説明

増大した光出力を有する合成オプロフォルスルシフェラーゼ

改変ルシフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。改変ルシフェラーゼポリペプチドは、野生型オプロフォルスルシフェラーゼに対して少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有し、配列番号1の野生型オプロフォルスルシフェラーゼのアミノ酸に対応する位置で少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。改変ルシフェラーゼポリペプチドは、野生型オプロフォルスルシフェラーゼに対して、増大した発光、増大したシグナルの安定性及び増大したタンパク質の安定性の少なくとも1つを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国仮出願第61/174,838号(出願日:2009年5月1日)に基づく優先権を主張する(参照によりその全体が本願に組み込まれる)。
【背景技術】
【0002】
本発明は、野生型オプロフォルスルシフェラーゼと比較して増大した特性を有する合成オプロフォルス(Oplophorus)ルシフェラーゼに関する。
【0003】
深海エビであるオプロフォルス・グラキリロストリス(Oplophorus gracilirostris)は、ヘテロカルプス(Heterocarpus)属、システルラスピス(Systellaspis)属及びアカンテフィラ(Acanthephyra)属のエビを含む種々の他の発光する十脚類のエビと同様に、刺激すると、その触角の基部から青く光る雲を射出する(Herring, J. Mar. Biol. Assoc. UK, 156:1029 (1976))。オプロフォルスの発光の基礎をなす機構は、分子状酸素によるオプロフォルスルシフェリン(セレンテラジン)の酸化を含む。この酸化は、次のようにオプロフォルスルシフェラーゼにより触媒される。
【化1】

【0004】
セレンテラジンは、イミダゾピラジノン化合物であり、ルシフェリンとして、あるいは発光タンパク質の機能部分として、さまざまな生物体の生物発光に関与する。例えば、ウミシイタケであるレニラ(Renilla)のルシフェリンはセレンテラジン(Inoue et al., Tetrahed. Lett., 18:2685 (1977)) であり、クラゲであるアエクオレア(Aequorea)由来のカルシウム感受性発光タンパク質イクオリンもまた、その機能部分としてセレンテラジンを含む(Shimomura et al., Biochem., 17:994 (1978); Head et al., Nature, 405:372 (2000))。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態において、本発明は、改変ルシフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。改変ルシフェラーゼポリペプチドは、野生型オプロフォルスルシフェラーゼに対して少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有し、配列番号1の野生型オプロフォルスルシフェラーゼのアミノ酸に対応する位置で少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。改変ルシフェラーゼポリペプチドは、野生型オプロフォルスルシフェラーゼに対して、増大した発光、増大したシグナルの安定性及び増大したタンパク質の安定性の少なくとも1つを有する。
【0006】
他の実施形態において、本発明は改変ルシフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。改変ルシフェラーゼポリペプチドは、野生型オプロフォルスルシフェラーゼに対して増大した発光を有し、配列番号1に対応する位置2、4、11、20、23、28、33、34、44、45、51、54、68、72、75、76、77、89、90、92、99、104、115、124、135、138、139、143、144、164、166、167又は169で少なくとも1つのアミノ酸の置換を有する。
【0007】
本発明の他の側面は、詳細な説明及び添付図面を考察することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、脂肪酸結合タンパク質(FABP)及びOgLucの二次構造アラインメントを示す。
【図2】図2は、渦鞭毛藻ルシフェラーゼ、FABP及びOgLucの二次構造アラインメントを示す。
【図3】図3は、FABPの3D構造の重ね合わせに基づく、OgLuc及び種々のFABP(それぞれ配列番号1、3、4、5及び17〜20)のアミノ酸配列のアラインメントを示す。
【図4】図4A〜Dは、N166R OgLucバリアント及びレニラルシフェラーゼと比較して、OgLucにおいて2以上のアミノ酸置換の組み合わせで改変されたOgLucバリアントの光出力(すなわち発光)の経時変化を示す図である。4A〜4Bは、2つの異なる経時的(分)発光尺度で示した、“フラッシュ(Flash)”発光アッセイを用いたときの相対発光量(RLU)での発光(“lum”)である。4C〜4Dは、2つの異なる経時的(分)発光尺度で示した、“Glo”0.5%テルギトール発光アッセイを用いたときのRLUで測定した発光(“lum”)である。
【図5】図5A〜Cに、0.5%テルギトールアッセイ緩衝液を用いたときの、T=0(“平均”)における、実施例7(“試料”)で説明した種々のOgLucバリアントのRLUで測定した平均発光を、標準偏差値(“Stdev”)及び、WT OgLucと比較した変動係数(“CV”)と共に要約する。
【図6】図6A〜Bに、図5A〜Cで示した0.5%テルギトールアッセイ緩衝液データから測定した、WT OgLucに対するOgLucバリアントのT=0における発光の倍増加を要約する。
【図7】図7A〜Cに、RLABを用いたときの、T=0(“平均”)におけるOgLucバリアント(“試料”)のRLUで測定した平均発光を、標準偏差値(“Stdev”)及び、WT OgLucと比較した変動係数(“CV”)と共に要約する。
【図8】図8に、図7A〜Cで示したRLABデータから測定した、WT OgLucに対するOgLucバリアントのT=0における発光の倍増加を要約する。
【図9】図9A〜Dに、0.5%テルギトールアッセイ緩衝液を用いたときの、WT OgLucと比較してのOgLucバリアントのシグナルの安定性を示す。9A〜9Cは、OgLucバリアント(“クローン”)の光出力の経時変化であり、発光は経時的(分)にRLUで測定した。9Dは、図9A〜Cに示した光出力の経時変化データから測定したOgLucバリアントのシグナル半減期(分)である。
【図10】図10A〜Cに、RLABを用いたときの、WT OgLucと比較してのOgLucバリアントの光出力の経時変化(すなわちシグナルの安定性)を示す。発光は経時的(分)にRLUで測定した。
【図11】図11A〜Bに、図10A〜Cに示す光出力の経時変化データから測定した、WT OgLucと比較してのOgLucバリアントのシグナル半減期(分)を示す。
【図12】図12A〜Bに、WT OgLucと比較してのOgLucバリアントの半減期(分)としての、22℃でのタンパク質の安定性を示す。
【図13】図13A〜Bに、0.5%テルギトールアッセイ緩衝液(13A)又はRLAB(13B)を用いたときの、A33K及びF68Y OgLucバリアントのT=0(“平均”)における、WT OgLucと比較してのRLUで測定した平均発光を変動係数(“%cv”)と共に要約する。
【図14】図14A〜Bに、0.5%テルギトールアッセイ緩衝液(14A)又はRLAB(14B)をそれぞれ用いたアッセイに関して図13A〜Bに示すデータから測定した、WT OgLucに対するA33K及びF68Y OgLucバリアントのT=0における発光の倍増加を要約する。
【図15】図15A〜Bに、0.5%テルギトールアッセイ緩衝液を用いたときの、WT OgLucと比較してのA33K及びF68Y OgLucバリアントのシグナルの安定性を示す。15AはA33K及びF68Y OgLucバリアントの光出力の経時変化であり、発光は経時的(分)にRLUで測定した。15Bは、図15Aに示す光出力の経時変化データから測定したA33K及びF68Y OgLucバリアントのシグナル半減期(分)である。
【図16】図16A〜Bに、RLABを用いたときの、OgLucと比較しての、A33K及びF68Y OgLucバリアントWTのシグナルの安定性を示す。16Aは、A33K及びF68Y OgLucバリアントの光出力の経時変化であり、発光は経時的(分)にRLUで測定した。16Bは、図16Aに示す光出力の経時変化データから測定したA33K及びF68Y OgLucバリアントのシグナル半減期(分)である。
【図17】図17は、A33K及びF68Y OgLucバリアントの半減期(分)としての、22℃におけるタンパク質の安定性を示す。
【図18】図18A〜Bは、0.5%テルギトールアッセイ緩衝液を用いたときの、N166R OgLucバリアント及びレニラルシフェラーゼと比較しての、コア組み合わせOgLucバリアントの光出力の経時変化(すなわちシグナルの安定性)を示す。発光は経時的(分)にRLUで測定した。
【図19】図19は、RLABを用いたときの、N166R OgLucバリアント及びレニラルシフェラーゼと比較しての、コア組み合わせOgLucバリアントの光出力の経時変化(すなわちシグナルの安定性)を示す。発光は経時的(分)にRLUで測定した。
【図20】図20A〜Bは、0.5%テルギトールアッセイ緩衝液(20A)又はRLAB(20B)を用いたときの、WT OgLuc(“Og-Luc”)及びレニラルシフェラーゼ(“hRL”)ならびにT2T及びA54Fバリアントと比較しての、C1+C2+A4E及びC1+A4E OgLucバリアントの光出力の経時変化(すなわちシグナルの安定性)を示す。発光は経時的(分)にRLUで測定した。
【図21】図21は、0.25%テルギトールアッセイ緩衝液を用いたときの、WT OgLuc(“Og-Luc”)及びレニラルシフェラーゼ(“hRL”)ならびにT2T及びA54Fバリアントと比較しての、C1+C2+A4E及びC1+A4E OgLucバリアントの光出力の経時変化(すなわちシグナルの安定性)を示す。発光は経時的(分)にRLUで測定した。
【図22】図22は、ホタルに対して正規化した、RLAB緩衝液を用いたときの、HEK293細胞における、WT OgLuc(“Og-Luc”)及びレニラルシフェラーゼ(“hRL”)ならびにT2T及びA54Fバリアントと比較しての、C1+C2+A4E及びC1+A4E OgLucバリアントの光出力の経時変化(すなわちシグナルの安定性)を示す。
【図23】図23は、ホタルに対して正規化した、0.25%テルギトール緩衝液を用いたときの、HEK293細胞における、WT OgLuc(“Og-Luc”)及びレニラルシフェラーゼ(“hRL”)と比較しての、C1+C2+A4E及びC1+A4E OgLucバリアントの光出力の経時変化(すなわちシグナルの安定性)を示す。
【図24】図24は、種々の温度、例えば22、37、42、50及び54℃における、WT OgLuc、レニラルシフェラーゼ及びN166Rバリアントと比較しての、C1、C1+A4E、C1+C2+A4E及びC1+C3+A4E OgLucバリアントの半減期(分)としてのタンパク質の安定性を示す。
【図25】図25は、RLABを用いたときの、WT OgLuc(“Og-Luc”)及びレニラルシフェラーゼ(“hRL”)と比較してのC1、C1+A4E、C1+C2+A4E及びC1+C3+A4E OgLucバリアントの光出力の経時変化(すなわちシグナルの安定性)を示す。発光は経時的(分)にRLU(“lum”)で測定し、半減期(分)は経時変化データから測定した。
【図26】図26は、スペクトルの最高のRLU値によって正規化された、レニラルシフェラーゼと比較しての、N166R、C1+A4E及びC1+C2+A4Eバリアントの基質としてセレンテラジンを用いたときの、最強の発光を示す最適の波長(nm)を示す。
【図27】図27A〜Bに、0.5%テルギトール緩衝液を用いたときの、示されたアミノ酸変化を有する対応する出発C1+A4Eバリアントに対する、無作為に変異されたC1+A4Eのバリアント(“試料ID”)のT=0における発光の倍増加を要約する。
【図28】図28に、0.5%テルギトール緩衝液を用いたときの、示されたアミノ酸変化を有する対応する出発C1+A4Eバリアントに対する、C1+A4EのL92バリアントのT=0における発光の倍増加を要約する。
【図29】図29に、0.5%テルギトール緩衝液を用いたときの、示されたアミノ酸変化を有する対応する出発C1+A4Eバリアントに対する、C1+A4Eの組み合わせバリアント(“試料ID”)のT=0における発光の倍増加を要約する。
【図30】図30は、50℃での、対応する出発C1+A4E OgLucと比較しての、経時的(分)にRLUで測定された発光の自然対数(ln)値の光出力の経時変化及びバリアントC1+A4E+F54Iの半減期(分)を示す。
【図31】図31は、コンセンサス配列を有する、配列番号10(天然)、配列番号13(合成WT)、配列番号15(N166R)、配列番号25(C1)、配列番号27(C1+C2)、配列番号23(C1+A4E)、配列番号29(C1+C2+A4E)及び配列番号31(C1+C3+A4E)のアミノ酸配列のアラインメントを示す。
【図32】図32は、コンセンサス配列を有する、配列番号12(天然)、配列番号2(合成WT)、配列番号14(N166R)、配列番号18(C1)、配列番号20(C1+C2)、配列番号16(C1+A4E)、配列番号22(C1+C2+A4E)及び配列番号24(C1+C3+A4E)のヌクレオチド配列のアラインメントを示す。
【図33A】図33Aに、N166Rバリアントに対して正規化した、図5A〜C及び14Aに示される0.5%テルギトールアッセイ緩衝液データから測定した、N166Rに対するOgLucバリアントのT=0における発光の倍増加を要約する。
【図33B】図33Bに、N166Rバリアントに対して正規化した、図7A〜C及び14Bに示すRLABデータから測定した、N166Rに対するOgLucバリアントのT=0における発光の倍増加を要約する。
【図33C】図33Cに、N166Rバリアントに対して正規化した、図9A〜C及び15B(0.5%テルギトールアッセイ緩衝液)ならびに10A〜C及び16B(RLAB)に示す光出力の経時変化データから測定したOgLucバリアントのシグナル半減期(分)を要約する。
【図33D】図33Dに、N166Rバリアントに対して正規化した、図12A〜B及び17に示したWT OgLucと比較しての、OgLucバリアントの22℃における半減期(分)としてのタンパク質の安定性を要約する。
【図33E】図33Eに、図33A〜Dで示した、22℃における発光、シグナル半減期及び半減期の倍増加を要約する。
【図34A】図34Aは、0.5%テルギトールを用いてアッセイされた、IVバリアント("IV")、レニラルシフェラーゼ("レニラ")及びC1+A4E("C1A4E")を含むエッシェリヒア・コーリー溶解物の発光結果を示す。
【図34B】図34Bは、VIバリアント("VI")及びレニラルシフェラーゼ("レニラ")の半減期(分)としての50℃におけるタンパク質の安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明において示され、あるいは以下の図面において図示されている構造、合成及び成分の配置の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、特定の実施形態及び技術に関して説明されているが、本発明は他の実施形態が可能であり、種々の方法で実施又は実行することができる。
