加えることができるのでより強固に基礎を補強できて、基礎に生じるせん断及び曲げ破壊による構造的ひび割れを防ぐことができる。
【0014】
また、本発明に係る基礎の補強構造では、補強部材を基礎側面に接着する部分は、基礎に生じるせん断や曲げ破壊による構造的ひび割れが生じやすい、または生じている基礎や基礎が設置された地盤の状況により選択可能であることを特徴とする。
本発明では、補強部材を接着する部分を選択できることにより必要に応じた基礎補強を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、構造物の基礎の側面に補強材を部分的に接着するので、要求される強度に合わせて基礎を補強できて、基礎に生じるせん断や曲げ破壊の防止及び耐震性の向上を実現することができる。
また、すでに構造的ひび割れが生じている基礎に対しても耐震性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造について、図1(a)、(b)、(c)に基づいて説明する。
図1(a)は本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0017】
図1(a)、(b)、(c)に示すように、第一の実施の形態による基礎補強構造1aは、無筋コンクリート造や鉄筋の配筋不足での布基礎2の両側面2bに、繊維補強材の長尺の繊維シート3を、地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって繊維シート3の長手方向が水平方向になるように接着されると共に、繊維シート3の長手方向が鉛直方向になるように所定の間隔をあけて接着される構成である。
布基礎2は、フーチング2cを備えた断面が略T字型形状をしており、上部には土台4及び柱5が配設され、土台の上方には図示しない壁材や床材などが配設されている。
【0018】
繊維シート3は、例えば、アラミド繊維や炭素繊維などの引張強度の高い繊維を長尺のシート状に形成したもので、他にガラス繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維等の化学繊維や、これらの繊維を適宜組み合わせた繊維をシート状に形成したものでもよく、また、これらの繊維と金属製繊維とを複合させて形成したシートでもよい。繊維シート3はその幅が地盤G面から布基礎2の天端2aまでの長さの約1/3程の幅である。繊維シート3は貼る方向によって、長手方向が水平方向になるように布基礎2の側面2bに貼るものを横繊維シート3aとし、長手方向が鉛直方向になるように布基礎2の側面2bに貼るものを縦繊維シート3bとする。
横繊維シート3aは布基礎2の両側面2bの地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって隙間をあけず3段に後述する接着方法によって接着される。縦繊維シート3bは、布基礎2のコーナー部分及び、柱5が立設された直下の布基礎2の側面2bなどに地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって鉛直方向に接着される。このとき、縦繊維シート3bに先立って横繊維シート3aを布基礎2の側面に接着し、その上から縦繊維シート3bを重ねて接着すると施工性がよく、横繊維シート3a及び縦繊維シート3bが重なった部分の補強強度が増す。
【0019】
繊維シート3の接着方法は、まず布基礎2の側面2bを清掃し、側面2bの仕上げがモルタル仕上げの場合には、このモルタルを剥離し除去する。そして側面2bの繊維シート3の接着面に、例えばサンダーがけを行い表面のレイタンスや泥、油分などを除去して、接着面の平滑性を確保する。この時点で側面2bに構造的ひび割れが生じている場合は、ひび割れ部分に例えばエポキシ樹脂を注入してひび割れを接着補修しておく。
そして、接着面に下地処理用のプライマーを塗布し、プライマーが乾燥した後に下塗り用の接着剤を塗布し、繊維シート3を接着する。さらに、繊維シート3の上に上塗り用の接着剤を塗布し、例えばヘラなどでテンションを加えて繊維シート3に接着剤を浸透させる。必要に応じて上塗り用の接着剤の硬化前に珪砂を塗布して、モルタル仕上げの下地処理を行いモルタルの付着性を良くし、仕上げのモルタルを施工する。
【0020】
次に、上述した第一の実施の形態による基礎補強構造1aの作用効果について図面を用いて説明する。
繊維シート3は引張強度の高い繊維によって形成されているので、無筋コンクリート造などで引張耐力の少ない布基礎2に繊維シート3が接着されて一体化することで、布基礎2に作用する引張応力を負担し、布基礎2の側面2bに生じる面内曲げモーメントによる構造的ひび割れを防止する作用効果を奏する。さらに、縦繊維シート3bは柱5の立設された直下の布基礎2の側面2bに鉛直方面に接着されているので、布基礎2に作用する柱5の水平力での引き抜きによる引張力や鉛直荷重でのせん断力を負担することができて、布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐことができる。
また、繊維シート3が布基礎2の両側面2bの地盤G面から布基礎2の天端2aまで接着されているので、地盤G面下を掘削して布基礎2を補強することが困難な場合にも布基礎2の両側面2bを補強することができる。
【0021】
上述した第一の実施の形態による基礎補強構造1aでは、布基礎2に作用する引張応力やせん断力を横繊維シート3a及び縦繊維シート3bが負担するので、面内曲げモーメントや柱の水平力での引き抜きによる引張力や鉛直荷重でのせん断力及び基礎の出隅・入隅部のせん断力などによって布基礎2に生じる構造的ひび割れを防ぐことができる。
【0022】
次に、第二の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
図2(a)は本発明の第二の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0023】
図2(a)、(b)、(c)に示すように、第二の実施の形態による基礎補強構造1bでは、布基礎2の両側面2bの地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって3段に接着された横繊維シート3aの上から、V字型を連ねたジグザグ状に他の繊維シート3が接着される構成である。ここで、V字型を連ねたジグザグ状に接着される繊維シート3を斜め繊維シート3cとし、斜め繊維シート3cの下端部は地盤G面下の布基礎2の側面2bに接着されてもよい。
横繊維シート3aは第一の実施の形態と同様に布基礎2の側面2bに接着され、斜め繊維シート3cは、横繊維シート3aの上から接着する。
【0024】
次に、上述した第二の実施の形態による基礎補強構造1bの作用効果について図面を用いて説明する。
第二の実施の形態による基礎補強構造1bでは、第一の実施の形態による基礎補強構造1bと同様に面内曲げモーメントにより布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐ作用効果がある。そして、斜め繊維シート3cはV字型を重ねたジグザグ状に接着されているので、布基礎2のせん断変形を効率的に防ぐことができ、布基礎2のせん断変形により布基礎2の側面2bに生じる斜めの構造的ひび割れも防ぐことができる。
【0025】
次に、第三の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の各実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、各実施の形態と異なる構成について説明する。
図3(a)は本発明の第三の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0026】
図3(a)、(b)、(c)に示すように、第三の実施の形態による基礎補強構造1cは、構造物の外周に配設された布基礎2の外側の側面2bに横繊維シート3a及び縦繊維シート3bを接着する構成である。
横繊維シート3aは布基礎2の側面2bに、地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって3段に接着され、地盤G面下には横繊維シート3aの下端部を布基礎2のフーチング上の立ち上がり部2dに合わせて1段接着される。縦繊維シート3bは布基礎2のコーナー部分に布基礎2のフーチング上の立ち上がり部2dから布基礎2の天端2aにわたって接着される。
【0027】
