説明

塗装ミストの飛散防止用フード構造

【課題】フードと塗装面の隙間から塗装ミストが漏れ出て周囲に飛散することを確実に防止可能な塗装ミストの飛散防止用フード構造を提供する。
【解決手段】塗装面に対して平行に配置される開放面を前面に備えた筐体状のフード本体2と、フード本体2の何れかの面に形成されたフード換気穴と、フード本体2の後面に形成された塗料噴射手段挿入穴3とを備えたフード構造1において、前記フード本体2の左右側面、底面、上面のうち少なくとも該フード本体の移動方向上流側にフードカバー体10を配設し、該フードカバー体10は、塗装面に非接触で且つフード本体2とフードカバー体10との間に間隙19が形成されるように支持体11によりフード本体2に固定した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型構造物の塗装時に、噴射した塗料ミストが周囲に飛散することを防止する塗装ミストの飛散防止用フード構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶や建造物等の大型構造物の壁面塗装においては、スプレーガン式塗装方法が多く用いられている。スプレーガン式塗装方法は特許文献1(特開昭60−202762号公報)等に開示されている。これは、図5に示すようにスプレーガン51により構造物の塗装面50に塗料を噴射して塗装するものであるが、スプレーガン51から塗料を噴射するにあたって塗装ミストが発生する。塗装ミストは、周囲に飛散して作業員が吸い込んでしまったり、周辺の機器に付着してしまうことがあり、特に屋外で塗装を行う場合には風によって広範囲に拡散してしまう惧れがある。
【0003】
従って、塗装面50をフード52で覆い、塗装ミストの飛散を軽減するようにしていた。この場合、塗装面50にフード52を接近させ、フード52内にてスプレーガン51により塗料を噴射して塗装を行う。塗装面50が高い位置にある場合には、クレーン56により移動可能な作業台55に作業員53が乗り、スプレーガン51を操作して塗装を行っている。フード52は重量が大きいため、作業台55に固定してこれと一緒に移動するようになっている。また、特許文献2(特許第2877270号公報)には、フード52に対して相対移動可能にスプレーガン51を取り付けた自動塗装装置も開示されている。
【0004】
このように、塗装ミストの飛散を防止するためにフードが設けられていた。図6は、従来のフード構造の具体的構成例を示す斜視図である。フード構造52は、塗装面側が開放した筐体状のフード本体61を備え、該フード本体61は後面に塗装穴62が設けられている。該塗装穴62からはスプレーガンが挿入される。また、フード本体61の側面には換気穴63が設けられ、該換気穴63上あるいは該換気穴63に接続されたダクト65上に排気ファン64が配設されている。フード本体61内に滞留する塗装ミストは、排気ファン64により吸引されダクト65を介して外部へ排出される。特許文献3(特開2005−144218号公報)には、ミスト飛散防止用の箱型ケースの側面に換気扇を設け、該換気扇によりフィルタを介してミストを吸引し、ミストを除去する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、塗装ミストの飛散を防止するためには、フードで覆うのみでは不十分であった。特に、屋外で使用する場合において、風が強いときには図5に示すようにフード52と塗装面50の隙間から塗装ミスト59が漏れ出てしまうため、使用環境の条件が厳しいという問題があった。
また別の問題点として、大型構造物の塗装に用いる場合、クレーン等によりフードを移動させるが、足場が固定されていないためフードと塗装面の間隙を一定に保つことが困難であった。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、フードと塗装面の隙間から塗装ミストが漏れ出て周囲に飛散することを確実に防止可能な塗装ミストの飛散防止用フード構造を提供することを目的とする。さらにまた、フードと塗装面の間隙を一定に保つことが可能な塗装ミストの飛散防止用フード構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、塗装面に対して平行に配置される開放面を前面に備えた筐体状のフード本体と、前記フード本体の何れかの面に形成されたフード換気穴と、を備えた塗装ミストの飛散防止用フード構造において、
前記フード本体の左右側面、底面、上面のうち少なくとも該フード本体の移動方向上流側にフードカバー体を配設し、
前記フードカバー体は、塗装面に非接触で且つ前記フード本体と前記フードカバー体との間に間隙が形成されるように支持体により前記フード本体に固定されていることを特徴とする。
本発明によれば、フード本体と塗装面の隙間から漏れ出た塗装ミストをフードカバー体で捕集する構成としたため、塗装ミストが周囲に飛散することを確実に防止できる。従って、屋外で使用する場合、風が吹いていても使用することができ、使用条件の幅を広げることが可能である。
【0007】
また、前記フードカバー体が、前記フード本体の少なくとも前面側の左右側面、底面、上面を囲繞するように配設され、塗装面側に位置する前面のみが開放され他は密閉されていることを特徴とする。
このように、フードカバー体をフード本体の開放面全周に亘って配設した構成とすることにより、フード本体と塗装面の隙間から漏れ出た塗装ミストを確実に捕集できる。
【0008】
また、前記フード本体と前記フードカバー体の間に形成される間隙は、前記フード本体の内部でスプレーガンを上下に振って塗装する場合は左右の間隙より上下の間隙が大となり、左右に振って塗装する場合は上下の間隙より左右の間隙が大となるように形成されることを特徴とする。
これは、大型構造物の塗装を行う際に、フード本体のスプレーガンを振っていない方向に比べ、振っている方向から漏れ出るミスト量が多いため、振る方向によって間隙幅を設定することにより、塗装ミストの飛散を確実に防止することが可能となる。
【0009】
さらに、前記フードカバー体は塗装ミスト捕集手段を備えており、
前記塗装ミスト捕集手段は、前記フード本体と前記フードカバー体の間に形成される間隙から外部へ連通するカバー換気穴と、該カバー換気穴に設けられた排気ファンとからなることを特徴とする。
このように、フード本体とフードカバー体の間隙から外部へ連通するカバー換気穴を設け、排気ファンにより間隙内の塗装ミストを吸引して回収する構成とすることにより、間隙に滞留する塗装ミストを確実に捕集し、ここから周囲に漏れ出ることを防止できる。
【0010】
さらにまた、前記フードカバー体は塗装ミスト捕集手段を備えており、
前記塗装ミスト捕集手段は、前記フード本体と前記フードカバー体の間に形成される間隙からフード本体内部へ連通するカバー換気穴からなり、
前記間隙と前記フード本体内部との間に圧力差をもたせて間隙内の塗装ミストを前記フード本体内部へ吸引させ、該フード本体内部から前記フード換気穴を介して外部へ排出するようにしたことを特徴とする。
これは、フード本体とフードカバー体の間隙からフード本体内に連通するカバー換気穴を設け、フード本体内部を介して塗装ミストを吸引し回収する構成とすることにより、間隙に滞留する塗装ミストを確実に捕集し、ここから周囲に漏れ出ることを防止できるとともに、フードカバー体に新たに排気ファンやダクトを設置する必要がなく、省コストが図れる。
【0011】
さらに、前記カバー換気穴に、塗装ミストを吸着するフィルタを着脱自在に配設したことを特徴とする。
このように、フィルタを配設することにより、該フィルタに吸着させて塗装ミストを回収可能であるとともに、該フィルタを着脱自在とし、フィルタが閉塞する前に交換することにより塗装ミストの捕集効率を高く維持することができる。
【0012】
また、前記フードカバー体が前記フード本体の移動方向上流側の面にのみ配設され、該フードカバー体が配設されない前記フード本体の面には、その塗装面側の端縁に可撓性部材を配設し、該可撓性部材を介して前記フード本体を塗装面に接触させるようにしたことを特徴とする。
このように、フードカバー体をフード本体の一面側にのみ設置する構成とすることにより、フード構造を軽量化することが可能である。また、フードカバー体が配設されないフード本体の面には、塗装面側の端縁に可撓性部材を配設し、塗装面に接触させることにより、塗装ミストがフード本体と塗装面の隙間から漏れ出ることを防止できる。このとき、可撓性部材は、フード本体の移動方向下流側にのみ位置するため、塗装済みの壁面を汚すことはない。さらに、本構成によれば、可撓性部材を塗装面に接触させるようにしているため、フード構造と塗装面との距離を一定に保つことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上記載のごとく本発明によれば、フード本体と塗装面の隙間から漏れ出た塗装ミストをフードカバー体え捕集する構成としたため、塗装ミストが周囲に飛散することを確実に防止できる。従って、屋外で使用する場合、風が吹いていても使用することができ、使用条件の幅を広げることが可能である。
また、フードカバー体をフード本体の開放面全周に亘って配設した構成とすることにより、フード本体と塗装面の隙間から漏れ出た塗装ミストを確実に捕集できる。
【0014】
さらに、フード本体とフードカバー体の間隙から外部へ連通するカバー換気穴を設け、排気ファンにより間隙内の塗装ミストを吸引して回収する構成とすることにより、間隙に滞留する塗装ミストを確実に捕集し、ここから周囲に漏れ出ることを防止できる。
さらにまた、フード本体とフードカバー体の間隙からフード本体内に連通するカバー換気穴を設け、フード本体内部を介して塗装ミストを吸引し回収する構成とすることにより、間隙に滞留する塗装ミストを確実に捕集し、ここから周囲に漏れ出ることを防止できるとともに、フードカバー体に新たに排気ファンやダクトを設置する必要がなく、省コストが図れる。
【0015】
また、フードカバー体をフード本体の一面側にのみ設置する構成とすることにより、フード構造を軽量化することが可能である。さらに、フードカバー体が配設されないフード本体の面には、塗装面側の端縁に可撓性部材を配設し、塗装面に接触させることにより、塗装ミストがフード本体と塗装面の隙間から漏れ出ることを防止できる。さらにまた、可撓性部材を塗装面に接触させるようにしているため、フード構造と塗装面との距離を一定に保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るフード構造の全体構成を示す正面斜視図である。
【図2】塗装ミスト捕集手段を備えたフード構造の縦断面図(図1のX−X断面図)である。
【図3】図2とは別の塗装ミスト捕集手段を備えたフード構造の縦断面図(図1のX−X断面図)である。
【図4】フード本体の縦断面図(図1のY−Y断面図)である。
【図5】従来の壁面塗装方法を説明する図である。
【図6】従来のフード構造の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
本実施形態に係る塗装ミストの飛散防止用フード構造は、船舶や建造物等の大型構造物の壁面塗装に際して、塗装面に塗料を噴射することにより発生する塗装ミスト(以下、ミストと称する)が周囲に飛散することを防止するものである。
【0018】
図1乃至図3に本発明の実施形態に係るフード構造を示す。図1は本発明の実施形態に係るフード構造の全体構成を示す正面斜視図、図2は塗装ミスト捕集手段を備えたフード構造の縦断面図(図1のX−X断面図)、図3は図2とは別の塗装ミスト捕集手段を備えたフード構造の縦断面図(図1のX−X断面図)である。
本実施形態に係るフード構造1は、前面が開放された筐体状のフード本体2と、該フード本体2の後面に形成された塗料噴射手段挿入穴3とを備えるとともに、フード本体2の左右側面、底面、上面のうち少なくとも該フード本体2の移動方向上流側に配設されたフードカバー体10を備える。
【0019】
前記フード本体2は、塗装時に発生するミストが周囲に飛散することを防止するもので、塗装面側に位置する前面が開放された筐体状を有する。その詳細な形状は特に限定されない。図1には直方体形状のフード本体2を示しているが、広範囲の塗装面に対応でき且つ重量を軽量化するために、前面が拡径したテーパ状筐体としてもよい。該フード本体2は、軽量で耐久性を有する材料で形成される。例えば、鉄やアルミニウムなどの金属材料、樹脂材料等が用いられる。該フード本体2は、その前面が塗装面に対して平行で且つ該塗装面に非接触に配置される。
前記塗料噴射手段挿入穴3はフード本体2の後面に形成され、スプレーガン等の塗料噴射手段を挿入するための穴である。
【0020】
また、図4に示すように、フード本体2は、その両側面に形成されたフード換気穴4と、前記フード換気穴4上又は該換気穴4に接続されるフードダクト7上に配設された排気ファン5と、前記換気穴4に配設されたフィルタ6と、を備える。尚、図4はフード本体の縦断面図(図1のY−Y断面図)である。
前記フード換気穴4は、フード本体2の後面、左右側面、上面、底面の少なくとも何れかに設けられればよく、その数は限定されない。
前記フィルタ6は、フード本体2内又はフードダクト7に配設される。該フィルタ6は、ミストを吸着して捕集する機能を有し、その材質は、例えばポリエステル、ガラス繊維、パーム繊維(ヤシガラ)、塩ビ等の不織布フィルタ、或いはクラフト等の紙フィルタなどが用いられる。
フード本体2内に滞留した塗装ミストは、排気ファン5を駆動させることによりフード換気穴4から吸引され、フードダクト7を介して外部へ排出される。このとき、フィルタ6を通過することにより塗装ミストがフィルタ6に吸着して捕集される。
【0021】
前記フードカバー体10は、本実施形態ではフード本体2の少なくとも前面側の左右側面、底面、上面を囲繞するように配設され、塗装面側に位置する前面のみが開放され他は密閉された構成となっている。勿論、図2及び図3に示すようにフードカバー体10でフード本体2全体を囲繞してもよい。この場合、フードカバー体10の後面に塗料噴射手段挿入穴13を設ける。
また、前記フードカバー体10は、フード本体2に沿った筐体状に形成される。図1に示すように、縦断面が六角形状となるように形成してもよい。該フードカバー体10は、その前面が塗装面に対して平行で且つ該塗装面に非接触に配置される。
さらに、前記フードカバー体10は、軽量で耐久性を有する材料で形成され、例えば、アルミ等の軽量金属材料、ビニール、アクリル樹脂、発泡スチロール等の樹脂材料、木材などが用いられる。該フードカバー体10は、塗料により変質する材料を基材として用いる場合には、ミストを捕集する側の面に、塗料により変質しない表面材を塗布するとよい。塗料を吸着しやすい部材を張り、ミストを捕集する。
【0022】
前記フードカバー体10は支持体11によりフード本体2に固定される。フードカバー体10とフード本体2との間には間隙19が設けられている。好適には、この隙間19は、フードカバー10の上下に位置する間隙の間隙幅Dと、左右に位置する間隙の間隙幅Dを、スプレーガンが振られる方向によって設定する。振らない方向の間隙幅よりも、振る方向の間隙幅が大となるようにする。さらに好適には、フード本体2の径が1.0〜2.0mである場合、上下方向にスプレーガンを振るのであれば、上下の間隙幅Dを0.8〜2.0m、左右の間隙幅Dを0.5〜1.5mの範囲内で、且つ上下の間隙幅D>左右の間隙幅Dとなるように設定する。左右方向に振る場合はそのDとDの値を逆にする。
これは、スプレーガン(図示略)にて塗装を行う際に、実際の現場でミスト量を測定した結果、スプレーガンを振る方向の塗装ミストの漏れが約7〜9割であったため、振る方向の間隙が大となるように設定することにより確実に塗装ミストの飛散を防止することが可能となる。
【0023】
さらにフードカバー体10は、左右側面、底面、上面、後面の何れかの面に塗装ミスト捕集手段が設けられている。
図2に示すように、塗装ミスト捕集手段は、フード本体2とフードカバー体10の間に形成される間隙19から外部へ連通するカバー換気穴14と、該カバー換気穴14に接続されたカバーダクト17と、カバー換気穴14又はカバーダクト17上に配設された排気ファン15とから構成される。
【0024】
前記カバー換気穴14は、フードカバー体10の後面、左右側面、上面、底面の何れかに設けられればよく、その数は限定されない。
カバー換気穴14又はカバーダクト17には、フィルタ16を配設することが好ましい。該フィルタ16は、ミストを吸着して捕集する機能を有し、その材質は、例えばポリエステル、ガラス繊維、パーム繊維、塩ビ等の不織布フィルタ、或いはクラフト等の紙フィルタなどが用いられる。該フィルタ16は脱着自在に配設され、目詰まりが発生した時に適宜交換する。
【0025】
このようなフード構造1においては、フード本体2と塗装面の間から漏れ出た塗装ミスとをフードカバー体10で捕集し、該フードカバー体10内に滞留した塗装ミストは、排気ファン15を駆動させることによりカバー換気穴14から吸引され、カバーダクト17を介して外部へ排出される。このとき、フィルタ16を通過することにより塗装ミストがフィルタ16に吸着して捕集される。
【0026】
また、他の塗装ミスト捕集手段の構成として、図3に示すように塗装ミスト捕集手段は、フード本体2とフードカバー体10の間に形成される間隙19からフード本体2内部へ連通するカバー換気穴18から構成される。
フード本体2内は、図4に示した排気ファン5により吸引されており、該フード本体2内と間隙19との間には圧力差が存在し、これにより間隙19に滞留する塗装ミストはカバー換気穴18からフード本体2の内部へ流れる。フード本体2の内部へ流れた塗装ミストは、フード本体2の排気ファン5により外部へ排出される。
前記カバー換気穴18には、排気ファンやフィルタを設置してもよい。
【0027】
本実施形態によれば、フード本体2と塗装面の隙間から漏れ出た塗装ミストをフードカバー体10で捕集する構成としたため、塗装ミストが周囲に飛散することを確実に防止できる。従って、屋外で使用する場合、風が吹いていても使用することができ、使用条件の幅を広げることが可能である。
また、フード本体2とフードカバー体10の間隙19から外部へ連通するカバー換気穴14を設け、排気ファンにより間隙19内の塗装ミストを吸引して回収する構成とすることにより、間隙19に滞留する塗装ミストを確実に捕集し、ここから周囲に漏れ出ることを防止可能である。
さらに、フード本体2とフードカバー体10の間隙19からフード本体2内に連通するカバー換気穴18を設け、フード本体2内部を介して塗装ミストを吸引し回収する構成とすることにより、間隙19に滞留する塗装ミストを確実に捕集し、ここから周囲に漏れ出ることを防止可能であるとともに、フードカバー体10に新たに排気ファンやダクトを設置する必要がなく、省コストが図れる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、フードと塗装面の隙間から塗装ミストが漏れ出て周囲に飛散することを確実に防止可能な塗装ミストの飛散防止用フード構造としたため、船舶や建造物等の大型構造物の塗装に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0029】
1 フード構造
2 フード本体
3、13 塗料噴射手段挿入穴
4 フード換気穴
5、15 排気ファン
6、16 フィルタ
7 フードダクト
10 フードカバー体
11 支持体
14 カバー換気穴
17 カバーダクト
19 間隙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開昭60−202762号公報
【特許文献2】特許第2877270号公報
【特許文献3】特開2005−144218号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装面に対して平行に配置される開放面を前面に備えた筐体状のフード本体と、前記フード本体の何れかの面に形成されたフード換気穴と、を備えた塗装ミストの飛散防止用フード構造において、
前記フード本体の左右側面、底面、上面のうち少なくとも該フード本体の移動方向上流側にフードカバー体を配設し、
前記フードカバー体は、塗装面に非接触で且つ前記フード本体と前記フードカバー体との間に間隙が形成されるように支持体により前記フード本体に固定されていることを特徴とする塗装ミストの飛散防止用フード構造。
【請求項2】
前記フードカバー体が、前記フード本体の少なくとも前面側の左右側面、底面、上面を囲繞するように配設され、塗装面側に位置する前面のみが開放され他は密閉されていることを特徴とする請求項1記載の塗装ミストの飛散防止用フード構造。
【請求項3】
前記フード本体と前記フードカバー体の間に形成される間隙は、前記フード本体の内部でスプレーガンを上下に振って塗装する場合は左右の間隙より上下の間隙が大となり、左右に振って塗装する場合は上下の間隙より左右の間隙が大となるように形成されることを特徴とする請求項2記載の塗装ミストの飛散防止用フード構造。
【請求項4】
前記フードカバー体は塗装ミスト捕集手段を備えており、
前記塗装ミスト捕集手段は、前記フード本体と前記フードカバー体の間に形成される間隙から外部へ連通するカバー換気穴と、該カバー換気穴に設けられた排気ファンとからなることを特徴とする請求項2若しくは3記載の塗装ミストの飛散防止用フード構造。
【請求項5】
前記フードカバー体は塗装ミスト捕集手段を備えており、
前記塗装ミスト捕集手段は、前記フード本体と前記フードカバー体の間に形成される間隙からフード本体内部へ連通するカバー換気穴からなり、
前記間隙と前記フード本体内部との間に圧力差をもたせて間隙内の塗装ミストを前記フード本体内部へ吸引させ、該フード本体内部から前記フード換気穴を介して外部へ排出するようにしたことを特徴とする請求項2若しくは3記載の塗装ミストの飛散防止用フード構造。
【請求項6】
前記カバー換気穴に、塗装ミストを吸着するフィルタを着脱自在に配設したことを特徴とする請求項4若しくは5記載の塗装ミストの飛散防止用フード構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−184206(P2010−184206A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30490(P2009−30490)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】