説明

壁埋込型空調室内ユニット

【課題】熱交換効率を向上させることができ、かつ、据付作業が繁雑になったり、設置できなくなったりするおそれを低減することができる壁埋込型空調室内ユニットの提供。
【解決手段】空調室内ユニット10は、室内の側壁Hに埋め込まれて設置される空調室内ユニットであって、ケーシング12と、室内熱交換器と、室内熱交換器から延びる第2補助冷媒配管36と、第2補助冷媒配管36と空調室外ユニットから延びる連絡配管32とを接続するための接続部33と、ケーシング12の左右方向を長手方向とする略直方体形状を呈する電装品箱40と、を備える。接続部33は、ケーシング12の上側に位置している。さらに、電装品箱40は、ケーシング12の上側であり、かつ、第2補助冷媒配管36と連絡配管32とが接続された後の接続部33の位置よりも正面側の所定位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の側壁に埋め込まれて設置される壁埋込型空調室内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内の側壁に埋め込まれて設置される壁埋込型空調室内ユニットがある。壁埋込型の空調室内ユニットには、例えば、特許文献1(特開平9−79658号公報)に開示されているように、ケーシング内に、電装品の収納された電装品箱や室内熱交換器が収納されており、電装品箱が室内熱交換器の側方に配置されているものが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、室内熱交換器による熱交換効率を向上させるためには、室内熱交換器のサイズを大きくすることが考えられる。そこで、従来の壁埋込型空調室内ユニットにおいて室内熱交換器の左右方向の寸法を長くすることで室内熱交換器のサイズを大きくしようとすると、室内熱交換器の収納されるケーシングの左右方向の寸法を長くしなければならず、壁埋込型空調室内ユニットのサイズが従来よりも大きくなってしまう。そして、このサイズの大きくなった壁埋込型空調室内ユニットを、従来の壁埋込型空調室内ユニットの設置されていた室内の側壁に設置しようとすると、側壁に設けられている開口を更に広げる作業が必要となり、据付作業が煩雑になるおそれがある。また、従来の壁埋込型空調室内ユニットが半間の柱間に設置されていた場合には、従来よりもサイズの大きくなった壁埋込型空調室内ユニットを設置しようとしても、柱間を広げることができないために、設置できなくなるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明の課題は、熱交換効率を向上させることができ、かつ、据付作業が繁雑になったり、設置できなくなったりするおそれを低減することができる壁埋込型空調室内ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る壁埋込型空調室内ユニットは、室内の側壁に埋め込まれて設置される壁埋込型空調室内ユニットであって、ケーシングと、室内熱交換器と、補助配管と、接続部と、電装品箱と、を備える。ケーシングには、吸い込み口が形成されている。また、吸い込み口は、ケーシングが側壁内に設置された状態で、室内に面する正面側に形成されている。室内熱交換器は、ケーシング内に収納されており、吸い込み口から取り込まれる室内空気の熱交換を行う。補助配管は、室内熱交換器から延びている。接続部は、補助配管と、空調室外ユニットから延びる連絡配管とを接続するためのものである。電装品箱は、ケーシングの左右方向を長手方向とする略直方体形状を呈する。また、接続部は、ケーシングの上側に位置している。さらに、電装品箱は、ケーシングの上側であり、かつ、補助配管と連絡配管とが接続された後の接続部の位置よりも正面側の第1所定位置に配置される。
【0006】
本発明の第1観点に係る壁埋込型空調室内ユニットでは、電装品箱は、ケーシングの上側であり、かつ、補助配管と連絡配管とが接続された後の接続部の位置よりも正面側の第1所定位置に配置される。このため、従来の壁埋込型空調室内ユニットにおいて電装品箱が設置されていた部分まで室内熱交換器の寸法を延ばすことができるため、ケーシングの左右方向の寸法を長くすることなく、室内熱交換器の左右方向の寸法を長くすることができる。
【0007】
これによって、熱交換効率を向上させることができ、かつ、据付作業が繁雑になったり、設置できなくなったりするおそれを低減することができる。
【0008】
本発明の第2観点に係る壁埋込型空調室内ユニットは、第1観点の壁埋込型空調室内ユニットにおいて、電装品箱の左右方向の寸法は、ケーシングの左側端部から補助配管と連絡配管とが接続された後の接続部までの寸法、又は、ケーシングの右側端部から補助配管と連絡配管とが接続された後の接続部までの寸法よりも短い。このため、接続部の正面に電装品箱が位置しないように第1所定位置を設定することができる。
【0009】
これによって、冷媒配管と連絡配管との接続作業の作業性を向上させることができる。
【0010】
本発明の第3観点に係る壁埋込型空調室内ユニットは、第1観点又は第2観点の壁埋込型空調室内ユニットにおいて、電装品箱は、ケーシングに着脱自在に取り付けられている。このため、この壁埋込型空調室内ユニットでは、冷媒配管と連絡配管とを接続した後に、電装品箱をケーシングに取り付けることができる。したがって、冷媒配管と連絡配管とを接続するための作業スペースを確保することができるため、冷媒配管と連絡配管との接続作業時の作業性を向上させることができる。
【0011】
本発明の第4観点に係る壁埋込型空調室内ユニットは、第1観点又は第2観点の壁埋込型空調室内ユニットにおいて、電装品箱は、ケーシング内から延びる電線に接続されており、電線に接続された状態で、第1所定位置よりも接続部から離れた第2所定位置に移動可能である。このため、この壁埋込型空調室内ユニットでは、冷媒配管と連絡配管とを接続する際に、電装品箱を第2所定位置に移動させることができる。したがって、接続部の正面側に作業スペースを確保することができるため、冷媒配管と連絡配管との接続作業時の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1観点に係る壁埋込型空調室内ユニットでは、熱交換効率を向上させることができ、かつ、据付作業が繁雑になったり、設置できなくなったりするおそれを低減することができる。
【0013】
本発明の第2観点に係る壁埋込型空調室内ユニットでは、冷媒配管と連絡配管との接続作業の作業性を向上させることができる。
【0014】
本発明の第3観点に係る壁埋込型空調室内ユニットでは、冷媒配管と連絡配管との接続作業時の作業性を向上させることができる。
【0015】
本発明の第4観点に係る壁埋込型空調室内ユニットでは、冷媒配管と連絡配管との接続作業時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る空調室内ユニットの正面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る空調室内ユニットの縦断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る空調室内ユニットの上面図。
【図4】(a)従来の空調室内ユニットの正面図(前面グリル及び化粧板は省略)、(b)本発明の一実施形態に係る空調室内ユニットの正面図(前面グリル及び化粧板は省略)。
【図5】従来の空調室内ユニットの縦断面図。
【図6】変形例Aに係る空調室内ユニットの据付作業を説明するための図。
【図7】変形例Bに係る空調室内ユニットの上面図。
【図8】参考例Aに係る空調室内ユニットの据付作業を説明するための図。
【図9】(a)本発明の一実施形態に係る空調室内ユニットの概略縦断面図、(b)参考例Bに係る空調室内ユニットの概略縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る空調室内ユニット10について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0018】
(1)空調室内ユニットの構成