次に、上述した第三の実施の形態による基礎補強構造1cの作用効果について図面を用いて説明する。
第三の実施の形態による基礎補強構造1cでは、第一の実施の形態による基礎補強構造1bと同様に面内曲げモーメントにより布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐ作用効果がある。また、地盤G面下にも繊維シート3が接着されているので地盤G面下の布基礎2の側面2bを補強することができる。また、構造物外周の布基礎2の外側の側面2bを補強する場合に適している。
【0028】
次に、第四の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の各実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、各実施の形態と異なる構成について説明する。
図4(a)は本発明の第四の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0029】
図4(a)、(b)、(c)に示すように、第四の実施の形態による基礎補強構造1dは、第一の実施の形態による基礎補強構造1aの横繊維シート3a及び縦繊維シート3bが、構造物の外周に配設された布基礎2の外側の側面2bのみに接着される構成である。
【0030】
次に、上述した第四の実施の形態による基礎補強構造1dの作用効果について図面を用いて説明する。
第四の実施の形態による基礎補強構造1dでは、布基礎2に作用する面内曲げモーメントにより布基礎2の外側の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐ作用効果がある。布基礎2の外側側面2bのみに繊維シート3が接着される構成なので、第一の実施の形態による基礎補強構造1aで補強する場合に比べて、布基礎2の外側の側面2bに面内曲げモーメントによる構造的ひび割れが生じやすく、布基礎2の構造や地盤の地耐力等の条件により要求される補強強度が少ない場合に適応できて、繊維シート3を接着する量が減るので、繊維シート3設置の労力やコストを減らすことができる。
【0031】
次に、第五の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の各実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、各実施の形態と異なる構成について説明する。
図5(a)は本発明の第五の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0032】
図5(a)、(b)、(c)に示すように、第五の実施の形態による基礎補強構造1eは、横繊維シート3a及び縦繊維シート3bが、構造物の外周に配設された布基礎2の外側の側面2bの布基礎2のフーチング上の立ち上がり部2dから基礎天端2aまでと、内側の側面2bの地盤G面から布基礎2の天端2aまでに接着される構成である。
【0033】
次に、上述した第五の実施の形態による基礎補強構造1eの作用効果について図面を用いて説明する。
第五の実施の形態による基礎補強構造1eでは、第一の実施の形態による基礎補強構造1aと同様に、布基礎2に作用する面内曲げモーメントにより布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐ作用効果がある。そして、布基礎2の外側の側面2bには地盤G面にも繊維シート3が接着されているので、上述した各実施の形態による基礎補強構造に比べて布基礎2を強固に補強できる。また、コーナー部の縦繊維シート36が基礎の出隅部、入隅部のせん断補強となる。
【0034】
次に、第六の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の各実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、各実施の形態と異なる構成について説明する。
図6(a)は本発明の第六の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0035】
図6(a)、(b)、(c)に示すように、第六の実施の形態による基礎補強構造1fは、構造物の外周に設置された布基礎2の外側の側面2bに、プレキャストコンクリート造の補強板(以下PC板11とする。)を接着する構造である。
PC板11は予め工場などで製作されて、所定の配筋がされたフラットバー部材で水平方向を軸方向として布基礎2の外側の側面2bに設置される。PC板11の両端部には凹凸のジョイント部11aが設けられて、要求される水平長さに合わせて接続可能である。PC板11は布基礎2の側面2bに上下2段に分けて設置され、上方のPC板11はその上端を布基礎2の天端2aと合わせて設置され、下方のPC板11はその下端を地盤G面とあわせて設置される。
【0036】
PC板11の固定方法は、まず、上述した各実施の形態による基礎補強構造と同様に布基礎2の側面2bの表面の平滑性を確保し、クラックの生じている部分には補修を施す。そして、布基礎2の側面2bにPC板11を固定するためのあと施工アンカー12の挿入口を所定箇所形成する。布基礎2の側面2bのPC板11の設置位置に接着剤を塗布すると共に、あと施工アンカー12の挿入口に接着剤を挿入し、PC板11を接着位置に貼り付けて仮止めし、あと施工アンカー12を挿入して、側面2bに塗布された接着剤の硬化後にPC板11の上から図示しない座金、スプリングワッシャー、ナットによって緊結する。また、図示しないが、PC板設置位置に繊維シートと接着剤を用いてPC板11を貼り付けることも可能とする。必要に応じて布基礎2の側面2b及びPC板11の表面をモルタル仕上げ、または耐候性の高い塗装仕上げとする。
【0037】
次に、上述した第六の実施の形態による基礎補強構造1fの作用効果について図面を用いて説明する。
第六の実施の形態による基礎補強構造1fでは、PC板11があと施工アンカー12によって布基礎2に緊結されているので、布基礎2に剛性を加えることができて、布基礎2の曲げやせん断による変形を防ぎ布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐ作用効果を奏する。
【0038】
次に、第七の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の各実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、各実施の形態と異なる構成について説明する。
図7(a)は本発明の第七の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図、(d)は(a)に示す基礎補強構造に備える鋼管コッターの詳細を示す図である。
【0039】
図7に示すように、第七の実施の形態による基礎補強構造1gでは、第六の実施の形態による基礎補強構造1fのPC板11が固定された布基礎2の側面2bに繊維シート3を接着し、PC板11はあと施工アンカー12に代わって複数の小径の孔が形成された鋼管コッター15によって固定される構成である。
【0040】
PC板11及び繊維シート3の設置方法は、まず、第六の実施の形態と同様に表面を平滑にした布基礎2の側面2bに、鋼管コッター15を設置するための溝孔16を所定箇所設ける。また、PC板11には鋼管コッター15が挿通する孔17を設ける。
そして、布基礎2の側面2bにPC板が設置される部分に繊維シート3を接着し、この繊維シート3の上に速硬化型エポキシ樹脂を塗布してPC板11を接着しする。そして、溝孔16及びPC板11の孔17に速硬化型エポキシ樹脂を注入して、鋼管コッター15を挿入する。さらに、鋼管コッター15内側に接着剤を注入し、鋼管コッター15の内径に適合するキャップ18を押し込んで接着剤に圧力を加え、鋼管コッター15に形成された小径の孔15aから鋼管コッター15と布基礎2及びPC板11との隙間に接着剤を充填する。
【0041】
第七の実施の形態による基礎補強構造1gでは、PC板11が鋼管コッター15と速硬化型エポキシ樹脂とによって布基礎2に広い接着面積で一体に緊結されて布基礎2の剛性がさらに増すと共に、繊維シート3が布基礎2に作用する引張力を負担することができるので、第六の実施の形態による基礎補強構造1fに比べ、布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れをより効率的に防ぐ作用効果を奏する。