【0010】
本発明の方法の以下の説明において、特記しない限り、処理段階は室温(約22℃)及び大気圧で行う。特に、本明細書記載の数値範囲は、いずれもその低い数値から高い数値までの間のすべての値を含むことは言うまでもない。例えば、濃度範囲又は有益な効果の範囲が1%〜50%と述べられている場合、例えば2%〜40%、10%〜30%又は1%〜3%などの値は本明細書に具体的に列挙されているものとする。同様に、配列同一性の範囲が、例えば60%〜<100%と示されている場合、65%、75%、90%などは本明細書に具体的に列挙されているものとする。これらは、具体的に指定されたもののただの例に過ぎず、最低値から最高値までの全ての可能な数値が、本願に具体的に列挙されているとみなされる。
【0011】
本発明の実施形態において、増大した合成オプロフォルスルシフェラーゼポリペプチドを製造するために、本明細書に記載の種々の技術を用いてアミノ酸置換部位を同定した。ポリペプチドの発現を促進するために、さらなる技術を用いて、種々のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのコドンを最適化した。単独又は種々の組み合わせで1以上のアミノ酸置換を行うことにより、増大した発光、増大したシグナルの安定性及び増大したタンパク質の安定性の少なくとも1つを示す合成オプロフォルス型ルシフェラーゼが製造されることが見いだされた。さらにまた、種々のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに1以上のコドン最適化置換を含めることによって、種々の真核及び原核発現系におけるポリペプチドの増大した促進がもたらされる。
【0012】
適切な条件下での、例えばセレンテラジンなどの適切な基質の存在下でのルシフェラーゼポリペプチドの光出力を発光と呼ぶ。光出力は、発光反応の開始時の光出力(“T=0”発光又は“閃光”と呼ばれる場合もある)の即時測定又はほぼ即時測定として測定できる。この発光反応は、セレンテラジン基質の添加直後に開始されることができる。種々の実施形態における発光反応は、溶解物、例えば原核又は真核発現系の細胞由来の溶解物を含む溶液中で行われる。他の実施形態において、発現はin vitro系で行われるか、あるいはルシフェラーゼタンパク質は細胞外培地に分泌され、後者の場合では、溶解物を調製する必要がない。いくつかの実施形態において、反応は、ルシフェラーゼタンパク質を含む反応チャンバー(例えば、96ウェルプレートなどのマルチウェルプレートのウェル)に適切な物質、例えばセレンテラジンを注入することによって開始される。反応チャンバーは、例えばルミノメーター又は光電子増倍管を用いて光出力を測定できる読み取り装置内に設置することができる。光出力又は発光はまた、例えば同じ反応チャンバー中で、数秒、数分、数時間などの間経時的に測定することもできる。光出力又は発光は、時間平均、シグナル減衰の半減期、ある期間にわたってのシグナルの合計又はピーク出力として報告できる。
【0013】
増大した発光は、同等に得られた測定値の適切な比較によって決定される増加した光出力又は発光を含む。本明細書に記載のように、合成オプロフォルスルシフェラーゼ配列への1以上の適切なアミノ酸置換によって、増大した発光を示す改変ルシフェラーゼポリペプチドが製造される。野生型オプロフォルスヌクレオチド配列からのヌクレオチド配列の変化は、アミノ酸置換をもたらすことによって、及び/又はタンパク質発現を促進することによって、増大した発光に貢献できる。
【0014】
増大したシグナルの安定性は、例えば、経時変化においてシグナル減衰の半減期によって測定されるような、ルシフェラーゼからのシグナルの発光の継続時間の増加を含む。
【0015】
増大したタンパク質の安定性は、増加した熱安定性(例えば高温での安定性)及び化学的安定性(例えば、変性剤、例えばトリトンX-100などを含む洗剤の存在下での安定性)を含む。
【0016】
用語“OgLuc”は、オプロフォルスルシフェラーゼタンパク質複合体の成熟19kDaサブユニット、すなわちシグナル配列を含まないもののことを言う。成熟OgLucポリペプチド配列の天然型は配列番号1で示される。用語“OgLucバリアント”は、1以上のアミノ酸置換を有する合成OgLucのことを言う。例えば、“OgLuc N166Rバリアント”及び“OgLuc+N166R”は、配列番号1に対して、位置166においてNからRへのアミノ酸置換を有する合成OgLucのことを言う。用語“WT”、“WT OgLuc”及び“野生型OgLuc”は、配列番号1に対して位置2でACCを有する合成ポリヌクレオチドによってコードされる合成成熟OgLucタンパク質を指す。用語“T2T”は、配列番号1に対して位置2でACAを有する合成ポリヌクレオチドによってコードされる合成成熟OgLucタンパク質のことを言う。以下の実施例で示されるデータに関して、合成された野生型タンパク質は、配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされる配列番号13の合成野生型タンパク質である。
【0017】
置換残基を識別するために本願を通じて用いたアミノ酸の番号付けは、配列番号1の成熟野生型OgLucポリペプチド配列における位置に対して特定される。他のアミノ酸を用いて、最初に天然に存在する野生型OgLuc配列を合成し、次いでこれを切断し、配列番号1に示すような成熟野生型ポリペプチドを生成させることができる。例えば、新生タンパク質の初めにシグナル配列(例えば、小胞体などの特定の細胞小器官に新生タンパク質を指向させるための、及び/又はそのタンパク質の分泌を指示するための)を存在させることができ、次いでそれを切断して成熟野生型タンパク質を生成させることができる。
【0018】
オプロフォルスルシフェラーゼの基質特異性は意外にも広い(Inouye and Shimomura. BBRC 223:349(1997)。例えば、セレンテラジンのアナログであるビスデオキシコエレンテラジンは、セレンテラジンに匹敵するオプロフォルスルシフェラーゼの優れた基質である(Nakamura et al., Tetrahed. Lett., 38:6405 (1997))。さらに、オプロフォルスルシフェラーゼは、海生貝形虫類キプリジナ(ワルグラ)・ヒルゲンドルフィイ(Cypridina (Vargula) hilgendorfii)(Johnson and Shimomura, Meth. Enzyme, 57:331 (1978))のルシフェラーゼ(これもまた、光を放出するためにイミダゾピラジノン型ルシフェリンを用いる)と同様に分泌酵素である。
【0019】
オプロフォルスルシフェラーゼの分子量は、天然のタンパク質複合体に関しては130kDa(ゲル濾過によって)であり、SDS処理後では31kDaであると報告された(Shimomura et al., Biochem., 17:1994 (1978))。このルシフェラーゼはまた、ゲル濾過でおおよそ106kDaの分子量を示し、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)分析において、この分子は35kDa及び19kDaのタンパク質に分離されることが見いだされた(Inouye et al., FEBS Lett., 481:19 (2000))。Inouyeら(2000)は、35kDa及び19kDaのタンパク質をコードするcDNAの分子クローニング及び、発光反応を触媒するタンパク質成分の同定を報告した。タンパク質をコードするcDNAは、セレンテラジンの発光酸化を触媒できる19kDaのタンパク質として細菌細胞及び哺乳動物細胞中で発現された(Inouyeら(2000))。35kDaタンパク質の一次配列として、ロイシンリッチ反復配列が明らかとなったが、19kDaの触媒タンパク質は、種々のイミダゾピラジノンルシフェラーゼを含む公知のルシフェラーゼとは何ら相同性を示さなかった(Inouyeら、(2000))。
【0020】
19kDaのオプロフォルスルシフェラーゼタンパク質(OgLuc)は、ルシフェラーゼ機能を有する最小の触媒成分と考えられ、その一次構造は、イミダゾピラジノンルシフェラーゼを含む報告されているルシフェラーゼとは高い相同性を示さない(Lorenz et al., PNAS USA, 88:4438 (1991); Thompson et al., PNAS USA, 86:6567 (1989))。この19kDaのタンパク質の全体のアミノ酸配列は、エッシェリヒア・コーリー(E.coli)アミンオキシダーゼ(757アミノ酸残基;pir 140924)の残基217〜392領域(D3-S1ドメイン)のアミノ酸配列と類似していると考えられるが(Parson et al. Structure 3:1171 (1995))、同じタンパク質のアミノ末端領域(3〜49)は、脂肪酸結合タンパク質(132アミノ酸残基;GenBank, L23322) (Becker et al., Gene, 148:321 (1994))のアミノ末端領域(1〜47)に対して相同性を示すことをInouyeら(2000)は報告した。
【0021】
相同性モデリングは、少なくとも1つの適切な3D構造鋳型の同定、通例、標的タンパク質に対する有意な配列類似性を示す相同タンパク質の実験的に決定された3D構造の同定を必要とする。OgLucは、他の既知のタンパク質に対して有意な配列類似性を示さない。従って、OgLucの遠いホモログ、例えばOgLucに対して低い配列類似性を示すタンパク質を同定するように設計されたフォールド認識法(fold recognition method)を用いた。このアプローチにより、カリシン(calycin)タンパク質スーパーファミリーの一部である脂肪酸結合タンパク質(FABP)のタンパク質ファミリーに属するいくつかの潜在的3D構造鋳型を得た。このモデルにより、水素結合と共に、N及びC末端に効果的に結合し、少なくとも3つのFABPに存在するカリシンのフォールド構造特性は、OgLucには完全には保存されていないことが示された。OgLuc残基Asn166(C末端近傍)は、N末端近傍の主鎖カルボニルと水素結合できない。しかしながら、OgLucの位置166でArg又はLysのいずれかを含む変異体モデルは、この構造モチーフの復元により、OgLucの構造安定性及び細胞内でのその発現/活性を改善することができることを示唆した。
【0022】
本発明の実施形態は、カリシンタンパク質スーパーファミリーメンバー、例えば、脂肪酸結合タンパク質ファミリーに対して構造的に相同性を示す領域に、対応する野生型ルシフェラーゼに対して少なくとも1つのアミノ酸置換を有する合成改変(バリアント)ルシフェラーゼ及びそのフラグメント、例えば相補性アッセイに有用なものを提供する。一実施形態において、本発明は、カリシンタンパク質スーパーファミリーメンバー、例えば、脂肪酸結合タンパク質ファミリーに対して構造的に相同性を示す領域に、対応する野生型甲殻類ルシフェラーゼに対して少なくとも1つのアミノ酸置換を有する改変甲殻類ルシフェラーゼ、例えば、改変十脚類ルシフェラーゼ及びそのフラグメント、例えば相補性アッセイに有用なものを提供する。一実施形態において、本発明は、カリシンタンパク質スーパーファミリーメンバー、例えば、脂肪酸結合タンパク質ファミリーに対して構造的に相同性を示す領域に、対応する野生型真核単細胞鞭毛虫ルシフェラーゼ、例えば渦鞭毛藻綱(Dinophyceae)、ヤコウチュウ綱(Noctiluciphyceae)又はコッキディニア目(Syndiniophycea)を含む渦鞭毛虫門(Dinoflagellata)由来のルシフェラーゼに対して少なくとも1つのアミノ酸置換を有する真核単細胞鞭毛虫の改変ルシフェラーゼ及びそのフラグメント、例えば相補性アッセイに有用なものを提供する。改変ルシフェラーゼをコードする核酸分子は、改変ルシフェラーゼに結合される分泌シグナルペプチドをコードすることもできるし、コードしないこともできる。
【0023】
合成改変ルシフェラーゼ又はそのフラグメントにおける少なくとも1つの置換は、カリシンタンパク質スーパーファミリーメンバー、例えば脂肪酸結合タンパク質ファミリーであって、その残基が分子内水素結合又はイオン結合形成に関与でき、改変ルシフェラーゼにおける増大した発光と関連する前記ファミリーに対して構造的に相同性を示す領域における、対応する位置でのアミノ酸残基に対するものである。増大した発光は、限定するものではないが、発光の増加、改変された発光キネティクス、例えばより優れた光強度安定性、又は改変された発光色、例えば短波長又は長波長側へのシフト、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態において、合成改変ルシフェラーゼの対応する位置における残基は、OgLuc、例えば配列番号1を有するもの(これらの位置の番号付けは、成熟配列のMetではない残基1のPheに基づくが、位置-1のValなどの他の残基がPheに先行でき、これはクローニング部位の挿入によって導入できることに注意されたい)の残基1〜10又は144〜148に対応する領域における残基又は対応する位置(位置166)における残基の、4〜8Å以内の、例えば6Å以内の原子を有する残基と相互作用できる。対応する位置は、例えば、配列のアラインメントプログラム、二次構造予測プログラムもしくはフォールド認識法又はそれらの組み合わせを用いて配列をアラインメントすることによって同定できる。本発明の改変ルシフェラーゼは、発光色を改変するさらなるアミノ酸置換、例えば、レッドシフトした発光をもたらす置換(単数又は複数)、シグナルの安定性を改変する置換(単数又は複数)、タンパク質の安定性を改変する置換(単数又は複数)又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0024】
一実施形態において、本発明は、対応する野生型十脚類ルシフェラーゼに対して増大した発光を示す改変十脚類ルシフェラーゼを提供する。他の実施形態において、本発明は、セレンテラジンを利用する改変十脚類ルシフェラーゼを提供する。セレンテラジンは、限定するものではないが、天然に存在するセレンテラジン及びその誘導体(アナログ)、例えば米国特許第7,118,878号に開示されたものばかりでなく、EnduRen、ViviRen、セレンテラジンn、セレンテラジンh、セレンテラジンc、セレンテラジンcp、セレンテラジンe、セレンテラジンf、セレンテラジンfcp、セレンテラジンhh、セレンテラジンi、セレンテラジンicp、2-メチルセレンテラジン、ならびにWO/040100及び米国特許出願第12/056,073号に開示されたものも含む。これらの開示は、参照により本願に組み込まれる。
【0025】
本発明の改変ルシフェラーゼは、増大した発光をもたらす、配列番号1の残基166に対応する位置におけるアスパラギン以外の残基を有し、場合により、配列番号1の残基5に対応する位置におけるアスパラギン酸、配列番号1の残基8に対応する位置におけるグリシン、配列番号1の残基9に対応する位置におけるアスパラギン酸、配列番号1の残基10に対応する位置におけるトリプトファン、チロシンもしくはフェニルアラニン、配列番号1の残基144に対応する位置におけるアスパラギン及び/又は配列番号1の残基147に対応する位置におけるグリシン又はそれらの任意の組み合わせ以外の残基を有する。一実施形態において、配列番号1の残基166に対応する改変ルシフェラーゼの残基はリジンである。他の実施形態において、配列番号1の残基166に対応する改変ルシフェラーゼの残基はアルギニンである。一実施形態において、配列番号1の残基166に対応する改変ルシフェラーゼの残基は、改変ルシフェラーゼのN末端近傍の配列番号1の残基9に対応する位置におけるカルボニル又は側鎖と1以上の分子内水素結合又はイオン結合を形成することができる。一実施形態において、改変ルシフェラーゼはシグナルペプチド配列を欠く。一実施形態において、改変ルシフェラーゼは、配列番号1に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%であるが、100%未満であるアミノ酸配列同一性を有する。
