説明

塔状構造物の解体システム及び解体方法

【課題】 破砕時に生じる粉塵を周囲に飛散させることなく、且つ集塵装置と接続するダクトを高い位置に設けることなく、効率良く解体作業を行うことを可能にする塔状構造物の解体システムを提供する。
【解決手段】 塔状構造物として例えば煙突10を、発生する粉塵を集塵手段15で吸収しながら上端部から下方に向けて破砕してゆくことにより解体する際に用いる塔状構造物の解体システムであって、集塵手段15は、煙突10に隣接して設けた集塵装置14と、集塵装置14に一端部が接続されると共に、煙突10の周囲の地表面16に近接する高さ位置h1に貫通形成されたダクト穴17を介して煙突10の内部に導入されて上方に延設し、粉塵吸入部18を備える他端部が相当の高さ位置h2に設置される吸引ダクト19とからなり、煙突10の上端部に設けた破砕装置12によって破砕された煙突10の破砕屑13を、煙突10の下方内部に落とし込みながら解体作業を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塔状構造物の解体システム及び解体方法に関し、特に煙突に代表される中空筒状の塔状構造物を、発生する粉塵を集塵手段で吸収しながら上端部から下方に向けて破砕してゆくことにより解体する際に用いる塔状構造物の解体システム及び解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば老朽化したゴミ焼却場を撤去する工事が盛んに行われており、これに伴って、高さの高い中空筒状の塔状構造物である煙突を解体する作業が発生する。煙突は、鉄筋コンクリートやレンガ等からなり、特に直径が3〜10m、高さが30〜200m程度の大型のものになると、単に横倒しにして解体することがでず、また周囲の環境への配慮が必要になることから、例えば破砕装置をクレーン等の吊上げ用の重機を用いて吊り上げて煙突の上端に設置し、破砕屑を煙突の内部に落とし込みつつ、上端部から下方に向けて順次破砕しながら煙突を解体して行く方法が採用される。
【0003】
また、鉄筋コンクリートやレンガ等からなる煙突等の中空筒状の塔状構造物を破砕して解体する場合、発生する粉塵や、それに含まれるダイオキシン等が周辺の環境を汚染するおそれがあるといった問題も生じることから、例えば図4に示すように、塔状構造物50の下部の側面を貫通して形成した粉塵吸引口51にダクト52を取り付けると共に、このダクト52を集塵装置53に接続し、集塵装置53を作動させることによって塔内の空気を吸引して、塔外から塔状構造物50の上端開口を経て塔内下方へ向かう空気の流れを生成し、この生成した空気の流れに乗せて発生する粉塵を塔内に引き込むと共に、集塵装置53に集積するようにした技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−345721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の中空塔状構造物の解体方法によれば、塔外から塔状構造物50の上端開口を経て塔内下方へ向かう空気の流れを生成することにより、粉塵を周囲に飛散させることなく効果的に集塵装置53に集積することにが可能になる。その一方で、集塵装置53と接続するダクト52は、塔状構造物50の下部における根元よりも若干高い位置に形成された粉塵吸引口51に取り付けられることから、塔状構造物50の解体の進行に伴って、下方内部に破砕屑54が堆積してゆくことにより粉塵吸引口51が塞がれることになる。堆積した破砕屑54によって粉塵吸引口51が塞がれた際には、その都度、解体作業を中断して例えば塔状構造物50の下部側面に形成した搬出開口55から破砕屑54を搬出し、しかる後に再び粉塵吸引口51が塞がれるまで塔状構造物50を上端部から破砕する作業を行うことになる。特許文献1の中空塔状構造物の解体方法は、このような塔状構造物50を破砕する作業と破砕屑54を搬出する作業とを何度も繰り返す必要を生じて作業効率が劣るため、これを改善することが要望されていた。
【0005】
