塑性加工木材製造装置及びその製造方法
【課題】 木材の加熱圧縮成形における加工時間を短縮すると共に、加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の製品を得ること。
【解決手段】 プレス盤10Aの上プレス盤11A及び下プレス盤21Aの内部空間ISに載置された木材NW1が加熱圧縮成形され、内部空間ISが密閉状態に保持される。この際、下プレス盤21Aに形成された木材NW1に食い込む程度の突起部24を介して木材NW1の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気が通過自在であり、この内部空間ISが密閉状態から所定時間経過後に開放される。この内部空間ISが密閉状態であるときの高温高圧の水蒸気の流通により、木材NW1の内部及び内部空間ISに存在する蒸気圧が均一化される。これにより、塑性加工木材を冷却することなくプレス盤から取出したときの膨らみ変形が防止でき、安定した品質の塑性加工木材を得ることができる。
【解決手段】 プレス盤10Aの上プレス盤11A及び下プレス盤21Aの内部空間ISに載置された木材NW1が加熱圧縮成形され、内部空間ISが密閉状態に保持される。この際、下プレス盤21Aに形成された木材NW1に食い込む程度の突起部24を介して木材NW1の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気が通過自在であり、この内部空間ISが密閉状態から所定時間経過後に開放される。この内部空間ISが密閉状態であるときの高温高圧の水蒸気の流通により、木材NW1の内部及び内部空間ISに存在する蒸気圧が均一化される。これにより、塑性加工木材を冷却することなくプレス盤から取出したときの膨らみ変形が防止でき、安定した品質の塑性加工木材を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を圧縮成形することで硬度を高めることができる塑性加工木材製造装置及びその製造方法に関し、例えば、住宅の床材等に利用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、プレス加工する際に木材の周囲を密閉し、木材に含まれる水分をその木材中に閉じ込めたうえで高温高圧で加熱圧縮処理すると、顕著な回復抑制効果が現われて、もはや元の厚みには戻らないことが知られている。ところが、このような木材を、処理後に直ちにプレス機から取出すと、木材中に含まれていた高温高圧の水蒸気の作用によって、この木材の表面にパンクと呼ばれる膨らみ変形が発生し易いという不具合があった。これに対処するため、従来は、木材の熱処理後にプレス状態を維持したままプレス機を冷却することで塑性加工木材(圧縮木材)を製造するしかなかった。しかしながら、このような工程の繰返しでは、プレス機の再加熱に伴う無駄なエネルギの消費と共に、時間も要するという問題が生じていた。
【0003】
そこで、特許文献1では、エネルギや時間を多大に消費することなしに、加熱圧縮した木材の表面における膨らみ変形の発生を防止することを目的として、木材を加熱プレス処理により圧縮して密閉空間に閉じ込め、木材中の水分を加圧水蒸気化させて圧縮変形状態に固定させた後、プレス状態を維持したまま密閉空間内を減圧させる技術が示されている。これによれば、木材中に含まれる水蒸気が密閉空間内に放出されるため、加熱プレス処理後に木材を加熱状態のまま熱プレス機から取出してもその表面における膨らみ変形の発生が防止されるとある。
【0004】
また、特許文献2では、木材(木質材)の厚み方向に貫通孔あるいは半貫通孔を形成し、プレス盤により木材を加熱圧縮する際、加熱水蒸気を供給することにより木材に加熱水蒸気を均一に行き渡らせ寸法の安定化処理を行う技術が示されている。これによれば、プレス盤に設けられた多数の細孔から内部空間内で加圧圧縮される木材に加熱水蒸気を均一に行き渡らせることができるとある。
【特許文献1】特開平8−90516号公報
【特許文献2】特開平10−249813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1にあるように、木材中に含まれている高温高圧の水蒸気は密閉空間内を減圧するだけでは瞬時に抜けきることは難しく、依然として、木材の木口面から離れた中央部分では均一化されておらず、特に、厚板材では加熱プレス処理後の膨らみ変形を完全に抑えることは無理であり、多少でも膨らみ変形が生じると製品としての品質が低下するという問題があった。
【0006】
一方、特許文献2にあるように、プレス盤に設けられた多数の細孔から密閉空間内に加熱水蒸気を供給しても、プレス盤で加熱圧縮されている木材の貫通孔あるいは半貫通孔等にプレス盤側の細孔を一致させ、木材内部へ水蒸気を確実に均一に浸透させることには無理があった。このため、元々木材内に含まれている水分もあることから、あらゆる部分での均一化は補償されず、やはり厚板材では加熱プレス処理後に冷却処理を行わないで膨らみ変形を完全に抑えることは無理であり、多少の膨らみ変形が生じることで製品としての品質が低下するという問題があった。
【0007】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、木材の加熱圧縮成形後における冷却処理をなくし熱処理時間を短縮できると共に、加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の製品を製造可能な塑性加工木材製造装置及びその製造方法の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の塑性加工木材製造装置は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤を用い、前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を前記凸状部に食い込ませるように所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放する。その間の前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記凸状部を介して前記木材の圧縮面の高温高圧の水蒸気を制御するものである。
【0009】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、木口面の面積を小さくすることを意味するものである。即ち、木材の板目面または柾目面をプレス圧縮することにより、木口面の面積を小さくすることを意味し、木材の板目面をプレス圧縮するか柾目面をプレス圧縮するかは、木材の種類等も考慮されてプレス圧縮が決定される。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他の複数の構成体によって構成できる。
【0010】
そして、本発明を実施する場合の木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部とは、木材に食い込み、その食い込ませた位置に至る木材の位置までを内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の断面形状であればよく、できる限り多くの凸状部を形成することが好ましい。また、その食い込む程度は、木材の厚みがそれ程ない場合には、浅い構造であってもよい。
【0011】
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御手段は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凸状部によって、木材を所定温度及び所定圧力でその凸状部を木材に食い込ませ加熱圧縮し、その食い込ませた位置に至るまでを内部空間と同様の加熱圧縮状態にするものであればよい。
【0012】
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御手段は、プレス加工制御手段で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧の水蒸気との接触面積が、凸状部を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
加えて、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凸状部とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に凸状部が形成される場合、木材の両方の圧縮面側に凸状部が形成される場合があることを意味する。
【0013】
請求項2の塑性加工木材製造装置は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤において、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮する。前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記凹状部を介して前記木材の圧縮面における高温高圧水蒸気を制御するものである。
【0014】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、木口面の面積を小さくすることを意味し、好ましくは、木口面の面積及び柾目面の面積を小さくすることを意味し、プレス盤によるプレス圧縮の方向性を特定するものである。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他の複数の構成体によって構成できる。
【0015】
そして、本発明を実施する場合の内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部とは、プレス圧縮される木材の圧縮面を内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の断面形状であればよく、木材の繊維方向やそれと交差する方向等にできる限り多くの凹状部を形成することが好ましい。また、本発明を実施する場合の凹状部は、換言すれば、プレス盤の木材の圧縮面に形成された溝であり、断面形状としては略U字形状、略V字形状、略台形形状等で製品となる塑性加工木材を取外し易い形状であればよい。
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御手段は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凹状部によって、木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するものであればよい。
【0016】
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御手段は、プレス加工制御手段で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気の接触表面が、凹状部を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧の水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
加えて、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凹状部とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に凹状部が形成される場合、木材の両方の圧縮面側に凹状部が形成される場合があることを意味する。
【0017】
請求項3の塑性加工木材製造装置は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤において、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材との間に隙間を形成する隙間形成部材が配設されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮する。前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記隙間形成部材を介して前記木材の圧縮面の高温高圧の水蒸気を制御するものである。
【0018】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、木口面の面積を小さくすることを意味し、好ましくは、木口面の面積及び柾目面の面積を小さくすることを意味し、プレス盤によるプレス圧縮の方向性を特定するものである。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他の複数の構成体によって構成できる。
【0019】
そして、本発明を実施する場合の木材との間に隙間を形成する隙間形成部材とは、プレス圧縮される木材の圧縮面を内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の表面凹凸形状であればよく、木材の圧縮面に対してできる限り多くの隙間を形成することが好ましい。
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御手段は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された隙間形成部材を介して、木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、木材の圧縮面を内部空間と同様の加熱圧縮状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放するものであればよい。
【0020】
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御手段は、プレス加工制御手段で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気の接触表面が、隙間形成部材を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧の水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
なお、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された隙間形成部材とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に隙間形成部材が配設される場合、木材の両方の圧縮面側に隙間形成部材が配設される場合があることを意味する。
【0021】
請求項4の塑性加工木材製造装置は、請求項1乃至請求項3に記載の要件に加えて、前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度で所定の深さに穿設されているものである。
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向とは、木口面に対する並行方向を意味し、換言すれば、木材の繊維方向に対する直角方向となる。
そして、木材の孔は、製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないように、ドリル刃による穴明け、針状の部材や先の細く尖った刃による押付け、刃または針を周囲に設けた回転ローラ等によって適宜、穿設することができる。
【0022】
請求項5の塑性加工木材製造装置は、請求項1乃至請求項3に記載の要件に加えて、前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で貫通して穿設されているものである。
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向とは、木材の繊維方向に対して略垂直方向となる。
そして、木材の孔は、製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないように、ドリル刃による穴明け、針状の部材や先の細く尖った刃による押付け、刃または針を周囲に設けた回転ローラ等によって適宜、穿設することができる。
【0023】
請求項6の塑性加工木材製造装置は、請求項4または請求項5に記載の要件に加えて、前記孔の直径が、0.2〜10.0〔mm〕に設定されているものである。
ここで、孔の直径は、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0024】
請求項7の塑性加工木材製造装置は、請求項4または請求項5に記載の要件に加えて、前記孔の密度が、100〔cm2 〕当たり1〜100〔個〕に設定されているものである。
ここで、孔の密度は、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0025】
請求項8の塑性加工木材製造装置は、請求項4に記載の要件に加えて、前記孔の深さが、元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されているものである。
ここで、孔の深さは、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0026】
請求項9の塑性加工木材製造装置は、請求項4乃至請求項8に記載の要件に加えて、前記孔が、前記木材の一方の面の全面に穿設されているものである。
ここで、木材の一方の面の全面とは、最終的に塑性加工木材となる製品表面に対する裏面側の全体であるのが望ましい。
【0027】
請求項10の塑性加工木材製造装置は、請求項4乃至請求項8に記載の要件に加えて、前記孔が、前記木材の一面から見て所定領域に穿設されているものである。
ここで、木材の一面から見て、所定領域とは、最終的に塑性加工木材となる製品表面に対する裏面側で両木口面から所定寸法を除いた内側の領域であることが望ましい。
【0028】
請求項11の塑性加工木材製造方法は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤において、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を前記凸状部に食い込ませるように所定温度及び所定圧力で加熱圧縮する。前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているときに、前記内部空間と前記凸状部を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御するものである。
【0029】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、好ましくは、木材の柾目面及び木口面の面積を小さくすることを意味し、プレス盤によるプレス圧縮の方向性を特定するものである。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他の複数の構成体によって構成できる。
【0030】
そして、本発明を実施する場合の木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部とは、木材に食い込み、その食い込ませた位置に至る木材の位置までを内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の断面形状であればよく、できる限り多くの凸状部を形成することが好ましい。また、その食い込む程度は、木材の厚みがそれ程ない場合には、浅い構造であってもよい。
【0031】
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御工程は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凸状部を介して木材に食い込ませ、木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、その食い込ませた位置に至るまでを内部空間と同様の加熱圧縮状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放するものであればよい。
【0032】
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御工程は、プレス加工制御工程で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気の接触表面が、凸状部を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧の水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
加えて、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凸状部とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に凸状部が形成される場合、木材の両方の圧縮面側に凸状部が形成される場合があることを意味する。
【0033】
請求項12の塑性加工木材製造方法は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤において、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮する。前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記プレス加工制御工程で前記内部空間が密閉状態に保持されているときに、前記内部空間と前記凹状部を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御するものである。
【0034】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、木口面の面積を小さくすることを意味し、好ましくは、木口面の面積及び柾目面の面積を小さくすることを意味し、プレス盤によるプレス圧縮の方向性を特定するものである。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他の複数の構成体によって構成できる。
そして、本発明を実施する場合の内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部とは、プレス圧縮される木材の圧縮面を内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の断面形状であればよく、木材の繊維方向やそれと交差する方向等にできる限り多くの凹状部を形成することが好ましい。また、本発明を実施する場合の凹状部は、換言すれば、プレス盤の木材の圧縮面に形成された溝部であり、断面形状としては略U字形状、略V字形状、略台形形状等で製品となる塑性加工木材を取外し易い形状であればよい。
【0035】
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御工程は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凹状部を介して内部空間と連通させ、木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、木材の圧縮面を内部空間と同様の加熱圧縮状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放するものであればよい。
【0036】
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御工程は、プレス加工制御工程で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気の接触表面が、凹状部を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧の水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
なお、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凹状部とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に凹状部が形成される場合、木材の両方の圧縮面側に凹状部が形成される場合があることを意味する。
【0037】
請求項13の塑性加工木材製造方法は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材との間に隙間を形成する隙間形成部材が配設されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放するプレス加工制御工程と、前記プレス加工制御工程で前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記隙間形成部材を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御工程とからなるものである。
【0038】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、木口面の面積を小さくすることを意味し、好ましくは、木口面の面積及び柾目面の面積を小さくすることを意味し、プレス盤によるプレス圧縮の方向性を特定するものである。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他複数の構成体によって構成できる。
そして、本発明を実施する場合の木材との間に隙間を形成する隙間形成部材とは、プレス圧縮される木材の圧縮面を内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の表面凹凸形状で、できる限り多くの隙間を形成することが好ましい。
【0039】
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御工程は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された隙間形成部材を介して内部空間と連通させ、木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、木材の圧縮面を内部空間と同様の加熱圧縮状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放するものであればよい。
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御工程は、プレス加工制御手段で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気の接触表面が、隙間形成部材を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
