説明

塗料供給設備

【課題】 塗料供給設備のイニシャルコスト、ランニングコストを効果的に低減する。
【解決手段】 塗料供給ポンプPの吐出側に接続した塗料往路4、及び、塗料供給ポンプPの吸入側に接続した塗料還路5の夫々を複数の塗装ガン装備部2にわたらせて延設し、それら塗装ガン装備部2の夫々において、塗装ガン3に供給する塗料Tを取り出す塗料取出部11を構成するのに、塗料往路4と塗料還路5とを短絡的に接続する塗料バイパス路12を設けて、その塗料バイパス路12から塗料取出路13を分岐し、この塗料取出路13を開閉する塗料取出弁15を設ける塗料供給設備において、塗料往路4及び塗料還路5の各々を全長にわたって同一口径dの配管Hs,Hrにより形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装ガンにより被塗物を塗装する複数の塗装ガン装備部に対して塗料を供給する塗料供給設備に関し、
詳しくは、塗料供給ポンプの吐出側に接続した塗料往路、及び、前記塗料供給ポンプの吸入側に接続した塗料還路の夫々を複数の塗装ガン装備部にわたらせて延設し、
それら塗装ガン装備部の夫々において、塗装ガンに供給する塗料を取り出す塗料取出部を構成するのに、前記塗料往路と前記塗料還路とを短絡的に接続する塗料バイパス路を設けて、その塗料バイパス路から塗料取出路を分岐し、この塗料取出路を開閉する塗料取出弁を設けてある塗料供給設備に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の塗料供給設備は(図4参照)、各塗装ガン装備部2において塗料開閉弁15の閉弁により塗料Tの取り出しを停止した際に塗料供給ポンプPにより塗料往路4″から塗料バイパス路12に分流される塗料Tの全量、及び、塗料取出弁15の開弁により塗料Tの取り出しを行っている際に塗料供給ポンプPにより塗料往路4″から塗料バイパス路12に分流される塗料Tのうちの余剰分を、塗料バイパス路12から塗料還路5″に対し短絡的に戻すことで、塗料往路4″、各塗装ガン装備部2の塗料バイパス路12、塗料還路5″にわたる塗料循環状態を保ち、これにより、それら各路を形成する配管内において塗料溶剤中の塗料成分が沈降するのを防止するようにしたものである。
【0003】
そして従来、この種の塗料供給設備では、図4に示す如く、塗料往路4″を形成する往路配管Hs″の口径を各塗装ガン装備部2での塗料取り出しで塗料流量が減少する下流側ほど小径にするとともに、塗料還路5″を形成する還路配管Hr″の口径を同じく塗料流量が小さい上流側ほど小径にし、これにより、塗料往路4″及び塗料還路5″夫々の各部における塗料流速を高く保った状態で各塗装ガン装備部2の塗料バイパス路12を通じて塗料Tを循環させるようにしていた。
【0004】
また従来、同図4に示す如く、塗装ブース1などにおいて塗装ガン装備部2を被塗物搬送経路Kの横一側及び横他側の夫々で被塗物搬送方向に並設する場合では、塗料往路4″及び塗料還路5″の夫々を被塗物搬送経路Kの横一側に位置する複数の塗装ガン装備部2にわたらせて被塗物搬送経路の横一側で延設するのに続き、それら塗料往路4″及び塗料還路5″を被塗物搬送経路Kの横一側から横他側へ横断させて、これら横断させた塗料往路4″及び塗料還路5″の夫々を被塗物搬送経路Kの横他側に位置する複数の塗装ガン装備部2にわたらせて被塗物搬送経路Kの横他側で延設するようにしていた。
【0005】
すなわち、被塗物搬送経路Kの横一側に位置する複数の塗装ガン装備部2と、被塗物搬送経路Kの横他側に位置する複数の塗装ガン装備部2とに対し、一系統の塗料往路4″及び塗料還路5″を直列的にわたらせるようにしていた。
【0006】
なお、図4において、10は塗料循環系Sに対して塗料Tを補給する塗料補給路、8″は塗料往路4″の下流端と塗料還路5″の上流端とを接続して塗料Tの最小循環流量を補償する小口径の端末接続路である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した従来の塗料供給設備では次の(イ)〜(ホ)の問題があった。
【0008】
(イ)塗料は水などに比べ粘度が高いため、塗料流量の小さい部分ほど配管口径を小径にして塗料往路4″及び塗料還路5″夫々の各部における塗料流速を高く保つ前述の配管方式では、それら塗料往路4″及び塗料還路5″における通過塗料Tの圧力損失がかなり大きなものになり、この為、塗料往路4″及び塗料還路5″を通じて所要流量の塗料Tを循環させるのに大出力の塗料供給ポンプPが必要になって、イニシャルコスト及びランニングコストが高く付く。
【0009】
(ロ)塗料往路4″及び塗料還路5″夫々の各部について配管口径を個々に選定する必要があるため設計段階で時間を要し、また、多種口径の管材を使用するため塗料往路4″及び塗料還路5″の配管施工も煩雑になり、この為、設備の完成までに長期間を要するとともに、イニシャルコストがさらに高く付き、また、塗装ガン装備部2の増設や配置変更などの設備改造に対する対応が難しい。
【0010】
(ハ)塗料は硬化性が高い為、塗料往路4″及び塗料還路5″を形成する配管Hs″,Hr″の管内洗浄を周期的に行う必要があるが、配管各部の口径が異なるためピグ等の洗浄具を管内に挿通するなどのことが難しくて管内洗浄作業が煩雑で長時間を要するものになり、この為、メンテナンスコストが嵩むとともに設備の稼動効率も圧迫される。
【0011】
(ニ)また、塗色の変更時には塗料往路4″及び塗料還路5″の全てを洗浄する必要があるが、配管各部の口径が異なるため、シンナー等の洗浄液を長時間にわたり循環させて洗浄することになって、この塗色変更時の管内洗浄作業にも長時間を要し、このことからも設備の稼動効率が圧迫される。そしてまた、洗浄液循環のみによる管内洗浄では洗浄が不十分になり易く、これが原因で塗装品の品質不良を招く危険も高い。
【0012】
(ホ)塗料往路4″及び塗料還路5″を通じ高い流速を保って塗料Tを循環させるため、アルミ粉などの固形添加材を含有する塗料の場合、固形添加材の磨耗や損傷などによる塗料劣化を生じ易く、この為、塗装品の品質低下を招いたり、劣化塗料の廃棄処理による塗料ロスを招く場合がある。
【0013】
この実情に対し、本発明の主たる課題は、水性塗料など溶剤中塗料成分の沈降性が低い(沈降し難い)塗料が近年普及していることにも着目した合理的な改良により、上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
〔1〕本発明の第1特徴構成は塗料供給設備に係り、その特徴は、
塗料供給ポンプの吐出側に接続した塗料往路、及び、前記塗料供給ポンプの吸入側に接続した塗料還路の夫々を複数の塗装ガン装備部にわたらせて延設し、
それら塗装ガン装備部の夫々において、塗装ガンに供給する塗料を取り出す塗料取出部を構成するのに、前記塗料往路と前記塗料還路とを短絡的に接続する塗料バイパス路を設けて、その塗料バイパス路から塗料取出路を分岐し、この塗料取出路を開閉する塗料供給弁を設ける構成において、
前記塗料往路及び前記塗料還路の各々を全長にわたって同一口径の配管により形成してある点にある。
【0015】
つまり、この第1特徴構成によれば、塗料往路及び塗料還路の各々を全長にわたり同一口径の配管により形成するから、その配管口径として塗料往路及び塗料還路の夫々につき適当な口径を選定すれば、塗料往路を形成する往路配管及び塗料還路を形成する還路配管夫々の管内圧力分布を各配管の全長にわたり極力均平化して、それら往路配管及び還路配管を複数の塗装ガン装備部に対する塗料の分配ヘッダ及び集合ヘッダとして機能させる形態で、塗料往路、各塗装ガン装備部の塗料バイパス路、塗料還路を通じて塗料を循環させることができる。
【0016】
そして、このように塗料往路を形成する往路配管及び塗料還路を形成する還路配管の夫々をヘッダとして機能させる形態で塗料循環させることにより、先述した従来設備に比べ、それら塗料往路及び塗料還路の夫々における塗料流速を平均的に小さくして通過塗料の圧力損失を効果的に低減しながらも、ヘッダとしての各配管における均平化された管内圧力をもって各塗装ガン装備部の塗料バイパス路及び塗料取出路に対し均一に塗料供給することができ、これにより、従来設備に比べ塗料往路及び塗料還路を通じて塗料を循環させる塗料供給ポンプを小出力のもので済ませることができて、イニシャルコスト及びランニングコストを効果的に低減することができる。
【0017】
また、塗料往路及び塗料還路における塗料流速を上記の如く平均的に小さくし得ることにより、アルミ粉などの固形添加材を含有する塗料について、塗料循環中における固形添加材の磨耗や損傷などによる塗料劣化を効果的に防止することができ、これにより、そのような塗料劣化に原因する塗装品の品質低下や劣化塗料の廃棄処理による塗料ロスなども効果的に回避することができる。
【0018】
しかも、塗料往路及び塗料還路の各々を全長にわたって同一口径の配管により形成するから、塗料往路及び塗料還路夫々の各部について配管口径を個々に選定する必要がある従来設備に比べ配管設計を容易にし得るとともに、管材の口径種が限られることで塗料往路及び塗料還路の配管施工も容易になり、これにより、設備の完成までに要する期間を効果的に短縮し得るとともに、イニシャルコストを更に効果的に低減することができ、また、塗装ガン装備部の増設や配置変更などの設備改造に対しても容易に対応することができるようになる。
【0019】
さらにまた、塗料往路及び塗料還路の各々を形成する配管が全長にわたり同一口径であることで、それら配管の管内洗浄も容易にすることができ、これにより、従来設備に比べメンテナンスコストを低減し得るとともに設備の稼動効率も高めることができ、また、洗浄が不十分になることによる塗装品の品質不良などもより効果的に防止することができる。
【0020】
なお、第1特徴構成では、塗料往路及び塗料還路における塗料流速を従来設備に比べ平均的に小さくする実施形態を採ることから、水性塗料など溶剤中塗料成分の沈降性が低い塗料を対象塗料とする場合に特に好適な塗料供給設備となる。
【0021】
また、第1特徴構成の実施においては、上記の如き配管設計や配管施工の容易化、あるいは、管内洗浄の容易化などの観点から、塗料往路及び塗料還路の両者を互いに同一口径の配管により形成するのが一層望ましいが、場合によっては、塗料往路及び塗料還路の各々を全長にわたって同一口径の配管により形成するのに、それら塗料往路と塗料還路とを互いに口径の異なる配管により形成する実施形態を採ってもよい。
【0022】
