説明

変調された光を受信するための移動機器及び、情報を送信するための装置、並びにこれら移動機器及び装置を有する装置と対応する方法

移動機器にデータを送信するために照明インフラストラクチャの一部を用いることができるよう、変調された光を受信するための移動機器、変調された光によって情報を送信するための装置、およびシステム、並びに対応する方法が開示される。移動機器は、少なくとも1つの光源から放射される可視光に変調されている送信データに対応する情報を搬送する、変調された可視光を受信するとともに、受信した変調された可視光に基づく信号を出力するための可視光受信器と、送信データに対応する情報を抽出するために、受信した変調された信号に基づく信号を復調する復調器と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は変調された光を受信するための移動機器及び、情報を送信するための装置、並びにこれら移動機器及び装置を有する装置と対応する方法に関する。変調された光は、光源、特に発光ダイオード(LED)から放射される光に変調された送信データに対応する情報を搬送する。
【背景技術】
【0002】
GSM(Global System for Mobile Communications)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、CDMA(Code Division Multiple Access)などのような、移動機器(例えば携帯電話機)に情報を送信するための、いくつかの技術が知られている。さらに、短距離通信を通じて情報を受信するため、Bluetooth(登録商標)又はWLAN(Wi-Fiとしても知られている無線ローカルエリアネットワーク)のような、ユーザ起動型の別の通信コネクションも移動機器で時々用いられている。
【0003】
100cmまでのさらに短距離の通信のために、携帯電話機、ラップトップコンピュータまたはPDA(Personal Digital Assistant)のような一部の移動機器は、IrDA(Infrared Data Association)インタフェースを備えることにより、テレビのリモコンと同様、通信する機器間が遮られないことを必要とする赤外線通信機能を提供するように構成されている。これらIrDA送受信器は、kbit/sのオーダのデータレートの赤外線パルスを用いて通信する。これにより、搬送波は用いられず、赤外線パルスは、IR光が送信される場合とされない場合、すなわちオンとオフとの差に相当する。しかし、例えば単純なパルスは背景光のような環境状態によって影響されやすく、コネクションのデータレート、距離および信頼性は、一部の用途には不十分かもしれない。
【0004】
上述した短距離通信用の全ての技術は、IEEE 802.15.1規格を用いるBluethooth(登録商標)ノードやIEEE 802.11規格を用いるWLANノードといった、移動機器と通信する多数の新規インフラストラクチャの実装を必要とするため、高い投資コストが必要となるであろう。
【0005】
従って、データ送信用の既存のインフラストラクチャの少なくとも一部を用いるようにすることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0006】
変調された可視光を受信する移動機器および変調された可視光によって情報を送信するための装置並びに前記移動機器および前記装置を有するシステムと、対応する方法が提示され、前記変調された可視光は前記装置から前記移動機器への送信データに対応する情報を搬送する。
【0007】
本発明の一実施形態は、少なくとも1つの光源で放射された可視光に変調されている送信データに対応する情報を搬送する、変調された可視光を受信するとともに、受信した変調された可視光に基づく信号を出力するための可視光受信器とを有する。前記移動機器は、前記送信データに対応する前記情報を抽出するため、前記受信した変調された可視光に基づく前記信号を復調するための復調器をさらに有する。例えば、前記情報を前記送信データから取得することによって前記移動機器のおおよその位置が抽出することができるように、前記情報は前記光源の位置を示してもよい。
【0008】
従って、例えば10mまでの短距離で確実にデータを送信するために、一般的な人工照明用の光源、特に発光ダイオードを用いることができるよう、情報は可視光によって搬送されて移動機器で受信されてよい。
【0009】
一実施形態によれば、前記可視光受信器は、前記受信した変調された可視光を電気信号に変換するように構成される。従って、単純で安い電子部品を用いて電気的に信号を処理することが可能である。
【0010】
一実施形態によれば、前記移動機器は、前記受信した可視光の強度を求めるための強度検出器を有する。例えば、前記可視光受信器が受信した変調された可視光を電気信号に変換する場合、受信した総光量に関する情報、ひいては前記移動機器周囲の照明状況に関する情報を取得できるように、前記電気信号は積分され、1つまたはいくつかの異なる閾値と比較されてよい。
【0011】
一実施形態によれば、前記移動機器は、前記復調器によって処理される第1成分と、強度検出器によって検出される第2成分とに前記信号を分離する信号分割器をさらに有する。従って、前記受信した変調された可視光は、1つの経路では経時変化しうる変調成分が解析されてよく、また別の経路では総受信強度が解析されてよく、つまりは並列に解析されてよい。
【0012】
一実施形態によれば、前記移動機器は、前記送信データに対応する前記情報を用いるために、前記復調された信号を処理するためのコントローラをさらに有する。従って、前記信号を復調(例えば前記信号の変調成分を復調することで十分であろう)することにより、例えば前記移動機器のおおよその位置を得ることができるように、送信データに対応する情報であって、前記送信光源の前記位置を示す情報が受信される。
【0013】
一実施形態によれば、前記可視光は100kHzから1GHz、好ましくは1MHzから100MHzの範囲の周波数で変調される。さらに、前記復調器は、100kHzから1GHz、好ましくは1MHzから100MHzの範囲の周波数で変調された前記可視光に基づく前記信号を復調するように構成される。従って、高いデータレートが実現できる。
【0014】
一実施形態によれば、前記可視光受信器は、例えば携帯電話機に用いられているような環境光センサを有する。従って、既存の環境光センサを再利用し、解析のための適切な電子部品を与えることで、携帯電話機のような移動機器を、変調された可視光を通じて情報を受信するように安価で構成することができる。
【0015】
本発明の別の実施形態は、送信データに対応する情報を変調された可視光によって送信するための装置を提供する。前記装置は、可視光を放射するための少なくとも1つの発光ダイオード(LED)に基づく光源と、前記光源に適用する電流に前記送信データを変調するための変調回路とを有する。さらに、前記光源は、前記変調された電流によって駆動される際に、前記送信データに対応する情報を搬送する変調された可視光を放射するように構成される。
【0016】
従って、変調された電流をLEDを有する光源に適用することにより、情報を送信することが可能である。LEDは変調された電流を受信した際、変調された光出力を容易に提供するので、1GHzまでの周波数が、放射される可視光に変調できるであろう。
【0017】
本発明の別の実施形態は、上述した移動機器及び装置を有する、送信データを通信するためのシステムを提供する。従って、上述の移動機器および装置の利点が実現できる。
【0018】
本発明の別の実施形態は、移動機器を動作させる方法であって、少なくとも1つの光源から放射された可視光に変調されている送信データに対応する情報を搬送する、変調された可視光を前記移動機器で受信するステップと、前記受信した変調された可視光に基づく信号を出力するステップと、前記送信データに対応する前記情報を抽出するため、前記出力された信号を復調するステップとを有する方法を提供する。
【0019】
従って、既存の室内用照明器具または好ましくはLED技術に基づく今後の室内用照明器具のような簡単な手段によって移動機器にデータ通信を提供するため、変調された可視光を通じて情報を取得するように移動機器を動作させるための方法が提供される。
【0020】
本発明の別の実施形態は、移動機器と、変調された可視光によって光源から前記移動機器へ情報を送信するための装置を有するシステムを動作させるための方法を提供する。この方法は、送信データを電流に変調するステップと、前記送信データに対応する情報を搬送する変調された可視光を前記光源が放射するように、前記変調された電流を前記光源に適用するステップと、可視光に変調された、送信データに対応する情報を搬送する、変調された可視光を、前記光源から前記移動機器が受信するステップとを有する。前記方法はさらに、前記受信した変調された可視光に基づく信号を出力するステップと、前記送信データに対応する前記情報を抽出するため、前記出力された信号を復調するステップとをさらに有する。
【0021】
従って、変調された可視光を用いて情報を送信するシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る移動機器を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、移動機器の構成要素、特には移動機器における信号の流れを示す図である。
【図3】情報を抽出するために移動機器を動作させるための、本発明の実施形態に係る方法のフローチャートである。
【図4】本発明の別の実施形態に係る、変調された可視光によって情報を送信するための装置を示す図である。
【図5】携帯電話機のような移動機器と、変調された可視光によって情報を送信するための装置とを有するシステムを示す図である。
【図6】図5のシステムのようなシステムを動作させるための、本発明の別の実施形態に係る方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、以下の説明は、例示のみを含んだもので、本発明を限定するものと解されるべきでない。
【0024】
本発明の実施形態は概して、可視光に変調された、送信データに対応する情報の、送受信に関する。特に、1つ以上の発光ダイオードから放射される可視光は、変調された電流をそのLEDに供給することによって容易に変調することができる。
【0025】
しかし、本発明はLEDから放射される光に限らず、周波数、好ましくはMHz以上のオーダの周波数の変化に反応し、この周波数範囲で変調された可視光を出力する任意の光源に適用されてよい。以下の説明において、LEDは古典的な半導体物質に基づくダイオードに限定解釈されるべきではなく、有機発光ダイオード(OLED)などもまた包含する。
【0026】
LEDはエネルギー消費が低く、発光効率が高いため、特に好適である。例えば、発明者は、家庭やオフィス、さらには街灯などの光源としてLEDが普通に用いられるであろう今後の照明システムにおいて、これらの光源を、光源からの光を受けるのに十分な程度光源に近接した移動機器に情報を送信するために容易に変調しうることを理解している。
【0027】
データ送信のために、例えば蛍光灯のような放電灯の電磁放射を変調して、電気的に検知可能な変化を生じさせることは、これまでも提案されてきたが、そのような技術は、例えば蛍光灯に適用するための高周波AC電圧波形を生成するためのインバータを含む、複雑な電子回路が不可欠であった。その結果、人間の目でフリッカが知覚されないようにするため、人間の視覚が認知できる周波数を超える最低周波数(少なくとも100Hz超)と、インバータのスイッチング周波数よりもずっと低い最高周波数との間の小さな周波数帯しか使用することができず、使用できるデータレートもそれにょって制限されていた。
【0028】
以下において、類似又は同一の参照符号は、類似又は同一の要素又はステップを示す。
【0029】
以下において、図1は、本発明の実施形態に係る移動機器100の構成要素を示す。詳細には、移動機器100は可視光受信器110と復調器120を有する。
【0030】
移動機器100は、詳細は図4を参照して後述する光送信装置であって、住居、オフィス、または工場において照明のために普通に用いられているような照明器具ネットワーク、すなわち照明システムの一部を構成してもよい光送信装置から、変調された可視光を受信するように構成されている。
【0031】
可視光受信器は、送信データに対応する情報を搬送する、変調された可視光を受信する。詳しくは、送信データは、上述した照明器具ネットワークの少なくとも1つの光源であって、LEDのような光源、から放射される可視光に変調される。変調された光は、送信時のエラーにあまり敏感で無いため、低パワーの光でも長距離の伝送が可能である。LEDが放射する可視光を変調するために用いることのできる変調技術はパルス幅変調や、発振器の変調周波数を用いる方法などいくつか知られており、詳細は後述する。
【0032】
例えば、移動機器はラップトップまたはノート型のようなポータブルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、または携帯電話機であってよく、これら機器はいずれも可視光受信器として起動するフォトダイオードを有するであろう。特に、携帯電話機またはセルラ電話機には、環境光センサを有するものがある。この例において、環境光センサは、変調された可視光を受信するために可視光受信器110の一部として用いることができる。携帯電話機用に用いられる環境光センサは、例えばオスラム オプトセミコンダクター社のALS SFH 5711である。
【0033】
可視光受信器110は、環境に応じて、可視光波長内の人工光だけ(例えば、窓の無いオフィス内)、日光、または人工光と日光の混合光を受信する。例えば光源(好ましくは少なくとも1つの発光ダイオード(LED)に基づく光源)を有する室内灯や街灯からの人工光を変調することにより、可視帯域内のこの光は日光と簡単に区別できるように変調することができる。
【0034】
可視光受信器110は、可視光を受信した後、受信した変調された可視光に基づく信号を出力する。例えば、可視光受信器110は受信した変調された可視光を、LEDの駆動電流を変調するためにテレビリモコンで知られるようなセラミック共振器が用いられる場合には、36kHzといった同じ変調を有する電気信号に変換する。しかし、LEDの可視光は、例えばセラミック共振器を用いて20MHzの周波数で変調されるなど、MHzオーダの周波数で変調されてよい。しかし、水晶を発振器として用いる場合にはより高い周波数が実現されてもよい。
【0035】
信号を復調するため、移動機器100は復調器120を有する。詳しくは、復調器120は、送信データに対応する情報を抽出するため、受信した変調された可視光に基づく信号を復調する。例えば、復調器120は、MHzオーダ、すなわち数100kHzから1GHzの範囲の1つ以上の周波数によって変調された可視光に基づく信号を復調するように構成される。
【0036】
移動機器で受信した光の処理は、以下のように要約することができる。送信データに対応する情報を搬送する変調された可視光は、受信され、電気信号に変換される。そして、電気信号は増幅器で増幅されてフィルタ部に供給される。フィルタ部は例えば、電気信号の変調成分をDC成分から分離するためのバンドパスフィルタまたは他の適切なフィルタを有している。そして、変調成分は復調器120で復調される。
【0037】
変調に用いる周波数が1つだけなら、変調された電気信号と変調されていない電気信号との差異を求めるか、変調された電気信号と無信号との差異を求めることにより、情報を送信することができる。あるいは、複数の変調周波数が用いられている場合には、本技術分野で既知であるように、位相同期ループ(PLL)によって周波数を探知することができる。PLLは例えば、制御電圧が入力信号と同じ周波数、ひいては復調された信号に対応するよう、電圧制御型発振器を同調させる。周波数シフトキーイング(FSK)、直交位相シフトキーイング(QPSK)など、いくつかの変調技術が知られており、それによって一層高いデータレートが実現されてよい。
【0038】
変調と、復調された信号を解釈するための符号化プロトコルとに応じて、信号の変調成分の存在有無や信号のパルス幅から、デジタル符号化信号を得ることができる。このデジタル符号化信号は、光源からの送信データに対応する情報を抽出するため、コントローラに供給される。例えば、可視光に変調された送信データに対応する情報は、具体的な座標のような、変調された光源の位置を示してもよい。従って、移動機器は、光の伝送範囲内で光源の位置にほぼ対応する自身の位置を得ることが可能である。通常、光の伝送範囲は5m未満なので、変調された可視光によって搬送される情報は、一般にGPS信号が受信できない、建物内におけるナビゲーション用途に用いることができる。
【0039】
図2は、本発明の別の実施形態に係る移動機器200の構成要素を示している。図1の移動機器と同様、図2の移動機器200は可視光受信器210と復調器220とを有している。さらに、移動機器200は信号分割器230、強度検出器240、およびコントローラ250を有している。
【0040】
図1に関し、特には可視光受信器110に関して上述したように、可視光受信器210もまた、情報を搬送する、変調された可視光を受信し、可視光は電気信号に変換されて出力される。出力電気信号の一例として、可視光受信器210と信号分割器230との間に、例示目的でItが図示されている。この信号は、光送信装置の光源で放射される可視光に変調された送信データに起因する変調成分と、通常は無変調の可視光のDC成分と例えば移動機器200の照明状況に影響を与える直接的または間接的な日光又は他の光源からの背景光の混合であるDC成分とを有する。
【0041】
信号光分割器230は、可視光受信器210からの出力電気信号を受信し、その信号を変調成分IvとDC成分IDCとに分離する。従って、2つの成分は並列に処理されてよい。すなわち、復調器210は図2の最上部に示される変調成分Ivを処理することができ、強度検出器240は図2の最下部に示されるDC成分IDCを処理することができる。なお、図2に示される周波数は変調周波数に対応するものであり、数千THzのオーダである可視光の搬送波周波数と混同すべきではない。可視光の搬送波周波数は、光の振幅の2乗を測定するに過ぎず、光の周波数自体を測定しない単純なフォトダイオードでは測定することができない。
【0042】
強度検出器240は、例えば積分された信号を複数の閾値と比較するために、電気信号を所定期間積分することによって受信した可視光の強度を求める。例えば、検出された光レベルと閾値とを比較することによって移動機器が置かれている環境の光レベルを判定できるように、低光レベル、中光レベル、高光レベルの環境について、異なる閾値がコントローラ250によって規定されてもよい。例えば低光レベルの環境では表示輝度を低く設定し、高光レベルの環境では表示輝度をより高くセットするようにして、エネルギーを節約するよう、環境の光レベルに従って移動機器の表示を制御することができる。
【0043】
移動機器200で信号分割器230を用いる代わりに、変調周波数を解析するため、変調成分とDC成分とを持つ電気信号が直接復調器に供給されてもよく、その後、強度検出器で強度を求めるために信号を積分することができる。
【0044】
図2に示すように、コントローラ250は復調された信号を復調器220から受信する。この信号は上述のようにデジタル的に符号化されていてよい。上述の通り、コントローラは復調された信号を、送信データに対応する情報を用いるため、例えば位置データまたは他の情報を移動機器で受信するために処理する。送信データが、建物内の位置のような、変調された可視光を放射する光源の位置に関する情報を有する場合、移動機器のおおよその位置を得ることができる。例えば、ユーザが建物の特定の階の特定の部屋にいることをコントローラ250が移動機器のディスプレイ上でユーザに示すことができるように、送信データは、光源が設置されている特定の階の特定の部屋を示してよい。例えば、ユーザの位置が、例えばドットのような何らかのマークとして、ディスプレイに表示されている地図上に重畳表示される。従って、建物内の別の部屋にある異なる光源が、個々の位置に関する情報を放射するように構成されている場合、GPS信号を用いることなく、建物内でのナビゲーションを3次元的にすら実施することができる。
【0045】
さらに、移動機器がGPS(全地球測位システム)受信器を有し、自身の位置をGPSを通じて検出済みであれば、その位置を、光源から受信した位置情報によって更新することができる。
【0046】
加えて、移動機器における慣性ナビゲーション用のジャイロセンサおよび加速度センサの少なくとも一方を、GPSを用いずに移動機器の移動を追跡するために用いることも考えられ、この場合、変調された光を放射する光源から光が受信されると、位置が更新される。
【0047】
また、上述したように、コントローラ250は強度検出器240から出力信号を受信し、移動機器が置かれた環境の光レベルに関する情報を取得するためにその信号を処理することができる。
【0048】
従って、位置および環境光レベル(例えば部屋の照明状況)の両方のような情報を、移動機器100または200のような移動機器へ、Bluethooth(登録商標)およびWLAN等のような、ユーザが構築するコネクションを用いることなく送信することができる。通常5mに満たない、可視光放射LEDの短い送信範囲は、高精度の屋内ナビゲーションにはうってつけである。位置決め情報に加え、地図や、位置に基づく他のコンテンツが、光源から出力される光によって送信されてよい。
【0049】
以下、図3に関して、移動機器の動作を説明する。図3は、図1および図2にそれぞれ示した移動機器100および200の動作中などに、移動機器を動作させるための方法のフローチャートである。
【0050】
上述の通り、移動機器は屋内または屋外に位置していてよく、人工的に変調された可視光であって、情報を搬送する、光源から放射された可視光を受信する。
【0051】
最初のステップ310で、移動機器は、屋内または屋外光源の一部であるLEDのような少なくとも1つの光源から放射された可視光に変調された送信データに対応する情報を搬送する、変調された可視光を受信する。
【0052】
続くステップ320で、光信号から変換され、対応する変調を有する電気信号のような、受信した変調された可視光信号に基づく信号が出力される。そして、ステップ330で、送信データに対応する情報を抽出するため、出力信号が復調される。変調のタイプに応じた復調のためのいくつかの技術が知られており、その一部は既に説明した。
【0053】
以下、図4に関して、送信データに対応する情報を搬送する変調された可視光によって情報を伝送または送信するための装置を、詳細に説明する。
【0054】
図4は、変調回路410および、少なくとも1つの発光ダイオード415に基づく光源420を有する装置400を示す。
【0055】
変調回路410は、光源420に適用される電流に、送信データを変調する。詳しくは、変調回路410は変調周波数を生成するためのセラミック共振器または水晶発振器を有してよい。上述の通り、周波数変調やパルス幅変調のようないくつかの変調技術が既知であり、ある場合には発振器の36kHzの周波数が、光のような搬送信号に変調されてよい。ここで、例えばマンチェスター符号化を用いることができるようにバーストとポーズを生成するため光はオン/オフされる。
【0056】
変調された電流は、変調された電流によって駆動された際に、変調された可視光が送信データに対応する情報を搬送するように、可視光、特には変調された電流に従って変調された可視光を放射するための少なくとも1つのLEDに基づく光源に適用される。
【0057】
例えば、LEDは、オフィスビルディングおよび住居のような建物の内部を照明するためだけでなく、屋外の街路や広場を照明するための人工光としてますます用いられることが期待されている。LEDからの光は、通常の照明器具ネットワークを用いて情報およびナビゲーションをブロードキャストすることができるよう、MHzオーダの周波数まで簡単に変調することができる。
【0058】
図5は、上述した装置および移動機器を有するシステムを示している。図5のシステム500に示すように、送電線からの、LEDに供給される電流は、まず変調回路510で変調される。コンセントからの電圧、例えば220Vまたは110V ACは、LED520を駆動するのに適するようにダウンコンバートされる。あるいは、例えば6V電池のような別の適切な電源が用いられる。そして、変調回路510からの変調された電流が、例えば図5の例では単独光源であるLED520に供給される。
【0059】
そして、LED520は、変調か路510の変調された電流によって駆動される際、送信データに対応する情報を搬送する変調された可視光を、例えば携帯電話機である移動機器530へ放射する。
【0060】
呼tの光は図5にフォトダイオードとして図示される可視光受信器532で検出され、変調による強度変動を伴う電気信号に変換される。上述の通り、これらの強度変動、すなわち変調成分は、情報を抽出するために使用でき、強度自身からは、環境光センサの機能と同様に、移動機器530の周囲の照明状況を判別することができる。
【0061】
例えば、携帯電話機が環境光センサを有する場合、携帯電話機は環境光センサの出力を二つの用途、すなわち、変調成分から情報を抽出するため、およびディスプレイの輝度を調整するために携帯電話機が置かれている環境の光レベルを得るため、に用いることができる。
【0062】
図5に関し、システム500は、移動機器100または200と同様の移動機器530と、上述した変調回路510およびLED520を有する装置を備えている。以下、図6に関して、移動機器と、送信データに対応する情報を光源からの変調された可視光によって移動機器に送信するための装置とを有するシステムを動作させる方法について説明する。図6は、システム500のようなシステムを動作させるための方法のフローチャートを示している。
【0063】
最初のステップ610で、送信データが電流に変調される。上述の通り、電流は通常、LED等、用いられる光源に適切な電流および電圧に変換することが必要な、送電線の電流に基づく。そして、ステップ620で、光源が、送信データに対応する情報を搬送する変調された可視光を照射するよう、変調された電流が光源に供給される。
【0064】
続いて、ステップ630において、移動機器は、光源から放射された可視光に変調された送信データに対応する情報を搬送する、変調された可視光を受信する。このステップは移動機器の動作に関するため、基本的に図3のステップ310と同一である。同様に、受信した変調された可視光に基づく信号を出力することおよび、送信データに対応する情報を抽出するために出力信号を復調することを記載した図5のステップ540および550もまた、図3のステップ320および330と同一であるため、不要な繰り返しを避けるためにこれ以上の説明は行わない。
【0065】
説明した図1,2,4,5において、説明した移動機器及び装置の個々の要素を詳細に説明してきたが、そこでは構成要素が個々に異なる機能を有していた。本技術分野に属する当業者は、上述した実施形態における構成要素が、個別の実体的な部品に限定的に解釈されるべきものではなく、1つの実体的な部品にいくつかの機能が提供されうる一種の機能的なエンティティとして理解されるべきであることを理解するであろう。
【0066】
上述した構成要素、移動機器、装置、システム、および方法、並びに本発明の構成において、本発明の範囲または精神の範囲内で様々な改良や変更を行うことが可能であることが理解されるであろう。本発明を、あらゆる意味において例示を意図し、限定を意図しない特定の実施形態に関して説明してきた。本技術分野に属する当業者は、ハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアの様々な組み合わせが本発明の実施に好適であることを理解するであろう。
【0067】
さらに、当業者は、本明細書およびここに開示された発明の実施を通じて、本発明の他の実装についても理解するであろう。本明細書および実施形態は、例示のみを意図している。そのため、開示された実装または構成の1つの全ての機能よりも少ない部分に独創的な見地が存在することを理解すべきである。従って、本発明の真の範囲および精神は、以下の請求項によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機器であって、
少なくとも1つの光源から放射される可視光に変調されている送信データに対応する情報を搬送する、変調された可視光を受信するとともに、前記受信した変調された可視光に基づく信号を出力するための可視光受信器と、
前記送信データに対応する前記情報を抽出するため、前記受信した変調された可視光に基づく信号を復調するための復調器と、を有することを特徴とする移動機器。
【請求項2】
前記可視光受信器は、前記受信した変調された可視光を電気信号に変換するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の移動機器。
【請求項3】
前記受信した可視光の強度を求めるための強度検出器をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の移動機器。
【請求項4】
前記復調器によって処理される第1成分と、強度検出器によって検出される第2成分とに前記信号を分離する信号分割器をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の移動機器。
【請求項5】
前記送信データに対応する情報を用いるために、前記復調された信号を処理するためのコントローラをさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の移動機器。
【請求項6】
前記可視光が100kHzから1GHzの範囲の周波数で変調され、前記復調器が、前記範囲の周波数で変調された前記可視光に基づく前記信号を復調するように構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の移動機器。
【請求項7】
前記可視光受信器が環境光センサを有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の移動機器。
【請求項8】
前記移動機器が携帯電話機であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の移動機器。
【請求項9】
送信データに対応する情報を変調された可視光によって送信するための装置であって、
少なくとも1つの発光ダイオードに基づく光源と、
前記送信データを前記光源に供給される電流に変調する変調回路と、を有し、
前記光源は、前記変調された電流によって駆動される際に、前記送信データに対応する情報を搬送する変調された可視光を照射するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項10】
送信データを通信するためのシステムであって、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の前記移動機器と、
請求項9に記載の前記装置と、を有することを特徴とするシステム。
【請求項11】
移動機器を動作させるための方法であって、
移動機器が、少なくとも1つの光源から放射される可視光に変調された送信データに対応する情報を搬送する、変調された可視光を受信するステップと、
前記受信した変調された可視光に基づく信号を出力するステップと、
前記送信データに対応する情報を抽出するために、前記出力信号を復調するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項12】
移動機器と、送信データに対応する情報を光源からの変調された可視光によって前記移動機器に送信するための装置と、を有するシステムを動作させる方法であって、
送信データを電流に変調するステップと、
光源が、前記送信データに対応する情報を搬送する変調された可視光を放射するよう、前記変調された電流を前記光源に適用するステップと、
前記光源から放射される前記可視光に変調された前記送信データに対応する情報を搬送する、前記変調された可視光を、前記移動機器において受信するステップと、
前記受信した変調された可視光に基づく信号を出力するステップと、
前記送信データに対応する情報を抽出するために、前記出力信号を復調するステップと、を有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−530432(P2012−530432A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515365(P2012−515365)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066718
【国際公開番号】WO2010/145722
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(502087507)ソニーモバイルコミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】