【0042】
次に、第一の実施の形態の変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
図8に示すように、基礎補強構造1hでは、横繊維シート3aは地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって3段接着され、縦繊維シート3bはコーナーのみに接着されている。また、図9に示すように、基礎補強構造1iでは、横繊維シート3aは布基礎2の天端2aに上端を合わせた1段と、地盤G面に下端を合わせた1段の2段とし、この2段の横繊維シート3a間には間隔があいていて、縦繊維シート3bはコーナー部分のみに接着されている。また、図10に示すように、基礎補強構造1jでは、横繊維シート3aは布基礎2の天端2aに上端をあわせた横繊維シート3aの1段とし縦繊維シート3bはコーナー部分のみに接着されている。
【0043】
次に、第二の実施の形態の変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第二の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第二の実施の形態と異なる構成について説明する。
図11に示す基礎補強構造1kでは、第二の実施の形態による基礎補強構造1bの横繊維シート3a及び斜め繊維シート3cを構造物の外周に配設される布基礎2の外側側面2bのみに接着するものである。
【0044】
次に、第三の実施の形態の変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第三の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第三の実施の形態と異なる構成について説明する。
図12、13に示す基礎補強構造ll、1mでは、第三の実施の形態による基礎補強構造1cの地盤G面上に接着される横繊維シート3aの段数をそれぞれ変形させたもので、基礎補強構造1lでは横繊維シート3aは布基礎2の天端2aに上端を合わせた1段と、地盤G面に下端を合わせた1段の2段とし、基礎補強構造1mでは布基礎2の天端2aに上端をあわせた横繊維シート3aの1段としている。
【0045】
次に、第四の実施の形態の変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第四の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第四の実施の形態と異なる構成について説明する。
図14に示す基礎補強構造1nでは、第四の実施の形態による基礎補強構造1dの縦繊維シート3bがコーナー部分のみに接着されたものである。図15、16に示す基礎補強構造1o、1pでは、第四の実施の形態による基礎補強構造1dの縦繊維シート3bがコーナー部分のみに接着されて、横繊維シート3aの段数を変えたもので、基礎補強構造1nでは横繊維シート3aは布基礎2の天端2aに上端を合わせた1段と、地盤G面に下端を合わせた1段の2段とし、基礎補強構造1oでは布基礎2の天端2aに上端をあわせた縦繊維シート3aの1段としている。
【0046】
次に、第六、七の実施の形態の変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第六及び七の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第六、七の実施の形態と異なる構成について説明する。
図17、18に示す基礎補強構造1q、1rでは、第六、七の実施の形態による基礎補強構造1f、1gに備えるPC板11を1段にしたものである。
このように基礎や建物の状況及び地盤などの立地条件に合わせて補強方法を選択することができる。
【0047】
以上、本発明による基礎補強構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、フーチングを備える布基礎2を補強しているが、フーチングを備えない布基礎を補強してもよく、また、布基礎2に代わってべた基礎を補強してもよい。また、第一の実施の形態では、横繊維シート3aと縦繊維シート3bとは重ねて接着しているが、重ねずにそれぞれの端部をつき合わせて接着してもよい。また、上述した実施の形態では、縦繊維シート3aは布基礎2のコーナー部分や、柱5の直下の布基礎2の側面2bに接着されているが、そのほかの布基礎2の側面2bに接着されてもよい。
また、第四の実施の形態及び第四の実施の形態による変形例では、繊維シート3は構造物の外周に配設された布基礎2の外側の側面2bのみに接着されているが、補強の必要に応じて布基礎2の内側の側面2bのみに接着されてもよい。
また、第六の実施の形態及び第六の実施の形態による変形例では、PC板11はあと施工アンカーで布基礎2に固定されているが、鋼管コッター15などで固定されてもよい。
また、第七の実施の形態及び第七の実施の形態による変形例では、PC板11は鋼管コッター15で布基礎2に固定されているが、あと施工アンカーなどで固定されてもよい。
また、第七の実施の形態では、PC板11と布基礎2の側面2bとの間に繊維シート3が接着されているが、PC板11の接着面よりも広い範囲に繊維シート3を接着してもよく、PC板11の接着面よりも狭い範囲に部分的に繊維シート3を接着してもよい。
要は、本発明において所期の機能が得られればよいのである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a)は本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図2】(a)は本発明の第二の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図3】(a)は本発明の第三の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。(
【図4】(a)は本発明の第四の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図5】(a)は本発明の第五の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図6】(a)は本発明の第六の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図7】(a)は本発明の第七の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図、(d)は(a)に示す基礎補強構造に備えるコッターの詳細を示す図である。
【図8】(a)は本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図9】(a)は本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造の他の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図10】(a)は本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造の更に他の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図11】(a)は本発明の第二の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図12】(a)は本発明の第三の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図13】(a)は本発明の第三の実施の形態による基礎補強構造の他の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図14】(a)は本発明の第四の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図15】(a)は本発明の第四の実施の形態による基礎補強構造の他の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図16】(a)は本発明の第四の実施の形態による基礎補強構造の更に他の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図17】(a)は本発明の第六の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図18】(a)は本発明の第七の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図19】地耐力30KN/m2 以上の場合の基礎応力図である。
