説明

塩素の製造方法

【課題】固定床触媒反応によって塩化水素を酸素で酸化する塩素の製造方法であって、触媒層の過度のホットスポットを抑制し、暴走反応を防止することができ、触媒活性が安定維持され、塩素を安定して高収率で得ることができる塩素の製造方法を提供する。
【解決手段】塩化水素、酸素および水を含有し、塩化水素に対する水のモル比が0.01〜0.2である原料ガスを多管式固定床反応器に供給することにより、塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造する方法である。多管式固定床反応器は、触媒層が充填された複数の反応管と、該複数の反応管の周囲を覆い、その内部が原料ガスの通過方向に沿って複数の領域に分割された、熱媒体を循環させるための反応器シェルとを備え、かつ、分割された領域ごとに熱媒体の温度を独立して制御可能なものであり、分割された領域ごとに温度制御された熱媒体を循環させることにより反応熱の除去を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素の製造方法に関し、より詳しくは、塩化水素、酸素および水を含有する原料ガスを、酸化触媒を備えた多管式固定床反応器に供給することにより原料ガス中の塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固定床触媒反応によって塩化水素を酸素で酸化し、塩素を製造する方法は従来公知である(たとえば特許文献1)。酸素による塩化水素の酸化反応は、発熱量が大きいため(59kJ/mol−塩素)、触媒層における過度のホットスポットの発生を抑制し、ひいては暴走反応を防止するために、固定床触媒による塩化水素の酸化反応においては、反応の高い温度制御性が求められる。ホットスポットの抑制は、触媒の熱劣化の低減および塩素製造プロセスの安定性確保の観点からも重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3284879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、固定床触媒反応によって塩化水素を酸素で酸化し、塩素を製造する方法であって、触媒層の過度のホットスポットを抑制し、ひいては暴走反応を防止することができ、もって触媒の安定した活性が維持され、かつ塩素を安定して高収率で得ることができる塩素の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、塩化水素、酸素および水を含有する原料ガスを多管式固定床反応器に供給することにより、該塩化水素を該酸素で酸化して塩素を製造する方法に関する。本発明の塩素の製造方法は、上記多管式固定床反応器として、原料ガスを通過させる、酸化触媒を含む触媒層が充填された複数の反応管と、該複数の反応管の周囲を覆い、その内部が原料ガスの通過方向に沿って複数の領域に分割された、熱媒体を循環させるための反応器シェルとを備え、かつ、反応器シェルの分割された領域ごとに熱媒体の温度を独立して制御可能な反応器を用い、塩化水素に対する水のモル比が0.01〜0.2である原料ガスを多管式固定床反応器の反応管に供給して酸化反応を行なうとともに、分割された領域ごとに温度制御された熱媒体を各領域に循環させることにより反応熱の除去を行なうことを特徴とする。
【0006】
本発明の塩素の製造方法においては、分割された各領域における反応管内の触媒層の最高温度と該領域を循環する熱媒体の温度との差が50℃以下となるように、分割された各領域を循環する熱媒体の温度を制御することが好ましい。
【0007】
原料ガスのガス線速度は0.2〜3m/sの範囲内であることが好ましい。また、上記酸化触媒としては、酸化ルテニウムを含む触媒を好ましく用いることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の塩素の製造方法によれば、触媒層の過度のホットスポットを抑制できるとともに、暴走反応を防止することができる。これにより、触媒の安定した活性が維持され、塩素を安定して高収率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に用いられる多管式固定床反応器の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の塩素の製造方法は、塩化水素、酸素および水を含有するガスを原料として、これを酸化触媒が固定された所定の多管式固定床反応器に供給して、原料ガス中の塩化水素を酸素で酸化することにより塩素を得るものである。
【0011】
<多管式固定床反応器>
