説明

壁面設置可能な光ファイバおよびケーブル処理装置

【課題】加入者建物でネットワークケーブルの敷設を一人の作業者で容易にかつ迅速に行え、ケーブル性能を損なうことのないシステム、および方法を提供する。
【解決手段】光ファイバおよびケーブル処理装置は加入者建物の壁面あるいは他の表面に取り付けるための基盤、および基盤から上方に軸方向に延びる巻き枠部を含む。巻き枠部は外側の壁に巻かれる、ある長さの第一の光ファイバケーブルを支持するための外側の円筒状の壁と、外側の壁の半径方向内側に配されて環状のファイバ配線領域を2つの壁の間に限定する内側の円筒状の壁、およびケーブルのファイバがファイバ配線領域を通って配線されるように第一の光ファイバケーブルの端部を受ける外側の壁に設けられたケーブル入口とを含む。巻き枠部の上方に配される連結用小部屋は、小部屋内に配線されるファイバの第一の組を装置まで配線される第二の光ファイバケーブルと関連するファイバの第二の組と連結するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加入者建物への光ファイバネットワーク配備における光ファイバケーブル処理のためのドロップ箱あるいは筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅(MDU)およびその他の加入者建物における光ファイバネットワークの配備には、壁面あるいはその他の建物構造に設置するように作られたいわゆるケーブルドロップ箱を使用する必要がある。今日の業界慣行は、ネットワークプロバイダから来る光ファイバケーブルを受けるために箱の左側面にケーブル引き込み口を有し、かつプロバイダケーブルのファイバと接続するために建物の個々の加入者に関連付けられた多数のファイバが配線される一つ以上の口を右側面に有する箱を要求している。例えば、<www.corningcablesystems.com>の「コーニングケーブルシステムズ、壁面設置可能なコネクタハウジング」、および<www.adc.com/productsandservices/>の「ADCテレコミュニケーションズ、屋内ファイバ分配端子−顧客建物装置(CPE)」を参照のこと。また、米国オハイオ州エリリアのマルチリンク社から入手できる「壁面設置可能な光ファイバケーブル筐体系列」について述べている2007マルチリンクカタログ、Vol.24、第87頁乃至第94頁を参照のこと。
【非特許文献1】「コーニングケーブルシステム、壁面設置可能なコネクタハウジング」(URL:www.corningcablesystems.com)
【非特許文献2】「ADCテレコミュニケーションズ、屋内ファイバ分配端子−顧客建物装置(CPE)」(URL:www.adc.com/productsandservices/)
【非特許文献3】「壁面設置可能な光ファイバケーブル筐体系列」(2007マルチリンクカタログ、Vol.24、87−94ページ、マルチリンク社、オハイオ州エリリア、米国)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、加入者建物で従来のケーブルドロップ箱を一人の作業者で設置することは、難しく時間を要しがちである。さらに、ケーブル性能を損なうことなく3インチ(76.2mm)より小さい曲げ直径に耐えられない旧型光ファイバケーブルを収容するための寸法となっている。したがって現在、手に入るドロップ箱はかなり大きく、多くの時間と労力を費やすことなく集合住宅あるいはその他の建物で光ファイバネットワークを広範囲に配備することには適していない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、光ファイバおよびケーブル処理装置は加入者建物の壁面あるいは他の面に取り付けるように配された基盤、および基盤から軸方向にある高さまで伸びる巻き枠部を含む。巻き枠部はある長さの第一の光ファイバケーブルがそこに巻かれたときにそれを支持するような寸法の外側の円筒壁と、環状のファイバ配線領域が2つの壁の間に限定されるように外側の壁の半径方向内側に形成された内側の円筒壁、およびケーブルのファイバがファイバ配線領域を経て配線されるように第一の光ファイバケーブルの終端を受けるための外側の壁に設けられたケーブル入口とを有する。連結用小部屋が巻き枠部の上に配され、小部屋内に配線されるファイバの第一の組が、装置まで配線される第二の光ファイバケーブルと関連するファイバの第二の組と連結するように配される。