空調室内ユニット10は、室内の側壁H内に埋め込まれて設置されるタイプの空気調和機の室内ユニットである。空調室内ユニット10は、図1及び図2に示すように、ケーシング11と、室内熱交換器20と、補助配管31と、接続部33と、電装品箱40と、化粧板12と、を備えている。以下、空調室内ユニット10の構成について説明する。
【0019】
(1−1)ケーシング
ケーシング11は、フレーム13と、前面グリル14と、を有する。フレーム13は、正面側(前側)に開口15を有する略長方形状の箱状の部材である。なお、本実施形態におけるフレーム13の正面側とは、ケーシング11が室内の側壁H内に設置された状態で室内に面する側を意味している。フレーム13の内部には、吸い込み空間16aと吹き出し空間16bとが構成されている。
【0020】
また、フレーム13内には、クロスフローファン60や室内熱交換器20等が収納されている。クロスフローファン60は、円筒形状を呈しており、周面には回転軸方向に羽根が設けられている。また、クロスフローファン60は、回転駆動することによって、回転軸と交わる方向に空気流を生成する。このため、クロスフローファン60は、室内の空気をフレーム13内の吸い込み空間16aに吸い込ませるとともに、室内熱交換器20との間で熱交換を行った後の空気を吹き出し空間16bを通過させて室内に吹き出させることができる。
【0021】
前面グリル14は、フレーム13の開口15を覆うように、フレーム13の正面側、すなわち、フレーム13の前面に取り付けられる。また、前面グリル14には、吸い込み口17と吹き出し口18とが設けられている。吸い込み口17は、空調室内ユニット10の長手方向、すなわち、水平方向に長い複数のスリット状の開口である。吸い込み口17は、室内の空気をケーシング11内に取り込むための開口であって、吸い込み空間16aと対向する位置に配置されている。また、吹き出し口18は、前面グリル14の下部に設けられており、吹き出し空間16bと対向する位置に配置されている。また、吹き出し口18近傍には、水平フラップ19が設けられている。水平フラップ19は、略長方形状の板状の部材であって、吹き出し口18から吹き出される空気を案内する。具体的には、水平フラップ19は、空調室内ユニット10の長手方向に平行な回転軸を有しており、回転軸を中心に回転駆動されることによって、空気の案内方向を変更する。室内から吸い込み口17を介してケーシング11内に取り込まれた空気は、熱交換によって調和され、吹き出し口18を通じて室内に吹き出される。
【0022】
(1−2)室内熱交換器
室内熱交換器20は、図2に示すように、クロスフローファン60の前方を覆うように配置されている。また、室内熱交換器20は、長手方向両端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管が挿通する複数のフィン21とから構成されている。室内熱交換器20では、クロスフローファン60の回転により吸い込み口17から吸い込まれた空気と、伝熱管の内部を通過する冷媒との間で熱交換が行われる。また、伝熱管は、室内熱交換器20の長手方向両端でU字型に折り返されている。さらに、室内熱交換器20の伝熱管は、補助配管31に接続されている。
【0023】
(1−3)補助配管
補助配管31は、室内熱交換器20から延びる配管であり、空調室外ユニット(図示せず)の有する室外熱交換器から延びる連絡配管32と接続される。補助配管31及び連絡配管32は、室内熱交換器20と室外熱交換器とを接続して冷媒回路を構成する。また、補助配管31は、冷媒回路中に冷媒を循環させるための液管31a及びガス管31bから構成されている。さらに、補助配管31は、第1補助冷媒配管35と、第2補助冷媒配管36とを有している。第1補助冷媒配管35は、室内熱交換器20の側面から突出している伝熱管に接続されている。第2補助冷媒配管36は、補助配管31と連続している。なお、ここでは、第1補助冷媒配管35とは、室内熱交換器20の側方に位置している配管を指しており、第2補助冷媒配管36とは、空調室内ユニット10が側壁Hに据え付けられた状態で、フレーム天面13aの上側、すなわち、室内熱交換器20の上方に取り回されて、ケーシング11の左右方向に延びている配管を指している。
【0024】
(1−4)接続部
