説明

増加した安定性を有する成長ホルモンコンジュゲート

成長ホルモン化合物(GH)および成長ホルモン結合タンパク質(GHBP)を含む新規の成長ホルモンコンジュゲートが開示される。本発明はまた、部位特異的コンジュゲーションによって安定で、長時間続くコンジュゲート(hGH-GHBP)を生成するための新規の誘導体化方法を包含する。新規のGH-GHBPコンジュゲートは、タンパク質の治療的使用を促進する長い循環半減期を有する。GH-GHBPコンジュゲートは、インビボでの増加した機能的半減期、改善された腎臓濾過、改善されたプロテアーゼ防御およびアルブミン結合などの薬理学的特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成長ホルモンコンジュゲートおよび該成長ホルモンコンジュゲートを調製するための方法に関する。本明細書に記載されるコンジュゲートは、部位特異的コンジュゲーションによって成長ホルモン結合タンパク質にコンジュゲートされた成長ホルモン化合物である。新規コンジュゲートは長い循環半減期を有し、これはタンパク質の治療的使用を促進する。
【背景技術】
【0002】
ヒト成長ホルモン(hGH)は、ジスルフィド架橋を有する191アミノ酸長のタンパク質であり、22kDaの分子量である。ジスルフィド結合は、53位と165位および182位と189位を結合する。hGHは成長を促進するのに主要な役割を果たし、正常な身体組成、同化作用および脂質代謝を維持する。ヒト成長ホルモンはまた、低下したグルコース摂取、増加した脂質分解、増加したアミノ酸摂取およびタンパク質合成などの中間代謝に直接的な影響を与える。このホルモンはまた、脂肪組織、肝臓、腸、腎臓、骨格、結合組織および筋肉を含む、他の組織に影響を与える。組換えhGHは、例えば、Genotropin(商標)(Pharmacia Upjohn)、Nutropin(商標)およびProtropin(商標)(Genentech)、Humatrope(商標)(Eli Lilly)、Serostim(商標)(Serono)並びにNorditropin(商標)(Novo Nordisk)として製造され、商業的に利用可能である。さらに、N末端に追加のメチオニン残基を有するアナログもまた、例えばSomatonorm(商標)(Pharmacia Upjohn/Pfizer)として市販されている。
【0003】
所与のタンパク質の操作は、特に前記タンパク質が治療的性質を有する場合、その安定性または半減期を増加するように試みられる。これに関して、前記タンパク質に基をコンジュゲートすることによるタンパク質の修飾は、タンパク質の特性を変化させる方法の1つである。hGHは短い半減期を有するので、発育不全を患っている子供に少なくとも3回の注射または多くの場合、毎日の注射を必要とする。現在のhGH治療計画は、毎日の皮下注射を必要とする。これは、毎日の注射に関する患者の許容度に対する問題に加えて、費用、投与の容易さを含みうる患者に多くの障害を生じる。
【0004】
安定性を高め、クリアランス速度を低下させ、治療用タンパク質の抗原性を低下させるために、治療用タンパク質の化学的修飾を含む、様々なアプローチが提案されている。長続きする成長ホルモンを作製するための異なる方法は、ペグ化アプローチおよび持続放出製剤の開発を含む。
【0005】
成長ホルモン(GH)の循環半減期が、成長ホルモン結合タンパク質(GHBP)に対する共有結合によって著しく増加しうることが記載されている(G.Baumannら、Metabolism-Clinical and Experimental 38(4)、330〜333頁(1989年))。残念ながらこのコンジュゲートは臨床的使用に適さない。なぜなら、それは本質的に異種であり、かつ、それはGH受容体を刺激できない可能性が非常に高いからである。また、GH-リンカー-GHBP融合タンパク質が、循環半減期を増加させることが記載されている(I.R.Wilkinsonら、Nat.Med.13(9)、1108〜1113頁(2007年))。残念ながら、このアプローチもまた、その問題を有する。この問題は、人工融合タンパク質において、免疫原性「非自己(non self)」配列が、リンカーと融合パートナーとの間に生じる可能性があることである。そのような非自己配列は、慢性的使用のための薬物について非常に望ましくない免疫原性を生じうる。
【0006】
成長ホルモンの翻訳後のコンジュゲーションによってこのホルモンをペグ化するためのトランスグルタミナーゼ(TGase)の使用が以前に報告されており(国際公開第06134148号、国際公開第05070468号、米国仮出願第60/957732号)、ここで、そのトランスグルタミナーゼはPEGが選択的に結合されるタンパク質中の特定の位置に結合点を作製するために使用される。さらに、欧州特許第950665号および欧州特許第785276号は、生理的に活性なタンパク質のトランスグルタミナーゼを介した改変を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第06134148号
【特許文献2】国際公開第05070468号
【特許文献3】米国仮出願第60/957732号
【特許文献4】欧州特許第950665号
【特許文献5】欧州特許第785276号
【特許文献6】国際公開第2006048777号
【特許文献7】国際公開第2004022593号
【特許文献8】国際公開第2005018659号
【特許文献9】国際公開第2005074524号
【特許文献10】国際公開第2005074546号
【特許文献11】国際公開第2005074650号
【特許文献12】米国特許第5849535号
【特許文献13】米国特許第6136563号
【特許文献14】米国特許第6022711号
【特許文献15】米国特許第6143523号
【特許文献16】PCT出願国際公開第2005/035553号
【特許文献17】米国特許第5156956号
【特許文献18】米国特許第5252469号
【特許文献19】特開2003199569号公報
【特許文献20】米国特許第5731183号
【特許文献21】国際公開第96/06931号
【特許文献22】国際公開第96/22366号
【特許文献23】欧州特許第0555649号
【特許文献24】米国特許第5736356号
【特許文献25】国際公開第2007/020290号
【特許文献26】国際公開第2008/020075号
【特許文献27】国際公開第2005/070468号
【特許文献28】国際公開第2006/134148号
【特許文献29】国際公開第2008/003750号
【特許文献30】米国特許第60/957732号
【特許文献31】国際公開第2006/084888号
【特許文献32】国際公開第2008025856号
【特許文献33】国際公開第2005014035号
【特許文献34】国際公開第2006035057号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】G.Baumannら、Metabolism-Clinical and Experimental 38(4)、330〜333頁(1989年)
【非特許文献2】I.R.Wilkinsonら、Nat.Med.13(9)、1108〜1113頁(2007年)
【非特許文献3】J.Pharm.Sci.1977、66、2頁
【非特許文献4】Computational Molecular Biology、Lesk, A.M.編、Oxford University Press、New York、1988年
【非特許文献5】Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith, D.W. 編、Academic Press、New York、1993年
【非特許文献6】Computer Analysis of Sequence Data、Part 1、Griffin, A.M.、およびGriffin, H.G.編、Humana Press、New Jersey、1994年
【非特許文献7】Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje, G.、Academic Press、1987年
【非特許文献8】Sequence Analysis Primer、Gribskov, M.およびDevereux, J.編、M.Stockton Press、New York、1991年
【非特許文献9】Carilloら、SIAM J.Applied Math.48、1073頁(1988年)
【非特許文献10】Devereuxら、Nucl.Acid.Res.12、387頁(1984年)
【非特許文献11】Edgar, Robert C.、Nucleic Acids Research 32(5)、1792〜97頁 (2004年)
【非特許文献12】Larkin MAら、Bioinformatics 23、2947〜2948頁(2007年)
【非特許文献13】Notredame, C.、Journal of Molecular Biology 302、205〜217頁(2000年)
【非特許文献14】BLAST Manual、AltschulらNCB/NLM/NIH Bethesda、Md.20894
【非特許文献15】Dayhoffら、Atlas of Protein Sequence and Structure、vol.5、supp.3(1978年)
【非特許文献16】Henikoffら、Proc.Natl.Acad.Sci USA 89、10915〜10919頁(1992年)
【非特許文献17】Needlemanら、J.Mol.Biol.48、443〜453頁(1970年)
【非特許文献18】Henikoffら、PNAS USA 89、10915〜10919頁(1992年)
【非特許文献19】MacLennanら、Acta Physiol.Scand.Suppl.643、55〜67頁(1998年)
【非特許文献20】Sasakiら、Adv.Biophys.35、1〜24頁(1998年)
【非特許文献21】Kyteら、J.Mol.Biol.、157、105〜131頁(1982年)
【非特許文献22】Beumannら、Endocrinol 122、976〜984頁(1988年)
【非特許文献23】Baumannら、J Endocrinol Invest.17、67頁(1994年)
【非特許文献24】Sundstromら、J Biol Chem 271、32197頁(1996年)
【非特許文献25】Fuhら、J Biol Chem.265、3111頁(1990年)
【非特許文献26】Bakerら(Bioconjugate Chem.17、179〜188頁(2006年)
【非特許文献27】Hashimotoら、J.Biochem.123、468〜478頁(1998年)
【非特許文献28】YoshidaおよびLee、Carbohydr.Res 251、175〜186頁(1994年)
【非特許文献29】Ehrenfreund-Kleinmannら、Biomaterials 23、1327〜1335頁(2002年)
【非特許文献30】ZitoおよびMartinez-Carrion、J. Biol.Chem.255、8645〜8649頁(1980年)
【非特許文献31】Drummondら、Proteomics 1、304〜310頁(2001年)
【非特許文献32】Itohら、Tetrahedron Lett.43、3105〜3108頁(2002年)
【非特許文献33】Fisherら、J.Biol.Chem.257、13208〜13210頁(1982年)
【非特許文献34】Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000年
【非特許文献35】M.M.Kurfurst、Anal.Biochem.200(2):244〜248頁、1992年
【非特許文献36】M.Sundstromら、J.Biol.Chem.271(50):32197-32203頁、1996年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書に開示されるのは、部位特異的コンジュゲーションによって修飾され、GHBPに結合される特異的アミノ酸残基を有する成長ホルモンの新規修飾体である。本開示はまた、そのような化合物を調製するための方法およびそのような化合物の薬学的使用も包含する。したがって、本発明に開示される方法によって誘導されるコンジュゲートは、対応するコンジュゲートされていないペプチドと比べて改良された薬理学的特性を有する。そのような薬理学的特性の例としては、インビボでの増加した機能的半減期、低下した免疫原性、改善された腎臓濾過およびプロテアーゼ防御、並びにアルブミン結合が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は式、
A-B-C
(式中、
Aは成長ホルモン化合物の基であり、
Bは二価の連結スペーサー残基であり、
Cは成長ホルモン受容体単量体化合物の細胞外部分の基であり、
-は共有結合であり、
ここで、AとBとの間の連結および/またはBとCとの間の連結は、構造A-B-Cを有する融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸の組換え発現によって提供されない)
の組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、
(a)成長ホルモン化合物を酵素的誘導体化する段階と、
(b)酵素修飾された成長ホルモン化合物を成長ホルモン受容体単量体化合物にコンジュゲートする段階と、
を含む、A-B-Cを得る方法も提供する。
【0012】
本発明はまた、本発明に記載されるように誘導される有効量のhGH-GHBPコンジュゲートを投与することによって、成長ホルモンの活性の増加が有益であろう哺乳動物における疾患状態を治療する方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、タンパク質、特にヒト成長ホルモン(hGH)と成長ホルモン結合タンパク質(GHBP)との間のタンパク質コンジュゲートに関する。そのようなコンジュゲートを調製するための本明細書に記載される1つの方法は、部位特異的コンジュゲーションによるhGHとGHBPとのコンジュゲーションを包含する。本発明によって提供されるhGH-GHBPコンジュゲートは、hGH自体と比べて安定性などの向上した薬理学的特性、長い循環半減期、腎クリアランスを有し、さらに例えばBaumannら、Metabolism-Clinical and Experimental 38(4)、330〜333頁(1989年))およびI.R.Wilkinsonら、Nat.Med.13(9)、1108〜1113頁(2007年)に記載されているhGHとhGH-GHBPとの融合タンパク質と比べて低い免疫原性を有する。本明細書に使用される「コンジュゲート」は、融合または修飾されたタンパク質またはペプチド、例えば別の化学部分または別のタンパク質に結合されたタンパク質を示すことを意味する。コンジュゲーションまたはコンジュゲートされたとは、コンジュゲートを形成する働きまたはプロセスを意味する。
【0014】
一実施形態において、本発明は式、
A-B-C
(式中、
Aは成長ホルモン化合物の基であり、
Bは二価の連結スペーサー残基であり、
Cは成長ホルモン結合タンパク質化合物の基であり、
-は共有結合であり、
ここで、AとBとの間の連結および/またはBとCとの間の連結は、構造A-B-Cを有する融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸の組換え発現によって提供されない)
の化合物を提供する。
【0015】
一実施形態において、本発明は式、
A-B-C
(Aは成長ホルモン化合物の基であり、
Bは二価の連結スペーサー残基であり、
Cは成長ホルモン結合タンパク質化合物の基であり、
-は共有結合であり、
ここで、Bは純粋なペプチド鎖ではない)
の化合物を提供する。
【0016】
本文脈において、「化合物」なる用語は、当該化合物の薬学的に許容可能な塩、プロドラッグおよび溶媒和物も包含する。本文脈において、「薬学的に許容可能な塩」なる用語は、患者に有害ではない塩を示すことを意図する。そのような塩には、薬学的に許容可能な酸付加塩、薬学的に許容可能な金属塩、薬学的に許容可能なアンモニウム塩および薬学的に許容可能なアルキル化アンモニウム塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸および有機酸の塩が含まれる。適切な無機酸の代表例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸等が含まれる。適切な有機酸の代表例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ケイ皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グルコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が含まれる。薬学的に許容可能な無機または有機酸付加塩のさらなる例には、参照により本明細書に組み込まれているJ.Pharm.Sci.1977、66、2頁に列挙された薬学的に許容可能な塩が含まれる。金属塩の例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩等が含まれる。アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩の例には、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩等が含まれる。
【0017】
成長ホルモン(GH)化合物は、配列番号1と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドであり、当該ペプチドは、実施例7に記載されるアッセイにおいて、hGHの少なくとも10%の活性を有する(つまり、GH化合物のEC50はhGHの100×EC50未満である)。一実施形態において、GH化合物の活性は、hGHの少なくとも20%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも90%の活性、例えばhGHと実質的に同じ活性である。
【0018】
一実施形態において、成長ホルモン化合物は、配列番号1と少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドである。一実施形態において、成長ホルモン化合物はこのようなペプチドのフラグメントであり、当該フラグメントは上記の相当量の成長ホルモン活性を保持している。
【0019】
一実施形態において、成長ホルモン化合物はアミノ酸配列を含むペプチドであり、当該配列は、配列番号1と少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%の類似性を有する。
【0020】
一実施形態において、成長ホルモン化合物は、国際公開第2006048777号、国際公開第2004022593号、国際公開第2005018659号、国際公開第2005074524号、国際公開第2005074546号、国際公開第2005074650号、米国特許第5849535号、米国特許第6136563号、米国特許第6022711号、または米国特許第6143523号に記載される成長ホルモンアナログである。
【0021】
一実施形態において、成長ホルモン化合物はhGHである。
【0022】
「ペプチド」なる用語は、ペプチド結合によって連結された2以上のアミノ酸の配列を示すことを意図し、当該アミノ酸は天然であっても、非天然であってもよい。この用語は、例えばシステイン架橋などの共有結合性相互作用、または非共有結合性相互作用によって結合された2つ以上のポリペプチドからなりうるポリペプチドおよびタンパク質なる用語を包含する。この用語はまた、例えば親油基、PEGまたは補欠分子族の結合によって誘導体化されているペプチドも含むことを意図することも理解されるべきである。ペプチドなる用語には任意の適切なペプチドが含まれ、他に示されないか、または文脈と矛盾しない限り、ポリペプチドおよびタンパク質なる用語の同意語として使用されうる。ただし、読者は、各タイプのそれぞれのアミノ酸ポリマー含有分子が有意な差で関連されてもよく、それによって本発明の個々の実施形態を形成することを理解するであろう(例えば、複数のポリペプチド鎖で構成される抗体などのペプチドは、例えば単鎖抗体、ペプチドイムノアドヘシン、または単鎖免疫原ペプチドとは有意に異なる)。したがって、ここでのペプチドなる用語は、一般に、(タンパク質分子中のアミノ酸の数、および関連する鎖の数に関して)任意の適切なサイズおよび組成の任意の適切なペプチドを意味するものとして理解されるべきである。さらに、ここで記載されるペプチドは、他に示されないか、または文脈と矛盾しない限り、非天然および/または非Lアミノ酸残基を含んでもよい。
【0023】
他に示されないか、または文脈と矛盾しない限り、ペプチドなる用語(およびポリペプチドおよび/またはタンパク質なる用語に関する個々の実施形態として述べる場合)はまた、誘導体化されたペプチド分子を包含する。つまり、本発明の文脈において、誘導体は、ペプチドのアミノ酸残基の1つまたは複数が化学的に修飾されているか(例えばアルキル化、アシル化、エステル形成、またはアミド形成によって)、或いは1つまたは複数の非アミノ酸有機および/または無機原子または分子置換基(例えばポリエチレングリコール(PEG)基、親油性置換基(βアラニン、γアミノ酪酸(GABA)、L/D-グルタミン酸、コハク酸等のようなスペーサー残基または基によってペプチドのアミノ酸配列に任意選択で連結されてよい)、蛍光団、ビオチン、放射性核種等)と結合され、それに加えてまたはその代わりに、他に示されないか、または文脈と矛盾しない限り、非必須アミノ酸、非天然アミノ酸、および/または非Lアミノ酸の残基を含むことができる、ペプチドである(しかし、このような誘導体はそれ自体が本発明の独立の特徴であり、またペプチドの意味の中にこのような分子を含めることは、裸のペプチドとかかる誘導体との間のいかなる均等性をも意味するのではなく、本発明を説明する際に便宜上行われるものであるとやはり理解されたい)。そのようなアミノ酸残基の非限定的な例には、例えば、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2’-ジアミノピメリン酸、2,3-ジ-アミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルグリシン、N-メチル-イソロイシン、6-N-メチルリジン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチンおよびスタチンハロゲン化アミノ酸が含まれる。この誘導体化は、本発明の誘導体化ではなく、むしろ本発明のコンジュゲーションの前に成長ホルモン化合物にすでに存在している誘導体化、または本発明のコンジュゲーションの後に実施される誘導体化であるということは理解されるべきである。
【0024】
当技術分野で知られる「同一性」なる用語は、配列を比較することにより決定されるような、2つ以上のペプチドの配列間の関係を意味する。当技術分野において、「同一性」はまた、2つ以上のアミノ酸残基の鎖間の一致数により決定されるような、ペプチド間の配列相関性の度合いも意味する。「同一性」とは、(もしあれば)特定の数学的モデルまたはコンピュータープログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処されるギャップアライメントを用いて、2つ以上の配列と他の配列との間の完全な一致の割合を測定するものである。関連するペプチドの同一性は公知の方法により容易に算出できる。そのような方法には、限定されないが、Computational Molecular Biology、Lesk, A.M.編、Oxford University Press、New York、1988年; Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith, D.W.編、Academic Press、New York、1993年; Computer Analysis of Sequence Data、Part 1、Griffin, A.M.、およびGriffin, H.G.編、Humana Press、New Jersey、1994年; Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje, G.、Academic Press、1987年; Sequence Analysis Primer、Gribskov, M.およびDevereux, J.編、M.Stockton Press、New York、1991年;およびCarilloら、SIAM J.Applied Math.48、1073頁(1988年)に記載されたものが含まれる。
【0025】
同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間の最大一致を与えるように設計される。同一性を決定する方法は、公に利用可能なコンピュータープログラムとして報告されている。2つの配列間の同一性を決定する好ましいコンピュータープログラム法には、GAP(Devereuxら、Nucl.Acid.Res.12、387頁(1984年);Genetics Computer Group、University of Wisconsin、Madison、Wis.)、BLASTP、BLASTN、Muscle(Edgar, Robert C.、Nucleic Acids Research 32(5)、1792〜97頁((2004年))、clustal Xおよびclustal W(Larkin MAら、Bioinformatics 23、2947〜2948頁(2007年)並びにtcoffee(Notredame, C.、Journal of Molecular Biology 302、205〜217頁(2000年)を含む、GCGプログラムパッケージが含まれる。BLASTXプログラムは、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)および他の源(BLAST Manual、AltschulらNCB/NLM/NIH Bethesda、Md.20894;Altschulら、上記を参照)から公に利用可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性を決定するのに用いられうる。
【0026】
例えば、配列同一性の割合を決定する2つのペプチドは、コンピューターアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group、University of Wisconsin、Madison、Wis.)を用いて、それぞれのアミノ酸の最適なマッチングのために整列される(アルゴリズムによって決定される「一致したスパン(matched span)」)。ギャップオープニングペナルティ(gap opening penalty)(平均ダイアゴナル(average diagonal)の3倍として計算され、「平均ダイアゴナル」は、用いられる比較行列のダイアゴナルの平均であり;「ダイアゴナル」は、特定の比較行列により、それぞれの完全なアミノ酸一致に割り当てられるスコアまたは数である)およびギャップエクステンションペナルティ(gap extension penalty)(これは、通常ギャップオープニングペナルティの10分の1(1/10)である)、並びに、例えばPAM 250またはBLOSUM 62のような比較行列がアルゴリズムとともに用いられる。標準比較行列(PAM 250比較行列については、Dayhoffら、Atlas of Protein Sequence and Structure、vol.5、supp.3(1978年);BLOSUM 62比較行列については、Henikoffら、Proc.Natl.Acad.Sci USA 89、10915〜10919頁(1992年)もまた、アルゴリズムにより用いられる。
【0027】
ペプチド配列比較の好ましいパラメーターは、以下のものを含む:アルゴリズム: Needlemanら、J.Mol.Biol.48、443〜453頁(1970年);比較行列: Henikoffら、PNAS USA 89、10915〜10919頁(1992年)からのBLOSUM 62;ギャップペナルティ:12、ギャップレングスペナルティ(Gap Length Penalty):4、スレショールドオブシミラリティ(Threshold of Similarity):0。
【0028】
GAPプログラムは、上記パラメーターを用いて有用である。前述のパラメーターは、(末端ギャップに対してペナルティ無しで)GAPアルゴリズムを用いるペプチド比較のデフォルトパラメーターである。
【0029】
「類似性」なる用語は、同一性と関連のある概念であるが、「同一性」とは対照的に、完全な一致と保存的置換の一致の両方を含む配列の関係のことを意味する。2つのポリヌクレオチド配列が、例えば20分の10(10/20)の同一性のアミノ酸を有し、残りが全て非保存的置換である場合、同一性および類似性の割合はいずれも50%である。同じ例において、保存的置換がさらに5つの位置で存在する場合、同一性の割合は50%のままであるが、類似性の割合は75%である(20分の15(15/20))。したがって、保存的置換が存在する場合、2つのポリペプチドの間の類似性の程度は、それらの2つのポリペプチドの間の同一性の割合より高くなる。
【0030】
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに対する保存的修飾(およびコード核酸に対する対応する修飾)は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドのものと類似した機能的および化学的特性を有するペプチドを産生する。対照的に、(a)置換の領域における分子骨格の構造、例えばシートまたはヘリックスのコンフォメーション、(b)標的部位における分子の電荷若しくは疎水性、または(c)側鎖の大きさ、を維持することに対する効果が有意に異なるアミノ酸配列の置換を選択することにより、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと比べて本発明によるペプチドの機能的および/または化学的特性の実質的な修飾を達成することができる。
【0031】
例えば、「保存的アミノ酸置換」は、その位置におけるアミノ酸残基の極性または電荷に対する影響がほとんどまたは全くないように、天然のアミノ酸残基を非天然の残基に置換することを含みうる。さらに、ポリペプチドにおける任意の天然の残基は、「アラニンスキャニング突然変異誘発」について以前に報告されている通り、アラニンで置換してもよい(例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発について説明している、MacLennan ら、Acta Physiol.Scand.Suppl.643、55〜67頁(1998年); Sasakiら、Adv.Biophys.35、1〜24頁(1998年)を参照のこと)。
【0032】
(保存的であろうと非保存的であろうと)望ましいアミノ酸置換は、かかる置換を望むときに当業者により決定することができる。例えば、アミノ酸置換は、本発明によるペプチドの重要な残基を同定するため、またはすでに記載した変異に加えて受容体に関して本明細書に記載されるペプチドの親和性を増大若しくは減少させるために使用することができる。
【0033】
天然に存在する残基は、共通の側鎖の特性に基づいてクラスに分けることができる:
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Iie;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:His、Lys、Arg;
5)鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0034】
このような変更をする際、アミノ酸の疎水親水指数を考慮することができる。各アミノ酸は、その疎水性および電荷特性に基づいて疎水親水指数が割り当てられており、これらは、以下の通りである:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);トレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸塩(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸塩(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);およびアルギニン(-4.5)。
【0035】
タンパク質に双方向の生物学的機能を付与する際の疎水親水アミノ酸指数の重要性は、当技術分野において理解されている。Kyteら、J.Mol.Biol.、157、105〜131頁(1982年)。ある種のアミノ酸は、同様の疎水親水指数またはスコアを有する他のアミノ酸と置換して、同様の生物学的活性をなお保持しうることが知られている。疎水親水指数に基づいて変更をする際、疎水親水指数が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内の置換がとりわけ好ましく、±0.5以内の置換がさらにとりわけ好ましい。近隣のアミノ酸の親水性より支配されるタンパク質の最大局所平均親水性は、免疫原性および抗原性、すなわちタンパク質の生物学的特性と関連がある。
【0036】
以下の親水性値が、アミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(’3.0);アスパラギン酸塩(+3.0±1);グルタミン酸塩(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファン(-3.4)。よく似た親水性値に基づいて変更をする際、親水性値が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内の置換がとりわけ好ましく、±0.5以内の置換がさらにとりわけ好ましい。
【0037】
本発明のペプチドはまた、非天然のアミノ酸を含んでもよい。
【0038】
一実施形態において、Bはペプチド鎖を含まない。本発明の文脈においてペプチド鎖は、連続ペプチド結合として理解されるべきである。つまり、アミド結合によって結合したアミノ酸残基から構成される鎖である。
【0039】
Bの実際の構造は本発明の必須の特徴ではないことは理解されるべきである。リンカーの長さおよび性質は、本発明のコンジュゲートの生物学的プロファイルを最適化する場合、当業者により決定されるべきである。
【0040】
Bは、例えば、少なくとも10の共有結合を含み、またBは、例えばポリエチレングリコール分子(PEG)の形態でC-S-C、C-O-CまたはC-C-Cの繰り返しユニットから構成されうる。「ポリエチレングリコール」、「Peg」または「PEG」(ポリ(エチレングリコール))なる用語は、次の構造
【0041】
【化1】

【0042】
(式中、nは1より大きい整数であり、その分子量はおよそ100Da〜およそ1,000,000kDaまたはさらにそれ以上であってもよい)の多分散または単分散ジラジカルを意味する。本発明の目的のために、Bは、例えば約500〜約50,000kDa、例えば約500、750、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、30,000、40,000または50,000kDa、例えば1,000〜10,000の間のサイズのPEGでありうる。
【0043】
大抵、Bの構造は、実施例に示すようにCをAにコンジュゲートする方法の選択の結果である。
【0044】
Cは、成長ホルモン受容体単量体化合物、というよりむしろGHBP化合物の基である。GHBPは、GH受容体の可溶性の細胞外部分であり、成長ホルモン受容体のタンパク質分解的切断によって誘導される可能性が最も高い。このタンパク質は40〜50%の循環GHに結合し、除去および分解からGHを防御し、したがってGH作用を調節するようである。通常の生理学的条件下で、GHBPはヒト血漿中のGHのほぼ半分と複合体化し(Beumannら、Endocrinol 122、976〜984頁(1988年)を参照のこと)、リザーバーまたはバッファーとして作用し、血漿GHの周期的変動を減衰し、GH半減期を延長させ、GHに対するGHRとの競合によりGH生物活性を調節する(Baumannら、J Endocrinol Invest.17、67頁(1994年))。GHBPは638アミノ酸長であり、配列番号2として提供される。
【0045】
GHBP化合物は、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドであり、そのペプチドは100nMより小さいKDで成長ホルモンに結合できる。一実施形態において、GHBP化合物は、配列番号2と少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドである。一実施形態において、GHBP化合物はGHBPの配列(配列番号2)を含む。一実施形態において、GHBP化合物はかかるペプチドのフラグメントであり、当該フラグメントは、相当な量のGHBP活性を保持し(すなわち、GHに結合できる)、例えばかかるペプチドの実質的に同じGHBP活性を有している。一実施形態において、GHBP化合物はN末端にセリンを有する。
【0046】
本発明において、AとBとの間の連結および/またはBとCとの間の連結は、構造A-B-Cを有する融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸の組換え発現により提供されない。すなわち、AとBおよびBとCとの間の連結は、成長ホルモン化合物およびGHBP化合物の、化合物の発現(または生成)後に実施される修飾によって確立される。かかる翻訳後修飾は当技術分野において周知であり、例えばアシル化、アルキル化(例えばメチル、エチル)、アミド化、ビオチン化、ホルミル化、グリコシル化およびリン酸化を含む。
【0047】
一実施形態において、A-B-Cは直鎖ペプチドではない。一実施形態において、BはGH化合物のN末端に結合される。一実施形態において、BはGH化合物のC末端に結合される。一実施形態において、BはGH化合物のアミノ酸側鎖に結合される。一実施形態において、BはGHBP化合物のN末端に結合される。一実施形態において、BはGHBP化合物のC末端に結合される。一実施形態において、BはGHBP化合物のアミノ酸側鎖に結合される。
【0048】
一実施形態において、本発明のGH-GHBPコンジュゲートの調製において確立される共有結合のうちの少なくとも1つは、実施例に示すように酵素の使用により調製される。かかる酵素は、例えば、トランスグルタミナーゼ、セリンプロテアーゼおよびシステインプロテアーゼからなる群より選択されうる。一実施形態において、前記酵素はトランスグルタミナーゼである。かかるトランスグルタミナーゼは、例えば、微生物トランスグルタミナーゼ、組織トランスグルタミナーゼおよび第XIII因子並びにそれらの変異体からなる群より選択されうる。一実施形態において、前記酵素はシステインプロテーゼである。かかるシステインプロテアーゼは、例えば、パパイン、ソルターゼAおよびソルターゼBからなる群より選択されうる。一実施形態において、前記酵素はセリンプロテアーゼである。かかるセリンプロテアーゼは、例えば、カルボキシペプチダーゼY(CPY)(PCT出願国際公開第2005/035553号はCPYを用いるタンパク質修飾の一般的開示を含む)、トリプシンおよびキモトリプシンからなる群より選択されうる。
【0049】
本発明の化合物は、多くの異なる方法、限定とみなされずに、以下に示すものの例示的な選択によって調製されうる。
【0050】
本発明はまた、本発明のGH-GHBPコンジュゲートを調製するための方法を提供する。
【0051】
上記のように、本発明のGH-GHBPコンジュゲートの調製に確立される共有結合のうちの少なくとも1つは、トランスグルタミナーゼの使用によって調製されうる。トランスグルタミナーゼには、ストレプトミセス属種(Streptomyces species);S.モバラエンス(S.mobaraense)、S.シナモネウム(S.cinnamoneum)、S.グリセオカルネウム(S.griseocarneum)(参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5156956号)、S.ラベンデュラエ(S.lavendulae)(参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5252469号)およびストレプトミセス・ラダカヌム(Streptomyces ladakanum)(参照により本明細書に組み込まれている特開2003199569号公報)から単離されたものなどの微生物トランスグルタミナーゼが含まれてよい。他の有用な微生物トランスグルタミナーゼは、枯草菌(Bacillus subtilis)(参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5731183号に開示されている)および種々の変形菌(Myxomycetes)から単離されている。有用な微生物トランスグルタミナーゼの他の例は、両方とも参照により本明細書に組み込まれている国際公開第96/06931号(例えばバチルス・リディクス(Bacilus lydicus)由来のトランスグルタミナーゼ)および国際公開第96/22366号に開示されているものである。有用な非微生物トランスグルタミナーゼには、モルモット肝臓トランスグルタミナーゼ、および平らな魚のマダイ(参照により本明細書に組み込まれている欧州特許第0555649号に開示されている)および日本のカキCrassostrea gigas(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5736356号に開示されている)などの種々の海洋源由来のトランスグルタミナーゼが含まれる。機能的アナログおよびその誘導体もまた、有用でありうる。
【0052】
一実施形態において、本発明の方法に使用されるTGaseは微生物トランスグルタミナーゼである。一実施形態において、TGaseは、例えば国際公開第2007/020290号および国際公開第2008/020075号に記載されているS.モバラエンスまたはその変異体由来である。一実施形態において、TGaseは、例えば国際公開第2008/020075号に記載されているS.ラダカヌムまたはその変異体由来である。
【0053】
本発明によるGHBPに対するhGHのコンジュゲーションは、GH化合物の配列の特定のリジン(Lys)またはグルタミン(Glu)位置にて変更をもたらすTGaseを介した修飾によってなされうる。hGH(配列番号1)は、38、41、70、115、140、145、158、168および172位において9リジン残基、並びに22、29、40、46、49、68、69、84、91、122、137、141および181位において13グルタミン残基を有する。これらのうちの全てが修飾に容易に利用できるわけではない。一実施形態において、本発明のGHBPは、N末端がセリンで伸張されて式IVの化合物を形成する。セリンでのタンパク質のN末端伸張のプロセスは、当業者により容易に理解されうる(Sundstromら、J Biol Chem 271、32197頁(1996年); Fuhら、J Biol Chem.265、3111頁(1990年)を参照のこと)。
【0054】
【化2】

