塗膜形成装置
【課題】少ない工数で均一の厚みの塗膜を形成できる塗膜形成装置を提供する。
【解決手段】塗膜形成装置1は塗布ユニット11と塗料供給ユニット10と制御装置12を備えている。塗布ユニット11は基体4を保持する保持部18と塗布ノズル19と移動部20を備えている。塗布ノズル19は円環状に形成され内周面に塗料を塗出するスリットが設けられている。移動部20は基体4の軸芯Pに沿って塗布ノズル19を移動する。制御装置12は下端部4aから上方に向かって順に塗料7を基体4の外周面4cに塗布させる。
【解決手段】塗膜形成装置1は塗布ユニット11と塗料供給ユニット10と制御装置12を備えている。塗布ユニット11は基体4を保持する保持部18と塗布ノズル19と移動部20を備えている。塗布ノズル19は円環状に形成され内周面に塗料を塗出するスリットが設けられている。移動部20は基体4の軸芯Pに沿って塗布ノズル19を移動する。制御装置12は下端部4aから上方に向かって順に塗料7を基体4の外周面4cに塗布させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗装物の円筒面状の外周面に塗料を塗布して塗膜を形成する塗膜形成装置に関する。例えば、PPC(普通紙複写機)、LBP(レーザビームプリンタ)、ファクシミリなどの電子写真方式を採用した画像形成装置において、転写紙上の未定着トナー像を加熱、加圧により定着させる定着部材(定着ローラ、定着ベルト)の弾性層を形成するのに好適な塗膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の原理に基づく複写機およびプリンタなどの画像形成装置では、転写紙を狭厚し、熱によりトナーを溶融して該転写紙に定着させる定着プロセスを行う。近年、その定着プロセスで用いられる部品(定着ローラあるいは定着ベルト)には、シリコーンゴムなどの耐熱性ゴムで構成された弾性層が形成されている。前述した定着ローラあるいは定着ベルトは、基体(アルミ、鉄などの金属円筒形状の芯金やポリイミド、Niなどのベルト状基体)上にプライマ(接着剤)を塗布して、シリコーンゴムなどの耐熱性ゴムを含んだ塗料を塗布して、厚みが100〜300μm程度の弾性層を形成するなどして、得られる。
【0003】
前述した弾性層は、定着時のトナーを転写紙に押圧する圧力を均一にし画像の粒状度を向上させることが一般的に知られている。この弾性層の厚みが画像に影響を及ぼし、また耐熱性ゴムの熱伝導性の関係から定着ローラの立ち上がり時間(所定の温度に達する時間)などに影響を及ぼすことから、前述した弾性層の厚みは均一にすることが求められている。
【0004】
前述した弾性層を形成するために従来から種々の塗膜形成装置(例えば、特許文献1参照)が用いられてきた。特許文献1に示された塗膜形成装置は、軸芯が水平方向と平行な状態に前述した基体を位置付けて、ブレード状の塗布ノズルが塗料を塗出して、該塗料が前述した基体に付着した後、前記基体を回転させながら前述した塗布ノズルから塗料を塗出させることで、前述した弾性層を形成している。
【特許文献1】特開2005−87955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に示された塗膜形成装置を用いると、該塗膜形成装置が基体を回転させながらブレード状の塗布ノズルから塗料を塗出させて、塗膜を基体の外周面に形成するので、基体が塗布開始後略1周回転して最初に形成した塗膜と最後に形成した塗膜とが重なる際に、これらの塗膜間にどうしても段差などが生じてしまう。このため、前述した塗膜形成装置を用いると、塗料を塗布して塗膜を形成した後に、塗膜の外表面に研削加工などの機械加工を施して、塗膜の厚みを均一に保っていた。
【0006】
このように、従来の塗膜形成装置を用いると、形成した塗膜の一部に段差などが生じて、塗料を塗布した後に再度機械加工を施す必要が生じて、前述した基体の外周面に均一の厚みの塗膜を形成するための所要工数が増加する傾向であった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、少ない工数で均一の厚みの塗膜を形成できる塗膜形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するために請求項1に記載の塗膜形成装置は、被塗装物の円筒面状の外周面に塗料を塗布して塗膜を形成する塗膜形成装置において、前記外周面が露出しかつ前記被塗装物の軸芯が鉛直方向と平行な状態で当該被塗装物を保持する保持部と、円環状に形成され、かつ前記被塗装物の外周面と間隔をあけて相対して前記保持部に保持された前記被塗装物と同軸に配置された内周面に前記塗料を塗出するスリットが全周に亘って形成された塗布ノズルと、前記保持部と前記塗布ノズルとを前記軸芯に沿って相対的に移動させる移動部と、前記塗布ノズルに前記塗料を供給する塗料供給部と、前記保持部に保持された前記被塗装物の下端部と相対した塗布ノズルのスリットから前記塗料を塗布させて、該スリットから前記塗料を塗出させながら前記塗布ノズルが前記被塗装物の上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の塗膜形成装置は、請求項1に記載の塗膜形成装置において、前記被塗装物の外周面と前記塗布ノズルの内周面との間隔CGが、次の式3T/2≦CG≦1/250×(T2−340T+312)(ただし、式中のTが前記塗膜の厚みである)を満たしていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の塗膜形成装置は、請求項1又は請求項2に記載の塗膜形成装置において、前記制御部が、前記被塗装物の下端部と相対して停止した塗布ノズルのスリットから塗出した前記塗料が前記被塗装物の外周面に付着した後、前記塗布ノズルが前記上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部であることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の塗膜形成装置は、請求項3に記載の塗膜形成装置において、前記制御部が、前記被塗装物の上端部と相対して上昇中の塗布ノズルのスリットからの前記塗料の塗出を停止して、該塗料が前記スリットと前記被塗装物の外周面とに掛け渡された状態で前記塗布ノズルの前記上端部への移動を一旦停止した後、再度塗布ノズルを前記上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の塗膜形成装置によれば、塗布ノズルが円環状に形成され、かつ該塗布ノズルの内周面に全周に亘って塗料を塗出するスリットが形成されているので、被塗装物の外周面の全周に一度に塗料が塗布される。そのために、最初に形成された塗膜と後から形成された塗膜とが重なって、段差が生じることを防止できるとともに、形成された塗膜の外表面に研削加工を施す必要が生じない。よって、研削加工を施すなどの所要工数が増加することを防止しながらも、均一な厚みの塗膜を容易に形成することが可能となる。
【0013】
また、軸芯が鉛直方向と平行な状態で被塗装物を保持するので、被塗装物の外周面に塗布された塗料に作用する重力が該被塗装物の周方向に一定となる。そのために、塗布された後に周方向の厚みがばらつくように、塗布された塗料が移動することを防止できる。よって、塗膜の厚みを均一に保つことが可能になる。
