説明

堆肥攪拌機とそれを使用した堆肥攪拌装置

【課題】 攪拌機付きシャフトに強い力が加わると、シャフトが曲がったり、折れたりすることがあり、攪拌機付きシャフト交換しなければならず、費用がかかる。
【解決手段】 攪拌翼付きシャフトにそれに加わる外力を緩衝・吸収する緩衝・吸収駆動体を設けた。緩衝・吸収駆動体を攪拌翼付きシャフトと回転駆動体の連結部分に設けるか、上下に区分された上部シャフトと下部シャフトの連結部分に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は牛糞、豚糞、鶏糞などの家畜の糞や生ゴミなどの生物系の廃棄物を発酵させて堆肥を作るための堆肥攪拌機とそれを使用した堆肥攪拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
堆肥は野積みが禁止されて、屋根のある室内に収容することが義務づけられている。家畜の糞とか廃棄物等(以下「堆肥材料」という)を堆肥にする場合、堆積された堆肥(堆肥になる前は堆肥材料:以下、堆肥材料も堆肥という)を発酵させている。堆肥を発酵させるためには好気的な条件が必要であるが、堆肥を積んだままでは堆肥の内部が空気不足になって十分に発酵しない。そこで従来は次のような技術が開発されていた。
【0003】
1.堆肥を作る室内(堆積場)の底面に埋め込みピットを設け、その内部に送風パイプを配置し、パイプに空気吹き出し穴をあけて、そこから空気を噴出して、堆肥に供給する装置(特許文献1参照)。
2.回転パイプの外周に螺旋状の攪拌翼を取り付けた攪拌機を、堆積された堆肥内で回転させて堆肥を攪拌しながら、回転パイプの穴から堆肥の内部に空気を供給して堆肥を発酵させる堆肥発酵装置(特許文献2参照)。
3.本件出願の発明者が先に開発したもので、回転パイプに設けた螺旋状の回転翼から堆肥内に高圧空気を噴出して堆肥を切断して攪拌装置が堆肥内を移動し易くなるようにすると同時に、堆肥内に空気を供給して発酵を促進する堆肥攪拌装置(特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録番号第3051114号公報
【0005】
【特許文献2】特開2000−281471号公報
【0006】
【特許文献3】特開2002−356392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
夫々の特許文献の堆肥攪拌装置は、夫々の特徴を備えているが、いずれのシャフトも上から下まで同じ太さ、同じ強度であるため、シャフトが硬いものとか、重いものに衝突したり、シャフトにショベルカーやダンプなどの重量物が衝突したりして、シャフトに大きな外力が加わると、シャフトが曲がったり、折れたりすることがある。曲がったり、折れたりすると数mもの長いシャフトを新しいシャフトと交換しなればならないため交換作業が面倒であり、費用もかかる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シャフトに大きな外力が加わってもシャフトの損傷を最小限に阻止できる堆肥攪拌機とそれを使用した堆肥攪拌装置を提供するものである。
【0009】
本件出願の堆肥攪拌機は、シャフトの外周に攪拌翼が取付けられた攪拌翼付きシャフトと、攪拌翼付きシャフトを堆肥内において縦向きで回転させる回転駆動体を備えた堆肥攪拌機において、シャフトと回転駆動体との間、又はシャフトの軸方向途中に攪拌翼付きシャフトに加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材を設けたものである。
【0010】
本件出願の堆肥攪拌機は、シャフトの外周に攪拌翼が取付けられた攪拌翼付きシャフトと、攪拌翼付きシャフトを堆肥内において縦向きで回転させる回転駆動体を備えた堆肥攪拌機において、シャフトと回転駆動体とが攪拌翼付きシャフトに加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材を挟んで連結されるか、又は緩衝・吸収部材で連結されたものである。
【0011】