【0055】
TGase媒介性酵素修飾は以下のように例示されうる:
R’-CONH2+H2N-R”→R’-CONH-R”+NH3(式中、R’-CONH2およびH2N-R”は酵素反応についての基質である)。R’およびR”はタンパク質部分を含む必要はないが、R’およびR”は、酵素が基質としてR’-CONH2およびH2N-R”を認識することを可能にするある種の構造を有する必要がある。
【0056】
一実施形態において、R’-CONH2は成長ホルモン化合物などのペプチドであり、H2N-R”は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、例えば国際公開第2005/070468号および国際公開第2006/134148号に記載されている求核試薬である。一実施形態において、H2N-R”は、例えばH-B-Hの形態で上記のBを含むので、BはH2N-R”の二価の基である。
【0057】
一実施形態において、R’-CONH2は、成長ホルモン化合物などのペプチドであり、H2N-R”は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている例えば国際公開第2008/003750号に記載されている求核試薬である。一実施形態において、H2N-R”は、上記のBまたは修飾されうる基を含むので、得られる化合物は上記のBを含む。
【0058】
一実施形態において、H2N-R”は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている例えば米国特許第60/957732号に記載されている、R’-CONH2と反応される、成長ホルモン化合物などのペプチドである。
【0059】
異なる、機能的R’-CONH2およびH2N-R”化合物のいくつかの例を以下に示すので、Bの構造が本発明についての限定ではないことは明らかである。Bの可能な構造の多くの例は、例えば国際公開第2005/070468号、国際公開第2006/134148号、国際公開第2008/003750号および米国特許第60/957732号に見出されうる。
【0060】
国際公開第2005/070468号(および国際公開第2006/134148号)において、H2N-R”(R’がペプチドである場合)に対応する化合物が以下の式、
H2N-D-R’’’-X
(式中、
Dは結合または酸素を表し;
R’’’はリンカー(R’’’リンカーと呼ぶ)または結合を表し;
XはペプチドR1-C(=O)-NH2を構成するアミノ酸残基に利用できない官能基または潜在的官能基を含む基を表す)
でありうることが記載されている。
【0061】
一実施形態において、Dは-O-を表す。
【0062】
一実施形態において、Dは単結合を表す。
【0063】
一実施形態において、Xに含まれる官能基または潜在的官能基は、ケト-、アルデヒド-、-NH-NH2、-O-C(=O)-NH-NH2、-NH-C(=O)-NH-NH2、-NH-C(=S)-NH-NH2、-NHC(=O)-NH-NH-C(=O)-NH-NH2、-NH-NH-C(=O)-NH-NH2、-NH-NH-C(=S)-NH-NH2、-NH-C(=O)-C6H4-NH-NH2、-C(=O)-NH-NH2、-O-NH2、-C(=O)-O-NH2、-NH-C(=O)-O-NH2、-NH-C(=S)-O-NH2、アルキニル、アジドおよびニトリル酸化物から選択されるか、またはそれらからなる群より選択される官能基に対して活性化されうる。一実施形態において、Xに含まれる官能基または潜在的官能基は、以下の基、
【0064】
【化3】

【0065】
(式中、R9はH、C1〜6アルキル、アリールおよびヘテロアリールの中から選択される)
のうちの1つから選択されるか、またはそれらに対して活性化されうる。
【0066】
「アルキル」なる用語は、アルカンの一価の基を示すことを意図する。「アルキレン」なる用語は、アルカンの二価の基を示すことを意図する。「アルカン」なる用語は、飽和、直鎖状、分岐状および/または環状の炭化水素を示すことを意図する。さらに他の炭素原子数で特定されない限り、その用語は、1〜30(双方が含まれる)の炭素原子、例えば1〜20(双方が含まれる)、例えば1〜10(双方が含まれる)、例えば1〜6(双方が含まれる)、または15〜30(双方が含まれる)の炭素原子、を有する炭化水素を示すことを意図する。
【0067】
「アルケニル」なる用語は、アルケンの一価の基を示すことを意図する。「アルケニレン」なる用語は、アルケンの一価の基を示すことを意図する。「アルケン」なる用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖状、分岐状および/または環状の炭化水素を示すことを意図する。さらに他の炭素原子数で特定されない限り、その用語は、2〜30(双方が含まれる)の炭素原子、例えば2〜20(双方が含まれる)、例えば2〜10(双方が含まれる)、例えば2〜5(双方が含まれる)、または15〜30(双方が含まれる)の炭素原子、を有する炭化水素を示すことを意図する。
【0068】
「アルキニル」なる用語は、アルキンの一価の基を示すことを意図する。「アルキニレン」なる用語は、アルキンの二価の基を示すことを意図する。「アルキン」なる用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含み、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を任意選択で含む、直鎖状、分岐状および/または環状の炭化水素を示すことを意図する。さらに他の炭素原子数で特定されない限り、その用語は、2〜30(双方が含まれる)の炭素原子、例えば2〜20(双方が含まれる)、例えば2〜10(双方が含まれる)、例えば2〜6(双方が含まれる)、または15〜30(双方が含まれる)の炭素原子、を有する炭化水素を示すことを意図する。
【0069】
「ヘテロアルカン」、「ヘテロアルケン」および「ヘテロアルキン」なる用語は、上記のアルカン、アルケンおよびアルキン示すことを意図するものであり、ここで、1つまたは複数のヘテロ原子または基が前記部分の構造に挿入されている。ヘテロ基および原子の例には、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)-、-C(=S)-および-N(R*)-(式中、R*は水素またはC1〜6アルキルを表す)が含まれる。したがって、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンおよびヘテロアルキニレンは、それぞれ、ヘテロアルカン、ヘテロアルケンおよびヘテロアルキンの二価の基である。ヘテロアルカンの例には、
【0070】
【表1】

【0071】
が含まれる。
【0072】
「アリーレン」なる用語は、アリールの二価の基を示すことを意図する。「アリール」なる用語は、同素環芳香環基、または環の少なくとも1つが芳香族である縮合同素環系基を示すことを意図する。典型的なアリール基には、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラリニルなどが含まれる。
【0073】
「ヘテロアリーレン」なる用語は、ヘテロアリールの二価の基を示すことを意図する。「ヘテロアリール」なる用語は、例えば5〜7の環原子を有する芳香環基または例えば7〜18の環原子を有する縮合芳香環系基であって、少なくとも1つの環が芳香族であり、かつ、窒素、酸素または硫黄ヘテロ原子から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を環原子として含む基であり、N-オキシド並びに一酸化硫黄および二酸化硫黄が許容されるヘテロ芳香族性置換である基を示すことを意図する。例には、フラニル、チエニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラリジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリルおよびインダゾリルなどが含まれる。
【0074】
R’’’リンカーは、NH2-D-からXを分離する手段として機能する部分を示し、多くの方法においてBと同等のリンカーとみなされうる。リンカーR’’’の1つの機能は、ペプチドと、後の工程においてXに結合されるGHBPとの間の連結において適切な柔軟性を提供することである。R’’’の典型的な例には、直鎖状、分岐状および/または環状のC1〜10アルキレン、C2〜10アルケニレン、C2〜20アルキニレン、C2〜10ヘテロアルキレン、C2〜10ヘテロアルケニレン、C2〜10ヘテロアルキニレンが含まれ、1つまたは複数の同素環芳香族化合物ビラジカルまたは複素環化合物ビラジカルが挿入されてもよい。R’’’の特定の例としては、
【0075】
【表2A】

【0076】
【表2B】

【0077】
(表中、*は結合点を示す)が含まれる。
【0078】
一実施形態において、R’’’は、-(CH2)4-CH(NH2)-CO-NH-CH2-または-(CH2)4-CH(NHCOCH3)-CO-NH-CH2-を表す。一実施形態において、R’’’は、C1〜6アルキレンを表す。一実施形態において、R’’’は、C1〜3アルキレンを表す。一実施形態において、R’’’はメチレンまたはプロピレンを表す。
【0079】
後の工程において、修飾基は、次いで、X基と、その修飾基を含む化合物との間の反応によって結合され、前記化合物はまた、X基と選択的に反応できる基を含む。本発明によれば、かかる修飾基は、成長ホルモン結合タンパク質化合物の基である。
【0080】
より詳細に関しては、国際公開第2005/070468号および/または国際公開第2006/134148号を参照されたい。
【0081】
国際公開第2008/003750号において、H2N-R’’’(R’がペプチドである場合)に対応する化合物は、式、
RC-Rb-Ra-NH2のアニリンまたはヘテロアリールアミン
(式中、
Raは、C1〜6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはアリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表し、
Rbは、結合またはリンカーを表し、前記リンカーは、-C(=O)-NH-、-NH-、-O-、-S-、-O-P(O)(OH)-O-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、-(CH2)1〜10-、-O-(CH2)3-NH-C(=O)-、-C(=O)NH(CH2)2〜30-、-(CH2)1〜30-C(=O)NH(CH2)2〜30-、-(CH2)0〜30-C(=O)NH-(CH2CH2O)1〜10-(CH2)1〜5-C(=O)-、-C(=O)NH-[(CH2CH2O)1〜10-(CH2)1〜5-C(=O)]1〜5NH(CH2)2〜30-、-C(=O)-、-(CH2)1〜30-NHC(=O)-、-(CH2)1〜30C(=O)-、-NHC(=O)NH(CH2)2〜30-、-(CH2)1〜30-NHC(=O)NH(CH2)2〜30-、-(CH2)0〜30C(=O)NH(CH2)2〜30-NHC(=O)-(CH2)0〜30-、-(CH2)0〜30C(=O)NH(CH2CH2O)1〜30-CH2CH2NHC(=O)-(CH2)0〜30-、または-NH(CH2)2〜30-、
【0082】
【化4】

【0083】
およびそれらの組合せからなる群より選択されるジラジカルを含み、
Rcは、特性修飾基(property-modifying group)の基を表し、「特性修飾基」なる用語は化学基を示すことを意図し、当該ペプチドに結合する場合、その化学基はペプチドの1つまたは複数の物理化学的特性または薬理学的特性を変化させる)
であることが記載されている。かかる特性は、溶解性、組織および臓器分布、親油性、種々のプロテアーゼによる分解に対する感受性、アルブミンなどの血漿タンパク質に対する親和性、インビボでの機能的半減期、インビボでの血漿半減期、平均滞留時間、クリアランス、免疫原性および腎臓濾過でありうる。化学基のうちのいくつかの種類はかかる特性修飾効果を有しうることは当技術分野において周知である。本発明によれば、特性修飾基は、上記のGHBPの基である。
【0084】
一実施形態において、Raは、C1〜6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC5〜22アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す。一実施形態において、Raは、C1〜6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC6〜18アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す。一実施形態において、Raは、C1〜6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC4〜16アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す。一実施形態において、Raは、C1〜6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC6〜8アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す。一実施形態において、Raは、上記のように任意選択で置換されている、C5〜22アリーレンを表す。一実施形態において、Raは、上記のように任意選択で置換されている、C6〜18アリーレンを表す。一実施形態において、Raは、上記のように任意選択で置換されている、C6〜14アリーレンを表す。一実施形態において、Raは、上記のように任意選択で置換されている、C5〜22ヘテロアリーレンを表す。一実施形態において、Raは、上記のように任意選択で置換されている、C6〜18ヘテロアリーレンを表す。一実施形態において、Raは、上記のように任意選択で置換されている、C6〜14ヘテロアリーレンを表す。一実施形態において、Raは、上記のように任意選択で置換されている、C6〜8アリーレン、C12〜18アリーレンまたはC5〜18ヘテロアリーレンを表す。一実施形態において、Raは、フェニレンまたはピリジレン基を表す。一実施形態において、Raは、1,4-フェニレンを表す。
【0085】
一実施形態において、Rbは、結合、-C(=O)-NH-、または
【0086】
【化5】

