説明

壁内蔵式カーテンボックス

【課題】室内側に突出することがなく、大型のヘッドレールであっても内部に収納できる十分な容積のある壁内蔵式カーテンボックスを提供する。
【解決手段】カーテンボックス1が、建物の窓枠取付開口部において、開口部の上側縁の壁内に組み込まれて使用されるものであって、少なくとも天板2と、天板2に設けられて左右に対向する一対の側板3A、3Bとからなる本体11を有し、天板2および一対の側板3A、3Bによって内側空間12が画成されるとともに、天板2に対向する側には、窓枠取付開口部に臨む下端開口13が形成されており、さらに、本体11に取付けられ、かつ内側空間12内に配置されたレール取付部5と、本体11に設けられ、本体11を窓枠に連結するための窓枠連結部6とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
図11のように、従来のカーテンボックス80は、天板と側板と前板によって略L字形、あるいは、さらに後板を有して略コの字形の断面をしており、壁面または天井面の室内側に取付けられることで、ボックス内部に固定されるカーテンレールに埃が付着するのを防ぐとともに、カーテンレールがボックス外部に露見して室内の装飾性を阻害するのを防ぐカバーの機能を果たしている。
【0003】
例えば、特許文献1では、断面がL字形のカーテンボックスを構成する天板と前板とを独立した部材としており、前板を好みのものに交換することで、必要に応じて、カーテンボックスにも装飾性を付与できる構造となっている。
【0004】
しかしながら、喩え、装飾性を付与したとしても、カーテンボックスが室内側に突出した状態で取付けられることにより、室内空間に圧迫感を与えるという問題がある。
【0005】
また、近年では、電動式の昇降カーテン類が出てきており、それらのヘッドレールおよび周辺装置は大型化している。これに伴って、カーテンボックスが大型化することが予想されており、このようなカーテンボックスによる室内空間への圧迫感の問題は一層深刻化してきている。
【0006】
【特許文献1】特許第3630255号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、室内側に突出することがなく、さらに、大型のヘッドレールであっても内部に収納できる十分な容積のあるカーテンボックスを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図1〜図3のように、本発明に係るカーテンボックス1は、建物の窓枠取付開口部70において、開口部70の上側縁の壁内30に組み込まれて使用されるものであって、
少なくとも天板2と、天板2に設けられた左右に対向する一対の側板3A、3Bとからなる本体11を有し、天板2および一対の側板3A、3Bによって内側空間12が画成されるとともに、天板2に対向する側には、窓枠取付開口部70に臨む下端開口13が形成されており、さらに、本体11に取り付けられ、かつ内側空間12内に配置されたレール取付部5と、本体11に設けられ、本体11を窓枠20に連結するための窓枠連結部6とを有することを第1の特徴とする。ここでいう壁内30とは内壁の壁面構成材31および外壁の壁面構成材32に囲まれて規定される空間を指す。
【0009】
さらに、本発明に係るカーテンボックス1は、レール取付部5において、昇降カーテン50のヘッドレール40が取付けられるようになっていることを第2の特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係るカーテンボックス1は、内側空間12内において一対の側板3A、3B間に延びるとともに、両端部がそれぞれ関係する側板3A、3Bに取付けられた水平な挿入板4をさらに有しており、レール取付部5が挿入板4の下端開口13側に向かう面に設けられていることを第3の特徴とする。但し、図3は、挿入板4の表裏両面にレール取付部5A、5Bを設けた状態を示したものである。
【0011】
さらに、本発明に係るカーテンボックス1は、挿入板4が側板3A、3Bに対して高さ調節可能に取付けられていることを第4の特徴とする。
【0012】
さらに、本発明に係るカーテンボックス1は、挿入板4が、一対の側板3A、3Bの間に延びる回転軸のまわりに、一方の面が下端開口13側を向いて水平となる第1の位置と、他方の面が下端開口13側を向いて水平となる第2の位置との間で回転可能に取付けられており、さらに、挿入板4の表裏両面には、それぞれ別々のレール取付部5A、5Bが設けられていることを第5の特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係るカーテンボックス1は、窓枠連結部6を介して窓枠20と連結されるとき、窓枠20の上枠21にレール取付部5に取付けられた昇降カーテン50および挿入板4が上下方向に通過する貫通口22が設けられることを第6の特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係るカーテンボックス1は、一対の側板3A、3Bの内側空間12に向かう面において、さらに、対向する一対の挿入板固定板15A、15Bが着脱自在に設けられていることを第7の特徴とする。
【0015】
さらに、本発明に係るカーテンボックス1は、窓枠連結部6を介して窓枠20と連結されるとき、窓枠20の上枠21にレール取付部5に取付けられた昇降カーテン50および挿入板4および挿入板固定板15A、15Bが上下方向に通過する貫通口22が設けられることを第8の特徴とする。
【0016】
さらに、本発明に係るカーテンボックス1は、窓枠連結部6が窓枠20の上枠21に対してボルト締結および/または嵌合される平状部材からなることを第9の特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の壁内蔵式カーテンボックスによれば、カーテンボックスを建物の窓枠取付開口部の上側縁の壁内に内蔵することで、カーテンレールだけでなく、カーテンボックスまでも室内側から見えなくすることができる。このために、室内空間をスッキリとさせることができるとともに、窓周りの装飾性が損なわれることがない。
【0018】
また、カーテンボックス内部で、ヘッドレールを取付ける高さ位置を適宜調節できるので、電動レールなどの大型のヘッドレールでも十分に収納することができる。さらに、2種類の昇降カーテンを使い分けができるとともに、使用していない方の昇降カーテンを内部に収納することができる。
【0019】
また、挿入板の取付け作業において、長尺なカーテンボックスにおける挿入板であっても、片側ずつ確実に取付けられる点で作業性が飛躍的に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るカーテンボックスの実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。
【0021】
図3のように、本発明に係るカーテンボックス1の第1の実施形態として、本体11が、天板2と、天板2に設けられた左右に対向する一対の側板3A、3Bと、前板10および後板(図示されていない)とからなっており、天板2および一対の側板3A、3Bによって、内側空間12が画成されており、天板2と対向する側には下端開口13が形成されている。
【0022】
さらに、内側空間12内には、一対の側板3A,3Bの間に延びる挿入板4があり、側板3A、3Bには、挿入板固定部7として、カーテンボックス底部からの高さがそれぞれ同じ位置に空けられた前後2箇所の固定用ピン孔があり、その固定用ピン孔にピンを挿し込むことによって、挿入板4が本体11に水平な状態で取付けられる。
【0023】
さらに、挿入板4には、その表裏両面に別々のレール取付部5A、5Bが設けられ、所定の位置にレールブラケットがボルト締結される。このようにして得られるカーテンボックス1は、ヘッドレールが挿入板4に固定されて、ヘッドレールを介して2種類の昇降カーテンを吊下げることできる。
【0024】
さらに、一対の側板3A、3Bには、挿入板高さ調節部8として、それぞれ垂直方向に等間隔に前後2箇所の固定用ピン孔が空けられており、棚の高さを調節できる本棚のごとく、挿入板4の高さ位置を調節できる。このようにして得られるカーテンボックス1は、ヘッドレールの高さサイズに応じて、挿入板4の高さを適宜調節し、大型のヘッドレールおよび周辺装置であっても、ヘッドレールが内側空間12内に収納される。
【0025】
さらに、一対の側板3A、3Bには、挿入板回転部9として、カーテンボックス底部からの高さがそれぞれ同じ位置に1箇所の回転用ピン孔が空いており、その回転用ピン孔に回転用ピンを挿し込むことによって、挿入板4が、一対の側板3A、3Bの間に延びる軸を回転軸として、360°自由に回転できるようになっている。このとき、固定用ピンが固定用ピン孔に挿入されている場合には、固定用ピンを外して回転できる。このようにして得られるカーテンボックス1は、挿入板4の表裏のどちらか一方が下端開口13に向くように適宜調節できる。
【0026】
図4のように、本発明に係るカーテンボックス1の第2の実施形態として、一対の側板3A、3Bの内側空間12に向かう面において、さらに、対向する一対の挿入板固定板15A、15Bを着脱自在に設けてあり、挿入板固定板15A、15Bには、挿入板固定部7として、カーテンボックス底部からの高さがそれぞれ同じ位置に前後2箇所の固定用溝が設けてあり、その固定用溝に突出部材を嵌め込むことによって、挿入板4が本体11に水平な状態で取付けられる。さらに、それぞれ垂直方向に等間隔に前後2箇所の固定用溝が設けられており、挿入板4の高さ位置を調節できる。
【0027】
図5および図6のように、図4に示すカーテンボックス1において、一方の側面において、側板3Aに挿入板固定板15Aを取付けておき、次いで、挿入板4の固定端が挿入板固定板15Aに設けられた挿入板固定部7を上に越えるよう斜めに傾けた状態で挿入板4を内側空間12内に差し込み、次いで、他方の側面において、挿入板4の固定端を下方から支えるように挿入板固定板15Bを内側空間12内差し込んで側板3Bに取付ける。このようにすれば、長尺なカーテンボックスにおける挿入板であっても、片側ずつ確実に取付け作業をおこなうことができる。
【0028】
さらに、一対の挿入板固定板15A、15Bには、挿入板高さ調節部8として、それぞれ垂直方向に等間隔に固定用溝があり、棚の高さを調節できる本棚のごとく、挿入板4の高さ位置を調節できる。このようにして得られるカーテンボックス1は、ヘッドレールの高さサイズに応じて、挿入板4の高さを適宜調節し、大型のヘッドレールおよび周辺装置であっても、ヘッドレールが内側空間12内に収納される。
【0029】
さらに、カーテンボックス1には、窓枠連結部6として平状部材が設けられており、その平状部材と窓枠20の上枠21とをボルト締結することで、カーテンボックス1と窓枠20とを連結することができる。その連結方法は、ボルト締結に限定されるものではなく、例えば、嵌合手段によってでも良い。
【0030】
図7のように、カーテンボックス1は、挿入板4を一対の側板3A、3Bの最も下の位置まで下げることによって、内側空間12内の天板2側に深く入り込んだ位置ではなく、昇降カーテンの着脱作業をおこなえるので、その作業性が大幅に改善される。また、カーテンボックスとして使用しない場合には底蓋とすることができる。
【0031】
図8のように、カーテンボックス1は、挿入板4の表裏両面に取付けられた2種類の昇降カーテン50A、50Bを使い分けることができるとともに、挿入板4を適宜回転させることで、その2種類の内で使用しない方の昇降カーテンを、カーテンボックス1における内側空間12内の天板2と挿入板4との間にできるスペースにそのまま収納しておくことができる。
【0032】
図9のように、窓枠20の上枠21には、レール取付部に取付けられた昇降カーテンおよび挿入板および挿入板固定板が上下方向に通過するのに十分な大きさの貫通口22が設けられている。カーテンボックスに挿入板を取付けた後には、貫通口22は、昇降カーテンの上昇下降に支障のないだけの開口部を残して別の板によって塞がれても良い。
【0033】
図10のように、カーテンボックスと窓枠とを連結して得られるカーテンボックス−窓枠連結体60は、室内側に突出することなく、壁内に内蔵することができるので、窓枠取付開口部70には採光調節に必要な昇降カーテン50だけしか目に付かなくなり、室内空間に圧迫感を与えることがない。
【0034】
本発明でいう昇降カーテンとは、ロールスクリーン、プリーツスクリーン、ブラインド、ローマンシェードの何れでもよく、ヘッドレールとは、巻き上げ式、畳み上げ式、引き上げ式の何れでも良く、または、電動式であってもよい。
【0035】
さらに、本発明に係るカーテンボックスのサイズに関しては、特に限定されないが、その幅は、窓枠の幅にほぼ等しいサイズであれば良く、その高さは、電動式レールの普及に伴い、ヘッドレールおよび装置が大型化していることから、それらを内蔵できるものとして、100cm以上、好ましくは150cm以上が良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るカーテンボックスを利用した時の窓周りを示す斜視図である。但し、前板を取り外して左斜め上から見下ろした状態を示す。
【図2】本発明に係るカーテンボックスを利用した時の窓周りを示す断面図である。
【図3】本発明に係る第1の実施形態であるカーテンボックスを示す斜視図である。但し、前板を取り外して左斜め上から見下ろした状態を示す。
【図4】本発明に係る第2の実施形態であるカーテンボックスを示す斜視図である。但し、前板を取り外して左斜め上から見下ろした状態を示す。
【図5】本発明に係る第2の実施形態であるカーテンボックスにおける挿入板および挿入板固定板の取付方法を示す斜視図である。但し、前板を取り外して左斜め上から見下ろした状態を示す。
【図6】本発明に係る第2の実施形態であるカーテンボックスにおける挿入板固定板を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るカーテンボックスにおいて、挿入板をカーテンボックスの底蓋とした場合の斜視図である。但し、左斜め上から見下ろした状態を示す。
【図8】本発明に係るカーテンボックスにおいて、挿入板の表裏両面にヘッドレールを固定した場合の斜視図である。但し、左斜め上から見下ろした状態を示す。
【図9】本発明に係るカーテンボックスが取付けられる窓枠を示す斜視図である。但し、左斜め上から見下ろした状態を示す。
【図10】本発明に係るカーテンボックスを利用した時の窓周りを示す斜視図である。但し、左斜め上から見下ろした状態を示す。
【図11】従来の正面付けのカーテンボックスを利用した時の窓周りを示す斜視図である。但し、左斜め上から見下ろした状態を示す。
【符号の説明】
【0037】
1:カーテンボックス
2:天板
3A、3B:側板
4:挿入板
5A、5B:レール取付部
6:窓枠連結部
7:挿入板固定部
8:挿入板高さ調節部
9:挿入板回転部
10:前板
11:本体
12:内側空間
13:下端開口
15A、15B:挿入板固定板
20:窓枠
21:上枠
22:貫通口
30:壁内
31:内壁の壁面構成材
32:外壁の壁面構成材
40:ヘッドレール
50、50A、50B:昇降カーテン
60:カーテンボックス−窓枠連結体
70:窓枠取付開口部
80:従来のカーテンボックス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の窓枠取付開口部において、前記開口部の上側縁の壁内に組み込まれて使用されるものであって、
少なくとも天板と、前記天板に設けられた左右に対向する一対の側板とからなる本体を有し、
前記天板および前記一対の側板によって内側空間が画成されるとともに、前記天板に対向する側には、前記窓枠取付開口部に臨む下端開口が形成されており、さらに、
前記本体に取付けられ、かつ前記内側空間内に配置されたレール取付部と、
前記本体に設けられ、前記本体を窓枠に連結するための窓枠連結部とを有することを特徴とする壁内蔵式カーテンボックス。
【請求項2】
前記レール取付部には、昇降カーテンのヘッドレールが取付けられるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の壁内蔵式カーテンボックス。
【請求項3】
前記内側空間内において前記一対の側板間に延びるとともに、両端部がそれぞれ関係する前記側板に取付けられた水平な挿入板をさらに有しており、前記レール取付部が前記挿入板の前記下端開口側に向かう面に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の壁内蔵式カーテンボックス。
【請求項4】
前記挿入板が前記側板に対して高さ調節可能に取付けられていることを特徴とする請求項3に記載の壁内蔵式カーテンボックス。
【請求項5】
前記挿入板が、前記一対の側板の間に延びる回転軸のまわりに、一方の面が前記下端開口側を向いて水平となる第1の位置と、他方の面が前記下端開口側を向いて水平となる第2の位置との間で回転可能に取付けられており、さらに、前記挿入板の表裏両面には、それぞれ別々の前記レール取付部が設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の壁内蔵式カーテンボックス。
【請求項6】
前記窓枠連結部を介して前記窓枠と連結されるとき、前記窓枠の上枠に前記レール取付部に取付けられた昇降カーテンおよび前記挿入板が上下方向に通過する貫通口が設けられることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の壁内蔵式カーテンボックス。
【請求項7】
前記一対の側板の前記内側空間に向かう面において、さらに、対向する一対の挿入板固定板が着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の壁内蔵式カーテンボックス。
【請求項8】
前記窓枠連結部を介して前記窓枠と連結されるとき、前記窓枠の上枠に前記レール取付部に取付けられた昇降カーテンおよび前記挿入板および前記挿入板固定板が上下方向に通過する貫通口が設けられることを特徴とする請求項7に記載の壁内蔵式カーテンボックス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−37986(P2007−37986A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−165443(P2006−165443)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000148151)株式会社川島織物セルコン (104)
【Fターム(参考)】