【図20】地耐力20KN/m2 以下で支持杭耐力の場合の基礎応力図である。
【符号の説明】
【0049】
1a 基礎補強構造
2 布基礎(基礎)
2a 天端
2b 側面
2d 立ち上がり部
3 繊維シート(繊維補強材)
3a 横繊維シート
3b 縦繊維シート
3c 斜め繊維シート
11 PC板
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の基礎補強構造に関し、無筋コンクリート基礎、もしくは、鉄筋の配筋不足や、ひび割れ等劣化した鉄筋コンクリート基礎、またはべた基礎の立上り部分などからなる基礎の補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の住宅の基礎は、鉄筋コンクリート構造の布基礎やべた基礎が施工されることが多く、地盤沈下や地震に対して所定の強度を有する構造になっていることがほとんどである。これは、昭和56年6月に建築基準法が改正され、「新耐震基準」として壁量規定の見直しや、構造用合板や石膏ボード等の面材を張った壁などが追加され、床面積あたりの必要壁長さや、軸組の種類・倍率が改定された。改正後に建てられた住宅などは、阪神・淡路大震災で倒壊などの被害が少なかったとされている。また、平成12年には建築基準法の大改正と品確法の施行により、地盤の地耐力による基礎構造(布基礎、ベタ基礎、杭基礎)が規定され、耐力壁の配置にバランス計算、もしくは偏心率計算が必要となり、筋交いの端部と耐力壁の脇の柱頭・柱脚の仕様やホールダウン金物などに関する基準化がなされている。
しかし、特に昭和56年6月以前の住宅においては、無筋コンクリート構造の布基礎や鉄筋の少ない基礎が施工されたケースが多い。これらのコンクリート構造の布基礎では、引張力を負担する鉄筋が無い、又は少ないため強度が不足し、面内曲げモーメントによる構造的ひび割れが生じるなどの問題があり、何らかの補強対策を施すことが必要とされている。
補強方法としては、既設の無筋コンクリート構造の基礎に鉄筋コンクリートの増し打ちを行う方法が行われている。
また、高引張り強度を有する繊維素材をシート状にした繊維シートを基礎の側面に接着し、基礎に作用する引張力を繊維シートに負担させて基礎に生じる構造的ひび割れを防止する方法が提案されている。特許文献1に示す既存建築物の基礎の補強方法では、無筋コンクリート構造の基礎の両面に基礎のフーチング上の立ち上がり部から基礎天端まで所望の水平長さ範囲で繊維シートを接着している。
また、地震などの水平力が構造物に加わると、耐力壁端部の柱に生じる引抜き力により、その柱下の土台を基礎に固定するアンカーボルト埋設部分で、柱の引抜きによるアンカーボルトの引張力や水平力によるせん断力で構造的ひび割れが生じやすい。また、基礎に形成された例えば床下換気口などの開口部の周りや、基礎の出隅、入隅部分などでは部分的なせん断破壊が生じやすい。
特許文献2に示す建築物の基礎の補強方法では、床下換気口などの開口部周りや、柱下の引き抜き力が作用する部分に斜めクロス状に編んだ繊維シートを接着している。
【特許文献1】特開2006−132081号公報
【特許文献2】特開2006−57433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の無筋コンクリートの基礎の耐震補強方法では以下のような問題があった。
鉄筋コンクリートの増し打ちによる補強は、鉄筋コンクリートの打ち増しを既設の基礎と同じかそれ以上の幅とする必要があり、工期的、費用的にも実用的ではなかった。また、鉄筋コンクリートの増し打ちによって建物の荷重が増えてしまい、基礎が配設されている地盤が軟弱地盤の場合には、地盤沈下の恐れが生じるという問題があった。
また、特許文献1に示す無筋コンクリート構造の布基礎の両側面に基礎の立ち上がり部から天端まで繊維シートを接着して全体に同一な補強を行う方法では地盤や構造物の基礎の状況によっては過度の補強構造となってしまう。また、特許文献2に示す方法は開口部の周りなど構造的ひび割れの生じやすい部分のみ補強を行う方法で、基礎を全体的に補強する方法ではなかった。
【0004】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、建物の基礎部分の荷重を増やさずに、構造物の形状や重さ、基礎の状況及び地盤の地耐力に合わせて効率的に補強できて、基礎に生じるせん断や曲げ破壊による構造的ひび割れを防ぐことができ、すでに構造的ひび割れが生じている基礎にも補強することができる基礎補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る基礎補強構造は、構造物の基礎に生じるせん断や曲げ破壊を抑制し、基礎の耐震性を向上するための基礎補強構造であって、基礎の側面に部分的に補強部材が接着されることを特徴とする。
本発明では、要望される補強強度にあわせて構造物の基礎の側面に補強部材を部分的に接着しているので、過剰な補強構造となることがなく、建物及び地盤の状況に合わせて基礎を補強することができる。
【0006】
また、本発明に係る基礎補強構造では、補強部材はシート状の繊維補強材であって、基礎の両側面の地盤面から基礎立ち上がりの天端の範囲内に接着されている構成としてもよい。
本発明では、基礎の両側面に地盤面から基礎の天端の範囲内に、繊維補強材が接着されているので、主に基礎天端付近の構造的ひび割れの要因となるアンカーボルトのせん断力などによるひび割れや、基礎に大きな鉛直荷重がかかる重い建物(重い屋根・外壁、積雪荷重など)により、ある程度固い地盤で、図19に示すような地耐力の反力による面内曲げ応力による構造的ひび割れが地盤面上に生じやすい場合の基礎を補強することができる。これにより、ある程度固い地盤上の重い建物の二階建て及び下屋部の基礎や、重い建物の平屋建ての基礎に適用することができる。
【0007】
また、本発明に係る基礎補強構造では、補強部材はシート状の繊維補強材であって、構造物の外周に配設された基礎の外側側面のフーチング上の立ち上がり部から基礎天端の範囲内に接着されている構成としてもよい。
本発明では、構造物の外周に配設された基礎の外側側面のフーチング上の立ち上がり部から基礎天端の範囲内に、繊維補強材が接着されているので、主に立ち上がり部の天端付近と地盤面下に構造的ひび割れが生じやすい、軟らかい土質の層を多く含んだ地盤上の基礎を補強することができる。これは、部位的な地耐力不足や建物荷重の不均衡などで不同沈下による強制的な曲げ応力が働き、基礎立ち上がり部の上側又は下側が部位的に引張側となる構造的ひび割れが生じやすい基礎を補強する。これにより、比較的軟らかい地盤上の軽い建物(軽い屋根・外壁、少ない積雪量など)の二階建て及び下屋部分の基礎や、重い建物の平屋建ての基礎に適用することができる。
【0008】
また、本発明に係る基礎補強構造では、補強部材はシート状の繊維補強材であって、基礎の片側側面の地盤面から基礎の天端の範囲内に接着されている構成としてもよい。
本発明では、基礎の片側側面の地盤面から基礎の天端の範囲内に、繊維補強材が接着されているので、アンカーボルトによる構造的ひび割れが生じやすい基礎立ち上がり部の天端付近の補強や、固い地盤で不同沈下のおそれの少ない地盤上の基礎を補強することができる。これにより、固く不同沈下のおそれの少ない地盤上の軽い建物の二階建て及び下屋部分の基礎や、軽い建物の平屋建ての基礎に適用することができる。
【0009】
また、本発明に係る基礎補強構造では、補強部材はシート状の繊維補強材であって、構造物の外周に配設された基礎の内側側面の地盤面から基礎の天端の範囲内に接着されると共に、基礎の外側側面のフーチング上の立ち上がり部から基礎天端の範囲内に接着されている構成としてもよい。
本発明では、構造物の外周に配設された基礎の内側側面の地盤面から基礎の天端の範囲内と、基礎の外側側面のフーチング上の立ち上がり部から基礎天端の範囲内に繊維補強材が接着されているので、主に基礎の天端付近及び地盤面下に構造的ひび割れが生じやすく、比較的軟弱な地盤で不同沈下のおそれのある基礎を補強することができる。これは、地耐力不足で連続的な不同沈下や杭地業を行こなったことによる強制的な曲げ応力が働き、図20に示すような基礎立ち上がり部の上側及び下側が部位的に引張側となる構造的ひび割れが生じやすい基礎を補強する。これにより、比較的軟弱な地盤で不同沈下のおそれや柱状改良した地盤上の重い建物の二階建て及び下屋部分の基礎や、比較的軽い建物の三階建ての基礎に適用することができる。