接続部33は、補助配管31と連絡配管32とを接続するためのものである。また、接続部33は、第2補助冷媒配管36の端部に配置されており、空調室内ユニット10が側壁Hに据え付けられた状態で、フレーム天面13aの上側に配置される。なお、本実施形態では、接続部33とは、第2補助冷媒配管36の端部に配置されるフレアナット33aを指している。また、連絡配管32は、室外熱交換器と室内熱交換器20とを接続するための配管であって、液連絡配管32aとガス連絡配管32bとから構成されている。液連絡配管32a及びガス連絡配管32bは、フレアナット33aによって、液管31a及びガス管31bにそれぞれ接続される。
【0025】
(1−5)電装品箱
電装品箱40は、略直方体形状を呈する箱状の部材であって、空調室内ユニット10の備える各構成機器を駆動するためのコンデンサやトランジスタ等の部品や発光素子41aや受光素子等の部品が取り付けられている制御基板等の電装部品を収容している。また、発光素子41aは、表示部41として機能するように、その一部が電装品箱40から露出している。さらに、電装品箱40の底面40aには電装部品に接続された配線を通すための電装品箱側開口(図示せず)が形成されている。配線の端部にはコネクタ(図示せず)が設けられており、ケーシング11内から延びる配線のコネクタ(図示せず)と接続されることで、空調室内ユニット10の備える各構成機器と電気的に接続される。電装品箱40は、このような構成により、ケーシング11に着脱自在に取り付けられている。
【0026】
なお、本実施形態では、図2及び図3に示すように、空調室内ユニット10が側壁Hに据え付けられた状態で、電装品箱40は、フレーム天面13aの上側であって、第2補助冷媒配管36及び接続部33の位置よりも正面側、すなわち、第2補助冷媒配管36及び接続部33の位置よりも前側の所定位置(第1所定位置に相当)に配置されるものとする。また、電装品箱40は、所定位置に配置された状態では、ケーシング11の左右方向が長手方向となっている(図1及び図3参照)。
【0027】
なお、本実施形態では、電装品箱40の一部に表示部41が設けられているが、これに限定されず、表示部41を電装品箱40とは別に設け、電装品箱40と表示部41とを離れた位置に配置してもよい。
【0028】
(1−6)化粧板
化粧板12は、室内に居るユーザから接続部33や連絡配管32が視認し難くなるように、接続部33、連絡配管32及び電装品箱40の位置よりも前方に配置される細長い板状の部材である。また、化粧板12は、空調室内ユニット10の据付作業において、連絡配管32と補助配管31とを接続し、電装品箱40を所定位置に配置した後にケーシング11に固定される。なお、本実施形態では、化粧板12の長手方向の寸法は、フレーム13の左側端部から接続部33までの寸法よりも大きく、かつ、化粧板12の右側端部は、所定位置に配置された電装品箱40の左側端部と重なる。また、化粧板12がケーシング11に固定されることで、電装品箱40の前方への移動が規制される。
【0029】
(2)空調室内ユニットの据付作業
次に、空調室内ユニット10の据付作業について説明する。
【0030】
まず、側壁Hに設けられた据付用開口の縁に沿うように据付枠80を設置し、室内熱交換器20等の収納されたフレーム13を、据付枠80の所定の位置に固定する。次に、第2補助冷媒配管36をフレーム天面13aの上側に取り回し、フレアナット33aを用いて第2補助冷媒配管36と連絡配管32とを接続する。その後、電装品箱40から延びる配線とフレーム13内から延びる配線とを接続し、電装品箱40をフレーム天面13aの所定位置に配置する。そして、化粧板12をネジ止め等の手段でフレーム13に取り付け、前面グリル14をフレーム13及び据付枠80に固定することで、空調室内ユニット10の据え付け作業が完了する。
【0031】
(3)特徴
(3−1)
図4(a)は、従来の壁埋込型空調室内ユニット510の正面図であり、図4(b)は、本実施形態に係る壁埋込型空調室内ユニット10の正面図である。図5は、壁埋込型空調室内ユニット510の縦断面図である。なお、図4(a)において、符号541は表示部を示している。また、図4では、前面グリル及び化粧板を省略して描いている。
【0032】
