説明

壁装材貼設補助具

【課題】板状の壁装材を接着剤により貼設する場合において、内壁の下地面との間隔を一定にして壁装材を貼設できるようにするとともに、接着剤が固化するまでの間壁装材を保持することで施工性を向上させ、さらに、壁装材の貼設後においては棚やフック等の装飾物を取り付けるための取付部として使用することができる壁装材貼設補助具を提供すること。
【解決手段】棒状本体部10と、下地面Xに固定されるように棒状本体部10の一端側に設けられた下地面固定部20と、棒状本体部10に配設されて壁装材200の背面縁部と当接する背面側当接部30とを備え、棒状本体部10は、軸方向に形成された筒状開口を有し、背面側当接部30は、棒状本体部10の外周面に形成された雄ねじ溝12に螺合して設けられるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石材やガラス、樹脂等からなる板状の壁装材を、建築物の内壁の下地面に一定の間隔を空けて貼設できるようにするとともに、貼設完了後において棚やフック等の装飾物を取り付けるための取付部として機能する壁装材の貼設補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の内壁を構成する壁装材としては、大理石や御影石といった石材や、ガラス、樹脂等から形成された板状の壁装材がある。このような壁装材を内壁の下地面に取り付ける工法の1つとして、壁装材の背面に団子状にした接着剤を4点又は5点点付けし、これを下地面に圧着させて接着することにより貼設する工法がある。
【0003】
しかしながら、当該工法では、下地面と壁装材との間に形成される接着剤層の厚みが、圧着のために加える力加減によって左右されるため、壁装材が下地面に対して斜めに貼設されたり、接着剤層の厚み、すなわち、壁装材の背面と下地面との間隔が、互いに隣接する壁装材の間で一定に定まらず段差ができてしまい、面一に貼設することが難しいという問題があった。このため、当該工法の施工には、熟練した技術が必要であった。また、接着剤が固化するまでの間に、壁装材が自重によって剥がれたりずれたりといった不都合があった。さらに、貼設作業は、通常、壁装材を壁面の下方から上方に積み上げるようにして行われるため、上方の壁装材の重みを下方の壁装材が受け止めることとなり、下方に位置する壁装材が固定された後(接着剤が固化した後)でなければ上方の壁装材の貼設が出来ず、結果として工期が長期化するといった問題があった。
【0004】
また、石材やガラス等からなる壁装材が貼設された内壁には、簡単に穴開けをすることができないため、棚やフック等の装飾物を後から取り付けるためには、別途工事を行う必要がった。
【0005】
このような事情から、板状の壁装材の取り付けと、装飾物の後付けを容易に行えるようにする手段が提案されており、例えば、棒体横倒コ字形状の平面に列状に嵌着孔が形成された棒体と、この棒体の嵌着孔に設けられたナットとから固定具を形成し、この固定具を平行枠状に組み合わせてなる枠体上に、ホルダーの挿通部と該挿通部の周縁に形成された段部とを備えたパネル材を載置し、壁装材の挿通部から固定具のナットへホルダーを螺合係止させ、ホルダーの周縁鍔で壁装材の段部を圧着することにより壁装材を枠体上へ固定してなる装飾パネルが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
この装飾パネルによれば、壁装材を面一に取り付けることが簡単にできるとともに、ホルダーを利用して棚やフック等の装飾物を後から取り付けることが可能となる。