【0010】
また、本発明に係る基礎補強構造では、繊維補強材は長尺のシート状であって、繊維補強材の長手方向が水平方向となる横繊維補強材と、繊維補強材の長手方向が鉛直方向となる縦繊維補強材とからなる構成としてもよい。
本発明では、繊維補強材は基礎側面に水平方向及び鉛直方向に接着されるので、基礎に作用する面内曲げモーメントによって基礎の引張側に生じる構造的ひび割れや、柱の引き抜き力によって生じる土台アンカーボルトでの引張・せん断破壊、基礎出隅・入隅部などのせん断破壊、及び重い建物での鉛直荷重による部位的曲げ応力などによる構造的ひび割れを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明に係る基礎補強構造では、繊維補強材は長尺のシート状であって、繊維補強材の長手方向が水平方向となる横繊維補強材と、繊維補強材の長手方向が斜め方向となる斜め繊維補強材とからなる構成としてもよい。
本発明では、繊維補強材は基礎側面に水平方向及び斜め方向に接着されるので、基礎に作用する面内曲げモーメントによって基礎の引張側に生じる構造的ひび割れや、杭を用いた基礎のせん断変形によって生じる斜めの構造的ひび割れを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明に係る基礎補強構造では、補強部材はフラットバーのPC板としてもよい。
本発明では、補強部材はPC板なので、基礎に作用する引張力を負担すると共に、基礎に剛性を加えることができて、基礎の変形を防ぎ基礎に生じる構造的ひび割れを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明に係る基礎の補強構造では、PC板と基礎の側面との間にはシート状の繊維補強材が接着されている構成としてもよい。
本発明では、プレキャストコンクリート板と基礎の接着面に繊維補強材を接着することにより、繊維補強材が基礎に作用する引張力を負担し、PC板によって基礎に剛性を加えることができるのでより強固に基礎を補強できて、基礎に生じるせん断及び曲げ破壊による構造的ひび割れを防ぐことができる。
【0014】
また、本発明に係る基礎の補強構造では、補強部材を基礎側面に接着する部分は、基礎に生じるせん断や曲げ破壊による構造的ひび割れが生じやすい、または生じている基礎や基礎が設置された地盤の状況により選択可能であることを特徴とする。
本発明では、補強部材を接着する部分を選択できることにより必要に応じた基礎補強を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、構造物の基礎の側面に補強材を部分的に接着するので、要求される強度に合わせて基礎を補強できて、基礎に生じるせん断や曲げ破壊の防止及び耐震性の向上を実現することができる。
また、すでに構造的ひび割れが生じている基礎に対しても耐震性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造について、図1(a)、(b)、(c)に基づいて説明する。
図1(a)は本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0017】
図1(a)、(b)、(c)に示すように、第一の実施の形態による基礎補強構造1aは、無筋コンクリート造や鉄筋の配筋不足での布基礎2の両側面2bに、繊維補強材の長尺の繊維シート3を、地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって繊維シート3の長手方向が水平方向になるように接着されると共に、繊維シート3の長手方向が鉛直方向になるように所定の間隔をあけて接着される構成である。
布基礎2は、フーチング2cを備えた断面が略T字型形状をしており、上部には土台4及び柱5が配設され、土台の上方には図示しない壁材や床材などが配設されている。
【0018】
繊維シート3は、例えば、アラミド繊維や炭素繊維などの引張強度の高い繊維を長尺のシート状に形成したもので、他にガラス繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維等の化学繊維や、これらの繊維を適宜組み合わせた繊維をシート状に形成したものでもよく、また、これらの繊維と金属製繊維とを複合させて形成したシートでもよい。繊維シート3はその幅が地盤G面から布基礎2の天端2aまでの長さの約1/3程の幅である。繊維シート3は貼る方向によって、長手方向が水平方向になるように布基礎2の側面2bに貼るものを横繊維シート3aとし、長手方向が鉛直方向になるように布基礎2の側面2bに貼るものを縦繊維シート3bとする。
横繊維シート3aは布基礎2の両側面2bの地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって隙間をあけず3段に後述する接着方法によって接着される。縦繊維シート3bは、布基礎2のコーナー部分及び、柱5が立設された直下の布基礎2の側面2bなどに地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって鉛直方向に接着される。このとき、縦繊維シート3bに先立って横繊維シート3aを布基礎2の側面に接着し、その上から縦繊維シート3bを重ねて接着すると施工性がよく、横繊維シート3a及び縦繊維シート3bが重なった部分の補強強度が増す。
【0019】
繊維シート3の接着方法は、まず布基礎2の側面2bを清掃し、側面2bの仕上げがモルタル仕上げの場合には、このモルタルを剥離し除去する。そして側面2bの繊維シート3の接着面に、例えばサンダーがけを行い表面のレイタンスや泥、油分などを除去して、接着面の平滑性を確保する。この時点で側面2bに構造的ひび割れが生じている場合は、ひび割れ部分に例えばエポキシ樹脂を注入してひび割れを接着補修しておく。
そして、接着面に下地処理用のプライマーを塗布し、プライマーが乾燥した後に下塗り用の接着剤を塗布し、繊維シート3を接着する。さらに、繊維シート3の上に上塗り用の接着剤を塗布し、例えばヘラなどでテンションを加えて繊維シート3に接着剤を浸透させる。必要に応じて上塗り用の接着剤の硬化前に珪砂を塗布して、モルタル仕上げの下地処理を行いモルタルの付着性を良くし、仕上げのモルタルを施工する。
【0020】
次に、上述した第一の実施の形態による基礎補強構造1aの作用効果について図面を用いて説明する。
繊維シート3は引張強度の高い繊維によって形成されているので、無筋コンクリート造などで引張耐力の少ない布基礎2に繊維シート3が接着されて一体化することで、布基礎2に作用する引張応力を負担し、布基礎2の側面2bに生じる面内曲げモーメントによる構造的ひび割れを防止する作用効果を奏する。さらに、縦繊維シート3bは柱5の立設された直下の布基礎2の側面2bに鉛直方面に接着されているので、布基礎2に作用する柱5の水平力での引き抜きによる引張力や鉛直荷重でのせん断力を負担することができて、布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐことができる。
また、繊維シート3が布基礎2の両側面2bの地盤G面から布基礎2の天端2aまで接着されているので、地盤G面下を掘削して布基礎2を補強することが困難な場合にも布基礎2の両側面2bを補強することができる。
【0021】
上述した第一の実施の形態による基礎補強構造1aでは、布基礎2に作用する引張応力やせん断力を横繊維シート3a及び縦繊維シート3bが負担するので、面内曲げモーメントや柱の水平力での引き抜きによる引張力や鉛直荷重でのせん断力及び基礎の出隅・入隅部のせん断力などによって布基礎2に生じる構造的ひび割れを防ぐことができる。
【0022】
次に、第二の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
図2(a)は本発明の第二の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0023】
図2(a)、(b)、(c)に示すように、第二の実施の形態による基礎補強構造1bでは、布基礎2の両側面2bの地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって3段に接着された横繊維シート3aの上から、V字型を連ねたジグザグ状に他の繊維シート3が接着される構成である。ここで、V字型を連ねたジグザグ状に接着される繊維シート3を斜め繊維シート3cとし、斜め繊維シート3cの下端部は地盤G面下の布基礎2の側面2bに接着されてもよい。
横繊維シート3aは第一の実施の形態と同様に布基礎2の側面2bに接着され、斜め繊維シート3cは、横繊維シート3aの上から接着する。
【0024】
次に、上述した第二の実施の形態による基礎補強構造1bの作用効果について図面を用いて説明する。
第二の実施の形態による基礎補強構造1bでは、第一の実施の形態による基礎補強構造1bと同様に面内曲げモーメントにより布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐ作用効果がある。そして、斜め繊維シート3cはV字型を重ねたジグザグ状に接着されているので、布基礎2のせん断変形を効率的に防ぐことができ、布基礎2のせん断変形により布基礎2の側面2bに生じる斜めの構造的ひび割れも防ぐことができる。
【0025】
次に、第三の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の各実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、各実施の形態と異なる構成について説明する。
図3(a)は本発明の第三の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0026】
図3(a)、(b)、(c)に示すように、第三の実施の形態による基礎補強構造1cは、構造物の外周に配設された布基礎2の外側の側面2bに横繊維シート3a及び縦繊維シート3bを接着する構成である。
横繊維シート3aは布基礎2の側面2bに、地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって3段に接着され、地盤G面下には横繊維シート3aの下端部を布基礎2のフーチング上の立ち上がり部2dに合わせて1段接着される。縦繊維シート3bは布基礎2のコーナー部分に布基礎2のフーチング上の立ち上がり部2dから布基礎2の天端2aにわたって接着される。
【0027】
次に、上述した第三の実施の形態による基礎補強構造1cの作用効果について図面を用いて説明する。
第三の実施の形態による基礎補強構造1cでは、第一の実施の形態による基礎補強構造1bと同様に面内曲げモーメントにより布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐ作用効果がある。また、地盤G面下にも繊維シート3が接着されているので地盤G面下の布基礎2の側面2bを補強することができる。また、構造物外周の布基礎2の外側の側面2bを補強する場合に適している。
【0028】
次に、第四の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の各実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、各実施の形態と異なる構成について説明する。
図4(a)は本発明の第四の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0029】
図4(a)、(b)、(c)に示すように、第四の実施の形態による基礎補強構造1dは、第一の実施の形態による基礎補強構造1aの横繊維シート3a及び縦繊維シート3bが、構造物の外周に配設された布基礎2の外側の側面2bのみに接着される構成である。
【0030】
次に、上述した第四の実施の形態による基礎補強構造1dの作用効果について図面を用いて説明する。
第四の実施の形態による基礎補強構造1dでは、布基礎2に作用する面内曲げモーメントにより布基礎2の外側の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐ作用効果がある。布基礎2の外側側面2bのみに繊維シート3が接着される構成なので、第一の実施の形態による基礎補強構造1aで補強する場合に比べて、布基礎2の外側の側面2bに面内曲げモーメントによる構造的ひび割れが生じやすく、布基礎2の構造や地盤の地耐力等の条件により要求される補強強度が少ない場合に適応できて、繊維シート3を接着する量が減るので、繊維シート3設置の労力やコストを減らすことができる。
【0031】
次に、第五の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の各実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、各実施の形態と異なる構成について説明する。
図5(a)は本発明の第五の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0032】
図5(a)、(b)、(c)に示すように、第五の実施の形態による基礎補強構造1eは、横繊維シート3a及び縦繊維シート3bが、構造物の外周に配設された布基礎2の外側の側面2bの布基礎2のフーチング上の立ち上がり部2dから基礎天端2aまでと、内側の側面2bの地盤G面から布基礎2の天端2aまでに接着される構成である。
【0033】
次に、上述した第五の実施の形態による基礎補強構造1eの作用効果について図面を用いて説明する。
第五の実施の形態による基礎補強構造1eでは、第一の実施の形態による基礎補強構造1aと同様に、布基礎2に作用する面内曲げモーメントにより布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐ作用効果がある。そして、布基礎2の外側の側面2bには地盤G面にも繊維シート3が接着されているので、上述した各実施の形態による基礎補強構造に比べて布基礎2を強固に補強できる。また、コーナー部の縦繊維シート36が基礎の出隅部、入隅部のせん断補強となる。
【0034】
次に、第六の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の各実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、各実施の形態と異なる構成について説明する。
図6(a)は本発明の第六の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【0035】
図6(a)、(b)、(c)に示すように、第六の実施の形態による基礎補強構造1fは、構造物の外周に設置された布基礎2の外側の側面2bに、プレキャストコンクリート造の補強板(以下PC板11とする。)を接着する構造である。
PC板11は予め工場などで製作されて、所定の配筋がされたフラットバー部材で水平方向を軸方向として布基礎2の外側の側面2bに設置される。PC板11の両端部には凹凸のジョイント部11aが設けられて、要求される水平長さに合わせて接続可能である。PC板11は布基礎2の側面2bに上下2段に分けて設置され、上方のPC板11はその上端を布基礎2の天端2aと合わせて設置され、下方のPC板11はその下端を地盤G面とあわせて設置される。
【0036】
PC板11の固定方法は、まず、上述した各実施の形態による基礎補強構造と同様に布基礎2の側面2bの表面の平滑性を確保し、クラックの生じている部分には補修を施す。そして、布基礎2の側面2bにPC板11を固定するためのあと施工アンカー12の挿入口を所定箇所形成する。布基礎2の側面2bのPC板11の設置位置に接着剤を塗布すると共に、あと施工アンカー12の挿入口に接着剤を挿入し、PC板11を接着位置に貼り付けて仮止めし、あと施工アンカー12を挿入して、側面2bに塗布された接着剤の硬化後にPC板11の上から図示しない座金、スプリングワッシャー、ナットによって緊結する。また、図示しないが、PC板設置位置に繊維シートと接着剤を用いてPC板11を貼り付けることも可能とする。必要に応じて布基礎2の側面2b及びPC板11の表面をモルタル仕上げ、または耐候性の高い塗装仕上げとする。
【0037】
次に、上述した第六の実施の形態による基礎補強構造1fの作用効果について図面を用いて説明する。
第六の実施の形態による基礎補強構造1fでは、PC板11があと施工アンカー12によって布基礎2に緊結されているので、布基礎2に剛性を加えることができて、布基礎2の曲げやせん断による変形を防ぎ布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れを防ぐ作用効果を奏する。
