説明

壁面の塗装方法

【課題】マスキングテープを1回だけ貼るだけで多層塗装を施工することができる壁面の塗装方法を提供する。
【解決手段】マスキングテープ4は、下層側の第1テープ1と、上層側の第2テープ2と、第1テープ1に貼着された離型紙3とを有する。第2テープのテープ幅は第1テープよりも小さい。また、第2粘着剤2aの粘着力は第1粘着剤1aの粘着力よりも小さい。第1塗り材(例えば壁塗装用のアンダーコート)を塗装対象面に塗布し、この第1塗り材が乾く前に第2テープを剥す。その後、第1塗り材が乾いた後、第2塗り材(例えば壁塗装用のトップコート)を塗布し、該第2塗り材が乾く前に第1テープ1を剥す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面の塗装方法に係り、特にマスキングテープを用いた壁面の塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁、窓壁等の壁面に塗装を施す場合にマスキングテープを用いることは周知である(例えば特開平9−53314号)。この特開平9−53314号では、マスキングテープを用いて塗布後、マスキングテープを剥し、透明コート層を塗布する2層塗りを行っている。
【特許文献1】特開平9−53314号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特開平9−53314号では、2層目の透明コート層の塗布に際してはマスキングテープは用いられていない。
【0004】
従来、マスキングテープを用いて壁面の塗りを行うに際し、塗装が乾燥した後、マスキングテープを剥がした場合、塗装にひび割れ等が生じるため、2層塗りを行う場合には、1層目の塗布後、1層目用マスキングテープを剥してから2層目用マスキングテープを貼るようにしており、マスキングテープを貼るのに2度の手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、マスキングテープを1回だけ貼るだけで多層塗装を施工することができる壁面の塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の壁面の塗装方法は、塗り材を壁面に塗る壁面塗装方法において、塗り面とは異なる部分及び/又は部材の端部に複数層から成るマスキングテープを貼り、第1塗り材を壁面下地材に塗布後、該マスキングテープの最上層を剥し、その後、さらに第2の塗り材を塗布し、その後、該マスキングテープを剥すことを特徴とするものである。
【0007】
なお、「塗り面とは異なる部分」とは、塗り材を塗る領域と塗らない領域との境界をいう。「塗り面とは異なる部材」とは、窓枠や扉枠などのことである。
【0008】
請求項2の壁面の塗装方法は、請求項1において、該マスキングテープは、上層ほどテープ幅が小さいことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の壁面の塗装方法は、請求項1又は2において、該マスキングテープは上層ほど粘着力が小さいことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の壁面の塗装方法では、例えば、軒天やサッシの塗り面側の端部にマスキングテープを貼着した後、第1塗り材を塗装する。第1塗り材が固化する前に第2テープを剥がし、第2の塗り材を塗装し、その後、第1のテープを剥がす。
【0011】
本発明方法で用いているマスキングテープは、複数層から成るため、第1塗り材を塗布後、マスキングテープの最上層を剥し、第2塗り材を塗布することができる。即ち、第2層の塗装のために新たなマスキングテープを貼ることが不要である。このため、多層塗装を効率良く行うことが可能である。
【0012】
なお、請求項2の通り、マスキングテープは上層ほどテープ幅が小さいものである場合、あるいは請求項3の通り、上層ほど粘着力が小さいものである場合、上層のものを剥すときに下層のものが共剥しされることが防止され、上層のものだけを容易に剥し取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る壁面の塗装方法に用いられるマスキングテープの断面図である。第3図は塗装方法を示す断面図である。
【0014】
このマスキングテープ4は、下層側の第1テープ1と、上層側の第2テープ2と、第1テープ1に貼着された離型紙3とを有する。第1テープ1と離型紙3とは第1粘着剤1aによって付着され、第1テープ1と第2テープ2とは第2粘着剤2aによって付着されている。なお、第1テープ1の下面に離型紙3が付着され、第1テープ1の上面に第2テープ2が付着されている。
【0015】
第2テープのテープ幅は第1テープよりも小さい。また、第2粘着剤2aの粘着力は第1粘着剤1aの粘着力よりも小さい。
【0016】
このマスキングテープ4を用いて塗装を行うには、第3図に示すように離型紙3を剥し第1粘着剤1aを介して該マスキングテープをマスキング対象物(例えば壁面の一部や、壁面に隣接するサッシなど)に貼る。次いで、第1塗り材(例えば壁塗装用のアンダーコート)を塗装対象面にこて等を用いてこすりつけるように塗布し、この第1塗り材が乾く前に第2テープを剥す。その後、第1塗り材が乾いた後、第2塗り材(例えば壁塗装用のトップコート)を塗布し、該第2塗り材が乾く前に第1テープ1を剥す。
【0017】
第3図は柱と窓枠(扉枠)の取り合いを示す断面図である。柱10と胴縁11の間に透湿防水シート12を挟み、その上に外壁下地材13を胴縁11を介して釘9等によって固定する。窓枠14と外壁下地材13の隙間にはバックアップ材15を詰め、その上にシーリング16を施している。この外壁下地材13に下塗り材20と仕上げ材21を塗る際には、マスキングテープ4から離型紙3を剥がし、第2テープ2が短くなっている方の端部を塗り面とは異なる側にして該マスキングテープ4を窓枠14に貼着する(第3図(a))。その後、外壁下地材13に下塗り材20をこてで塗り、下塗り材20が乾く前に第2テープ2を剥がす。下塗り材20が乾燥後、仕上げ材21を下塗り材20と同様にこてで塗り、これが乾く前に第1テープ1を剥がして外壁を仕上げる(第3図(b))。
なお、本発明では、第2図のマスキングテープ4’のように、第1テープ1と第2テープ2とが等幅であってもよい。
【0018】
また、本発明では、マスキングテープは、テープ長辺側端部の一方において第2テープより第1テープが短く、他方の端部は第1テープが第2テープより短くてもよい。この場合、第1テープが短い方の端部を外壁下地材側に貼着する。これにより第2テープを剥しやすく、かつ下塗り材を塗ったあと、第2テープを剥がした際に下塗り材を施した部分に第1テープが残っていないため、仕上げ材を施した後に第1テープを剥がす際、乾燥した下塗り材に第1テープを剥がすと同時にひびが入る等、下塗り材に影響を及ぼすことがない。
【0019】
このように、第2塗り材を塗布するときに新たなマスキングテープを貼ることが不要であり、貼り付け済みのマスキングテープの第2テープ2を剥がすだけでよい。従って、マスキングテープを貼る手間が少なく、施工効率が良い。
【0020】
この実施例では第1塗り材とは下地の不陸調整材、下地の色を隠蔽するための下地と同系色の塗り材のことをいい、第2塗り材とは仕上げ面を形成する塗り材のことをいう。また、塗り材はアクリルエマルジョン、変性シリコンが好適であるが、樹脂モルタル等を用いてもよい。
【0021】
この実施の形態では、第2テープ2のテープ幅が第1テープ1のテープ幅よりも小さいので、第2テープ2を剥し易い。また、第2粘着剤2aの粘着力が第1粘着剤1aの粘着力よりも小さいので、第2テープ2を剥すときに第1テープ1を一緒に剥してしまうことがなく、第2テープのみを容易に剥すことができる。
【0022】
なお、第1テープ1及び第2テープ2並びに離型紙3は、いずれも手で切断することができるように紙製とすることが望ましい。
【0023】
また、ロール状のマスキングテープの場合、裏面に離型紙を設けず、表装に離型剤が塗布されていてもかまわない。
【0024】
上記実施の形態ではマスキングテープは2層であるが、3層以上から成ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】マスキングテープの断面図である。
【図2】別のマスキングテープの断面図である。
【図3】塗装方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 第1テープ
2 第2テープ
3 離型紙
4,4’ マスキングテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗り材を壁面に塗る壁面塗装方法において、塗り面とは異なる部分及び/又は部材の端部に複数層から成るマスキングテープを貼り、第1塗り材を壁面下地材に塗布後、該マスキングテープの最上層を剥し、その後、さらに第2の塗り材を塗布し、その後、該マスキングテープを剥すことを特徴とする壁面の塗装方法。
【請求項2】
請求項1において、該マスキングテープは、上層ほどテープ幅が小さいことを特徴とする壁面の塗装方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、該マスキングテープは上層ほど粘着力が小さいことを特徴とする壁面の塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−190475(P2007−190475A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10088(P2006−10088)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】