【0026】
一実施形態において、対応する野生型ルシフェラーゼは、オプロフォルスルシフェラーゼ、例えば、オプロフォルス・グラキリロストリス、オプロフォルス・グリマルディ(Oplophorus grimaldii)、オプロフォルス・スピニカウダ(Oplophorus spinicauda)、オプロフォルス・フォリアケウス(Oplophorus foliaceus)、オプロフォルス・ノラエゼエランジアエ(Oplophorus noraezeelandiae)、オプロフォルス・チプス(Oplophorus typus)、オプロフォルス・ノラエゼランジアエ(Oplophorus noraezelandiae)もしくはオプロフォルス・スピノウス(Oplophorus spinous)、ヘテロカルプスルシフェラーゼ、システルラピス(Systellapis)ルシフェラーゼ又はアカンテフィラルシフェラーゼである。一実施形態において、改変ルシフェラーゼは、対応する野生型ルシフェラーゼに対して、原核細胞及び/又は真核細胞において少なくとも2倍以上、例えば、少なくとも4倍の発光の増加を示す。
【0027】
他の実施形態において、本発明は、対応する野生型渦鞭毛藻ルシフェラーゼ、例えばリングロディニウム・ポリエドルム(Lingulodinium polyedrum)ルシフェラーゼ、ピロキスティス・ルヌラ(Pyrocystis lunula)ルシフェラーゼ又は配列番号21を有するルシフェラーゼなどの渦鞭毛藻ルシフェラーゼに対して増大した発光を示す改変渦鞭毛藻ルシフェラーゼを提供する。改変ルシフェラーゼは、配列番号1の残基166に対応する位置におけるアスパラギン以外の残基、例えば、アルギニンを有することができ、場合により、配列番号1の残基5に対応する位置におけるプロリン、配列番号1の残基8に対応する位置におけるグリシン、配列番号1の残基9に対応する位置におけるアルギニン、配列番号1の残基10に対応する位置におけるトリプトファン、チロシンもしくはフェニルアラニン、配列番号1の残基144に対応する位置におけるフェニルアラニン及び/又は配列番号1の残基147に対応する位置におけるトレオニン又はそれらの任意の組み合わせ以外の残基を有することができる。一実施形態において、配列番号1の残基166に対応する改変ルシフェラーゼの残基はリジンである。他の実施形態において、配列番号1の残基166に対応する改変ルシフェラーゼの残基はアルギニンである。一実施形態において、配列番号1の残基166に対応する改変ルシフェラーゼの残基は、改変ルシフェラーゼのN末端近傍の配列番号1の残基9に対応する位置におけるカルボニル又は側鎖と1以上の分子内水素結合又はイオン結合を形成することができる。一実施形態において、改変ルシフェラーゼはシグナルペプチド配列を欠く。
【0028】
一実施形態において、改変ルシフェラーゼは、配列番号21に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%であるが100%未満のアミノ酸配列同一性を有する。発光色を改変するさらなるアミノ酸置換を有するものを含む本発明の改変ルシフェラーゼは、改変された発光色を生じる発光反応において改変ルシフェリンと共に用いることができる。
【0029】
さらに、FABPβバレルに関連する3D構造ドメインを有する改変ルシフェラーゼであって、βバレルの末端βシートの非共有結合、例えば分子内水素結合又はイオン結合による非共有結合をもたらす置換を有し、場合により、さらなる隣接する二次構造との非共有結合、例えば分子内水素結合又はイオン結合による非共有結合を有する前記改変ルシフェラーゼも提供される。
【0030】
本発明の実施形態はまた、増大した発光を有し、配列番号1の残基166に対応する位置にアルギニン、リジン、アラニン、ロイシン、プロリン、グルタミン又はセリンを有し、対応する野生型十脚類又は渦鞭毛藻ルシフェラーゼに対して少なくとも1つのアミノ酸置換を有する改変された十脚類又は渦鞭毛藻ルシフェラーゼを提供する。一実施形態において、改変ルシフェラーゼにおける少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号1の残基4、11、33、44、45、54、75、104、115、124、135、138、139、167もしくは169又はそれらの組み合わせに対応する位置での置換であり、例えば、増大した発光を有し、配列番号1の残基166に対応する位置でアルギニン、リジン、アラニン、ロイシン、プロリン、グルタミン又はセリンを有する改変ルシフェラーゼに対して増大した発光をもたらす置換である。
【0031】
一実施形態において、本発明の改変ルシフェラーゼは、場合により、目的とする分子(molecule of interest)と直接又は間接に相互作用するN末端、C末端又は両方における1以上の異種アミノ酸配列(融合ポリペプチド、例えばエピトープ又は融合タグを有するもの)を有する。一実施形態において、異種配列(単数又は複数)の存在は、目的とする分子との相互作用の前後に改変ルシフェラーゼの発光を実質的に変化させない。一実施形態において、異種アミノ酸配列はエピトープタグである。他の実施形態において、異種アミノ酸配列は、目的とする分子との相互作用中又はその後にコンホメーション変化を受け、次いでそれがルシフェラーゼの活性を変化させる配列である。例えば、このようなアミノ酸配列を有する改変OgLucは、アロステリック相互作用を検出するのに有用である。改変ルシフェラーゼ又は改変ルシフェラーゼもしくはそのフラグメントとの融合体は、レポーターとして用いることができる。
【0032】
一実施形態において、本発明のルシフェラーゼのフラグメントは、それによってβバレルを形成する融合体である異種アミノ酸配列に融合されるが、この融合タンパク質は、天然に存在するルシフェリン又はその誘導体を発光させることができる。
【0033】
本発明の改変ルシフェラーゼ又はその融合体をコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド又は改変ルシフェラーゼもしくはその融合体を有する単離された宿主細胞ならびに、本発明のポリヌクレオチド、改変ルシフェラーゼもしくはその融合体又は宿主細胞の使用法もまた提供される。
【0034】
異なる二次構造(例えば、どちらの二次構造の部分ではない5アミノ酸以上離れた構造であって、互いに水素結合又はイオン結合を形成できる構造)にある目的とするタンパク質におけるアミノ酸位置を同定する方法もまた提供される。この方法は、目的とするタンパク質のアミノ酸配列に関して予測される二次構造と、例えば目的とするタンパク質に対して全配列を同様に有さない、例えば同一性が30%未満である1以上のタンパク質の二次構造を比較することを含む。この1以上のタンパク質は、明確な3D構造を有し、このタンパク質の少なくとも1つは、第2二次構造と関連する第2残基の近傍又は5〜10残基以内にある側鎖間又は側鎖と主鎖カルボニル間で水素結合又はイオン結合、例えば、塩橋を形成する少なくとも1つの第1二次構造と関連する第1残基を有する。一実施形態において、第1二次構造は第2二次構造に対してC末端である。他の実施形態において、第1二次構造は第2二次構造に対してN末端である。次いで、目的とするタンパク質が、1以上のタンパク質における少なくとも第1二次構造に対応する1以上の二次構造を有するかどうかが決定され、その場合、1以上のタンパク質における第1残基、第2残基、又は両方に対応する、目的とするタンパク質におけるアミノ酸位置が決定される。一実施形態において、1つの二次構造は310へリックス又はβバレルである。一実施形態において、目的とするタンパク質はルシフェラーゼである。一実施形態において、第1残基は、第2残基の5残基以内の1以上の主鎖カルボニルと水素結合又はイオン結合を形成することができる。一実施形態において、1以上のタンパク質は脂肪酸結合タンパク質である。
【0035】
定義
本発明のアミノ酸改変ルシフェラーゼの残基は、L配置の残基、D-配置の残基、又は天然に存在しないアミノ酸、例えばノルロイシン、L-エチオニン、β-2-チエニルアラニン、5-メチルトリプトファン ノルバリン、L-カナバニン、p-フルオロフェニルアラニン、p-(4-ヒドロキシベンゾイル)フェニルアラニン、2-ケト-4-(メチルチオ)酪酸、β-ヒドロキシロイシン、γ-クロロノルバリン、γ-メチルD-ロイシン、β-D-Lヒドロキシロイシン、2-アミノ-3-クロロ酪酸、N-メチル-D-バリン、3,4,ジフルオロ-L-フェニルアラニン、5,5,5-トリフルオロロイシン、4,4,4,-トリフルオロ-L-バリン、5-フルオロ-L-トリプトファン、4-アジド-L-フェニルアラニン、4-ベンジル-L-フェニルアラニン、チアプロリン、5,5,5-トリフルオロロイシン、5,5,5,5',5',5'-ヘキサフルオロロイシン、2-アミノ-4-メチル-4-ペンテン酸、2-アミノ-3,3,3-トリフルオロ-メチルペンタン酸、2-アミノ-3-メチル-5,5,5-トリ-フルオロペンタン酸、2-アミノ-3-メチル-4-ペンテン酸、トリフルオロバリン、ヘキサフルオロバリン、ホモシステイン、ヒドロキシリジン、オルニチン、ならびに当該技術分野で公知方法によって場合により--CH2NH--、--CH2S--、--CH2--CH2--、--CH=CH--(シス及びトランス)、--COCH2--、--CH(OH)CH2--及びCH2SO--などの結合によって置換されたペプチド結合を有するアミノ酸の残基であることができる。標準的ポリペプチド命名法に従って、以下の対応表に天然に存在するアミノ酸残基の略語を示す。
【表1】

【0036】
本明細書において、増大した発光は、以下(発光の増加、改変された発光キネティクス、例えばより優れた光強度安定性、又は改変された発光色、例えば短波長又は長波長側へのシフト)のいずれかを含むことができる。
【0037】
用語"相同性"は、2以上の配列間の相補性の程度のことを言う。部分的相同性も存在できるし、完全相同性(すなわち一致)も存在できる。多くの場合、相同性は、配列分析ソフトウェア(例えば、Genetics Computer Group. University of Wisconsin Biotechnology Center. 1710 University Avenue. Madison, WI 53705 によって以前販売された“GCG”及び“Seqweb”配列分析ソフトウェアパッケージ)を用いて測定される。このようなソフトウェアは、種々の置換、欠失、挿入及び他の改変に対して相同性の程度を割り当てることによって同様な配列をマッチさせる。保存的置換は、一般的には、以下の群(グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシン)の範囲内の置換を含む。
【0038】
用語"単離された"は、"単離されたオリゴヌクレオチド"、"単離されたポリヌクレオチド"、“単離されたタンパク質”又は“単離されたポリペプチド”のように核酸又はポリペプチドに関して用いられる場合、通常はその供給源に混在する少なくとも1つの不純物から識別及び分離された核酸又はアミノ酸配列のことを言う。従って、単離された核酸又は単離されたポリペプチドは、それが自然界に存在するときとは異なる形態又は設定で存在する。対照的に、単離されていない核酸(例えば、DNA及びRNA)又は単離されていないポリペプチド(例えば、タンパク質及び酵素)は、それらが自然界に存在する状態で見出される。例えば、所定のDNA配列(例えば、遺伝子)は、隣接遺伝子に近接して宿主細胞染色体上で見出される。RNA配列(例えば、特定のタンパク質をコードする特定のmRNA配列)は、多数のタンパク質をコードする多数の他のmRNAとの混合物として細胞中で見出される。しかしながら、単離された核酸は、例として、通常その核酸を発現する細胞内の、天然の細胞とは異なる染色体位置にある核酸、あるいはそうでなく自然界に見られる核酸配列とは異なる核酸配列に隣接する核酸を含む。単離された核酸又はオリゴヌクレオチドは、一本鎖型又は二本鎖型で存在することができる。単離された核酸又はオリゴヌクレオチドがタンパク質の発現に用いられる場合、そのオリゴヌクレオチドは、最低でも、センス鎖又はコード鎖(すなわち、一本鎖核酸)を含むが、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方(すなわち二本鎖核酸)を含むこともできる。
【0039】
本明細書において、用語"核酸分子"、"ポリヌクレオチド"又は"核酸配列"は、ポリペプチド又はタンパク質前駆体の製造に必要なコード配列を含む核酸、DNA又はRNAのことを言う。コードされるポリペプチドは、全長ポリペプチド、そのフラグメント(完全長未満)又は全長ポリペプチド又はそのフラグメントのいずれかと他のポリペプチドとの融合ポリペプチドである融合体であることができる。
【0040】
"オプロフォルスルシフェラーゼ"は、天然の35kDa及び19kDaのタンパク質の複合体である。19kDaのタンパク質は最小の触媒成分である(GenBank登録番号BAB13776、196アミノ酸)。本明細書において、OgLucは、シグナルペプチドを含まない19kDaのタンパク質である(169アミノ酸、BAB13776の残基28〜196)。
【0041】
"ペプチド"、"タンパク質"及び"ポリペプチド"は、長さ又は翻訳後修飾(例えば、グリコシル化又はリン酸化)にかかわらず、任意のアミノ酸鎖を意味する。本発明の核酸分子は、それが由来する天然に存在する(天然又は野生型)タンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%であるが、100%未満であるアミノ酸配列同一性を有する、天然に存在するタンパク質又はそのポリペプチドフラグメントのバリアントをコードする。用語"融合ポリペプチド"又は"融合タンパク質"は、1以上の異種配列(例えば、非ルシフェラーゼポリペプチド)にN末端及び/又はC末端で結合させた参照タンパク質(例えば、ルシフェラーゼ)を含むキメラタンパク質のことを言う。
【0042】
タンパク質の一次構造(一次配列、ペプチド配列、タンパク質配列)はアミノ酸の配列である。これは、一般に、アミノ(N)末端から出発してカルボキシル(C)末端までが報告される。タンパク質の二次構造は、タンパク質の残りの部分とは無関係に、ペプチド鎖の局所配座として記載できる。一般に関与している残基の主鎖原子間の水素結合相互作用によって安定化される'規則的な'二次構造要素(例えば、へリックス、シート又はストランド)ならびに'不規則な'二次構造要素(例えば、ターン、ベンド、ループ、コイル、不規則又は非構造化セグメント)が存在する。タンパク質の二次構造は、種々の方法/プログラム、例えば、PSIPRED (McGuffin et al., Bioinformatics, 16:404 (2000)), PORTER (Pollastri et al., Bioinformatics, 21:1719 (2005)), DSC (King and Sternberg, Protein Sci., 5:2298 (1996))(リストに関しては、http://www.expasy.org/tools/#secondaryを参照のこと)で予測できる。タンパク質の三次構造は、ペプチド鎖の全体的な三次元(3D)構造である。これは三次元空間における原子位置によって記載され、一次構造において離れた基間の相互作用を含むことができる。タンパク質の三次構造は、二次構造要素の特定の三次元配置であるフォールドに分類される。同じフォールドを有するタンパク質間で識別できる配列類似性が存在しない場合もある。
【0043】
本明細書において、用語"野生型"又は“天然”は、天然に存在する供給源から単離された遺伝子又は遺伝子産物の特性を有する遺伝子又は遺伝子産物のことを言う。野生型遺伝子は、ある集団において最も頻繁に観察される遺伝子であり、従ってその遺伝子の"野生型"形と任意に称される。対照的に、用語"変異体"は、野生型遺伝子又は遺伝子産物と比較して、配列及び/又は機能的特性の改変(すなわち、改変された特性)を示す遺伝子又は遺伝子産物のことを言う。天然に存在する変異体が単離されうることに注意されたい。野生型遺伝子又は遺伝子産物と比較して改変された特性を有するという事実によってこれらは確認される。
【0044】
I.典型的なポリヌクレオチド及びタンパク質
本発明は、増大した安定性、増大した発光、例えば発光の増加、発光キネティクスのより優れた安定性、又は改変された発光色、又はその両方を示す改変ルシフェラーゼをもたらす、野生型ルシフェラーゼに対する少なくとも1つのアミノ酸置換を有する改変ルシフェラーゼ又はそのタンパク質フラグメント(例えば、欠失を有するもの、例えば1〜約5残基の欠失を有するもの)及びそれらのキメラ(融合体)(米国特許出願第60/985,585号及び第11/732,105号を参照のこと、これらの開示は、参照により本願に組み込まれる)を含む。改変ルシフェラーゼのルシフェラーゼ配列は、対応する野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列と実質的に同じである。実質的に同じ配列を有するポリペプチド又はペプチドとは、完全にではないが、主として同じであり、それが関連している配列の機能活性を保持しているアミノ酸配列を意味する。一般に、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%であるが、100%未満であるアミノ酸配列同一性である場合、2つのアミノ酸配列は実質的に同じであるか、あるいは実質的に相同である。一実施形態において、改変ルシフェラーゼは組換えポリヌクレオチドによってコードされる。
【0045】
多くの場合、相同性又は一致は、配列分析ソフトウェアを用いて測定できる。このようなソフトウェアは、種々の欠失、置換及び他の改変に対して相同性の程度を割り当てることによって同様な配列をマッチさせる。2以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈において、用語"相同性"及び"一致"は、任意の数の配列比較アルゴリズムを用いて測定した場合、あるいはマニュアルアラインメント及び視覚的検査によって、比較ウィンドウ又は指定領域上の最大一致に関して比較及びアラインメントした場合、同じであるか、又は同じアミノ酸残基又はヌクレオチドを特定の百分率で有する2以上の配列又は部分配列を指す。
【0046】
配列比較に関しては、一般的には、ある配列は、被検配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列及び参照配列をコンピュータに入力し、部分配列座標を指定し、必要に応じて、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトのプログラムパラメータも使用できるし、代替パラメータも指定できる。次いで、配列比較アルゴリズムによって、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する被検配列の配列同一性パーセントを算出する。
【0047】
比較のための配列のアラインメントの方法は、当該分野で公知である。比較のための配列の最適のアラインメントは、Smithら(1981)の局所相同性アルゴリズム、Needleman ら(J. Mol. Biol., 48:443 (1970) の相同性 アラインメント アルゴリズム、Person ら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 2444 (1988)) の類似性検索方法、これらのアルゴリズムのコンピュータへの実装(Wisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ(Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI)におけるGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)又はマニュアルアラインメント及び視覚的検査によって行うことができる。
【0048】
これらの数学的アルゴリズムのコンピュータ実装は、配列同一性を決定するための、配列の比較のために用いることができる。これらの実装は、限定するものではないが:PC/GeneプログラムにおけるCLUSTAL(Intelligenetics社(カリフォルニア州マウンテンビュー)から入手できる);Wisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ、バージョン8におけるALIGNプログラム(バージョン2.0)ならびにGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、及びTFASTA(Genetics Computer Group (GCG), 575 Science Drive, Madison, Wisconsin, USA から入手できる)を含む。これらのプログラムを用いるアラインメントはデフォルトパラメータを用いて実施することができる。CLUSTALプログラムは、Higgins et al., Gene, 73:237 (1988); Higgins et al., CABIOS, 5:157 (1989); Corpet et al., Nucl. Acids Res., 16:1088 (1988); Huang et al., CABIOS, 8:155 (1992);及び Pearson et al., Methods Mol. Biol., 24:307 (1994) によって十分に説明されている。 ALIGN プログラム は、Myers and Miller, LABIOS, 4:11 (1988) のアルゴリズムに基づく。AltschulらのBLASTプログラム(J. Mol. Biol., 215:403 (1990))は、Karlin及びAltschul(PNAS USA, 90:5873 (1993)) のアルゴリズムに基づく。
【0049】
BLAST分析を行うためのソフトウェアは、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって公表されている。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードとアラインメントするとき、正の値の閾値スコアTとマッチするか又はそれを満たすクエリー配列中の長さWの短いワードを同定することによって高スコア配列対(HSP)を最初に同定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値(Altschul et al., J. Mol. Biol., 215:403 (1990)) と呼ばれる。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見いだす検索を開始するためのシードとして機能する。次いで、累積アラインメントスコアが増加しうる限りは、各配列に沿って両方向にワードヒットが伸長される。ヌクレオチド配列に関する累積スコアは、パラメータM(一組のマッチ残基のリワードスコア;常に>0)及びパラメータN(ミスマッチ残基のペナルティースコア;常に<0)を用いて算出される。アミノ酸配列に関しては、累積スコアを算出するために、スコアリングマトリックスを用いる。各方向におけるワードヒットの伸長は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から量Xだけ減少したとき、累積スコアが1以上の負のスコアを有する残基のアラインメントのために0以下になったとき、あるいはいずれかの配列の末端に到達したとき停止される。
【0050】
配列同一性パーセントの算出に加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計分析も行う(例えば、Karlin and Altschul, PNAS USA, 90:5873 (1993) を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定は、2つのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列間のマッチが偶然に起こる確率の指標を提供する最小合計確率(P(N))である。例えば、参照核酸配列に対する試験核酸配列の比較における最小合計確率が約0.1未満である場合、より好ましくは約0.01未満である場合、最も好ましくは約0.001未満である場合、試験核酸配列は参照配列に類似しているとみなされる。
【0051】
比較の目的でギャップ有りアラインメントを得るために、Altschulら(Nuc. Acids Res., 25:3389 (1997)) に記載されているようにギャップ有りBLAST(BLAST2.0)を用いることができる。あるいは、分子間の遠距離相互作用を検出する反復探索法を行うために、PSI-BLAST(BLAST2.0)を用いることができる。Altschulら(前出)を参照のこと。BLAST、ギャップ有りBLAST、PSI-BLASTを用いる場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータ(例えば、ヌクレオチド配列に関してはBLASTN、タンパク質に関してはBLASTX)を用いることができる。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関する)は、デフォルト値として、ワード長(W)11、期待値(E)10、カットオフ値100、M=5、N=-4及び両鎖の比較を用いる。アミノ酸配列に関しては、BLASTPプログラムは、デフォルト値としてワード長(W)3、期待値(E)10及びBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff, PNAS USA, 89:10915 (1989)を参照のこと)を用いる。“www.ncbi.nlm.nih.gov”を参照のこと。
【0052】
特に、ポリペプチドは、保存的又は非保存的変化を別にして、他の(参照)ポリペプチドに実質的に関連することができる。保存的変化は、天然に存在する又は天然に存在しないアミノ酸残基を含む、他の生物学的に類似する残基によるアミノ酸残基の置換を意味する。保存的変化の例は、ある疎水性残基(例えばイソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニン)のもう1つの疎水性残基による置換、あるいはある極性残基のもう1つの極性残基による置換、例えばアルギニンのリジンによる置換、グルタミン酸のアスパラギン酸による置換、グルタミンのアスパラギンによる置換などを含む。保存的置換の他の具体例は、アラニンからセリンへ;アルギニンからリジンへ;アスパラギンからグルタミン又はヒスチジンへ;アスパラギン酸からグルタミン酸へ;システインからセリンへ;グルタミンからアスパラギンへ;グルタミン酸からアスパラギン酸へ;グリシンからプロリンへ;ヒスチジンからアスパラギン又はグルタミンへ;イソロイシンからロイシン又はバリンへ;ロイシンからバリン又はイソロイシンへ;リジンからアルギニン、グルタミン又はグルタミン酸へ;メチオニンからロイシン又はイソロイシンへ;フェニルアラニンからチロシン、ロイシン又はメチオニンへ;セリンからトレオニンへ;トレオニンからセリンへ;トリプトファンからチロシンへ;チロシンからトリプトファン又はフェニルアラニンへ;バリンからイソロイシン、ロイシンへの変化を含む。本発明の改変ルシフェラーゼは、増大した安定性、発光、又は両方をもたらす保存的又は非保存的置換を有する。
【0053】
本発明の改変ルシフェラーゼタンパク質又は融合タンパク質は、組換え法又は固相化学ペプチド合成法によって調製できる。このような方法は当該技術分野で公知である。
【0054】
II.改変ルシフェラーゼ又はその融合体をコードするベクター及び宿主細胞
改変ルシフェラーゼ、そのフラグメントをコードする望ましい核酸分子、例えば発光活性を有するもの、あるいは他の分子によって補完されて発光活性をもたらすことができるもの、又は発光活性を有するその融合体がひとたび調製されれば、改変ルシフェラーゼ、そのフラグメント、例えば、相補性のためのもの、又は発光活性を有するその融合体をコードする発現カセットを調製できる。例えば、改変ルシフェラーゼをコードする核酸配列を含む核酸分子は、場合により、転写調節配列、例えば1以上のエンハンサー、プロモーター、転写終結配列又はそれらの組み合わせに作動可能に連結され、発現カセットを形成する。核酸分子又は発現カセットは、場合により選択マーカー遺伝子を含むベクター、例えばプラスミド又はウイルスベクターに導入され、このベクターは、目的とする細胞、例えば、原核細胞、例えばエッシェリヒア・コーリー(E.coli)、ストレプトミセス種(Streptomyces spp.)、バシラス種(Bacillus spp.)、スタフィロコッカス種(Staphylococcus spp.)などばかりでなく、植物(双子葉植物もしくは単子葉植物)、真菌、酵母、例えば、ピキア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)もしくはシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)又は哺乳動物細胞を含む真核細胞、それらの溶解物、あるいはin vitro転写/翻訳混合物に導入されることができる。哺乳動物細胞は、限定するものではないが、ウシ、ヤギ、羊、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類(例えばサル)及びヒト細胞を含む。哺乳動物細胞株は、限定するものではないが、CHO、COS、293、HeLa、CV-1、SH-SY5Y、HEK293及びNIH3T3細胞を含む。
【0055】
コードされる改変ルシフェラーゼの発現は、合成プロモーターを含む、原核細胞又は真核細胞における発現が可能な任意のプロモーターによって調節されることができる。原核生物プロモーターは、限定するものではないが、プロモーター活性を有する任意のフラグメントを含むSP6、T7、T5、tac、bla、trp、gal、lac又はマルトースプロモーターを含む。真核生物プロモーターは、限定するものではないが、構成的プロモーター、例えばCMV、SV40及びRSVプロモーターなどのウイルスプロモーターばかりでなく、調節性プロモーター、例えば、tetプロモーター、hsp70プロモーターなどの誘導性もしくは抑制プロモーターならびにプロモーター活性を有する任意のフラグメントを有する、CREによって調節される合成プロモーターを含む。本発明の核酸分子、発現カセット及び/又はベクターは、限定するものではないが、カルシウム媒介性形質転換、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクションなどを含む任意の方法によって細胞に導入できる。
【0056】
III.改変ルシフェラーゼをコードする最適化された配列及びベクターならびに宿主細胞
