塔槽類の胴板の部分更新工法
【課題】短い工事期間でかつ安い工事費用で、塔槽類の胴板を部分的に更新することができる塔槽類の胴板の部分更新工法を提供する。
【解決手段】この主蒸留塔の胴板の部分更新工法は、主蒸留塔の胴板1の一部分の円筒状胴板部分2を更新する工法であって、円筒状胴板部分2の周方向の対向する2箇所を部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた各開口6にそれぞれ新規分割板3を取り付けることを繰り返すことにより、円筒状胴板部分2を更新する工法であり、更新する円筒状胴板部分を3〜4mの高さ範囲に設定する。新規分割板3は、円筒状胴板部分2を周方向に複数個に均等に分割した場合に得られるものとする。
【解決手段】この主蒸留塔の胴板の部分更新工法は、主蒸留塔の胴板1の一部分の円筒状胴板部分2を更新する工法であって、円筒状胴板部分2の周方向の対向する2箇所を部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた各開口6にそれぞれ新規分割板3を取り付けることを繰り返すことにより、円筒状胴板部分2を更新する工法であり、更新する円筒状胴板部分を3〜4mの高さ範囲に設定する。新規分割板3は、円筒状胴板部分2を周方向に複数個に均等に分割した場合に得られるものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塔槽類の胴板を部分的に更新する塔槽類の胴板の部分更新工法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油精製装置の常圧蒸留装置や減圧蒸留装置の主蒸留塔などの塔槽類では、長年の使用により胴板の一部分が腐食により減肉した場合、更新や補修をする必要がある。
主蒸留塔などの大型の塔槽類の胴板を更新する場合、大型のクレーンを使用して、一括または分割して塔槽類全体を撤去し、塔槽類全体を新たなものに更新する工法がある。
また、胴板のうち腐食した円筒状胴板部分だけを更新する工法がある。この工法では、例えば、更新する円筒状胴板部分が胴板の中間部の場合、大型のクレーンを使用して、上部胴を撤去した後、更新する円筒状胴板部分を一体的に撤去し、新規の一体的な円筒状胴板部分を取り付けた後、撤去した上部胴を元に戻す。
【0003】
また、胴板の腐食し減肉した部分の内面全周に例えば2〜3mmのステンレス鋼薄板を溶接により貼り付けるというステンレス板ライニング工法がある。
また、胴板の腐食し減肉した部分の内面に溶融したハステロイやインコネル等の耐食金属粒子を吹き付けて、ポーラスな耐食性皮膜を形成するという金属溶射工法がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、塔槽類全体を更新する工法では、数ヶ月程度の長期の工期が必要になり、操業が長期間に亘って停止するという問題がある。また、大型クレーン設置および機器仮置場等に非常に広いスペースが必要となるため、周辺機器を一時撤去する必要がある。また、全体を更新するとともに、周辺機器の撤去等が必要になることから、工事費用が高くなる。また、工事における危険性が大きい。
【0005】
また、胴板のうち腐食した円筒状胴板部分を一体的に撤去し、新規の一体的な円筒状胴板部分を取り付ける工法では、3〜4ヶ月程度の工期が必要になるという問題がある。また、大型クレーン設置および機器仮置場等に非常に広いスペースが必要となる、工事費用が高くなる、あるいは工事の危険性が大きいという問題がある。
【0006】
また、ステンレス板ライニング工法では、胴板を更新するのではないので、施工信頼性が低い、あるいはいずれ再補修が必要となるという問題がある。また、費用対効果度が低い、あるいは腐食が進み胴板が薄くなりすぎると対応できないなどの問題がある。
また、金属溶射工法では、応急処理である、施工範囲が広い場合は適さない、あるいは腐食環境により溶射皮膜が剥がれる場合があるなどの問題がある。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、短い工事期間でかつ安い工事費用で、塔槽類の胴板を部分的に更新することができる塔槽類の胴板の部分更新工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、塔槽類の胴板の一部分の円筒状胴板部分を更新する工法であって、更新する前記円筒状胴板部分を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板を取り付けることを繰り返すことにより、前記円筒状胴板部分を更新する工法であり、更新する前記円筒状胴板部分を3〜4mの高さ範囲に設定することを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明においては、更新する円筒状胴板部分を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板(新しい部分胴板)を取り付けることを繰り返すことにより、3〜4mの高さ範囲で円筒状胴板部分を更新するので、短い工事期間でかつ安い工事費用で円筒状胴板部分を更新することができる。すなわち、更新する円筒状胴板部分を周方向に部分的に新たな部分胴板に次々に取り替えてゆくことにより、新たな円筒状胴板部分にするので、塔槽類全体や上部部分全体を撤去したりする必要がなく、塔槽類が現場でそのまま立った状態で更新作業を行うことができるため、工事期間を短くできるとともに、工事費用を安くすることができる。特に、工事期間を短くできることは、設備全体の稼働停止期間を短くでき、稼働停止に伴う損失を低減できる。また、円筒状胴板部分の一部の取り除きおよび新規部分胴板の取り付けにより円筒状胴板部分の更新を行うので、取り扱う部材が大型でないため、取り扱いが容易であるとともに、工事スペースも小さくて済み、また動員する作業員数を少なくすることができて施工安全性を向上させることができる。また、ライニング工法や金属溶射工法などの補修と異なり、胴板が腐食して減肉している部分を新しい部材に置き換える工法であるので、塔槽類の機械的強度を回復することができ、その寿命を大幅に延長することができる。
【0010】
請求項2に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1に記載の発明において、前記新規部分胴板は、前記円筒状胴板部分を周方向に複数個に略均等に分割した場合に得られるものであることを特徴とする。
ここで、略均等に分割としたのは、新規部分胴板は円筒状胴板部分を周方向に基本的には均等に分割した場合に得られるものであるが、ノズル等の部材が分割する位置に位置する場合などに分割箇所(分割線)を周方向に多少移動させる必要がある場合があるからである。
【0011】
請求項2に記載の発明においては、新規部分胴板を略同一形状のものにすることができるので、新規部分胴板の製作および取付作業を効率化することができる。
【0012】
請求項3に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記円筒状胴板部分の周方向の対向する2箇所を部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ前記新規部分胴板を取り付けることを繰り返すことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、円筒状胴板部分の周方向の対向する2箇所の部分を切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ新規部分胴板を取り付けることを繰り返すので、両開口が生じた状態において、円筒状胴板部分の周方向における断面係数のバランスが良く、強度上安定したものとすることができる。
【0014】
請求項4に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明において、前記開口の周方向の寸法を、取り付ける前記新規部分胴板の周方向寸法よりも大きくすることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明においては、円筒状胴板部分の周方向の一部を取り除いて生じる開口と新規部分胴板との間に、円筒状胴板部分の周方向に隙間を設けることができるので、この隙間を使って、コード等の作業具などを挿入したり、作業をしたり、あるいは隙間を通して作業員が胴板内に出入りすることなどができ、作業性を高めることができる。
【0016】
請求項5に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記開口を形成する前に、前記円筒状胴板部分の近傍の胴板の全周に渡って変形防止用補強部材を取り付けることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明においては、円筒状胴板部分の近傍の胴板の全周に渡って変形防止用補強部材を取り付けるので、円筒状胴板部分の更新作業中に、この円筒状胴板部分の近傍の胴板部分の横断面形状が変形するのを防止することができる。
【0018】
請求項6に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記開口を形成する前に、前記円筒状胴板部分に更新部分補強部材を取り付けることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明においては、円筒状胴板部分に更新部分補強部材を取り付けるので、円筒状胴板部分が腐食等による強度の低下が大きい場合でも、強度不足状態に陥ることなく、円筒状胴板部分の周方向の一部を取り除くことができる。
【0020】