なお、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された隙間形成部材とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に隙間形成部材が配設される場合、木材の両方の圧縮面側に隙間形成部材が配設される場合があることを意味する。
【0040】
請求項14の塑性加工木材製造方法は、請求項11乃至請求項13に記載の要件に加えて、前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度で所定の深さに穿設されているものである。
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向とは、換言すれば、木材の繊維方向に対して略垂直方向を意味する。
そして、木材の孔は、製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないように、ドリル刃による穴明け、針状の部材や先の細く尖った刃による押付け、刃または針を周囲に設けた回転ローラ等によって適宜、穿設することができる。
【0041】
請求項15の塑性加工木材製造方法は、請求項11乃至請求項13に記載の要件に加えて、前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で貫通して穿設されているものである。
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向とは、換言すれば、木材の繊維方向に対して略垂直方向となる。
そして、木材の孔は、製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないように、ドリル刃による穴明け、針状の部材や先の細く尖った刃による押付け、刃または針を周囲に設けた回転ローラ等によって適宜、穿設することができる。
【0042】
請求項16の塑性加工木材製造方法は、請求項14または請求項15に記載の要件に加えて、前記孔の直径が、0.2〜10.0〔mm〕に設定されているものである。
ここで、孔の直径は、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0043】
請求項17の塑性加工木材製造方法は、請求項14または請求項15に記載の要件に加えて、前記孔の密度が、100〔cm2 〕当たり1〜100〔個〕に設定されているものである。
ここで、孔の密度は、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0044】
請求項18の塑性加工木材製造方法は、請求項14に記載の要件に加えて、前記孔の深さが、元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されているものである。
ここで、孔の深さは、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0045】
請求項19の塑性加工木材製造方法は、請求項14乃至請求項18に記載の要件に加えて、前記孔が、前記木材の一面の全面に穿設されているものである。
ここで、木材の一面の全面とは、好ましくは、最終的に塑性加工木材となる製品表面に対する裏面側の全体が望ましい。
【0046】
請求項20の塑性加工木材製造方法は、請求項14乃至請求項18に記載の要件に加えて、前記孔が、前記木材の一面の所定領域に穿設されているものである。
ここで、木材の一面の所定領域とは、好ましくは、最終的に塑性加工木材となる製品表面に対する裏面側で両木口面から所定寸法を除いた内側の範囲が望ましい。
【発明の効果】
【0047】
請求項1の塑性加工木材製造装置によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御手段によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部を木材の圧縮面に食い込ませて所定温度及び所定圧力で加熱圧縮させ、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御手段によって凸状部が食い込んでいる木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0048】
つまり、プレス加工制御手段によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御手段によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に木材に食い込む程度に所定の断面形状からなる凸状部が形成されていることによって、この圧縮面側の木材の表面積が増加することとなり、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加し、木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。なお、高温高圧水蒸気は、外部から内部空間に供給する場合もある。
【0049】
請求項2の塑性加工木材製造装置によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御手段によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部を介して木材の圧縮面と内部空間とが連通され、所定温度及び所定圧力で加熱圧縮され、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御手段によって凹状部に当接されている木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0050】
つまり、プレス加工制御手段によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御手段によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されていることによって、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加されることなり木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。なお、高温高圧水蒸気は、外部から内部空間に供給する場合もある。
【0051】
請求項3の塑性加工木材製造装置によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御手段によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された木材との間に隙間を形成する隙間形成部材を介して木材の圧縮面と内部空間とが連通され、所定温度及び所定圧力で加熱圧縮され、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御手段によって隙間形成部材に当接されている木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0052】
つまり、プレス加工制御手段によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御手段によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に木材との間に隙間を形成して内部空間と連通させる隙間成形部材が配設されていることによって、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加されることなり木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。なお、高温高圧水蒸気は、外部から内部空間に供給する場合もある。
【0053】
請求項4の塑性加工木材製造装置では、請求項1乃至請求項3に記載の効果に加えて、木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向、即ち、プレス圧縮される方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で所定の深さに穿設されており、この孔を介して木材の内部に対する均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0054】
請求項5の塑性加工木材製造装置では、請求項1乃至請求項3に記載の効果に加えて、木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向、即ち、プレス圧縮される方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で貫通して穿設されており、この孔を介して木材の内部に対する均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0055】
請求項6の塑性加工木材製造装置では、請求項4または請求項5に記載の効果に加えて、木材の孔の直径が0.2〜10.0〔mm〕に設定されており、木材に応じて好適に設定された直径の孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0056】
請求項7の塑性加工木材製造装置では、請求項4または請求項5に記載の効果に加えて、木材の孔の密度が100〔cm2 〕当たり1〜100〔個〕に設定されており、木材に応じて好適に設定された直径の孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0057】
請求項8の塑性加工木材製造装置では、請求項4に記載の効果に加えて、木材の孔の深さが元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されており、木材の元の板厚に応じて好適に設定された深さの孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0058】
請求項9の塑性加工木材製造装置では、請求項4乃至請求項8に記載の効果に加えて、孔が木材の一面の全面に穿設されており、孔を穿設する際には木材の裏面側を選定するのみでよく、この孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0059】
請求項10の塑性加工木材製造装置では、請求項4乃至請求項8に記載の効果に加えて、孔が木材の一面の所定領域に穿設されており、孔を穿設する際には木材の裏面側における最小限必要な所定範囲を選定することができ、この領域の孔によって木材の均一な固定化が、曲げまたは直線を含めてスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0060】
請求項11の塑性加工木材製造方法によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御工程によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部を木材の圧縮面に食い込ませて所定温度及び所定圧力で加熱圧縮させ、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御工程によって凸状部が食い込んでいる木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0061】
つまり、プレス加工制御工程によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御工程によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に木材に食い込む程度に所定の断面形状からなる凸状部が形成されていることによって、この圧縮面側の木材の表面積が増加することとなり、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加されることとなり木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。
【0062】
請求項12の塑性加工木材製造方法によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御工程によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部を介して木材の圧縮面と内部空間とが連通され、所定温度及び所定圧力で加熱圧縮させ、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御工程によって凹状部に当接されている木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0063】
つまり、プレス加工制御工程によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御工程によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されていることによって、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加されることなり木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。
【0064】
請求項13の塑性加工木材製造方法によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御工程によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された木材との間に隙間を形成する隙間形成部材を介して木材の圧縮面と内部空間とが連通され、所定温度及び所定圧力で加熱圧縮させ、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御工程によって隙間形成部材に当接されている木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0065】
つまり、プレス加工制御工程によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御工程によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に木材との間に隙間を形成して内部空間と連通させる隙間成形部材が配設されていることによって、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加されることなり木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。
【0066】
請求項14の塑性加工木材製造方法では、請求項11乃至請求項13に記載の効果に加えて、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で所定の深さに穿設されており、プレス盤による内部空間が密閉状態に保持されているときに、この孔を介して木材内部と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在であるため、木材が均一に固定化される。
【0067】
請求項15の塑性加工木材製造方法では、請求項11乃至請求項13に記載の効果に加えて、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で貫通して穿設されており、プレス盤による内部空間が密閉状態に保持されているときに、この孔を介して木材内部と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在であるため、木材が均一に固定化される。
【0068】
請求項16の塑性加工木材製造方法では、請求項14または請求項15に記載の効果に加えて、木材の孔の直径が0.2〜10.0〔mm〕に設定されており、木材に応じて好適に設定された直径の孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0069】
請求項17の塑性加工木材製造方法では、請求項14または請求項15に記載の効果に加えて、木材の孔の密度が100〔cm2 〕当たり1〜100〔個〕に設定されており、木材に応じて好適に設定された密度の孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0070】
請求項18の塑性加工木材製造方法では、請求項14に記載の効果に加えて、木材の孔の深さが元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されており、木材の元の板厚に応じて好適に設定された深さの孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0071】
請求項19の塑性加工木材製造方法では、請求項14または請求項18に記載の効果に加えて、孔が木材の一面の全面に穿設されており、孔を穿設する際には木材の裏面側を選定するのみでよく、この孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0072】
請求項20の塑性加工木材製造方法では、請求項14または請求項18に記載の効果に加えて、孔が木材の一面の所定領域に穿設されており、孔を穿設する際には木材の裏面側における最小限必要な所定領域を選定することができ、この領域の孔によって木材の均一な固定化が、塑性加工木材製造の際に必要に応じて設定する曲げ部分または直線部分を含めてスムーズに達成されるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0074】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1にかかる塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図、図2は図1におけるプレス盤の下プレス盤に形成された凸状部としての突起部の詳細を示す斜視図である。
【0075】
図1及び図2において、100は塑性加工木材製造装置であり、この塑性加工木材製造装置100は、主として、上プレス盤11Aと下プレス盤21Aとの2分割された構造体によって内部空間ISを形成するプレス盤10Aと、内部空間ISを密閉状態とするために下プレス盤21Aの周縁部22に対向して上プレス盤11Aの周縁部12に配設されるシール部材14と、木材NW1の木裏側との当接面となる下プレス盤21Aに所定の間隔で形成され、木材NW1に食い込む程度に形成された所定の断面形状からなる凸状部としての複数の略円錐状の突起部24と、下プレス盤21Aの側面側から内部空間IS内に連通され、内部空間IS内から水蒸気を排出するための配管口41aを有する配管41、配管41内の蒸気圧を検出する圧力計P2、その下流側のバルブV5、バルブV5に接続されたドレン配管42等から構成されている。
【0076】
また、プレス盤10Aの上プレス盤11A及び下プレス盤21A内には、それらを高温の水蒸気を通すことによって所望の温度に昇温するための配管路13,23が形成されており、これら配管路13,23には蒸気供給側の配管ST1から分岐された配管ST2,ST3、蒸気排出側の配管ET1,ET2がそれぞれ接続されている。そして、蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3途中にはバルブV1,V2,V3、配管ST1内の蒸気圧を検出する圧力計P1が配設されており、蒸気排出側の配管ET1,ET2は、バルブV4を介してドレン配管42に接続されている。なお、配管ST1に水蒸気を供給するボイラ装置、また、プレス盤10Aの固定側の下プレス盤21Aに対して上プレス盤11Aを上昇/下降させ加圧するための油圧機構を含むプレス昇降装置は省略されている。ここで、本実施の形態では、プレス盤10Aの上プレス盤11A及び下プレス盤21Aで形成される内部空間IS内を加熱するために高温の水蒸気を用いているが、この他、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いることもできる。
また、プレス盤10Aの上プレス盤11A及び下プレス盤21Aがシール部材14を介して密閉状態となったときの内部空間ISの上下方向の寸法間隔は、塑性加工木材製造装置100により木材NW1が例えば、圧縮率60〔%〕の塑性加工木材PW1とされるときの厚み方向の仕上がり寸法に設定されている。
【0077】
ここで、図3に示すように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100で用いられる木材NW1は、原材料となる木材が前以って所定の長さ・幅・厚みに製材されたものであり、木材NW1は木目の長さ方向に対する垂直方向の面(木表及び木裏の2面)、柾目面(2面)、木口面(2面)とからなり、上記木目の長さ方向に対する垂直方向の面の木裏側がプレス盤10Aの下プレス盤21Aに載置される。なお、本実施の形態では、木目の長さ方向に対する垂直方向の面とする木裏側がプレス盤10Aの下プレス盤21Aに載置される事例で説明するが、本発明を実施する場合には、木目の長さ方向が木裏側に一義的に決定されるものではない。
【0078】
次に、塑性加工木材製造装置100により原材料の木材NW1から塑性加工木材PW1を製造する工程手順について、図4(a)〜図4(e)を参照して説明する。なお、図4(a)〜図4(e)では、蒸気供給側や蒸気排出側の配管等は省略されている。
まず、図4(a)に示すように、塑性加工木材製造装置100におけるプレス盤10Aの固定側の下プレス盤21Aに対して上プレス盤11Aを上昇させ、予め所定の寸法に製材された木材NW1が上プレス盤11A及び下プレス盤21Aで形成される内部空間IS内に載置される。
【0079】
次に、図4(b)に示すように、固定側の下プレス盤21Aに形成された突起部24上に載置された木材NW1に対して上プレス盤11Aを圧力が0.05〜0.3〔MPa:メガパスカル〕にて下降させ、木材NW1の木表側に当接させる。そして、上プレス盤11Aの配管路13及び下プレス盤21Aの配管路23に110〜160〔℃〕の高温の水蒸気が通されることによって、内部空間IS内が110〜160〔℃〕の特定温度に保持される(昇温処理時間20〔min:分〕)。なお、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100では、プレス盤10Aの昇温処理時間は、連続処理されるときには周囲環境温度にもよるが最初の立上げ時のみ長い時間が必要となる。
【0080】
次に、図4(c)に示すように、固定側の下プレス盤21Aに対して上プレス盤11Aの圧縮圧力が2〜5〔MPa〕の特定圧縮圧力に設定され、木材NW1が上プレス盤11A及び下プレス盤21Aにて加熱圧縮される(処理時間25〔min〕)。この加熱圧縮により、下プレス盤21Aに形成されている突起部24が、木材NW1の木裏側に食い込むこととなる。そして、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Aの周縁部22に当接すると上プレス盤11Aの周縁部12に配設されたシール部材14によって、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aにて形成される内部空間ISが密閉状態とされる。この内部空間ISの密閉状態で上プレス盤11A及び下プレス盤21Aによる圧縮圧力が保持されたまま、温度が3〜10〔min〕間で110〜160〔℃〕の特定温度から150〜210〔℃〕の間の特定温度に上昇される。
【0081】
このとき、下プレス盤21Aの突起部24上に載置された木材NW1の木裏側は、突起部24が食い込んで変形されるが、突起部24が木材NW1の変形による隙間を埋め尽くすことはなく水蒸気が通過するための空間が形成されることとなる。なお、木材NW1の圧縮率は、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Aの周縁部22に当接することで決まることとなる。
そして、図4(c)に示す内部空間ISの密閉状態で、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aの圧縮圧力が維持され、かつ、内部空間ISが150〜210〔℃〕の間の特定温度のまま、40〜120〔min〕間保持され、木材NW1の加熱圧縮を解除したときに戻りのない塑性加工木材PW1を形成するための所謂、固定化が行われる。このとき、下プレス盤21Aに形成されている突起部24による空間を介して、内部空間ISと木材NW1の木裏側の内部とで高温高圧の水蒸気が出入り自在となっている。
【0082】
なお、内部空間ISが密閉状態とされ固定化が行われているときに、蒸気圧処理として圧力計P2で内部空間ISの蒸気圧が検出され、バルブV5が適宜、開閉される。これにより、配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出されることで、元の木材NW1の含水率に基づく余分な内部空間IS内の水分が除去され、内部空間IS内が所定の蒸気圧となるように調節される。
【0083】
次に、図4(d)に示すように、内部空間ISを密閉状態から開放する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出される。この際、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aを150〜210〔℃〕の間の特定温度に維持するための水蒸気も一旦、供給停止される。
次に、図4(e)に示すように、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aの温度をなるべく下げないように素早く、固定側の下プレス盤21Aに対して上プレス盤11Aを上昇させ、内部空間ISから仕上がり品である塑性加工木材PW1が取出され、一連の処理工程が終了する。
【0084】
つまり、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100では、塑性加工木材PW1の製造に従来不可欠とされていた取出し以前における上プレス盤11A及び下プレス盤21Aに対する冷却工程が省略できる。この理由としては、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aの内部空間ISが密閉状態であるときに、下プレス盤21Aに形成された突起部24が木材NW1に食い込んでいる木材NW1の内部と内部空間ISとの間で高温高圧の水蒸気が通過自在となり、元々木材NW1に含まれている水分が均一化されることにある。
【0085】
