説明

塗装部品

【課題】剛性、耐衝撃性、寸法安定性、流動性が良好で、表面にブツが無く、外観に優れた光沢塗装品を提供しうるガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物よりなる光沢塗装を有する筐体を提供すること。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)80〜95重量%とガラス繊維(B)5〜20重量%からなる樹脂組成物であって、ガラス繊維(B)が繊維長140μm以下の短繊維と140μmを超える長繊維からなり、短繊維(BS)と長繊維(BL)との比率が下記式(1)を満足し、かつ、B成分中で繊維長が500μmを超えるガラス繊維が1〜15%であり、さらに、1000μmを超えるガラス繊維が1%未満であり、AとBの合計100重量部に対して、炭素数3〜32の一価又は多価の脂肪族アルコールと炭素数3〜3の脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C)0.01〜2重量部を含有する樹脂組成物の成形品を、塗装してなる塗装部品。
[数1]
45/55≦(BS)/(BL)≦90/10 (1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維長分布を調整したガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物の成形品を塗装してなる塗装部品に関するものである。さらに詳しくは、剛性、耐衝撃性、寸法安定性、流動性が良好で、光沢塗装品の表面にブツが無く、外観に優れた、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂製塗装部品、特に携帯用電子機器用筐体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、外観等優れた樹脂として多くの分野で用いられている。中でもガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物は、強度・剛性、耐熱性、寸法安定性及び電気的特性といった種々の優れた性能を示すことから、カメラ、OA機器、電気・電子部品、その他の産業分野で幅広く使用されている。特に、最近では、携帯電話を初めとした携帯用電子機器用筐体にも多用されるようになり、上記諸特長に加えて耐衝撃性、流動性及び光沢塗装性に優れたガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物が求められるようになってきた。
【0003】
ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物の塗装性を改良した樹脂組成物として、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂、ガラス系充填材、芳香族カーボネートオリゴマーからなる樹脂組成物が提案され、ある程度の塗装性の改良は認められるもののまだ不充分で、耐衝撃性に劣っていた。特許文献2には、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂に平均繊維径が2μm以下のガラス繊維と熱可塑性弾性重合体を配合したガラス繊維強化樹脂組成物も提案され、耐衝撃性や塗装性には優れていたが、ガラス繊維の価格が高く、流動性が低く、携帯電話のハウジングのような薄肉成形品への使用には限界があった。特許文献3には、流動性、耐衝撃性、表面外観、離型性及び薄肉難燃性が改良された樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂と液晶性樹脂、ガラス繊維からなる繊維強化樹脂組成物であって該組成物中の繊維長分布0.1〜1mmの範囲のものが60%以上である繊維強化樹脂組成物が提案されているが、ガラス繊維長が比較的長いために、塗膜の密着性と塗装外観の悪い成形品しか得られなかった。
【0004】
一方、本発明者らは、成形性、外観、曲げ弾性率及び耐衝撃性に優れた薄肉成形品用樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネートオリゴマー、ガラス繊維、複合ゴム系グラフト共重合体からなり、ガラス繊維長が140μm以下の短繊維と140μmを超える長繊維とからなり、短繊維と長繊維との重量比が45/55≦(短繊維)/(長繊維)≦90/10であって、且つ繊維長が500μmを超えるガラス繊維がガラス繊維全体に対し1〜15重量%であるガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を提案した(特許文献4)。特許文献4の樹脂組成物は、成形性、外観、曲げ弾性率及び耐衝撃性には優れていたが、携帯電話のハウジングのような常に人の目に触れる成形品に光沢塗装を施すことについては何ら言及していない。
【0005】
【特許文献1】特開昭60−4550号公報
【特許文献2】特開平6−49344号公報
【特許文献3】特開2000−159958号公報
【特許文献4】特開平9−12858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の諸問題を全て解決し、剛性、耐衝撃性、寸法安定性、流動性が良好で、光沢塗装品表面のブツが無く、外観に優れたガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物の成形品を塗装してなる光沢塗装部品、特に携帯用電子機器用筐体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ガラス繊維の長繊維と短繊維の比率、500μm及び1000μmを超えるガラス繊維の含有率を特定範囲内に調整し、特定の離型剤を特定量含有させることにより、剛性、耐衝撃性、寸法安定性、流動性が良好で、光沢塗装品表面のブツ(微小な斑点)を無くし、生産性と外観に優れ、塗膜の密着性にも優れたガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物の塗装部品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、ポリカーボネート樹脂(A)80〜95重量%とガラス繊維(B)5〜20重量%からなる樹脂組成物であって、ガラス繊維(B)が繊維長140μm以下の短繊維(BS)と140μmを超える長繊維(BL)からなり、該短繊維(BS)と該長繊維(BL)との比率が下記式(1)を満足し、かつ、B成分中で繊維長が500μmを超えるガラス繊維が1〜15%であり、さらに、1000μmを超えるガラス繊維が1%未満であり、ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100重量部に対し、炭素数3〜32の一価又は多価の脂肪族アルコールと炭素数3〜32の脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C)を0.01〜2重量部含有する樹脂組成物の成形品を塗装してなることを特徴とする塗装部品、及び携帯用電子機器用筐体にある。