【0087】
を表す。
【0088】
一実施形態において、Rbは、-C(=O)-NH-を表す。
【0089】
より詳細に関しては、国際公開第2008/003750号を参照されたい。
【0090】
米国仮出願第60/957732号(および米国仮出願第60/957732号から優先権を主張しているPCT出願)において、hGHにコンジュゲートされ、特性修飾基の結合に使用される化合物は、一般式、R7-Gln-Gly-R8であってもよく、式中、R7およびR8は所望の置換基であり、それらのうちの少なくとも1つはさらなる修飾に適切な化学基を含むことが記載されている。
【0091】
一実施形態において、hGHにコンジュゲートされ、特性修飾基の結合に使用される化合物は、以下の式、
【0092】
【化6】

【0093】
を有する。
【0094】
一実施形態において、R7は、
【0095】
【化7】

【0096】
である。
【0097】
一実施形態において、R7はCBzであり、R8は、H、プロパルギルまたは4-アミノベンジルから選択され、YはOHまたは=Oであり、XはCH2OHまたはOHである。一実施形態において、R7はCBzであり、R8はHであり、YはOHであり、XはCH2OHである。一実施形態において、R7はCBzであり、R8は4-アミノベンジルであり、Yは=Oであり、XはOHである。一実施形態において、R7はCBzであり、R8はプロパルギルであり、Yは=Oであり、XはOHである。かかる化合物の例を以下に示す。
【0098】
【化8】

【0099】
一実施形態において、システインプロテアーゼは、タンパク質の酵素媒介性修飾のために使用される。システインプロテアーゼは、触媒トライアッドにおいて求核システインチオールに関与する触媒機構を有する。本発明のシステインプロテアーゼは、パパイン、ソルターゼAおよびソルターゼBからなる群より選択されうる。本発明はまた、ポリペプチドを修飾するためのセリンプロテアーゼを提供する。一実施形態において、セリンプロテアーゼは、CPY、トリプシンまたはキモトリプシンである。
【0100】
上記のように、コンジュゲートされる化合物は、それらが特定の酵素の基質になる構造を有するべきである。PCT出願国際公開第2005/035553号(および国際公開第2006/084888号)は、CPYについての基質の一般構造を記載している。
【0101】
コンジュゲートされる化合物のグリカン部分もまた、コンジュゲーションのために使用されうる。グリカンが二分岐複合型である場合、シアル酸が、国際公開第2008025856号に記載されている反応性アルデヒドを生成するために穏やかな条件下で選択的に酸化されうる。次いで、それらは、アルデヒドと反応できる部分で官能化される化合物に対する化学的コンジュゲーションに使用されうる。反応性アルデヒドはまた、国際公開第2005014035号に記載されるガラクトースオキシダーゼを用いるガラクトース残基の酵素的酸化によって生成されうる。複合グリカンは、ガラクトースオキシダーゼとの反応の前に、シアリダーゼとのトリミング、またはガラクトシルトランスフェラーゼおよびUDP-Galとのガラクトシル化を任意選択で必要としうる。さらに別の実施形態において、アルキン誘導体で官能化されたUDP-Galは、二分岐グリカンに転移され、その後、国際公開第2006035057号に記載されるアジド基で誘導体化されたhGH分子に対するコンジュゲーションに使用される。
【0102】
コンジュゲートされる化合物にグリカンが存在しない場合、またはそれらがコンジュゲーションに適切と見られない場合、新規のNグリコシル化部位が、定方向突然変異誘発によってAsn-XXX-THr/Serコンセンサス部位をペプチド配列中に導入することによってGHBP中に操作されうる。
【0103】
化学的性質I
一実施形態において、本発明のhGH-GHBPコンジュゲートは以下に例示するように調製されうる。
【0104】
【化9】

【0105】
ペプチド結合リジンは、ペプチドの交差結合を与えるアミン供与体として作用する。
【0106】
一実施形態において、hGH(配列番号1)のLys145は選択的に修飾される。一実施形態において、hGHの少なくとも2つのLys残基は修飾される。
【0107】
化学的性質II
一実施形態において、本発明は、イミンまたはヘミアミナールを得るための、特性修飾基により誘導されるアニリンまたはヘテロアリールアミンを有するペプチド化合物由来のアルデヒドまたはケトンの処理を教示する。一実施形態において、ペプチド化合物由来のアルデヒドは、特性修飾基により誘導されるアニリンまたはヘテロアリールアミンで処理される。
【0108】
「ペプチドにより誘導されるアルデヒド(またはケトン)」または「ペプチド由来のアルデヒド(またはケトン)」なる用語は、アルデヒドまたはケトン官能基が共有結合されているペプチド、或いはアルデヒドまたはケトン官能基が生成されているペプチドを示すことを意図する。ペプチドにより誘導されるアルデヒドの調製は当業者に周知であり、それらの公知の手順のいずれかが、本明細書に開示される本発明の実現に必要とされるペプチドにより誘導されるアルデヒドを調製するために使用されうる。
【0109】
一実施形態において、コンジュゲートhGH-GHBPは以下に例示するように調製される。
【0110】
【化10】

【0111】
このプロセスは、アルデヒドと反応する可能性のあるhGHのブロッキングを利用する。少しのアンヒンダードアルデヒド(ホルムアルデヒドとして)が使用される場合、ジアルキル化が起こる可能性がある。代替的に、ヒンダードアルデヒドが使用されてもよい。両方の場合において、さらなるアルキル化は起こり得ない。NaCNBH3を用いる還元的アルキル化は、N末端で起こるアルキル化を生じる限定された過剰のアルデヒドを用いて中〜低pHで実施される。関連するペグ化の例はBakerら(Bioconjugate Chem.17、179〜188頁(2006年))に提供されている。連続工程において、TGase媒介性酵素反応は、141位にてGlnの修飾を生じる。GHBPとのhGHのコンジュゲーションは、還元的アルキル化を介して発生する。還元的アルキル化は本明細書に例示され、当技術分野において十分に認識されている。
【0112】
一実施形態において、Ser-GHBP(N末端がセリンで伸張されたGHBP)の過ヨウ素酸塩媒介性酸化を実施し、還元的アミノ化におけるアニリンとのコンジュゲーションのための化合物を生じ、その反応を以下のように示す。
【0113】
【化11】

【0114】
得られた化合物、3-オキソプロピオニル-GHBPは、適切な還元剤、例えばNaCNBH3の存在下でトランスグルタミナーゼにより修飾されたhGHと反応して、以下に示す式(VI)、
【0115】
【化12】

【0116】
のhGH-GHBPを生じる。
【0117】
化学的性質III
一実施形態において、コンジュゲートhGH-GHBPは、以下に例示するように調製される。
【0118】
【化13】

【0119】
上に示す誘導体化プロセスは、Gln-141位においてhGHに結合したPEGリンカーを提供する。本明細書のいずれかに記載したようなセリンによってN末端で伸張されるGHBPは、hGH-GHBPを形成するためにTGaseにより修飾されたhGHとコンジュゲートされうる修飾されたGHBPを提供する。
【0120】
化学的性質IV
一実施形態において、コンジュゲートhGH-GHBPは以下に例示するように調製される。
【0121】
【化14】

【0122】
化学的性質IVの第1の2つの工程において、成長ホルモンのN末端のブロッキングが、アルデヒドに対して出発化合物を最初に酸化することによって導入され、その後、アルデヒドは、還元的アミノ化反応においてアニリンと反応する。このブロッキングは、最終化合物の収率および純度を増加させるために導入される。第3の工程において、ハンドルは、トランスグルタミナーゼ触媒によるアミノ基転移反応を用いてhGH内の141位に対応する位置においてグルタミンに部位選択的に導入される。第4の工程において、このハンドルはアルデヒドに変換され、アルデヒドは、最終的に、第5の工程において、GHBP化合物のN末端にコンジュゲートされる。
【0123】
一般的化学性質-還元剤
NaCNBH3を適切な還元剤の例として本明細書に挙げる。しかしながら、イミンを第二級アミンに変換させるための還元剤としてNaCNBH3の代替として多くの他の試薬を考えることができる。よって、酸化された炭水化物およびタンパク質から誘導されたイミンは市販のボラン(BH3)とピリジンの付加物を用いて水溶液中で還元されている(Hashimotoら、J.Biochem.123、468〜478頁(1998年); YoshidaおよびLee、Carbohydr.Res 251、175〜186頁(1994年))。関連試薬は、ボランと硫化ジメチル、ホスフィン、亜リン酸塩、置換ピリジン、ピリミジン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、硫化物、エーテル等の付加物である。NaCNBH3に対するさらなる代替物は、触媒性水素化(不均一または均一)、NaBH4、(Ehrenfreund-Kleinmannら、Biomaterials 23、1327〜1335頁(2002年); ZitoおよびMartinez-Carrion、J. Biol.Chem.255、8645〜8649頁(1980年))、NaCNHB(OAc)3(Drummondら、Proteomics 1、304〜310頁(2001年))、NADPH(NADP、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェートの還元型)または関連ジヒドロピリジン(Itohら、Tetrahedron Lett.43、3105〜3108頁(2002年))、またはNaBH4およびAcOHの混合物である。NADPHはまた適切な酵素、例えばグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(Fisherら、J.Biol.Chem.257、13208〜13210頁(1982年))と組み合わせて使用することができる。これらの試薬の各々は、水素形成(ヒドロニウムイオン還元)の速度と比較してイミン還元の高い速度を提供するために、溶液のpHの調節を必要としうる。よって、いくつかの試薬は中性または塩基性反応条件下でイミンを還元しうる一方、他の試薬はより酸性の反応条件を必要としうる。さらに、これらの試薬のいくつかは、全ての反応物の溶解性を改善するため、または水の濃度、よってヒドロニウムイオン還元速度を減少させるために、ホルムアミド、NMP、アセトニトリル、エチレングリコール、イソプロパノール等のような共溶媒の使用を必要とする場合がある。一実施形態において、NaCNBH3は還元剤として使用される。
【0124】
本発明は、改良された薬理学的特性を有する成長ホルモン化合物コンジュゲートに関し、その改良された薬理学的特性は特に、例えばインビボでの機能的半減期、インビボでの血漿半減期、平均滞留時間の増加、腎クリアランスの低下または免疫原性の低下を示すことを意図する。
【0125】
「インビボでの機能的半減期」なる用語は、その通常の意味、すなわち、ペプチド、例えば成長ホルモン、またはコンジュゲートペプチド、例えば成長ホルモンの生物学的活性の50%が、体/標的器官中に依然として存在している時間、或いはペプチド、例えば成長ホルモン、またはペプチド、例えば成長ホルモンのコンジュゲートの活性がその最初の値の50%である時間で、使用される。インビボでの機能的半減期の定量の代替として、「インビボでの血漿半減期」、すなわち、除去される前に、ペプチド、例えば成長ホルモン、またはペプチド、例えば成長ホルモンコンジュゲートの50%が血漿または血流中を循環している時間を定量してもよい。血漿半減期の定量は、しばしば機能的半減期を定量するよりも簡単で、血漿半減期の大きさは、通常、インビボでの機能的半減期の大きさの良好な指標となる。血漿半減期の代替用語には、血清半減期、循環半減期(circulating half-life)、循環性半減期(circulatory half-life)、血清クリアランス、血漿クリアランス、およびクリアランス半減期が含まれる。
【0126】
本発明の化合物は成長ホルモン活性を与え、循環成長ホルモンの量の増加が有益であろう疾患または状態の治療に使用されうる。かかる疾患または状態には、成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラダーウィリ症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎臓病、若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受けた小児のHIV感染(HIV/HALS小児);子宮内胎児発育遅延(SGA)で出生した低身長小児;SGA以外の極少低出生時体重(VLBW)で出生した低身長症;骨格形成異常;軟骨低形成症;軟骨形成不全;特発性低身長(ISS);成人のGHD;脛骨、腓骨、大腿、上腕、橈骨、尺骨、鎖骨、中手、中足、および指等の、長骨中またはその骨折;頭蓋骨、手の基部、および足の基部等の、海綿様骨中またはその骨折;例えば手、膝または肩等の腱または靱帯の手術後の患者;仮骨延長術を受けるかまたは受けた患者;人工股関節置換手術若しくは円板置換手術、半月板修復、脊椎固定術、または膝、臀部、肩、肘、手首若しくは顎の補綴固定術後の患者;例えばネイル、スクリューおよびプレートのような骨接合術材料が固定されている患者;骨折の偽関節または変形癒合を有する患者;例えば脛骨または第一趾からの骨切り術後の患者;移植片植え込み後の患者;外傷または関節炎に起因する膝の関節軟骨変性;ターナー症候群を患っている患者の骨粗鬆症;男性における骨粗鬆症、慢性透析の成人患者(APCD);APCDにおける栄養不良関連循環器疾患;APCDにおける悪液質の逆流;APCDにおける癌;APCDにおける慢性的閉塞性肺疾患;APCDにおけるHIV;APCDの高齢者;APCDにおける慢性的な肝臓病、APCDにおける疲労症候群;クローン病;肝機能障害;HIV感染した男性;短腸症候群;中心性肥満;HIV関連リポジストロフィー症候群(HALS):男性不妊;待機的大手術後の患者、アルコール/薬物解毒または神経的外傷;加齢;虚弱な高齢者;骨関節炎; 外傷性の損傷を受けた軟骨;勃起不全;繊維筋痛;記憶障害;鬱病;外傷性脳損傷;くも膜下出血;極低出生体重;メタボリックシンドローム;グルココルチコイドミオパシー;または小児のグルココルチコイド治療による低身長症が含まれる。本発明による成長ホルモンコンジュゲートはまた、筋組織、神経組織または創傷の治癒の促進;損傷した組織に対する血流の促進または向上;或いは感染、損傷した組織の割合の減少に使用されうる。よって、本発明は、これらの疾患または状態を治療するための方法を提供し、当該方法は、それらを必要とする患者に、治療的有効量の本発明による成長ホルモン化合物コンジュゲートを投与する段階を含む。
【0127】
本明細書に使用される本発明による化合物の「治療的有効量」は、所与の疾患およびその合併症の臨床症状を治癒、軽減または部分的に抑えるのに十分な量を意味する。これを達成するのに十分な量が「治療的有効量」として定義される。各目的のための有効量は、例えば疾患または傷害の重症度並びに対象の体重、性別、年齢および一般的状態に依存するであろう。適切な用量の決定は、値のマトリックスを構築し、マトリックス中の異なった点を試験することにより、常套的な実験を使用してなすことができ、これは全て熟練した医師または獣医の通常の技量内のものであることが理解される。
【0128】
典型的に、投与される誘導体化成長ホルモンの量は、10-7〜10-3g GH/kg体重、例えば10-6〜10-4g GH/kg体重、例えば10-5〜10-4g GH/kg体重の範囲であり、ここで、g GHは、GHBPを有さないGHペプチドの重量を示す。
【0129】
一実施形態において、本発明は、上記の疾患または状態の治療に使用される医薬の製造における本発明による成長ホルモン化合物コンジュゲートの使用を提供する。
【0130】
本発明はまた、本発明による成長ホルモン化合物コンジュゲートを含む医薬組成物に関する。一態様において、かかる医薬組成物は、本発明による成長ホルモン化合物コンジュゲートを含み、その成長ホルモン化合物コンジュゲートは、10〜15mg/mlから200mg/ml、例えば10〜10mg/mlから5mg/mlの濃度で存在し、前記組成物は2.0から10.0のpHを有する。この組成物はバッファー系、保存料、等張剤、キレート剤、安定剤および界面活性剤をさらに含みうる。本発明の一実施形態では、医薬組成物は水性組成物、すなわち水を含む組成物である。このような組成物は典型的には溶液または懸濁液である。本発明の実施形態において、医薬組成物は水溶液である。「水性組成物」なる用語は、少なくとも50%w/wの水を含む組成物を定義する。同様に「水溶液」なる用語は、少なくとも50%w/wの水を含む溶液を定義し、「水性懸濁液」なる用語は、少なくとも50%w/wの水を含む懸濁液を定義する。
【0131】
一実施形態において、医薬組成物は凍結乾燥組成物であり、これに医師または患者が使用前に溶媒および/または希釈剤を添加する。
【0132】
一実施形態において、医薬組成物は事前の溶解の必要がない使用準備が整った乾燥組成物(例えば凍結乾燥またはスプレードライ)である。
【0133】
一実施形態において、本発明は、本発明による成長ホルモン化合物コンジュゲートの水溶液とバッファーとを含む医薬組成物に関し、本発明による前記成長ホルモン化合物コンジュゲートは、0.1〜100mg/mlまたはそれ以上の濃度で存在してもよく、前記組成物は約2.0〜約10.0のpHを有しており、mg GHはGHBPを有さないGHペプチドの重量を示す。
【0134】
本発明の一実施形態において、組成物のpHは、0.1ずつ高くなる段階で2.0〜10.0、例えば2.1、2.2、2.3などからなるリストから選択される。
【0135】
本発明の一実施形態において、バッファーは、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、シトレート、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、スクシネート、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸またはそれらの混合物からなる群より選択される。これらの特定のバッファーの各1つが本発明の代替の実施形態を構成する。
【0136】
本発明の一実施形態において、組成物は薬学的に許容可能な保存料をさらに含む。本発明の一実施形態において、保存料は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、およびチオメロサール、ブロノポール、安息香酸、イミド尿素、クロロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウム、クロルフェネシン(3p-クロルフェノキシプロパン-1,2-ジオール)またはそれらの混合物からなる群より選択される。本発明の一実施形態において、保存料は、0.1mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在する。本発明の一実施形態において、保存料は、0.1mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。本発明の一実施形態において、保存料は、5mg/ml〜10mg/mlの濃度で存在する。本発明の一実施形態において、保存料は、10mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在する。これらの特定の保存料の各1つが本発明の別の実施形態を構成する。医薬組成物中における保存料の使用は当業者に周知である。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000年が参照される。
【0137】
本発明の一実施形態において、組成物は等張剤をさらに含む。本発明の一実施形態において、等張剤は、塩(例えば塩化ナトリウム)、糖または糖アルコール、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、トレオニン)、アルジトール(例えばグリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)ポリエチレングリコール(例えばPEG400)、またはそれらの混合物からなる群より選択される。例えばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、およびカルボキシメチルセルロース-Naを含む単糖、二糖、若しくは多糖、または水溶性グルカンのような任意の糖を使用することができる。一実施形態において、糖添加剤はスクロースである。糖アルコールは少なくとも1つの-OH基を有するC4〜8炭化水素として定義され、例えばマンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトールおよびアラビトールを含む。一実施形態において、糖アルコール添加剤はマンニトールである。上述の糖または糖アルコールは個々にまたは組み合わせて使用することができる。糖または糖アルコールが液体調製物中で可溶性であり、本発明の方法を使用して得られる安定化効果に悪影響を及ぼさない限り、使用される量に決まった制限はない。一実施形態において、糖または糖アルコール濃度は約1mg/mlと約150mg/mlの間である。本発明の一実施形態において、等張剤は1mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する。本発明の一実施形態において、等張剤は1mg/ml〜7mg/mlの濃度で存在する。本発明の一実施形態において、等張剤は8mg/ml〜24mg/mlの濃度で存在する。本発明の一実施形態において、等張剤は25mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する。これらの特定の等張剤の各1つは本発明の別の実施形態を構成する。医薬組成物中における等張剤の使用は当業者に周知である。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000年が参照される。
【0138】
本発明は限定されないが、以下の実施形態によりさらに例示される。
【0139】
実施形態1.式、
A-B-C
(Aは成長ホルモン化合物の基であり、
Bは二価の連結スペーサー残基であり、
Cは成長ホルモン結合タンパク質化合物の基であり、
-は共有結合であり、
ここで、AとBとの間の連結および/またはBとCとの間の連結は、構造A-B-Cを有する融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸の組換え発現によって提供されない)
を有する化合物。
【0140】
実施形態2.Bは純粋なペプチド鎖ではない、実施形態1に記載の化合物。
【0141】
実施形態3.式、
A-B-C
(Aは成長ホルモン化合物の基であり、
Bは二価の連結スペーサー残基であり、
Cは成長ホルモン結合タンパク質化合物の基であり、
-は共有結合であり、
ここで、Bは純粋なペプチド鎖ではない)
を有する化合物。
【0142】
実施形態4.前記成長ホルモン化合物が配列番号1と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記成長ホルモン化合物が実施例7に記載したアッセイにおいて、hGHの少なくとも10%の活性を有する、実施形態1〜3のいずれかに記載の化合物。
【0143】
実施形態5.前記成長ホルモン化合物が、配列番号1と少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態4に記載の化合物。
【0144】
実施形態6.前記成長ホルモン化合物の活性が、hGHの少なくとも20%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えばhGHと実質的に同じ活性である、実施形態4または実施形態5に記載の化合物。
【0145】
実施形態7.前記成長ホルモン化合物が、国際公開第2006048777号、国際公開第2004022593号、国際公開第2005018659号、国際公開第2005074524号、国際公開第2005074546号、国際公開第2005074650号、米国特許第5849535号、米国特許第6136563号、米国特許第6022711号、または米国特許第6143523号に記載される成長ホルモンアナログである、実施形態1〜6のいずれかに記載の化合物。
【0146】
実施形態8.前記成長ホルモン化合物がhGHである、実施形態1〜6のいずれかに記載の化合物。
【0147】
実施形態9.前記成長ホルモン結合タンパク質化合物が、配列番号2と少なくとも80%の同一性を有する、アミノ酸配列を含み、ペプチドが100nM未満のKDで成長ホルモンに結合できる、実施形態1〜8のいずれかに記載の化合物。
【0148】
実施形態10.前記成長ホルモン結合タンパク質化合物が、配列番号2と少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む、実施形態9に記載の化合物。
【0149】
実施形態11.前記成長ホルモン結合タンパク質化合物が、配列番号2のアミノ酸配列を含む、実施形態10に記載の化合物。
【0150】
実施形態12.前記成長ホルモン結合タンパク質化合物が、アミノ酸配列を含むペプチドのフラグメントを含み、前記アミノ酸配列が、配列番号2と少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%、例えば100%の同一性を有し、前記フラグメントがかかるペプチドの相当な量のGHBP活性を保有している、実施形態1〜8のいずれかに記載の化合物。
【0151】
実施形態13.前記共有結合A-CまたはB-Cのうちの少なくとも1つが、酵素により確立される、実施形態1〜12のいずれかに記載の化合物。
【0152】
実施形態14.前記酵素が、トランスグルタミナーゼ、セリンプロテアーゼおよびシステインプロテアーゼからなる群より選択される、実施形態13に記載の化合物。
【0153】
実施形態15.前記酵素が、微生物トランスグルタミナーゼ、組織トランスグルタミナーゼおよび第XIII因子からなる群より選択される、トランスグルタミナーゼである、実施形態14に記載の化合物。
【0154】
実施形態16.前記微生物トランスグルタミナーゼが、S.モバラエンスまたはS.ラダカヌム由来のトランスグルタミナーゼである、実施形態15に記載の化合物。
【0155】
実施形態17.前記微生物トランスグルタミナーゼが、国際公開第2007/02029号、国際公開第2008/020075号および/または国際公開第2008/020075号に記載されるトランスグルタミナーゼである、実施形態15に記載の化合物。
【0156】
実施形態18.Bが少なくとも10の共有結合を含む、実際態様1〜17のいずれかに記載の化合物。
【0157】
実施形態19.Bが少なくとも30の共有結合を含む、実施形態18に記載の化合物。
【0158】
実施形態20.Bが少なくとも80の共有結合を含む、実施形態19に記載の化合物。
【0159】
実施形態21.Bが少なくとも300の共有結合を含む、実施形態20に記載の化合物。
【0160】
実施形態22.Bが少なくとも1000の共有結合を含む、実施形態21に記載の化合物。
【0161】
実施形態23.Bが少なくとも3000の共有結合を含む、実施形態22に記載の化合物。
【0162】
実施形態24.BがPEGユニットを含む、実施形態1〜23のいずれかに記載の化合物。
【0163】
実施形態25.Bが構造、
【0164】
【化15】

【0165】
(式中、nは1より大きい整数であり、前記構造の分子量は約100Da〜約1,000,000kDaの間である)
を含む、実施形態24に記載の化合物。
【0166】
実施形態26.Bが約300〜約50,000kDaのPEGユニットを含む、実施形態24または実施形態25に記載の化合物。
【0167】
実施形態27.Bが、例えば約300、500、750、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、30,000、40,000または50,000kDaの分子量を有するPEGユニットを含む、実施形態26に記載の化合物。
【0168】
実施形態28.Bが、約1,000〜10,000の分子量を有するPEGユニットを含む、実施形態26に記載の化合物。
【0169】
実施形態29.Bが、-CH2-CH2-、
【0170】
【化16】

【0171】
からなる群より選択される、実施形態1〜3のいずれかに記載の化合物。
【0172】
実施形態30.式、
【0173】
【化17】

【0174】
(式中、P-C(O)-NH-は、Glnの側鎖における-NH2から水素を除去することによって得られる成長ホルモン化合物の基を表し、
Dは結合または酸素を表し、
Rはリンカーまたは結合を表し、
Eはリンカーまたは結合を表し、
Aはオキシム、ヒドラゾン、フェニルヒドラゾン、セミカルバゾン、トリアゾールまたはイソオキサゾリジン部分を表し、
Zは上記の成長ホルモン結合タンパク質化合物の基である)
の実施形態15〜17のいずれかに記載の化合物。
【0175】
実施形態31.前記成長ホルモン結合タンパク質化合物が、配列番号2と少なくとも80%の同一性を有する、アミノ酸配列を含み、ペプチドが100nM未満のKDで成長ホルモンに結合できる、実施形態30に記載の化合物。
【0176】
実施形態32.前記成長ホルモン結合タンパク質化合物が、配列番号2と少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む、実施形態31に記載の化合物。
【0177】
実施形態33.前記成長ホルモン結合タンパク質化合物が、配列番号2のアミノ酸配列を含む、実施形態32に記載の化合物。
【0178】
実施形態34.前記成長ホルモン結合タンパク質化合物が、アミノ酸配列を含むペプチドのフラグメントを含み、前記アミノ酸配列が、配列番号2と少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%、例えば100%の同一性を有し、前記フラグメントがかかるペプチドの相当な量のGHBP活性を保有している、実施形態30に記載の化合物。
【0179】
実施形態35.Aがオキシムまたはトリアゾール部分を表す、実施形態30〜34のいずれかに記載の化合物。
【0180】
実施形態36.前記成長ホルモン化合物が、配列番号1の141位に対応する位置でコンジュゲートされる、実施形態30〜35のいずれかに記載の化合物。
【0181】
実施形態37.式(I)、
【0182】
【化18】

【0183】
(式中、Protは上記の成長ホルモン化合物の基を表し、前記基は、前記成長ホルモン化合物のアミノ基(-NH2)からの水素原子の形式的除去によって形式的に生成され、
R1は、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはアリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表し、
R2は、結合またはリンカーを表し、前記リンカーは、C(=O)NH、NH、O、S、OP(O)(OH)O、OC(=O)NH、NHC(=O)NH、(CH2)110、O(CH2)3NHC(=O)、C(=O)NH(CH2)230、(CH2)130C(=O)NH(CH2)230、(CH2)030C(=O)NH(CH2CH2O)110(CH2)15C(=O)、C(=O)NH[(CH2CH2O)110(CH2)15C(=O)]15NH(CH2)230、C(=O)、(CH2)130-NHC(=O)、(CH2)130C(=O)、NHC(=O)NH(CH2)230、(CH2)130-NHC(=O)NH(CH2)230、(CH2)030C(=O)NH(CH2)230NHC(=O)(CH2)030、(CH2)030C(=O)NH(CH2CH2O)130CH2CH2NHC(=O)(CH2)030、またはNH(CH2)230
【0184】
【化19】

【0185】
【化20】

【0186】
およびそれらの組合せからなる群より選択されるジラジカルを含み、
R3は、上記の成長ホルモン結合タンパク質化合物の基を表し、
R4は、水素またはC16アルキルを表し、
R5は、-CH2-または-C(=O)-を表す)
の実施形態15〜17のいずれかに記載の化合物。
【0187】
実施形態38.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC5〜22アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す、実施形態37に記載の化合物。
【0188】
実施形態39.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC6〜18アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す、実施形態38に記載の化合物。
【0189】
実施形態40.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC4〜16アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す、実施形態39に記載の化合物。
【0190】
実施形態41.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC6〜8アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す、実施形態40に記載の化合物。
【0191】
実施形態42.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C5〜22アリーレンを表す、実施形態37〜41のいずれかに記載の化合物。
【0192】
実施形態43.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜18アリーレンを表す、実施形態42に記載の化合物。
【0193】
実施形態44.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜14アリーレンを表す、実施形態43に記載の化合物。
【0194】
実施形態45.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C5〜22ヘテロアリーレンを表す、実施形態37〜41のいずれかに記載の化合物。
【0195】
実施形態46.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜18ヘテロアリーレンを表す、実施形態45に記載の化合物。
【0196】
実施形態47.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜14ヘテロアリーレンを表す、実施形態46に記載の化合物。
【0197】
実施形態48.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜8アリーレン、C12〜18アリーレンまたはC5〜18ヘテロアリーレンを表す、実施形態37〜41のいずれかに記載の化合物。
【0198】
実施形態49.R1が、フェニレンまたはピリジレン基を表す、実施形態48に記載の化合物。
【0199】
実施形態50.R1が、1,4-フェニレンを表す、実施形態49に記載の化合物。
【0200】
実施形態51.R2が、結合、-C(=O)-、C(=O)NH、または
【0201】
【化21】

【0202】
を表す、実施形態37〜50のいずれかに記載の化合物。
【0203】
実施形態52.R2が、C(=O)NHを表す、実施形態51に記載の化合物。
【0204】
実施形態53.R4が、水素を表す、実施形態37〜52のいずれかに記載の化合物。
【0205】
実施形態54.R4が、C1〜6アルキルを表す、実施形態37〜52のいずれかに記載の化合物。
【0206】
実施形態55.R5が、-CH2-を表す、実施形態37〜54のいずれかに記載の化合物。
【0207】
実施形態56.R5が、-C(=O)-を表す、実施形態37〜54のいずれかに記載の化合物。
【0208】
実施形態57.Protが、式、
R6-C(=O)-R5-Prot
(式中、
R5は上記の通りであり、
R6は水素または任意選択で置換されているα-炭素原子を表す)
の成長ホルモン化合物により誘導されるアルデヒドまたはケトンから得られる、実施形態37〜56のいずれかに記載の化合物。
【0209】
実施形態58.R6が、水素、C16アルキルまたはC16シクロアルキルを表す、実施形態57に記載の化合物。
【0210】
実施形態59.R6が、水素、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを表す、実施形態58に記載の化合物。
【0211】
実施形態60.R6が、水素またはメチルを表す、実施形態59に記載の化合物。
【0212】
実施形態61.Protが、上記の成長ホルモン化合物の基を表し、前記基が、前記成長ホルモン化合物のアミノ基(-NH2)からの水素原子の除去によって形式的に生成され、前記アミノ基は、ペプチドのN末端アミノ基、ペプチド中のリジン残基の側鎖アミノ基、またはペプチド中のグルタミン若しくはアスパラギン(C(=O)NH2)残基の側鎖アミノ基である、実施形態37〜60のいずれかに記載の化合物。
【0213】
実施形態62.Protが、前記N末端アミノ基からの1つの水素原子の除去によって形式的に生成される成長ホルモン化合物の基を表す、実施形態61に記載の化合物。
【0214】
実施形態63.Protが、ペプチド中のリジン残基の側鎖アミノ基からの1つの水素原子の除去によって形式的に生成される成長ホルモン化合物の基を表す、実施形態61に記載の化合物。
【0215】
実施形態64.Protが、ペプチド中のグルタミンまたはアスパラギン残基の側鎖アミノ基からの1つの水素原子の除去によって形式的に生成される成長ホルモン化合物の基を表す、実施形態61に記載の化合物。
【0216】
実施形態65.前記Protの基が、配列番号1の40位に対応する位置におけるグルタミンの側鎖アミノカルボニル基(H2N-CO-)からの1つの水素原子の除去によって形式的に生成されるペプチド基を表す、実施形態37〜64のいずれかに記載の化合物。
【0217】
実施形態66.Protの基が、配列番号1の141位に対応する位置におけるグルタミンの側鎖アミノカルボニル基(H2N-CO-)からの1つの水素原子の除去によって形式的に生成されるペプチド基を表す、実施形態37〜64のいずれかに記載の化合物。
【0218】
実施形態67.前記酵素が、カルボキシペプチダーゼY、トリプシンおよびキモトリプシンからなる群より選択されるセリンプロテアーゼである、実施形態14に記載の化合物。
【0219】
実施形態68.前記酵素が、パパイン、ソルターゼAおよびソルターゼBからなる群より選択されるシステインプロテアーゼである、実施形態14に記載の化合物。
【0220】
実施形態69.前記共有結合A-CまたはB-Cのうちの少なくとも1つが、システイン残基に対するチオエーテル結合である、実施形態1〜68のいずれかに記載の化合物。
【0221】
実施形態70.実施形態1〜69のいずれかに記載の化合物および薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【0222】
実施形態71.成長ホルモンの活性の増加が有益であろう哺乳動物における疾患状態を治療する方法であって、実施形態70に記載の医薬組成物の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、方法。
【0223】
実施形態72.治療のための実施形態1〜69のいずれかに記載の化合物。
【0224】
実施形態73.成長ホルモンの活性の増加が有益であろう哺乳動物における疾患状態の治療のための実施形態1〜69のいずれかに記載の化合物。
【0225】
実施形態74.成長ホルモンの活性の増加が有益であろう哺乳動物における疾患状態を治療するための医薬組成物を調製するための実施形態1〜69のいずれかに記載の化合物の使用。
【0226】
実施形態75.実施形態1〜69のいずれかに記載の化合物を調製するための方法であって、
(a)前記成長ホルモン化合物を酵素的誘導体化する段階と、
(b)段階(a)からの酵素的誘導体化された成長ホルモン化合物を前記成長ホルモン結合タンパク質化合物にコンジュゲートする段階と、
を含む、方法。
【0227】
実施形態76.実施形態30〜36のいずれかに記載の化合物を調製するための方法であって、
i)1つまたは複数の段階において、上記の成長ホルモン化合物を、第1の化合物の前記成長ホルモン化合物への導入を触媒できるトランスグルタミナーゼの存在下で、前記成長ホルモン化合物を構成するアミノ酸残基のいずれにも利用できない、1つまたは複数の官能基または潜在的官能基を含む前記第1の化合物と反応させて、官能化された成長ホルモン化合物を形成させる段階と、
ii)前記潜在的官能基を任意選択で活性化させる段階と、
iii)1つまたは複数の段階において、前記官能化された成長ホルモン化合物を、1つまたは複数の官能基を含む第2の化合物と反応させる段階であって、前記官能基は、前記ペプチドを構成する接触可能なアミノ酸残基の官能基と反応せず、前記第2の化合物における前記官能基は前記第1の化合物における前記官能基と反応でき、それによって、前記官能化されたペプチドと前記第2の化合物との間の共有結合が形成され、前記第2の化合物は、上記の成長ホルモン結合タンパク質化合物の基を含む、段階と、
を含む、方法。
【0228】
実施形態77.式、
【0229】
【化22】

【0230】
によって表されるGln残基含有成長ホルモン化合物が、1つまたは複数の段階において、トランスグルタミナーゼ酵素の存在下で、式、
H2N-D-R-X
によって表される窒素含有求核試薬(第1の化合物)と反応して、式、
【0231】
【化23】

【0232】
のアミノ基転移されたペプチドを形成し、任意選択で、Xに含まれる前記潜在的官能基が活性化され、前記アミノ基転移された成長ホルモン化合物は、式、
Y-E-Z
の第2の化合物とさらに反応して、式、
【0233】
【化24】

【0234】
(式中、Dは結合または酸素を表し、
Rはリンカーまたは結合を表し、
Xは、ペプチドP-C(O)-NH2を構成するアミノ酸残基において利用できない官能基または潜在的官能基を含む基を表し、
Yは、Xに存在する官能基と反応する1つまたは複数の官能基を含む基を表し、前記官能基はペプチドP-C(O)-NH2に利用できる官能基と反応せず、
Eはリンカーまたは結合を表し、
Aは、XおよびYに含まれる前記官能基間の反応によって形成される部分を表し、
Zは、上記の成長ホルモン結合タンパク質化合物の基を含む)
のコンジュゲートされた成長ホルモン化合物を形成する、実施形態76に記載の方法。
【0235】
実施形態78.Aが、オキシム、ヒドラゾン、フェニルヒドラゾン、セミカルバゾン、トリアゾールまたはイソオキサゾリジン部分を表す、実施形態77に記載の方法。
【0236】
実施形態79.Xに含まれる前記官能基または潜在的官能基が、ケト-、アルデヒド-、-NH-NH2、-O-C(O)-NH-NH2、-NH-C(O)-NH-NH2、-NH-C(S)-NH-NH2、-NHC(O)-NH-NH-C(O)-NH-NH2、-NH-NH-C(O)-NH-NH2、-NH-NH-C(S)-NH-NH2、-NH-C(O)-C6H4-NH-NH2、-C(O)-NH-NH2、-O-NH2、-C(O)-O-NH2、-NH-C(O)-O-NH2、-NH-C(S)-O-NH2、アルキン、アジドまたはニトリル酸化物からなる群より選択されるか、或いはそれらに対して活性化されうる、実施形態77または実施形態78に記載の方法。
【0237】
実施形態80.Yに存在する前記官能基が、ケト-、アルデヒド-、-NH-NH2、-O-C(O)-NH-NH2、-NH-C(O)-NH-NH2、-NH-C(S)-NH-NH2、-NHC(O)-NH-NH-C(O)-NH-NH2、-NH-NH-C(O)-NH-NH2、-NH-NH-C(S)-NH-NH2、-NH-C(O)-C6H4-NH-NH2、-C(O)-NH-NH2、-O-NH2、-C(O)-O-NH2、-NH-C(O)-O-NH2、-NH-C(S)-O-NH2、アルキン、アジドおよびニトリル酸化物の中から選択される、実施形態77〜79のいずれかに記載の方法。
【0238】
実施形態81.Xが、ケト誘導体若しくはアルデヒド誘導体から選択されるか、またはそれらに対して活性化されてもよく、Yが、-NH-NH2、-O-C(O)-NH-NH2、-NH-C(O)-NH-NH2、-NH-C(S)-NH-NH2、-NHC(O)-NH-NH-C(O)-NH-NH2、-NH-NH-C(O)-NH-NH2、-NH-NH-C(S)-NH-NH2、-NH-C(O)-C6H4-NH-NH2、-C(O)-NH-NH2、-O-NH2、-C(O)-O-NH2、-NH-C(O)-O-NH2、および-NH-C(S)-O-NH2から選択される、実施形態77〜80のいずれかに記載の方法。
【0239】
実施形態82.Xに含まれる前記潜在的基が、
【0240】
【化25】

【0241】
(式中、R9は、H、C1〜6アルキル、アリールおよびヘテロアリールの中から選択される)
の中から選択される、実施形態81に記載の方法。
【0242】
実施形態83.XおよびYの各々が、アルキンおよびトリアゾールからなる群の異なるメンバー、またはアルキンおよびニトリル酸化物からなる群の異なるメンバーを表す、実施形態77〜80のいずれかに記載の方法。
【0243】
実施形態84.前記窒素含有求核試薬が、4-(アミノメチル)フェニルエタノン、4-(2-アミノエチル)フェニルエタノン、N-(4-アセチルフェニル)2-アミノアセトアミド、1-[4-(2-アミノエトキシ)フェニル]エタノン、1-[3-(2-アミノエトキシ)フェニル]エタノン、1,4-ビス(アミノキシ)ブタン、3-オキサペンタン-1,5-ジオキシアミン、1,8-ジアミノキシ-3,6-ジオキサオクタン、1,3-ビス(アミノキシ)プロパン-2-オール、1,11-ビス(アミノキシ)-3,6,9-トリオキサウンデカン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、1,2-ビス(アミノキシ)エタン、および1,3-ビス(アミノキシ)プロパンから選択される、実施形態77または81のいずれかに記載の方法。
【0244】
実施形態85.実施形態37〜66のいずれかに記載の化合物を調製するための方法であって、
(a)前記成長ホルモン化合物から誘導されたアルデヒドまたはケトンを、特性修飾基により誘導されたアニリンまたはヘテロアリールアミンで処理して、イミンまたはヘミアミナールを得る段階であって、前記特性修飾基は上記の成長ホルモン結合タンパク質またはそのフラグメントを含む、段階と、
(b)このイミンまたはヘミアミナールを、NaCNBH3などの適切な還元剤で処理して、第二級アミンを得る段階と、
含む、方法。
【0245】
実施形態86.前記成長ホルモン化合物により誘導されたアルデヒドまたはケトンが、2アミノエタノール部分構造を含有するペプチド化合物の過ヨウ素酸塩を介した酸化によって調製される、実施形態85に記載の方法。
【0246】
実施形態87.前記成長ホルモン化合物により誘導されたアルデヒドまたはケトンが、アセタールまたはヘミアセタールの加水分解によって調製される、実施形態85に記載の方法。
【0247】
実施形態88.前記成長ホルモン化合物により誘導されたアルデヒドが、N末端アミノ酸としてセリンまたはトレオニンを含有するペプチドの過ヨウ素酸塩を介した酸化によって調製される、実施形態85に記載の方法。
【0248】
実施形態89.前記成長ホルモン化合物により誘導されたアルデヒドが、1,3ジアミノ-2-プロパノールで酵素的にアミノ基転移されたペプチドの過ヨウ素酸塩を介した酸化によって調製される、実施形態85に記載の方法。
【0249】
実施形態90.前記成長ホルモン化合物により誘導されたアルデヒドまたはケトンが、アルデヒドまたはケトン官能性を含有する非天然アミノ酸を有する前記ペプチドを産生する遺伝子修飾された、または遺伝子修飾されていない生物を供給することによって調製され、前記アミノ酸は前記ペプチドに導入され、その後、前記非天然アミノ酸が中に導入されている前記ペプチドが単離および精製される、実施形態85に記載の方法。
【0250】
実施形態91.前記非天然アミノ酸が(アセチルフェニル)アラニンまたは(ホルミルフェニル)アラニンである、実施形態90に記載の方法。
【0251】
実施形態92.前記ペプチドをコードするmRNAが、フェニルアラニンをコードする少なくとも1つのコドンを含む、実施形態90または実施形態91に記載の方法。
【0252】
実施形態93.前記特性修飾基により誘導されたアニリンまたはヘテロアリールアミンが、式、
R3-R2-R1-NH2(III)
(式中、R1、R2およびR3は実施形態37に定義される通りである)
である、実施形態85〜92のいずれかに記載の方法。
【0253】
実施形態94.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC5〜22アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレン表す、実施形態93に記載の方法。
【0254】
実施形態95.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC6〜18アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す、実施形態94に記載の方法。
【0255】
実施形態96.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC4〜16アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す、実施形態95に記載の方法。
【0256】
実施形態97.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC6〜8アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す、実施形態96に記載の方法。
【0257】
実施形態98.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C5〜22アリーレンを表す、実施形態93〜97のいずれかに記載の方法。
【0258】
実施形態99.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜18アリーレンを表す、実施形態98に記載の方法。
【0259】
実施形態100.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜14アリーレンを表す、実施形態99に記載の方法。
【0260】
実施形態101.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C5〜22ヘテロアリーレンを表す、実施形態93〜97のいずれかに記載の方法。
【0261】
実施形態102.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜18ヘテロアリーレンを表す、実施形態101に記載の方法。
【0262】
実施形態103.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜14ヘテロアリーレンを表す、実施形態102に記載の方法。
【0263】
実施形態104.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜8アリーレン、C12〜18アリーレン、またはC5〜18ヘテロアリーレンを表す、実施形態93〜97のいずれかに記載の方法。
【0264】
実施形態105.R1が、フェニレンまたはピリジレン基を表す、実施形態104に記載の方法。
【0265】
実施形態106.R1が、1,4-フェニレンを表す、実施形態105に記載の方法。
【0266】
実施形態107.R2が、結合、C(=O)NH、または
【0267】
【化26】

