説明

売上表示システム、データ処理装置および制御プログラム

【課題】 店舗の営業中であっても手間の掛かかる作業を行うことなくそれまでの売上金額を知ることができるようにし、各部門において迅速な販売戦略の立案を可能とすること。
【解決手段】 一実施形態における売上表示システムは、商品販売処理装置と、履歴記憶手段と、集計手段と、複数の売上表示機3とを備えている。商品販売処理装置は、予め所定の部門に分類された商品を販売処理する。履歴記憶手段は、商品販売処理装置で販売処理された商品を示す履歴情報を累積記憶する。集計手段は、履歴記憶手段に累積記憶された履歴情報で示される商品の売上金額を部門毎に集計する。各売上表示機3は、部門毎に設けられ、集計手段で集計された自部門の売上金額を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、POS(Point Of Sales)端末等の商品販売処理装置で販売処理された商品の履歴に基づき、売上金額を報知する売上表示システム、このシステムで使用されるデータ処理装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等の小売店においては、POS端末やECR等の商品販売処理装置を用いて客が購入しようとする商品の会計が行われている。この種の装置は、例えばバーコードスキャナで商品に付されたバーコードを読み取るなどしてその商品のPLU(Price Look Up)コードが入力されると、そのPLUコードに基づいて商品の価格情報を取得し、1取引内で取得した各商品の価格情報に基づいて合計代金を算出し、現金やクレジットカード等による支払処理を実行する。
【0003】
上記のような商品販売処理装置で販売処理された商品の履歴情報は、ストアサーバや複数ある商品販売処理装置の中から予め設定されたマスタレジで累積記憶される。このように累積記憶された履歴情報を用いて売れ筋商品の把握や店舗の繁忙時間帯および清閑時間帯の把握などの種々の分析がなされ、販売戦略に役立てられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−242780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
店舗によっては、営業途中でその日の売上金額を適宜把握し、その日の販売戦略に役立てたい場合がある。
上記のような従来の構成において、店舗の売上状況を確認するためには、PC等の端末から上記ストアサーバにアクセスして売上金額を算出・表示させたり、マスタレジに集計処理を実行させて売上金額をレシート用紙に印字させる等の手間と時間を要する作業を行う必要があった。
【0006】
したがって、営業途中にそれまでの売上金額を把握しようとすると、その作業に人員を充てなければならず、他の業務に支障を来しかねないとの問題がある。特に、店舗内の売場が青果,鮮魚,精肉のように複数の部門毎に分かれており、部門毎に売上金額の途中経過を把握したい場合には、部門毎に自部門の売上金額を確認する作業を行う必要があり、相当な労力を費やしてしまう。
【0007】
このような事情から、店舗の営業中であっても手間の掛かかる作業を行うことなくそれまでの売上金額を知ることができ、各部門において迅速な販売戦略の立案を可能とするシステムの構築が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決すべく、一実施形態における売上表示システムは、商品販売処理装置と、履歴記憶手段と、集計手段と、複数の表示機とを備えている。
上記商品販売処理装置は、予め所定の部門に分類された商品を販売処理する。上記履歴記憶手段は、商品販売処理装置で販売処理された商品を示す履歴情報を累積記憶する。上記集計手段は、履歴記憶手段に累積記憶された履歴情報で示される商品の売上金額を部門毎に集計する。上記各表示機は、部門毎に設けられ、集計手段で集計された自部門の売上金額を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態におけるPOSシステムの全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態におけるPOSサーバの要部構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態におけるPLUファイルのデータ構造例を示す模式図。
【図5】同実施形態における部門ファイルのデータ構造例を示す模式図。
【図6】同実施形態における履歴情報のデータ構造例を示す模式図。
【図7】同実施形態における売上表示機の画面表示例を示す模式図。
【図8】同実施形態における販売処理のフローチャート。
【図9】同実施形態における売上金額更新処理のフローチャート。
【図10】同実施形態における付随情報更新処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、この実施形態では、売上表示システムの一例として、店舗内の売場が青果部門、鮮魚部門、精肉部門等の複数に分けられたスーパーマーケットにて稼働するPOSシステムを例示する。