【0038】
次に、第七の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の各実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、各実施の形態と異なる構成について説明する。
図7(a)は本発明の第七の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図、(d)は(a)に示す基礎補強構造に備える鋼管コッターの詳細を示す図である。
【0039】
図7に示すように、第七の実施の形態による基礎補強構造1gでは、第六の実施の形態による基礎補強構造1fのPC板11が固定された布基礎2の側面2bに繊維シート3を接着し、PC板11はあと施工アンカー12に代わって複数の小径の孔が形成された鋼管コッター15によって固定される構成である。
【0040】
PC板11及び繊維シート3の設置方法は、まず、第六の実施の形態と同様に表面を平滑にした布基礎2の側面2bに、鋼管コッター15を設置するための溝孔16を所定箇所設ける。また、PC板11には鋼管コッター15が挿通する孔17を設ける。
そして、布基礎2の側面2bにPC板が設置される部分に繊維シート3を接着し、この繊維シート3の上に速硬化型エポキシ樹脂を塗布してPC板11を接着しする。そして、溝孔16及びPC板11の孔17に速硬化型エポキシ樹脂を注入して、鋼管コッター15を挿入する。さらに、鋼管コッター15内側に接着剤を注入し、鋼管コッター15の内径に適合するキャップ18を押し込んで接着剤に圧力を加え、鋼管コッター15に形成された小径の孔15aから鋼管コッター15と布基礎2及びPC板11との隙間に接着剤を充填する。
【0041】
第七の実施の形態による基礎補強構造1gでは、PC板11が鋼管コッター15と速硬化型エポキシ樹脂とによって布基礎2に広い接着面積で一体に緊結されて布基礎2の剛性がさらに増すと共に、繊維シート3が布基礎2に作用する引張力を負担することができるので、第六の実施の形態による基礎補強構造1fに比べ、布基礎2の側面2bに生じる構造的ひび割れをより効率的に防ぐ作用効果を奏する。
【0042】
次に、第一の実施の形態の変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
図8に示すように、基礎補強構造1hでは、横繊維シート3aは地盤G面から布基礎2の天端2aにわたって3段接着され、縦繊維シート3bはコーナーのみに接着されている。また、図9に示すように、基礎補強構造1iでは、横繊維シート3aは布基礎2の天端2aに上端を合わせた1段と、地盤G面に下端を合わせた1段の2段とし、この2段の横繊維シート3a間には間隔があいていて、縦繊維シート3bはコーナー部分のみに接着されている。また、図10に示すように、基礎補強構造1jでは、横繊維シート3aは布基礎2の天端2aに上端をあわせた横繊維シート3aの1段とし縦繊維シート3bはコーナー部分のみに接着されている。
【0043】
次に、第二の実施の形態の変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第二の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第二の実施の形態と異なる構成について説明する。
図11に示す基礎補強構造1kでは、第二の実施の形態による基礎補強構造1bの横繊維シート3a及び斜め繊維シート3cを構造物の外周に配設される布基礎2の外側側面2bのみに接着するものである。
【0044】
次に、第三の実施の形態の変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第三の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第三の実施の形態と異なる構成について説明する。
図12、13に示す基礎補強構造ll、1mでは、第三の実施の形態による基礎補強構造1cの地盤G面上に接着される横繊維シート3aの段数をそれぞれ変形させたもので、基礎補強構造1lでは横繊維シート3aは布基礎2の天端2aに上端を合わせた1段と、地盤G面に下端を合わせた1段の2段とし、基礎補強構造1mでは布基礎2の天端2aに上端をあわせた横繊維シート3aの1段としている。
【0045】
次に、第四の実施の形態の変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第四の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第四の実施の形態と異なる構成について説明する。
図14に示す基礎補強構造1nでは、第四の実施の形態による基礎補強構造1dの縦繊維シート3bがコーナー部分のみに接着されたものである。図15、16に示す基礎補強構造1o、1pでは、第四の実施の形態による基礎補強構造1dの縦繊維シート3bがコーナー部分のみに接着されて、横繊維シート3aの段数を変えたもので、基礎補強構造1nでは横繊維シート3aは布基礎2の天端2aに上端を合わせた1段と、地盤G面に下端を合わせた1段の2段とし、基礎補強構造1oでは布基礎2の天端2aに上端をあわせた縦繊維シート3aの1段としている。
【0046】
次に、第六、七の実施の形態の変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第六及び七の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第六、七の実施の形態と異なる構成について説明する。
図17、18に示す基礎補強構造1q、1rでは、第六、七の実施の形態による基礎補強構造1f、1gに備えるPC板11を1段にしたものである。
このように基礎や建物の状況及び地盤などの立地条件に合わせて補強方法を選択することができる。
【0047】
以上、本発明による基礎補強構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、フーチングを備える布基礎2を補強しているが、フーチングを備えない布基礎を補強してもよく、また、布基礎2に代わってべた基礎を補強してもよい。また、第一の実施の形態では、横繊維シート3aと縦繊維シート3bとは重ねて接着しているが、重ねずにそれぞれの端部をつき合わせて接着してもよい。また、上述した実施の形態では、縦繊維シート3aは布基礎2のコーナー部分や、柱5の直下の布基礎2の側面2bに接着されているが、そのほかの布基礎2の側面2bに接着されてもよい。
また、第四の実施の形態及び第四の実施の形態による変形例では、繊維シート3は構造物の外周に配設された布基礎2の外側の側面2bのみに接着されているが、補強の必要に応じて布基礎2の内側の側面2bのみに接着されてもよい。
また、第六の実施の形態及び第六の実施の形態による変形例では、PC板11はあと施工アンカーで布基礎2に固定されているが、鋼管コッター15などで固定されてもよい。
また、第七の実施の形態及び第七の実施の形態による変形例では、PC板11は鋼管コッター15で布基礎2に固定されているが、あと施工アンカーなどで固定されてもよい。
また、第七の実施の形態では、PC板11と布基礎2の側面2bとの間に繊維シート3が接着されているが、PC板11の接着面よりも広い範囲に繊維シート3を接着してもよく、PC板11の接着面よりも狭い範囲に部分的に繊維シート3を接着してもよい。
要は、本発明において所期の機能が得られればよいのである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a)は本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図2】(a)は本発明の第二の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図3】(a)は本発明の第三の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。(
【図4】(a)は本発明の第四の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図5】(a)は本発明の第五の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図6】(a)は本発明の第六の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図7】(a)は本発明の第七の実施の形態による基礎補強構造の一例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図、(d)は(a)に示す基礎補強構造に備えるコッターの詳細を示す図である。