まず、本発明に用いる多管式固定床反応器について説明する。本発明においては、酸化触媒を含む触媒層が充填された複数の反応管と、該複数の反応管の周囲を覆うように配置された熱媒体を循環させるための反応器シェルとを少なくとも備える熱交換型の多管式固定床反応器が用いられる。温度制御された熱媒体を反応器シェル内に循環させることにより、酸化反応により生じた反応熱を除去することができる。
【0012】
図1は、本発明に用いられる多管式固定床反応器の一例を示す概略図である。図1に示される多管式固定床反応器1は、略平行に配列された複数の反応管2と、複数の反応管2を覆うように配置された反応器シェル3と、反応器シェル3内に温度制御された熱媒体を循環させるための熱媒体循環系とから主に構成される。反応管2には、酸化触媒を含む触媒層が充填されており、反応管2の入口から原料ガスAを供給することにより、出口側から塩素を含む生成物ガスBを得ることができる。生成物ガスBは、通常、塩素のほか、未反応の塩化水素および酸素などを含む。反応管2は、通常は直管であり、上管板10および下管板12によって、反応器シェル3に対して固定されている。
【0013】
反応器シェル3は、その内部が原料ガスの通過方向(反応管2の管軸方向)に沿って、仕切板11によって、複数の領域に分割されている。図1に示される例においては、4段の領域31〜34に分割されている。ただし、領域数は4段に限られるものではなく、通常、2〜10段、好ましくは3〜8段、さらに好ましくは4〜6段である。仕切板11は、互いに隣接する領域間で熱媒体が相互に移動しないように、反応管2と密着して反応器シェル3内に設けられる中間管板や、反応管2との間に隙間を空けて反応器シェル3内に設けられ、隣接する領域間で熱媒体が僅かに移動することを許容する遮断板であることができる。分割された各領域には、熱媒体循環系を用いて、領域ごとにそれぞれ熱媒体C1、C2、C3、C4が、供給、循環される。
【0014】
反応器シェル3内の各領域31〜34には、熱媒体C1〜C4の流動方向を整えるために邪魔板13を設けてもよい。邪魔板13の形状としては、たとえば円板状、穴開円板状、欠円形などが挙げられる。邪魔板13は通常、熱媒体の流れ方向が反応管2の管軸方向に対して概ね垂直になるように設けられる。邪魔板13は、全ての領域31〜34に設けてもよいし、特に効率よく反応熱を除去したい領域だけに設けてもよい。また、領域ごとに邪魔板数を異ならせてもよい。一つの領域に設けられる邪魔板13の数は通常、1〜7枚程度である。複数の邪魔板を設置する場合は、邪魔板の開口部を互い違いに配置する方法が一般的に用いられる。
【0015】
図1において熱媒体循環系は、分割された領域31〜34ごとに設けられ、反応器シェル3の各領域31〜34に循環させる熱媒体C1〜C4を一旦収容するためのバッファータンク51〜54;各バッファータンクに設けられる、分割された各領域31〜34に供給される熱媒体C1〜C4の温度調整を行なう温度制御手段41〜44(加熱器および/または冷却器);各バッファータンクに設けられ、バッファータンクから反応器シェル3の各領域31〜34へ、流量調整弁U1〜U4を介して熱媒体C1〜C4を供給するための供給ポンプ61〜64;冷却器8および必要に応じて加熱器9を備え、配管および流量調整弁V1〜V4を通して、熱媒体C1〜C4として各バッファータンク51〜54に分配される予冷された熱媒体C0を収容するとともに、各バッファータンク51〜54からオーバーフローした熱媒体C1〜C4を受け入れる熱媒体タンク7から主に構成される。
【0016】
以上のような構成の多管式固定床反応器1を用いた塩化水素の酸化反応においては、当該反応によって生じる反応熱を除去し、各領域31〜34ごとに反応温度を適切な範囲に制御するために、反応管2内のガスと熱媒体C1〜C4との間で熱交換を行なう。この熱交換による反応熱の除去は、領域31〜34ごとに設けられた供給ポンプ61〜64により、各バッファータンク51〜54から反応器シェル3の各領域31〜34へ熱媒体C1〜C4を供給して、バッファータンク51〜54と各領域31〜34との間で熱媒体C1〜C4を循環させるとともに、熱媒体タンク7から冷却器8によって予冷された熱媒体C0を各バッファータンク51〜54に分配することに行なわれる。熱媒体C0の供給により余剰となった熱媒体C1〜C4は、各バッファータンク51〜54からオーバーフローして熱媒体タンク7に戻される。
【0017】
多管式固定床反応器1において、各領域31〜34に循環させる熱媒体C1〜C4の温度は、各バッファータンク51〜54に設けられた温度制御手段41〜44による温度調整や、熱媒体タンク7と各バッファータンク51〜54との間に設けられた流量調整弁V1〜V4により、熱媒体C0の供給量を調整する方法によって、他の領域の熱媒体から独立して制御できる。また、熱媒体C1〜C4の循環流量は、流量調整弁U1〜U4により制御することができる。
【0018】
本発明に用いることのできる多管式固定床反応器は、反応器シェル内が複数の領域に分割されており、分割された領域ごとに熱媒体の温度を、他の領域から独立して制御できるものである限り、図1の構成のものに限定されるものではない。たとえば、多管式固定床反応器のバッファータンクのすべてが温度制御手段を有している必要はなく、1以上またはすべてのバッファータンクが温度制御手段を備えていなくてもよい。各領域に循環させる熱媒体の温度は、熱媒体タンクと各バッファータンクとの間に設けられた流量調整弁V1〜V4のみによっても制御可能であるためである。また、多管式固定床反応器は、熱媒体タンクを有していなくてもよく、温度制御手段を有するバッファータンクを各領域に備え、温度制御手段によって温度制御された熱媒体を、領域ごとに反応器シェルの分割された領域とバッファータンクとの間で循環させるようにしてもよい。
【0019】
熱媒体としては、たとえば、溶融塩(HTS:Heat Transfer Salt)等の無機熱媒、アルキルビフェニル等の有機熱媒、水、イオン性液体、溶融金属などが挙げられる。溶融塩(HTS)は、亜硝酸塩(NaNO2など)および/または硝酸塩(NaNO3、KNO3など)を含むものであることが好ましく、また取扱い性の観点から、その融点は、好ましくは約100〜200℃である。好ましく用いられる溶融塩の具体例は、NaNO2(40質量%)、NaNO3(7質量%)およびKNO3(53質量%)からなる組成物(融点142℃);NaNO2(34質量%)、NaNO3(13質量%)およびKNO3(53質量%)からなる組成物(融点152℃);NaNO2(50質量%)およびKNO3(50質量%)からなる組成物(融点139℃)を含む。
【0020】
反応管内に充填される触媒層(酸化触媒を含む層)は、単一の触媒層であってもよいが、通常、触媒活性の異なる複数の触媒層、好ましくは、反応管の入口から出口に向かって触媒活性が高くなるように複数の触媒層が充填される。具体的には、組成や製法および/または粒径が異なることにより触媒活性の異なる酸化触媒を使用して複数の触媒層を形成するか、または、不活性物質および/または担体のみで成型した充填物で酸化触媒を希釈した触媒層を組み合わせて複数の触媒層を形成する。触媒層の入口部や出口部さらには触媒層間に不活性物質を充填してもよい。不活性物質とは、原料ガスおよび生成物ガス等に対して不活性な固体であり、アルミナ、シリカ、炭化珪素、ニッケル等からなる成型体が適用できる。特にα-アルミナからなる球状体が好適に用いられる。
【0021】
反応器シェルの分割された領域に対応する反応管の部分ごとに触媒活性が異なるように複数の触媒層が充填されることが好ましいが、必ずしもこれに限られるものではなく、一つの領域に対応する反応管部分に触媒活性の異なる複数の触媒層を充填してもよいし、また連続する複数の領域に対応する反応管部分に同じ触媒活性の触媒層を充填してもよい。すなわち、反応器シェルの分割された各領域と複数の触媒層の各領域は一致していなくてもよい。
【0022】
触媒層を構成する酸化触媒としては、酸化ルテニウム触媒が好ましく、酸化チタン含有担体に酸化ルテニウムが担持された触媒がより好ましい。酸化ルテニウム触媒としては、特開平9−67103号公報、特開2000−281314号公報に記載の方法によって調製されたものが好ましく使用される。本発明において特に好適な酸化ルテニウム触媒触媒として、具体的には、酸化ルテニウムの含有量が1〜20重量%であり、酸化ルテニウムの中心径が1.0〜10.0nmである担持酸化ルテニウム触媒または酸化ルテニウム複合酸化物型触媒を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0023】
酸化触媒の形状は、球形粒状、円柱形ペレット状、押出形状、リング形状、ハニカム状または成型後に粉砕分級した適度の大きさの顆粒状などであることができる。触媒直径は5mm以下であることが好ましい。触媒直径が5mmを超えると、触媒活性が低下する場合があるためである。触媒直径の下限は特に制限はないが、過度に小さくなると、触媒層での圧力損失が大きくなるため、通常は0.5mm以上のものが用いられる。なお、触媒直径とは、球形粒状では球の直径、円柱形ペレット状では断面の直径、その他の形状では断面の最大直径を意味する。
【0024】
酸化ルテニウム触媒を使用する場合、通常、反応管の入口から50%未満の部分にはRu量全体の約40%以下、50〜100%の部分には約60%以上が充填されるように触媒層が形成される。好ましくは、反応管の入口から20%未満の部分にはRu量全体の約10%以下、70〜100%の部分には約40%以上が充填される。さらに好ましくは、反応管の入口から20%未満の部分にはRu量全体の約10%以下、20%以上50%未満の部分には25%以下、50%以上70%未満の部分には30%以下、70〜100%の部分には40%以上が充填される。
【0025】
<塩素の製造方法>
本発明においては、上記したような、反応器シェル内が複数の領域に分割されており、分割された領域ごとに熱媒体の温度を、他の領域から独立して制御できる多管式固定床反応器を用いて、塩化水素の酸化反応により塩素を得る。具体的には、塩化水素、酸素および水を含有する原料ガスを多管式固定床反応器の反応管の入口側から供給して、酸化触媒による酸化反応を行ない、反応管の出口側より塩素を含む生成物ガスを取り出す。
【0026】
ここで、本発明では、原料ガスにおける塩化水素に対する水のモル比は、0.01〜0.2の範囲内とされ、好ましくは0.02〜0.15の範囲内とされる。この範囲内の含有量で水を含有させることにより、触媒層内の温度分布を均一化することが可能となり、過度のホットスポットの生成、ひいては暴走反応を効果的に抑制することができる。とりわけ、この範囲内の含有量で水を含有させると、反応管の入口付近での暴走反応を効果的に防止できる。塩化水素に対する水のモル比が0.01未満の場合、分割された領域ごとに熱媒体の温度を独立して制御できる多管式固定床反応器を用いて、各領域の反応の温度制御を行なうに際し、熱媒体温度の制御だけでは反応管内の過度の温度上昇を抑制することができず、ホットスポットが生じたり、温度暴走が生じたりする領域が発生するおそれがあり、安定した反応温度制御を図ることができない。一方、塩化水素に対する水のモル比が0.2を超える場合には、塩化水素の転化率が低下し、塩素の収率および生産効率が低下する。塩化水素に対する水のモル比が0.2を超える場合において十分な転化率を得るためには、酸化触媒の増量や、より高い反応温度が必要となり、製造コストや酸化触媒の熱劣化の観点から不利である。
【0027】
原料ガス中の塩化水素、酸素および水の3成分の合計濃度は、通常80体積%以上、好ましくは90体積%以上である。該合計濃度が低すぎると、生成した塩素の分離および/または未反応酸素のリサイクルが煩雑になることがある。
【0028】
塩化水素、酸素および水を含有するガスを得る方法としては、塩化水素および水を含有するガスと、酸素を含有するガスとを混合する方法;塩化水素を含有するガスと、酸素および水を含有するガスとを混合する方法;塩化水素を含有するガスと、酸素を含有するガスと、水を気化させて得た水蒸気を含有するガスとを混合する方法;塩化水素を含有するガスと、酸素を含有するガスと、塩酸の一部または全量を気化させて得た水蒸気および塩化水素を含有するガスとを混合する方法などを挙げることができる。
【0029】
塩化水素および水を含有するガス、または塩化水素を含有するガスとしては、塩素化合物の熱分解反応や燃焼反応、有機化合物のホスゲン化反応または塩素化反応、焼却炉の燃焼等において発生した塩化水素を含むガスを使用することができる。
【0030】
酸素を含有するガス、または酸素および水を含有するガスとしては、酸素または空気を使用することができる。また、塩化水素を酸素で酸化することによって生成した塩素と分離された未反応酸素を含むガスは、酸素を含有するガス、または酸素および水を含有するガスの一部として使用することができる。
【0031】
塩化水素1モルに対する酸素の理論モル量は0.25モルであるが、理論モル量以上供給することが好ましく、塩化水素1モルに対して0.25〜2モルの酸素を供給することがより好ましい。酸素量が少なすぎると、塩化水素の転化率が低くなる場合があり、一方、酸素量が多すぎると、生成した塩素と未反応酸素との分離が困難になる場合がある。
【0032】
原料ガスの反応管への供給速度は、空塔基準のガス線速度で表して、0.2〜3m/sの範囲内とすることが好ましく、0.5〜2.5m/sの範囲内とすることがより好ましい。原料ガスのガス線速度をこの範囲内に調整することにより、触媒層の過度のホットスポットおよび暴走反応をより効果的に抑制することができる。また、ガス線速度が低すぎると、上述のような分割された領域ごとに熱媒体の温度を独立して制御できる多管式固定床反応器を用いて、各領域の反応の温度制御を行なうに際し、原料ガス中の水分を上記範囲内に調整した場合においても、熱媒体温度の制御だけでは反応管内の過度の温度上昇を抑制することができず、ホットスポットが生じたり、温度暴走が生じたりする領域が発生し得る。一方、ガス線速度が大きすぎると、触媒層を通過する際に大きな差圧が生じるので、原料ガスの供給圧を高める必要が生じ、設備コストの増大を招く。