【0268】
を表す、実施形態93〜106のいずれかに記載の方法。
【0269】
実施形態108.R2がC(=O)NHを表す、実施形態107に記載の方法。
【0270】
実施形態109.前記成長ホルモン化合物により誘導されたアルデヒドまたはケトンが、式、
R6-C(=O)-R5-Prot
(式中、
Protは実施形態37に記載される通りであり、
R5は-CH2-または-C(=O)-であり、
R6は水素または任意選択で置換されたα-炭素原子を表す)
である、実施形態85〜108のいずれかに記載の方法。
【0271】
実施形態110.R5が-CH2-を表す、実施形態109に記載の方法。
【0272】
実施形態111.R5が-C(=O)-を表す、実施形態109に記載の方法。
【0273】
実施形態112.R6が、水素、C16アルキルまたはC16シクロアルキルを表す、実施形態109〜111のいずれかに記載の方法。
【0274】
実施形態113.R6が、水素、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルを表す、実施形態112に記載の方法。
【0275】
実施形態114.R6が、水素またはメチルを表す、実施形態113に記載の方法。
【0276】
実施形態115.前記特性修飾基が、配列番号1の40位に対応する位置でペプチドにコンジュゲートされる、実施形態85〜114のいずれかに記載の方法。
【0277】
実施形態116.前記特性修飾基が、配列番号1の141位に対応する位置でペプチドにコンジュゲートされる、実施形態85〜114に記載の方法。
【0278】
実施形態117.式(III)、
R3-R2-R1-NH2(III)
(式中、R1、R2、およびR3は実施形態37に定義される通りである)
の化合物。
【0279】
実施形態118.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC5〜22アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す、実施形態117に記載の化合物。
【0280】
実施形態119.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC6〜18アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す、実施形態118に記載の化合物。
【0281】
実施形態120.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC4〜16アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す、実施形態119に記載の化合物。
【0282】
実施形態121.R1が、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはC6〜8アリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す、実施形態120に記載の化合物。
【0283】
実施形態122.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C5〜22アリーレンを表す、実施形態117〜121のいずれかに記載の化合物。
【0284】
実施形態123.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜18アリーレンを表す、実施形態122に記載の化合物。
【0285】
実施形態124.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜14アリーレンを表す、実施形態123に記載の化合物。
【0286】
実施形態125.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C5〜22ヘテロアリーレンを表す、実施形態117〜121のいずれかに記載の化合物。
【0287】
実施形態126.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜18ヘテロアリーレンを表す、実施形態125に記載の化合物。
【0288】
実施形態127.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜14ヘテロアリーレンを表す、実施形態126に記載の化合物。
【0289】
実施形態128.R1が、上記のように任意選択で置換されている、C6〜8アリーレン、C12〜18アリーレンまたはC5〜18ヘテロアリーレンを表す、実施形態117〜121のいずれかに記載の化合物。
【0290】
実施形態129.R1が、フェニレンまたはピリジレン基を表す、実施形態128に記載の化合物。
【0291】
実施形態130.R1が、1,4-フェニレンを表す、実施形態129に記載の化合物。
【0292】
実施形態131.R2が、結合、-C(=O)-、C(=O)NH、または
【0293】
【化27】

【0294】
を表す、実施形態117〜130のいずれかに記載の化合物。
【0295】
実施形態132.R2がC(=O)NHを表す、実施形態131に記載の化合物。
【0296】
実施形態133.実施形態15〜17のいずれかに記載の化合物を調製するための方法であって、
i)上記の成長ホルモン化合物を、トランスグルタミナーゼの存在下で、以下の式、R7GlnGlyR8(式中、R7およびR8は、さらなる修飾に適切な基である)を有する第1の化合物と接触させる段階と、
ii)1つまたは複数の段階において、段階i)の生成物を、1つまたは複数の官能基を含む第2の化合物と反応させる段階であって、前記官能基は、前記ペプチドを構成するアミノ酸残基に利用できる官能基と反応せず、前記第2の化合物における前記官能基は、R7および/またはR8と反応でき、それによって、段階i)の生成物と前記第2の化合物との間の共有結合が形成され、前記第2の化合物は上記の成長ホルモン結合タンパク質化合物の基を含む、段階と、
を含む、方法。
【0297】
実施形態134.R7が、芳香族基または複素環式芳香族基を含有する、実施形態133に記載の方法。
【0298】
実施形態135.R7が、カルボベンジルオキシ基(PhCH2OC(=O))である、実施形態134に記載の方法。
【0299】
実施形態136.R8が、CHO、ONH2、ArNH2、アルキニル、アジド、NHNH2、CHXCH2Y若しくはCHYCH2X(式中、XはOまたはNであり、YはOである)、アセタール、または異なる潜在的アルデヒド、SH、ZCH2C=O(式中、ZはCl、BrまたはIである)から選択される官能基を含有する基である、実施形態133〜135のいずれかに記載の方法。
【0300】
実施形態137.前記第1の化合物が、式、
【0301】
【化28】

【0302】
を有する、実施形態133に記載の方法。
【0303】
実施形態138.前記成長ホルモン化合物が、リジン残基にてコンジュゲートされる、実施形態133〜136のいずれかに記載の方法。
【0304】
実施形態139.前記成長ホルモン化合物が、配列番号1の145位に対応する位置においてコンジュゲートされる、実施形態138に記載の方法。
【0305】
本発明は以下の実施例によってさらに例示される。しかしながら、これらの実施例は例示の目的のみのためであり、本発明の範囲を限定するために決して使用されるべきではないことは理解される。
【0306】
(実施例)
実施例で使用したTGaseは、米国特許第5156956号に記載のストレプトベルチシリウム・モバラエンス(Streptoverticillium mobaraense)由来の微生物トランスグルタミナーゼである。
【0307】
実施例はまた、以下の一般的な方法も含む。
【0308】
キャピラリー電気泳動
キャピラリー電気泳動は、Agilent Technologies 3DCEシステム(Agilent Technologies)を使用して行った。データ取得および信号処理は、Agilent Technologies 3DCE ChemStationを使用して行った。キャピラリーは、64.5cm(56.0cm有効長)50μm内径、Agilent製の「Extended Light Path Capillary」であった。UV検出は、200nm(16nm帯域幅、参照380nmおよび50nm帯域幅)で行った。泳動用電解液は、50mMリン酸バッファーpH7(方法A)であった。キャピラリーは、0.1MのNaOHで3分間、次いでミリQ水で2分間、電解液で3分間処理して調整した。それぞれの泳動後、キャピラリーは、ミリQ水で2分間、次いでリン酸で2分間、ミリQ水で2分間洗い流した。水力学的注入は、50mbar、4.0秒間で行った。電圧は+25kVであった。キャピラリーの温度は30℃であり、泳動時間は10.5分であった。
【0309】
Maldi-Tof質量分析
分子量は、Autoflex Maldi-Tof装置(Bruker)を用いて決定した。試料は、マトリックスとしてα-シアノ-4-ヒドロキシ-桂皮酸を用いて調製した。
【0310】
RP-HPLC
RP-HPLC分析は、Vydac 218TP54 4.6mm×250mm 5μm C-18シリカカラム(The Separations Group、Hesperia)を用いてAgilent 1100システムで行った。検出は、214nm、254nm、280nmおよび301nmのUVにより行った。カラムは、0.1%トリフルオロ酢酸/H2Oで平衡化し、試料は、0.1%トリフルオロ酢酸/H2Oに対する適切な0〜90%のアセトニトリル勾配で溶出した。
【0311】
LC-MS
LC-MS分析は、2つのPerkin Elmer Series 200 Micropumps、Perkin Elmer Series 200オートサンプラー、Applied Biosystems 785A UV検出器およびSedex 75蒸発光散乱検出器を備えたPE-Sciex API 100または150質量分析計で行った。Waters Xterra 3.0mm×50mm 5μ C-18シリカカラムは、室温にて1.5ml/分で溶出した。それを、5%アセトニトリル/0.1%トルフルオロ酢酸/H2Oで平衡化し、5%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸/H2Oで1.0分間、次いで7分にわたって90%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸/H2Oの線形勾配で溶出した。検出は、214nmにてUV検出および蒸発光散乱により行った。カラム溶出液の画分を、PE-Sciex API 100質量分析計のイオンスプレーインターフェースに導入した。300〜2000amuの質量範囲を、実行の間、2秒毎にスキャンした。
【0312】
タンパク質の定量
タンパク質濃度は、NanoDrop ND-1000 UV分光計を用いて280nmの吸光度を測定することにより推定した。
【0313】
誘導体化部位を決定するための酵素的ペプチドマッピング
ペプチドマッピングは、還元され、アルキル化されたタンパク質のAsp-N消化を使用して実施した。まず、標準的な手順に従って、タンパク質をDTT(ジチオスレイトール)およびヨードアセトアミドで処理した。アルキル化産物を、HPLCを使用して精製した。続いて、アルキル化精製産物を、1:100の酵素:基質比でエンドプロテアーゼAsp-N(Boehringer)を用いて一晩消化させた。C-18カラムおよび標準的なトリフルオロ酢酸/アセトニトリルバッファー系を使用して消化物をHPLC分離した。得られたペプチドマップを、未誘導体化hGHのものと比較し、異なった保持時間での画分を集め、Maldi-tof質量分析計を使用してさらに分析した。
【0314】
SDS page
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動は、NuPAGE 4%〜12% Bis-Trisゲル(Invitrogen NP0321BOX)を用いて行った。ゲルは、銀染色(Invitrogen LC6100)またはクーマシー染色(Invitrogen LC6065)し、関係する場合はPEGについても、M.M.Kurfurst、Anal.Biochem.200(2):244〜248頁、1992年に記載されている、ヨウ化バリウムを用いて染色した。
【0315】
プロテインクロマトグラフィー
プロテインクロマトグラフィーをAkta Explorerクロマトグラフィー系およびGE Health Care製のカラムで実施した。アニオン交換をQ-セファロースHP 26/10カラムを使用して行った。出発バッファーは20mMのトリエタノールアミンバッファーpH8.5であり、溶出バッファーは出発バッファー+0.2MのNaClであった。化合物は典型的には、15カラム体積にわたって0〜75%の勾配の溶出バッファーで溶出した。脱塩およびバッファー交換は、HiPrep 26/10カラムを使用して実施した。
【0316】
(実施例1)
SER-GHBPの調製
Zbasicドメインと融合して野生型hGHを発現する、Ser-hGHアナログ発現プラスミドを、pNNC13(Zbasic2mt-D4K-hGH)をベースとして作製した(mvdnkfnkerrrarreirhlpnlnreqrrapirslrddpsqsanllaeakklnraqapkyrggsddddksfptiplsrlfdnamlrahrlhqlafdtyqefeeayipkeqkysflqnpqtslcfsesiptpsnreetqqksnlellrisllliqswlepvqflrsvfanslvygasdsnvydllkdleegiqtlmgrledgsprtgqifkqtyskfdtnshnddallknygllycfrkdmdkvetflrivqcrsvegscgf)。
【0317】
さらなるSerを、以下の1対のプライマーを用いたStratagene製のQuickChange(登録商標)XL部位特異的突然変異誘発キットによって、成熟hGHの第1のアミノ酸である、Pheの前に挿入した:
5’末端:pNNC13 Ser-F
5’-GGATCAGACGACGACGACAAAagcTTCCCAACCATTCCCTTATCC-3’および
3’末端:pNNC13 Ser-R
5’-GGATAAGGGAATGGTTGGGAAgctTTTGTCGTCGTCGTCTGATCC-3’。
【0318】
大腸菌BL21(DE3)をpET11a-Zbasic2mt-D4K-Ser-hGHによって形質転換させた。単一のコロニーを、100μg/mlのAmpを有する100mlのLB培地中に播種し、37℃で増殖させた。OD600が0.6に達したとき、細胞培養温度を30℃まで低下させ、細胞を30℃で4時間、1mMのIPTGで誘導した。細菌細胞を3000gで15分の遠心分離によって収集した(Eppendorf centrifuge 5810R)。細胞ペレットを細胞溶解バッファー(25mMのNa2HPO4、25mMのNaH2PO4、pH7、5mMのEDTA、0.1%のTriton X-100)に再懸濁させ、細胞を30kpsiでの細胞破壊によって破壊した(Constant Cell Disruption Systems)。溶解物を10000gで30分の遠心分離によって清澄にした。上清を保存し、精製に使用し、さらにペレットを捨てた。
【0319】
Zbasic2mt-D4K-Ser-hGHを、段階勾配溶出(バッファーA:25mMのNa2HPO4、25mMのNaH2PO4、pH7;バッファーB:25mMのNa2HPO4、25mMのNaH2PO4、pH7、1MのNaCl)を使用してSP-セファロースで精製した。タンパク質を続いてSer-hGHの放出のためにエンテロペプチダーゼを使用して切断した。Ser-hGHをブチルセファロース4FFカラムでさらに精製して、Zbasic2mt-D4Kドメインおよびエンテロペプチダーゼ(バッファーA:100mMのHepes、pH7.5;バッファーB:100mMのHepes、pH7.5、2MのNaCl、線形勾配を使用した)から生成物を分離した。Ser-hGHの最終生成物をバッファー交換し、50mMのNH4HCO3、pH7.8から凍結乾燥させた。
【0320】
(実施例2)
N-カルボニルオキシベンジル-グルタミニル-グリシル-(4-アミノ-フェニルアラニン)[Z-Gln-Gly-(4-アミノ-Phe)-OH]、化合物2の調製
【0321】
【化29】

【0322】
樹脂への第1のアミノ酸の結合:塩化2-クロロトリチル樹脂(Pepchem、2g、1.5mmol/g)に、DCM(16ml)とジイソプロピルエチルアミン(780μl)の混合物に溶解させたFmoc-(4-Boc-アミノ-Phe)-OH(Fluka、2.26g、4.5mmol)を添加した。そのスラリーを5分間攪拌した後、ジイソプロピルエチルアミン(1540μl)を加えた。攪拌を1時間継続した後、メタノール(5ml)を加え、攪拌をさらに15分継続した。その樹脂から液を抜き、ジクロロメタン(DCM)(6×30ml)、続いてN-メチルピロリドン(NMP)(6×30ml)で洗浄した。
【0323】
Fmoc基の除去:樹脂にNMP(20ml)中の20%ピペリジンを加え、15分反応させた。樹脂を液抜きし、NMP(20ml)中の20%のピペリジンで1時間再び処理した。樹脂を液抜き、NMP(6×30ml)で洗浄した。Z-Gln-Gly-OHのカップリング:樹脂にNMP中のZ-Gln-Gly-OH(Bachem、1.52g、4.5mmol)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、0.61g、4.5mmol)の溶液、続いてジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(700μl、4.5mmol)を加えた。一晩の反応後、樹脂を液抜きし、NMP(6×30ml)、次いでDCM(6×30ml)で洗浄した。
【0324】
固体担体からの切断:樹脂を液抜きしてバルクDCMを除いた。これを、トリフルオロ酢酸(TFA)(12.6ml)、水(0.6ml)、DCM(5.8ml)およびトリイソプロピルシラン(0.8ml)の混合物で処理した。1時間の反応後、樹脂を15分以内にゆっくりとジエチルエーテル(100ml)中に濾過し、これをさらに30分攪拌した。得られた沈殿物を遠心分離によって回収し、ジエチルエーテルで3回洗浄した。固形物を真空で一晩乾燥させた。1H-NMRおよびLC-MSによれば、生成物は純度が高く均質であった。
【0325】
(実施例3)
Z-Gln(hGH)-Gly-(4-アミノ-Phe)-OH、化合物3を得るためのZ-Gln-Gly-(4-アミノ-Phe)-OH(化合物2)でのhGHのアミノ基転移
【0326】
【化30】

【0327】
3種の溶液を調製する:1)1mlの20nMのトリエタノールアミンバッファーpH8.5に溶解させたhGH(40mg、1.8μmol);2)2mlの20nMのトリエタノールアミンバッファーpH8.5に溶解させ、10%トリエタノールアミン溶液(2.4ml)を使用してpHを8.15に調節したZ-Gln-Gly-OH(202mg、412μmol);3)トランスグルタミナーゼ(マルトデキストリンとの固形混合物中に1%、36mg、9nmol)を1mlの20nMのトリエタノールアミンバッファーpH8.5に溶解させた。
【0328】
溶液1および2を混合し、この混合物に111μlの溶液3を加えた。pHは8.2、体積は5.5mlであった。反応をCEによってモニターした。室温で5時間の反応後、CEによる分析は、アミノ基転移産物への約70%の変換率を示す、増加した移動時間を持つ新規生成物の存在を示した。反応混合物に10mMの水性N-エチルマレイミド(300μl)を加え、それを5℃で一晩保存した。その混合物を15mlのHiPrepカラム(GE Healthcare)に充填し、トリエタノールアミンバッファーpH8.5を使用して溶出させ、低分子量物質および塩を除去した。関連した画分をプール化したところ、回収はUV吸収測定に基づき36.6mgのタンパク質であった。
【0329】
(実施例4)
Ser-GHBPのグリオキサリル-GHBPへの酸化
Ser-GHBPを以下の実施例6に記載されるようにグリオキサリル-GHBPに酸化する。
【0330】
(実施例5)
実施例3からの化合物3でのグリオキサリル-GHBPの還元的アミノ化
実施例6のセクション(E)に記載されるものと類似した実施例3からの化合物3を用いて、グリオキサリル-hGHBPを還元的アミノ化させて、GH-GHBPコンジュゲートを得る。
【0331】
【化31】

【0332】
(実施例6)
(A)Ser-hGH(I)のグリオキサリル-hGH(II)への酸化
【0333】
【化32】

【0334】
以下の溶液を調製した。
バッファーA:トリエタノールアミン(119mg、0.8mmol)を水(40ml)に溶解させた。pHを8.5に調節した。
バッファーB:3-メチルチオプロパノール(725mg、7.1mmol)をバッファーA(10ml)に溶解させた。
過ヨウ素酸塩:NaIO4(48.1mg、0.225mmol)を水(1.0ml)に溶解させた。
4-アミノ安息香酸:10mg(73μmol)の4-アミノ安息香酸(分子量:137)を2.5mlの50%の酢酸、50%のバッファーAに溶解させた。
【0335】
Ser-hGH(50mg、2.3μmol)を冷バッファーA(5.0ml)に溶解し、1.0mlのバッファーBを加えた。過ヨウ素酸塩溶液(0.5ml)を加えた。4℃(冷蔵庫)にて20分間静置した後、その混合物を透析管(Amicon Ultra-15デバイス;カットオフ10.000)に移し、バッファーAで4回透析した。
【0336】
残留物を2.5mlの体積に濃縮した。
【0337】
(B)4-アミノ安息香酸でのグリオキサリル-hGH IIの還元的アミノ化
【0338】
【化33】

【0339】
酸化されたSer-hGHの溶液を、それを調製した直後に4-アミノ安息香酸の溶液に加え、得られた混合物を4℃にてゆっくりと回転させた。1時間後、NaCNBH3(0.5mlの水中に20mgのNaCNBH3および15μlのAcOHの100μlの溶液)を加えた。その混合物を4℃にて暗所に維持した。
【0340】
42時間後、その混合物をバッファーAで10倍希釈し、生成物IIIをイオン交換クロマトグラフィーにより精製した。
【0341】
(C)1,3-ジアミノ-2-プロパノールでのIIIのアミノ基転移
【0342】
【化34】

【0343】
以下の溶液を調製した。
バッファーA:トリエタノールアミン(119mg、0.8mmol)を水(40ml)に溶解させた。pHを8.5に調節した。
求核試薬溶液:1,3-ジアミノプロパノール(90mg、1.0mmol)をバッファーA(300μl)に溶解させた。pHを濃塩酸で8.5に調節し、体積をバッファーAで600μlに調節した。
酵素溶液:25mgのTGaseを200μlのバッファーAに溶解させた。
【0344】
精製した生成物IIIを限外濾過によって1.7mlに濃縮した。1.0mlのエチレングリコール(30%)を求核試薬溶液とともに溶液に加えた。最後に酵素溶液を加え、全体積をバッファーAで3.5mlに調節した。
【0345】
反応を4〜6時間室温のままにした。
【0346】
反応溶液をバッファーAで10倍希釈し、生成物IVをイオン交換クロマトグラフィーにより精製した。
【0347】
(D)IVの酸化
【0348】
【化35】

【0349】
以下の溶液を調製した。
バッファーB:3-メチルチオプロパノール(725mg、7.1mmol)をバッファーA(10ml)に溶解させた。
バッファーC:HEPES(5.96g)を水(1.0l)に溶解させた。pHを7.0に調節した。
過ヨウ素酸塩:NaIO4(48.1g、0.225mmol)を水(1.0ml)に溶解させた。
【0350】
IV(10mg、0.5μmol)の溶液に0.2mlのバッファーBを加え、次いで過ヨウ素酸塩溶液(0.03ml)を加えた。20分の冷インキュベーション後、その混合物をバッファーCで4回透析した。残留物を1mlに濃縮した。
【0351】
(E)GHBPでのVの還元的アミノ化
【0352】
【化36】

【0353】
最後のイオン交換クロマトグラフィー工程の後に、GHBPを25mMのHEPESバッファーpH7.0で透析し、5mg/mlの最終濃度に濃縮することを除いて、M.Sundstromら、J.Biol.Chem.271(50):32197-32203頁、1996年に記載されたものと同様の方法を使用してGHBPを得る。
【0354】
Dからの最終溶液(1ml、10mg、0.45μmolのV)を25mMのHEPESバッファーpH7.0中のGHBP溶液(2ml、10mg、0.3μmol)と混合し、得られた混合物を室温にてゆっくりと回転させる。
【0355】
1時間後、NaCNBH3(0.5mlの水中の20mgのNaCNBH3の100μlの溶液)を少しずつ加える。その混合物を18〜24時間暗所に室温にて維持する。
【0356】
その混合物を1Mのトリス溶液で50mMの最終濃度pH7.5まで希釈し、イオン交換カラムに付与し、生成物VIをNaCl2の勾配を用いるカラムの溶出により得る。
【0357】
(実施例7)
成長ホルモン活性を測定するBAF-3GHRアッセイ
BAF-3細胞(骨髄由来のマウスプロ-Bリンパ球系細胞株)は、元々は成長および生存に対してIL-3依存性である。IL-3は、GHが刺激時に活性化する同じ媒介物質であるJAK-2およびSTATを活性化する。hGH受容体の形質移入後、細胞株を、成長ホルモン依存性細胞株中に形質転換する。このクローンを使用し、BAF-3GHRの生存に対する様々な成長ホルモン試料の効果を評価することができる。
【0358】
BAF-3GHR細胞を、5%のCO2、37℃にて24時間、飢餓培地(成長ホルモンを含まない培養培地)中で増殖させる。
【0359】
細胞を洗浄し、飢餓培地に再懸濁し、プレートに播種する。その細胞に、異なる濃度の10μlの成長ホルモン化合物若しくはhGHまたはコントロールを加え、プレートを5%のCO2、37℃にて68時間インキュベートする。
【0360】
AlamarBlue(登録商標)を各ウェルに加え、細胞をさらに4時間インキュベートする。AlamarBlue(登録商標)はレドックス指示剤であり、これは細胞代謝に固有の反応により還元され、よって生存細胞数の間接的な測定値を与える。
【0361】
細胞の代謝活性を、蛍光プレートリーダーで測定した。試料の吸光度は、成長ホルモン化合物またはコントロールで刺激されない細胞のパーセントで表し、濃度-反応曲線から活性(50%で細胞を刺激する化合物の量、EC50)を算出することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式、
A-B-C
(Aは成長ホルモン化合物の基であり、
Bは二価の連結スペーサー残基であり、
Cは成長ホルモン結合タンパク質化合物の基であり、
-は共有結合であり、
ここで、AとBとの間の連結および/またはBとCとの間の連結は、構造A-B-Cを有する融合タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸の組換え発現によって提供されない)
を有する化合物。
【請求項2】
式、
A-B-C
(Aは成長ホルモン化合物の基であり、
Bは二価の連結スペーサー残基であり、
Cは成長ホルモン結合タンパク質化合物の基であり、
-は共有結合であり、
ここで、Bは純粋なペプチド鎖ではない)
を有する化合物。
【請求項3】
前記共有結合A-CまたはB-Cのうちの少なくとも1つが酵素によって確立される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Bが少なくとも10の共有結合を含む、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
BがPEGユニットを含み、Bが構造、
【化1】

(式中、nは1より大きい整数であり、前記構造の分子量は約100Da〜約1,000,000kDaの間である)
を任意選択で含む、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
Bが、
【化2】

からなる群より選択される、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
式、
【化3】

(式中、P-C(O)-NH-は、Glnの側鎖における-NH2から水素を除去することによって得られる成長ホルモン化合物の基を表し、
Dは結合または酸素を表し、
Rはリンカーまたは結合を表し、
Eはリンカーまたは結合を表し、
Aはオキシム、ヒドラゾン、フェニルヒドラゾン、セミカルバゾン、トリアゾールまたはイソオサゾリジン部分を表し、
Zは成長ホルモン結合タンパク質化合物の基である)
の請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
式(I)、
【化4】

(式中、Protは前記成長ホルモン化合物の基を表し、前記基は、前記成長ホルモン化合物のアミノ基(-NH2)からの水素原子の形式的除去によって形式的に生成され、
R1は、C16アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはアリール基で任意選択で置換されている、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表し、
R2は、結合またはリンカーを表し、前記リンカーは、C(=O)NH、NH、O、S、OP(O)(OH)O、OC(=O)NH、NHC(=O)NH、(CH2)110、O(CH2)3NHC(=O)、C(=O)NH(CH2)230、(CH2)130C(=O)NH(CH2)230、(CH2)030C(=O)NH(CH2CH2O)110(CH2)15C(=O)、C(=O)NH[(CH2CH2O)110(CH2)15C(=O)]15NH(CH2)230、C(=O)、(CH2)130-NHC(=O)、(CH2)130C(=O)、NHC(=O)NH(CH2)230、(CH2)130-NHC(=O)NH(CH2)230、(CH2)030C(=O)NH(CH2)230NHC(=O)(CH2)030、(CH2)030C(=O)NH(CH2CH2O)130CH2CH2NHC(=O)(CH2)030、またはNH(CH2)230
【化5】

【化6】

およびそれらの組合せからなる群より選択されるジラジカルを含み、
R3は、前記成長ホルモン結合タンパク質化合物の基を表し、
R4は、水素またはC16アルキルを表し、
R5は、-CH2-または-C(=O)-を表す)
の請求項3に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の化合物、および薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項10】
成長ホルモンの活性の増加が有益であろう哺乳動物における疾患状態を治療する方法であって、請求項9に記載の医薬組成物の有効量を前記哺乳動物に投与する段階を含む、方法。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかに記載の化合物を調製するための方法であって、
(a)前記成長ホルモン化合物を酵素的誘導体化する段階と、
(b)段階(a)からの酵素的誘導体化された成長ホルモン化合物を前記成長ホルモン結合タンパク質化合物にコンジュゲートする段階と、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項3に記載の化合物を調製するための方法であって、
i)前記成長ホルモン化合物を、トランスグルタミナーゼの存在下で、以下の式、R7GlnGlyR8(式中、R7およびR8は、さらなる修飾に適切な基である)を有する第1の化合物と接触させる段階と、
ii)1つまたは複数の段階において、段階i)の生成物を、1つまたは複数の官能基を含む第2の化合物と反応させる段階であって、前記官能基は、前記ペプチドを構成する接触可能なアミノ酸残基の官能基と反応せず、前記第2の化合物における前記官能基は、R7および/またはR8と反応でき、それによって、段階i)の生成物と前記第2の化合物との間の共有結合が形成され、前記第2の化合物は前記成長ホルモン結合タンパク質化合物の基を含む、段階と、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項7に記載の化合物を調製するための方法であって、
i)1つまたは複数の段階において、前記成長ホルモン化合物を、第1の化合物の前記成長ホルモン化合物への導入を触媒できるトランスグルタミナーゼの存在下で、前記成長ホルモン化合物を構成するアミノ酸残基のいずれにも利用できない、1つまたは複数の官能基または潜在的官能基を含む前記第1の化合物と反応させて、官能化された成長ホルモン化合物を形成させる段階と、
ii)前記潜在的官能基を任意選択で活性化させる段階と、
iii)1つまたは複数の段階において、前記官能化された成長ホルモン化合物を、1つまたは複数の官能基を含む第2の化合物と反応させる段階であって、前記官能基は、前記ペプチドを構成する接触可能なアミノ酸残基の官能基と反応せず、前記第2の化合物における前記官能基は前記第1の化合物における前記官能基と反応でき、それによって、前記官能化されたペプチドと前記第2の化合物との間の共有結合が形成され、前記第2の化合物は、前記成長ホルモン結合タンパク質化合物の基を含む、段階と、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項8に記載の化合物を調製するための方法であって、
(a)前記成長ホルモン化合物から誘導されたアルデヒドまたはケトンを、特性修飾基により誘導されたアニリンまたはヘテロアリールアミンで処理して、イミンまたはヘミアミナールを得る段階であって、前記特性修飾基は前記成長ホルモン結合タンパク質またはそのフラグメントを含む、段階と、
(b)このイミンまたはヘミアミナールを、NaCNBH3などの適切な還元剤で処理して、第二級アミンを得る段階と、
含む、方法。
【請求項15】
式(III)、R3-R2-R1-NH2(III)
(式中、R1、R2、およびR3は請求項8に定義される通りである)
の化合物。

【公表番号】特表2012−502011(P2012−502011A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525575(P2011−525575)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061688
【国際公開番号】WO2010/029107
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(511031755)ノヴォ・ノルディスク・ヘルス・ケア・アーゲー (11)
【Fターム(参考)】