説明

変換制御装置、情報処理装置、文字変換方法及びプログラム

【課題】絵文字を文字の変換候補とともに提示する場合に、これらを絵文字と変換候補の対応関係に応じた順序で提示する。
【解決手段】情報処理装置は、入力文字列に対応する変換候補を検索するとともに、検索した変換候補に一致する文字列が割り当てられた絵文字を検索する(ステップS2、S3)。これらの2段階の検索は、それぞれ個別の辞書(第1辞書及び第2辞書)を用いて行われる。情報処理装置は、検索された変換候補と絵文字とを順位付けるランク処理を実行する(ステップS4)。このとき、情報処理装置は、ある変換候補に対応する絵文字が検索されていた場合に、これらの表示順が連続するように順位付けを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが入力した文字に対応する文字又は絵文字を提示するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
文書の作成に際し、画像を文字と同等に扱えるようにする技術がある。このような画像は、絵文字などと呼ばれている。絵文字は、電子メール等を介して他のユーザから取得したり、コンテンツプロバイダのWebサイトからダウンロードしたりすることも可能である。
【0003】
また、特許文献1には、入力文字列に対応する「変換候補文字列」と、同じ入力文字列に対応する「絵文字」とを「候補リスト」に表示する技術が記載されている。特許文献1には、複数の変換候補文字列が並んで表示されるとともに、複数の絵文字が並んで表示される様子が図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−148748号公報(段落0020、図7等参照)
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】作ろうiモードコンテンツ:iモード対応絵文字、[online]、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ、[平成22年8月19日検索]、インターネット(URL:http://www.nttdocomo.co.jp/service/imode/make/content/pictograph/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術においては、変換候補文字列が候補リストの上位側にまとまって表示され、絵文字が候補リストの下位側にまとまって表示される。このような順序で候補リストが表示されると、ユーザが絵文字を選択する場合には、変換文字列を選択する場合よりも手間がかかる。
本発明の目的は、絵文字を文字の変換候補とともに提示する場合に、これらが絵文字と変換候補の対応関係に応じた順序で提示されるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る変換制御装置は、ある記号に関連付けられるメタデータであって、前記ある記号が複数の記号の組合せによって用いられるときにその組合せに割り当てられる文字列と、前記組合せを構成する記号の総数と、前記ある記号の前記組合せ内における位置とを示すメタデータを取得する取得部と、前記取得部により取得されたメタデータが示す文字列から、ユーザにより入力された入力文字列に対応する文字列を検索する検索部と、前記検索部により文字列が検索された場合に、当該文字列を示す前記メタデータに基づいて、当該文字列が割り当てられた複数の記号の組合せが前記入力文字列の変換候補として提示されるように制御する提示制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
好ましい態様において、前記提示制御部は、前記変換候補に相当する複数の記号が利用可能であるか否かを記号毎に判定する判定部を備え、前記変換候補に相当する複数の記号に前記判定部により利用可能でないと判定された記号が含まれる場合に、当該複数の記号の組合せを前記変換候補から除外する。
この態様において、前記提示制御部は、前記ある変換候補の前記集計結果と当該変換候補に対応する文字列が割り当てられた前記絵文字の前記集計結果とを合算してこれらの提示順を決定すると、より好ましい。
別の好ましい態様において、前記変換制御装置は、絵文字を新たに取得する取得部と、前記取得部により絵文字が取得された場合に、当該絵文字を前記第2辞書に登録する登録部とを備える。
【0009】
本発明の他の態様に係る情報処理装置は、ユーザによる入力文字列の入力を受け付ける入力部と、文字列の変換候補を複数登録した第1辞書から、前記入力部により入力が受け付けられた入力文字列に対応する変換候補を検索する第1検索部と、各々の絵柄に対応する文字列が割り当てられた絵文字を複数登録した第2辞書から、前記第1検索部により検索された変換候補に一致する文字列が割り当てられた絵文字を検索する第2検索部と、前記第1検索部により検索された変換候補と前記第2検索部により検索された絵文字とを所定の提示順で提示する提示部と、前記提示部による提示の態様を制御する提示制御部とを備え、前記提示制御部は、前記変換候補が複数提示される場合に、ある変換候補の提示順を、当該変換候補に対応する文字列が割り当てられた前記絵文字の提示順の直前又は直後にすることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様に係る文字変換方法は、情報処理装置が、文字列の変換候補を複数登録した第1辞書から、ユーザにより入力された入力文字列に対応する変換候補を検索する第1ステップと、各々の絵柄に対応する文字列が割り当てられた絵文字を複数登録した第2辞書から、前記第1ステップにおいて検索された変換候補と一致する文字列が割り当てられた絵文字を検索する第2ステップと、前記第1ステップにおいて検索された変換候補と前記第2ステップにおいて検索された絵文字とを所定の提示順で提示するステップであって、前記変換候補が複数提示される場合に、ある変換候補の提示順を、当該変換候補に対応する文字列が割り当てられた前記絵文字の提示順の直前又は直後にして提示する第3ステップとを実行することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、文字列の変換候補を複数登録した第1辞書から、ユーザにより入力された入力文字列に対応する変換候補を検索する第1ステップと、各々の絵柄に対応する文字列が割り当てられた絵文字を複数登録した第2辞書から、前記第1ステップにおいて検索された変換候補と一致する文字列が割り当てられた絵文字を検索する第2ステップと、前記第1ステップにおいて検索された変換候補と前記第2ステップにおいて検索された絵文字とを所定の提示順で提示するステップであって、前記変換候補が複数提示される場合に、ある変換候補の提示順を、当該変換候補に対応する文字列が割り当てられた前記絵文字の提示順の直前又は直後にして提示する第3ステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、絵文字を文字の変換候補とともに提示する場合に、これらを絵文字と変換候補の対応関係に応じた順序で提示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図2】追加絵文字の一例を示す図
【図3】制御部の機能的構成を示す機能ブロック図
【図4】文字変換処理を示すフローチャート
【図5】ランク処理を示すフローチャート
【図6】画面の表示例を示す図
【図7】画面の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示す情報処理装置10は、通信機能を有し、絵文字が表示可能である通信端末であり、例えば、携帯電話機、スマートフォン、パーソナルコンピュータなどである。情報処理装置10は、図1に示すように、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、操作部140と、表示部150とを備える。
【0015】
制御部110は、情報処理装置10の各部の動作を制御する手段である。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置と主記憶装置に相当する記憶手段(メインメモリ)とを備え、プログラムを実行することによって各種の機能を実現する。制御部110が実現する機能には、後述する変換制御装置に相当する機能のほか、電子メッセージを送受信する機能や、いわゆるWebブラウザの機能(Webページを閲覧する機能)がある。ここでいう電子メッセージは、いわゆる電子メールやSMS(Short Message Service)によってやりとりされるメッセージを含むものである。
【0016】
記憶部120は、データを記憶する手段である。記憶部120は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置に相当する記憶手段である。記憶部120は、その一部(又は全部)がいわゆるメモリカードのように、リムーバブルメディア(すなわち着脱可能な記憶手段)で構成されていてもよい。
記憶部120は、制御部110が制御に用いるデータを記憶する。記憶部120は、制御部110が実行するプログラムのほか、標準文字セットCS1、追加文字セットCS2、第1辞書D1及び第2辞書D2を記憶している。
【0017】
通信部130は、外部装置と通信する手段である。通信部130は、例えば、インターネット、移動体通信網等の通信ネットワークを介して外部装置と通信するが、赤外線通信のように外部装置と直接(通信ネットワークを介さずに)通信を行ってもよい。また、通信部130は、有線、無線のいずれの通信を行うものであってもよい。さらに、通信部130が準拠する通信方式や通信規格は、特に限定されない。
【0018】
操作部140は、ユーザからの指示を受け付ける手段であり、本発明に係る入力部の一例に相当するものである。操作部140は、例えば、複数のキーを備えるキーボード(又はキーパッド)であり、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を制御部110に供給する。なお、操作部140は、表示部150が表示する画面に重ねて設けられたタッチスクリーンであってもよい。
【0019】
表示部150は、情報を表示する手段であり、本発明に係る提示部の一例に相当するものである。すなわち、表示部150は、情報を視覚的に提示する手段である。表示部150は、液晶ディスプレイ等の表示パネルとその駆動手段を備え、制御部110が供給する表示データに応じた情報を表示する。ここにおいて、表示データは、文字列を提示するためのデータの一例である。
【0020】
本実施形態において、文字セットとは、情報処理装置10において表示可能な文字の集合をいう。標準文字セットCS1は、情報処理装置10にあらかじめ用意されている文字セットである。本実施形態の標準文字セットCS1は、Shift_JISコードのような2バイトコードで表される文字セットであるとする。この標準文字セットCS1には、Shift_JISコードに対応するあらゆる環境において表示可能な文字(JIS X 0208に規定された文字)のほか、いわゆる機種依存文字(環境依存文字)が含まれ得る。さらに、機種依存文字には、絵文字が含まれ得る。
【0021】
日本国で使用される携帯電話機には、キャリア(通信事業者)毎に規定された所定の絵文字に所定のバイトコードが割り当てられている。例えば、本発明の出願人(株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ)が提供するサービスを利用する携帯電話機であれば、バイトコード「F89F(16進数)」には、太陽を模した絵文字が割り当てられており、この絵文字には「晴れ」という文字列が割り当てられている(非特許文献1参照)。この絵文字は、要するに、「晴れ」という意味で用いられることが意図された画像である。
【0022】
一方、追加文字セットCS2は、標準文字セットCS1と異なり、事後的に追加された文字からなる文字セットである。本実施形態の追加文字セットCS2は、電子メッセージを介して他のユーザから受信したり、コンテンツプロバイダのWebサイトからダウンロードしたりすることで取得した絵文字を含む。かかる絵文字は、バイトコードが割り当てられていない点において、標準文字セットCS1に含まれる絵文字と異なる。以下においては、標準文字セットCS1に含まれる絵文字のことを「標準絵文字」、追加文字セットCS2に含まれる絵文字のことを「追加絵文字」といい、これらを区別する。
【0023】
第1辞書D1は、標準文字セットCS1に含まれる文字列で表される変換候補を登録したデータである。ここにおいて、変換候補とは、ユーザが入力した文字列(以下「入力文字列」という。)をどのように表示させるかを表す候補をいい、ユーザに視認可能に表示される文字列と、その文字列に対応する“読み”に相当する文字列とを含む。なお、ここでいう変換候補は、いわゆる予測変換候補を含み得る。予測変換候補は、入力文字列と完全には一致しない“読み”を有し、かつ、その“読み”の冒頭に入力文字列を含む変換候補である。また、文字列とは、1又は複数の文字をいうものであって、複数の文字を組み合わせたものに限定されない。
【0024】
第2辞書D2は、追加文字セットCS2に含まれる絵文字(追加絵文字)を登録したデータである。第2辞書D2は、追加文字セットCS2に含まれる追加絵文字と、各々の追加絵文字の絵柄に対応する文字列とを記述したデータである。追加絵文字に対応して第2辞書D2に記述される文字列は、あらかじめ追加絵文字に割り当てられていてもよいが、ユーザによって定義されてもよい。なお、第2辞書D2には、同一の文字列が割り当てられた複数の異なる追加絵文字が登録されていてもよい。
【0025】
なお、第2辞書D2と追加文字セットCS2とは、物理的に同一のデータで構成されてもよい。例えば、対応する文字列がメタ情報として絵文字の画像データに埋め込まれているような場合であれば、画像データの集合が第2辞書D2と追加文字セットCS2のいずれにもなり得る。
【0026】
図2は、追加絵文字の一例を示す図である。図2に示す追加絵文字P1は、東京タワー(登録商標)を想起させるような絵文字である。また、追加絵文字P2は、東京ディズニーランド(登録商標)を想起させるような絵文字である。追加絵文字P1には、「東京タワー」という文字列が割り当てられており、追加絵文字P2には、「東京ディズニーランド」という文字列が割り当てられている。
【0027】
なお、この例において、「東京タワー」という変換候補が第1辞書D1に登録されている場合、この変換候補の“読み”に相当するものは、「とうきょうたわー」である。この場合、「東京タワー」という文字列は、入力文字列が「と」、「とう」、「とうき」、「とうきょ」、「とうきょう」、「とうきょうた」、「とうきょうたわ」、「とうきょうたわー」のいずれであったとしても、当該入力文字列の変換候補に該当し得る。
【0028】
情報処理装置10のハードウェア構成と情報処理装置10に記憶されているデータの概略は、以上のとおりである。情報処理装置10は、この構成のもと、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた処理を実行する。情報処理装置10が実行する処理には、文章を作成する処理が含まれる。ここにおいて、文章を作成する処理とは、入力文字列に対応する変換候補をユーザに提示し、1又は複数の変換候補のいずれかをユーザに選択(確定)させることを繰り返すものである。なお、入力文字列は、ユーザによって入力された文字列のうち、未確定のものである。また、このようにしてユーザに選択(確定)された文字列のことを、以下においては「確定文字列」という。入力文字列を確定文字列に変換する一連の処理のことを、以下においては「文字変換処理」という。
【0029】
文字変換処理において、情報処理装置10は、変換候補(すなわち標準文字セットCS1に含まれる文字列)に加え、変換候補に対応する絵文字(すなわち追加文字セットCS2に含まれる文字列)を併せて提示する。このようにすることで、ユーザは、追加文字セットCS2に含まれる追加絵文字を確定文字列の候補とすることができる。この際、ユーザは、標準絵文字と追加絵文字とを特別な区別なしに取り扱うことが可能である。
【0030】
図3は、情報処理装置10の制御部110の機能的構成を示す機能ブロック図である。制御部110は、文字変換処理において、図3に示す第1検索部111、第2検索部112、表示制御部113、集計部114及び絵文字管理部115に相当する各機能を実現する。制御部110は、これらの機能を実現することによって、本発明に係る変換制御装置として機能することができる。
【0031】
第1検索部111は、ユーザにより入力された入力文字列を取得し、第1辞書D1を用いて、入力文字列に対応する変換候補を検索する。入力文字列と変換候補とは、上述したとおり、これらが完全に一致することを要する関係にはない。つまり、第1検索部111は、入力文字列に一致する文字列を“読み”の冒頭に有する変換候補を検索するものであり、いわゆる前方一致検索を行うものである。また、第1検索部111は、入力文字列が1文字増える毎に、所定の予測変換ロジックに基づいた抽出を行い、変換候補を再検索する。なお、第1検索部111による検索は、前方一致検索以外の部分一致検索であってもよい。
【0032】
第2検索部112は、第1検索部111による検索結果に応じて、第2辞書D2から追加絵文字を検索する。第2検索部112は、第1検索部111により検索された変換候補の“読み”と一致する文字列が対応付けられた追加絵文字を第2辞書D2から検索する。第2検索部112による検索は、第1検索部111による検索(前方一致検索)と異なり、いわゆる完全一致検索である。
【0033】
表示制御部113は、第1検索部111及び第2検索部112による検索結果を表示部150に表示させる。すなわち、表示制御部113は、第1検索部111により検索された変換候補と第2検索部112により検索された追加絵文字とを表示部150に表示させる。表示制御部113は、検索結果の表示を指示するとき、変換候補及び追加絵文字の表示順を決定する。検索結果の表示順は、例えば、変換候補又は追加絵文字が確定文字列として選択された回数に応じて決定されてもよいし、他の周知のアルゴリズムで決定されてもよい。また、このとき、表示制御部113は、ある変換候補と、当該変換候補に対応する追加絵文字とを併せて表示する場合には、当該変換候補と当該追加絵文字の表示順が連続するように制御する。なお、ここにおいて、表示順とは、表示する順序を表す値(順位)をいい、その値が小さいほど、より簡単な操作(あるいは少ない回数の操作)でユーザが選択可能であるとする。表示制御部113は、本発明に係る提示制御部の一例に相当するものである。
【0034】
集計部114は、表示部150により表示され、ユーザに選択された変換候補又は追加絵文字の集計結果を取得する。すなわち、集計部114は、表示部150に表示された変換候補又は追加絵文字が確定文字列として選択された回数を認識する。集計部114は、それ自体が集計する機能を有していてもよいが、集計する機能を他のプログラムによって実現し、当該他のプログラムから集計結果のみを取得するものであってもよい。集計部114は、取得した集計結果を表示制御部113に供給し、表示制御部113は、集計結果を表示順に反映させる。
【0035】
絵文字管理部115は、追加絵文字の追加や削除を管理する。追加絵文字は、外部から送信された電子メッセージに含まれているものを保存したり、所定のWebサイトで購入してダウンロードしたりすることによって追加される。絵文字管理部115は、より詳細には、取得部116と、登録部117とを含む。取得部116は、新たな追加絵文字(すなわち、第2辞書D2に登録されていない追加絵文字)を取得し、登録部117は、取得部116により取得された追加絵文字と、これに対応する文字列とを第2辞書D2に記述することにより、新たな追加絵文字を登録する。追加絵文字に対応する文字列は、追加絵文字に相当する画像データ(GIFファイル等)に付随して送信されるようにしてもよいが、登録時にユーザが入力してもよい。後者の場合、登録部117は、追加絵文字に対応する文字列を入力するための画面を表示部150に表示させ、ユーザの入力を受け付ける。
【0036】
図4は、情報処理装置10において実行される文字変換処理を示すフローチャートである。文字変換処理において、情報処理装置10の制御部110は、まず、ユーザにより入力文字列が更新されたか否かを判断する(ステップS1)。ここでいう更新とは、入力文字列が入力されていない状態から入力文字列が1文字入力された状態になることと、何らかの入力文字列が入力された状態から1文字追加される状態になることとを含む。
【0037】
入力文字列の更新があると、制御部110は、更新された入力文字列と第1辞書D1とを比較し、入力文字列に対応する変換候補を検索する(ステップS2)。ステップS2における検索結果は、標準絵文字を含まない文字列のみの変換候補と、標準絵文字を含む変換候補とを含み得る。また、ステップS2における検索結果は、文字列と標準絵文字の組み合わせであってもよい。続いて、制御部110は、ステップS2において検索された変換候補に対応する追加絵文字を検索する(ステップS3)。ここにおいて、制御部110は、ステップS2において検索された変換候補と完全に一致する文字列が対応付けられた追加絵文字を検索する。
制御部110は、変換候補と追加絵文字の検索を終えると、これらを順位付けする処理を実行する(ステップS4)。かかる処理のことを、以下においては「ランク処理」という。
【0038】
図5は、ランク処理を示すフローチャートである。ランク処理において、制御部110は、検索された変換候補の順位付けを最初に行う(ステップS41)。ここでは、ステップS2において検索された変換候補の数を「n」とし、各々の変換候補に「1」〜「n」の順位を(仮に)割り当てるものとする。また、順位が「i(i=1〜n)」である変換候補のことを、ここでは「S[i]」と表記する。
【0039】
次に、制御部110は、変換候補S[i]をS[1]から順に参照し、対応する追加絵文字がステップS3において検索されたか否かを判断する(ステップS42)。制御部110は、変換候補S[i]に対応する追加絵文字があれば、その追加絵文字の順位を「i+1」とする(ステップS43)。つまり、制御部110は、対応する追加絵文字を有するある変換候補の順位が「i」である場合に、当該追加絵文字の順位を「i+1」とし、これらの順位を連続させた上で、S[i+1]に当該追加絵文字を対応させる。
【0040】
また、制御部110は、追加絵文字を変換候補に追加した場合には、順位に重複が生じないようにするため、追加前の変換候補S[i+1]〜S[n]の順位を「1」ずつ繰り下げる(ステップS44)。例えば、制御部110は、追加前の変換候補S[i+1]の順位を「i+2」、追加前の変換候補S[i+2]の順位を「i+3」といった具合に順位を繰り下げていく。なお、制御部110は、対応する追加絵文字を有する変換候補が複数あれば、同様の処理を複数回行う。また、制御部110は、対応する追加絵文字を有する変換候補がなければ、変換候補の順位付け(ステップS41)のみ行う。この場合、順位は、ステップS41において割り当てられた順位のまま変更されずに確定する。
【0041】
このようにしてランク処理が終了したら、制御部110は、入力文字列に対応する変換候補及び追加絵文字を表示部150に表示させる(ステップS5)。制御部110は、ランク処理において行われた順位付けに従って変換候補及び追加絵文字が並んで表示されるような表示データを生成し、表示部150に供給する。なお、制御部110は、表示部150の画面サイズ等に応じて、検索された変換候補及び追加絵文字を全部表示させるのではなく、順位が上位10位以内の検索結果のみを表示させる、といったようにしてもよい。
【0042】
変換候補及び追加絵文字が表示されたら、制御部110は、表示されたいずれかの変換候補又は追加絵文字が選択されたか否か、すなわち確定文字列が確定したか否かを判断する(ステップS6)。制御部110は、ユーザによる確定の旨の操作があれば、表示部150による表示を更新し、入力文字列を確定文字列に置き換える(ステップS7)。
【0043】
なお、制御部110は、ユーザによる確定の旨の操作がなければ、ステップS1以降の処理を再度繰り返す。このとき、制御部110は、入力文字列が更新されていなければ、変換候補や追加絵文字の再検索を行わなくてもよい。つまり、制御部110は、ユーザによるいずれの操作もない場合には、いずれかの操作があるまで、ステップS1及びS6の判断のみを繰り返す。
【0044】
図6及び図7は、情報処理装置10における画面の表示例を示す図である。ここでは、入力文字列として「とうきょう」と入力され、「東京タワー」という変換候補が確定文字列として選択された場合を例示している。ここにおいて、表示領域A1(黒地に白い文字が表示されている領域)は、入力文字列及び確定文字列が表示される領域であり、表示領域A2(白地に黒い文字が表示されている領域)は、確定文字列の候補(文字列又は絵文字)が表示される領域である。
【0045】
ここでは、図2に例示した追加絵文字P1及びP2が第2辞書D2に登録されているものとする。さらに、図6において、変換候補又は追加絵文字の左側に表示されている丸数字は、ランク処理によって求められた順位であるとする。
【0046】
図6に示すように、本実施形態の文字変換処理によれば、「東京タワー」という変換候補とこれに対応する追加絵文字P1とに連続した順位が付与され、「東京ディズニーランド」という変換候補とこれに対応する追加絵文字P2とに連続した順位が付与される。すなわち、本実施形態の文字変換処理によれば、意味的に共通(又は類似)するなどの所定の対応関係を有する変換候補と絵文字とを連続的に表示することが可能である。かかる効果は、第2検索部112による検索を完全一致検索とすることで、より顕著にもたらされる。
【0047】
一般に、(絵文字以外の)文字と絵文字の双方を入力できる環境において、ユーザが文字と絵文字のいずれで入力するかを選択する場合には、同じような意味を有するものの間で選択が行われる。例えば、ユーザが「東京タワー」に関することを入力しようとした場合には、「東京タワー」と文字で表記するかあるいは絵文字(追加絵文字P1)で表記するかを選択するのが普通であり、「東京タワー」と表記したいときにそれ以外の文字や絵文字(例えば、「東京ディズニーランド」に相当する文字や絵文字)をあえて入力することは、ほとんどないといえる。本実施形態の文字変換処理によれば、ある変換候補と当該変換候補に対応する追加絵文字とが連続した順位で表示されるため、ユーザが確定文字列として選択するときの順番も連続するようになる。そのため、例えば、ユーザが「東京タワー」に関することを入力したいときに、対応する文字と絵文字の一方のみが上位に表示されて他方が表示されないとか、あるいは、「東京タワー」に対応する文字と絵文字との間に別の文字や絵文字が入り込むといったことがなくなり、ユーザの文字入力の際の使い勝手を向上させることが可能である。
【0048】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限らず、他の態様でも実施可能である。本発明は、例えば、以下に示す変形例の態様でも実施可能である。なお、以下に示す変形例は、各々を適宜に組み合わせてもよいものである。
【0049】
(変形例1)
上述した実施形態は、文字列の入力と提示を視覚的に行う場合の例である。しかし、本発明は、文字列の入力と提示を視覚的に行う場合に限定されず、例えば、ユーザが発音した音声を音声認識によってテキストデータに変換して文字列の入力を行ったり、あるいは、音声を読み上げるソフトウェアを用いて変換候補等の提示を行ったりすることも可能である。なお、絵文字を音声で読み上げる場合には、例えば「『東京タワー』の絵文字」といったように、文字と絵文字を混同しないような情報を付加して読み上げることも可能である。
【0050】
(変形例2)
本発明において、絵文字とは、表示部に表示される記号であって、何らかの文字列が割り当てられたものをいう。ここでいう絵文字は、画像データによって絵柄を表現するものだけでなく、文字や記号の組み合わせによって絵柄を表現するものを含み得る。つまり、第2辞書に登録される絵文字は、いわゆる顔文字(「(^_^)」、「:-)」など。フェイスマークともいう。)であってもよい。
【0051】
また、上述した実施形態は、2種類の絵文字(標準絵文字と追加絵文字)を有するものであるが、本発明は、標準絵文字に相当する絵文字を用いない態様でも実施可能である。また、本発明は、標準絵文字と追加絵文字の双方が第2辞書に登録される態様でも実施可能である。
【0052】
なお、本発明において、第1辞書と第2辞書は、前者を文字が登録された辞書とし、後者を絵文字が登録された辞書としてもよいし、前者を情報処理装置にあらかじめ用意された文字又は絵文字が登録された辞書とし、後者を情報処理装置に事後的に追加された文字又は絵文字が登録された辞書としてもよい。また、第1辞書と第2辞書の区別は、例えば、第2辞書がユーザによって登録内容の変更(追加、削除、編集など)が可能なものであり、第1辞書がそうでないものであるとしてもよい。
【0053】
(変形例3)
本発明は、ある変換候補と、当該変換候補に対応する絵文字とが連続した提示順で提示されれば十分であり、変換候補と絵文字のいずれが上位になってもよいものである。つまり、変換候補に対応する絵文字の提示順は、当該変換候補の提示順の直前又は直後のいずれであってもよい。変換候補と絵文字のいずれを上位とするかは、あらかじめ決められていてもよいが、ユーザが確定文字列として選択した回数(すなわち、集計部114による集計結果)に応じて決められてもよい。このようにすれば、変換候補と当該変換候補に対応する絵文字のうち、より多く選択された方を上位の提示順にすることなどが可能である。
【0054】
また、本発明は、集計部114による集計結果を用いる場合には、ある変換候補の集計結果と、当該変換候補に対応する絵文字の集計結果とを合算し、合算した集計結果を用いて提示順を決定することも可能である。このようにすれば、例えば、「東京タワー」という文字列と絵文字とをそれぞれ3回ずつ入力し、「東京ディズニーランド」という文字列を3回入力した場合において、「東京タワー」という文字列と絵文字の提示順を「東京ディズニーランド」という文字列よりも高くすることが可能である。つまり、この態様によれば、文字列や絵文字毎の集計結果ではなく、文字列や絵文字が有する意味毎の集計結果によって提示順を決定することが可能となる。
【0055】
(変形例4)
本発明は、変換制御装置や、これを備える情報処理装置だけでなく、入力文字列を変換候補や絵文字に変換して提示するための文字変換方法や、コンピュータを変換制御装置として機能させるためのプログラムとしても特定され得るものである。かかるプログラムは、光ディスク等の記録媒体に記録した形態で提供されたり、インターネット等のネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されたりすることも可能である。
【符号の説明】
【0056】
10…情報処理装置、110…制御部、120…記憶部、130…通信部、140…操作部、150…表示部、111…第1検索部、112…第2検索部、113…表示制御部、114…集計部、115…絵文字管理部、116…取得部、117…登録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字列の変換候補を複数登録した第1辞書から、ユーザにより入力された入力文字列に対応する変換候補を検索する第1検索部と、
各々の絵柄に対応する文字列が割り当てられた絵文字を複数登録した第2辞書から、前記第1検索部により検索された変換候補と一致する文字列が割り当てられた絵文字を検索する第2検索部と、
前記第1検索部により検索された変換候補と前記第2検索部により検索された絵文字とが所定の提示順で提示されるように制御する提示制御部と
を備え、
前記提示制御部は、前記変換候補が複数提示される場合に、ある変換候補の提示順を、当該変換候補に対応する文字列が割り当てられた前記絵文字の提示順の直前又は直後にする
ことを特徴とする変換制御装置。
【請求項2】
ユーザに選択された前記変換候補又は前記絵文字の集計結果を取得する集計部を備え、
前記提示制御部は、前記ある変換候補と当該変換候補に対応する文字列が割り当てられた前記絵文字とを前記集計部により取得された集計結果に応じた提示順で提示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の変換制御装置。
【請求項3】
前記提示制御部は、前記ある変換候補の前記集計結果と当該変換候補に対応する文字列が割り当てられた前記絵文字の前記集計結果とを合算してこれらの提示順を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の変換制御装置。
【請求項4】
絵文字を新たに取得する取得部と、
前記取得部により絵文字が取得された場合に、当該絵文字を前記第2辞書に登録する登録部と
を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の変換制御装置。
【請求項5】
ユーザによる入力文字列の入力を受け付ける入力部と、
文字列の変換候補を複数登録した第1辞書から、前記入力部により入力が受け付けられた入力文字列に対応する変換候補を検索する第1検索部と、
各々の絵柄に対応する文字列が割り当てられた絵文字を複数登録した第2辞書から、前記第1検索部により検索された変換候補に一致する文字列が割り当てられた絵文字を検索する第2検索部と、
前記第1検索部により検索された変換候補と前記第2検索部により検索された絵文字とを所定の提示順で提示する提示部と、
前記提示部による提示の態様を制御する提示制御部と
を備え、
前記提示制御部は、前記変換候補が複数提示される場合に、ある変換候補の提示順を、当該変換候補に対応する文字列が割り当てられた前記絵文字の提示順の直前又は直後にする
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置が、
文字列の変換候補を複数登録した第1辞書から、ユーザにより入力された入力文字列に対応する変換候補を検索する第1ステップと、
各々の絵柄に対応する文字列が割り当てられた絵文字を複数登録した第2辞書から、前記第1ステップにおいて検索された変換候補と一致する文字列が割り当てられた絵文字を検索する第2ステップと、
前記第1ステップにおいて検索された変換候補と前記第2ステップにおいて検索された絵文字とを所定の提示順で提示するステップであって、前記変換候補が複数提示される場合に、ある変換候補の提示順を、当該変換候補に対応する文字列が割り当てられた前記絵文字の提示順の直前又は直後にして提示する第3ステップと
を実行することを特徴とする文字変換方法。
【請求項7】
コンピュータに、
文字列の変換候補を複数登録した第1辞書から、ユーザにより入力された入力文字列に対応する変換候補を検索する第1ステップと、
各々の絵柄に対応する文字列が割り当てられた絵文字を複数登録した第2辞書から、前記第1ステップにおいて検索された変換候補と一致する文字列が割り当てられた絵文字を検索する第2ステップと、
前記第1ステップにおいて検索された変換候補と前記第2ステップにおいて検索された絵文字とを所定の提示順で提示するステップであって、前記変換候補が複数提示される場合に、ある変換候補の提示順を、当該変換候補に対応する文字列が割り当てられた前記絵文字の提示順の直前又は直後にして提示する第3ステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−83900(P2012−83900A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228630(P2010−228630)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】