これに対して、粉塵吸引口51を塔状構造物50の側面の高い位置に形成してダクト52を取り付け、塔状構造物50の内部に破砕屑54を堆積させることが可能な高さを増加することも考えられるが、粉塵吸引口51に取り付けられるダクト52が塔状構造物50の外側の高い位置に露出することになり、例えば塔状構造物50の外側に破砕屑54がこぼれ落ちた際に、高い位置に露出したダクト52に当たって飛び跳ねることにより、破砕屑54が塔状構造物50から離れた場所まで飛散して周囲の環境に影響を及ぼす場合がある。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたものであり、破砕時に生じる粉塵を周囲に飛散させることなく、且つ集塵装置と接続するダクトを塔状構造物の外側の高い位置に設けることなく、解体作業を中断する回数を減らして効率良く解体作業を行うことを可能にする塔状構造物の解体システム、及び塔状構造物の解体方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、中空筒状の塔状構造物を、発生する粉塵を集塵手段で吸収しながら上端部から下方に向けて破砕してゆくことにより解体する際に用いる塔状構造物の解体システムであって、前記集塵手段は、前記塔状構造物に隣接して設けた集塵装置と、該集塵装置に一端部が接続されると共に、前記塔状構造物の周囲の地表面に近接する高さ位置に貫通形成されたダクト穴を介して前記塔状構造物の内部に導入されて上方に延設し、粉塵吸入部を備える他端部が相当の高さ位置に設置される吸引ダクトとからなり、前記塔状構造物の上端部に設けた破砕装置によって破砕された前記塔状構造物の破砕屑を、前記塔状構造物の下方内部に落とし込みながら解体作業を行う塔状構造物の解体システムを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
そして、本発明の塔状構造物の解体システムによれば、前記ダクト穴が形成される前記地表面に近接する高さ位置は、前記地表面から15〜20mの高さ領域に含まれ、前記吸引ダクトの他端部が設けられる相当の高さ位置は、前記地表面から0.5〜1mの高さ領域に含まれることが好ましい。
【0009】
また、本発明の塔状構造物の解体システムによれば、前記吸引ダクトの他端部が設けられる相当の高さ位置は、当該高さ位置よりも下方部分における前記塔状構造物の内容積が、当該高さ位置よりも上方部分の前記塔状構造物から生じる破砕屑の、ふけ率を鑑みた全容積と略等しくなるように設定された高さ位置であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の塔状構造物の解体システムによれば、前記吸引ダクトは、前記塔状構造物の内壁面に沿って鉛直上方に延設していることが好ましい。
【0011】
さらにまた、本発明の塔状構造物の解体システムによれば、前記吸引ダクトの前記粉塵吸入部を備えた他端部の上端は、斜めに傾斜する防護屋根によって上方を覆われていることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記いずれかに記載の塔状構造物の解体システムにより、前記吸引ダクトの他端部の高さ位置まで前記塔状構造物を解体した後、前記塔状構造物の下部の側面から内部に堆積した破砕屑を排除すると共に、前記塔状構造物の上端部に設けた破砕装置及び前記塔状構造物の内部に延設した前記吸引ダクトを撤去し、しかる後に前記地表面に設置した破砕装置によって、前記塔状構造物の残りの部分を解体する塔状構造物の解体方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の塔状構造物の解体システム又は塔状構造物の解体方法によれば、破砕時に生じる粉塵を周囲に飛散させることなく、且つ集塵装置と接続するダクトを塔状構造物の外側の高い位置に設けることなく、解体作業を中断する回数を減らして効率良く解体作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好ましい一実施形態に係る塔状構造物の解体システムは、図1に示すように、中空筒状の塔状構造物として、例えば老朽化したゴミ焼却場に設けられた煙突10を、例えばクレーン等の吊上げ用の重機11を用いて吊り上げた破砕装置12を煙突10の上端に設置すると共に、設置した破砕装置12を用いて、破砕屑13を煙突10の内部に落とし込みつつ、上端部から下方に向けて順次煙突10を破砕することにより解体して行く際に、破砕時に生じる粉塵を集塵装置14によって集塵しながら、効率良く解体作業を行うことができるようにするために採用されたものである。
【0015】
