説明

塗布具及び塗布物質容器

【課題】繰り返し使用が可能であるとともに様々な容器に装着可能で、擦り込みやマッサージが可能な、塗布物質の塗布具を提供する。
【解決手段】突起部18が設けられ被塗布面と接触する塗布面11と手指と接触する支持面13とが表裏一体に成形されている塗布具10であって、塗布物質を収容する塗布物質容器20の開口部21と一致する装着口14と、前記塗布面11に開口する吐出口12と、前記装着口14から前記塗布面11と前記支持面13との間を貫通して前記吐出口12へ塗布物質を誘導する流路15とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布物質を皮膚等に塗布する際に指先にあてがわれる塗布具及びそのような塗布具を備えた塗布物質の収容容器に関し、特に、その塗布面に突起を備え、マッサージ機能を兼ね備えた塗布具及びそのような塗布具を備えた塗布物質の収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚あるいは接着面等の適用対象面に塗布されることを目的とする液状、ペースト状、粉体状等の塗布物質は、化粧品、軟膏、クリーム、接着剤等多岐に亘る。これらのうちには、指先に適量を取って適用対象面に塗り広げることが必要なものが多い。これらのうちには、たとえば、樹脂製ラミネートチューブや金属製チューブに塗布物質が収容され、それを絞り出し口から適量を絞り出し、これを指先で取って皮膚等に塗布するような化粧品や薬剤がある。
このような塗布物質を指先で塗布するときには、塗布後に指先に付着ないし残存した物質を拭い去ったり洗浄したりする必要がある。これを避けるために、指サックを装着してその上から塗布することも試みられている。そのような試みの一つとして、下記の特許文献1記載の技術がある。該技術では、二層構造の指カバーにおいて、その二層の間に液状物品を封入しているとともに、最外層にはプルキャップが設けられている。そして、指先に該指カバーを装着し、使用時にこのプルキャップを引き剥がすと小孔が形成され、そこから封入された液状ないし液状物質が絞り出されて塗布可能となる。
【0003】
また、手指に装着可能な板状の塗布面に化粧料を仮着させ、それを触圧塗布する方法が開示されている。(特許文献2)いずれにせよ、これらの従来技術では、指先に塗布物質が直接付着することはないが、指カバーに封入ないし塗布面で仮着された塗布物質を使い切れば再利用はできないので結局使い捨てになる。また、使用できる塗布物質についても指カバーの中に封入されたものあるいは塗布面に仮着されたものに限られるので汎用性に欠ける。
【0004】
また、マッサージ機能を付与するために皮膚に接触する部分に凹凸を設けている道具が多数提案されている。(例えば特許文献3)これらのマッサージ機能付きの道具に、塗布具としての役割を持たせることは極めて容易であるが、前記した使い切りの塗布物質を塗布でき、かつ、マッサージ機能を持たせた道具について開示されておらず、実施も為されていない。更に、継続して塗布物質を吐出でき、かつ、マッサージ機能を持たせた塗布具について利便性は格段に向上すると予測されるものの、実用に供されていないのが現状である。
【特許文献1】特開平7−284508号公報
【特許文献2】実公昭54−41806号公報
【特許文献3】特開2003−19022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、繰り返し使用が可能であるとともに様々な容器に装着可能な塗布物質の塗布具であって、主に皮膚に対するマッサージ機能を備えた塗布具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、被塗布面と接触する塗布面11と手指と接触する支持面13とを有する塗布具10であり、塗布物質を収容する塗布物質容器20の開口部21と一致する装着口14と、前記塗布面11と前記支持面13との間を貫通して前記吐出口へ塗布物質を誘導する流路15とを有する塗布具であって、更に、前記塗布面11には突起18を持つことを特徴とする。
すなわち、本発明の係る塗布具10は、薬剤、化粧品等の塗布物質の容器の絞り出し口等の開口部21に装着され、そのまま塗布及びマッサージが可能となるものである。ここでいう「塗布物質」とは、皮膚あるいは接着面等の適用対象面である「被塗布面」に塗布されることを目的とする液状物、ペースト、ジェル、クリーム等の高粘稠性液体あるいは粉体の総称であり、その内容は薬剤、化粧品、軟膏、クリーム、接着剤等、多岐に亘る。特に薬剤などを塗布する際に、被塗布面である皮膚などに軽い刺激を与えつつ塗布をすると、その薬剤などの効果が、発現しやすくなる場合などに用いると、優れた効果を発揮させる塗布具である。
【0007】
塗布具10の材質としては、通常に化粧品容器に使用される材料であれば何でも使用できる。たとえば、シリコーン樹脂、エラストマー、ゴム等の弾性材料を使用して、射出成形やコンプレッション成形で形成することができる。ここで、弾性材料を使用することにより、装着口14の形状を通常入手される容器開口部より小さめに形成しても、これを圧入することが可能となり、汎用性が得られることとなる。なお、塗布物質の性状や、あるいは塗布の目的によっては、金属や硬質プラスチックも塗布具10の材質として採用することができる。
突起18は、前記した塗布具10の材質と同じ材料を用いることが可能であるが、二色成形、嵌着などによって、塗布具とは別の材質とすることも可能である。また、突起16の形状も、円柱形、角柱形、半球形あるいは三角錐などとすることが可能である。塗布物質の種類や、塗布及びマッサージの目的によって突起18の材質および形状は適宜、自在に設定することができる。
また、装着口14の形状は、容器開口部の形状に合わせて形成することも可能である。たとえば、容器開口部が雄ねじとして形成されている場合には、これと嵌合し得る雌ねじ形状とすることもできる。また、金型成形の際に、装着口14にアンダーカットとなるような部位を形成するようにしておけば、容器開口部をこのアンダーカット部分の弾性変形により押し入れるようにして確実に装着することを期待できる。
【0008】
塗布具10の形状は、支持面13が平面になるように形成してもよいが、指先の形状に合わせて、支持面13が手指の腹面を収納可能な曲面に形成されていることが望ましい。さらに、塗布面11は突起18のある平面であってもよいが、被塗布面に向かって凸な曲面に形成されていることとすれば、スムーズに塗布及びマッサージを施すことが可能となる。
【0009】
支持面13若しくは塗布面11がこのような曲面に形成されているとき、又は支持面13が平面になるように形成されているときのいずれであっても、支持面13の背面側は開放していることとしてもよいが、接触する手指の背面の少なくとも一部を被覆する被覆部16が形成されていれば、この被覆部16により手指がより確実に塗布具10に保定されることとなる。そして、この被覆部16が設けられ手指がより確実に塗布具10に保定されていることにより、マッサージの動作に有り勝ちな、軽く叩く行為が行いやすい。
【0010】
また、このような被覆部16を設けなくとも、支持面の外周の少なくとも一部には壁部17が設けられていることとすれば、この壁部17により手指が塗布具10に対して、特に横の動きに対して安定することとなる。
【0011】
なお、塗布面11と支持面13とは表裏一体になるように形成してもよいし、また、支持面13の裏側が直接塗布面11にならないような構造(たとえば、支持面の裏側の面と連続する面を塗布面11とするような場合)としてもよい。
【0012】
本発明は、以下のように作用する。
すなわち、本発明に係る塗布具10を容器の開口部21に装着した状態で、容器の開口部21から押し出される塗布物質は、塗布面11の装着口14から前記塗布面11と前記支持面13との間を通過する流路15を通って、塗布面11の吐出口12から押し出される。ちなみに、この吐出口12は、塗布具の形状次第では、塗布面11そのものではなく、被塗布面とは直接接触しないが、支持面13ではない箇所に開口することとしてもよい。たとえば、塗布面と連続する面の先端部分が反り返っている形状となり、その部分は塗布の際には直接塗布面には触れないような場合、その先端近傍の部分に吐出口12を設けることもできる。
【0013】