本件出願の堆肥攪拌機は、シャフトの外周に攪拌翼が取付けられた攪拌翼付きシャフトと、攪拌翼付きシャフトを堆肥内において縦向きで回転させる回転駆動体を備えた堆肥攪拌機において、シャフトが上部シャフトと下部シャフトに分離され、両シャフトが上部シャフトと下部シャフトの双方又はいずれか一方に加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材を挟んで、又は緩衝・吸収部材で連結されたものである。
【0012】
本件出願の堆肥攪拌機は、前記いずれかに記載の堆肥攪拌機において、シャフトと回転駆動体が、又は上部シャフトと下部シャフトが分離可能に接合され、その接合部分がシャフト、又は上部シャフトと下部シャフトの双方又はいずれか一方に加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材で連結されたものである。
【0013】
本件出願の堆肥攪拌機は、前記いずれかに記載の堆肥攪拌機において、緩衝・吸収部材はシャフトに外力が加わると曲がるか、折れるか、位置ずれするか、連結が外れるか、連結が外れても復元可能であるかのいずれか一つの状態又は二以上の複合状態になるものである。
【0014】
本件出願の堆肥攪拌機は、前記堆肥攪拌機において、緩衝・吸収部材を一又は二以上のスプリングとしたものである。
【0015】
本件出願の堆肥攪拌装置は、前記いずれかに記載の堆肥攪拌機と、堆肥攪拌機の攪拌翼付きシャフトを堆肥内で回転させる回転駆動体と、堆肥攪拌機を堆肥内で横移動させる横移動機構と、堆肥攪拌機を堆肥内で前後移動させる前後移動機構を備え、横移動機構が横レールとその横レールに沿って前記堆肥攪拌機を横移動させる横移動体を備え、前後移動機構が前後レールとその前後レールに沿って前記堆肥攪拌機を前後移動させる前後移動体を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の堆肥攪拌機は次のような効果がある。
シャフトと回転駆動体との間、又はシャフトの軸方向途中に、攪拌翼付きシャフトに加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材を設けたので、堆肥を搬出入するショベルカーやダンプが攪拌翼付きシャフトに衝突して、攪拌翼付きシャフトに強い衝撃力(外力)が加わっても、それは緩衝・吸収部材で緩衝されるか、吸収されるかするため、緩衝・吸収部材が損傷しても攪拌翼付きシャフトは損傷しない。このため、緩衝・吸収部材が損傷したときはそれを交換すればよく、長い攪拌翼付きシャフトはそのまま使用できるので、その攪拌翼付きシャフトを交換する必要がなく、攪拌翼付きシャフトが無駄にならず、費用も嵩張らず、交換が容易である。
【0017】
シャフトと回転駆動体とが攪拌翼付きシャフトに加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材を挟んで連結されるか、又は緩衝・吸収部材で連結されたので、前記の場合と同様の効果がある。
【0018】
シャフトを上部シャフトと下部シャフトに分離し、両シャフトが上部シャフトと下部シャフトの双方又はいずれか一方に加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材を挟んで、又は緩衝・吸収部材で連結されたので、上部シャフトと下部シャフトのいずれか又は双方に加わる外力が緩衝・吸収部で緩衝されるか吸収されるかし、緩衝・吸収部材が損傷しても上部シャフトと下部シャフトは損傷しない。このため、緩衝・吸収部材が損傷したときはそれを交換すればよく、上部シャフトと下部シャフトはそのまま使用できるので、上部シャフトと下部シャフトが無駄にならない。
【0019】
本発明の堆肥攪拌機は、シャフトと回転駆動体が、又は上部シャフトと下部シャフトが分離可能に接合され、その接合部分がシャフト、又は上部シャフトと下部シャフトの双方又はいずれか一方に加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材で連結されたので、シャフト、又は上部シャフトと下部シャフトの双方又はいずれか一方に大きな外力が加わると、シャフトと回転駆動体の接合、又は上部シャフトと下部シャフトの接合が分離して外力が緩衝・吸収部で緩衝されるか吸収されるかする。このため、シャフト、又は上部シャフトと下部シャフトのいずれも損傷しない。しかも、連結部材が変形復元可能なものであるため、離脱した接合部を接合し直せば、連結部材も変形前の形状に復元し、手軽に修復することができ、離脱した攪拌翼付きシャフトを、又は上部シャフトや下部シャフトを再利用でき、無駄が無い。