【図8】(a)は本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図9】(a)は本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造の他の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図10】(a)は本発明の第一の実施の形態による基礎補強構造の更に他の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図11】(a)は本発明の第二の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図12】(a)は本発明の第三の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図13】(a)は本発明の第三の実施の形態による基礎補強構造の他の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図14】(a)は本発明の第四の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図15】(a)は本発明の第四の実施の形態による基礎補強構造の他の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図16】(a)は本発明の第四の実施の形態による基礎補強構造の更に他の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図17】(a)は本発明の第六の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図18】(a)は本発明の第七の実施の形態による基礎補強構造の変形例を示す図、(b)は(a)に示す基礎補強構造の断面図、(c)は(a)に示す基礎補強構造の側面図である。
【図19】地耐力30KN/m2 以上の場合の基礎応力図である。
【図20】地耐力20KN/m2 以下で支持杭耐力の場合の基礎応力図である。
【符号の説明】
【0049】
1a 基礎補強構造
2 布基礎(基礎)
2a 天端
2b 側面
2d 立ち上がり部
3 繊維シート(繊維補強材)
3a 横繊維シート
3b 縦繊維シート
3c 斜め繊維シート
11 PC板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の基礎のせん断や曲げ破壊を抑制し、前記基礎の耐震性を向上するための基礎補強構造であって、
前記基礎の側面に部分的に補強部材が接着されることを特徴とする基礎補強構造。
【請求項2】
前記補強部材はシート状の繊維補強材であって、前記基礎の両側面の地盤面から前記基礎の天端の範囲内に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【請求項3】
前記補強部材はシート状の繊維補強材であって、前記構造物の外周に配設された前記基礎の外側側面の立ち上がり部から天端の範囲内に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【請求項4】
前記補強部材はシート状の繊維補強材であって、前記基礎の片側側面の地盤面から前記基礎の天端の範囲内に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【請求項5】
前記補強部材はシート状の繊維補強材であって、前記構造物の外周に配設された前記基礎の内側側面の地盤面から前記基礎の天端の範囲内に接着されると共に、前記基礎の外側側面の立ち上がり部から天端の範囲内に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【請求項6】
前記繊維補強材は長尺のシート状であって、前記繊維補強材の長手方向が水平方向となる横繊維補強材と、前記繊維補強材の長手方向が鉛直方向となる縦繊維補強材とからなることを特徴とする請求項2乃至5に記載の基礎の補強構造。
【請求項7】
前記繊維補強材は長尺のシート状であって、前記繊維補強材の長手方向が水平方向となる横繊維補強材と、前記繊維補強材の長手方向が斜め方向となる斜め繊維補強材とからなることを特徴とする請求項2乃至5に記載の基礎補強構造。
【請求項8】
前記補強部材はフラットバーのPC板であることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【請求項9】
前記PC板と前記基礎の側面との間にはシート状の繊維補強材が接着されていることを特徴とする請求項8に記載の基礎補強構造。
【請求項10】
前記補強部材を前記基礎側面に接着する部分は前記基礎や前記基礎が設置された地盤の状況により選択可能であることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【請求項1】
構造物の基礎のせん断や曲げ破壊を抑制し、前記基礎の耐震性を向上するための基礎補強構造であって、
前記基礎の側面に部分的に補強部材が接着されることを特徴とする基礎補強構造。
【請求項2】
前記補強部材はシート状の繊維補強材であって、前記基礎の両側面の地盤面から前記基礎の天端の範囲内に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【請求項3】
前記補強部材はシート状の繊維補強材であって、前記構造物の外周に配設された前記基礎の外側側面の立ち上がり部から天端の範囲内に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【請求項4】
前記補強部材はシート状の繊維補強材であって、前記基礎の片側側面の地盤面から前記基礎の天端の範囲内に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【請求項5】
前記補強部材はシート状の繊維補強材であって、前記構造物の外周に配設された前記基礎の内側側面の地盤面から前記基礎の天端の範囲内に接着されると共に、前記基礎の外側側面の立ち上がり部から天端の範囲内に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【請求項6】
前記繊維補強材は長尺のシート状であって、前記繊維補強材の長手方向が水平方向となる横繊維補強材と、前記繊維補強材の長手方向が鉛直方向となる縦繊維補強材とからなることを特徴とする請求項2乃至5に記載の基礎の補強構造。
【請求項7】
前記繊維補強材は長尺のシート状であって、前記繊維補強材の長手方向が水平方向となる横繊維補強材と、前記繊維補強材の長手方向が斜め方向となる斜め繊維補強材とからなることを特徴とする請求項2乃至5に記載の基礎補強構造。
【請求項8】
前記補強部材はフラットバーのPC板であることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【請求項9】
前記PC板と前記基礎の側面との間にはシート状の繊維補強材が接着されていることを特徴とする請求項8に記載の基礎補強構造。
【請求項10】
前記補強部材を前記基礎側面に接着する部分は前記基礎や前記基礎が設置された地盤の状況により選択可能であることを特徴とする請求項1に記載の基礎補強構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−150755(P2010−150755A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327461(P2008−327461)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(593053977)ジェイ建築システム株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(593053977)ジェイ建築システム株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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