変調マイクロプラズマによる加工方法及びその装置
【課題】高周波マイクロプラズマ発生器として、内径が数mm程度の細管又はノズルを用いた、材料堆積などのマイクロプラズマ加工法、及び該加工を実施するための装置を提供する。
【解決手段】高周波電圧を印加することによりプラズマ発生用細管内又はプラズマ発生用ノズル内に高周波プラズマを発生させ、該発生したプラズマを被加工基板に向けて照射し、該基板に加工を施すマイクロプラズマ加工法及びその装置であって、前記高周波電圧を変調させることで、断続的にプラズマを発生させることを特徴とするマイクロプラズマ加工法及び装置。
【解決手段】高周波電圧を印加することによりプラズマ発生用細管内又はプラズマ発生用ノズル内に高周波プラズマを発生させ、該発生したプラズマを被加工基板に向けて照射し、該基板に加工を施すマイクロプラズマ加工法及びその装置であって、前記高周波電圧を変調させることで、断続的にプラズマを発生させることを特徴とするマイクロプラズマ加工法及び装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波マイクロプラズマを利用して、有機無機を問わない様々な種類の材料上に、材料堆積を施すマイクロプラズマ加工方法及びその装置に関するものであって、特にプラズマ発生用細管又はプラズマ発生用ノズルを用いたマイクロプラズマ加工方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大気圧下で発生させたプラズマ、いわゆる大気圧プラズマを利用して、基板等の材料表面上に異種の材料を堆積させる技術が開発されている。
中でも、直径がマイクロメートルオーダーであるマイクロプラズマを用いた大気中での材料プロセシング技術は、装置が小型であり操作性も良いことから、近年では多くの関連技術の開発がなされている。
本発明者らも、マイクロプラズマを利用した大気中での局所材料堆積技術に関して、既に幾つかの提案をしている。
【0003】
特許文献1記載の技術は、ノズル型高周波マイクロプラズマ発生器を利用した材料局所堆積装置の開発に関する技術であり(以下、ここでは、先端が絞られた形状の管を「ノズル」と称し、これに対して、直管を「細管」と称することとする。)、内径数mm以下の絶縁性ノズル内にアルゴン等の不活性ガスを供給しながら、ノズル周囲に設置された電極へ高周波を連続的に供給するのみで、大気中で安定にプラズマを発生させることが可能である。プラズマ中に導入可能な原料形態はガス種のみであるが、化学的気相堆積法(Chemical Vapor Deposition 以後「CVD法」と称す。)により、非加熱材料上の局所領域にのみ、良結晶性の炭素系材料を成長、堆積させることが可能な装置である。
しかしながら上記のような、原料としてガス種しか供給できない技術では、次のような技術的制約が考えられる。
ガス等の真空排気系装置を全く利用しない大気中での工程を考えた場合、人体、環境に対して有害なガス原料の使用は好ましくない。通常の金属乃至金属化合物薄膜作製工程では、有機金属ガス等の毒性を有するガスを使用するため、特許文献1に記載された技術で堆積可能な材料種は、必然的に限られてしまう。
【0004】
この問題点を改善するための手段として、本発明者らは、特許文献2、3で新技術を提案している。これらの技術は、金属ワイヤーを主原料として使用する技術である。この技術も細管又はノズル型高周波マイクロプラズマ発生器を利用したものであるが、細管又はノズル内に予め原料である金属ワイヤーを挿入しておき、不活性ガス乃至大気中で扱える反応性ガスを流し、細管又はノズルの周囲に設置した電極に、図1に示したような電圧を連続的に印加、連続的に高周波プラズマを発生させ、プラズマからの熱伝導乃至高周波加熱等で金属ワイヤーを蒸発または溶融させ、生成した気相や液滴を、ノズルや細管下流域で凝縮、凝固させ、下流に設置した基板等に材料を堆積させる技術である。なお、図1において、(a)は印加電圧波形を示し、(b)は高周波出力波形を示す。
【0005】
特許文献2に記載された技術は、内径50μm以下のノズル内での大気圧プラズマ発生技術に関する技術および、その発生技術を利用して、融点が500℃以下の低融点基板上へ、直径1〜100μmのドット状および幅5〜50μmのライン状で、金属乃至金属化合物材料を堆積させる技術に関するものである。
特許文献3に記載された技術は、細管を利用して、あらゆる種類の基板上の数百μm2、さらには数cm2以上の大面積に金属乃至金属化合物を薄膜として堆積させるための技術である。
しかしながら、上記特許文献2及び3に記載の技術では、下記のような技術的限界がある。
【0006】
先ず、プラズマの発生に利用可能なノズルサイズの限界がある。特許文献2に記載のプラズマ発生技術では、内径20μm程のノズル内での発生が限界であり、より小サイズのノズル内でのプラズマ発生は不可能である。この技術では、内径100μm以下のノズルは、内径300〜800μm程の石英直管を加熱引張加工して作製する。この作製工程で、ノズル先端部の内径が数μm程の極細ノズルの作製は可能であるが、内径が約20μm以下の極細ノズルでは、その管壁が非常に薄化しており耐熱性が劣化しているため、その先端部はプラズマ発生時に容易に破損してしまう。つまり、特許文献2に記載の大気圧プラズマ発生法では、一定厚以上の管壁厚を有するノズルが必要であり、それは内径20μm以上のノズルにおいては可能であるものの、内径数μmの極細ノズル内でのプラズマ発生は不可能である。
【0007】
さらに、特許文献2及び3に記載の技術では、原料として使用できるワイヤー種が限られている。これらの文献中の実施例中に記載されているような、タングステンやモリブデン等の蒸気圧の低いワイヤーからの堆積は可能であるが、高蒸気圧、すなわち低融点材料、例えばマグネシウム、スズ、インジウム等のワイヤーからの材料堆積は難しい。これら低融点材料ワイヤーを細管又はノズル内に挿入、プラズマ発生を試みると、プラズマを発生させた瞬間に挿入ワイヤーは溶融し、数片に切断され、その切断片は表面張力により球状化してしまう。すなわち、効率良く基板に堆積させることは、不可能では無いものの、そのための適切な条件の選択幅は狭く、非常に熟練した技術を要する。
【0008】
同様のことは、貴金属材料の場合においても見られる。特許文献2および3に記載の手法で、細管又はノズル内のガス流量や印加高周波の投入エネルギーを適切な値に設定すれば、細管又はノズルの出口下流に設置した基板上への堆積は可能ではあるが、その適正範囲の幅は極めて狭いため、工程実施の上では、堆積技術に関する豊富な経験を要する。
【特許文献1】特開2003−328138号公報
【特許文献2】特開2005−262111号公報
【特許文献3】特願2006−225695号
【特許文献4】特開2006−274290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、高周波マイクロプラズマ発生器として、内径が数mm程度の細管又はノズルを用いた際の上記問題点を改善した新規な材料堆積法及びそれを実施するための装置を提供することを目的とするものである。
すなわち、基板等の材料表面上、僅か数μm程の領域にのみ、材料堆積を行うための技術分野では、内径が数μm程度の極微細細管又は極微細ノズルの使用は必須であると考えられる。そのためには、ガス温度が低いプラズマの発生法を開発し、プラズマからの熱による極微細ノズル管壁破損を防ぐ技術の開発が必須である。