【0020】
緩衝・吸収部材は攪拌翼付きシャフトに外力が加わると曲がるか、折れるか、位置ずれするか、連結が外れるか、連結が外れても復元可能であるかのいずれか一つの状態又は二以上の複合状態になるものであるため、シャフトに加わる外力で緩衝・吸収部材が曲がったり、折れたりしたときはその緩衝・吸収部を交換すればよく、位置ずれするか連結が外れるかした場合は位置ずれ、連結の外れを修復すれば再度使用でき修復も容易である。緩衝・吸収部材が変形したり連結が外れたりしても復元可能なものの場合は復元させるだけで再利用できる。
【0021】
本発明の堆肥攪拌機は、前記堆肥攪拌機において、緩衝・吸収部材を一又は二以上のスプリングとしたので、緩衝・吸収部材は攪拌翼付きシャフトに加わる外力で変形しても外力が解除されれば自動的に復元でき、シャフトの損傷を防止できる。
【0022】
本発明の堆肥攪拌装置は前記堆肥攪拌機を備えているので、堆肥攪拌機の前記効果が発揮される。また、前記堆肥攪拌機が堆肥内で前後移動及び横移動自在であるため堆肥室内の堆肥全般を効率よく攪拌することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(本発明の堆肥攪拌機の実施形態1)
本発明の堆肥攪拌機の実施形態の一例を図1〜図3を参照して説明する。この堆肥攪拌機はシャフト1の外周に攪拌翼2が取付けられた攪拌翼付きシャフト3と、堆肥内に縦向きに差込まれた攪拌翼付きシャフト3を回転させるモータ等の回転駆動体4を備え、回転駆動体4の下部フランジ5の嵌合凹凸(ギヤ)6とシャフト1の上部フランジ7の嵌合凹凸(ギヤ)8を嵌合させて分離可能に突合せ、両フランジの外周部分を図1(a)(b)のように数本の緩衝・吸収部材(スプリング)9を介在させて連結ボルト10とナット11で連結してある。
【0024】
シャフト1にはパイプが使用され、その軸方向(上下方向)に螺旋状の攪拌翼2が取り付けられている。シャフト1の上端に取り付けられている上部フランジ7は円盤状であってその外周上方に周枠12が形成されており、回転駆動体の下端に取付けられている下部フランジ5は上部フランジ7の周枠12の内側に収容できる直径であって且つ周枠12の内径よりも少し小さな直径の円盤状として、その外周面と周枠12の内周面との間に多少の隙間13(図2)ができるようにしてある。シャフト1と攪拌翼2は共に金属製であり、攪拌翼2は溶接とかビス止めといった方法でシャフト1に固定されているが、材質は他のものとすることもできる。
【0025】
緩衝・吸収部材9は攪拌翼付きシャフト3にショベル車が衝突したりして攪拌翼付きシャフト3に外力が加わったときに、その外力を緩衝したり吸収したり、緩衝及び吸収するものである。図1〜図3に示す緩衝・吸収部材9はコイルスプリングであり、上部フランジ7の底面に取付けられた収容筒14内に収容されており、下部フランジ5の上から上部フランジ7を貫通してコイルスプリング9の中心部を貫通し、更に支持板15を貫通する連結ボルト10の下端にナット11をダブルで螺合することにより上部フランジ7に取り付けると同時に上部フランジ7と下部フランジ5を連結してある。緩衝・吸収部材9は攪拌翼付きシャフト3に外力が加わると曲がるか、折れるか、位置ずれするか、連結が外れるか、連結が外れても復元可能であるかのいずれか一つの状態又は二以上の複合状態になるものであれば、他の形状、構造とすることができる。
【0026】
図1(a)の堆肥攪拌機は上部フランジ7の嵌合凹凸8と下部フランジ5の嵌合凹凸6とが嵌合しているため、回転駆動体4を回転させると攪拌翼付きシャフト3は回転する。攪拌翼付きシャフト3にショベル車とか他のものが衝突するとか、他の原因で攪拌翼付きシャフト3に図1(b)の矢印方向の外力が加わると、攪拌翼付きシャフト3が図1(b)のように傾斜して、図3のように上部フランジ7の嵌合凹凸8と下部フランジ5の嵌合凹凸6との嵌合が外れ(分離し)、外れた方のスプリング9が傾斜した上部フランジ7で加圧されて圧縮される。この場合、下部フランジ5のボルト差込み孔の径を連結ボルト10の外径よりも大きくしておけば、図3のように上部フランジ7の嵌合凹凸8と下部フランジ5の嵌合凹凸6との嵌合が僅かに外れる程度であれば、攪拌翼付きシャフト3が傾斜しても連結ボルト10は曲がらずに傾くだけであるため、上部フランジ7の嵌合凹凸8と下部フランジ5の嵌合凹凸6との嵌合を嵌め直せば攪拌翼付きシャフト3が真直ぐになり、連結ボルト10も真っ直ぐになって傾斜する前の状態に修復され、そのまま使用を再開することができる。
【0027】
(本発明の堆肥攪拌機の実施形態2)
本発明の堆肥攪拌機の実施形態の他の例を図4〜図6を参照して説明する。この堆肥攪拌機もシャフト1の外周に攪拌翼2が取付けられて攪拌翼付きシャフト3と、それを堆肥内において縦向きで回転させる回転駆動体4を備えていることにおいて実施例1の場合と同じであり、実施例1と異なるのは、上部フランジ7と下部フランジ5の間に図5の緩衝・吸収部材9を挟んで両フランジ7と5を連結することと、緩衝・吸収部材9の構造である。
【0028】
図4(a)の緩衝・吸収部材9はシャフト1よりも外径が細く且つ強度の弱い筒21の上下にフランジ22、23が取り付けられており、シャフト1よりも強度の弱い筒21が攪拌翼付きシャフト3に加わる外力を緩衝・吸収するようにしてある。この緩衝・吸収部材9は金属製であり、シャフト1よりは強度が弱いが、攪拌翼付きシャフト3に強力な外力が加わらないとき(正常時)は回転に支障がない強度である。緩衝・吸収部材9は図6のように上のフランジ22が回転駆動体4の下部フランジ5に、下のフランジ23が攪拌翼付きシャフト3の上部フランジ7にボルト24とナット25で連結されている。
【0029】
図4(a)の堆肥攪拌機は攪拌翼付きシャフト3と回転駆動体4が緩衝・吸収部材9を介在させて連結してあるため、回転駆動体4を回転させると攪拌翼付きシャフト3は回転する。攪拌翼付きシャフト3に図4(b)の矢印方向の強力な外力が加わると、図6のように筒21が曲がって攪拌翼付きシャフト3が図4(b)のように傾斜するが攪拌翼付きシャフト3は曲がらない。このため、緩衝・吸収部材9を交換すれば攪拌翼付きシャフト3はそのまま使用することができる。
【0030】
(本発明の堆肥攪拌機の実施形態3)
本発明の堆肥攪拌機の実施形態の他の例を図7、図8を参照して説明する。この堆肥攪拌機も攪拌翼付きシャフト3と、それを堆肥内において縦向きで回転させる回転駆動体4を備えていることにおいて実施例1の場合と同じである。また、シャフト1の上部フランジ7と回転駆動体4の下部フランジ5の間に緩衝・吸収部材9を図7のように挟んで上部フランジ7と下部フランジ5を連結して攪拌翼付きシャフト3と回転駆動体4を連結することは実施例2と同じである。実施例2と異なるのは緩衝・吸収部材9の構造である。
【0031】
図7の緩衝・吸収部材9は筒21と上下のフランジ22、23が一体のものであり、筒21は外周を内側に湾曲させてシャフト1よりも外径を細くしてシャフト1よりも強度を弱くしてある。連結部材は金属製であり、図9のように上のフランジ22を回転駆動体4に、下のフランジ23を攪拌翼付きシャフト3にボルト24とナット25で連結してある。
【0032】
図7(a)の堆肥攪拌機は攪拌翼付きシャフト3と回転駆動体4を緩衝・吸収部材9を介在させて連結してあるため、回転駆動体4を回転させると攪拌翼付きシャフト3は回転する。攪拌翼付きシャフト3に図4(b)の矢印方向の外力が加わると強度の弱い筒21が曲がって攪拌翼付きシャフト3が図4(b)のように傾斜するが、攪拌翼付きシャフト3は曲がらない。このため緩衝・吸収部材9を交換すれば攪拌翼付きシャフト3はそのまま使用することができる。
【0033】
(本発明の堆肥攪拌機の実施形態4)
本発明の堆肥攪拌機の実施形態の一例を図10〜図12を参照して説明する。この堆肥攪拌機も攪拌翼付きシャフト3と、それを回転させる回転駆動体4を備え、図10のようにシャフト1の上部フランジ7の嵌合凹凸(ギヤ)8と回転駆動体4の下部フランジ5の嵌合凹凸(ギヤ)6を嵌合させて分離可能に噛み合わせ(突合せ)、両フランジ5、7の外周部分を図9(a)のように数本の緩衝・吸収部材(スプリング)9で連結してある。
【0034】
図9〜図12に示す緩衝・吸収部材9はコイルスプリングであり、上端部を上部フランジ7の連結杆30に、下端部を下部フランジ5の連結杆31に係止することにより、上部フランジ7と下部フランジ5を連結してある。
【0035】
図9(b)の堆肥攪拌機は上部フランジ7の嵌合凹凸8と下部フランジ5の嵌合凹凸6とが嵌合しているため、回転駆動体4を回転させると攪拌翼付きシャフト3は空転することなく回転する。攪拌翼付きシャフト3に例えばショベル車が衝突して攪拌翼付きシャフト3に図9(c)の矢印方向の強力な外力が加わると、攪拌翼付きシャフト3が図9(c)のように傾斜して、図12のように上部フランジ7の嵌合凹凸8と下部フランジ5の嵌合凹凸6との嵌合が外れ(分離し)、外れた方のスプリングが延びる。この場合、図12のように上部フランジ7の嵌合凹凸8と下部フランジ5の嵌合凹凸6との嵌合が僅かに外れる程度であれば、攪拌翼付きシャフト3は曲がらずに傾くだけであるため、上部フランジ5の嵌合凹凸6と下部フランジ7の嵌合凹凸8との嵌合を嵌め直せば攪拌翼付きシャフト3が真直ぐになり、回転駆動体4と攪拌翼付きシャフト3はスプリングで真っ直ぐに修復され、そのまま使用することができる。
【0036】
(本発明の堆肥攪拌機の実施形態5)
前記したいずれの堆肥攪拌機も回転駆動体4とシャフト1の連結部分に緩衝・吸収部9を設けてあるが、緩衝・吸収部9は他の部分に設けることもできる。図示しないが、例えば、シャフト1の上部を上部シャフトと下部シャフトに区分し、回転駆動体4に連結されている上部シャフトとそれに連結される下部シャフトの間に、前記いずれかの実施例と同様に緩衝・吸収部9を挟んで両シャフトのフランジを連結したり、緩衝・吸収部9にスプリングを使用し、それで両シャフトのフランジを連結したりすることもできる。
【0037】
(本発明の堆肥攪拌装置の実施形態1)
本発明の堆肥攪拌装置は図13のように、前記した堆肥攪拌機40の攪拌翼付きパイプ3を堆肥C内に縦向きに差し込んだ状態で、移動機構により前後左右に移動させるようにしたものである。移動機構としては例えば既存のホイスト式天井クレーンの駆動機構を利用することができ、他の機構とすることもできる。本発明では図14に示すように堆肥室の幅方向(左右方向)両側の支柱65の上に一対の横レール61を平行に設け、一対の横レール61間に前後レール62を交差して架設し、前後レール62を横移動機構63によって横レール61の長手方向(堆肥室の横方向)に往復移動できるようにし、前後レール62に台車64を設け、台車64を台車64内の前後移動機構66によって前後レール62の長手方向に往復移動可能としてある。堆肥攪拌機40は前後レール62に下向きに搭載されている。この構成とすることにより、堆肥攪拌機40は前後レール62に添って前後に往復移動でき、前後レール62が横レール61に沿って堆肥室の左右方向(横方向)に往復移動して堆肥室の横方向に往復移動することができる。
【0038】
堆肥攪拌機40は図13に示すように、シャフト1の上部に設けたスプロケット46と、モータ45の駆動スプロケット47とにチェーン48を掛けて、回転モータ45の回転により駆動スプロケット47が回転されると、スプロケット46が回転してシャフト1(攪拌翼付きシャフト3)が回転されるようにしてある。
【0039】
本発明の堆肥攪拌装置を使用して堆肥を攪拌するには、図13のように堆肥C内に差し込んである攪拌翼付きシャフト3をモータ45により回転させて攪拌翼付きパイプ3を回転させる。この回転により攪拌翼付きシャフト3が堆肥中で回転するため、螺旋状の攪拌翼2の回転によって堆肥Cが下方から上方に掻き上げられて攪拌され、下方にあった堆肥が外気と触れ易くなって発酵し易くなる。
【0040】
堆肥攪拌機40で堆肥を攪拌しながら、図16に示すように前後移動機構66によって台車64を前後レール62に沿って矢印a−b方向(前後方向)に移動させることにより、堆肥攪拌機40を同方向(堆肥室の前後方向)に移動させる。堆肥攪拌機40が前後レール62の長手方向(前後方向)に移動し終えたら、前後レール62を横移動機構63によって横レール61に添って堆肥室の横方向(矢印X−Y方向)に所望距離だけ移動させて停止させる。停止した台車64を横移動機構63によって再度、前後レール62に添って移動させ、堆肥攪拌機40を同方向に移動させる。この前後移動と横移動を繰り返すことにより堆肥攪拌機40を堆肥C内で移動させて堆肥全般を攪拌する。堆肥攪拌機40の前後移動及び横移動の順序は前記以外の順序でもよく、要は堆肥全般を攪拌することができる移動であればどのような順序でもよい。堆肥攪拌機40の移動速度は任意選択することができるが毎分30〜50cm程度が適する。堆肥攪拌機40の回転速度も任意選択することができるが毎分20回転程度が適する。いずれの場合も、それら数値以外の移動速度でも、回転速度でもよい。本発明の堆肥攪拌装置は自動制御で24時間自動運転させることもできる。
