説明

塵芥収集車の扉ロック装置

【課題】 塵芥収集車の後部扉の上下開閉操作を容易にする扉ロック装置の提供。
【解決手段】 塵芥投入箱30の投入口35に後部扉36を閉塞位置と解放位置との間で上下に開閉するように設置し、後部扉36を閉塞位置と解放位置のそれぞれで塵芥投入箱30の両側壁部31にロックするロック手段50を配備すると共に、塵芥投入箱30の側壁部31にロック手段50のロック状態を手動で解除するロック解除操作手段60を、作業員の手の届く所望の高さ位置に設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車の塵芥投入箱に設置した上下開閉式後部扉のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集車は、車両フレームに塵芥収容箱を搭載し、この塵芥収容箱の後端開口部に、塵芥投入箱を上下方向に揺動可能に連接する(例えば、特許文献1参照)。塵芥投入箱は、その後面下部に開口した塵芥投入口と、この投入口を開閉自在に塞ぐ後部扉を有する。後部扉は、投入口を塞ぐ閉塞位置と、投入口から上方に移動して投入口を開口する解放位置の間で上下開閉動作する。後部扉と塵芥投入箱の相互間には、後部扉を閉塞位置と解放位置のそれぞれでロックする扉ロック装置が装備される。扉ロック装置を装備した塵芥収集車の従来例を、図8〜図10を参照して説明する。
【0003】
図8(A)(B)は、車両フレーム1に搭載した塵芥収容箱3の後部を示す。塵芥収容箱3の後端開口部に、塵芥投入箱4が枢軸5を支点に上下方向に揺動可能に連接される。塵芥投入箱4の内部には、外部から投入された塵芥を圧縮して塵芥収容箱3に積み込む塵芥積込装置(図示せず)が配備される。地面6に立つ作業者が塵芥を塵芥投入箱4に投入する。なお、同図の符号2は車輪である。
【0004】
塵芥投入箱4は、図9および図10に示す両側壁部11と、両側壁部11の上部および下部を連接する天部12および底部13を有する。両側壁部11の後縁部の間は開口され、この開口が塵芥の投入口15となる。投入口15に後部扉16が上下に開閉可能に設置される。後部扉16は、図8(A)の投入口15を塞ぐ閉塞位置と、投入口15から上方に移動して投入口15を開口する図8(B)の解放位置との間で上下に開閉動作する。
【0005】
後部扉16の上部の左右両端に一対の上部揺動アーム17の先端部が枢支され、後部扉16の下部の左右両端に一対の下部揺動アーム18の先端部が枢支される。上部揺動アーム17と下部揺動アーム18のそれぞれの後端部が、両側壁部11に設けた支軸に枢支される。左右一対の上部揺動アーム17のそれぞれに、上部揺動アーム17を図8で反時計方向に附勢するばね部材19が連接される。
【0006】
後部扉16の下端部と塵芥投入箱4の両側壁部11の間に、後部扉16を図8(A)の閉塞位置と図8(B)の解放位置のそれぞれで自動ロックする左右一対の扉ロック装置20が設置される。後部扉16の下端部外面に左右一対の把手21と、扉ロック装置20の自動ロックを手動で解除する左右一対のロック解除レバー22が配設される。図10は、後部扉16が閉塞位置にあるときの扉ロック装置20を示す。扉ロック装置20は、ロック解除レバー22を手動で開操作してリンク25を後退させ、リンク25の先端のロックピン23を塵芥投入箱側壁部11の定箇所に設けたロック孔24から抜くことでロック解除する。ロック解除レバー22から手を離すと、ロックピン23に装着した復帰ばね26の附勢力でロックピン23がロック孔24に自動で嵌入してロック状態となる。
【0007】
図9および図10に示す閉塞位置にある後部扉16を開ける場合、作業員が両手で左右一対の把手21と一対のロック解除レバー22を握り、復帰ばね26の附勢力に抗してロックピン23を後退させる。これにより、ロックピン23とロック孔24との係合が解除される(ロック解除)。この状態で作業員が両手で把手21を少し押し上げて把手21から手を離すと、ばね部材19の附勢力で後部扉16がそのまま上昇し、上部揺動アーム17と下部揺動アーム18が図8で反時計方向に揺動して後部扉16が解放位置まで移動する。後部扉16が解放位置まで移動すると、後部扉16の下端部両端にある一対のロックピン23が、塵芥投入箱4の両側壁部11における略中間の高さ位置に形成したロック孔(図10のロック孔24と同様な孔)に復帰ばね26の作用で嵌入する。これにより、後部扉16が解放位置で自動ロックされる。
【0008】
解放位置の後部扉16を閉じる場合は、図8(B)の解放位置でロックされた後部扉16の左右一対の把手21とロック解除レバー22を両手で握り、ロック解除した状態で把手21を押し下げて後部扉16を少し下げる。これにより、後部扉16がその自重で下降しようとする力が、ばね部材19の上向き附勢力に打ち勝って、後部扉16が閉塞位置までゆっくりと下降する。後部扉16が閉塞位置まで移動すると、図10に示すように後部扉16の下端部両端にある一対のロックピン23が、両側壁部11のロック孔24に復帰ばね26の作用で嵌入して、後部扉16が閉塞位置で自動ロックされる。
【特許文献1】特開平10−29701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上下開閉式後部扉16は、閉塞位置と解放位置のそれぞれで、左右一対の扉ロック装置20で安定にロックされる。しかし、後部扉16を上下に開閉操作する場合、左右一対の扉ロック装置20のロック解除をするためには、作業員は両手で左右一対の把手21とロック解除レバー22を握る操作をしなければならない。塵芥投入口は左右幅に加えて上下高さも大きいほど作業性がよいため、解放位置にある後部扉16の高さ位置は通常かなり高くなっている。この後部扉16を閉じる場合は、把手21が高い位置にあることから、作業員は万歳をした姿勢で左右一対の把手21に手を掛け、ロック解除レバー22を握る必要がある。このような背伸びをして両手を使ったロック解除操作は不便であり、特に背の低い作業者や握力の弱い作業者にとっては操作が困難なことがあった。
【0010】
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたもので、後部扉の開閉操作が容易な塵芥収集車の扉ロック装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、車両後部の塵芥投入箱に設けた塵芥の投入口に、この投入口を塞ぐ閉塞位置と投入口から上方に移動して投入口を開口する解放位置との間で上下移動可能に後部扉を連接し、この後部扉と前記塵芥投入箱に、後部扉を上方に附勢するばね手段と、後部扉が閉塞位置および解放位置に移動すると互いに係合して後部扉を自動ロックする係合部材と被係合部材を有するロック手段を配備した塵芥収集車において、塵芥投入箱の側壁部に、ロック手段をその係合部材と被係合部材の互いの係合を解除するロック解除位置へ、後部扉と塵芥投入箱相互間に配備した連結機構を介して手動で駆動させるロック解除操作手段を配備したことを特徴とするものである。
【0012】
ここで、車両後部の塵芥投入箱は、車両フレームに搭載した塵芥収容箱の後端開口部に上下に揺動可能に連接されたものが適用できる。この塵芥投入箱の後面下部に投入口が形成され、投入口に上下開閉式の後部扉が設置される。後部扉は、上部両端と下部両端の4箇所に連接した揺動アームにガイドされて上下に開閉するもの、或いは、上部両端に連接した揺動アームと下部両端に設置したガイドローラ(またはピン)にガイドされて上下に開閉するものが適用できる。このガイドローラを使用した後部扉においては、ガイドローラが塵芥投入箱の投入口両側辺に固定したガイドレールを転動することで、後部扉の下部両端をガイドする。塵芥投入箱の両側壁部の一方に、または、両方にロック解除操作手段を配備する。両側壁部にロック解除操作手段を配備した場合は、両方のロック解除操作手段が連動するように連結することができる。
【0013】
ここでのロック解除操作手段は、作業員がワンタッチ式に片手操作でき、操作後は復帰ばねで自動復帰する操作レバーや操作ハンドルなどの機械部品が適用できる。このようなロック解除操作手段は構造簡単であり、係合部材と被係合部材から成るロック手段に容易にして連結できる。ロック解除操作手段を塵芥投入箱の側壁部に配備することで、解放位置まで上昇した後部扉を閉じる場合に、作業員は両手を解放位置の後部扉まで伸ばす必要がなく、側壁部のロック解除操作手段まで片手を伸ばしてロック解除操作すればいいので、後部扉の上下開閉時のロック解除操作作業が容易にして迅速に行えるようになる。また、後部扉に左右一対のロック手段を配備した場合、左右一対のロック手段のロック解除が共通のロック解除操作手段の片手操作で同時に行われるので、左右一対のロック手段の一方のロック解除が不十分になるといった不具合が発生しない。
【0014】
また、本発明においては、塵芥投入箱側壁部の略中間の高さ位置にロック解除操作手段を配備することができる。
【0015】
ここでの塵芥投入箱側壁部の略中間の高さ位置とは、塵芥収集車の後方で塵芥収集する作業者の手が容易に届く高さである。このような高さ位置にロック解除操作手段を配備することで、背の低い作業者であってもロック解除操作手段を容易に片手操作することができる。
【0016】
また、本発明においては、塵芥投入箱に後部扉を閉塞位置と解放位置のそれぞれでロックするロック手段を、後部扉の両側端部にそれぞれに突出退入可能に配備した一対のロックピンと、塵芥投入箱の両側壁部にそれぞれに形成された一対のロック孔を有するものとし、ロック解除操作手段で一対のロックピンをロック解除動作させることができる。
【0017】
このように後部扉の両側端部と塵芥投入箱の両側壁部に一対のロック手段を設けることで、閉塞位置と解放位置での後部扉のロック強度が安定する。また、一対のロック手段のロック動作とロック解除動作を共通のロック解除操作手段で手動操作することで、ロック解除の操作が簡便迅速に行える。
【0018】
また、本発明においては、塵芥投入箱の投入口の両側辺に後部扉下端部の扉開閉時の上下移動をガイドするガイドレールを固定すると共に、後部扉の両側端部にそれぞれに突出退入可能に配備した一対のロックピンのそれぞれに、対応するガイドレールにガイドされて後部扉下端部の上下移動方向を規制するガイドローラを、各ロックピンと同軸に装着することができる。
【0019】
このように一対のロック手段のロックピンと、後部扉の上下開閉動作をガイドするガイドローラを同軸に設けることで、後部扉の同一場所に機能の異なるロックピンとガイドローラを配置することができ、後部扉の構造簡略化が図れる。
【0020】
また、本発明においては、塵芥投入箱に後部扉を閉塞位置と解放位置のそれぞれでロックするロック手段を、後部扉の両側端部にそれぞれに形成された一対のロック孔と、塵芥投入箱の両側壁部にそれぞれに突出退入可能に配備された一対のロックピンを有するものとし、ロック解除操作手段で一対のロックピンをロック解除動作させることができる。
【0021】
この場合も、後部扉の両側端部と塵芥投入箱の両側壁部に一対のロック手段を設けることで、閉塞位置と解放位置での後部扉のロック強度が安定する。さらに、一対のロック手段のロック動作とロック解除動作を共通のロック解除操作手段で手動操作することで、ロック解除の操作が簡便迅速に行える。
【発明の効果】
【0022】
本発明の扉ロック装置は、塵芥投入箱の側壁部に手動式のロック解除操作手段を配備したので、閉塞位置または解放位置のいずれに後部扉が在っても、後部扉の高さに関係なく作業員は容易に手の届く高さにあるロック解除操作手段を手で操作することができ、しかも、片手操作することが容易で、後部扉のロック解除と上下開閉の一連の操作が円滑にして迅速にできるという優れた効果を奏し得る。
【0023】
また、後部扉の複数箇所に配備したロック手段を共通のロック解除操作手段の手動操作でロック解除することで、複数全てのロック手段を同時に確実にロック解除することが可能となり、一部のロック手段がロック解除不十分なまま後部扉を無理に開閉するといった不具合発生が低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図7を参照して説明する。
【0025】
図1(A)(B)に示される塵芥収集車は、図8の塵芥収集車に適用したもので、図8と同一部分または相当部分には同一符号を付して、詳細説明は省略する。図1の塵芥収集車は、車両フレーム1に搭載した塵芥収容箱3の後端開口部に、内部に塵芥積込装置(図示せず)を有する塵芥投入箱30を枢軸5を支点に上下方向に揺動可能に連接する。塵芥投入箱30の後面であって両側壁部31の後縁下部間に、塵芥の投入口35が形成される。この投入口35に後部扉36が上下に開閉可能に設置される。後部扉36は、投入口35を塞ぐ図2の閉塞位置と、投入口35から上方に移動して投入口35を開口する図3の解放位置との間を上下に開閉動作する。
【0026】
後部扉36の上部両端に、一対の揺動アーム37の先端部が枢支される。この揺動アーム37の後端部が、両側壁部21の内側に固定した支軸38に枢支される。揺動アーム37には、図2で反時計方向に附勢するばね手段39が連接される。ばね手段39は、図8のばね部材19に相当するもので、後述するように、ロック解除された後部扉36の上向き開放移動を補助する。左右一対の揺動アーム37に、カバー41の両端部が固定される。このカバー41の下縁は後部扉36の上縁にヒンジ結合され、揺動アーム37と一体に上下に揺動する。
【0027】
後部扉36の下部両端にガイドローラ42が突設される。この左右一対のガイドローラ42は、投入口35の両側辺に沿って固定した左右一対の溝形ガイドレール43に嵌挿される。後部扉36の上下開閉動作時に、ガイドローラ42がガイドレール43に沿って転動する。図6にガイドレール43の断面を示し、図7にガイドローラ42を示す。後部扉36が上下開閉する際、後部扉36の上端部両端が揺動アーム37にガイドされ、下端部両端がガイドレール43にガイドされる。これにより、後部扉36の上下開閉姿勢が安定する。後部扉36の下端部外面に把手44が突設される。
【0028】
後部扉36の下端部と塵芥投入箱側壁部31に、後部扉36が閉塞位置および解放位置に移動すると互いに係合して後部扉36を側壁部31に自動ロックする係合部材と被係合部材を有するロック手段50が配備される。ロック手段50は、塵芥投入箱30の片側側壁部31の外面所定の高さ位置に設置した手動式のロック解除操作手段60に、連結機構70を介して連結される。ロック手段50とロック解除操作手段60の具体例を、図4および図5に示す。
【0029】
ロック手段50は、後部扉36の下部両端に突設した左右一対のロックピン51の係合部材と、図7に示すように両側壁部31に形成したピン孔52の被係合部を有する。左右一対のロックピン51のそれぞれは、復帰ばね53を介して後部扉36に固定の取付ブラケット54に軸方向移動可能に支持される。
【0030】
ロック解除操作手段60は、この実施形態では、片側側壁部31の略中間高さ位置に設置された一本の操作レバーである。操作レバー60は、側壁部31の外面で、地上に立つ作業員の手が容易に届く比較的低い高さ位置に斜め上向きに設置される。操作レバー60はL形を成し、水平部が側壁部31を回転可能に貫通する。この水平部の先端に図5の破線で示す揺動板61が上向きに固定される。揺動板61の先端と一対のロックピン51が、連結機構70で連結される。
【0031】
連結機構70は、後部扉36の内側に沿わせた動力伝達ワイヤ71と、後部扉36の下端部に上下に回動可能に設置したT字金具72と、T字金具72と左右のロックピン51を連結するワイヤ73(ロッドに代替も可能)を有する。動力伝達ワイヤ71の一端が揺動板61に連結され、他端がT字金具72に連結される。図5において、操作レバー60を実線位置から鎖線位置へと手動で回動させると、揺動板61が図5で時計方向に回転して動力伝達ワイヤ71を引っ張り、動力伝達ワイヤ71がT字金具72を支軸74を支点に時計方向に回転させる。この回転で左右のワイヤ73が互いに接近する方向に移動して、左右一対のロックピン51が後退する(ロック解除の動作)。操作レバー60から手を離すと、左右一対のロックピン51に作用する復帰ばね53の附勢力で連結機構全体が元の状態に自動復帰する状態になり、後部扉36が自動ロック可能な状態になる。
【0032】
左右のロックピン51には、図7に示すガイドローラ42が同軸に装着される。この左右のガイドローラ42が対応する左右のガイドレール43を転動する。ガイドレール43の上下2箇所の各々にロックピン51が嵌入可能なピン孔52を形成する。
【0033】
次に、上記した実施の形態による後部扉36の開閉動作を説明する。
【0034】
図2に示す閉塞位置にある後部扉36を開ける場合、作業員が片手で操作レバー60を図2で時計方向に定角度回転操作する。このレバー操作により、閉塞位置にある後部扉36の下部の左右両端にある一対のロックピン51が同時に後退し、対応するピン孔52から抜けて同時にロック解除される。このロック解除により、後部扉36はばね手段39の附勢力で自動的に上昇を始め、中間の高さ位置でばね手段39の附勢力と後部扉36の自重とがバランスして停止する。後部扉36が一端上昇を開始すれば、作業員は操作レバー60から手を離しても構わない。この際、後部扉36のガイドローラ42がガイドレール43を転動して後部扉36の下部両端の上昇方向をガイドし、揺動アーム37が図2で反時計方向に揺動して後部扉36の上部両端の上昇方向をガイドする。
【0035】
前述のように、後部扉36が閉塞位置と解放位置の中間の高さ位置まで上昇すると、ばね手段39の附勢力と後部扉36の自重が均衡して、半開きの位置で一時停止する。この状態で後部扉36の把手44を手で上へ軽く押すと、後部扉36がばね手段39の附勢力のみで解放位置へと上昇する。後部扉36が図3に示す解放位置まで開くと、左右一対のロックピン51が左右のガイドレール43の上部に形成したピン孔に復帰ばね53のばね力で嵌入し、後部扉36が自動ロックされる。
【0036】
解放位置の後部扉36を閉じる場合も、作業員が片手で操作レバー60を図2で時計方向に定角度回転操作する。このレバー操作により、解放位置にある後部扉36の左右一対のロックピン51が同時に後退し、対応するピン孔から抜けて同時にロック解除される。ロック解除されると、後部扉36がばね手段39の上向き附勢力に打ち勝ってその自重により下降を開始し、中間の高さ位置でばね手段39の附勢力と後部扉36の自重とがバランスして停止する。このように後部扉36がある程度下降すると、作業員は把手44に容易に手が届く。したがって、この状態から作業員が把手44を手で持って後部扉36を軽く押し下げると、後部扉36が図2に示す閉塞位置まで下降して投入口35を閉じる。これにより、左右一対のロックピン51が左右のガイドレール43の下部に形成したピン孔52に復帰ばね53のばね力で嵌入し、後部扉36が自動ロックされる。
【0037】
なお、本発明の塵芥収集車の扉ロック装置は、上記した実施の形態に限定されるものではない。例えば、ロック手段は、後部扉のいずれか一方または両側面に形成したピン孔と、塵芥投入箱のいずれか一方または両側壁部に突出退入可能に配備したロックピンにして、このロックピンを連結機構を介して側壁部に設置したロック解除操作手段の手動操作で駆動するようにしてもよい。なお、連結機構にT字金具を使用せずに左右のロックピンと操作部材とを2本のワイヤで直接連結してロックピンを退入操作することも可能である。
また、本発明は、前記実施形態のように後部扉が中折れ可能な2枚構成(後部扉36とカバー41)で左右2本アームで支持されたものの他、図8に示すような後部扉が1枚構成で左右4本アームで支持されたものにも同様に適用可能である。さらに、前記実施形態ではロック解除操作手段として操作レバーを用いたが、操作レバーに代えて、ハンドル式ロック解除操作部材や、図10のロック解除レバー22のようなグリップ式ロック解除操作部材など、任意の操作部材を用いてよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(A)は本発明に係る塵芥収集車の実施の形態を示す車両後部の側面図、(B)は後面図である。
【図2】図1の塵芥収集車における塵芥投入箱の部分断面を含む部分拡大側面図である。
【図3】図2の塵芥投入箱の後部扉解放時の側面図である。
【図4】図2の塵芥投入箱の左半分の後面図である。
【図5】図2の塵芥投入箱に設置した扉ロック装置の概要を示す組立図である。
【図6】図4の後部扉と塵芥投入箱の部分拡大断面図である。
【図7】図4の一部省略部分を含む部分拡大図である。
【図8】(A)は従来の塵芥収集車の車両後部の一部省略部分を含む側面図、(B)は後部扉解放時の側面図である。
【図9】図8の塵芥収集車における塵芥投入箱の後面図である。
【図10】図9の後部扉の下端部に設置したロック装置を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 車両フレーム
3 塵芥収容箱
30 塵芥投入箱
31 側壁部
35 投入口
36 後部扉
37 揺動アーム
38 支軸
39 ばね手段
41 カバー
42 ガイドローラ
43 ガイドレール
44 把手
50 ロック手段
51 ロックピン
52 ピン孔
54 取付ブラケット
60 操作レバー(ロック解除操作手段)
61 揺動板
70 連結機構
71 動力伝達ワイヤ
72 T字金具
73 ロッド
74 支軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部の塵芥投入箱に設けた塵芥の投入口に、当該投入口を塞ぐ閉塞位置と投入口から上方に移動して投入口を開口する解放位置との間で上下移動可能に後部扉を連接し、この後部扉と前記塵芥投入箱に、前記後部扉を上方に附勢するばね手段と、前記後部扉が前記閉塞位置および解放位置に移動すると互いに係合して後部扉を自動ロックする係合部材と被係合部材を有するロック手段を配備した塵芥収集車において、
前記塵芥投入箱の側壁部に、前記ロック手段をその係合部材と被係合部材の互いの係合を解除するロック解除位置へ、前記後部扉と塵芥投入箱相互間に配備した連結機構を介して手動で駆動させるロック解除操作手段を配備したことを特徴とする塵芥収集車の扉ロック装置。
【請求項2】
前記塵芥投入箱側壁部の略中間の高さ位置に前記ロック解除操作手段を配備したことを特徴とする請求項1に記載の塵芥収集車の扉ロック装置。
【請求項3】
前記ロック手段は、前記後部扉の両側端部にそれぞれに突出退入可能に配備した一対のロックピンと、前記塵芥投入箱の両側壁部にそれぞれに形成された、前記一対のロックピンが嵌入可能な一対のロック孔を有し、前記ロック解除操作手段で前記一対のロックピンをロック解除動作させることを特徴とする請求項1または2に記載の塵芥収集車の扉ロック装置。
【請求項4】
前記塵芥投入箱の投入口の両側辺に前記後部扉下端部の扉開閉時の上下移動をガイドするガイドレールを固定すると共に、前記一対のロックピンのそれぞれに、対応する前記ガイドレールにガイドされて後部扉下端部の上下移動方向を規制するガイドローラを、各ロックピンと同軸に装着したことを特徴とする請求項3に記載の塵芥収集車の扉ロック装置。
【請求項5】
前記ロック手段は、前記後部扉の両側端部にそれぞれに形成された一対のロック孔と、前記塵芥投入箱の両側壁部にそれぞれに突出退入可能に配備された、前記一対のロック孔に嵌入可能な一対のロックピンを有し、前記ロック解除操作手段で前記一対のロックピンをロック解除動作させることを特徴とする請求項1または2に記載の塵芥収集車の扉ロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−206306(P2006−206306A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24148(P2005−24148)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000192073)株式会社モリタ (80)
【Fターム(参考)】