説明

塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置

【課題】 高層化された支柱やタワー等の塔状構造物の建設に用いるクレーンを搭載する伸縮ブームを、積み上げられた支柱部材に順次支持させることにより、該伸縮ブームを安定させて、高い支柱を建設できるようにする。
【解決手段】 伸縮ブーム1のそれぞれのブームに固定された取付ベース5に支柱受けベース6を進退自在に設け、支柱受けベース6に支柱部材2を抱持する抱持する位置と開放する位置とに揺動自在な一対の抱持アーム7を設ける。抱持アーム7の内側にローラチェーン8を縮径可能に、抱持アーム7と連繋させて配する。支柱受けベース6を前進させて支柱部材2に押圧させ、抱持アーム7で支柱部材2を抱持させ、チェーン開閉シリンダ8aを作動させてローラチェーン8を引き寄せて縮径させると、該ローラチェーン8が支柱部材2を締め付けて、前記ブームが支柱部材2に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地上に建設される支柱やタワー、モニュメント等のように上空の高位置まで伸長する塔状構造物を建設する際に用いられる建設用クレーンを先端部に搭載して、塔状構造物の頂部まで昇降させるための伸縮ブームを建設される支柱に支持させる伸縮ブームの支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上に建設される塔状構造物として、各種のタワーやモニュメント、煙突等、種々のものがあり、その一つとして風力発電用の風車の支柱である風車タワーがある。タワーの頂上部には、水平軸に支持された複数枚のプロペラ翼(ブレード)を備え、この風車の回転により発電する発電機、風車の指向方向を風上に合わせる回転機構等の重量物となるナセルが設置されている。また、安定して発電効率を高めるためには、ある程度強い風を受けることが必要となり、極力高位置に頂上部を位置させることが望ましい。すなわち、風車タワーでは、極力高位置まで頂上部を伸長させて、頂上部に重量物を支持する必要がある。この種の塔状構造物を建設するには、一般的に、大型クローラークレーンやモバイルクレーン(ティレインクレーン)等が使用される。
【0003】
ところで、風力発電用の風車では発電効率を高めるために、前述したように、風車タワーの頂上部を極力高位置まで伸長させることが要求されており、例えば100mを超える高さにナセルやブレード、ハブ等の風車本体を設置することが要求されている。しかも、高さが高くなると発電能力等が大きくなり、発電用機材が大型化して風車本体の重量が50t以上にもなる。100m級の風車を建設する場合には、現存のモバイルクレーンでは載荷重量が50t以上となると80m程度までしか荷揚げが困難となり、大型クローラークレーンが用いられる。
【0004】
しかし、大型クローラークレーンでは塔状構造物の設置場所までの搬入路を確保することが困難である。特に、発電用風車の場合には、海岸や山間部に設置されることが多く、特に山間部に設置される風車の場合、搬入路の確保が不可能である。このため、台車を分解して設置場所まで輸送する必要がある。また、大型クローラークレーンでは、ラチスブームを伸長させる構造であり、このラチスブームやキャタピラー(登録商標第244746号)をも解体した状態で設置場所まで輸送し、設置場所にて台車とラチスブーム、カウンタウェイト等を組み立てる必要がある。さらに、発電用風車を設置するスペースとしては、風車タワーを支持する基礎部分を配することができる大きさであれば十分であるが、ラチスブームを組み立てる場合には、これを地上で伸長させた状態として台車に取り付ける必要があるため、ラチスブームの組立・解体のためのスペースが発電用風車の設置スペースに比べてはるかに広くなってしまう。また、発電用風車を設置する場合には、複数基を並設することが一般的であり、大型クローラークレーンによる場合には、1基の建設が完了し、次に隣接する発電用風車を建設する場合であっても、ラチスブームを解体し、台車を移動させた後に再度ラチスブームを組み付けなければならず、作業が煩雑であり、ラチスブームの組立・解体のために工期を延長してしまうことになる。
【0005】
近年では、高層の発電用風車の建設用として、種々のクレーンが開発されている。例えば、大型のアウトリガーを設ける構造として台車の幅員を小さくすることにより搬入路を確保できるようにしたクレーンがあるが、台車とラチスブーム、カウンタウェイト等の組立・解体は必要であり、作業の煩雑性は改善されていない。
【0006】
これらのクレーンを、伸縮するブームの最上段に搭載されるようにしたものがあり、このブームを伸縮させる機構構造として、例えば特許文献1や特許文献2に開示されたもの等がある。
【0007】
また、本件出願人は、伸縮ブームを、建設する塔状構造物の建設された部分に支持させるようにした塔状構造物の建設方法及び建設用クレーンを提案した(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−301976号公報
【特許文献2】国際公開WO2007/052339号公報
【特許文献3】特開2009−113922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した特許文献3で本件出願人が提案した建設用クレーンでは、伸縮ブームを伸長させる毎に建設する塔状構造物に支持させるようにしたものである。すなわち、頂上部が上空の高位置まで伸長した支柱を、複数に分割された支柱部材をクレーンにより吊り下げながら積み上げて建設する塔状構造物の建設方法において、前記クレーンを伸縮自在な伸縮ブームの上部に設置し、該伸縮ブームと前記支柱とを連繋させて、伸縮ブームを支柱に固定する連繋手段を有し、前記支柱部材を積み上げ、積み上げられた支柱部材の高さに応じて前記伸縮ブームを伸長させ、積み上げられた支柱部材と該支柱部材に対応した位置の伸縮ブームとを前記連繋手段で連繋させることを繰り返して支柱を建設するようにしたものである。
【0010】
前記連繋手段については種々の機構が考えられるが、この連繋手段を介して伸縮ブームと支柱とを連繋させる作業は高所での作業となる。このため、この連繋手段の機構によっては作業者をクレーン等で吊り上げて、作業を行うようにする必要が生じる。作業者により前記連繋手段の連繋作業を行わせる場合には、作業者を吊り上げるクレーン等を要することになって、このクレーンを建設現場に搬入しなければならず、建設用の重機が増加し、建設作業が煩わしくなってしまうおそれがある。
【0011】
ところで、前記連繋手段は地上からの遠隔操作によって連繋作業を行えるようにすることが好ましい。そこで、この発明は、地上からの遠隔操作によってクレーンの伸縮ブームを、該クレーンによって建設される支柱に連繋させて、該伸縮ブームを支柱で支持することができるようにした塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置は、頂上部が上空の高位置まで伸長した塔状構造物の支柱を、複数個の支柱部材を積み上げて建設するために、前記支柱部材を吊り上げる建設用クレーンを搭載させ、支柱部材の積み上げ高さに応じて伸長させながら前記建設用クレーンを上昇させる伸縮ブームを支持するための、塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置において、前記伸縮ブームに固定される取付ベースと、前記取付ベースに進退自在な支柱受けベースと、前記支柱受けベースに、前記支柱の軸方向と平行な方向を軸として、支柱部材を開放する開放位置から支柱部材を抱持する抱持位置まで揺動自在に基端部を支持させた一対の抱持アームと、前記一対の抱持アームの内側に設けられた、抱持位置の抱持アームよりもさらに縮径可能な支柱締付手段と、前記支柱受けベースを進退させるベース進退手段と、前記抱持アームを揺動させるアーム揺動手段と、