【0041】
(本発明の堆肥攪拌装置の実施形態2)
本発明の堆肥攪拌装置は図16のように、二本一対の横レール61を上下に段差をつけて配置し、その横レール61に前後レール62を係止し、前後レール62を横レール61に沿って横移動できるようにしたものである。このように二本一対の横レール61を上下に段差をつけて配置することは、堆肥室の屋根が図17のように傾斜している場合に使用するのに適する。図17は堆肥室Rの入口50よりも奥部51の背が低いため、横レール61は奥部51の高さよりも高くすることができない。この場合、通常は、入口側50側の横レール61は奥部52の横レール61と同じ高さに配置固定して、入口側50側の横レール61と奥部52の横レール61を水平にしている。そのように配置にしたのでは、入口側50側の横レール61の位置が低くなって横レール61がダンプカーの出入りの邪魔になり、堆肥室内の入口側50の上方まで堆肥を体積できず入口側50の上方空間が無駄になる。図16、図17の実施例はその課題を解決して、入口側50の上方まで堆肥を堆積でき、上方空間を有効利用できるようにしたものである。
【0042】
図16では堆肥室内に支柱65を建て、堆肥室の入口側50の横レール61を高くし、堆肥室の奥部51の横レール61を低くして、二本一対の横レール61を上下に段差を設けて平行に設け、一対の横レール61間に前後レール62を交差して架設してある。この場合、前後レール62の入口側端部62aを吊りアーム67で入口側50の横レール61に吊り下げ、前後レール62の奥部側端部62bを奥部51の横レール61の上に係止して横レール61に吊り下げて、前後レール62を横移動機構63によって横レール61の長手方向(堆肥室の横方向)に往復移動可能としてある。また、前後レール62に台車64を設け、台車64を台車64内の前後移動機構66によって前後レール62の長手方向に往復移動可能としてある。
【0043】
前記実施例では横レール61を支柱65の上に設置してあるが、本発明の横レール61は支柱65の上ではなく、堆肥室の建物の支柱とか壁面の横柱等に設置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の堆肥攪拌機の一例を示すものであり、(a)は正常時の正面図、(b)は傾いたときの正面図である。
【図2】図1(a)の堆肥攪拌機の緩衝・吸収部分の拡大正面図。
【図3】図1(b)の堆肥攪拌機の緩衝・吸収部分の傾斜時の拡大図。
【図4】本発明の堆肥攪拌機の他例を示すものであり、(a)は正常時の正面図、(b)は傾いたときの正面図である。
【図5】図4における緩衝・吸収部分の正面図。
【図6】図4(b)の堆肥攪拌機の緩衝・吸収部分の傾斜時の拡大正面図。
【図7】本発明の堆肥攪拌機の他例を示すものであり、(a)は正常時の正面図、(b)は傾いたときの正面図である。
【図8】図7(b)の堆肥攪拌機の緩衝・吸収部分の傾斜時の拡大正面図。
【図9】本発明の堆肥攪拌機の他例を示すものであり、(a)は回転駆動部と攪拌翼付きシャフトの接合前の正面説明図、(b)は正常時の正面図、(c)は傾いたときの正面図である。
【図10】図9(a)の拡大正面図。
【図11】図9(b)の拡大正面図。
【図12】図9(c)の拡大正面図。
【図13】本発明の堆肥攪拌装置における堆肥攪拌機と回転駆動部の説明図。
【図14】本発明の堆肥攪拌装置における移動装置の説明図。
【図15】本発明の堆肥攪拌装置における攪拌機の移動説明の平面図。
【図16】本発明の堆肥攪拌装置の横レールに段差を設けた実施形態の説明図。
【図17】本発明の堆肥攪拌装置の横レールを、屋根が傾斜している堆肥室内に配置した状態の側面図。
【符号の説明】
【0045】
1 シャフト
2 攪拌翼
3 攪拌翼付きシャフト
4 回転駆動体
5 下部フランジ
6 下部フランジの嵌合凹凸(ギヤ)
7 上部フランジ
8 上部フランジの嵌合凹凸(ギヤ)
9 緩衝・吸収部材(スプリング)
10 連結ボルト
11 ナット
12 周枠
13 隙間
14 収容筒
15 支持板
21 筒
22 上のフランジ
23 下のフランジ
30 上部フランジの連結杆
31 下部フランジの連結杆
40 堆肥攪拌機
45 モータ
46 スプロケット
47 駆動スプロケット
48 チェーン
50 堆肥室の入口部
51 堆肥室の奥部
61 横レール
62 前後レール
62a 前後レールの入口側端部
62b 前後レールの奥部側端部
63 横移動機構
64 台車
65 支柱
66 前後移動機構
67 吊りアーム
C 堆肥
R 堆肥室


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの外周に攪拌翼が取付けられた攪拌翼付きシャフトと、攪拌翼付きシャフトを堆肥内において縦向きで回転させる回転駆動体を備えた堆肥攪拌機において、シャフトと回転駆動体との間、又はシャフトの軸方向途中に、攪拌翼付きシャフトに加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材を設けたことを特徴とする堆肥攪拌機。
【請求項2】
シャフトの外周に攪拌翼が取付けられた攪拌翼付きシャフトと、攪拌翼付きシャフトを堆肥内において縦向きで回転させる回転駆動体を備えた堆肥攪拌機において、シャフトと回転駆動体とが攪拌翼付きシャフトに加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材を挟んで連結されるか、又は緩衝・吸収部材で連結されたことを特徴とする堆肥攪拌機。
【請求項3】
シャフトの外周に攪拌翼が取付けられた攪拌翼付きシャフトと、攪拌翼付きシャフトを堆肥内において縦向きで回転させる回転駆動体を備えた堆肥攪拌機において、シャフトが上部シャフトと下部シャフトに分離され、両シャフトが上部シャフトと下部シャフトの双方又はいずれか一方に加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材を挟んで、又は緩衝・吸収部材で連結されたことを特徴とする堆肥攪拌機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の堆肥攪拌機において、シャフトと回転駆動体が、又は上部シャフトと下部シャフトが分離可能に接合され、その接合部分がシャフト、又は上部シャフトと下部シャフトの双方又はいずれか一方に加わる外力を緩衝又は/及び吸収する緩衝・吸収部材で連結されたことを特徴とする堆肥攪拌機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の堆肥攪拌機において、緩衝・吸収部材はシャフトに外力が加わると曲がるか、折れるか、位置ずれするか、連結が外れるか、連結が外れても復元可能であるかのいずれか一つの状態又は二以上の複合状態になるものであることを特徴とする堆肥攪拌機。
【請求項6】
請求項5記載の堆肥攪拌機において、緩衝・吸収部材が一又は二以上のスプリングであることを特徴とする堆肥攪拌機。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の堆肥攪拌機と、堆肥攪拌機の攪拌翼付きシャフトを堆肥内で回転させる回転駆動体と、堆肥攪拌機を堆肥内で横移動させる横移動機構と、堆肥攪拌機を堆肥内で前後移動させる前後移動機構を備え、横移動機構が横レールとその横レールに沿って前記堆肥攪拌機を横移動させる横移動体を備え、前後移動機構が前後レールとその前後レールに沿って前記堆肥攪拌機を前後移動させる前後移動体を備えたことを特徴とする堆肥攪拌装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−335618(P2006−335618A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164582(P2005−164582)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(503293503)株式会社アイデアる (1)
【Fターム(参考)】