請求項7に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記開口を形成するための切断位置決めの目印となるように、前記円筒状胴板部分の内側から外側に向けて穴を開けることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明においては、円筒状胴板部分の内側に内部品等の位置に合わせた罫書線を記入した後に、前記穴を目印にして筒状円筒部分の外側に開口を形成する切断のための罫書線を容易にかつ正確に記入することができる。
【0022】
請求項8に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、工場において、前記新規部分胴板を製作して、新たな円筒状胴板部分に仮組して確認した後、更新作業を行う現場に搬送することを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明においては、現場での更新作業の手間を少なくして、より工期を短縮することができる。
【0024】
請求項9に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記円筒状胴板部分の周方向に沿ってトロリービームを設け、このトロリービームを用いて前記新規部分胴板等の部材を前記円筒状胴板部分の周方向の移動を行うことを特徴とする。
【0025】
請求項9に記載の発明においては、円筒状胴板部分の周囲に他の機器が接近していたりして、クレーン等を使用できない周方向の範囲がある場合でも、トロリービームを用いて新規部分胴板等の部材をそのような周方向の範囲に安全かつ容易に移動させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の塔槽類の胴板の部分更新工法によれば、短い工事期間でかつ安い工事費用で、塔槽類の胴板を部分的に更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る主蒸留塔の胴板の部分更新工法を示す図であって、円筒状胴板部分の更新範囲を示す断面図である。
【図2】工場における作業工程を示す図であって、工場において製作する新規分割板を示す斜視図である。
【図3】同、工場において製作する部品例を示す図であって、(a)はノズルの図であり、(b)はマンホールの図であり、(c)はトレイ用内部品を示す図であり、(d)は新規取付用外部品を示す図である。
【図4】同、工場において製作するノズル付き新規分割板を示す斜視図である。
【図5】同、新規分割板を組み立て、仮止め溶接した状態を示す斜視図である。
【図6】同、円筒状に仮止めした新規分割板に罫書きを行った状態を示す斜視図である。
【図7】同、円筒状に仮止めした新規分割板に内部品および外部品を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】同、新規分割板の接続部を示す部分横断面図である。
【図9】同、円筒状に仮止めした新規分割板を単品の新規分割板に分解した状態を示す斜視図である。
【図10】工事現場における作業工程を示す図であって、円筒状胴板部分に出入口を設けた状態を示す断面図である。
【図11】同、罫書きおよび切断機ガイド用クリップ、トロリービーム取付用クリップの取り付けを行った状態を示す正面図である。
【図12】同、トロリービーム、切断機ガイドの取り付け、および新規分割板を取り付ける開口を形成するために円筒状胴板部分の上下を円弧状に切断した状態を示す斜視図である。
【図13】同、新規分割板を取り付ける開口を形成するために円筒状胴板部分の上下を円弧状に切断した状態、および新規分割板の取付の順序を示す平面図である。
【図14】同、新規分割板を取り付ける開口を円筒状胴板部分の周方向の対向する2箇所に形成した状態を示す斜視図である。
【図15】同、開口に新規分割板を取り付ける状態を示す斜視図である。
【図16】同、円筒状胴板部分全部が新たな円筒状胴板部分となった状態を示す斜視図である。
【図17】同、トロリービームを利用した新規分割板の取付方法を示す側面図である。
【図18】同、トロリービームを利用した新規分割板の取付方法を示す正面図である。
【図19】同、新規分割板と新規分割板との接続部にトレイサポートリングの切欠部材を取り付ける状態を示す概略平面図である。
【図20】同、新規分割板と新規分割板との接続部にトレイサポートリングの切欠部材を取り付けた状態を示す要部の斜視図である。
【図21】変形防止用補強部材および更新部分補強部材を設けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
この実施の形態は、本発明を石油精製装置の常圧蒸留装置や減圧蒸留装置の主蒸留塔の胴板を部分的に更新する場合に適用したものである。
【0029】
この実施の形態に係る主蒸留塔の胴板の部分更新工法においては、まず、胴板の腐食等により減肉した部分を調査し、更新する範囲を決定する。本実施の形態の主蒸留塔は、横断面形状が円筒形の大型の塔(蒸留塔)であり、その胴部の胴板の直径はおよそ4〜10m程度のものである。そして、図1に示すように、主蒸留塔の胴板1のうちの上下方向の中間部の一部分の円筒状胴板部分2を新しいものに変更する。この例では、この更新する円筒状胴板部分2は、12段目のトレイ11の下側から15段目のトレイ11の上側の部分までの部分であり、その寸法は例えばおよそ3〜4m程度である。偶数段目(12段目、14段目)および奇数段目(13段目、15段目)のトレイ11はそれぞれ、骨組み構造のメジャービーム12の下面側および上面側に設けられている。
【0030】
そして、この主蒸留塔の胴板の部分更新工法においては、この円筒状胴板部分2を周方向に複数個に均等に分割した場合に得られる形状の分割板を新たに製作し、前記円筒状胴板部分2を周方向に部分的に刳り抜いて生じた開口分に、この新規分割板を嵌め込み溶接することを繰り返すことにより、円筒状胴板部分2を新たな円筒状胴板部分に変更する。
【0031】
前記新規分割板は、予め工場において製作し、現場に搬送する。
ここで、新規分割板の製作方法を説明する。
なお、この工場での製作作業の前に、新規分割板等を製作するための主蒸留塔の円筒状胴板部分2を含む各部の寸法および状況等を把握しておくのは勿論のことである。
まず、図2に示すように、新規分割板(新規部分胴板)3は、更新する円筒状胴板部分2を周方向に均等に複数個(この例では12個)に分割した場合に得られる形状である方形の円弧板状(正面視において方形でかつ平面視において円弧形の板状)のものである。この新規分割板3は、所定寸法の方形の板材を切断した後、所定の円弧面に曲げ加工することにより製作する。この新規分割板3の四方の外周には、溶接のための開先加工を施す。また、新規分割板3の他に、図3(a)、(b)に示すように、ノズル21、マンホール22や、図3(c)に示すように、トレイ用内部品(サポートリング23、クランプバー24、ボルトバー25、フットレスト26など)や、図3(d)に示すように、新規取付用外部品(移動用リフトラグ27、踊り場/梯子用クリップ28など)を製作する。図4に示すように、ノズル付き新規分割板3の場合には、新規分割板3にノズル21を溶接し、溶接箇所の検査をしておく。なお、ノズル21の近傍には、ノズル21に他の部材等が接触してノズル21が変形したり、損傷したりするのを防止するノズル変形防止部材29を取り付けておく。
【0032】
次いで、図5に示すように、12枚の新規分割板3を円筒形になるように組み立て、仮止め溶接する。
次いで、図6に示すように、各新規分割板3の上下中央部にそれぞれ、基準方位31を記入する。また、サポートリング23、クランプバー24、ボルトバー25、フットレスト26などの内部品を取り付けるための罫書線32を記入する。また、移動用リフトラグ27、梯子用クリップ28など外部品を取り付けるための罫書線33を記入する。
【0033】
次いで、図7に示すように、内部品および外部品を取り付ける。また、トロリー移動用の移動用リフトラグ27を取り付ける。なお、図8に示すように、各新規分割板3の接続部には、部品(例えばトレイサポートリング)を取り付けないでおき、現場にて取り付ける。
そして、内外部品の取付が完了したら、図9に示すように、仮止溶接を除去し、単品の新規分割板3に分解する。その後、これらの新規分割板3を工事現場に搬送する。
【0034】
次に、現場において、前記円筒状胴板部分2を更新する方法を説明する。
まず、円筒状胴板部分2の近傍に、足場およびトロリーステーションを仮設する。
次いで、円筒状胴板部分2の周囲の保温材を解体する。
次いで、更新作業に障害となる配管および外部品を一時的に取り外す。
次いで、図10に示すように、円筒状胴板部分2の12段目のトレイ11と13段目のトレイとの間、および12段目のトレイ11と13段目のトレイとの間にそれぞれ、孔を開けることにより出入口4を設ける。そして、円筒状胴板部分2の更新範囲の部分のトレイ11に設置されているトレイフロア14やダウンカマー15等を取り外して、これらの出入口4から外部に搬出する。この出入口4は、もう少し個数を増やしてもよいし、あるいは1個でもよい。なお、メジャービーム12はそのままにしておく。
【0035】
次いで、図11に示すように、円筒状胴板部分2の内側に、既設のサポートリングを基準に切断位置(切断線)を罫書く。その後、この切断のための罫書線の交点(基準となる点)にドリルで円筒状胴板部分2の内側から外側に穴あけする。その後、円筒状胴板部分2の外側に、この穴37を基準に切断のための罫書線38を記入する。また、基準方位39を記入しておく。その後、外側の罫書線38を基準に、上下の切断位置の下側の胴板1の外側(外面)にそれぞれ、切断機ガイド用のクリップ41を周方向に沿って間隔をおいて溶接により取り付ける。また、切断した切断胴板部分および新規分割板3を円筒状胴板部分2の周囲で移動するためのトロリービーム取付用のクリップ42を溶接により取り付ける。このトロリービーム取付用クリップ42は、円筒状胴板部分2の上側でかつ周方向に沿って全周に取り付ける(同図においてはクリップ42の一部の図示を省略している。)。