ここで、破砕装置12は、例えば特開2000−345721号公報に開示される公知の装置であって、例えば図2に示すように、吊上げ基台上12a上にオイルタンク、エンジン、油圧ポンプ、発電機、無線操縦装置等を備えると共に、基台12aの下方に旋回フレーム12bを介在させて、油圧シリンダ12cとリンク12dを用いて略L字形状の固定破砕腕12eが取り付けられている。また固定破砕腕12eに対して接離作動する可動破砕腕12fが、回転軸12gにより軸支されて固定破砕腕12eに回動可能に取り付けられている。さらに、固定破砕腕12eの上端部と可動破砕腕12fの中央部が油圧シリンダ12hで連結されていて、この油圧シリンダhの伸縮作動によって、固定破砕腕12eの先端部と可動破砕腕12fの先端部との間に煙突10の上端を被破砕部として挟みこんで圧砕すると共に、圧破後の破砕屑13を可動破砕腕12が配置される煙突10の内側に誘導して、煙突10の下方内部に落としこむことができるようになっている。また固定破砕腕12eや可動破砕腕12fには、鉄筋切断用の固定刃や可動刃が設けられている。
【0016】
そして、本実施形態の塔状構造物の解体システムは、中空筒状の塔状構造物としての煙突10を、発生する粉塵を集塵手段15で吸収しながら上端部から下方に向けて破砕してゆくことにより解体する際に用いるシステムであって、図3にも示すように、集塵手段15は、煙突10に隣接して設けた集塵装置14と、集塵装置14に一端部が接続されると共に、煙突10の周囲の地表面16に近接する高さ位置h1に貫通形成されたダクト穴17を介して煙突10の内部に導入されて上方に延設し、粉塵吸入部18を備える他端部が相当の高さ位置h2に設置される吸引ダクト19とからなり、煙突10の上端部に設けた破砕装置12によって破砕された煙突10の破砕屑13を、煙突10の下方内部に落とし込みながら解体作業を行うものである。
【0017】
本実施形態によれば、解体される煙突10は、例えば直径が3〜10m、高さが30〜200m程度の大型の煙突10であって、内側層がレンガによって形成された鉄筋コンクリート構造物として設けられている。
【0018】
また、集塵手段15を構成する集塵装置14は、例えば土木・建築工事用の集塵装置として知られる公知の各種のものを用いることができ、好ましくは商品名「ターボフィルタ」、機種・形式SJF900−44/20を用いることができる。かかる集塵装置14は、例えばカートリッジ方式で交換可能なフィルタや、モータによって回転駆動されるファン等が搭載されており、ファンが回転駆動されることにより、吸込みダクト19を介して煙突10内の空気が内部に取り込まれ、取り込まれる空気に含まれる粉塵がフィルタでろ過されて、ろ過後の清浄化された空気が排気口を通して装置14の外へ排気されようになっている。本実施形態によれば、集塵装置15の処理風量は例えば1000m3/minとなっている。またフィルタに活性炭を介在させることにより、ダイオキシン等の有毒物を効果的に除去することが可能になる。
【0019】
集塵手段15を構成する吸引ダクト19は、例えば鋼管からなる、内径が400〜1000mm程度の大きさの円筒管であって、煙突10に隣接してこれの周囲の地表面16に設置された集塵装置15に一端が接続される。また吸引ダクト19は、地表面16に沿って煙突10に向けて延設した後に、地表面16に近接する高さ位置h1において、煙突10の側面に貫通形成された例えば直径が500〜1000mm程度の大きさのダクト穴17に嵌入されて煙突10の内部に導入される。
【0020】
ここで、煙突10にダクト穴17が形成される地表面16に近接する高さ位置h1は、例えばダクト穴17の中心が好ましくは地表面16から0.5〜1mの高さ領域に含まれる位置となっている。ダクト穴17が地表面16から0.5〜1mの高さ領域に形成されることにより、通常煙突の下部に設けられている通気口を利用してダクト穴17とすることも可能になる。また吸引ダクト19を地表面16に沿わせながら低い高さで煙突10まで延設させることが可能になり、吸引ダクト19を煙突10の外側の高い位置に露出させる必要がなくなると共に、例えば吸引ダクト19を覆土20で覆って覆い隠すことも容易になる。
【0021】
また、ダクト穴17を介して煙突10の内部に導入された吸引ダクト19は、好ましくは煙突10の内壁面に沿って鉛直上方に延設し、当該内壁面に固定金具21を介して強固且つ安定した状態で取り付けられると共に、例えばストレーナからなる粉塵吸入部18を備えた他端部が、煙突10内の相当の高さ位置h2に設置される。
【0022】
ここで、吸引ダクト19の他端部が設けられる相当の高さ位置h2は、例えばその粉塵吸入部18による上端が好ましくは地表面16から15〜20mの高さ領域に含まれる位置となっている。ダクト穴17が地表面16から15〜20mの高さ領域に形成されることにより、粉塵吸入部18の高さまで破砕屑13を堆積させることが可能になり、破砕作業を中断して破砕屑13を搬出する回数を減らすことにより、解体作業の作業効率を向上させることが可能になる。