そして、容器を手掌内に納めつつ、塗布面11から見て裏面に当たる支持面13に指先をあてがい、吐出口12から押し出された塗布物質を被塗布面に塗り広げつつ、皮膚(被塗布面)に突起18によって刺激を与えることが可能となっている。前記した通り突起18は様々な材質および形状を採ることができる。さらに、突起18の塗布面11上での配置についても、例えば、細長い柱状の突起18を、やや密に配置することによって、塗布物質が高粘度の液体であれば、保持可能な程度に配置を行うことができる。塗布物質が低粘度の液体である場合には、更に密に配置すれば、その突起の林立する箇所に塗布物質を保持することが可能となる。塗布物質の保持について配慮を行わない場合であれば、突起18の配置は、塗布及びマッサージの目的によって適宜、自在に設定することができる。
【0014】
吐出口12の形状としては、通常は円形ないし楕円形が想定されるが、それ以外にも様々なものが可能である。たとえば、吐出口12を、四角形、三角形や星型等の異形に形成することができる。さらに、吐出口12を、たとえばV字形の切れ込みとして弁状に形成すると、塗布物質を押し出す際にはこの弁状部分が内側から押圧され開放するが、非使用時には閉じているようにすることが可能である。こうすることで、特に塗布物質の粘性が高い場合には、非使用時にみだりに塗布物質がしみ出すようなことを防止することができる。そして、上記した吐出口12は、単独で設けることも、又は複数個設けることも可能である。
【0015】
さらに、吐出口12に、球体32を嵌挿することも可能である。こうすることで、塗布物質を球体の回転でスムーズに塗布することが可能となる。ここで、塗布具10を前記の弾性物質で形成する場合には、吐出口12の口径より大きな直径の球体32を圧入して嵌挿することは容易である。ここでは、球体32が塗布面11から露頭する寸法と、同じ程度の寸法の突起18を吐出口12の周囲に設けることによって、球体32の露頭する部分を、突起の一つとして使用することも可能である。
【0016】
また、吐出口12を網状部材で被覆することも可能である。そうすることで、たとえば粉体のような塗布物質をこの網状部材で保持しつつ被塗布面に塗布することが容易となる。さらに塗布物質が液状の場合であっても、網状部材の網目中に液体を保持することで、やはり塗布の便に資することができる。ここでは、突起18を不織布など皮膚に対し刺激の少ない素材から構成することによって、皮膚に対して柔和な刺激を与えながらベビーパウダーなどを散布することが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る塗布具10は、塗布物質容器20と一体に形成することもできる。すなわち、塗布物質を収容するとともに開口部21を有する貯蔵部22と、被塗布面と接触する塗布面11と手指と接触する支持面13とを有する塗布具10とを備えた塗布物質容器20であって、前記塗布具10は、前記開口部21と一致する装着口14と、前記塗布面11に開口する吐出口12と、前記装着口14から前記塗布面11と前記支持面13との間を貫通して前記吐出口12へ塗布物質を誘導する流路15とを有することを特徴とする。ここで、塗布具10と塗布物質容器20とは、最初から一体に成形することとしてもよいし、また、別々に成形されたものを接着して一体とすることとしてもよい。また、突起18も塗布面11と一体に形成してもよいし、別々に成形したものを塗布面11に固定していってもよい。
【0018】
更に、本件発明は、塗布物質を収容する貯蔵部22と、前記貯蔵部22の先端側に設けられ、被塗布面と接触する塗布面11と手指と接触する支持面13とを有する塗布具10とが一体に形成されているとともに、前記塗布面を含む前記支持面以外の箇所に開口する吐出口12と、前記貯蔵部22から前記塗布面11と前記支持面13との間を貫通して前記吐出口12へ塗布物質を誘導する流路15とを有することを特徴とする塗布物質容器20としてもよい。なお、塗布面11と支持面13とは表裏一体になるように形成してもよいし、また、支持面13の裏側が直接塗布面とならないような構造(たとえば、支持面の裏側の面と連続する面を塗布面11とするような場合)としてもよい。更に、突起18までも塗布面11と一体に形成してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、繰り返し使用が可能であり、マッサージの動作が容易に行えるとともに様々な容器に装着可能な塗布物質の塗布具を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