【0036】
次いで、図12、図13に示すように、トロリービーム取付用クリップ42にトロリービーム45を取り付け、トロリービーム45を円筒状胴板部分2の上側でかつ周方向に沿って全周に設ける(各図においてはトロリービーム45の一部の図示を省略している。)。また、切断機ガイド用クリップ41に切断機ガイド46を取り付ける。この切断機ガイド46は、円筒状胴板部分2の上下の切断部のうち、1回の切断範囲に設置され、この切断範囲が移動するにつれて、取付位置を周方向に移動させる。また、メジャービーム12をボルトバーから取り外し、円筒状胴板部分2の下側のトレイ11(11段目のトレイ11)上に置いておき、後述の開口が形成されたときに、外部に搬出する。
【0037】
次いで、新規分割板3を取り付けるための開口を形成する。この開口は、円筒状胴板部分2のうち、周方向の対向する(平面視において点対象に位置する)2箇所の部分に設ける。すなわち、図12、図13に示すように、まず、周方向の対向する2箇所の部分においてそれぞれ、切断機ガイド46を用いて、円筒状胴板部分2の上下を周方向に沿って円弧状に切断する。この切断部の長さはこの開口に取り付けられる新規分割板3の幅よりも両側に少し長く設定されている。その後、図14に示すように、上下の切断部の左右端部をそれぞれつなげるように上下に切断して、円筒状胴板部分2の周方向の対向する2箇所の部分を方形の円弧板状(正面視において方形でかつ平面視において円弧形の板状)に刳り抜く。この切断された方形の円弧板状の切断胴板部分は、トロリービーム45を利用して移動し撤去する。その後、このように切断されて形成された方形の円弧板状の開口6の上下にはそれぞれ、溶接用の開先加工を施す。
【0038】
次いで、図15に示すように、円筒状胴板部分2の周方向に対向して形成された開口6にそれぞれ、新規分割板3を取り付ける。すなわち、開口6の所定位置に新規分割板3を嵌め込み、新規分割板3の上下をそれぞれ円筒状胴板部分2の上下の胴板1に溶接により固定する。この際、基準方位39と基準方位31とを位置合わせして、新規分割板3を所定固定位置からずれのないようにする。新規分割板3は、トロリービーム45に利用して移動する。
【0039】
その後、同様にして、円筒状胴板部分2の周方向の対向する2箇所の部分に開口6を形成し、各開口6に新規分割板3を取り付けることを繰り返す。隣接する新規分割板3同士は、溶接により突き合せ接合する。開口6の形成および新規分割板3の取付の順序は、例えば図13に矢印と順番の番号で示しているように行う。すなわち、既に対向するように取り付けられた2つの新規分割板3の隣に、互いに周方向に対向するように2つずつ順次取り付けてゆく。既設の新規分割板3の隣に次の新規分割板3を取り付けるときには、既設の新規分割板3に次の新規分割板3を溶接(縦方向の溶接)により突き合せ接合し、その後前記次の新規分割板3の上下をそれぞれ円筒状胴板部分2の上側および下側の胴板1の部分に溶接(横方向の溶接)により接合する。これにより、図16に示すように、円筒状胴板部分2全部が新たな円筒状胴板部分となる。なお、新規のメジャービーム12は、メジャービーム12取付部の新規分割板3を取り付けた際に、ボルトバーに取り付ける。
【0040】
なお、従来(旧)のメジャービーム12が取り付けられている部分を最後まで残すようにして開口6の形成および新規分割板3の取付を行うようにすると、この従来のメジャービーム12が円筒状胴板部分2の更新作業時の補強部材として機能するので好ましい。または、従来のメジャービーム12が取り付けられている部分に最初に開口6の形成および新規分割板3の取付を行い、従来のメジャービーム12に代えて新規のメジャービーム12を取り付けから、他の開口6の形成および新規分割板3の取付を行うようにすると、この新規のメジャービーム12が更新作業時の補強部材として機能するので好ましい。
【0041】
ここで、トロリービーム45を利用した新規分割板3の取付方法について、詳しく説明する。
図17、図18に示すように、トロリービーム45に一対のギヤトロリー51が水平移動自在に設けられ、各ギヤトロリー51にそれぞれチェーンブロック52が取り付けられている。そして、例えば、既設の新規分割板3の隣に次の新規分割板3を取り付ける場合には、トロリーステーションにおいて、チェーンブロック52に新規分割板3の外面に設けられたリフトラグ27を取り付けることにより、新規分割板3をチェーンブロック52で保持し、その後トロリービーム45に沿って移動するギヤトロリー51と、新規分割板3を上下移動可能なチェーンブロック52とにより、円筒状胴板部分2の開口6の前に移動させる。
【0042】
新規分割板3には、方形板状の仮付け溶接治具54、55を設けておく。仮付け溶接治具54は、新規分割板3の外面の上下端部および既設の新規分割板3側の側端部に設けられており、新規分割板3が開口6に嵌め込まれた際に、胴板1の外面および既設の新規分割板3の外面に当接して、開口6に対して開口6の内外方向の位置決めするようになっている。また、仮付け溶接治具55は、新規分割板3の内面の下端部に設けられており、新規分割板3が開口6に嵌め込まれた際に、開口6の下辺(下側)を形成する胴板1の端面に当接して、開口6に対して開口6の上下方向の位置決めするようになっている。
【0043】
そして、図17に示すように、開口6の前に移動している新規分割板3を開口6に嵌め込むには、新規分割板3の内面の上下に設けられた2つのリフトラグ27a、27bのうちの下側のリフトラグ27aをまず開口6側に引いて、仮付け溶接治具55を開口6の下辺(下側)を形成する胴板1の端面に当接させる。次いで、上側のリフトラグ27bを開口6側に引いて、図18に示すように、胴板1の外面および既設の新規分割板3の外面に当接させる。このようにして、既設の新規分割板3に隣接させて開口6に新規分割板3を嵌め込んだ後、円筒状胴板部分2の上側および下側の胴板ならびに既設の新規分割板3に、新規分割板3を仮付け溶接する。その後、正規の溶接をして開口6に新規分割板3を取り付ける。
【0044】
円筒状胴板部分2全部を新規分割板3により新たな円筒状胴板部分とした後は、トロリービーム45、切断機ガイド46を取り外し、その後トロリービーム用クリップ42、切断機ガイド用クリップ41を取り外す。また、新規分割板3に取り付けられた移動用リフトラグ27、ノズル変形防止用部材29を撤去する。
【0045】
次いで、図19、図20に示すように、新規分割板3と新規分割板3との接続部にトレイサポートリングの切欠部材23aを溶接により取り付ける。
このようにして、円筒状胴板部分2を新たな円筒状胴板部分にした後、トレイを組み込む。
次いで、一時撤去した障害配管および外部品を元に戻す。
次いで、新たな円筒状胴板部分の周囲に保温材を設ける。
次いで、足場およびトロリーステーションを撤去する。
【0046】
このような主蒸留塔の胴板の部分更新工法にあっては、更新する円筒状胴板部分2を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口6に新規分割板3を取り付けることを繰り返すことにより、円筒状胴板部分2を更新する。すなわち、更新する円筒状胴板部分2を周方向に部分的に新規分割板3に次々に取り替えてゆくことにより、新たな円筒状胴板部分にするので、主蒸留塔全体や更新する円筒状胴板部分2より上側の上部部分全体を撤去したりする必要がなく、主蒸留塔が現場で立塔状態のままで更新作業を行うことができるため、工事期間を短くできるとともに、工事費用を安くすることができる。特に、工事期間を短くできることは、設備全体の稼働停止期間を短くでき、稼働停止に伴う損失を低減できる。そして、石油精製装置等の分野では稼働停止期間をできるだけ短くすることが強く望まれているので、この更新工法は有効である。
【0047】
また、円筒状胴板部分2の一部の切断胴板部分を取り除きそして新規分割板3の取り付けをすることにより、円筒状胴板部分2の更新を行うので、取り扱う部材が大型でないため、取り扱いが容易であるとともに、工事スペースも小さくて済み、さらに動員する作業員数を少なくすることができて施工安全性を向上させることができる。
また、ライニング工法や金属溶射工法などの補修と異なり、胴板1が腐食して減肉している部分を新しい部材に置き換える工法であるので、主蒸留塔の機械的強度を回復することができ、その寿命を大幅に延長することができる。
【0048】
また、新規分割板3が筒状胴板部分2を周方向に複数個に均等に分割した場合に得られるものであるので、新規分割板3を同一形状のものにすることができるため、新規分割板3の製作および取付作業を効率化することができる。なお、新規分割板3は基本的には筒状胴板部分2を周方向に均等に分割した場合に得られるものであるが、ノズル21等の部材が分割する位置に位置する場合などには分割箇所(分割線)を周方向に多少移動させる場合があり、この場合には新規分割板3の周方向の寸法が少し異なる。
【0049】
また、円筒状胴板部分2の周方向の対向する2箇所の切断胴板部分を切断して取り除き、取り除いて生じた各開口6にそれぞれ新規分割板板3を取り付けることを繰り返すので、両開口6が生じた状態において、円筒状胴板部分2の周方向における断面係数のバランスが良く、強度上安定したものとすることができる。さらに、新規分割板3の周方向の寸法が同じであり、各開口6が同一寸法のものであるので、円筒状胴板部分2の周方向における断面係数のバランスがさらに良好なものになっている。
【0050】
また、円筒状胴板部分2から取り除く切断胴板部分の周方向の寸法を、取り付ける新規分割板3の周方向寸法よりも大きく設定しているので、切断胴板部分を取り除いて生じる開口6と新規分割板3との間に、円筒状胴板部分2の周方向に隙間を設けることができるため、この隙間を利用して、コード等の作業具などを挿入したり、作業をしたり、あるいは隙間を通して作業員が胴板内に出入りすることなどができ、作業性を高めることができる。