本発明の改変ルシフェラーゼ、そのフラグメント又はその融合体をコードする核酸配列を含む単離された核酸分子(ポリヌクレオチド)もまた提供される。一実施形態において、単離された核酸分子は、少なくとも1つの選択された宿主における発現に最適化された核酸配列を含む。最適化された配列は、コドン最適化された配列、すなわち、他の生物体、例えば遠縁の生物体に対して、ある生物体においてより頻繁に用いられるコドンを含むばかりでなく、コザック配列及び/又はイントロンを加えるもしくは改変する改変及び/又は望ましくない配列、例えば潜在的転写因子結合部位を除去する改変を含む。このような最適化された配列は、宿主細胞に導入されたとき、増大した促進、例えばタンパク質発現のレベル増加をもたらすことができる。
【0057】
一実施形態において、ポリヌクレオチドは、本発明の改変ルシフェラーゼをコードする核酸配列を含み、その核酸配列は哺乳動物宿主細胞における発現に最適化されている。一実施形態において、最適化されたポリヌクレオチドは、対応する最適化されてない配列に対してもはやハイブリダイズしない。例えばそれは、中程度又は高ストリンジェンシー条件下で、最適化されてない配列とハイブリダイズしない。用語"ストリンジェンシー"は、核酸ハイブリダイゼーションが行われる、温度、イオン強度及び他の化合物の存在の条件に関して用いられる。"高ストリンジェンシー"条件では、核酸の塩基対形成は、高頻度の相補的塩基配列を有する核酸フラグメント間でのみ生じる。従って"中程度"又は"低"ストリンジェンシー条件は、多くの場合、互いに完全に相補的ではない核酸をハイブリダイズさせるか又はアニーリングさせることが所望される場合に必要とされる。中程度又は低ストリンジェンシー条件を構成するために、多くの等価な条件を用いることができることは公知である。
【0058】
他の実施形態において、ポリヌクレオチドは、対応する最適化されてない配列に対して90%未満、例えば80%未満の核酸配列同一性を有し、場合により、最適化されてない配列によってコードされるポリペプチドと、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%であるが100%未満であるアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする。発現カセットなどの構築物及び、単離された核酸分子、例えば最適化された核酸配列を有する核酸分子を含むベクターばかりでなく、単離された核酸分子、構築物又はベクターを含むキットもまた提供される。
【0059】
本発明の改変ルシフェラーゼをコードする核酸配列を含む核酸分子、そのフラグメント又はその融合体は、場合により特定の宿主細胞における発現に最適化され、同様に、場合により、転写調節配列、例えば1以上のエンハンサー、プロモーター、転写終結配列又はそれらの組み合わせに作動可能に連結されて発現カセットを形成する。
【0060】
一実施形態において、本発明の改変ルシフェラーゼ、そのフラグメント又はその融合体をコードする核酸配列は、野生型ルシフェラーゼ配列におけるコドン、例えば、少なくとも25%のコドンを、特定の(選択された)細胞で選択的に用いられているコドンと置き換えることによって最適化される。好ましいコドンは、選択された細胞において比較的高いコドン使用頻度を有し、好ましくは、それらの導入は、選択された宿主細胞に存在する転写因子に対する比較的少ない転写因子結合部位及び比較的少ない他の望ましくない構造属性をもたらす。このように、最適化された核酸生成物は、増大したコドン使用頻度による増大した発現レベルを有し、望ましくない転写調節配列数の低下による不適切な転写行動のリスク軽減を行うことができる。
【0061】
単離された及び最適化された核酸分子は、対応する野生型核酸配列のコドン組成とは、30%、35%、40%を超える、あるいは45%を超える、例えば50%、55%、60%又はそれ以上のコドンが異なるコドン組成を有することができる。本発明における使用に対応した典型的なコドンは、特定の生物体において、同じアミノ酸に対する少なくとも1つの他のコドンよりも頻繁に用いられるコドンであり、一実施形態において、その生物体における低頻度コドンでもなく、核酸分子の発現に関してクローニング又はスクリーニングするために用いる生物体における低頻度コドンでもない。さらに、特定のアミノ酸(すなわち、3以上のコドンを有するアミノ酸)に対応したコドンは、他の(好ましくない)コドン(単数又は複数)よりも頻繁に用いられる2以上のコドンを含むことができる。ある生物体において、他の生物体におけるよりも頻繁に用いられる核酸分子のコドンの存在は、これらのコドンをより頻繁に用いる生物体の細胞に導入されたとき、これらの細胞における野生型又は親核酸配列の発現を超えるレベルでこれらの細胞において発現される核酸分子をもたらす。
【0062】
本発明の一実施形態において、異なるコドンは、哺乳動物においてより頻繁に用いられるコドンであり、他の実施形態において、異なるコドンは、植物においてより頻繁に用いられるコドンである。異なる生物体に対応した好ましいコドンは当業者に公知であり、例えば、www.kazusa.or.jp./codon/を参照のこと。哺乳動物の特定の種類、例えばヒトは、他の哺乳動物の種類とは異なる好ましいコドンの組を有することができる。同様に、植物の特定の種類は、植物の他の種類とは異なる好ましいコドンの組を有することができる。本発明の一実施形態において、異なるコドンの大部分は、所望の宿主細胞における好ましいコドンである異なるコドンである。哺乳動物(例えば、ヒト)及び植物を含む生物体に対応した好ましいコドンは、当業者に公知である(例えば、Wada et al., Nucl. Acids Res., 18:2367 (1990); Murray et al., Nucl. Acids Res., 17:477 (1989))。
【0063】
IV.安定性改善のための典型的なルシフェラーゼ
深海エビであるオプロフォルス・グラキリロストリスから分泌されるルシフェラーゼは、高い活性、高い量子収率及び広い基質特異性(セレンテラジン、セレンテラジンアナログ)などの多くの興味ある特性を有することが示されている。オプロフォルスの生物発光反応は、セレンテラジン(ルシフェリン)の分子状酸素による酸化がオプロフォルスルシフェラーゼにより触媒されて、462nmに最大強度を有する光ならびにCO2及びセレンテラミドの生成物を生じたときに起こる(Shimomura et al., Biochemistry, 17:994 (1978);この文献は、454nmであるとしたInouye(2000)とは異なる)。最適な発光は、0.05〜0.1M NaClの存在下、40℃、pH9で起こり、この酵素の熱に対する著しい抵抗性により、高度に精製された酵素が用いられる場合、50℃より上の温度で可視発光が生じ、部分精製された酵素が使用される場合、70℃より上で可視発光が生じる。pH8.7においては、この天然のルシフェラーゼは、おおよそ分子量130,000を有し、31,000のモノマー4つを含むと推定される。低いpHでは、この天然のルシフェラーゼは重合する傾向がある。
【0064】
成熟タンパク質は19kDa及び35kDaのタンパク質からなる(ヘテロ四量体は、19kDa成分2つ及び35kDa成分2つからなる)。19kDaのタンパク質(OgLuc)は、エッシェリヒア・コーリー内でモノマーとして過剰発現され、活性であることが示されている。しかしながら、これは主に封入体として産生される。封入体の形成は、細胞内部でのこのタンパク質の不安定性によるものと考えられる。
【0065】
OgLucの3D構造は入手できない。さらに、OgLucは、他のルシフェラーゼとはなんら配列相同性を有さず、他の既知のタンパク質に対する有意な全体的な配列類似性を有さないので、利用可能な既知の相同性に基づくモデルが存在しない。モデルを作製するために、遠い相同タンパク質を同定するために設計されたフォールド認識法を用いた。後述のように、下に書かれたようにこのアプローチを用いて、カリシンタンパク質スーパーファミリーに属する1組の脂肪酸結合タンパク質(FABP)を同定し、これらのFABPの3つの3D構造に基づいて、OgLucの相同性モデルを作製した。
【0066】
カリシンは、そのメンバーが類似したβ-バレル構造を共有するタンパク質スーパーファミリーである。メンバーは、限定するものではないが、脂肪酸結合タンパク質(FABP)及びリポカリンを含む。FABPタンパク質ファミリーは、10のストランドからなる不連続なβ-バレル構造を有する。アビジン及びMPIバレルは、8つのストランドからなるが、リポカリンのβ-バレルよりも断面がより円形であり、C末端へリックス又はストランドIを有さない。一方で、トリアビン(triabin)は、同様なバレル構造を有するが、改変されたトポロジーを有する。FABP及びリポカリンのN末端及びC末端ストランドは、一方から他方への変換を実施するために必要な2つの中央ストランドのロス(FABPからリポカリンへ)又はゲイン(リポカリンからFABPへ)を用いて密接に重ね合わせることができる(Flower et al., Protein Science, 2:753 (1993))。さらに、いくつかの機能的類似性(疎水性リガンド結合及び/又は高分子相互作用)以上に、これらのファミリーは、同様なフォールディングパターン(主として+Iトポロジーが支配する逆平行β-バレル)を特徴とする。このファミリーは全体的な配列類似性を共有しないが、このファミリー内ではそれらの構造の大部分は構造的に同等であることができる。
【0067】
以前の研究(Flower, Protein Pept. Lett., 2:341 (1995))により、カリシンスーパーファミリーのメンバーもまた、明確な構造パターンを共有することが見いだされた。アルギニン又はリジン残基(β-バレルの最終ストランドの)が、N末端310様へリックスの主鎖カルボニル基に対して水素結合を形成し、保存されたトリプトファン(β-バレルの第1ストランドの)の上を包んでいる。このパターンは、ループL6からの保存された相互作用も共有するカーネルリポカリンの構造においても、より構造的に広いアウトライアーリポカリンにおいてもみることができる。カリシンを含む他の4つのファミリーにおいても明白である。ストレプトアビジン及びニワトリアビジンの入手可能な構造、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)からのメタロプロテアーゼ阻害薬ならびにトリアビンの構造の研究により、いずれの場合も、相互作用残基の大変類似した配置が明らかとなった。既知のFABPの大部分は、FABPバレルの第1ストランドのトリプトファンが、最終ストランドの末端付近のアルギニンによって包まれる前述の配置と同様な側鎖相互作用の配置を有する。しかしながら、この特徴は、昆虫の筋肉FABPによって代表される、より高度に多様化した一群のFABPからは欠如している。
【0068】
OgLuc相同性モデルは、水素結合と共にN末端及びC末端を効果的に結び付け、3つのFABPに存在するカリシンフォールド構造特性は、OgLucにおいては完全には保存されていないことを示す。明確な構造特性(短い310へリックスの主鎖カルボニルといくつかの潜在的水素結合を形成することができるアルギニン又はリジンが、無作為でなく構造を重ね合わせて、保存されたトリプトファンを包む)は、カリシンメンバーファミリーに共通な配列決定要因(重要残基の保存を示す特徴的なN末端配列パターン及びより弱いC末端モチーフ)に相当する。メンバーファミリーのすべてにわたる特定の残基及び相互作用の保存は、たとえ大変遠いとしても、カリシンスーパーファミリーの共通の進化的起源が存在したという考えに一定の支持を与える。現在のOgLucモデルは、C末端近傍のOgLuc残基Asn166が、N末端近傍の主鎖カルボニルと水素結合できないことを予言している。しかしながら、位置166にArg又はLysのいずれかを含む変異体のモデルは、この構造モチーフの復元が、OgLucの構造安定性及びその細胞内での発現/活性を改善しうることを示唆している。
【0069】
限定するものではない以下の実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0070】
OgLucの欠点は、タンパク質工学によって取り組むことができる。しかしながら、それを効率的に行うには、OgLucの三次元(3D)構造についての知識が必要であろう。OgLucの実験的三次構造又は三次構造モデルは公表されていない。相同性モデリングを用いてOgLucの三次構造モデルを作製した。相同性モデルの構築は、3D構造鋳型(単数又は複数)の同定、標的配列(例えば、OgLuc)及び鋳型構造(単数又は複数)のアラインメント、モデル構築及びモデル品質評価を含むいくつかの段階を含む。標準的な配列検索方法では、既知の三次構造を有するタンパク質に対する有意な全体的類似性が確認されなかったので、OgLucの1以上の3D構造鋳型の同定は、直観的にはわからなかった。この問題を克服するために、2つのアプローチを用いて既知の三次構造を有する遠いOgLucホモログを同定した。
【0071】
アプローチ1:
隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model)(HMM)に基づく鋳型ライブラリー検索(Karplus et al., bioinformatics, 14:846 (1998))を用い、http://swissmodel.expasy.org//SWISS-MODEL.htmlにおけるSWISS-MOREL Template Identification Tool(Arnold et al., bioinformatics, 22:195 (2006))を用いて遠縁の鋳型構造を検出した。
【0072】
このアプローチを用いて同定されたOgLucに関する最も好ましい(最高の期待値(E-value)スコアの)3D構造鋳型は、脂肪酸結合タンパク質(FABP)(タンパク質データバンク(PDB)アクセッション番号1VYF)(Angelucci et al., biochemistry, 43:13000 (2004))であった。PDBアクセッション番号1PMP及び1CRBを含む、低いスコアを有するさらなるFABPもまた同定された。
【0073】
標的配列(OgLuc、残基1〜2及び168〜169を省いた)と同定された3D構造鋳型(1VYF、1PMP、1CRB)の配列との典型的なアラインメントを以下に示す。配列類似性が低いために、アラインメント中のギャップの配置は変えうることに注意されたい。
【化2】

【0074】
アプローチ2:
既知の三次構造を有する遠いOgLucホモログを同定するために、https://genesilico.pl/meta2(Kurowski et al., Nucl. Acids Res., 31:3305 (2003))における“GeneSilico meta-server”を用いるフォールド認識法もまた用いた。
【0075】
タンパク質フォールドは3D構造分類である。同じフォールドを共有するタンパク質は、規則的な二次構造の類似した配置を有するが、これは必ずしもタンパク質配列レベルに関する進化的関連性の根拠を示すものではない。
【0076】
この方法を用いて、3つの最高のスコアリングの3D構造鋳型が同定された(PDBアクセッション番号1VYF、1PMP及び1CRB)。標的配列(OgLuc)と3D構造鋳型の配列(1VYF、1PMP、1CRB)との典型的なアラインメントを以下に示す。配列類似性が低いために、アラインメント中のギャップの正確な配置は、確信を持って予測することは困難であることに注意されたい。
【化3】

【化4】

【0077】
上記のアプローチで作製された情報を用い、Discover Studio and MODELERソフトウェア(Accelrys Software社)を用いて、3つのFABPの3D構造鋳型(1PMP、1CRB及び1VYF)に基づいてOgLuc相同性モデルを作製した。
【0078】
