説明

塵芥収集車

【課題】後方カメラを塵芥収集時のトラブルや作業員の安全管理に利用できるようにした塵芥収集車の提供。
【解決手段】塵芥の投入口の近傍および後方を撮影する後方カメラ10と、車体の前方を撮影する前方カメラ11と、映像を表示するモニタ12と、映像を記録するドライブレコーダ13と、前方カメラ11の映像信号が入力されるとともに、入力された映像信号をドライブレコーダ13に出力するカメラハブ14と、後方カメラ10の映像信号を入力してカメラハブ14に出力するとともに、カメラハブ14を通じて前方カメラ11の映像信号を入力して後方カメラ10の映像信号とともにモニタ12に出力するコントロールボックス14とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収容箱内に塵芥を積み込んで収集する塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塵芥収集車は、車体上に塵芥収容箱が搭載されており、この塵芥収容箱の後部には、塵芥投入箱が接続されている。そして、塵芥投入箱の後面には、その略中間部から後端部にかけて塵芥投入口が設けられ、塵芥投入口には開閉扉が取り付けられている。また、塵芥投入箱の上半分は、ルーフカバーにより覆われており、ルーフカバーの後縁部近傍には、塵芥収集車を後進させる際の後方監視のための後方カメラが、また、キャブ内にはそのモニタが取り付けられている。
【0003】
ところで、近年、車両走行時の万が一の事故に備えて、車両前方を撮影記録するドライブレコーダを搭載する車両が増えている。このドライブレコーダは、車両の前方に取り付けられたカメラの映像を撮影して常時映像を記録したり、衝撃を感知した前後の数秒間の映像を記録したりするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−285316号公報(段落0016、図1〜図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、従来の塵芥収集車に取り付けられている後方カメラは、塵芥収集車を後進させる際の後方監視のためのものであり、塵芥収集車の後進の際にスイッチがオンされ、映像がキャブ内のモニタに単に表示されるだけで、その映像の記録は一切行われていない。また、塵芥投入時にも、作業映像がモニタに表示されるだけで、その映像記録は一切行われていない。
【0006】
本発明においては、後方カメラを塵芥収集時のトラブルや作業員の安全管理に利用できるようにした塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の塵芥収集車は、車体上に搭載され、後方開口部を有する塵芥収容箱と、この塵芥収容箱の後方開口部に連設され、塵芥の投入口を有するとともに、この投入口から投入された塵芥を、後方開口部を経て塵芥収容箱へ積み込む塵芥積込装置を備えた塵芥投入箱とを有する塵芥収集車であって、塵芥の投入口の近傍および後方を撮影する後方カメラと、車体の前方を撮影する前方カメラと、映像を表示するモニタと、映像を記録するドライブレコーダと、前方カメラおよび後方カメラの映像信号が入力されるとともに、入力された映像信号をモニタおよびドライブレコーダに出力するコントロールボックスとを有するものである。
【0008】
本発明の塵芥収集車によれば、前方カメラおよび後方カメラの映像信号がコントロールボックスを通じてドライブレコーダに出力されるので、前方カメラにより撮影された映像だけでなく後方カメラにより撮影された映像がドライブレコーダに記録される。また、前方カメラおよび後方カメラの映像信号はコントロールボックスを通じてモニタに出力され、表示される。
【0009】
また、本発明の塵芥収集車は、後方カメラの近傍に後方マイクを有し、ドライブレコーダは、前方カメラおよび後方カメラの映像とともに後方マイクの音声を記録するものであることが望ましい。これにより、後方カメラにより撮影された映像だけでなく、塵芥収集車の後方の音声もドライブレコーダに記録される。
【0010】
また、本発明の塵芥収集車は、前方カメラからの映像信号が入力されるとともに、後方カメラの映像信号がコントロールボックスを通じて入力され、コントロールボックスに前方カメラの映像信号を出力するとともに、ドライブレコーダに前方カメラおよび後方カメラの映像信号を出力するカメラハブを有することが望ましい。これにより、メーカの異なるカメラであっても前方カメラの映像信号がカメラハブを通じてコントロールボックスに出力され、コントロールボックスを通じてモニタに出力され、表示されるとともに、前方カメラおよび後方カメラの映像信号がカメラハブを通じてドライブレコーダに出力され、記録される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塵芥収集車によれば、前方カメラにより撮影された映像だけでなく後方カメラにより撮影された映像がドライブレコーダに記録されるので、後ほど後方カメラによる映像を塵芥収集時のトラブルや作業員の安全管理に利用することが可能となる。
【0012】
また、後方カメラの近傍に後方マイクを有し、ドライブレコーダが、前方カメラおよび後方カメラの映像とともに後方マイクの音声を記録するものであることにより、後方カメラにより撮影された映像だけでなく、塵芥収集車の後方の音声もドライブレコーダに記録されるので、この塵芥収集車の後方の音声を塵芥収集時のトラブルや作業員の安全管理に利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における塵芥収集車の側面図である。
【図2】図1の塵芥収集車に搭載される映像音声記録システムのブロック図である。
【図3】図1の塵芥収集車に搭載される映像音声記録システムの別の実施形態を示すブロック図である。
【図4】図1の塵芥収集車に搭載される映像音声記録システムのさらに別の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の実施の形態における塵芥収集車の側面図、図2は図1の塵芥収集車に搭載される映像音声記録システムのブロック図である。
【0015】
図1において、塵芥収集車1は、車体2上に塵芥収容箱3が搭載されたものであり、塵芥収容箱3の後端の後方開口部4には塵芥投入箱5が連設されている。塵芥投入箱5は、後方開口部4の上方で投入箱支持ピン6により軸支されており、図1に仮想線で示すように投入箱支持ピン6を中心に傾動自在となっている。
【0016】
塵芥投入箱5の後部には、投入口7が開口されている。この投入口7は、昇降可能な開閉扉(図示せず。)を降下させることにより、閉鎖させることができる。また、塵芥投入箱5の内部には、投入口7から投入された塵芥を、後方開口部4を経て塵芥収容箱3に積み込む回転式の塵芥積込装置8が装備されている。なお、塵芥積込装置8は、圧縮式のものとすることも可能である。
【0017】
また、塵芥投入箱5の上半分は、ルーフカバー9により覆われている。ルーフカバー9の後縁部近傍には、投入口7の近傍および後方を撮影する後方カメラ10が設けられている。また、後方カメラ10の近傍には後方マイク10aが設けられている。また、塵芥収集車1のキャブ1a内には、車体2の前方を撮影する前方カメラ11と、映像を表示するモニタ12と、映像を記録するマイク一体型ドライブレコーダ(以下、単に「ドライブレコーダ」と称す。)13と、コントロールボックス14とが設けられている。これらの後方カメラ10、後方マイク10a、前方カメラ11、モニタ12、ドライブレコーダ13およびコントロールボックス14は、図2に示す映像音声記録システムを構成している。
【0018】
図2に示すように、コントロールボックス14には、前方カメラ11および後方カメラ10の映像信号と、後方マイク10aの音声信号とが入力される。また、コンロトールボックス14は、これらの入力された前方カメラ11および後方カメラ10の映像信号と、後方マイク10aの音声信号とをモニタ12およびドライブレコーダ13に出力する。
【0019】
ドライブレコーダ13は、コントロールボックス14から入力される前方カメラ11および後方カメラ10の映像信号と、後方マイク10aの音声信号とを記録する。また、また、ドライブレコーダ13はマイク一体型となっており、キャブ1a内の音声も一緒に音声信号として入力し、記録することができる。さらに、ドライブレコーダ13は、すべての記録した映像信号および音声信号をUSBメモリ等の外部記憶装置13aに記録することが可能となっている。