【0005】
一実施例において、一人の作業者が壁の周りに巻かれたケーブルを引き出すために片手を使い、ケーブルが引き出される時に装置が自由に回転できるように柄が筒に挿入されたねじ回しを他方の手で保持できるように、軸が外側の円筒壁のそれと一致する通路を有する筒が装置を通して伸びている。この特徴によって、ある建物に光ファイバネットワークを配備する時に作業者に求められる時間と労力が顕著に低減される。
【0006】
本発明のよりよい理解のために、添付の図面および請求の範囲とともに以下の議論により本発明の特徴や実施例を明らかにする。なお、これらの図面中の構成要素は必ずしも寸法通りではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明によるケーブルドロップ箱10の形式の光ファイバおよびケーブル処理装置の第一の実施例を示す。箱10は板金、および/あるいは限定されないがABSあるいはポリカーボネートのようなプラスチック材料で作られてよい。もし箱が加入者建物の外部に設置されるなら、公知の方法で箱の表面あるいは内部に防湿シール、ガスケットおよび類似のものが取り付けられてもよい。箱10には基盤12があり、開示の実施例では該基盤は一般に正方形であり、それぞれの角に取付け穴14が形成され、各辺の長さが、例えば、約6.25インチ(158.75mm)である。
【0008】
箱10は基盤12の中央部から上に向かって軸方向に伸びる巻き枠部20も有する。巻き枠部20は外側の円筒壁22を含み、図1にその外側周辺が一部見える。壁22の外径は、ある長さの光ファイバケーブル(図示しない)が貯蔵あるいは保存のためにケーブルに対して規定される少なくとも最小の曲げ直径で巻き枠壁22に巻かれるために十分なだけある。例えば、OFSファイテル(Fitel)から入手できるAllwave Flex(登録商標)ファイバのケーブルを使うとき、巻き枠壁22の外径は約3.0インチ(76.2mm)あるいはそれ以下である。ケーブルの内側端部は、入口内に取り付けられた歪開放装置24によってほぼまっすぐな経路に支持された状態で巻き枠壁のケーブル入口に入る。装置24は図7から図9Bに関連して以下に記載されるが、装置24の位置で壁の外周に直角な線に沿い円筒壁22を通してケーブルの端部を導く。
【0009】
ケーブルドロップ箱10には巻き枠部20の上方に配される連結用小部屋30もあって、それは周囲の側壁31を有している。図1の実施例において、小部屋30は設置者が外から小部屋30の内部に手を入れられるように作られ、配置された取り外し可能な蓋32と、35の位置で蓋に開閉式に取り付けられたコネクタ保護具あるいはカバー34とを有している。以下に説明されるように、連結用小部屋30は、小部屋30に入り巻き枠部位20に巻かれたケーブルから来る、あるいは小部屋の壁31の穴(図2および図3を参照)から来る第一の組の光ファイバと、図1のカバー34の下方に見えるコネクタ36でファイバが終端する他のケーブルの第二の組の光ファイバとを接続されることが可能な寸法に形成される。数多くの平らな指あるいはタブ38が小部屋の壁31の下部側端から外側に突き出すように形成され、基盤12に平行になっている。タブ38と基盤12とは、巻き取り枠の壁22に巻かれるケーブルの長さを基盤と連結用小部屋30との間の範囲に制限するようにいっしょに機能する。
【0010】
図2は図1のドロップ箱10の断面正面図であり、図3はカバー蓋32を取り除いて上から見た箱10の図である。連結用小部屋30は、小部屋の側壁31の切り欠き部41をふさぐように支えられているコネクタパネル40に特徴がある。多数の光コネクタアダプタ42がパネル40の対応する開口部の全体にわたって取り付けられ、そのアダプタ42はパネル40の外側面にある光ファイバコネクタ36をパネルの内側面にある対応するコネクタ44と結合するように作用する。好ましくは、パネル40は容易に取り外せて、かつ異なる種類のアダプタが取り付けられた同じ寸法の他のパネルと交換できるように側壁31に取り付けられる。例えば、パネル40は側壁の切り欠き部41の両端に形成された垂直の溝43に滑らせて出し入れしてもよい。所望のパネル40は、例えば、所定の配備で使われるケーブルコネクタの形式によってLC、SC、FC、ST、MPO、あるいはMPX型コネクタに適合するアダプタ42を有する多数の異なるパネルの中から選択されてよい。
【0011】
先に述べたように、連結用小部屋30に配線された光ファイバは巻き枠部20の上に巻かれたケーブルの内側端部から来てもよく、それは歪開放装置24を経て巻き枠の壁22を通り抜ける。そのような使い方の場合、ファイバは外側の円筒状の壁22と、壁48が外側の壁22の半径方向内側に形成される巻き枠部の内側円筒状の壁48との間に伸びる環状のファイバ配線領域46を通って配線される。歪開放装置24と環状のファイバ配線領域46の寸法は、それぞれの光ファイバが連結用小部屋30に入り、コネクタ44で終端する前のファイバに規定される値よりも小さい曲げ直径にならないように決められる。例えば、OFSファイテル(Fitel)から入手できるAllwave Flex(登録商標)ファイバを使う場合、内側の壁48は0.7874インチ(20mm)くらいの外径でよく、ファイバ配線部46の平均直径はわずか約2.0インチ(50.8mm)でよい。
【0012】
連結用小部屋30の側壁31は、そのファイバがコネクタ36により終端されるファイバと連結される外部の光ファイバケーブル、あるいはケーブル組立体(図示しない)を受け入れるために壁31の後ろ部分にケーブル入口あるいは通過口50(図2および3)も有している。あるいは、ケーブル入口50はその代わりのコネクタパネル40(図示しない)部分を通る大きな開口の形であってもよい。そのような使い方の場合、後ろの口50から入るケーブルのファイバは、あるとしてもわずかな曲げでコネクタ44のうちの対応するものに直接配線されてもよい。さらに、コネクタパネル40でのMPO型のような多心ファイバコネクタの使用は、箱10が統合箱として機能するように出来る。すなわち、集合住宅(MDU)の異なる階にある他の同様の箱から来る複数のケーブルは、異なる場所、例えばMDUの地階から箱に配線される1本のケーブルとMPOコネクタを介して接続するために連結用小箱30の後ろの口50から入ってもよいということである。図13および以下の関連する文章を参照のこと。もし使用されない場合は、後ろのケーブル入口50は栓52によって適切に塞がれる。
【0013】
図4は図1の光ファイバケーブルドロップ箱の底面図である。円筒状の管60が中心軸通路62を持つように形成されている。管60は、図1に示すように、カバー蓋32の上面と同一平面になるようにカバー蓋32のすき間に合うようになされた管60の上端と、図4に見られるように管の通路62が基盤12の真下に開いている管の底端との間に軸方向に伸びている。管の通路62の軸は巻き枠部20の外側の円筒状の壁22の軸と一致している。開示される実施例において、管60は図2に見られるように内側の円筒状の壁48の上側の軸端をふさぐ壁63の中心を上下に伸びている。
【0014】
管60の中心部通路62の直径は、好ましくは、ねじ回しの軸、ボルト、あるいはその他の繰出し心棒のような長細い道具が箱10が自由に回転できる軸として機能するように箱10の上あるいは下から通路を通して挿入されるために十分な太さである。この構造がMDUでのネットワーク配備に必要な時、一人の作業者が巻き枠部20に巻かれたケーブルを容易に繰出すことを可能にする。例えば、箱10がねじ回しの軸の周りに自由に回転するので、作業者は挿入したねじ回しの柄を片手に持ちながら、巻き枠部20から所望の長さのケーブルを引きだすためにもう片方の手を使うことが出来る。
【0015】
図5から図7は本発明による光ファイバケーブルのドロップ箱200の第二の実施例を示す。図1から図4の箱の構成要素と同じ、あるいは類似する箱200の構成要素は200だけ増えた対応する参照番号を有する。
【0016】
箱200はコネクタガードあるいはカバー234のために一体化されたちょうつがい235がついた一体型のカバー蓋232を有する。さらに、連結用小部屋230の側壁231は、箱の基盤212に平行に小部屋230の真下で半径方向外側に伸びる連続した円盤状のフランジ204を有している。フランジ204と基盤212とはともに、円筒壁222の外側に巻かれる光ファイバケーブルの長さをフランジ204と基盤212の間の領域内に制限する役割を果たす。図1から図4にある箱のように、ケーブルの内側端部は装置224の位置で壁222の外周に直角でほとんどまっすぐな経路で箱200の中の環状のファイバ配線領域246に入るように歪開放装置224によって導かれる。
【0017】
また、図6に見られるように、ドロップ箱200の基盤212は巻き枠部220の底に、例えば、ねじ、あるいは環状のファイバ配線領域246の底にカラー(collar)206を嵌め込み固定するように形成される他の留め具によって固定される分割片として形成される。
【0018】
図8は図1のドロップ箱10の中に設けられた歪開放装置24に対応する歪開放装置224の拡大した透視図である。図9に見られるように、歪開放装置224は外側側壁224a、内側側壁224b、基盤壁224c、および天辺に取り付けられ装置の側壁224a、224bの間に伸びるカバー209を有する、一般にU字型断面のアーチ形の装置体208で構成される。
【0019】
さらに図9Aに示されるように、外側の側壁224aは巻き枠部220の外側円筒状の壁222に巻かれた、例えばフラットリボン光ファイバケーブル260の内側端部を受けるために装置224の一端部に開口226を有している。装置224の反対側の端にある開口228はケーブルのそれぞれのファイバが装置から出て、好ましくはそれぞれのファイバが、例えば商業的に入手可能な900μmのスリーブで保護された後に箱200のファイバ配線領域246に入るようにする。
【0020】
ケーブル260およびそれぞれのファイバは、図9および図9Aに見られるように装置224の側壁224cから上方に突き出す1組の平行な指あるいはガイド211によって装置の開口226、228の間のほぼまっすぐな経路を経て導かれる。ケーブル260の端部から外側の被覆が剥ぎ取られた後、ケーブルのファイバを取り巻きケーブルの補強あるいは強化材として機能する所定長のアラミドあるいはケブラー(登録商標)糸が巻かれ、エポキシあるいは他の適当な接着剤でガイド211に固定される。商業的に入手可能な保護スリーブ(例えば900μm)が個々のケーブルファイバのそれぞれにかぶせられ、スリーブをかぶせたファイバは装置の開口228から外へ導かれる。図9Bに示されるように、装置カバー209は適当な接着剤によって筐体208に固定され、組み立てられたケーブル歪開放装置224は巻き枠部220の外側の円筒状の壁222と内側の円筒状の壁248の間にあるケーブル入口225の内部にしっかりと固定される。
【0021】
したがって、ケーブル260の内側端部とその個々のファイバとは壁のケーブル入口225を通って外側の円筒状の壁222に対して直角に進み、箱200の環状のファイバ配線領域246に入る。ファイバを取り囲む糸は歪開放装置224のガイド211に固定されているので、ケーブルが巻き枠部の外側の円筒状の壁222に巻きつけ、あるいは巻きほぐされる時にケーブル260に加えられる外力は、ファイバそのものへよりもむしろ装置224が固定されている壁222に移される。
【0022】
図10から図12は、本発明による光ファイバケーブルのドロップ箱300の第三の実施例を示す。図1から図4の箱の構成要素と同じ、あるいは類似する箱300の構成要素は300だけ増えた対応する参照番号を有する。箱300は基盤312内の一体型接合小部屋308、コネクタパーキングエリア313、および多数の保安用留め穴315を特徴とする。
【0023】
接合用小部屋308
典型的なMDUドロップ箱の設置は箱から出て行く単心ファイバ用開口を有し、それぞれの開口は箱が設置される建物の関連する居住単位と関連付けられている。おのおのの居住単位から来る単心ファイバケーブルはしばしば終端するコネクタなしにドロップ箱に配線される。これらのケーブルの裸の端部はいろいろな方法でドロップ箱で終端される。例えば、片端処理したピッグテールファイバが接合スリーブが共通の空間に収納されるようにドロップ箱内で接合される。このためには、損傷を避け且つファイバのたるみを処理するために接合部を収納するための部屋あるいは小部屋を必要とする。別の方法としてピッグテールの機械的接合を含んでもよく、それは同様の部屋あるいは収納部を必要とする。それぞれの単心ファイバケーブルは現場施工可能なコネクタで直接終端処理されてもよく、それにより接合のための部屋の必要性がなくなる。
【0024】
ドロップ箱300は基盤312の下に取り付けられ、あるいは形成された一体型接合用部屋あるいは小部屋308を有し、基盤の内側に取り付けられた接合用の受け皿309を含む。接合用の受け皿309は箱300の中に固定されるか、あるいは壁に直接取り付けられてもよい。いずれの場合でも、箱300は接合用小部屋308の上に設けられてよい。ピッグテールあるいは終端処理した端部は、基盤312の側壁に切り欠かれた対応するV字型切り欠き隙間311を通って小部屋の下部に出入りできる。
【0025】
コネクタパーキングエリア313
コネクタパーキングエリアあるいは区画313は、終端処理したファイバ端部を使用しない間格納しておくことが出来る。区画313は、たくさんの異なる商業的に入手可能なコネクタパーキング片307から選択されたひとつ(例えばSC型)をその中に受け入れ固定するような寸法に作られている。この機構が箱300を置き換える必要性なしに将来異なる形式のコネクタの利用を可能にし、同時に設置者が取付けを先行することが出来る。
【0026】
留め穴315
いくつかの留め穴、あるいは保安用の穴315がちょうつがいが付いたカバー蓋332の対応する足に形成される。留め穴315は最終ユーザが多くの閉鎖手段を講じることを可能にする。例えば、簡単に蓋を閉めておくために標準のプランジャ型外れ止め機構で一つの穴315が利用できる。他の穴315がワイヤ結び、閉鎖タグ、あるいは他の保安錠を取り付けるために利用できる。
【0027】
図13は集合住宅400における光ファイバネットワーク配備の例を示す。多数の独創的なドロップ箱、例えば図1から図4の箱10、がMDU400の対応する場所、例えばMDUのそれぞれの階414のつり天井の上に設置される。所定の階414のネットワーク加入者に対応する光ファイバ416は、箱パネル40の外側側面のアダプタ42に接続されているコネクタ36で終端される。
【0028】
それぞれの加入者ファイバ416は、加入者階の天井内のドロップ箱10に関連するケーブル418の対応するファイバに接続される。ケーブル418は最初に箱10の巻き枠部20に巻かれ、その後その一部あるいは全てが、例えばMDU400の地階420と屋根422との間に位置する“統合”箱として機能する他のドロップ箱10に配線するために巻きほぐされる。ケーブル418のファイバは、箱コネクタパネル40の内側側面にあるアダプタ42に接続されているコネクタ44で終端される。
【0029】
統合箱10で、MDU400の各階から来る加入者ファイバを含むそれぞれのケーブルは開口50あるいは表面板の口を通り、その後ろの経路を通って統合箱に入る。先に述べたように、それぞれのケーブル418のファイバは、箱パネル40の内側側面の対応するアダプタ42と多心ファイバコネクタ44を経由して接続するために、場合によっては少し曲げて統合箱の中に配線されてもよい。MDU400内の全ての加入者を対象とする主光ファイバケーブル424は、地階420にあるケーブル引き込み箱426と、主ケーブルファイバが多心ファイバコネクタ36を経て箱パネル40の外側側面のアダプタ42とその中で接続する統合箱10との間に配線される。ネットワークプロバイダのケーブル430はMDU400の外から引込み箱426まで配線され、ケーブル430のファイバは引込み箱426の中でケーブル424の対応する加入者ファイバと接続される。
【0030】
ここに開示されるさまざまな実施例は以下に述べる光ファイバおよびケーブル処理装置に関わる重要な特徴を持っている。
1.OFSファイテルから入手可能で優れた曲げ特性を有するAllwaveFlex(登録商標)のような新しいタイプの光ファイバケーブルに使用される物理的に小さくなった寸法。
2.外部ケーブルの格納を可能にし、内部のファイバ配線を安全な曲げ限界以内に保持する軸方向の巻き枠部。
3.ねじ回しのような一般的な工具を使うことによって、巻き枠部の外側に巻かれたケーブルの繰出しを容易にする中心部貫通穴。
【0031】
これまで述べたことは本発明の好ましい実施例を示しているが、いろいろな修正および変形が発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ、かつ本発明は全てそのような修正および変形を以下の特許請求の範囲内に含むことが当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による壁面設置可能なケーブルドロップ箱形式の光ファイバおよびケーブル処理装置の第一の実施例の透視図である。
【図2】箱のケーブル巻き枠部、およびその他の内部要素を示す図1のドロップ箱の断面正面図である。
【図3】図1のドロップ箱の蓋を取り除いて上から見た図である。
【図4】図1のドロップ箱を下から見た図である。
【図5】本発明による壁面設置が可能なケーブルドロップ箱の第二の実施例の透視図である。
【図6】図5のドロップ箱の断面正面図である。
【図7】本発明によるケーブル歪開放装置の位置を示す図5のドロップ箱の側面図である。
【図8】ケーブル歪開放装置の拡大透視図である。
【図9】上面カバーを取り除いた図8の歪開放装置の図である。
【図9A】同じく、上面カバーを取り除いた歪開放装置の図であって、装置の一端から入る光ファイバケーブルと、装置の反対端から出るケーブルの個々のファイバを示す。
【図9B】ドロップ箱の巻き枠部分の位置にある歪開放装置を示す。
【図10】本発明による壁面設置が可能なケーブルドロップ箱の第三の実施例の透視図である。
【図11】図10のドロップ箱を下から見た図である。
【図12】図10のドロップ箱基盤のコネクタ取付け位置の透視図である。
【図13】本発明による光ファイバケーブル配備あるいは分配システムを示す模式図である。
【符号の説明】
【0033】
10、200、300 ケーブルドロップ箱、統合箱
12、212、312 基盤
14 取り付け穴
20 巻き枠部
22、222 外側の円筒状の壁
24、224 歪開放装置
30、230 連結用小部屋
31、231 側壁
32、232 カバー蓋
34 コネクタカバー
36、44 コネクタ
38 タブ
40 コネクタパネル
42 アダプタ
46、246 環状のファイバ配線領域
48 内側の円筒上の壁
50 ケーブル入口
52 栓
60 円筒状の管
204 フランジ
206 カラー
208 筐体
211 ガイド
226、228 開口
235 ちょうつがい
260 ケーブル
308 一体型接合小部屋
309 接合用受け皿
311 V字型切り欠き隙間
313 コネクタ取付け部
315 保安用留め穴
400 建物
412 下がり天井
414 階
416 光ファイバ
418 支線ケーブル
420 地階
422 屋根
424 主光ファイバケーブル
426 ケーブル引き込み箱
430 プロバイダケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者建物の壁面あるいは他の表面に設置するように構成され配された基盤(12)を含む光ファイバおよびケーブル処理装置(10、200、300)であって、
前記基盤(12)からある高さまで軸方向に伸びる巻き枠部(20)を含み、前記巻き枠部が、
(a)ある長さの第一の光ファイバケーブルが巻かれた際に該第一の光ファイバケーブルを支持する寸法に形成された外側の円筒状の壁(22)と、
(b)前記外側の壁(22)の半径方向内側に形成され、環状のファイバ配線領域(46)が前記内側と外側の壁(22、48)の間に設定されるように形成された内側の円筒状の壁(48)と、
(c)ケーブルの光ファイバがファイバ配線領域(46)を通して配線されるために第一の光ファイバケーブルの内側終端部を受けるために外側の円筒状の壁(22)に形成される第一のケーブル入口とを含み、さらに
巻き枠部(20)の上方に配される連結用小部屋(30)を含み、前記小部屋(30)がその内部に配線されるファイバの第一の組を装置(10)に配線される第二の光ファイバケーブルに関連するファイバの第二の組と連結するように構成され配される、ことを特徴とする光ファイバおよびケーブル処理装置。
【請求項2】
第一のケーブル入口に固定される歪開放装置(24)を含み、前記装置(24)が前記第一の光ファイバケーブルの内側終端部を前記外側の円筒状の壁(22)を通し、前記装置(24)の位置において前記外側の円筒状の壁(22)の外周に直角な経路に沿ってファイバ配線領域(46)の内部に案内するように構成され配されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバおよびケーブル処理装置。
【請求項3】
前記歪開放装置(24、224)が、前記第一の光ファイバケーブル(260、図9A)が前記巻き枠部(220)に巻きつけられ、あるいは巻きほぐされる時にケーブル(260)に外部から加えられた張力を前記外側の円筒状の壁(222)に移すように構成され配されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記歪開放装置(24、224)が、ケーブルの外側被覆の下の補強材を固定する一つ以上のガイド(211)を含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第一の光ファイバケーブルが前記ケーブル処理装置の前記巻き枠部(20)から繰出される時に前記装置が工具の周りを自由に回転できるように細長い工具を受けるための十分に広い軸方向の通路(62)を有する管(60)を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記管の通路(62)が、前記基盤(12)の下方に開口する底端部と、前記通路が連結用小部屋(30)の上表面(32)に開口する上端部との間に伸びるように前記管(60)が支持されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記通路(62)の軸が、前記巻き枠部(20)の前記外側の円筒状の壁(22)の軸と一致するように支持されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記連結用小部屋(30)が、コネクタパネル(40)と、前記パネル(40)の外側表面にある光ファイバコネクタ(36)を前記パネル(40)の内側表面にある対応する光ファイバコネクタ(44)と結合するために前記パネル(40)に取り付けられている多数のコネクタアダプタ(42)とを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
第一のコネクタパネルが取り外し可能であり、かつ第一のコネクタパネルに取り付けられたアダプタの型と異なる型のコネクタアダプタ(42)を有する第二のコネクタパネルと交換可能であるように、コネクタパネル(40)を支持するように前記連結用小部屋(30)が構成され、配されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
指あるいはタブ(38)および前記基盤(12)が前記外側の巻き枠壁に巻かれる前記ある長さの第一の光ファイバケーブルを前記基盤(12)と前記連結用小部屋(30)との間の領域に制限するように、前記連結用小部屋(30)が側壁(31)および前記側壁(31)から外側に突き出す多数の指あるいはタブ(38)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
フランジ(204)および前記基盤(212)が前記外側の巻き枠壁(222)に巻かれる第一の光ファイバケーブルの長さを前記基盤(212)と前記連結用小部屋(230)との間の領域に制限するように、前記連結用小部屋(230)が前記側壁(231)と、半径方向の外側に伸びかつ前記基盤(212)に平行な円盤状のフランジ(204)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
連結用小部屋(30)が側壁(31)を有し、前記側壁(31)が装置に配線される前記第二の光ファイバケーブルのファイバの第二の組と前記コネクタパネル(40)を経由して結合されるファイバの第三の組を有する光ファイバケーブルあるいはケーブル組立体を受けるための第二のケーブル入口(50)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記連結用小部屋(30)の前記コネクタパネル(40)に取り付けられる一つ以上のアダプタ(42)が、マルチファイバ型のコネクタと互いに結合されるように構成され、配されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記巻き枠部(20)の外側の円筒状の壁(22)に巻かれた前記ある長さの第一の光ファイバケーブルと、ケーブルの外側端を終端するための光ファイバコネクタとを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
ケーブルの外側端の前記光ファイバコネクタがマルチファイバ型コネクタであることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記基盤(312)内に配される接合用小部屋(308)と、前記小部屋(308)の内部に取り付けられる接合用受け皿(308)とを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
多数の異なるコネクタパーキング片(307)の一つを固定するために前記基盤(312)に取り付けられたコネクタパーキング区画(313)を特徴とする請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−242460(P2008−242460A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79790(P2008−79790)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(302003314)フルカワ エレクトリック ノース アメリカ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】