【0014】
さらに、被塗装物の下方から上方に向かって順に塗膜を形成するので、被塗装物の塗布される塗料が順に上方に移動する。そのために、塗料と被塗装物との間に侵入しようとする気体が、容易に被塗装物の上方に逃げることとなって、塗料と被塗装物との間に気体が侵入することを防止できる。よって、塗膜に気泡が生じることを防止でき、高品質な塗膜を得ることができる。
【0015】
請求項2に記載の塗膜形成装置によれば、塗布ノズルと被塗装物との間隔CGが塗膜の厚みTの1.5倍以上でかつ1/250*(T2−340T+312)以下となっているので、塗膜を形成する際に塗料がとぎれることを防止でき、均一な厚みの塗膜を容易に形成できる。
【0016】
請求項3に記載の塗膜形成装置によれば、塗布ノズルから塗出された塗料が被塗装物に付着した後、塗布ノズルを被塗装物に対して上昇させるので、塗布ノズルから塗出された塗料がとぎれることなく被塗装物の外周面に付着する。よって、下端部に段差などが生じることなく、均一な厚みの塗膜を容易に形成できる。
【0017】
請求項4に記載の塗膜形成装置によれば、塗布ノズルを一旦停止して、スリットと被塗装物の上端部とに亘って塗料が掛け渡された後に、塗布ノズルを再度被塗装物に対して上昇させるので、塗布ノズルから離れた塗料が被塗装物の上端部に付着する。よって、上端部に段差などが生じることなく、均一な厚みの塗膜を容易に形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図1乃至図12を参照して説明する。なお、図1は本発明に係る一実施形態の塗膜形成装置の構成図であり、図2は図1に示された塗膜形成装置の塗布ノズルなどの断面図、図3は図1に示された塗膜形成装置のフローチャートである。
【0019】
図1に示された塗膜形成装置1は、コピー機などの画像形成装置を構成する定着ベルト2(図11に示す)のプライマ層3(図12に示す)が形成された被塗装物としての基体4に塗膜としての弾性層5を形成する装置である。
【0020】
定着ベルト2は、図11に示すように、無端状に形成されている。定着ベルト2は、図12に示すように、ポリイミド、Niなどで構成された無端ベルト状の基体4と、プライマ(接着剤)層3と、シリコーンゴムなどの耐熱性ゴムで構成された弾性層5と、プライマ(接着剤)層3と、フッ素樹脂で構成された離型層6とが順に積層されて構成されている。弾性層5の厚みTは、100〜300μm程度に形成されている。
【0021】
また、弾性層5は、基体4の幅方向の一端部(塗膜形成装置1によって後述の塗料7が塗布される際には下端部)4aと、基体4の幅方向の他端部(塗膜形成装置1によって塗料7が塗布される際には上端部)4bとに亘って形成されている。前述した定着ベルト2は、加熱されてトナーを転写紙に押圧して、該トナーを転写紙に定着させる。
【0022】
塗膜形成装置1は、表面にプライマ(接着剤)層3が形成された基体4(特許請求の範囲の被塗装物に相当)の外表面即ち前述したプライマ(接着剤)層3上に、前述したシリコーンゴムと周知の溶媒などを含んだ塗料7を塗布して、前述した弾性層5を形成する。塗料7の粘度μは、以下の式1を満たしている。即ち、塗料7の粘度は、前述したプライマ層3や離型層6を形成する際に用いられる塗料の粘度よりも十分に大きい。
【0023】
【数1】
【0024】
塗膜形成装置1は、図1に示すように、塗料供給部としての塗料供給ユニット10と、塗布ユニット11と、制御部としての制御装置12とを備えている。塗料供給ユニット10は、工場のフロア上などに設置されるユニット本体13と、複数の原液タンク14と、複数の汲み上げポンプ15と、混合機16と、を備えている。原液タンク14と、汲み上げポンプ15と、混合機16と、塗布ユニット11の後述する塗布ノズル19とは、互いに配管などによって連結されている。
【0025】
ユニット本体13は、箱状に形成されている。原液タンク14と、汲み上げポンプ15とは、ユニット本体13内に収容されている。原液タンク14は、前述した塗料7の元となる液体を収容している。原液タンク14は、図示例では、二つ設けられている。汲み上げポンプ15は、原液タンク14内の液体をくみ上げて混合機16に供給する。汲み上げポンプ15は、一つの原液タンク14に対して一つ設けられている。混合機16は、ユニット本体13の上面に設置され、かつ複数の原液タンク14から汲み上げポンプ15を介して前述した液体が供給される。混合機16は、複数の原液タンク14からの液体を混合して、前述した塗料7を生成して、該塗料7を塗布ノズル19内の送り出す。
【0026】
塗布ユニット11は、ユニット本体17と、保持部18と、塗布ノズル19と、移動部20とを備えている。ユニット本体17は、工場のフロア上などに設置される台部21と、該台部21から上方に向かって延在した板状の延在板部22と、該延在板部22の上端部から水平方向に沿って延在した板状の上方板23とを備えている。上方板23は、平板状に形成され、台部21と鉛直方向に沿って間隔をあけて相対している。
【0027】
保持部18は、立設柱24と、上チャック25とを備えている。立設柱24は、円柱状に形成され台部21の上面から上方に向かって立設している。立設柱24は、台部21に固定されている。立設柱24の軸芯は、鉛直方向と平行である。立設柱24は、基体4内に通されて、該基体4を保持する。立設柱24が基体4を保持すると、該立設柱24の外周面と基体4の内周面とが互いに密着する。立設柱24が基体4を保持すると、該基体4の軸芯P(図1中に一点鎖線で示す)が、鉛直方向と平行になる。立設柱24が基体4を保持すると、該基体4の外周面4cが円筒面状(軸芯に直交する方向の断面形が円弧状)となる。このように、立設柱24即ち保持部18は、軸芯Pが鉛直方向と平行な状態で基体4を保持する。
【0028】
上チャック25は、チャックシリンダ26と、押さえ部材27とを備えている。チャックシリンダ26は、シリンダ本体28と、該シリンダ本体28から凸没自在なロッド29とを備えている。シリンダ本体28は、鉛直方向に沿って下方に向かってロッド29が伸長する状態で、前述した上方板23に取り付けられている。押さえ部材27は、厚手の円盤状に形成され、ロッド29の先端に取り付けられているとともに、立設柱24と同軸に配置されている。上チャック25は、チャックシリンダ26のロッド29が伸長すると、押さえ部材27が立設柱24に保持された基体4の上端部4bと干渉(当接)して、該立設柱24に対して基体4を位置決めする。上チャック25は、チャックシリンダ26のロッド29が縮小すると、押さえ部材27が立設柱24から離れて、該立設柱24に基体4を着脱自在とする。
【0029】
塗布ノズル19は、図2に示すように、中空の円環状に形成されている。塗布ノズル19内には、前述した塗料供給ユニット10から塗料7が供給される。塗布ノズル19は、移動部20によって、立設柱24と該立設柱24に保持された基体4などと同軸に配置されているとともに、前述した軸芯Pに沿って移動自在に支持されている。塗布ノズル19の内径は、立設柱24に保持された基体4の外径よりも大きい。即ち、塗布ノズル19の内周面30は、基体4の外周面4cと間隔CGをあけて相対しているとともに、保持部18に保持された基体4と同軸に配置されている。
【0030】
間隔CGは、形成する弾性層5の厚みをTとすると、以下の式2を満たしている。
【0031】
【数2】
【0032】