〔2〕本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記塗料往路及び前記塗料還路を互いに同一口径の配管により形成するとともに、それら配管と同一口径の接続配管により前記塗料往路の下流端と前記塗料還路の上流端とを接続し、
これら配管に対して管内洗浄用ピグを配管内移動させるピグ洗浄手段を設けてある点にある。
【0023】
つまり、この第2特徴構成によれば、塗料往路及び塗料還路の各々を全長にわたって同一口径の配管により形成するのに、それら塗料往路と塗料還路とを互いに同一口径の配管により形成するとともに、それら配管と同一口径の接続配管により塗料往路の下流端と塗料還路の上流端とを接続してあるから、管内洗浄用ピグを上記ピグ洗浄手段により接続配管を通じ塗料往路から塗料還路へわたらせて配管内移動させる形態で、あるいは逆に、接続配管を通じ塗料還路から塗料往路へわたらせて配管内移動させる形態で、それら塗料往路及び塗料還路を形成する配管の管内を管内洗浄用ピグによる管内付着物の掻き取りにより一挙に洗浄することができ、これにより、塗料往路及び塗料還路を形成する配管の管内洗浄を一層容易かつ効率的に、また確実に行うことができる。
【0024】
そして特に、塗装品質に厳しい要求がある上塗り塗色の変更を短時間に行う必要がある場合、そのことに対し、従来設備では柔軟に対応し得ないが、上記第2特徴構成によれば管内を容易かつ確実に洗浄し得ることで柔軟に対応することができる。
【0025】
なお、第2特徴構成の実施においては、管内洗浄用ピグを塗料の流れ向きとは逆向きに配管内移動させる形態、すなわち、管内洗浄用ピグを塗料還路の下流側から上流側に向けて配管内移動させ、それに続き接続配管を通じ塗料往路の下流側から上流側に向けて配管内移動させる形態を採る方が、その逆の場合よりも管内付着物に対する管内洗浄用ピグの掻き取り効果をより高めることができる。
【0026】
また、第2特徴構成の実施において管内洗浄用ピグを配管内移動させるには、洗浄用流体の流体圧により管内洗浄用ピグを配管内移動させる方式や、ワイヤー等により管内洗浄用ピグを引っ張る方式、あるいは、管内洗浄用ピグそのものを自走型にする方式など、種々の移動方式を採ることができる。
【0027】
〔3〕本発明の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記塗料往路の下流端と前記塗料還路の上流端とを端末開閉弁又は端末流量調整弁を介して接続してある点にある。
【0028】
つまり、この第3特徴構成によれば、各塗装ガン装備部において塗料の取り出しを行う塗装作業時には、上記端末開閉弁を閉弁して、その端末開閉弁を通じた塗料往路下流端から塗料還路上流端への塗料通過を遮断した状態、又は、上記端末流量調整弁の開度を小さくして、その端末流量調整弁を通じた塗料往路下流端から塗料還路上流端への塗料通過流量を小量に制限した状態にすることで、塗料往路から塗料還路へわたる設備全体としての塗料循環流量を小量にして塗料供給ポンプの必要出力を小さくしながら、前述の如きヘッダとしての塗料往路及び塗料還路における均平化された管内圧力により各塗装ガン装備部の塗料バイパス路及び塗料取出路に対し十分な量の塗料を均一かつ確実に供給することができる。
【0029】
そしてまた、各塗装ガン装備部において塗料の取り出しを休止する塗装作業休止時などでは、端末開閉弁を開弁して、その端末開閉弁を通じた塗料往路下流端から塗料還路上流端への塗料通過を許す状態、又は、端末流量調整弁の開度を大きくして、その端末流量調整弁を通じた塗料往路下流端から塗料還路上流端への塗料通過流量を増大させる状態にすることで、塗料往路から塗料還路へわたる設備全体としての塗料通過抵抗を低下させて塗料供給ポンプの必要出力を小さく保ちながらも(ないしは、一層小さくしながらも)、その通過抵抗の低下により比較的大量の塗料を端末開閉弁又は端末流量調整弁を通じ塗料往路から塗料還路に循環させて、溶剤中塗料成分の配管内沈降をさらに効果的に防止することができる。
【0030】
すなわち、このように塗料供給ポンプの必要出力を小さくしながら、溶剤中塗料成分の配管内沈降を一層効果的に防止し得ることからも、塗料供給ポンプの小出力化を一層効果的に達成することができる。
【0031】
なお、この第3特徴構成を前記第2特徴構成と併行実施する場合には、端末開閉弁や端末流量調整弁として管内洗浄用ピグの通過が可能な弁を採用すればよい。
【0032】
〔4〕本発明の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記塗料供給ポンプの出力を調整するポンプ出力調整部を設けてある点にある。
【0033】
つまり、この第4特徴構成によれば、各塗装ガン装備部における塗料取出量の変化や温度変化による塗料粘度の変化など、種々の運転条件の変化に応じて塗料供給ポンプの出力を調整することができ、これにより、出力的に余裕のある塗料供給ポンプを常時一定の出力で運転する形態を採るのに比べ、前述の如き塗料往路及び塗料還路における圧力損失の低減とも相俟って、塗料供給ポンプの消費動力を一層効果的に節減することができ、そのことで設備のランニングコストを一層効果的に低減することができる。
【0034】
そして特に、端末開閉弁又は端末流量調整弁を設ける前記第3特徴構成の実施において、塗料供給ポンプの出力を調整するポンプ出力調整手段を設ける場合には、端末開閉弁の開閉、又は、端末流量調整弁の開度変更に応じて塗料供給ポンプの出力を調整し得ることにより、塗料供給ポンプの消費動力を小さくしながらも、前述の如く各塗装ガン装備部の塗料バイパス路及び塗料取出路に対し十分な量の塗料を均一かつ確実に供給する、また、端末開閉弁の開弁又は端末流量調整弁の開度増大をもって溶剤中塗料成分の配管内沈降を一層効果的に防止するなどの各機能を一層確実に発揮させることができる。
【0035】
さらにまた、端末開閉弁の開弁、又は、端末流量調整弁の開度増大により塗料通過抵抗を低下させた状態で塗料供給ポンプの出力を増大させることにより、その塗料通過抵抗の低下により塗料供給ポンプの出力増大幅は極力小さくしながらも大量の塗料を循環させて、配管内堆積物の洗い流しを行うなどのこともできる。
【0036】
なお、第4特徴構成の実施において塗料供給ポンプの出力を調整するには、インバータ制御によりポンプ駆動モータの回転数を調整する方式を初め、種々の出力調整方式を採るこができる。
【0037】
〔5〕本発明の第5特徴構成は、第1〜第4特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記塗料往路の上流側に位置する塗装ガン装備部ほど前記塗料往路から前記塗料取出路の端末に至るまでの塗料経路長を大きくしてある点にある。
【0038】
つまり、塗料往路及び塗料還路の各々を全長にわたり適当な同一口径の配管により形成して、それら配管を管内圧力が均平なヘッダとして機能させるにしても、塗料往路及び塗料還路の延設長(すなわち配管長)が相当に大きいと、塗料往路の上流側に位置する塗装ガン装備部ほど塗料バイパス路に対する塗料供給圧力が高くなる傾向がある程度は残るが、このことに対し、上記の如く、塗料往路の上流側に位置する塗料ガン装備部ほど塗料往路から塗料取出路の端末に至るまでの塗料経路長を大きくすれば、それら塗料経路長の差による抵抗差をもって各塗装ガン装備部における塗料取出路端末部分での塗料供給圧力を均一化することができ、これにより、各塗装ガン装備部に対し一層均一な状態で塗料供給することができる。
【0039】
〔6〕本発明の第6特徴構成は、第1〜第5特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記塗装ガン装備部を被塗物搬送経路の横一側及び横他側の夫々で被塗物搬送方向に並設するのに対し、前記塗料往路及び前記塗料還路として、
被塗物搬送経路の横一側に位置する複数の前記塗装ガン装備部にわたらせて延設する一側系統の塗料往路及び塗料還路を設けるとともに、
被塗物搬送経路の横他側に位置する複数の前記塗装ガン装備部にわたらせて延設する他側系統の塗料往路及び塗料還路を設け、
前記一側系統の塗料往路と前記他側系統の塗料往路とを前記塗料供給ポンプの吐出側に対し並列に接続するとともに、前記一側系統の塗料還路と前記他側系統の塗料還路とを前記塗料供給ポンプの吸入側に対し並列に接続してある点にある。
【0040】
つまり、この第6特徴構成によれば、塗料往路及び塗料還路を、被塗物搬送経路の横一側に位置する複数の塗装ガン装備部に対する一側系統の塗料往路及び塗料還路と、被塗物搬送経路の横他側に位置する複数の塗装ガン装備に対する他側系統の塗料往路及び塗料還路とに系統分けして、それら一側系統の塗料往路及び塗料還路と他側系統の塗料往路及び塗料還路とを塗料供給ポンプに対し並列に接続する配管形態を採るから、先述の従来設備の如く、被塗物搬送経路の横一側に位置する複数の塗装ガン装備部と被塗物搬送経路の横他側に位置する複数の塗装ガン装備部とに対し一系統の塗料往路及び塗料還路を直列的にわたらせる配管方式に比べ、被塗物搬送経路の横一側に位置する塗装ガン装備部の夫々と横他側に位置する塗装ガン装備部の夫々とに対し、塗料供給ポンプの塗料供給圧力がより均等に及ぶようにすることができる。
【0041】
そしてまた、一側系統及び他側系統の夫々につき、前述の如く塗料往路及び塗料還路の各々を全長にわたり適当な同一口径の配管により形成して、それら配管を管内圧力分布が均一なヘッダとして機能させることからも、被塗物搬送経路の横一側に位置する塗装ガン装備部の夫々と横他側に位置する塗装ガン装備部の夫々とに対し、塗料供給ポンプの塗料供給圧力がより一層効果的に均等化された状態で及ぶようにすることができる。
【0042】
すなわち、これらのことから上記第6特徴構成によれば、塗装ガン装備部を被塗物搬送経路の横一側及び横他側の夫々で被塗物搬送方向に並設する構成において、従来設備に比べ、被塗物搬送経路の横一側に位置する塗装ガン装備部の夫々、及び、被塗物搬送経路の横他側に位置する塗装ガン装備部の夫々に対し一層均一な状態で塗料供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
図1は、コンベアにより順次搬送される被塗物W(本例では自動車ボディー)の塗装を行う塗装ブース1における塗料供給設備を示し、塗装ブース1の内部には、塗装ガン装備部2であるロボット塗装部2Aや手吹き塗装部2Bを被塗物搬送経路Kの横一側及び横他側の夫々で被塗物搬送方向に並設してあり、この塗装ブースでは、被塗物Wの各部を複数の塗装ガン装備部2で分担して順次に塗装する方式や、所謂ウエットオンウエット方式などの重ね塗り塗装における各層の塗装を複数の塗装ガン装備部2で分担して順次に行うなどの方式により、順次搬送される被塗物Wを各塗装ガン装備部2において塗装ガン3により塗装する。
【0044】
被塗物搬送経路Kの横一側方における塗装ブース1の外側部には、被塗物搬送経路Kの横一側に位置する複数の塗装ガン装備部2にわたらせる状態で、一側系統の塗料往路4及び塗料還路5を被塗物搬送方向に延設し、同じく、被塗物搬送経路Kの横他側方における塗装ブース1の外側部には、被塗物搬送経路Kの横他側に位置する複数の塗装ガン装備部2にわたらせる状態で、他側系統の塗料往路4′及び塗料還路5′を被塗物搬送方向に延設してある。
【0045】
一側系統の塗料往路4と他側系統の塗料往路4′とは、それらの延設方向における一端(すなわち、それらの上流端)を主塗料往路6に対し並列に接続してあり、その主塗料往路6は塗装ブース1の外部に設置した塗料供給ポンプPの吐出口に接続してある。また、一側系統の塗料還路5と他側系統の塗料還路5′とは、それらの延設方向における一端(すなわち、それらの下流端)を主塗料還路7に対し並列に接続してあり、その主塗料還路7は塗装供給ポンプPの吸入口に接続してある。
【0046】
一側系統の塗料往路4と塗料還路5とは、それらの延設方向における他端どうし(すなわち、塗料往路4の下流端と塗料還路5の上流端)を端末接続路8により接続して、その端末接続路8には一側系統の端末開閉弁Vを介装してあり、同じく、他側系統の塗料往路4′と塗料還路5′とは、それらの延設方向における他端どうし(すなわち、塗料往路4′の下流端と塗料還路5′の上流端)を端末接続路8′により接続して、その端末接続路8′には他側系統の端末開閉弁V′を介装してある。
【0047】
塗装ブース1の外部には塗料タンク9を設置し、この塗料タンク9は塗料補給路10を通じて主塗料還路7の下流側端部に接続してあり、上記した一側系統の各路4,8,5、他側系統の各路4′,8′,5′、並びに、主塗料往路6,主塗料還路7をもって形成する塗料循環系Sに対し、この塗料補給路10を通じて塗料タンク9から塗料Tを補給する構成にしてある。
【0048】
なお、図1では塗料タンク9、塗料補給路10、塗料供給ポンプPを含む上記塗料循環系Sの1つのみを示してあるが、この塗装ブース1では各塗装ガン装置部2での塗装において被塗物Wごとの塗色変更を可能にするため、上記塗料循環系Sを互いに色の異なる20色〜30色程度のn色の塗料Ta〜Tn(本例では水を溶剤とするn色の水性塗料)について同一の配管形態で各別に設けてあり、表記の塗料循環系Sは、これら各色塗料Ta〜Tbごとに設けた塗料循環系Sa〜Snの夫々を代表するものである。
【0049】
すなわち、一側系統の塗料往路4、塗料還路5、端末接続路8は、各色塗料Ta〜Tnごとに設けた一側系統の塗料往路4a〜4n、塗料還路5a〜5n、端末接続路8a〜8nの夫々を代表し、他側系統の塗料往路4′、塗料還路5′、端末接続路8′は、各色塗料Ta〜Tnごとに設けた他側系統の塗料往路4a′〜4n′、塗料還路5a′〜5n′、端末接続路8a′〜8n′の夫々を代表し、主塗料往路6、主塗料還路7、塗料供給ポンプPは、各色塗料Ta〜Tnごとに設けた主塗料往路6a〜6n、主塗料還路7a〜7n、塗料供給ポンプPa〜Pnの夫々を代表し、塗料タンク9,塗料補給路10は、各色塗料Ta〜Tnごとに設けた塗料タンク9a〜9n、塗料補給路10a〜10nの夫々を代表するものである。
【0050】
各塗装ガン装備部2には、塗装ガン3に供給する塗料T(Ta〜Tn)を上記色別の塗料循環系S(Sa〜Sn)から選択的に取り出す塗料取出部11を設けてあり、この塗料取出部11は、各塗装ガン装備部2の夫々において、図2,図3に示す如く各色塗料T(Ta〜Tn)ごとに最寄の塗料往路4(4a〜4n),4′(4a′〜4n′)と最寄の塗料還路5(5a〜5n),5′(5a′〜5n′)とを短絡的に接続する塗料バイパス路12(12a〜12n)を設けて、それら塗料バイパス路12(12a〜12n)から色別の塗料取出路13(13a〜13n)を分岐し、これら塗料取出路13(13a〜13n)を色替バルブユニット14における色別の塗料取出弁15(15a〜15n)に対し各別に接続した構成にしてある。
【0051】
そして、塗装ブース1のブース壁1aに固定した色替バルブユニット14には、各塗料取出路13(13a〜13n)を各別に接続する上記色別の塗料取出弁15(15a〜15n)を並列に接続したマニホールド管14aを設けてあり、塗料取出部11の端末構造としては、このマニホールド管14aから延出させた各色共通の端末取出路16をブース壁1aに貫通させて塗装ブース1の内部に臨ませた構造にしてある。
【0052】
つまり、各塗装ガン装備部2において所要色の塗料取出弁15(15a〜15n)を選択的に開弁することで、塗料供給ポンプP(Pa〜Pn)により色別の塗料往路4(4a〜4n),4′(4a′〜4n′)を通じて色別の塗料バイパス路12(12a〜12n)に供給される各色塗料T(Ta〜Tn)のうち所要色の塗料のみを、その所要色の塗料取出路13(13a〜13n)を通じ色替バルブユニット14のマニホールド管14aに導入して端末取出路16へ送出するようにしてある。
【0053】
そして、各塗装ガン装備部2において色別の塗料バイパス路12(12a〜12n)に供給される各色塗料T(Ta〜Tn)のうち所要色以外の塗料、及び、所要色塗料のうちの余剰分については、各塗料バイパス路12(12a〜12n)を通じ色別の塗料還路5(5a〜5n),5′(5a′〜5n′)に対し短絡的に戻し、これにより、各色塗料T(Ta〜Tn)について、塗料往路4(4a〜4n),4′(4a′〜4n′)と各塗装ガン装備部2の塗料バイパス路12(12a〜12n)と塗料還路5(5a〜5n),5′(5a′〜5n′)とにわたる塗料循環状態を保つようにしてある。
【0054】
すなわち、このように各色の塗料循環系S(Sa〜Sn)において塗料T(Ta〜Tn)の循環状態を保つことで、各塗料循環系S(Sa〜Sn)を形成する配管内において塗料溶剤(本例では水)中の塗料成分が沈降するのを防止する。
【0055】
塗装ガン装備部2のうち塗装ロボット17により塗装を行うロボット塗装部2Aについては、ブース壁1aの内側に配設したドッキングステーション18に色替バルブユニット14からの端末取出路16を接続してあり、これに対し、塗装ロボット17のアーム先端に配備した塗装ガン3(3A)には、一回の塗装で使用する塗料Tを充填する塗料充填タンク19を装備してある。
【0056】
すなわち、ロボット塗装部2Aでは、一回の塗装を終えるごとに塗装ロボット17の動作により塗装ガン3Aをドッキングステーション18へ移動させて、塗装ガン側のドッキングポート20aとドッキングステーション側のドッキングポート20とを接合することで、次の塗装に用いる所要色の塗料T(Ta〜Tb)を端末取出路16から塗装ガン3Aの塗料充填タンク19に充填し、その塗料充填の完了後、再び塗装ロボット17の動作により両ドッキングポート20a,20bを切り離して塗装ガン3Aを塗装作業側に移動させた状態で、塗料充填タンク19内の塗料T(Ta〜Tn)を用いて次回の塗装を行う方式を採っている。
【0057】
一方、塗装ガン装備部2のうち作業者が手吹き用塗装ガン3(3B)を用いて塗装を行う手吹き塗装部2Bについては、塗料供給ホース21を通じて手吹き用塗装ガン3(3B)を端末取出路16に接続してあり、各回の塗装において、この塗料供給ホース21を通じ所要色の塗料T(Ta〜Tn)を手吹き用塗装ガン3Bに供給する。
【0058】
配管構成については図4に示す如く、各色塗料循環系S(Sa〜Sn)の夫々について、一側系統の塗料往路4(4a〜4n)及び塗料還路5(5a〜5n)の各々を全長にわたって同一口径の配管Hs,Hrで形成するとともに、一側系統の端末接続路8を形成する接続配管Heを含めて、それら一側系統の往路配管Hs,還路配管Hr,接続配管Heの三者を互いに同一口径にし、同じく、他側系統の塗料往路4′(4a′〜4n′)及び塗料還路5′(5a′〜5n′)の各々を全長にわたって同一口径の配管Hs′,Hr′で形成するとともに、他側系統の端末接続路8′を形成する接続配管He′を含めて、それら他側系統の往路配管Hs′,還路配管Hr′,接続配管He′の三者を互いに同一口径にしてある。
【0059】
また、主塗料往路6及び主塗料還路7の各々を全長にわたって同一口径の配管Hss,Hrrで形成し、そして、それら主往路配管Hss及び主還路配管Hrrも含めて、一側系統の各配管Hs,Hr,He、及び、他側系統の各配管Hs′,Hr′,He′は全て互い同一口径dにするとともに、一側系統の往路配管Hs及び還路配管Hrと他側系統の往路配管Hs′及び還路配管Hr′とは、互いの延設長(すなわち配管長)もほぼ等しくしてある。
【0060】
つまり、この配管構成において互いに同一とする上記配管口径dを適当に選定することにより、一側系統及び他側系統夫々の端末開閉弁V,V′を閉弁した状態での塗料循環において、主往路配管Hssを含め一側系統の往路配管Hs及び他側系統の往路配管Hs′夫々の管内圧力分布が各配管の全長にわたり極力均平になるようにするとともに、主還路配管Hrrを含め一側系統の還路配管Hr及び他側系統の還路配管Hr′夫々の管内圧力分布も各配管の全長にわたり極力均平になるようにし、これにより、各色塗料循環系S(Sa〜Sn)の夫々について、一側系統の塗料往路4(4a〜4n)を形成する往路配管Hs及び一側系統の塗料還路5(5a〜5n)を形成する還路配管Hrを、被塗物搬送経路Kの横一側に位置する複数の塗装ガン装備部2に対する各色塗料T(Ta〜Tn)の分配ヘッダ及び集合ヘッダとして機能させ、また同様に、他側系統の塗料往路4′(4a′〜4n′)を形成する往路配管Hs′及び他側系統の塗料還路5′(5a′〜5n′)を形成する還路配管Hr′を、被塗物搬送経路Kの横他側に位置する複数の塗装ガン装備部2に対する各色塗料T(Ta〜Tn)の分配ヘッダ及び集合ヘッダとして機能させる形態で、各塗装ガン装備部2の塗料バイパス路12(12a〜12n)を通じて各色塗料Tを循環させるようにする。
【0061】
そして、このような塗料循環形態を採ることにより、主往路配管Hss及び主還路配管Hrrを含め各往路配管Hs,Hs及び各還路配管Hr,Hr′における塗料流速を平均的に小さくして通過塗料T(Ta〜Tn)の圧力損失を効果的に低減しながらも、ヘッダとしての各往路配管Hs,Hs′及び各還路配管Hr,Hr′における均平化された管内圧力をもって、各塗装ガン装備部2の塗料バイパス路12(12a〜12n)及び塗料取出路13(13a〜13n)に対し均一に各色塗料T(Ta〜Tn)を供給し得るようにする。
【0062】
また、各塗装ガン装備部2において塗料取出部11を構成するのに、一側系統及び他側系統の夫々において塗料往路4(4a〜4n),4′(4a′〜4n′)の上流側に位置する塗装ガン装備部2ほど、塗料往路4(4a〜4n),4′(4a′〜4n′)から塗料取出路13(13a〜13n)の端末に至るまでの塗料経路長を大きくしてあり、これにより、それら塗料経路長の差による抵抗差をもって各塗装ガン装備部2における塗料取出路13(13a〜13n)の端末部分での塗料供給圧力を一層均一化して、各塗装ガン装備部2に対し一層均一な状態で塗料供給し得るようにしてある。
【0063】
なお、各塗装ガン装備部2において塗料バイパス路12(12a〜12n)及び塗料取出路13(13a〜13n)は可撓性チューブにより形成してあり、これにより、各塗装ガン装備部2での塗料往路4(4a〜4n),4′(4a′〜4n′)から塗料取出路13(13a〜13n)の端末に至るまでの塗料経路長の調整を容易に行えるようにしてある。
【0064】
上記の配管構成において、主還路配管Hrrの下流側端部には、管内洗浄用ピグ22を配管中に装填するピグ装填部23aを設け、主往路配管Hssの上流側端部には、管内洗浄用ピグ22を配管中から取り出すピグ取出部23bを設けてあり、さらに、主往路配管Hss及び主還路配管Hrrには、例えば水や圧縮空気などの洗浄用流体Lを主還路配管Hrrの下流側端部に供給する洗浄用流体供給路24aを接続してあり、一側系統及び他側系統夫々の端末開閉弁V,V′には、その開弁状態において管内洗浄用ピグ22の通過が可能な口径のボール弁を用いてある。
【0065】
つまり、これらピグ装填部23a、ピグ取出部23b、及び、洗浄用流体供給路24aは、管内洗浄用ピグ22を配管内移動させて配管内を洗浄するピグ洗浄手段Cを構成し、ピグ装填部23aにおいて主還路配管Hrrの配管内に管内洗浄用ピグ22を装填した状態で洗浄用流体供給路24aから洗浄用流体Lを供給することで、その洗浄用流体Lの流体圧により、管内洗浄用ピグ22を一側系統の還路配管Hrから開弁状態の端末開閉弁Vを通じ一側系統の往路配管Hsへわたらせるように配管内移動させて、又は、他側系統の還路配管Hr′から開弁状態の端末開閉弁V′を通じ他側系統の往路配管Hs′へわたらせるように配管内移動させて、その管内洗浄用ピグ22をピグ取出部23bから取り出す形態で、それら一側系統及び他側系統の各配管Hs,He,Hr,Hs′,He′,Hr′、並びに、主還路配管Hrr及び主往路配管Hssの管内を管内洗浄用ピグ22による管内付着物の掻き取り、及び、洗浄用流体Lによる洗い流しにより洗浄する。なお、24bは主往路配管Hrrの上流側端部に接続した洗浄用流体排出路である。
【0066】
25は端末開閉弁V(Va〜Vn),V′(Va′〜Vn′)の開閉操作、塗料供給ポンプP(Pa〜Pn)の発停操作、インバータ制御による塗料供給ポンプP(Pa〜Pn)の出力調整操作など、設備運転上の各種操作を行う運転操作部であり、この塗装ブース1では、この運転操作部25からの各種操作により次の如き運転を実施する。
【0067】
各塗装ガン装備部2において各色塗料T(Ta〜Tn)の取り出しを行う塗装作業時には、前述の如く一側系統及び他側系統の端末開閉弁V(Va〜Vn),V′(Va′〜Vn′)を閉弁した状態で塗料供給ポンプP(Pa〜Pn)を運転して、各色塗料T(Ta〜Tn)を各塗装ガン装備部2の塗料バイパス路12(12a〜12n)を通じ循環させるとともに、塗料供給ポンプP(Pa〜Pn)の出力を検出塗料圧力に応じ調整して、各塗装ガン装備部2に対する各色塗料T(Ta〜Tn)の供給圧力を適正圧力に調整する。
【0068】
また、各塗装ガン装備部2での塗料取り出しを休止する塗装作業休止時には、基本的に、一側系統及び他側系統の端末開閉弁V(Va〜Vn),V′(Va′〜Vn′)を開弁した状態で塗料供給ポンプP(Pa〜Pn)を運転して、各色塗料T(Ta〜Tn)を一側系統及び他側系統の端末接続路8(8a〜8n),8′(8a′〜8n′)を通じ循環させるともに、塗料供給ポンプP(Pa〜Pn)の出力を端末開閉弁V(Va〜Vn),V′(Va′〜Vn′)の開弁による流路抵抗の低下分だけ塗装作業時よりも低減し、これにより一層の省エネ化を図る。
【0069】
そしてまた、塗装作業休止時においては定期的に前述の管内洗浄を実施する他、定期的に一側系統及び他側系統の端末開閉弁V(Va〜Vn),V′(Va′〜Vn′)を開弁した状態で塗料供給ポンプP(Pa〜Pn)を運転して、各色塗料T(Ta〜Tn)を一側系統及び他側系統の端末接続路8(8a〜8n),8′(8a′〜8n′)を通じ循環させるともに、塗料供給ポンプP(Pa〜Pn)の出力を大きく増大させ、これにより、端末開閉弁V(Va〜Vn),V′(Va′〜Vn′)の開弁による流路抵抗の低下分だけ塗料供給ポンプP(Pa〜Pn)の出力増大幅を小さなものですませながら、大流量の塗料T(Ta〜Tn)の循環させて配管内沈降物の洗い流しを行う。
【0070】
つまり、本実施形態において、この運転操作部25は塗料供給ポンプP(Pa〜Pn)の出力を調整するポンプ出力調整部を構成する。
【0071】
〔別の実施形態〕
次の本発明の別実施形態を列記する。
【0072】
前述の実施形態においては、塗装往路4,4′及び塗装還路5,5′を一側系統と他側系統との並列2系統に系統分けする例を示したが、複数の塗装ガン装備部2にわたらせて延設する塗装往路4及び塗装還路5は1系統のみにしてもよく、また、並列3系統以上に系統分けしてもよい。
【0073】
前述の実施形態では塗料往路4,4の下流端と塗料還路5,5′の上流端とを端末開閉弁V,V′を介して接続する例を示したが、塗料往路4,4の下流端と塗料還路5,5′の上流端とを端末流量調整弁を介し接続して、各塗装ガン装備2で塗料の取り出しを行う塗装作業時には、その端末流量調整弁の開度を小さくして端末流量調整弁を通じた塗料往路下流端から塗料還路上流端への塗料通過流量を小さく制限し、一方、塗装作業休止時には基本的に端末流量調整弁の開度を大きくして流路抵抗を低減し、その流路抵抗の低減分だけ塗料供給ポンプPの出力を低下させた状態で塗料循環させるようにしてもよい。
【0074】
塗料供給ポンプPの出力を調整するポンプ出力調整部を設ける場合、そのポンプ出力調整部は、塗料供給ポンプPの出力を人為操作により調整するもの、あるいは、検出情報や設定スケジュールなどに基づいて自動的に調整するもののいずれであってもよい。
【0075】
塗装ガン装備部2は前述の実施形態で示したロボット塗装部や手吹き塗装部に限られるものではなく、塗装ガンを往復動作させながら塗装を行うレシプロ式塗装機などであってもよい。また、被塗物Wは自動車ボディーに限られるものではなく、電化製品のケーシングなどであってもよい。
【0076】
本発明による塗料供給設備は、塗装ブースへの適用に限られるものではなく、複数の塗装ガン装備部を有する塗装設備であれば、どのような塗装設備にも適用することができる
【0077】
前述の実施例では複数色の塗料Tを各塗装ガン装備部2において選択的に取り出す例を示したが、本発明による塗料供給設備は各塗装ガン装備部2において1色の塗料のみを取り出す場合にも適用でき、また、塗料色以外で種別の異なる複数種の塗料を各塗装ガン装備部において選択的に取り出す場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】塗料供給設備の全体構成を示す概略平面図
【図2】塗料取出部を示す拡大側面図
【図3】塗料取出部を示す拡大側面図
【図4】従来の設備構成を示す概略平面図
【符号の説明】
【0079】
P 塗料供給ポンプ
4 塗料往路
5 塗料還路
2 塗装ガン装備部
3 塗装ガン
T 塗料
11 塗料取出部
12 塗料バイパス路
13 塗料取出路
15 塗料取出弁
Hs 塗料往路を形成する往路配管
Hr 塗料還路を形成する還路配管
d 配管口径
He 接続配管
22 管内洗浄用ピグ
C グ洗浄手段
V 端末開閉弁又は端末流量調整弁
25 ポンプ出力調整部
4′ 他側系統の塗料往路
5′ 他側系統の塗料還路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料供給ポンプの吐出側に接続した塗料往路、及び、前記塗料供給ポンプの吸入側に接続した塗料還路の夫々を複数の塗装ガン装備部にわたらせて延設し、
それら塗装ガン装備部の夫々において、塗装ガンに供給する塗料を取り出す塗料取出部を構成するのに、前記塗料往路と前記塗料還路とを短絡的に接続する塗料バイパス路を設けて、その塗料バイパス路から塗料取出路を分岐し、この塗料取出路を開閉する塗料取出弁を設けてある塗料供給設備であって、
前記塗料往路及び前記塗料還路の各々を全長にわたって同一口径の配管により形成してある塗料供給設備。
【請求項2】
前記塗料往路及び前記塗料還路を互いに同一口径の配管により形成するとともに、それら配管と同一口径の接続配管により前記塗料往路の下流端と前記塗料還路の上流端とを接続し、
これら配管に対して管内洗浄用ピグを配管内移動させるピグ洗浄手段を設けてある請求項1記載の塗料供給設備。
【請求項3】
前記塗料往路の下流端と前記塗料還路の上流端とを端末開閉弁又は端末流量調整弁を介して接続してある請求項1又は2記載の塗料供給設備。
【請求項4】
前記塗料供給ポンプの出力を調整するポンプ出力調整部を設けてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料供給設備。
【請求項5】
前記塗料往路の上流側に位置する塗装ガン装備部ほど前記塗料往路から前記塗料取出路の端末に至るまでの塗料経路長を大きくしてある請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料供給設備。
【請求項6】
前記塗装ガン装備部を被塗物搬送経路の横一側及び横他側の夫々で被塗物搬送方向に並設するのに対し、前記塗料往路及び前記塗料還路として、
被塗物搬送経路の横一側に位置する複数の前記塗装ガン装備部にわたらせて延設する一側系統の塗料往路及び塗料還路を設けるとともに、
被塗物搬送経路の横他側に位置する複数の前記塗装ガン装備部にわたらせて延設する他側系統の塗料往路及び塗料還路を設け、
前記一側系統の塗料往路と前記他側系統の塗料往路とを前記塗料供給ポンプの吐出側に対し並列に接続するとともに、前記一側系統の塗料還路と前記他側系統の塗料還路とを前記塗料供給ポンプの吸入側に対し並列に接続してある請求項1〜5のいずれかに記載の塗料供給設備。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate