説明

塩化銅溶液から銀を除去する方法

本発明は銅回収工程において銀を塩化物溶液から除去する方法に関する。本方法によれば、細粒化した銅粉および水銀を用いて銀を除去する。銀除去は少なくとも2段階で行い、水銀をこの溶液中の銀に対する一定のモル比で溶液へ投入する。

【発明の詳細な説明】
【詳細な説明】
【0001】
本発明は、銅回収工程において塩化銅溶液から銀を除去する方法に関するものである。本方法によれば、細粒化した銅粉と水銀を用いて銀を除去する。銀の除去は少なくとも2段階で行い、水銀をこの溶液中の銀に対する一定のモル比で溶液へ投入する。
【0002】
米国特許公報第6,007,600号が、硫化銅精鉱などの銅含有原料からの湿式冶金による銅生成方法を開示している。この方法によれば、強い塩化ナトリウム-塩化銅溶液を用いた逆流によって上述の原料を数段階で浸出して、一価塩化銅(I)溶液を生成している。いくらかの二価塩化銅と、他の金属から成る不純物がいずれもこの溶液に常に残留するので、この二価銅の還元と溶液の精製が行なわれる。純粋な塩化第一銅溶液が水酸化ナトリウムによって析出されて、銅オキシジュールになり、このオキシジュールが更に還元されて、素銅になる。銅オキシジュール析出中に生成された塩化ナトリウム溶液は、更にクロルアルカリ電解で処理され、これによって得られた塩素ガスおよび/または塩化物溶液が原料として浸出に、電解によって生成された水酸化ナトリウムがオキシジュール析出に、更に水素が銅の素銅への還元に用いられる。このように米国特許公報第6,007,600号は全体として銅回収方法に焦点を絞っているが、例えば銀の回収については詳細に開示されていない。
【0003】
銅原料を溶解して塩化物溶液中の銅が一価である場合は、銀も溶解していることを意味する。これらの金属の特性は互いに近似しているので、銅粉だけを用いた沈殿による分離は十分に良好な最終結果を生むには不十分であり、銀の回収には他の方法も用いることが必要である。
【0004】
上述の米国特許第6,007,600号における方法によれば、水酸化ナトリウムを用いて塩化第一銅溶液から銅オキシジュールを析出させる。この銅オキシジュール析出において、銀はその溶液から銅と一緒に析出される。この工程における目的はLME A級の銅を生成することであるので、塩化第一銅溶液中の銀の水準がLME A級の銅の純度条件と一致することが重要である。例えば、LME A級における陰極の銅内の銀の許容量は<25ppm (BS 6017:1981)である。もし、例えば塩化銅溶液中の銅が60g/Lである場合、要求されたLME級を達成するには、この溶液中の銀の量は1.5mg/L未満にする必要がある。
【0005】
米国特許公報第5,487,819号は、Intec Ltdが開発した、硫化銅精鉱などの銅含有原料からの湿式冶金による銅の生成方法を開示している。この方法によれば、塩化銅ナトリウム塩化物溶液を用いた逆流浸出において、この原料を数段階で浸出して、塩化銅(I)溶液を生成している。この生成された溶液は更に銀除去処理される。先ず、塩化第一銅溶液を素銅上に流して、この銅上に銀を沈殿させる。次に、ミキサーを装備した電解採取セルへこの溶液を回送する。このセルには円筒状のチタン金網製の陰極で包まれた銅の電極を設けてもよいし、または、これらの電極をチタンのかごの中で粒状もしくはブリケット状の銅で形成することが可能である。イオン状の水銀をこの溶液に投入し、陰極にCu/Hg/Agアマルガムを生成する。このアマルガムを強い塩化第二銅溶液で溶解し、アマルガムを破壊して第二銅イオンおよび水銀イオンへと解体する。この溶液を希釈すると、塩化銀が沈殿し、次にこれを熱処理して金属銀を生成する。
【0006】
Intec Ltdのウエブサイトでは「Intec銅持続処理方法」と題した2001年12月21日付けの記事が得られ、これには、銅回収工程における現在の銀の除去が説明されている。この記事によれば、銅電解採取に頼る塩化銅溶液からの銀の除去を、可溶水銀およびアルミニウムを貴液へ添加することによって行なっている。アルミニウムがこの溶液中の銅によって大きな表面面積を有する「銅のスポンジ」になり、直流電流によってこの溶液から銀をアマルガムとして除去することを可能にしている。このアマルガムを処理して、可溶水銀を生成し、循環路の開始部へ還流させる。銀は銀地金として回収される。
【0007】
米国特許第4,124,379号には、塩化物浸出を用いて銀および鉄を含有する精鉱から銅を回収する方法を開示している。銀除去用のカラム内では、水銀と、他の銅や鉄や亜鉛などの金属とのアマルガムが生成される。鉄と亜鉛だけは、この溶液から一価銅を完全に還元するであろうが、これらが水銀とのアマルガムを生成している場合、銅は少ししか析出されない。銅は標準金属であり、これを水銀で被覆した粒状の形で使用することができる。塩化第一銅溶液をカラムへと投入してこのアマルガムと接触を生じさせて、アマルガム中の金属が溶液中の銀と入れ替わるようにする。銀は銀回収路において回収され、そこでは水銀蒸留が起こる。
【0008】
米国特許第5,487,819号が開示しているチタン製金網陰極による銀の電解は実行するには複雑であるように思われる。この工程の比較的最近の方式においては、電解に代えて、溶液へ水銀およびアマルガムを添加している。しかし、純銅の生産における目的は、アルミニウムイオンなどのすべての新しいイオン類も総じてそれぞれ自身の除去工程を必要とするので、これらのイオン類の溶液への介入を回避することにある。米国特許第4,124,379号は2つの段階、すなわち、水銀による銅(もしくは他の金属)の被覆と、水銀の蒸留を有するが、これらは環境衛生の観点から今日では推奨されない。
【0009】
今日では、湿式冶金による銅回収工程において塩化第一銅溶液から銀を除去する方法が開発されている。この方法は上述のものよりも簡単であり、塩化第一銅溶液に対して可溶水銀および銅粉以外の余分な物質を添加する必要がない。
【0010】
本発明は、可溶水銀および細かい粉銅を用いて、塩化第一銅溶液からの銀の析出を少なくとも2段階で行なうことを特徴としている。この複数の銀回収段階では、析出段階の反応炉に細粒化した銅がいくらか存在しており、これらが溶液から銀を析出する。水銀によって行なわれるアマルガム析出においては銅が沈降面として働くので、この反応によって完全には完了しない。第1のアマルガム析出段階において、この溶液へ投入する水銀の、溶液中の銀に対するモル比は0.5〜2対1の間になるように調整され、第2段階において、水銀対銀のモル比は最低限度2対1になるように調節される。この塩化第一銅溶液に残留している水銀があれば、微細な粉銅によってこれを析出して、次の処理へ行くこの溶液を無水銀にする。析出において生成された沈殿物と、その中に残留する細粒化銅は、銀除去段階における溶液の方向に対して逆流して還流される。この析出した銀アマルガムを処理して水銀を浸出し、それを銀析出段階へ回送し、この銀は塩化銀として沈積する。
【0011】
本発明の主たる構成要件は添付の特許請求の範囲に明らかである。
【0012】
塩化物の浸出を基礎とした湿式冶金から銅を回収する際において、通常、第1段階は硫化銅精鉱の浸出であり、結果として生じる溶液中の銅は主に一価である。このような環境においては、銀もやはり一価の形で溶解している。この溶液に対する次の処理が、電解による採取、または、銅オキシジュールによる析出のいずれであっても、溶液中のすべての銅は一価である方が有益である。このため、浸出後は溶解中の精鉱の二価銅を、還元もしくは析出のいずれかに手法によって除去する。次の処理段階は不純物(他の金属類)の除去であり、銀の除去はこの不純物除去の段階の一部と見ることができる。本発明において、塩化第一銅溶液から銀をアマルガムとして析出することは、特殊な条件が要求されない点で簡単である。実際には、これは、その溶液が前の処理段階から送られてきた時の温度およびpHで行なうことができる。二価銅を除去する段階から送られてきた溶液の温度は50〜70℃、pHは1〜5である。銀除去のそれぞれの段階に用いられる反応炉は、混合反応炉である。この段階には1つもしくは複数の反応炉を含めることができるが、本発明の説明においては簡略にするため、1段階当り1つの反応炉だけについて言及する。銀の除去をバッチ処理もしくは連続処理として行なうことが可能である。特に、一つの段階から次の段階へ溶液が連続して流れるように反応炉を配置するとよい。
【0013】
銀除去の第1段階は、細粒化した銅のみを用いた析出段階であることが好ましい。このように銅沈殿物のみを用いることで、溶液中の銀の水準を約30mg/lまで低下させることが可能になると同時に、後続の段階における水銀の使用が最小限度になる。析出した金属銀を、すべての銅が溶解するまで反応炉の中に保持し、その反応炉から純粋な(実際には90%以上の)銀の粉を回収することが可能になる。銅の析出は次の反応により行なわれる。

Cu + AG+→AG + Cu+ (1)

原料中の銀の量が、例えば30mg/l未満のように、少ない場合は、銅粉のみを用いて行なう銀の析出段階は完全に省略することができ、その代わりとして、水銀のみを使用して行なう析出段階を実施することができる。
【0014】
塩化第一銅溶液を銀除去の第2段階に投入し、これを水銀によって遂行する。これを第1のアマルガム析出段階と呼ぶこともできる。反応炉には銅アマルガムも含む銅が入っているが、これは先の銀除去段階からこの段階へと移されたものである。可溶水銀が、塩化第一銅溶液中の銀の量に対して0.5から2、望ましくは1のモル比で溶液へ投入される。この段階において、この溶液中のほとんどの銀が銀アマルガムとして析出する。これらの反応を例えば次のように説明することができる。

2Cu + Hg+→CuHg + Cu+ (2)

CuHg + Ag+→HgAg + Cu+ (3)

これらの反応は、銀および水銀が、溶液から銀アマルガムとして析出する時、銅が同時に溶解することを示している。この沈殿物は、この反応炉から除去されて、水銀浸出および銀回収段階へと向かう。
【0015】
塩化第一銅溶液が銀除去の第3段階へ投入されるが、これもやはり第2のアマルガム析出段階と呼ぶことができる。溶液中の銀に対するこの段階で投入する水銀のモル比は、少なくとも1対2、好ましくは1対5である。しかし、この塩化第一銅溶液中には銀が数ミリグラム、10%未満しか溶解していないので、この段階に必要な水銀の量は第1の析出段階で投入される量よりも少ない。更にこの段階において、反応炉内には、水銀除去段階からここへ送られてきた、いくらかの細粒化した銅が存在する。水銀は、銅の表面上に銅アマルガムを形成している溶液から析出されるが、その上に銀が銀アマルガムとして反応式(2)および(3)に従って析出される。この沈殿物は第1のアマルガム析出段階へと運ばれる。析出後、第3の段階から除去された塩化第一銅溶液の銀含有量は、最終製品中の銀の量がLME等級で要求されるものよりも少ない水準にまで低下している。
【0016】
塩化第一銅溶液を無水銀にするため、水銀除去段階における溶液に対して更なる水銀除去が行なわれる。
【0017】
水銀は細粒化した銅を用いて除去するが、投入するCu粉の量は、その粒子の大きさが200μm未満の場合では100g/lの範囲内である。析出段階において用いる銅をもっと粗くすることも可能であるが、その場合、粒子の大きさが大きくなるに従って析出面が小さくなるので、使用量が増える。反応炉の炉床に沈殿する固形物は逆流されて溶液へ移され、すなわち、水銀除去段階から得られた固形物は第3の銀除去段階へ、更にそこから第2段階へ還流され、そこで銀と水銀を分離するために除去される。
【0018】
第2の銀除去段階(第1のアマルガム析出段階)から除去された沈殿物は主として銀アマルガムを含有しており、これは少量の銅を含んでいる。この沈殿物は酸化によって希釈塩化物溶液中へ浸出される。酸化剤は、例えば過酸化水素H2O2、酸素O2、もしくは次亜塩素酸ナトリウムNaOClにすることができる。浸出中に水銀が溶解し、塩化水銀として浸出段階へ送り戻される。銀は、このような条件においては塩化銀として沈殿し、金属銀として回収するための所望の更なる処理へ回送される。この浸出段階で得られた溶液の塩化水銀含有量は、析出段階へ送られる前に正しいモル比にされる。
【0019】
次に、添付の図面を参照して、本発明を更に説明する。
【0020】
図1の流れ図によれば、塩化第一銅溶液は第1の銀除去段階Iへ送られ、ここでこの溶液中の銀の一部が銅粉析出のみによって除去される。段階Iへ送られる銅粉の量は、その粒子の大きさが200μm未満である場合は100g/Lの範囲内である。この段階に用いられる反応炉は混合反応炉であり、この溶液とそれに混合した金属銀をまたは銅を溶解させることで反応炉の底部で分離した銀の両方を(図示せず)、ここから次の段階へ送ることができる。
【0021】
段階Iからの塩化第一銅溶液は、第1のアマルガム析出段階である段階IIへ送られる。可溶水銀もまた、例えば塩化水銀の形で添加される。添加される水銀量は、その溶液中の銀の量に対してモル比0.5〜2:1である。最終の銀除去段IIIにおいて、析出された銀アマルガムおよび未溶解銅粉が析出段階IIへ、つまり逆流させて塩化第一銅溶液へ送られる。溶液中に未だ存在する90%以上の銀が第2段階で析出され、この銀アマルガムは銀分離段階IVへ送られる。
【0022】
分離段階IVにおいて、銀アマルガムは希釈塩化物溶液中で、この溶液を酸化することによって浸出される。酸化は、例えば次亜塩素酸ナトリウムを用いて行われる。浸出の結果、水銀が塩化水銀として溶解し、銀が塩化銀として析出される。この塩化水銀溶液が段階IIおよびIIIへ送り戻される。もし、アマルガム沈積物を酸化/浸出段階へ回送する時に、アマルガム沈積物中に未溶解銅が残留している場合、塩化水銀溶液に銅が入ってもその工程には害を与えない。
【0023】
第3の銀除去段階III、すなわち第2のアマルガム析出段階は、第1のアマルガム析出段階と同様の機能を果たすが、溶液中の銀の量に対する溶液に投入する水銀のモル比は、1モルの銀に対して少なくとも2モル、望ましくは5モルになるように定める。そのモル比は、2〜10間のどれかにすることが可能である。銀除去の最終段階Vからの沈積物もやはりこの段階へ送られる。この段階を出る溶液の銀含有量は、1mg/L未満となり、これは最終製品における含有量<25ppmに相当する。溶液から析出された銀アマルガムと、なお未溶解銅粉があればこれも共に、第2の銀除去段階へ送られる。
【0024】
塩化第一銅溶液中には水銀が全く残らないようにするために、この水銀除去段階Vにおいて、溶液に細粒化した銅粉を添加して、溶液から水銀を除去する。銅粉の投入量は、その粒子の大きさが200μm未満の場合は約100g/lである。この溶液中の水銀を、反応式(2)に従って銅の表面に沈殿させ、実際にこの段階を出る溶液に水銀が残らないようにしている。この沈積物は第2のアマルガム除去段階へ送られる。水銀除去後、塩化第一銅溶液は他の溶液精製段階へ回送される。
【実施例1】
【0025】
塩化第一銅溶液からの銀の除去について研究室での連続実験において研究を行った。連続して連結した複数の混合反応炉において銀の除去を3段階で行った。これらの反応炉には平均粒子サイズ100μmの細粒化した銅粉1回分を入れた。反応炉の有効容量は1.5リットルであった。原料溶液は、銅含有量が60g/L、および、塩化ナトリウム含有量が約280m/Lの、一価銅の濃縮塩化物溶液にした。この溶液の流速は1.5L/h、その温度を60℃にした。この原料溶液の銀含有量は110mg/L、pHは3であった。この溶液の銀含有量を1mg/L以下に減らすことを目標とした。
【0026】
第1段階において、混合反応炉内で回分の純銅粉を用いて析出を行なうことにより、溶液から銀を除去した。この析出段階における溶液の銀含有量は約30mg/Lであった。
【0027】
銀含有量が約30mg/Lの溶液を、混合反応炉に1回分の銅粉が存在している第2段階へ回送した。HgCl2の溶液として水銀60mg/Lを第2段階へ連続的に投入し、原料溶液の銀含有量に対して1:1のモル比になるようにした。銀と水銀は共にこの溶液から析出し、それぞれの原料比と同等のAgHgアマルガムを銅粒子の表面に生成した。それと同時に、銅が溶液中にCu+イオンとして溶解した。第2段階後、この溶液の銀含有量は約3mg/Lであった。
【0028】
銀含有量が約3mg/Lのこの溶液を、混合反応炉に1回分の銅粉が存在している第3段階へ回送した。HgCl2の溶液として水銀30mg/Lを第3段階へ連続的に投入し、原料溶液の銀含有量に対して5:1のモル比になるようにした。水銀がこの溶液から析出し、銅粒子表面にCuHgアマルガムの層を生成した。この生成したCuHgアマルガムによって溶液から銀を沈積した。第3の銀除去段階後、この溶液の銀含有量は目標通り1mg/Lを下まわった。
【0029】
3つの銀除去段階のすべてにおいて、銅の回分を反応炉での析出反応中にほぼ完全に利用することが可能であった。したがって、理論的には反応炉内に銅が残っている限りは溶液の供給が可能であると考えられる。実際において、これらの実験終了時には反応炉には5%未満の銅が固体で残留した。
【0030】
水銀の添加に用いるためのHgCl2溶液を、水銀と銀と銅とを含有する沈積物を浸出することによって準備した。この沈積物は、第2の銀除去段階で生成され、そのときは銀および水銀が銅粉の表面に沈殿しこれと同時に銅が溶解する。この沈積物は、希釈塩化物溶液中で酸化されることによって浸出し、これによって、銀を可溶性の乏しい塩化銀(AgCl)として回収でき、水銀をHgCl2溶液として銀除去段階へ環流することができる。この沈積物が銅を含有していれば、それは溶解し、最後には水銀を含む溶液になり、更に銀除去段階へと進む。
【0031】
65%のHgと、25%のAgと、10%のCuから組成されている50mgの沈積物を、1リットルの1M HCl溶液中で、80℃の温度で酸化して浸出した。用いた酸化剤はNaOClの溶液であり、これを高い酸化ポテンシャル、すなわち+800mV(対AgCl/Ag)を超える値に保った。水銀および銅は二価イオンとして溶液中へ溶解した。銀と塩化物が塩化銀を生成したが、これは希釈塩化物溶液においては可溶性が乏しい。このAgCl沈積物を溶液から除去した。
【0032】
3段階の銀除去継続後、第4の混合反応炉を連結し、この反応炉に1回分の銅粉を入れた。この銅によって、前の段階で溶液中に残っていた水銀を沈殿させると、水銀除去後の溶液のHg含有量は0.2mg/L未満であった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明による一方法の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅回収工程における塩化第一銅溶液からの銀除去方法において、細粒化した銅を用いて可溶水銀を有する塩化第一銅溶液から銀を少なくとも2段階で除去し、それによって、それぞれの段階において、前記溶液中の銀に対する所定のモル比で水銀を前記溶液へ供給し、生成した銀アマルガムを前記細粒化銅の表面に析出させ、前記アマルガムを水銀および銀の分離のために前記溶液から除去し、その後、可溶水銀を銀除去処理へ戻し、析出した銀化合物を銀の回収のために処理することを特徴とする銀除去方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、第1のアマルガム析出段階における水銀の銀に対するモル比は0.5〜2とすることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、第2のアマルガム析出段階における水銀の銀に対するモル比は少なくとも2とすることを特徴とする方法。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、第2のアマルガム析出段階における水銀の銀に対するモル比は、2〜10の間とすることを特徴とする方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、前記細粒化銅の粒子の大きさは200μm未満である特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、銅粉の供給量は100g/Lの範囲であることを特徴とする方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、前記銅粉を銀除去段階の後に水銀除去段階へ供給し、そこからこれを前記溶液流に対して逆流するように移動させることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、酸化剤を用いた希釈塩化物溶液中へ前記析出した銀アマルガムを浸出し、それによって水銀が塩化水銀として溶解し、銀が塩化銀として析出することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記用いる酸化剤は次亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法において、前記用いる酸化剤は過酸化水素であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法において、前記用いる酸化剤は酸素であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法において、前記塩化水銀は銀浸出処理へ戻すことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、前記塩化銀は銀回収処理へ戻すことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、濃縮した塩化物溶液の塩化アルカリの含有量は少なくとも200g/Lであることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、精製される溶液中の一価銅の量は30〜100g/Lであることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、pH値が1〜5において銀の除去を行なうことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、水銀によって行なうアマルガムの析出の前に、細粒化した銅を用いて塩化第一銅溶液から銀を除去することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記銅粉の粒子の大きさは200μm未満であることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記銅粉の供給量は約100g/Lであることを特徴とする方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−502309(P2006−502309A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542519(P2004−542519)
【出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【国際出願番号】PCT/FI2003/000707
【国際公開番号】WO2004/033735
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(591064047)オウトクンプ オサケイティオ ユルキネン (21)
【氏名又は名称原語表記】OUTOKUMPU OYJ
【Fターム(参考)】