【0011】
[システム構成]
図1は、当該POSシステムの全体構成を示すブロック図である。このシステムは、本実施形態における商品販売処理装置として機能する複数のPOS端末1と、本実施形態におけるデータ処理装置として機能するPOSサーバ2と、複数の売上表示機3と、本社サーバ4とで構成されている。各POS端末1および各売上表示機3は、店舗内に設けられたLAN(Local Area Network)により、有線または無線にてPOSサーバ2と通信接続されている。また、POSサーバ2は、当該店舗と外部とを接続するLANにて本社サーバ4と通信接続されるとともに、インターネット5とも通信接続されている。
【0012】
各POS端末1は、客が購入しようとする商品を販売処理するものであり、当該店舗の会計場に設けられたチェックアウトカウンタ上に設置されている。POSサーバ2は、当該店舗のバックヤードや事務室等に設置されている。各売上表示機3は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、青果部門,鮮魚部門,精肉部門等の各部門に対し、1つずつ設けられている。なお、各売上表示機3は、例えば各部門のバックヤードのように、客からその表示内容が見えず、かつ各部門で働く店員がその表示内容を頻繁に確認できる位置に設置する。但し、その具体的な設置位置は店舗の運営に併せて適宜調整すればよい。本社サーバ4は、当該店舗を運営する本社内に設けられており、店舗の運営に関わる情報、例えば1日の売上情報等をPOSサーバ2から受信したり、各部門の売上目標をPOSサーバ2に送信する等の処理を行う。
【0013】
[POS端末]
図2は、POS端末1の要部構成を示すブロック図である。POS端末1は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)100と、メモリ101と、時計回路102と、通信部103と、スキャナI/F(Interface)104と、キーボードコントローラ105と、ディスプレイコントローラ106と、カードリーダコントローラ107と、プリンタコントローラ108と、キーボード109と、店員側ディスプレイ110と、客側ディスプレイ111と、カードリーダ112と、レシートプリンタ113とを備えている。これらのうちメモリ101、時計回路102、通信部103、スキャナI/F104、および各コントローラ105〜108は、バスライン114を介してCPU100に接続され、スキャナI/F104にバーコードスキャナ115が接続され、キーボードコントローラ105にキーボード109が接続され、ディスプレイコントローラ106に各ディスプレイ110,111が接続され、カードリーダコントローラ107にカードリーダ112が接続され、プリンタコントローラ108にレシートプリンタ113が接続されている。
【0014】
メモリ101は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)にて構成され、CPU100が実行する制御プログラム等の固定的データを記憶するとともに、処理場面に応じて各種の作業用記憶領域を形成する。
時計回路102は、例えば年,月,日,時,分,秒の単位で日時を計時する。
通信部103は、上記店舗内に設けられたLANを介して行われるPOSサーバ2との通信を制御する。
バーコードスキャナ115は、例えば店員が手持で操作するハンディタイプのスキャナであり、商品に付されたバーコードを光学的に走査してそのバーコードで示されるPLUコードを読み取る。スキャナI/F104は、バーコードスキャナ115が読み取ったPLUコードを取り込んでCPU100に通知する。
【0015】
キーボード109は、商品登録の開始を宣言するPLUキー、小計指示を入力する小計キー、現計指示(現金による決済指示)を入力する現計キー、信計指示(クレジットカードによる決済指示)を入力する信計キー、数値入力用のテンキー等の各種操作キーを有している。キーボードコントローラ105は、キーボード109がキー操作に応じて出力する信号を取り込んで操作されたキーの種別を判別し、CPU100に通知する。
【0016】
店員側ディスプレイ110は、例えばLCDの表示面上にタッチパネルを設けたタッチパネル付きのディスプレイであり、POS端末1の操作者である店員の立ち位置側にその表示面が向くようにPOS端末1の筐体に取り付けられている。客側ディスプレイ111は、例えばVFD(Vacuum Fluorescent Display)であり、POS端末1で会計を受ける客の立ち位置側にその表示面が向くようにPOS端末1の筐体に取り付けられている。ディスプレイコントローラ106は、各ディスプレイ110,111の画面表示を制御する。
【0017】
カードリーダ112は、ポイントカードやクレジットカードからカード情報を読み取るICタイプまたは磁気タイプのカードリーダである。カードリーダコントローラ107は、カードリーダ112が読み取ったカード情報を取り込んでCPU100に通知する。
