説明

塗絵菓子、および塗絵菓子セット

【課題】表面に所望の絵が描かれる絵菓子の形成が容易にできるようにすると共に、絵を描いた後、直ちに、絵菓子を観賞したり、食したりできるようする。
【解決手段】塗絵菓子は、板形状の焼き菓子2と、この焼き菓子2の少なくとも一方の表面に取り付けられた食用コーティング3と、このコーティング3の表面に描かれた食用下絵線図4とを備える。コーティング3を乾燥メレンゲで形成する。コーティング3の表面に塗布可能とされる食用着色物質6を収容した塗絵容器7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子の外面に描かれた食用下絵線図に従ってインクなどの食用着色物質で絵を描くことにより絵菓子の形成ができるようにした新規な塗絵菓子、および塗絵菓子セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
表面に所望の絵を描くことにより形成される絵菓子の形成方法には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。
【0003】
上記公報の方法によれば、まず、描こうとする所望の絵の外縁に相当する形状の孔が貫設された絵型が準備される。また、絵を描こうとする板形状の焼き菓子生地が準備される。そして、この焼き菓子生地の表面に上記絵型を当接させ、上記孔を通して上記焼き菓子生地の表面に可食色材を付着させる。すると、所望の絵が上記焼き菓子生地の表面に精度良く描かれる。次に、上記焼き菓子生地の表面から絵型が取り外されて、この焼き菓子生地の表面に上記絵が残される。次に、これら焼き菓子生地とその表面に残された絵とが一体的に焼成されることにより、上記絵菓子が形成される。
【特許文献1】特開2007−82443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の技術では、次のような問題点がある。
【0005】
即ち、第1に、従来では、描こうとする所望の絵は、焼き菓子生地の表面に精度良く描くことはできるが、このような絵を精度良く描くために絵型が必要とされることから、上記絵菓子の形成は煩雑になりがちである。
【0006】
また、第2に、上記従来の技術では、焼き菓子生地の表面に絵を描いた後、これらをある程度の時間を要して焼成することにより、絵菓子が形成されるようになっている。このため、焼き菓子生地の表面に絵を描いた後、直ちに、その完成品である絵菓子を観賞したり、食したりはできないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、表面に所望の絵が描かれる絵菓子の形成が容易にできるようにすると共に、絵を描いた後、直ちに、絵菓子を観賞したり、食したりできるようすることである。
【0008】
請求項1の発明は、板形状の焼き菓子2と、この焼き菓子2の少なくとも一方の表面に取り付けられた食用コーティング3と、このコーティング3の表面に描かれた食用下絵線図4とを備えたことを特徴とする塗絵菓子である。
【0009】
請求項2の発明は、上記コーティング3を乾燥メレンゲで形成したことを特徴とする請求項1に記載の塗絵菓子である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載の塗絵菓子と、上記コーティング3の表面に塗布可能とされる食用着色物質6を収容した塗絵容器7とを備えたことを特徴とする塗絵菓子セットである。
【0011】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0012】
本発明による効果は、次の如くである。
【0013】
請求項1の発明は、板形状の焼き菓子と、この焼き菓子の少なくとも一方の表面に取り付けられた食用コーティングと、このコーティングの表面に描かれた食用下絵線図とを備えている。
【0014】
このため、表面に所望の絵を描くことにより形成される絵菓子を形成しようとする場合には、まず、種々準備された下絵線図のうちから好みの下絵線図を選択し、次に、上記焼き菓子に取り付けられたコーティングの表面に対し、上記下絵線図に従いインクなどの食用着色物質を塗布して絵を描くことにより達成される。
【0015】
よって、上記絵菓子を形成する場合、従来の技術にいう絵型の準備は不要であって、単にコーティングに対し下絵線図に従って着色物質を塗布すれば足りることから、この絵菓子の形成は容易にできる。
【0016】
また、上記焼き菓子とコーティングとは、そのまま食することができるものであることから、このコーティングに対し着色物質を塗布して絵を描けば、即ち、絵菓子が形成されることとなる。よって、上記のように絵を描きさえすれば、焼き菓子生地の焼成などの時間を不要として、直ちに、その絵菓子を観賞したり、食したりすることができる。
【0017】
請求項2の発明は、上記コーティングを乾燥メレンゲで形成している。
【0018】
ここで、上記乾燥メレンゲは、ある程度硬質であって、その表面は平滑に仕上げ可能なものであり、かつ、ある程度の吸湿性を有している。このため、上記コーティングの表面に着色物質を塗布することは容易にでき、よって、その分、上記絵菓子の形成は精度よく、かつ、更に容易にできる。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1に記載の塗絵菓子と、上記コーティングの表面に塗布可能とされる食用着色物質を収容した塗絵容器とを備えている。
【0020】
つまり、塗絵菓子と、この塗絵菓子のコーティングの表面に塗布される着色物質用の塗絵容器とが備えられているため、絵菓子の形成は更に容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の塗絵菓子に関し、表面に所望の絵が描かれる絵菓子の形成が容易にできるようにすると共に、絵を描いた後、直ちに、絵菓子を観賞したり、食したりできるようする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0022】
即ち、塗絵菓子は、板形状の焼き菓子と、この焼き菓子の少なくとも一方の表面に取り付けられた食用コーティングと、このコーティングの表面に描かれた食用下絵線図とを備えている。
【実施例】
【0023】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0024】
図において、符号1は塗絵菓子である。この塗絵菓子1は、平面視で所定形状とされた板形状の焼き菓子2と、この焼き菓子2の上側の表面に取り付けられた食用コーティング3と、このコーティング3の表面に描かれた食用下絵線図4とを備えている。
【0025】
上記焼き菓子2は、小麦や米を原料として焼成されたクッキー、硬いパン、ビスケット、せんべい、おかきなどであり、例えばカステラなどに比べ、比較的硬質であって、外力により容易に割れるような性質を有するものである。
【0026】
上記コーティング3は、上記下絵線図4を描き易い硬質の白色など乾燥メレンゲで形成されている。このメレンゲは、ゼラチン、砂糖、香料などの混合物であり、いわゆるアイシングを含む概念である。このメレンゲは、その粘性流動体のものがヘラ塗りなどにより、上記焼き菓子2の表面に塗布され、ヒータなどにより単に乾燥させられたり、焼成させられたりして形成される。
【0027】
上記下絵線図4は、コーヒー、カラメル、チョコレート、食用色素などを材料とした液体であるインクにより描かれている。具体的には、上記下絵線図4は、パソコンに格納されたデータに基づき、インクジェット式のプリンターにより上記コーティング3の表面に自動的に描かれる。また、上記下絵線図4により、動物、花などの静物、景色、文字、数字、図形などが描かれる。
【0028】
上記コーティング3の表面に塗布可能とされる食用着色物質6を収容した複数の塗絵容器7が設けられ、これら各塗絵容器7はチューブ構造とされている。上記着色物質6は、上記下絵線図4と同様の材料を用いた液体でもよいが、粘性流動体であるメレンゲ、ジャム、マヨネーズなどであってもよい。また、上記各塗絵容器7は、それぞれ互いに色が異なる着色物質6を収容して操作者8により把持される樹脂製の容器本体9と、上記操作者8の把持力により、上記各容器本体9内から押し出される着色物質6を上記コーティング3の表面に向けて吐出可能とする吐出口10とを備えている。
【0029】
互いに異なる複数色の着色物質6を個別に収容する上記各塗絵容器7と、上記塗絵菓子1とにより塗絵菓子セット11が構成され、この塗絵菓子セット11は、例えば、透明な袋にまとめて収納される。
【0030】
そして、上記下絵線図4に従って、上記コーティング3の表面の所望箇所に塗絵容器7により種々の色の食用着色物質6を塗布して絵を描けば、絵菓子が形成される。
【0031】
上記構成によれば、板形状の焼き菓子2と、この焼き菓子2の少なくとも一方の表面に取り付けられた食用コーティング3と、このコーティング3の表面に描かれた食用下絵線図4とを備えている。
【0032】
このため、表面に所望の絵を描くことにより形成される絵菓子を形成しようとする場合には、まず、種々準備された下絵線図4のうちから好みの下絵線図4を選択し、次に、上記焼き菓子2に取り付けられたコーティング3の表面に対し、上記下絵線図4に従い食用着色物質6を塗布して絵を描くことにより達成される。
【0033】
よって、上記絵菓子を形成する場合、従来の技術にいう絵型の準備は不要であって、単にコーティング3に対し下絵線図4に従って着色物質6を塗布すれば足りることから、この絵菓子の形成は容易にできる。
【0034】
また、上記焼き菓子2とコーティング3とは、そのまま食することができるものであることから、このコーティング3に対し着色物質6を塗布して絵を描けば、即ち、絵菓子が形成されることとなる。よって、上記のように絵を描きさえすれば、焼き菓子生地の焼成などの時間を不要として、直ちに、その絵菓子を観賞したり、食したりすることができる。
【0035】
また、前記したように、コーティング3を乾燥メレンゲで形成している。
【0036】
ここで、上記乾燥メレンゲは、ある程度硬質であって、その表面は平滑に仕上げ可能なものであり、かつ、ある程度の吸湿性を有している。このため、上記コーティング3の表面に着色物質6を塗布することは容易にでき、よって、その分、上記絵菓子の形成は精度よく、かつ、更に容易にできる。
【0037】
また、前記したように、塗絵菓子と、上記コーティング3の表面に塗布可能とされる食用着色物質6を収容した塗絵容器7とを備えている。
【0038】
つまり、塗絵菓子1と、この塗絵菓子1のコーティング3の表面に塗布される着色物質6用の塗絵容器7とが備えられているため、絵菓子の形成は更に容易にできる。
【0039】
なお、以上は図示の例によるが、焼き菓子2の下側の表面にもコーティング3を取り付けてもよい。また、上記焼き菓子2の表面へのコーティング3の取り付けは、食用粘着材による貼着や焼成によるものであってもよい。また、メレンゲはゼラチンに代え、もしくは、これと共に卵白を混合したものでもよい。また、上記塗絵容器7の容器本体9はパイプ形状の樹脂製のものであってもよく、塗絵容器7の吐出口10に塗布用のハケを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】塗絵菓子および塗絵容器の側面部分図である。
【図2】塗絵菓子の平面部分破断図である。
【符号の説明】
【0041】
1 塗絵菓子
2 焼き菓子
3 コーティング
4 下絵線図
6 着色物質
7 塗絵容器
11 塗絵菓子セット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板形状の焼き菓子と、この焼き菓子の少なくとも一方の表面に取り付けられた食用コーティングと、このコーティングの表面に描かれた食用下絵線図とを備えたことを特徴とする塗絵菓子。
【請求項2】
上記コーティングを乾燥メレンゲで形成したことを特徴とする請求項1に記載の塗絵菓子。
【請求項3】
請求項1に記載の塗絵菓子と、上記コーティングの表面に塗布可能とされる食用着色物質を収容した塗絵容器とを備えたことを特徴とする塗絵菓子セット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−247252(P2009−247252A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97158(P2008−97158)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(501309196)株式会社神栄 (1)
【出願人】(508136537)有限会社ドメイン21 (1)
【Fターム(参考)】