説明

変化して飛行するボール

【課題】軽いボールであって、弱い回転で大きく変化し、特にホップするボールを、子供でも容易に投球でき、安全に遊べるボールを提供する。
【解決手段】球体を構成する材料は、発泡プラスチックのような軽い材料で構成され、球体の中央帯に、連続した凹、または凸を備えた手段をもって、空気力により、変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は玩具ボールに関し、特に曲がりながら飛行する玩具ボールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来このような変化して飛行するボールには、特表平9−508825記載されるような、ウイッフル(WIFFLE)ボールのゲームに用いられるボールが知られている。 この特許文献1に記載されるボールは、中空球状殻体に投げるためのゲームボールであって、上部半球体に空気を中空の球状殻体の内部に引き込む複数の開口を備え、下部半球体には開口部はなく、エクエータ腺に平行してエクエータ線から離隔して位置する空気チャンネルを備え、ボールをエクエータ線の面に沿って投げると、ボール内部に空気が、流動することにより、ボールは、下部半球の軸線の方向に通常の軌跡からそれて飛行するものである。また、実用新案登録第3121290に記載されるボールは、ゴムボールの球体の表面部の一端に片仮名のルの字形状大形凹面部を形成して、投球によって生じる相対風の通路を設けることにより、ボールの回転によって、生ずる気圧差により、マグナス力を発生させ、回転方向に変化させるものである。
【0003】
このような変化して飛行するボールによれば、中空の球体内部に流動する空気を通過させ、ボールの内部にかかる空気の流れ圧の差により変化させるものである。また、ボールの一方端に形状変化をつけ、気圧差によるマグナス力を用いて、回転方向に変化させるというものである。
【特許文献】
【特許文献1】特表平9−508825
【特許文献2】実用新案登録第3121290
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したボールにおいて、形成する材用は、プラスチックや、ゴムで形成され、空気力に対し、重いものであるから、大きく変化させるためには、強くボールを投げる必要がある。そのため、強く投げることは、子供には、難しい問題があった。また、強く投げれば、衝突の際に生ずるボールの衝撃力は大きくなり、変化が大きくなればなるほどコントロールが難しくなるから、ボールに当たる可能性がたかく、ボールに当たると、怪我や破損を発生させ、危険であり、こどもの玩具としては、適さない問題があった。
【0005】
また、実用新案登録第3121290に記載されるゴムボールは、実際の野球ボール同等に重く、実際の野球で投げる変化球と同等の変化をするが、変化の方向は、カーブ、フォークといった、すべて重力方向に落ちる変化球であり、重力に逆らって、ホップする変化はせず、遊びにとって魔球という楽しみを半減さてしまう。
【0006】
また、ボールが衝突したときの衝撃を与えないよう、球体の重量を軽くし、回転による気圧差で、ピンポン玉のように変化させようとすると、ボールは遠くに飛ばず、ボール遊びとしての機能を失うことになる。
【0007】
当発明は、このような問題に対するため、軽いボールであって、弱い回転で大きく変化し、特にホップして飛行するボールを、子供でも容易に投球でき、安全に遊べるボールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、球体を構成する材料は、発泡プラスチックのような軽い材料で構成され、球体の中央帯に、連続した凹または、凸を備えた手段をもって、空気力により、変化させるものである。
【0009】
これによれば、上述で構成されたボールを、中央帯に設けた凹又は凸を地面と平行に投球すると、回転して飛行するボール側面に沿って流れる流体(空気)は、凹の影響により、剥離し、揚力が働き、球体は、大きくホップ(上向き)しながら飛行する。
【0010】
上述の投球方法で、凹がない球体の場合は、流体(空気)の粘性により引きずられ、空気抵抗が働き、速度は遅くなり、遠くに飛ばない。また、回転方向で流体の速度差が生じ、気圧差が発生し、マグナス力が働き、その差分だけシュート(横方向)しながら飛行する。しかし、変化量は極めて少ない。
【0011】
すなわち、請求項1に係る発明によれば、軽いボールを構成し、凹又は凸によりボールに沿って流れる空気を剥離させ、空気の流動方向を変え、空気力がボールの慣性に勝り、その結果、弱い回転でも大きく曲がるボールを構成できる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の変化して飛行するボールによれば、球体本体が軽く形成されていることにより、回転による気圧差や、ボールの慣性よりも、空気力の影響を、大きく受け変化する。また、軽く形成されたボールの慣性は小さく、衝突した場合、衝撃は小さく、怪我をすることはない。また、凹の影響により、流体を剥離し、空気抵抗を弱め、より遠くへ飛ばし、真球とは異なった気流を起こし、大きく変化する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の基本となる実施の形態を示し、ホップして飛球するボールの回転方向と、ボールの飛球する方向、を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態の、真っ直ぐに飛行するボールの回転方向と、ボールの飛球する方向、を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態の、大円で切った時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の玩具ボールの好ましい実施例を図1に示す。図中の玩具ボールは、球体10からなり、そのサイズは公式野球で使用するボールと実質的に同一である。説明のために、このサイズを示したが、例えば、小形の野球ボールや、もっと大きい公式ソフトボールのボールのように、どのような大きさのボールであってもよい。
【0015】
また、球体10の材質は、発砲プラスチックで成り、好ましくは、発泡スチロールや発泡ポリプロピレンのような軽い材料を所望の形状にモールドすることによって形成される。
【0016】
また、球体10の大円12上には、均等に30°間隔で直系10ミリ程度の半球状の凹11が12ヶ所設けられている。凹11は、種々の大きさや形状であってもよく、たとえば断面図、図3(a)(b)(c)のように、四角やくぼみであったり、凸であったり、大きさは、限定の限りではない。また、凹11の位置も大円12から任意に離れた中央帯の位置に配置してもよい。凹11の機能は、球体に沿って流れる流体(空気)を剥離する事ある。また、球体11の表面は、実質的に滑らかな表面で構成されている。
【0017】
以上の説明では玩具ボールの細かい特徴を述べたが、それらは本発明の好ましい実施例を示したものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0018】
ここで投球方法により変化するボールの軌道の説明をする。
図1のように、球体10の大円12上に、一列に連続した凹11を地面に対し平行にし、たとえば、サイドスローで投球すれば、凹が一列に形成された大円が地面と平行になる向きで、大円の中心軸21で回転しながら飛行するボールは、重力に逆らって、ホップして飛行する。
【0019】
また、図2のように、球体11の側面に一列に連続した凹を地面に対し、垂直にし、たとえば、サイドスローで投球すれば、ボールの凹は地面に対し直角に回転軸22を中心に回転し飛行するボールは、空気力により、真直ぐ飛び、直球となる。
【0020】
球体の側面に一列に連続した凹を地面に対し、平行にし、図1の状態で、ボールに回転を与えないようにサイドスローで投球すると、ボールは、急激に落下し飛行する。いわゆる、ドロップカーブとなる。
【0021】
球体の側面に一列に連続した凹を地面に対し、水平にし、たとえばサイドスローよりわずかアンダーハンドよりで投球すれば、ボールの凹は地面に対し、水平よりわずか傾いて回転し、空気力により、ボールは、シュートし飛行する。
【0022】
このように、発砲プラスチックで形成された軽いボールは、球体10の中央帯に一列に連続した凹11を設けた手段により、ボールを大きく変化させて飛行することができる。また玩具ボールとして変化球を楽しむためには、ボールを遠くに飛ばす必要がある、当発明のボールは、凹11を設けることにより、球体に接して流れる粘性のある流体(空気)を剥離し速度を落とすことなく、軽い球体を遠くに飛ばすことができる。
【0023】
凹11のない、同様の球体を、図1と同じように投球したならば、ボールの飛球する方向に対し、逆方向に回転するボールの面は、空気の流れは、早くなり、圧力は低くなり、同方向に回転するボールの面は、遅くなり、圧力は高くなる、この圧力差(マグナス力)により、ボールはその差の方向に曲がって飛行する。いわゆるシュートするボールになり、ホップして飛行しない。また、その変化量は少ない。
【0024】
このように、凹11をつけることにより、通常ボールを投球するときに発生するマグナス力よりも、さらに強い力を発生させることができ、大きな変化量を発生させることができる。また、その方向も、回転方向によるマグナス力方向とは異なる空気力を発生させることで、ホップして飛行する魔球となる。また、空気の抵抗を下げるよう空気を剥離した結果、遠くへ飛ばすことができる。
【0025】
また、球体を軽く構成することで、飛行するボールの慣性を小さくすることができ、衝突時の衝撃力を小さくすることで、安全性は、保たれる。
【0026】
10 球体
11 凹
12 大円
21 回転軸1
22 回転軸2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲がりながら飛球する投球するボールであって、球体の中央帯に複数の凹、または凸を具備し、また、前記球体の材料は、発砲プラスチックで形成した事を特徴とする玩具ボール。
【請求項2】
上述の複数の凹、または凸は、前記球体の大円上に、ほぼ等間隔で形成した事を特徴とした請求項1記載の玩具ボール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−103124(P2013−103124A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266265(P2011−266265)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(511296402)