また、内周面30には、塗布ノズル19の内外を連通するスリット31が、該塗布ノズル19の全周に亘って形成されている。塗布ノズル19は、塗料供給ユニット10から供給された塗料7を、スリット31を通して、保持部18の立設柱24などに保持された基体4の外周面4cに向かって塗出する。
【0033】
移動部20は、塗布ノズル支持板32と、リニアガイドと、モータと、リニアエンコーダなどを備えている。塗布ノズル支持板32は、環状に形成され、かつ表面上に塗布ノズル19を設置している。塗布ノズル支持板32は、内側に立設柱24を通して、台部21と上方板23との間に配置されている。リニアガイドは、塗布ノズル支持板32即ち塗布ノズル19を鉛直方向に沿って移動自在に支持している。モータは、鉛直方向に沿って、塗布ノズル支持板32即ち塗布ノズル19を移動させる。即ち、モータは、塗布ノズル支持板32即ち塗布ノズル19を昇降する。
【0034】
リニアエンコーダは、塗布ノズル支持板32即ち塗布ノズル19の位置を検出する。リニアエンコーダは、検出した塗布ノズル支持板32即ち塗布ノズル19の位置を、制御装置12に向かって出力する。このように、移動部20は、塗布ノズル支持板32を昇降させることで、立設柱24に保持された基体4と塗布ノズル19とを該基体4の軸芯Pに沿って相対的に移動させる。
【0035】
制御装置12は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置12は、塗料供給ユニット10と、塗布ユニット11と接続しており、これらを制御して、塗膜形成装置1全体の制御を司る。即ち、制御装置12には、移動部20のリニアエンコーダからの情報が入力するとともに、リニアエンコーダからの塗布ノズル19の位置に応じた情報に基づいて、以下に示すように、チャックシリンダ26と、移動部20のモータと、塗料供給ユニット10の混合機16などの動作を制御して、基体4の外周面4cに塗料7を塗布して、塗膜即ち弾性層5を形成する。
【0036】
前述した構成の塗膜形成装置1は、まず、図3中のステップS1において、制御装置12が、塗料供給ユニット10を停止しておくとともに、チャックシリンダ26のロッド29を縮小させておく。さらに、制御装置12が、塗布ノズル19を移動部20に移動させて、該塗布ノズル19を立設柱24に保持された基体4よりも上方の上原点位置X0(図10に示す)に位置付けて、ステップS2に進む。
【0037】
ステップS2では、立設柱24を基体4内に通して、該立設柱24の外周に基体4を保持する。さらに、制御装置12が、立設柱24が基体4を保持すると、チャックシリンダ26のロッド29を伸長して、押さえ部材で基体4を位置決めして、ステップS3に進む。
【0038】
ステップS3では、制御装置12が、移動部20に塗布ノズル19を降下させて、図4に示すように、制御装置12が、塗布ノズル19の内周面30が基体4の下端部4aに相対する塗布開始位置X1(図10に示す)に塗布ノズル19が位置すると、移動部20を停止する。こうして、塗布ノズル19を基体4の下端部4aと相対させて、該塗布ノズル19の基体4に対する相対的な移動を停止して、ステップS4に進む。
【0039】
ステップS4では、制御装置12が、塗料供給ユニット10に塗料7を塗布ノズル19に供給させて、該塗布ノズル19のスリット31から塗料7を基体4の下端部4aに向けて塗出させて、ステップS5とステップS6に進む。ステップS6では、制御装置12が、塗料7の塗出開始からt秒経過して、図5に示すように、スリット31から塗出した塗料7が基体4の下端部4aに付着した後、移動部20に塗布ノズル19を基体4に対して上昇(上端部4bに向かって移動)させて、ステップS7に進む。なお、時間t秒は、塗出開始から塗料7が基体4の下端部4aに付着するまでの時間である。こうして、ステップS6とステップS7との間では、図6に示すように、スリット31から塗料7を塗出させながら塗布ノズル19を上昇させる。
【0040】
ステップS5では、制御装置12が、塗料7の塗出開始からt秒よりも遙かに長いT秒経過して、スリット31が基体4の上端部4b寄りの位置L2(図10に示す)に位置付けられると、塗料供給ユニット10に塗料7の供給を停止させて、ステップS10に進む。
【0041】
ステップS7では、制御装置12が、塗料7の塗出開始から前述したt秒とT秒との双方よりも長いt1秒経過して、スリット31が基体4の上端部4bに相対する位置L1(図10に示す)に位置付けられて、図7に示すように、スリット31と基体4の外周面4cとに塗料7が掛け渡されると、移動部20を停止して、塗布ユニット11の基体4に対する上昇(上端部4bへの移動)を一旦停止して、ステップS8に進む。なお、時間t1秒は、ステップS5において、塗料供給ユニット10を停止してから、スリット31からの塗出量が徐々に減少する塗料7がスリット31と基体4の外周面4cとに掛け渡された状態となる時間である。
【0042】
ステップS8では、制御装置12が、ステップS7で塗布ノズル19の上昇を一点停止してからt2秒経過した後、再度、移動部20に塗布ノズル19を基体4に対して上昇(上端部4bに向かって移動)させて、ステップS9に進む。すると、図8に示すように、スリット31の先端即ち塗布ノズル19の内周面30から塗料7が分離した後、図9に示すように、該塗料7が基体4の上端部4bの外周面4cに付着する。
【0043】
ステップS9では、制御装置12が、塗布ノズル19が上原点位置X0に位置付けられると、移動部20を停止して、該塗布ノズル19を上原点位置X0に停止して、ステップS10に進む。こうして、基体4の下端部4aと上端部4bとの双方にマスキングなどを施すことなく、該下端部4aと上端部4bとに亘って基体4の外周面4cに塗料7を塗布する。そして、塗料7内の溶媒が蒸発するなどして、基体4の外周面4cに塗膜としての弾性層5が形成される。
【0044】
ステップS10では、制御装置12が、塗布ノズル19が上原点位置X0に位置付けられると、チャックシリンダ26のロッド29を縮小して、押さえ部材27を基体4から離す。そして、弾性層5が形成された基体4を立設柱24から取り外し、弾性層5を形成する前の基体4を立設柱24に取り付けて、前述した工程と同様に、弾性層5を形成する。
【0045】
このように、前述した塗膜形成装置1の制御装置12は、保持部18の立設柱24に保持された基体4の下端部4aと相対した塗布ノズル19のスリット31から塗料7を塗出させて、該スリット31から塗料7を塗出させながら塗布ノズル19が基体4の上端部4bに向かって移動するように、移動部20と塗料供給ユニット10とを制御する。
【0046】
本実施形態によれば、塗布ノズル19が円環状に形成され、かつ該塗布ノズル19の内周面30に全周に亘って塗料7を塗出するスリット31が形成されているので、基体4の外周面4cの全周に一度に塗料7を塗布できる。そのために、最初に形成された塗膜と後から形成された塗膜とが重なって、弾性層5に段差が生じることを防止できるとともに、形成された塗膜即ち弾性層5の外表面に研削加工を施す必要が生じない。よって、研削加工を施すなどの所要工数が増加することを防止しながらも、均一な厚みの塗膜即ち弾性層5を容易に形成することが可能となる。
【0047】
また、軸芯Pが鉛直方向と平行な状態で基体4を保持するので、基体4の外周面4cに塗布された塗料7に作用する重力が該基体4の周方向に一定となる。そのために、塗布された後に周方向の厚みがばらつくように、塗布された塗料7が移動することを防止できる。よって、塗膜即ち弾性層5の厚みを均一に保つことが可能なる。
