説明

壁板パネル構造

【課題】建物室内の側壁の壁板パネルに露出するように設置していた従来の壁コンセントや壁スイッチ等の電気機器装置を解消し、また室内に繁雑に張りめぐらせる前記配線や配管を配線カバーや配管を解消することをもって美観の優れ、施工時の繁雑な種々の配線、配管および電気機器装置の設置作業を省くこともできる壁板パネルを提供するとともに、更には、特に間仕切り用壁板パネル間の相互の連結を容易にするとともに、再利用率の高い建築物の壁板パネルの構造を提供する。
【解決手段】壁板パネル1内に配管および配線スペース3を設け、壁板パネル内1に電気機器装置13を格納できるスペース7を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式簡易店舗のように、移設や建て替えを必要し、配置変更が頻繁に行われる建築物に対して柔軟に対応できる外装や間仕切壁となる壁板パネルの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
組立式の簡易店舗などには、施工期間が短く、施工が容易なユニット型の建築物が用いられている。ユニット型の建築物は、一般に、建物本体の殆どを工場でモジュール化にし生産され、施工現場で基礎工事を終えた後に、建物本体を施工現場に搬入して、基礎に連結固定し完成させる。
【0003】
このようなユニット型の建築物は、建て替え時や配置変更時には、建物本体から壁板パネルを取り外し、必要な箇所に新たに壁板パネルを取り付けるという簡単な作業によって対応できるので便利である。
【0004】
しかしながら、これらユニット型の建築物の壁板パネルには、強度や断熱効果を保持するために、図3に示すように表面パネル1aに挟まれ、中間層に発泡材やハニカム材等で構成した断熱材2を有する積層構造の壁板パネル1が用いられている。そのため壁板パネル1の内部は断熱材2で埋められ中実となっているので、壁コンセント11aや壁スイッチ12aは図4に示すように建屋内の壁板パネル側面に露出した状態で取り付けられることが多い。
【0005】
しかし、壁コンセント11aや壁スイッチ12aの電気機器本体を前記壁板パネル1の内側面から露出した状態で取り付けると、室内の美観を損なうだけではなく、その突出が室内で作業を行なう者に対し思いもよらぬ傷害の原因にもなりうる。
【0006】
また、壁コンセント11aや壁スイッチ12aの配線15等を室内に設けた場合、図4に示すように配線設備などの配線15を設け引き回すなど、室内の美観の点からも好ましくなく、また施工の際にも作業の手間と時間が掛かる。
【0007】
更に、モジュール化されている殆どの壁板パネル建築部材では、電気配線の引き回し位置が、各建物毎に異なることが多い。このために、工場において、電気配線が必要な壁板パネルに配線ダクトを設置するなどの作業を行っている。なお、壁板パネル1は、連結材5によって、他の壁板パネルと連結されている。
【0008】
この結果、それまで使用していた配線ダクト付きの壁板パネルは再利用できなくなり、新たに工場において配線ダクトが取り付けられた壁板パネルを作成する必要がある。
【0009】
このように、従来におけるユニット型の建築物では、配線設置場所などについては規格化されておらず、これが障害となって、配線スペースについては個別に壁板パネルに施工を施す必要があり、またその結果、壁板パネルの再利用率が低くなる。
【0010】
一方、建屋の室内から配線および配管等を排除しうる手段として、特許文献1にあるような相互に連結固定される壁板パネルの側面に、壁板パネルとは独立して構成される配線ダクト部材を新たに設ける手段も見られるが、壁板パネル間に新たな部材を設けることによって、配線カバー体や取付螺子など部品数が嵩む点で問題がある。
【特許文献1】特開2003−41689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、これらの問題点に鑑みて、建物室内の側壁の壁板パネルに露出するように設置していた従来の壁コンセントや壁スイッチ等の電気機器を解消し、また室内に繁雑に張りめぐらせる前記配線や配管を配線カバーや配管を解消することをもって美観に優れ、施工時の繁雑な種々の配線、配管および電気機器の設置作業を省くこともできる壁板パネルを提供するとともに、更には、特に間仕切り用壁板パネル間の相互の連結を容易にするとともに、再利用率の高い建築物の壁板パネルの構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を解決するため、請求項1の発明は、内部に断熱材を有する壁板パネルの両側部に、配線および配管の通路を形成するためのスペースを設け、前記スペース内に、前記配線および配管などを通す剛性を有する中空の管材を、壁板パネルの上端から連結材を嵌め込むためのスペースを残して、前記断熱材の側面に沿うように垂直に設置したことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、前記管材の一側面には、縦に切り欠きを設け、前記断面形状を略C字状に成形した管材の開口側を前記断熱材と対面させたことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、前記管材の開口部に対面する断熱材の所定の箇所に、電気機器を収容するための収容部を、前記管材の中空部と連通するように部分的に設け、前記収容部に面した壁板パネルの内壁表面には、前記電気機器装置の操作部を設置するための孔を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、壁板パネル内に規格化された配管および配線スペースを設けることにより、室内に繁雑に張りめぐらせる前記配線カバーや配管の引き回しを解消し、施工時の種々の配線や配管ダクト等の繁雑な設置作業が格段に簡易となる。
【0016】
また、従来、壁板パネルの表面から突出させ取付けられていた壁コンセントや壁スイッチの電気機器は、壁板パネル内にこれら各機器を格納するためのスペースを設けることで、当該スペース内に格納することが可能となり、壁板パネルの表面には電気機器操作部のみを植設するので、これら各機器本体は従来のように室内に突出することはなく、すっきりとした室内施工が可能となる。
【0017】
更に、壁板パネル内に規格化された配線スペースの一部に、壁板パネル間を相互に連結する連結材を嵌め込むことにより、その作業が格段に簡易となり、短時間で建屋を組立てることができる。
【0018】
更にまた、施工前に、壁板パネル内に照明等の配線や配管および電気機器部等を事前に組込んでユニットとして完成させておけば、施工時の繁雑な種々の配線、配管および電気機器の設置作業を省くこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図面を参照して本発明を適用した壁板パネル構造の実施例を説明する。
【実施例1】
【0020】
図1Aおよび図1Bは、本発明の壁板パネル1の構造を示す第1の実施例である。
【0021】
図1Aは、壁板パネル1の平面図、図1Bは、図1AのA−A線断面図である。
【0022】
本発明を適用した壁板パネル1は、図1A示すように、断熱材2を両面から表面材1a間に挟んで構成され、両側端部(破線円)に、配線および配管の通路を形成するための上下に貫通したスペース3を設ける。このスペース3に、前記配線15および配管などを通す中空の管材6を、壁板パネル1の上端から連結材5を嵌め込むためのスペース3aを壁板パネル1の側端部に残し、図1Bに示すように、前記断熱材2の側面に沿うように垂直に設置する。ここで、管材6には、壁板パネル1の表面材1aを変形しないようある一定の状態保つために剛生を有する中空の管材を用いるのがよい。そしてこの管材6は、絶縁材で形成するのが最適である。
【0023】
壁板パネルの連結は、図1Bに示すように、壁板パネル1ともう1つの壁板パネル1の側面をそれぞれ接合し、前記スペース3a内において、断面が逆凹字状の連結材5を両方の壁板パネル1に跨ぐように嵌め込むことによって連結固定される。
【0024】
このように構成された壁板パネルにあっては、壁板パネル1内の両側部に照明等の配線などを収容しうるので、室内には照明等の配線や配管が繁雑に露出することのないすっきりとした室内の施工が可能となり、短時間にて配線作業を完了することができる。
【実施例2】
【0025】
図2Aおよび図2Bは、本発明の壁板パネル1の構造を示す第2の実施例である。
【0026】
図2Aは、壁板パネル1を連結した状態を斜視図、図2Bは、図2AのB−B線断面図である。
【0027】
実施例2では、図2Aおよび図2Bに示すように、実施例1と同様に壁板パネル1内に管材6aを設けるためのスペース3と壁板パネル1の上端から連結材5を嵌め込むためのスペース3aが壁板パネル1の側端部に設けられている。
【0028】
本実施例の管材6aでは、側面縦方向に切り欠きを設け、断面形状を略C字状に成形し、断熱材2の側面端部に対面するように設けてある。他方、壁板パネル1に組み込まれる断熱材2の内部には、照明等の電気機器13を収容できるだけのスペースを有する収容部7が前記管材6aの中空部と連通するように部分的に設けられている。収容部7をこのように構成することにより、前記収容部7に収容される電気機器13の配線を管材6aの中空部へ収めることが可能となる。
【0029】
また、壁板パネル1の内壁には、電気機器13を操作するためのコンセント11とスイッチ12が埋設するように設置してある。
【0030】
このように構成された壁板パネルにあっては、壁板パネルの内部に照明等の配線および空調設備などの配管、その他各種電気機器を収容し、その操作部を壁板パネルの内壁にこれを貫通して取り付けるので、図6に示す従来例のように壁板パネルの壁面にコンセントおよび壁スイッチを突出することがなく、また室内には、照明等の配線や空調設備等の配管が繁雑に露出することのないすっきりとした施工が可能となる。
【0031】
特に小型の簡易店舗にあっては、室内の空間を有効に活用することが可能となり、更に美観にも優れ、施工時においてもこれら繁雑な電気機器の配線作業を大幅に省くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本実施例では主に、壁板パネル1にはスイッチ及びコンセント等の電気機器を取付けた例を示したが、収容部を有する壁板パネル1の利用方法はこれらに限定されるわけではなく、他の機器等を収容、取付けすることができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】本発明の第1の実施例を示す壁板パネルの平面図。
【図1B】図1AのA−A線断面図。
【図2A】本発明の第2の実施例を示す壁板パネルを連結した状態を斜視図。
【図2B】図2AのB−B線断面図。
【図3】従来の壁板パネルを示す平面図。
【図4】従来の壁板パネルに壁スイッチおよび壁コンセントを設置した状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0034】
1 壁板パネル
1a 表面材
2 断熱材
3 スペース
3a スペース
5 連結材
6 管材
6a 切リ欠きを設けた管材
7 収容部
11 スイッチ
11a 壁スイッチ
12 コンセント
12a 壁コンセント
13 電気機器
15 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材を内部に有する外装用または間仕切り用の壁板パネルにおいて、内部に断熱材を有する壁板パネルの両側部に、配線および配管の通路を形成するためのスペースを設け、前記スペース内に、前記配線および配管などを通す剛性を有する中空の管材を、壁板パネルの上端から連結材を嵌め込むためのスペースを残して、前記断熱材の側面に沿うように垂直に設置したことを特徴とする壁板パネルの構造。
【請求項2】
前記管材の一側面には、縦に切り欠きを設け、前記断面形状を略C字状に成形した管材の開口側を前記断熱材と対面させたことを特徴とする請求項1記載の壁板パネルの構造。
【請求項3】
前記管材の開口部に対面する断熱材の所定の箇所に、電気機器を収容するための収容部を、前記管材の中空部と連通するように部分的に設け、前記収容部に面した壁板パネルの内壁表面には、前記電気機器の操作部を設置するための孔を設けたことを特徴とする請求項2記載の壁板パネルの構造。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate