説明

壁面用建材

【課題】タイルのように施工が可能で、色素増感太陽電池を用いた壁面の意匠化が可能で、耐久用途にも可能で、壁面での発電が可能な壁面用建材を提供する。
【解決手段】面積が0.5〜100cmで複数の色素増感太陽電池1、1…を備える。タイルのように施工が可能で、割れにくく、色素増感太陽電池1の個数を増減することにより、重量を容易に調整することができる。しかも、外壁等に取り付けることにより壁面での発電が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁等の壁面に取り付けられる壁面用建材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の屋根や外壁の表面(外面)に太陽電池を配設して発電することが行われている。太陽電池は光の照度が強い方が発電量も多いが、通常、太陽電池は平面形状であるため、外壁等の垂直面に取り付けても集光・採光しにくく、十分な発電量が得られない。ところが、太陽電池の中でも色素増感太陽電池(DSC)は本来低照度でも発電するため(例えば、特許文献1参照)、外壁等の垂直面に取り付けても実用上十分な発電量が得られる。
【特許文献1】特開2007−172407号公報(段落0054等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、大面積の色素増感太陽電池は基板にガラスを用いるのが主なので、割れたり重いなどの問題があって、施工しにくいという問題があった。従って、色素を変えることにより様々な色を発現させることができるにもかかわらず、意匠性を考慮したようなDSCは少ないのが現状である。これの解決策として、フィルム基板を用いたDSCが提案されているが(例えば、特開2002−93476号公報参照)、フィルム基板であるので、耐久性にやや難があり、やはり耐久性の面からはガラス基板を用いるのが好ましい。また、色を利用して文字や記号を表すカラー太陽電池が提案されているが(例えば、特開2002−75472号公報参照)、このカラー太陽電池はDSCそのものを装飾、意匠化するものであり、DSCを使った意匠性のある建材を実現するものではなかった。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、タイルのように施工が可能で、色素増感太陽電池を用いた壁面の意匠化が可能で、耐久用途にも可能で、壁面での発電が可能な壁面用建材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る壁面用建材Aは、面積が0.5〜100cmで複数の色素増感太陽電池1、1…を備えて成ることを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項2に係る壁面用建材Aは、請求項1において、複数の色素増感太陽電池1、1…を縦横に配列して成ることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項3に係る壁面用建材Aは、請求項1又は2において、色素増感太陽電池1以外の装飾材2を備えて成ることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項4に係る壁面用建材Aは、請求項3において、装飾材2が、タイル、陶器、磁器、石器、ガラス、天然石、人工石から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項5に係る壁面用建材Aは、請求項1乃至4のいずれか1項において、色素増感太陽電池1の表面にカバー3を設けて成ることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項6に係る壁面用建材Aは、請求項5において、カバー3を透明材料で形成して成ることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項7に係る壁面用建材Aは、請求項5又は6において、カバー3を色素増感太陽電池1に集光するためのレンズとして形成して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明は、面積が0.5〜100cmの小面積であるので、タイルのように施工が可能で、割れにくく、色素増感太陽電池1の個数を増減することにより、重量を容易に調整することができ、しかも、色素増感太陽電池1を用いた壁面の意匠化が可能で、耐久性に優れて外壁等に取り付けることにより壁面での発電が可能となるものである。
【0013】
請求項2の発明は、色素増感太陽電池1の配列の仕方を変えることによって、多様なデザインを表出することができ、意匠性を向上させることができるものである。
【0014】
請求項3の発明は、装飾材2によっても多様なデザインを表出することができ、意匠性を向上させることができるものである。
【0015】
請求項4の発明は、タイル、陶器、磁器、石器、ガラス、天然石、人工石から選ばれる装飾材2を色素増感太陽電池1と組み合わせて多様なデザインを表出することができ、意匠性を向上させることができるものである。
【0016】
請求項5の発明は、カバー3によって色素増感太陽電池1を保護することができ、耐久性を向上させることができるものである。
【0017】
請求項6の発明は、カバー3により色素増感太陽電池1への光の照射(集光・採光)が損なわれないようにすることができ、発電量の低下を防止することができるものである。
【0018】
請求項7の発明は、カバー3により色素増感太陽電池1に集光することができ、発電量を向上させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0020】
図1に本発明の壁面用建材Aの一例を示す。この壁面用建材Aは外壁等の壁面(外面)に取り付けて施工されるものであって、基板10の片面に複数の小片の色素増感太陽電池1、1…を接着するなどして設けると共に、色素増感太陽電池1、1…の表面を覆うようにしてカバー3を接着するなどして設けることによって形成することができる。本発明の壁面用建材Aは面積が0.5〜100cmの小面積であって、例えば、一辺が5〜100mmの範囲の正方形や長方形の板状に形成することができる。色素増感太陽電池1の個数や配列の仕方(間隔等)は任意であるが、例えば、36個の色素増感太陽電池1、1…を6行×6列に縦横にタイルのように並べて配列することができる。また、色素増感太陽電池1の形状や大きさも任意であって、円盤状や方形板状のものを用いることができる。色素増感太陽電池1、1…がガラス板を用いて形成される場合、割れたり重たくなったりして大面積にするには問題があるが、本発明では複数の小片の色素増感太陽電池1を用いているので、その大きさや使用個数を調整することにより、軽量化することができるものであり、その結果、落下等しても割れるなどの破損が生じにくくなるものである。
【0021】
色素増感太陽電池1としては、色の異なる複数種の色素増感太陽電池1a、1b、1c…を組み合わせて用いることができる。色の異なる複数種の色素増感太陽電池1a、1b、1c…を得るには、色素の種類や組み合わせを適宜変更する。本発明では、ルテニウム錯体などの色素の他に、例えば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などの各種色素を用いることができる。また、各色素増感太陽電池1a、1b、1c…に使用する色素の量や複数種の色素の組み合わせを変えることにより濃淡、明度、彩度などを異ならせることができる。
【0022】
基板10としてはプラスチック板などの任意のものを用いることができる。また、基板10には色素増感太陽電池1、1…を電気的に接続するための配線や色素増感太陽電池1、1…から電気を取り出すための端子を設けてもよい。
【0023】
カバー3はアクリル樹脂やポリカーボネートやガラスなどの透明材料で形成することができる。カバー3の表面には各色素増感太陽電池1、1…に対応する位置にレンズ部11、11…が突設されている。レンズ部11はそれに対応する色素増感太陽電池1に集光するためのものであって、各種の形状を採用することができ、例えば、片面球面の凸レンズや凹レンズの形状に形成することができる。色素増感太陽電池1、1…が樹脂フィルムを用いて形成されたものである場合、耐久性に問題があるが、カバー3を用いることにより保護することができ、耐久性を向上させることができる。
【0024】
図2に他の実施の形態を示す。この壁面用建材Aは色素増感太陽電池1、1…と色素増感太陽電池1以外の装飾材2、2…とを併用して形成するものである。装飾材2はタイル、陶器、磁器、石器、ガラス、天然石、人工石から選ばれる材質のものをそれぞれ単独で用いたり併用したりすることができる。色素増感太陽電池1と装飾材2のそれぞれの個数や配列の仕方は任意であり、また、装飾材2の形状も任意であって、円盤状や方形板状のものを用いることができる。
【0025】
そして、図1に示す壁面用建材Aに設けた色素増感太陽電池1、1…の一部を装飾材2、2…で置き換えることにより、図2に示す壁面用建材Aを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示し、(a)は平面図、(b)は一部が破断した斜視図である。
【図2】同上の他の実施の形態の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0027】
A 壁面用建材
1 色素増感太陽電池
2 装飾材
3 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面積が0.5〜100cmで複数の色素増感太陽電池を備えて成ることを特徴とする壁面用建材。
【請求項2】
複数の色素増感太陽電池を縦横に配列して成ることを特徴とする請求項1に記載の壁面用建材。
【請求項3】
色素増感太陽電池以外の装飾材を備えて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁面用建材。
【請求項4】
装飾材が、タイル、陶器、磁器、石器、ガラス、天然石、人工石から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項3に記載の壁面用建材。
【請求項5】
色素増感太陽電池の表面にカバーを設けて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに1項に記載の壁面用建材。
【請求項6】
カバーを透明材料で形成して成ることを特徴とする請求項5に記載の壁面用建材。
【請求項7】
カバーを色素増感太陽電池に集光するためのレンズとして形成して成ることを特徴とする請求項5又は6に記載の壁面用建材。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−84866(P2009−84866A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255398(P2007−255398)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(503367376)クボタ松下電工外装株式会社 (467)
【Fターム(参考)】