壁パネル
【課題】 意匠面に傷がついた場合の対応が容易な壁パネルを提供する。
【解決手段】 意匠板20の裏面外周部に板枠状の意匠側リブ23を形成し、意匠板20に向かい合うベース板30の外周部に板枠状のベース側リブ33を形成する。そして、この両方のリブ23,33を嵌め合わせて意匠板20とベース板30とを一体的に接合して壁パネル10を形成した。施工現場においては、意匠面21に傷がついた場合、ベース板30のみで浴室を組立て、あとから新しい意匠板20を取り付けるようにすることで施工工期遅延を防止できる。
【解決手段】 意匠板20の裏面外周部に板枠状の意匠側リブ23を形成し、意匠板20に向かい合うベース板30の外周部に板枠状のベース側リブ33を形成する。そして、この両方のリブ23,33を嵌め合わせて意匠板20とベース板30とを一体的に接合して壁パネル10を形成した。施工現場においては、意匠面21に傷がついた場合、ベース板30のみで浴室を組立て、あとから新しい意匠板20を取り付けるようにすることで施工工期遅延を防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、浴室などの壁面を構築する意匠用パネルとして用いられる壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室に用いられる壁パネルとしては、例えば、特許文献1に示されるように、意匠鋼板と補強鋼板とを向かい合わせ、その間に硬質裏貼材および保温材を介装し、それらを接着剤で貼り合わせることにより1枚のパネルとして一体形成した所謂サンドイッチ構造のものや、意匠鋼板の裏面に石膏ボードを貼り付けて断熱性を付与した構造のものなどが知られている。
【特許文献1】特開2001−207586号公報
【0003】
こうした浴室に設けられる壁パネルにとって、浴室にのぞむ意匠面は外観上において非常に重要である。しかし、従来の壁パネルは、意匠板に補強板、保温材等を接着剤により貼り合わせて一体とした単品部品であるため、意匠面に傷がついた場合には、壁パネル全体の交換が必要となる。
このため、生産ラインで意匠面に傷がついた場合には、壁パネルそのものが廃棄処分となり、廃棄物の増加にともなう廃却費用の負担が大きくなっていた。
また、施工現場においては、壁パネルごとそっくり取り替える必要があり、新しい商品(壁パネル)を入手するまで浴室の組み立て施工を行うことができない。これに伴って、それに付随する他の作業工程等においても遅れが生じてしまう。従って、施工業者、建築業者、パネルメーカにとって大きな負担となっていた。
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、意匠面に傷がついた場合の対応が容易な壁パネルを提供することにある。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、室内側に臨ませる意匠板と、その意匠板に向かい合わせて設けられるベース板とを備えた壁パネルにおいて、上記意匠板は上記ベース板に向かい合う側の面に意匠板面に直交する方向に突出した意匠側リブを備え、上記ベース板は上記意匠板に向かい合う側の面にベース板面に直交する方向に突出したベース側リブを備え、上記意匠側リブと上記ベース側リブとを嵌め合わせて上記意匠板と上記ベース板とを接合したことにある。
【0006】
上記のように構成した本発明によれば、意匠板とベース板とを、両者に形成した板枠状の意匠側リブとベース側リブとを嵌め合わせることにより、接着剤で接着することなく壁パネルを一体的に形成できるため、意匠面に傷がついた場合でも、意匠板のみを交換することで対応することができる。つまり、意匠板とベース板とを別部品として取り扱うことができるため、意匠面に傷がついても、壁パネルをそっくり交換する必要はなく、意匠板のみの交換で足りる。
【0007】
例えば、施工現場において、意匠面に傷をつけてしまった場合、新しい意匠板の入手を待つ必要はなく、ベース板で部屋の組立てを継続することができる。そして、新しい意匠板を入手後にベース板に嵌め込む事で壁を完成させることができる。従って、他の施工工程を遅延させてしまうこともない。
また、組立て状態において意匠板のみを交換することができるため、将来的な内装変更等にも簡単に対応することができる。
更に、意匠板とベース板との間に形成される空間を有効利用することが可能となる。例えば、保温材を設けたりすることもできる。
【0008】
また、生産ラインにおいては、意匠面に傷がついても、その意匠板のみを廃棄すればよく、廃却費用の負担が低減される。
更に、多種類必要とされる意匠板に対してベース板を共通化することができるため、生産効率の向上を図ることができる。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、上記意匠側リブは意匠板面に直交する方向に突出し上記意匠板の略外周に沿って板枠状に形成され、上記ベース側リブはベース板面に直交する方向に突出し上記ベース板の略外周に沿って板枠状に形成されることにある。
【0010】
この発明によれば、意匠板とベース板とをその外周部における板枠状リブの嵌め合わせにより、つまり、一方の板枠状リブ内周面と他方の板枠状リブ外周面とが密着することにより壁パネルを一体的に形成するため、十分な嵌め合わせ面を確保できて良好な接合状態を維持できるとともに、壁パネル自身における強度を適切にすることができる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、上記意匠側リブは意匠板面に直交する方向に突出し上記意匠板の略外周に沿って板枠状に形成され、上記ベース側リブはベース板面に直交する方向に突出し上記ベース板の略外周に沿って形成される板枠状リブと上記板枠状リブで囲まれる領域内を格子状に分割する分割リブとを備え、上記ベース側リブにその格子状に分割された領域ごとに上記複数の意匠板の意匠側リブをそれぞれ嵌め合わせて上記1枚のベース板に上記複数の意匠板を接合したことにある。
