説明

壁紙糊付機

【課題】 本発明は、糊付機後部から壁装材を引き入れる際に簡便な操作で装着することができ、テンションが旨く掛かるようなテンションバーを備えた壁紙糊付機を得る。
【解決手段】 スリッター部に至る壁装材の搬送経路中に配置されてこの搬送経路を通過する壁装材を屈曲させる少なくとも2本のテンションバー群を備え、テンションバー群がスリッター部の下方で糊付機本体後面の両側に配設された一対のテンションバー保持具と、保持具の各々に保持される一対の円管部と、これら一対の円管部の間に段違い状に配された第1テンション部と、一対の円管部とテンション部とを連結する一対の連結板からなる第1テンションバーと、第1テンションバーのテンション部の両端に装着された一対の装着部と、これら装着部の間に配され第1テンションバーの円管部と同一軸線上に配設可能な第2テンション部とからなる第2テンションバーとを備えたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内壁面等に貼付されるシート状壁装材の裏面に連続的に糊を塗布する壁紙糊付機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、建築物の内装施工における壁装材の室内壁面への貼付は、内装作業現場で専用の壁紙糊付機を用いてシート状の壁装材に連続的に糊を塗布しながら行うのが一般的となっている。この壁紙糊付機の一般的な構成としては、内部に複数のロールが配置された上部構体及び下部構体から主に構成される糊付機本体を脚部に支持された台座上に載置し、上下構体の間に挟み込んだシート状壁装材(以下、クロスとも記す)をロールで搬送しながら糊タンク内に軸支されている糊掻上げロールで糊タンクから糊をすくい上げて糊付けロールに転写し、この糊付けロールによりクロス裏面に塗付するものである。
【0003】
壁紙糊付機には作業者がクロスを引き出す手動式と、モータで糊付けロール等を駆動してクロスを引き出す自動式がある。具体的な構成の一例としては、下部構体上に原反ロールから繰り出したクロスを先端部が本体前面に垂れる状態で載置して上部構体を閉じ、下部構体及び上部構体の所定ロール間にクロスを挟み込んだ状態としておく。手動式装置ではクロス先端を作業者が手で持って前方へ引っ張ることによりロールの一部を追従回転させると共に他のロールをギアを介して連動回転させる。
【0004】
自動式装置では所定のロールの軸を電動モータ等の駆動源に連結して回転させることによって他のロールもギアを介して連動回転するものが一般的である。何れの糊付機もロールの回転でクロスを糊付機本体の後面から前面側へ搬送させる途中で糊タンク内から引き上げられて転写された糊を、糊付ロールの頂点近傍にて該ロールからクロス裏面に糊が転写され、糊塗布済み状態でクロスが前面から送り出されてくるという構成である。
【0005】
このような壁紙糊付機においては、本体部後方に支持されて糊付機本体部へ向かう糊付前の壁装材に張力を付与するために、壁装材の搬送経路位置でこの壁装材に当接する1本以上のテンションバーを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このような従来の壁紙糊付機においては、高機能でありながら、軽量化・コンパクト化を達成するため、複数のローラのローラ部有効幅長さを従来の糊付機よりも短くし、尚且つ、スリッター部が糊付機本体から飛び出すのを抑えるため、糊付機本体後面に本体幅方向に形成された凹状の装着開口部を備え、この凹状の装着開口部にスリッター部の前方部が陥入して取付け可能な形状とした糊付機(商品名「Fresco」)を販売するに至っている。
【0007】
図9は軽量化・コンパクト化を達成した糊付機のテンションバー群の動作を含む本体部側部断面図である。図9に示す通り、この糊付機91においては、スリッター部97が糊付機91本体内部へ埋め込まれるような構成であることより、巻き直しや耳部が潰れた壁装材9Cの場合には糊付機91後部から壁装材を引き入れる際にテンションが旨く掛からない問題を解決するために成されたものである。
【0008】