【0009】
[数1]
45/55≦(BS)/(BL)≦90/10 (1)
【発明の効果】
【0010】
本発明の塗装部品を構成するガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物は、剛性、耐衝撃性、寸法安定性、流動性が良好で、光沢塗装を施しても塗装品表面にブツ(微小な斑点)が発生せず、生産性と外観に優れ、塗膜の密着性にも優れているので、パソコン、OA機器、AV機器、家電製品等の電気・電子機器の部品や筐体、特に携帯電話を初めとした携帯用電子機器の筐体として好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
ポリカーボネート樹脂(A)
本発明においてポリカーボネート樹脂(A)は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを、又は、これらに併せて少量のポリヒドロキシ化合物等を反応させてなる、直鎖又は分岐の熱可塑性の芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体である。
【0012】
本発明においてポリカーボネート樹脂(A)の製法は、特に限定されるものではなく、公知の方法によって製造することができ、例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法等を挙げることができる。
【0013】
原料として使用される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等で例示されるカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
【0014】
これらの中で好ましくは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類であり、特に耐衝撃性の点から好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]である。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種類でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。これらカーボネート前駆体もまた1種類でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
また、ポリカーボネート樹脂(A)は、三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した、分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等で例示されるポリヒドロキシ化合物類、又は、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられ、これらの中でも1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。多官能性芳香族化合物は、前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用することができ、その使用量は芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜10モル%の範囲が好ましく、0.1〜2モル%の範囲がより好ましい。
【0017】
界面重合法による反応は、反応に不活性な有機溶媒、アルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物、ならびに必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)及び芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を用い、ホスゲンと反応させた後、第三級アミン又は第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカーボネートを得る。分子量調節剤の添加はホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお反応温度は例えば、0〜40℃で、反応時間は例えば数分(例えば10分)〜数時間(例えば6時間)である。
ここで、反応に不活性な有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。またアルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
【0018】
分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。一価のフェノール性水酸基を有する化合物としては、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、好ましくは50〜0.5モル、より好ましくは30〜1モルである。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類:トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0019】
溶融エステル交換法による反応は、例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。
炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカーボネート及びジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が例示される。炭酸ジエステルは、好ましくはジフェニルカーボネート又は置換ジフェニルカーボネートであり、より好ましくはジフェニルカーボネートである。
一般的に、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率を調整したり、反応時の減圧度を調整したりすることによって、所望の分子量及び末端ヒドロキシル基量を有するポリカーボネートが得られる。より積極的な方法として、反応時に別途、末端停止剤を添加する調整方法も周知である。この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。末端ヒドロキシル基量は、製品ポリカーボネートの熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす。用途にもよるが、実用的な物性を持たせるためには、好ましくは1,000ppm以下であり、より好ましくは700ppm以下である。
また、エステル交換法で製造するポリカーボネート樹脂(A)では、末端ヒドロキシル基量が100ppm以上であることが好ましい。このような末端ヒドロキシル基量とすることにより、分子量の低下を抑制でき、色調もより良好なものとすることができる。従って、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いるのが好ましく、1.01〜1.30モルの量で用いるのがより好ましい。
【0020】
エステル交換法によりポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には、通常エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は、特に制限はないが、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が好ましい。また、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。上記原料を用いたエステル交換反応としては、100〜320℃の温度で反応を行い、最終的には2mmHg以下の減圧下、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら溶融重縮合反応を行う方法が例示される。
溶融重縮合は、バッチ式又は連続的に行うことができるが、本発明の樹脂組成物の安定性等を考慮すると、連続式で行うことが好ましい。エステル交換法ポリカーボネート中の触媒の失活剤としては、該触媒を中和する化合物、例えば、イオウ含有酸性化合物又はそれより形成される誘導体を使用することが好ましい。このような触媒を中和する化合物は、該触媒が含有するアルカリ金属に対して、好ましくは0.5〜10当量、より好ましくは1〜5当量の範囲で添加する。さらに加えて、このような触媒を中和する化合物は、ポリカーボネートに対して、好ましくは1〜100ppm、より好ましくは1〜20ppmの範囲で添加する。
【0021】
本発明においてポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]で、15,000〜28,000の範囲のものが好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が15,000未満では、機械的強度が劣り、28,000を超えると流動性が低下し、成形加工が困難になり、外観も低下する。粘度平均分子量は、より好ましくは16,000〜25,000であり、さらに好ましくは17,000〜23,000である。また、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。もちろん、粘度平均分子量が上記好適範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
【0022】
ここで粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度25℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−40.83、から算出される値を意味する。
ここで極限粘度[η]とは各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式(2)により算出した値である。
【0023】
【数2】

【0024】
さらに、本発明においてポリカーボネート樹脂(A)は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂を使用してもよい。使用済みの製品としては、光学ディスク等の光記録媒体、導光板、自動車窓ガラス・自動車ヘッドランプレンズ・風防等の車両透明部材、水ボトル等の容器、メガネレンズ、防音壁・ガラス窓・波板等の建築部材等が好ましく挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品又はそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。再生されたポリカーボネート樹脂は、(A)の80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下である。
【0025】
ガラス繊維(B)
本発明においてガラス繊維(B)は、繊維長が140μm以下の短繊維(BS)と140μmを超える長繊維(BL)からなり、BSとBLとの比率が下記式(1)を満足し、かつ、B成分中で繊維長が500μmを超えるガラス繊維が1〜15%であり、さらに、1000μmを超えるガラス繊維が1%未満である。
【0026】
[数1]
45/55≦(BS)/(BL)≦90/10 (1)
【0027】
短繊維(BS)の含有量が45%未満であると耐衝撃性の低下と外観が悪化し、短繊維(BS)の含有量が90%を超えると引張り強度、曲げ強度及び剛性が低下する。また、500μmを超える繊維長のガラス繊維が1%未満では引張り強度、曲げ強度及び剛性の低下がみられ、15%を超えると耐衝撃性が低下し外観が悪化する。さらに、1,000μmを超えるガラス繊維が1%以上では成形品表層に飛び出したガラス繊維を起点として、光沢塗装を施した場合には成形品表面にブツ(微小な斑点)が目立ち、商品価値を著しく損ない、なおかつ成形時のガラス繊維の流動配向の影響が大きくなって成形品の寸法異方性が悪化し、好ましくない。
【0028】
本発明においてガラス繊維(B)の原料ガラスの組成は特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂(A)に悪影響を及ぼさないという点から、無アルカリガラスが好ましい。また、ガラス繊維(B)の径は、好ましくは2〜20μmであり、さらに好ましくは5〜16μmである。2μmより細いガラス繊維はコストが高く、流動性が低下することがあり、20μmを超えると外観に悪影響を与えやすい。
【0029】
短繊維(BS)は、いわゆるミルドファイバー、ガラスパウダーと称せられるストランドの粉砕品から主として生じるものであり、例えば、旭ファイバーグラス(株)よりミルドファイバーMF06JB1−20、日本電気硝子(株)よりガラスパウダーEPG70M−01N等として市販されている。短繊維(BS)は、その目的に応じ、シラン系カップリング剤に代表される表面処理剤やホスファイト系に代表される熱安定剤等で適宜、表面を処理されていてもよい。例えば、日本電気硝子(株)より、ガラスパウダーEPG70M−99S、EPG70M−80A、旭ファイバーグラス(株)よりMF10JH3、日東紡より、ミルドファイバーPFE−301S等として市販されている。
【0030】
長繊維(BL)は、ガラス繊維チョップドストランドから主として生じるものであり、例えば、旭ファイバーグラス(株)よりチョップドストランドCS03MA409C、CS03DE409C等として市販されている。長繊維(BL)は、その目的に応じ、シラン系カップリング剤に代表される表面処理剤やウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂に代表される集束剤、ホスファイト系に代表される熱安定剤等で適宜、表面を処理されていてもよい。例えば、オーエンスコーニング社よりチョップドストランドCS03MAFT737、日本電気硝子(株)よりチョップドストランドECS03T511、ECS03T511DE、ECS03T571等として市販されている。
【0031】
離型剤(C)
本発明における離型剤(C)としては、炭素数3〜32の一価又は多価の脂肪族アルコールと炭素数3〜32の脂肪族カルボン酸から得られる1種以上のフルエステルである。フルエステルでない離型剤であると、ガラス繊維とポリカーボネートの組み合わせでは熱安定性が低下し、押出時及び成形加工時に分子量低下を生じやすい。また、エステル結合を有さないパラフィンワックスでは塗装がのりにくく、塗装膜が不均一となりやすい。
【0032】
炭素数3〜32の一価又は多価の脂肪族アルコールとしては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールはハロゲン基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数3〜32の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数3〜32の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。なお、脂肪族アルコールには脂環族アルコールも含まれる。炭素数3〜32の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールとしては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシパーフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0033】
炭素数2以下のアルコールとカルボン酸の組合せでは、揮発性が高く、且つ、耐熱性も低いため、ポリカーボネートに使用した場合、押出加工時に気化や分解を起こすため、充分な離型効果が得られない。炭素数33以上の組合せでは、成形品表面に出にくいため、離型効果が得られ難い。また、離型性を得るために添加量を増やす必要があり、ポリカーボネートの物性を低下させる可能性が高い。
【0034】
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸等が挙げられる。ここで脂肪族カルボン酸には、脂環族カルボン酸も含まれる。炭素数3〜32の脂肪族カルボン酸のうち好ましいのは、炭素数6〜30のモノ又はジカルボン酸であり、さらに好ましいのは、炭素数6〜30の脂肪族飽和一価カルボン酸である。炭素数3〜32の脂肪族カルボン酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられる。
【0035】
炭素数3〜32の一価又は多価の脂肪族アルコールと炭素数3〜32の脂肪族カルボン酸から得られる1種以上のフルエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ベヘニン酸オクチルドデシル、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。これらの離型剤は、一種類又は二種類以上を併用することもできる。
【0036】
離型剤(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100重量部に対し、0.01〜2重量部である。0.01重量部未満では、離型性が不充分で、熱成形時に金型キャビティ面と成形品との融着が生じやすく、金型から離型する際に成形品に離型跡が生じ、成形品の外観が悪くなり商品価値が低下する。一方、2重量部を超えると熱成形時に、熱安定性が低下し、成形品にシルバーストリークが発生し易くなるので、好ましくない。離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100重量部に対し、好ましくは0.02〜1.5重量部であり、より好ましくは、0.03〜1重量部である。
【0037】
ポリカーボネートオリゴマー(D)
本発明において、ポリカーボネートオリゴマー(D)は、下記の一般式〔I〕の構成単位で表される平均重合度2〜15のオリゴマーであり、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法で反応させて製造されるものである。
【0038】
【化1】

(式中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜6の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R’は、単結合、−O−、−S−、−SO−、−SO−であるか;1以上のハロゲン原子若しくはフェニル基で置換されていてもよい、炭素数1〜8のアルキレン基、シクロアルキレン基又はフルオレニレン基である。)
【0039】
上記のポリカーボネートオリゴマー(D)を得るには、分子量調節剤又は末端停止剤を通常の芳香族ポリカーボネート樹脂製造時に使用されるよりも多く使用する以外は、前記のポリカーボネート樹脂(A)の製造方法と同様な方法により製造することができる。芳香族ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体としては前記のポリカーボネート樹脂(A)で説明したものが用いられる。分子量調節剤又は末端停止剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物や芳香族カルボン酸基を有する化合物等が挙げられ、通常のフェノール、p−t−ブチルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0040】
本発明において、ポリカーボネートオリゴマー(D)は一種でも、又は二種類以上を混合して使用してよい。かかるポリカーボネートオリゴマー(D)は、平均重合度2未満では成形時に成形品からブリードアウトし易くなる。また、平均重合度が15を超えると成形品の表層部に集まり難くなるので、ガラス繊維(B)が成形品表面に露出し、満足する塗膜の密着性や外観が得られない。好ましい平均重合度は4〜12である。
【0041】
複合ゴム系グラフト共重合体(E)
本発明において、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなる複合ゴムに芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物とがグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体(E)は、ポリオルガノシロキサンゴム成分10〜90重量%とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分90〜10重量%(両ゴム成分の合計量は100重量%)から構成され、両ゴム成分が相互に絡み合い事実上分離できない構造を有し、かつその平均径が0.08〜0.6μmである複合ゴムに、芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体である。
【0042】
このような複合ゴムを製造するには、乳化重合法が最適である。まずポリオルガノシロキサンゴムのラテックスを調製し、次にアルキル(メタ)アクリレートゴムの合成用単量体をポリオルガノシロキサンゴムラテックスのゴム粒子に含浸させてから、アルキル(メタ)アクリレートゴムの合成用単量体を重合させるのが好ましい。
【0043】
ポリオルガノシロキサンゴム成分は、例えば、以下に示すオルガノシロキサン及び架橋剤を用いて乳化重合により調製することができ、その際、更にグラフト交叉剤を併用することができる。オルガノシロキサンとしては、例えば、ジメチルシロキサン等の鎖状オルガノシロキサンが挙げられる。また、3員環以上、好ましくは3〜6員環の各種の環状オルガノシロキサンを用いることもできる。例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらのオルガノシロキサンを単独で又は2種以上混合して用いることができる。これの使用量は、好ましくはポリオルガノシロキサンゴム成分中50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
【0044】
架橋剤としては、3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を用いることができる。特に、4官能性の架橋剤が好ましく、この中でもテトラエトキシシランが特に好ましい。架橋剤は単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。架橋剤の使用量はポリオルガノシロキサンゴム成分中0.1〜30重量%が好ましい。
グラフト交叉剤としては、次式:
【0045】
[化2]
CH=C(R)−COO−(CH−SiR(3−n)/2 (I−1)
CH=CH−SiR(3−n)/2 (I−2) 又は
HS−(CH−SiR(3−n)/2 (I−3)
(上記式中、R は低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等又はフェニル基を表し、R は水素原子又はメチル基を表し、nは0、1又は2を表し、pは1〜6の整数を表す)で示される単位を形成し得る化合物が用いられる。
【0046】
上記式(I−1)の単位を形成し得る(メタ)アクリロイルオキシシロキサンはグラフト率が高いため、有効なグラフト鎖を形成することが可能であり、高い耐衝撃性を発現するという点で有利である。なお、式(I−1)の単位を形成し得るものとしてメタクリロイルオキシシロキサンが特に好ましい。メタクリロイルオキシシロキサンの具体例としては、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。グラフト交叉剤の使用量は、好ましくはポリオルガノシロキサンゴム成分中0〜10重量%である。
【0047】
このポリオルガノシロキサンゴム成分のラテックスの製造は、例えば米国特許第2891920号明細書、同第3294725号明細書等に記載された方法を用いることができる。本発明においては、例えばオルガノシロキサンと架橋剤及び所望によりグラフト交叉剤の混合溶液とを、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン酸系乳化剤の存在下で、例えばホモジナイザー等を用いて水とせん断混合する方法により製造することが好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸はオルガノシロキサンの乳化剤として作用すると同時に重合開始剤ともなるので好適である。この際、アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩、アルキルスルホン酸の金属塩等を併用すると、グラフト重合を行う際にポリマーを安定に維持するのに効果があるので好ましい。
【0048】
上記複合ゴムを構成するポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分は、以下に示すアルキル(メタ)アクリレート、架橋剤及びグラフト交叉剤を用いて合成することができる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、特にn−ブチルアクリルレートの使用が好ましい。架橋剤としては、例えばエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0049】
グラフト交叉剤としては、例えばアリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは架橋剤として用いることもできる。これら架橋剤及びグラフト交叉剤は単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。これら架橋剤及びグラフト交叉剤の合計使用量は、好ましくはポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分中0.1〜20重量%である。
【0050】
ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の重合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液の添加により中和されたポリオルガノシロキサンゴム成分のラテックス中へ上記アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤及びグラフト交叉剤を添加し、ポリオルガノシロキサンゴム粒子へ含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用させて行う。重合の進行とともにポリオルガノシロキサンゴムの架橋網目に相互に絡んだポリアルキル(メタ)アクリレートゴムの架橋網目が形成され、実質上分離できない、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分との複合ゴムのラテックスが得られる。なお、本発明においては、この複合ゴムとしてポリオルガノシロキサンゴム成分の主骨格がジメチルシロキサンの繰り返し単位を有し、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の主骨格がn−ブチルアクリレートの繰り返し単位を有する複合ゴムが好ましく用いられる。この複合ゴムをトルエンにより90℃で12時間抽出して測定したゲル含量は80重量%以上であることが好ましい。
【0051】
耐衝撃性、外観等のバランスを満足させるためには、上記複合ゴムにおけるポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の割合は、前者が10〜90重量%に対し、後者が90〜10重量%であるのが好ましく、また、複合ゴムの平均粒子径は0.08〜0.6μmであるのが好ましい。
【0052】
上記の複合ゴムにグラフト重合させるビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物と、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物とであり、少量のメチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルを用いてもよい。本発明の目的を達成するためには、スチレン単量体とアクリロニトリル単量体の組み合わせが好ましい。芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物との合計量は複合ゴム30〜95重量%に対して5〜70重量%である。また、芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物との比は、芳香族アルケニル化合物5〜95重量%対シアン化ビニル化合物95〜5重量%である。
【0053】
複合ゴム系グラフト重合体は、上記ビニル系単量体を上記の複合ゴムのラテックスに加え、ラジカル重合技術によって一段又は多段で重合させて得られる複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスを、塩化カルシウム又は硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固することにより分離、回収することができる。このような複合ゴム系グラフト共重合体は、例えば三菱レイヨン(株)より、メタブレンRK−200等として商業的に入手可能である。
【0054】
ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物
本発明において、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)80〜95重量%、ガラス繊維(B)5〜20重量%、ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100重量部に対し、炭素数3〜32の一価又は多価の脂肪族アルコールと炭素数3〜32の脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C)を0.01〜2重量部含有するものであり、A成分が80重量%未満又はB成分が20重量%を超えると耐衝撃性や流動性に劣り、光沢塗装品表面にブツが発生し易く、B成分が5重量%未満又はA成分が95重量%を超えると剛性が低下するので好ましくない。
【0055】
本発明において、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物に、より一層優れた耐衝撃性や流動性が求められ、光沢塗装を施しても塗装品表面にブツ(微小な斑点)が発生せず、高度な生産性と外観が求められる場合、ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100重量部に対し、ポリカーボネートオリゴマー(D)2〜15重量部、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなる複合ゴムに芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物とがグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体(E)1〜10重量部の配合率からなることが好ましい。D成分が2重量部未満では流動性や光沢塗装性の改良効果が小さく、15重量部を超えると耐衝撃性の低下やモールドデボジットが発生する。E成分が1重量部未満では耐衝撃性の改良効果が小さく、10重量部を超えると剛性が低下することがある。
【0056】
本発明において、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、上記A成分〜E成分のほかに、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、ガラス繊維以外の無機フィラー及び各種の樹脂添加剤を配合することができる。ポリカーボネート樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。ガラス繊維以外の無機フィラーとしては、例えば金属繊維、窒化珪素繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ボロン繊維、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、カーボン繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、酸化チタン、アルミナ、シリカ、アスベスト、タルク、クレー、マイカ、石英粉等が挙げられる。樹脂添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤、耐候性改良剤、離型剤、帯電防止剤、染顔料、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、防菌剤等が挙げられる。これらは、一種類でも二種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0057】
黒色染顔料
本発明において、黒色染顔料(F)としては、一般的に用いられるカーボンブラックが挙げられる。具体的には、東海カーボン社製トーカブラック、三菱化学社製三菱カーボンブラック、ダイアレジンブラック、ケッチェンブラックインターナショナル社製ケッチェンブラック等が挙げられる。
さらに黒の染顔料単独の他に、複数色の染顔料を混合して黒色としたものを用いることもできる。この場合、黒の染顔料は含まれていても含まれていなくても良い。具体的には、例えば、一般的に用いられる青色染顔料と赤色染顔料を混合することにより黒色としたものを用いることができる。黒以外の染顔料としては、例えば、三菱化学社製ダイアレジンブルー、ダイアレジンレッド、ダイアレジンイエロー、ダイアレジングリーン等が挙げられる。
【0058】
黒色染顔料の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)との合計100重量部に対して0.05〜5重量部である。黒色染顔料の含有量が0.05重量部未満であると塗装成形品における塗装の一部が使用中に剥がれたとき、剥がれた部分が目立ちやすく、5重量部を超えると機械的物性等に影響が生じやすい。黒色染顔料の含有量は、好ましくは0.1〜4重量部であり、より好ましくは0.2〜3重量部である。
【0059】
なお、酸化チタンの配合量が多いとガラス繊維が混練中に折れることが多く、ガラス繊維の長さが短くなりやすい。また、樹脂組成物において酸化チタン量が多いと黒色から灰色等になるので、黒色の成形品を得るには、酸化チタンの配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100重量部に対し好ましくは3重量部以下であり、より好ましくは2重量部以下であり、最も好ましくは1重量部以下である。
【0060】
ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物の調製方法
本発明において、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物の調製方法は特に限定されないが、例えば、A〜C成分及び必要に応じて適宜配合されるD〜F成分その他を、Vブレンダーやスーパーミキサー等の混合法を用いて十分に混合した後、ベント式一軸又は二軸押出機で溶融混練しペレット化する方法等が挙げられる。
【0061】
上記の調製方法で製造されたガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物中のガラス繊維は、1000μmを超えるガラス繊維の量をなくすることができる。また、所望のガラス繊維長分布を得るためには、混練時のガラス繊維の破砕を考慮して原料ガラス繊維、通常、長繊維と短繊維の量比を選択し、かつ、ペレット化に際して押出機のスクリュー回転数、シリンダー温度、スクリュー形状等を変えることが必要であり、このような調製方法によって、所望のガラス繊維長分布を有するガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
【0062】
成形品の製造
本発明において、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物は、各種成形品製造用樹脂材料、特に、携帯用電子機器用筐体、例えば、携帯電話、PDA、モバイルパソコン、カメラ、携帯オーディオプレーヤー等の塗装部品の成形用樹脂材料として好適に使用できる。成形方法は、熱可塑性樹脂材料から成形品を成形する従来から知られている方法が、制限なく適用できる。具体的には、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法等が挙げられる。
【0063】
塗装部品
本発明において、上記ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物の成形品を塗装して塗装部品を得るには、各種塗料を用いることができる。塗料としては、例えば、紫外線硬化型塗料が用いることができる。紫外線硬化型塗料は、ハードコートとも称され、塗装部品表面の耐擦傷性改善のために有用である。紫外線硬化型塗料は、一般には、ラジカル重合性不飽和基を有するポリマー、オリゴマー又はモノマーからなる成分と、紫外線照射によりラジカルを発生する光開始剤成分とから構成されている。また、かかる紫外線硬化型塗料は、一般には、硬化時の塗膜の収縮応力が大きく、膜厚100μmを超える程度に厚塗りした場合は、成形品表面に存在する表面欠陥が目立ちにくくなるものの、塗膜剥離が生じやすく、また、膜厚20〜100μm程度、好ましくは30〜90μm程度に薄塗りした、いわゆる光沢塗装の場合は、成形品表面に存在する凹凸状の表面欠陥が目立ちやすくなる。しかし、本発明においては、かかる欠陥は解消された塗装部品が得られる。また、塗料としては、例えば、アクリル系、アクリルアルキッド系、アミノアルキッド系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系等の塗料を用いることもでき、1液タイプでも2液タイプでも用いることができる。塗装方法としては、刷け塗り、浸漬、吹き付け等の方法を用いることができる。
【実施例】
【0064】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、配合量は重量部を表す。
【0065】
[各原料]
実施例、比較例において用いた各原料は、以下の通りである。
<A成分> ポリカーボネート樹脂
ビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノール(分子量調節剤)とフォスゲンから界面重合法により得られた粉粒状ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製、ユーピロンS−3000F)、Mv21000
<B成分> ガラス繊維
ミルドファイバー(日本電気硝子(株)製、ガラスパウダーEPG70M−99S)、平均繊維長70μm、繊維径9μm
チョップドストランド(オーエンスコーニング社製、CS03MAFT737)、平均繊維長2mm、繊維径13μm
<C成分> 離型剤
(1) ペンタエリスリトールテトラステアレート(コグニスジャパン社製、VPG−861)
(2) ステアリン酸モノグリセライド(理研ビタミン社製、リケマールS−100A)
(3) ポリエチレンワックス(クリアラントジャパン社製、PE520)
<D成分> ポリカーボネートオリゴマー
ビスフェノールAとフォスゲンから界面重合法により得られた平均重合度7の粉粒状ポリカーボネートオリゴマー(三菱瓦斯化学(株)製、AL−071)
<E成分> グラフト共重合体
オルガノシロキサンゴム成分とポリアルキルメタアクリレートゴム成分から構成された複合ゴムに、スチレン及びアクリロニトリルがグラフトされてなる複合ゴム系グラフト共重合体(三菱レイヨン(株)製、メタブレンRK−200)
<F成分> 黒色染顔料
カラー用カーボンブラック(三菱化学(株)製、三菱カーボンブラック#1000)、粒子径18nm
【0066】
(実施例1〜3、比較例1〜6)
[ペレット作成]
後記表−1に示す成分、割合にて配合し、タンブラーミキサーにて均一混合した樹脂組成物を、2箇所のフィード口(メインホッパー及びサイドフィーダー)を有する二軸押出機(30mmφ)を用いて、シリンダー温度280℃で、溶融、混練してペレットを製造した。
但し、比較例1〜3においては、長繊維成分のみをサイドフィーダーからフィードし、他の各成分を含む組成物は、メインホッパーから該押出機にフィードした。また、他の実施例及び比較例においては、全成分を含む組成物をメインホッパーから該押出機にフィードした。
【0067】
[機械物性評価]
得られたペレットを、射出成形機(住友重機械工業社製、サイキャップM−2、型締め力75T)を用い、シリンダー温度290℃、金型温度110℃の条件で、各種ASTM試験片を製造し、曲げ弾性率は、ASTM−D790曲げ試験法による3点曲げ試験により測定し、Izod衝撃強度は、ASTM−D256により非ノッチ、厚さ3.2mmで測定を行った。結果を表−1に記した。
[繊維長測定方法]
得られたIzod試験片を切削後、るつぼに入れ、650℃、2時間焼成して、樹脂成分を充分除去する。その後、残ったガラス繊維を少量メタノール中に分散した後メスピペットを用いガラス板上に重ならないように分散させ、顕微鏡を用いて画像を取り込む。画像解析により、2000〜3000本程度の繊維長データを読み取り、5μm毎の範囲ににおける本数と繊維長との積を求める。その積の合計に対する比率を各範囲毎に求め、所定繊維長を持つ4区分(140μm以下、140μm超500μm以下、500μm超、1000μm超)ごとに比率を合計し、区分ごとの比率(%)を算出した。結果を表−1に記した。
[寸法異方性評価]
射出成形機(日鋼J220EP、型締め力220トン)を用い、シリンダー温度290℃、金型温度100℃の条件で、樹脂組成物を一辺の長さが100mmの正方形、厚み1.0mmの試験片を成形した。この試験片を23℃、50%RHにて48時間調湿後、成形収縮率を測定した。具体的には、流れ方向(MD)および流れと垂直方向(TD)の各々の100mm辺の長さ寸法を測定し、金型寸法からどの程度収縮していたかを%単位で表した。寸法異方性については、上記の方法で測定したMDとTDとの成形収縮率の比(MD/TD)を算出し評価した。結果を表―1に記した。なお、寸法異方性の値が大きいほど、寸法安定性は優れると評価する。
【0068】
[塗装部品の製造]
得られたペレットを、射出成形機((株)日本製鋼所製、J−50EP、型締力50t)を用い、シリンダー温度300℃、金型温度130℃の条件で、厚さ2mmで40mm×80mmの成形片を作成した。この成形片の片面に、カーテンフローターを用い、UV硬化型塗料カシューUV♯200(カシュー(株)製)を塗布し、UV硬化して、塗装部品を得た。得られた塗装部品の塗装膜の膜厚は50μmであった。
【0069】
[塗装膜の膜厚の測定方法]
得られた塗装部品の中央部分をダイヤモンドカッター(ISOMET)にて切断し塗装膜断面を出した後に、塗装膜断面をマイクロスコープ(キーエンス社製)を用い、175倍で観察した。同装置に付属のスケール表示を用いて、塗装膜の膜厚を測定した。
【0070】
[光沢塗装後のブツ確認]
得られた光沢塗装部品表面について、高輝度ランプによる白色光線照射下の目視観察を行い、ブツ(微小な斑点)の有無を確認した。塗装部品表面に1個でもブツが観察された場合に「有り」と表示し、ブツが全く観察されない場合に「無し」と表示した。結果を表−1に記した。
[塗装性]
上記塗装部品の製造において、UV硬化型塗料を成形品の表面に塗布する際の外観から、塗装はじきのない場合を○とし、塗装はじきが少しある場合を△とし、塗装はじきがある場合を×とする基準で、塗装性を評価した。結果を表−1に記した。
【0071】
[成形後粘度平均分子量]
Izod試験片をペレットの大きさにカッティングしたものを試料として、本文中に記載した手順で得られた極限粘度[η]から、Schnellの粘度式により粘度平均分子量[Mv]を算出した。結果を表−1に記した。
【0072】
【表1】

【0073】
上記の表−1の結果から、実施例1〜3では、剛性、耐衝撃性が良好で、成形後の繊維長500μmを超える成分の割合が適切であり、1000μmを超える成分もなく、光沢塗装部品表面にブツがないことが確認されるが、これら実施例と比較例1〜3を比較すると、長繊維成分のフィード位置をメインホッパーからサイドフィーダーに変えると、成形後の繊維長1000μmを超える成分を1%未満に抑えることができず、光沢成形後の塗装部品の表面にブツの存在が確認され、さらには寸法異方性の値が小さいので、成形収縮の観点から見た寸法安定性に劣り、所望の効果が達成されないことが明らかである。また実施例1と比較例4、5を比較すると、離型剤をペンタエリスリトールテトラステアレートから、ステアリン酸モノステアレートに変えると、成形後粘度平均分子量が大きく低下し、またポリエチレンワックスに変えると、塗装性が悪化し、いずれも、塗装部品として実用に耐えないことが明らかである。
【0074】
(実施例4)
実施例1で用いたポリカーボネート樹脂組成物を用いて、携帯電話筐体用金型を装着した射出成型機(株式会社日本製鋼所製J−50EP、型締め力50t)を使用し、シリンダー温度300℃、金型温度130℃の条件で、成形を行い、携帯電話筐体を得た。得られた筐体は、カーテンフローターを用い、UV硬化型カシューUV#200(カシュー株式会社製)を塗布し、UV硬化して塗装された筐体を得た。得られた塗装筐体は、ブツが観察されなく、また塗装性にも優れており、塗装膜の膜厚は60μmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂(A)80〜95重量%とガラス繊維(B)5〜20重量%からなる樹脂組成物であって、ガラス繊維(B)が繊維長140μm以下の短繊維と140μmを超える長繊維からなり、該短繊維(BS)と該長繊維(BL)との比率が下記式(1)を満足し、かつ、B成分中で繊維長が500μmを超えるガラス繊維が1〜15%であり、さらに、1000μmを超えるガラス繊維が1%未満であり、ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100重量部に対し、炭素数3〜32の一価又は多価の脂肪族アルコールと炭素数3〜32の脂肪族カルボン酸とのフルエステル(C)を0.01〜2重量部含有する樹脂組成物の成形品を塗装してなることを特徴とする塗装部品。
[数1]
45/55≦(BS)/(BL)≦90/10 (1)
【請求項2】
上記樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100重量部に対し、ポリカーボネートオリゴマー(D)2〜15重量部、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなる複合ゴムに芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物とがグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体(E)1〜10重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の塗装部品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塗装部品の塗装膜厚が20〜100μmであることを特徴とする塗装部品。
【請求項4】
上記塗装が、紫外線硬化型塗料による光沢塗装であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗装部品。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の塗装部品が携帯用電子機器用筐体であることを特徴とする携帯用電子機器用筐体。

【公開番号】特開2008−239940(P2008−239940A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104859(P2007−104859)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】