説明

変換器とエネルギー転換モジュール

【課題】低コストで、エネルギー転換効率を高める変換器或いはエネルギー転換モジュールを提供する。
【解決手段】変換器10は、一端は固定端であり、他端は振動端Aである。導電層30E上にはコ字型溝削りを有し、コ字型溝削りの開口部は振動端に向けられ、変換器の触覚フィードバック効果、音声出力効果を高める、或いは共鳴モードの調整に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変換器(transducer)及び変換器を使用したエネルギー転換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
変換器はエネルギー転換装置であり、あるエネルギー形態を他のエネルギー形態に転換させるのに用いられる。一般的な変換器としてはモーター或いは発電機があり、モーターは入力された電気エネルギーを、電磁誘導により、機械的エネルギーに転換させて出力させ、発電機は入力された機械的エネルギーを電気エネルギーに転換させる。
【0003】
このほか、エネルギー転換はスマートマテリアル(smart material)を利用して実現される。例えば応力、温度、電気、磁場、pH、湿度等の外部刺激(stimuli)が与えられると、スマートマテリアルの一つ或いは複数の性質が変化するために、その特性を利用してエネルギー転換の目的を達成させる。よく使用されるスマートマテリアルとして、例えば圧電材料(piezoelectric material)、電場応答性高分子(Electro−Active Polymer、 EAP)、形状記憶合金(Shape Memory Alloy、 SMA)、磁歪材料(Magnetostrictive Material)、電歪材料(Electrostrictive Material)等がある。
【0004】
スマートマテリアルを利用して製造された変換器は多くの製品に応用され、例えば位置決め部材、感応器、インクジェットプリンター等がある。圧電材料を例にとると、通常は逆圧電効果(Converse Piezoelectric Effect)の特性を利用した変換器が設計され、電場が与えられると、圧電材料は電場で直交方向に膨張或いは収縮し、これにより電気エネルギーを機械的エネルギーに転換させ、その逆も可能である。
【0005】
出力エネルギー或いは反応(response)値を高める為、スマートマテリアルは堆積或いは連結される。圧電材料であれば、マルチモルフ(multimorph)は最も大きいエネルギー出力を有し、バイモルフ(bimorph)がそれに続き、ユニモルフ(unimorph)が最も小さい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来の技術では、使用される圧電材料が多くなる程、コストも高くなり、組み立ても複雑となる。また、従来の圧電部材の触覚フィードバック効果及び音声出力効果は限られており、或いは任意で共鳴モードを調整出来無いため、エネルギー転換器の触覚フィードバック効果、音声出力効果を強化させる、或いは共鳴モードを調整させる新たな構造を提供する必要に迫られている。
【0007】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、低コスト且つエネルギー転換効率を高める変換器或いはエネルギー転換モジュールを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1実施形態の変換器は、一端は固定端であり、他端は振動端であり、且つ溝削りを有し、溝削りの開口部は振動端に向けられる導電層を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2実施形態の変換器は、導電層の中央エリアは固定端であり、両辺縁端は振動端であり、固定端の両側の導電層上にはコ字型溝削りをそれぞれ有し、開口部は同じ側の振動端にそれぞれ向けられる。
【0010】
本発明の第3実施形態のエネルギー転換モジュールは、第1実施形態ないしは第2実施形態に述べる変換器及び少なくとも一つのパネルに結合される。これにより、触覚フィードバック効果と、音声出力の効果を強化し、或いは共鳴モード(resonant mode)を調整させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エネルギー転換モジュールに応用され、高いエネルギー転換効率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明に係る第1実施形態の変換器を説明する図である。
【図1B】本発明に係る第1実施形態の変換器を説明する図である。
【図2A】本発明に係る第2実施形態の変換器を説明する図である。
【図2B】本発明に係る第2実施形態の変換器を説明する図である。
【図3】本発明に係る第1実施形態を基にしたバイモルフを説明する図である。
【図4A】図1Bと図3の実施形態に、少なくとも一つの質量ブロックを加えたものである。
【図4B】図1Bと図3の実施形態に、少なくとも一つの質量ブロックを加えたものである。
【図5】本発明に係る第2実施形態を基にしたバイモルフである。
【図6A】図2Bと図5の実施形態に、少なくとも一つの質量ブロックを加えたものである。
【図6B】図2Bと図5の実施形態に、少なくとも一つの質量ブロックを加えたものである。
【図7A】本発明に係る第2実施形態に帰属する複数の変換器を説明する図である。
【図7B】本発明に係る第2実施形態に帰属する複数の変換器を説明する図である。
【図8A】本発明に係る第2実施形態に帰属する複数の変換器を説明する図である。
【図8B】本発明に係る第2実施形態に帰属する複数の変換器を説明する図である。
【図8C】本発明に係る第2実施形態に帰属する複数の変換器を説明する図である。
【図9A】本発明に係る第3実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図9B】本発明に係る第3実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図9C】本発明に係る第3実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図9D】本発明に係る第3実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図10A】本発明に係る第4実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図10B】本発明に係る第4実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図10C】本発明に係る第4実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図10D】本発明に係る第4実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図11A】本発明に係る第5実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図11B】本発明に係る第5実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図12A】本発明に係る第6実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図12B】本発明に係る第6実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図12C】本発明に係る第6実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【図12D】本発明に係る第6実施形態のエネルギー転換モジュールを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本発明の実施形態の変換器は導電層、スマートマテリアル層及び電極層を含む。導電層の一端は固定端であり、他端は振動端であり、或いは中央エリアは固定端であり、両端は振動端である。導電層上には開口部が振動端に向けられる溝削りを有し、スマートマテリアル層は溝削りと固定端の間、及びに溝削りと振動端の間の導電層上に設置される。電極層は各スマートマテリアル層上に形成される。
【0015】
本明細書での「中央エリア」とは物体の中央位置或いはその近隣位置を指す。また、スマートマテリアル層は、制限されるわけではないが、圧電(piezoelectric)材料(例えばチタン酸ジルコン酸鉛(lead zirconate titanate、PZT))、電場応答性高分子(electroactive polymer、EAP)、形状記憶合金(shape memory Alloy、 SMA)、磁性収縮材料(magnetostrictive material)、pH感受性ポリマー(pH−sensitive polymers)、温度応答性ポリマー(temperature−responsive polymers)等か、或いはそれらの組み合わせを含む。
【0016】
このほか、変換器、スマートマテリアル層及び溝削りの形状は、規則的或いは不規則でもよく、例えば矩形、円形、多辺形、或いはそれらの組み合わせである。好ましくは、変換器の形状は矩形に近似し、溝削りの形状は冂字型或いはU字型に近似する。
以下では各実施形態の変換器を以ての電気エネルギーから機械的エネルギーへの転換を例にとるが、但しこれらに限定されるわけではない。
[第1実施形態]
まず、本発明の変換器の第1実施形態について説明する。
【0017】
図1A及び図1Bは本発明に係る第1実施形態の変換器10であり、図1Aは俯瞰図であり、図1Bは断面図である。図1Aと図1Bによると、変換器10は、両端を有し、A端とC端の内の、C端は固定端であり、A端は振動端である導電層30Eを含む。導電層30Eは、開口部が振動端Aに向けられるコ字型溝削り100を更に有する。このほか、第一スマートマテリアル層101は、コ字型溝削り100と固定端Cの間の導電層30E上に設置され、第二スマートマテリアル層102は、コ字型溝削り100と振動端Aの間の導電層30E上に設置され、第一電極層101Eは、第一スマートマテリアル層101上に位置され、第二電極層102Eは、第二スマートマテリアル層102上に位置される。
【0018】
電気エネルギーが導電層30E、第一電極層101E、第二電極層102Eに供給されると、第一作動エリアB1は第一スマートマテリアル層101の作動エリアとなり、第二作動エリアB2は第二スマートマテリアル層102の作動エリアとなり、コ字型溝削り100の目的は第二作動エリアB2に振動端A及び自由端Dを形成させることである。
【0019】
駆動信号が第一電極層101Eと導電層30Eに送られると、第一スマートマテリアル層101は第一作動エリアB1で振動を発生させ、また振動は固定端Cから延伸されて振動端Aまで拡散され、これに上下の動揺運動M1を行わせ、 M1の上下の動揺は振動端Aに往復の慣性力F1を発生させ、振動端Aの往復の慣性力F1は固定端Cに与えられて往復の慣性力F1’を発生させ、変換器の構造(導電層30E、第一スマートマテリアル層101、第二スマートマテリアル層102、第一電極層101E、第二電極層102E)が可撓性を有する為に、少ない力量で変換器構造の曲げモーメントを完成させ、F1’の値はF1の値に近くなるが、より小さくなる。
【0020】
同時に、駆動信号が第二電極層102Eと導電層30Eに送られると、第二スマートマテリアル層102は第二作動エリアB2で振動を発生させ、第二スマートマテリアル層102は振動端Aを支点とし、自由端Dからの往復の上下動揺運動M2を発生させ、M2の上下動揺は振動端Aに往復の慣性力F2を発生させ、振動端Aの往復の慣性力F2が固定端Cに与えられて往復の慣性力F2’を発生させ、変換器の構造(導電層30E、第一スマートマテリアル層101、第二スマートマテリアル層102、第一電極層101E、第二電極層102E)が可撓性を有する為に、少ない力量で変換器構造の曲げモーメントを完成させ、F2’の値はF2の値に近くなるが、より小さくなる。
【0021】
これにより、変換器10の固定端Cでの総出力はF1’+ F2’となる。実施の上では、第一スマートマテリアル層101と第二スマートマテリアル層102には異なる駆動信号がそれぞれ送られ、固定端Cに異なる慣性力の組み合わせを発生させ、変換器の触覚フィードバック効果と、音声出力効果を強化するか、或いは共鳴モードの調整に用いられる。
[第2実施形態]
次は、本発明の変換器の第2実施形態について説明する。
【0022】
図2Aと図2Bは本発明に係る第2実施形態の変換器10であり、図2Aは俯瞰図であり、図2Bは断面図である。図2Aと図2Bによると、変換器10は、両端は振動端Aとなり、中央エリアは固定端Cとなる導電層30Eを含む。導電層30Eは、開口部が同じ側の振動端Aにそれぞれ向けられる二つのコ字型溝削り100を更に有する。このほか、第一スマートマテリアル層101は、二つのコ字型溝削り100の間の導電層30E上に設置され、二つの第二スマートマテリアル層102は、二つのコ字型溝削り100と二つの振動端Aの間の導電層30E上にそれぞれ設置され、第一電極層101Eは、第一スマートマテリアル層101上に位置され、二つの第二電極層102Eは、二つの第二スマートマテリアル層102上にそれぞれ位置される。
【0023】
電気エネルギーが導電層30E、第一電極層101E、第二電極層102Eに供給されると、第一作動エリアB1は第一スマートマテリアル層101の作動エリアとなり、第二作動エリアB2は第二スマートマテリアル層102の作動エリアとなり、コ字型溝削り100の目的は第二作動エリアB2で振動端A及び自由端Dを形成させることである。
【0024】
駆動信号が第一電極層101Eと導電層30Eに送られると、第一スマートマテリアル層101は第一作動エリアB1で振動を発生させ、また振動は固定端Cから両側に延伸されて二つの振動端Aまで拡散され、これに上下の動揺運動M1を行わせ、 M1の上下動揺は二つの振動端Aに往復の慣性力F1を発生させ、二つの振動端Aの往復の慣性力F1が固定端Cに与えられると往復の慣性力F1’を発生させ、変換器の構造(導電層30E、第一スマートマテリアル層101、第二スマートマテリアル層102、第一電極層101E、第二電極層102E)が可撓性を有する為に、少ない力量で変換器構造の曲げモーメントを完成させ、F1’の値はF1の値に近くなるが、より小さくなる。
【0025】
同時に、駆動信号が第二電極層102Eと導電層30Eに送られると、第二スマートマテリアル層102は第二作動エリアB2で振動を発生させ、第二スマートマテリアル層102は振動端Aを支点にし、自由端Dで往復の上下動揺運動M2を発生させ、M2の上下動揺は振動端Aに往復の慣性力F2を発生させ、振動端Aの往復の慣性力F2が固定端Cに与えられると往復の慣性力F2’を発生させ、変換器の導電層30E等が可撓性を有する為に、少ない力量で変換器構造の曲げモーメントを完成させ、F2’の値はF2の値に近くなるが、より小さくなる。
【0026】
これにより、変換器10の固定端Cでの総出力はF1’+2 F2’となる。実施の上では、第一スマートマテリアル層101と第二スマートマテリアル層102には異なる駆動信号がそれぞれ送られ、固定端Cに異なる慣性力の組み合わせを発生させ、変換器の触覚フィードバック効果と、音声出力効果を強化させるか、或いは共鳴モードの調整に用いられる。
【0027】
実施の上では、第1実施形態の変換器10は二層或いは多層のスマートマテリアル層を採用してもよい。図3は二層のスマートマテリアル層を有する変換器10の断面図である。続いて図1Bの構造では、変換器10は、導電層30Eの下方に第一スマートマテリアル層101に対応させるように位置される第三スマートマテリアル層103と、第三スマートマテリアル層103の下方に位置される第三電極層103Eと、導電層30Eの下方に第二スマートマテリアル層102に対応させるように位置される第四スマートマテリアル層104と、第四スマートマテリアル層104の下方に位置される第四電極層104Eを更に含む。同様に、同じ方法で多層のスマートマテリアル層を有する変換器10を形成させてもよい。
【0028】
このほか、慣性力を更に増加させる為、振動幅を増加させて、或いは共鳴モード(resonant mode)を調整させて、変換器10の適当な位置に、少なくとも一つの質量ブロックを加える。図4A及び図4Bはそれぞれ図1Bと図3の変換器10であり、第二電極層102Eと第四電極層104Eの適当な位置に、少なくとも一つの質量ブロック120を加えている。質量ブロック120には各種形状の各種材質が使用され、例えば金属等の高密度材質、或いは酸化ジルコニウム等の高ヤング率(Young’s modulus)材質等である。質量ブロック120の位置と数量は、図示するものに限定されるわけではない。
【0029】
質量ブロック120を加えて構造全体の質量を変化させて、その自然共振振動数を変化させ、また質量ブロック120は第二スマートマテリアル層102と第四スマートマテリアル層104の質量負荷を増加させ、信号が第二スマートマテリアル層102と第四スマートマテリアル層104を駆動させると、第二スマートマテリアル層102と第四スマートマテリアル層104は振動端Aを支点として、自由端Dに上下の往復振動を形成させ、質量ブロック102の配置は、自由端Dの負担を増加させ、但し自由端Dの往復運動を維持させる為に、質量ブロック102の負荷は振動端Aの慣性力を増加させ、振動端Aの慣性力は固定端Cに供給され、これにより質量ブロック120は固定端Cの慣性力の出力を増加させることが出来る。
【0030】
実施の上では、第2実施形態の変換器10は二層或いは多層のスマートマテリアル層を採用してもよい。図5は二層のスマートマテリアル層を有する変換器10の断面図である。続いて図2Bの構造では、変換器10は、導電層30Eの下方に第一スマートマテリアル層101に対応させるように位置される第三スマートマテリアル層103と、第三スマートマテリアル層103の下方に位置される第三電極層103Eと、導電層30Eの下方に二つの第二スマートマテリアル層102にそれぞれ対応させるように位置される二つの第四スマートマテリアル層104と、二つの第四スマートマテリアル層104の下方にそれぞれ位置される二つの第四電極層104Eを更に含む。同様に、同じ方法で多層のスマートマテリアル層を有する変換器10を形成させてもよい。
【0031】
このほか、慣性力を更に増加させる為に、振動幅を増加させるか、或いは共鳴モード(resonant mode)を調整させ、変換器10の適当な位置に、少なくとも一つの質量ブロックを加える。図6Aと図6Bはそれぞれ図2Bと図5の変換器10であり、第二電極層102Eと第四電極層104Eの適当な位置に、少なくとも一つの質量ブロック120を加えている。質量ブロック120は各種形状の各種材質を使用してよく、例えば金属等の高密度材質、或いは酸化ジルコニウムのような高ヤング率(Young’s modulus)材質である。質量ブロック120の位置と数量は、図示するものに限定されるわけではない。
【0032】
図7Aと図7Bは変換器10の上面図であり、本発明に係る第2実施形態に帰属する変形であり、ここでは変換器10はユニモルフ、バイモルフ或いはマルチモルフであるが、但しこれらに限られるわけではない。このほか、符号Sは実施上可能な固定エリア或いは支持部材である。本実施形態では、変換器10の形状は十字形であり、導電層30Eの中央エリアは固定端であり、四つの振動端Aと、四つのコ字型溝削り100を有し、開口部は四つの振動端Aにそれぞれ向けられる。このほか、もしユニモルフならば、第一電極層101E とその下方の第一スマートマテリアル101は四つのコ字型溝削り100の間の導電層30E上に設置され、また各溝削り100と振動端Aの間には第二電極層102Eとその下方の第二スマートマテリアル層102が設置される。ほかにも、図7Bによれば、変換器10は質量ブロック120を有し、また質量ブロック120の数量と位置は図示するものに限定されるわけではない。
【0033】
図8A乃至図8Cは複数の変換器10の上面図であり、本発明に係る第2実施形態に帰属する変形であり、ここでは変換器10はユニモルフ、バイモルフ或いはマルチモルフであるが、但しこれらに限られない。本実施形態では、変換器10の形状は円形であり、導電層30Eの中央エリアは固定端Cであり、辺縁は振動端Aである。導電層30Eは、開口部が振動端Aにそれぞれ向けられる複数のコ字型溝削り100を有する。このほか、もしユニモルフならば、第一電極層101E とその下方の第一スマートマテリアル101は複数のコ字型溝削り100と固定端Cの間の導電層30E上に設置され、また各溝削り100と振動端Aの間には第二電極層102Eとその下方の第二スマートマテリアル層102が設置される。このほか、変換器10は適当な位置に、少なくとも一つの質量ブロック120(図示せず)を設置させる。
[第3実施形態]
本発明のエネルギー転換モジュールの第3実施形態について説明する。
【0034】
図9A乃至図9Dは本発明に係る第3実施形態のエネルギー転換モジュール1である。本実施形態では、エネルギー転換モジュール1は変換器10と第一プレート部11で主に構成される。変換器10は本発明に係る第1実施形態の各種変換器、例えば図1A、図1B、図3、図4A及び図4Bの変換器10を含む。変換器10は固定端Cを第一プレート部11に固定させ、また両者は狭角θを有し、本文中の、「固定」方式には、限定されるわけではないが、粘着、嵌入、当接、鎖錠、螺着、溶接、或いは他の本分野で習知の方法が含まれる。実施上、変換器10は図9Aと図9Bのように平面状でもよく、但し図9Cと図9Dのように湾曲状でもよい。本実施形態では、変換器10は開口部が振動端Aに向けられる少なくとも一つの溝削り100(例えば図1Aの実施形態に示す)を有する。第一プレート部11はスクリーン、タッチパネル、フレーム(frame)、基板或いはハウジング(housing)の内の何れか一つである。本実施形態では、変換器10が電気エネルギーを供給されて駆動される場合、固定端Cに固定され、振動端Aの振動は固定端Cに慣性力を発生させ、第一プレート部11を振動させて空気を連動させ、音波(acoustic wave)或いは触覚フィードバック(haptic feedback)を発生させる。
[第4実施形態]
本発明のエネルギー転換モジュールの第4実施形態について説明する。
【0035】
図10A乃至図10Dは本発明に係る第4実施形態のエネルギー転換モジュール1である。本実施形態は第3実施形態の変化であり、両者の差異は、本実施形態では支持部材12A、或いは支持部材12Aと支持部材12Bを利用して、変換器10の固定端Cを第一プレート部11に固定させるか、或いは第一プレート部11と第二プレート部13に固定させる。ここでは、支持部材12Aの第一端は第一プレート部11に固定され、第二端は変換器10の固定端Cに固定され、支持部材12Bの第一端は変換器10の固定端Cに固定され、第二端は第二プレート部13に固定される。本発明では、支持部材12Aと支持部材12Bは、例えば金属や、ポリマー等どんな材質でもよく、構造は中空或いは中実であり、形状は筒状、柱状或いは他の形状であり、また数量は一つ或いは複数である。複数の実施形態では、支持部材12Aと支持部材12Bの内の少なくとも何れか一つはダンパー(damper)であり、これは例えばバネや弾性ゴム等の弾性体でよく、他の実施形態では、支持部材12Aと支持部材12Bの内の少なくとも何れか一つはスマートマテリアルである。このほか、図10Aと図10Bによると、第一プレート部11と支持部材12A、及び第二プレート部13と支持部材12Bは、別々に製造され、図10Cと図10Dによれば、第一プレート部11と支持部材12A、及び第二プレート部13と支持部材12Bは、一体成型される。
[第5実施形態]
以下は本発明のエネルギー転換モジュールの第5実施形態について説明する。
【0036】
図11Aと図11Bは本発明に係る第5実施形態のエネルギー転換モジュール1である。本実施形態では、エネルギー転換モジュール1は変換器10と第一プレート部11で主に構成される。ここでの変換器10は本発明に係る第2実施形態の各種変換器を含み、例えば図2A、図2B、図5、図6A、図6B、図7A、図7B、図8A、図8B及び図8Cの変換器10である。変換器10の中央エリアは固定端Cとなり、第一プレート部11に固定される。実施上は、変換器10は図11Aのように湾曲状であり、但し図11Bのように屈折平板状でもよい。本実施形態では、変換器10は開口部が変換器10の振動端Aにそれぞれ向けられる少なくとも二つの溝削り101(例えば図2Aの実施形態に示す)を有する。第一プレート部11はスクリーン、タッチパネル、フレーム、基板或いはハウジングの内の何れか一つである。本実施形態では、変換器10が電気エネルギーを供給されて駆動される場合、中央エリアCに固定され、変換器10の両辺縁エリアの振動は中央エリアCに慣性力を発生させて、第一プレート部11を振動させて空気を連動させ、音波或いは触覚フィードバックを発生させる。
【0037】
図12A乃至図12Dは本発明に係る第6実施形態のエネルギー転換モジュール1である。本実施形態は第5実施形態の変化であり、両者の差異は、本実施形態では支持部材12A、或いは支持部材12Aと支持部材12Bを利用して、変換器10の中央エリアを第一プレート部11、或いは第一プレート部11と第二プレート部13の間に固定させる。ここでは、支持部材12Aの第一端は第一プレート部11に固定され、第二端は変換器10の中央エリアに固定され、支持部材12Bの第一端は変換器10の中央エリアに固定され、第二端は第二プレート部13に固定される。支持部材12Aと支持部材12Bの仔細に関しては前述の説明のとおりである。このほか、図12Aと図12Bによると、第一プレート部11と支持部材12A、及び第二プレート部13と支持部材12Bは、別々に製造され、図12Cと図12Dによれば、第一プレート部11と支持部材12A、及び第二プレート部13と支持部材12Bは、一体成型である。
【0038】
以上、本発明に係る実施形態のエネルギー転換モジュールは、溝削り構造を有する変換器と、質量ブロックの配置により、変換器の触覚フィードバック効果、音声出力効果を強化させ、或いは共鳴モードを調整させる。
【0039】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0040】
1 エネルギー転換モジュール
10 変換器
11 第一プレート部
12A 支持部材
12B 支持部材
13 第二プレート部
30E 導電層
100 コ字型溝削り
101 第一スマートマテリアル層
101E 第一電極層
102 第二スマートマテリアル層
102E 第二電極層
103 第三スマートマテリアル層
103E 第三電極層
104 第四スマートマテリアル層
104E 第四電極層
A 振動端
B1 第一作動エリア
B2 第二作動エリア
C 固定エリア
D 自由端
F1 慣性力
F2 慣性力
F1’ 慣性力
F2’ 慣性力
M1 振動
M2 振動
S 固定エリア/支持部材
Θ 狭角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換器であって、
一端は固定端であり、他端は振動端であり、且つ溝削りを有し、前記溝削りの開口部は前記振動端に向けられる導電層を含むことを特徴とする変換器。
【請求項2】
前記固定端と前記溝削りの間の前記導電層上に設置される第一スマートマテリアル層と、
前記溝削りと前記振動端の間の前記導電層上に設置される第二スマートマテリアル層と、
前記第一スマートマテリアル層上に位置される第一電極層と、
前記第二スマートマテリアル層上に位置される第二電極層を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の変換器。
【請求項3】
前記第一スマートマテリアル層と前記第二スマートマテリアル層が位置されるエリアには、第一作動エリアと第二作動エリアがそれぞれ形成されることを特徴とする、請求項2に記載の変換器。
【請求項4】
前記第一スマートマテリアル層と前記第二スマートマテリアル層の材質には圧電材料或いは電場応答性高分子(electroactive polymer)が含まれることを特徴とする、請求項2に記載の変換器。
【請求項5】
前記変換器は、
前記導電層の下方に位置されると共に前記第一スマートマテリアル層に対応させる第三スマートマテリアル層と、
前記第三スマートマテリアル層の下方に位置される第三電極層と、
前記導電層の下方に位置されると共に前記第四スマートマテリアル層に対応させる第四スマートマテリアル層と、
前記第四スマートマテリアル層の下方に位置される第四電極層を更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の変換器。
【請求項6】
変換器であって、
中央エリアは固定端であり、両端は二つの振動端であり、且つ二つの溝削りを有し、前記二つの溝削りの開口部は前記二つの振動端にそれぞれ向けられる導電層を含むことを特徴とする変換器。
【請求項7】
前記固定端と前記二つの溝削りの間の前記導電層上に設置される第一スマートマテリアル層と、
二つの前記溝削りと二つの前記振動端の間の前記導電層上にそれぞれ設置される二つの第二スマートマテリアル層と、
前記第一スマートマテリアル層上に位置される第一電極層と、
前記二つの第二スマートマテリアル層上にそれぞれ位置される二つの第二電極層を更に含むことを特徴とする、請求項6に記載の変換器。
【請求項8】
前記第一スマートマテリアル層と前記第二スマートマテリアル層が位置されるエリアには、二つの第一作動エリアと二つの第二作動エリアがそれぞれ形成されることを特徴とする、請求項7に記載の変換器。
【請求項9】
前記第一スマートマテリアル層と前記第二スマートマテリアル層の材質には圧電材料或いは電場応答性高分子が含まれることを特徴とする、請求項7に記載の変換器。
【請求項10】
前記変換器は、
前記導電層の下方に位置されると共に前記第一スマートマテリアル層に対応させる第三スマートマテリアル層と、
前記第三スマートマテリアル層の下方に位置される第三電極層と、
前記導電層の下方に位置されると共に二つの前記第二スマートマテリアル層にそれぞれ対応させる二つの第四スマートマテリアル層と、
二つの前記第四スマートマテリアル層の下方にそれぞれ位置される二つの第四電極層を更に含むことを特徴とする、請求項7に記載の変換器。
【請求項11】
エネルギー転換モジュールであって、
第一プレート部と、
導電層からなり、前記導電層の中央エリアは固定端であり、前記導電層の両端は二つの振動端となるか、或いは、前記導電層の一端は固定端であり、他端は振動端となる変換器を含み、
前記導電層は、開口部が前記振動端に向けられる少なくとも一つの溝削りを更に含むことを特徴とするエネルギー転換モジュール。
【請求項12】
前記固定端と前記溝削りの間の前記導電層上に設置される第一スマートマテリアル層と、
前記溝削りと前記振動端の間の前記導電層上に設置される少なくとも一つの第二スマートマテリアル層と、
前記第一スマートマテリアル層上に位置される第一電極層と、
前記少なくとも一つの第二スマートマテリアル層上にそれぞれ位置される少なくとも一つの第二電極層を更に含むことを特徴とする、請求項11に記載のエネルギー転換モジュール。
【請求項13】
前記第一スマートマテリアル層と前記第二スマートマテリアル層は圧電材料或いは電場応答性高分子を含むことを特徴とする、請求項12に記載のエネルギー転換モジュール。
【請求項14】
前記変換器は、
前記導電層の下方に位置されると共に前記第一スマートマテリアル層に対応させる第三スマートマテリアル層と、
前記第三スマートマテリアル層の下方に位置される第三電極層と、
前記導電層の下方に位置されると共に前記少なくとも一つの第二スマートマテリアル層にそれぞれ対応させる少なくとも一つの第四スマートマテリアル層と、
前記少なくとも一つの第四スマートマテリアル層の下方にそれぞれ位置される少なくとも一つの第四電極層を更に含むことを特徴とする、請求項12に記載のエネルギー転換モジュール。
【請求項15】
前記第一プレート部はスクリーン、タッチパネル、フレーム(frame)、基板或いはハウジング(housing) の何れか一つであることを特徴とする、請求項11に記載のエネルギー転換モジュール。
【請求項16】
前記変換器は第一支持部材と前記第一プレート部を利用して固定されることを特徴とする、請求項15に記載のエネルギー転換モジュール。
【請求項17】
前記変換器は第二支持部材と第二プレート部を利用して固定され、前記第二プレート部はスクリーン、タッチパネル、フレーム、基板或いはハウジングの何れか一つであることを特徴とする、請求項16に記載のエネルギー転換モジュール。
【請求項18】
前記第一支持部材と前記第二支持部材の内の何れか一つはスマートマテリアル或いはダンパーを含むことを特徴とする、請求項17に記載のエネルギー転換モジュール。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【公開番号】特開2013−66137(P2013−66137A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225803(P2011−225803)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(510147710)慶良電子股▲分▼有限公司 (9)
【Fターム(参考)】