(1)第1の実施形態
本発明の第1の実施形態に係る塗布具10を、図1から図4までを参照しつつ説明する。なお、図1は塗布具10の背面右下方斜視図、図2は正面右上方斜視図、図3は背面右上方斜視図、及び図4は側面断面図を示す。
本実施形態に係る塗布具10は、図1に示すように下面側が凸曲面で、半球形の突起18を有する塗布面11となり、図2に示すように上面側が開放した凹曲面の支持面13となっている。すなわち、塗布面11と支持面13とは表裏一体となっている。また、塗布具13の後端側は図3に示すように中心に孔が設けられた短円筒形状に形成されている。この中心の孔が装着口14となっている。装着口14には嵌合溝が刻まれている。これにより、塗布物質の容器(特に、チューブ状のもの)の、前記装着口14と一致する嵌合部に形成されている絞り出し口がここに圧入され固定されるようになっている。
【0021】
また、図1に示すように、塗布面11のほぼ中央には小孔が設けられている。この小孔が吐出口12である。図4に示すように、この吐出口12は、装着口14と流路15を介して連結している。
本実施形態に係る塗布具10は、シリコーン樹脂の射出成形により形成することができる。
本実施形態に係る塗布具10は、図示しない塗布物質の容器の絞り出し口を装着口14に圧入して装着してから使用する。そして、容器の側面を押圧すると内容物である塗布物質が絞り出し口から押し出され、さらに装着口14から流路15を介して吐出口12から絞り出される。適量が絞り出されたところで、容器を手掌内に保持しつつ、指先(通常は人差し指)を支持面13にあてがい、被塗布面(この場合は皮膚)に塗り広げ、同時に、被塗布面を刺激する(マッサージをする)ことが可能となる。このとき、支持面13の凹曲面に指先の腹側がフィットするので、塗布及び横方向の摺動(マッサージ)がスムーズに行われることとなる。
【0022】
(2)第2の実施形態
本発明の第2の実施形態に係る塗布具10を、図7から図10までを参照しつつ説明する。なお、図5は塗布具10の背面右下方斜視図、図6は正面右上方斜視図、図7は背面右上方斜視図、及び図8は側面断面図を示す。
本実施形態に係る塗布具10は、図5に示すように下面側が凸曲面で、円錐形状の突起18を有する塗布面11となり、図6に示すように上面側が一部開放した凹曲面の支持面13となっている。すなわち、塗布面11と支持面13とは表裏一体となっている。また、塗布具10の後端側は図9に示すように中心に孔が設けられた短円筒形状に形成されている。この中心の孔が装着口14となっている。装着口14には嵌合溝が刻まれている。これにより、塗布物質の容器(特に、チューブ状のもの)の、前記装着口14と一致する嵌合部に形成されている絞り出し口がここに圧入され固定されるようになっている。さらに、本実施形態では、図6に示すように支持面13の先端側が上面部分をスリッパ状に被覆する被覆部16として形成されている。
【0023】
本実施形態に係る塗布具10は、シリコーン樹脂の射出成形により形成することができる。
また、図5に示すように、塗布面11のほぼ中央には小孔が設けられている。この小孔が吐出口12である。図8に示すように、この吐出口12は、装着口14と流路15を介して連結している。
本実施形態に係る塗布具10は、図示しない塗布物質の容器の絞り出し口を装着口14に圧入して装着してから使用する。そして、容器の側面を押圧すると内容物である塗布物質が絞り出し口から押し出され、さらに装着口14から流路15を介して吐出口12から絞り出される。適量が絞り出されたところで、容器を手掌内に保持しつつ、指先(通常は人差し指)を支持面13にあてがい、被塗布面(この場合は皮膚)に塗り広げ、同時に、被塗布面を刺激する(マッサージをする)ことが可能となる。このとき、支持面13の凹曲面にあてがった指先は被覆部16でその背面を覆われる。これにより、指先の安定性が増し、塗布及び縦方向に被塗布面を叩く動き(マッサージ)がスムーズに行われることとなる。
【0024】
(3)第3の実施形態
本発明の第3の実施形態に係る塗布具10を、図9を参照しつつ説明する。なお、図9(A)は塗布具10の側面断面図、及び図9(B)は図9(A)におけるA−A断面図を示す。