【0051】
また、切断胴板部分を取り除くための切断位置決めの目印となるように、円筒状胴板部分2の内側から外側に向けて穴37を開けるので、円筒状胴板部分2の内側に内部品等の位置に合わせた罫書線を記入した後に、穴37を目印にして筒状円筒部分2の外側に切断胴板部分の切断のための罫書線を容易にかつ正確に記入することができる。
また、予め、工場において、新規分割板3を製作して、円筒状胴板部分に仮組して確認した後、更新作業を行う工事現場に搬送するので、現場での更新作業の手間を少なくして、より工期を短縮することができる。
【0052】
また、円筒状胴板部分2の周方向の全周にトロリービーム45を設け、このトロリービーム45を用いて切断胴板部分や新規分割板3等の部材を円筒状胴板部分2の周方向の移動を行うようにしたので、円筒状胴板部分2の周囲に他の機器が接近していたりして、クレーン等を使用できない周方向の範囲がある場合でも、トロリーステーションとそのような周方向の範囲とをトロリービーム45を用いて新規分割板3等の部材を安全かつ容易に移動させることができる。なお、トロリービーム45を円筒状胴板部分2の周方向の一部に設けるようにすることもできる。例えば、円筒状胴板部分2の周囲に他の機器が接近していたりして、クレーン等を使用できない周方向の範囲が全周の2/3程度である場合は、この範囲とトロリービーム45を設けるようにしてもよい。
【0053】
なお、上述の実施の形態において、更新する円筒状胴板部分2の腐食進行が激しくて減肉が大きい場合には、補強部材を設けるのが好ましい。
この補強部材としては、例えば、図21に示すように、円筒状胴板部分2から切断胴板部分を取り除く前に、円筒状胴板部分2の近傍の上側および下側の胴板1の外面にそれぞれ、全周に渡って変形防止用補強部材61を溶接により取り付ける。この変形防止用補強部材61を設けることにより、円筒状胴板部分2から切断胴板部分を取り除いて開口6を形成したり、あるいは新規分割板3を溶接した際に、この円筒状胴板部分2の近傍の胴板1部分の横断面形状が変形するのを防止することができ、円筒形(真円)を維持することができる。変形防止用補強部材61は、円筒状胴板部分2を新たな円筒状部材にした後は、胴板1から取り外す。変形防止用補強部材61は、例えば、H形鋼等の形鋼などから構成することができる。この変形防止用補強部材61は、例えば、胴板1の外面の全周に巻き付けて、溶接等により固定する。変形防止用補強部材61は、円筒状胴板部分2の近傍の上側または下側の胴板の外面の一方に設けるようにしてもよい。
【0054】
また、円筒状胴板部分2から切断胴板部分を取り除く前に、円筒状胴板部分2の外面に縦方向に延びる更新部分補強部材63を周方向に間隔をおいて複数個を溶接により取り付ける。この更新部分補強部材63を設けることにより、円筒状胴板部分2が腐食等による強度の低下が大きい場合でも、強度不足状態に陥ることなく、円筒状胴板部分2から切断胴板部分を取り除いて開口6を形成することができる。この更新部分補強部材63は、円筒状胴板部分2から切断胴板部分を取り除いて開口6を形成する際に、切断胴板部分とともに(切断胴板部分に取り付いた状態で)円筒状胴板部分2から取り除かれる。更新部分補強部材63は、例えば、H形鋼等の形鋼などから構成することができる。この更新部分補強部材63は、例えば、円筒状胴板部分2の外面に溶接等により固定する。更新部分補強部材63は、1個だけ設けるようにしてもよい。また、更新部分補強部材63を複数個設ける場合に、それらの間隔が均等でなくてもよい。また、更新部分補強部材63は上下方向だけでなく、斜めなど他の方向に向けて設けてもよい。
なお、図21において、符号65は足場である。
【0055】
また、前述の実施の形態では、円筒状胴板部分2の周方向の対向する2箇所ずつ、新規分割板3に取り替えていくようにしたが、これに代えて、円筒状胴板部分2の周方向の対向する箇所でない2箇所の部分を切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ新規部分胴板を取り付けることを繰り返すようにしてもよい。
また、円筒状胴板部分2の周方向の均等に間隔をおいた3箇所以上の複数箇所の部分を切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ新規部分胴板を取り付けることを繰り返すようにしてもよいし、さらには均等な間隔でない3箇所以上の複数箇所の部分を切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ新規部分胴板を取り付けることを繰り返すようにしてもよい。
また、円筒状胴板部分2の周方向の1箇所の部分を切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板を取り付けることを繰り返すようにしてもよい。
このように、円筒状胴板部分2の周方向の1または複数個の部分に開口を形成する場合には、前記開口を形成した際に、円筒状胴板部分2が変形したり、損傷したりしないような強度を保つことができるように、個数、位置、開口の大きさを決定するようにする。
【0056】
また、前述の実施の形態では、新規分割板3をこの円筒状胴板部分2を周方向に複数個に均等に分割した場合に得られる形状の部分胴板に形成したが、これに代えて、均等に分割せずに周方向の寸法が異なる複数個の部分胴板として形成してもよい。なお、部分胴板は円筒状胴板部分2を周方向に少なくとも4個以上に分割したものであることが好ましい。
【0057】
また、前述の実施の形態では、既に取り付けられた新規分割板3の隣に、開口6を形成し、次の新規分割板3を取り付けるようにしたが、これに代えて、既に取り付けられた新規分割板3と間隔をおいて開口6を形成し、新規分割板3を取り付けるようにしてもよい。
【0058】
また、前述の実施の形態では、形成する開口6の周方向の寸法を、取り付ける新規分割板3の周方向寸法よりも大きく設定したが、ほぼ同じ寸法にして、新規分割板を取り付けるようにしてもよい。
【0059】
また、前述の実施の形態では、新規分割板3の材質等は円筒状胴板部分2と同様のものを用いたが、新規分割板3に他の材料を用いてもよいし、あるいは、新規分割板3にクラッド鋼を用いたり、新規分割板3の内面にライニング等を施すなどして耐食性等を高めるようにしてもよい。
【0060】
また、前述の実施の形態では、出入口4を設けて、塔内の内部品を外部に搬出するなどしたが、この出入口を設けずに、前記開口6から内部品の搬出等を行うようにしてもよい。
【0061】
また、前述の実施の形態では、本発明を主蒸留塔の胴板を部分的に更新する場合に適用したが、本発明はこれに限らず、他の塔あるいは槽にも適用することができる。また、本発明を用いて、1つの塔槽類の胴板の一部分の円筒状胴板部分を更新した後、他の部分の円筒状胴板部分を更新することも勿論できる。
【符号の説明】
【0062】
1 胴板
2 円筒状胴板部分
3 新規分割板(新規部分胴板)
6 開口
37 穴
61 変形防止用補強部材
63 更新部分補強部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、塔槽類の胴板を部分的に更新する塔槽類の胴板の部分更新工法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油精製装置の常圧蒸留装置や減圧蒸留装置の主蒸留塔などの塔槽類では、長年の使用により胴板の一部分が腐食により減肉した場合、更新や補修をする必要がある。
主蒸留塔などの大型の塔槽類の胴板を更新する場合、大型のクレーンを使用して、一括または分割して塔槽類全体を撤去し、塔槽類全体を新たなものに更新する工法がある。
また、胴板のうち腐食した円筒状胴板部分だけを更新する工法がある。この工法では、例えば、更新する円筒状胴板部分が胴板の中間部の場合、大型のクレーンを使用して、上部胴を撤去した後、更新する円筒状胴板部分を一体的に撤去し、新規の一体的な円筒状胴板部分を取り付けた後、撤去した上部胴を元に戻す。
【0003】
また、胴板の腐食し減肉した部分の内面全周に例えば2〜3mmのステンレス鋼薄板を溶接により貼り付けるというステンレス板ライニング工法がある。
また、胴板の腐食し減肉した部分の内面に溶融したハステロイやインコネル等の耐食金属粒子を吹き付けて、ポーラスな耐食性皮膜を形成するという金属溶射工法がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、塔槽類全体を更新する工法では、数ヶ月程度の長期の工期が必要になり、操業が長期間に亘って停止するという問題がある。また、大型クレーン設置および機器仮置場等に非常に広いスペースが必要となるため、周辺機器を一時撤去する必要がある。また、全体を更新するとともに、周辺機器の撤去等が必要になることから、工事費用が高くなる。また、工事における危険性が大きい。
【0005】
また、胴板のうち腐食した円筒状胴板部分を一体的に撤去し、新規の一体的な円筒状胴板部分を取り付ける工法では、3〜4ヶ月程度の工期が必要になるという問題がある。また、大型クレーン設置および機器仮置場等に非常に広いスペースが必要となる、工事費用が高くなる、あるいは工事の危険性が大きいという問題がある。
【0006】
また、ステンレス板ライニング工法では、胴板を更新するのではないので、施工信頼性が低い、あるいはいずれ再補修が必要となるという問題がある。また、費用対効果度が低い、あるいは腐食が進み胴板が薄くなりすぎると対応できないなどの問題がある。