【0023】
また、本実施形態によれば、吸引ダクト19の他端部が設けられる相当の高さ位置h2は、当該高さ位置h2よりも下方部分における煙突10内の内容積が、当該高さ位置h2よりも上方部分の煙突10から生じる破砕屑13の、ふけ率を鑑みた全容積と略等しくなるように設定された高さ位置h2となっていることが特に好ましい。このような高さ位置は、煙突10の内径、肉厚、高さ等を鑑みて計算によって容易に求めることができる。吸引ダクト19の他端部がこのような高さ位置h2に設けられることにより、当該高さ位置h2の上方部分の煙突10の全てが破砕されるまで、吸引ダクト19の他端部に設けた粉塵吸入部18は、堆積される破砕屑13に埋まらずに閉塞されないことになり、煙突10の下部から堆積した破砕屑13を排除する回数を減らして、解体作業をさらに効率良く行うことを可能にする。
【0024】
特に、吸引ダクト19の他端部が設けられる相当の高さ位置h2は、煙突10の周囲の地表面16に設置した破砕装置として、例えばニブラーを取り付けたスカイアームを備える破砕重機を使用することにより、当該破砕重機から直接届く高さとなっている。これによって、吸引ダクト19の他端部の高さ位置まで、煙突10の解体作業を当該煙突10の上端部に設けた破砕装置12によって中断することなく行った後、煙突10の下部の側面から内部に堆積した破砕屑13を排除すると共に、破砕装置12及び煙突10内部の吸引ダクト19を撤去し、しかる後に地表面16に設置した破砕重機によって煙突10の残りの部分を解体することにより、煙突10の下部から堆積した破砕屑13を排除する作業を一度で済ませて、作業効率を一層向上させることが可能になる。
【0025】
さらに、本実施形態によれば、煙突10の内部に導入されて煙突10の内壁面に沿って鉛直上方に延設する吸引ダクト19の粉塵吸入部18が設けられた他端部の上端は、斜めに傾斜する防護屋根22によって上方を覆われている。防護屋根22は、例えば鉄板等からなり、煙突10の上端が破砕されて下方内部に落下する破砕屑13が粉塵吸入部18に直接衝突して、当該粉塵吸入部18が破損するのを効果的に防護すると共に、上面が傾斜していることにより、破砕屑13を滞留させることなくスムーズに下方に落下させることが可能になる。また、煙突10の内部に導入された吸引ダクト19を内壁面に寄せて当該内壁面に沿って上方に延設させていることにより、落下する破砕屑13との衝突を少なくすると共に、吸引ダクト19が破砕屑13を堆積させる際の邪魔にならないようにすることが可能になる。
【0026】
上述の構成を備える本実施形態の塔状構造物の解体システムによれば、発生する粉塵を集塵手段15で吸収しながら、煙突10の上端部に設けた破砕装置12によって破砕された煙突10の破砕屑13を煙突10の下方内部に落とし込みながら解体作業を行い、煙突10の内部に破砕屑13が粉塵吸入部18の近くまで堆積したら、煙突10の下部側面に適宜形成した搬出開口23から破砕屑13を外部に搬出し、必要に応じて引き続き破砕装置12による上端部の破砕作業を行うといったサイクルを繰り返す。
【0027】
また、煙突10の破砕が粉塵吸入部18の近くまで進んだら、内部に堆積した破砕屑13を搬出開口23から外部に搬出した後に、煙突10の内部に延設した吸引ダクト19を撤去し、例えば煙突10の外側に残置した吸引ダクト19によって粉塵を吸引しながら、煙突10の上端部に設けた破砕装置12によって、或いは地表面16に設置した破砕重機によって、残りの部分の解体を行う。
【0028】
そして、本実施形態の塔状構造物の解体システムによれば、破砕時に生じる粉塵を周囲に飛散させることなく、且つ集塵装置12と接続する吸引ダクト19を煙突10の外側の高い位置に設けることなく、解体作業を中断する回数を減らして効率良く解体作業を行うことが可能になる。すなわち、本実施形態によれば、粉塵吸入部18を備える吸引ダクト19の他端部が相当の高さ位置h2に設置されるので、煙突10内に破砕屑13をより多く堆積させることが可能になり、破砕作業を中断して搬出開口23から破砕屑13を搬出する回数を減らすことにより、作業効率を向上させることが可能になる。また、吸引ダクト19が導入されるダクト穴17が地表面16に近接する高さ位置h1に設けられており、煙突10の外側で吸引ダクト19を地表面16の近くの低い位置に設けることができるので、例えば煙突10の外側に破砕屑13がこぼれ落ちた場合でも、吸引ダクト19に当たって破砕屑13が離れた場所まで飛び散るのを効果的に回避することが可能になる。