また、上記の極微細プラズマを利用した薄膜作製工程で、低融点材料ワイヤーならびに貴金属ワイヤーを原料として利用する場合に、原料ワイヤーの瞬時溶融、細管乃至ノズル内での細断化を防ぐためには、従来のプラズマとは異なった性質のプラズマ発生法の開発が必須である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、直径数mm以下のノズル内で発生させる、いわゆる細管又はノズル型高周波マイクロプラズマの発生において、プラズマを発生させるために印加する高周波電圧を一定周期的又は不定周期的に変調させ、断続的にプラズマを発生させることで上記課題を解決しうるという知見を得た。
【0011】
本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものであり、以下のとおりのものである。
(1)高周波電圧を印加することによりプラズマ発生用細管内又はプラズマ発生用ノズル内に高周波プラズマを発生させ、該発生したプラズマを被加工基板に向けて照射し、該基板に加工を施すマイクロプラズマ加工法であって、前記高周波電圧を変調させることで、断続的にプラズマを発生させることを特徴とするマイクロプラズマ加工法。
(2)前記変調のために印加する電圧波形が、矩形、三角波形、又は正弦波形のいずれかであることを特徴とする上記(1)のマイクロプラズマ加工法。
(3)前記変調のために印加する電圧波形が、一定周期又は不定周期を有することを特徴とする上記(2)のマイクロプラズマ加工法。
(4)前記マイクロプラズマ加工が、薄膜堆積であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかのマクロプラズマ加工方法。
(5)プラズマ発生用細管又はプラズマ発生用ノズル、該細管又はノズル内にプラズマを発生させるための高周波印加電極、該電極に高周波電圧を供給するプラズマ発生用高周波電源、被加工基板の支持台、及び発生したプラズマを被加工基板に向けて照射する手段を少なくとも有するマイクロプラズマ加工装置であって、前記高周波電圧を変調させて断続的にプラズマを発生させる手段を有していることを特徴とするマイクロプラズマ加工装置。
(6)前記細管内又はノズル内に原料ガスを導入する手段を有していることを特徴とする上記(5)のマイクロプラズマ加工装置。
(7)前記細管内又はノズル内に原料を配置したことを特徴とする上記(5)のマイクロプラズマ加工装置。
(8)前記原料が、低融点金属ワイヤーであることを特徴とする上記(7)のマイクロプラズマ加工装置。
(9)前記細管内又はノズル内に不活性ガスを導入する手段を有していることを特徴とする上記(5)のマイクロプラズマ加工装置。
(10)前記マイクロプラズマ加工が、薄膜堆積であることを特徴とする上記(5)〜(9)のいずれかのマクロプラズマ加工装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法及び装置によれば、断続的にプラズマが発生することにより、低融点の材料に対しても薄膜堆積施すことが可能となる。また、プラズマ発生用細管として、内径20μm以下の極細細管又は極細ノズルを用いた場合にも、その先端部が破損することなく、薄膜堆積を施すことが可能となり、さらに、原料として低融点金属からなる金属ワイヤーをプラズマ発生用細管又はノズル内に挿入した場合にも、その金属ワイヤーの溶融・破断が生ずることなくこれらの加工を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、直径数mm以下のノズル内又は細管内で高周波マイクロプラズマを発生させるマイクロプラズマ加工法及びその装置において、プラズマを発生させるために印加する高周波電圧を一定周期的又は不定周期的に変調させ、断続的にプラズマを発生させることを特徴としている。
図2は、本発明の高周波変調制御の基本概念を示すものであり、上段の(a)は、プラズマ発生のための高周波に電力のオン・オフを重畳して変調させる、いわゆるパルスプラズマ発生のためのシグナルであり、プラズマの発生と消失乃至プラズマの高出力発生と低出力発生の繰り返しが、下段(b)に示されたように可能となる。
【0014】
本発明において、変調のために印加する電圧波形は、図2のような矩形波に限られるものではなく、図3に示すような、三角波形、正弦波形の電圧印加でも良い。また、図2、図3のような一定周期のものに限られるものではなく、図4のように、不定周期のものでも問題ない。重要なのは、印加電圧を一定周期的又は不定周期的にOFFにするか、或は低出力とする時間を設けることであり、電圧波形はいかなる形状のものであっても良い。例えば、図5のように、時間と共に増加する高周波出力を周期的にOFFさせることで、間歇的にプラズマを発生させることが可能となる。この場合も、言うまでも無く不定周期的にOFFの時間を設けても同様の効果が得られる。
【0015】
このようなプラズマの消失或いは低出力発生状態を一定周期的又は不定周期的に組み込むことで、プラズマの総エネルギーを低減させることが可能となる。これは、プラズマおよびその周囲に存在する物質への熱損傷の軽減に繋がる。ヘリウムガスで発生させたプラズマよりエンタルピーが高い、アルゴンガスやアルゴン/水素混合ガス等で発生させたプラズマであっても、直接手で触ることが可能な程、プラズマの温度(ガス温度)を低温に保つことが可能である。
したがって、耐熱性に劣る管壁が薄いノズル内、例えば、ガラスや石英の細管等を加熱引張加工することで作製された内径数μm以下のノズル内でのプラズマ発生が可能となる。
【0016】
本発明の方法及び装置によれば、従来のマイクロプラズマで試みられてきた蒸着による点や線描画といったいわゆるパターニングも可能となる。
また、本発明の方法及び装置において、細管又はノズルの出口下流に設置する被加工基板として用いられる材料は、金属、金属酸化物、ガラス、セラミックス等の耐熱性を有する材料に限られず、例えば紙のような耐熱性が無い材料であっても、熱損傷を与えることなく、蒸着加工を施すことが可能である。
【0017】
本発明の方法及び装置を、細管又はノズル内に挿入した金属ワイヤーを原料として利用する材料堆積技術に適用する場合、該金属ワイヤーとして、低融点材料や貴金属のワイヤーを原料として利用することが可能となる。
すなわち、プラズマの総エネルギー、ここでは熱容量の低下により、変調プラズマ発生後も、低融点材料および貴金属ワイヤーは瞬時に溶融することなく、徐々にエッチング等で消耗され、ノズル乃至細管出口下流に設置された基板上へ効率良く堆積される。
【0018】
また、本発明の高周波変調によって誘起される、高出力状態から低出力状態、或は低出力状態から高出力状態への高速な状態遷移は、連続発生とは異なる活性化学種の生成をもたらす。したがって、連続発生の場合とは異なる反応場が実現でき、材料堆積において新たな効果をもたらすことが期待できる。
さらに、本発明の高周波変調によってもたらされるプラズマの遥動は、低出力での高周波印加によるプラズマの発生、維持をも可能にする。これは、印加高周波の変調によってもたらされる電場変動が、ガス中の荷電粒子の運動を促進し、プラズマ発生、維持のために求められる荷電粒子間の衝突が、低出力においても十分に促進されるためである。
実際には、1W以下でのプラズマ発生も可能であり、この低出力発生もまた、プラズマの温度低下、すなわち、低融点材料への材料堆積への応用を可能なものにする因子の一つである。
【0019】