従来の壁埋込型の空調室内ユニット510において、室内熱交換器520の熱交換効率を向上させるために、室内熱交換器520の左右方向の寸法L2を長くしようとすると、室内熱交換器520の収納されているフレーム513の左右方向の寸法を長くする必要がある。そして、この左右方向の寸法L2が長くなった空調室内ユニットを、従来の壁埋込型空調室内ユニット510の設置されていた室内の側壁Hに設置しようとすると、側壁Hに設けられている開口を更に広げる作業が必要となり、据付作業が煩雑となる。また、従来の壁埋込型空調室内ユニット510が半間の柱間に設置されていた場合には、左右方向の寸法L2が長くなった空調室内ユニットを設置しようとしても、柱間を広げることができないために、設置できなくなるおそれがある。
【0033】
そこで、本実施形態では、第2補助冷媒配管36の出口位置を、従来の空調室内ユニット510の第2補助冷媒配管536の出口位置よりも背面側(後側)に設定し、少なくとも補助配管31と連絡配管32との接続時及び接続後には、接続部33をフレーム13の上側に配置している。さらに、電装品箱40を、補助配管31と連絡配管とが接続された後の接続部33の位置よりも正面側の所定位置に配置している。このため、図4(a)及び図5に示すような従来の空調室内ユニット510において電装品箱540の設置されていた部分まで、室内熱交換器の寸法を延ばすことができるため、ケーシング11の左右方向の寸法を長くすることなく、室内熱交換器20の左右方向の寸法L1を長くすることができる。
【0034】
これによって、熱交換効率を向上させることができ、かつ、据付作業が繁雑になったり、設置できなくなったりするおそれを低減することができている。また、熱交換効率の向上により、省エネ運転が可能となる。
【0035】
また、従来の空調室内ユニット510において、熱交換効率を向上させるために、クロスフローファン560の風量を大きくすることが考えられるが、風量を大きくすると、クロスフローファン560の運転音が大きくなってしまう。さらに、室内熱交換器520の熱交換効率を向上させるために、サイズを変更せずに室内熱交換器520の性能を上げることが考えられるが、室内熱交換器520の構成が複雑になるおそれがある。
【0036】
そこで、本実施形態では、電装品箱40を第2補助冷媒配管36及び接続部33の位置よりも正面側に配置することで、ケーシング11の左右方向の寸法を長くすることなく、室内熱交換器20の左右方向の寸法L1を長くすることができるため、煩雑でない構成の室内熱交換器20で、かつ、クロスフローファン60の風量を大きくすることなく、熱交換効率を向上させることができている。
【0037】
さらに、本実施形態では、電装品箱40がケーシング11の上側に配置されているため、ケーシング11の左右方向の寸法を長くすることなく、クロスフローファン60のファンロータの寸法を長くすることができる。したがって、クロスフローファン60の径を大きくしなくても、風量を大きくすることができる。
【0038】
(3−2)
本実施形態では、電装品箱40は、空調室内ユニット10が側壁Hに据え付けられた状態で、フレーム天面13aの上側に配置されている。このため、室内熱交換器20で発生するドレン水が電装品箱40に流れるおそれを低減することができている。
【0039】
ところで、電装品箱がフレーム内部の吸い込み口近傍の空気流路内に配置されている場合、通風抵抗が大きくなり、風量が低下するおそれがある。そして、風量低下を補うためには、クロスフローファンの駆動量を大きくする必要がある。しかしながら、本実施形態では、第2補助冷媒配管36、接続部33、及び電装品箱40が、フレーム天面13aの上側に配置されているため、吸い込み口近傍の空気流路において、第2補助冷媒配管36、接続部33、及び電装品箱40による通風抵抗が生じない。これにより風量が低下するおそれを低減することができている。
【0040】
(3−3)
本実施形態では、電装品箱40が、ケーシング11に着脱自在に取り付けられている。このため、空調室内ユニット10の据付作業において、第2補助冷媒配管36と連絡配管32とを接続した後に、電装品箱40から延びる配線とフレーム13内から延びる配線とを接続して電装品箱40をフレーム天面13aの所定位置に配置することができる。したがって、第2補助冷媒配管36と連絡配管32との接続作業を行うための作業スペースを十分に確保することができるため、接続作業の作業性を向上させることができている。
【0041】
(4)変形例
(4−1)変形例A
上記実施形態では、電装品箱40がフレーム13に着脱自在に取り付けられている。
【0042】
これに代えて、フレームから延びる配線と電装品箱から延びる配線とが接続されている状態で、電装品箱を接続部の正面から移動させることができるようにしてもよい。
【0043】
例えば、図6に示すように、電装品箱140が、支点を中心に回転自在なヒンジ構造を備えていてもよい。より詳しくは、電装品箱140の底面の右側端部に、配線の通る電装品箱側開口140aaを設け、フレーム113のフレーム天面113aにおいて、電装品箱140が所定位置に配置された状態で電装品箱側開口140aaと対向する位置に配線の通るフレーム側開口113bを設けて、電装品箱140の回転にあわせて動くように配線にある程度の自由度をもたせることで、フレーム113内から延びる配線と電装品箱140から延びる配線とが接続されている状態で、電装品箱140を接続部33の正面側から移動させることができる。
【0044】
このような構成の空調室内ユニットを据え付ける場合、まず、側壁Hに設けられた据付用開口の縁に沿うように据付枠を設置し、電装品箱140内の電装部品と配線接続された状態のフレーム113を、据付枠の所定の位置に固定する。次に、電装品箱140を、図6に示すように、電装品箱側開口140aa及びフレーム側開口113bを通る配線を支点として、所定位置よりも接続部33から離れる方向に回転移動させて(例えば、電装品箱140を、90度回転移動させて)、所定位置とは異なる位置(第2所定位置に相当)に配置した後に、フレアナットを用いて第2補助冷媒配管36と連絡配管32とを接続する。その後、電装品箱140を所定位置に移動させ、化粧板をネジ止め等の手段でフレーム113に取り付ける。そして、前面グリルをフレーム113及び据付枠に固定することで、空調室内ユニットの据え付け作業が完了する。
【0045】
このように、フレーム113内から延びる配線に接続された状態の電装品箱140を、所定位置よりも接続部33から離れた位置に移動可能にすることで、第2補助冷媒配管36と連絡配管32とを接続するための作業スペースを確保することができる。この結果、第2補助冷媒配管36と連絡配管32との接続作業時の作業性を向上させることができる。また、電装品箱がケーシングに着脱自在に設けられている場合と比較して、配線端部にコネクタ等を設ける必要がなく簡易な構成となる。
【0046】
なお、図6では、電装品箱140及びフレーム113の構成以外の構成は、上記実施形態と同様であるため、電装品箱140及びフレーム113の構成以外の構成については、上記実施形態と同様の符号を付している。
【0047】
(4−2)変形例B
上記実施形態では、電装品箱40が所定位置に設置されている場合には、接続部33の正面に電装品箱40が配置されている(図3参照)。
【0048】
これに代えて、電装品箱が所定位置に設置されても、接続部の正面に電装品箱が配置されないように、第2補助冷媒配管が設計されていてもよい。例えば、図7に示すように、電装品箱40の左右方向の寸法L3が、ケーシング11の右側端部から接続部33までの寸法L4よりも短くなるように、第2補助冷媒配管436が設計されていてもよい。このように第2補助冷媒配管436が設計されている場合には、接続部33の正面側に電装品箱40が配置されないように所定位置を設定することができる。したがって、電装品箱40が所定位置に設置された状態であっても、第2補助冷媒配管436と連絡配管432とを接続するための作業スペースを確保することができるため、接続作業時の作業性を向上させることができる。なお、図7では、電装品箱40の所定位置を、ケーシング11の中央よりも右側に設定しているが、これに限定されず、ケーシング11の左側端部から接続部までの寸法が電装品箱の左右方向の寸法よりも長くなるように第2補助冷媒配管が設計されている場合には、接続部の正面側に電装品箱が配置されないように、電装品箱の所定位置をケーシングの中央よりも左側に設定してもよい。
【0049】
(5)参考例
(5−1)参考例A
上記実施形態では、空調室内ユニット10が側壁Hに据え付けられた状態で、接続部33の位置よりも正面側(前側)に電装品箱40が配置されている(図3参照)。
【0050】
これに代えて、配管接続作業の作業性を向上させるために、接続部と電装品箱とが左右方向に並んで配置されていてもよい。例えば、図8に示すように、第2補助冷媒配管236の端部をくの字状に曲げて接続部33をフレーム天面13aの前部に配置することで、第2補助冷媒配管236と連絡配管232との接続作業時の作業性を向上させることができる。
【0051】
なお、図8では、第2補助冷媒配管236及び連絡配管232の構成以外の構成は、上記実施形態と同様であるため、第2補助冷媒配管236及び連絡配管232の構成以外の構成については、上記実施形態と同様の符号を付している。
【0052】
(5−2)参考例B
上記実施形態では、図9(a)に示すように、電装品箱40がフレーム天面13aの上側に配置されている。これに代えて、フレームの上部に配置されるのであれば、図9(b)に示すように、電装品箱340がフレーム313の内部(フレーム天面313aの下側)に配置されていてもよい。図9(b)では、電装品箱340が室内熱交換器20よりも上側に配置されているため、室内熱交換器20で発生するドレン水が電装品箱340に流れるおそれを低減することができる。また、接続部33の正面側に電装品箱340が位置していない場合には、第2補助冷媒配管36と連絡配管32とを接続するための十分な作業スペースを確保することができるため、接続作業時の作業性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、熱交換効率を向上させることができ、かつ、据付作業が繁雑になったり、設置できなくなったりするおそれを低減することができる発明であり、壁埋込型空調室内ユニットへの適用が有効である。
【符号の説明】
【0054】
10 空調室内ユニット
12 ケーシング
17 吸い込み口
20 室内熱交換器
33 接続部
36,436 第2補助冷媒配管(補助配管)
40,140 電装品箱
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開平9−79658号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の側壁に埋め込まれて設置される壁埋込型空調室内ユニットであって、
前記側壁内に設置された状態で、前記室内に面する正面側に吸い込み口が形成されているケーシング(20)と、
前記ケーシング内に収納されており、前記吸い込み口から取り込まれる前記室内空気の熱交換を行う室内熱交換器(21)と、
前記室内熱交換器から延びる補助配管と、
前記補助配管と空調室外ユニットから延びる連絡配管(42)とを接続するための接続部と、
前記ケーシングの左右方向を長手方向とする略直方体形状を呈する電装品箱(30)と、
を備え、
前記接続部は、前記ケーシングの上側に位置しており、
前記電装品箱は、前記ケーシングの上側であり、かつ、前記補助配管と前記連絡配管とが接続された後の前記接続部の位置よりも正面側の第1所定位置に配置される、
壁埋込型空調室内ユニット(10)。
【請求項2】
前記電装品箱の左右方向の寸法は、前記ケーシングの左側端部、又は、前記ケーシングの右側端部から前記補助配管と前記連絡配管とが接続された後の前記接続部までの寸法よりも短い、
請求項1に記載の壁埋込型空調室内ユニット。
【請求項3】
前記電装品箱は、前記ケーシングに着脱自在に取り付けられている、
請求項1又は2に記載の壁埋込型空調室内ユニット。
【請求項4】
前記電装品箱は、前記ケーシング内から延びる電線に接続されており、前記電線に接続された状態で、前記第1所定位置よりも前記接続部から離れた第2所定位置に移動可能である、
請求項1又は2に記載の壁埋込型空調室内ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate