説明

塩化ナトリウムの製造システム

【課題】簡単な処理方法で高純度の塩化ナトリウムを精製する塩化ナトリウムの製造システムを提供すること。
【解決手段】本発明は、燃焼排ガス中に重曹を添加して生成される生成物を水に溶解させ、溶解液を精製して塩化ナトリウムを製造する塩化ナトリウムの製造システムにおいて、溶解液中の炭酸根を分解して除去する脱炭酸槽4によって炭酸根が除去された溶解液中に残留する硫酸根、重金属及びフッ素化合物を沈澱除去する沈澱除去手段と、この沈澱除去手段によって硫酸根、重金属及びフッ素化合物を沈澱除去して得られた上澄液を加熱濃縮して塩化ナトリウムを晶析させる晶析槽10と、この晶析槽10によって晶析された塩化ナトリウムを分離して得られた母液を再びシステム内へ戻して循環させる送液手段14と、を備えることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用の塩化ナトリウムを製造する塩化ナトリウムの製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の焼却排ガス中に含まれる塩化水素を除去する方法として、燃焼排ガス中に粉末状の炭酸水素ナトリウム(以下、重曹という)を添加し、塩化水素と反応させて固体の塩化ナトリウムを生成させ、これをバグフィルタ等の集塵機で分離して除去する技術が知られている。
【0003】
一方、この燃焼排ガスの処理において分離される塩化ナトリウムを回収し、工業的に再生、利用する試みが検討されている。例えば、電解ソーダ工業において、塩化ナトリウムは、苛性ソーダや塩素などを製造する原料として用いられる。
【0004】
しかし、排ガス処理施設から回収される塩化ナトリウムには、不純物(例えば、多価金属、排ガス中の硫黄酸化物に起因する硫酸根、未反応の重曹に由来する炭酸根など)が含まれるため、工業用原料として塩化ナトリウムに要求される規格には適合しない。そのため、塩化ナトリウムを工業用原料として再利用するためには、これらの不純物を分離して精製する必要がある。
【0005】
これに関し、例えば、燃焼排ガス中に重曹を添加して回収される固体生成物を水に溶解させ、この水溶液をpH8〜14として該水溶液中の多価金属を水酸化物として沈澱除去し、次いで溶解性の多価金属をキレート樹脂に吸着させて分離除去する一方、水溶液中にカルシウム薬剤を添加して、硫酸根、炭酸根をそれぞれ硫酸カルシウム、炭酸カルシウムとして沈澱除去することにより、得られた塩化ナトリウム水溶液を工業用として再利用する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特許第3390433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のように、被処理物が水に希釈された水溶液を用いて、高純度の塩化ナトリウム水溶液を精製する方法の場合、通常、高度な分離技術が要求される。例えば、水溶液中の多価金属は、水酸化物として沈澱させた後、キレート樹脂による吸着除去が必要となり、加えて、pH調整や固液分離の操作が多くなる等、プロセス自体が煩雑になるという問題がある。また、炭酸根と硫酸根を沈澱除去する際に多量のカルシウム薬剤が必要となるため、汚泥が大量に発生するという問題がある。
【0008】
一方、廃棄物の燃焼排ガス中にはフッ素化合物やヨウ素が含まれており、特にヨウ素は、ソーダ工業の電解操作においてイオン交換膜中に蓄積し、膜組織を破壊することが知られている。しかしながら、例えば、特許文献1のように、不純物を水酸化物として沈澱させる方法の場合、フッ素化合物やヨウ素などを高い精度で分離することができないという問題がある。
【0009】
さらに、精製された塩化ナトリウム水溶液を濃縮して乾燥させることにより、固体の粗食塩が得られるが、母液中に不純物が残存する場合、不純物が粗食塩中に取り込まれるおそれがある。
【0010】
本発明は、簡単な処理方法で高純度の塩化ナトリウムを精製する塩化ナトリウムの製造システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するため、燃焼排ガス中に重曹を添加して生成される生成物をバグフィルタ等の集塵機により焼却排ガスから分離回収し、その回収物を水に溶解させ、この溶解液を精製して塩化ナトリウムを製造する塩化ナトリウムの製造システムにおいて、溶解液をpH8未満、好ましくはpH4〜5として溶解液中の炭酸根を分解して除去する脱炭酸槽と、この脱炭酸槽によって炭酸根が除去された溶解液中に残留する硫酸根と重金属とを沈澱除去する沈澱除去手段と、この沈澱除去手段によって硫酸根と重金属とを沈澱除去して得られた上澄液を加熱濃縮して塩化ナトリウムを晶析させる晶析槽とを備えてなることを特徴としている。
【0012】
すなわち、排ガス中の塩化水素は重曹と反応して塩化ナトリウムが生成され、その生成物の溶解液は、脱炭酸槽と沈澱除去手段により不純物が取り除かれた後、晶析槽で濃縮されて飽和水溶液となる。その飽和水溶液から塩化ナトリウムを晶析させて、固液分離することにより、高純度の塩化ナトリウムを分離できる。ここで、塩化ナトリウムは、例えば、飽和水溶液を溶解度に応じて所定温度まで冷却することにより、高純度の結晶体として単離することができる。
【0013】
また、本発明では、溶解液中の炭酸根を分解除去した後、硫酸根を除去するようにしているため、硫酸根を効率的に沈澱除去することができ、かつ、カルシウム薬剤の使用量及び汚泥発生量を低減することができる。加えて、例えば、キレート樹脂塔のような高度な分離設備が不要となるため、設備構成を簡単化できる。
【0014】
この場合において、沈澱除去手段による溶解液の沈澱除去操作及び晶析槽による上澄液の晶析操作はいずれもpH8未満で行われる。すなわち、例えば、脱炭酸槽の溶解液に塩酸を加えることで、容易に脱炭酸処理を施すことができ、その後の沈澱除去操作や晶析操作においても、pH8未満で処理することができる。
【0015】
また、沈澱除去手段においては、脱炭酸槽によって炭酸根が除去された溶解液中に残留するフッ素化合物を沈澱除去するようにする。このように、例えば、炭酸根が除去された溶解液を中性液に調整し、カルシウム薬剤を添加することにより、溶解液中のフッ素化合物はカルシウム薬剤と反応して沈澱するため、硫酸根とフッ素化合物を同時に処理することができ、効率的である。
【0016】
また、晶析槽によって晶析された塩化ナトリウムを分離して得られた母液を再びシステム内へ戻して循環させる送液手段を備えるようにする。これにより、塩化ナトリウムが分離された母液中に不純物が残存していても、母液は濃縮された状態で送液手段によりシステム内へ戻されて再び系内を循環し、その過程で適宜不純物が取り除かれるため、母液中の不純物は所定の濃度範囲に抑制され、高純度の塩化ナトリウムを得ることができる。
【0017】
ここで、送液手段によって戻される母液の一部を曝気してヨウ素を曝気除去し、この曝気された母液を脱炭酸槽へ供給する曝気手段を設けることが好ましい。これによれば、母液中のヨウ素を連続的に除去することができ、晶析槽における母液中のヨウ素を所定の濃度範囲に低減することができるため、塩化ナトリウムを高品質に保つことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡単な処理方法で、高純度の塩化ナトリウムを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本実施形態は、焼却施設から回収される副生塩を精製し、工業用、特に電解ソーダ工業の原料塩となる塩化ナトリウムを製造するプロセスに関するものである。以下、本発明が適用される塩化ナトリウムの製造システムの一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用される塩化ナトリウムの製造システムの系統図である。
【0020】
図1の塩化ナトリウムの製造システムは、バグフィルタ1、溶解槽2、貯留槽3、脱炭酸槽4、反応槽5、沈澱槽6、ろ過装置7、活性炭塔8、塩水受槽9、晶析槽10、遠心分離機11、母液受槽12、曝気塔13、送液手段14を備えて構成される。
【0021】
家庭用廃棄物や都市廃棄物などの焼却施設において、焼却炉から排出される排ガス中には、飛灰、有害酸性成分及び重金属類などが含まれている。このため、先ず、焼却炉から排出される排ガスは、1段目のバグフィルタ(図示せず)を通過する際に飛灰と重金属の大部分が濾布に捕集される。続いて1段目のバグフィルタを通過した排ガス中に、空気輸送管(図示せず)を通じて空気輸送された微粉重曹が添加される。排ガス中に添加された重曹は、例えば、後流側に設置される2段目のバグフィルタ1の濾布面に堆積し排ガス処理層を形成する。これにより、排ガス中の塩化水素、硫黄酸化物及びフッ化水素などの酸性ガスは、排ガス処理層を通過する際に微粉重曹と反応して中和処理され、生成された副生塩が回収される。
【0022】
図1に示すように、バグフィルタ1から回収される副生塩は、先ず、溶解槽2に導入され、水を添加してスラリー状の溶解液となる。この溶解液は、適宜、貯留槽3に送液され、そこで後述する晶析槽10の母液と均一に混合されて原液となる。この原液は、例えば、pH10〜12のアルカリ性である。
【0023】
次に、貯留槽3の原液は、脱炭酸槽4に送液され、そこで後述する曝気塔13から導入されたヨウ素除去液と均一に混合されて混合液となり、pH8未満、好ましくは、pH4〜5の中性或いは酸性となる。ここで、混合液中に存在する炭酸根(例えば、炭酸ナトリウム)は、曝気塔13から供給されるヨウ素除去液中に含まれる余剰のHClと反応することにより分解され(式1)、脱炭酸液となる。なお、脱炭酸槽4には、必要に応じて、HClが直接添加される。
【0024】
NaCO+2HCl → 2NaCl+HO+CO↑(式1)
次に、脱炭酸槽4において炭酸根が除去された脱炭酸液は、反応槽5に送液され、そこでNaOHが適宜供給されて、例えば、pH7に調整される。この反応槽5には、硫酸根及びフッ素化合物を沈澱除去するためのカルシウム薬剤として、塩化カルシウム(CaCl)が添加される一方、重金属類を沈澱除去するための硫化物として、硫化ナトリウム(NaS)が、それぞれ添加される。これにより、硫酸根(例えば、硫酸ナトリウム)とフッ素化合物(例えば、フッ化ナトリウム:NaF)は、塩化カルシウムと反応し、それぞれ硫酸カルシウム(CaSO)、フッ化カルシウム(CaF)が生成するとともに、塩化ナトリウムが生じる(式2,式3)。また、重金属類(例えば、Zn,Cd,Hg、Pb)は、硫化ナトリウムと反応し、それぞれ重金属硫化物を形成する。
【0025】
NaSO+CaCl → 2NaCl+CaSO↓(式2)
2NaF+CaCl → 2NaCl+CaF↓(式3)
続いて、硫酸根等が処理された脱炭酸液は、沈澱槽6へ送液され、PAC(ポリ塩化アルミニウム)及び高分子凝集剤が添加される。これにより、脱炭酸液から、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、重金属硫化物が凝集分離され、これらの凝集物は汚泥として沈澱槽6の外部へ排出される。
【0026】
汚泥が取り除かれた沈澱槽6の上澄液は、ろ過装置7に送液され、液中に残存する凝集物などがフィルタに捕集される。ろ過装置7を通過した上澄液は、活性炭塔8に送液され、そこで液中に残留するSS(浮遊粒子状物質),有機物などが活性炭に吸着除去される。活性炭塔8により不純物が除去された処理液は、塩水受槽9に一時貯留される。
【0027】
晶析槽10に送液された処理液は、例えば、所定の減圧雰囲気下で加熱濃縮され、飽和状態となる。この飽和液中には、高濃度の塩化ナトリウムに加えて、比較的低濃度の不純物が残存する場合があるが、周知の方法により、例えば、この処理液を塩化ナトリウムの溶解度に応じて所定温度まで冷却、或いは所定濃度まで濃縮させることにより、不純物を含まない高純度の塩化ナトリウムを晶析させて単離することができる。
【0028】
次に、晶析槽10にて分離された塩化ナトリウムは、例えば、水分を含むスラリーの状態で遠心分離機11に送られ、そこで脱水処理が行われる。なお、塩化ナトリウムは、その表面に母液中に残存する不純物が付着しているおそれがあるため、適宜、リンス液を用いて洗浄処理することが好ましい。遠心分離機11のフィルタに残存する塩化ナトリウムは製品の粗食塩として母液から分離されて回収される一方、濃縮された母液は母液受槽12へ送液される。
【0029】
母液受槽12へ導かれて貯留された母液は、例えば、循環ポンプと送液管から構成される送液手段14により反応槽5へ送液されるが、残りの母液(例えば、10%)は、反応槽5を経ずに分流されて曝気塔13へ送液される。
【0030】
曝気塔13に導入された母液は、塩酸が添加され、例えば、pH1に調整されるとともに、母液のORP(酸化還元電位)が所定値(例えば、560mV)になるように、適宜次亜塩素酸ソーダが添加される。そして、pHとORPが調整された母液は、所定温度に加熱され、塔下部から曝気用空気が導入されることにより液中のヨウ素イオンは遊離ヨウ素(I)となり大部分が曝気塔13から放散除去される。曝気処理されたヨウ素除去液は、上述したように、脱炭酸槽4に導入され、そこで、貯留槽3から送液される原液と混合されて混合液となる。
【0031】
また、曝気塔13においては、ヨウ素の除去とともに、母液中の炭酸根がHClと反応して分解除去される(式1)。
【0032】
本実施形態の塩化ナトリウムの製造システムでは、晶析槽10の母液中には、脱炭酸槽4、反応槽5、曝気塔13などで除去しきれなかった炭酸根、硫酸根、フッ素化合物、ヨウ素、重金属などの不純物が残存し濃縮されるが、これらの不純物は、送液手段14を介して反応槽5、曝気塔13へ戻され、再び系内を循環することにより、その過程で連続的に除去される。そして、沈澱槽6から排出される不純物の排出量と、焼却施設から導入される副生塩中の不純物の導入量との均衡が維持されることにより、母液中の不純物の濃度は所定範囲に保持される。すなわち、本実施形態によれば、晶析槽10の母液中にある程度の不純物が含まれていても、塩化ナトリウムのみを晶析させることができるから、母液中から高純度の粗食塩を分離、回収することができる。そのため、例えば、高度な不純物の除去操作やキレート樹脂塔のような高価な除去設備を必要とせず、極めて経済的である。
【0033】
また、本実施形態では、晶析槽10の母液の一部を分流させて曝気塔13へ導入することにより、所定のpHで、ヨウ素を曝気処理することができる。そして、この曝気塔13にて、塩酸を過剰に供給し、脱炭酸槽4へ送液するヨウ素除去液を塩酸過剰とすることにより、脱炭酸槽4内の混合液をpH調整し、炭酸根を塩酸と反応させて分解除去することができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、混合液中の炭酸根を塩酸と反応させ、これを分解除去させてから、硫酸根を沈澱処理するようにしている。これにより、反応槽5において、硫酸根を沈澱処理する際は、硫酸根の沈澱を抑制する炭酸根の影響を受けることなく、簡易な設備で硫酸根を効率的に沈澱除去することができる。加えて、カルシウム薬剤は、硫酸根とフッ素化合物の沈澱除去のみに使用されるため、カルシウム薬剤の使用量及び汚泥発生量を低減することができる。
【0035】
また、本実施形態では、混合液中のフッ素化合物の分離除去において、カルシウム薬剤を用いて不溶化処理した後、高分子凝集剤を用いて凝集分離するようにしている。これにより、フッ素化合物及び他の不純物を高い精度で分離除去することができる。この場合、凝集沈澱に用いる薬剤としては、例えば、中性系又はアニオン系の高分子凝集剤とともにPACを用いることが好ましい。
【0036】
また、本実施形態では、反応槽5において、例えば、混合液をpH7に調整し、混合液中の重金属類を硫化ナトリウムと反応させて沈澱分離するようにしている。これによれば、同じpH条件において重金属類の沈澱分離、硫酸根、フッ素化合物の沈澱除去を行うことができるため、各不純物の処理に応じて各々pH調整を行う必要がなく、分離操作と設備を簡単化できる。
【0037】
また、本実施形態では、沈澱槽6の上澄液が、ろ過装置7、活性炭塔8を順に経由する構成としているため、上澄液中に残存するSSや有機物などを効果的に除去することができる。
【0038】
次に、上記の塩化ナトリウムの製造システムと異なる他の実施形態について図面を用いて説明する。
【0039】
図2は、本発明が適用される塩化ナトリウムの製造システムの一実施形態の系統図である。なお、図1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
図2の塩化ナトリウムの製造システムは、遠心分離機11により製品の粗食塩と分離された母液を塩水受槽9へ送液し、残りの母液(例えば、10%)を曝気塔13へ送液している点で、図1のシステム構成と相違する。
【0041】
これによれば、反応槽5から活性炭塔8の間の流量を、図1の構成の場合と比べて大きく低減できるため、塔槽類の容積低減、ポンプ等の仕様低廉を図ることができ、装置のコンパクト化及び設備コストの抑制が可能となる。
【0042】
なお、この実施形態では、母液の送液先を塩水受槽9及び曝気塔13へ戻す例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、システム内において脱炭酸槽4の上流側と下流側のいずれかの複数箇所に適宜分散させて供給するようにしてもよい。
【0043】
以上述べたように、本発明によれば、晶析槽10で塩化ナトリウムを晶析させるとともに、その母液をシステム内で循環させ、不純物を分離除去するようにしているため、簡単な処理方法で、高純度の塩化ナトリウムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る塩化ナトリウムの製造システムの一実施形態の系統図である。
【図2】本発明に係る塩化ナトリウムの製造システムの他の実施形態の系統図である。
【符号の説明】
【0045】
1 バグフィルタ
2 溶解槽
3 貯留槽
4 脱炭酸槽
5 反応槽
6 沈澱槽
7 ろ過装置
8 活性炭塔
9 塩水受槽
10 晶析槽
11 遠心分離機
12 母液受槽
13 曝気塔
14 送液手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガス中に重曹を添加して生成される生成物を水に溶解させ、該溶解液を精製して塩化ナトリウムを製造する塩化ナトリウムの製造システムにおいて、
前記溶解液中の炭酸根を分解して除去する脱炭酸槽と、該脱炭酸槽によって前記炭酸根が除去された前記溶解液中に残留する硫酸根と重金属とを沈澱除去する沈澱除去手段と、該沈澱除去手段によって前記硫酸根と前記重金属とを沈澱除去して得られた上澄液を加熱濃縮して前記塩化ナトリウムを晶析させる晶析槽とを備えてなる塩化ナトリウムの製造システム。
【請求項2】
前記沈澱除去手段による前記溶解液の沈澱除去操作及び前記晶析槽による前記上澄液の晶析操作をpH8未満で行うことを特徴とする請求項1に記載の塩化ナトリウムの製造システム。
【請求項3】
前記沈澱除去手段は、前記脱炭酸槽によって前記炭酸根が除去された前記溶解液中に残留するフッ素化合物を沈澱除去することを特徴とする請求項1に記載の塩化ナトリウムの製造システム。
【請求項4】
前記晶析槽によって晶析された前記塩化ナトリウムを分離して得られた母液を再びシステム内へ戻して循環させる送液手段を備えてなる請求項1乃至3のいずれかに記載の塩化ナトリウムの製造システム。
【請求項5】
前記送液手段によって戻される前記母液の一部を曝気して該母液中のヨウ素を曝気除去し、該曝気された前記母液を前記脱炭酸槽へ供給する曝気手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の塩化ナトリウムの製造システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−269579(P2007−269579A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97945(P2006−97945)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【出願人】(500541597)ダイソーエンジニアリング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】