【0012】
この発明によれば、1枚の壁パネルとして複数分割された意匠板を備えているため、意匠面に傷がついた場合には、その傷のついた意匠板のみを取り替えて残りの意匠板をそのまま使用することができる。つまり、取り替え対象となる意匠面を減らすことが可能となる。この結果、材料費、廃却費用等のコストメリットが得られる。
【0013】
本発明の他の特徴は、上記意匠側リブと上記ベース側リブとには、その嵌め合わせ面に、互いに係合する係合部が形成されることにある。
この発明によれば、意匠板とベース板との接合を確実に行うことができる。
【0014】
本発明の他の特徴は、上記ベース板は、設置高さを調整する調整手段を上記ベース側リブに備えたことにある。
本発明においては、意匠板とベース板との間に空間が形成され、さらに、ベース板を床等に設置する設置部にリブが形成されているため、それらを利用して設置高さを調整する調整手段を設けることができる。そして、この調整手段により、ベース板の高さ、左右の傾きを調整することが可能となり、壁パネルを現場に適合した状態に設置することが容易となる。
例えば、ベース板の床設置部に形成されるリブに、ベース板面形成方向に沿って進退するネジを設け、このネジの位置調整によりベース板の高さ調整をすることができる。
【0015】
本発明の他の特徴は、上記意匠側リブおよび上記ベース側リブには、任意の位置に切り欠きが形成されていることにある。
これによれば、意匠板とベース板との間に形成される空間を有効利用して、パイプ類(例えば、給水配管、給湯配管、ガス配管、電気配管等)やケーブル類を2板間に沿って配設することができる。このため、部屋の設計自由度が広がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る壁パネルについて図面を用いて説明する。
図1〜図5は、第1実施形態としての浴室用の壁パネルを表し、図1は、壁パネルの全体斜視図、図2は壁パネルの分解斜視図、図3〜図5は壁パネルの横断面図を表す。
【0017】
この壁パネル10は、意匠板20とベース板30とを嵌め合わせて接着剤を用いることなく一体的に形成したものである。
本実施形態においては、例えば、意匠板20の材料としてポリエチレンテルフタレートを、ベース板30の材料として発泡ポリスチレンを用いる。
意匠板20は、浴室側に臨む板であり、その表面が意匠面21(化粧面)となる。この意匠板20の裏面22には、その板面に直交する方向に突出した板状のリブ23が形成される。このリブ23は、意匠板20の外周縁から所定距離だけ内側位置で、外周ラインと平行に板枠状に形成されるもので、意匠板20の上縁に沿って形成される上側リブ23aと、左縁に沿って形成される左側リブ23bと、右縁に沿って形成される右側リブ23cと、下縁に沿って形成される下側リブ23dとから構成される。
このリブ23は、本発明の意匠側リブに相当するもので、以下、本実施形態においても意匠側リブ23と呼ぶ。
この意匠側リブ23は、意匠板20に一体形成されるが、別体にて形成し接着剤等で意匠板20に接合したものであってもよい。
意匠板20には、湯水混合栓V(図4参照)を取り付けるための2つの開口24a,24bが形成される。また、左側リブ23bには、湯水混合栓Vに接続される給湯管P1、給水管P2を壁外に引き出す切り欠き25が形成される。
【0018】
ベース板30は、意匠板20の裏面22に向かい合って設けられ、浴室壁としての躯体強度を保つためのものである。
このベース板30は、その表面31(ここでは意匠板20と向かい合う面を表面とする)に、板面に直交する方向に突出した板状のリブ33が形成される。このリブ33は、ベース板30の外周縁に沿って板枠状に形成されるもので、ベース板30の上縁に沿って形成される上側リブ33aと、左縁に沿って形成される左側リブ33bと、右縁に沿って形成される右側リブ33cと下縁に沿って形成される下側リブ33dとから構成される。
このリブ33は、本発明のベース側リブに相当するもので、以下、本実施形態においてもベース側リブ33と呼ぶ。
このベース側リブ33は、ベース板30に一体形成されるが、別体にて形成し接着剤等でベース板30に接合したものであってもよい。
このベース板30の左側リブ33bには、湯水混合栓Vに接続される給湯管P1、給水管P2を壁外に引き出すための切り欠き35が形成される。
【0019】
意匠板20の意匠側リブ23とベース板30のベース側リブ33とは、互いに嵌り合うように形成される。本実施形態においては、意匠板20をベース板30に向かい合わせて押し込んだときに、ベース側リブ33の内側に意匠側リブ23が嵌り込むように、つまり、意匠側リブ23の板枠外周面23outがベース側リブ33の板枠内周面33inと密着するように寸法設定される。また、意匠側リブ23の意匠板裏面22からの突出長と、ベース側リブ33のベース板表面31からの突出長とは同じ寸法に設定される。
従って、壁パネル10は、意匠板20をベース板30に向かい合わせて意匠側リブ23がベース側リブ33の内側にくるように整合し、そのまま意匠板20をベース板30に押し込むことで両板は一体的に接合され、がたつかない。
【0020】
また、複数の壁パネル10を並べて浴室を組み立てる場合には、図5に示すように、2枚のベース板30のベース側リブ33の間に止水部材Sを挟み込み、ベース板30の裏面32から2つのベース側リブ33にまたがって接続用金具Jを打ち込んで連結する。このとき、止水部材Sを介装することによりベース板30間の隙間が大きくなっても、その隙間を意匠板20の外周部で表側から覆うことができるため、目地を小さくすることができ見栄えが良い。また、目地を埋めるコーキングCのエリアも狭くすることができ清掃性も向上する。
尚、この場合、ベース板30の外形サイズに対して意匠板20の外形サイズを大きくして、前面視においてベース板30の外周部から意匠板20の外周部がわずかに外側にはみ出るようにする。
【0021】
また、壁パネル10は、意匠板20とベース板30との間に空間Aが形成されるため、図4に示すように、この空間Aを利用して給湯管P1、給水管P2を配設することができる。この例では、意匠板20に形成した2つの開口24a,24bに湯水混合栓Vの入水口、入湯口を挿通して、湯水混合栓V本体を意匠板20に固定するとともに、給湯管P1および給水管P2を板面方向に沿って配設して意匠側リブ23およびベース側リブ33に形成した切り欠き25,35から外部に引き出すようにしている。
従来の壁パネルでは、一体部品として形成されるため、このように壁内に配管を配設することができなかったが、本実施形態の壁パネル10では、意匠板20とベース板30との間に空間Aが形成され、しかも意匠板20がベース板30に対して別体に設けられることから、意匠板20をベース板30に嵌め込む前に、意匠板20に湯水混合栓Vや給湯管P1、給水管P2を取り付けておくことで、壁パネル10内に配管することが可能となった。このため、浴室設計の自由度が広がるとともに、施工性も向上する。
【0022】
また、意匠板20とベース板30との間に形成される空間Aは、保温材等を充填するエリアとして使用する事も可能であり、また、ガス配管や電気配管を配設することもできる。
【0023】
このように構成された壁パネル10において、意匠板20に傷がついた場合には、意匠板20をベース板30から引き外して取り替えればよい。この場合、傷ついた意匠板20は、使い物にならないため、意匠板20に孔を開けて開口部を引っ張ったり、ネジ等をねじ込んでネジごと引っ張るようにすれば簡単に取り外すことができる。そして、新しい意匠板20を既設のベース板30に嵌め込めば修復完了する。
【0024】
以上説明した本実施形態の浴室用の壁パネル10によれば、意匠面21に傷がついた場合でも、意匠板20のみを交換することで対応することができる。
例えば、施工現場において、意匠面21に傷をつけてしまった場合でも、ベース板30で浴室の組立てを継続することができるため、他の施工工程を遅延させてしまうことがない。
また、将来、内装変更が必要となった場合においても、既存のベース板30をそのまま流用し、意匠板20のみを交換することができるため、施工性、経済性に優れる。
【0025】
また、生産ラインにおいては、意匠面21に傷がついても、その意匠板20のみを廃棄すればよく、廃却費用の負担が低減される。
更に、多種類必要とされる意匠板20に対してベース板30を共通化することができるため、専用ライン化が可能となり、生産効率の向上を図ることができる。
【0026】
また、意匠板20とベース板30との間に給湯管P1、給水管P2を配設することができるため、浴室設計の自由度が広がるとともに、施工性も向上する。また、壁内空間Aを有効に利用して、保温材等を設けたりすることもできる。
更に、壁パネル10間の目地を小さくすることができ、美観の向上と清掃性の向上とを図ることができる。
また、意匠板20とベース板30とをその外周部における板枠状のリブ23,33の嵌め合わせにより壁パネル10を一体的に形成するため、十分な嵌め合わせ面を確保できて良好な接合状態を維持できるとともに、壁パネル10自身における強度を適切にすることができる。
【0027】
次に、第2実施形態としての浴室用の壁パネルについて説明する。図6、図7は、第2実施形態としての浴室用の壁パネル40の分解斜視図、横断面図を表す。
図示するように、この第2実施形態の壁パネル40は、意匠板50とベース板60とを嵌め合わせて一体的に形成されるもので、第1実施形態の壁パネル10とは、リブの形成位置が異なるのみで他の構成は同一である。
つまり、第2実施形態においては、意匠板50は、その外周縁に板枠状の意匠側リブ53が形成され、ベース板60は、その外周縁から所定距離だけ内側位置に板枠状のベース側リブ63が形成される。そして、壁パネル40は、このベース側リブ63の外側に意匠側リブ53を嵌め込むことにより一体的に接合される。
従って、この第2実施形態の壁パネル40においても、第1実施形態の壁パネル10と同様の作用効果を奏する。
【0028】
次に、第3実施形態の浴室用の壁パネルについて説明する。図8は、第3実施形態の浴室用の壁パネルの分解斜視図である。
図示するように、この第3実施形態の壁パネル70は、1枚のベース板90に対して、4枚の意匠板80を嵌め合わせたものである。
各意匠板80は、ベース板90に対して縦・横半分のサイズの板面を有し、第1実施形態のものと同様に、その外周縁から所定距離だけ内側位置に板枠状の意匠側リブ83が形成される。
ベース板90は、その外周縁に沿って形成される板枠状リブ93aと、板枠状リブ93aで囲まれる領域を4分割する格子状リブ93bとからならベース側リブ93を備える。板枠状リブ93aの左側下部には、第1実施形態と同様の配管引き出し用の切り欠き95が形成される。
【0029】
壁パネル70は、格子状リブ93bにより4分割された領域を囲むベース側リブ93の内側に、それぞれ意匠板80の意匠側リブ83を嵌め込んで一体的に形成される。この例では、左下の意匠板80として、湯水混合栓Vの取り付け開口84a,84bおよび配管引き出し用の切り欠き85が形成されたものを使用している。
この場合、意匠板80は全て同じ意匠のものを使用する必要はなく、異なった意匠面を有するものを組み合わせて使用してもよい。
この第3実施形態によれば、第1実施形態における作用効果に加え、1枚の壁パネル70として複数分割された意匠板80を備えているため、意匠面に傷がついた場合には、その傷のついた意匠板80のみを取り替えて残りの意匠板80をそのまま使用することができる。つまり、取り替え対象となる意匠面を減らすことが可能となる。この結果、材料費、廃却費用等のコストメリットが得られる。
尚、この実施形態においても、意匠側リブ83とベース側リブ93との嵌め合わせを逆にしてもよい。
【0030】
次に、上記各実施形態における変形例について説明する。
上述した各実施形態において、意匠板とベース板との接合を確実にしたい場合には、図9に示すように、意匠板100に形成した意匠側リブ103とベース板110に形成したベース側リブ113との当接面103out、113inに係合部を設けてもよい。この例では、ベース側リブ113の内側面113inにクサビ状の突起114を形成し、一方、意匠側リブ103の外側面103outに、両板100,110のリブ103,113が嵌め合わされたときに突起114と係合する窪み104を形成する。この場合、係合部は、各リブ103,113の当接面103out,113inに沿って連続的に設けても、部分的に設けてもどちらでもよい。
【0031】
また、図10に示すように、意匠板120の意匠側リブ123を、ベース板130のベース側リブ133の外側面133outと内側面133inとに密接するように第1板枠状リブ123aと第2板枠状リブ123bとからなる2枚枠構成にしてもよい。この例では、意匠側リブ123(123a,123b)でベース側リブ133を挟み込むようにしているため、両板120,130の接合が確実となる。
尚、ベース板側を2枚枠構造にしてもよく、また、意匠板とベース板の両方を2枚枠構造にして嵌め合わせてもよい。
【0032】
次に、上記各実施形態の変形例として、壁パネルの設置施工を容易にする構成について説明する。
上述した各実施形態の壁パネルを床等に設置する場合、その床面の精度が悪い状況においては、壁パネルが左右に傾いてしまうことがある。そこで、図11に示すように、ベース板150の設置面側のベース側リブ153に、左右に1本ずつネジB1,B2を上下方向に螺合して設けておき、ベース板150を床面に設置したときに、左右に傾くようであれば、このネジB1,B2を回しベース側リブ153の下面からネジ先端を突出させて、床面からの距離を左右それぞれ調節することによりベース板150を垂直に設置することができる。また、ベース板150全体の高さをも調整することができる。
この場合、意匠板140の意匠側リブ143には、ネジB1,B2をよけるU字状の切り欠き145a,145bを形成しておく。
従って、この例によれば、床面の精度に関わらず、簡単に精度良く壁パネルを設置することができる。
【0033】
以上、本実施形態の浴室用の壁パネルについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0034】
例えば、本発明の壁パネルは、浴室用に限らず種々の室内壁に使用することができる。また、意匠側リブやベース側リブの形状においても、必ずしも連続した矩形枠形状でなくてもよく、途中で切断部が設けられた断続的な枠形状であってもよい。
また、第3実施形態のように、板枠状リブで囲まれる領域を格子状リブで分割した壁パネルにおいては、その分割数は任意に設定できるものである。
更に、意匠板とベース板との間に形成される空間に、適宜、桟を設けて強度を高めたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態にかかる壁パネルの全体斜視図である。
【図2】第1実施形態にかかる壁パネルの分解斜視図である。
【図3】第1実施形態にかかる壁パネルの横断面図である。
【図4】第1実施形態にかかる壁パネルにおける湯水混合栓取付部の横断面図である。
【図5】第1実施形態にかかる壁パネルの接続部分の横断面図である。
【図6】第2実施形態にかかる壁パネルの分解斜視図である。
【図7】第2実施形態にかかる壁パネルの横断面図である。
【図8】第3実施形態にかかる壁パネルの分解斜視図である。
【図9】変形例にかかる壁パネルの横断面図である。
【図10】変形例にかかる壁パネルの横断面図である。
【図11】変形例にかかる意匠板、ベース板の設置部を表す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10,40,70…壁パネル、
20,50,80,100,120,140…意匠板、
30,60,90,110,130,150…ベース板、
23,53,83,103,123,143…意匠側リブ、
33,63,93,113,133,153…ベース側リブ、
25,35,85,95…切り欠き、
B1,B2…ネジ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、浴室などの壁面を構築する意匠用パネルとして用いられる壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室に用いられる壁パネルとしては、例えば、特許文献1に示されるように、意匠鋼板と補強鋼板とを向かい合わせ、その間に硬質裏貼材および保温材を介装し、それらを接着剤で貼り合わせることにより1枚のパネルとして一体形成した所謂サンドイッチ構造のものや、意匠鋼板の裏面に石膏ボードを貼り付けて断熱性を付与した構造のものなどが知られている。
【特許文献1】特開2001−207586号公報
【0003】
こうした浴室に設けられる壁パネルにとって、浴室にのぞむ意匠面は外観上において非常に重要である。しかし、従来の壁パネルは、意匠板に補強板、保温材等を接着剤により貼り合わせて一体とした単品部品であるため、意匠面に傷がついた場合には、壁パネル全体の交換が必要となる。
このため、生産ラインで意匠面に傷がついた場合には、壁パネルそのものが廃棄処分となり、廃棄物の増加にともなう廃却費用の負担が大きくなっていた。
また、施工現場においては、壁パネルごとそっくり取り替える必要があり、新しい商品(壁パネル)を入手するまで浴室の組み立て施工を行うことができない。これに伴って、それに付随する他の作業工程等においても遅れが生じてしまう。従って、施工業者、建築業者、パネルメーカにとって大きな負担となっていた。
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、意匠面に傷がついた場合の対応が容易な壁パネルを提供することにある。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、室内側に臨ませる意匠板と、その意匠板に向かい合わせて設けられるベース板とを備えた壁パネルにおいて、上記意匠板は上記ベース板に向かい合う側の面に意匠板面に直交する方向に突出した意匠側リブを備え、上記ベース板は上記意匠板に向かい合う側の面にベース板面に直交する方向に突出したベース側リブを備え、上記意匠側リブと上記ベース側リブとを嵌め合わせて上記意匠板と上記ベース板とを接合したことにある。
【0006】
上記のように構成した本発明によれば、意匠板とベース板とを、両者に形成した板枠状の意匠側リブとベース側リブとを嵌め合わせることにより、接着剤で接着することなく壁パネルを一体的に形成できるため、意匠面に傷がついた場合でも、意匠板のみを交換することで対応することができる。つまり、意匠板とベース板とを別部品として取り扱うことができるため、意匠面に傷がついても、壁パネルをそっくり交換する必要はなく、意匠板のみの交換で足りる。
【0007】
例えば、施工現場において、意匠面に傷をつけてしまった場合、新しい意匠板の入手を待つ必要はなく、ベース板で部屋の組立てを継続することができる。そして、新しい意匠板を入手後にベース板に嵌め込む事で壁を完成させることができる。従って、他の施工工程を遅延させてしまうこともない。
また、組立て状態において意匠板のみを交換することができるため、将来的な内装変更等にも簡単に対応することができる。
更に、意匠板とベース板との間に形成される空間を有効利用することが可能となる。例えば、保温材を設けたりすることもできる。
【0008】
また、生産ラインにおいては、意匠面に傷がついても、その意匠板のみを廃棄すればよく、廃却費用の負担が低減される。
更に、多種類必要とされる意匠板に対してベース板を共通化することができるため、生産効率の向上を図ることができる。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、上記意匠側リブは意匠板面に直交する方向に突出し上記意匠板の略外周に沿って板枠状に形成され、上記ベース側リブはベース板面に直交する方向に突出し上記ベース板の略外周に沿って板枠状に形成されることにある。
【0010】
この発明によれば、意匠板とベース板とをその外周部における板枠状リブの嵌め合わせにより、つまり、一方の板枠状リブ内周面と他方の板枠状リブ外周面とが密着することにより壁パネルを一体的に形成するため、十分な嵌め合わせ面を確保できて良好な接合状態を維持できるとともに、壁パネル自身における強度を適切にすることができる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、上記意匠側リブは意匠板面に直交する方向に突出し上記意匠板の略外周に沿って板枠状に形成され、上記ベース側リブはベース板面に直交する方向に突出し上記ベース板の略外周に沿って形成される板枠状リブと上記板枠状リブで囲まれる領域内を格子状に分割する分割リブとを備え、上記ベース側リブにその格子状に分割された領域ごとに上記複数の意匠板の意匠側リブをそれぞれ嵌め合わせて上記1枚のベース板に上記複数の意匠板を接合したことにある。
【0012】
この発明によれば、1枚の壁パネルとして複数分割された意匠板を備えているため、意匠面に傷がついた場合には、その傷のついた意匠板のみを取り替えて残りの意匠板をそのまま使用することができる。つまり、取り替え対象となる意匠面を減らすことが可能となる。この結果、材料費、廃却費用等のコストメリットが得られる。
【0013】
本発明の他の特徴は、上記意匠側リブと上記ベース側リブとには、その嵌め合わせ面に、互いに係合する係合部が形成されることにある。
この発明によれば、意匠板とベース板との接合を確実に行うことができる。
【0014】
本発明の他の特徴は、上記ベース板は、設置高さを調整する調整手段を上記ベース側リブに備えたことにある。
本発明においては、意匠板とベース板との間に空間が形成され、さらに、ベース板を床等に設置する設置部にリブが形成されているため、それらを利用して設置高さを調整する調整手段を設けることができる。そして、この調整手段により、ベース板の高さ、左右の傾きを調整することが可能となり、壁パネルを現場に適合した状態に設置することが容易となる。
例えば、ベース板の床設置部に形成されるリブに、ベース板面形成方向に沿って進退するネジを設け、このネジの位置調整によりベース板の高さ調整をすることができる。
【0015】
本発明の他の特徴は、上記意匠側リブおよび上記ベース側リブには、任意の位置に切り欠きが形成されていることにある。
これによれば、意匠板とベース板との間に形成される空間を有効利用して、パイプ類(例えば、給水配管、給湯配管、ガス配管、電気配管等)やケーブル類を2板間に沿って配設することができる。このため、部屋の設計自由度が広がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る壁パネルについて図面を用いて説明する。
図1〜図5は、第1実施形態としての浴室用の壁パネルを表し、図1は、壁パネルの全体斜視図、図2は壁パネルの分解斜視図、図3〜図5は壁パネルの横断面図を表す。
【0017】
この壁パネル10は、意匠板20とベース板30とを嵌め合わせて接着剤を用いることなく一体的に形成したものである。
本実施形態においては、例えば、意匠板20の材料としてポリエチレンテルフタレートを、ベース板30の材料として発泡ポリスチレンを用いる。
意匠板20は、浴室側に臨む板であり、その表面が意匠面21(化粧面)となる。この意匠板20の裏面22には、その板面に直交する方向に突出した板状のリブ23が形成される。このリブ23は、意匠板20の外周縁から所定距離だけ内側位置で、外周ラインと平行に板枠状に形成されるもので、意匠板20の上縁に沿って形成される上側リブ23aと、左縁に沿って形成される左側リブ23bと、右縁に沿って形成される右側リブ23cと、下縁に沿って形成される下側リブ23dとから構成される。
このリブ23は、本発明の意匠側リブに相当するもので、以下、本実施形態においても意匠側リブ23と呼ぶ。
この意匠側リブ23は、意匠板20に一体形成されるが、別体にて形成し接着剤等で意匠板20に接合したものであってもよい。
意匠板20には、湯水混合栓V(図4参照)を取り付けるための2つの開口24a,24bが形成される。また、左側リブ23bには、湯水混合栓Vに接続される給湯管P1、給水管P2を壁外に引き出す切り欠き25が形成される。
【0018】
ベース板30は、意匠板20の裏面22に向かい合って設けられ、浴室壁としての躯体強度を保つためのものである。
このベース板30は、その表面31(ここでは意匠板20と向かい合う面を表面とする)に、板面に直交する方向に突出した板状のリブ33が形成される。このリブ33は、ベース板30の外周縁に沿って板枠状に形成されるもので、ベース板30の上縁に沿って形成される上側リブ33aと、左縁に沿って形成される左側リブ33bと、右縁に沿って形成される右側リブ33cと下縁に沿って形成される下側リブ33dとから構成される。
このリブ33は、本発明のベース側リブに相当するもので、以下、本実施形態においてもベース側リブ33と呼ぶ。
このベース側リブ33は、ベース板30に一体形成されるが、別体にて形成し接着剤等でベース板30に接合したものであってもよい。
このベース板30の左側リブ33bには、湯水混合栓Vに接続される給湯管P1、給水管P2を壁外に引き出すための切り欠き35が形成される。
【0019】
意匠板20の意匠側リブ23とベース板30のベース側リブ33とは、互いに嵌り合うように形成される。本実施形態においては、意匠板20をベース板30に向かい合わせて押し込んだときに、ベース側リブ33の内側に意匠側リブ23が嵌り込むように、つまり、意匠側リブ23の板枠外周面23outがベース側リブ33の板枠内周面33inと密着するように寸法設定される。また、意匠側リブ23の意匠板裏面22からの突出長と、ベース側リブ33のベース板表面31からの突出長とは同じ寸法に設定される。
従って、壁パネル10は、意匠板20をベース板30に向かい合わせて意匠側リブ23がベース側リブ33の内側にくるように整合し、そのまま意匠板20をベース板30に押し込むことで両板は一体的に接合され、がたつかない。
【0020】
また、複数の壁パネル10を並べて浴室を組み立てる場合には、図5に示すように、2枚のベース板30のベース側リブ33の間に止水部材Sを挟み込み、ベース板30の裏面32から2つのベース側リブ33にまたがって接続用金具Jを打ち込んで連結する。このとき、止水部材Sを介装することによりベース板30間の隙間が大きくなっても、その隙間を意匠板20の外周部で表側から覆うことができるため、目地を小さくすることができ見栄えが良い。また、目地を埋めるコーキングCのエリアも狭くすることができ清掃性も向上する。
尚、この場合、ベース板30の外形サイズに対して意匠板20の外形サイズを大きくして、前面視においてベース板30の外周部から意匠板20の外周部がわずかに外側にはみ出るようにする。
【0021】
また、壁パネル10は、意匠板20とベース板30との間に空間Aが形成されるため、図4に示すように、この空間Aを利用して給湯管P1、給水管P2を配設することができる。この例では、意匠板20に形成した2つの開口24a,24bに湯水混合栓Vの入水口、入湯口を挿通して、湯水混合栓V本体を意匠板20に固定するとともに、給湯管P1および給水管P2を板面方向に沿って配設して意匠側リブ23およびベース側リブ33に形成した切り欠き25,35から外部に引き出すようにしている。
従来の壁パネルでは、一体部品として形成されるため、このように壁内に配管を配設することができなかったが、本実施形態の壁パネル10では、意匠板20とベース板30との間に空間Aが形成され、しかも意匠板20がベース板30に対して別体に設けられることから、意匠板20をベース板30に嵌め込む前に、意匠板20に湯水混合栓Vや給湯管P1、給水管P2を取り付けておくことで、壁パネル10内に配管することが可能となった。このため、浴室設計の自由度が広がるとともに、施工性も向上する。
【0022】
また、意匠板20とベース板30との間に形成される空間Aは、保温材等を充填するエリアとして使用する事も可能であり、また、ガス配管や電気配管を配設することもできる。
【0023】
このように構成された壁パネル10において、意匠板20に傷がついた場合には、意匠板20をベース板30から引き外して取り替えればよい。この場合、傷ついた意匠板20は、使い物にならないため、意匠板20に孔を開けて開口部を引っ張ったり、ネジ等をねじ込んでネジごと引っ張るようにすれば簡単に取り外すことができる。そして、新しい意匠板20を既設のベース板30に嵌め込めば修復完了する。
【0024】
以上説明した本実施形態の浴室用の壁パネル10によれば、意匠面21に傷がついた場合でも、意匠板20のみを交換することで対応することができる。
例えば、施工現場において、意匠面21に傷をつけてしまった場合でも、ベース板30で浴室の組立てを継続することができるため、他の施工工程を遅延させてしまうことがない。
また、将来、内装変更が必要となった場合においても、既存のベース板30をそのまま流用し、意匠板20のみを交換することができるため、施工性、経済性に優れる。
【0025】
また、生産ラインにおいては、意匠面21に傷がついても、その意匠板20のみを廃棄すればよく、廃却費用の負担が低減される。
更に、多種類必要とされる意匠板20に対してベース板30を共通化することができるため、専用ライン化が可能となり、生産効率の向上を図ることができる。
【0026】
また、意匠板20とベース板30との間に給湯管P1、給水管P2を配設することができるため、浴室設計の自由度が広がるとともに、施工性も向上する。また、壁内空間Aを有効に利用して、保温材等を設けたりすることもできる。
更に、壁パネル10間の目地を小さくすることができ、美観の向上と清掃性の向上とを図ることができる。
また、意匠板20とベース板30とをその外周部における板枠状のリブ23,33の嵌め合わせにより壁パネル10を一体的に形成するため、十分な嵌め合わせ面を確保できて良好な接合状態を維持できるとともに、壁パネル10自身における強度を適切にすることができる。
【0027】
次に、第2実施形態としての浴室用の壁パネルについて説明する。図6、図7は、第2実施形態としての浴室用の壁パネル40の分解斜視図、横断面図を表す。
図示するように、この第2実施形態の壁パネル40は、意匠板50とベース板60とを嵌め合わせて一体的に形成されるもので、第1実施形態の壁パネル10とは、リブの形成位置が異なるのみで他の構成は同一である。
つまり、第2実施形態においては、意匠板50は、その外周縁に板枠状の意匠側リブ53が形成され、ベース板60は、その外周縁から所定距離だけ内側位置に板枠状のベース側リブ63が形成される。そして、壁パネル40は、このベース側リブ63の外側に意匠側リブ53を嵌め込むことにより一体的に接合される。
従って、この第2実施形態の壁パネル40においても、第1実施形態の壁パネル10と同様の作用効果を奏する。
【0028】
次に、第3実施形態の浴室用の壁パネルについて説明する。図8は、第3実施形態の浴室用の壁パネルの分解斜視図である。
図示するように、この第3実施形態の壁パネル70は、1枚のベース板90に対して、4枚の意匠板80を嵌め合わせたものである。
各意匠板80は、ベース板90に対して縦・横半分のサイズの板面を有し、第1実施形態のものと同様に、その外周縁から所定距離だけ内側位置に板枠状の意匠側リブ83が形成される。
ベース板90は、その外周縁に沿って形成される板枠状リブ93aと、板枠状リブ93aで囲まれる領域を4分割する格子状リブ93bとからならベース側リブ93を備える。板枠状リブ93aの左側下部には、第1実施形態と同様の配管引き出し用の切り欠き95が形成される。
【0029】
壁パネル70は、格子状リブ93bにより4分割された領域を囲むベース側リブ93の内側に、それぞれ意匠板80の意匠側リブ83を嵌め込んで一体的に形成される。この例では、左下の意匠板80として、湯水混合栓Vの取り付け開口84a,84bおよび配管引き出し用の切り欠き85が形成されたものを使用している。
この場合、意匠板80は全て同じ意匠のものを使用する必要はなく、異なった意匠面を有するものを組み合わせて使用してもよい。
この第3実施形態によれば、第1実施形態における作用効果に加え、1枚の壁パネル70として複数分割された意匠板80を備えているため、意匠面に傷がついた場合には、その傷のついた意匠板80のみを取り替えて残りの意匠板80をそのまま使用することができる。つまり、取り替え対象となる意匠面を減らすことが可能となる。この結果、材料費、廃却費用等のコストメリットが得られる。
尚、この実施形態においても、意匠側リブ83とベース側リブ93との嵌め合わせを逆にしてもよい。
【0030】
次に、上記各実施形態における変形例について説明する。
上述した各実施形態において、意匠板とベース板との接合を確実にしたい場合には、図9に示すように、意匠板100に形成した意匠側リブ103とベース板110に形成したベース側リブ113との当接面103out、113inに係合部を設けてもよい。この例では、ベース側リブ113の内側面113inにクサビ状の突起114を形成し、一方、意匠側リブ103の外側面103outに、両板100,110のリブ103,113が嵌め合わされたときに突起114と係合する窪み104を形成する。この場合、係合部は、各リブ103,113の当接面103out,113inに沿って連続的に設けても、部分的に設けてもどちらでもよい。
【0031】
また、図10に示すように、意匠板120の意匠側リブ123を、ベース板130のベース側リブ133の外側面133outと内側面133inとに密接するように第1板枠状リブ123aと第2板枠状リブ123bとからなる2枚枠構成にしてもよい。この例では、意匠側リブ123(123a,123b)でベース側リブ133を挟み込むようにしているため、両板120,130の接合が確実となる。
尚、ベース板側を2枚枠構造にしてもよく、また、意匠板とベース板の両方を2枚枠構造にして嵌め合わせてもよい。
【0032】
次に、上記各実施形態の変形例として、壁パネルの設置施工を容易にする構成について説明する。
上述した各実施形態の壁パネルを床等に設置する場合、その床面の精度が悪い状況においては、壁パネルが左右に傾いてしまうことがある。そこで、図11に示すように、ベース板150の設置面側のベース側リブ153に、左右に1本ずつネジB1,B2を上下方向に螺合して設けておき、ベース板150を床面に設置したときに、左右に傾くようであれば、このネジB1,B2を回しベース側リブ153の下面からネジ先端を突出させて、床面からの距離を左右それぞれ調節することによりベース板150を垂直に設置することができる。また、ベース板150全体の高さをも調整することができる。
この場合、意匠板140の意匠側リブ143には、ネジB1,B2をよけるU字状の切り欠き145a,145bを形成しておく。
従って、この例によれば、床面の精度に関わらず、簡単に精度良く壁パネルを設置することができる。
【0033】
以上、本実施形態の浴室用の壁パネルについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0034】
例えば、本発明の壁パネルは、浴室用に限らず種々の室内壁に使用することができる。また、意匠側リブやベース側リブの形状においても、必ずしも連続した矩形枠形状でなくてもよく、途中で切断部が設けられた断続的な枠形状であってもよい。
また、第3実施形態のように、板枠状リブで囲まれる領域を格子状リブで分割した壁パネルにおいては、その分割数は任意に設定できるものである。
更に、意匠板とベース板との間に形成される空間に、適宜、桟を設けて強度を高めたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態にかかる壁パネルの全体斜視図である。
【図2】第1実施形態にかかる壁パネルの分解斜視図である。
【図3】第1実施形態にかかる壁パネルの横断面図である。
【図4】第1実施形態にかかる壁パネルにおける湯水混合栓取付部の横断面図である。
【図5】第1実施形態にかかる壁パネルの接続部分の横断面図である。
【図6】第2実施形態にかかる壁パネルの分解斜視図である。
【図7】第2実施形態にかかる壁パネルの横断面図である。
【図8】第3実施形態にかかる壁パネルの分解斜視図である。
【図9】変形例にかかる壁パネルの横断面図である。
【図10】変形例にかかる壁パネルの横断面図である。
【図11】変形例にかかる意匠板、ベース板の設置部を表す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10,40,70…壁パネル、
20,50,80,100,120,140…意匠板、
30,60,90,110,130,150…ベース板、
23,53,83,103,123,143…意匠側リブ、
33,63,93,113,133,153…ベース側リブ、
25,35,85,95…切り欠き、
B1,B2…ネジ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内側に臨ませる意匠板と、その意匠板に向かい合わせて設けられるベース板とを備えた壁パネルにおいて、
上記意匠板は、上記ベース板に向かい合う側の面に、意匠板面に直交する方向に突出した意匠側リブを備え、
上記ベース板は、上記意匠板に向かい合う側の面に、ベース板面に直交する方向に突出したベース側リブを備え、
上記意匠側リブと上記ベース側リブとを嵌め合わせて、上記意匠板と上記ベース板とを接合したことを特徴とする壁パネル。
【請求項2】
上記意匠側リブは、意匠板面に直交する方向に突出し上記意匠板の略外周に沿って板枠状に形成され、
上記ベース側リブは、ベース板面に直交する方向に突出し上記ベース板の略外周に沿って板枠状に形成されることを特徴とする請求項1記載の壁パネル。
【請求項3】
上記意匠側リブは、意匠板面に直交する方向に突出し上記意匠板の略外周に沿って板枠状に形成され、
上記ベース側リブは、ベース板面に直交する方向に突出し上記ベース板の略外周に沿って形成される板枠状リブと、上記板枠状リブで囲まれる領域内を格子状に分割する分割リブとを備え、
上記ベース側リブに、その格子状に分割された領域ごとに上記複数の意匠板の意匠側リブをそれぞれ嵌め合わせて、上記1枚のベース板に上記複数の意匠板を接合したことを特徴とする請求項1記載の壁パネル。
【請求項4】
上記意匠側リブと上記ベース側リブとには、その嵌め合わせ面に、互いに係合する係合部が形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の壁パネル。
【請求項5】
上記ベース板は、設置高さを調整する調整手段を上記ベース側リブに備えたことを特徴とする請求項2ないし請求項4の何れかに記載の壁パネル。
【請求項6】
上記意匠側リブおよび上記ベース側リブには、任意の位置に切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項5の何れかに記載の壁パネル。
【請求項1】
室内側に臨ませる意匠板と、その意匠板に向かい合わせて設けられるベース板とを備えた壁パネルにおいて、
上記意匠板は、上記ベース板に向かい合う側の面に、意匠板面に直交する方向に突出した意匠側リブを備え、
上記ベース板は、上記意匠板に向かい合う側の面に、ベース板面に直交する方向に突出したベース側リブを備え、
上記意匠側リブと上記ベース側リブとを嵌め合わせて、上記意匠板と上記ベース板とを接合したことを特徴とする壁パネル。
【請求項2】
上記意匠側リブは、意匠板面に直交する方向に突出し上記意匠板の略外周に沿って板枠状に形成され、
上記ベース側リブは、ベース板面に直交する方向に突出し上記ベース板の略外周に沿って板枠状に形成されることを特徴とする請求項1記載の壁パネル。
【請求項3】
上記意匠側リブは、意匠板面に直交する方向に突出し上記意匠板の略外周に沿って板枠状に形成され、
上記ベース側リブは、ベース板面に直交する方向に突出し上記ベース板の略外周に沿って形成される板枠状リブと、上記板枠状リブで囲まれる領域内を格子状に分割する分割リブとを備え、
上記ベース側リブに、その格子状に分割された領域ごとに上記複数の意匠板の意匠側リブをそれぞれ嵌め合わせて、上記1枚のベース板に上記複数の意匠板を接合したことを特徴とする請求項1記載の壁パネル。
【請求項4】
上記意匠側リブと上記ベース側リブとには、その嵌め合わせ面に、互いに係合する係合部が形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の壁パネル。
【請求項5】
上記ベース板は、設置高さを調整する調整手段を上記ベース側リブに備えたことを特徴とする請求項2ないし請求項4の何れかに記載の壁パネル。
【請求項6】
上記意匠側リブおよび上記ベース側リブには、任意の位置に切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項5の何れかに記載の壁パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−262694(P2007−262694A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86863(P2006−86863)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】
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