本実施形態に係る塗布具10は、下面側が平面状で円柱形状の突起18を有する塗布面11となり、上面側は通常の平面状の支持面13となっている。また、塗布面11の周縁部はエッジを有する構造となっている。また、塗布面11と支持面13とは表裏一体となっており、塗布面11の周縁部は角張った断面になっている。また、塗布具10後端側は中心に孔が設けられた短円筒形状に形成されている。この中心の孔が装着口14となっている。装着口14には嵌合溝が刻まれている。これにより、塗布物質の容器(特に、チューブ状のもの)の、前記装着口14と一致する嵌合部に形成されている絞り出し口がここに圧入され固定されるようになっている。さらに、本実施形態では、支持面13の背面側にアーチ状の被覆部16が2本形成されている。
【0025】
また、塗布面11のほぼ中央には小孔が設けられている。この小孔が吐出口12である。この吐出口12は、装着口14と流路15を介して連結している。
本実施形態に係る塗布具10は、シリコーン樹脂の射出成形により形成することができる。
本実施形態に係る塗布具10は、図示しない塗布物質の容器の絞り出し口を装着口14に圧入して装着してから使用する。そして、容器の側面を押圧すると内容物である塗布物質が絞り出し口から押し出され、さらに装着口14から流路15を介して吐出口12から絞り出される。適量が絞り出されたところで、容器を手掌内に保持しつつ、指先(通常は人差し指)を支持面13にあてがい、被塗布面(この場合は皮膚)に塗り広げ、同時に、被塗布面を刺激する(マッサージをする)ことが可能となる。このとき、支持面13にあてがった指先の背面に被覆部16が接触する。これにより、指先の安定性が増すこととなり、塗布及び縦方向に被塗布面を叩く動き(マッサージ)がスムーズに行われることとなる。さらに余剰の塗布物質を塗布面11の周縁部のエッジで掻き取って除去することができる。
【0026】
(4)第4の実施形態
本発明の第4の実施形態に係る塗布具10を、図10を参照しつつ説明する。なお、図10(A)は塗布具10の側面断面図、及び図10(B)は図10(A)におけるB−B断面図を示す。
本実施形態に係る塗布具10は、下面側が平面状で三角錐形状の突起18を有する塗布面11となり、上面側は通常の平面状の支持面13となっている。すなわち、塗布面11と支持面13は表裏一体となっている。また、塗布具10の後端側は中心に孔が設けられた短円筒形状に形成されている。この中心の孔が装着口14となっている。装着口14には嵌合溝が刻まれている。これにより、塗布物質の容器(特に、チューブ状のもの)の、前記装着口14と一致する嵌合部に形成されている絞り出し口がここに圧入され固定されるようになっている。さらに、本実施形態では、支持面13の背面側にアーチ状の被覆部16が2対形成されている。
【0027】
また、塗布面11のほぼ中央には小孔が設けられている。この小孔が吐出口12である。この吐出口12は、装着口14と流路15を介して連結している。
本実施形態に係る塗布具10は、シリコーン樹脂の射出成形により形成することができる。
本実施形態に係る塗布具10は、図示しない塗布物質の容器の絞り出し口を装着口14に圧入して装着してから使用する。そして、容器の側面を押圧すると内容物である塗布物質が絞り出し口から押し出され、さらに装着口14から流路15を介して吐出口12から絞り出される。適量が絞り出されたところで、容器を手掌内に保持しつつ、指先(通常は人差し指)を支持面13にあてがい、被塗布面(この場合は皮膚)に塗り広げ、同時に、被塗布面を刺激する(マッサージをする)ことが可能となる。このとき、支持面13にあてがった指先の背面に被覆部16が接触する。これにより、指先の安定性が増すこととなり、塗布及び縦方向に被塗布面を叩く動き(マッサージ)がスムーズに行われることとなる。さらに余剰の塗布物質を塗布面11の周縁部のエッジで掻き取って除去することができる。
【0028】
(5)第5の実施形態