しかしながら、複数の部品からなる固定具を用意して、これを現場で組み立てる必要があることから、現場での資材管理と施工作業が煩雑であるとともに、ホルダーが圧着されるための段部を有する専用形状の壁装材を必要とすることから汎用性に欠けるという不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭64−1119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、板状の壁装材を接着剤により貼設する場合において、内壁の下地面との間隔を一定にして壁装材を貼設できるようにするとともに、接着剤が固化するまでの間壁装材を保持することで施工性を向上させ、さらに、壁装材の貼設後においては棚やフック等の装飾物を取り付けるための取付部として使用することができる壁装材貼設補助具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明が採った手段は、板状の壁装材を、内壁の下地面との間に一定の間隔を空けて貼設できるようにするとともに、貼設完了後においては装飾物を取り付けるための取付部となる壁装材貼設補助具であって、棒状本体部と、前記下地面に固定されるように前記棒状本体部の一端側に設けられた下地面固定部と、前記壁装材の背面縁部と当接させるべく前記棒状本体部に設けられた背面側当接部とを備え、前記棒状本体部は、その中心部において軸方向に延びる筒状開口と、その外周面に形成された雄ねじ溝とを有し、前記背面側当接部は、前記棒状本体部の前記雄ねじ溝に螺合して設けられることを特徴とする壁装材貼設補助具、である。
【0010】
本発明に係る壁装材貼設補助具は、棒状本体部と、この棒状本体部を下地面に固定するための下地面固定部と、壁装材の背面縁部と当接する背面側当接部とを備える。これにより、壁装材と下地面との間の間隔を簡単に決定することができる。また、背面側当接部が、棒状本体部の雄ねじ溝に螺着されているので、これを回転させることで棒状本体部の軸方向に移動させることができる。これにより、壁装材と下地面との間隔調節を可能としている。また、棒状本体部には筒状開口が形成されているので、壁装材の貼設完了後には、この筒状開口を利用して装飾物を取り付けることができる。
【0011】
ここで、「内壁」とは、建築物の家屋やビル等の各室を構成する壁面をいう。また、「壁装材」とは、例えば、大理石、花崗岩(御影石)、砂岩、石英石、ライムストーン、軟石、天然スレート等の石材や、ガラス材、木材、樹脂等を板状に成型してなる壁装材をいう。
【0012】
また、棒状本体部の他端側には、壁装材の表面縁部に当接する表面側当接部が着脱自在に設けられてもよい。表面側当接部を設けることで、背面側当接部との間で壁装材を挟み込むようにして保持することができるので、接着剤が固化するまでの間、壁装材が剥がれたりずれたりすることが防止される。また、着脱自在に設けることで、接着剤が固化した後で取り外すことができる。
【0013】
また、棒状本体部の筒状開口の内周部には、雌ねじ溝が形成されてもよい。これにより、筒状開口にボルトを螺合させることができるので、壁装材の貼設完了後において、ボルトを使って装飾物を取り付けることができるようになる。
【0014】
また、表面側当接部は、棒状本体部の筒状開口に螺合されるボルトによって着脱自在に設けられてもよい。これによって、表面側当接部の着脱を容易に行うことができる。
【0015】
また、下地面固定部は、背面側当接部と対向する面を備えた板状をなすと共に、棒状本体部の雄ねじ溝に螺合しうる雌ねじ部を有しており、該雌ねじ部は、前記対向面から前記背面側当接部に向けて突出する筒状に形成されるようにしてもよい。下地面固定部を棒状本体部に螺合して設けることで、棒状本体部の軸方向に移動させることができる。さらに、雌ねじ部を突出形成することで、棒状本体部の雄ねじ溝に対する螺合範囲を広く確保することができるので、下地面固定部の位置調節の範囲を拡張することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る壁装材貼設補助具によれば、壁装材と内壁の下地面との間隔を簡単に決定することができるので、隣接して貼設される壁装材間で段差を作ることなく面一に貼設することができるとともに、貼設に要する時間と労力を低減することができる。
【0017】
さらに、壁装材の貼設が完了した後においては、棚やフック等の装飾物を壁面に取り付けるための取付部として使用することができるので、貼設された壁装材を加工することなく装飾物を後付けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例に係る壁装材貼設補助具100の斜視図である。
【図2】実施例に係る壁装材貼設補助具100の分解斜視図である。
【図3】実施例に係る壁装材貼設補助具100であって、壁装材200の貼設直後の取付状態を示す断面図である。
【図4】実施例に係る壁装材貼設補助具100であって、壁装材200の貼設完了後の取付状態を示す断面図である。
【図5】実施例に係る壁装材貼設補助具100を用いて形成された内壁を示す斜視図である。
【図6】実施例に係る壁装材貼設補助具100であって、装飾物300を取り付けた状態を示す断面図である。
【図7】壁装材調節補助具100の他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る壁装材貼設補助具は、壁装材を内壁の下地面との間に一定の間隔を空けて貼設できるようにするとともに、貼設完了後において装飾物を取り付けるための取付部となるように、棒状本体部と、下地面固定部と、背面側当接部とを備える。
【0020】
棒状本体部は、壁装材貼設補助具において、壁装材と下地面との間隔を決定するためのいわゆるスペーサーとして機能するものである。従って、棒状本体部の軸方向長さ及び内外径は、貼設する壁装材の重量や厚み、壁装材と下地面との間に設けられる接着剤層の厚み等の条件に応じて設定することができる。また、棒状本体部は、その軸方向に筒状開口が形成される。筒状開口は、棚やフック、手すりといった各種装飾物の取付部として使用することができる。そこで、筒状開口には、各種装飾物を固定するためのボルトが螺合できるように、内周面に雌ねじ溝を形成してもよい。また、棒状本体部の外周面には、後述する背面側当接部が螺合されるための雄ねじ溝が形成される。雄ねじ溝は、棒状本体部の一端から他端まで連続して形成しても不連続に形成してもよいが、後述する背面側当接部の位置調節範囲を十分に確保するという点から連続して形成することが好ましい。
【0021】
下地面固定部は、棒状本体部を下地面に固定するものであり、棒状本体部の一端側に設けられる。下地面固定部の形状は、棒状本体部を下地面に安定固定できる大きさ及び形状であれば特に限定されず、例えば、円形や四角形等の板状に形成することができる。また、下地面に固定する手段も特に限定されず、例えば、ネジを挿通させるための穴部を1又は2以上形成しておき、この穴部にタッピングねじを挿通して下地面に固定したり、下地面との当接面に接着剤を塗布して固定したりすることができる。
【0022】
また、下地面固定部は、棒状本体部と一体に形成してもよいし、別部材として棒状本体部に設けてもよい。ここで、別部材とする場合には、棒状本体部の外周面に形成した雄ねじ溝に螺合する雌ねじ部を形成してもよい。こうすることで、雄ねじ溝に対する螺合位置を変えることで下地面固定部の位置調節も可能となる。また、この場合には、雌ねじ部は、前記対向面から前記背面側当接部に向けて突出する筒状に形成してもよい。こうすることで、棒状本体部の雄ねじ溝に対する螺合範囲を広く確保することができるので、下地面固定部の位置調節の範囲を拡張することができるからである。
【0023】
背面側当接部は、貼設される壁装材の背面縁部と当接して壁装材を支持するものであり、棒状本体部に形成される雄ねじ溝に螺合して設けられる。このため、背面側当接部は、壁装材の背面縁部を安定支持できる形状や大きさであれば特に限定されるものではなく、例えば、棒状本体部の雄ねじ溝と螺合する雌ねじ部を有する円形や四角形等の板状に形成することができる。
【0024】
また、本発明に係る壁装材貼設補助具には、棒状本体部の他端側、すなわち棒状本体部の下地面固定部が設けられる側と反対の側に、壁装材壁装材壁装材の表面縁部と当接する表面側当接部を着脱自在に設けてもよい。表面側当接部を設けることで、上述の背面側当接部とで壁装材をその表裏から挟み込んで保持することができるようになる。これにより、接着剤が固化する前において、壁装材が所定の貼設位置からずれたり剥がれたりすることを防止することができる。また、着脱自在とすることで、接着剤が固化した後で取り外すことができるので、施工後の壁面の美観を損なうこともない。表面側当接部は、壁装材の表面縁部を安定して保持することができる形状や大きさであれば特に限定されるものではなく、例えば、円形や四角形等の板状に形成することができる。また、棒状本体部に着脱自在に設ける手段としては、例えば、棒状本体部の筒状開口に差し込まれるキャップ部を形成することや、筒状開口に雌ねじ溝が形成される場合には、ボルト挿通部を形成してボルトの軸部分を挿通し、これを筒状開口に螺合させて固定することが挙げられる。
【0025】
以下に、本発明に係る壁装材補助具の実施例を図に基づいて説明する。
【実施例】
【0026】
図1及び図2には、本実施例に係る壁装材貼設補助具100が示されている。壁装材貼設補助具100は、棒状本体部10と、下地面固定部20と、背面側当接部30と、表面側当接部40とを備える。
【0027】
棒状本体部10は、筒状開口11を有する略円筒形に形成されており、その外周部には、雄ねじ溝12が軸方向の全長にわたって形成されている。また、筒状開口11の内周部には、雌ねじ溝13が軸方向の全長にわたって形成されている。
【0028】
下地面固定部20は、下地面と当接する当接面20aと、非当接面20bとを有する円形板状に形成されている。そして、その中心部分には、棒状本体部10の雄ねじ溝12と螺合する雌ねじ部21が形成され、棒状本体部10の一端側10aに螺合されている。また、雌ねじ部21は、棒状本体部10の雄ねじ溝12に対する螺合範囲を広く確保するために、非当接面部20bから突出する筒状に形成されている。さらに、下地面固定部20には、当接面部20aと非当接面部20bとを貫通し、下地面に固定するためのタッピングねじ60を挿通させるための穴部22が6つ形成されている。この6つの穴部22のうちの3つの穴は近接して形成されており、残りの3つの穴は互いに離隔して形成されている。このように穴部22を不規則に形成することで、タッピングねじで固定する際に挿通させやすい位置の穴部22を選択することができる。
【0029】
背面側当接部30は、円形板状に形成され、その中心部分には、雌ねじ部31が形成されている。そして、この雌ねじ部31を、棒状本体部10の雄ねじ溝12に螺合することによって棒状本体部10に螺着されている。また、背面側当接部30の外周部には、複数の切欠部32が一定の間隔を空けて設けられており、ここにマイナスドライバー等の工具を係止させて背面側当接部30を回せるようにしている。
【0030】
表面側当接部40は、ボルト50が挿通されるように円筒形状に形成されたボルト挿通部41を有し、このボルト挿通部41の一端側に、ボルト挿通部41と連通する穴部を有する円形板状の当接部42が形成されている。そして、ボルト挿通部41にボルト50を挿通した状態で、ボルト50を棒状本体部10の筒状開口11に螺合させることによって、棒状本体部10の他端側10bに着脱自在に取り付けられている。
【0031】
図3には、壁装材貼設補助具100を用いて下地面Xに壁装材200a及び200bを上下に貼設した状態が示されており、図4には、壁装材200a及び200bの貼設後に表面側当接部40を取り外した状態が示されている。また、図5には、壁装材200の貼設が完了した内壁が示されている。
【0032】
壁装材200には、大理石を400mm×400mm×13mmの板状に成型加工したものを用いている。そして、図5に示すように、複数の壁装材200がその四方に隣接して貼設されることによって内壁Bが形成されており、壁装材貼設補助具100は、壁装材200の背面側の4隅にそれぞれ配置されている。ここで、図示していないが、各々の壁装材200の4隅の角部は面取りされており、壁装材200が貼設されたときに、それぞれの壁装材200の4隅に隙間部分が形成されるようにしている。つまり、壁装材貼設補助具100は、この隙間部分を使って配置されることとなる。
【0033】
図3に示すように、壁装材貼設補助具100は、下地面固定部20の穴部22に挿通されたタッピングねじ60によってねじ止めされることにより下地面Xに固定される。そして、背面側当接部30が、下地面Xに貼設される壁装材200a及び200bの背面縁部の隅部分と当接し、さらに表面側当接部40が、壁装材200の表面縁部の隅部分と当接することによって、下地面Xと壁装材200との間隔が決定される。つまり、棒状本体部10と表面側当接部40とによって、下地面Xと壁装材200の表面側との距離(L1)が決定される。そして、背面側当接部30が壁装材200の背面縁部と当接するように、壁装材200の厚み(L2)に応じて雄ねじ溝12への螺合位置が調節されることによって下地面Xと壁装材200との間隔(L3)が決定されるのである。このようにして、壁装材貼設補助具100を壁装材200の4隅に配設することによって、各々の壁装材200が下地面Xに対して一定の間隔を有して貼設されることとなるのである。
【0034】
次に、壁装材貼設補助具100の使用方法について説明する。ここでは、図3に示すように、壁装材200aを貼設した後、その上方に壁装材200bを貼設する場合について説明する。まず、壁装材200aの背面の複数箇所に、団子状にした接着剤Yを点付けし、この接着剤Yが点付けされた背面を下地面Xの所望の位置に向け、軽く接触させる程度の力で押しつける。次いで、壁装材200aの隅部分に壁装材貼設補助具100の表面側当接部40を当てがって背面側当接部30の螺合位置を調節して、壁装材200aの隅部分を表面側当接部40と背面側当接部30とで挟み込むようする。そして、下地面固定部20が下地面Xと当接するまで、壁装材200aを下地面Xに押しつけたら、穴部22にタッピングねじ60を挿通して下地面固定部20を下地面Xに固定する。このときに、壁装材200aの保持が十分にできていなければ、切欠部32にマイナスドライバーの先端等を係止させて背面側当接部30を回すことによって、その調節を行うことができる。以上の操作によって、壁装材貼設補助具100を用いた壁装材200aの貼設作業が完了する。
【0035】
次いで、貼設された壁装材200aの上方に隣接するように、第2の壁装材200bを貼設していく。まず、壁装材200bの背面に、壁装材200aと同様にして接着剤Yを点付けする。そして、壁装材200aに用いられている既設の壁装材貼設補助具100の背面側当接部30と表面側当接部40との間に、壁装材200bの下方に位置する隅部分を挟み込ませる。このときに、背面側当接部30の位置を再調節する必要があれば、切欠部32にマイナスドライバーの先端を係止させて回すことによって、その調節をすることができる。次いで、壁装材200aと同様の方法で、壁装材200bの他の隅部分に新しく壁装材貼設補助具100を配設していく。このときに、下地面Xと壁装材200bとの間隔(L3)の調節をする必要がある場合には、下地面固定部20を回してその位置を変更することで行うことができる。この工程を繰り返し行うことにより、複数の壁装材200を下地面Xの全面にわたって貼設することができる。
【0036】
貼設作業後に接着剤Yが完全に固化すれば、壁装材貼設補助具100による壁装材200の保持は不要となるので、ボルト50を緩めて表面側当接部40は取り外すことができる。そして、図4に示すように、表面側当接部40を取り外した後には、棒状本体部10の筒状開口11を塞ぐためにボルト50を再び螺合させておく。これによって、壁装材貼設補助具100の露出がなくなることとなる。
【0037】
図6には、壁装材貼設補助具100を利用して装飾物300を取り付けた状態が示されている。図6に示すように、壁装材200が貼設された内壁には、壁装材貼設補助具100を利用して棚やハンガーフック等の装飾物300を取り付けることができる。つまり、棒状本体部10の筒状開口11からボルト50を取り外し、装飾物300の取付用ボルト70を装飾物300側に形成されたボルト穴301に挿通させた状態で筒状開口11に螺合させることで、装飾物300が取り付けられるのである。
【0038】
本実施例に係る壁装材貼設補助具100によれば、棒状本体部10が下地面固定部20によって下地面Xに固定されるとともに、背面側当接部30が、下地面Xに貼設される壁装材200の背面縁部と当接することによって、下地面Xと壁装材200との間隔を簡単に決定することができる。そして、背面側当接部30は、棒状本体部10の雄ねじ溝13への螺合を調節することでその位置を変更することができるので、壁装材200の厚みに応じた位置に設定することができる。また、表面側当接部40が、壁装材200の表面縁部と当接し、かつ背面側当接部30とで壁装材200の縁部をその両面から挟み込むので、接着剤Yが固化してない状態でも壁装材200をしっかりと保持して、剥離やずれが生じることを防止することができる。さらに、表面側当接部40を、ボルト50によって棒状本体部10に着脱自在に設けているので、接着剤Yが固化した後でボルト50を緩めれば、表面側当接部40を簡単に取り外すことができる。これにより、各々の壁装材200を面一に美しく貼設することが簡単にできるので、美しい内壁に仕上げることができるとともに、施工にかかる時間と労力を大きく低減することができる。
【0039】
また、本実施例に係る壁装材貼設補助具100によれば、壁装材200が貼設された後において、棒状本体部100の筒状開口11に、棚やハンガーフック等の装飾物300を取り付けるためのボルト70を螺合させることができる。これにより、壁装材200が貼設された内壁に、特別な加工を施さなくとも装飾物300を簡単に後付けすることができる。
【0040】
尚、本実施例では、壁装材貼設補助具100の背面側当接部を円形板状に形成しているが、図7に示すように、これを四角形板状に形成することもできる。また、壁装材200を貼設する際に、壁装材貼設補助具100を壁装材200の隅部分に配設しているが、この位置に限らず、例えば、壁装材200の縁部の中間部分に1又は2以上配設してもよい。この場合には、壁装材200の当該縁部中間部分に壁装材貼設補助具100の逃げとなる切欠部を予め形成しておくとよい。また、壁装材200が軽量であるために接着剤の固化前であっても剥離やずれが生じるおそれがない場合等、表面側当接部40による保持が不要である場合には、これを省略してもよい。また、使用方法も本実施例に限定されず、例えば、予め壁装材貼設補助具100を下地面Xに固定しておいてから、壁装材200を貼設していっても構わない。
【符号の説明】
【0041】
10 棒状本体部
11 筒状開口
12 雄ねじ溝
20 下地面固定部
21 雌ねじ部
30 背面側当接部
40 表面側当接部
50 ボルト
100 壁装材貼設補助具
200 壁装材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の壁装材を、内壁の下地面との間に一定の間隔を空けて貼設できるようにするとともに、貼設完了後においては装飾物を取り付けるための取付部となる壁装材貼設補助具であって、
棒状本体部と、
前記下地面に固定されるように前記棒状本体部の一端側に設けられた下地面固定部と、
前記壁装材の背面縁部と当接させるべく前記棒状本体部に設けられた背面側当接部とを備え、
前記棒状本体部は、その中心部において軸方向に延びる筒状開口と、その外周面に形成された雄ねじ溝とを有し、
前記背面側当接部は、前記棒状本体部の前記雄ねじ溝に螺合して設けられることを特徴とする壁装材貼設補助具。
【請求項2】
棒状本体部の他端側には、壁装材の表面縁部に当接する表面側当接部が着脱自在に設けられることを特徴とする請求項1に記載の壁装材貼設補助具。
【請求項3】
棒状本体部の筒状開口の内周面には、雌ねじ溝が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁装材貼設補助具。
【請求項4】
表面側当接部は、棒状本体部の筒状開口の雌ねじ溝に螺合されるボルトによって着脱自在に設けられることを特徴とする請求項3に記載の壁装材貼設補助具。
【請求項5】
下地面固定部は、背面側当接部と対向する面を備えた板状をなすと共に、棒状本体部の雄ねじ溝に螺合しうる雌ねじ部を有しており、
該雌ねじ部は、前記対向面から前記背面側当接部に向けて突出する筒状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の壁装材貼設補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−127285(P2011−127285A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284032(P2009−284032)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(594157717)シーベック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】