本発明においては、以上のようなプラズマガス温度の低温下を目的とするものばかりでなく、高周波出力を増加させることで、無機材料等の合成に最適な程のガス温度のプラズマが得られることは言うまでも無い。この場合、プラズマの変調により生じる非平衡性によってもたらされる効果は、連続発生プラズマとは異なる特異な結果をもたらすものと期待できる。
【0020】
以下、更に本発明について、具体例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(低融点金属ワイヤを用いた低融点フィルム上への材料堆積の例)
低融点金属ワイヤーを原料として用い、低融点フィルム上へ低融点金属乃至金属化合物を堆積させた実施例を示す。
図6は、本実施例に用いた装置の概要を示す図であり、図中、1はプラズマ発生用細管、2は低融点金属ワイヤー、3は任意波形作成システム、4はファンクションジェネレータ、5は高周波発生器、6は高周波整合器、7は高周波印加電極、8はガス供給管、9は被処理材料、をそれぞれ示している。なお、図6に示す装置においては、高周波印加電極7として、コイル形状のものを用いているが、本発明において、高周波印加電極の形状は、コイル形状の限定されるものではなく、例えば、金属管や金属板であってもよい。
本例では、低融点金属として融点約230℃のスズを用い、融点約250℃のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上へ堆積させた。
【0021】
プラズマ発生用細管1、望ましくは内径1mm以下のプラズマ発生用細管1に直径100μmのスズワイヤー2を挿入し、該細管1内にアルゴンガス、望ましくは数%の水素を混合したアルゴンガスを、ガス供給管8から、500ccm供給する。任意波形作成システム3により図3に示す様な波形の電圧波形シグナルを作成し、ファンクションジェネレーター4から、高周波電源5に送信し、その波形に対応した出力波形の高周波450MHzを、高周波整合器6を介してプラズマ発生用細管周囲に設置した電極7に印加する。出力1Wの高周波印加で、プラズマは、細管内で間歇的に発生すると共に、細管出口より噴出する。この際、プラズマはトリガ等での着火を要することなく、自然に発生する。
【0022】
上記の装置の設定等は、あくまでも一例であり、高周波の周波数、ファンクションジェネレーターの周波数、シグナル形状、電極形状等、上記のものと変えても、高周波を変調させ、ノズル内でプラズマを間歇的に発生させれば、下記と同様の効果が得られることは自明であり、すべて本発明に含まれることを断っておく。
【0023】
図7は、前記のようにして、細管出口から2mm下流に設置されたPETフィルム上に形成された堆積物の光学顕微鏡写真である。プラズマ照射領域を中心として、円状に材料が堆積されているのが分かり、また、プラズマからの熱流速による損傷を受けている様子はみられない。
図8は、XPSによる、堆積された薄膜の解析結果であり、スズ成分がノズルから噴出、堆積されたことが示されている。本プロセスは大気中、デポジション領域周囲を不活性ガス等でシールせずに薄膜堆積工程を実施したものであるため、堆積されたスズ成分は酸化されていた。すなわち、大気中で本工程を行うと、低融点金属の酸化物の合成、蒸着をワンステップで行うことが示された。
図9は、堆積された薄膜表面の走査型電子顕微鏡観察写真であり、間歇的に発生した低温プラズマで、蒸発乃至エッチングされたことにより生成した粒子がPETフィルム上に衝突、堆積され、緻密な薄膜が作製されたことが分かる。本発明により形成された薄膜は、PETフィルムを曲げるなどの外的な力を作用させても剥離しない、付着力の強い薄膜である。
【0024】
このように、大気中に設置したノズル内でのプラズマ発生を、間歇的な発生法にすることで、スズに代表されるような低融点金属ワイヤーを原料として利用することが可能となり、その金属および化合物をノズル下流に設置した基板上に緻密に堆積させることが可能となる。
間歇的に発生させたプラズマは、そのガス温度が低く、ノズル下流に設置した基板に熱損傷を与えないため、PET等の低融点材料上への材料直接堆積が可能となる。高融点基板上への上記材料堆積が可能であることは言うまでも無い。
【0025】
ここでは、スズ酸化物の堆積例およびPET上への堆積例を示したが、本発明はこれらに限定されない。マグネシウム等、あらゆる種類の低融点材料ワイヤーを原料として利用、薄膜作製が可能である。薄膜を堆積させる材料は、PETのみならず、紙等の低融点材料全て、また、アルミナ、シリコン等の高融点材料全てへの堆積が可能である。
また、上記例は、酸化物に関するものであったが、アルゴンガス中へ混入する水素量を適切量に設定すれば、水素ガスによる還元効果により、純金属の堆積も可能である。
さらに、プラズマ中に窒素等、様々な反応性ガスを導入することで、窒化物等の金属化合物の薄膜を上記同様に作製することが可能である。
【0026】
上記実施例では、薄膜堆積について記述したが、本手法は、工程を短時間にすることで、薄膜としてではなく、ナノ微粒子を一定領域に分散させることも可能である。このような分散技術は、例えば、基板局所領域への異種物質の接着性等を向上させる効果がある場合があり、産業面への応用の一例を挙げれば、材料ボンディングの際、ボンディング性向上等の効果が考えられる。
また、蒸着工程中に、ノズル或は基板を一定範囲で走査させることで、基板上広面積に亘って材料を堆積させることが可能である。
【0027】
(貴金属ワイヤーを用いた紙表面への材料堆積の例)
この例では、貴金属ワイヤーとして金ワイヤーを用いた以外は、前記の実施例と同様にして、図6に示す装置を用いて、大気中で紙表面に貴金属を堆積させた。
前記実施例と同じく、ノズル下流に設置した紙表面にプラズマが直接接触しても、紙は損傷を受けることはなかった。
【0028】
図10は、細管出口から2mm下流に設置された紙面上に形成された堆積物の光学顕微鏡写真である。プラズマ照射領域を中心として、円状に金が堆積されているのが分かる。ノズル出口から僅か2mmの至近距離でプラズマを発生させ、かつ、噴出したプラズマジェットを紙に直接接触させたにもかかわらず、紙が焼けた痕は全くみられない。これは、間歇的に発生させたプラズマの温度が低温、例えば室温レベルであることを示す実証例である。
図11は、図10のものと全く同条件で得られた薄膜のXPSによる解析結果である。この結果は、堆積された材料が、酸素やプラズマ発生用細管材質等の不純物を全く含まない、純金であることを明確に示している。
【0029】
このように、融点1064℃、沸点2856℃の金(実施例では金ワイヤー)が、細管内でプラズマからの作用を受け、微粒子が生成、下流に輸送、堆積される。既述のように、間歇的に発生させた当該開発プラズマは、そのガス温度が室温レベルであるため、ワイヤーからの微粒子生成の過程は、溶融乃至蒸発等が支配するものではない。
本発明の工程では、プラズマが発生した瞬間、爆発的に増加する細管内圧力によりもたらされた衝撃が微粒子生成に寄与するものであり、間歇的に繰り返される衝撃により高速に加速されたプラズマ中の荷電粒子が、金ワイヤーに衝突し、その結果ワイヤー表面がエッチング乃至スパッタリングされ、微粒子が生成するものと考えられる。
【0030】
このように、本発明では、貴金属固体のエッチングを、大気中に設置された細管内で容易に実行することを可能なものとしている。大気中で上記工程を実施したにもかかわらず、全く酸化していない純貴金属が堆積可能な理由として、貴金属の持つ耐酸化性が考えられる。加えて、当該開発技術の堆積工程がエッチング等の物理的要因に支配されるものであり、熱による蒸発で生成した活性種の気相反応を伴わない工程であることも一つの要因と思われる。