そこで、固定化後に内部空間ISから水蒸気が排出された後、直ちに取出してそのまま自然冷却させても膨らみ変形を生じない安定した品質の塑性加工木材PW1を得ることができる。なお、塑性加工木材PW1の木裏側には、突起部24が食い込むことによりその断面形状が残ることとなるが、製品の表面側となる木表側と反対の木裏側であることから不具合が発生することはない。また、突起部24の断面形状が残る部分が、製品化する際の切削代である寸法範囲内となるように予め設定されておれば問題となることはない。更に、製品の木裏側で突起部24の断面形状が残った部分は、接着仕様のものでは接着を助ける役割を果たすこととなるため好ましく、塑性加工木材PW1の木裏側の凹凸形状は製品化に当たって問題となることもない。
【0086】
このため、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100における一連の処理工程では、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aを強制的に冷却する必要がなくなり、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aの内部空間IS内に新たな木材NW1を載置し、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aに150〜210〔℃〕の間の特定温度の水蒸気を供給開始すれば、新たな木材NW1に対する処理工程にそのまま移行させることができる。
【0087】
このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100は、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Aからなるプレス盤10Aと、内部空間IS内に載置された木材NW1の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Aにおける木材NW1の木裏側となる圧縮面側には、木材NW1に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部としての突起部24が形成されており、内部空間ISに載置された木材NW1を突起部24に食い込ませるように150〜210〔℃〕の間の特定温度及び2〜5〔MPa〕の特定圧縮圧力で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御手段と、前記プレス加工制御手段で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、突起部24を介して木材NW1の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御手段とを具備するものである。
【0088】
また、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100における各手段等を工程に読変えることにより、即ち、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Aからなるプレス盤10Aで、内部空間IS内に載置された木材NW1の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Aにおける木材NW1の木裏側となる圧縮面側には、木材NW1に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部としての突起部24が形成されており、内部空間ISに載置された木材NW1を突起部24に食い込ませるように150〜210〔℃〕及び2〜5〔MPa〕で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御工程と、前記プレス加工制御工程で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、突起部24を介して木材NW1の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御工程とからなる塑性加工木材製造方法の実施の形態とすることができる。
【0089】
このため、プレス盤10Aの内部空間IS内に載置された木材NW1が加熱圧縮され、内部空間ISが密閉状態に所定時間保持されている間に、下プレス盤21Aの木材NW1の木裏側と当接する圧縮面側に形成された木材NW1に食い込む程度の所定の断面形状からなる突起部24が、内部空間IS内に載置された木材NW1に食い込んでいることで、木材NW1に元々含まれている水分が水蒸気となって内部空間ISとの間を通過自在となることで、木材NW1が均一に固定化される。このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100によれば、木材NW1を加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に所定時間保持して固定化し、内部空間ISを密閉状態から開放し、プレス盤10Aの内部空間ISから直ちに取出して自然冷却を行っても膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材PW1を製造することができる。
【0090】
なお、上記実施の形態では、凸状部として複数の略円錐状の突起部24を用いているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、凸状部としては、図5(a)に斜視図、図5(b)に上面図を示すような、断面星形等からなる特殊な断面形状を有する突起部24aも有効であり、同様の作用効果が期待できる。しかし、本発明を実施する場合には、凸状部の先端まで水蒸気圧を案内するガイドとしてスリット、貫通孔等を設けるものの使用が望ましい。
【0091】
また、上記実施の形態では、上プレス盤11Aと下プレス盤21Aとの2分割された構造体によって内部空間ISを形成するプレス盤10Aが構成されているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、図6(a)に概略図を示すように、平プレス盤11aと角筒状の側壁プレス盤11bとを組み合わせ、側壁プレス盤11bに対する平プレス盤11aの側周面の摺動部にOリング14a等を配設し、平プレス盤11aと側壁プレス盤11bとを2段にて押圧する上プレス盤11Bと下プレス盤21A(突起部24等は省略)とからなる3分割された構造体によってプレス盤を構成することもできる。更に、図6(b)に概略図を示すように、平プレス盤11cと角筒状の側壁プレス盤11dを組み合わせて、ボルト11e等にて固定するようにした上プレス盤11Cと下プレス盤21A(突起部24等は省略)とからなる3分割された構造体によってプレス盤を構成することもできる。
【0092】
[実施の形態2]
図7は本発明の実施の形態2にかかる塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図、図8は図7におけるプレス盤の下プレス盤に形成された凹状部としての溝部の詳細を示す斜視図である。また、図9は本発明の実施の形態2にかかる塑性加工木材製造装置で用いられる木材の木裏側の孔の加工状態を示す斜視図である。なお、上述の実施の形態1と同様の構成または相当部分からなるものについては同一符号及び同一記号を付し、その重複する説明を省略する。
【0093】
図7及び図8において、200は塑性加工木材製造装置であり、この塑性加工木材製造装置200は、主として、上プレス盤11Aと下プレス盤21Bとの2分割された構造体によって内部空間ISを形成するプレス盤10Bと、内部空間ISを密閉状態とするために下プレス盤21Bの周縁部22に対向して上プレス盤11Aの周縁部12に配設されるシール部材14と、木材NW2の木裏側との当接面となる下プレス盤21Bの凸平面25に、木材NW2の繊維方向及びそれと直交する方向に所定の間隔で形成され、内部空間ISと連通する所定の断面形状からなる凹状部としての複数の略台形状の溝部26と、下プレス盤21Bの側面側から内部空間IS内に連通され、内部空間IS内から水蒸気を排出するための配管口41aを有する配管41、配管41の蒸気圧を検出する圧力計P2、その下流側のバルブV5、バルブV5に接続されたドレン配管42等から構成されている。
【0094】
なお、プレス盤10Bの上プレス盤11A及び下プレス盤21Bには、上記実施の形態1と同様に、それらを高温の水蒸気を用いて加熱するための蒸気供給側及び蒸気排出側の配管路等が接続され、水蒸気を供給するボイラ装置や油圧機構を含むプレス昇降装置等は省略されている。また、上記実施の形態1と同様、プレス盤10Bの上プレス盤11A及び下プレス盤21Bで形成される内部空間IS内を加熱するためには、高温の水蒸気を用いる方法の他、高周波加熱、マイクロ波加熱等による方法を用いてもよい。
また、プレス盤10Bの上プレス盤11A及び下プレス盤21Bがシール部材14を介して密閉状態となったときの内部空間ISの上下方向の寸法間隔は、塑性加工木材製造装置200により木材NW2が例えば、圧縮率60〔%〕の塑性加工木材PW2とされるときの厚み方向の仕上がり寸法に設定されている。この仕上がり寸法は、当然のことながら、下プレス盤21Bに溝部26を形成するための凸平面25の高さも考慮されている。
【0095】
ここで、図9に示すように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200で用いられる木材NW2は、原材料となる木材が前以って所定の長さ・幅・厚みに製材されることに加えて、この木材NW2には木裏側に対して垂直方向に、即ち、その繊維方向と略直交する方向となるように孔Hが予め穿設される。この孔Hは、木材NW2の木裏側から見て、全面に例えば、直径が約1.5〔mm〕、密度が約80〔個〕/100〔cm2 〕、深さが元の板厚の約90〔%〕相当となるように穿設される。これらの数値は予め実験等によって元の木材NW2に対する最適値が設定される。
【0096】
次に、塑性加工木材製造装置200により原材料の木材NW2から製品としての塑性加工木材PW2を製造する工程手順について、図10(a)〜図10(e)を参照して説明する。なお、図10(a)〜図10(e)では、蒸気供給側や蒸気排出側の配管等は省略されている。
まず、図10(a)に示すように、塑性加工木材製造装置200におけるプレス盤10Bの固定側の下プレス盤21Bに対して上プレス盤11Aを上昇させ、予め所定の寸法に製材され、かつ、孔Hが穿設された木材NW2が、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bで形成される内部空間IS内に載置される。
【0097】
次に、図10(b)に示すように、固定側の下プレス盤21Bに形成された凸平面25上に載置された木材NW2に対して上プレス盤11Aを圧力が0.05〜0.3〔MPa〕にて下降させ、木材NW2の上面に当接させる。そして、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bが、その配管路13,23に110〜160〔℃〕の高温の水蒸気が通されることによって、110〜160〔℃〕の特定温度に保持される(昇温処理時間10〜30〔min〕)。なお、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200では、プレス盤10Bの昇温処理時間は、連続処理されるときには周囲環境温度にもよるが最初の立上げ時のみ長い時間が必要となる。
【0098】
次に、図10(c)に示すように、固定側の下プレス盤21Bに対して上プレス盤11Aの圧縮圧力が2〜5〔MPa〕の特定圧縮圧力に設定され、木材NW2が上プレス盤11A及び下プレス盤21Bにて加熱圧縮される(処理時間15〜45〔min〕)。そして、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Bの周縁部22に当接すると上プレス盤11Aの周縁部12に配設されたシール部材14によって、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bにて形成される内部空間ISが密閉状態とされる。この内部空間ISの密閉状態で上プレス盤11A及び下プレス盤21Bによる圧縮圧力が保持されたまま、温度が3〜10〔min〕間で110〜160〔℃〕の特定温度から150〜210〔℃〕の間の特定温度に上昇される。
【0099】
このとき、下プレス盤21Bの凸平面25上に載置された木材NW2の木裏側は、凸平面25から溝部26に食い込んだように変形されることとなるが、溝部26を埋め尽くすことはなく水蒸気が通過するための十分な空間が確保されている。なお、木材NW2の圧縮率は、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Bの周縁部22に当接することで決まることとなる。
そして、図10(c)に示す内部空間ISの密閉状態で、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bの圧縮圧力が維持され、かつ、内部空間ISが150〜210〔℃〕の間の特定温度のまま、40〜120〔min〕間保持され、木材NW2の加熱圧縮を解除したときに戻りのない塑性加工木材PW2を形成するための固定化が行われる。このとき、下プレス盤21Bの凸平面25に形成されている溝部26による空間を介して、内部空間ISと木材NW2の木裏側の孔H内とで高温高圧の水蒸気が出入り自在となっている。
【0100】
なお、内部空間ISが密閉状態とされ固定化が行われているときに、蒸気圧処理として圧力計P2で内部空間ISの蒸気圧が検出され、バルブV5が適宜、開閉される。これにより、配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出されることで、元の木材NW2の含水率に基づく余分な内部空間IS内の水分が除去され、内部空間IS内が所定の蒸気圧となるように調節される。
【0101】
次に、図10(d)に示すように、内部空間ISを密閉状態から開放する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出される。この際、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bを150〜210〔℃〕の間の特定温度に維持するための水蒸気も一旦、供給停止される。
次に、図10(e)に示すように、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bの温度をなるべく下げないように素早く、固定側の下プレス盤21Bに対して上プレス盤11Aを上昇させ、内部空間ISから仕上がり品である塑性加工木材PW2が取出され、一連の処理工程が終了する。
【0102】
つまり、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200では、塑性加工木材PW2の製造に従来不可欠とされていた取出し以前における上プレス盤11A及び下プレス盤21Bに対する冷却工程が省略できる。この理由としては、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bの内部空間ISが密閉状態であるときに、下プレス盤21Bに形成された溝部26を介して木材NW2に穿設されている孔H内と内部空間ISとの間で水蒸気が通過自在となり、元々木材NW2に含まれている水分が均一化されることにある。
【0103】
そこで、固定化後に内部空間ISから水蒸気が排出された後、直ちに取出してそのまま自然冷却させても膨らみ変形を生じない安定した品質の塑性加工木材PW2を得ることができる。なお、塑性加工木材PW2の木裏側が、凸平面25から溝部26に食い込むことによりそのパターン形状が残ることとなるが、製品の表面側となる木表側と反対の木裏側であることから不具合が発生することはない。また、溝部26の断面形状が残る部分が、製品化する際の切削代である寸法範囲内となるように予め設定されておれば問題となることはない。更に、製品の木裏側で溝部26の断面形状が残った部分は、接着仕様のものでは接着を助ける役割を果たすこととなるため好ましく、塑性加工木材PW2の木裏側の凹凸形状は製品化に当たって問題となることもない。
【0104】
このため、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200における一連の処理工程では、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bを強制的に冷却する必要がなくなり、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bの内部空間IS内に新たな木材NW2を載置し、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bに110〜160〔℃〕の特定温度の水蒸気を供給開始すれば、新たな木材NW2に対する処理工程にそのまま移行させることができる。
【0105】
このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200は、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Bからなるプレス盤10Bと、内部空間IS内に載置された木材NW2の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Bにおける木材NW2の木裏側となる圧縮面側には、内部空間ISと連通する所定の断面形状からなる凹状部としての溝部26が形成されており、内部空間IS内に載置された木材NW2を150〜210〔℃〕の間の特定温度及び2〜5〔MPa〕で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御手段と、前記プレス加工制御手段で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、溝部26を介して木材NW2の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御手段とを具備するものである。
【0106】
また、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200における各手段等を工程に読変えることにより、即ち、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Bからなるプレス盤10Bで、内部空間IS内に載置された木材NW2の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Bにおける木材NW2の木裏側となる圧縮面側には、内部空間ISと連通する所定の断面形状からなる凹状部としての溝部26が形成されており、内部空間ISに載置された木材NW2を150〜210〔℃〕の間の特定温度及び2〜5〔MPa〕の特定圧縮圧力で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御工程と、前記プレス加工制御工程で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、溝部26を介して木材NW2の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御工程とからなる塑性加工木材製造方法の実施の形態とすることができる。
【0107】
そして、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200は、孔Hを木材NW2の木裏側から見て、全面に穿設したものであり、木材NW2の孔Hの直径を2〔mm〕に設定するものであり、木材NW2の孔Hの密度を80〔個〕/100〔cm2 〕に設定するものであり、木材NW2の孔Hの深さを元の板厚の90〔%〕相当に設定するものである。
なお、発明者らの実験によれば、木材NW2の孔Hの直径を0.2〜10.0〔mm〕に設定、木材NW2の孔Hの密度を1〜100〔個〕/100〔cm2 〕に設定、木材NW2の孔Hの深さを元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定すれば、加熱、圧縮等の条件によって、良好な組成加工木材が効率よく得られることが確認された。なお、生産性の効率を無視すれば、更に木材NW2の孔Hの直径、孔Hの密度、孔Hの深さの条件が広くなることは自明なことである。
【0108】
つまり、原材料となる木材NW2には、木裏側から木表側に向けて繊維方向と略直交する方向に直径が2〔mm〕からなる孔Hが、密度が80〔個〕/100〔cm2 〕で深さが元の板厚の90〔%〕相当で、全面に穿設されている。この木材NW2がプレス盤10Bの内部空間IS内に載置された後、その上プレス盤11A及び下プレス盤21Bにて加熱圧縮処理が実行され、木材NW2が圧縮成形される。そして、プレス盤10Bの内部空間ISが所定の間隔の密閉状態にシール部材14を介して保持され所定時間経過後に開放される。この内部空間ISが密閉状態から開放される直前に、バルブV5が開弁状態とされることで内部空間ISに存在する高温高圧の水蒸気が配管口41a、配管41及びドレン配管42を通って排出される。
【0109】
このため、プレス盤10Bの内部空間IS内に載置された木材NW2が加熱圧縮され、内部空間ISが密閉状態に所定時間保持されている間に、下プレス盤21Bの木材NW2の木裏側と当接する圧縮面に形成され、プレス盤10Bの内部空間ISと連通する所定の断面形状からなる溝部26による隙間を介して木材NW2に穿設された孔H内から木材NW2に元々含まれている水分が水蒸気となって内部空間ISとの間を通過自在となることで、木材NW2が均一に固定化される。
このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200によれば、木材NW2を加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に所定時間保持して固定化し、内部空間ISを密閉状態から開放し、プレス盤10Bの内部空間ISから直ちに取出して自然冷却を行っても膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材PW2を製造することができる。
【0110】
ここで、上述の実施の形態の塑性加工木材製造装置200では、孔Hが木材NW2の木裏側の全面に穿設されているが、木材の両木口面から例えば、5〜15〔cm〕程度の範囲は、木口面から水蒸気が出入りし易いため、孔Hを穿設する必要がなく、それよりも内側となる範囲に上記条件にて穿設されておればよい。
このような塑性加工木材製造装置200は、孔Hを木材NW2′の木裏側の所定範囲に穿設するものであり、上述の実施の形態と同様の作用・効果が期待できる。
【0111】
更に、上述の実施の形態の塑性加工木材製造装置200では、木材NW2の木裏側側に対して垂直方向に、即ち、その繊維方向と略直交する方向に所定の直径からなる孔Hを所定の密度で所定の深さに穿設した木材NW2を用いているが、木目の長さ方向に対して垂直方向に、即ち、繊維方向と略直交する方向に所定の直径からなる孔H′を所定の密度で貫通させ穿設させた木材NW2′を用いても、同様の作用・効果が期待できる。加えて、このように所定の密度で孔H′を貫通させ穿設させた木材NW2′から製造された塑性加工木材PW2′は、製品の表面側にも孔H′が形成された状態であり、例えば、部屋の腰板材として使用されることで、この孔H′を介して部屋の湿度が調節され、部屋の臭いが木材の香りに置換され緩和されるという新たな作用・効果も期待できる。
【0112】
ところで、上記実施の形態では、下プレス盤21Bに溝部26を形成しているが、この溝部26を形成する凸平面25は、下プレス盤21Bと一体であっても、別体を組合わせて構成するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、下プレス盤21Bにおいて、木材NW2の繊維方向及びそれと直交する方向に所定の間隔で、下プレス盤21Bの凸平面25が角錐台状となるように切削されることで、結果として、断面形状が台形形状からなる溝部26が形成されているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、溝部の断面形状は略U字形状、略V字形状等であってもよく、要は、水蒸気が通過し易くかつ、製品となる塑性加工木材を取外し易い形状であればよい。更に、図11に示すように、下プレス盤21Cの凸平面25aに溝部26aとして木材NW2の繊維方向のみ、また、図12に示すように、下プレス盤21Dの凸平面25bに溝部26bとして木材NW2の繊維方向及びそれと交差する斜め方向に所定の間隔で形成されていてもよい。
【0113】
[実施の形態3]
図13は本発明の実施の形態3にかかる塑性加工木材製造装置300の概略構成を示す断面図である。本実施の形態3では、下プレス盤21Eに凸状部や凹状部を形成することなく、下プレス盤21Eにおける木材NW2の木裏側との当接面に隙間形成部材としての金網31を配設したものである。つまり、塑性加工木材製造装置300では、上述の実施の形態1における下プレス盤21Aに形成された突起部24、または上述の実施の形態2における下プレス盤21Bの凸平面25に形成された溝部26を、下プレス盤21E上の金網31に置換えたものである。また、本実施の形態3で用いられる木材NW2には、上述の実施の形態2の図9に示すように、その木目の長さ方向に垂直な面のうちの木裏側に同様の孔Hが穿設されている。なお、上述の実施の形態1、2と同様の構成または相当部分からなるものについては同一符号及び同一記号を付し、その重複する説明を省略する。
【0114】
図13に示すように、プレス盤10Cの下プレス盤21E上に金網31を配設することで、下プレス盤21Eと木材NW2の木裏側との間に隙間が形成される。したがって、プレス盤10Cの上プレス盤11A及び下プレス盤21Eにて形成される内部空間ISと木材NW2の木裏側に穿設された孔Hとの間で高温高圧の水蒸気が通過自在とされる。
ここで、本実施の形態で用いられる金網31は、プレス盤10Cの内部空間IS内で、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eによる木材NW2の加熱圧縮の際、大きく変形されることなく下プレス盤21Eと木材NW2の木裏側との間の隙間を確実に保持し続けることができる強度を有する必要がある。
【0115】
次に、塑性加工木材製造装置300により原材料の木材NW2から製品としての塑性加工木材PW3を製造する工程手順について、図14(a)〜図14(e)を参照して説明する。なお、図14(a)〜図14(e)では、蒸気供給側や蒸気排出側の配管等は省略されている。
まず、図14(a)に示すように、塑性加工木材製造装置300におけるプレス盤10Cの固定側の下プレス盤21Eに対して上プレス盤11Aを上昇させ、予め所定の寸法に製材され、かつ、孔Hが穿設された木材NW2が、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eで形成される内部空間IS内に載置される。
【0116】