図1にも、FABP及びOgLucの二次構造アラインメントを示す。1PMP、1CRB、1VYFは、既知の3D構造を有する典型的なFABP配列のタンパク質データバンク(www.rcsb.org)アクセッションコードである。"PDB"は、タンパク質データバンクに3D構造情報を寄託した著者らによって提供された二次構造帰属を意味する。"DSC"は、DSC法(King et al., Protein Science, 5:2298 (1996)) に基づく二次構造予測を意味する。"Kabasch and Sander"は、Kabasch-Sander法 (Kabasch and Sander, Biopolymers, 22:2577 (198)) に基づく二次構造予測を意味する。赤色の枠は、へリックス二次構造要素のおよその範囲を示し、青い矢印はβシート二次構造要素のおよその範囲を示し、灰色のバーはへリックス又はβシート以外の二次構造を示す。カリシン構造特性の保存された残基を中心とする配列モチーフ(Flower et al., Biochem. Biophys. Acta., 16:1088(2000)) をアラインメント中にみることができる。より高度に保存されたN末端モチーフ1はOgLuc残基Trp10を含み、あまりよく保存されていないC末端モチーフ2はOgLuc残基N166を含む。第2アラインメントに関しては、およその対比較パーセントタンパク質配列同一性は、OgLuc-1PMP(14%)、OgLuc-1CRB(9%)及びOgLuc-1VYF(15%)である。
【0079】
図2は、渦鞭毛藻ルシフェラーゼ、FABP及びOgLucの二次構造アラインメントを示す。1VPR及び1HMRは、既知の3D構造を有する配列に関するタンパク質データバンク(www.rcsb.org)アクセッションコードである。1VPRは渦鞭毛藻ルシフェラーゼドメイン3であり、1HMRは、渦鞭毛藻ルシフェラーゼに対して最も密接に関連しているタンパク質であるヒト筋肉FABPである(Schultz et al., PNAS USA, 102:1378 (2005))。"Kabasch and Sander" は、Kabasch-Sander法 (Kabasch and Sander, Biopolymers, 22:2577(1983)) に基づく二次構造予測を意味する。赤色の枠は、へリックス二次構造要素のおよその範囲を示し、青い矢印はβシート二次構造要素のおよその範囲を示し、灰色のバーはへリックス又はβシート以外の二次構造を示す。1VPRは配列番号21を有し、1HMRは配列番号22を有する。
【0080】
図3は、FABPの3D構造の重ね合わせに基づく、OgLuc及び種々のFABP(それぞれ配列番号1、3、4、5及び17〜20)のアミノ酸配列のアラインメントを示す。
【実施例2】
【0081】
脂肪酸結合タンパク質(FABP)は、カリシンタンパク質スーパーファミリーに属する。カリシンは配列レベルでは有意な全体的類似性を有さないが、明確な構造特性を有する関連するβバレル構造(短い310へリックスの主鎖カルボニルといくつかの潜在的水素結合を形成し、保存されたトリプトファン(N末端近傍)を包むことができるアルギニン又はリジン(C末端近傍)(Flower et al., Biochem. Biophys. Acta, 1482:9 (2000)))を共有する。実施例1で作製されたOgLucモデルにおいて、カリシンの構造特性は部分的にしか存在しない。N末端近傍の保存されたトリプトファン(Trp10)(例えば、βバレルのN末端βシートにあるもの)は、C末端近傍のアルギニン又はリジン(例えば、βバレルのC末端βシートにあるもの)の代わりにアスパラギン(Asn166)によって包まれる。本モデルは、短めのアスパラギン側鎖は、N末端近傍の残基(βバレルのN末端βシートにある)と水素結合を形成できないと予測する。置換Asn166Arg及びAsn166Lysが行われたOgLucモデルでは、OgLuc中の長めのアルギニン及びリジン側鎖が、残基N末端近傍の主鎖カルボニル及び/又は側鎖と1以上の結合、例えば1以上の水素結合を形成できると考えられることが明らかとなった。例えば、それらは、N末端近傍のOgLuc残基Asp9及び/又はGly8及び/又はAsp5と1以上の水素結合を形成できる。さらに、それらは、位置166に空間的に近接した他の二次構造要素における1以上の残基、例えばAsn144及び/又はGly147と1以上の水素結合を形成できる。従って、Asn166Arg又はAsn166Lys変異によるOgLucにおけるカリシン構造特性の復元によって、βバレルの2つの末端(又はβバレルの末端βシート)及びおそらくは他の二次構造要素を効果的に結合させることができる。これによって、タンパク質構造の全体的安定性を改善することができ、従ってOgLuc活性を改善することができる。
【0082】
典型的なOgLucタンパク質配列を以下に示す。
【化5】

【0083】
典型的なOgLucヌクレオチド配列を以下に示す。
【化6】

【0084】
上記配列表において大文字で示した配列番号2のAACコドンは、配列番号1の成熟野生型OgLuc配列におけるアミノ酸位置166に対応する。配列番号2のヌクレオチド配列はまた、発現系における使用上の便宜のために、初めにATGコドン(メチオニン/開始シグナル)及びGTGコドン(バリン)も含む。それにもかかわらず、置換残基を識別するために本願を通じて用いたアミノ酸番号付けは、配列番号1の成熟野生型OgLucポリペプチド配列に対して行われる。他のアミノ酸を用いて、最初に天然に存在する野生型OgLuc配列を合成し、次いでこれを切断し、配列番号1に示すような成熟野生型ポリペプチドを生成させることができる。例えば、新生タンパク質の初めにシグナル配列(例えば、小胞体などの特定の細胞小器官に新生タンパク質を誘導するための、及び/又はそのタンパク質の分泌を指示するための)を存在させることができ、次いでそれを切断して成熟野生型タンパク質を生成させることができる。
【0085】
OgLucと3つのFABPとの典型的なアラインメントを下に示す。
【化7】

【実施例3】
【0086】
発光の増加を示す改変ルシフェラーゼバリアントの作製
特記しない限り、ランダム置換を有する出発OgLuc配列のバリアントは、エラープローン変異誘発PCRシステムであるGeneMorph IIランダム変異誘発キット(Stratagene社; Daughtery, PNAS USA 97(5):2029 (2000))(製造業者の使用説明書に従って)及び当該技術分野で公知のNNK飽和を用いて作製した。得られたバリアントを、pF1K Flexi(登録商標)T7ベース発現ベクター(Promega社)に構築し、これを当該技術分野で公知の技術を用いてKRXエッシェリヒア・コーリーに形質転換するために用いた。得られたライブラリーをエッシェリヒア・コーリー内で発現させ、出発OgLucタンパク質と比較して発光の増加を示すバリアントをスクリーニングした。当該技術分野で公知の標準的配列決定技術を用いて、目的とする各クローンにおけるアミノ酸置換を同定した。
【0087】
製造業者の使用説明書に従って、オリゴベース部位特異的変異誘発キットであるQuikChange部位特異的変異誘発キット(Stratagene社; Kunkel, PNAS USA 82(2):488 (1985))を用いて、特定の変異を有する出発OgLuc配列のバリアントを作製した。
【実施例4】
【0088】
発光及びシグナルの安定性の測定方法
OgLucにおけるアミノ酸置換を有する改変ルシフェラーゼバリアントをコードするプラスミドDNAを含むエッシェリヒア・コーリークローンを96ウェルプレートで培養し、放っておく(walk away)誘導、すなわち自己誘導で17時間誘導した(Shagat et al., “KRX Autoinduction Protocol: A Convenient Method for Protein Expression,” Promega Notes 98:17 (2008))。各バリアント及び対応する出発ルシフェラーゼには、6回の反復試験を行った。150mM HEPES(pH8.0)、100mMチオ尿素、0.1X PLB(Promega社、カタログ番号E194A)、0.1mg/mLリゾチーム及び0.001U/μL RQ1DNアーゼからなる溶解緩衝液を用いて細胞を溶解し、Infinite 500 Tecanルミノメーターを用い、レニラルシフェラーゼ基質試薬(Promega社)を用いて発光を測定した。150mM KCl、1mM CDTA、10mM DTT、0.5%テルギトール、20μMセレンテラジン(Promega社))を含む“Glo”0.5%テルギトール(tergitol)アッセイ緩衝液(“0.5%テルギトール”)又は20μMセレンテラジン(Promega社)を含む“フラッシュ(Flash)”RLAB緩衝液(Promega社)(“RLAB”)のいずれかを溶解物試料に注入により添加した後に直ちに測定を行った。添加後直ちに測定するこの発光測定は、“T=0”時点の測定であり、種々の実施形態において、試料によって生成される全光出力(発光)の尺度として用いられる。バリアントと対応する出発ルシフェラーゼとの間で6回の反復試験の平均発光を比較した。種々の実施形態において、対応する目的とする出発ルシフェラーゼ、例えば合成OgLucに対して発光測定値を正規化し、特定の実施形態において、これを“倍の”(すなわち2倍、3倍、4.5倍などの)改善、増加などと呼ぶ。
【0089】
試料へのアッセイ緩衝液の添加後、例えば、しばらくの間30秒ごと、あるいは1分ごとに発光を測定するなど、複数回プレートを再読することによって、バリアントクローンのシグナルの安定性を測定した。これらの測定を用いてシグナル半減期を測定し、バリアントと対応する出発ルシフェラーゼとの間で6回の反復試験の平均を比較した。シグナルの安定性を示す半減期を、対応する目的とする出発ルシフェラーゼ、例えばOgLucに対して正規化した。
【実施例5】
【0090】
タンパク質の安定性、すなわち耐熱性の測定方法
実施例4に記載されている誘導培養物から溶解物試料を調製した。反復試験の96ウェルプレートで溶解物試料を、種々の温度、例えば22、30、37、42、50又は54℃を含む温度でインキュベートした。種々の時点でプレートを-70℃においた。実施例4に記載されているように、発光を測定する前に、各プレートをRT、すなわち22℃で10分間解凍した。実施例4に記載されている0.5%テルギトールアッセイ緩衝液で試料をアッセイした。各時点のプレートに関する、実施例4に記載されている“T=0”測定を用いてタンパク質の半減期を測定した。タンパク質の安定性を示す半減期を、対応する目的とする出発ルシフェラーゼ、例えばOgLucに対して正規化した。
【実施例6】
【0091】
発光の増加を示す改変ルシフェラーゼの作製
OgLucにおけるカリシン構造特性の復元が、全体的なタンパク質の安定性及び活性を改善することができるかどうかを試験するために、OgLuc配列の合成バージョンを設計した。合成バージョンは、エッシェリヒア・コーリー及び哺乳動物細胞に対して最適化されたコドン使用頻度を含み、位置166のAsnに置換するArgもしくはLysのいずれかに対応したコドンを含んだ。前述のように、番号付けは配列番号1に基づく。コドン最適化(エッシェリヒア・コーリーに対する)及び、コドン166のArg又はLysへのヌクレオチド変化は、合成手段(Gene Dinamics, LLC)によって操作された。クローンOgLuc+N166Rにおいては、AACコドンをCGT(Argをコードする)に変えた。クローンOgLuc+N166Kにおいては、AACコドンをAAA(Lysをコードする)に変えた。
【0092】
合成OgLuc遺伝子を、細菌における過剰発現に適したベクター又はTnT(登録商標)ウサギ網状赤血球溶解物(Promega 社; pF1K Flexi(登録商標)T7ベース発現系ベクター)にサブクローニングし、KRXエッシェリヒア・コーリーを形質転換するために用いた。個々のコロニーを拾い、培養し、ラムノースで誘導し、リゾチーム及び一回の凍結融解を用いて溶解し、Veritasルミノメーターによって、レニラルシフェラーゼ基質試薬(Promega社)を用いて発光を測定した。製造業者のプロトコル(Promega社)に従ってウサギ網状赤血球TnT(登録商標)反応を行い、細菌溶解物と同様に測定した。
【0093】
全光出力(発光)の産生に関して、変異体を合成親(すなわち出発)OgLucタンパク質と比較した。セレンテラジンを基質として用い、エッシェリヒア・コーリー内で、発光における5倍及び10倍の改善(それぞれN166K及びN166R)が見られた。TnT(登録商標)溶解物においては、4倍〜7倍(N166K及びN166R)の改善が見られた。これらの配列(位置166にArg又はLysのいずれかを有する)は、増大した安定性をもたらすOgLucのバリアントを代表する。
【0094】
位置166にアミノ酸置換を有する種々のOgLucバリアントを明るさに関して分析した。例えば、野生型OgLucよりも少なくとも1.2倍明るいバリアントをスクリーニングした。以下の置換により、野生型OgLucよりも少なくとも1.2倍明るいバリアントが得られた:N166K;N166R;N166A;N166L;N166P;N166Q;及びN166S(表1参照)。表1は、野生型OgLucに対する改善倍によって示される最も明るいバリアントがアミノ酸置換N166Rを有していたことを示している。
【表2】

【0095】
OgLuc+N166Rバリアントの変異導入PCR法及びNNK飽和を用いる変異誘発(実施例3に記載されている)によって、OgLuc+N166Rバリアントに対して増大した明るさを有する、例えば、少なくとも1.2倍明るいバリアントが得られた。N166R置換及び、残基2(S)、4(E、S、R、G、D、TもしくはL)、11(R、V、I、L、KもしくはT)、33(K)、44(IもしくはL)、45(E)、54(F、T、V、G、W、SもしくはL)、68(V、Y)、75(R、K、Q、G、TもしくはA)、104(L)、115(E、I、Q、L、V、G、H、R、S、C、AもしくはT)、124(K)、135(K)、138(V、I、N、T、L、C、R、MもしくはK)、139(E)、167(V)又は169(L)において以下の置換の1つを含んでいたバリアントを表2に要約する。表2は、RLABを用い、反応開始後、例えば基質の注入後、4〜6分の範囲のシグナルの平均を用いた場合の、対応する出発OgLuc+N166Rバリアントに対するバリアントの発光改善倍における改善倍を示す。列挙した各アミノ酸置換に関して、最も増大した置換を最初に示し、最も少なく増大した置換を最後に示す。最高の改善を示したバリアントは、残基4、54又は138での置換を含むバリアントを含む。
【表3−1】

【表3−2】

【0096】
OgLuc+N166Rバリアントのさらなるバリアントは、2以上のアミノ酸置換を有していた。これらのさらなるバリアントを、列挙したアミノ酸置換及びOgLuc+N166Rバリアントの発光における、対応する出発N166R OgLucに対する改善倍と共に表2に示す。サイレント突然変異、すなわちそのコドンではコードされるアミノ酸を変化させないヌクレオチドの変化を含むさらなるバリアントが見いだされた。
【表4】

【実施例7】
【0097】
改変ルシフェラーゼにおける特定の置換の評価
実施例に記載されている部位特異的変異誘発によってさらなるOgLucバリアントを作製して、以下の位置(配列番号1に対して2、4、11、44、54、90、115、124又は138)の1つにおける置換を得た。N166Rと組み合わせたこれらの位置の置換は、WT OgLucと比較して増加した全光出力(発光)が得られることが実施例6で示された。図5A〜5C、6A〜6C、7A〜7C、8、9A〜9D、10A〜10C、11A〜11B、12A〜12B及び33A〜33Eにおいて、“WT”、“N166R”及び“T2T”は、それぞれ配列番号2、14及び32によってコードされるタンパク質を指し、“T2T+N166R”は、N166Rに置換を有する、配列番号32によってコードされるタンパク質のことを言い、“A4E”、“Q11R”、“V44I”、“A54F”、“A54F+N166R”、“A54I”、“P115E”、“P155E+N166R”、“Y138I”、“Q124K”、“Y138C+N166R”及び“I90V”は、それぞれ、図5Aにおける“試料”列において示されるそれぞれの残基において置換を有する、配列番号2によってコードされるタンパク質を指す。これらのバリアントは、実施例4に記載されているように発光を測定することによって評価した。図5A〜5C及び7A〜7Cに、0.5%テルギトール(図5A〜5C)又はRLAB(図7A〜7C)のいずれかを用いた、WT OgLucバリアントのT=0における平均発光を要約する。バリアントの発光におけるWT OgLucに対する倍増加を図6A〜B(0.5%テルギトール)及び図8(RLAB)に示す。バリアントの発光におけるN166Rバリアントに対する倍増加を図33A(0.5%テルギトール)及び33B(RLAB)に示す。図5B、6B及び7Bは、それぞれ図5C、6C及び7Cと同じデータであるが、小さなバーがより明確に見えるように異なる尺度で示してある。
【0098】
種々のバリアントにおけるアミノ酸置換がシグナルの安定性にも効果を有するかどうかを測定するために、各バリアントに関してシグナルの安定性を測定した。実施例4に記載されているようにバリアントのシグナルの安定性を測定し、経時的な全光出力(発光)として図9A〜9C(0.5%テルギトール)及び図10A〜10C(RLAB)に示した。このデータから各バリアントのシグナル半減期を測定し、図9D(0.5%テルギトール)及び図11A〜11B(RLAB)に示した。N166Rバリアントに対して各バリアントのシグナル半減期を正規化し、図33Cに示した。
【0099】
種々のバリアントにおけるアミノ酸置換がタンパク質の安定性(すなわち耐熱性)にも影響を有するかどうかを測定するために、実施例5に記載されているように、22℃で各バリアントのタンパク質の安定性を測定し、図12A〜12Bに示した。22℃では、半減期が38分であるWT OgLucと比較して、OgLuc A54F+N166R変異タンパク質の半減期は178分であったが、OgLuc P115E+N166Rバリアントは、半減期がおおよそ120分であった。
【0100】
図33Dに、N166Rバリアントに対して正規化した、図12A〜B及び17に示した、WT OgLucと比較したOgLucバリアントの22℃における半減期(分)を要約する。
【0101】
図33Eに、図A〜Dで示した、22℃における発光、シグナル半減期及び半減期の倍増加を要約する。
【実施例8】
【0102】
改変ルシフェラーゼにおける特定の置換の評価
部位33及び68における置換を有するさらなる合成OgLucバリアントを作製した。具体的には、WT OgLuc(図13A〜13B、14A〜14B、15A〜15B、16A〜16B、17及び33A〜33Eにおいて“WT A33K”及び“WT F68Y”として特定される)及びOgLuc+N166R(図13A〜13B、14A〜14B、15A〜15B、16A〜16B、17及び33A〜33Eにおいて“N166R A33K”及び“N166R F68Y”として特定される)バリアント配列においてA33K及びF68Y置換を作製し、対応する出発WT OgLuc(図13A〜13B、14A〜14B、15A〜15B、16A〜16B、17及び33A〜33Eにおいて“WT”として特性される)及びOgLuc+N166Rバリアント(図13A〜13B、14A〜14B、15A〜15B、16A〜16B、17及び33A〜33Eにおいて“N166R”として特定される)と比較した。0.5%テルギトール及びRLABを用いたときの、OgLuc A33K及びF68YバリアントのT=0における平均発光を、それぞれ図13A及び13Bに示す。図14A(0.5%テルギトール)及び14B(RLAB)においてWT OgLucに対するバリアントの発光における倍増加でさらに示されるように、A33K及びF68Yバリアントは、それぞれの対応する出発OgLucと比較して強い発光を示した。野生型バックグラウンドにおいて、A33K及びF68Yは、別々に、RLABを用いた場合、WTに対して1.6及び1.7倍の増加(図14B参照)を示し、WT(0.5%テルギトール)に対して3.8及び3.9倍の増加を示した(図14A)。OgLuc+N166Rバックグラウンドにおいて、A33K及びF68Yは、別々に、RLABを用いた場合、WT OgLucに対して5.1及び3.3倍の増加を示し(図14B参照)、0.5%テルギトールを用いた場合、WT OgLucに対して9.2及び5倍の増加を示した(図14A)。
【0103】
OgLuc+N166Rバリアントに対するバリアントの発光における倍増加を図33A(RLAB)及び33B(0.5%テルギトール)において示す。野生型バックグラウンドにおける置換A33Kは、OgLuc+N166Rバリアントに対して2.6(0.5%テルギトール)及び0.6(RLAB)倍の発光の増加を示した(図33A及び33B参照)。野生型バックグラウンドにおける置換F68Yは、OgLuc+N166Rバリアントに対して2.7(0.5%テルギトール)及び0.7(RLAB)倍の増加を示した(図33A及び33B参照)。OgLuc+N166Rバリアントバックグラウンドにおける置換A33Kは、OgLuc+N166Rバリアントに対して6.3(0.5%テルギトール)及び2.0(RLAB)倍の増加を示した(図33A及び33B参照)。OgLuc+N166Rバックグラウンドにおける置換F68Yは、N166Rに対して3.4(テルギトール)及び1.3(RLAB)倍の増加を示した(図33A及び33B参照)。
【0104】
0.5%テルギトール(図15A〜15B)及びRLAB(図16A〜16B)を用い、実施例4に記載されているようにして、A33K及びF68Yバリアントのシグナルの安定性を測定した。WT OgLucバックグラウンドにおけるA33Kバリアントのシグナル半減期は、0.5%テルギトール(図15B)又はRLAB(図16B)のいずれかを用いた場合、WT OgLucの半減期よりも高かったが、OgLuc+N166Rバリアントバックグラウンドよりも低かった。WT OgLucバックグラウンドにおけるF68Yバリアントのシグナル半減期は、0.5%テルギトールを用いた場合、WT OgLuc半減期よりも高かったが(図16B)、RLABを用いた場合、いずれのバックグラウンドよりも低かった(図15B)。
【0105】
実施例5に記載されているように、22℃で、A33K及びF68Yバリアントのタンパク質の安定性(すなわち耐熱性)を測定し、図17に示した。N166RバリアントバックグラウンドにおけるA33K及びF68Y置換は、より長い半減期を示した。具体的には、55及び67分であるWT OgLuc及びN166Rバリアントと比較して、それぞれ72及び78分であった(図17)。WT OgLucバックグラウンドにおけるA33K及びF68Y置換は、それぞれ、58及び57分の半減期を示した(図17)。
【実施例9】
【0106】
改変ルシフェラーゼにおける置換の特定のコア組み合わせの評価―発光
【0107】
OgLucにおける2以上のアミノ酸置換の組み合わせが、発光におけるさらなる改善を提供するかどうかを測定するために、以下のアミノ酸置換:C1:N166R、Q11R、A33K、A54F、P115E、Q124K、Y138I及びV44I(残基44は基質と接触できる)、C2:V45E、N135K、I167V、P104L及びD139E(これらの内2つは基質と接触できる部位にあることに注意されたい);C3;S28P、L34M、G51V、I99V及びI143L、を含むOgLucの種々のバリアント(C1〜C3と呼ぶ)を作製した。これらのコア組み合わせバリアントは、実施例3に記載されているような部位特異的変異誘発によってT2T OgLucを変異させることによって作製した。C1バリアントを、A4Eアミノ酸置換を有するようにさらに変異させてC1+A4Eバリアントを作製した。A4E置換を有するこれらのバリアントの組み合わせ、例えばC1+C2+A4E及びC1+C3+A4Eもまた作製した。これらの組換えクローンは、オリゴヌクレオチドベース部位特異的変異誘発に続くpF4Agベクター(T7及びCMVプロモーターを含む;エッシェリヒア・コーリーのリボソーム結合部位を含むように改変された市販pF4A)へのサブクローニングによって構築された。エッシェリヒア・コーリー細胞ですべてのバリアントをスクリーニングした。簡潔に言えば、KRXエッシェリヒア・コーリーでクローンを過剰発現させ、次いで細胞を溶解し、セレンテラジンを基質として用いて発光を測定した。OgLuc N166Rバリアント及びレニラルシフェラーゼもまたスクリーニングした。C1、C1+A4E及びC1+C3+A4Eバリアントは、共に、OgLuc N166Rバリアントよりもおおよそ4log明るく、少なくともレニラルシフェラーゼと同等に明るかった(図4A〜4D)。T=0におけるこれらのコア組み合わせバリアントの全光出力(すなわち発光)を、“フラッシュ(Flash)”0.5%テルギトール(図4A)及び“Glo”RLAB(図4B)を用いて、実施例4に記載されているようにして測定した。
【0108】
天然、WT、N166R、C1、C1+C2、C1+A4E、C1+C2+A4E及びC1+C3+A4Eのタンパク質(図31)及びヌクレオチド(図32)配列のアラインメントを示す。
【0109】
C1+A4E及びC1+C3+A4Eにさらなる置換を導入した。具体的には、これらのバリアントにおけるA54F残基をF54Tに変えた。これらのバリアント、C1+A4E+F54T及びC1+C3+A4E+F54Tを、実施例4の方法を用いて、対応する出発C1+A4E及びC1+C3+A4Eばかりでなく、レニラ及びWT OgLucルシフェラーゼとも比較した。図18A、18B及び19に見られるように、F54T置換を有するバリアントは、WTと比較して、0.5%テルギトールでは50〜75%の減少を示し、RLABでは約2〜5倍の発光の増加を示した(それぞれ、図18A及び19におけるT=0測定を参照のこと)。F54T置換を加えることによって、RLABでは増加した全光出力を示すが、より速い経時的減衰を示した(図19)。0.5%テルギトールでは、経時的減衰はC1+A4Eと同様であるが、RLUはC1+A4Eと比較して低い(図18A〜18B)。
【0110】
実施例4に記載されている方法を用いて、レニラルシフェラーゼ、WT OgLuc、T2T及びA54Fバリアントと比較して、C1、C1+A4E、C1+C2及びC1+C2+A4Eバリアントの発光を測定した(図20A及び20B)。0.5%テルギトールを用いた場合、C1+A4E及びC1+C2+A4Eバリアントは、それぞれWTに対して4log及び2logの増加を示した(図20A)。C1+A4E、C1+C2+A4E及びC1+C3+A4Eバリアントは、RLABを用いた場合、WTに対してそれぞれ3log、1.5log及び3logの増加を示した(図20B)。テルギトールに依存しないシグナルの安定性を測定するために、0.5%テルギトールの代わりに0.25%テルギトール緩衝液を用いた。図21は、0.25%テルギトールを用いた場合、C1、C1+A4E、C1+C2及びC1+C2+A4Eバリアントは、それぞれ、WTに対して4log、4log、2log及び2logの増加を有することを示す。
【0111】
HEK293細胞においても、レニラルシフェラーゼ、WT OgLuc、T2T及びOgLuc+A54Fバリアントと比較して、C1、C1+A4E、C1+C2及びC1+C2+A4Eバリアントを評価した。簡潔に言えば、96ウェルプレートに15,000細胞/ウェルでHEK293細胞をプレーティングし、これを、TransIT-LTI(mirus Bio社)を用い、種々のバリアント及び/又は調節配列をコードするプラスミドDNAで一過性にトランスフェクトした。同じプラスミドは、トランスフェクション対照として機能するホタルルシフェラーゼの構成発現のための遺伝子もまた有していた。簡潔に言えば、細胞を培養し、溶解し、実施例4に記載されているように処理した。ホタルトランスフェクション対照のために、細胞をpGL4.13で同時トランスフェクトした(0.04ug/トランスフェクション又はトランスフェクトされた全DNAの10%を用いた)。RLAB(図22)又は0.25%テルギトール(図23)を用いて、実施例4に記載されているように発光を測定した。ホタルルシフェラーゼ発光(ルシフェリン基質)を用いて、トランスフェクション効率に関して、すべての改変ルシフェラーゼデータを正規化した(図22及び23)。0.5%テルギトールにおいて、C1、C1+A4E、C1+C2及びC1+C2+A4Eバリアントは、すべて、OgLucと比較して強い発光を示した(図22)。0.25%テルギトールでも、C1+A4E及びC1+C2+A4Eバリアントは、OgLucと比較して強い発光を示す(図23)。
【実施例10】
【0112】
改変ルシフェラーゼにおける置換の特定の組み合わせの評価-タンパク質の安定性
種々のバリアントにおけるアミノ酸置換が、タンパク質の安定性に対しても効果を有するかどうかを測定するために、種々の温度で種々のバリアントを測定し、安定性に対する効果を測定した。図24に示すように、室温(約22°C)では、野生型OgLucは、タンパク質半減期1時間を示したが、C1バリアントはタンパク質半減期9.4時間を示した。図24に示すように、30℃では、OgLuc N166Rバリアントはタンパク質半減期21分を示したが、C1+A4Eバリアントは、6時間後で減少は認められなかった。30℃では、レニラルシフェラーゼのタンパク質半減期は7.9時間であった。30℃における安定性の順位は、OgLuc C1+A4E>レニラルシフェラーゼ>OgLuc N166Rである。図24に示すように、37℃では、OgLuc N166Rバリアントのタンパク質半減期は2分であったが、C1+A4Eバリアントでは減少は認められなかった。54℃では、種々のバリアントのタンパク質半減期は、次のとおり(C1:7分、C1+A4E:8分、C1+C2+A4E:128分、C1+C3+A4E:24分)であった。野生型OgLuc及びOgLuc N166Rバリアントの半減期は、これらが不安定すぎるので、54℃では測定できなかった。
【実施例11】
【0113】
改変ルシフェラーゼにおける置換の特定の組み合わせの評価-シグナルの安定性
種々のバリアントにおけるアミノ酸置換が、シグナルの安定性にも効果を有するかどうかを測定するために、シグナルの安定性に関して種々のバリアントをスクリーニングした。RLABを用いた場合のシグナルの安定性を、実施例4に記載されているように測定した。種々のバリアントに関して、以下のシグナル半減期(野生型OgLuc:1.8分、レニラルシフェラーゼ:0.8分、C1:1.7分、C1+A4E:1.7分、C1+C2+A4E:12.6分、C1+C3+A4E:3.3分)が測定された(図25)。
【実施例12】
【0114】
改変ルシフェラーゼにおける置換の特定の組み合わせの評価-発光色
OgLuc+N166R、C1+A4E及びC1+C2+A4Eバリアントに関して、レニラルシフェラーゼと比較して、基質としてcoelenterzaine(Promega社)を用いた場合に最強の発光を示す最適の波長を測定した。実施例4に記載されているようにして試料を調製した。Varioskanルミノメーター及び0.5%テルギトールを用い、5nmきざみで発光の波長を測定することによってスペクトルピークを測定した。スペクトルの最高のRLU値によってデータを正規化した。図26に示すように、レニラは480nmにスペクトルピークを示すが、OgLuc+N166R、C1+A4E及びC1+C2+A4Eは465nmにスペクトルピークを有し、以前455nmであると報告された天然OgLucからはシフトしている(Inouye, FEBS Letters, 481(1):19-25 (2000))。
【実施例13】
【0115】
発光の増加を示す改変ルシフェラーゼの作製
実施例3に記載されているようにして、C1+A4Eバリアントのランダム変異誘発によってさらなるバリアントを作製した。実施例4に記載されているようにして、全光出力を測定した。限定するものではないが、典型的なC1+A4Eバリアント(すなわちC1+A4Eよりも少なくとも1.2倍明るいもの)を、試料ID及びアミノ酸置換に関して図27A及び27Bに記載した。配列番号1に対して位置20、54、72、77、79、89、90又は164にアミノ酸置換を有するC1+A4Eバリアントは、対応する出発C1+A4Eバリアントに対して少なくとも1.9倍の発光の増加を示した。
【0116】
C1+A4E+F54Iバリアントを含むクローン29H7を、さらに、実施例5に記載されている方法を用いて、50℃でタンパク質の安定性に関して試験した。クローン29H7は、対応する出発C1+A4Eバリアントよりも長い半減期を示した(図30)。
【0117】
位置92でアミノ酸置換を有する種々のC1+A4Eバリアントを明るさに関して分析した。例えば、C1+A4Eバリアントよりも少なくとも1.2倍明るいバリアントをスクリーニングした。以下の置換(L92G;L92Q;L92S;及びL92A)が、C1+A4Eよりも少なくとも1.2倍明るいバリアントを与え、それぞれC1+A4Eに対して2.2、2、2.9及び2.5倍の増加を示した(図28参照)。
【0118】
実施例3に記載されているようにして、C1+A4Eバリアントの部位特異的変異誘発によってさらなるバリアントを作製し、置換F54I、F68S、M75K及びI90Vの特定の組み合わせを得た。バリアント(“試料ID”)及び各バリアントにおけるアミノ酸置換を記載する図29に示すように、置換のこれらの組み合わせは、対応する出発C1+A4Eバリアントに対して少なくとも17.5〜19.3倍の発光の有意な増加を示す。
【0119】
すべての公報、特許及び特許出願は、参照により本願に組み込まれる。前述の明細書において、その特定の好ましい実施形態に関して本発明を詳しく説明し、説明のために多くの詳細を示してきたが、本発明はさらなる実施形態が可能であり、本明細書に記載の詳細のいくつかは、本発明の基本原理からほぼ逸脱することなく変更が可能であることは当業者には明らかであろう。I90V及びF54Iを含むC1+A4Eのさらなる特定の組み合わせバリアント("IV")が作製された。図34Aに示すように、実施例4の方法を用いて測定するとき、対応する出発C1+A4Eバリアントと比較して、IVは約20倍の発光の増加を示した。図34Bに示すように、IVタンパク質は、実施例5の方法を用いたとき9.6分であるレニラと比較してIVの半減期は27.2分であったことから、50℃においてはレニラルシフェラーゼよりも安定である。
【0120】
以下の請求項で、本発明の種々の特徴及び利点を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型オプロフォルスルシフェラーゼに対して少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有し、配列番号1の野生型オプロフォルスルシフェラーゼのアミノ酸に対応する位置で少なくとも1つのアミノ酸置換を含む改変ルシフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、改変ルシフェラーゼポリペプチドが、野生型オプロフォルスルシフェラーゼに対して、増大した発光、増大したシグナルの安定性、及び増大したタンパク質安定性の少なくとも1つを有することを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項2】
コードされた改変ルシフェラーゼポリペプチドが、野生型オプロフォルスルシフェラーゼに対して増大した発光を有し、配列番号1に対応する位置2、4、11、20、23、28、33、34、44、45、51、54、68、72、75、76、77、89、90、92、99、104、115、124、135、138、139、143、144、164、166、167又は169の少なくとも1つでアミノ酸置換を有する、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
改変ルシフェラーゼポリペプチドが、野生型オプロフォルスルシフェラーゼに対して増大したシグナルの安定性を有し、配列番号1に対応する位置4、11、20、28、33、54、68、75、115、124、138、143又は166の少なくとも1つでアミノ酸置換を有する、請求項1又は2記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
コードされた改変ルシフェラーゼポリペプチドが、野生型オプロフォルスルシフェラーゼに対して増大したタンパク質安定性を有し、配列番号1に対応する位置11、20、28、33、34、44、45、51、54、68、72、75、77、89、90、92、99、104、115、124、135、138、139、143、144、164、166、167又は169の少なくとも1つでアミノ酸置換を有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
コードされた改変ルシフェラーゼポリペプチドが、配列番号10の野生型オプロフォルスルシフェラーゼのN末端に対応するルシフェラーゼ残基の欠失をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
欠失が、多くてもルシフェラーゼ配列の27残基である、請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
野生型オプロフォルスルシフェラーゼが、オプロフォルス・グラキリロストリス、オプロフォルス・グリマルディ、オプロフォルス・スピニカウダ、オプロフォルス・フォリアケウス、オプロフォルス・ノバエゼランジアエ(Oplophorus novaezelandiae)、オプロフォルス・チプス又はオプロフォルス・スピノウス由来である、請求項1〜6のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
コードされた改変ルシフェラーゼポリペプチドが、配列番号1に対応するT2S、A4E/S/R/G/D/T/L、Q11R/V/I/L/K/T、Q20R、E23V、S28P、A33K、L34M、V44I/L、V45E、G51V、A54F/T/V/G/S/W/L/I、F68S/Y/V、L72Q、M75R/K/Q/G/T/A、I76V、F77W、V79I、K89E、I90T/V、L92S/A/G/Q、I99V、P104L、P115E/I/Q/L/V/G/H/R/S/C/A/T、Q124K、N135K、Y138V/I/N/T/L/C/R/M/K、D139E、I143L、N144K、C164S、N166R/K/A/L/P/Q/S、I167V又は169Lの少なくとも1つに対応する置換を含む、請求項1〜7のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
コードされた改変ルシフェラーゼポリペプチドが、配列番号1に対応する位置11、33、44、54、115、124、138及び166でアミノ酸置換を含む、請求項1〜8のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
置換が、Q11R、A33K、V44I、A54F、P115E、Q124K、Y138I及びN166Rを含む、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
コードされた改変ルシフェラーゼが、配列番号1に対応する位置4でアミノ酸置換をさらに含む、請求項9又は10記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
位置4のアミノ酸がグルタミン酸である、請求項11記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
コードされた改変ルシフェラーゼが、配列番号1に対応する位置45、135、104、139及び167でアミノ酸置換をさらに含む、請求項9〜12のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
位置45のアミノ酸がグルタミン酸であり、位置104がロイシンであり、位置135がリジンであり、位置139がグルタミン酸であり、位置167がバリンである、請求項13記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
コードされた改変ルシフェラーゼが、配列番号1に対応する位置28、34、51、99及び143でアミノ酸置換をさらに含む、請求項9〜12のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
位置28のアミノ酸がプロリンであり、位置34がメチオニンであり、位置51がバリンであり、位置99がバリンであり、位置143がロイシンである、請求項16記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
配列番号1に対応する位置20、54、68、72、77、79、89、90、92又は164で少なくとも1つのアミノ酸の置換をさらに含む、請求項11又は12記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
位置20のアミノ酸がアルギニンであり、位置54がイソロイシンであり、位置68がセリンであり、位置72がグルタミンであり、位置75がリジンであり、位置77がトリプトファンであり、位置79がイソロイシンであり、位置89がグルタミン酸であり、位置90がトレオニン又はバリンであり、位置92がグリシン、グルタミン、セリン又はアラニンであり、位置164がセリンである、請求項17記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
コードされた改変ルシフェラーゼポリペプチドが、配列番号1に対応する位置23、28、143及び166でアミノ酸置換を含む、請求項1〜8のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項20】
置換が、E23V、S28P、I143V、及びN166Rを含む、請求項19記載のポリヌクレオチド。
【請求項21】
コードされた改変ルシフェラーゼポリペプチドが、配列番号1に対応する位置4、34、76及び166でアミノ酸置換を含む、請求項1〜8のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項22】
置換が、A4S、L34M、I76V及びN166Rを含む、請求項21記載のポリヌクレオチド。
【請求項23】
コードされた改変ルシフェラーゼポリペプチドが、配列番号1に対応する位置51、99及び166でアミノ酸置換を含む、請求項1〜8のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項24】
置換が、G51V、I99V及びN166Rを含む、請求項23記載のポリヌクレオチド。
【請求項25】
改変ルシフェラーゼポリペプチドに結合された目的とするポリペプチドをコードし、前記目的とするポリペプチド及び改変ルシフェラーゼポリペプチドが、融合タンパク質として発現されることができる、請求項1〜24のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項27】
ポリヌクレオチドが、プロモーターに作動可能に連結される、請求項26記載のベクター。
【請求項28】
請求項1〜25のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド又は請求項26もしくは27記載のベクターを含む細胞。
【請求項29】
請求項28記載の細胞を含む非ヒトトランスジェニック動物。
【請求項30】
請求項1〜25のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド又は請求項26もしくは27記載のベクターを含む非ヒトトランスジェニック動物。
【請求項31】
請求項1〜25のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドによってコードされる改変ルシフェラーゼ。
【請求項32】
請求項1〜25のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド。
【請求項33】
請求項1〜24のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドによってコードされる改変ルシフェラーゼを含む融合タンパク質。
【請求項34】
改変ルシフェラーゼの発現を可能にする条件下で請求項28記載の細胞を培養することを含む改変ルシフェラーゼの製造方法。
【請求項35】
改変ルシフェラーゼの発現を可能にする条件下で細胞に請求項26又は27記載のベクターを導入することを含む改変ルシフェラーゼの製造方法。
【請求項36】
請求項1〜25のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド又は請求項26もしくは27記載のベクターを含むキット。
【請求項37】
請求項31記載の改変ルシフェラーゼを含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32−1】
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【図32−2】
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【図32−3】
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【図33A】
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【図33B】
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【図33C】
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【図33D】
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【図33E】
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【図34A】
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【図34B】
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【公表番号】特表2012−525819(P2012−525819A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508822(P2012−508822)
【出願日】平成22年5月3日(2010.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/033449
【国際公開番号】WO2010/127368
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLASH
【出願人】(593089149)プロメガ コーポレイション (57)
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
【Fターム(参考)】