本発明は、図11に示す第5の実施形態のように、塗布具10を塗布物質容器20と一体に形成することができる。この実施形態においても、塗布具10の上面側は凹曲面の支持面13となり(図11(A)参照)、また下面側は吐出口12及び突起18を備えた凸曲面の塗布面11となっている(図11(B)参照)。図示はしないが、塗布具10は、図4の断面図に示したものと同様に、装着口14が設けられており、ここへ塗布物質が進入してくることとなっている。さらに装着口14と吐出口12とは流路15で連結されている。この塗布具10は、図11(A)、(B)に示すように塗布物質容器20の先端部21に装着口14と一致し、お互いに一体となるように形成されている。一体となるような形成は、塗布具10及び塗布物質容器20を別々に成形し接着してよいし、後端が開放した形の塗布物質20の先端部21の更に先方に塗布具10を一体成形し、形成してもよい。
【0029】
塗布物質容器20の貯蔵部22の側面を押圧すると内容物である塗布物質が押し出され、さらに装着口14から流路15を介して吐出口12から絞り出される。適量が絞り出されたところで、塗布物質容器20を手掌内に保持しつつ、指先(通常は人差し指)を支持面13にあてがい、被塗布面(この場合は皮膚)に塗り広げ、同時に、被塗布面を刺激する(マッサージをする)ことが可能となる。このとき、支持面13の凹曲面に指先の腹側がフィットするので、塗布及び横方向の摺動(マッサージ)がスムーズに行われることとなる。
【0030】
(6)第6の実施形態
図12に示す本発明の第6の実施形態に係る塗布具10は、下面側が円錐状の突起18を備えた平面状の塗布面11となり、上面側は粘着テープ31を貼付した平面状の支持面13となっている。すなわち、塗布面11と支持面13とは表裏一体となっている。また、塗布面11の周縁部はエッジを有する構造となっている。図示しないが、前記した実施形態同様、塗布具10の後端側は中心に孔が設けられた短円筒形状に形成されている。この中心の孔が装着口14となっている。装着口14には嵌合溝が刻まれている。これにより、塗布物質の容器(特に、チューブ状のもの)の、前記装着口14と一致する嵌合部に形成されている絞り出し口がここに圧入され固定されるようになっている。
【0031】
前記した実施形態同様、本実施形態においても、容器を手掌内に保持しつつ、指先(通常は人差し指)を支持面13にあてがい、被塗布面(この場合は皮膚)に塗り広げ、同時に、被塗布面を刺激する(マッサージをする)ことが可能となる。このとき、支持面13にあてがった指先が、粘着テープ31に付着して固定される。これにより、指先の安定性が増すこととなり、塗布、縦方向及び横方向に被塗布面を叩く動き(マッサージ)がスムーズに行われることとなる。さらに余剰の塗布物質を塗布面11の周縁部のエッジで掻き取って除去することができる。
【0032】
(7)第7の実施形態
図13に示す本発明の第7の実施形態に係る塗布具10は、下面側が半球状の突起18を備えた平面状の塗布面11となり、上面側は通常の平面状の支持面13となっている。すなわち、塗布面11と支持面13とは表裏一体となっている。また、塗布面11の周縁部はエッジを有する構造となっている。図示しないが、前記した実施形態同様、塗布具10の後端側は中心に孔が設けられた短円筒形状に形成されている。この中心の孔が装着口14となっている。装着口14には嵌合溝が刻まれている。これにより、塗布物質の容器(特に、チューブ状のもの)の、前記装着口14と一致する嵌合部に形成されている絞り出し口がここに圧入され固定されるようになっている。
【0033】
また、塗布面11のほぼ中央には小孔が設けられている。この小孔が吐出口12である。この吐出口12は、装着口14と流路15を介して連結している。本実施形態では、吐出口12に球体32が嵌装されているものである。すなわち、図14の断面図で示すようにこの球体32の直径は吐出口12の直径より大きいため、吐出口12より脱落せずに保持されている。たとえば、塗布具10をシリコーン樹脂のような弾性に富む材質で形成した場合には、吐出口12から球体32を弾性変形により挿入することは容易である。塗布物質は、図示しない貯蔵部22を押圧するなどすれば、この球体32と吐出口12との間の隙間から滲み出るように絞り出されることとなる。そして、絞り出された塗布物質はこの球体32を被塗布面で転がすようにすれば容易かつ快適に塗り広げられる。
このとき、塗布面に設けられた半球状の突起18及び塗布面11上に半分露頭した球体32により被塗布面を押圧する動き(マッサージ)が行われることとなる。
【0034】
(8)第8の実施形態
本発明は、図15に示す第8の実施形態のように、塗布具10を塗布物質容器20と一体に形成することができる。この実施形態においては、塗布具10の上面側は平面状の支持面13となり(図15(A)、(B)参照)、また下面側は吐出口12及び髭状の突起18を備えた凹曲面の塗布面11となっている(図15(B)、(C)参照)。図示はしないが、塗布具10は、前記した実施形態と同様に、装着口14が設けられており、ここへ塗布物質が進入してくることとなっている。さらに装着口14と吐出口12とは流路15で連結されている。この塗布具10は、図15(A)、(B)及び(C)に示すように塗布物質容器20の先端部21に装着口14と一致し、お互いに一体となるように形成されている。一体となるような形成は、塗布具10及び塗布物質容器20を別々に成形し接着してよいし、後端が開放した形の塗布物質20の先端部21の更に先方に塗布具10を一体成形し、形成してもよい。
【0035】
塗布物質容器20の貯蔵部22の側面を押圧すると内容物である塗布物質が押し出され、さらに装着口14から流路15を介して吐出口12から絞り出される。適量が絞り出されたところで、塗布物質容器20を手掌内に保持しつつ、指先(通常は人差し指)を支持面13にあてがい、被塗布面(この場合は皮膚)に塗り広げ、同時に、被塗布面を刺激する(マッサージをする)ことが可能となる。このとき、塗布面11の凹曲面に髭状の突起18が林立しているので、塗布及び被塗布面の刺激(マッサージ)がスムーズに行われることとなる。また、林立する髭状の突起18を用いて、マッサージ以外にも接着剤や塗料の塗布にも用いることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、ラミネートチューブ、金属チューブ等の絞り出し容器に収容される、化粧品、軟膏、クリーム、ジェル、接着剤、絵の具等の塗布物質を塗布及び被塗布面に対し刷り込みやマッサージなどをするために使用される塗布具として可能である。また、そのような塗布具を備えた容器としても使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る背面下方斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る正面上方斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る背面上方斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る側面断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る背面下方斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る正面上方斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る背面上方斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る側面断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る塗布具の(A)側面断面図及び(B)A−A断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る塗布具の(A)側面断面図及び(B)B−B断面図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る塗布物質容器の(A)正面上方斜視図及び(B)下面斜視図である。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る正面上方斜視図である。
【図13】本発明の第7の実施形態に係る正面下方斜視図である。
【図14】本発明の第7の実施形態に係る側面断面図である。
【図15】本発明の第8の実施形態に係る塗布物質容器の(A)鉛直視図、(B)側面図及び(C)正面下方斜視図である。
【符号の説明】
【0038】

10…塗布具、11…塗布面、12…吐出口、13…支持面
14…装着口、15…流路、16…被覆部、17…壁部
18…突起部
20…塗布物質容器、21…開口部、22…貯蔵部、