次に、図14(b)に示すように、固定側の下プレス盤21Eに配設された金網31上に載置された木材NW2に対して上プレス盤11Aを圧力が0.05〜0.3〔MPa〕にて下降させ、木材NW2の上面に当接させる。そして、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eが、その配管路13,23に110〜160〔℃〕の特定温度〔℃〕の高温の水蒸気が通されることによって、120〔℃〕に保持される(昇温処理時間10〜50〔min〕)。なお、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300では、プレス盤10Cの昇温処理時間は、連続処理されるときには周囲環境温度にもよるが最初の立上げ時のみ長い時間が必要となる。
【0117】
次に、図14(c)に示すように、固定側の下プレス盤21Eに対して上プレス盤11Aの圧縮圧力が2〜5〔MPa〕に設定され、木材NW2が上プレス盤11A及び下プレス盤21Eにて加熱圧縮される(処理時間10〜50〔min〕)。そして、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Eの周縁部22に当接すると上プレス盤11Aの周縁部12に配設されたシール部材14によって、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eにて形成される内部空間ISが密閉状態とされる。この内部空間ISの密閉状態で上プレス盤11A及び下プレス盤21Eによる圧縮圧力が保持されたまま、温度が10〜160〔min〕間で110〜160〔℃〕の特定温度から150〜210〔℃〕の間の特定温度に上昇される。
【0118】
このとき、下プレス盤21Eに配設された金網31上に載置された木材NWの木裏側は、金網31に食い込んだように変形されることとなるが、金網31の空間を埋め尽くすことはなく水蒸気が通過するための十分な空間が確保されている。なお、木材NW2の圧縮率は、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Eの周縁部22に当接することで決まることとなる。
そして、図14(c)に示す内部空間ISの密閉状態で、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eの圧縮圧力が維持され、かつ、内部空間ISが150〜210〔℃〕の間の特定温度のまま、40〜120〔min〕間保持され、木材NW2の加熱圧縮を解除したときに戻りのない塑性加工木材PW3を形成するための固定化が行われる。このとき、下プレス盤21E上に配設されている金網31による空間を介して、内部空間ISと木材NW2の木目の長さ方向に垂直な面のうちの木裏側の孔H内とで高温高圧の水蒸気が出入り自在となっている。
【0119】
なお、内部空間ISが密閉状態とされ固定化が行われているときに、蒸気圧処理として圧力計P2で内部空間ISの蒸気圧が検出され、バルブV5が適宜、開閉される。これにより、配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出されることで、元の木材NW2の含水率に基づく余分な内部空間IS内の水分が除去され、内部空間IS内が所定の蒸気圧となるように調節される。
【0120】
次に、図14(d)に示すように、内部空間ISを密閉状態から開放する直前に、蒸気処理としてバルブ42が開状態とされることで配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出される。この際、上プレス盤11及び下プレス盤21′を150〜210〔℃〕の間の特定温度に維持するための水蒸気も一旦、供給停止される。
次に、図14(e)に示すように、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eの温度をなるべく下げないようにして、固定側の下プレス盤21Eに対して上プレス盤11Aを上昇させ、内部空間ISから仕上がり品である塑性加工木材PW3が取出され、一連の処理工程が終了する。
【0121】
つまり、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300でも、塑性加工木材PW3の製造に従来不可欠とされていた取出し以前における上プレス盤11A及び下プレス盤21Eに対する冷却工程が省略できる。この理由については、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eの内部空間ISが密閉状態であるときに、下プレス盤21Eに配設された金網31を介して木材NW2に穿設されている孔H内と内部空間ISとの間で水蒸気が通過自在となり、元々木材NW2に含まれている水分が均一化されることにある。
【0122】
そこで、固定化後に内部空間ISから水蒸気が排出された後、直ちに取出してそのまま自然冷却させても膨らみ変形を生じない安定した品質の塑性加工木材PW3を得ることができる。なお、塑性加工木材PW3の木裏側が、金網31に食い込むことにより金網31のパターン形状が残ることとなるが、製品の表面側となる木目の長さ方向に垂直な木表側の面の反対の木裏側であることから不具合が発生することはない。また、金網31のパターン形状が残る部分が、製品化する際の切削代である寸法範囲内となるように予め設定されておれば問題となることはない。更に、製品の木裏側で金網31のパターン形状が残った部分は、接着仕様のものでは接着を助ける役割を果たすこととなるため好ましく、塑性加工木材PW3の木裏側の凹凸形状は製品化に当たって問題となることもない。
【0123】
このため、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300における一連の処理工程では、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eを強制的に冷却する必要がなくなり、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eの内部空間IS内に新たな木材NW2を載置し、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eに150〜210〔℃〕の間の特定温度の水蒸気を供給開始すれば、新たな木材NW2に対する処理工程にそのまま移行させることができる。
【0124】
このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300は、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Eからなるプレス盤10Cと、内部空間IS内に載置された木材NW2の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Cにおける木材NW2の木裏側となる圧縮面側には、木材NW2との間に隙間を形成する内部空間形成部材としての金網31が配設されており、内部空間IS内に載置された木材NW2を150〜210〔℃〕の間の特定温度及び2〜5〔MPa〕で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御手段と、前記プレス加工制御手段で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、金網31を介して木材NW2の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御手段とを具備するものである。
【0125】
また、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300における各手段等を工程に読変えることにより、即ち、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Eからなるプレス盤10Cで、内部空間IS内に載置された木材NW2の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Cにおける木材NW2の木裏側となる圧縮面側には、木材NW2との間に隙間を形成する内部空間形成部材としての金網31が配設されており、内部空間IS内に載置された木材NW2を150〜210〔℃〕及び2〜5〔MPa〕で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御工程と、前記プレス加工制御工程で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、金網31を介して木材NW2の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御工程とからなる塑性加工木材製造方法の実施の形態とすることができる。
【0126】
そして、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300は、孔Hを木材NW2の木裏側から見て、全面に穿設したものであり、木材NWの孔Hの直径を1.5〔mm〕に設定するものであり、木材NWの孔Hの密度を60〔個〕/100〔cm2 〕に設定するものであり、木材NWの孔Hの深さを元の板厚の80〔%〕相当に設定するものである。
つまり、原材料となる木材NW2には、木裏側から木表側に向けて繊維方向と略直交する方向に直径が1.5〔mm〕からなる孔Hが、密度が60〔個〕/100〔cm2 〕で深さが元の板厚の80〔%〕相当で、全面に穿設されている。この木材NW2がプレス盤10Cの内部空間IS内に載置された後、その上プレス盤11A及び下プレス盤21Eにて加熱圧縮処理が実行され、木材NW2が圧縮成形される。そして、プレス盤10Cの内部空間ISが所定の間隔の密閉状態にシール部材14を介して保持され所定時間経過後に開放される。この内部空間ISが密閉状態から開放される直前に、バルブV5が開弁状態とされることで内部空間ISに存在する高温高圧の水蒸気が配管口41a、配管41及びドレン配管42を通って排出される。
【0127】
このため、プレス盤10Cの内部空間IS内に載置された木材NW2が加熱圧縮され、内部空間ISが密閉状態に所定時間保持されている間に、下プレス盤21Eの木材NW2の木裏側との当接面に配設され、下プレス盤21Eと木材NW2の木裏側との間に形成される金網31による隙間を介して木材NW2に穿設された孔H内から木材NW2に元々含まれている水分が水蒸気となって内部空間ISとの間を通過自在となることで、木材NW2が均一に固定化される。
このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300によれば、木材NW2を加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に所定時間保持して固定化し、内部空間ISを密閉状態から開放し、プレス盤10Cの内部空間ISから直ちに取出して自然冷却を行っても膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材PW3を製造することができる。
【0128】
ここで、上述の実施の形態の塑性加工木材製造装置300では、孔Hが木材NW2の木裏側の全面に穿設されているが、木材の両木口面から例えば、5〜15〔cm〕程度の範囲は、木口面から水蒸気が出入りし易いため、孔Hを穿設する必要がなく、それよりも内側となる範囲に上記条件にて穿設されておればよい。
このような塑性加工木材製造装置300は、孔Hを木材NW2′の木裏側の所定範囲に穿設するものであり、上述の実施の形態と同様の作用・効果が期待できる。
【0129】
更に、上述の実施の形態の塑性加工木材製造装置300では、木材NW2の木裏側側に対して垂直方向に、即ち、その繊維方向と略直交する方向に所定の直径からなる孔Hを所定の密度で所定の深さに穿設した木材NW2を用いているが、木目の長さ方向に対して垂直方向に、即ち、繊維方向と略直交する方向に所定の直径からなる孔H′を所定の密度で貫通させ穿設した木材NW2′を用いても、同様の作用・効果が期待できる。加えて、このように所定の密度で孔H′を貫通させ穿設させた木材NW2′から製造された塑性加工木材PW3′は、上述の実施の形態2と同様、製品の表面側にも孔H′が形成された状態であり、例えば、部屋の腰板材として使用されることで、この孔H′を介して部屋の湿度が調節され、部屋の臭いが木材の香りに置換され緩和されるという新たな作用・効果も期待できる。加えて、接着剤等を使用した合板であっても、木材NW2の圧縮加工によって、密度が高くなり、ホルムアルデヒド等を室内に発散する危険性が少なくなっている。
【0130】
ところで、上記実施の形態で用いられている金網31は、プレス処理における加熱圧縮に耐え得る強度を有していることは当然であるが、その線径や目の細かさ等については、木材NW2に穿設される孔Hの仕様等に対して、予め実験等によって最適なものが選定される。
また、上記実施の形態では、金網31を下プレス盤21E上に配設するとしているが、当然のことながら、単に載置するように配設しただけでは位置がズレてしまったりするため、例えば、下プレス盤21Eに金網31の外形形状に合わせた凹部を形成し、この凹部に金網31を嵌込んで接着等を併用して固定すれば、位置ズレ等が防止されるため作業性を向上することができる。
【0131】
そして、上記実施の形態では、隙間形成部材として金網31を用いているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、セラミックや焼結合金等の多孔質の材料を用いることによって同様の作用効果が期待でき、また、これらの材料を用いれば、塑性加工木材PW3の木裏側に残るパターン形状を目立たなくすることもでき、作業性も向上させることができるという作用効果も得ることができる。
【0132】
上記実施の形態では、木材の孔Hの直径が0.2〜2.0〔mm〕に設定すると、反対面の仕上げ表面の見栄えがよいが、本発明を実施する場合には、0.2〜10〔mm〕の範囲で使用しても支障がないことが発明者らの実験によって確認された。
上記実施の形態では、木材の孔Hの密度が100〔cm2 〕当たり10〜100〔個〕に設定して実験を行ったが、木材の含水量によって1〜10でも可能であり、100〜200個以上を超えても可能なことが発明者らの実験によって確認された。
【0133】
上記実施の形態では、木材の孔Hの深さが元の板厚の30〜90〔%〕相当に設定して実験を行ったが、この領域では、木材の元の板厚に応じて好適に設定された深さの孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られた。しかし、0〜30〔%〕が使用できないことを意味するものではなく、木材に孔Hを形成するとするならば、その手間と仕上がりからして、木材の孔Hの深さは元の板厚の10〜90〔%〕が相当と判断されるものである。
上記実施の形態では、木材の孔Hが木材の一面の全面に穿設された場合について説明したが、その孔Hの密度分布を変更することにより、節を均一に処理したり、または曲がりを修正したり、逆に曲がりを形成することができることが、発明者らの実験によって確認された。
【0134】
上記実施の形態では、突起部24として下部が直径7mm、高さ12mmを基準に木材の板厚の10〜30〔%〕相当に設定して実験を行ったが、発明者らの実験によれば、この範囲を越える5〜60でも効果があることが確認された。また、突起部24の形状のみではなく、スリットを周囲に形成した略円錐状のものでもよいことが確認されている。
本発明の塑性加工木材製造装置及び製造方法によれば、本来、杉材等で軽軟な木質材を原材料として使用でき、元の木材に対する表面のみならず板厚全体における硬度が大きく向上され、傷の付き難い塑性加工木材が製造できることとなる。そこで、本発明の塑性加工木材製造装置及び製造方法を用いて製造された塑性加工木材は、床材や腰板材や屋内家具材、また、表面塗装して使用する住宅用外装材等、かなり広範な用途が見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は本発明の実施の形態1にかかる塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図2は図1のプレス盤の下プレス盤に形成された凸状部としての突起部の詳細を示す斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1にかかる塑性加工木材製造装置で用いられる木材の木目の長さ方向、柾目面、木口面を示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1にかかる塑性加工木材製造装置の工程手順を示す説明図である。
【図5】図5は図2のプレス盤の下プレス盤に形成された突起部の変形例を示す斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1にかかる塑性加工木材製造装置における複数に分割された構造体からなるプレス盤の変形例を示す概略図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態2にかかる塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】図8は図7のプレス盤の下プレス盤に形成された凹状部としての溝部の詳細を示す斜視図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態2にかかる塑性加工木材製造装置で用いられる木材の木目の長さ方向に垂直な面である木裏側に穿設された孔の加工状態を示す斜視図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態2にかかる塑性加工木材製造装置の工程手順を示す説明図である。
【図11】図11は図8のプレス盤の下プレス盤に形成された溝部の変形例を示す斜視図である。
【図12】図12は図8のプレス盤の下プレス盤に形成された溝部の他の変形例を示す上面図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態3にかかる塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態3にかかる塑性加工木材製造装置の工程手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0136】
10A プレス盤
11A 上プレス盤
14 シール部材
21A 下プレス盤
26 溝部
100 塑性加工木材製造装置
H 孔
IS 内部空間
NW1 木材
PW1 塑性加工木材
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を圧縮成形することで硬度を高めることができる塑性加工木材製造装置及びその製造方法に関し、例えば、住宅の床材等に利用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、プレス加工する際に木材の周囲を密閉し、木材に含まれる水分をその木材中に閉じ込めたうえで高温高圧で加熱圧縮処理すると、顕著な回復抑制効果が現われて、もはや元の厚みには戻らないことが知られている。ところが、このような木材を、処理後に直ちにプレス機から取出すと、木材中に含まれていた高温高圧の水蒸気の作用によって、この木材の表面にパンクと呼ばれる膨らみ変形が発生し易いという不具合があった。これに対処するため、従来は、木材の熱処理後にプレス状態を維持したままプレス機を冷却することで塑性加工木材(圧縮木材)を製造するしかなかった。しかしながら、このような工程の繰返しでは、プレス機の再加熱に伴う無駄なエネルギの消費と共に、時間も要するという問題が生じていた。
【0003】
そこで、特許文献1では、エネルギや時間を多大に消費することなしに、加熱圧縮した木材の表面における膨らみ変形の発生を防止することを目的として、木材を加熱プレス処理により圧縮して密閉空間に閉じ込め、木材中の水分を加圧水蒸気化させて圧縮変形状態に固定させた後、プレス状態を維持したまま密閉空間内を減圧させる技術が示されている。これによれば、木材中に含まれる水蒸気が密閉空間内に放出されるため、加熱プレス処理後に木材を加熱状態のまま熱プレス機から取出してもその表面における膨らみ変形の発生が防止されるとある。
【0004】
また、特許文献2では、木材(木質材)の厚み方向に貫通孔あるいは半貫通孔を形成し、プレス盤により木材を加熱圧縮する際、加熱水蒸気を供給することにより木材に加熱水蒸気を均一に行き渡らせ寸法の安定化処理を行う技術が示されている。これによれば、プレス盤に設けられた多数の細孔から内部空間内で加圧圧縮される木材に加熱水蒸気を均一に行き渡らせることができるとある。
【特許文献1】特開平8−90516号公報
【特許文献2】特開平10−249813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1にあるように、木材中に含まれている高温高圧の水蒸気は密閉空間内を減圧するだけでは瞬時に抜けきることは難しく、依然として、木材の木口面から離れた中央部分では均一化されておらず、特に、厚板材では加熱プレス処理後の膨らみ変形を完全に抑えることは無理であり、多少でも膨らみ変形が生じると製品としての品質が低下するという問題があった。
【0006】
一方、特許文献2にあるように、プレス盤に設けられた多数の細孔から密閉空間内に加熱水蒸気を供給しても、プレス盤で加熱圧縮されている木材の貫通孔あるいは半貫通孔等にプレス盤側の細孔を一致させ、木材内部へ水蒸気を確実に均一に浸透させることには無理があった。このため、元々木材内に含まれている水分もあることから、あらゆる部分での均一化は補償されず、やはり厚板材では加熱プレス処理後に冷却処理を行わないで膨らみ変形を完全に抑えることは無理であり、多少の膨らみ変形が生じることで製品としての品質が低下するという問題があった。
【0007】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、木材の加熱圧縮成形後における冷却処理をなくし熱処理時間を短縮できると共に、加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の製品を製造可能な塑性加工木材製造装置及びその製造方法の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の塑性加工木材製造装置は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤を用い、前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を前記凸状部に食い込ませるように所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放する。その間の前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記凸状部を介して前記木材の圧縮面の高温高圧の水蒸気を制御するものである。
【0009】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、木口面の面積を小さくすることを意味するものである。即ち、木材の板目面または柾目面をプレス圧縮することにより、木口面の面積を小さくすることを意味し、木材の板目面をプレス圧縮するか柾目面をプレス圧縮するかは、木材の種類等も考慮されてプレス圧縮が決定される。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他の複数の構成体によって構成できる。
【0010】
そして、本発明を実施する場合の木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部とは、木材に食い込み、その食い込ませた位置に至る木材の位置までを内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の断面形状であればよく、できる限り多くの凸状部を形成することが好ましい。また、その食い込む程度は、木材の厚みがそれ程ない場合には、浅い構造であってもよい。
【0011】
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御手段は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凸状部によって、木材を所定温度及び所定圧力でその凸状部を木材に食い込ませ加熱圧縮し、その食い込ませた位置に至るまでを内部空間と同様の加熱圧縮状態にするものであればよい。
【0012】
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御手段は、プレス加工制御手段で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧の水蒸気との接触面積が、凸状部を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
加えて、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凸状部とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に凸状部が形成される場合、木材の両方の圧縮面側に凸状部が形成される場合があることを意味する。
【0013】
請求項2の塑性加工木材製造装置は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤において、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮する。前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記凹状部を介して前記木材の圧縮面における高温高圧水蒸気を制御するものである。
【0014】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、木口面の面積を小さくすることを意味し、好ましくは、木口面の面積及び柾目面の面積を小さくすることを意味し、プレス盤によるプレス圧縮の方向性を特定するものである。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他の複数の構成体によって構成できる。
【0015】
そして、本発明を実施する場合の内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部とは、プレス圧縮される木材の圧縮面を内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の断面形状であればよく、木材の繊維方向やそれと交差する方向等にできる限り多くの凹状部を形成することが好ましい。また、本発明を実施する場合の凹状部は、換言すれば、プレス盤の木材の圧縮面に形成された溝であり、断面形状としては略U字形状、略V字形状、略台形形状等で製品となる塑性加工木材を取外し易い形状であればよい。
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御手段は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凹状部によって、木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するものであればよい。
