説明

塗料組成物

【課題】 貯蔵安定性、乾燥性に優れ、ハイソリッド化が可能で、耐候性、下地塗膜との密着性、耐クラック性に優れていて高光沢を有する塗膜を形成することができる塗料組成物を提供する。
【解決手段】 一般式R1nSi(OR24-n〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜2である。〕で示されるオルガノシラン化合物の1種以上から得られる部分加水分解縮合物100質量部、一般式(1)R1nSi(OR24-n〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜2である。〕で示されるオルガノシラン化合物0〜50質量部、含フッ素共重合体50〜200質量部、及びシランカップリング剤0.1〜5.0質量部を含む塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗料組成物に関し、より詳しくは貯蔵安定性、乾燥性に優れており、ハイソリッド化が可能であり、耐候性、下地塗膜との密着性、耐クラック性に優れていて高光沢を有する塗膜を形成することができる塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VOCの低減により地球環境保全に寄与する環境対応形塗料への期待が高まっている。また、構造物管理団体ではライフサイクルコスト(LCC)低減への意識が高く、維持管理費用の削減に効果の高い省工程化材料、高耐久性材料への要望が多い。オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を結合剤とするオルガノポリシロキサン系無機塗料は耐候性や耐汚染性に優れた塗膜を形成し得るが、このような塗料は一般に塗膜形成材料を溶解分散し、流動性を与えるために有機溶剤を多く配合している。しかしながら、有機溶剤は可燃性が高く、危険物取扱指定を受けており、そのため、十分な管理が必要であり、更に、大気汚染、省資源の観点からも好ましくない。
【0003】
また、オルガノポリシロキサン系無機塗料塗膜は一般に高硬度であり、クラックが発生し易いという問題がある。この問題を改良するために有機無機複合樹脂を結合剤とする塗料も開発されているが、多量の有機溶剤を配合しており、かつオルガノポリシロキサン系無機塗料よりも、得られる塗膜の耐候性や耐汚染性が劣るという問題があった。そこで、例えば、有機溶剤を配合しない塗料も開発されてきているが(例えば、特許文献1参照)、該塗料は無溶剤とするために低分子量で高架橋性の成分を多く含み、経時による塗膜でのクラックの発生は有機溶剤を配合した塗料より生じやすいという問題があった。
【0004】
更に、水系有機無機複合樹脂を結合剤とする塗料も開発されているが(例えば、特許文献2参照)、水系の場合、乾燥及び硬化速度が遅いという欠点があり、屋外塗装を前提とするには適さないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−247347号公報
【特許文献2】特開2000−110272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような従来技術の課題を背景になされたもので、貯蔵安定性、乾燥性に優れており、ハイソリッド化が可能であり、耐候性、下地塗膜との密着性、耐クラック性に優れていて高光沢を有する塗膜を形成することができる塗料組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、特定のオルガノシラン化合物系無機樹脂、含フッ素共重合体、シランカカップリング剤を特定の割合で配合することにより上記の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明の塗料組成物は、
(A−1)一般式(1)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜2である。〕で示されるオルガノシラン化合物の1種以上から得られる部分加水分解縮合物100質量部、
(B)一般式(1)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜2である。〕で示されるオルガノシラン化合物0〜50質量部、
(C)含フッ素共重合体50〜200質量部、及び
(D)シランカップリング剤0.1〜5.0質量部
を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の塗料組成物は、
(A−2)一般式(2)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0又は1である。〕で示されるオルガノシラン化合物の1種以上から得られる部分加水分解縮合物5〜50質量%と、
(A−3)一般式(3)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1又は2である。〕で示されるオルガノシラン化合物の1種以上から得られる部分加水分解縮合物50〜95質量%と
からなる部分加水分解縮合物100質量部、
(B)一般式(1)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜2である。〕で示されるオルガノシラン化合物0〜50質量部、
(C)含フッ素共重合体50〜200質量部、及び
(D)シランカップリング剤0.1〜5.0質量部
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塗料組成物は貯蔵安定性、乾燥性に優れており、ハイソリッド化が可能であり、耐候性、下地塗膜との密着性、耐クラック性に優れていて高光沢を有する塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を具体的に説明する。本発明の塗料組成物は上記した(A−1)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含むか、又は、(A−2)成分、(A−3)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含むものである。以下に各成分について説明する。
【0012】
(A−1)成分は一般式(1)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基、nは0〜2である。〕で示されるオルガノシラン化合物の1種以上から得られる部分加水分解縮合物である。上記一般式(1)のR1としてのアルキル基は直鎖でも分岐したものでもよく、その例として、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等を挙げることができる。好ましいアルキル基は炭素数が1〜4個のものである。
【0013】
シクロアルキル基として、例えば、シクロヘキシル基や、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を好適なものとして挙げることができる。アリール基として、例えば、フェニル基等を挙げることができる。上記の各官能基は任意に置換基を有してもよい。このような置換基として、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)や、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、脂環式基等を挙げることができる。
【0014】
2としてのアルキル基は直鎖でも分岐したものでもよい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等を挙げることができ、好ましいアルキル基は炭素数が1〜4個のものである。
【0015】
上記一般式(1)で示されるオルガノシラン化合物の具体例として、例えば、テトラメトキシシランや、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラi−プロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラi−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン等を挙げることができる。
【0016】
(A−1)成分は、これらのオルガノシラン化合物の1種単独、又は2種以上から得られる部分加水分解縮合物である。本発明で用いる該部分加水分解縮合物は常温で液状であり、ポリスチレン換算重量平均分子量が例えば300〜5000、好ましくは500〜4200のものが適当である。このような部分加水分解縮合物を使用することにより、塗料の貯蔵安定性が良く、密着性のよい塗膜が得られる。また、本発明で用いる(A−1)成分の部分加水分解縮合物としては粘度が0.01〜2Pa・s/20℃、好ましくは0.1〜1Pa・s/20℃であるものが適当である。なお、粘度が上記の範囲よりも低いと塗料の貯蔵安定性が悪くなる傾向にあり、逆に高すぎると塗装作業性が悪くなる傾向にある。また、常温で液体の(A−1)成分を使用することにより、常温で固形のオルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物を併用することも可能である。
【0017】
(A−1)成分の部分加水分解縮合物の製造方法としては、一般式(1)で示される1種以上のオルガノシラン化合物を、水及び触媒の存在下で加水分解及び縮合反応させる。水の量としては、オルガノシラン化合物に初期に存在していた加水分解性基の30〜90%、好ましくは50〜80%が加水分解及び縮合反応できる量であることが適当である。また、触媒として、硝酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、蟻酸、プロピオン酸等の有機酸を挙げることができる。触媒の添加量としては、水及び触媒を添加したオルガノシラン化合物のpHが3〜6になる量であることが適当である。加水分解縮合反応については、例えば、水及び触媒の存在下で、40〜80℃、好ましくは45〜70℃の温度下で、2〜10時間攪拌しながら部分加水分解縮合反応させる方法が適当であるが、この方法に限定されるものではない。反応終了後、反応で発生したアルコール成分を加熱及び/又は減圧等の手段により除去して(A−1)成分の部分加水分解縮合物を得る。
【0018】
(B)成分は、主として塗料組成物の粘度を下げ、塗装作業性を向上させるために必要に応じて配合するものである。(B)成分は、一般式(1)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は、炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜2である。〕で示されるオルガノシラン化合物であり、上記した(A−1)成分の部分加水分解縮合物の製造に用いるオルガノシラン化合物と同一範囲内のものである。本発明においては(B)成分としてこれらのオルガノシラン化合物を1種単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
【0019】
(B)成分は、(A−1)成分が低粘度の場合には必ずしも配合する必要はないが、通常の配合量は、(A−1)成分100質量部に対して0〜50質量部、好ましくは5〜40質量部であることが適当である。なお、(B)成分の配合量が上記の範囲よりも多すぎると、塗料の貯蔵安定性が悪くなりやすいので好ましくない。
【0020】
(C)成分の含フッ素共重合体は、例えば、含フッ素ビニルモノマー及び該含フッ素ビニルモノマーと共重合可能なビニル基を含有する重合性ビニルモノマーを、ラジカル重合開始剤を用いて、塊状重合、溶液重合、乳化重合法等の重合方法で重合させることによって製造することができる。
【0021】
含フッ素ビニルモノマーとして、例えば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、(パー)フルオロアルキルトリフルオロビニルエーテル〔但し(パー)フルオロアルキル基の炭素原子数は1〜18の整数である。〕等を挙げることができる。(C)成分を製造する際の含フッ素ビニルモノマーの使用量は、重合性ビニルモノマーの合計量の10〜90質量%の範囲内であることが好ましく、20〜85質量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0022】
含フッ素ビニルモノマーと共重合可能なビニルモノマーとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニルの如き直鎖状又は分鎖状の脂肪族カルボン酸のビニルエステル;シクロヘキサンカルボン酸ビニルエステルの如き脂環式カルボン酸ビニルエステル;安息香酸ビニルエステル、p−t−ブチル安息香酸ビニルエステル、サリチル酸ビニルエステルの如き芳香族カルボン酸ビニルエステル;グリシジルビニルエーテル、グリシジルメタアクリレートの如きエポキシ基を有するビニルモノマー;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノブチル、イタコン酸モノブチル、アジピン酸モノビニル、セバシン酸モノビニル等のカルボキシル基を含有するビニルモノマー;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルの如きヒドロキシアルキルビニルエーテル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートの如きヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有するビニルモノマー;ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノプロピルエーテル、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如きアミノ基を含有するビニルモノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデンの如きフッ素以外のハロゲンを含有するビニルモノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族ビニルモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0023】
含フッ素共重合体の数平均分子量は1,000〜300,000の範囲内であることが好ましく、5,000〜200,000の範囲内であることが特に好ましい。
【0024】
含フッ素共重合体の代表的な市販品として、例えば、DIC株式会社製の「フルオネートK700」、「フルオネートK701」、「フルオネ−トK702」、「フルオネートK703」、「フルオネートK704」、旭硝子株式会社製の「ルミフロンLF100」、「ルミフロンLF200」、「ルミフロンLF400」、「ルミフロンLF601」、「ルミフロンLF700」等を挙げることができる。
【0025】
(C)成分の配合量は、(A−1)成分100質量部に対して樹脂分量で50〜200質量部、好ましくは80〜150質量部が適当である。なお、(C)成分の配合量が上記の範囲よりも多すぎる場合には塗膜の耐候性が悪くなり、逆に上記の範囲よりも少ない場合には塗膜が割れやすくなる傾向があるので好ましくない。
【0026】
本発明の塗料組成物においては下地塗膜との密着性を改善するために(D)成分のシラ
ンカップリング剤を用いる。(D)成分のシランカップリング剤としては、従来より、塗料の分野において使用されているものであれば、各種のものを使用することができる。このようなシランカップリング剤として、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類;等、更には、チタネートや、アルミキレート、ジルコネート等のカップリング剤を使用することができる。また、本発明においては(D)成分としてこれらのシランカカップリング剤を1種単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
【0027】
(D)成分の配合量は、(A−1)成分100質量部に対して0.1〜5.0質量部、好ましくは、0.1〜3.0質量%の量であることが適当である。なお、(D)成分の配合量が上記の範囲よりも多すぎる場合には塗料の貯蔵安定性が悪くなり、塗膜の光沢、耐クラック性が低下する傾向があり、逆に上記の範囲よりも少ない場合には塗膜の乾燥性が低くなり、下地塗膜との密着性が悪い傾向があるので好ましくない。
【0028】
(A−2)成分は、一般式(2)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0又は1である。〕で示されるオルガノシラン化合物の1種以上から得られる部分加水分解縮合物である。上記一般式(2)のR1及びR2は前記で一般式(1)で定義した通りである。
【0029】
上記一般式(2)で示されるオルガノシラン化合物の具体例として、例えば、テトラメトキシシランや、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラi−プロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラi−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0030】
(A−2)成分は、これらのオルガノシラン化合物の1種単独、又は2種以上から得られる部分加水分解縮合物であり、n=0のみのオルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物でも、n=1のみのオルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物でも、n=0のオルガノシラン化合物とn=1のオルガノシラン化合物との部分加水分解共縮合物でも良い。本発明で用いる該部分加水分解縮合物は、常温で液状であり、ポリスチレン換算重量平均分子量が例えば300〜5000、好ましくは500〜4200のものが適当である。このような部分加水分解縮合物を使用することにより、塗料の硬化性、乾燥性が良くなり、また高硬度の塗膜が得られる。また、本発明で用いる(A−2)成分の部分加水分解縮合物としては粘度が0.01〜2Pa・s/20℃、好ましくは0.1〜1Pa・s/20℃であるものが適当である。なお、粘度が上記の範囲よりも低いと塗料の貯蔵安定性が悪くなる傾向にあり、逆に高すぎると塗装作業性が悪くなる傾向にある。なお、(A−2)成分の製造方法は(A−1)成分の製造方法と同様である。
【0031】
(A−3)成分は、一般式(3)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1又は2である。〕で示されるオルガノシラン化合物の1種以上から得られる部分加水分解縮合物である。上記一般式(3)のR1及びR2は前記で一般式(1)で定義した通りである。
【0032】
上記一般式(3)で示されるオルガノシラン化合物の具体例として、例えば、メチルトリメトキシシランや、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン等を挙げることができる。好ましいオルガノシラン化合物として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等を挙げることができる。
【0033】
(A−3)成分は、これらのオルガノシラン化合物の1種単独、又は2種以上の部分加水分解縮合物であり、n=1のみのオルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物でも、n=2のみのオルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物でも、n=1のオルガノシラン化合物とn=2のオルガノシラン化合物との部分加水分解共縮合物でも良い。本発明で用いる該部分加水分解縮合物は常温で液状であり、ポリスチレン換算重量平均分子量が例えば300〜5000、好ましくは、500〜4200のものが適当である。このような部分加水分解縮合物を使用することにより、塗料の貯蔵安定性が良く、耐クラック性が良い塗膜が得られる。また、本発明で用いる(A−3)成分の部分加水分解縮合物としては粘度が0.01〜2Pa・s/20℃、好ましくは0.1〜1Pa・s/20℃であるものが適当である。なお、粘度が上記の範囲よりも低いと塗料の貯蔵安定性が悪くなる傾向にあり、逆に高すぎると塗装作業性が悪くなる傾向にある。なお、(A−2)成分の製造方法は(A−1)成分の製造方法と同様である。
【0034】
本発明の塗料組成物においては、(A−2)成分が部分加水分解縮合物の5〜50質量%を占め、(A−3)成分が部分加水分解縮合物の50〜95質量%を占めるように配合する。(A−2)成分の配合量が上記の範囲よりも多すぎる場合には塗料の貯蔵安定性が悪くなり、また、塗膜が割れやすくなる傾向がある。逆に(A−2)成分の配合量が上記の範囲よりも少ない場合には塗膜の乾燥性が悪くなり、塗膜硬度が低くなる傾向がある。(A−3)成分の配合量が上記の範囲よりも多すぎる場合には塗膜の硬化性が悪くなり、塗膜硬度が低くなる傾向がある。逆に(A−3)成分の配合量が上記の範囲よりも少ない場合には塗膜の柔軟性が低くなる傾向がある。
【0035】
また、(A−2)成分及び(A−3)成分の部分加水分解縮合物として、共にn=1のオルガノシラン化合物から得られる加水分解縮合物を用いる場合は、一般式(2)及び一般式(3)の置換基の異なるオルガノシラン化合物を用いるか、共縮合の相手オルガノシラン化合物に異なるオルガノシラン化合物を用いるか、分子量が異なる部分加水分解縮合物を用いることが好ましい。また、常温で液体の(A−2)成分及び/又は(A−3)成分を用いることにより、常温で固形のオルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物を併用することも可能である。
【0036】
本発明の塗料組成物は、上記の各成分の他に、各種顔料、有機溶剤あるいは添加剤等を配合して塗料として使用可能となる。顔料としては、通常塗料用として利用されている顔料がそのまま使用可能である。具体的には、酸化チタンや、亜鉛華、酸化鉄、黄鉛等の着色無機顔料、フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の着色有機顔料、石英粉、タルク、酸化アルミナ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料、ステンレス粉、亜鉛粉、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉、雲母粉等を代表的なものとして挙げることができる。
【0037】
又、有機溶剤としては、通常の塗料に利用されている各種溶媒が特に制限なく使用可能である。例えば、メタノールや、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトンや、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、ダイアセトンアルコール、シクロヘキサン等のケトン類;2−ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチルエーテル、ブチルジグリコール等のエーテルアルコール類;エチルアセテートや、プロピルアセテート、メトキシプロピルアセテート、n−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート等のエステル類;n−ブタンや、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、イソノナン、n−デカン、n−ドデカン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタンなどがあり、市販品としては、例えば、ミネラルスピリット、vm&pナフサ、shellzole72(シェル化学株式会社製)、ナフサno.3、ナフサno.5、ナフサno.6、ナフサno.7(エクソン化学株式会社製)、ipソルベント1016、ipソルベント1620、ipソルベント2835(出光石油化学株式会社製)、ペンガゾールan−45、ペンガゾール3040(モービル石油株式会社製)等の脂肪族、脂環族の炭化水素類;トルエン、キシレン、ソルベッソ100や、ソルベッソ150(エクソン化学株式会社製)、スワゾール1000や、スワゾール1500、スワゾール1800(丸善石油株式会社製)、イプゾール100や、イプゾール150(出光興産株式会社製)等の芳香族炭化水素類;及びこれらの混合物等を好適なものとして挙げることができる。又、添加剤としては、例えば、表面調整剤や、顔料分散剤、紫外線吸収剤、脱水剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、増粘剤、消泡剤、硬化促進剤等の通常塗料用添加剤として知られている添加剤を挙げることができる。
【0038】
本発明の塗料組成物は、例えば、鋼板や、ステンレス板、アルミ板等の各種金属材料はもちろん、モルタルや、コンクリート、ガラス等の無機材料、プラスチックや、木材等の塗装にも適用可能である。
【0039】
塗装方法としては、エアスプレー、エアレススプレー、ハケ塗装、ローラー塗装等の従来から一般に行われている方法がそのまま採用できる。
【0040】
以下に、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。なお、製造例、実施例、比較例において「部」、「%」は特に断らない限り質量基準で示す。
【0041】
<製造例1〜9>
環流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、第1表に示す量(質量部)のオルガノシラン化合物を仕込み、撹拌しながら第1表に示す量(質量部)のイオン交換水と1規定の塩酸を1時間で滴下した。滴下が終了した後、第1表に記載の反応温度で反応時間撹拌を続けて部分加水分解縮合反応させた。反応終了後、減圧(1.33×104Pa)下、脱溶剤を行い、第1表に記載の重量平均分子量のポリシロキサン(A)〜(I)を得た。
【0042】
【表1】

【0043】
<実施例1〜10及び比較例1〜5>
第2表に記載の配合量(質量部)で各成分を混合した後、ボールミルにて1時間分散処理して、実施例1〜10、比較例1〜5の塗料組成物を得た。用いたフッ素樹脂は旭硝子株式会社製のルミフロンLF200(樹脂分60質量%)であり、シランカカップリング剤は東レ・ダウコーニング株式会社製のSH6040(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)であり、酸化チタンは石原産業株式会社製のTIPAQUE CR95であった。
【0044】
<貯蔵安定性>
各々の塗料組成物の加熱残分は第2表に示す通りであった。また、塗料の貯蔵安定性については、各々の塗料組成物を50℃で1ヶ月間貯蔵した後の状態を確認し、次の基準で判定した。
○:塗料の分離やブツの発生がなく、著しい増粘も認められない、
×:塗料の分離、ブツの発生または著しい増粘が認められる。
【0045】
<試験片Aの作製>
厚さ0.8mm、大きさ70mm×150mmの磨き軟鋼板の表面を研磨紙(No.120)で研磨した後、キシレンで脱脂した。この鋼板に下塗塗料としてエポオールスマイル(大日本塗料株式会社製)を乾燥膜厚で50μmとなるようにエアスプレー塗装し、1日間養生後、中塗塗料としてVフロン#100Hスマイル中塗(大日本塗料株式会社製)を乾燥膜厚で30μmとなるようにエアスプレー塗装し、1日間養生した。さらに、上塗塗料として第2表に記載した実施例1〜10及び比較例1〜5の塗料組成物を、乾燥膜厚で30μmとなるようにエアスプレー塗装した後、常温(23℃)で2週間乾燥させて試験片Aとした。尚、上塗塗料に関しては、第2表に記載の全ての塗料組成物について塗装直前に硬化促進剤としてジブチルスズジラウレートを塗料100部に対して0.3部添加し、混合したものを使用した。
【0046】
<試験片Bの作製>
厚さ0.3mm、大きさ50mm×100mmの磨き軟鋼板を用いて、試験片Aと同様の手順で塗装及び乾燥を行い、試験片Bとした。
【0047】
作製した試験片A、Bについて下記に示す試験によって塗膜性能を評価した。
<乾燥性>
試験片Bについて、上塗塗料を塗装して常温(23℃)で24時間乾燥させた後に、塗膜表面を指先で軽く圧力をかけて押さえ、塗膜の乾燥状態を次の基準で判定した。
◎:塗膜に指紋の跡が残らず、粘着性を示さない
○:塗膜に若干の指紋の跡が残るが、粘着性は示さない
×:塗膜にはっきりと指紋の跡が残り、粘着性を示す
【0048】
<塗膜光沢>
試験片Aについて、JIS K 5600−4−7:1999に規定される鏡面光沢計を用いて60度鏡面光沢度を測定し、次の基準で判定した。
○:60度鏡面光沢度 70以上
×:60度鏡面光沢度 70未満
【0049】
<塗膜硬度>
試験片Aについて、JIS K 5600−5−4:1999に準じて引っかき硬度(鉛筆法)試験を行い、次の基準で判定した。
◎:H以上の硬さを有する
○:FまたはHBの硬さを有する
×:B以下の硬さを有する
【0050】
<耐クラック性>
試験片Bについて、JIS K 5600−5−1:1999の手順に準じて、直径4mmのマンドレルを用いて折り曲げた後、−20℃雰囲気(2時間)→50℃雰囲気(2時間)、各条件への移行時間(1時間)とした1サイクル6時間の条件で1000サイクルを実施し、塗膜の状態を次の基準で目視判定した。
◎:塗膜に異変が認められない
○:塗膜にクラックは認められないが微細な皺状の模様が認められる
×:塗膜にクラックが認められる
【0051】
<耐候性>
試験片Aについて沖縄暴露場(大日本塗料株式会社社内)にて4年間暴露試験を実施した。試験後の塗膜光沢感を暴露耐候性試験未実施の初期塗面と比較し、以下の基準で目視判定した。
○:光沢の低下がほとんど認められない
×:光沢の低下が認められる
【0052】
<下地塗膜との密着性>
試験片Aの塗板を40℃のイオン交換水中に7日間浸漬した後乾燥させ、乾燥の2時間後に、JIS K 5600−5−6(クロスカット法)に準拠して、塗膜を1mm間隔100マスで碁盤目にカットし、粘着テープ貼付後の剥離試験を実施して、以下の基準で目視判定した。
○:異常なし、
×:剥離あり。
上記の各々の試験の評価結果は第2表に示す通りであった。
【0053】
【表2】

【0054】
第2表に示す評価結果から明らかなように、本発明の塗料組成物である実施例1〜10の塗料組成物は貯蔵安定性に優れており、実施例1〜10の塗料組成物を使用した場合に、高耐候性、下地塗膜との密着性、耐クラック性に優れており、高光沢を有する塗装物が得られた。これらはいずれも固形分(加熱残分)の高い塗料組成物である。特に、実施例1〜3の塗料組成物を使用した場合に、乾燥性、塗膜硬度、耐クラック性の項目全てで高水準の塗装物が得られた。このように、本発明により、高耐候性、貯蔵安定性、耐クラック性、高光沢で、且つハイソリッド化可能な塗料組成物を得ることができる。
【0055】
一方で、成分(B)を多く配合した比較例1の塗料組成物は貯蔵安定性が悪く、比較例1の塗料組成物を使用した場合には耐クラック性も劣った。成分(C)を少なく配合した比較例2の塗料組成物を使用した場合には耐クラック性が劣り、成分(C)を多く配合した比較例3の塗料組成物は耐候性が低下した。成分(D)を含まない比較例4の塗料組成物を使用した場合には塗膜の乾燥性、下地塗膜との密着性が劣り、成分(D)を多く配合した比較例5の塗料組成物は貯蔵安定性が悪く、比較例5の塗料組成物を使用した場合には、塗膜光沢、耐クラック性が低下した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A−1)一般式(1)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜2である。〕で示されるオルガノシラン化合物の1種以上から得られる部分加水分解縮合物100質量部、
(B)一般式(1)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜2である。〕で示されるオルガノシラン化合物0〜50質量部、
(C)含フッ素共重合体50〜200質量部、及び
(D)シランカップリング剤0.1〜5.0質量部
を含むことを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】
(A−2)一般式(2)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0又は1である。〕で示されるオルガノシラン化合物の1種以上から得られる部分加水分解縮合物5〜50質量%と、
(A−3)一般式(3)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1又は2である。〕で示されるオルガノシラン化合物の1種以上から得られる部分加水分解縮合物50〜95質量%と
からなる部分加水分解縮合物100質量部、
(B)一般式(1)
1nSi(OR24-n
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜2である。〕で示されるオルガノシラン化合物0〜50質量部、
(C)含フッ素共重合体50〜200質量部、及び
(D)シランカップリング剤0.1〜5.0質量部
を含むことを特徴とする塗料組成物。

【公開番号】特開2011−21157(P2011−21157A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169379(P2009−169379)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【特許番号】特許第4493055号(P4493055)
【特許公報発行日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】