【0048】
さらに、基体4の下方から上方に向かって順に塗膜としての弾性層5を形成するので、基体4に塗布される塗料7が順に上方に移動する。そのために、塗料7と基体4との間に侵入しようとする気体が、容易に基体4の上方に逃げることとなって、塗料7と基体4との間に気体が侵入することを防止できる。よって、塗膜としての弾性層5に気泡が生じることを防止でき、高品質な塗膜としての弾性層5を得ることができる。
【0049】
塗布ノズル19と基体4との間隔CGが塗膜としての弾性層5の厚みTの1.5倍以上でかつ1/250*(T2−340T+312)以下となっているので、塗膜としての弾性層5を形成する際に塗料7がとぎれることを防止でき、均一な厚みの塗膜としての弾性層5を容易に形成できる。
【0050】
塗布ノズル19から塗出された塗料7が基体4に付着した後、塗布ノズル19を上昇させるので、塗布ノズル19から塗出された塗料7がとぎれることなく基体4の外周面4cに付着する。よって、基体4の下端部4aに段差などが生じることなく、均一な厚みの塗膜としての弾性層5を容易に形成できる。
【0051】
塗布ノズル19を一旦停止して、スリット31と基体4の上端部4bとに亘って塗料7が掛け渡された後に、塗布ノズル19を再度上昇させるので、塗布ノズル19から離れた塗料7が基体4の上端部4bに付着する。よって、基体4の上端部4bに段差などが生じることなく、均一な厚みの塗膜としての弾性層5を容易に形成できる。
【0052】
次に、本発明の発明者は、前述した構成の塗膜形成装置1において、弾性層5の厚みTと、塗布ノズル19と基体4の外周面4cとの間隔CGを種々異ならせて、該基体4の外周面4cに弾性層5を形成した。結果を図13に示す。図13中の×印は、弾性層5の外表面に段差が生じたりして、外表面が平坦な弾性層5を形成できなかった場合を示している。図13中の黒四角及び黒丸は、外表面が平坦な弾性層5を形成できて、外表面が平坦な弾性層5を形成できなかった場合との境界を示している。前述した黒四角同士及び黒丸同士を結んだ線分(近似式又は回帰線ともいう)を、最小2乗法などによって求め、外表面が平坦な弾性層5を形成できる間隔CGと厚みTとの関係の領域R(図13中の平行斜線で示す)を得た。この領域Rは、外表面に段差が生じることなく、外表面が平坦な弾性層5を形成できた場合を示している。即ち、以下の式3と式4との間に位置付けられる間隔CGと厚みTすることで、外表面に段差が生じることなく、外表面が平坦な弾性層5を形成できることが明らかとなった。
【0053】
【数3】
【0054】
【数4】
【0055】
前述した実施形態では、定着ベルト2の弾性層5を形成する場合を示しているが、本発明は、定着ベルト2に限ることなく種々の無端ベルトに塗膜を形成しても良いことは勿論である。また、前述した実施例では、無端ベルト状の定着ベルト2の例を示したが、本発明は、勿論、金属などで構成された円筒状の被塗装物としてのローラ芯金の外周面に、塗料7を塗布して、塗膜を形成して得られる定着ローラなどに適用しても良い。
【0056】
また、前述した実施形態では、基体4を固定して、塗布ノズル19を移動させている。しかしながら、本発明では、塗布ノズル19を固定して、基体4を移動させても良く、塗布ノズル19と基体4との双方を移動させても良い。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。即ち、保持部18と移動部20は、実施形態に記載された構成及び配置に限定されることなく、種々の構成及び配置にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態にかかる塗膜形成装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1に示された塗膜形成装置の塗膜形成の工程を示すフローチャートである。
【図4】図3中のステップS3で基体の下端部と相対して塗布ノズルが停止した状態を示す断面図である。
【図5】図4に示された塗布ノズルから塗出した塗料が基体の外周面に付着した状態を示す断面図である。
【図6】図5に示された塗布ノズルが上昇中の状態を示す断面図である。
【図7】図6に示された塗布ノズルが基体の上端部と相対して一旦停止した状態を示す断面図である。
【図8】図7に示された塗布ノズルが再度上昇した状態を示す断面図である。
【図9】図8に示された基体の上端部に塗料が付着した状態を示す断面図である。
【図10】図1に示された塗膜形成装置に保持される基体と塗布ノズルの停止させる各位置との関係を示す説明図である。
【図11】図1に示された塗膜形成装置によって塗膜が形成されて得られる定着ベルトの斜視図である。
【図12】図11中のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】図1に示された塗膜形成装置の塗膜の厚みと、塗布ノズルと基体との間隔との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 塗膜形成装置
4 基体(被塗装物)
4a 下端部
4b 上端部
4c 外周面
5 弾性層(塗膜)
10 塗料供給ユニット
12 制御装置(制御部)
18 保持部
19 塗布ノズル
20 移動部
30 内周面
31 スリット
T 厚み
CG 間隔
P 軸芯
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗装物の円筒面状の外周面に塗料を塗布して塗膜を形成する塗膜形成装置に関する。例えば、PPC(普通紙複写機)、LBP(レーザビームプリンタ)、ファクシミリなどの電子写真方式を採用した画像形成装置において、転写紙上の未定着トナー像を加熱、加圧により定着させる定着部材(定着ローラ、定着ベルト)の弾性層を形成するのに好適な塗膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の原理に基づく複写機およびプリンタなどの画像形成装置では、転写紙を狭厚し、熱によりトナーを溶融して該転写紙に定着させる定着プロセスを行う。近年、その定着プロセスで用いられる部品(定着ローラあるいは定着ベルト)には、シリコーンゴムなどの耐熱性ゴムで構成された弾性層が形成されている。前述した定着ローラあるいは定着ベルトは、基体(アルミ、鉄などの金属円筒形状の芯金やポリイミド、Niなどのベルト状基体)上にプライマ(接着剤)を塗布して、シリコーンゴムなどの耐熱性ゴムを含んだ塗料を塗布して、厚みが100〜300μm程度の弾性層を形成するなどして、得られる。
【0003】
前述した弾性層は、定着時のトナーを転写紙に押圧する圧力を均一にし画像の粒状度を向上させることが一般的に知られている。この弾性層の厚みが画像に影響を及ぼし、また耐熱性ゴムの熱伝導性の関係から定着ローラの立ち上がり時間(所定の温度に達する時間)などに影響を及ぼすことから、前述した弾性層の厚みは均一にすることが求められている。
【0004】
前述した弾性層を形成するために従来から種々の塗膜形成装置(例えば、特許文献1参照)が用いられてきた。特許文献1に示された塗膜形成装置は、軸芯が水平方向と平行な状態に前述した基体を位置付けて、ブレード状の塗布ノズルが塗料を塗出して、該塗料が前述した基体に付着した後、前記基体を回転させながら前述した塗布ノズルから塗料を塗出させることで、前述した弾性層を形成している。
【特許文献1】特開2005−87955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に示された塗膜形成装置を用いると、該塗膜形成装置が基体を回転させながらブレード状の塗布ノズルから塗料を塗出させて、塗膜を基体の外周面に形成するので、基体が塗布開始後略1周回転して最初に形成した塗膜と最後に形成した塗膜とが重なる際に、これらの塗膜間にどうしても段差などが生じてしまう。このため、前述した塗膜形成装置を用いると、塗料を塗布して塗膜を形成した後に、塗膜の外表面に研削加工などの機械加工を施して、塗膜の厚みを均一に保っていた。
【0006】
このように、従来の塗膜形成装置を用いると、形成した塗膜の一部に段差などが生じて、塗料を塗布した後に再度機械加工を施す必要が生じて、前述した基体の外周面に均一の厚みの塗膜を形成するための所要工数が増加する傾向であった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、少ない工数で均一の厚みの塗膜を形成できる塗膜形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するために請求項1に記載の塗膜形成装置は、被塗装物の円筒面状の外周面に塗料を塗布して塗膜を形成する塗膜形成装置において、前記外周面が露出しかつ前記被塗装物の軸芯が鉛直方向と平行な状態で当該被塗装物を保持する保持部と、円環状に形成され、かつ前記被塗装物の外周面と間隔をあけて相対して前記保持部に保持された前記被塗装物と同軸に配置された内周面に前記塗料を塗出するスリットが全周に亘って形成された塗布ノズルと、前記保持部と前記塗布ノズルとを前記軸芯に沿って相対的に移動させる移動部と、前記塗布ノズルに前記塗料を供給する塗料供給部と、前記保持部に保持された前記被塗装物の下端部と相対した塗布ノズルのスリットから前記塗料を塗布させて、該スリットから前記塗料を塗出させながら前記塗布ノズルが前記被塗装物の上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の塗膜形成装置は、請求項1に記載の塗膜形成装置において、前記被塗装物の外周面と前記塗布ノズルの内周面との間隔CGが、次の式3T/2≦CG≦1/250×(T2−340T+312)(ただし、式中のTが前記塗膜の厚みである)を満たしていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の塗膜形成装置は、請求項1又は請求項2に記載の塗膜形成装置において、前記制御部が、前記被塗装物の下端部と相対して停止した塗布ノズルのスリットから塗出した前記塗料が前記被塗装物の外周面に付着した後、前記塗布ノズルが前記上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部であることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の塗膜形成装置は、請求項3に記載の塗膜形成装置において、前記制御部が、前記被塗装物の上端部と相対して上昇中の塗布ノズルのスリットからの前記塗料の塗出を停止して、該塗料が前記スリットと前記被塗装物の外周面とに掛け渡された状態で前記塗布ノズルの前記上端部への移動を一旦停止した後、再度塗布ノズルを前記上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の塗膜形成装置によれば、塗布ノズルが円環状に形成され、かつ該塗布ノズルの内周面に全周に亘って塗料を塗出するスリットが形成されているので、被塗装物の外周面の全周に一度に塗料が塗布される。そのために、最初に形成された塗膜と後から形成された塗膜とが重なって、段差が生じることを防止できるとともに、形成された塗膜の外表面に研削加工を施す必要が生じない。よって、研削加工を施すなどの所要工数が増加することを防止しながらも、均一な厚みの塗膜を容易に形成することが可能となる。
【0013】
また、軸芯が鉛直方向と平行な状態で被塗装物を保持するので、被塗装物の外周面に塗布された塗料に作用する重力が該被塗装物の周方向に一定となる。そのために、塗布された後に周方向の厚みがばらつくように、塗布された塗料が移動することを防止できる。よって、塗膜の厚みを均一に保つことが可能になる。
【0014】
さらに、被塗装物の下方から上方に向かって順に塗膜を形成するので、被塗装物の塗布される塗料が順に上方に移動する。そのために、塗料と被塗装物との間に侵入しようとする気体が、容易に被塗装物の上方に逃げることとなって、塗料と被塗装物との間に気体が侵入することを防止できる。よって、塗膜に気泡が生じることを防止でき、高品質な塗膜を得ることができる。
【0015】
請求項2に記載の塗膜形成装置によれば、塗布ノズルと被塗装物との間隔CGが塗膜の厚みTの1.5倍以上でかつ1/250*(T2−340T+312)以下となっているので、塗膜を形成する際に塗料がとぎれることを防止でき、均一な厚みの塗膜を容易に形成できる。
【0016】
請求項3に記載の塗膜形成装置によれば、塗布ノズルから塗出された塗料が被塗装物に付着した後、塗布ノズルを被塗装物に対して上昇させるので、塗布ノズルから塗出された塗料がとぎれることなく被塗装物の外周面に付着する。よって、下端部に段差などが生じることなく、均一な厚みの塗膜を容易に形成できる。
【0017】
請求項4に記載の塗膜形成装置によれば、塗布ノズルを一旦停止して、スリットと被塗装物の上端部とに亘って塗料が掛け渡された後に、塗布ノズルを再度被塗装物に対して上昇させるので、塗布ノズルから離れた塗料が被塗装物の上端部に付着する。よって、上端部に段差などが生じることなく、均一な厚みの塗膜を容易に形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図1乃至図12を参照して説明する。なお、図1は本発明に係る一実施形態の塗膜形成装置の構成図であり、図2は図1に示された塗膜形成装置の塗布ノズルなどの断面図、図3は図1に示された塗膜形成装置のフローチャートである。
【0019】
図1に示された塗膜形成装置1は、コピー機などの画像形成装置を構成する定着ベルト2(図11に示す)のプライマ層3(図12に示す)が形成された被塗装物としての基体4に塗膜としての弾性層5を形成する装置である。
【0020】
定着ベルト2は、図11に示すように、無端状に形成されている。定着ベルト2は、図12に示すように、ポリイミド、Niなどで構成された無端ベルト状の基体4と、プライマ(接着剤)層3と、シリコーンゴムなどの耐熱性ゴムで構成された弾性層5と、プライマ(接着剤)層3と、フッ素樹脂で構成された離型層6とが順に積層されて構成されている。弾性層5の厚みTは、100〜300μm程度に形成されている。
【0021】
また、弾性層5は、基体4の幅方向の一端部(塗膜形成装置1によって後述の塗料7が塗布される際には下端部)4aと、基体4の幅方向の他端部(塗膜形成装置1によって塗料7が塗布される際には上端部)4bとに亘って形成されている。前述した定着ベルト2は、加熱されてトナーを転写紙に押圧して、該トナーを転写紙に定着させる。
【0022】
塗膜形成装置1は、表面にプライマ(接着剤)層3が形成された基体4(特許請求の範囲の被塗装物に相当)の外表面即ち前述したプライマ(接着剤)層3上に、前述したシリコーンゴムと周知の溶媒などを含んだ塗料7を塗布して、前述した弾性層5を形成する。塗料7の粘度μは、以下の式1を満たしている。即ち、塗料7の粘度は、前述したプライマ層3や離型層6を形成する際に用いられる塗料の粘度よりも十分に大きい。
【0023】
【数1】
【0024】
塗膜形成装置1は、図1に示すように、塗料供給部としての塗料供給ユニット10と、塗布ユニット11と、制御部としての制御装置12とを備えている。塗料供給ユニット10は、工場のフロア上などに設置されるユニット本体13と、複数の原液タンク14と、複数の汲み上げポンプ15と、混合機16と、を備えている。原液タンク14と、汲み上げポンプ15と、混合機16と、塗布ユニット11の後述する塗布ノズル19とは、互いに配管などによって連結されている。
【0025】
ユニット本体13は、箱状に形成されている。原液タンク14と、汲み上げポンプ15とは、ユニット本体13内に収容されている。原液タンク14は、前述した塗料7の元となる液体を収容している。原液タンク14は、図示例では、二つ設けられている。汲み上げポンプ15は、原液タンク14内の液体をくみ上げて混合機16に供給する。汲み上げポンプ15は、一つの原液タンク14に対して一つ設けられている。混合機16は、ユニット本体13の上面に設置され、かつ複数の原液タンク14から汲み上げポンプ15を介して前述した液体が供給される。混合機16は、複数の原液タンク14からの液体を混合して、前述した塗料7を生成して、該塗料7を塗布ノズル19内の送り出す。
【0026】
塗布ユニット11は、ユニット本体17と、保持部18と、塗布ノズル19と、移動部20とを備えている。ユニット本体17は、工場のフロア上などに設置される台部21と、該台部21から上方に向かって延在した板状の延在板部22と、該延在板部22の上端部から水平方向に沿って延在した板状の上方板23とを備えている。上方板23は、平板状に形成され、台部21と鉛直方向に沿って間隔をあけて相対している。
【0027】
保持部18は、立設柱24と、上チャック25とを備えている。立設柱24は、円柱状に形成され台部21の上面から上方に向かって立設している。立設柱24は、台部21に固定されている。立設柱24の軸芯は、鉛直方向と平行である。立設柱24は、基体4内に通されて、該基体4を保持する。立設柱24が基体4を保持すると、該立設柱24の外周面と基体4の内周面とが互いに密着する。立設柱24が基体4を保持すると、該基体4の軸芯P(図1中に一点鎖線で示す)が、鉛直方向と平行になる。立設柱24が基体4を保持すると、該基体4の外周面4cが円筒面状(軸芯に直交する方向の断面形が円弧状)となる。このように、立設柱24即ち保持部18は、軸芯Pが鉛直方向と平行な状態で基体4を保持する。
【0028】
上チャック25は、チャックシリンダ26と、押さえ部材27とを備えている。チャックシリンダ26は、シリンダ本体28と、該シリンダ本体28から凸没自在なロッド29とを備えている。シリンダ本体28は、鉛直方向に沿って下方に向かってロッド29が伸長する状態で、前述した上方板23に取り付けられている。押さえ部材27は、厚手の円盤状に形成され、ロッド29の先端に取り付けられているとともに、立設柱24と同軸に配置されている。上チャック25は、チャックシリンダ26のロッド29が伸長すると、押さえ部材27が立設柱24に保持された基体4の上端部4bと干渉(当接)して、該立設柱24に対して基体4を位置決めする。上チャック25は、チャックシリンダ26のロッド29が縮小すると、押さえ部材27が立設柱24から離れて、該立設柱24に基体4を着脱自在とする。
【0029】
塗布ノズル19は、図2に示すように、中空の円環状に形成されている。塗布ノズル19内には、前述した塗料供給ユニット10から塗料7が供給される。塗布ノズル19は、移動部20によって、立設柱24と該立設柱24に保持された基体4などと同軸に配置されているとともに、前述した軸芯Pに沿って移動自在に支持されている。塗布ノズル19の内径は、立設柱24に保持された基体4の外径よりも大きい。即ち、塗布ノズル19の内周面30は、基体4の外周面4cと間隔CGをあけて相対しているとともに、保持部18に保持された基体4と同軸に配置されている。
【0030】
間隔CGは、形成する弾性層5の厚みをTとすると、以下の式2を満たしている。
【0031】
【数2】
【0032】
また、内周面30には、塗布ノズル19の内外を連通するスリット31が、該塗布ノズル19の全周に亘って形成されている。塗布ノズル19は、塗料供給ユニット10から供給された塗料7を、スリット31を通して、保持部18の立設柱24などに保持された基体4の外周面4cに向かって塗出する。
【0033】
移動部20は、塗布ノズル支持板32と、リニアガイドと、モータと、リニアエンコーダなどを備えている。塗布ノズル支持板32は、環状に形成され、かつ表面上に塗布ノズル19を設置している。塗布ノズル支持板32は、内側に立設柱24を通して、台部21と上方板23との間に配置されている。リニアガイドは、塗布ノズル支持板32即ち塗布ノズル19を鉛直方向に沿って移動自在に支持している。モータは、鉛直方向に沿って、塗布ノズル支持板32即ち塗布ノズル19を移動させる。即ち、モータは、塗布ノズル支持板32即ち塗布ノズル19を昇降する。
【0034】
リニアエンコーダは、塗布ノズル支持板32即ち塗布ノズル19の位置を検出する。リニアエンコーダは、検出した塗布ノズル支持板32即ち塗布ノズル19の位置を、制御装置12に向かって出力する。このように、移動部20は、塗布ノズル支持板32を昇降させることで、立設柱24に保持された基体4と塗布ノズル19とを該基体4の軸芯Pに沿って相対的に移動させる。
【0035】
制御装置12は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置12は、塗料供給ユニット10と、塗布ユニット11と接続しており、これらを制御して、塗膜形成装置1全体の制御を司る。即ち、制御装置12には、移動部20のリニアエンコーダからの情報が入力するとともに、リニアエンコーダからの塗布ノズル19の位置に応じた情報に基づいて、以下に示すように、チャックシリンダ26と、移動部20のモータと、塗料供給ユニット10の混合機16などの動作を制御して、基体4の外周面4cに塗料7を塗布して、塗膜即ち弾性層5を形成する。
【0036】
前述した構成の塗膜形成装置1は、まず、図3中のステップS1において、制御装置12が、塗料供給ユニット10を停止しておくとともに、チャックシリンダ26のロッド29を縮小させておく。さらに、制御装置12が、塗布ノズル19を移動部20に移動させて、該塗布ノズル19を立設柱24に保持された基体4よりも上方の上原点位置X0(図10に示す)に位置付けて、ステップS2に進む。
【0037】
ステップS2では、立設柱24を基体4内に通して、該立設柱24の外周に基体4を保持する。さらに、制御装置12が、立設柱24が基体4を保持すると、チャックシリンダ26のロッド29を伸長して、押さえ部材で基体4を位置決めして、ステップS3に進む。
【0038】
ステップS3では、制御装置12が、移動部20に塗布ノズル19を降下させて、図4に示すように、制御装置12が、塗布ノズル19の内周面30が基体4の下端部4aに相対する塗布開始位置X1(図10に示す)に塗布ノズル19が位置すると、移動部20を停止する。こうして、塗布ノズル19を基体4の下端部4aと相対させて、該塗布ノズル19の基体4に対する相対的な移動を停止して、ステップS4に進む。
【0039】
ステップS4では、制御装置12が、塗料供給ユニット10に塗料7を塗布ノズル19に供給させて、該塗布ノズル19のスリット31から塗料7を基体4の下端部4aに向けて塗出させて、ステップS5とステップS6に進む。ステップS6では、制御装置12が、塗料7の塗出開始からt秒経過して、図5に示すように、スリット31から塗出した塗料7が基体4の下端部4aに付着した後、移動部20に塗布ノズル19を基体4に対して上昇(上端部4bに向かって移動)させて、ステップS7に進む。なお、時間t秒は、塗出開始から塗料7が基体4の下端部4aに付着するまでの時間である。こうして、ステップS6とステップS7との間では、図6に示すように、スリット31から塗料7を塗出させながら塗布ノズル19を上昇させる。
【0040】
ステップS5では、制御装置12が、塗料7の塗出開始からt秒よりも遙かに長いT秒経過して、スリット31が基体4の上端部4b寄りの位置L2(図10に示す)に位置付けられると、塗料供給ユニット10に塗料7の供給を停止させて、ステップS10に進む。
【0041】
ステップS7では、制御装置12が、塗料7の塗出開始から前述したt秒とT秒との双方よりも長いt1秒経過して、スリット31が基体4の上端部4bに相対する位置L1(図10に示す)に位置付けられて、図7に示すように、スリット31と基体4の外周面4cとに塗料7が掛け渡されると、移動部20を停止して、塗布ユニット11の基体4に対する上昇(上端部4bへの移動)を一旦停止して、ステップS8に進む。なお、時間t1秒は、ステップS5において、塗料供給ユニット10を停止してから、スリット31からの塗出量が徐々に減少する塗料7がスリット31と基体4の外周面4cとに掛け渡された状態となる時間である。
【0042】
ステップS8では、制御装置12が、ステップS7で塗布ノズル19の上昇を一点停止してからt2秒経過した後、再度、移動部20に塗布ノズル19を基体4に対して上昇(上端部4bに向かって移動)させて、ステップS9に進む。すると、図8に示すように、スリット31の先端即ち塗布ノズル19の内周面30から塗料7が分離した後、図9に示すように、該塗料7が基体4の上端部4bの外周面4cに付着する。
【0043】
ステップS9では、制御装置12が、塗布ノズル19が上原点位置X0に位置付けられると、移動部20を停止して、該塗布ノズル19を上原点位置X0に停止して、ステップS10に進む。こうして、基体4の下端部4aと上端部4bとの双方にマスキングなどを施すことなく、該下端部4aと上端部4bとに亘って基体4の外周面4cに塗料7を塗布する。そして、塗料7内の溶媒が蒸発するなどして、基体4の外周面4cに塗膜としての弾性層5が形成される。
【0044】
ステップS10では、制御装置12が、塗布ノズル19が上原点位置X0に位置付けられると、チャックシリンダ26のロッド29を縮小して、押さえ部材27を基体4から離す。そして、弾性層5が形成された基体4を立設柱24から取り外し、弾性層5を形成する前の基体4を立設柱24に取り付けて、前述した工程と同様に、弾性層5を形成する。
【0045】
このように、前述した塗膜形成装置1の制御装置12は、保持部18の立設柱24に保持された基体4の下端部4aと相対した塗布ノズル19のスリット31から塗料7を塗出させて、該スリット31から塗料7を塗出させながら塗布ノズル19が基体4の上端部4bに向かって移動するように、移動部20と塗料供給ユニット10とを制御する。
【0046】
本実施形態によれば、塗布ノズル19が円環状に形成され、かつ該塗布ノズル19の内周面30に全周に亘って塗料7を塗出するスリット31が形成されているので、基体4の外周面4cの全周に一度に塗料7を塗布できる。そのために、最初に形成された塗膜と後から形成された塗膜とが重なって、弾性層5に段差が生じることを防止できるとともに、形成された塗膜即ち弾性層5の外表面に研削加工を施す必要が生じない。よって、研削加工を施すなどの所要工数が増加することを防止しながらも、均一な厚みの塗膜即ち弾性層5を容易に形成することが可能となる。
【0047】
また、軸芯Pが鉛直方向と平行な状態で基体4を保持するので、基体4の外周面4cに塗布された塗料7に作用する重力が該基体4の周方向に一定となる。そのために、塗布された後に周方向の厚みがばらつくように、塗布された塗料7が移動することを防止できる。よって、塗膜即ち弾性層5の厚みを均一に保つことが可能なる。
【0048】
さらに、基体4の下方から上方に向かって順に塗膜としての弾性層5を形成するので、基体4に塗布される塗料7が順に上方に移動する。そのために、塗料7と基体4との間に侵入しようとする気体が、容易に基体4の上方に逃げることとなって、塗料7と基体4との間に気体が侵入することを防止できる。よって、塗膜としての弾性層5に気泡が生じることを防止でき、高品質な塗膜としての弾性層5を得ることができる。
【0049】
塗布ノズル19と基体4との間隔CGが塗膜としての弾性層5の厚みTの1.5倍以上でかつ1/250*(T2−340T+312)以下となっているので、塗膜としての弾性層5を形成する際に塗料7がとぎれることを防止でき、均一な厚みの塗膜としての弾性層5を容易に形成できる。
【0050】
塗布ノズル19から塗出された塗料7が基体4に付着した後、塗布ノズル19を上昇させるので、塗布ノズル19から塗出された塗料7がとぎれることなく基体4の外周面4cに付着する。よって、基体4の下端部4aに段差などが生じることなく、均一な厚みの塗膜としての弾性層5を容易に形成できる。
【0051】
塗布ノズル19を一旦停止して、スリット31と基体4の上端部4bとに亘って塗料7が掛け渡された後に、塗布ノズル19を再度上昇させるので、塗布ノズル19から離れた塗料7が基体4の上端部4bに付着する。よって、基体4の上端部4bに段差などが生じることなく、均一な厚みの塗膜としての弾性層5を容易に形成できる。
【0052】
次に、本発明の発明者は、前述した構成の塗膜形成装置1において、弾性層5の厚みTと、塗布ノズル19と基体4の外周面4cとの間隔CGを種々異ならせて、該基体4の外周面4cに弾性層5を形成した。結果を図13に示す。図13中の×印は、弾性層5の外表面に段差が生じたりして、外表面が平坦な弾性層5を形成できなかった場合を示している。図13中の黒四角及び黒丸は、外表面が平坦な弾性層5を形成できて、外表面が平坦な弾性層5を形成できなかった場合との境界を示している。前述した黒四角同士及び黒丸同士を結んだ線分(近似式又は回帰線ともいう)を、最小2乗法などによって求め、外表面が平坦な弾性層5を形成できる間隔CGと厚みTとの関係の領域R(図13中の平行斜線で示す)を得た。この領域Rは、外表面に段差が生じることなく、外表面が平坦な弾性層5を形成できた場合を示している。即ち、以下の式3と式4との間に位置付けられる間隔CGと厚みTすることで、外表面に段差が生じることなく、外表面が平坦な弾性層5を形成できることが明らかとなった。
【0053】
【数3】
【0054】
【数4】
【0055】
前述した実施形態では、定着ベルト2の弾性層5を形成する場合を示しているが、本発明は、定着ベルト2に限ることなく種々の無端ベルトに塗膜を形成しても良いことは勿論である。また、前述した実施例では、無端ベルト状の定着ベルト2の例を示したが、本発明は、勿論、金属などで構成された円筒状の被塗装物としてのローラ芯金の外周面に、塗料7を塗布して、塗膜を形成して得られる定着ローラなどに適用しても良い。
【0056】
また、前述した実施形態では、基体4を固定して、塗布ノズル19を移動させている。しかしながら、本発明では、塗布ノズル19を固定して、基体4を移動させても良く、塗布ノズル19と基体4との双方を移動させても良い。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。即ち、保持部18と移動部20は、実施形態に記載された構成及び配置に限定されることなく、種々の構成及び配置にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態にかかる塗膜形成装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1に示された塗膜形成装置の塗膜形成の工程を示すフローチャートである。
【図4】図3中のステップS3で基体の下端部と相対して塗布ノズルが停止した状態を示す断面図である。
【図5】図4に示された塗布ノズルから塗出した塗料が基体の外周面に付着した状態を示す断面図である。
【図6】図5に示された塗布ノズルが上昇中の状態を示す断面図である。
【図7】図6に示された塗布ノズルが基体の上端部と相対して一旦停止した状態を示す断面図である。
【図8】図7に示された塗布ノズルが再度上昇した状態を示す断面図である。
【図9】図8に示された基体の上端部に塗料が付着した状態を示す断面図である。
【図10】図1に示された塗膜形成装置に保持される基体と塗布ノズルの停止させる各位置との関係を示す説明図である。
【図11】図1に示された塗膜形成装置によって塗膜が形成されて得られる定着ベルトの斜視図である。
【図12】図11中のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】図1に示された塗膜形成装置の塗膜の厚みと、塗布ノズルと基体との間隔との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 塗膜形成装置
4 基体(被塗装物)
4a 下端部
4b 上端部
4c 外周面
5 弾性層(塗膜)
10 塗料供給ユニット
12 制御装置(制御部)
18 保持部
19 塗布ノズル
20 移動部
30 内周面
31 スリット
T 厚み
CG 間隔
P 軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗装物の円筒面状の外周面に塗料を塗布して塗膜を形成する塗膜形成装置において、
前記外周面が露出しかつ前記被塗装物の軸芯が鉛直方向と平行な状態で当該被塗装物を保持する保持部と、
円環状に形成され、かつ前記被塗装物の外周面と間隔をあけて相対して前記保持部に保持された前記被塗装物と同軸に配置された内周面に前記塗料を塗出するスリットが全周に亘って形成された塗布ノズルと、
前記保持部と前記塗布ノズルとを前記軸芯に沿って相対的に移動させる移動部と、
前記塗布ノズルに前記塗料を供給する塗料供給部と、
前記保持部に保持された前記被塗装物の下端部と相対した塗布ノズルのスリットから前記塗料を塗布させて、該スリットから前記塗料を塗出させながら前記塗布ノズルが前記被塗装物の上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする塗膜形成装置。
【請求項2】
前記被塗装物の外周面と前記塗布ノズルの内周面との間隔CGが、
次の式3T/2≦CG≦1/250×(T2−340T+312)(ただし、式中のTが前記塗膜の厚みである)を満たしていることを特徴とする請求項1記載の塗膜形成装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記被塗装物の下端部と相対して停止した塗布ノズルのスリットから塗出した前記塗料が前記被塗装物の外周面に付着した後、前記塗布ノズルが前記上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の塗膜形成装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記被塗装物の上端部と相対して上昇中の塗布ノズルのスリットからの前記塗料の塗出を停止して、該塗料が前記スリットと前記被塗装物の外周面とに掛け渡された状態で前記塗布ノズルの前記上端部への移動を一旦停止した後、再度塗布ノズルを前記上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部であることを特徴とする請求項3記載の塗膜形成装置。
【請求項1】
被塗装物の円筒面状の外周面に塗料を塗布して塗膜を形成する塗膜形成装置において、
前記外周面が露出しかつ前記被塗装物の軸芯が鉛直方向と平行な状態で当該被塗装物を保持する保持部と、
円環状に形成され、かつ前記被塗装物の外周面と間隔をあけて相対して前記保持部に保持された前記被塗装物と同軸に配置された内周面に前記塗料を塗出するスリットが全周に亘って形成された塗布ノズルと、
前記保持部と前記塗布ノズルとを前記軸芯に沿って相対的に移動させる移動部と、
前記塗布ノズルに前記塗料を供給する塗料供給部と、
前記保持部に保持された前記被塗装物の下端部と相対した塗布ノズルのスリットから前記塗料を塗布させて、該スリットから前記塗料を塗出させながら前記塗布ノズルが前記被塗装物の上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする塗膜形成装置。
【請求項2】
前記被塗装物の外周面と前記塗布ノズルの内周面との間隔CGが、
次の式3T/2≦CG≦1/250×(T2−340T+312)(ただし、式中のTが前記塗膜の厚みである)を満たしていることを特徴とする請求項1記載の塗膜形成装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記被塗装物の下端部と相対して停止した塗布ノズルのスリットから塗出した前記塗料が前記被塗装物の外周面に付着した後、前記塗布ノズルが前記上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の塗膜形成装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記被塗装物の上端部と相対して上昇中の塗布ノズルのスリットからの前記塗料の塗出を停止して、該塗料が前記スリットと前記被塗装物の外周面とに掛け渡された状態で前記塗布ノズルの前記上端部への移動を一旦停止した後、再度塗布ノズルを前記上端部に向かって移動するように、前記移動部及び前記塗料供給部を制御する制御部であることを特徴とする請求項3記載の塗膜形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−245072(P2007−245072A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74765(P2006−74765)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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