【0016】
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御手段は、プレス加工制御手段で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気の接触表面が、凹状部を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧の水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
加えて、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凹状部とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に凹状部が形成される場合、木材の両方の圧縮面側に凹状部が形成される場合があることを意味する。
【0017】
請求項3の塑性加工木材製造装置は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤において、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材との間に隙間を形成する隙間形成部材が配設されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮する。前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記隙間形成部材を介して前記木材の圧縮面の高温高圧の水蒸気を制御するものである。
【0018】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、木口面の面積を小さくすることを意味し、好ましくは、木口面の面積及び柾目面の面積を小さくすることを意味し、プレス盤によるプレス圧縮の方向性を特定するものである。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他の複数の構成体によって構成できる。
【0019】
そして、本発明を実施する場合の木材との間に隙間を形成する隙間形成部材とは、プレス圧縮される木材の圧縮面を内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の表面凹凸形状であればよく、木材の圧縮面に対してできる限り多くの隙間を形成することが好ましい。
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御手段は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された隙間形成部材を介して、木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、木材の圧縮面を内部空間と同様の加熱圧縮状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放するものであればよい。
【0020】
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御手段は、プレス加工制御手段で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気の接触表面が、隙間形成部材を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧の水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
なお、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された隙間形成部材とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に隙間形成部材が配設される場合、木材の両方の圧縮面側に隙間形成部材が配設される場合があることを意味する。
【0021】
請求項4の塑性加工木材製造装置は、請求項1乃至請求項3に記載の要件に加えて、前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度で所定の深さに穿設されているものである。
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向とは、木口面に対する並行方向を意味し、換言すれば、木材の繊維方向に対する直角方向となる。
そして、木材の孔は、製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないように、ドリル刃による穴明け、針状の部材や先の細く尖った刃による押付け、刃または針を周囲に設けた回転ローラ等によって適宜、穿設することができる。
【0022】
請求項5の塑性加工木材製造装置は、請求項1乃至請求項3に記載の要件に加えて、前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で貫通して穿設されているものである。
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向とは、木材の繊維方向に対して略垂直方向となる。
そして、木材の孔は、製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないように、ドリル刃による穴明け、針状の部材や先の細く尖った刃による押付け、刃または針を周囲に設けた回転ローラ等によって適宜、穿設することができる。
【0023】
請求項6の塑性加工木材製造装置は、請求項4または請求項5に記載の要件に加えて、前記孔の直径が、0.2〜10.0〔mm〕に設定されているものである。
ここで、孔の直径は、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0024】
請求項7の塑性加工木材製造装置は、請求項4または請求項5に記載の要件に加えて、前記孔の密度が、100〔cm2 〕当たり1〜100〔個〕に設定されているものである。
ここで、孔の密度は、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0025】
請求項8の塑性加工木材製造装置は、請求項4に記載の要件に加えて、前記孔の深さが、元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されているものである。
ここで、孔の深さは、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0026】
請求項9の塑性加工木材製造装置は、請求項4乃至請求項8に記載の要件に加えて、前記孔が、前記木材の一方の面の全面に穿設されているものである。
ここで、木材の一方の面の全面とは、最終的に塑性加工木材となる製品表面に対する裏面側の全体であるのが望ましい。
【0027】
請求項10の塑性加工木材製造装置は、請求項4乃至請求項8に記載の要件に加えて、前記孔が、前記木材の一面から見て所定領域に穿設されているものである。
ここで、木材の一面から見て、所定領域とは、最終的に塑性加工木材となる製品表面に対する裏面側で両木口面から所定寸法を除いた内側の領域であることが望ましい。
【0028】
請求項11の塑性加工木材製造方法は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤において、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を前記凸状部に食い込ませるように所定温度及び所定圧力で加熱圧縮する。前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているときに、前記内部空間と前記凸状部を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御するものである。
【0029】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、好ましくは、木材の柾目面及び木口面の面積を小さくすることを意味し、プレス盤によるプレス圧縮の方向性を特定するものである。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他の複数の構成体によって構成できる。
【0030】
そして、本発明を実施する場合の木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部とは、木材に食い込み、その食い込ませた位置に至る木材の位置までを内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の断面形状であればよく、できる限り多くの凸状部を形成することが好ましい。また、その食い込む程度は、木材の厚みがそれ程ない場合には、浅い構造であってもよい。
【0031】
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御工程は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凸状部を介して木材に食い込ませ、木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、その食い込ませた位置に至るまでを内部空間と同様の加熱圧縮状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放するものであればよい。
【0032】
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御工程は、プレス加工制御工程で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気の接触表面が、凸状部を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧の水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
加えて、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凸状部とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に凸状部が形成される場合、木材の両方の圧縮面側に凸状部が形成される場合があることを意味する。
【0033】
請求項12の塑性加工木材製造方法は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤において、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮する。前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記プレス加工制御工程で前記内部空間が密閉状態に保持されているときに、前記内部空間と前記凹状部を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御するものである。
【0034】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、木口面の面積を小さくすることを意味し、好ましくは、木口面の面積及び柾目面の面積を小さくすることを意味し、プレス盤によるプレス圧縮の方向性を特定するものである。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他の複数の構成体によって構成できる。
そして、本発明を実施する場合の内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部とは、プレス圧縮される木材の圧縮面を内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の断面形状であればよく、木材の繊維方向やそれと交差する方向等にできる限り多くの凹状部を形成することが好ましい。また、本発明を実施する場合の凹状部は、換言すれば、プレス盤の木材の圧縮面に形成された溝部であり、断面形状としては略U字形状、略V字形状、略台形形状等で製品となる塑性加工木材を取外し易い形状であればよい。
【0035】
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御工程は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凹状部を介して内部空間と連通させ、木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、木材の圧縮面を内部空間と同様の加熱圧縮状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放するものであればよい。
【0036】
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御工程は、プレス加工制御工程で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気の接触表面が、凹状部を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧の水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
なお、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された凹状部とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に凹状部が形成される場合、木材の両方の圧縮面側に凹状部が形成される場合があることを意味する。
【0037】
請求項13の塑性加工木材製造方法は、複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材との間に隙間を形成する隙間形成部材が配設されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放するプレス加工制御工程と、前記プレス加工制御工程で前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記隙間形成部材を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御工程とからなるものである。
【0038】
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとは、木口面の面積を小さくすることを意味し、好ましくは、木口面の面積及び柾目面の面積を小さくすることを意味し、プレス盤によるプレス圧縮の方向性を特定するものである。
また、本発明を実施する場合の複数に分割された構造体のプレス盤は、単純に上下に2分割した上下プレス盤構造体、上下プレス盤と枠体とした構造体等、その他複数の構成体によって構成できる。
そして、本発明を実施する場合の木材との間に隙間を形成する隙間形成部材とは、プレス圧縮される木材の圧縮面を内部空間と同様の温度及び圧力状態、湿度(蒸気圧)状態とするものであり、その結果として、加熱圧縮成形された木材に加工歪が入らず、また、製品としての品質を損なわない程度の表面凹凸形状で、できる限り多くの隙間を形成することが好ましい。
【0039】
更に、本発明を実施する場合のプレス加工制御工程は、複数分割構造のプレス盤によって形成された内部空間内に載置された木材のプレス圧縮によって、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された隙間形成部材を介して内部空間と連通させ、木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮し、木材の圧縮面を内部空間と同様の加熱圧縮状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放するものであればよい。
更にまた、本発明を実施する場合の蒸気圧制御工程は、プレス加工制御手段で形成されている内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気の接触表面が、隙間形成部材を形成することによって増加されるように制御するものであればよい。なお、前記内部空間と圧縮面側の木材の表面の高温高圧水蒸気は、木材の乾燥状態、圧縮加工の仕上がり状態等によって相違し、通常、加熱のために高温高圧水蒸気を供給し、加工後高温高圧水蒸気及び/またはドレンを排出する。高温高圧水蒸気の供給も高温高圧水蒸気を外部から供給する場合と、プレス盤の加工によって木材から発生させる場合がある。
なお、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された隙間形成部材とは、本発明の実施の形態によっては、木材の一方の圧縮面側に隙間形成部材が配設される場合、木材の両方の圧縮面側に隙間形成部材が配設される場合があることを意味する。
【0040】
請求項14の塑性加工木材製造方法は、請求項11乃至請求項13に記載の要件に加えて、前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度で所定の深さに穿設されているものである。
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向とは、換言すれば、木材の繊維方向に対して略垂直方向を意味する。
そして、木材の孔は、製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないように、ドリル刃による穴明け、針状の部材や先の細く尖った刃による押付け、刃または針を周囲に設けた回転ローラ等によって適宜、穿設することができる。
【0041】
請求項15の塑性加工木材製造方法は、請求項11乃至請求項13に記載の要件に加えて、前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で貫通して穿設されているものである。
ここで、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向とは、換言すれば、木材の繊維方向に対して略垂直方向となる。
そして、木材の孔は、製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないように、ドリル刃による穴明け、針状の部材や先の細く尖った刃による押付け、刃または針を周囲に設けた回転ローラ等によって適宜、穿設することができる。
【0042】
請求項16の塑性加工木材製造方法は、請求項14または請求項15に記載の要件に加えて、前記孔の直径が、0.2〜10.0〔mm〕に設定されているものである。
ここで、孔の直径は、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0043】
請求項17の塑性加工木材製造方法は、請求項14または請求項15に記載の要件に加えて、前記孔の密度が、100〔cm2 〕当たり1〜100〔個〕に設定されているものである。
ここで、孔の密度は、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0044】
請求項18の塑性加工木材製造方法は、請求項14に記載の要件に加えて、前記孔の深さが、元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されているものである。
ここで、孔の深さは、木材内部の水分が水蒸気となったときにその外部とで出入りし易く、また、塑性加工木材として製品となったときに、その強度や商品価値を損なうことがないような程度に設定される。
【0045】
請求項19の塑性加工木材製造方法は、請求項14乃至請求項18に記載の要件に加えて、前記孔が、前記木材の一面の全面に穿設されているものである。
ここで、木材の一面の全面とは、好ましくは、最終的に塑性加工木材となる製品表面に対する裏面側の全体が望ましい。
【0046】
請求項20の塑性加工木材製造方法は、請求項14乃至請求項18に記載の要件に加えて、前記孔が、前記木材の一面の所定領域に穿設されているものである。
ここで、木材の一面の所定領域とは、好ましくは、最終的に塑性加工木材となる製品表面に対する裏面側で両木口面から所定寸法を除いた内側の範囲が望ましい。
【発明の効果】
【0047】
請求項1の塑性加工木材製造装置によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御手段によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部を木材の圧縮面に食い込ませて所定温度及び所定圧力で加熱圧縮させ、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御手段によって凸状部が食い込んでいる木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0048】
つまり、プレス加工制御手段によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御手段によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に木材に食い込む程度に所定の断面形状からなる凸状部が形成されていることによって、この圧縮面側の木材の表面積が増加することとなり、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加し、木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。なお、高温高圧水蒸気は、外部から内部空間に供給する場合もある。
【0049】
請求項2の塑性加工木材製造装置によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御手段によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部を介して木材の圧縮面と内部空間とが連通され、所定温度及び所定圧力で加熱圧縮され、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御手段によって凹状部に当接されている木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0050】
つまり、プレス加工制御手段によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御手段によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されていることによって、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加されることなり木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。なお、高温高圧水蒸気は、外部から内部空間に供給する場合もある。
【0051】
請求項3の塑性加工木材製造装置によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御手段によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された木材との間に隙間を形成する隙間形成部材を介して木材の圧縮面と内部空間とが連通され、所定温度及び所定圧力で加熱圧縮され、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御手段によって隙間形成部材に当接されている木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0052】
つまり、プレス加工制御手段によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御手段によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に木材との間に隙間を形成して内部空間と連通させる隙間成形部材が配設されていることによって、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加されることなり木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。なお、高温高圧水蒸気は、外部から内部空間に供給する場合もある。
【0053】
請求項4の塑性加工木材製造装置では、請求項1乃至請求項3に記載の効果に加えて、木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向、即ち、プレス圧縮される方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で所定の深さに穿設されており、この孔を介して木材の内部に対する均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0054】
請求項5の塑性加工木材製造装置では、請求項1乃至請求項3に記載の効果に加えて、木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向、即ち、プレス圧縮される方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で貫通して穿設されており、この孔を介して木材の内部に対する均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0055】
請求項6の塑性加工木材製造装置では、請求項4または請求項5に記載の効果に加えて、木材の孔の直径が0.2〜10.0〔mm〕に設定されており、木材に応じて好適に設定された直径の孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0056】
請求項7の塑性加工木材製造装置では、請求項4または請求項5に記載の効果に加えて、木材の孔の密度が100〔cm2 〕当たり1〜100〔個〕に設定されており、木材に応じて好適に設定された直径の孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0057】
請求項8の塑性加工木材製造装置では、請求項4に記載の効果に加えて、木材の孔の深さが元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されており、木材の元の板厚に応じて好適に設定された深さの孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0058】
