説明

塗膜形成装置

【課題】閉空間内に流れる気流の影響を受けて、塗装ムラが発生したり、前記気流中の異物が被塗工物に混入したり、また、塗料中における固形分の凝集によって発生した異物が被塗工物に付着したりすることを防止した、局所クリーン方式による塗膜形成装置を低コストで供給する。
【解決手段】塗膜を形成するエリアとその外部とを遮断して閉空間1Aをつくり出す横断面矩形の筺体1で構成される、無端状ベルト形状の被塗工物の外周に塗料で塗膜を形成する、塗膜形成装置100において、前記筺体1の上壁の中央部分から前記閉空間1A内にクリーンな空気を給気するファンフィルタユニット3と、前記ファンフィルタユニット3から給気された空気を前記筺体1Aの側壁の内側へ流すように配置された第1の整流板18aと、前記第1の閉空間1A内の空気を外部に排気する排気ファン4と、が設けられているものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状ベルト形状の被塗工物の外表面に塗膜を形成する閉空間内の空気を低コストで清浄化するこことができる塗膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真の原理を用いた作像装置に用いられる各種のロール部品は、その部品を用いた作像装置の画像品質に直接影響するので、コンタミや埃の付着を嫌う。とりわけ、ロール部品がコンタミや埃の付着による0.1〜0.5mm程度の大きさの外観欠陥を有していると、白抜けの点等の目視で識別可能な異常画像を有する画像が出力されるという問題があった。
【0003】
このようなロール部品には、その表面に電気的な特性や必要な表面性状などを得るために各種の塗料を塗装することが一般的に用いられているが、そのロール部品の塗装には、スプレー塗装、浸漬塗装、ロールコート塗装、リングコート塗装等の多種多様な塗装がある。そして、このようなロール部品の塗装においては、半導体加工工程ほどではないが、クリーンルーム(特許文献1を参照。)等の空気が清浄化されたエリアをつくり、その中で該ロール部品の表層をコーティング加工するのが一般的である。
【0004】
しかしながら、このようなクリーンルームの空気が清浄化されたエリアをつくるためには、壁材により囲われた閉空間を工場内に新設する必要があること、天井にファンフィルタユニットを設ける必要があること、天井裏の空気を閉空間内に導いて該閉空間内の空気を循環パッケージで浄化した後再び閉空間に戻す必要があること、等のために、投資額が大きくなること、閉空間全体をクリーン化するので消費電力が大きくなること、及び、一度立ててしまうと生産規模に合わせて縮小したり、拡張したり、工場内で移動してレイアウトを見直したりすることが非常に困難になること、といった問題があった。
【0005】
現在においては、製品の市場の急速な変化に伴って、製品寿命が短くなってきたので、実際の生産現場においては、様々な種類の部品を加工することが求められている。また、売れる時に一気に製品を売り、製品の需要が少なくなればその製品の生産を絞ると言った量的な変化も著しい。クリーンルームは、このような製品の需給状況に対応することが難しいので、クリーンルームは、敬遠されつつある。そこで、半導体業界を中心にして、必要な箇所がけに清浄化したエリアをつくり出す、いわゆる、「局所クリーン方式」が採用されるようになってきた。
【0006】
この「局所クリーン方式」は、部品を加工する本当に必要なエリアのみを清浄化し、その他のエリアをそれに準じた準清浄化エリアとする方式である。この「局所クリーン方式」においては、装置の周りの限られた空間のみをクリーン化することとなるが、クリーンを得るためには、HEPA等の清浄化フィルタを通過したクリーンなエアをブースのように囲まれた閉空間に送る必要がある。しかし、局所クリーンブースのような閉空間は、もともとの大きさがクリーンルームのように大きな空間ではないので、その中で塗装をおこなうと、ブース内の気流の影響を受け塗装ムラや異物の混入が発生しやすい。とりわけ、被塗工物に直接風が当たると、塗装した塗料の乾燥スピードが変化するので、部分的に乾燥が促進し、そのために、スジやムラ模様が発生しやすい状況となる。
【0007】
また、塗装液を貯めておく環状液槽に風が当たると、塗料中の水分や溶剤分の揮発が促進されるので、塗装液の濃度が上がり、そのために、塗装液の粘度が変化したり、最悪の場合は、塗装液中の固形分が凝着したりする。また、塗装液が被塗工物に付着すると、異物付着異常の発生した被塗工物が生産されることとなる。したがって、「局所クリーン方式」で塗装を成立させるためには、被塗工物の周りの空気に流れをつくらないことが必要となるが、そもそも、クリーンな空間をつくり出すためには、その空間内に清浄な空気を送り換気することが必要となるので、「局所クリーン方式」において被塗工物の周りの空気に流れをつくらないことと、クリーンな空間をつくり出すためにその空間内に清浄な空気を送り換気することとは、相反することとなる。
【特許文献1】特許第2610561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0009】
本発明は、閉空間内に流れる気流の影響を受けて、塗装ムラが発生したり、前記気流中の異物が被塗工物に混入したり、また、塗料中における固形分の凝集によって発生した異物が被塗工物に付着したり、することを防止した、局所クリーン方式による塗膜形成装置を低コストで供給することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、塗膜を形成するエリアとその外部とを遮断して第1の閉空間をつくり出す横断面矩形の第1の筺体内に、無端状ベルト形状の被塗工物を円筒状に支持する支持具、前記支持具を垂直に保持するチャック機構、前記無端状ベルト形状の被塗工物の外周に塗料を円周方向に同時に供給するための環状液槽、及び、前記環状液槽を前記無端状ベルト形状の被塗工物の軸方向に平行に稼動させる駆動機構、を有する無端状ベルト形状の被塗工物の外周に塗料で塗膜を形成する塗膜形成装置において、
前記第1の筺体の上壁の中央部分から前記第1の閉空間内にクリーンな空気を給気するファンフィルタユニットと、前記ファンフィルタユニットから給気された空気を前記第1の筺体の側壁の内側へ流すように配置された第1の整流板と、前記第1の閉空間内の空気を外部に排気する排気ファンと、が設けられていることを特徴とする塗膜形成装置である。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記第1の筺体の上壁と側壁とで形成される角部に、前記第1の整流板で向きが変えられた空気を前記第1の筺体の側壁の内側へ流すように配置された第2の整流板が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記整流板が、その配置角度において、可変自在になるように設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載された発明において、前記第1の閉空間に外部からアクセスできるように、前記第1の閉空間をつくり出す第1の筺体の側壁に第1の開閉部が、設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載された発明において、前記第1の開閉部よりも小さい第2の開閉部が、該第1の開閉部に設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載された発明は、請求項4又は5に記載された発明において、前記第1の開閉部に連結されて一体化される第2の筺体で構成される連結ブースが、設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に記載された発明は、請求項6に記載された発明において、前記連結ブースに排気ファンが、設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項8に記載された発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載された発明において、被塗工物を加工するエリアを外部と遮断した第1の閉空間をつくり出す第1の筺体に外部よりアクセスする際に開閉する第1の開閉部の開閉状態を検出することが可能なセンシング手段と、前記第1の閉空間のクリーン度を計測するセンシング手段と、前記第1の閉空間と連続ブースによりつくり出される第2の閉空間との差圧を検出するセンシング手段と、前記各々のセンシング手段の信号を取り入れて前記第1の筺体にクリーンな空気を送付するファンフィルタユニットと、前記ファンフィルタユニットからの給気された空気を前記第1の筺体の外壁内側へ流すための整流板と、前記第1の筺体内の空気を外部に排気する排気ファン及び前記連結ブースに設けられた排気ファンの動作を制御する制御装置と、を有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載された発明によれば、塗膜を形成するエリアとその外部とを遮断して第1の閉空間をつくり出す横断面矩形の第1の筺体内に、無端状ベルト形状の被塗工物を円筒状に支持する支持具、前記支持具を垂直に保持するチャック機構、前記無端状ベルト形状の被塗工物の外周に塗料を円周方向に同時に供給するための環状液槽、及び、前記環状液槽を前記無端状ベルト形状の被塗工物の軸方向に平行に稼動させる駆動機構、を有する無端状ベルト形状の被塗工物の外周に塗料で塗膜を形成する塗膜形成装置において、前記第1の筺体の上壁の中央部分から前記第1の閉空間内にクリーンな空気を給気するファンフィルタユニットと、前記ファンフィルタユニットから給気された空気を前記第1の筺体の側壁の内側へ流すように配置された第1の整流板と、前記第1の閉空間内の空気を外部に排気する排気ファンと、が設けられているので、前記第1の筺体の側壁の内側に流れる空気と前記被塗工物の周辺の空気との圧力差により、前記第1の筺体の側壁の内側に流れる空気と前記被塗工物の周辺の空気とを置換して、前記被塗工物の周辺の空気を清浄化することができ、そのために、前記第1の閉空間内に流れる気流の影響を受けて、塗装ムラが発生したり、前記気流中の異物が前記被塗工物に混入したり、また、塗料中における固形分の凝集によって発生した異物が被塗工物に付着したり、することを防止した、局所クリーン方式による塗膜形成装置を低コストで供給することができる。
【0019】
請求項2に記載された発明によれば、前記第1の筺体の上壁と側壁とで形成される角部に、前記第1の整流板で向きが変えられた空気を前記第1の筺体の側壁の内側へ流すように配置された第2の整流板が設けられているので、いっそう確実に、被塗工物の周りの空気に流れをつくらないようにすることができ、そのために、第1の閉空間内に流れる気流の影響を受けて、塗装ムラが発生したり、前記気流中の異物が被塗工物に混入したり、また、塗料中における固形分の凝集によって発生した異物が被塗工物に付着したり、することをいっそう確実に防止することができる。
【0020】
請求項3に記載された発明によれば、前記整流板が、その配置角度において、可変自在になるように設けられているので、清浄度が悪い部分に重点的にファンフィルタユニットからの清浄化された空気を送ることができ、そのために、前記第1の閉空間をいっそう均一にクリーンな状態に保つことができ、よって、前記第1の閉空間内に流れる気流の影響を受けて、塗装ムラが発生したり、前記気流中の異物が被塗工物に混入したり、また、塗料中における固形分の凝集によって発生した異物が被塗工物に付着したり、することをいっそう確実に防止することができる。
【0021】
請求項4に記載された発明によれば、前記第1の閉空間に外部からアクセスできるように、前記第1の閉空間をつくり出す筺体の側壁に第1の開閉部が設けられているので、塗膜形成装置の段取り変更などで時間がかかる時に利用することができ、そのために、前記第1の閉空間に外気が入り込んで該第1の閉空間のクリーン度が悪化させられることがなく、よって、異物が被塗工物に混入することがない。
【0022】
請求項5に記載された発明によれば、前記第1の開閉部よりも小さい第2の開閉部が該第1の開閉部に設けられているので、前記第1の閉空間に外気が入り込んで該第1の閉空間のクリーン度が悪化させられることがなく、そのために、異物が被塗工物に混入することがない。
【0023】
請求項6に記載された発明によれば、前記第1の開閉部に連結されて一体化される第2の筺体で構成される連結ブース200が設けられているので、環状液槽のメンテナンス時などに被塗工物を加工するエリアを外部と遮断した第1の閉空間をつくり出す第1の筺体に外部よりアクセスする際に開閉する第1の開閉部を開けた場合も、その閉空間内のクリーン度を悪化させることがなく、そのために、メンテナンス後にクリーンな状態が回復するまで待つ必要がなく、すぐに、塗装を再開することが可能となり、よって、クリーンルームのような大型の空気清浄化装置が無くても、埃などの異物が付着しない塗装を実現することができる。
【0024】
請求項7に記載された発明によれば、前記連結ブース200に排気ファンが設けられているので、前記連結ブース200の内部の空気の循環が促進され、そのために、前記連結ブース200内をクリーン化するのにかかる時間を短縮することが可能となり、よって、クリーンルームのような大型の空気清浄化装置が無くても、埃などの異物が付着しない塗装を実現することができる。
【0025】
請求項8に記載された発明によれば、被塗工物を加工するエリアを外部と遮断した第1の閉空間をつくり出す第1の筺体に外部よりアクセスする際に開閉する第1の開閉部の開閉状態を検出することが可能なセンシング手段と、前記第1の閉空間のクリーン度を計測するセンシング手段と、前記第1の閉空間と連続ブースによりつくり出される第2の閉空間との差圧を検出するセンシング手段と、前記各々のセンシング手段の信号を取り入れて前記第1の筺体にクリーンな空気を送付するファンフィルタユニットと、前記ファンフィルタユニットからの給気された空気を前記第1の筺体の外壁内側へ流すための整流板と、前記第1の筺体内の空気を外部に排気する排気ファン及び前記連結ブースに設けられた排気ファンの動作を制御する制御装置と、を有しているので、前記被塗工物を加工するエリアを外部と遮断した第1の閉空間をつくり出す第1の筺体に外部よりアクセスする際に開閉する第1の開閉部の開閉状態を検知して、その状態に応じて前記被塗工物を加工するエリアを外部と遮断した第1の閉空間をつくり出す第1の筺体にクリーンな空気を送付するファンフィルタユニットと、該ファンフィルタユニットからの給気された空気を前記第1の筺体の外壁内側へ流すための整流板と、前記第1の閉空間内の空気を外部に排気する排気ファン及び連結ブースに具備された排気ファンの動作を制御することが可能となり、それらのために、連結ブースの内部で作業する人から発塵する埃が被塗工物を加工するエリアを外部と遮断した閉空間に進入するのを防ぐことができる塗膜形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置の説明図である。図2は、本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置における塗装機構の拡大説明図である。図3は、本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置における環状液槽部の拡大説明図である。図4は、本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置内における空気の流れを説明する説明図である。図5は、本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置を連結ブースに連結する状態を示す説明図であって、(a)は、連結ブースを連結する前の状態を示し、(b)は、連結ブースを連結した後の状態を示し、そして、(c)は、作業者が作業する状態を示す。図6は、本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置の動作を説明する説明図である。図7は、本発明の他の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置の動作を説明する説明図である。図8は、本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置の動作を説明するフロー図である。図9は、本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装に連結ブースを連結したことによる効果を説明する説明図である。
【0027】
図1〜3に示されているように、本発明の無端状ベルト形状の被塗工物の外周に塗料で塗膜を形成する塗膜形成装置100は、塗膜を形成するエリアとその外部とを遮断して第1の閉空間1Aをつくり出す横断面矩形の第1の筺体1内に、無端状ベルト形状の被塗工物19を円筒状に支持する支持具(図示せず)、前記支持具を垂直に保持するチャック機構20、前記無端状ベルト形状の被塗工物19の外周に塗料を円周方向に同時に供給するための環状液槽22、及び、前記環状液槽22を前記無端状ベルト形状の被塗工物19の軸方向に平行に稼動させる駆動機構(図示せず)、を有している。そして、前記塗膜形成装置100においては、前記筺体1の上壁の中央部分から前記閉空間1A内にクリーンな空気を給気するファンフィルタユニット3と、前記ファンフィルタユニット3から給気された空気を前記筺体1Aの側壁の内側へ流すように配置された第1の整流板18aと、前記閉空間1A内の空気を外部に排気する排気ファン4と、が設けられている。図1において、5は、給気ダクトであり、6は、排気ダクトであり、14は、パーティクルカウンタであり、15a,15bは、差圧計である。
【0028】
このように、塗膜を形成するエリアとその外部とを遮断して第1の閉空間1Aをつくり出す横断面矩形の第1の筺体1内に、無端状ベルト形状の被塗工物19を円筒状に支持する支持具(図示せず)、前記支持具を垂直に保持するチャック機構20、前記無端状ベルト形状の被塗工物19の外周に塗料を円周方向に同時に供給するための環状液槽22、及び、前記環状液槽22を前記無端状ベルト形状の被塗工物19の軸方向に平行に稼動させる駆動機構(図示せず)、を有する無端状ベルト形状の被塗工物の外周に塗料で塗膜を形成する塗膜形成装置100において、前記筺体1の上壁の中央部分から前記閉空間1A内にクリーンな空気を給気するファンフィルタユニット3と、前記ファンフィルタユニット3から給気された空気を前記筺体1Aの側壁の内側へ流すように配置された第1の整流板18aと、前記閉空間1A内の空気を外部に排気する排気ファン4と、が設けられていると、前記筺体1Aの側壁の内側に流れる空気と前記被塗工物19の周辺の空気との圧力差により、前記筺体1Aの側壁の内側に流れる空気と前記被塗工物19の周辺の空気とを置換して、前記被塗工物19周辺の空気を清浄化することができ、そのために、前記閉空間1A内に流れる気流の影響を受けて、塗装ムラが発生したり、前記気流中の異物が前記被塗工物19に混入したり、また、塗料中における固形分の凝集によって発生した異物が被塗工物19に付着したり、することを防止した、局所クリーン方式による塗膜形成装置100を低コストで供給することができる。
【0029】
本発明においては、前記第1の筺体1の上壁と側壁とで形成される角部に、前記第1の整流板18aで向きが変えられた空気を前記第1の筺体1の側壁の内側へ流すように配置された第2の整流板18bが設けられている。このように、前記第1の筺体1の上壁と側壁とで形成される角部に、前記第1の整流板18aで向きが変えられた空気を前記第1の筺体1の側壁の内側へ流すように配置された第2の整流板18bが設けられていると、いっそう確実に、被塗工物19の周りの空気に流れをつくらないようにすることができ、そのために、前記第1の閉空間1A内に流れる気流の影響を受けて、塗装ムラが発生したり、前記気流中の異物が被塗工物19に混入したり、また、塗料中における固形分の凝集によって発生した異物が被塗工物19に付着したり、することをいっそう確実に防止することができる。
【0030】
本発明においては、前記整流板、即ち、第1の整流板18a及び第2の整流板18bは、その配置角度において、可変自在になるように設けられている。このように、前記整流板18、即ち、第1の整流板18a及び第2の整流板18bが、その配置角度において、可変自在になるように設けられていると、清浄度が悪い部分に重点的にファンフィルタユニット3からの清浄化された空気を送ることができ、そのために、前記第1の閉空間1aをいっそう均一にクリーンな状態に保つことができ、よって、前記第1の閉空間1A内に流れる気流の影響を受けて、塗装ムラが発生したり、前記気流中の異物が被塗工物19に混入したり、また、塗料中における固形分の凝集によって発生した異物が被塗工物19に付着したり、することをいっそう確実に防止することができる。
【0031】
本発明においては、前記第1の閉空間1Aに外部からアクセスできるように、前記第1の閉空間1Aをつくり出す第1の筺体1の側壁に第1の開閉部10が設けられている。このように、前記第1の閉空間1Aに外部からアクセスできるように、前記第1の閉空間1Aをつくり出す第1の筺体1の側壁に第1の開閉部10が設けられていると、塗膜形成装置100の段取り変更などで時間がかかる時に利用することができ、そのために、前記第1の閉空間1Aに外気が入り込んで該閉空間1Aのクリーン度が悪化させられることがなく、よって、異物が被塗工物19に混入することがない。
【0032】
本発明においては、前記第1の開閉部10よりも小さい第3の開閉部34が該第1の開閉部10に設けられている。このように、前記第1の開閉部10よりも小さい第3の開閉部34が該第1の開閉部10に設けられていると、前記閉空間1Aに外気が入り込んで該閉空間1Aのクリーン度が悪化させられることがなく、そのために、異物が被塗工物19に混入することがない。
【0033】
本発明においては、前記第1の開閉部10に連結されて一体化される第2の筺体2で構成される連結ブース200が設けられている。このように、前記第1の開閉部10に連結されて一体化される第2の筺体2で構成される連結ブース100が設けられていると、環状液槽22のメンテナンス時などに被塗工物19を加工するエリアを外部と遮断した閉空間1Aをつくり出す第1の筺体1に外部よりアクセスする際に開閉する第1の開閉部10を開けた場合も、その第1の閉空間1A内のクリーン度を悪化させることがなく、そのために、メンテナンス後にクリーンな状態が回復するまで待つ必要がなく、すぐに、塗装を再開することが可能となり、よって、クリーンルームのような大型の空気清浄化装置が無くても、埃などの異物が付着しない塗装を実現することができる。
【0034】
本発明においては、前記連結ブース200に排気ファン9が設けられている。このように、前記連結ブース200に排気ファン9が設けられていと、前記連結ブース100の内部の空気の循環が促進され、そのために、前記連結ブース100内をクリーン化するのにかかる時間を短縮することが可能となり、よって、クリーンルームのような大型の空気清浄化装置が無くても、埃などの異物が付着しない塗装を実現することができる。
【0035】
本発明の塗膜形成装置100は、前記被塗工物19を加工するエリアを外部と遮断した閉空間1Aをつくり出す第1の筺体1に外部よりアクセスする際に開閉する第1の開閉部10の開閉状態を検出することが可能なセンシング手段35と、前記第1の閉空間1Aのクリーン度を計測するセンシング手段(図示せず)と、前記第1の閉空間1Aと連結ブース200によりつくり出される第2の閉空間2との差圧を検出するセンシング手段(図示せず)と、前記各々のセンシング手段の信号を取り入れて前記第1の筺体1にクリーンな空気を送付するファンフィルタユニット3と、前記ファンフィルタユニット3からの給気された空気を前記第1の筺体1Aの外壁内側へ流すための整流板18と、前記第1の筺体1A内の空気を外部に排気する排気ファン4及び前記連結ブース200に設けられた排気ファン9の動作を制御する制御装置(図示せず)と、を有している。
【0036】
このように、前記被塗工物19を加工するエリアを外部と遮断した閉空間1Aをつくり出す第1の筺体1に外部よりアクセスする際に開閉する第1の開閉部10の開閉状態を検出することが可能なセンシング手段35と、前記第1の閉空間1Aのクリーン度を計測するセンシング手段(図示せず)と、前記第1の閉空間1Aと連結ブース200によりつくり出される第2の閉空間2との差圧を検出するセンシング手段(図示せず)と、前記各々のセンシング手段の信号を取り入れて前記第1の筺体1にクリーンな空気を送付するファンフィルタユニット3と、前記ファンフィルタユニット3からの給気された空気を前記第1の筺体1Aの外壁内側へ流すための整流板18と、前記第1の筺体1A内の空気を外部に排気する排気ファン4及び前記連結ブース200に設けられた排気ファン9の動作を制御する制御装置(図示せず。)と、を有していると、被塗工物19を加工するエリアを外部と遮断した第1の閉空間をつくり出す第1の筺体1に外部よりアクセスする際に開閉する第1の開閉部(扉)10の開閉状態を検知して、その状態に応じて前記被塗工物19を加工するエリアを外部と遮断した第1の閉空間1Aをつくり出す第1の筺体1にクリーンな空気を送付するファンフィルタユニット3と、該ファンフィルタユニット3からの給気された空気を前記第1の筺体1の外壁内側へ流すための整流板18と、前記第1の閉空間1A内の空気を外部に排気する排気ファン4及び連結ブース200に具備された排気ファン9の動作を制御することが可能となり、それらのために、連結ブース200の内部で作業する人から発塵する埃が被塗工物19を加工するエリアを外部と遮断した閉空間1Aに進入するのを防ぐことができる塗膜形成装置100を提供することができる。
【0037】
本発明における塗装装置100の動作は図6に示されている。本発明においては、塗装装置100の段取り変更などで時間がかかる時は、図5(a)〜(c)に示すように、第1の開閉部(扉)10を開いて作業を実施するが、被塗工物19を塗装機構16にセットするなど短時間の開閉が必要な際には図7に示すように、第1の開閉部(扉)10に設けてある第2の開閉部(小扉)34を開け作業を実施する。また、これらの扉はいずれも図7に示すように引き戸になっており左右方向に開閉する機構となっている。これらの扉を左右に開閉すると、閉空間1Aの内部に外気が流入するのを防ぐことができる。
【0038】
次ぎに、図1〜3及び図5(a)〜(c)を用いて、本発明の塗膜形成装置100について詳細に説明する。
【0039】
1は、塗装機構16を設置するために外部と遮断した第1の閉空間1Aを創出するための第1の筺体を示し、そして、2は、車輪13により矢印Cの向きに移動可能な第2の閉空間2Aを創出するための第2の筺体2を示している。前記第2の筺体2は、連結ブース200を構成している。連結ブース200は、その側壁に設けられた第2の開閉部(扉)12により、作業担当者17の出入りが可能になる。3は、前記第1の閉空間1Aの内部に外部の空気をHEPAフィルタにより浄化して給気するためのファンフィルタユニット3であり、5は、ファンフィルタユニット3の空気を第1の閉空間1Aに送る際に流れるダクトであり、4は、第1の閉空間1Aの内部に外部の空気を外に放出するための排気ファンであり、6は、同様に排気空気が流れるダクトであり、7は、ダクト6内に流れる空気量を調節するダンパであり、8は、移動可能な第2の閉空間2Aの内部に外部の空気をHEPAフィルタにより浄化して給気するためのファンフィルタユニットであり、9は、第2の閉空間2Aの内部に外部の空気を外に放出するための排気ファンである。前記ファンフィルタユニット3又は8は、可変抵抗器にて内部のファンの回転数が変化して給気量をコントロールすることができる。10は、塗装機構16をメンテナンスする際に開閉する第1の開閉部(扉)であり、35は、第1の開閉部(扉)10の開閉状態を検出するセンシング手段であり、前記第2の筺体2を前記筺体1に連結する際のシール部材であり、14は、各閉空間1A,2Aの空気の浄化状態を定量的に評価、監視するパーティクルカウンタであり、15a、15bは、各閉空間1A,2Aと外部との差圧を計測する差圧計である。18は、ファンフィルタ3から噴出した清浄化された空気を第1の筺体1の壁面に沿って流すための整流板である。
【0040】
前記塗装機構16について
19は、挿入されたマンドレル(支持具)によって保持された被塗工物である。22は、被塗工物19の外周に塗る塗料を供給する環状液槽であり、24は、その環状液槽22を固定するベース材であり、23は、環状液槽22に塗料を送液するためのホースである。前記塗料は、図示されていないがポンプ(チューブポンプ、ダイヤフラムポンプ等)で送液される。また、加工物19は、支持具ごとチャック機構20で垂直に固定されているが、エアシリンダ21で固定、解除が自在にコントロールされる。この状態で環状液槽22を被塗工物の上から下方向にアクチュエータ(駆動源)25により駆動することで、ディッピングの原理で塗装がおこなわれ、被塗工物19の外周に塗膜が形成されることとなる。
【0041】
前記環状液槽の詳細について
環状液槽22は、固定ねじ26でベース24に固定されていて、アクチュエータ(駆動源)25により、被塗工物19に平行に駆動することができる。この時の平行度は、好ましくは、0.1mm以下である。環状液槽22の中には、塗料27が蓄えられていて、被塗工物19との隙間は、弾性体(ゴム)で構成されたシール部材29で密閉され、液体が漏れないような構造となっている。塗料27は、ホース23を通じて環状液槽22に送液されるが、この時、液面の高さをセンサ30で検知して、図示していないポンプを制御することにより、常に一定の液面を保つことが可能となっている。また、環状液槽22には、液面の蒸発により乾くのを防止するためにカバー28が設けられている。
【0042】
前記塗膜形成装置100の動作について
通常、塗装時は、図1に示すように、第1の筺体1により創出される第1の閉空間1A内で行われる。塗装機構16は、環状液槽22が上昇した位置にあり、被塗工物19をセットしスタートすると、まず、エアシリンダ21で被塗工物19をチャックし、環状液槽22が下降することで、シール29が被塗工物19に当接する。この状態で塗料27を供給し液面をシール部材29より上昇させることで、被塗工物19は接液する。この状態で環状液槽22を被塗工物19の下端部まで下降させると、浸漬塗装の原理により被塗工物19の外周には塗膜が形成されることとなる。環状液槽22が下端に到達した際には、環状液槽22内部の塗料27を回収し、液面がシール部材29より下に下がるまで塗料27を回収する。その状態でチャック機構20を解除して被塗工物19を取り出すことができる。次の、被塗工物19を塗装する前に環状液槽22を上端に戻しておく。以下上記の作業を繰り返すことで連続的な塗装作業が可能である。
【0043】
この時、ファンフィルタユニット3の給気量とこの排気ファン4により排気される排気量をダンパ7にてコントロールすることで外部より差圧が2〜3Paほどプラス圧になるように調整しておく。また、パーティクルカウンタ14により第1の閉空間1Aの浄化状態は常に監視することが可能である。図4に示されているように、前記ファンフィルタユニット3から供給された正常化された空気は整流板18にあたり向きを変えられる。これにより、前記第1の筺体1の壁面に沿って空気を流すことができる。この時、被塗工物19の周りには直接ファンフィルタユニット3から供給される清浄化された空気は流れないが、前述の壁面に速い流れができることで、ベルヌーイの原理で負圧な領域ができるので、被塗工物19付近の空気はその流れに巻き込まれることで、新たな空気と置換される。これにより、この第1の閉空間1A全体が清浄化されることとなる。前記第1の閉空間1Aの体積が3m3 の時ファンフィルタユニット3から5m3 /minの空気を流すと第1の筺体1の壁面に沿って0.5〜0.7m/sの清浄化された空気の流れができ(矢印31を参照。)、その影響で被塗工物19付近には0.1m/s程度のゆっくりとした空気の流れができる(矢印32,32を参照。)。このため、被塗工物19には、早い空気の流れが当たることがないので、塗膜に乾燥ムラ、スジが発生したり、環状液槽22の内部が乾燥し、乾燥した塗料の異物が被塗工物19に付着して外観品質の悪化を生じることなく塗装することが可能となる。
【0044】
従来のクリーンルームにおいては、被塗工物19の塗膜外観が良好であるが、空調電力の消費が多くなるという問題があり、そして、従来の局所型クリーンルームにおいては、空調電力の消費が小さくなるが、被塗工物19の塗膜外観が悪くなるという問題があった。これらに対して、本本発明の塗膜形成装置おいては、空調電力の消費が少なくなり、しかも、被塗工物19の塗膜外観が良好である。
【0045】
次ぎに、図1〜4、図5(a)〜(c)、及び、図8〜9を用いて、本発明の塗膜形成装置100について詳細に説明する。
【0046】
連続塗装時には、被塗工物19の塗装外観品質を確保するために、被塗工物19の一定本数を塗装する度に、環状液槽22の清掃などのメンテナンス時に第1の開閉部(扉)10を開放する必要がある。そのままの状態で開放すると、閉空間1Aの外部の汚れた空気が入り込むので、クリーン度を悪化させる。図5(b)に示すように筺体2により創出される閉空間2Aを第1の開閉部(扉)10の前に設置する。次に、第2の開閉部(扉)12を開けて作業担当者17が閉空間2Aの内部に入り、ファンフィルタユニット8と排気ファン9とにより閉空間2Aの内部を浄化する。この時の差圧は、閉空間1Aよりも閉空間2Aの方が低いが、外部よりは大きい差圧の値0.5〜1.5Paになるようにコントロールする。そして、パーティクルカウンタ14の値を確認した後、閉空間2Aの内部が十分浄化された状態で第1の開閉部(扉)10を開放する。この時、第1の開閉部(扉)10の開放をセンサ35で検知し、その信号に基づいて制御装置(図示せず)により、ファンフィルタユニット3の給気量を最大にし、排気ファン4の動きを停止すると共にファンフィルタユニット8の給気を停止し、そして、排気ファン9がそのまま稼働するように、各々のファンをコントロールする。また、ファンフィルタユニット8の給気も停止し、排気ファン9はそのまま稼動する。前記閉空間1A及び前記閉空間2Aと外部との差圧は、等しくなるが、全体として、外部と比べて、2〜5pa程度のプラス圧になるように、各ファンの回転数を制御する。
【0047】
この時、整流板18の一部が図5(c)に示されている矢印Dの方向に向きを変えることで、作業担当者17に直接風が当たることがないようになっている。作業担当者にファンフィルタユニット3から給気された清浄化された空気による風を直接当ててしまうと、作業担当者17の衣服からほこりや繊維が必要以上に舞い上がり、クリーン度を悪化させる原因となることがわかっている。この状態で作業担当者17は塗装機構16のメンテナンスを実施する。ファンフィルタユニット3より給気した空気が排気ファン9より排気されると、図5(c)に示されている矢印Eの方向に空気が流れるので、第2の閉空間2Aで発生した埃は第1の閉空間1Aに逆流することがなく、そのために、第1の閉空間1Aは、清浄な状態を維持することが可能となる。これら一連の動きは図示していない制御装置により制御されているが、通常は塗装機構16の制御装置を用いることで可能である。第2の筺体2により創出される第2の閉空間2Aは、車輪13が付いているが、必要な時意外は連結を外し格納しておくことが可能である。これにより限られた生産スペースを有効に活用することができる。実施結果を図9に示すが、本発明を用いることで、クリーン度を保ったまま第1の閉空間1Aを開放することが可能でメンテナンスなどの塗装に関わる付帯作業を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置の説明図である。
【図2】本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置における塗装機構の拡大説明図である。
【図3】本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置における環状液槽部の拡大説明図である。
【図4】本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置内における空気の流れを説明する説明図である。
【図5】本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置を連結ブースに連結する状態を示す説明図であって、(a)は、連結ブースを連結する前の状態を示し、(b)は、連結ブースを連結した後の状態を示し、そして、(c)は、作業者が作業する状態を示す。
【図6】本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置の動作を説明する説明図である。
【図7】本発明の他の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置の動作を説明する説明図である。
【図8】本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装置の動作を説明するフロー図である。
【図9】本発明の実施の一実施の形態を示す塗膜形成装に連結ブースを連結したことによる効果を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 第1の筺体
1A 第1の閉空間
2 第2の筺体
2A 第2の閉空間
3 ファンフィルタユニット
4 排気ファン
5 給気ダクト
6 排気ダクト
7 ダンパ
8 ファンフィルタユニット
9 排気ファン
10 第1の開閉部(扉)
11 シール
12 第2の開閉部(扉)
13 車輪
14 パーティクルカウンタ
15a、15b 差圧計
16 塗装機構
17 作業担当者
18 整流板
18a 第1の整流板
18b 第2の整流板
19 被塗工物
20 チャック機構
21 エアシリンダチャック(機構の駆動源)
22 環状液槽
23 ホース
24 ベース部材
25 アクチュエータ(駆動源)
26 固定ねじ
27 塗料
28 カバー
29 シール部材
30 センサ(液面検知)
31 空気の流れを示す矢印
32 空気の流れを示す矢印
34 第3の開閉部(小扉)
35 センサ(第1の開閉部の開閉を検知)
100 塗膜形成装置
200 連結ブース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗膜を形成するエリアとその外部とを遮断して第1の閉空間をつくり出す横断面矩形の第1の筺体内に、無端状ベルト形状の被塗工物を円筒状に支持する支持具、前記支持具を垂直に保持するチャック機構、前記無端状ベルト形状の被塗工物の外周に塗料を円周方向に同時に供給するための環状液槽、及び、前記環状液槽を前記無端状ベルト形状の被塗工物の軸方向に平行に稼動させる駆動機構、を有する無端状ベルト形状の被塗工物の外周に塗料で塗膜を形成する塗膜形成装置において、
前記第1の筺体の上壁の中央部分から前記第1の閉空間内にクリーンな空気を給気するファンフィルタユニットと、前記ファンフィルタユニットから給気された空気を前記第1の筺体の側壁の内側へ流すように配置された第1の整流板と、前記第1の閉空間内の空気を外部に排気する排気ファンと、が設けられていることを特徴とする塗膜形成装置。
【請求項2】
前記第1の筺体の上壁と側壁とで形成される角部に、前記第1の整流板で向きが変えられた空気を前記第1の筺体の側壁の内側へ流すように配置された第2の整流板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の塗膜形成装置。
【請求項3】
前記整流板が、その配置角度において、可変自在になるように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗膜形成装置。
【請求項4】
前記第1の閉空間に外部からアクセスできるように、前記第1の閉空間をつくり出す第1の筺体の側壁に第1の開閉部が、設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗膜形成装置。
【請求項5】
前記第1の開閉部よりも小さい第2の開閉部が、該第1の開閉部に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の塗膜形成装置。
【請求項6】
前記第1の開閉部に連結されて一体化される第2の筺体で構成される連結ブースが、設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の塗膜形成装置。
【請求項7】
前記連結ブースに排気ファンが、設けられていることを特徴とする請求項6に記載の塗膜形成装置。
【請求項8】
被塗工物を加工するエリアを外部と遮断した第1の閉空間をつくり出す第1の筺体に外部よりアクセスする際に開閉する第1の開閉部の開閉状態を検出することが可能なセンシング手段と、前記第1の閉空間のクリーン度を計測するセンシング手段と、前記第1の閉空間と連続ブースによりつくり出される第2の閉空間との差圧を検出するセンシング手段と、前記各々のセンシング手段の信号を取り入れて前記第1の筺体にクリーンな空気を送付するファンフィルタユニットと、前記ファンフィルタユニットからの給気された空気を前記第1の筺体の外壁内側へ流すための整流板と、前記第1の筺体内の空気を外部に排気する排気ファン及び前記連結ブースに設けられた排気ファンの動作を制御する制御装置と、を有していることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の塗膜形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−220038(P2009−220038A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68031(P2008−68031)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】