31…粘着テープ、32…球体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布面と接触する塗布面と手指と接触する支持面とを有する塗布具であって、
塗布物質を収容する塗布物質容器の開口部と一致する装着口と、
前記塗布面を含む前記支持面以外の箇所に開口する吐出口と、
前記装着口から前記塗布面と前記支持面との間を貫通して前記吐出口へ塗布物質を誘導する流路とを有する塗布具であって、
前記塗布面に少なくとも一の突起を設けたことを特徴とする塗布具。
【請求項2】
前記支持面は平面として形成されていることを特徴とする請求項1記載の塗布具。
【請求項3】
前記支持面は手指の腹面を収納可能な曲面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の塗布具。
【請求項4】
前記塗布面は被塗布体に向かって凸な曲面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の塗布具。
【請求項5】
前記支持面の背面側は開放していることを特徴とする請求項2乃至4記載の塗布具。
【請求項6】
前記支持面には接触する手指の少なくとも一部を被覆する被覆部が形成されていることを特徴とする請求項2乃至4記載の塗布具。
【請求項7】
前記支持面の外周の少なくとも一部には壁部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の塗布具。
【請求項8】
前記吐出口は、弁状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の塗布具。
【請求項9】
前記吐出口は、使用時に際して剥離可能なシール部材で被覆されていることを特徴とする請求項1記載の塗布具。
【請求項10】
前記吐出口には、球体が嵌挿されていることを特徴とする請求項1記載の塗布具。
【請求項11】
前記吐出口は、網状部材で被覆されていることを特徴とする請求項1記載の塗布具。
【請求項12】
前記塗布面と前記支持面とが表裏一体に成形されていることを特徴とする請求項1記載の塗布具。
【請求項13】
塗布物質を収容するとともに開口部を有する貯蔵部と、
被塗布面と接触する塗布面と手指と接触する支持面とを有する塗布具とを備えた塗布物質容器であって、
前記塗布具は、
前記開口部と一致する装着口と、
前記塗布面に開口する吐出口と、
前記装着口から前記塗布面と前記支持面との間を貫通して前記吐出口へ塗布物質を誘導する流路とを有する塗布物質容器であって、
前記塗布面に少なくとも一の突起を設けたことを特徴とする塗布具。
【請求項14】
前記開口部と、同開口部と一致する前記装着口とは互いに密着嵌合する形状に形成されていることを特徴とする請求項13記載の塗布物質容器。
【請求項15】
前記塗布面と前記支持面とが表裏一体に成形されていることを特徴とする請求項13記載の塗布物質容器。
【請求項16】
塗布物質を収容する貯蔵部と、
前記貯蔵部の先端側に設けられ、被塗布面と接触する塗布面と手指と接触する支持面とを有する塗布具とが一体に形成されており、
前記塗布面を含む前記支持面以外の箇所に開口する吐出口と、
前記貯蔵部から前記塗布面と前記支持面との間を貫通して前記吐出口へ塗布物質を誘導する流路を有し、
前記塗布面を含む前記支持面以外の箇所に開口する吐出口と、
前記貯蔵部から前記塗布面をと前記支持面との間を貫通して前記吐出口へ塗布物質を誘導する流路とを有する塗布物質容器であって、
前記塗布面に少なくとも一の突起を設けたことを特徴とする塗布具。
【請求項17】
前記塗布具と、前記吐出口を含む前記流路とが互いに嵌合する形状に形成されていることを特徴とする請求項16記載の塗布物質容器。
【請求項18】
前記塗布面と前記支持面とが表裏一体に成形されていることを特徴とする請求項16記載の塗布物質容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−302160(P2008−302160A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154588(P2007−154588)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】