請求項9の塑性加工木材製造装置では、請求項4乃至請求項8に記載の効果に加えて、孔が木材の一面の全面に穿設されており、孔を穿設する際には木材の裏面側を選定するのみでよく、この孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0059】
請求項10の塑性加工木材製造装置では、請求項4乃至請求項8に記載の効果に加えて、孔が木材の一面の所定領域に穿設されており、孔を穿設する際には木材の裏面側における最小限必要な所定範囲を選定することができ、この領域の孔によって木材の均一な固定化が、曲げまたは直線を含めてスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0060】
請求項11の塑性加工木材製造方法によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御工程によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部を木材の圧縮面に食い込ませて所定温度及び所定圧力で加熱圧縮させ、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御工程によって凸状部が食い込んでいる木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0061】
つまり、プレス加工制御工程によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御工程によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に木材に食い込む程度に所定の断面形状からなる凸状部が形成されていることによって、この圧縮面側の木材の表面積が増加することとなり、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加されることとなり木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。
【0062】
請求項12の塑性加工木材製造方法によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御工程によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に形成された内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部を介して木材の圧縮面と内部空間とが連通され、所定温度及び所定圧力で加熱圧縮させ、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御工程によって凹状部に当接されている木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0063】
つまり、プレス加工制御工程によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御工程によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されていることによって、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加されることなり木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。
【0064】
請求項13の塑性加工木材製造方法によれば、複数に分割された構造体によって形成される内部空間の体積が変化されることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、プレス加工制御工程によって内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に配設された木材との間に隙間を形成する隙間形成部材を介して木材の圧縮面と内部空間とが連通され、所定温度及び所定圧力で加熱圧縮させ、この内部空間が密閉状態に保持されているときに、蒸気圧制御工程によって隙間形成部材に当接されている木材の圧縮面と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在に制御され、所定時間経過後に密閉状態が開放される。
【0065】
つまり、プレス加工制御工程によってプレス盤の内部空間内に載置された木材が木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮され、内部空間が密閉状態に保持され、このときの内部空間内における高温高圧の水蒸気が蒸気圧制御工程によって制御された後、所定時間経過後に密閉状態が開放される。この水蒸気は元来、木材に含まれている水分が蒸発したものであり、プレス盤における木材の少なくとも一方の圧縮面側に木材との間に隙間を形成して内部空間と連通させる隙間成形部材が配設されていることによって、この圧縮面側の木材の表面、更にはその内部と内部空間とで出入りする水蒸気が増加されることなり木材が均一に固定化される。これにより、木材を加熱圧縮し、密閉状態で固定化した後、プレス盤の内部空間から直ちに取出して自然冷却を行っても、成形加工後に膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材を製造することができる。
【0066】
請求項14の塑性加工木材製造方法では、請求項11乃至請求項13に記載の効果に加えて、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で所定の深さに穿設されており、プレス盤による内部空間が密閉状態に保持されているときに、この孔を介して木材内部と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在であるため、木材が均一に固定化される。
【0067】
請求項15の塑性加工木材製造方法では、請求項11乃至請求項13に記載の効果に加えて、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が所定の密度で貫通して穿設されており、プレス盤による内部空間が密閉状態に保持されているときに、この孔を介して木材内部と内部空間との間で高温高圧の水蒸気が通過自在であるため、木材が均一に固定化される。
【0068】
請求項16の塑性加工木材製造方法では、請求項14または請求項15に記載の効果に加えて、木材の孔の直径が0.2〜10.0〔mm〕に設定されており、木材に応じて好適に設定された直径の孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0069】
請求項17の塑性加工木材製造方法では、請求項14または請求項15に記載の効果に加えて、木材の孔の密度が100〔cm2 〕当たり1〜100〔個〕に設定されており、木材に応じて好適に設定された密度の孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0070】
請求項18の塑性加工木材製造方法では、請求項14に記載の効果に加えて、木材の孔の深さが元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されており、木材の元の板厚に応じて好適に設定された深さの孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0071】
請求項19の塑性加工木材製造方法では、請求項14または請求項18に記載の効果に加えて、孔が木材の一面の全面に穿設されており、孔を穿設する際には木材の裏面側を選定するのみでよく、この孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られる。
【0072】
請求項20の塑性加工木材製造方法では、請求項14または請求項18に記載の効果に加えて、孔が木材の一面の所定領域に穿設されており、孔を穿設する際には木材の裏面側における最小限必要な所定領域を選定することができ、この領域の孔によって木材の均一な固定化が、塑性加工木材製造の際に必要に応じて設定する曲げ部分または直線部分を含めてスムーズに達成されるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0074】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1にかかる塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図、図2は図1におけるプレス盤の下プレス盤に形成された凸状部としての突起部の詳細を示す斜視図である。
【0075】
図1及び図2において、100は塑性加工木材製造装置であり、この塑性加工木材製造装置100は、主として、上プレス盤11Aと下プレス盤21Aとの2分割された構造体によって内部空間ISを形成するプレス盤10Aと、内部空間ISを密閉状態とするために下プレス盤21Aの周縁部22に対向して上プレス盤11Aの周縁部12に配設されるシール部材14と、木材NW1の木裏側との当接面となる下プレス盤21Aに所定の間隔で形成され、木材NW1に食い込む程度に形成された所定の断面形状からなる凸状部としての複数の略円錐状の突起部24と、下プレス盤21Aの側面側から内部空間IS内に連通され、内部空間IS内から水蒸気を排出するための配管口41aを有する配管41、配管41内の蒸気圧を検出する圧力計P2、その下流側のバルブV5、バルブV5に接続されたドレン配管42等から構成されている。
【0076】
また、プレス盤10Aの上プレス盤11A及び下プレス盤21A内には、それらを高温の水蒸気を通すことによって所望の温度に昇温するための配管路13,23が形成されており、これら配管路13,23には蒸気供給側の配管ST1から分岐された配管ST2,ST3、蒸気排出側の配管ET1,ET2がそれぞれ接続されている。そして、蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3途中にはバルブV1,V2,V3、配管ST1内の蒸気圧を検出する圧力計P1が配設されており、蒸気排出側の配管ET1,ET2は、バルブV4を介してドレン配管42に接続されている。なお、配管ST1に水蒸気を供給するボイラ装置、また、プレス盤10Aの固定側の下プレス盤21Aに対して上プレス盤11Aを上昇/下降させ加圧するための油圧機構を含むプレス昇降装置は省略されている。ここで、本実施の形態では、プレス盤10Aの上プレス盤11A及び下プレス盤21Aで形成される内部空間IS内を加熱するために高温の水蒸気を用いているが、この他、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いることもできる。
また、プレス盤10Aの上プレス盤11A及び下プレス盤21Aがシール部材14を介して密閉状態となったときの内部空間ISの上下方向の寸法間隔は、塑性加工木材製造装置100により木材NW1が例えば、圧縮率60〔%〕の塑性加工木材PW1とされるときの厚み方向の仕上がり寸法に設定されている。
【0077】
ここで、図3に示すように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100で用いられる木材NW1は、原材料となる木材が前以って所定の長さ・幅・厚みに製材されたものであり、木材NW1は木目の長さ方向に対する垂直方向の面(木表及び木裏の2面)、柾目面(2面)、木口面(2面)とからなり、上記木目の長さ方向に対する垂直方向の面の木裏側がプレス盤10Aの下プレス盤21Aに載置される。なお、本実施の形態では、木目の長さ方向に対する垂直方向の面とする木裏側がプレス盤10Aの下プレス盤21Aに載置される事例で説明するが、本発明を実施する場合には、木目の長さ方向が木裏側に一義的に決定されるものではない。
【0078】
次に、塑性加工木材製造装置100により原材料の木材NW1から塑性加工木材PW1を製造する工程手順について、図4(a)〜図4(e)を参照して説明する。なお、図4(a)〜図4(e)では、蒸気供給側や蒸気排出側の配管等は省略されている。
まず、図4(a)に示すように、塑性加工木材製造装置100におけるプレス盤10Aの固定側の下プレス盤21Aに対して上プレス盤11Aを上昇させ、予め所定の寸法に製材された木材NW1が上プレス盤11A及び下プレス盤21Aで形成される内部空間IS内に載置される。
【0079】
次に、図4(b)に示すように、固定側の下プレス盤21Aに形成された突起部24上に載置された木材NW1に対して上プレス盤11Aを圧力が0.05〜0.3〔MPa:メガパスカル〕にて下降させ、木材NW1の木表側に当接させる。そして、上プレス盤11Aの配管路13及び下プレス盤21Aの配管路23に110〜160〔℃〕の高温の水蒸気が通されることによって、内部空間IS内が110〜160〔℃〕の特定温度に保持される(昇温処理時間20〔min:分〕)。なお、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100では、プレス盤10Aの昇温処理時間は、連続処理されるときには周囲環境温度にもよるが最初の立上げ時のみ長い時間が必要となる。
【0080】
次に、図4(c)に示すように、固定側の下プレス盤21Aに対して上プレス盤11Aの圧縮圧力が2〜5〔MPa〕の特定圧縮圧力に設定され、木材NW1が上プレス盤11A及び下プレス盤21Aにて加熱圧縮される(処理時間25〔min〕)。この加熱圧縮により、下プレス盤21Aに形成されている突起部24が、木材NW1の木裏側に食い込むこととなる。そして、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Aの周縁部22に当接すると上プレス盤11Aの周縁部12に配設されたシール部材14によって、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aにて形成される内部空間ISが密閉状態とされる。この内部空間ISの密閉状態で上プレス盤11A及び下プレス盤21Aによる圧縮圧力が保持されたまま、温度が3〜10〔min〕間で110〜160〔℃〕の特定温度から150〜210〔℃〕の間の特定温度に上昇される。
【0081】
このとき、下プレス盤21Aの突起部24上に載置された木材NW1の木裏側は、突起部24が食い込んで変形されるが、突起部24が木材NW1の変形による隙間を埋め尽くすことはなく水蒸気が通過するための空間が形成されることとなる。なお、木材NW1の圧縮率は、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Aの周縁部22に当接することで決まることとなる。
そして、図4(c)に示す内部空間ISの密閉状態で、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aの圧縮圧力が維持され、かつ、内部空間ISが150〜210〔℃〕の間の特定温度のまま、40〜120〔min〕間保持され、木材NW1の加熱圧縮を解除したときに戻りのない塑性加工木材PW1を形成するための所謂、固定化が行われる。このとき、下プレス盤21Aに形成されている突起部24による空間を介して、内部空間ISと木材NW1の木裏側の内部とで高温高圧の水蒸気が出入り自在となっている。
【0082】
なお、内部空間ISが密閉状態とされ固定化が行われているときに、蒸気圧処理として圧力計P2で内部空間ISの蒸気圧が検出され、バルブV5が適宜、開閉される。これにより、配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出されることで、元の木材NW1の含水率に基づく余分な内部空間IS内の水分が除去され、内部空間IS内が所定の蒸気圧となるように調節される。
【0083】
次に、図4(d)に示すように、内部空間ISを密閉状態から開放する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出される。この際、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aを150〜210〔℃〕の間の特定温度に維持するための水蒸気も一旦、供給停止される。
次に、図4(e)に示すように、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aの温度をなるべく下げないように素早く、固定側の下プレス盤21Aに対して上プレス盤11Aを上昇させ、内部空間ISから仕上がり品である塑性加工木材PW1が取出され、一連の処理工程が終了する。
【0084】
つまり、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100では、塑性加工木材PW1の製造に従来不可欠とされていた取出し以前における上プレス盤11A及び下プレス盤21Aに対する冷却工程が省略できる。この理由としては、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aの内部空間ISが密閉状態であるときに、下プレス盤21Aに形成された突起部24が木材NW1に食い込んでいる木材NW1の内部と内部空間ISとの間で高温高圧の水蒸気が通過自在となり、元々木材NW1に含まれている水分が均一化されることにある。
【0085】
そこで、固定化後に内部空間ISから水蒸気が排出された後、直ちに取出してそのまま自然冷却させても膨らみ変形を生じない安定した品質の塑性加工木材PW1を得ることができる。なお、塑性加工木材PW1の木裏側には、突起部24が食い込むことによりその断面形状が残ることとなるが、製品の表面側となる木表側と反対の木裏側であることから不具合が発生することはない。また、突起部24の断面形状が残る部分が、製品化する際の切削代である寸法範囲内となるように予め設定されておれば問題となることはない。更に、製品の木裏側で突起部24の断面形状が残った部分は、接着仕様のものでは接着を助ける役割を果たすこととなるため好ましく、塑性加工木材PW1の木裏側の凹凸形状は製品化に当たって問題となることもない。
【0086】
このため、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100における一連の処理工程では、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aを強制的に冷却する必要がなくなり、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aの内部空間IS内に新たな木材NW1を載置し、上プレス盤11A及び下プレス盤21Aに150〜210〔℃〕の間の特定温度の水蒸気を供給開始すれば、新たな木材NW1に対する処理工程にそのまま移行させることができる。
【0087】
このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100は、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Aからなるプレス盤10Aと、内部空間IS内に載置された木材NW1の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Aにおける木材NW1の木裏側となる圧縮面側には、木材NW1に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部としての突起部24が形成されており、内部空間ISに載置された木材NW1を突起部24に食い込ませるように150〜210〔℃〕の間の特定温度及び2〜5〔MPa〕の特定圧縮圧力で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御手段と、前記プレス加工制御手段で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、突起部24を介して木材NW1の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御手段とを具備するものである。
【0088】
また、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100における各手段等を工程に読変えることにより、即ち、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Aからなるプレス盤10Aで、内部空間IS内に載置された木材NW1の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Aにおける木材NW1の木裏側となる圧縮面側には、木材NW1に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部としての突起部24が形成されており、内部空間ISに載置された木材NW1を突起部24に食い込ませるように150〜210〔℃〕及び2〜5〔MPa〕で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御工程と、前記プレス加工制御工程で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、突起部24を介して木材NW1の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御工程とからなる塑性加工木材製造方法の実施の形態とすることができる。
【0089】
このため、プレス盤10Aの内部空間IS内に載置された木材NW1が加熱圧縮され、内部空間ISが密閉状態に所定時間保持されている間に、下プレス盤21Aの木材NW1の木裏側と当接する圧縮面側に形成された木材NW1に食い込む程度の所定の断面形状からなる突起部24が、内部空間IS内に載置された木材NW1に食い込んでいることで、木材NW1に元々含まれている水分が水蒸気となって内部空間ISとの間を通過自在となることで、木材NW1が均一に固定化される。このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置100によれば、木材NW1を加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に所定時間保持して固定化し、内部空間ISを密閉状態から開放し、プレス盤10Aの内部空間ISから直ちに取出して自然冷却を行っても膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材PW1を製造することができる。
【0090】
なお、上記実施の形態では、凸状部として複数の略円錐状の突起部24を用いているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、凸状部としては、図5(a)に斜視図、図5(b)に上面図を示すような、断面星形等からなる特殊な断面形状を有する突起部24aも有効であり、同様の作用効果が期待できる。しかし、本発明を実施する場合には、凸状部の先端まで水蒸気圧を案内するガイドとしてスリット、貫通孔等を設けるものの使用が望ましい。
【0091】
また、上記実施の形態では、上プレス盤11Aと下プレス盤21Aとの2分割された構造体によって内部空間ISを形成するプレス盤10Aが構成されているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、図6(a)に概略図を示すように、平プレス盤11aと角筒状の側壁プレス盤11bとを組み合わせ、側壁プレス盤11bに対する平プレス盤11aの側周面の摺動部にOリング14a等を配設し、平プレス盤11aと側壁プレス盤11bとを2段にて押圧する上プレス盤11Bと下プレス盤21A(突起部24等は省略)とからなる3分割された構造体によってプレス盤を構成することもできる。更に、図6(b)に概略図を示すように、平プレス盤11cと角筒状の側壁プレス盤11dを組み合わせて、ボルト11e等にて固定するようにした上プレス盤11Cと下プレス盤21A(突起部24等は省略)とからなる3分割された構造体によってプレス盤を構成することもできる。
【0092】
[実施の形態2]
図7は本発明の実施の形態2にかかる塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図、図8は図7におけるプレス盤の下プレス盤に形成された凹状部としての溝部の詳細を示す斜視図である。また、図9は本発明の実施の形態2にかかる塑性加工木材製造装置で用いられる木材の木裏側の孔の加工状態を示す斜視図である。なお、上述の実施の形態1と同様の構成または相当部分からなるものについては同一符号及び同一記号を付し、その重複する説明を省略する。
【0093】
図7及び図8において、200は塑性加工木材製造装置であり、この塑性加工木材製造装置200は、主として、上プレス盤11Aと下プレス盤21Bとの2分割された構造体によって内部空間ISを形成するプレス盤10Bと、内部空間ISを密閉状態とするために下プレス盤21Bの周縁部22に対向して上プレス盤11Aの周縁部12に配設されるシール部材14と、木材NW2の木裏側との当接面となる下プレス盤21Bの凸平面25に、木材NW2の繊維方向及びそれと直交する方向に所定の間隔で形成され、内部空間ISと連通する所定の断面形状からなる凹状部としての複数の略台形状の溝部26と、下プレス盤21Bの側面側から内部空間IS内に連通され、内部空間IS内から水蒸気を排出するための配管口41aを有する配管41、配管41の蒸気圧を検出する圧力計P2、その下流側のバルブV5、バルブV5に接続されたドレン配管42等から構成されている。
【0094】
なお、プレス盤10Bの上プレス盤11A及び下プレス盤21Bには、上記実施の形態1と同様に、それらを高温の水蒸気を用いて加熱するための蒸気供給側及び蒸気排出側の配管路等が接続され、水蒸気を供給するボイラ装置や油圧機構を含むプレス昇降装置等は省略されている。また、上記実施の形態1と同様、プレス盤10Bの上プレス盤11A及び下プレス盤21Bで形成される内部空間IS内を加熱するためには、高温の水蒸気を用いる方法の他、高周波加熱、マイクロ波加熱等による方法を用いてもよい。
また、プレス盤10Bの上プレス盤11A及び下プレス盤21Bがシール部材14を介して密閉状態となったときの内部空間ISの上下方向の寸法間隔は、塑性加工木材製造装置200により木材NW2が例えば、圧縮率60〔%〕の塑性加工木材PW2とされるときの厚み方向の仕上がり寸法に設定されている。この仕上がり寸法は、当然のことながら、下プレス盤21Bに溝部26を形成するための凸平面25の高さも考慮されている。
【0095】
ここで、図9に示すように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200で用いられる木材NW2は、原材料となる木材が前以って所定の長さ・幅・厚みに製材されることに加えて、この木材NW2には木裏側に対して垂直方向に、即ち、その繊維方向と略直交する方向となるように孔Hが予め穿設される。この孔Hは、木材NW2の木裏側から見て、全面に例えば、直径が約1.5〔mm〕、密度が約80〔個〕/100〔cm2 〕、深さが元の板厚の約90〔%〕相当となるように穿設される。これらの数値は予め実験等によって元の木材NW2に対する最適値が設定される。
【0096】
次に、塑性加工木材製造装置200により原材料の木材NW2から製品としての塑性加工木材PW2を製造する工程手順について、図10(a)〜図10(e)を参照して説明する。なお、図10(a)〜図10(e)では、蒸気供給側や蒸気排出側の配管等は省略されている。
まず、図10(a)に示すように、塑性加工木材製造装置200におけるプレス盤10Bの固定側の下プレス盤21Bに対して上プレス盤11Aを上昇させ、予め所定の寸法に製材され、かつ、孔Hが穿設された木材NW2が、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bで形成される内部空間IS内に載置される。
【0097】
次に、図10(b)に示すように、固定側の下プレス盤21Bに形成された凸平面25上に載置された木材NW2に対して上プレス盤11Aを圧力が0.05〜0.3〔MPa〕にて下降させ、木材NW2の上面に当接させる。そして、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bが、その配管路13,23に110〜160〔℃〕の高温の水蒸気が通されることによって、110〜160〔℃〕の特定温度に保持される(昇温処理時間10〜30〔min〕)。なお、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200では、プレス盤10Bの昇温処理時間は、連続処理されるときには周囲環境温度にもよるが最初の立上げ時のみ長い時間が必要となる。
【0098】
次に、図10(c)に示すように、固定側の下プレス盤21Bに対して上プレス盤11Aの圧縮圧力が2〜5〔MPa〕の特定圧縮圧力に設定され、木材NW2が上プレス盤11A及び下プレス盤21Bにて加熱圧縮される(処理時間15〜45〔min〕)。そして、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Bの周縁部22に当接すると上プレス盤11Aの周縁部12に配設されたシール部材14によって、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bにて形成される内部空間ISが密閉状態とされる。この内部空間ISの密閉状態で上プレス盤11A及び下プレス盤21Bによる圧縮圧力が保持されたまま、温度が3〜10〔min〕間で110〜160〔℃〕の特定温度から150〜210〔℃〕の間の特定温度に上昇される。
【0099】
このとき、下プレス盤21Bの凸平面25上に載置された木材NW2の木裏側は、凸平面25から溝部26に食い込んだように変形されることとなるが、溝部26を埋め尽くすことはなく水蒸気が通過するための十分な空間が確保されている。なお、木材NW2の圧縮率は、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Bの周縁部22に当接することで決まることとなる。
そして、図10(c)に示す内部空間ISの密閉状態で、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bの圧縮圧力が維持され、かつ、内部空間ISが150〜210〔℃〕の間の特定温度のまま、40〜120〔min〕間保持され、木材NW2の加熱圧縮を解除したときに戻りのない塑性加工木材PW2を形成するための固定化が行われる。このとき、下プレス盤21Bの凸平面25に形成されている溝部26による空間を介して、内部空間ISと木材NW2の木裏側の孔H内とで高温高圧の水蒸気が出入り自在となっている。
【0100】
なお、内部空間ISが密閉状態とされ固定化が行われているときに、蒸気圧処理として圧力計P2で内部空間ISの蒸気圧が検出され、バルブV5が適宜、開閉される。これにより、配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出されることで、元の木材NW2の含水率に基づく余分な内部空間IS内の水分が除去され、内部空間IS内が所定の蒸気圧となるように調節される。
【0101】
次に、図10(d)に示すように、内部空間ISを密閉状態から開放する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出される。この際、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bを150〜210〔℃〕の間の特定温度に維持するための水蒸気も一旦、供給停止される。
次に、図10(e)に示すように、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bの温度をなるべく下げないように素早く、固定側の下プレス盤21Bに対して上プレス盤11Aを上昇させ、内部空間ISから仕上がり品である塑性加工木材PW2が取出され、一連の処理工程が終了する。
【0102】
つまり、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200では、塑性加工木材PW2の製造に従来不可欠とされていた取出し以前における上プレス盤11A及び下プレス盤21Bに対する冷却工程が省略できる。この理由としては、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bの内部空間ISが密閉状態であるときに、下プレス盤21Bに形成された溝部26を介して木材NW2に穿設されている孔H内と内部空間ISとの間で水蒸気が通過自在となり、元々木材NW2に含まれている水分が均一化されることにある。
【0103】
そこで、固定化後に内部空間ISから水蒸気が排出された後、直ちに取出してそのまま自然冷却させても膨らみ変形を生じない安定した品質の塑性加工木材PW2を得ることができる。なお、塑性加工木材PW2の木裏側が、凸平面25から溝部26に食い込むことによりそのパターン形状が残ることとなるが、製品の表面側となる木表側と反対の木裏側であることから不具合が発生することはない。また、溝部26の断面形状が残る部分が、製品化する際の切削代である寸法範囲内となるように予め設定されておれば問題となることはない。更に、製品の木裏側で溝部26の断面形状が残った部分は、接着仕様のものでは接着を助ける役割を果たすこととなるため好ましく、塑性加工木材PW2の木裏側の凹凸形状は製品化に当たって問題となることもない。
【0104】
このため、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200における一連の処理工程では、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bを強制的に冷却する必要がなくなり、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bの内部空間IS内に新たな木材NW2を載置し、上プレス盤11A及び下プレス盤21Bに110〜160〔℃〕の特定温度の水蒸気を供給開始すれば、新たな木材NW2に対する処理工程にそのまま移行させることができる。
【0105】
このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200は、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Bからなるプレス盤10Bと、内部空間IS内に載置された木材NW2の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Bにおける木材NW2の木裏側となる圧縮面側には、内部空間ISと連通する所定の断面形状からなる凹状部としての溝部26が形成されており、内部空間IS内に載置された木材NW2を150〜210〔℃〕の間の特定温度及び2〜5〔MPa〕で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御手段と、前記プレス加工制御手段で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、溝部26を介して木材NW2の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御手段とを具備するものである。
【0106】
また、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200における各手段等を工程に読変えることにより、即ち、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Bからなるプレス盤10Bで、内部空間IS内に載置された木材NW2の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Bにおける木材NW2の木裏側となる圧縮面側には、内部空間ISと連通する所定の断面形状からなる凹状部としての溝部26が形成されており、内部空間ISに載置された木材NW2を150〜210〔℃〕の間の特定温度及び2〜5〔MPa〕の特定圧縮圧力で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御工程と、前記プレス加工制御工程で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、溝部26を介して木材NW2の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御工程とからなる塑性加工木材製造方法の実施の形態とすることができる。
【0107】
そして、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200は、孔Hを木材NW2の木裏側から見て、全面に穿設したものであり、木材NW2の孔Hの直径を2〔mm〕に設定するものであり、木材NW2の孔Hの密度を80〔個〕/100〔cm2 〕に設定するものであり、木材NW2の孔Hの深さを元の板厚の90〔%〕相当に設定するものである。
なお、発明者らの実験によれば、木材NW2の孔Hの直径を0.2〜10.0〔mm〕に設定、木材NW2の孔Hの密度を1〜100〔個〕/100〔cm2 〕に設定、木材NW2の孔Hの深さを元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定すれば、加熱、圧縮等の条件によって、良好な組成加工木材が効率よく得られることが確認された。なお、生産性の効率を無視すれば、更に木材NW2の孔Hの直径、孔Hの密度、孔Hの深さの条件が広くなることは自明なことである。
【0108】
つまり、原材料となる木材NW2には、木裏側から木表側に向けて繊維方向と略直交する方向に直径が2〔mm〕からなる孔Hが、密度が80〔個〕/100〔cm2 〕で深さが元の板厚の90〔%〕相当で、全面に穿設されている。この木材NW2がプレス盤10Bの内部空間IS内に載置された後、その上プレス盤11A及び下プレス盤21Bにて加熱圧縮処理が実行され、木材NW2が圧縮成形される。そして、プレス盤10Bの内部空間ISが所定の間隔の密閉状態にシール部材14を介して保持され所定時間経過後に開放される。この内部空間ISが密閉状態から開放される直前に、バルブV5が開弁状態とされることで内部空間ISに存在する高温高圧の水蒸気が配管口41a、配管41及びドレン配管42を通って排出される。
【0109】
このため、プレス盤10Bの内部空間IS内に載置された木材NW2が加熱圧縮され、内部空間ISが密閉状態に所定時間保持されている間に、下プレス盤21Bの木材NW2の木裏側と当接する圧縮面に形成され、プレス盤10Bの内部空間ISと連通する所定の断面形状からなる溝部26による隙間を介して木材NW2に穿設された孔H内から木材NW2に元々含まれている水分が水蒸気となって内部空間ISとの間を通過自在となることで、木材NW2が均一に固定化される。
このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置200によれば、木材NW2を加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に所定時間保持して固定化し、内部空間ISを密閉状態から開放し、プレス盤10Bの内部空間ISから直ちに取出して自然冷却を行っても膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材PW2を製造することができる。
【0110】
ここで、上述の実施の形態の塑性加工木材製造装置200では、孔Hが木材NW2の木裏側の全面に穿設されているが、木材の両木口面から例えば、5〜15〔cm〕程度の範囲は、木口面から水蒸気が出入りし易いため、孔Hを穿設する必要がなく、それよりも内側となる範囲に上記条件にて穿設されておればよい。
このような塑性加工木材製造装置200は、孔Hを木材NW2′の木裏側の所定範囲に穿設するものであり、上述の実施の形態と同様の作用・効果が期待できる。
【0111】
更に、上述の実施の形態の塑性加工木材製造装置200では、木材NW2の木裏側側に対して垂直方向に、即ち、その繊維方向と略直交する方向に所定の直径からなる孔Hを所定の密度で所定の深さに穿設した木材NW2を用いているが、木目の長さ方向に対して垂直方向に、即ち、繊維方向と略直交する方向に所定の直径からなる孔H′を所定の密度で貫通させ穿設させた木材NW2′を用いても、同様の作用・効果が期待できる。加えて、このように所定の密度で孔H′を貫通させ穿設させた木材NW2′から製造された塑性加工木材PW2′は、製品の表面側にも孔H′が形成された状態であり、例えば、部屋の腰板材として使用されることで、この孔H′を介して部屋の湿度が調節され、部屋の臭いが木材の香りに置換され緩和されるという新たな作用・効果も期待できる。
【0112】
ところで、上記実施の形態では、下プレス盤21Bに溝部26を形成しているが、この溝部26を形成する凸平面25は、下プレス盤21Bと一体であっても、別体を組合わせて構成するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、下プレス盤21Bにおいて、木材NW2の繊維方向及びそれと直交する方向に所定の間隔で、下プレス盤21Bの凸平面25が角錐台状となるように切削されることで、結果として、断面形状が台形形状からなる溝部26が形成されているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、溝部の断面形状は略U字形状、略V字形状等であってもよく、要は、水蒸気が通過し易くかつ、製品となる塑性加工木材を取外し易い形状であればよい。更に、図11に示すように、下プレス盤21Cの凸平面25aに溝部26aとして木材NW2の繊維方向のみ、また、図12に示すように、下プレス盤21Dの凸平面25bに溝部26bとして木材NW2の繊維方向及びそれと交差する斜め方向に所定の間隔で形成されていてもよい。
【0113】
[実施の形態3]
図13は本発明の実施の形態3にかかる塑性加工木材製造装置300の概略構成を示す断面図である。本実施の形態3では、下プレス盤21Eに凸状部や凹状部を形成することなく、下プレス盤21Eにおける木材NW2の木裏側との当接面に隙間形成部材としての金網31を配設したものである。つまり、塑性加工木材製造装置300では、上述の実施の形態1における下プレス盤21Aに形成された突起部24、または上述の実施の形態2における下プレス盤21Bの凸平面25に形成された溝部26を、下プレス盤21E上の金網31に置換えたものである。また、本実施の形態3で用いられる木材NW2には、上述の実施の形態2の図9に示すように、その木目の長さ方向に垂直な面のうちの木裏側に同様の孔Hが穿設されている。なお、上述の実施の形態1、2と同様の構成または相当部分からなるものについては同一符号及び同一記号を付し、その重複する説明を省略する。
【0114】
図13に示すように、プレス盤10Cの下プレス盤21E上に金網31を配設することで、下プレス盤21Eと木材NW2の木裏側との間に隙間が形成される。したがって、プレス盤10Cの上プレス盤11A及び下プレス盤21Eにて形成される内部空間ISと木材NW2の木裏側に穿設された孔Hとの間で高温高圧の水蒸気が通過自在とされる。
ここで、本実施の形態で用いられる金網31は、プレス盤10Cの内部空間IS内で、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eによる木材NW2の加熱圧縮の際、大きく変形されることなく下プレス盤21Eと木材NW2の木裏側との間の隙間を確実に保持し続けることができる強度を有する必要がある。
【0115】
次に、塑性加工木材製造装置300により原材料の木材NW2から製品としての塑性加工木材PW3を製造する工程手順について、図14(a)〜図14(e)を参照して説明する。なお、図14(a)〜図14(e)では、蒸気供給側や蒸気排出側の配管等は省略されている。
まず、図14(a)に示すように、塑性加工木材製造装置300におけるプレス盤10Cの固定側の下プレス盤21Eに対して上プレス盤11Aを上昇させ、予め所定の寸法に製材され、かつ、孔Hが穿設された木材NW2が、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eで形成される内部空間IS内に載置される。
【0116】
次に、図14(b)に示すように、固定側の下プレス盤21Eに配設された金網31上に載置された木材NW2に対して上プレス盤11Aを圧力が0.05〜0.3〔MPa〕にて下降させ、木材NW2の上面に当接させる。そして、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eが、その配管路13,23に110〜160〔℃〕の特定温度〔℃〕の高温の水蒸気が通されることによって、120〔℃〕に保持される(昇温処理時間10〜50〔min〕)。なお、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300では、プレス盤10Cの昇温処理時間は、連続処理されるときには周囲環境温度にもよるが最初の立上げ時のみ長い時間が必要となる。
【0117】
次に、図14(c)に示すように、固定側の下プレス盤21Eに対して上プレス盤11Aの圧縮圧力が2〜5〔MPa〕に設定され、木材NW2が上プレス盤11A及び下プレス盤21Eにて加熱圧縮される(処理時間10〜50〔min〕)。そして、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Eの周縁部22に当接すると上プレス盤11Aの周縁部12に配設されたシール部材14によって、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eにて形成される内部空間ISが密閉状態とされる。この内部空間ISの密閉状態で上プレス盤11A及び下プレス盤21Eによる圧縮圧力が保持されたまま、温度が10〜160〔min〕間で110〜160〔℃〕の特定温度から150〜210〔℃〕の間の特定温度に上昇される。
【0118】
このとき、下プレス盤21Eに配設された金網31上に載置された木材NWの木裏側は、金網31に食い込んだように変形されることとなるが、金網31の空間を埋め尽くすことはなく水蒸気が通過するための十分な空間が確保されている。なお、木材NW2の圧縮率は、上プレス盤11Aの周縁部12が下プレス盤21Eの周縁部22に当接することで決まることとなる。
そして、図14(c)に示す内部空間ISの密閉状態で、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eの圧縮圧力が維持され、かつ、内部空間ISが150〜210〔℃〕の間の特定温度のまま、40〜120〔min〕間保持され、木材NW2の加熱圧縮を解除したときに戻りのない塑性加工木材PW3を形成するための固定化が行われる。このとき、下プレス盤21E上に配設されている金網31による空間を介して、内部空間ISと木材NW2の木目の長さ方向に垂直な面のうちの木裏側の孔H内とで高温高圧の水蒸気が出入り自在となっている。
【0119】
なお、内部空間ISが密閉状態とされ固定化が行われているときに、蒸気圧処理として圧力計P2で内部空間ISの蒸気圧が検出され、バルブV5が適宜、開閉される。これにより、配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出されることで、元の木材NW2の含水率に基づく余分な内部空間IS内の水分が除去され、内部空間IS内が所定の蒸気圧となるように調節される。
【0120】
次に、図14(d)に示すように、内部空間ISを密閉状態から開放する直前に、蒸気処理としてバルブ42が開状態とされることで配管口41a、配管41を通って内部空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出される。この際、上プレス盤11及び下プレス盤21′を150〜210〔℃〕の間の特定温度に維持するための水蒸気も一旦、供給停止される。
次に、図14(e)に示すように、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eの温度をなるべく下げないようにして、固定側の下プレス盤21Eに対して上プレス盤11Aを上昇させ、内部空間ISから仕上がり品である塑性加工木材PW3が取出され、一連の処理工程が終了する。
【0121】
つまり、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300でも、塑性加工木材PW3の製造に従来不可欠とされていた取出し以前における上プレス盤11A及び下プレス盤21Eに対する冷却工程が省略できる。この理由については、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eの内部空間ISが密閉状態であるときに、下プレス盤21Eに配設された金網31を介して木材NW2に穿設されている孔H内と内部空間ISとの間で水蒸気が通過自在となり、元々木材NW2に含まれている水分が均一化されることにある。
【0122】
そこで、固定化後に内部空間ISから水蒸気が排出された後、直ちに取出してそのまま自然冷却させても膨らみ変形を生じない安定した品質の塑性加工木材PW3を得ることができる。なお、塑性加工木材PW3の木裏側が、金網31に食い込むことにより金網31のパターン形状が残ることとなるが、製品の表面側となる木目の長さ方向に垂直な木表側の面の反対の木裏側であることから不具合が発生することはない。また、金網31のパターン形状が残る部分が、製品化する際の切削代である寸法範囲内となるように予め設定されておれば問題となることはない。更に、製品の木裏側で金網31のパターン形状が残った部分は、接着仕様のものでは接着を助ける役割を果たすこととなるため好ましく、塑性加工木材PW3の木裏側の凹凸形状は製品化に当たって問題となることもない。
【0123】
このため、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300における一連の処理工程では、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eを強制的に冷却する必要がなくなり、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eの内部空間IS内に新たな木材NW2を載置し、上プレス盤11A及び下プレス盤21Eに150〜210〔℃〕の間の特定温度の水蒸気を供給開始すれば、新たな木材NW2に対する処理工程にそのまま移行させることができる。
【0124】
このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300は、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Eからなるプレス盤10Cと、内部空間IS内に載置された木材NW2の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Cにおける木材NW2の木裏側となる圧縮面側には、木材NW2との間に隙間を形成する内部空間形成部材としての金網31が配設されており、内部空間IS内に載置された木材NW2を150〜210〔℃〕の間の特定温度及び2〜5〔MPa〕で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御手段と、前記プレス加工制御手段で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、金網31を介して木材NW2の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御手段とを具備するものである。
【0125】
また、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300における各手段等を工程に読変えることにより、即ち、複数に分割された構造体によって内部空間ISを形成し、内部空間ISの体積を変化させることによりプレス圧縮自在な上プレス盤11A及び下プレス盤21Eからなるプレス盤10Cで、内部空間IS内に載置された木材NW2の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、プレス盤10Cにおける木材NW2の木裏側となる圧縮面側には、木材NW2との間に隙間を形成する内部空間形成部材としての金網31が配設されており、内部空間IS内に載置された木材NW2を150〜210〔℃〕及び2〜5〔MPa〕で加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に保持し、40〜120〔min〕経過後にそれを開放する蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3、バルブV1,V2,V3、圧力計P1蒸気排出側の配管ET1,ET2、バルブV4、ドレン配管42、ボイラ装置(図示略)、油圧機構を含むプレス昇降装置(図示略)等にて達成されるプレス加工制御工程と、前記プレス加工制御工程で内部空間ISが密閉状態に保持されているときに、金網31を介して木材NW2の圧縮面と内部空間ISとにおける高温高圧の水蒸気を制御する配管41、バルブV5やドレン配管42等にて達成される蒸気圧制御工程とからなる塑性加工木材製造方法の実施の形態とすることができる。
【0126】
そして、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300は、孔Hを木材NW2の木裏側から見て、全面に穿設したものであり、木材NWの孔Hの直径を1.5〔mm〕に設定するものであり、木材NWの孔Hの密度を60〔個〕/100〔cm2 〕に設定するものであり、木材NWの孔Hの深さを元の板厚の80〔%〕相当に設定するものである。
つまり、原材料となる木材NW2には、木裏側から木表側に向けて繊維方向と略直交する方向に直径が1.5〔mm〕からなる孔Hが、密度が60〔個〕/100〔cm2 〕で深さが元の板厚の80〔%〕相当で、全面に穿設されている。この木材NW2がプレス盤10Cの内部空間IS内に載置された後、その上プレス盤11A及び下プレス盤21Eにて加熱圧縮処理が実行され、木材NW2が圧縮成形される。そして、プレス盤10Cの内部空間ISが所定の間隔の密閉状態にシール部材14を介して保持され所定時間経過後に開放される。この内部空間ISが密閉状態から開放される直前に、バルブV5が開弁状態とされることで内部空間ISに存在する高温高圧の水蒸気が配管口41a、配管41及びドレン配管42を通って排出される。
【0127】
このため、プレス盤10Cの内部空間IS内に載置された木材NW2が加熱圧縮され、内部空間ISが密閉状態に所定時間保持されている間に、下プレス盤21Eの木材NW2の木裏側との当接面に配設され、下プレス盤21Eと木材NW2の木裏側との間に形成される金網31による隙間を介して木材NW2に穿設された孔H内から木材NW2に元々含まれている水分が水蒸気となって内部空間ISとの間を通過自在となることで、木材NW2が均一に固定化される。
このように、本実施の形態の塑性加工木材製造装置300によれば、木材NW2を加熱圧縮し、内部空間ISを密閉状態に所定時間保持して固定化し、内部空間ISを密閉状態から開放し、プレス盤10Cの内部空間ISから直ちに取出して自然冷却を行っても膨らみ変形を生じることのない安定した品質の塑性加工木材PW3を製造することができる。
【0128】
ここで、上述の実施の形態の塑性加工木材製造装置300では、孔Hが木材NW2の木裏側の全面に穿設されているが、木材の両木口面から例えば、5〜15〔cm〕程度の範囲は、木口面から水蒸気が出入りし易いため、孔Hを穿設する必要がなく、それよりも内側となる範囲に上記条件にて穿設されておればよい。
このような塑性加工木材製造装置300は、孔Hを木材NW2′の木裏側の所定範囲に穿設するものであり、上述の実施の形態と同様の作用・効果が期待できる。
【0129】
更に、上述の実施の形態の塑性加工木材製造装置300では、木材NW2の木裏側側に対して垂直方向に、即ち、その繊維方向と略直交する方向に所定の直径からなる孔Hを所定の密度で所定の深さに穿設した木材NW2を用いているが、木目の長さ方向に対して垂直方向に、即ち、繊維方向と略直交する方向に所定の直径からなる孔H′を所定の密度で貫通させ穿設した木材NW2′を用いても、同様の作用・効果が期待できる。加えて、このように所定の密度で孔H′を貫通させ穿設させた木材NW2′から製造された塑性加工木材PW3′は、上述の実施の形態2と同様、製品の表面側にも孔H′が形成された状態であり、例えば、部屋の腰板材として使用されることで、この孔H′を介して部屋の湿度が調節され、部屋の臭いが木材の香りに置換され緩和されるという新たな作用・効果も期待できる。加えて、接着剤等を使用した合板であっても、木材NW2の圧縮加工によって、密度が高くなり、ホルムアルデヒド等を室内に発散する危険性が少なくなっている。
【0130】
ところで、上記実施の形態で用いられている金網31は、プレス処理における加熱圧縮に耐え得る強度を有していることは当然であるが、その線径や目の細かさ等については、木材NW2に穿設される孔Hの仕様等に対して、予め実験等によって最適なものが選定される。
また、上記実施の形態では、金網31を下プレス盤21E上に配設するとしているが、当然のことながら、単に載置するように配設しただけでは位置がズレてしまったりするため、例えば、下プレス盤21Eに金網31の外形形状に合わせた凹部を形成し、この凹部に金網31を嵌込んで接着等を併用して固定すれば、位置ズレ等が防止されるため作業性を向上することができる。
【0131】
そして、上記実施の形態では、隙間形成部材として金網31を用いているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、セラミックや焼結合金等の多孔質の材料を用いることによって同様の作用効果が期待でき、また、これらの材料を用いれば、塑性加工木材PW3の木裏側に残るパターン形状を目立たなくすることもでき、作業性も向上させることができるという作用効果も得ることができる。
【0132】
上記実施の形態では、木材の孔Hの直径が0.2〜2.0〔mm〕に設定すると、反対面の仕上げ表面の見栄えがよいが、本発明を実施する場合には、0.2〜10〔mm〕の範囲で使用しても支障がないことが発明者らの実験によって確認された。
上記実施の形態では、木材の孔Hの密度が100〔cm2 〕当たり10〜100〔個〕に設定して実験を行ったが、木材の含水量によって1〜10でも可能であり、100〜200個以上を超えても可能なことが発明者らの実験によって確認された。
【0133】
上記実施の形態では、木材の孔Hの深さが元の板厚の30〜90〔%〕相当に設定して実験を行ったが、この領域では、木材の元の板厚に応じて好適に設定された深さの孔を介して木材の均一な固定化がスムーズに達成されるという効果が得られた。しかし、0〜30〔%〕が使用できないことを意味するものではなく、木材に孔Hを形成するとするならば、その手間と仕上がりからして、木材の孔Hの深さは元の板厚の10〜90〔%〕が相当と判断されるものである。
上記実施の形態では、木材の孔Hが木材の一面の全面に穿設された場合について説明したが、その孔Hの密度分布を変更することにより、節を均一に処理したり、または曲がりを修正したり、逆に曲がりを形成することができることが、発明者らの実験によって確認された。
【0134】
上記実施の形態では、突起部24として下部が直径7mm、高さ12mmを基準に木材の板厚の10〜30〔%〕相当に設定して実験を行ったが、発明者らの実験によれば、この範囲を越える5〜60でも効果があることが確認された。また、突起部24の形状のみではなく、スリットを周囲に形成した略円錐状のものでもよいことが確認されている。
本発明の塑性加工木材製造装置及び製造方法によれば、本来、杉材等で軽軟な木質材を原材料として使用でき、元の木材に対する表面のみならず板厚全体における硬度が大きく向上され、傷の付き難い塑性加工木材が製造できることとなる。そこで、本発明の塑性加工木材製造装置及び製造方法を用いて製造された塑性加工木材は、床材や腰板材や屋内家具材、また、表面塗装して使用する住宅用外装材等、かなり広範な用途が見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は本発明の実施の形態1にかかる塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図2は図1のプレス盤の下プレス盤に形成された凸状部としての突起部の詳細を示す斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1にかかる塑性加工木材製造装置で用いられる木材の木目の長さ方向、柾目面、木口面を示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1にかかる塑性加工木材製造装置の工程手順を示す説明図である。
【図5】図5は図2のプレス盤の下プレス盤に形成された突起部の変形例を示す斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1にかかる塑性加工木材製造装置における複数に分割された構造体からなるプレス盤の変形例を示す概略図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態2にかかる塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】図8は図7のプレス盤の下プレス盤に形成された凹状部としての溝部の詳細を示す斜視図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態2にかかる塑性加工木材製造装置で用いられる木材の木目の長さ方向に垂直な面である木裏側に穿設された孔の加工状態を示す斜視図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態2にかかる塑性加工木材製造装置の工程手順を示す説明図である。
【図11】図11は図8のプレス盤の下プレス盤に形成された溝部の変形例を示す斜視図である。
【図12】図12は図8のプレス盤の下プレス盤に形成された溝部の他の変形例を示す上面図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態3にかかる塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態3にかかる塑性加工木材製造装置の工程手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0136】
10A プレス盤
11A 上プレス盤
14 シール部材
21A 下プレス盤
26 溝部
100 塑性加工木材製造装置
H 孔
IS 内部空間
NW1 木材
PW1 塑性加工木材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤と、
前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤の前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材に前記凸状部に食い込ませるように所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御手段と、
前記プレス加工制御手段で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記凸状部を介して前記木材の圧縮面の高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御手段と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造装置。
【請求項2】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤と、
前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤の前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御手段と、
前記プレス加工制御手段で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記凹状部を介して前記木材の圧縮面の高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御手段と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造装置。
【請求項3】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤と、
前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤の前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材との間に隙間を形成する隙間形成部材が配設されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御手段と、
前記プレス加工制御手段で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記隙間形成部材を介して前記木材の圧縮面の高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御手段と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造装置。
【請求項4】
前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度、所定の深さに穿設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項5】
前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度で貫通して穿設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項6】
前記孔の直径は、0.2〜10.0〔mm〕に設定されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項7】
前記孔の密度は、100〔cm2 〕当たり、1〜100〔個〕に設定されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項8】
前記孔の深さは、元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項9】
前記孔は、前記木材の一方の面の全面に穿設されていることを特徴とする請求項4乃至請求項8の何れか1つに記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項10】
前記孔は、前記木材の一方の面の所定範囲に穿設されていることを特徴とする請求項4乃至請求項8の何れか1つに記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項11】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記木材の少なくとも一方の前記プレス盤の圧縮面側には、前記木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を前記凸状部に食い込ませるように所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御工程と、
前記プレス加工制御工程で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記凸状部を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御工程と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造方法。
【請求項12】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を前記凹状部に食い込ませるように所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御工程と、
前記プレス加工制御工程で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているときに、前記内部空間と前記凹状部を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御工程と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造方法。
【請求項13】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材との間に隙間を形成する隙間形成部材が配設されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御工程と、
前記プレス加工制御工程で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているときに、前記内部空間と前記隙間形成部材を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御工程と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造方法。
【請求項14】
前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度、所定の深さに穿設されていることを特徴とする請求項11乃至請求項13の何れか1つに記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項15】
前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度で貫通して穿設されていることを特徴とする請求項11乃至請求項13の何れか1つに記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項16】
前記孔の直径は、0.2〜10.0〔mm〕に設定されていることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項17】
前記孔の密度は、100〔cm2 〕当たり1〜100〔個〕に設定されていることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項18】
前記孔の深さは、元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されていることを特徴とする請求項14に記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項19】
前記孔は、前記木材の一方の面の全面に穿設されていることを特徴とする請求項14乃至請求項18の何れか1つに記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項20】
前記孔は、前記木材の一方の面の所定領域に穿設されていることを特徴とする請求項14乃至請求項18の何れか1つに記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項1】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤と、
前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤の前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材に前記凸状部に食い込ませるように所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御手段と、
前記プレス加工制御手段で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記凸状部を介して前記木材の圧縮面の高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御手段と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造装置。
【請求項2】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤と、
前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤の前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御手段と、
前記プレス加工制御手段で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記凹状部を介して前記木材の圧縮面の高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御手段と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造装置。
【請求項3】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤と、
前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤の前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材との間に隙間を形成する隙間形成部材が配設されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御手段と、
前記プレス加工制御手段で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記隙間形成部材を介して前記木材の圧縮面の高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御手段と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造装置。
【請求項4】
前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度、所定の深さに穿設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項5】
前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度で貫通して穿設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項6】
前記孔の直径は、0.2〜10.0〔mm〕に設定されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項7】
前記孔の密度は、100〔cm2 〕当たり、1〜100〔個〕に設定されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項8】
前記孔の深さは、元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項9】
前記孔は、前記木材の一方の面の全面に穿設されていることを特徴とする請求項4乃至請求項8の何れか1つに記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項10】
前記孔は、前記木材の一方の面の所定範囲に穿設されていることを特徴とする請求項4乃至請求項8の何れか1つに記載の塑性加工木材製造装置。
【請求項11】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記木材の少なくとも一方の前記プレス盤の圧縮面側には、前記木材に食い込む程度の所定の断面形状からなる凸状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を前記凸状部に食い込ませるように所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御工程と、
前記プレス加工制御工程で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているとき、前記内部空間と前記凸状部を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御工程と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造方法。
【請求項12】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記内部空間と連通する所定の断面形状からなる凹状部が形成されており、前記内部空間内に載置された前記木材を前記凹状部に食い込ませるように所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御工程と、
前記プレス加工制御工程で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているときに、前記内部空間と前記凹状部を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御工程と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造方法。
【請求項13】
複数に分割された構造体によって内部空間を形成し、前記内部空間の体積を変化させることによりプレス圧縮自在なプレス盤で、前記内部空間内に載置された木材の木目の長さ方向に対して垂直方向にプレス圧縮するとき、前記プレス盤における前記木材の少なくとも一方の圧縮面側には、前記木材との間に隙間を形成する隙間形成部材が配設されており、前記内部空間内に載置された前記木材を所定温度及び所定圧力で加熱圧縮するプレス加工制御工程と、
前記プレス加工制御工程で前記内部空間を密閉状態に保持し、所定時間経過後にそれを開放すると共に、前記内部空間が密閉状態に保持されているときに、前記内部空間と前記隙間形成部材を介して前記木材の圧縮面における高温高圧の水蒸気を制御する蒸気圧制御工程と
を具備することを特徴とする塑性加工木材製造方法。
【請求項14】
前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度、所定の深さに穿設されていることを特徴とする請求項11乃至請求項13の何れか1つに記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項15】
前記木材には、その木目の長さ方向に対して垂直方向に所定の直径からなる孔が、所定の密度で貫通して穿設されていることを特徴とする請求項11乃至請求項13の何れか1つに記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項16】
前記孔の直径は、0.2〜10.0〔mm〕に設定されていることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項17】
前記孔の密度は、100〔cm2 〕当たり1〜100〔個〕に設定されていることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項18】
前記孔の深さは、元の板厚の10〜90〔%〕相当に設定されていることを特徴とする請求項14に記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項19】
前記孔は、前記木材の一方の面の全面に穿設されていることを特徴とする請求項14乃至請求項18の何れか1つに記載の塑性加工木材製造方法。
【請求項20】
前記孔は、前記木材の一方の面の所定領域に穿設されていることを特徴とする請求項14乃至請求項18の何れか1つに記載の塑性加工木材製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−8047(P2007−8047A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192597(P2005−192597)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000116622)愛知県 (99)
【出願人】(501115689)マイウッド・ツー株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000116622)愛知県 (99)
【出願人】(501115689)マイウッド・ツー株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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