また、金属溶射工法では、応急処理である、施工範囲が広い場合は適さない、あるいは腐食環境により溶射皮膜が剥がれる場合があるなどの問題がある。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、短い工事期間でかつ安い工事費用で、塔槽類の胴板を部分的に更新することができる塔槽類の胴板の部分更新工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、塔槽類の胴板の一部分の円筒状胴板部分を更新する工法であって、更新する前記円筒状胴板部分を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板を取り付けることを繰り返すことにより、前記円筒状胴板部分を更新する工法であり、更新する前記円筒状胴板部分を3〜4mの高さ範囲に設定することを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明においては、更新する円筒状胴板部分を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板(新しい部分胴板)を取り付けることを繰り返すことにより、3〜4mの高さ範囲で円筒状胴板部分を更新するので、短い工事期間でかつ安い工事費用で円筒状胴板部分を更新することができる。すなわち、更新する円筒状胴板部分を周方向に部分的に新たな部分胴板に次々に取り替えてゆくことにより、新たな円筒状胴板部分にするので、塔槽類全体や上部部分全体を撤去したりする必要がなく、塔槽類が現場でそのまま立った状態で更新作業を行うことができるため、工事期間を短くできるとともに、工事費用を安くすることができる。特に、工事期間を短くできることは、設備全体の稼働停止期間を短くでき、稼働停止に伴う損失を低減できる。また、円筒状胴板部分の一部の取り除きおよび新規部分胴板の取り付けにより円筒状胴板部分の更新を行うので、取り扱う部材が大型でないため、取り扱いが容易であるとともに、工事スペースも小さくて済み、また動員する作業員数を少なくすることができて施工安全性を向上させることができる。また、ライニング工法や金属溶射工法などの補修と異なり、胴板が腐食して減肉している部分を新しい部材に置き換える工法であるので、塔槽類の機械的強度を回復することができ、その寿命を大幅に延長することができる。
【0010】
請求項2に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1に記載の発明において、前記新規部分胴板は、前記円筒状胴板部分を周方向に複数個に略均等に分割した場合に得られるものであることを特徴とする。
ここで、略均等に分割としたのは、新規部分胴板は円筒状胴板部分を周方向に基本的には均等に分割した場合に得られるものであるが、ノズル等の部材が分割する位置に位置する場合などに分割箇所(分割線)を周方向に多少移動させる必要がある場合があるからである。
【0011】
請求項2に記載の発明においては、新規部分胴板を略同一形状のものにすることができるので、新規部分胴板の製作および取付作業を効率化することができる。
【0012】
請求項3に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記円筒状胴板部分の周方向の対向する2箇所を部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ前記新規部分胴板を取り付けることを繰り返すことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、円筒状胴板部分の周方向の対向する2箇所の部分を切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ新規部分胴板を取り付けることを繰り返すので、両開口が生じた状態において、円筒状胴板部分の周方向における断面係数のバランスが良く、強度上安定したものとすることができる。
【0014】
請求項4に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明において、前記開口の周方向の寸法を、取り付ける前記新規部分胴板の周方向寸法よりも大きくすることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明においては、円筒状胴板部分の周方向の一部を取り除いて生じる開口と新規部分胴板との間に、円筒状胴板部分の周方向に隙間を設けることができるので、この隙間を使って、コード等の作業具などを挿入したり、作業をしたり、あるいは隙間を通して作業員が胴板内に出入りすることなどができ、作業性を高めることができる。
【0016】
請求項5に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記開口を形成する前に、前記円筒状胴板部分の近傍の胴板の全周に渡って変形防止用補強部材を取り付けることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明においては、円筒状胴板部分の近傍の胴板の全周に渡って変形防止用補強部材を取り付けるので、円筒状胴板部分の更新作業中に、この円筒状胴板部分の近傍の胴板部分の横断面形状が変形するのを防止することができる。
【0018】
請求項6に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記開口を形成する前に、前記円筒状胴板部分に更新部分補強部材を取り付けることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明においては、円筒状胴板部分に更新部分補強部材を取り付けるので、円筒状胴板部分が腐食等による強度の低下が大きい場合でも、強度不足状態に陥ることなく、円筒状胴板部分の周方向の一部を取り除くことができる。
【0020】
請求項7に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記開口を形成するための切断位置決めの目印となるように、前記円筒状胴板部分の内側から外側に向けて穴を開けることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明においては、円筒状胴板部分の内側に内部品等の位置に合わせた罫書線を記入した後に、前記穴を目印にして筒状円筒部分の外側に開口を形成する切断のための罫書線を容易にかつ正確に記入することができる。
【0022】
請求項8に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、工場において、前記新規部分胴板を製作して、新たな円筒状胴板部分に仮組して確認した後、更新作業を行う現場に搬送することを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明においては、現場での更新作業の手間を少なくして、より工期を短縮することができる。
【0024】
請求項9に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、前記円筒状胴板部分の周方向に沿ってトロリービームを設け、このトロリービームを用いて前記新規部分胴板等の部材を前記円筒状胴板部分の周方向の移動を行うことを特徴とする。
【0025】
請求項9に記載の発明においては、円筒状胴板部分の周囲に他の機器が接近していたりして、クレーン等を使用できない周方向の範囲がある場合でも、トロリービームを用いて新規部分胴板等の部材をそのような周方向の範囲に安全かつ容易に移動させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の塔槽類の胴板の部分更新工法によれば、短い工事期間でかつ安い工事費用で、塔槽類の胴板を部分的に更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る主蒸留塔の胴板の部分更新工法を示す図であって、円筒状胴板部分の更新範囲を示す断面図である。
【図2】工場における作業工程を示す図であって、工場において製作する新規分割板を示す斜視図である。
【図3】同、工場において製作する部品例を示す図であって、(a)はノズルの図であり、(b)はマンホールの図であり、(c)はトレイ用内部品を示す図であり、(d)は新規取付用外部品を示す図である。
【図4】同、工場において製作するノズル付き新規分割板を示す斜視図である。
【図5】同、新規分割板を組み立て、仮止め溶接した状態を示す斜視図である。
【図6】同、円筒状に仮止めした新規分割板に罫書きを行った状態を示す斜視図である。
【図7】同、円筒状に仮止めした新規分割板に内部品および外部品を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】同、新規分割板の接続部を示す部分横断面図である。
【図9】同、円筒状に仮止めした新規分割板を単品の新規分割板に分解した状態を示す斜視図である。
【図10】工事現場における作業工程を示す図であって、円筒状胴板部分に出入口を設けた状態を示す断面図である。
【図11】同、罫書きおよび切断機ガイド用クリップ、トロリービーム取付用クリップの取り付けを行った状態を示す正面図である。
【図12】同、トロリービーム、切断機ガイドの取り付け、および新規分割板を取り付ける開口を形成するために円筒状胴板部分の上下を円弧状に切断した状態を示す斜視図である。
【図13】同、新規分割板を取り付ける開口を形成するために円筒状胴板部分の上下を円弧状に切断した状態、および新規分割板の取付の順序を示す平面図である。
【図14】同、新規分割板を取り付ける開口を円筒状胴板部分の周方向の対向する2箇所に形成した状態を示す斜視図である。
【図15】同、開口に新規分割板を取り付ける状態を示す斜視図である。
【図16】同、円筒状胴板部分全部が新たな円筒状胴板部分となった状態を示す斜視図である。
【図17】同、トロリービームを利用した新規分割板の取付方法を示す側面図である。
【図18】同、トロリービームを利用した新規分割板の取付方法を示す正面図である。
【図19】同、新規分割板と新規分割板との接続部にトレイサポートリングの切欠部材を取り付ける状態を示す概略平面図である。
【図20】同、新規分割板と新規分割板との接続部にトレイサポートリングの切欠部材を取り付けた状態を示す要部の斜視図である。
【図21】変形防止用補強部材および更新部分補強部材を設けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
この実施の形態は、本発明を石油精製装置の常圧蒸留装置や減圧蒸留装置の主蒸留塔の胴板を部分的に更新する場合に適用したものである。
【0029】
この実施の形態に係る主蒸留塔の胴板の部分更新工法においては、まず、胴板の腐食等により減肉した部分を調査し、更新する範囲を決定する。本実施の形態の主蒸留塔は、横断面形状が円筒形の大型の塔(蒸留塔)であり、その胴部の胴板の直径はおよそ4〜10m程度のものである。そして、図1に示すように、主蒸留塔の胴板1のうちの上下方向の中間部の一部分の円筒状胴板部分2を新しいものに変更する。この例では、この更新する円筒状胴板部分2は、12段目のトレイ11の下側から15段目のトレイ11の上側の部分までの部分であり、その寸法は例えばおよそ3〜4m程度である。偶数段目(12段目、14段目)および奇数段目(13段目、15段目)のトレイ11はそれぞれ、骨組み構造のメジャービーム12の下面側および上面側に設けられている。
【0030】
そして、この主蒸留塔の胴板の部分更新工法においては、この円筒状胴板部分2を周方向に複数個に均等に分割した場合に得られる形状の分割板を新たに製作し、前記円筒状胴板部分2を周方向に部分的に刳り抜いて生じた開口分に、この新規分割板を嵌め込み溶接することを繰り返すことにより、円筒状胴板部分2を新たな円筒状胴板部分に変更する。
【0031】
前記新規分割板は、予め工場において製作し、現場に搬送する。
ここで、新規分割板の製作方法を説明する。
なお、この工場での製作作業の前に、新規分割板等を製作するための主蒸留塔の円筒状胴板部分2を含む各部の寸法および状況等を把握しておくのは勿論のことである。
まず、図2に示すように、新規分割板(新規部分胴板)3は、更新する円筒状胴板部分2を周方向に均等に複数個(この例では12個)に分割した場合に得られる形状である方形の円弧板状(正面視において方形でかつ平面視において円弧形の板状)のものである。この新規分割板3は、所定寸法の方形の板材を切断した後、所定の円弧面に曲げ加工することにより製作する。この新規分割板3の四方の外周には、溶接のための開先加工を施す。また、新規分割板3の他に、図3(a)、(b)に示すように、ノズル21、マンホール22や、図3(c)に示すように、トレイ用内部品(サポートリング23、クランプバー24、ボルトバー25、フットレスト26など)や、図3(d)に示すように、新規取付用外部品(移動用リフトラグ27、踊り場/梯子用クリップ28など)を製作する。図4に示すように、ノズル付き新規分割板3の場合には、新規分割板3にノズル21を溶接し、溶接箇所の検査をしておく。なお、ノズル21の近傍には、ノズル21に他の部材等が接触してノズル21が変形したり、損傷したりするのを防止するノズル変形防止部材29を取り付けておく。
【0032】
次いで、図5に示すように、12枚の新規分割板3を円筒形になるように組み立て、仮止め溶接する。
次いで、図6に示すように、各新規分割板3の上下中央部にそれぞれ、基準方位31を記入する。また、サポートリング23、クランプバー24、ボルトバー25、フットレスト26などの内部品を取り付けるための罫書線32を記入する。また、移動用リフトラグ27、梯子用クリップ28など外部品を取り付けるための罫書線33を記入する。
【0033】
次いで、図7に示すように、内部品および外部品を取り付ける。また、トロリー移動用の移動用リフトラグ27を取り付ける。なお、図8に示すように、各新規分割板3の接続部には、部品(例えばトレイサポートリング)を取り付けないでおき、現場にて取り付ける。
そして、内外部品の取付が完了したら、図9に示すように、仮止溶接を除去し、単品の新規分割板3に分解する。その後、これらの新規分割板3を工事現場に搬送する。
【0034】
次に、現場において、前記円筒状胴板部分2を更新する方法を説明する。
まず、円筒状胴板部分2の近傍に、足場およびトロリーステーションを仮設する。
次いで、円筒状胴板部分2の周囲の保温材を解体する。
次いで、更新作業に障害となる配管および外部品を一時的に取り外す。
次いで、図10に示すように、円筒状胴板部分2の12段目のトレイ11と13段目のトレイとの間、および12段目のトレイ11と13段目のトレイとの間にそれぞれ、孔を開けることにより出入口4を設ける。そして、円筒状胴板部分2の更新範囲の部分のトレイ11に設置されているトレイフロア14やダウンカマー15等を取り外して、これらの出入口4から外部に搬出する。この出入口4は、もう少し個数を増やしてもよいし、あるいは1個でもよい。なお、メジャービーム12はそのままにしておく。
【0035】
次いで、図11に示すように、円筒状胴板部分2の内側に、既設のサポートリングを基準に切断位置(切断線)を罫書く。その後、この切断のための罫書線の交点(基準となる点)にドリルで円筒状胴板部分2の内側から外側に穴あけする。その後、円筒状胴板部分2の外側に、この穴37を基準に切断のための罫書線38を記入する。また、基準方位39を記入しておく。その後、外側の罫書線38を基準に、上下の切断位置の下側の胴板1の外側(外面)にそれぞれ、切断機ガイド用のクリップ41を周方向に沿って間隔をおいて溶接により取り付ける。また、切断した切断胴板部分および新規分割板3を円筒状胴板部分2の周囲で移動するためのトロリービーム取付用のクリップ42を溶接により取り付ける。このトロリービーム取付用クリップ42は、円筒状胴板部分2の上側でかつ周方向に沿って全周に取り付ける(同図においてはクリップ42の一部の図示を省略している。)。
【0036】
次いで、図12、図13に示すように、トロリービーム取付用クリップ42にトロリービーム45を取り付け、トロリービーム45を円筒状胴板部分2の上側でかつ周方向に沿って全周に設ける(各図においてはトロリービーム45の一部の図示を省略している。)。また、切断機ガイド用クリップ41に切断機ガイド46を取り付ける。この切断機ガイド46は、円筒状胴板部分2の上下の切断部のうち、1回の切断範囲に設置され、この切断範囲が移動するにつれて、取付位置を周方向に移動させる。また、メジャービーム12をボルトバーから取り外し、円筒状胴板部分2の下側のトレイ11(11段目のトレイ11)上に置いておき、後述の開口が形成されたときに、外部に搬出する。
【0037】
次いで、新規分割板3を取り付けるための開口を形成する。この開口は、円筒状胴板部分2のうち、周方向の対向する(平面視において点対象に位置する)2箇所の部分に設ける。すなわち、図12、図13に示すように、まず、周方向の対向する2箇所の部分においてそれぞれ、切断機ガイド46を用いて、円筒状胴板部分2の上下を周方向に沿って円弧状に切断する。この切断部の長さはこの開口に取り付けられる新規分割板3の幅よりも両側に少し長く設定されている。その後、図14に示すように、上下の切断部の左右端部をそれぞれつなげるように上下に切断して、円筒状胴板部分2の周方向の対向する2箇所の部分を方形の円弧板状(正面視において方形でかつ平面視において円弧形の板状)に刳り抜く。この切断された方形の円弧板状の切断胴板部分は、トロリービーム45を利用して移動し撤去する。その後、このように切断されて形成された方形の円弧板状の開口6の上下にはそれぞれ、溶接用の開先加工を施す。
【0038】
次いで、図15に示すように、円筒状胴板部分2の周方向に対向して形成された開口6にそれぞれ、新規分割板3を取り付ける。すなわち、開口6の所定位置に新規分割板3を嵌め込み、新規分割板3の上下をそれぞれ円筒状胴板部分2の上下の胴板1に溶接により固定する。この際、基準方位39と基準方位31とを位置合わせして、新規分割板3を所定固定位置からずれのないようにする。新規分割板3は、トロリービーム45に利用して移動する。
【0039】
その後、同様にして、円筒状胴板部分2の周方向の対向する2箇所の部分に開口6を形成し、各開口6に新規分割板3を取り付けることを繰り返す。隣接する新規分割板3同士は、溶接により突き合せ接合する。開口6の形成および新規分割板3の取付の順序は、例えば図13に矢印と順番の番号で示しているように行う。すなわち、既に対向するように取り付けられた2つの新規分割板3の隣に、互いに周方向に対向するように2つずつ順次取り付けてゆく。既設の新規分割板3の隣に次の新規分割板3を取り付けるときには、既設の新規分割板3に次の新規分割板3を溶接(縦方向の溶接)により突き合せ接合し、その後前記次の新規分割板3の上下をそれぞれ円筒状胴板部分2の上側および下側の胴板1の部分に溶接(横方向の溶接)により接合する。これにより、図16に示すように、円筒状胴板部分2全部が新たな円筒状胴板部分となる。なお、新規のメジャービーム12は、メジャービーム12取付部の新規分割板3を取り付けた際に、ボルトバーに取り付ける。
【0040】
なお、従来(旧)のメジャービーム12が取り付けられている部分を最後まで残すようにして開口6の形成および新規分割板3の取付を行うようにすると、この従来のメジャービーム12が円筒状胴板部分2の更新作業時の補強部材として機能するので好ましい。または、従来のメジャービーム12が取り付けられている部分に最初に開口6の形成および新規分割板3の取付を行い、従来のメジャービーム12に代えて新規のメジャービーム12を取り付けから、他の開口6の形成および新規分割板3の取付を行うようにすると、この新規のメジャービーム12が更新作業時の補強部材として機能するので好ましい。