具体的には、、スリッター部97に至る壁装材9Cの搬送経路中に設置されるこの搬送経路を屈曲させるテンションバー群96が、糊付機91本体の幅方向に装着される第2テンションバー93と、この第2テンションバー93の両端部に回動可能に接続された一対のテンションバー保持具94と、第2テンションバー93の下方に一対のテンションバー保持具94によって両端部を保持された第1テンションバー92とを備えるものを提案した。尚、図9においては、より多くのテンションをかけるために、脚部テンションバー95及びスリッターテンションバー98も備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−342990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような第1テンションバー92及び第2テンションバー93を備えた壁紙糊付機においては、壁装材9Cを装着する際に、第1テンションバー92で糊付面側を当接させ、第2テンションバー93に表層面側を当接させてスリッター部97に導入される。この際に、第2テンションバー93と糊付機本体の背面との間が狭く、そのため、壁装材9Cを導入し難く、より簡便な操作で装着することの要望が現場の作業者からあった。
【0011】
本発明は、糊付機後部から壁装材を引き入れる際に簡便な操作で装着することができ、テンションが旨く掛かるようなテンションバーを備えた壁紙糊付機を得ることを目的とし、特にスリッター部が糊付機本体内部へ埋め込まれるような構成の壁紙糊付機において、テンションが旨く掛かるようなテンションバーを簡便な操作で装着することができる壁紙糊付機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載された発明に係る壁紙糊付機は、モータにより連動して回転駆動される複数のローラによりシート状壁装材を所定の経路に沿って移動させつつ糊桶内の糊を糊付けローラにより前記壁装材の裏面に連続的に塗布する壁紙糊付機本体と、この糊付機本体の後部に着脱可能に装着され、引き入れられる前記壁装材の両縁部を連続的に裁断するスリッター部とを備えた壁紙糊付機において、
前記スリッター部に至る前記壁装材の搬送経路中に配置されてこの搬送経路を通過する壁装材を屈曲させる少なくとも2本のテンションバー群を備え、
前記テンションバー群が、
前記スリッター部の下方で糊付機本体後面の両側に配設された一対のテンションバー保持具と、
前記保持具の各々に保持される一対の円管部と、これら一対の円管部の間に段違い状に配された第1テンション部と、一対の円管部とテンション部とを連結する一対の連結板からなる第1テンションバーと、
前記第1テンションバーのテンション部の両端に装着された一対の装着部と、これら装着部の間に配され前記第1テンションバーの円管部と同一軸線上に配設可能な第2テンション部とからなる第2テンションバーとを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に記載された発明に係る壁紙糊付機は、請求項1に記載の第1テンションバーの連結板の各々に、第1テンション部を一対の円管部の直下に対して後方に保持するために前記糊付機本体の後部又は脚部に当接する当接片を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に記載された発明に係る壁紙糊付機は、請求項1又は2に記載の第1テンションバーの一対の連結板の対向する箇所に、第2テンションバーの第2テンション部を円管部と同一軸線上に保持させる一対の掛止片を備え、
前記第2テンションバーの一対の装着部の外方に前記掛止片の各々に掛合する被掛止具が備わっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、糊付機後部から壁装材を引き入れる際に簡便な操作で装着することができ、テンションが旨く掛かるようなテンションバーを備えた壁紙糊付機を得ることができ、特にスリッター部が糊付機本体内部へ埋め込まれるような構成の壁紙糊付機において、テンションが旨く掛かるようなテンションバーを備えた壁紙糊付機を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例の壁紙糊付機の側面図である。
【図2】テンションバー群の構成を含む背面側斜視図である。
【図3】テンションバー群の構成を示す斜視図である。
【図4】図3のテンションバー群の第1テンションバーの構成を示す斜視図である。
【図5】図3のテンションバー群の第2テンションバーの構成を示す斜視図である。
【図6】別のテンションバー群の構成を示す斜視図である。
【図7】図6のテンションバー群の第1テンションバーの構成を示す斜視図である。
【図8】図6のテンションバー群の第2テンションバーの構成を示す斜視図である。
【図9】軽量化・コンパクト化を達成した糊付機のテンションバー群の動作を含む本体部側部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明においては、好ましくは糊付機本体後面に本体幅方向に形成された凹状の装着開口部を備え、スリッター部の前方部が凹状の装着開口部内に陥入して取付け可能な形状のスリッタ部を備えた壁紙糊付機であり、スリッター部に至る前記壁装材の搬送経路中に配置されてこの搬送経路を通過する壁装材を屈曲させる少なくとも2本のテンションバー群を備える。
【0018】
このテンションバー群として、スリッター部の下方で糊付機本体後面の両側に配設された一対のテンションバー保持具と;保持具の各々に保持される一対の円管部と、これら一対の円管部の間に段違い状に配された第1テンション部と、一対の円管部とテンション部とを連結する一対の連結板からなる第1テンションバーと;第1テンションバーのテンション部の両端に装着された一対の装着部と、これら装着部の間に配され前記第1テンションバーの円管部と同一軸線上に配設可能な第2テンション部とからなる第2テンションバーとを備えるため、糊付機後部から壁装材を引き入れる際に簡便な操作で装着することができ、テンションが旨く掛かることができる。
【0019】
好ましくは、本発明のテンションバー群の第1テンションバーの連結板の各々に、第1テンション部を一対の円管部の直下に対して後方に保持するために前記糊付機本体の後部又は脚部に当接する当接片を備える。これにより、壁装材の搬送経路が第1テンションバー及び第2テンションバーで大きく屈曲されることになり、良好なテンションをかけることができる。
【0020】
更に好ましくは、本発明の第1テンションバーの一対の連結板の対向する箇所に、第2テンションバーの第2テンション部を円管部と同一軸線上に保持させる一対の掛止片を備え、第2テンションバーの一対の装着部の外方に前記掛止片の各々に掛合する被掛止具が備わっている。これにより、簡便な操作で装着することができ、良好なテンションをかけることができる。
【0021】
本発明のテンションバー群のみでは良好なテンションをかけられない場合には、第1及び第2テンションバーとは別のテンションバーを、壁装材の搬送経路の上流側又は下流側に更に備えることにより、良好なテンションをかけることが可能となる。例えば、第1及び第2テンションバーの上流側として脚部に装着される脚部テンションバーや、壁装材をスリッターのガイド面部に押し付けるスリッターテンションバー等が挙げられる。
【0022】
また、本発明の壁紙糊付機本体としては、モータにより連動して回転駆動される複数のローラによりシート状壁装材を所定の経路に沿って移動させつつ、糊桶内の糊を糊付けローラにより前記壁装材の裏面に連続的に塗布する壁紙糊付機本体と、この糊付機本体の後部に着脱可能に装着され、引き入れられる前記壁装材の両縁部を連続的に裁断するスリッター部とを備え、糊付機本体後面に本体幅方向に形成された凹状の装着開口部を備え、スリッター部の前方部が前記凹状の装着開口部内に陥入して取付け可能とするものであれば良い。複数のローラのローラ部有効幅長さについては、壁装材の長さに応じた長さとすれば良いが、近年、コンパクト化が達成するためローラ部有効幅長さを1000mm以下920mm以上としたものであっても良い。
【実施例】
【0023】
1.全体構成
図1は本発明の一実施例の壁紙糊付機の側面図である。図2はテンションバー群の構成を含む背面側斜視図である。図3はテンションバー群の構成を示す斜視図である。図4は図3のテンションバー群の第1テンションバーの構成を示す斜視図である。図5は図3のテンションバー群の第2テンションバーの構成を示す斜視図である。図6は別のテンションバー群の構成を示す斜視図である。図7は図6のテンションバー群の第1テンションバーの構成を示す斜視図である。図8は図6のテンションバー群の第2テンションバーの構成を示す斜視図である。
【0024】
図1及び図2に示す通り、この壁紙糊付機は、糊付機本体1と、この糊付機本体1が載置される台座部15と、糊付機本体1を所定高さで支持するために台座部15の左右両端下部にそれぞれ前後に二本一対で配される前脚21と後脚22とで構成される脚部2とを備える。また、本体1と台座部15とは、糊付機本体1の両側壁下方の2箇所のフックに各々掛止される掛止錠(パチン錠)で固定される。
【0025】
糊付機本体1は、糊桶5を主とする下部構体3とその上に開閉可能に載置される上部構体4とによって構成される。下部構体3の一方の側板にはコントローラ(図示せず)が装着され、下部構体3の後面側には着脱可能にスリッター7が配され、上部構体4はこの下部構体3の上部を覆うように配されている。
【0026】
糊付機の各ローラは、コントローラ内の駆動源(図示せず)の駆動軸によって駆動される。例えば、糊付けローラ31の回転に伴って、ギアを介して回転運動が伝達された他のローラも回転し、上下部構体3,4間に挟み込まれているクロスCを後方から前方へ搬送し、その途中で糊付けローラ31上を搬送される際に糊桶5から引き上げられた糊がクロス裏面に転写塗布される。
【0027】
この糊付けローラ31は、下部構体3の左右両側壁面の軸支板に軸支され、できるだけ糊桶5内に沈む下方位置の配置となるように構成されている。また、糊桶5内の糊は糊付けローラ31に当接する糊上げローラ51によって行われ、糊上げローラ51は糊桶5の両側側面に中心より後面側寄りの位置で軸支され、糊桶5内の糊を回転によって掻き上げて糊付けローラ31に転写する。
【0028】
糊付けローラ31は、糊付機本体1に着脱自在に取付けられる駆動源である電動モータを備えたコントローラの駆動軸に連結されている。糊付けローラ31の回転軸は、下部構体3に配置される下ピンチローラ32、ドクターローラ33、均しローラ34及び上部構体4に配置される検尺ローラとして用いられる上ピンチローラ41、押さえローラ42、ドライブローラ43のうちの所定ローラの回転軸とギアを介して連動される。
【0029】
均しローラ34には、図1に示す通り、均しローラ34を介して送られて来る糊付済のクロスCを糊付機本体1の前面に案内するためにツメステーに略均等に長手方向に装着されたの複数個のツメ53が取付けられている。
【0030】
尚、壁紙糊付機の両側部には、ドクターローラ33の回動軸に偏心して固定された偏心ギアを駆動するレバー39を備え、このレバー39により偏心ギアによって保持されたドクターローラ33の軸端が糊付けローラ31と相対移動され、ドクターローラ33と糊付けローラ31との相対間隔が変化して、糊付けローラ31に付着する糊量を調整できるようになっている。
【0031】
左右一対の脚部2には、クロス受けブラケット25が回動自在に配されており、クロス受けブラケット25の先端部には、原反ロールの中心に通されたクロス芯棒26が軸支されている。
【0032】
2.テンションバー群構造1
図1及び図2に示す通り、原反ロールから繰り出されるクロスCは、後脚22間に脚部テンションバー28を経て、スリッター7の下方に設置された第1テンションバー61と第2テンションバー65とを備えたテンションバー群6で曲折されながら、スリッター7に搬送され、クロスの両側部が切断される。更に、クロスCをスリッターのガイド面部72に押し付けるスリッターテンションバー74によってもテンションがかけられる。
【0033】
脚部テンションバー28の装着は、後方に向かって斜め下方に形成されたU字溝とその中央に突設された案内突条とが形成された脚部テンションバー保持部27が後脚22の対向する各々の位置に形成されており、脚部テンションバー28の両端に形成された案内溝を案内突条に嵌挿して装着する。この脚部テンションバー28により、テンションバー群6のみではクロスCに良好なテンションをかけられない場合でも良好なテンションをかけることが可能となる。
【0034】
テンションバー群6の第1テンションバー61は、スリッター7の下方の台座部15の後面の両側に配設された一対のテンションバー保持具60の各々に保持される一対の円管部62と、これら一対の円管部62の内側に段違い状に配された第1テンション部63と、一対の円管部62とテンション部63とを連結する一対の連結板64からなる。
【0035】
テンションバー群6の第2テンションバー65は、第1テンションバー61のテンション部63の両端に装着された一対の装着部66と、これら装着部66の間に配され第1テンションバー61の円管部62と同一軸線上に配設可能な第2テンション部67とからなる。
【0036】
一対の装着部66は、先端部が開放され、第1テンションバー61のテンション部63が嵌合する内径を有する長孔状の嵌合溝66aが形成されている。これにより、クロスCを装着するには、一旦第2テンションバー65の第2テンション部67を円管部62と同一軸線から外して回動させておき(図1破線部)、脚部テンションバー28,第1テンションバー61を装着させた後、改めて回動させて第2テンション部67を円管部62と同一軸線に装着させた後、スリッター7を介して、糊付機1後方からクロスCを糊付機本体1に装着させる。これにより、簡便な操作で装着することができる。
【0037】
第1テンションバー61の第1テンション部63は、好ましくは、良好なテンションを与えるために、円管部62の直下に対して後方に保持する必要がある。そのため、第1テンションバー61の一対の連結板64の各々には、糊付機1本体の後脚部22の後背面に当接する当接片68を備える。
【0038】
また、第2テンションバー65は、第1テンションバー61の段違いの円管部62と同一軸線上に配される。このため、この位置で第2テンションバー65と第1テンションバー61とを固定するため、好ましくは、第1テンションバー61の一対の連結板64の対向する箇所に、第2テンションバー65の第2テンション部67を円管部62と同一軸線上に保持させる掛止手段69を備えればよい。
【0039】
具体的な掛止手段69としては、第1テンションバー61の一対の連結板64の対向する箇所に、第2テンションバー65の第2テンション部67を円管部62と同一軸線上に保持させるカップ状の掛止片69aを備え、第2テンションバー65の一対の装着部66の外方に前記掛止片の各々に掛合する被掛止具69bを備えるようなものであればよい。クロスCはこれら第1テンションバー61で曲折され、第2テンションバー65でも曲折されて、スリッター7に搬送される。
【0040】
これにより、壁装材の搬送経路が第1テンションバー及び第2テンションバーで大きく屈曲されることになり、良好なテンションをかけることができる。
【0041】
3.テンションバー群構造2
図6〜図7に示す通り、別のテンションバー群8としても良い。このテンションバー群8は、ステンレス製の金属管とその両端部に樹脂製の継合手段を備える。具体的には、テンションバー群8の第1テンションバー81は、前述のテンションバー群6と同様に、スリッター7の下方の台座部15の後面の両側に配設された一対のテンションバー保持具60の各々に保持される一対の円管部82と、これら一対の円管部82の内側に段違い状に配された第1テンション部83と、一対の円管部82とテンション部83とを連結する一対の連結板84からなる。尚、第1テンション部83及び円管部82はステンレス製であり、連結部84は樹脂製である。
【0042】
テンションバー群8の第2テンションバー85は、第1テンションバー81のテンション部83の両端に装着された一対の装着部86と、これら装着部86の間に配され第1テンションバー81の円管部82と同一軸線上に配設可能な第2テンション部87とからなる。尚、第2テンション部87はステンレス製であり、装着部86は樹脂製である。
【0043】
一対の装着部86は、先端部が開放され、第1テンションバー81のテンション部83が嵌合する内径を有する長孔状の嵌合溝86aが形成されている。これにより、クロスCを装着するには、一旦第2テンションバー85の第2テンション部87を円管部82と同一軸線から外して回動させておき、脚部テンションバー28,第1テンションバー81を装着させた後に、改めて、回動させて第2テンション部87を円管部82と同一軸線に装着させた後、スリッター7を介して、糊付機1後方からクロスCを糊付機本体1に装着させる。これにより、簡便な操作で装着することができる。
【0044】
第1テンションバー81の第1テンション部83は、好ましくは、良好なテンションを与えるために、円管部82の直下に対して後方に保持する必要がある。そのため、第1テンションバー81の一対の連結板84の各々には、糊付機1本体の後脚部22の後背面に当接する当接片88を備える。
【0045】
また、第2テンションバー85は、第1テンションバー81の段違いの円管部82と同一軸線上に配される。このため、この位置で第2テンションバー85と第1テンションバー81とを固定するため、好ましくは、第1テンションバー81の一対の連結板84の対向する箇所に、第2テンションバー85の第2テンション部87を円管部82と同一軸線上に保持させる掛止手段89を備えればよい。
【0046】
本実施例において、具体的な掛止手段89としては、第2テンションバー85の一対の装着部86の各々の外方に突設する突設片89aを備え、第1テンションバー81の一対の連結板84の突設片89aに対向する位置に突設片89aを保持する保持孔89bを備え、突設片89aが保持孔89bに保持された場合に、第2テンションバー85は、第1テンションバー81の段違いの円管部82と同一軸線上に配される。
【0047】
これにより、壁装材の搬送経路が第1テンションバー及び第2テンションバーで大きく屈曲されることになり、良好なテンションをかけることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 …糊付機本体、
15 …台座部、
16 …掛止錠、
2 …脚部、
21 …前脚、
22 …後脚、
25 …クロス受けブラケット、
26 …クロス芯棒、
27 …脚部テンションバー保持部、
28 …脚部テンションバー、
3 …下部構体、
31 …糊付けローラ、
32 …下ピンチローラ、
33 …ドクターローラ、
34 …均しローラ、
39 …糊厚調整レバー、
4 …上部構体、
41 …上ピンチローラ、
42 …押さえローラ、
43 …ドライブローラ、
44 …取手、
5 …糊桶、
51 …糊上げローラ、
53 …ツメ、
55 …スリッター装着開口部、
58 …被支持部、
59 …被掛止部、
6 …テンションバー群、
60 …テンションバー保持具、
61 …第1テンションバー、
62 …円管部、
63 …第1テンション部、
64 …連結板、
65 …第2テンションバー、
66 …装着部、
66a…嵌合溝、
67 …第2テンション部、
68 …当接片、
69 …掛止手段、
69a…掛止片、
69b…被掛止具、
7 …スリッター、
71 …駆動軸、
72 …ガイド面部、
73 …テンションバー支持具、
74 …スリッターテンションバー、
75 …支点、
76 …回転刃、
77 …カッターボックス、
78 …ブラケット、
79 …耳ガイドカバー、
8 …テンションバー群、
81 …第1テンションバー、
82 …円管部、
83 …第1テンション部、
84 …連結板、
85 …第2テンションバー、
86 …装着部、
86a…嵌合溝、
87 …第2テンション部、
88 …当接片、
89 …掛止手段、
89a…突設片、
89b…保持孔、
C …壁装材(クロス)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより連動して回転駆動される複数のローラによりシート状壁装材を所定の経路に沿って移動させつつ糊桶内の糊を糊付けローラにより前記壁装材の裏面に連続的に塗布する壁紙糊付機本体と、この糊付機本体の後部に着脱可能に装着され、引き入れられる前記壁装材の両縁部を連続的に裁断するスリッター部とを備えた壁紙糊付機において、
前記スリッター部に至る前記壁装材の搬送経路中に配置されてこの搬送経路を通過する壁装材を屈曲させる少なくとも2本のテンションバー群を備え、
前記テンションバー群が、
前記スリッター部の下方で糊付機本体後面の両側に配設された一対のテンションバー保持具と、
前記保持具の各々に保持される一対の円管部と、これら一対の円管部の間に段違い状に配された第1テンション部と、一対の円管部とテンション部とを連結する一対の連結板からなる第1テンションバーと、
前記第1テンションバーのテンション部の両端に装着された一対の装着部と、これら装着部の間に配され前記第1テンションバーの円管部と同一軸線上に配設可能な第2テンション部とからなる第2テンションバーとを備えたことを特徴とする壁紙糊付機。
【請求項2】
前記第1テンションバーの連結板の各々に、第1テンション部を一対の円管部の直下に対して後方に保持するために前記糊付機本体の後部又は脚部に当接する当接片を備えたことを特徴とする請求項1に記載の壁紙糊付機。
【請求項3】
前記第1テンションバーの一対の連結板の対向する箇所に、第2テンションバーの第2テンション部を円管部と同一軸線上に保持させる一対の掛止片を備え、
前記第2テンションバーの一対の装着部の外方に前記掛止片の各々に掛合する被掛止具が備わっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁紙糊付機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−10241(P2013−10241A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144053(P2011−144053)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(591012738)ヤヨイ化学工業株式会社 (41)
【Fターム(参考)】