【0020】
上記構成の塵芥収集車1によれば、前方カメラ11および後方カメラ10の映像信号がコントロールボックス14を通じてドライブレコーダ13に出力されるので、前方カメラ11により撮影された映像だけでなく後方カメラ10により撮影された映像がドライブレコーダ13に記録される。また、前方カメラ11および後方カメラ10の映像信号は、コントロールボックス14を通じてモニタ12に出力され、後ほど表示される。
【0021】
なお、モニタ12は、後方カメラ10の映像表示と、前方カメラ11および後方カメラ10の両映像の分割表示とを切り換える切換ボタン(図示せず。)を備えているが、いずれの場合であっても前方カメラ11および後方カメラ10の映像信号はコントロールボックス14を通じてドライブレコーダ13に入力されており、ドライブレコーダ13には前方カメラ11および後方カメラ10の両映像が記録される。
【0022】
このように、本実施形態における塵芥収集車1によれば、前方カメラ11により撮影された映像だけでなく後方カメラ10により撮影された映像がドライブレコーダ13に記録されるので、後方カメラ10による映像を塵芥収集時のトラブルや作業員の安全管理に利用することが可能である。また、この塵芥収集車1では、後方カメラ10により撮影された映像だけでなく、後方マイク10aの音声もドライブレコーダ13に記録されるので、この塵芥収集車1の後方の音声を塵芥収集時のトラブルや作業員の安全管理に利用することが可能である。
【0023】
また、モニタ12の切換ボタンが後方カメラ10の映像表示に切り換えられた場合には、後方マイク10aの音声信号がコントロールボックス14およびモニタ12を通じてドライブレコーダ13に入力され、ドライブレコーダ13の一体型のマイクによりキャブ1a内の音声とともにドライブレコーダ13に記録される。一方、モニタ12の切換ボタンが前方カメラ11および後方カメラ10の両映像の分割表示に切り換えられた場合には、後方マイク10aの音声はドライブレコーダ13に記録されず、キャブ1a内の音声のみがドライブレコーダ13に記録される。
【0024】
また、この塵芥収集車1では、前方カメラ11および後方カメラ10の映像の他、ドライブレコーダ13のマイクの音声および後方マイク10aの音声も外部記憶装置13aに記録され、この外部記憶装置13aをドライブレコーダ13から取り外して、事務所に持ち帰り、事務所のコンピュータ機器に接続して読み出すことが可能である。これにより、事務所のコンピュータ機器により再生して、安全管理を行うことが可能である。
【0025】
次に、映像音声記録システムの別の実施形態について説明する。図3は図1の塵芥収集車に搭載される映像音声記録システムの別の実施形態を示すブロック図である。
【0026】
図3に示す映像音声記録システムでは、カメラハブ15には、前方カメラ11の映像信号が入力され、入力された前方カメラ11の映像信号はコントロールボックス14に出力される。コントロールボックス14には、後方カメラ10の映像信号および後方マイク10aの音声信号が入力されるとともに、カメラハブ15を通じて前方カメラ11の映像信号が入力される。
【0027】
また、コントロールボックス14は後方カメラ10から入力された映像信号をカメラハブ15に出力するとともに、カメラハブ15を通じて前方カメラ11から入力された映像信号および後方カメラ10の映像信号と、後方マイク10aの音声信号とをモニタ12に出力する。また、カメラハブ15はコントロールボックス14から入力された後方カメラ10の映像信号を前方カメラ11の映像信号とともにドライブレコーダ13に出力する。
【0028】
ドライブレコーダ13には、カメラハブ15から出力された後方カメラ10の映像信号および前方カメラ11の映像信号が入力されるとともに、モニタ12を通じて後方マイク10aの音声信号が入力され、これらの後方カメラ10の映像信号、前方カメラ11の映像信号および後方マイク10aの音声信号を記録する。また、ドライブレコーダ13はマイク一体型となっており、キャブ1a内の音声も一緒に記録することが可能となっている。
【0029】
上記構成の映像音声記録システムによれば、後方カメラ10の映像信号がコントロールボックス14を通じてカメラハブ15に出力され、前方カメラ11の映像信号とともにカメラハブ15を通じてドライブレコーダ13に出力されるので、前方カメラ11により撮影された映像だけでなく後方カメラ10により撮影された映像がドライブレコーダ13に記録される。また、前方カメラ11および後方カメラ10の映像信号は、コントロールボックス14を通じてモニタ12に出力され、表示される。
【0030】
なお、モニタ12は、後方カメラ10の映像表示と、前方カメラ11および後方カメラ10の両映像の分割表示とを切り換える切換ボタン(図示せず。)を備えているが、いずれの場合であっても前方カメラ11の映像信号はカメラハブ15を通じて、後方カメラ10の映像信号はコントロールボックス14およびカメラハブ15を通じてドライブレコーダ13に入力されており、ドライブレコーダ13には前方カメラ11および後方カメラ10の両映像が記録される。
【0031】
次に、映像音声記録システムのさらに別の実施形態について説明する。図4は図1の塵芥収集車に搭載される映像音声記録システムのさらに別の実施形態を示すブロック図である。
【0032】
前述の図3に示す映像音声記録システムでは、後方マイク10aの音声信号はコントロールボックス14およびモニタ12を通じてドライブレコーダ13に出力される構成であるが、図4に示す映像音声記録システムではコントロールボックス14からモニタ12を介さずに直接ドライブレコーダ13へ音声信号を出力している。他の構成は、図3と同様である。このような構成においても、ドライブレコーダ13に、前方カメラ11および後方カメラ10の映像信号の他、後方マイク10aの音声信号が記録される。
【0033】
さらに、作業員の安全を確保するために、側方カメラを設置しても良い。これにより、キャブ1a内のモニタ12に側方の映像を表示したり、ドライブレコーダ13に映像を記録し、安全管理に役立てることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の塵芥収集車は、塵芥を収集する車両として有用であり、特に本発明は、塵芥収集時のトラブルや作業員の安全管理に利用できるようにした塵芥収集車として有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 塵芥収集車
2 車体
3 塵芥収容箱
4 後方開口部
5 塵芥投入箱
6 投入箱支持ピン
7 投入口
8 塵芥積込装置
9 ルーフカバー
10 後方カメラ
10a 後方マイク
11 前方カメラ
12 モニタ
13 ドライブレコーダ
14 コントロールボックス
15 カメラハブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上に搭載され、後方開口部を有する塵芥収容箱と、
この塵芥収容箱の後方開口部に連設され、塵芥の投入口を有するとともに、この投入口から投入された塵芥を、前記後方開口部を経て前記塵芥収容箱へ積み込む塵芥積込装置を備えた塵芥投入箱と
を有する塵芥収集車であって、
前記塵芥の投入口の近傍および後方を撮影する後方カメラと、
前記車体の前方を撮影する前方カメラと、
映像を表示するモニタと、
映像を記録するドライブレコーダと、
前記前方カメラおよび後方カメラの映像信号が入力されるとともに、入力された映像信号を前記モニタおよびドライブレコーダに出力するコントロールボックスと
を有する塵芥収集車。
【請求項2】
前記後方カメラの近傍に後方マイクを有し、
前記ドライブレコーダは、前記前方カメラおよび後方カメラの映像とともに前記後方マイクの音声を記録するものである請求項1記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記前方カメラからの映像信号が入力されるとともに、前記後方カメラの映像信号が前記コントロールボックスを通じて入力され、前記コントロールボックスに前記前方カメラの映像信号を出力するとともに、前記ドライブレコーダに前記前方カメラおよび後方カメラの映像信号を出力するカメラハブを有する請求項1または2に記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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