【0041】
ここで、トロリービーム45を利用した新規分割板3の取付方法について、詳しく説明する。
図17、図18に示すように、トロリービーム45に一対のギヤトロリー51が水平移動自在に設けられ、各ギヤトロリー51にそれぞれチェーンブロック52が取り付けられている。そして、例えば、既設の新規分割板3の隣に次の新規分割板3を取り付ける場合には、トロリーステーションにおいて、チェーンブロック52に新規分割板3の外面に設けられたリフトラグ27を取り付けることにより、新規分割板3をチェーンブロック52で保持し、その後トロリービーム45に沿って移動するギヤトロリー51と、新規分割板3を上下移動可能なチェーンブロック52とにより、円筒状胴板部分2の開口6の前に移動させる。
【0042】
新規分割板3には、方形板状の仮付け溶接治具54、55を設けておく。仮付け溶接治具54は、新規分割板3の外面の上下端部および既設の新規分割板3側の側端部に設けられており、新規分割板3が開口6に嵌め込まれた際に、胴板1の外面および既設の新規分割板3の外面に当接して、開口6に対して開口6の内外方向の位置決めするようになっている。また、仮付け溶接治具55は、新規分割板3の内面の下端部に設けられており、新規分割板3が開口6に嵌め込まれた際に、開口6の下辺(下側)を形成する胴板1の端面に当接して、開口6に対して開口6の上下方向の位置決めするようになっている。
【0043】
そして、図17に示すように、開口6の前に移動している新規分割板3を開口6に嵌め込むには、新規分割板3の内面の上下に設けられた2つのリフトラグ27a、27bのうちの下側のリフトラグ27aをまず開口6側に引いて、仮付け溶接治具55を開口6の下辺(下側)を形成する胴板1の端面に当接させる。次いで、上側のリフトラグ27bを開口6側に引いて、図18に示すように、胴板1の外面および既設の新規分割板3の外面に当接させる。このようにして、既設の新規分割板3に隣接させて開口6に新規分割板3を嵌め込んだ後、円筒状胴板部分2の上側および下側の胴板ならびに既設の新規分割板3に、新規分割板3を仮付け溶接する。その後、正規の溶接をして開口6に新規分割板3を取り付ける。
【0044】
円筒状胴板部分2全部を新規分割板3により新たな円筒状胴板部分とした後は、トロリービーム45、切断機ガイド46を取り外し、その後トロリービーム用クリップ42、切断機ガイド用クリップ41を取り外す。また、新規分割板3に取り付けられた移動用リフトラグ27、ノズル変形防止用部材29を撤去する。
【0045】
次いで、図19、図20に示すように、新規分割板3と新規分割板3との接続部にトレイサポートリングの切欠部材23aを溶接により取り付ける。
このようにして、円筒状胴板部分2を新たな円筒状胴板部分にした後、トレイを組み込む。
次いで、一時撤去した障害配管および外部品を元に戻す。
次いで、新たな円筒状胴板部分の周囲に保温材を設ける。
次いで、足場およびトロリーステーションを撤去する。
【0046】
このような主蒸留塔の胴板の部分更新工法にあっては、更新する円筒状胴板部分2を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口6に新規分割板3を取り付けることを繰り返すことにより、円筒状胴板部分2を更新する。すなわち、更新する円筒状胴板部分2を周方向に部分的に新規分割板3に次々に取り替えてゆくことにより、新たな円筒状胴板部分にするので、主蒸留塔全体や更新する円筒状胴板部分2より上側の上部部分全体を撤去したりする必要がなく、主蒸留塔が現場で立塔状態のままで更新作業を行うことができるため、工事期間を短くできるとともに、工事費用を安くすることができる。特に、工事期間を短くできることは、設備全体の稼働停止期間を短くでき、稼働停止に伴う損失を低減できる。そして、石油精製装置等の分野では稼働停止期間をできるだけ短くすることが強く望まれているので、この更新工法は有効である。
【0047】
また、円筒状胴板部分2の一部の切断胴板部分を取り除きそして新規分割板3の取り付けをすることにより、円筒状胴板部分2の更新を行うので、取り扱う部材が大型でないため、取り扱いが容易であるとともに、工事スペースも小さくて済み、さらに動員する作業員数を少なくすることができて施工安全性を向上させることができる。
また、ライニング工法や金属溶射工法などの補修と異なり、胴板1が腐食して減肉している部分を新しい部材に置き換える工法であるので、主蒸留塔の機械的強度を回復することができ、その寿命を大幅に延長することができる。
【0048】
また、新規分割板3が筒状胴板部分2を周方向に複数個に均等に分割した場合に得られるものであるので、新規分割板3を同一形状のものにすることができるため、新規分割板3の製作および取付作業を効率化することができる。なお、新規分割板3は基本的には筒状胴板部分2を周方向に均等に分割した場合に得られるものであるが、ノズル21等の部材が分割する位置に位置する場合などには分割箇所(分割線)を周方向に多少移動させる場合があり、この場合には新規分割板3の周方向の寸法が少し異なる。
【0049】
また、円筒状胴板部分2の周方向の対向する2箇所の切断胴板部分を切断して取り除き、取り除いて生じた各開口6にそれぞれ新規分割板板3を取り付けることを繰り返すので、両開口6が生じた状態において、円筒状胴板部分2の周方向における断面係数のバランスが良く、強度上安定したものとすることができる。さらに、新規分割板3の周方向の寸法が同じであり、各開口6が同一寸法のものであるので、円筒状胴板部分2の周方向における断面係数のバランスがさらに良好なものになっている。
【0050】
また、円筒状胴板部分2から取り除く切断胴板部分の周方向の寸法を、取り付ける新規分割板3の周方向寸法よりも大きく設定しているので、切断胴板部分を取り除いて生じる開口6と新規分割板3との間に、円筒状胴板部分2の周方向に隙間を設けることができるため、この隙間を利用して、コード等の作業具などを挿入したり、作業をしたり、あるいは隙間を通して作業員が胴板内に出入りすることなどができ、作業性を高めることができる。
【0051】
また、切断胴板部分を取り除くための切断位置決めの目印となるように、円筒状胴板部分2の内側から外側に向けて穴37を開けるので、円筒状胴板部分2の内側に内部品等の位置に合わせた罫書線を記入した後に、穴37を目印にして筒状円筒部分2の外側に切断胴板部分の切断のための罫書線を容易にかつ正確に記入することができる。
また、予め、工場において、新規分割板3を製作して、円筒状胴板部分に仮組して確認した後、更新作業を行う工事現場に搬送するので、現場での更新作業の手間を少なくして、より工期を短縮することができる。
【0052】
また、円筒状胴板部分2の周方向の全周にトロリービーム45を設け、このトロリービーム45を用いて切断胴板部分や新規分割板3等の部材を円筒状胴板部分2の周方向の移動を行うようにしたので、円筒状胴板部分2の周囲に他の機器が接近していたりして、クレーン等を使用できない周方向の範囲がある場合でも、トロリーステーションとそのような周方向の範囲とをトロリービーム45を用いて新規分割板3等の部材を安全かつ容易に移動させることができる。なお、トロリービーム45を円筒状胴板部分2の周方向の一部に設けるようにすることもできる。例えば、円筒状胴板部分2の周囲に他の機器が接近していたりして、クレーン等を使用できない周方向の範囲が全周の2/3程度である場合は、この範囲とトロリービーム45を設けるようにしてもよい。
【0053】
なお、上述の実施の形態において、更新する円筒状胴板部分2の腐食進行が激しくて減肉が大きい場合には、補強部材を設けるのが好ましい。
この補強部材としては、例えば、図21に示すように、円筒状胴板部分2から切断胴板部分を取り除く前に、円筒状胴板部分2の近傍の上側および下側の胴板1の外面にそれぞれ、全周に渡って変形防止用補強部材61を溶接により取り付ける。この変形防止用補強部材61を設けることにより、円筒状胴板部分2から切断胴板部分を取り除いて開口6を形成したり、あるいは新規分割板3を溶接した際に、この円筒状胴板部分2の近傍の胴板1部分の横断面形状が変形するのを防止することができ、円筒形(真円)を維持することができる。変形防止用補強部材61は、円筒状胴板部分2を新たな円筒状部材にした後は、胴板1から取り外す。変形防止用補強部材61は、例えば、H形鋼等の形鋼などから構成することができる。この変形防止用補強部材61は、例えば、胴板1の外面の全周に巻き付けて、溶接等により固定する。変形防止用補強部材61は、円筒状胴板部分2の近傍の上側または下側の胴板の外面の一方に設けるようにしてもよい。
【0054】
また、円筒状胴板部分2から切断胴板部分を取り除く前に、円筒状胴板部分2の外面に縦方向に延びる更新部分補強部材63を周方向に間隔をおいて複数個を溶接により取り付ける。この更新部分補強部材63を設けることにより、円筒状胴板部分2が腐食等による強度の低下が大きい場合でも、強度不足状態に陥ることなく、円筒状胴板部分2から切断胴板部分を取り除いて開口6を形成することができる。この更新部分補強部材63は、円筒状胴板部分2から切断胴板部分を取り除いて開口6を形成する際に、切断胴板部分とともに(切断胴板部分に取り付いた状態で)円筒状胴板部分2から取り除かれる。更新部分補強部材63は、例えば、H形鋼等の形鋼などから構成することができる。この更新部分補強部材63は、例えば、円筒状胴板部分2の外面に溶接等により固定する。更新部分補強部材63は、1個だけ設けるようにしてもよい。また、更新部分補強部材63を複数個設ける場合に、それらの間隔が均等でなくてもよい。また、更新部分補強部材63は上下方向だけでなく、斜めなど他の方向に向けて設けてもよい。
なお、図21において、符号65は足場である。
【0055】
また、前述の実施の形態では、円筒状胴板部分2の周方向の対向する2箇所ずつ、新規分割板3に取り替えていくようにしたが、これに代えて、円筒状胴板部分2の周方向の対向する箇所でない2箇所の部分を切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ新規部分胴板を取り付けることを繰り返すようにしてもよい。
また、円筒状胴板部分2の周方向の均等に間隔をおいた3箇所以上の複数箇所の部分を切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ新規部分胴板を取り付けることを繰り返すようにしてもよいし、さらには均等な間隔でない3箇所以上の複数箇所の部分を切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ新規部分胴板を取り付けることを繰り返すようにしてもよい。
また、円筒状胴板部分2の周方向の1箇所の部分を切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板を取り付けることを繰り返すようにしてもよい。
このように、円筒状胴板部分2の周方向の1または複数個の部分に開口を形成する場合には、前記開口を形成した際に、円筒状胴板部分2が変形したり、損傷したりしないような強度を保つことができるように、個数、位置、開口の大きさを決定するようにする。
【0056】
また、前述の実施の形態では、新規分割板3をこの円筒状胴板部分2を周方向に複数個に均等に分割した場合に得られる形状の部分胴板に形成したが、これに代えて、均等に分割せずに周方向の寸法が異なる複数個の部分胴板として形成してもよい。なお、部分胴板は円筒状胴板部分2を周方向に少なくとも4個以上に分割したものであることが好ましい。
【0057】
また、前述の実施の形態では、既に取り付けられた新規分割板3の隣に、開口6を形成し、次の新規分割板3を取り付けるようにしたが、これに代えて、既に取り付けられた新規分割板3と間隔をおいて開口6を形成し、新規分割板3を取り付けるようにしてもよい。
【0058】
また、前述の実施の形態では、形成する開口6の周方向の寸法を、取り付ける新規分割板3の周方向寸法よりも大きく設定したが、ほぼ同じ寸法にして、新規分割板を取り付けるようにしてもよい。
【0059】
また、前述の実施の形態では、新規分割板3の材質等は円筒状胴板部分2と同様のものを用いたが、新規分割板3に他の材料を用いてもよいし、あるいは、新規分割板3にクラッド鋼を用いたり、新規分割板3の内面にライニング等を施すなどして耐食性等を高めるようにしてもよい。
【0060】
また、前述の実施の形態では、出入口4を設けて、塔内の内部品を外部に搬出するなどしたが、この出入口を設けずに、前記開口6から内部品の搬出等を行うようにしてもよい。
【0061】
また、前述の実施の形態では、本発明を主蒸留塔の胴板を部分的に更新する場合に適用したが、本発明はこれに限らず、他の塔あるいは槽にも適用することができる。また、本発明を用いて、1つの塔槽類の胴板の一部分の円筒状胴板部分を更新した後、他の部分の円筒状胴板部分を更新することも勿論できる。
【符号の説明】
【0062】
1 胴板
2 円筒状胴板部分
3 新規分割板(新規部分胴板)
6 開口
37 穴
61 変形防止用補強部材
63 更新部分補強部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塔槽類の胴板の一部分の円筒状胴板部分を更新する工法であって、
更新する前記円筒状胴板部分を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板を取り付けることを繰り返すことにより、前記円筒状胴板部分を更新する工法であり、
更新する前記円筒状胴板部分を3〜4mの高さ範囲に設定することを特徴とする塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項2】
前記新規部分胴板は、前記円筒状胴板部分を周方向に複数個に略均等に分割した場合に得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項3】
前記円筒状胴板部分の周方向の対向する2箇所を部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ前記新規部分胴板を取り付けることを繰り返すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項4】
前記開口の周方向の寸法を、取り付ける前記新規部分胴板の周方向寸法よりも大きくすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項5】
前記開口を形成する前に、前記円筒状胴板部分の近傍の胴板の全周に渡って変形防止用補強部材を取り付けることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項6】
前記開口を形成する前に、前記円筒状胴板部分に更新部分補強部材を取り付けることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項7】
前記開口を形成するための切断位置決めの目印となるように、前記円筒状胴板部分の内側から外側に向けて穴を開けることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項8】
工場において、前記新規部分胴板を製作して、新たな円筒状胴板部分に仮組して確認した後、更新作業を行う現場に搬送することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項9】
前記円筒状胴板部分の周方向に沿ってトロリービームを設け、このトロリービームを用いて前記新規部分胴板等の部材を前記円筒状胴板部分の周方向の移動を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項1】
塔槽類の胴板の一部分の円筒状胴板部分を更新する工法であって、
更新する前記円筒状胴板部分を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板を取り付けることを繰り返すことにより、前記円筒状胴板部分を更新する工法であり、
更新する前記円筒状胴板部分を3〜4mの高さ範囲に設定することを特徴とする塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項2】
前記新規部分胴板は、前記円筒状胴板部分を周方向に複数個に略均等に分割した場合に得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項3】
前記円筒状胴板部分の周方向の対向する2箇所を部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた各開口にそれぞれ前記新規部分胴板を取り付けることを繰り返すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項4】
前記開口の周方向の寸法を、取り付ける前記新規部分胴板の周方向寸法よりも大きくすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項5】
前記開口を形成する前に、前記円筒状胴板部分の近傍の胴板の全周に渡って変形防止用補強部材を取り付けることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項6】
前記開口を形成する前に、前記円筒状胴板部分に更新部分補強部材を取り付けることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項7】
前記開口を形成するための切断位置決めの目印となるように、前記円筒状胴板部分の内側から外側に向けて穴を開けることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項8】
工場において、前記新規部分胴板を製作して、新たな円筒状胴板部分に仮組して確認した後、更新作業を行う現場に搬送することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【請求項9】
前記円筒状胴板部分の周方向に沿ってトロリービームを設け、このトロリービームを用いて前記新規部分胴板等の部材を前記円筒状胴板部分の周方向の移動を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の塔槽類の胴板の部分更新工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−132805(P2011−132805A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80658(P2011−80658)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【分割の表示】特願2008−56454(P2008−56454)の分割
【原出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000003285)千代田化工建設株式会社 (162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【分割の表示】特願2008−56454(P2008−56454)の分割
【原出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000003285)千代田化工建設株式会社 (162)
【Fターム(参考)】
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