【0018】
レシートプリンタ113は、レシート用紙に取引の明細情報等を印刷したレシートやクレジット伝票等を発行する。プリンタコントローラ108は、レシートプリンタ113の印刷動作を制御する。
【0019】
[POSサーバ]
図3は、POSサーバ2の要部構成を示すブロック図である。POSサーバ2は、制御の中枢として機能するCPU200と、メモリ201と、時計回路202と、通信部203と、キーボードコントローラ204と、ディスプレイコントローラ205と、キーボード206と、ディスプレイ207とを備えている。これらのうちメモリ201、時計回路202、通信部203、および各コントローラ204,205は、バスライン208を介してCPU200に接続され、キーボードコントローラ204にキーボード206が接続され、ディスプレイコントローラ205にディスプレイ207が接続されている。
【0020】
メモリ201は、ROMやRAMにて構成され、CPU200が実行する制御プログラム等の固定的データを記憶するとともに、処理場面に応じて各種の作業用記憶領域を形成する。
時計回路202は、例えば年,月,日,時,分,秒の単位で日時を計時する。
通信部203は、本実施形態における通信手段として機能するものであり、上記店舗内に設けられたLANを介して行われる各POS端末1および各売上表示機3との通信、上記店舗と外部とを接続するLANを介して行われる本社サーバ4との通信、およびインターネット5との通信を制御する。
キーボード206は、アルファベットを入力するアルファベットキーや数値入力用のテンキー等の各種操作キーを有している。キーボードコントローラ204は、キーボード206がキー操作に応じて出力する信号を取り込んで操作されたキーの種別を判別し、CPU200に通知する。
ディスプレイ207は、例えばLCDであり、ディスプレイコントローラ106は、ディスプレイ207の画面表示を制御する。
【0021】
メモリ201は、上記制御プログラム等の他に、PLUファイル210、部門ファイル211、売上履歴DB(Data Base)212を記憶している。
図4は、PLUファイル210のデータ構造例を示す模式図である。PLUファイル210は、当該店舗で販売される商品毎に設けられたレコードによって構成されている。各レコードには、商品のPLUコード、そのPLUコードで示される商品の商品名および単価、その商品が属する部門の部門コード等の商品データが記述されている。
【0022】
図5は、部門ファイル211のデータ構造例を示す模式図である。部門ファイル211は、本実施形態における目標金額記憶手段として機能するものであり、当該店舗内の部門毎に設けられたレコードによって構成されている。各レコードには、部門コード、その部門コードで示される部門の部門名、その部門に設定された1営業日当たりの売上目標等が記述されている。本実施形態では、図示したように、部門コード「コードB1」で示される「青果」部門の売上目標は「¥200,000」に設定され、部門コード「コードB2」で示される「鮮魚」部門の売上目標は「¥500,000」に設定され、部門コード「コードB3」で示される「精肉」部門の売上目標は「¥400,000」に設定されているものとする。
【0023】
売上履歴DB212は、本実施形態における履歴記憶手段として機能するものであり、POS端末1が1取引の会計を処理する度に生成する履歴情報が蓄積記憶される。図6は、売上履歴DB212に蓄積記憶される履歴情報のデータ構造例を示す模式図である。履歴情報は、その取引に割当てられた取引ナンバ、その取引が処理された取引日時、その取引にて販売された商品の商品データ、その取引の合計代金、客からの預り金額、および釣銭額等で構成されている。例えば図示した例は、取引ナンバ「T001」で識別される取引の履歴情報を示しており、取引日時は「2010年7月13日14時20分」であり、PLUコード「コードP1」,「コードP2」で示される商品が販売され、合計代金が「¥316」で客からの預り金額が「¥400」で釣銭額が「¥84」であったことを示している。なお、履歴情報中の商品データは、その商品のPLUコード、商品名、部門コード、単価、数量、価格(単価×数量)等で構成されている。この例では現金決済が行われた取引の履歴情報を示しているが、クレジットカード等によるカード決済がなされた場合には、預り金額や釣銭額に代えてカード決済に用いられたカードのカード情報等が記述される。
【0024】
[売上表示機]
図7は、売上表示機3の画面表示例を示す模式図である。各売上表示機3の画面表示は、現在日時および天気等を示すエリアAと、その売上表示機3に対応する部門の売上状況等を表示するエリアBと、他部門の売上状況等を表示するエリアCとに大別される。
【0025】
図示した例は、青果部門に対応する売上表示機3の画面表示例であり、エリアAには日時「2010年7月25日(日)17:25:32」と天気「晴れ」、気温「32℃」、湿度「45%」が表示され、エリアBには自部門を示す情報である「部門:青果」、自部門の売上目標である「本日売り上げ目標:200000円」、現時点での累計売上金額である「現在売り上げ:175430円」、現時点での目標達成率である「達成率:87.7%」が表示され、エリアCには他部門の売上状況として、部門「鮮魚」の売上目標である「本日売り上げ目標:500000円」、現時点での累計売上金額である「現在売り上げ:563500円」、現時点での目標達成率である「達成率:112.7%」が表示され、部門「精肉」の売上目標である「本日売り上げ目標:400000円」、現時点での累計売上金額である「現在売り上げ:384580円」、現時点での目標達成率である「達成率:96.1%」が表示されている。これら各情報のうち、エリアAの日時に関しては各売上表示機3に内蔵された時計回路にて計時される日時にて随時更新され、エリアAの天気,気温,湿度、エリアB、エリアCの各情報に関しては後述の売上金額更新処理および付随情報更新処理にて更新される。なお、図示した例ではエリアCに「鮮魚」部門と「精肉」部門の売上状況のみを表しているが、より多くの部門に関する売上状況を表してもよいし、いずれか1部門の売上状況のみを表示してもよい。
【0026】
[動作]
当該POSシステムを構成する各部の動作について説明する。
各POS端末1のCPU100は、商品を販売処理するにあたり、図8のフローチャートに沿って動作する。この動作は、POS端末1を操作する店員がキーボード109のPLUキーを操作したことに応じ、CPU100がメモリ101に記憶された制御プログラムを実行することで実現される。
【0027】
処理開始当初において、CPU100は、商品登録処理を実行する(ステップS101)。具体的には、客が購入しようとする商品のPLUコードの入力を受け付け、入力されたPLUコードを通信部103によってPOSサーバ2に送信する。PLUコードは、バーコードスキャナ115によるバーコードの読み取りや、店員側ディスプレイ110へのタッチ操作によって入力可能である。POS端末1からPLUコードを受信したPOSサーバ2は、PLUファイル210を参照して当該PLUコードに対応するレコードを特定し、そのレコードに記述された商品データを送信元のPOS端末1に返信する。この商品データを通信部103によって受信すると、CPU100は、当該商品データをメモリ101に形成した当該取引用の記憶領域に登録する。このような処理を、客が購入しようとする各商品について行う。
【0028】
全ての商品のPLUコードを入力し終えたとき、店員は、キーボード109の小計キーを操作して小計指示を入力する。これに応じて、CPU100は、代金支払処理を実行する(ステップS102)。具体的には、商品登録処理にて上記記憶領域に登録された商品データに基づいて合計代金を算出して各ディスプレイ110,111に表示させ、キーボード109のテンキーを用いた客からの預り金額の入力および現計キーの操作、あるいはカードリーダ112を用いたクレジットカード等の読み取りおよび信計キーの操作を待ち受ける。
【0029】
代金支払処理が完了すると、CPU100は、締め処理を実行する(ステップS103)。具体的には、代金支払処理にて現計キーが操作された場合には入力された預り金額から合計代金を差し引いて釣銭額を算出して各ディスプレイ110,111に表示させ、信計キーが操作された場合には周知の手順でクレジットカードの認証処理を行いカード決済を完結させる。さらに、プリンタコントローラ108にレシートプリンタ113を駆動させ、当該取引の明細情報を印刷したレシートやクレジット伝票を発行させる。なお、電子マネー媒体の読取装置をPOS端末1に設け、ステップS102でこの読取装置に翳される客の電子マネー媒体から電子マネー情報を読み取り、ステップS103で当該読み取った電子マネー情報を用いた電子マネー決済を行うようにしてもよい。
【0030】
最後に、CPU100は、商品登録処理にて上記記憶領域に登録された商品データ等を用いて当該取引の履歴情報を作成し、作成した履歴情報を通信部103によってPOSサーバ2に送信する(ステップS104)。以上で1取引の販売処理が終了する。
【0031】
次に、各売上表示機3の画面表示の更新に関わる処理について説明する。
POSサーバ2のCPU200は、図9のフローチャートに沿って動作して、各売上表示機3のエリアB,Cに表す情報を更新する(売上金額更新処理)。この動作は、POS端末1から履歴情報を受信したことに応じ、CPU200がメモリ201に記憶された制御プログラムを実行することで実現される。
【0032】
処理開始当初において、CPU200は、POS端末1から受信した履歴情報を売上履歴DB212に記憶する(ステップS201)。そして、CPU200は、売上履歴DB212に記憶された各履歴情報に基づいて、当該営業日における現時点での部門毎の累計売上金額を集計する(ステップS202:集計手段)。
【0033】
当該営業日における現時点での累計売上金額の集計方法としては、種々の方法を採用し得る。例えば、売上履歴DB212の各履歴情報の中から取引日時が当該営業日のものを選出し、選出した各履歴情報中の商品データに含まれる「価格」を、その商品データに含まれる「部門コード」毎に集計する。また、売上履歴DB212に記憶された履歴情報を1日の営業終了後、翌日の営業開始前に消去する運用が採られているならば、上記した取引日時が当該営業日のものを選出する工程を省き、売上履歴DB212の各履歴情報中の商品データに含まれる「価格」を、その商品データに含まれる「部門コード」毎に集計する。あるいは、メモリ201に部門毎の累計売上金額を計数するカウンタを設け、ステップS202の処理の度に売上履歴DB212に記憶された最新の履歴情報の商品データに含まれる「価格」をその商品データに含まれる「部門コード」で示される部門のカウンタに加算する。このようにすれば、各カウンタが常に各部門の最新の累計売上金額を示すことになり、ステップS202ではステップS201にて売上履歴DB212に記憶された最新の履歴情報のみ参照すればよいので、累計売上金額の集計に要する処理工程が簡略化される。
【0034】
累計売上金額を集計した後、CPU200は、集計した各部門の累計売上金額を部門ファイル211に記述された各部門の売上目標で除し、現時点での各部門の目標達成率を算出する(ステップS203)。そして、CPU200は、部門ファイル211に記述された各部門の売上目標と、ステップS202で集計した各部門の累計売上金額と、ステップS203で算出した各部門の目標達成率とに基づいて各売上表示機3に送信する表示データを作成する(ステップS204)。ここで作成される各表示データは、送信先の売上表示機3に対応する部門と同一の部門に係る売上目標、累計売上金額、目標達成率をエリアBに表示させ、他部門に係る売上目標、累計売上金額、目標達成率をエリアCに表示させる表示データである。このような表示データを作成した後、CPU200は、各表示データをそれぞれ対応する部門の売上表示機3に送信し、エリアB,Cの表示を更新させる(ステップS205:売上表示手段)。以上で一連の処理が終了する。
【0035】
このような流れの処理の他に、POSサーバ2のCPU200は、図10のフローチャートに沿って動作して、各売上表示機3のエリアAに表す天気、気温、湿度を更新する(付随情報更新処理)。この動作は、予め定められたタイミング(例えば10分間隔)が到来したことに応じ、CPU200がメモリ201に記憶された制御プログラムを実行することで実現される。
【0036】
処理開始当初において、CPU200は、インターネット5に接続された天気情報を提供するサイトに通信部203を介してアクセスし、現在の天気、気温、湿度を取得する(ステップS301)。そして、取得した天気、気温、湿度をエリアAに表示させる表示データを作成し(ステップS302)、作成した表示データを各売上表示機3に送信して、表示エリアAの表示を更新させる(ステップS303)。以上で一連の処理が終了する。
【0037】
図9および図10に示したフローチャートに沿う動作により、各売上表示機3には、自部門および他部門の現時点での売上状況や、現在の天気等がリアルタイムで表示されることになる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、部門毎に売上表示機3を設け、各売上表示機3にそれぞれ自部門の現時点での売上金額をリアルタイムで表示させる構成とした。これにより、各部門で作業する店員は、店舗の営業中であっても面倒な作業を行うことなく容易に自部門の現時点での売上金額を確認することができる。このように各部門で自部門の現時点での売上金額をリアルタイムに確認できれば、その後の販売戦略を各部門が迅速に立案でき、商機を掴むことができる。
【0039】
また、各売上表示機3には、自部門の売上金額に加え、自部門の売上目標金額や売上の達成率が表示される。これにより、各部門で作業する店員は、目標金額に対する売上の不足額や現在の達成率を見て容易に自部門の売上の現状を把握でき、その後の販売戦略の立案がより一層迅速化される。
【0040】
また、各売上表示機3には、自部門の売上に関する情報に加え、他部門の売上に関する情報が表示される。これにより、各部門で作業する店員は、他部門の売上状況をも把握でき、店員の競争心を煽ることが可能となるし、各部門の売上状況をも考慮した販売戦略の立案が可能となる。
【0041】
また、各売上表示機3には、天気、気温、湿度等の来客数を予測する上で有用な付随情報が表示される。これにより、各部門の店員は、その後の来客数をも考慮した販売戦略の立案が可能となる。
【0042】
[変形例]
上記各実施形態にて開示した構成は、種々変形実施可能である。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0043】
(1)上記実施形態では、商品販売処理装置の一例であるPOS端末1を備えるPOSシステムにより売上表示システムを実現する場合について説明した。しかしながら、商品販売処理装置としては、取引をカード決済する決済端末等の他種の装置を用いてもよい。
【0044】
(2)上記実施形態では、POSサーバ2に各売上表示機3の画面表示を更新させる場合を例示した。しかしながら、各POS端末1の中からマスタレジを設定し、そのマスタレジに各売上表示機3の画面表示の更新に関わる処理を実行させてもよい。
【0045】
(3)上記実施形態では、メモリ101,201に販売処理および各売上表示機3の表示更新処理用の制御プログラムが予め記憶されているものとして説明した。しかしながら、これに限らず各制御プログラムをネットワークからPOS端末1やPOSサーバ2にダウンロードしても良いし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものをPOS端末1やPOSサーバ2にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等を利用でき、かつPOS端末1やPOSサーバ2が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であってもよい。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能はPOS端末1やPOSサーバ2内部のOS(Operating System)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…POS端末、2…POSサーバ、3…売上表示機、4…本社サーバ、5…インターネット、100,200…CPU、101,201…メモリ、210…PLUファイル、211…部門ファイル、212…売上履歴DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め所定の部門に分類された商品を販売処理する商品販売処理装置と、
この商品販売処理装置で販売処理された商品を示す履歴情報を累積記憶する履歴記憶手段と、
この履歴記憶手段に累積記憶された前記履歴情報で示される商品の売上金額を前記部門毎に集計する集計手段と、
前記部門毎に設けられ、前記集計手段で集計された自部門の売上金額を表示する複数の表示機と、
を備えていることを特徴とする売上表示システム。
【請求項2】
前記集計手段は、前記履歴情報が新たに前記履歴記憶手段に記憶される度に、前記履歴記憶手段に累積記憶された各履歴情報で示される商品の売上金額を前記部門毎に集計し、
前記各表示機は、前記集計手段で前記部門毎の売上金額が集計される度に、その集計された自部門の売上金額にて表示中の売上金額を更新することを特徴とする請求項1に記載の売上表示システム。
【請求項3】
前記部門毎の売上目標金額を記憶する目標金額記憶手段をさらに備え、
前記各表示機は、前記集計手段で集計された自部門の売上金額に加え、前記目標金額記憶手段に記憶された自部門の売上目標金額を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の売上表示システム。
【請求項4】
前記目標金額記憶手段に記憶された前記部門毎の売上目標金額と前記集計手段で集計された前記部門毎の売上金額とに基づいて前記部門毎の売上達成率を算出する達成率算出手段をさらに備え、
前記各表示機は、前記集計手段で集計された自部門の売上金額および前記目標金額記憶手段に記憶された自部門の売上目標金額に加え、前記達成率算出手段で算出された自部門の売上達成率を表示することを特徴とする請求項3に記載の売上表示システム。
【請求項5】
予め所定の部門に分類された商品を販売処理するとともに販売処理した商品を示す履歴情報を送信する商品販売処理装置、及び、前記部門毎に設けられた複数の表示機と通信する通信手段と、
この通信手段が前記商品販売処理装置から受信する前記履歴情報を累積記憶する記憶履歴手段と、
この履歴記憶手段に累積記憶された前記履歴情報で示される商品の売上金額を前記部門毎に集計する集計手段と、
この集計手段で集計された前記部門毎の売上金額のそれぞれを、前記通信手段を介して各部門に対応する前記表示機に送信して表示させる売上表示手段と、
を備えていることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
予め所定の部門に分類された商品を販売処理するとともに販売処理した商品を示す履歴情報を送信する商品販売処理装置、及び、前記部門毎に設けられた複数の表示機と通信する通信手段を有するデータ処理装置の制御プログラムであって、
前記データ処理装置に、
前記通信手段が前記商品販売処理装置から受信する前記履歴情報を所定の記憶手段に累積記憶させる機能と、
前記記憶手段に累積記憶された前記履歴情報で示される商品の売上金額を前記部門毎に集計する機能と、
集計された前記部門毎の売上金額のそれぞれを、前記通信手段を介して各部門に対応する前記表示機に送信して表示させる機能と、
を実現させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−103927(P2012−103927A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252342(P2010−252342)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】