説明

売上データ処理装置、顧客用表示装置及びプログラム

【課題】有線接続による制限なく売上データ処理装置と顧客用表示装置とを配置することである。
【解決手段】売上データ処理装置10は、顧客用表示装置30に無線で電力を送信し、商品の金額等の表示データを顧客用表示装置30に無線送信する。顧客用表示装置30は、売上データ処理装置10から無線で電力を受信し、前記表示データを顧客用表示装置30から無線受信し、当該表示データを用いて顧客用の画面表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、売上データ処理装置、顧客用表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を販売する店舗に設置され、顧客が購入した商品の売上データを登録する売上データ処理装置として、ECR(Electronic Cash Resister)やPOS(Point Of Sales)端末が知られている。
【0003】
売上データ処理装置には、店員等のオペレータ用の本体表示部以外に、顧客用表示部を備え、各表示部がレジスタ本体部に一体に設けられているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。顧客用表示部には、売上商品の取引額、預かり金、釣銭の金額が顧客用に表示される。また、顧客用表示部は、売上データ処理装置の電源から電力供給される。
【0004】
また、無線で電力を供給する技術が知られている。例えば、共鳴形ワイヤレス電力伝送において、60ワットの電球を輝かせることに成功したことが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−352641号公報
【非特許文献1】Franklin Hadley,”Goobye wires…”,[online],June 7 2007, [2008年8月19日検索],インターネット,<URL:http://web.mit.edu/newsoffice/2007/wireless-0607.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の本体部と顧客用表示部とが一体である売上データ処理装置は、本体部に対し、顧客用表示部を自由に配置することができなかった。また、顧客用表示部と本体部とを信号線を介して有線接続する構成も考えられるが、信号線があるため、本体部及び顧客用表示部の配置に制限があった。さらに、信号線の配線作業が必要であり、売上データ処理装置の設置における作業者の作業負担も大きかった。
【0006】
また、非特許文献1のような電力を供給可能な無線電力伝送等の無線電力伝送が考えられているが、売上データ処理装置への応用がなされていなかった。
【0007】
本発明の課題は、有線接続による制限なく売上データ処理装置と顧客用表示装置とを配置することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の売上データ処理装置は、顧客用表示装置に表示させる表示データを前記顧客用表示装置に無線で送信する表示データ送信手段と、前記顧客用表示装置に無線で電力を送信する電力送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の売上データ処理装置において、顧客が購入する最初の商品の金額を記憶する際のトリガを入力するトリガ入力手段と、このトリガ入力手段によりトリガが入力されると、顧客用表示装置に電力を送信するように前記電力送信手段を制御する電力送信制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の売上データ処理装置において、金銭を収納するドロアと、このドロアの開閉の状態を検知する検知手段と、この検知手段により前記ドロアが開いている状態から閉まっている状態へ移行したと判別された後に、前記電力送信手段による電力の送信を終了するように制御する電力送信制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明の顧客用表示装置は、売上データ処理装置の電力送信手段により無線で送信された電力を受信する電力受信手段と、この電力受信手段により受信された電力により、前記売上データ処理装置の表示データ送信手段により無線で送信された表示データを受信して、この受信された表示データを表示するように制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明のプログラムは、売上データ処理装置のコンピュータを、顧客用表示装置に表示させる表示データを前記顧客用表示装置に無線で送信する表示データ送信手段、前記顧客用表示装置に無線で電力を送信する電力送信手段、顧客が購入する最初の商品の金額を記憶する際のトリガを入力するトリガ入力手段、このトリガ入力手段によりトリガが入力されると、顧客用表示装置に電力を送信するように前記電力送信手段を制御する電力送信制御手段、として機能させる。
【0013】
請求項6に記載の発明のプログラムは、顧客用表示装置のコンピュータを、売上データ処理装置の電力送信手段により無線で送信された電力を受信する電力受信手段、この電力受信手段により受信された電力により、前記売上データ処理装置の表示データ送信手段により無線で送信された表示データを受信して、この受信された表示データを表示するように制御する表示制御手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、有線接続による制限なく売上データ処理装置と顧客用表示装置とを配置できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明に係る好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0016】
先ず、図1〜図3を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1に、本実施の形態のレジスタシステム1の構成を示す。
【0017】
本実施の形態のレジスタシステム1は、商品を販売する店舗内に設置され、顧客が購入した商品の金額等の売上データの登録を行うとともに、その金額等を顧客用に表示し、また顧客に受け渡す現金(金銭)を収納するシステムである。図1に示すように、レジスタシステム1は、売上データ処理装置10と、顧客用表示装置30と、を備える。売上データ処理装置10と、顧客用表示装置30とは、有線接続されておらず、物理的に分離されている。また、レジスタシステム1は、現金のみを扱うシステムとして説明するが、現金に加え、クレジットカード、電子マネー、各種ポイント、商品券等も扱う構成としてもよい。レジスタシステム1は、例えば、店舗内のレジカウンタに設置される。
【0018】
売上データ処理装置10は、店員等のオペレータの操作入力に応じて、商品の金額等の売上データの登録を行うとともに、顧客用表示装置30に無線で電力Wを供給し、無線電波Nを介して顧客用表示装置30と無線通信を行う。
【0019】
顧客用表示装置30は、商品の登録の際に、顧客に商品の取引額、預かり金、釣銭の金額を表示する表示装置である。顧客用表示装置30は、売上データ処理装置10から無線供給された電力Wにより駆動するとともに、無線電波Nを介して売上データ処理装置10から送信される表示データを受信して表示を行う。
【0020】
図2を参照して、売上データ処理装置10の内部構成を説明する。図2に、売上データ処理装置10の内部構成を示す。
【0021】
図2に示すように、売上データ処理装置10は、電力送信制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)11と、トリガ入力手段としての操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、記憶部15と、印刷部16と、電力送信手段としての電力送信部17と、表示データ送信手段としての情報通信部18と、ドロア19と、検知手段としてのドロアセンサ20と、を備え、各部がバス21を介して接続されている。
【0022】
CPU11は、売上データ処理装置10の各部を中央制御する。CPU11は、記憶部15に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAM13に展開し、RAM13に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0023】
CPU11は、記憶部15に記憶されたレジスタプログラムに従い、商品の金額等の売上データの登録処理を行い、顧客の最初の商品の金額の登録時に、電力送信部17により顧客用表示装置30に電力供給開始し、顧客用表示装置30に表示させるための表示データを顧客用表示装置30に送信する。
【0024】
また、CPU11は、登録処理終了時に、ドロアセンサ20によりドロア19が開→閉に移行した場合に、電力送信部17による顧客用表示装置30への電力供給を終了すする。
【0025】
操作部12は、文字、数字入力キー、各種機能キー及び電源キー等を備えたレジ用のキー入力部を含む構成とし、店員等のオペレータによる各キーの操作入力を受け付け、その操作情報をCPU11に出力する。操作部12のキー入力部は、金額キー121、部門キー122、現金預キー123、第一登録キー124等を含む。
【0026】
金額キー121は、金額を入力するトリガを入力するためのキーである。つまり、金額キー121の押下に続けて商品、預かり金の金額が入力される。部門キー122は、商品の部門を入力するキーである。部門とは、商品を分類するための情報であり、例えば、生もの、飲料等の商品分類とする。これらの部門がオーナー、店長等により予め設定されているものとする。部門キー122は、部門に対応付けて設定された少なくとも一つの部門キーからなり、入力する各部門に対応する部門キーの押下により、各部門が入力される。商品の金額の入力に続けて、その商品に対応する部門キー122が押下入力される。
【0027】
現金預キー123は、顧客から現金を預かった場合に商品の登録の完了を入力するためのキーである。現金預キー123の押下に応じて、商品の登録が完了するとともに、ドロア19が開けられる。
【0028】
第一登録キー124は、顧客の商品の登録の際に、最初の商品の金額登録のトリガを入力するためのキーである。つまり、第一登録キー124は、新たな顧客の最初の金額キー121の押下前に押下入力される。なお、操作部12は、商品に付されたバーコードを読み取るバーコードスキャナ等を備えることとしてもよい。
【0029】
RAM13は、揮発性のメモリである。また、RAM13は、実行される各種プログラムやこれら各種プログラムに係るデータ等を格納するワークエリアを有する。
【0030】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、CPU11から入力される表示信号に従って画面表示を行う。また、操作部12は、表示部14と一体的にタッチパネルを構成することとしてもよい。
【0031】
記憶部15は、フラッシュメモリ等の情報の読み出し及び書き込みが可能な記憶部で構成される。記憶部15には、接続先管理テーブル150と、部門別合計器41と、現金取引合計器42と、取引額43と、在高44と、が記憶されている。
【0032】
接続先管理テーブル150は、無線接続される顧客用表示装置30を管理するためのテーブルである。接続先管理テーブル150は、詳細に後述される。部門別合計器41は、売上データ処理装置10における部門別の全売上商品の合計金額のデータである。現金取引合計器42は、現金による全売上商品の合計金額のデータである。本実施の形態では、売上データ処理装置10が現金のみを扱うので、現金取引合計器42が、売上データ処理装置10の全売上商品の合計金額のデータとなる。
【0033】
取引額43は、商品の取引単位(顧客単位)の全売上商品の合計金額のデータである。在高44は、ドロア19に収納されている現金の合計金額のデータである。また、記憶部15には、レジスタプログラムが記憶されている。
【0034】
印刷部16は、サーマルプリンタ等のプリンタであり、レシート用、ジャーナル用のロール紙を有し、CPU11から入力される制御信号に従って、各ロール紙に対して金額等のデータを印刷して、レシート、ジャーナルとして出力する。
【0035】
電力送信部17は、コイル17aを有し、CPU11から入力される制御信号に従って、電磁誘導方式で顧客用表示装置30に電力を送信する回路部である。電力送信部17は、コイル17aから磁束を出力し、その磁束を顧客用表示装置30の電力受信部35のコイル35aに伝達することにより、顧客用表示装置30に無線で電力供給を行う。
【0036】
情報通信部18は、アンテナ18aを有し、CPU11から入力される制御信号に従って、アンテナ18aを介した無線電波の送受信により、顧客用表示装置30と無線で情報の通信を行う回路部である。情報通信部18は、入力される送信対象のデータ信号を変調してアンテナ18aにより顧客用表示装置30の情報通信部36のアンテナ36aに無線電波として送信し、またアンテナ18aにより顧客用表示装置30の情報通信部36のアンテナ36aから送信された無線電波を受信し、その受信信号を復調してデータ信号を取得する。
【0037】
ドロア19は、現金を収納する引き出しであり、ドロアオープン回路(図示略)を有し、このドロアオープン回路により開けられ、オペレータにより手動で閉められる。ドロア19は、バネを有し、ドロア19が開けられる方向に、バネが引っ張られるように構成されている。ドロア19が閉められた状態では、ドロアオープン回路のプランジャにバネが引っ掛けられてロックされている。ドロアオープン回路は、CPU11から入力される制御信号に応じて、ドロア19を開ける回路部である。ドロアオープン回路は、例えば、ソレノイドコイル及びプランジャを備え、ソレノイドコイルに通電することにより、閉まっている状態のドロア19のバネをロックしているプランジャを引いてドロア19を開ける。
【0038】
ドロアセンサ20は、ドロア19が開いている状態か閉まっている状態であるかを検知し、その検知信号をCPU11に出力する。
【0039】
次いで、図3を参照して、顧客用表示装置30の内部構成を説明する。図3に、顧客用表示装置30の内部構成を示す。
【0040】
図3に示すように、顧客用表示装置30は、表示制御手段としてのCPU31と、表示部32と、RAM33と、記憶部34と、電力受信手段としての電力受信部35と、情報通信部36と、を備える。CPU31、表示部32、RAM33、記憶部34及び情報通信部36は、バス37に接続されている。
【0041】
CPU31は、顧客用表示装置30の各部を中央制御する。CPU31は、記憶部34に記憶されているプログラムの中から指定されたプログラムをRAM33に展開し、RAM33に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0042】
CPU31は、記憶部34に記憶された顧客用表示プログラムに従い、電力受信部35により売上データ処理装置10から電力を受信し、情報通信部36を介して売上データ処理装置10から表示データを受信すると、その表示データを用いて、表示部32に画面表示する。
【0043】
RAM33は、揮発性のメモリである。また、RAM33は、実行される各種プログラムやこれら各種プログラムに係るデータ等を格納するワークエリアを有する。
【0044】
表示部32は、LCD等で構成され、CPU31から入力される表示信号に従って画面表示を行う。また、表示部32が、タッチパネルを有する構成としてもよい。
【0045】
記憶部34は、情報の読み出しが可能なROM(Read Only Memory)等の記憶部で構成される。記憶部34には、顧客用表示装置ID51が記憶されている。
【0046】
顧客用表示装置ID51は、自己の顧客用表示装置30を識別する識別情報である。また、記憶部34には、顧客用表示プログラムが記憶されている。
【0047】
電力受信部35は、コイル35aを有し、電磁誘導方式で売上データ処理装置10から無線で電力を受信し、その電力を顧客用表示装置30の各部に供給する回路部である。電力受信部35は、売上データ処理装置10のコイル17aから出力された磁束がコイル35aに入力され、コイル35aに流れる電流を電力として得る。顧客用表示装置30は、電力受信部35のみを電源とし、売上データ処理装置10から電力受信部35に電力供給された場合にのみ、動作が可能である。
【0048】
情報通信部36は、アンテナ36aを有し、CPU31から入力される指示情報に従って、アンテナ36aを介した無線電波の送受信により、売上データ処理装置10と無線で情報の通信を行う回路部である。情報通信部36は、送信対象のデータ信号を変調してアンテナ36aにより売上データ処理装置10の情報通信部18のアンテナ18aに無線電波として送信し、またアンテナ36aにより売上データ処理装置10の情報通信部18のアンテナ18aから送信された無線電波を受信し、その受信信号を復調してデータ信号を取得する。
【0049】
次に、図4を参照して、売上データ処理装置10の記憶部15に記憶された接続先管理テーブル150を説明する。図4に、接続先管理テーブル150の構成を示す。
【0050】
図4に示すように、接続先管理テーブル150は、売上データ処理装置ID151と、顧客用表示装置ID152と、を有する。売上データ処理装置ID151は、自己の売上データ処理装置10を識別する識別情報である。顧客用表示装置ID152は、売上データ処理装置10に無線接続が許可された顧客用表示装置30を識別する識別情報である。
【0051】
次に、図5〜図9を参照して、レジスタシステム1の動作を説明する。先ず、図5〜図8を参照して、売上データ処理装置10の動作を説明する。図5に、売上データ処理装置10で実行されるレジスタ処理の流れを示す。図6に、レジスタ処理中の金額キー押下処理の流れを示す。図7に、レジスタ処理中の部門キー押下処理の流れを示す。図8に、レジスタ処理中の現金預キー押下処理の流れを示す。
【0052】
売上データ処理装置10で実行されるレジスタ処理は、通常の商品の登録処理とともに、顧客用表示装置30に電力供給及び無線通信を行う処理である。
【0053】
売上データ処理装置10において、例えば、オペレータから操作部12を介してレジスタ処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、記憶部15から読み出されて適宜RAM13に展開されたレジスタプログラムと、CPU11との協働で、レジスタ処理が実行される。
【0054】
図5に示すように、先ず、オペレータから操作部12の第一登録キー124が押下されたか否かが判別される(ステップS1)。第一登録キー124が押下された場合(ステップS1;YES)、電力送信部17を介して顧客用表示装置30に電力が供給開始される(ステップS2)。そして、情報通信部18を介して顧客用表示装置30に顧客用表示装置IDを要求するためのID送信要求が送信される(ステップS3)。
【0055】
そして、情報通信部18を介して顧客用表示装置30から送信された顧客用表示装置IDを受信したか否かが判別される(ステップS4)。顧客用表示装置IDを受信していない場合(ステップS4;NO)、ステップS4に移行される。顧客用表示装置IDを受信した場合(ステップS4;YES)、記憶部15に記憶された接続先管理テーブル150が参照され、受信した顧客用表示装置IDが顧客用表示装置ID152にあるか否かが判別される(ステップS4a)。
【0056】
受信した顧客用表示装置IDが顧客用表示装置ID152にない場合(ステップS4a;NO)、無線接続中の顧客用表示装置30が許可されたものでなく、無線接続中の顧客用表示装置30が許可された顧客用表示装置でない旨の警告が表示部14に表示され(ステップS5)、レジスタ処理が終了する。
【0057】
受信した顧客用表示装置IDが顧客用表示装置ID152にある場合(ステップS4a;YES)、無線接続中の顧客用表示装置30が許可されたものであり、変数flagに1が代入され、電力送信部17を介した顧客用表示装置30への電力供給が終了される(ステップS6)。変数flagは、顧客用の画面表示のために顧客用表示装置30に電力供給開始を行うか否かを示すフラグである。変数flagが1であると、顧客用表示装置30に電力供給開始を行うことを示し、変数flagが0であると、顧客用表示装置30に電力供給開始を行わないことを示す。
【0058】
そして、オペレータから操作部12の金額キー121が押下されたか否かが判別される(ステップS7)。金額キー121が押下された場合(ステップS7;YES)、商品又は預かり金の金額の登録を行う金額キー押下処理が実行され(ステップS8)、ステップS1に移行される。金額キー押下処理は、詳細に後述される。第一登録キー124が押下されていない場合(ステップS1;NO)、ステップS7に移行される。
【0059】
金額キー121が押下されていない場合(ステップS7;NO)、オペレータから操作部12の部門キー122が押下されたか否かが判別される(ステップS9)。部門キー122が押下された場合(ステップS9;YES)、部門に関する情報の登録を行う部門キー押下処理が実行され(ステップS10)、ステップS1に移行される。部門キー押下処理は、詳細に後述される。
【0060】
部門キー122が押下されていない場合(ステップS9;NO)、オペレータから操作部12の現金預キー123が押下されたか否かが判別される(ステップS11)。現金預キー123が押下された場合(ステップS11;YES)、商品の登録を完了する現金預キー押下処理が実行され(ステップS12)、ステップS1に移行される。現金預キー押下処理は、詳細に後述される。
【0061】
現金預キー123が押下されていない場合(ステップS11;NO)、オペレータから操作部12を介してレジスタ処理の終了指示が入力されて、レジスタ処理を終了するか否かが判別される(ステップS13)。レジスタ処理を終了する場合(ステップS13;YES)、レジスタ処理が終了する。レジスタ処理を終了しない場合(ステップS13;NO)、その他の処理が実行され(ステップS14)、ステップS1に移行される。その他の処理とは、オペレータから操作部12を介したボタン入力に応じた、掛売り(付け払い)、値引きの登録等の処理である。また、ステップS14では、行う処理がないときは、処理を行うことなくステップS1に移行される。
【0062】
図6を参照して、ステップS8の金額キー押下処理を説明する。先ず、変数flag が1であるか否かが判別される(ステップS81)。変数flagが0である場合(ステップS81;NO)、オペレータから操作部12への商品の数値入力が受け付けられる(ステップS82)。ステップS82で入力される金額は、その金額入力の後、部門キー122が押下されると、対応する部門の商品の金額入力となり、その金額入力の後、現金預キー123が押下されると、顧客からの預かり金の金額入力となる。
【0063】
そして、ステップS82で受け付けられた数値がRAM13に記憶される(ステップS83)。そして、ステップS83でRAM13に記憶された数値が表示部14に表示され、その数値を顧客用表示装置30に表示するための表示データが生成され、その表示データが情報通信部18を介して顧客用表示装置30に送信され(ステップS84)、金額キー押下処理が終了する。
【0064】
変数flagが1である場合(ステップS81;YES)、現在の顧客の最初の商品の金額の登録(第一登録)であり、電力送信部17を介して顧客用表示装置30に電力が供給開始される(ステップS85)。そして、変数flagに0が代入され(ステップS86)、ステップS82に移行される。
【0065】
図7を参照して、ステップS10の部門キー押下処理を説明する。先ず、RAM13に記憶されている商品の金額の数値が、記憶部15の押下された部門キー122の種類に対応する部門別合計器41に累計されて記憶される(ステップS101)。そして、RAM13に記憶されている商品の金額の数値が、記憶部15の取引額43に累計されて記憶される(ステップS102)。
【0066】
そして、RAM13に記憶されている商品の金額と、押下された部門キー122の種類に対応する部門コードと、取引額43に記憶されている取引額とが、表示部14に表示され、その金額、部門コード及び取引額を顧客用表示装置30に表示するための表示データが生成され、その表示データが情報通信部18を介して顧客用表示装置30に送信される(ステップS103)。そして、RAM13に記憶されている商品の金額と、押下された部門キー122の種類に対応する部門コードとが、印刷部16によりレシート及びジャーナルに印刷され(ステップS104)、部門キー押下処理が終了する。
【0067】
図8を参照して、ステップS12の現金預キー押下処理を説明する。先ず、RAM13に預かり金としての金額の数値が記憶されているか否かが判別される(ステップS121)。預かり金の金額の数値が記憶されている場合(ステップS121;YES)、RAM13から預かり金としての金額の数値が読み出され、記憶部15から取引額として取引額43の金額の数値が読み出され、取得した預かり金−取得した取引額が算出され、その算出値が釣銭としてRAM13に記憶される(ステップS122)。そして、RAM13に記憶されている預かり金、釣銭が表示部14に表示され、その預かり金、釣銭を顧客用表示装置30に表示するための表示データが生成され、その表示データが情報通信部18を介して顧客用表示装置30に送信される(ステップS123)。
【0068】
そして、記憶部15に記憶されている取引額43の数値が、記憶部15の現金取引合計器42に累計されて記憶される(ステップS124)。預かり金の金額の数値が記憶されていない場合(ステップS121;NO)、ステップS124に移行される。そして、取引額43に記憶されている取引額が、表示部14に表示され、その取引額を顧客用表示装置30に表示するための表示データが生成され、その表示データが情報通信部18を介して顧客用表示装置30に送信される(ステップS125)。そして、ドロアオープン回路(図示略)によりドロア19が開けられる(ステップS126)。このとき、オペレータにより、顧客より渡された預かり金がドロア19に収納され、お釣りがあれば、そのお釣りがドロア19から取り出されて顧客に手渡される。
【0069】
そして、記憶部15に記憶されている取引額43の数値が、記憶部15に記憶されている在高44の数値に加算される(ステップS127)。そして、記憶部15に記憶されている取引額43の数値が、印刷部16によりレシート及びジャーナルに印刷される(ステップS128)。ステップS128では、取引額と預かり金が異なる場合には、RAM13に記憶されている預かり金及び釣銭もレシート及びジャーナルに印刷される。
【0070】
そして、RAM13に記憶されている取引額、在高、預かり金、釣銭の情報がクリアされる(ステップS129)。そして、ドロアセンサ20によりドロア19が開いているか閉められているかが検知され、その検知信号が取得され、その検知信号に基づいて、ドロア19が開いている状態から閉まっている状態に移行したか否かが判別される(ステップS130)。ステップS130において、顧客用表示装置30が、計時部を備え、計時部から出力される時刻情報に基づいて、ドロア19が開いている状態から閉まっている状態に移行してから所定時間が経過したか否かが判別される構成としてもよい。
【0071】
ドロア19が開いている状態から閉まっている状態に移行していない場合(ステップS130;NO)、ステップS130に移行される。ドロア19が開いている状態から閉まっている状態に移行した場合(ステップS130;YES)、電力送信部17を介した顧客用表示装置30への電力供給が終了され(ステップS131)、現金預キー押下処理が終了する。
【0072】
次いで、図9を参照して、顧客用表示装置30の動作を説明する。図9に、顧客用表示装置30で実行される顧客用表示処理の流れを示す。
【0073】
顧客用表示処理は、売上データ処理装置10の要求に応じて、表示を行ったり、情報(顧客用表示装置ID)を売上データ処理装置10に送信する処理である。顧客用表示装置30において、レジスタ処理のステップS2,S85に対応して、電力受信部35により売上データ処理装置10から供給される電力を受信したことをトリガとして、記憶部34から読み出されてRAM33に展開された顧客用表示プログラムと、CPU31との協働により、顧客用表示処理が実行される。なお、レジスタ処理のステップS6,S131に対応して、電力受信部35による売上データ処理装置10からの電力受信が終了すると、顧客用表示処理も終了する。
【0074】
図9に示すように、先ず、レジスタ処理のステップS84、S103,S123,S125に対応して、情報通信部36を介して売上データ処理装置10から表示データを受信したか否かが判別される(ステップS201)。表示データを受信した場合(ステップS201;YES)、受信された表示データを用いて、表示部32に画面表示がなされ(ステップS202)、ステップS201に移行される。
【0075】
表示データを受信していない場合(ステップS201;NO)、レジスタ処理のステップS3に対応して、情報通信部36を介して売上データ処理装置10からID送信要求を受信したか否かが判別される(ステップS203)。ID送信要求を受信した場合(ステップS203;YES)、記憶部34の顧客用表示装置ID51から顧客用表示装置IDが読み出され、情報通信部36を介して、読み出した顧客用表示装置IDが売上データ処理装置10に送信され(ステップS204)、ステップS201に移行される。ID送信要求を受信していない場合(ステップS203;NO)、ステップS201に移行される。
【0076】
以上、本実施の形態によれば、売上データ処理装置10と顧客用表示装置30とが無線接続される。そして、売上データ処理装置10が、顧客用表示装置30に無線で電力を送信し、表示データを顧客用表示装置30へ無線送信する。そして、顧客用表示装置30が、表示データを売上データ処理装置10から無線受信すると、表示データを用いて、表示部32に画面表示する。このため、有線接続による制限なく、売上データ処理装置10と顧客用表示装置30とを、無線接続できる範囲で自在に配置できる。また、売上データ処理装置10から顧客用表示装置30へ電力を供給して、顧客用表示装置30に自在に画面表示させることができる。
【0077】
また、売上データ処理装置10が、オペレータからの金額キー121の押下入力が受け付けられると、顧客の最初の商品の金額登録(flag=1)であるか否かを判別し、顧客の最初の商品の金額登録である場合に、顧客用表示装置30に無線電力供給を行い、表示データを顧客用表示装置30へ無線送信する。このため、適切なタイミングで、顧客用表示装置30に画面表示を開始させることができる。
【0078】
また、売上データ処理装置10が、ドロアセンサ20の検知信号に基づいて、ドロア19が開いている状態から閉まっている状態に移行したか否かを判別し、ドロア19が開いている状態から閉まっている状態に移行した後に、顧客用表示装置30への無線電力供給を終了する。このため、適切なタイミングで、顧客用表示装置30に画面表示を終了させることができる。
【0079】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る売上データ処理装置、顧客用表示装置及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0080】
例えば、上記実施の形態では、売上データ処理装置10、顧客用表示装置30が、それぞれ、電磁誘導型の電力送信部17、電力受信部35を備え、電磁誘導方式の無線電力供給がなされる構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、売上データ処理装置10、顧客用表示装置30が、それぞれ、電波受信型又は共鳴型の電力送信手段、電力受信手段を備え、電磁誘導方式の無線電力供給がなされる構成としてもよい。電波受信方式の電力供給では、電力送信手段が送信アンテナから電波を送信し、その電波を電波受信型の電力受信手段が受信アンテナで受信し、得られるアンテナ電流を電力として利用する。共鳴型の電力供給では、電力送信手段、電力受信手段がそれぞれLC共振器を有し、LC共振器同士の電場だけ、磁場だけの共鳴を利用して電力が供給される。また、電波受信型又は共鳴型の電力供給では、売上データ処理装置10と顧客用表示装置30との間に障害物があるとしても、電力供給が可能である。
【0081】
また、上記実施の形態におけるレジスタシステム1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0082】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部15、記憶部35を使用した例を開示したが、この例に限定されない。
その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る実施の形態のレジスタシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】売上データ処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】顧客用表示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】接続先管理テーブルの構成を示す図である。
【図5】売上データ処理装置で実行されるレジスタ処理を示すフローチャートである。
【図6】レジスタ処理中の金額キー押下処理を示すフローチャートである。
【図7】レジスタ処理中の部門キー押下処理を示すフローチャートである。
【図8】レジスタ処理中の現金預キー押下処理を示すフローチャートである。
【図9】顧客用表示装置で実行される顧客用表示処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1 レジスタシステム
10 売上データ処理装置
11 CPU
12 操作部
121 金額キー
122 部門キー
123 現金預キー
124 第一登録キー
13 RAM
14 表示部
15 記憶部
16 印刷部
17 電力送信部
17a コイル
18 情報通信部
18a アンテナ
19 ドロア
20 ドロアセンサ
21 バス
30 顧客用表示装置
31 CPU
32 表示部
33 RAM
34 記憶部
35 電力受信部
35a コイル
36 情報通信部
36a アンテナ
37 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客用表示装置に表示させる表示データを前記顧客用表示装置に無線で送信する表示データ送信手段と、
前記顧客用表示装置に無線で電力を送信する電力送信手段と、
を備えることを特徴とする売上データ処理装置。
【請求項2】
顧客が購入する最初の商品の金額を記憶する際のトリガを入力するトリガ入力手段と、
このトリガ入力手段によりトリガが入力されると、顧客用表示装置に電力を送信するように前記電力送信手段を制御する電力送信制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理装置。
【請求項3】
金銭を収納するドロアと、
このドロアの開閉の状態を検知する検知手段と、
この検知手段により前記ドロアが開いている状態から閉まっている状態へ移行したと判別された後に、前記電力送信手段による電力の送信を終了するように制御する電力送信制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理装置。
【請求項4】
売上データ処理装置の電力送信手段により無線で送信された電力を受信する電力受信手段と、
この電力受信手段により受信された電力により、前記売上データ処理装置の表示データ送信手段により無線で送信された表示データを受信して、この受信された表示データを表示するように制御する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする顧客用表示装置。
【請求項5】
売上データ処理装置のコンピュータを、
顧客用表示装置に表示させる表示データを前記顧客用表示装置に無線で送信する表示データ送信手段、
前記顧客用表示装置に無線で電力を送信する電力送信手段、
顧客が購入する最初の商品の金額を記憶する際のトリガを入力するトリガ入力手段、
このトリガ入力手段によりトリガが入力されると、顧客用表示装置に電力を送信するように前記電力送信手段を制御する電力送信制御手段、
として機能させるプログラム。
【請求項6】
顧客用表示装置のコンピュータを、
売上データ処理装置の電力送信手段により無線で送信された電力を受信する電力受信手段、
この電力受信手段により受信された電力により、前記売上データ処理装置の表示データ送信手段により無線で送信された表示データを受信して、この受信された表示データを表示するように制御する表示制御手段、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−79700(P2010−79700A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248682(P2008−248682)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】