説明

塗料

【課題】家屋の壁、天井等に用いることができ、不燃性及び装飾性に優れた塗料を提供する。
【解決手段】ホウ酸又/及びホウ砂と、バインダーとを混合した塗料。ホウ砂を粉砕してバインダーと混合することもできる。ポリホウ酸ナトリウムを混合することで、さらに不燃性を向上させることができる。さらに、木粉、貝殻粉、石粉、砂、土、紙及び繊維の少なくとも1以上の粉末材料を混合し、不燃性に加え、装飾性にも優れた塗料を提供することができ、特に木粉を混合することで、装飾性の向上に加え、軽量化を図ることができ、通気性も向上する。粉末材料を脱色又は/及び着色した後混合することで装飾性をさらに向上させることができ、粉末材料の混合率を変更することで、ペイントや塗壁材等、広い用途に使用することができる。粉末材料の混合前又は混合後に着色剤を混合することで、より一層装飾性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料に関し、特に、不燃性及び装飾性に優れた塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の壁には、洋間の場合、塩化ビニル等のビニルクロス貼り、和室の場合、和紙貼りなどが行われ、さらに、漆喰、珪藻土等が塗壁用に使用されている。特に、ビニルクロスは、安価であり、貼替えも簡単で容易に部屋のイメージチェンジ等を行うことができるため、現在では最も広く用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ビニルクロスは種々の利点があるものの、石油から作られている化学製品であるため、燃焼時には一酸化炭素等の有毒なガスが多量に発生するとともに、自然素材からなる壁材に比較すると地球温暖化防止の観点からも劣るものである。
【0004】
また、日本では、年間6万件もの火災が発生しており、そのうち、建物火災が6割の3万件超に達している。これに伴って、人命や財産を守るために不燃性で安全な住宅が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、壁装材や天井材等として、家屋の壁や天井等に用いることができ、不燃性であるとともに、安価かつ安全で、装飾性にも優れた塗料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、ホウ酸又は/及びホウ砂と、バインダーとを混合することで、不燃性塗料を得ることができることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、塗料であって、ホウ酸又は/及びホウ砂と、バインダーとを混合したことを特徴とする。これにより、安価かつ安全で、不燃性に優れた塗料を提供することができる。
【0007】
上記塗料において、前記ホウ砂を粉砕して前記バインダーと混合することができる。これにより、粒子の粗いホウ砂を微粒化し、きめの細かい作業性のよい塗料を提供することができる。
【0008】
また、上記塗料に、さらに、ポリホウ酸ナトリウムを混合することができ、より一層不燃性を向上させることができる。
【0009】
上記塗料に、さらに、粉末材料として、木粉、貝殻粉、石粉、砂、土、紙及び繊維の少なくとも1以上を混合することができ、不燃性に加え、装飾性にも優れた塗料を提供することができ、特に木粉を混合することで、装飾性の向上に加え、軽量化を図ることができ、通気性も向上する。尚、粉末材料は、そのまま用いてもよいし、脱色又は/及び着色した粉末材料を使用することもでき、粉末材料の混合率を変更することで、ペイントや塗壁材等、広い用途に使用することができる。
【0010】
上記塗料において、前記粉末材料の混合前又は混合後に着色剤を混合することができ、より一層装飾性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、壁装材や天井材等として家屋の壁や天井等に用いることができ、安価かつ安全で、不燃性及び装飾性に優れた塗料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
上述のように、本発明は、塗料であって、ホウ酸又は/及びホウ砂と、バインダーとを混合したことを特徴とする。ここで、ホウ砂は、そのままでも使用できるが、粒子が粗いため、粉砕することでより高密度にバインダーと混合することができ、不燃機能を向上させることなどが可能となる。具体的には、ホウ砂を粒子径1000μm〜1nm、好ましくは100μm以下に粉砕して用いることにより、きめの細かく作業性のよい塗料を得ることができ、さらに、不燃物であるホウ砂が塗料に高密度で含有されることで、塗料の不燃性を向上させることができる。尚、ホウ砂は、高圧ホモジナイザー、ジェットミル、ビーズミル等の粉砕機等を用いて粉砕、破砕、超微粉砕することで上記粒度に調整することができる。
【0014】
一方、バインダーには、酢酸ビニル樹脂系エマルション形を好適に用いることができ、この他にも、水性高分子−イソシアネート系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系エマルション形、変成シリコーン系、ビニル共重合樹脂系エマルション形、ウレタン樹脂系、ゴム系ラテックス形、合成樹脂系エマルション形、合成ゴム系ラテックス形、エポキシ変成合成ゴム系ラテックス形等、一般的に建築の塗料材料として用いられている物を使用することができる。但し、人体に悪影響を与える可能性のあるユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂系の使用は避けたい。
【0015】
また、ホウ酸又は/及びホウ砂と、バインダーに加え、ポリホウ酸ナトリウムを混合することで、さらに不燃性を向上させることができる。ポリホウ酸ナトリウムは、水溶液として混合するか、後述の粉末材料に含浸させることもできる。
【0016】
上述の塗料は、不燃性塗料の観点から各材料を調合したものであるが、さらに、着色剤を混合することで装飾性を付与することができる。着色剤については、染料、顔料等種々の物を用いることができ、ホウ酸又は/及びホウ砂と混合する前にバインダーに添加してもよく、ホウ酸等とバインダーとの混合物に添加して混合してもよい。
【0017】
また、装飾性を向上させるため、着色剤に加え、又は着色剤を加えることなく、木粉、貝殻粉、石粉、砂、土、紙及び繊維等の粉末材料を上記不燃性塗料に混合することができる。さらに、上記不燃性塗料に上記粉末材料を混合した後、さらに着色剤を混合してもよい。
【0018】
上記各々の粉末材料は、単独で混合してもよく、2種以上を同時に用いてもよい。尚、粉末材料の粒子径は、10メッシュ〜500メッシュ程度、好ましくは50メッシュ〜300メッシュとし、ホウ砂粉末の粒子径は、これらよりも小さくなるように配慮する。これは、ホウ砂を高密度で含有するようにし、その不燃性を阻害しないようにするためである。また、脱色又は/及び着色した粉末材料を使用することもできる。
【0019】
特に、木粉を用いた場合には、上記ポリホウ酸ナトリウムが木粉の不燃効果を有するため、木粉を混入させた塗料の不燃性を向上させることができて好ましい。この際、ポリホウ酸ナトリウムを木粉に含浸させてもよい。尚、木粉を用いる場合でも、ポリホウ酸ナトリウムは必須ではなく、これを用いなくともよい。また、木粉は、塗料の軽量化を図る上で好ましく、通気性も向上させることができるという効果もある。
【0020】
上記塗料を製造するにあたっては、粉末材料を使用しない場合には、各材料を表1に示すような割合で、また、粉末材料を使用する場合には、各材料を表2に示すような割合で配合し、ミキサー、撹拌機等で混合撹拌する。具体的には、表3に示すような配合割合とすることができ、この基本的な配合に加え、上記ポリホウ酸ナトリウム、着色剤等を適宜混合することができる。木粉を混合する場合には、間伐材の木粉を利用することで、環境に配慮したものとすることができる。尚、上記各材料の混合割合は、例示であって、上記配合を中心としてある程度の幅を持たせて適宜変更することができる。また、水に代えて油、又は水と油の混合物を用いることもでき、水又は/及び油を用いずに、上記特徴を有する塗料を製造することも可能である。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
【表3】

【0024】
上述のようにして製造した塗料は、一般的な塗料と同様、缶、ビン、ブラスチック容器、スタンディングパウチ、詰め替えパウチ、使い切りパック等の保存容器に収容して販売し、そのまま家屋等の壁面や天井等に、こて、はけ又はローラー等を用いて塗布することができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、また、各構成の組み合わせも勿論可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウ酸又は/及びホウ砂と、バインダーとを混合したことを特徴とする塗料。
【請求項2】
前記ホウ砂を粉砕して前記バインダーと混合したことを特徴とする請求項1に記載の塗料。
【請求項3】
さらに、ポリホウ酸ナトリウムを混合したことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料。
【請求項4】
さらに、粉末材料として、木粉、貝殻粉、石粉、砂、土、紙及び繊維の少なくとも1以上を混合したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の塗料。
【請求項5】
前記粉末材料を脱色又は/及び着色した後混合したことを特徴とする請求項4に記載の塗料。
【請求項6】
前記粉末材料の混合前又は混合後に着色剤を混合したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の塗料。

【公開番号】特開2011−140538(P2011−140538A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−864(P2010−864)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(510006439)株式会社適材適所 (1)
【出願人】(510006440)
【Fターム(参考)】