【0033】
なお、空塔基準のガス線速度とは、反応管に供給される原料ガスに含有されるすべてのガスの標準状態(0℃、0.1MPa)における供給速度の合計量〔m3/s〕と使用される複数の反応管の合計断面積〔m2〕との比(供給速度の合計量/反応管の合計断面積)を意味する。
【0034】
反応圧力は、通常0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜1MPa、より好ましくは0.1〜0.8MPaの範囲内である。
【0035】
通常、原料ガスの反応管への供給開始時は、約260〜380℃の熱媒体を、反応器シェルの分割された各領域に循環させておき、供給された原料ガスを加熱して酸化反応を進行させる。反応の進行とともに、充填されている触媒層の活性に応じて、触媒層(反応管内)の温度が上昇するため、反応器シェルの分割された領域ごとに熱媒体温度を制御して、熱交換により反応熱の除去を行なう。
【0036】
熱媒体による反応熱の除去においては、分割された各領域における反応管内の触媒層の最高温度と該領域を循環する熱媒体の温度との差(ΔTmax)が50℃以下となるように、分割された各領域を循環する熱媒体の温度を制御することが好ましい。ΔTmaxはより好ましくは40℃以下である。ΔTmaxが50℃を超えると、反応管内の温度制御が困難となり、過度のホットスポットの発生や温度暴走を引き起こすおそれがある。本発明においては、分割された領域ごとに熱媒体の温度を独立して制御できる多管式固定床反応器を用い、かつ原料ガス中の水分を上記範囲内に調整しているので、分割された各領域におけるΔTmaxの安定した制御が可能である。
【0037】
たとえば、反応器シェルが、反応管入口側から、第1領域〜第5領域の5つの領域に分割されている場合を例に挙げると、第1領域〜第5領域におけるΔTmaxはそれぞれ、たとえば第1領域:15〜40℃(好ましくは20〜35℃)、第2領域:10〜30℃(好ましくは15〜25℃)、第3領域:10〜25℃(好ましくは10〜20℃)、第4および第5領域:0〜15℃(好ましくは5〜10℃)とすることができる。
【0038】
反応温度(反応管内の温度)は、分割された領域ごとに制御され、各領域によって異なり得るが、通常200〜500℃程度であり、好ましくは200〜400℃である。反応温度が低すぎる場合には、塩化水素の転化率が低くなる場合があり、反応温度が高すぎる場合には、反応器構成材料の腐食速度の増加や触媒の顕著な熱劣化を招く。
【0039】
以上のような分割された領域ごとの温度制御により、たとえば、上で示した第1領域〜第5領域の5つの領域に分割された例では、ΔTmaxを上記のように設定すると、各領域出口における反応器入口ガス基準の転化率はそれぞれ、たとえば第1領域:約15〜25%、第2領域:約35〜45%、第3領域:約50〜60%、第4領域:約65〜75%、第5領域:約80〜90%とすることができる。本酸化反応では、最終転化率(反応器入口ガス基準)を約80〜90%にすることが望ましい。
【0040】
反応の継続と共に、順次酸化触媒の活性が低下し、塩化水素の転化率が低下してくるので、上記の△Tmaxの範囲を維持しつつ、最も入口側に近い領域(第1領域)の熱媒体温度を高くし、最終転化率を上記の範囲になるように調整する。第1領域の次は順次第2領域、第3領域の熱媒体温度を高くする。通常、最も活性が高い触媒が充填されている最も出口側に近い領域の熱媒体温度はできるだけ上げないようにする。最終的には、いずれかの領域の反応管内の温度が500℃、好ましくは400℃を超えるようになったら触媒の更新を検討する。
【0041】
反応管の出口から取り出される生成物ガスは、塩素とともに未反応の塩化水素および酸素等を含むため、まず、水または塩酸と接触させて冷却するとともに、未反応の塩化水素ガスを吸収させる。この操作は、水または塩酸を循環させた充填塔等の吸収塔に生成物ガスを供給することにより行なうことができる。吸収塔はタンタル、フッ素樹脂ライニング、塩化ビニル樹脂ライニング、炭素等から構成することができる。
【0042】
未反応塩化水素を吸収して得られる塩酸は、充填塔等の放散塔で加熱して塩化水素ガスを発生させて反応原料として再使用したり、また、充填塔等を用いて空気等の不活性ガスと接触させることにより溶存する塩素を除き、塩素を含まない塩酸とし、必要に応じて濃度調整して製品化したりすることもできる。
【0043】
未反応の塩化水素を吸収除去した塩素および酸素を主に含む生成物ガスは、硫酸を用いて乾燥される。硫酸の消費を少なくするために、塩化水素を吸収除去した生成物ガスは、約15〜20℃に冷却して同伴する水分をできるだけ少なくすることが好ましい。
【0044】
上記硫酸による乾燥は、硫酸を循環させた充填塔等の乾燥塔に、塩化水素を吸収除去した生成物ガスを供給することにより行なうことができる。乾燥後の生成物ガスの水分は、好ましくは10体積ppm以下である。通常、98重量%の硫酸を供給して70〜80重量%の硫酸として回収される。70〜80重量%の硫酸は、充填塔等を用いて空気等の不活性ガスと接触させることにより溶存する塩素を除き、中和用途に使用したり、中和して廃棄したりする。乾燥塔はハステロイ、フッ素樹脂ライニング、塩化ビニル樹脂ライニング等から構成することができる。
【0045】
乾燥後の塩素および酸素を主に含む生成物ガスは、ミスト分離器を通して、同伴する硫酸ミストが除去される。使用するミスト分離器は、特に限定されるものではなく公知のものが使用できるが、ガラスウールを充填したミスト分離器が好ましく用いられる。
【0046】
ついで、塩素および酸素を主に含む生成物ガスを約0.5〜5MPaに圧縮し、約−10〜−40℃に冷却して塩素を凝縮し、未反応の酸素を分離する。使用する圧縮機としては、たとえば、ターボ型の軸流圧縮機、遠心圧縮機、容積型の往復式圧縮機等、ねじ式(スクリュー)圧縮機などが挙げられる。
【0047】
凝縮した塩素は液体塩素として貯蔵され、蒸発させて種々の塩素化反応に使用される。またはコンテナーまたはボンベに充填して出荷される。
【0048】
なお、単に生成物ガスを圧縮し、冷却して塩素を凝縮させると、塩素中の酸素濃度が高い場合がある。したがって、酸素含有量の少ない液体塩素を得る場合には、生成物ガスを冷却し、凝縮させて得られた液体塩素および非凝縮ガスを充填塔等の蒸留塔に供給し、塔頂ガスを凝縮し、凝縮液を蒸留塔に還流し、非凝縮ガスである酸素含有ガスを分離回収し、塔底から液体塩素を取り出す操作を行なうことが好ましい。また、圧縮した生成物ガスをそのまま蒸留塔に供給し、塔頂ガスを凝縮し、凝縮液を蒸留塔に還流し、非凝縮ガスである酸素含有ガスを分離回収し、塔底から液体塩素を取り出してもよい。
【0049】
塩素を同伴する分離された酸素含有ガスは、通常回収し、酸化反応にリサイクルされる。この際、乾燥する際に使用した硫酸ミストが含まれる恐れがあるので、充填塔や特開2002−136825号公報に示される洗浄塔で水と接触させて洗浄後、リサイクルすることが好ましい。洗浄塔はフッ素樹脂ライニング、塩化ビニル樹脂ライニング、チタン、炭素等で構成することができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0051】
<実施例1>
下記の多管式固定床反応器を用い、下記の反応条件にて、塩化水素および酸素を含有するガスを原料として塩素の製造を行なった。
【0052】
(1)多管式固定床反応器
反応器シェル3内が31〜33の3つの領域に分割されていること以外は、図1と同様の多管式固定床反応器を用いた(各領域は遮断板によって分割されており、各領域には邪魔板が設けられている)。この多管式固定床反応器は、反応器シェル3の分割された3つの領域ごとに熱媒体C1〜C3の温度を独立して制御可能である。反応管2としては、内径25mmのNi製直管を用い、この直管の中心部に内径4mm、外径6mmの鞘管を挿入し、この鞘管内に温度センサーを設置した。反応器シェル3の分割された各領域内にも温度センサーを設置した。熱媒体C0〜C3には、NaNO2(50質量%)およびKNO3(50質量%)からなる溶融塩を用いた。
【0053】
分割された各領域に対応する反応管2内に、それぞれ充填高さ0.7mの触媒充填量で、下記方法により調製した担持酸化ルテニウム触媒の円柱状ペレットを充填した(反応管内の担持酸化ルテニウム触媒ペレットが充填されていない領域には、不活性物質としてα−アルミナ球状体が充填されている。)。以下では、反応器シェルの3つの分割された領域を、反応管入口側(ガスの流れ方向上流側)から、それぞれ第1領域、第2領域、第3領域と称し、これら各領域における反応管内の触媒層を、それぞれ第1触媒領域、第2触媒領域、第3触媒領域と称する。
【0054】
担持酸化ルテニウム触媒ペレットの調製方法は次のとおりである。酸化チタン〔堺化学(株)製の「STR−60R」、100%ルチル型〕50質量部、α−アルミナ〔住友化学(株)製の「AES−12」〕100質量部、チタニアゾル〔堺化学(株)製の「CSB」、チタニア含有量:38質量%〕13.2質量部、および、メチルセルロース〔信越化学(株)製の「メトローズ65SH−4000」〕2質量部を混合し、ついで細孔容積調整用の純水を33質量部加えて混練した。この混練物を直径3.0mmφの円柱状に押出し、乾燥した後、長さ4〜6mm程度に破砕した。得られた成型体を空気中、800℃で3時間焼成し、酸化チタンとα−アルミナの混合物からなる担体を得た。この担体に、塩化ルテニウムの水溶液を含浸し、乾燥した後、空気中、250℃で2時間焼成することにより、酸化ルテニウムが2質量%の担持率で上記担体に担持されてなる青灰色の担持酸化ルテニウム触媒ペレットを得た。
【0055】
(2)反応条件
第1領域、第2領域および第3領域に循環させる熱媒体C1、C2、C3の温度を、それぞれ285℃、305℃、315℃に制御しつつ、塩化水素ガス〔純度99体積%以上〕0.961Nm3/h、酸素ガス〔純度99体積%以上〕0.481Nm3/h、水蒸気0.048Nm3/h、および、窒素ガス0.253Nm3/hからなる原料ガスを上記多管式固定床反応器の反応管に供給した。塩化水素/酸素/水のモル比は1/0.5/0.05、原料ガスの空塔基準のガス線速度は1.0m/sと計算される。反応管の入口側の圧力は0.25MPaG、出口側の圧力は0.20MPaGに制御した。
【0056】
(3)結果
上記反応において、第1領域におけるΔTmax〔第1触媒領域の最高温度と熱媒体C1の温度との差〕、第2領域におけるΔTmax〔第2触媒領域の最高温度と熱媒体C2の温度との差〕、第3領域におけるΔTmax〔第3触媒領域の最高温度と熱媒体C3の温度との差〕は、それぞれ36℃、23℃、11℃と十分に小さく、各領域の反応温度を安定して制御することができた。その結果、過度なホットスポットおよび温度暴走は生じなかった。第1〜第3領域トータルでの塩化水素の塩素への転化率は66.6%であった。
【0057】
なお、塩化水素の塩素への転化率は、反応管出口から排出された生成物ガスをヨウ化カリウム水溶液にサンプリングして、生成した塩素と未反応の塩化水素と生成水とを吸収させ、ヨウ素滴定により塩素の生成量を、中和滴定により未反応塩化水素量を測定することにより求めた。
【0058】
<実施例2>
塩化水素ガス〔純度99体積%以上〕0.961Nm3/h、酸素ガス〔純度99体積%以上〕0.481Nm3/h、水蒸気0.024Nm3/h、および、窒素ガス0.253Nm3/hからなる原料ガスを上記多管式固定床反応器の反応管に供給したこと以外は、実施例1と同様にして塩素化反応を行なった。塩化水素/酸素/水のモル比は1/0.5/0.025、原料ガスの空塔基準のガス線速度は1.0m/sと計算される。
【0059】
上記反応において、第1領域におけるΔTmax、第2領域におけるΔTmax、第3領域におけるΔTmaxは、それぞれ44℃、22℃、11℃と十分に小さく、各領域の反応温度を安定して制御することができた。その結果、過度なホットスポットおよび温度暴走は生じなかった。第1〜第3領域トータルでの塩化水素の塩素への転化率は69.2%であった。
【0060】
<実施例3>
塩化水素ガス〔純度99体積%以上〕0.961Nm3/h、酸素ガス〔純度99体積%以上〕0.481Nm3/h、水蒸気0.010Nm3/h、および、窒素ガス0.253Nm3/hからなる原料ガスを上記多管式固定床反応器の反応管に供給したこと以外は、実施例1と同様にして塩素化反応を行なった。塩化水素/酸素/水のモル比は1/0.5/0.010、原料ガスの空塔基準のガス線速度は1.0m/sと計算される。
【0061】
上記反応において、第1領域におけるΔTmax、第2領域におけるΔTmax、第3領域におけるΔTmaxは、それぞれ49℃、22℃、10℃と十分に小さく、各領域の反応温度を安定して制御することができた。その結果、過度なホットスポットおよび温度暴走は生じなかった。第1〜第3領域トータルでの塩化水素の塩素への転化率は70.7%であった。
【0062】
<実施例4>
塩化水素ガス〔純度99体積%以上〕0.961Nm3/h、酸素ガス〔純度99体積%以上〕0.481Nm3/h、水蒸気0.096Nm3/h、および、窒素ガス0.253Nm3/hからなる原料ガスを上記多管式固定床反応器の反応管に供給したこと以外は、実施例1と同様にして塩素化反応を行なった。塩化水素/酸素/水のモル比は1/0.5/0.100、原料ガスの空塔基準のガス線速度は1.1m/sと計算される。
【0063】
上記反応において、第1領域におけるΔTmax、第2領域におけるΔTmax、第3領域におけるΔTmaxは、それぞれ26℃、22℃、12℃と十分に小さく、各領域の反応温度を安定して制御することができた。その結果、過度なホットスポットおよび温度暴走は生じなかった。第1〜第3領域トータルでの塩化水素の塩素への転化率は61.5%であった。
【0064】
<実施例5>
塩化水素ガス〔純度99体積%以上〕0.961Nm3/h、酸素ガス〔純度99体積%以上〕0.481Nm3/h、水蒸気0.144Nm3/h、および、窒素ガス0.253Nm3/hからなる原料ガスを上記多管式固定床反応器の反応管に供給したこと以外は、実施例1と同様にして塩素化反応を行なった。塩化水素/酸素/水のモル比は1/0.5/0.150、原料ガスの空塔基準のガス線速度は1.1m/sと計算される。
【0065】
上記反応において、第1領域におけるΔTmax、第2領域におけるΔTmax、第3領域におけるΔTmaxは、それぞれ19℃、20℃、12℃と十分に小さく、各領域の反応温度を安定して制御することができた。その結果、過度なホットスポットおよび温度暴走は生じなかった。第1〜第3領域トータルでの塩化水素の塩素への転化率は56.5%であった。
【0066】
<比較例1>
塩化水素ガス〔純度99体積%以上〕0.961Nm3/h、酸素ガス〔純度99体積%以上〕0.481Nm3/h、水蒸気0.005Nm3/h、および、窒素ガス0.253Nm3/hからなる原料ガスを上記多管式固定床反応器の反応管に供給したこと以外は、実施例1と同様にして塩素化反応を行なった。塩化水素/酸素/水のモル比は1/0.5/0.005、原料ガスの空塔基準のガス線速度は1.1m/sと計算される。
【0067】
上記反応においては、第1領域におけるΔTmaxが50℃を超え、反応の温度制御(触媒層の温度制御)が困難となり、連続運転を断念した。
【0068】
<比較例2>
塩化水素ガス〔純度99体積%以上〕0.961Nm3/h、酸素ガス〔純度99体積%以上〕0.481Nm3/h、水蒸気0.240Nm3/h、および、窒素ガス0.253Nm3/hからなる原料ガスを上記多管式固定床反応器の反応管に供給したこと以外は、実施例1と同様にして塩素化反応を行なった。塩化水素/酸素/水のモル比は1/0.5/0.250、原料ガスの空塔基準のガス線速度は1.2m/sと計算される。
【0069】
上記反応において、第1領域におけるΔTmax、第2領域におけるΔTmax、第3領域におけるΔTmaxは、それぞれ12℃、16℃、12℃と十分に小さく、各領域の反応温度を安定して制御することができたが、第1〜第3領域トータルでの塩化水素の塩素への転化率は47.0%であり、転化率が顕著に低下した。
【符号の説明】
【0070】
1 多管式固定床反応器、2 反応管、3 反応器シェル、7 熱媒体タンク、8冷却器、9 加熱器、10 上管板、11 仕切板、12 下管板、13 邪魔板、31,32,33,34 分割された領域、41,42,43,44 温度制御手段、51,52,53,54 バッファータンク、61,62,63,64 供給ポンプ、A 原料ガス、B 生成物ガス、C0,C1,C2,C3,C4 熱媒体、U1,U2,U3,U4 流量調整弁、V1,V2,V3,V4 流量調整弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化水素、酸素および水を含有する原料ガスを多管式固定床反応器に供給することにより、該塩化水素を該酸素で酸化して塩素を製造する方法であって、
前記多管式固定床反応器は、前記原料ガスを通過させる、酸化触媒を含む触媒層が充填された複数の反応管と、該複数の反応管の周囲を覆い、その内部が前記原料ガスの通過方向に沿って複数の領域に分割された、熱媒体を循環させるための反応器シェルとを備え、かつ、分割された領域ごとに熱媒体の温度を独立して制御可能であり、
前記塩化水素に対する前記水のモル比が0.01〜0.2である前記原料ガスを前記反応管に供給して酸化反応を行なうとともに、前記分割された領域ごとに温度制御された熱媒体を循環させることにより反応熱の除去を行なう塩素の製造方法。
【請求項2】
分割された各領域における反応管内の触媒層の最高温度と該領域を循環する熱媒体の温度との差が50℃以下となるように、分割された各領域を循環する熱媒体の温度が制御される請求項1に記載の塩素の製造方法。
【請求項3】
前記原料ガスのガス線速度が0.2〜3m/sの範囲内である請求項1または2に記載の塩素の製造方法。
【請求項4】
前記酸化触媒は、酸化ルテニウムを含む請求項1〜3のいずれかに記載の塩素の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−180242(P2012−180242A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45018(P2011−45018)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】