前記支柱締付手段を縮径させて閉じさせ、縮径した位置から拡径させて開く開閉手段とを備えてなることを特徴としている。
【0013】
建設すべき支柱の最下部の支柱部材を、クレーン等の適宜な手段により設置する。この場合、最下部の支柱部材であるため、高所まで吊り上げる必要がなく、設置作業の間に該支柱部材を支持することができるクレーン等により作業することができる。
【0014】
次いで、支柱を建設するための建設用クレーンであるジブクレーンを先端部に搭載させた伸縮ブームを、前記最下部の支柱部材に沿って収縮している状態で配置させる。この状態で、支柱部材を前記抱持アームで抱持可能となる位置まで、前記ベース進退手段によって前記支柱受けベースを前進させる。支柱受けベースが適宜位置まで前進したならば、前記アーム揺動手段によって抱持アームを抱持位置まで揺動させて該抱持アームで支柱部材を抱持させる。次いで、前記開閉手段によって前記支柱締付手段を縮径させることにより、該支柱締付手段を支柱部材に締め付けて、前記抱持アームを連繋させた伸縮ブームを支柱部材に支持させる。
【0015】
その後、第2段目の支柱部材を前記ジブクレーンで吊り上げて最下部の支柱部材に積み上げ、これらをボルト・ナット等の固定手段によって固定する。この第2段目の支柱部材を、前述と同様に、伸縮ブームの第2段目のブームの抱持アームで抱持させて前記支柱締付手段を締めつけることによって、第2段目のブームが第2段目の支柱部材に支持される。
【0016】
すなわち、ジブクレーンで支柱部材を積み上げながら、積み上げられて下側の支柱部材に固定された支柱部材に、前記抱持アームと支柱締付手段とを介して伸長させたブームを支持させる作業を順次行うことにより、塔状構造物の支柱を建設することができる。
【0017】
また、請求項2の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置は、前記ベース進退手段は、前記取付ベースに固定された一対のピストン・シリンダ機構からなり、該一対のピストンの摺動方向をほぼ平行で、伸縮ブームの長手方向と交差する方向とし、前記前記支柱受けベースの進退を案内する進退案内手段を備えていることを特徴としている。
なお、前記ほぼ平行な方向とは、加工上の誤差や取付誤差を含むものであり、前記支柱受けベースを進退可能とするものであればよい。
【0018】
前記ピストン・シリンダのピストンに連繋しているピストンロッドに前記支柱受けベースを支持させたものである。シリンダを作動させると、ピストンのシリンダに対する摺動方向に応じて支柱受けベースが進退する。伸縮ブームを支柱部材に連繋させる際には支柱受けベースを支柱部材に向かって前進させる。これにより、前記抱持アームが支柱部材を抱持できる位置に位置付くから、前述したように、抱持アームを揺動させて支柱部材を抱持させ、前記支柱締付手段で支柱部材を締め付ける。
【0019】
また、請求項3の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置は、前記アーム揺動手段は、前記支柱受けベースに配設させたピストン・シリンダ機構からなり、該ピストンの摺動を揺動運動に変換し、該揺動運動により前記抱持アームを揺動させることを特徴としている。
【0020】
例えば、前記ピストンの摺動により回動軸に固定した入力腕を揺動させると、該回動軸が回動するようにする。この回動軸に前記抱持アームの基端部を連繋させることにより、該回動軸の回動で抱持アームが揺動することになる。このため、前記ピストンの摺動方向は任意の方向に設定することが可能となり、例えば、ピストンの摺動方向を、前記支柱受けベースの進退方向と交差する方向とする。
【0021】
また、請求項4の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置は、前記支柱締付手段を前記一対の抱持アームに対応させて、可撓性を備えた一対の帯状体で形成し、前記帯状体を抱持アームに対して着脱自在とし、前記帯状体の先端部同士を係脱自在とする支柱締付手段係止手段を設け、前記帯状体の適宜な箇所を前記抱持アームと連繋させると共に、前記帯状体を縮径させる際に該帯状体が抱持アームから離隔することを許容する支持手段を設け、前記帯状体の基端部に、該帯状体を引張って縮径させ、引張状態を開放して該帯状体を拡径させる前記開閉手段を連繋させ、前記支柱締付手段係止手段を係合させて一対の帯状体を連結させ、前記開閉手段を作動させて帯状体を引張らせて該帯状体を保持アームから離脱させて縮径させることにより支柱部材を締め付けることを特徴としている。
なお、前記適宜な箇所とは、帯状体が不用意に抱持アームから脱落する部分がなく、しかも、帯状体が円滑に抱持アームから離脱することができる箇所との意味であり、この伸縮ブームの支持装置により伸縮ブームを支持させる支柱部材等の径に応じても変更される。
【0022】
前記抱持アームを揺動させて支柱部材を抱持する状態とすると、前記支柱締付手段係止手段が係合するようにする。例えば、抱持アームの先端部が当接することにより、一方の抱持アームの先端部に配されて、バネ等の復元力により一方向に揺動するよう付勢されていた鈎部材がバネ等の復元力に抗して揺動させることにより、他方の抱持アームの先端部に配された鈎受け部材と係合する等の機構を採用できる。支柱締付手段係止手段が係合した状態で、前記開閉手段を作動させて前記帯状体を引張ると、該帯状体が閉じられて縮径するから、該帯状体が支柱部材を締め付けることになる。
【0023】
前記抱持アームを離脱させるには、前記開閉手段を作動させて、帯状体を開方向、すなわち拡径させる。次いで、例えば、一方の抱持アームを他方の抱持アームに先立って揺動させることにより、前記鈎部材を前記バネ等の復元力に抗して揺動させて前記鈎受け部材から離脱するよう構成する。これにより、帯状体及び抱持アームのそれぞれの先端部同士の係合が解除されて、これらを開放させて当該支柱部材から伸縮ブームを離脱させることができるようになる。
【0024】
また、請求項5の発明に係る建設用クレーンの伸縮ブームの伸縮機構は、前記支柱締付手段を、前記一対の抱持アームに対応させて、複数箇所に屈曲自在な屈曲部を備えた一対のローラチェーンで形成し、前記ローラチェーンを抱持アームに対して着脱自在とし、前記ローラチェーンの先端部同士を係脱自在とする支柱締付手段係止手段を設け、該ローラチェーンの適宜な箇所を前記抱持アームと連繋させると共に、前記ローラチェーンを縮径させる際に該ローラチェーンが抱持アームから離隔することを許容する支持手段を設け、前記ローラチェーンの基端部に、該ローラチェーンを引張って縮径させ、引張状態を開放して該ローラチェーンを拡径させる前記開閉手段を連繋させ、前記支柱締付手段係止手段を係合させて一対のローラチェーンを連結させ、前記開閉手段を作動させてローラチェーンを引張らせて該ローラチェーンを抱持アームから離脱させて縮径させることにより支柱部材を締め付けることを特徴としている。
なお、前記適宜な箇所とは、ローラチェーンが不用意に抱持アームから脱落する部分がなく、しかも、ローラチェーンが円滑に抱持アームから離脱することができる箇所との意味であり、この伸縮ブームの支持装置により伸縮ブームを支持させる支柱部材等の径に応じても変更される。
【0025】
また、請求項6の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置は、前記支持手段には、前記支柱締付手段を、前記抱持アームから離脱した状態から該抱持アームに係合した状態に復帰させるよう、該支柱締付手段を拡径する方向に付勢する支柱締付手段復元手段を具備させてあることを特徴としている。
【0026】
前記開閉手段を、前記支柱締付手段を拡径する方向に作動させることにより、該支柱締付手段での支柱部材の締付を解除して、抱持アームと係合する位置まで復帰させるようにすることもできるが、前記支柱締付手段復元手段による復元力によって、支柱締付手段の復帰動作を円滑に行わせることができるようにしたものである。すなわち、前記開閉手段により支柱締付手段で支柱部材を締め付けていた状態を解除すると、前記支柱締付手段復元手段による復元力で支柱締付手段が拡径して、抱持アームと係合することになる。
【0027】
また、請求項7の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置は、前記支持手段は、前記抱持アームに揺動自在に支持されたガイドシリンダと、該ガイドシリンダに案内されて移動するスライドロッドとを備え、前記スライドロッドの先端部に支柱部材押圧板を設け、前記ガイドシリンダに復帰バネを具備させて、その復元力の方向を、前記支柱部材押圧板を抱持アームに係合するよう、前記ローラチェーンを拡径する方向としてあることを特徴としている。
【0028】
前記開閉手段によりローラチェーンを閉方向に移動させて縮径させると、前記ガイドシリンダが抱持アームに対して揺動しながら、前記スライドロッドを案内して移動させガイドシリンダから突出する方向に前進する。このためローラチェーンが縮径することが許容され、前記支柱部材押圧板が支柱部材に押圧される。このとき、ガイドシリンダに案内されて移動するスライドロッドは、前記復帰バネの復元力に抗して前進することになる。なお、復帰バネとしては、圧縮コイルバネや引張コイルバネ、トーションバー等のバネを用いることができる。
【0029】
また、請求項8の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置は、前記支柱受けベースは、前記取付ベースに進退自在に連繋させたベース基部と、該ベース基部に伸縮ブームの長手方向と平行な方向を軸として回動自在に支持され、前記一対の抱持アームを支持させたベース首部とからなることを特徴としている。
【0030】
前記支柱受けベースは前記取付ベースに対して進退するため、この進退方向が伸縮ブームの軸と支柱部材の軸とを結ぶ方向から偏倚した方向となる場合があり、斯かる場合には支柱部材が一対の抱持アームの中央に位置しない、すなわち正対しないことになる。このため、前記ベース首部の回動により一対の抱持アームの方向を、これら抱持アームの中央部に支柱部材が位置して正対するように調整する。なお、前記偏倚量は一般的には大きいものではないから、例えば前記ベース首部の先端を支柱部材に当接させた場合に、その際の押圧力によって、該先端の縁部に支柱部材が均等に接触するようにベース首部を回動させるようにすればよい。
【0031】
また、請求項9の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置は、前記ベース首部の先端面を、支柱部材の外形とほぼ重畳する形状に形成してあることを特徴としている。
【0032】
前記支柱受けベースの前進によって、ベース首部の先端面の一部が支柱部材の壁面に当接すると、該当接部を中心として該先端面が支柱部材の外形と重畳する姿勢となるように、ベース首部がベース基部に対して回動し、該先端面と支柱部材の外形とが重畳した状態で回動が停止する。この状態では、支柱部材に一対の抱持アームが正対することになり、一対の抱持アームで支柱部材を抱持させることができる状態となる。
【0033】
また、請求項10の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置は、前記ベース首部の先端面に、該先端面と支柱部材との当接時の衝撃を緩和する緩衝調整手段を配してあることを特徴としている。
【0034】
支柱受けベースを前進させてその先端面が支柱部材の壁面に当接する際の衝撃を緩和するものである。
【0035】
また、請求項11の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置は、前記ベース進退手段は一対として前記ベース首部の両端部のそれぞれに連繋させ、前記進退案内手段は一対として前記ベース基部の両端部のそれぞれに連繋させ、前記ベース首部の先端に支柱部材を検出する一対の支柱部材センサを設け、該支柱部材センサの支柱部材を検出する信号に応じて前記一対のベース進退手段の作動の制御を行うことを特徴としている。
【0036】
前記ベース進退手段を、例えば一対ピストン・シリンダ機構により構成する場合、ピストンに連結させたピストンロッドの先端部を前記ベース首部の両端部に回動自在に連結させる。また、進退案内手段を、例えば、ロッドをガイド孔に挿通させて該ロッドの直動を案内する機構により構成する場合には、前記ロッドの先端部を前記ベース基部に連繋させる。前記一対のピストン・シリンダ機構のピストンの移動量を異ならせることにより、ベース首部がベース基部に対して回動する。このため、前記支柱部材センサのうちの一方の支柱部材センサが支柱部材を検知した場合には、他方の側のベース進退手段のみを他方の支柱部材センサが支柱部材を検知するまで作動させる。これにより、一対の支柱部材センサにより支柱部材が検知されたこととなり、ベース首部が支柱部材に正対した状態となって該支柱部材が一対の抱持アームの中央部に位置した状態となる。
【0037】
支柱部材と伸縮ブームとの偏倚量は僅かである場合が殆どであるから、前述したように、支柱受けベースを前進させて、ベース首部の先端面を支柱部材に当接させて押圧すれば、ベース首部がベース基部に対して僅かに回動して支柱部材を一対の抱持アームの中央部に位置させることができる。しかし、偏倚量が大きい場合にはベース首部を大きな力で支柱部材に押圧させる必要がある。このとき、偏倚量が大きいと、支柱部材に不測の方向の力が加えれてしまうおそれがある。そこで、前記支柱部材センサにより支柱部材を検出し、支柱部材を検出していない支柱部材センサが配されている側のベース進退のみを作動させて該支柱部材センサが配されている側のみを前進させれば、ベース首部がベース基部に対して回動して、支柱部材を抱持アームの中央部に位置させることができる。
【発明の効果】
【0038】
この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によれば、前記一対の抱持アームで支柱部材を抱持させ、前記支柱締付手段を縮径させて支柱部材を締め付けることにより、伸縮ブームを支柱部材に支持させることができるから、伸縮ブームを確実に支持部材に支持させることができる。しかも、前記ベース進退手段や前記アーム揺動手段、前記開閉手段等を、例えば油圧シリンダ等により動作する機構とすることにより、遠隔で操作することができる。
【0039】
また、請求項2の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によれば、簡単な構造で、確実に、前記抱持アームを、支柱部材を抱持できる位置に位置付かせることができる。
【0040】
また、請求項3の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によれば、前記抱持アームの揺動動作を油圧シリンダ等を利用して行うことができるので、確実に動作させることでき、抱持アームで支柱部材を確実に抱持させることができる。
【0041】
また、請求項4の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によれば、支柱締付手段の縮径動作を、該支柱締付手段の基端部を引張ることにより行わせるため、簡単な操作で行わせることができて、遠隔操作による制御が容易となる。しかも、引張力を調整することによって確実に支柱部材を締め付けることができる。
【0042】
また、請求項5の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によれば、支柱締付手段をローラチェーンにより構成したから、支柱締付手段を容易に縮径させることができると共に、支柱締付手段を堅牢なものとすることができ、支柱部材を確実に締め付けることができる。
【0043】
また、請求項6の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によれば、支柱締付手段を解除する際には、前記締付手段復元手段の復元力を利用することによるから、迅速に支柱部材の締付を解除して、伸縮ブームを離脱させることができる。
【0044】
また、請求項7の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によれば、支柱部材を不用意に損傷させることがなく、確実に支柱締付手段で締め付けることができる。
【0045】
また、請求項8の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によればベース首部を確実に支柱部材に正対させることができ、支柱部材を抱持アームの中央部に位置させることができるので、伸縮ブームと支持部材とが偏倚した状態にあっても、抱持アームで支持部材を確実に抱持させることができる。
【0046】
また、請求項9の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によれば、ベース首部を支柱部材に押圧することによって該ベース首部を支柱部材に正対させることができるから、抱持アームにより支柱部材を確実に抱持させることができる。
【0047】
また、請求項10の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によれば、支柱部材を一対の抱持アームの中央部に位置させる際には、支柱受けベースを前進させてベース首部を支柱部材に押圧することによる。しかも、支柱受けベースの前進を遠隔操作により行うことになるから、不用意に大きな力でベース首部が支柱部材に押圧されるおそれがある。このとき、前記緩衝調整手段により押圧力が緩和されるから、支柱部材を不用意に損傷させることが防止される。
【0048】
また、請求項11の発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によれば、伸縮ブームをより確実に支柱部材に支持させることができる。すなわち、支柱部材と伸縮ブームとの偏倚量が大きい場合であっても、支柱部材を抱持アームの中央部に確実に位置させることができ、したがって、支柱部材を抱持アームが確実に抱持して伸縮ブームを支柱部材に確実に支持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置の構造を説明する平面図であり、抱持アームを開放させている状態を示している。
【図2】この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置の構造を説明する平面図であり、抱持アームを閉成して支柱部材を抱持すると共に、該支柱部材に支持させた状態を示している。
【図3】この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置を示す側面図で、図2に示す状態のものである。
【図4】この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置の取付ベースと支柱受けベースの一部を示す斜視図であり、取付ベースが伸縮ブームに固定された状態を示しており、(a)は支柱受けベースが後退している状態を、(b)は支柱受けベースが前進している状態を、それぞれ示している。
【図5】一方の抱持アームを示す平面図であり、支柱締付手段により支柱部材を締め付ける前の状態を示している。
【図6】一方の抱持アームを示す平面図であり、支柱締付手段により支柱部材を締め付けている状態を示している。
【図7】抱持アームの側面図である。
【図8】図5において、A−A線に沿って切断した断面図である。
【図9】この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置の動作を説明する図であり、抱持アームで支柱部材を抱持する前の状態を示している。
【図10】この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置の動作を説明する図であり、一方の抱持アームを閉成して支柱部材を抱持させた状態を示している。
【図11】この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置の動作を説明する図であり、他方の抱持アームを閉成して支柱部材を抱持させる状態を示しており、(a)は他方の抱持アームが前記一方の抱持アームと当接ずる直前の状態を、(b)は抱持アームの先端が当接した状態を、(c)は支柱締付手段で支柱部材を締め付けた状態を示している。
【図12】図11に示す他方の抱持アームを閉成する動作を(a)、(b)、(c)の順に説明するものである。
【図13】図12に示す動作に続く動作を、(d)、(e)の順に説明するものである。
【図14】図13に示す動作に続く動作を、(f)、(g)の順に説明するものである。
【図15】支柱締付部材による支柱部材の締付を解除して、抱持アームを支柱部材から離脱させる動作を(a)、(b)、(c)の順に説明するものである。
【図16】図15に示す動作に続く動作を、(d)、(e)の順に説明するものである。
【図17】図16に示す動作に続く動作を、(f)、(g)の順に説明するものである。
【図18】この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置の取付ベースと支柱受けベースとを、当該塔状構造物の建設現場に車両によって搬入する場合の、該車両の側面図である。
【図19】図18に示す搬送車両の平面図である。
【図20】図18に示す搬送車両の背面図である。
【図21】この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置の抱持アームを、当該塔状構造物の建設現場に車両によって搬入する場合の、該車両の側面図である。
【図22】図21に示す搬送車両の平面図である。
【図23】この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置によって伸縮ブームを支持させながら風力発電用の風車を載置する支柱を建設する手順を、(a)、(b)の順で説明する図である。
【図24】図23に示す建設手順に続く手順を、(c)、(d)の順で説明する図である。
【図25】図24に示す建設手順に続く手順を説明する図であり、(e)としてある。
【図26】図25に示す建設手順に続く手順を、(f)、(g)の順で説明する図である。
【図27】図26に示す建設手順に続く手順を、(h)、(i)の順で説明する図である。
【図28】図27に示す建設手順に続く手順を、(j)、(k)の順で説明する図である。
【図29】図28に示す建設手順に続く手順を、(l)、(m)の順で説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図示した好ましい実施形態に基づいて、この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置を具体的に説明する。
【0051】
図1〜図3はこの発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置の構造を示しており、図1は伸縮ブーム1を支柱部材2に支持させる直前の状態を示す平面図であり、図2は支持させた状態を示す平面図、図3は側面図である。
【0052】
この伸縮ブーム支持装置3は、伸縮ブーム1に取り付けられて固定される取付ベース5と、この取付ベース5に対して進退自在に支持されている支柱受けベース6と、この支柱受けベース6に回動自在に基端部が支持された抱持アーム7とを主体として構成されている。
【0053】
前記取付ベース5は、伸縮ブーム1の周面に設けられた一対の取付ブラケット1pに着脱自在とされている。この一対の取付ブラケット1pは、ほぼ180°の位置に配されている。取付ベース5は、この取付ブラケット1pを挟む位置に一対のベース板5a有して、このベース板5aが取付ブラケット1pに着脱自在とされている。前記それぞれのベース板5aの一部には、外側に突出させて軸支持部5bが設けられており、この軸支持部5bに、ベース進退手段としてのベース駆動シリンダ5cの基端部近傍が揺動自在に支持されている。このベース駆動シリンダ5cにはパワーシリンダ5dから作動油が供給されて、ピストンロッド5eを摺動させる。
【0054】
また、前記ベース板5aには、進退案内手段として一対の摺動ロッド5fが互いにほぼ平行な方向に摺動自在に支持されている。この一対の摺動ロッド5fの先端部には、前記支柱受けベース6のベース基部6aが連繋させてある。
【0055】
前記ベース基部6aの中央部には軸6bを中心として回動可能にベース首部6cの中央部が連結されている。このベース首部6cの前記ベース基部6a側、すなわち後部側の両端部に、前記ピストンロッド5eの先端部が回動自在に連繋させてある。ベース首部6cの両端部の前部側には、該ベース首部6cに対して回動自在に回動軸6dが配されており、この回動軸6dに揺動腕6eの基端部が嵌着させてある。また、前記回動軸6dには入力腕6fの基部が嵌着させてあり、この入力腕6fの先端部にアーム揺動手段としてアーム駆動シリンダ7aのピストンロッド7bの先端部が連繋させてある。このアーム駆動シリンダ7aはベース首部6cに配設されており、そのヒストンロッド7bの摺動方向を前記摺動ロッド5fの摺動方向と交差する方向としてある。
【0056】
前記ベース首部6cの前面、すなわち前記支柱部材2を臨む側の支柱受け面61は、後述するように、このベース首部6cが連繋すべき支柱部材2の外形形状と重畳する形状に形成されている。また、支柱受け面61には、適宜個数の緩衝調整手段としてのダンパー6gが設けられており、後述するように、このベース首部6cが支柱部材2に当接する際の衝撃を緩和する。また、支柱受け面61の両端部には一対の支柱部材センサ6hが設けられており、ベース首部6cの前進によって支柱部材2に当接したことをこれら支柱部材センサ6hが検知できるようにしてある。なお、この支柱部材センサ6hが支柱部材2を検知した検知信号を受けて、前記パワーシリンダ5dの出力を調整して、ベース首部6cの前進動作を制御するようにしてある。
【0057】
前記揺動腕6eのそれぞれの先端部には、抱持アーム7Rと抱持アーム7Lがそれぞれ取り付けられている。これら一対の抱持アーム7R、7Lは図2に示すように、支柱部材2を抱持することができるように円弧状に湾曲させた形状をしている。また、支柱部材2が積み上げられる位置に応じて外径寸法が異なる場合には、抱持すべき支柱部材2の外径寸法に応じた曲率の円弧状に形成されている。この抱持アーム7R、7Lの内側には支柱締付手段としてのローラチェーン8R、8Lが配されている。これらローラチェーン8R、8Lの基端部には、開閉手段としてのチェーン開閉シリンダ8aが、その基端部前記回動軸6dに連繋させて回動自在に支持させてある。なお、比較的自由に屈曲して縮径と拡径を行え、充分な強度を確保して確実に支柱部材2を締め付けることができる支柱締付手段としてローラチェーン8R、8Lを用いたが、可撓性があって支柱部材2を確実に締め付けることができる手段であれば帯状体等を用いることもできる。
【0058】
図5〜図8には、前記抱持アーム7Rとローラチェーン8R、アーム駆動シリンダ7a等を示してあり、図5はローラチェーン8Rが拡径状態にあって抱持アーム7Rに係合している状態を、図6はローラチェーン8Rが縮径状態にあって抱持アーム7Rから離脱している状態を示している。また、図8は、図5におけるA−A線に沿って切断した断面図である。なお、前記ローラチェーン8Lと抱持アーム7Lの構造も、ローラチェーン8Rと抱持アーム7Rとほぼ同様な構造であるが、一部異なる構造を備えている部位があり、その部位についてはその旨を詳述し、それ以外の同様な部位については、添え字を省略して抱持アーム7とローラチェーン8として説明する。
【0059】
前記抱持アーム7の中間部は、図8に示すように、上下に配された一対の角筒状のアーム主体71が円弧状に湾曲されて形成されており、両端部においてこれら上下のアーム主体71が連結されている。このアーム主体71の対向した適宜位置には、中空の保持軸72が上下それぞれのアーム主体71を貫通した状態で固定されている。これら保持軸72同士が臨む位置に支持手段を構成する支持シリンダ73が配されており、この支持シリンダ73のヘッド部近傍に設けられた支持軸73aが前記保持軸72に遊挿されて、この保持軸72を中心として支持シリンダ73が揺動自在とされている。この支持シリンダ73には進退自在にスライドロッド73bが収容されている。前記支持軸73aはハウジング73cの外側面に突設されており、このハウジング73cの内部に前記スライドロッド73bの摺動を案内する直動ガイド73dが収容されている。また、このハウジング73cの後端壁と前記スライダロッド73bの後端に取り付けられたフランジ板73fとの間に、支柱締付手段復元手段を構成する復帰バネである圧縮コイルバネ73eが収容されている。すなわち、この圧縮コイルバネ73eの復元力を、支持シリンダ73から突出したスライドロッド73bを支持シリンダ73内に引き戻す方向に移動するよう付勢してある。また、前記スライドロッド73bの先端部には、連繋部材74が取り付けられている。この連繋部材74には、前記支持軸73aの軸方向と平行な方向を軸とした連結ピン74aが具備されている。
【0060】
前記ローラチェーン8は、図8に示すように、前記一対のアーム主体71のそれぞれに対応して配されており、ローラ81を一対のチェーンプレート82で挟んで回動自在に支持してある。このローラ81を前記アーム主体71に接触するようにしてあり、該ローラ81がアーム主体71の内側面を転動することができるようにしてある。前記支持シリンダ73が配されている位置に対応したチェーンプレート82には、支柱部材押圧板として押圧プレート83が取り付けられている。なお、この押圧プレート83の押圧面には、ゴム板等の緩衝材が貼着されている。そして、この押圧プレートの背面にフォーク状の連結ブラケット84が固定されており、この連結ブラケット84に前記連結ピン74aが回動自在に支持させてある。このため、これら連結ピン74aと連結ブラケット84とを介して、支持シリンダ73と押圧プレート83とが連繋している。
【0061】
前記ローラチェーン8Rとローラチェーン8Lのそれぞれの先端には、図5と図6、図13、図14、図15、図17に示すように、ローラチェーン8R側には締付手段係止手段を構成する鈎部材85が、ローラチェーン8L側には前記鈎部材85と係脱することによって締付係止手段を構成する鈎受け部材86が、それぞれ設けられている。これら鈎部材85と鈎受け部材86とは基端部が支持された揺動軸85aと揺動軸86aを中心としてそれぞれ揺動することにより先端部同士が係脱するようにしてある。また、これら鈎部材85と鈎受け部材86にはこれらをそれぞれ外方向に揺動させるように、揺動軸85aと揺動軸86aのそれぞれに巻回させて設けた捩りコイルバネ85c、86cの復元力が付勢されている。また、前記抱持アーム7R、7Lのそれぞれの先端部には、ストッパ85bとストッパ86bとが取り付けられており、ローラチェーン8R、8Lが拡径状態にある場合に、前記鈎部材85と鈎受け部材86が当接して、それ以上外方向へ揺動することが阻止されている。なお、例えば図13(d)に示すように、鈎部材85と鈎受け部材86とが係合する位置にあることをそれぞれ検知する鈎部材位置センサ85dと鈎受け部材位置センサ86dとを設けて、鈎部材85と鈎受け部材86とが係合する位置にあることを検出することが好ましい。なお、抱持アーム7L、7Rが支柱部材2を抱持した抱持位置に位置付いたことを検出するアーム位置センサ87を設けることも、後述する動作を確実に行わせる上で好ましい。
【0062】
図18〜図22は、この伸縮ブーム支持装置3を発電用風車の風車タワーの建設現場へ搬入する搬送車両を示すものであり、図18〜図20は、前記取付ベース5と前記支柱受けベース6のベース基部6aとを積載した搬送車両11であり、図21、図22はベース首部6cと抱持アーム7とを積載した搬送車両12を示している。このように、取付ベース6と支柱受けベース6のベース基部6aとを1台の搬送車両に積載し、ベース首部6cと抱持アーム7とを1台の搬送車両に積載することにより、これら搬送車両が公道を建設現場まで走行することが可能となる。なお、図18〜図22では5基の伸縮ブーム支持装置3を搬送するものとして示してあるが、風車タワーの高さや伸縮ブームの段数に応じて必要とする伸縮ブーム支持装置3が増加すれば、搬送車両の台数を増加することで対応できる。さらに、必要に応じて、ベース首部6cと抱持アーム7とを分解して搬送することもできる。
【0063】
以上により構成された伸縮ブーム支持装置3を使用して、風車タワーを建設する施工を、図23〜図29を参照して説明する。
【0064】
風車タワーの建設現場へは、前記搬送車両11と搬送車両12により、伸縮ブーム支持装置3と抱持アーム7とがそれぞれ搬入される。また、支柱部材2も建設現場に搬入され、伸縮ブーム1も搬送台車13により搬入される。また、風車タワーの建設に際し、最下部となる第1段目の支柱部材2aを設置したりするのに補助クレーン14が用いられる。
【0065】
図23(a)に示すように、補助クレーン14を用いて第1段目の支柱部材2aを設置する。次いで、図24(c)に示すように、搬送車両11に積載された取付ベース5と支柱受けベース6、搬送車両12に積載された抱持アーム7とを、搬送台車13に組み込まれている伸縮ブーム1に前記補助クレーン14を用いて取り付ける。すなわち、伸縮ブーム1の取付ブラケット1pに取付ベース5を取り付けることによって、該取付ベース5と支柱受けベース6のベース基部6aとが伸縮ブーム1に取り付けられる。このベース基部6aにベース首部6cを軸6bによって連結させ、前記ピストンロッド5eの先端をベース首部6cの両端部にそれぞれ連結させると、伸縮ブーム支持装置3が伸縮ブーム1に取り付けられた状態となる。なお、伸縮ブーム1は、いわゆるテレスコピック方式であり、各段の外径寸法が異なっているから、それぞれの段の伸縮ブーム1に応じた伸縮ブーム支持装置3を取り付ける。また、取り付けられた伸縮ブーム支持装置3により支持すべき支柱部材2の外径寸法も当該伸縮ブーム支持装置3の抱持アーム7での抱持に適した大きさが対応するようにしてある。
【0066】
次いで、図24(d)に示すように、前記伸縮ブーム支持装置3が取り付けられた伸縮ブーム1を、補助クレーン14を用いて搬送台車13上で適宜な角度まで起立させ、その後この搬送台車13に設備されているブーム起立シリンダでほぼ垂直状態まで起立させる。この状態で、伸縮ブーム1の第1段目のブーム1aに取り付けられた伸縮ブーム支持装置3により、該ブーム1aを第1段目の支柱部材2aに支持させる。
【0067】
ここで、伸縮ブーム支持装置3が取り付けられた伸縮ブーム1の第1段目のブーム1aを第1段目の支柱部材2aに支持させる動作を説明する。
【0068】
図1に示すように、抱持アーム7R、7Lは拡開した状態にある。この状態で、前記パワーシリンダ5dを作動させて、取付ベース5に対して支柱受けベース6を前進させ、該支柱受けベース6を第1段目の支柱部材2aに接近させる。このとき、ベース首部6cがベース駆動シリンダ5cのピストンロッド5eにより押動され、ベース基部6aはベース首部6cに伴われて、前記摺動ロッド5fが案内されて前進する。
【0069】
前記ベース首部6cの前進により、その支柱受け面61の両端部に配されている前記支柱部材センサ6hが支柱部材2aの外周面に接触して、該支柱部材2aが存していることを検知する。このとき、両端部の支柱部材センサ6hが同時に支柱部材2aを検知すれば該支柱部材2aが拡開している抱持アーム7R、7Lのほぼ中央部に位置して正対していることになる。他方、いずれか一方の支柱部材センサ6hでのみ支柱部材2aを検知した場合には、該ベース首部6cが支柱部材2aに正対していない場合であり、支柱部材2aを検知した支柱部材センサ6hが配されている端部と同じ側の前記パワーシリンダ5dは停止させ、反対側のパワーシリンダ5dの作動を継続する。これにより、ベース首部6cがベース基部6aに対して軸6bを中心として回動しながら、当該時に支柱部材2aを検知していない支柱部材センサ6hが配されている側が前進する。この前進により、この支柱部材センサ6hが支柱部材2aを検知したならば、パワーシリンダ5dを停止して、ピストンロッド5eの前進を停止させる。この状態で、支柱受け面61が支柱部材2aに正対した状態となるから、再度パワーシリンダ5dを作動させて、ベース首部6cを前進させる。そして、図1に示すように、支柱受け面61にも受けられたダンパー6gが支柱部材2aに接触したならばパワーシリンダ5dを停止する。なお、図1に示すように、支柱部材センサ6hが押圧されて支柱受け面61に押し込まれた状態でパワーシリンダ5dを停止させればよい。
【0070】
図9に示すように、前記ベース首部6cの支柱受け面61が支柱部材2aに押圧されたならば、前記抱持アーム7により支柱部材2aを抱持させる。この動作を、図10〜図14を参照して説明する。図10に示すように、先ず前記鈎受け部材86が配されている抱持アーム7Lを揺動させて該抱持アーム7Lのみで支柱部材2aを抱持させる。次いで、図11(a)に示すように、鈎部材85が配されている抱持アーム7Rを揺動させて支柱部材2aを抱持させる。図11(a)は抱持アーム7Rが支柱部材2aを抱持する直前の状態を示しており、このときの抱持アーム7L、7Rの先端部を図12(a)に示してある。この状態から図12(b)に示すように、抱持アーム7Rの先端を抱持アーム7Lの先端に接近させてゆくと、図12(c)に示すように、前記鈎部材85が前記鈎受け部材86に当接する。さらに抱持アーム7Rの揺動によって、図13(d)に示すように、鈎部材85が鈎受け部材86を乗り越えてこれらが係合することができる位置に位置付くことになる。この状態で、前記チェーン開閉シリンダ8aを作動させて、ローラチェーン8L、8Rを該チェーン開閉シリンダ8aに引き寄せる。このため、図13(e)に示すように、前記鈎部材85が鈎受け部材86に係合して図14(f)に示すように、ローラチェーン8Lとローラチェーン8Rとが一体化されることになる。
【0071】
前記鈎部材85と鈎受け部材86とが係合した状態で、前記チェーン開閉シリンダ8aの作動によりローラチェーン8L、8Rが引き寄せられると、これらローラチェーン8L、8Rが、図14(g)に示すように、縮径することになる。この縮径動作によってローラチェーン8L、8Rに取り付けられている前記押圧プレート83が支柱部材2aの周壁面に押圧されて、ローラチェーン8が支柱部材2aを締め付けることになる。このため、このローラチェーン8を備えた伸縮ブーム支持装置3が当該支柱部材2aに固定され、この伸縮ブーム支持装置3の取付ベース5が取り付けられている第1断面のブーム1aが支柱部材2aに支持されることになる。
【0072】
ところで、前記ローラチェーン8が縮径する際には、該ローラチェーン8に設けられた押圧プレート83に前記連結ピン74aで連結している前記スライドロッド73bが圧縮コイルバネ73eの復元力に抗して引き出され、支持シリンダ73内を摺動して前進する。しかも、支持シリンダ73は支持軸73aによって回動自在にアーム主体71に支持されているから、該支持シリンダ73の揺動が許容され、スライドロッド73bが円滑に前進できる。すなわち、前記押圧プレート83はスライドロッド73bに案内されて移動し、確実に支柱部材2aを押圧して締め付けられることになる。
【0073】
図25(e)は第1段目の支柱部材2aに伸縮ブーム1の第1段目のブーム1aが支持された状態を示しており、この状態で別途搬入された建設用クレーンであるジブクレーン15を、前記補助クレーン14を用いて伸縮ブーム1の先端部に載置させて支持させる。次いで、図26(f)に示すように、伸縮ブーム1の第2段目のブーム1bを伸長させる。なお、ジブクレーン15と伸縮ブーム1の搬送台車13とにはガイロープ15aが張設されており、ジブクレーン15の方向や傾きの均衡を図るようにしてある。
【0074】
伸縮ブーム1の第2段目のブーム1bを伸長させたならば、図26(g)に示すように、前記ジブクレーン15を用いて第2段目の支柱部材2bを第1段目の支柱部材2aに載置させる。これら支柱部材2a、2bは内部に図示しない内向きフランジを備えており、支柱部材2aの上部の内向きフランジと支柱部材2bの下部の内向きフランジとをボルト・ナット等により締結して、第2段目の支柱部材2bを第1段目の支柱部材2aに固定する。次いで、前述した動作と同様に、第2段目のブーム1bに具備させた伸縮ブーム支持装置3により該ブーム1bを第2段目の支柱部材2bに支持させる。これにより、伸縮ブーム1の第1段目と第2段目のブーム1a、1bのそれぞれが、第1段目と第2段目の支柱部材2a、2bのそれぞれに支持された状態となる。
【0075】
そして、図27〜図29に示すように、前記ジブクレーン15により支柱部材を既設となった支柱部材に積み上げ、伸縮ブーム1の伸長させたブームを伸縮ブーム支持装置3により最上部の支柱部材2eに支持させる動作を順次繰り返して、図29(m)に示すように風車タワー20が完成され、前記ジブクレーン15により風車タワー20の上部にナセル21が載置されることになる。さらに、図示しないブレードがジブクレーン15により吊り上げられて設置される。
【0076】
風車タワー20の建設が完了したならば、伸縮ブーム1を収縮させて撤去することになる。この伸縮ブーム1の収縮動作を、以下に説明する。
【0077】
図15〜図17は、支柱部材2の締付を解除する動作を示している。図15(a)はローラチェーン8により支柱部材2が締め付けられている状態を示しており、前記図14(g)に示す状態と等しい状態にある。この状態で、前記チェーン開閉シリンダ8aを作動させて、ローラチェーン8が拡径するように押し戻す。これによりローラチェーン8が拡径して、図15(b)に示すように、支柱部材2の締付を解除する。さらに、前記チェーン開閉シリンダ8aを作動させて、ローラチェーン8をさらに拡径しようとすると、図15(c)に示すように、前記鈎受け部材86が前記ストッパ86bに当接し、ローラチェーン8Lはそれ以上拡径できない状態となる。他方、ローラチェーン8Rはローラチェーン8Lの拡径が阻止された後も僅かに拡径して、前記ストッパ85bに当接することになる。この状態で、前記チェーン開閉シリンダ8aをさらにローラチェーン8を拡径させる方向に作動させると、ローラチェーン8はストッパ85b、86bに拘束されているため、それぞれ支柱部材2の周方向に沿った方向に移動することになり、この方向の移動により、図15(c)に示すように、鈎部材85が鈎受け部材86に対して係合が解除するように移動する。さらに、ローラチェーン8を前記方向に移動させると、鈎部材85の胴部が鈎受け部材86に押し付けられることにより、鈎受け部材86が揺動軸86aを中心として縮径する側に揺動して、鈎部材85と鈎受け部材86との係合が解除される。しかも、これら鈎部材85と鈎受け部材86には、前記捩りコイルバネ85c、86cの復元力により、これらが外方向に揺動するよう付勢されているから、図16(d)に示すように、これら鈎部材85と鈎受け部材86とは係合が解除された状態に維持される。
【0078】
そして、図16(e)に示すように、抱持アーム7Rを揺動させて支柱部材2を抱持している位置から拡開させる。これにより、図17(f)、(g)に示すように、抱持アーム7Rを拡開させ、その後、抱持アーム7Lを拡開すると、抱持アーム7による支柱部材2の抱持状態が解除される。
【0079】
抱持アーム7が拡開した状態で、前記ベース駆動シリンダ5cを作動させて、支柱受けベース6を後退させる。これにより、伸縮ブーム1と支柱部材2との連繋が解除された状態となり、伸縮ブーム1を収縮させることができる状態となる。
【0080】
以上の解除動作を、伸縮ブーム1の上部から順次行うことで、伸縮ブーム1を収縮させ、補助クレーン14によってジブクレーン15を吊り降ろせば、伸縮ブーム1を前記搬送台車13に積載させた状態とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
この発明に係る塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブーム支持装置によれば、建設する塔状構造物の支柱に伸縮ブームを支持させることにより伸縮ブームを安定させて支持でき、この伸縮ブームのジブクレーンを搭載させることにより、支柱を従来よりも高所まで伸長させて建設することが容易となり、しかも、伸縮ブームの支持装置の車両による搬入が容易となるから、より高い搭状構造物の建設に寄与することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 伸縮ブーム
1a 第1段目のブーム
1b 第2段目のブーム
1c 第3段目のブーム
1d 第4段目のブーム
1e 第5段目のブーム
1p 取付ブラケット
2 支柱部材
2a 第1段目の支柱部材
2b 第2段目の支柱部材
2c 第3段目の支柱部材
2d 第4段目の支柱部材
2e 第5段目の支柱部材
3 伸縮ブームの支持装置
5 取付ベース
5c ベース駆動シリンダ(ベース進退手段)
5e ピストンロッド
5f 摺動ロッド(進退案内手段)
6 支柱受けベース
6a ベース基部
6b 軸
6c ベース首部
6g ダンパー(緩衝調整手段)
6h 支柱部材センサ
61 支柱受け面
7、7R、7L 抱持アーム
7a アーム駆動シリンダ(アーム揺動手段)
7b ピストンロッド
71 アーム主体
72 保持軸
73 支持シリンダ(支持手段)
73a 支持軸
73b スライドロッド
73c ハウジング
73d フランジ板
73e 圧縮コイルバネ(締付手段復元手段)
74 連繋部材
74a 連結ピン
8、8R、8L ローラチェーン(支柱締付手段)
8a チェーン開閉シリンダ(開閉手段)
81 ローラ
82 チェーンプレート
83 押圧プレート
84 連結ブラケット
85 鈎部材(締付手段係止手段)
85a 揺動軸
85b ストッパ
85c 捩りコイルバネ
86 鈎受け部材(締付手段係止手段)
86a 揺動軸
86b ストッパ
86c 捩りコイルバネ
11 搬送車両
12 搬送車両
13 搬送台車
14 補助クレーン
15 ジブクレーン(建設用クレーン)
15a ガイロープ
20 風車タワー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂上部が上空の高位置まで伸長した塔状構造物の支柱を、複数個の支柱部材を積み上げて建設するために、前記支柱部材を吊り上げる建設用クレーンを搭載させ、支柱部材の積み上げ高さに応じて伸長させながら前記建設用クレーンを上昇させる伸縮ブームを支持するための、塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置において、
前記伸縮ブームに固定される取付ベースと、
前記取付ベースに進退自在な支柱受けベースと、
前記支柱受けベースに、前記支柱の軸方向と平行な方向を軸として、支柱部材を開放する開放位置から支柱部材を抱持する抱持位置まで揺動自在に基端部を支持させた一対の抱持アームと、
前記一対の抱持アームの内側に設けられた、抱持位置の抱持アームよりもさらに縮径可能な支柱締付手段と、
前記支柱受けベースを進退させるベース進退手段と、
前記抱持アームを揺動させるアーム揺動手段と、
前記支柱締付手段を縮径させて閉じさせ、縮径した位置から拡径させて開く開閉手段とを備えてなることを特徴とする塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置。
【請求項2】
前記ベース進退手段は、前記取付ベースに固定された一対のピストン・シリンダ機構からなり、該一対のピストンの摺動方向をほぼ平行で、伸縮ブームの長手方向と交差する方向とし、前記前記支柱受けベースの進退を案内する進退案内手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置。
【請求項3】
前記アーム揺動手段は、前記支柱受けベースに配設させたピストン・シリンダ機構からなり、該ピストンの摺動を揺動運動に変換し、該揺動運動により前記抱持アームを揺動させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置。
【請求項4】
前記支柱締付手段を前記一対の抱持アームに対応させて、可撓性を備えた一対の帯状体で形成し、
前記帯状体を抱持アームに対して着脱自在とし、
前記帯状体の先端部同士を係脱自在とする支柱締付手段係止手段を設け、
前記帯状体の適宜な箇所を前記抱持アームと連繋させると共に、前記帯状体を縮径させる際に該帯状体が抱持アームから離隔することを許容する支持手段を設け、
前記帯状体の基端部に、該帯状体を引張って縮径させ、引張状態を開放して該帯状体を拡径させる前記開閉手段を連繋させ、
前記支柱締付手段係止手段を係合させて一対の帯状体を連結させ、前記開閉手段を作動させて帯状体を引張らせて該帯状体を保持アームから離脱させて縮径させることにより支柱部材を締め付けることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置。
【請求項5】
前記支柱締付手段を、前記一対の抱持アームに対応させて、複数箇所に屈曲自在な屈曲部を備えた一対のローラチェーンで形成し、
前記ローラチェーンを抱持アームに対して着脱自在とし、
前記ローラチェーンの先端部同士を係脱自在とする支柱締付手段係止手段を設け、
該ローラチェーンの適宜な箇所を前記抱持アームと連繋させると共に、前記ローラチェーンを縮径させる際に該ローラチェーンが抱持アームから離隔することを許容する支持手段を設け、
前記ローラチェーンの基端部に、該ローラチェーンを引張って縮径させ、引張状態を開放して該ローラチェーンを拡径させる前記開閉手段を連繋させ、
前記支柱締付手段係止手段を係合させて一対のローラチェーンを連結させ、前記開閉手段を作動させてローラチェーンを引張らせて該ローラチェーンを抱持アームから離脱させて縮径させることにより支柱部材を締め付けることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置。
【請求項6】
前記支持手段には、前記支柱締付手段を、前記抱持アームから離脱した状態から該抱持アームに係合した状態に復帰させるよう、該支柱締付手段を拡径する方向に付勢する支柱締付手段復元手段を具備させてあることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置。
【請求項7】
前記支持手段は、前記抱持アームに揺動自在に支持されたガイドシリンダと、該ガイドシリンダに案内されて移動するスライドロッドとを備え、
前記スライドロッドの先端部に支柱部材押圧板を設け、
前記ガイドシリンダに復帰バネを具備させて、その復元力の方向を、前記支柱部材押圧板を抱持アームに係合するよう、前記ローラチェーンを拡径する方向としてあることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置。
【請求項8】
前記支柱受けベースは、前記取付ベースに進退自在に連繋させたベース基部と、該ベース基部に伸縮ブームの長手方向と平行な方向を軸として回動自在に支持され、前記一対の抱持アームを支持させたベース首部とからなることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置。
【請求項9】
前記ベース首部の先端面を、支柱部材の外形とほぼ重畳する形状に形成してあることを特徴とする請求項8に記載の塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置。
【請求項10】
前記ベース首部の先端面に、該先端面と支柱部材との当接時の衝撃を緩和する緩衝調整手段を配してあることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置。
【請求項11】
前記ベース進退手段は一対として前記ベース首部の両端部のそれぞれに連繋させ、前記進退案内手段は一対として前記ベース基部の両端部のそれぞれに連繋させ、前記ベース首部の先端に支柱部材を検出する一対の支柱部材センサを設け、該支柱部材センサの支柱部材を検出する信号に応じて前記一対のベース進退手段の作動の制御を行うことを特徴とする請求項8から請求項10までのいずれかに記載の塔状構造物の建設用クレーン搭載用伸縮ブームの支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−91897(P2012−91897A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239344(P2010−239344)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【特許番号】特許第4751478号(P4751478)
【特許公報発行日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】