【0031】
図12は、上記実施例で堆積された金微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。直径20nm程の金微粒子が堆積されている。ここに示した写真は、微粒子が、それぞれ隣の微粒子と数nm〜数十nmの距離を隔てて堆積された例である。
【0032】
このような微粒子の堆積様式は工程時間を変化させることで制御できる。言うまでも無く、工程時間を長くすれば、酸化スズ堆積実施例中の図9に示したような、連続膜の作製も可能であり、また、工程時間をより短くすることで、図12の例よりもさらに疎な状態、つまり、より分散された様式で粒子を堆積させることも可能である。このような、粒子を分散させたように堆積させることは、例えば、基板への異種物質の接着性等を向上させる効果がある場合があり、工業的応用面での一例を挙げれば、材料ボンディングの際、ボンディング性向上等の効果が考えられる。
【0033】
次に、内径数μmの極微細ノズル内でプラズマを発生させる方法について記述する。
本発明に用いられる微細管ノズルは、内径数mm以下のガラス等の絶縁性直管、望ましくは石英管を加熱引張加工して作製する。このような微細ノズル内でプラズマを安定発生させるためには、次のような数種類の電極配置法が可能である。
図13は、リング状電極とワイヤーを組み合わせる方法を示すものあり、図において、2は金属ワイヤ、8はガス供給管、10は極微細ノズル、11はリング状高周波印加電極、をそれぞれ示している。
【0034】
図13(a)、(b)に示すように、2つのリング状電極11の一方を高周波電源に、他方を設置させる。望ましくは、噴出口側(上流)のリング状電極を高周波発生器に、他方(下流)のリング状電極を接地することが望ましいが、逆でも発生は可能である。ノズル10の内部には、金属ワイヤー2を挿入しておいた方が望ましいが、なくてもプラズマは発生、維持できる場合もある。この電極設置法の場合は、内部に挿入した金属ワイヤーを上流の金属製ガス送管を介して接地させなくても良い。
ワイヤーの挿入深さに関しては、(a)のように、下流電極よりさらに下流位置まで挿入してもよく、また、(b)のように、両電極の間までの挿入であっても良い。
また、同図(c)に示すように、1個のリング状電極11と、挿入金属ワイヤー2とを組み合わせた方法も有効である。この場合は、リング状電極11を高周波発生器に、挿入ワイヤー2は、金属製ガス送管8を介して接地しておくのが望ましい。
さらに、リング状電極11を、図6に示したようなコイル、或いは、管や鰐口クリップのような挟み込み式電極等に置き換えても同様の効果を発揮する。
【0035】
上記の装置セットを利用して、図2〜5のような変調シグナルを高周波に送信し、変調プラズマを発生させる。既述の通り、変調プラズマは総熱量が低いため、管壁厚の薄いノズル先端部内でも、管壁に損傷を与えることは無い。また、変調によってもたらされる遥動に対応したノズル内部での急激な圧力上昇により、内径数μmのノズル先端部からプラズマを噴出させるという効果ももたらされる。
【0036】
この極微細ノズルを用いたプラズマは、材料プロセス全般において適用することが可能である。すなわち、材料堆積への応用が可能であり、その被処理領域サイズを数ミクロンさらにはナノオーダーにまで縮小化することを可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の方法及び装置は、材料堆積が可能であるばかりでなく、高分子薄膜の作製も可能である。また、本発明では、基板への異種物質の接着性を向上させる効果を奏する場合があり、工業的応用の1例として、材料ボンディングの際に、ボンディング性の向上を目的とした本発明の利用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】高周波マイクロプラズマの連続発生モードの概念図。
【図2】高周波パルス変調マイクロプラズマ発生モードの概念図。
【図3】高周波マイクロプラズマを変調発生させることが可能な印加電圧の出力波形の例を示す図。
【図4】高周波マイクロプラズマを変調発生させることが可能な、不定周期的な印加電圧波形の例を示す図。
【図5】高周波マイクロプラズマを変調発生させることが可能な、鋸型形の印加電圧波形の例を示す図。
【図6】変調マイクロプラズマ発生器の概要図。
【図7】PETフィルム上に堆積された酸化スズの光学顕微鏡写真。
【図8】PETフイルム上に堆積された酸化スズのXPS解析結果を示す図
【図9】PETフイルム上に堆積された酸化スズの走査型電子顕微鏡写真。
【図10】紙上に堆積された金の光学顕微鏡写真。
【図11】変調マイクロプラズマで堆積された金のXPS解析結果を示す図。
【図12】変調マイクロプラズマで堆積された金微粒子の走査型電子顕微鏡写真
【図13】微細ノズル内でのマイクロプラズマ発生法の概要を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1:プラズマ発生用細管
2:金属ワイヤー
3:任意波形作成システム
4:ファンクションジェネレーター
5:高周波発生器
6:高周波整合器
7:高周波印加電極
8:ガス供給管
9:被処理材料
10:極微細ノズル
11:リング状高周波印加電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波マイクロプラズマを利用して、有機無機を問わない様々な種類の材料上に、材料堆積を施すマイクロプラズマ加工方法及びその装置に関するものであって、特にプラズマ発生用細管又はプラズマ発生用ノズルを用いたマイクロプラズマ加工方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大気圧下で発生させたプラズマ、いわゆる大気圧プラズマを利用して、基板等の材料表面上に異種の材料を堆積させる技術が開発されている。
中でも、直径がマイクロメートルオーダーであるマイクロプラズマを用いた大気中での材料プロセシング技術は、装置が小型であり操作性も良いことから、近年では多くの関連技術の開発がなされている。
本発明者らも、マイクロプラズマを利用した大気中での局所材料堆積技術に関して、既に幾つかの提案をしている。
【0003】
特許文献1記載の技術は、ノズル型高周波マイクロプラズマ発生器を利用した材料局所堆積装置の開発に関する技術であり(以下、ここでは、先端が絞られた形状の管を「ノズル」と称し、これに対して、直管を「細管」と称することとする。)、内径数mm以下の絶縁性ノズル内にアルゴン等の不活性ガスを供給しながら、ノズル周囲に設置された電極へ高周波を連続的に供給するのみで、大気中で安定にプラズマを発生させることが可能である。プラズマ中に導入可能な原料形態はガス種のみであるが、化学的気相堆積法(Chemical Vapor Deposition 以後「CVD法」と称す。)により、非加熱材料上の局所領域にのみ、良結晶性の炭素系材料を成長、堆積させることが可能な装置である。
しかしながら上記のような、原料としてガス種しか供給できない技術では、次のような技術的制約が考えられる。
ガス等の真空排気系装置を全く利用しない大気中での工程を考えた場合、人体、環境に対して有害なガス原料の使用は好ましくない。通常の金属乃至金属化合物薄膜作製工程では、有機金属ガス等の毒性を有するガスを使用するため、特許文献1に記載された技術で堆積可能な材料種は、必然的に限られてしまう。
【0004】
この問題点を改善するための手段として、本発明者らは、特許文献2、3で新技術を提案している。これらの技術は、金属ワイヤーを主原料として使用する技術である。この技術も細管又はノズル型高周波マイクロプラズマ発生器を利用したものであるが、細管又はノズル内に予め原料である金属ワイヤーを挿入しておき、不活性ガス乃至大気中で扱える反応性ガスを流し、細管又はノズルの周囲に設置した電極に、図1に示したような電圧を連続的に印加、連続的に高周波プラズマを発生させ、プラズマからの熱伝導乃至高周波加熱等で金属ワイヤーを蒸発または溶融させ、生成した気相や液滴を、ノズルや細管下流域で凝縮、凝固させ、下流に設置した基板等に材料を堆積させる技術である。なお、図1において、(a)は印加電圧波形を示し、(b)は高周波出力波形を示す。
【0005】
特許文献2に記載された技術は、内径50μm以下のノズル内での大気圧プラズマ発生技術に関する技術および、その発生技術を利用して、融点が500℃以下の低融点基板上へ、直径1〜100μmのドット状および幅5〜50μmのライン状で、金属乃至金属化合物材料を堆積させる技術に関するものである。
特許文献3に記載された技術は、細管を利用して、あらゆる種類の基板上の数百μm2、さらには数cm2以上の大面積に金属乃至金属化合物を薄膜として堆積させるための技術である。
しかしながら、上記特許文献2及び3に記載の技術では、下記のような技術的限界がある。
【0006】
先ず、プラズマの発生に利用可能なノズルサイズの限界がある。特許文献2に記載のプラズマ発生技術では、内径20μm程のノズル内での発生が限界であり、より小サイズのノズル内でのプラズマ発生は不可能である。この技術では、内径100μm以下のノズルは、内径300〜800μm程の石英直管を加熱引張加工して作製する。この作製工程で、ノズル先端部の内径が数μm程の極細ノズルの作製は可能であるが、内径が約20μm以下の極細ノズルでは、その管壁が非常に薄化しており耐熱性が劣化しているため、その先端部はプラズマ発生時に容易に破損してしまう。つまり、特許文献2に記載の大気圧プラズマ発生法では、一定厚以上の管壁厚を有するノズルが必要であり、それは内径20μm以上のノズルにおいては可能であるものの、内径数μmの極細ノズル内でのプラズマ発生は不可能である。
【0007】
さらに、特許文献2及び3に記載の技術では、原料として使用できるワイヤー種が限られている。これらの文献中の実施例中に記載されているような、タングステンやモリブデン等の蒸気圧の低いワイヤーからの堆積は可能であるが、高蒸気圧、すなわち低融点材料、例えばマグネシウム、スズ、インジウム等のワイヤーからの材料堆積は難しい。これら低融点材料ワイヤーを細管又はノズル内に挿入、プラズマ発生を試みると、プラズマを発生させた瞬間に挿入ワイヤーは溶融し、数片に切断され、その切断片は表面張力により球状化してしまう。すなわち、効率良く基板に堆積させることは、不可能では無いものの、そのための適切な条件の選択幅は狭く、非常に熟練した技術を要する。
【0008】
同様のことは、貴金属材料の場合においても見られる。特許文献2および3に記載の手法で、細管又はノズル内のガス流量や印加高周波の投入エネルギーを適切な値に設定すれば、細管又はノズルの出口下流に設置した基板上への堆積は可能ではあるが、その適正範囲の幅は極めて狭いため、工程実施の上では、堆積技術に関する豊富な経験を要する。
【特許文献1】特開2003−328138号公報
【特許文献2】特開2005−262111号公報
【特許文献3】特願2006−225695号
【特許文献4】特開2006−274290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、高周波マイクロプラズマ発生器として、内径が数mm程度の細管又はノズルを用いた際の上記問題点を改善した新規な材料堆積法及びそれを実施するための装置を提供することを目的とするものである。
すなわち、基板等の材料表面上、僅か数μm程の領域にのみ、材料堆積を行うための技術分野では、内径が数μm程度の極微細細管又は極微細ノズルの使用は必須であると考えられる。そのためには、ガス温度が低いプラズマの発生法を開発し、プラズマからの熱による極微細ノズル管壁破損を防ぐ技術の開発が必須である。
また、上記の極微細プラズマを利用した薄膜作製工程で、低融点材料ワイヤーならびに貴金属ワイヤーを原料として利用する場合に、原料ワイヤーの瞬時溶融、細管乃至ノズル内での細断化を防ぐためには、従来のプラズマとは異なった性質のプラズマ発生法の開発が必須である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、直径数mm以下のノズル内で発生させる、いわゆる細管又はノズル型高周波マイクロプラズマの発生において、プラズマを発生させるために印加する高周波電圧を一定周期的又は不定周期的に変調させ、断続的にプラズマを発生させることで上記課題を解決しうるという知見を得た。
【0011】
本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものであり、以下のとおりのものである。
(1)高周波電圧を印加することによりプラズマ発生用細管内又はプラズマ発生用ノズル内に高周波プラズマを発生させ、該発生したプラズマを被加工基板に向けて照射し、該基板に加工を施すマイクロプラズマ加工法であって、前記高周波電圧を変調させることで、断続的にプラズマを発生させることを特徴とするマイクロプラズマ加工法。
(2)前記変調のために印加する電圧波形が、矩形、三角波形、又は正弦波形のいずれかであることを特徴とする上記(1)のマイクロプラズマ加工法。
(3)前記変調のために印加する電圧波形が、一定周期又は不定周期を有することを特徴とする上記(2)のマイクロプラズマ加工法。
(4)前記マイクロプラズマ加工が、薄膜堆積であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかのマクロプラズマ加工方法。
(5)プラズマ発生用細管又はプラズマ発生用ノズル、該細管又はノズル内にプラズマを発生させるための高周波印加電極、該電極に高周波電圧を供給するプラズマ発生用高周波電源、被加工基板の支持台、及び発生したプラズマを被加工基板に向けて照射する手段を少なくとも有するマイクロプラズマ加工装置であって、前記高周波電圧を変調させて断続的にプラズマを発生させる手段を有していることを特徴とするマイクロプラズマ加工装置。
(6)前記細管内又はノズル内に原料ガスを導入する手段を有していることを特徴とする上記(5)のマイクロプラズマ加工装置。
(7)前記細管内又はノズル内に原料を配置したことを特徴とする上記(5)のマイクロプラズマ加工装置。
(8)前記原料が、低融点金属ワイヤーであることを特徴とする上記(7)のマイクロプラズマ加工装置。
(9)前記細管内又はノズル内に不活性ガスを導入する手段を有していることを特徴とする上記(5)のマイクロプラズマ加工装置。
(10)前記マイクロプラズマ加工が、薄膜堆積であることを特徴とする上記(5)〜(9)のいずれかのマクロプラズマ加工装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法及び装置によれば、断続的にプラズマが発生することにより、低融点の材料に対しても薄膜堆積施すことが可能となる。また、プラズマ発生用細管として、内径20μm以下の極細細管又は極細ノズルを用いた場合にも、その先端部が破損することなく、薄膜堆積を施すことが可能となり、さらに、原料として低融点金属からなる金属ワイヤーをプラズマ発生用細管又はノズル内に挿入した場合にも、その金属ワイヤーの溶融・破断が生ずることなくこれらの加工を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、直径数mm以下のノズル内又は細管内で高周波マイクロプラズマを発生させるマイクロプラズマ加工法及びその装置において、プラズマを発生させるために印加する高周波電圧を一定周期的又は不定周期的に変調させ、断続的にプラズマを発生させることを特徴としている。
図2は、本発明の高周波変調制御の基本概念を示すものであり、上段の(a)は、プラズマ発生のための高周波に電力のオン・オフを重畳して変調させる、いわゆるパルスプラズマ発生のためのシグナルであり、プラズマの発生と消失乃至プラズマの高出力発生と低出力発生の繰り返しが、下段(b)に示されたように可能となる。
【0014】
本発明において、変調のために印加する電圧波形は、図2のような矩形波に限られるものではなく、図3に示すような、三角波形、正弦波形の電圧印加でも良い。また、図2、図3のような一定周期のものに限られるものではなく、図4のように、不定周期のものでも問題ない。重要なのは、印加電圧を一定周期的又は不定周期的にOFFにするか、或は低出力とする時間を設けることであり、電圧波形はいかなる形状のものであっても良い。例えば、図5のように、時間と共に増加する高周波出力を周期的にOFFさせることで、間歇的にプラズマを発生させることが可能となる。この場合も、言うまでも無く不定周期的にOFFの時間を設けても同様の効果が得られる。
【0015】
このようなプラズマの消失或いは低出力発生状態を一定周期的又は不定周期的に組み込むことで、プラズマの総エネルギーを低減させることが可能となる。これは、プラズマおよびその周囲に存在する物質への熱損傷の軽減に繋がる。ヘリウムガスで発生させたプラズマよりエンタルピーが高い、アルゴンガスやアルゴン/水素混合ガス等で発生させたプラズマであっても、直接手で触ることが可能な程、プラズマの温度(ガス温度)を低温に保つことが可能である。
したがって、耐熱性に劣る管壁が薄いノズル内、例えば、ガラスや石英の細管等を加熱引張加工することで作製された内径数μm以下のノズル内でのプラズマ発生が可能となる。
【0016】
本発明の方法及び装置によれば、従来のマイクロプラズマで試みられてきた蒸着による点や線描画といったいわゆるパターニングも可能となる。
また、本発明の方法及び装置において、細管又はノズルの出口下流に設置する被加工基板として用いられる材料は、金属、金属酸化物、ガラス、セラミックス等の耐熱性を有する材料に限られず、例えば紙のような耐熱性が無い材料であっても、熱損傷を与えることなく、蒸着加工を施すことが可能である。
【0017】
本発明の方法及び装置を、細管又はノズル内に挿入した金属ワイヤーを原料として利用する材料堆積技術に適用する場合、該金属ワイヤーとして、低融点材料や貴金属のワイヤーを原料として利用することが可能となる。
すなわち、プラズマの総エネルギー、ここでは熱容量の低下により、変調プラズマ発生後も、低融点材料および貴金属ワイヤーは瞬時に溶融することなく、徐々にエッチング等で消耗され、ノズル乃至細管出口下流に設置された基板上へ効率良く堆積される。
【0018】
また、本発明の高周波変調によって誘起される、高出力状態から低出力状態、或は低出力状態から高出力状態への高速な状態遷移は、連続発生とは異なる活性化学種の生成をもたらす。したがって、連続発生の場合とは異なる反応場が実現でき、材料堆積において新たな効果をもたらすことが期待できる。
さらに、本発明の高周波変調によってもたらされるプラズマの遥動は、低出力での高周波印加によるプラズマの発生、維持をも可能にする。これは、印加高周波の変調によってもたらされる電場変動が、ガス中の荷電粒子の運動を促進し、プラズマ発生、維持のために求められる荷電粒子間の衝突が、低出力においても十分に促進されるためである。
実際には、1W以下でのプラズマ発生も可能であり、この低出力発生もまた、プラズマの温度低下、すなわち、低融点材料への材料堆積への応用を可能なものにする因子の一つである。
【0019】
本発明においては、以上のようなプラズマガス温度の低温下を目的とするものばかりでなく、高周波出力を増加させることで、無機材料等の合成に最適な程のガス温度のプラズマが得られることは言うまでも無い。この場合、プラズマの変調により生じる非平衡性によってもたらされる効果は、連続発生プラズマとは異なる特異な結果をもたらすものと期待できる。
【0020】
以下、更に本発明について、具体例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(低融点金属ワイヤを用いた低融点フィルム上への材料堆積の例)
低融点金属ワイヤーを原料として用い、低融点フィルム上へ低融点金属乃至金属化合物を堆積させた実施例を示す。
図6は、本実施例に用いた装置の概要を示す図であり、図中、1はプラズマ発生用細管、2は低融点金属ワイヤー、3は任意波形作成システム、4はファンクションジェネレータ、5は高周波発生器、6は高周波整合器、7は高周波印加電極、8はガス供給管、9は被処理材料、をそれぞれ示している。なお、図6に示す装置においては、高周波印加電極7として、コイル形状のものを用いているが、本発明において、高周波印加電極の形状は、コイル形状の限定されるものではなく、例えば、金属管や金属板であってもよい。
本例では、低融点金属として融点約230℃のスズを用い、融点約250℃のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上へ堆積させた。
【0021】
プラズマ発生用細管1、望ましくは内径1mm以下のプラズマ発生用細管1に直径100μmのスズワイヤー2を挿入し、該細管1内にアルゴンガス、望ましくは数%の水素を混合したアルゴンガスを、ガス供給管8から、500ccm供給する。任意波形作成システム3により図3に示す様な波形の電圧波形シグナルを作成し、ファンクションジェネレーター4から、高周波電源5に送信し、その波形に対応した出力波形の高周波450MHzを、高周波整合器6を介してプラズマ発生用細管周囲に設置した電極7に印加する。出力1Wの高周波印加で、プラズマは、細管内で間歇的に発生すると共に、細管出口より噴出する。この際、プラズマはトリガ等での着火を要することなく、自然に発生する。
【0022】
上記の装置の設定等は、あくまでも一例であり、高周波の周波数、ファンクションジェネレーターの周波数、シグナル形状、電極形状等、上記のものと変えても、高周波を変調させ、ノズル内でプラズマを間歇的に発生させれば、下記と同様の効果が得られることは自明であり、すべて本発明に含まれることを断っておく。
【0023】
図7は、前記のようにして、細管出口から2mm下流に設置されたPETフィルム上に形成された堆積物の光学顕微鏡写真である。プラズマ照射領域を中心として、円状に材料が堆積されているのが分かり、また、プラズマからの熱流速による損傷を受けている様子はみられない。
図8は、XPSによる、堆積された薄膜の解析結果であり、スズ成分がノズルから噴出、堆積されたことが示されている。本プロセスは大気中、デポジション領域周囲を不活性ガス等でシールせずに薄膜堆積工程を実施したものであるため、堆積されたスズ成分は酸化されていた。すなわち、大気中で本工程を行うと、低融点金属の酸化物の合成、蒸着をワンステップで行うことが示された。
図9は、堆積された薄膜表面の走査型電子顕微鏡観察写真であり、間歇的に発生した低温プラズマで、蒸発乃至エッチングされたことにより生成した粒子がPETフィルム上に衝突、堆積され、緻密な薄膜が作製されたことが分かる。本発明により形成された薄膜は、PETフィルムを曲げるなどの外的な力を作用させても剥離しない、付着力の強い薄膜である。
【0024】
このように、大気中に設置したノズル内でのプラズマ発生を、間歇的な発生法にすることで、スズに代表されるような低融点金属ワイヤーを原料として利用することが可能となり、その金属および化合物をノズル下流に設置した基板上に緻密に堆積させることが可能となる。
間歇的に発生させたプラズマは、そのガス温度が低く、ノズル下流に設置した基板に熱損傷を与えないため、PET等の低融点材料上への材料直接堆積が可能となる。高融点基板上への上記材料堆積が可能であることは言うまでも無い。
【0025】
ここでは、スズ酸化物の堆積例およびPET上への堆積例を示したが、本発明はこれらに限定されない。マグネシウム等、あらゆる種類の低融点材料ワイヤーを原料として利用、薄膜作製が可能である。薄膜を堆積させる材料は、PETのみならず、紙等の低融点材料全て、また、アルミナ、シリコン等の高融点材料全てへの堆積が可能である。
また、上記例は、酸化物に関するものであったが、アルゴンガス中へ混入する水素量を適切量に設定すれば、水素ガスによる還元効果により、純金属の堆積も可能である。
さらに、プラズマ中に窒素等、様々な反応性ガスを導入することで、窒化物等の金属化合物の薄膜を上記同様に作製することが可能である。
【0026】
上記実施例では、薄膜堆積について記述したが、本手法は、工程を短時間にすることで、薄膜としてではなく、ナノ微粒子を一定領域に分散させることも可能である。このような分散技術は、例えば、基板局所領域への異種物質の接着性等を向上させる効果がある場合があり、産業面への応用の一例を挙げれば、材料ボンディングの際、ボンディング性向上等の効果が考えられる。
また、蒸着工程中に、ノズル或は基板を一定範囲で走査させることで、基板上広面積に亘って材料を堆積させることが可能である。
【0027】
(貴金属ワイヤーを用いた紙表面への材料堆積の例)
この例では、貴金属ワイヤーとして金ワイヤーを用いた以外は、前記の実施例と同様にして、図6に示す装置を用いて、大気中で紙表面に貴金属を堆積させた。
前記実施例と同じく、ノズル下流に設置した紙表面にプラズマが直接接触しても、紙は損傷を受けることはなかった。
【0028】
図10は、細管出口から2mm下流に設置された紙面上に形成された堆積物の光学顕微鏡写真である。プラズマ照射領域を中心として、円状に金が堆積されているのが分かる。ノズル出口から僅か2mmの至近距離でプラズマを発生させ、かつ、噴出したプラズマジェットを紙に直接接触させたにもかかわらず、紙が焼けた痕は全くみられない。これは、間歇的に発生させたプラズマの温度が低温、例えば室温レベルであることを示す実証例である。
図11は、図10のものと全く同条件で得られた薄膜のXPSによる解析結果である。この結果は、堆積された材料が、酸素やプラズマ発生用細管材質等の不純物を全く含まない、純金であることを明確に示している。
【0029】
このように、融点1064℃、沸点2856℃の金(実施例では金ワイヤー)が、細管内でプラズマからの作用を受け、微粒子が生成、下流に輸送、堆積される。既述のように、間歇的に発生させた当該開発プラズマは、そのガス温度が室温レベルであるため、ワイヤーからの微粒子生成の過程は、溶融乃至蒸発等が支配するものではない。
本発明の工程では、プラズマが発生した瞬間、爆発的に増加する細管内圧力によりもたらされた衝撃が微粒子生成に寄与するものであり、間歇的に繰り返される衝撃により高速に加速されたプラズマ中の荷電粒子が、金ワイヤーに衝突し、その結果ワイヤー表面がエッチング乃至スパッタリングされ、微粒子が生成するものと考えられる。
【0030】
このように、本発明では、貴金属固体のエッチングを、大気中に設置された細管内で容易に実行することを可能なものとしている。大気中で上記工程を実施したにもかかわらず、全く酸化していない純貴金属が堆積可能な理由として、貴金属の持つ耐酸化性が考えられる。加えて、当該開発技術の堆積工程がエッチング等の物理的要因に支配されるものであり、熱による蒸発で生成した活性種の気相反応を伴わない工程であることも一つの要因と思われる。
【0031】
図12は、上記実施例で堆積された金微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。直径20nm程の金微粒子が堆積されている。ここに示した写真は、微粒子が、それぞれ隣の微粒子と数nm〜数十nmの距離を隔てて堆積された例である。
【0032】
このような微粒子の堆積様式は工程時間を変化させることで制御できる。言うまでも無く、工程時間を長くすれば、酸化スズ堆積実施例中の図9に示したような、連続膜の作製も可能であり、また、工程時間をより短くすることで、図12の例よりもさらに疎な状態、つまり、より分散された様式で粒子を堆積させることも可能である。このような、粒子を分散させたように堆積させることは、例えば、基板への異種物質の接着性等を向上させる効果がある場合があり、工業的応用面での一例を挙げれば、材料ボンディングの際、ボンディング性向上等の効果が考えられる。
【0033】
次に、内径数μmの極微細ノズル内でプラズマを発生させる方法について記述する。
本発明に用いられる微細管ノズルは、内径数mm以下のガラス等の絶縁性直管、望ましくは石英管を加熱引張加工して作製する。このような微細ノズル内でプラズマを安定発生させるためには、次のような数種類の電極配置法が可能である。
図13は、リング状電極とワイヤーを組み合わせる方法を示すものあり、図において、2は金属ワイヤ、8はガス供給管、10は極微細ノズル、11はリング状高周波印加電極、をそれぞれ示している。
【0034】
図13(a)、(b)に示すように、2つのリング状電極11の一方を高周波電源に、他方を設置させる。望ましくは、噴出口側(上流)のリング状電極を高周波発生器に、他方(下流)のリング状電極を接地することが望ましいが、逆でも発生は可能である。ノズル10の内部には、金属ワイヤー2を挿入しておいた方が望ましいが、なくてもプラズマは発生、維持できる場合もある。この電極設置法の場合は、内部に挿入した金属ワイヤーを上流の金属製ガス送管を介して接地させなくても良い。
ワイヤーの挿入深さに関しては、(a)のように、下流電極よりさらに下流位置まで挿入してもよく、また、(b)のように、両電極の間までの挿入であっても良い。
また、同図(c)に示すように、1個のリング状電極11と、挿入金属ワイヤー2とを組み合わせた方法も有効である。この場合は、リング状電極11を高周波発生器に、挿入ワイヤー2は、金属製ガス送管8を介して接地しておくのが望ましい。
さらに、リング状電極11を、図6に示したようなコイル、或いは、管や鰐口クリップのような挟み込み式電極等に置き換えても同様の効果を発揮する。
【0035】
上記の装置セットを利用して、図2〜5のような変調シグナルを高周波に送信し、変調プラズマを発生させる。既述の通り、変調プラズマは総熱量が低いため、管壁厚の薄いノズル先端部内でも、管壁に損傷を与えることは無い。また、変調によってもたらされる遥動に対応したノズル内部での急激な圧力上昇により、内径数μmのノズル先端部からプラズマを噴出させるという効果ももたらされる。
【0036】
この極微細ノズルを用いたプラズマは、材料プロセス全般において適用することが可能である。すなわち、材料堆積への応用が可能であり、その被処理領域サイズを数ミクロンさらにはナノオーダーにまで縮小化することを可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の方法及び装置は、材料堆積が可能であるばかりでなく、高分子薄膜の作製も可能である。また、本発明では、基板への異種物質の接着性を向上させる効果を奏する場合があり、工業的応用の1例として、材料ボンディングの際に、ボンディング性の向上を目的とした本発明の利用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】高周波マイクロプラズマの連続発生モードの概念図。
【図2】高周波パルス変調マイクロプラズマ発生モードの概念図。
【図3】高周波マイクロプラズマを変調発生させることが可能な印加電圧の出力波形の例を示す図。
【図4】高周波マイクロプラズマを変調発生させることが可能な、不定周期的な印加電圧波形の例を示す図。
【図5】高周波マイクロプラズマを変調発生させることが可能な、鋸型形の印加電圧波形の例を示す図。
【図6】変調マイクロプラズマ発生器の概要図。
【図7】PETフィルム上に堆積された酸化スズの光学顕微鏡写真。
【図8】PETフイルム上に堆積された酸化スズのXPS解析結果を示す図
【図9】PETフイルム上に堆積された酸化スズの走査型電子顕微鏡写真。
【図10】紙上に堆積された金の光学顕微鏡写真。
【図11】変調マイクロプラズマで堆積された金のXPS解析結果を示す図。
【図12】変調マイクロプラズマで堆積された金微粒子の走査型電子顕微鏡写真
【図13】微細ノズル内でのマイクロプラズマ発生法の概要を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1:プラズマ発生用細管
2:金属ワイヤー
3:任意波形作成システム
4:ファンクションジェネレーター
5:高周波発生器
6:高周波整合器
7:高周波印加電極
8:ガス供給管
9:被処理材料
10:極微細ノズル
11:リング状高周波印加電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電圧を印加することによりプラズマ発生用細管内又はプラズマ発生用ノズル内に高周波プラズマを発生させ、該発生したプラズマを被加工基板に向けて照射し、該基板に加工を施すマイクロプラズマ加工法であって、前記高周波電圧を変調させることで、断続的にプラズマを発生させることを特徴とするマイクロプラズマ加工法。
【請求項2】
前記変調のために印加する電圧波形が、矩形、三角波形、又は正弦波形のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロプラズマ加工法。
【請求項3】
前記変調のために印加する電圧波形が、一定周期又は不定周期を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロプラズマ加工法。
【請求項4】
前記マイクロプラズマ加工が、薄膜堆積であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマクロプラズマ加工方法。
【請求項5】
プラズマ発生用細管又はプラズマ発生用ノズル、該細管又はノズル内にプラズマを発生させるための高周波印加電極、該電極に高周波電圧を供給するプラズマ発生用高周波電源、被加工基板の支持台、及び発生したプラズマを被加工基板に向けて照射する手段を少なくとも有するマイクロプラズマ加工装置であって、前記高周波電圧を変調させて断続的にプラズマを発生させる手段を有していることを特徴とするマイクロプラズマ加工装置。
【請求項6】
前記細管内又はノズル内に原料ガスを導入する手段を有していることを特徴とする請求項5に記載のマイクロプラズマ加工装置。
【請求項7】
前記細管内又はノズル内に原料を配置したことを特徴とする請求項5に記載のマイクロプラズマ加工装置。
【請求項8】
前記原料が、低融点金属ワイヤーであることを特徴とする請求項7に記載のマイクロプラズマ加工装置。
【請求項9】
前記細管内又はノズル内に不活性ガスを導入する手段を有していることを特徴とする請求項5に記載のマイクロプラズマ加工装置。
【請求項10】
前記マイクロプラズマ加工が、薄膜堆積であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載のマクロプラズマ加工装置。
【請求項1】
高周波電圧を印加することによりプラズマ発生用細管内又はプラズマ発生用ノズル内に高周波プラズマを発生させ、該発生したプラズマを被加工基板に向けて照射し、該基板に加工を施すマイクロプラズマ加工法であって、前記高周波電圧を変調させることで、断続的にプラズマを発生させることを特徴とするマイクロプラズマ加工法。
【請求項2】
前記変調のために印加する電圧波形が、矩形、三角波形、又は正弦波形のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロプラズマ加工法。
【請求項3】
前記変調のために印加する電圧波形が、一定周期又は不定周期を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロプラズマ加工法。
【請求項4】
前記マイクロプラズマ加工が、薄膜堆積であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマクロプラズマ加工方法。
【請求項5】
プラズマ発生用細管又はプラズマ発生用ノズル、該細管又はノズル内にプラズマを発生させるための高周波印加電極、該電極に高周波電圧を供給するプラズマ発生用高周波電源、被加工基板の支持台、及び発生したプラズマを被加工基板に向けて照射する手段を少なくとも有するマイクロプラズマ加工装置であって、前記高周波電圧を変調させて断続的にプラズマを発生させる手段を有していることを特徴とするマイクロプラズマ加工装置。
【請求項6】
前記細管内又はノズル内に原料ガスを導入する手段を有していることを特徴とする請求項5に記載のマイクロプラズマ加工装置。
【請求項7】
前記細管内又はノズル内に原料を配置したことを特徴とする請求項5に記載のマイクロプラズマ加工装置。
【請求項8】
前記原料が、低融点金属ワイヤーであることを特徴とする請求項7に記載のマイクロプラズマ加工装置。
【請求項9】
前記細管内又はノズル内に不活性ガスを導入する手段を有していることを特徴とする請求項5に記載のマイクロプラズマ加工装置。
【請求項10】
前記マイクロプラズマ加工が、薄膜堆積であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載のマクロプラズマ加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図11】
【図13】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図8】
【図11】
【図13】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【公開番号】特開2008−150703(P2008−150703A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297187(P2007−297187)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
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