さらに、集塵装置12と吸引ダクト19からなる集塵手段15によって、破砕時に生じる粉塵をスムーズに排除できると共に、粉塵吸入部18のが煙突10内の高い位置に設けられていることにより、煙突10の上端での破砕作業で発生する粉塵を、より近い位置で強力に吸引することが可能になる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、煙突等の塔状構造物の内部に導入された吸引ダクトは、塔状構造物の内壁面に沿って鉛直上方に直線状に延設させる必要は必ずしもなく、吸引ダクトの粉塵吸入部を備えた他端部の上端を覆って、斜めに傾斜する防護屋根を設ける必要は必ずしもない。また、本発明は、ゴミ焼却場に設けられた煙突を解体する場合に限定されることなく、その他の種々の中空筒状の塔状構造物を解体撤去する際にも採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る塔状構造物の解体システムにより煙突を解体する状況を示す説明図である。
【図2】破砕装置の構成を説明する正面図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る塔状構造物の解体システムの構成を説明する部分断面図である。
【図4】従来の解体方法により塔状構造物を解体する状況を示す説明図である。
【符号の説明】
【0031】
10 煙突(塔状構造物)
11 吊上げ用の重機
12 破砕装置
13 破砕屑
14 集塵装置
15 集塵手段
16 地表面
17 ダクト穴
18 粉塵吸入部
19 吸引ダクト
20 覆土
21 固定金具
22 防護屋根
23 搬出開口
h1 ダクト穴が形成される地表面に近接する高さ位置
h2 ダクト穴が設けられる地表面に近接する高さ位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒状の塔状構造物を、発生する粉塵を集塵手段で吸収しながら上端部から下方に向けて破砕してゆくことにより解体する際に用いる塔状構造物の解体システムであって、
前記集塵手段は、前記塔状構造物に隣接して設けた集塵装置と、該集塵装置に一端部が接続されると共に、前記塔状構造物の周囲の地表面に近接する高さ位置に貫通形成されたダクト穴を介して前記塔状構造物の内部に導入されて上方に延設し、粉塵吸入部を備える他端部が相当の高さ位置に設置される吸引ダクトとからなり、
前記塔状構造物の上端部に設けた破砕装置によって破砕された前記塔状構造物の破砕屑を、前記塔状構造物の下方内部に落とし込みながら解体作業を行う塔状構造物の解体システム。
【請求項2】
前記ダクト穴が形成される前記地表面に近接する高さ位置は、前記地表面から15〜20mの高さ領域に含まれ、前記吸引ダクトの他端部が設けられる相当の高さ位置は、前記地表面から
0.5〜1mの高さ領域に含まれる請求項1に記載の塔状構造物の解体システム。
【請求項3】
前記吸引ダクトの他端部が設けられる相当の高さ位置は、当該高さ位置よりも下方部分における前記塔状構造物の内容積が、当該高さ位置よりも上方部分の前記塔状構造物から生じる破砕屑の、ふけ率を鑑みた全容積と略等しくなるように設定された高さ位置である請求項1又は2に記載の塔状構造物の解体システム。
【請求項4】
前記吸引ダクトは、前記塔状構造物の内壁面に沿って鉛直上方に延設する請求項1〜3のいずれかに記載の塔状構造物の解体システム。
【請求項5】
前記吸引ダクトの前記粉塵吸入部を備えた他端部の上端は、斜めに傾斜する防護屋根によって上方を覆われている請求項1〜4のいずれかに記載の塔状構造物の解体システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の塔状構造物の解体システムにより、前記吸引ダクトの他端部の高さ位置まで前記塔状構造物を解体した後、前記塔状構造物の下部の側面から内部に堆積した破砕屑を排除すると共に、前記塔状構造物の上端部に設けた破砕装置及び前記塔状構造物の内部に延設した前記吸引ダクトを撤去し、しかる後に前記地表面に設置した破砕装置によって、前記塔状構造物の残りの部分を解体する塔状構造物の解体方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−283473(P2006−283473A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−107336(P2005−107336)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】