説明

変調器およびそれを用いる増幅器

【課題】非線形コンポーネントを有する線形増幅(LINC)変調器による高線形性および高効率の電力増幅器を提供する。
【解決手段】LINC変調器250を有する複合高電力増幅器(C−HPA)200は、ソース信号から複数の定包絡信号を生成する分離器102と、入力信号を受け、前記入力信号の位相軌跡中の位相ジャンプを検知および除去し、連続位相軌跡を有する第一の信号および不連続位相軌跡を有する第二の信号を生成するプロセッサ202a,202bと、前記第一の信号を第二の信号と混合し、前記入力信号を再構成する直交変調器108a,108bと、再構成された信号x1(t)、x2(t)を増幅するHPA1(112a)、HPA2(112b)、増幅された出力信号y1(t)、y2(t)を加え合わせる加算器114、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変調器およびそれを用いる高電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信において通信標準の第三世代(3G)および来たる第四世代に適する(4G)高線形性および高効率の電力増幅器を開発することに大きな興味が存在する。これらの新しい標準はより多くのそしてより良いデータサービスを提供するポテンシャルを有している。しかしながら、制限された周波数帯の中で高線形性および高効率電力増幅器を確立するために、高いピーク対平均電力比(たとえば、広帯域符号分割多重アクセス(WCDMA)〜10dB)を有する信号を用いることが要求され、送信増幅器の高い線形性を必要とする。よって、一般に、電力増幅器はピーク電力条件を鑑みて設計されるが、多くの場合、十分に低い電力レベル(電力ピークオフ)で動作する。結果として、これらの信号で動作する電力増幅器は、ピーク効率は高いが、平均増幅効率は比較的低く機能することがある。
【0003】
この理由のため、たとえば、ドハティ電力増幅器(DPA)、非線形コンポーネント(NLNC)を用いる線形増幅、ベロープ・トラッキング(ET)等の高効率電力増幅器に改めて興味が持たれている。増幅器のこれらのタイプは、現在のおよび上述の次期の通信標準に適する可能性のある候補として現在、研究されている。このような無線周波数(RF)増幅器は、一般的なRF増幅器よりも高効率と高線形性を要求する。特に、改善された効率、低い複雑さ、および低コストにより、2ウェイDPAが既に市場に出回っている。DPAは、全般的に、一般的な平衡増幅器より高い効率である。一般的な設計では、増幅歪み及び位相歪みのみ焦点が当てられるが、記憶効果および線形性は最近、非常に重要な因子となっている。そのようなDPAの一般的な構造は、3次および5次の混変調歪み(IMD)のような高い歪みを導く弱点を有している。たとえば、そのような歪みは信号同期点でのインピーダンスの突然の変化によって引き起こされる。DPAの構造によって歪みを減らすために、複素補償器が必要である。記憶効果は、電気的記憶効果および電熱的記憶効果を含む。電気的記憶効果は、ベースおよび高調波帯でのバイアスおよびマッチング回路インピーダンス変化によって引き起こされる。電熱的記憶効果は、デバイス温度によるFET電力増幅利得変化である。電熱的記憶効果は、不可避の因子である。
【0004】
したがって、効率および出力電力を増やすために、複合高電力増幅器(C−HPA)のような適切な補償器構造が導入されている。そのようなC―HPAは幾つかの独立の高電力増幅器(HPA)を含む。最も一般的な構成は、非線形コンポーネントを用いる線形増幅(LINC)として知られる、2つのHPAを有するC−HPAである。
【0005】
LINC技術は、最初、マイクロ波周波数で線形増幅を実現する方法として1974年に提案された。増幅器に対するLINCの基本スキームは、高効率および高非線形性であると仮定される2つのRF HPAを有する。RFソース信号x(t)は、2つの定数包絡位相変調信号x(t)、x(t)に、信号分離または生成過程の機能を有する信号成分分離器(SCS)により分離され、各々は、それぞれ自身が有する非線形RF電力増幅器に送られる。HPAは、出力信号y(t)、y(t)が最結合のための加算分岐器に送られる前に、出力信号y(t)、y(t)を生成するために、各信号の電力を別々に増幅する。加算分岐器からの結果の出力信号はよって、もし、HPAを構成する全てのコンポーネントが理想的なものであれば、いかなる歪みも含まない元々の入力信号が増幅されたものである。
【0006】
多くの事例において、デジタル−アナログ変換器(DAC)出力における帯域幅は無制限であると仮定されている。しかしながら、多くの場合、そのような仮定は適用可能ではない。通常、DACは、その出力においてローパスフィルタ(LPF)を有する。そのようなLPFは、寄生振幅変調(AM)をDAC出力信号に導入する。そのような寄生AMおよび非線形HPAを用いると、全送信信号再構成は可能ではない。よって、帯域外スペクトル成分がHPA出力信号スペクトルに生じている。
【0007】
元々の信号x(t)は狭いスペクトルを有するにも関わらず、信号成分分離(SCS)動作は、C−HPAアームで信号x(t)、x(t)に対して十分に大きなスペクトル拡大を引き起こす。たとえば、上で引用された特許文献1および非特許文献1−4で開示されている従来技術は、広帯域信号x(t)、x(t)をいかなる歪みもなく通過し、HPA(以下、HPAおよびHPAとして引用することがある)に入力し得る無制限の帯域(すなわち、超広帯域理想的DAC)を有する理想的アームが仮定される。アームで最も重要な素子は、DACであり得るが、それはその帯域幅が動作クロックによって制限されるからである。動作クロックは、典型的には、入手可能な低エンド/ミドルエンド市販集積回路(LSI)に対しては100〜150MHzである。一方、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WiMAX)、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、広帯域符号分割多重アクセス(W−CDMA)などのようなブロードバンド応用に対するDACは、信号x(t)、x(t)中の歪みを避ける目的で、非常に高度な広帯域を提供しなくてはならず(数百MHzのオーダーの高いクロック周波数で動作させなくてはならず)、同時に、例えば800MHzで14ビット分解能のような、高レベルのビット分解能(量子化)を提供しなくてはならない。そのような高速かつ高分解能ハイエンドDACのコストは高い。
【0008】
DAC入力(またはDAC出力)におけるLPFのような高周波回路のコンポーネントによって引き起こされる周波数制限は、信号x(t)、x(t)に対するHPAおよびHPA入力において寄生AMをもたらす。LPFは、信号x(t)、x(t)の高周波数部分をカットする。LPFによってカットされた高周波数成分は、LPF出力において信号に望ましくない寄生AM変調を引き起こす。そのような寄生AMは、信号y、yの結合後、帯域外スペクトル成分の増大をもたらす。一般に、LPFを通過した信号の結合後の完全信号再構成は難しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−171460号公報
【特許文献2】特開2004−160707号公報
【特許文献3】米国特許出願2010/0074367号公報
【特許文献4】米国特許7,260,368号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J.H. Qurehi et al, “90-W Peak Power GaN Outphasing Amplifier With Optimum Input Signal Conditioning”, IEEE Trans On Microwave Theory And Techniques, Vol. 57,No. 8, pp.1925-1935, 2009
【非特許文献2】Ilkka Hakala et al, “A 2.14-GHz Chireix Outphasing Transmitter”, IEEE Trans On Microwave Theory And Techniques, Vol. 53, No.6, pp. 2129-2138, 2005
【非特許文献3】W. C. Edmund et al, ”A Mixed Signal Approach Towards Linear And Efficient N-Way Doherty Amplifiers”, IEEE Trans On Microwave Theory And Techniques, Vol. 55, No. 5, pp. 866-879, 2007.
【非特許文献4】Paloma Garcia, Jesusde Mingo, Antonio Valdovinos and Alfonso Ortega, “Adaptive digital correction of gain and phase imbalances in LINC transmitters”, Vehicular Technology Conference, 2004. VTC 2004-Spring. 2004 IEEE 59th, Vol. 3, pp. 2137-2141
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら多くの市販で入手可能な(ローコスト−ミッドコストLSI)DACに対しては、そのような仮定が適用可能ではない。通常、DACは出力においてローパスフィルタを有している。そのようなLPFはDAC出力信号スペクトルに寄生振幅変調(AM)を導入する。そのような寄生AMおよび非線形HPAを有すると、完全な信号再構成は可能ではない。よって、帯域外スペクトル成分が、HPA出力信号スペクトルに現れている。
【0012】
本発明の目的の一つは、変調器であって、寄生振幅変調を自動的に除去し、LINC変調器の出力端子で変調器に入力される信号を再構成する変調器を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、増幅器であって、自動的に寄生振幅変調を除去し、LINC変調器の出力端子で変調器に入力される信号を再構成する増幅器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
非線形コンポーネントを有する線形増幅(LINC)変調器が提供される。LINC変調器は、ソース信号(x(t))から複数の定数包絡信号(x(t)、x(t))を生成する分離器と、入力信号(x(t)、x(t))を受け、前記入力信号(x(t)、x(t))の位相軌跡中の位相ジャンプを検知および除去し、連続位相軌跡を有する第一の信号および不連続位相軌跡を有する第二の信号を生成するプロセッサと、前記第一の信号を第二の信号と混合し、前記入力信号(x(t)、x(t))を再構成する直交変調器と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
LINC変調器は複合高増幅器アーム中の狭帯域回路、たとえば、自動的に寄生振幅変調を除去し、LINC変調器の出力端子で変調器に入力される信号を再構成するデジタル−アナログ変換器(DAC)を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】C−HPA中の周波数制限と個々のHPAからの出力信号が結合された出力信号y(t)を有するC−HPAの例を示す機能図である。
【図2】C−HPAの入力信号x(t)のスペクトルを示す図である。
【図3】信号補償分離器(SCS)後のC−HPAアーム中の信号(xおよびx)のスペクトルを示す図である。
【図4】LPF出力でのC−HPAアーム中の信号に対するスペクトルを示す図である。
【図5】通過帯20MHz、40MHz、および60MHzのアームのLPFに対するC−HPA出力信号スペクトル(信号yに対するスペクトル)を示す図である。
【図6】本発明の第一実施形態の狭帯域非線形定数包絡変調器を有する増幅器を示す機能図である。
【図7】局部発振位相マニピュレータを示す機能図である。
【図8】2トーン1MHzC−HAP入力信号のスペクトルを示す図である。
【図9】信号成分分離器(SCS)を通過した後の2トーン信号のスペクトルを示す図である。
【図10】2トーン信号の同相成分の波形を示す図である。
【図11】2トーン信号の直交位相成分の波形を示す図である。
【図12】SCSブロック出力における2トーン信号に対する位相軌跡を示す図である。
【図13】SCSブロック出力における2トーン信号に対するスペクトルを示す図である。
【図14】除去された位相マニピュレーション付き(点線)および除去された位相マニピュレーションなし(実線)の2トーン信号の同相成分の波形を示す図である。
【図15】除去された位相マニピュレーション付き(点線)および除去された位相マニピュレーションなし(実線)の直交位相成分の波形を示す図である。
【図16】±πの余剰位相マニピュレーションが信号xおよびxから除去された後のSCSブロック出力における2トーン信号に対する位相軌跡を示す図である。
【図17】±πの余剰位相マニピュレーションが信号xおよびxから除去される前のSCSブロック出力における2トーン信号を示す図である。
【図18】±πの余剰位相マニピュレーションが信号xおよびxから除去された後のSCSブロック出力における2トーン信号を示す図である。
【図19】本発明の第二の実施形態のLINC変調器を有する増幅器を示す機能図である。
【図20】本発明の第三の実施形態のLINC変調器のアームを示す機能図である。
【図21】図15の余剰位相変調を除去するためのプロセッサを示す機能図である。
【図22】ガウシアンフィルタを用いる位相平滑化前および後の信号スペクトルを示す図である。
【図23】図20に示されているLINC変調器を有する増幅器を示す機能図である。
【図24】従来のLINC変調器と通過帯域40MHzのLPFを有する変調器からの出力信号のスペクトルを示す図である。
【図25】従来のLINC変調器と通過帯域60MHzのLPFを有する変調器からの出力信号のスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の詳細な記載を提供する。図面では、類似の符号は異なる図面の類似のコンポーネントを記載し得る。異なる下付き文字を有する類似の符号は類似のコンポーネントの異なる瞬間を表すことがあり得る。図面は、一般に、例示であるが、限定ではない仕方で、本明細書中で議論される幾つかの実施形態を示す。
(比較例)
【0018】
最初に、複合高電力増幅器(C−HPA)の比較例を説明し、本発明の好適な実施形態の技術的特徴の理解を容易にしよう。
【0019】
図1は、複合高電力増幅器(C−HPA)100の例を示す機能図である。C−HPA100は、C−HPAアームの各々で周波数の限定を受け、個々の高電力増幅器(HPA)からの信号が結合される方法で得られる出力信号y(t)を生成し得る。
【0020】
図1に示されているC−HPA100は、高周波回路の幾つかのコンポーネントを含む。コンポーネントは、単一の成分分離器(SCS)102、2つのローパスフィルタ(LPF)(時として単にフィルタとして参照される)104aおよび104b、2つのデジタル−アナログ変換器(DAC)106aおよび106b、2つの第一の直交変調器(または時として簡単のため、2つの直交変調器として参照される)108aおよび108b、局部発振器110、第一の高電力増幅器(HPA)112a、第二の高電力増幅器(HPA)112b、および結合器114を含む。SCS102、LPF104a、104b、DAC106a、106b、第一直交変調器108a、108b、および結合器114は、非線形コンポーネントを用いる線形増幅(LINC)変調器150を構成する。
【0021】
SCS102は、2つの定数包絡信号、すなわち第一の定数包絡信号x(t)と第二定数包絡信号x(t)を、ソース信号x(t)、すなわちベースバンドソース信号x(t)を用いて生成する。別の言葉では、ソース信号x(t)は、SCS102によって、2つの定数包絡信号x(t)とx(t)に分離される。もしソース信号x(t)が
【数1】

のように書けるならば、2つの2つの定数包絡信号x(t)とx(t)は、
【数2】

のように計算される。ここで、
【数3】

であり、e(t)は、ソース信号x(t)に直交する信号
【数4】

である。
【0022】
よって、x(t)=x(t)+x(t)かつ|x(t)|=|x(t)|であり、ここで|x|はxの絶対値を表す。ソース信号x(t)は時間に依存する振幅であるが、x(t)およびx(t)は時間に依存しない定数振幅であることに注意しよう。
【0023】
図2は、式(1)中のソース信号x(t)のスペクトルを示している。ソース信号x(t)は狭いスペクトルを有することが分かろう。しかしながら、信号成分分離動作は、図3に示されているように、信号x(t)、x(t)に対して大きなスペクトル拡大を引き起こす。
【0024】
LPF104aおよび104bはそれぞれ、SCS102からの出力信号x(t)およびx(t)から、所定のサンプリング周波数より高い周波数成分およびノイズ成分を除去する。別の言葉では、LPF104aおよび104bは、所定のサンプリング周波数より低い周波数成分のみを通過させる。
【0025】
LPF出力(またはHPA112aとHPA112bの入力と同じこと)における信号のスペクトルが図4に示されており、LPF104aおよび104bはSCS102からの出力信号x(t)およびx(t)から10MHzより高い周波数成分を除去し得ることが示されている。LPFによってカットされた高い周波数線分は、LPF104aおよび104bの出力端子において信号に望ましくない寄生AMを引き起こす。
【0026】
DAC106aおよび106bはそれぞれ、LPF104aおよび104bからの出力信号をデジタルからアナログに変換する。
【0027】
局部発振器110は、位相ロックループ(PLL)によって制御され得る電圧制御振動器を用いる周波数結合器等のような振動回路である。局部発振器110は、局部発振信号を第一の直交変調器108aおよび108bに出力する。
【0028】
第一の直交変調器108aは、周波数を周波数変換(アップコンバート)し、DAC106aを局部発振器110からの局部発振信号と混合するためのミキサを含む。よって、第一の直交変調器108aは、出力信号を生成するために入力信号を定数倍させる乗算器として機能する。混合後、第一の直交変調器108aは、DAC106aからの出力信号を所定の周波数にアップコンバートする。理想的には、第一の直交変調器108aは、定数包絡信号x(t)を生成および出力する。
【0029】
第一の直交変調器108bは、第一の直交変調器108aと類似の構成および機能を有する。理想的には、第一の直交変調器108bは、定数包絡信号x(t)を生成および出力する。
【0030】
第一の高電力増幅器(HPA)112aは、第一の直交変調器108aからの出力信号を増幅し、増幅信号を結合器114に出力する。同様に、第二の高電力増幅器(HPA)112bは、第一の直交変調器108bからの出力信号を増幅し、増幅信号を結合器114に出力する。
【0031】
各アームの第一の直交変調器108a、108bは、レベル依存の複素利得Gによって特徴付けされ得る。よって、出力信号y(t)、y(t)は、
【数5】

で与えられ得る。
【0032】
結合器114は、結合器114への入力信号、今の場合はHPA112aとHPA112bからの信号を結合し、増幅器100からの出力信号y(t)を生成する。今の場合、出力信号y(t)は、
【数6】

となる。(7)の第二項は、利得と位相のマッチングが完全ではないとき、すなわち、不完全な相殺が生じるとき、望ましくない残留信号が存在することを意味している。この項は、隣接アームでの電力の干渉によるスペクトル効率の制限をもたらす。
【0033】
寄生振幅変調(AM)は、信号yとyの結合後、帯域外スペクトル成分の増大をもたらす。図5は、10MHz直交周波数分割多重(OFDM)信号x(t)に対するLINC HPA出力信号のスペクトルを示している。図5から見出せるだろうように、結合後のLINC C−HPA信号は元々の信号x(t)に比べて高いレベルの帯域外スペクトル成分を有する。
【0034】
(第一の実施形態)
図6〜18を参照して、非線形コンポーネントを用いる線形増幅(LINC)変調器250を有する増幅器(または複合高電力増幅器(C−HPA)200)の第一の実施形態を説明する。
【0035】
本明細書中で開示されるLINC変調器は、信号yおよびyを結合後、変調器出力において帯域外スペクトル成分を除去する機能を有する。帯域外スペクトル成分を除去する機能は、C―HPAアーム中の信号に対する追加のベース帯域制御の方法による信号スペクトル狭対域化に基いて動作され得る。そのような帯域外スペクトル成分は、高電力増幅器、たとえば、図1のHPA112a、HPA112bの入力端子における寄生振幅変調によって引き起こされる。
【0036】
信号帯域は、位相の連続微分のオーダーに依存するという事実が知られている。よって、スペクトルをよりコンパクトにするためには、信号から位相不連続を除去することが行こうであり得る。
【0037】
図6は、本発明の第一の実施形態にしたがうLINC変調器250を有する増幅器200を示す機能図であり、図7は、図6の第一の位相マニピュレータ206aを示す機能図である。
【0038】
増幅器200は、C−HPAアーム中の回路に対する帯域要求を減らすように設計されている。デジタル−アナログ変換器(DAC)回路要求はまた、緩和されよう。よって、よって、LINC変調器200のアーム中のDACに対する変換速度(クロック)および分解能要求(ビット分解能)は、結果として減少されるであろう。したがって、コストが高いグレードのLSIに代わって、ローコストDACがLINC C−HPAに実装され得る。同時に、結合後のC−HPA出力における帯域外スペクトルのレベルは低いままに維持される。よって、本実施形態は、アーム中で周波数を制限する場合、C−HPA出力で完全な再構成信号を提供し得る。
【0039】
C−HAP200の一つのアーム(以下では、時として第一のアームとして参照される)は、余剰位相変調、たとえばπの大きさを有する位相を除去するための第一のプロセッサ202a、ローパスフィルタ(LPF)104a、第一のデジタル−アナログ変換器(DAC)106a、直交変調器108a、位相選択器204、第一の位相マニピュレータ206a、局部発振器208、第一の高電力増幅器112a(HPA)、および加算器114を含む。同様に、C−HAP200の別のアーム(以下では、時として第二のアームとして参照される)は、余剰位相変調、たとえばπの大きさを有する位相を除去するための第二のプロセッサ202b、LPF104b、第一のデジタル−アナログ変換器(DAC)106b、直交変調器108a、位相選択器204、第二の位相マニピュレータ206b、局部発振器208、第一の高電力増幅器112b(HPA)、および加算器114を含む。しかしながら、第一および第二のアームは分離器102を含む。
【0040】
LINC変調器250は、分離器102、第一および第二のプロセッサ202aおよび202b、LPF104aおよび104b、DAC106aおよび106b、直交変調器108aおよび108b、位相選択器204、第一および第二の位相マニピュレータ206aおよび206b、および局部発振器208を含む。
【0041】
第一および第二のプロセッサ202aおよび202bは、SCS102からの第一および第二の定数包絡信号x(t)とx(t)を受け、第一および第二の定数包絡信号x(t)とx(t)から±πの余剰位相変調を除去し出力信号を生成する。つまり、第一および第二のプロセッサ202aおよび202bは、入力信号x(t)とx(t)の位相軌跡を決定し、位相ジャンプ、たとえば±πの余剰位相変調を検知し得る。第一および第二のプロセッサ202aおよび202bからの出力信号はそれぞれ、LPF104aおよび104bに入力される。第一および第二のプロセッサ202aおよび202bからの出力信号は、連続位相軌跡を有するものとして特徴づけされる。
【0042】
位相選択器204は、第一の位相マニピュレータ206に+πまたは−πの周波数成分のいずれを生成すべきかを知らせる。
【0043】
第一および第二の位相マニピュレータ206aおよび206bは、直交変調器108aにおいえて第一の定数包絡信号x(t)と直交変調器108bで第二の定数包絡信号x(t)を再構成するための信号を生成する。特に、第一の位相マニピュレータ206aは、局部発振器208および位相選択器204からの信号に基いて、第一のプロセッサ202aで除去された余剰位相マニピュレーションを補償するために、位相±πを有する信号を出力する。同様に、第二の位相マニピュレータ206bは、局部発振器208および位相選択器204からの信号に基いて、第一のプロセッサ202aで除去された余剰位相マニピュレーションを補償するために、位相±πを有する信号を出力する。
【0044】
局部発振器208は、局部発振器110と同一または類似の機能を有する。
【0045】
図7は、+πまたは−πの周波数成分を有する信号を生成する第一の位相マニピュレータ206aを示す機能図である。図7に示されているように、第一の位相マニピュレータ206aはプレスケーラ302および選択器304を含む。プレスケーラ302は、局部発振器208からの入力をπまたは0の位相を有する信号に変換する。これらの信号は、選択器304に入力される。選択器はプレスケーラ302からの入力信号の一つを出力する。
【0046】
図8は、2トーン1MHzC−HPA入力信号x(t)のスペクトルを示す図である。入力信号xはそのスペクトルの狭いピークのみを有することが分かるだろう。ソース信号x(t)は、第一の定数包絡信号x(t)および第二の定数包絡信号x(t)を示す。
【0047】
図9は、信号成分分離器(SCS)を通過した後の2トーン信号のスペクトルを示す図である。信号x(t)およびx(t)は、元々の信号x(t)より十分に広いスペクトルを有することが分かるであろう。
【0048】
図10および11は、信号x(t)およびx(t)の同相および直交位相波形を示している。図11に示されている直交信号波形は、±πの位相ジャンプによる波形不連続を有している。そのような±πの位相ジャンプは、x(t)およびx(t)信号スペクトル拡大に重要である。以下では、そのような位相ジャンプを余剰位相マニピュレーションと呼ぶ。
【0049】
図12は、信号成分分離器(SCS)ブロック出力における2トーン信号xに対する位相軌跡を示す図であり、図10は、信号成分分離器(SCS)ブロック出力における2トーン信号、すなわち信号x(t)およびx(t)に対する対応するスペクトルを示す図である。
【0050】
図12から分かるだろうように、C−HPAアーム中の信号に対する位相軌跡は、±πの位相ジャンプ(不連続)を有する。そのような位相不連続は、図13に示されているようにSCS出力において信号スペクトル拡大を引き起こす。そのような±πの位相ジャンプは、x(t)およびx(t)信号スペクトル拡大に重要である。
【0051】
スペクトル広域化を避けるために、本実施形態では、信号x(t)およびx(t)から余剰±π位相マニピュレーションを除去する。図14および15は、±π位相マニピュレーションを除去する前(実線)および後(破線)の信号x(t)およびx(t)に対する波形を示す。図17および18はそれぞれ、余剰位相マニピュレーションありおよびなしの信号x(t)およびx(t)に対するスペクトルを示している。図17および18から分かるだろうように、提案のシステムに対するスペクトル(青いプロット)はよりコンパクトは形をしている。
【0052】
第一の定数包絡信号x(t)は、第一のプロセッサ202aに入力され得る。以下では、第二のアームの動作の詳細な記載を、第一のアームの動作のアナロジーゆえに、省略されるであろう。
【0053】
図16は、±πの余剰位相マニピュレーションが信号x(t)およびx(t)から除去された後のSCSブロック出力における2トーン信号を示す図であり、図12は、本発明の本実施形態の狭帯域非線形定数包絡変調器を示す機能図である。除去された成分に関する情報は、位相選択器204に送られる。この情報は、直交位相変調器108aで除去された成分を補償するための信号を生成するために用いられるであろう。±πの位相を含まない結果としての信号は、LPF104aおよびDAC106aを通過した後、直交変調器108aに入力される。LPF104aおよびDAC106aの機能はそれぞれ、図1に示されているLPF104およびDAC106の機能と同一または類似であり得る。第一の定数包絡信号x(t)の第一のプロセッサ202aで除去された成分は、第一の定数包絡信号x(t)がHPAに入力される前に補償されねばならない。よって、直交変調器108aにおいて、元々の信号xが再構成され得る。
【0054】
図13は、SCS出力における2トーン信号に対するスペクトルを示す図であり、図17は、±πの余剰位相マニピュレーションを信号xおよびxから除去した後、SCSブロック出力における2トーン信号に対する位相軌跡を示す図である。
【0055】
上述のLINC変調器250を有する増幅器(または複合高電力増幅器(C−HPA))200の構成は、C−HAPアーム中の回路に対する帯域幅要求を減らすことを許容する。特に、動作クロック周波数に対するDAC要求は、緩和され得る。よって、

コストが高いグレードのLSIに代わって、信号xおよびxの生成のためのローまたはミドル変換速度(変換クロック)のDACがLINC C−HPAアームに実装され得る。したがって、コストが高いグレードのLSIに代わって、ローコストDACがLINC C−HPAに実装され得る。同時に、結合後のC−HPA出力における帯域外スペクトルのレベルは低いままに維持される。
【0056】
さらに、LINC変調器250を有する増幅器200のそのような構成にしたがうと、ソース信号を増幅するための方法が機能し得る。ソース信号(x(t))を増幅する方法は:SCS102によりソース信号から複数の定数包絡信号を生成すること;複数の定数包絡信号(x(t)、x(t))の対応する一つを受けることと;プロセッサ402a、402bで複数の定数包絡信号(x(t)、x(t))の位相軌跡の位相ジャンプを検知することと;連続位相軌跡を有する第一の信号と不連続位相軌跡を有する第二の信号を生成するために、位相ジャンプを除去することと;プロセッサ402aと4020bで、第一の信号を第二の信号の対応するものと混合し入力信号(x(t)、x(t))を再構成することと;HPA112a、HPA112bで、再構成された信号(x(t)、x(t))を増幅し、増幅された信号(y(t)、y(t))を生成することと;加算器114を用いて、増幅された信号(y(t)、y(t))の全てを加え合わせることと、を含む。
【0057】
したがって、変調器200は混成式高増幅器アーム中で、コスト的に有利で、帯域外スペクトル成分の再成長を妨げる狭帯域回路、例えば低クロック周波数を有するデジタル−アナログ変換器(DAC)を用いることを許容する。
【0058】
(第二の実施形態)
図19を参照して、LINC変調器450を有する増幅器400の第二の実施形態を説明する。
【0059】
本実施形態では、もし、±π位相マニピュレーションに加えて、±π/2、±π/4、…、±π/Nの余剰位相マニピュレーションを除外すれば、アーム中の信号のスペクトルは、より狭くなり得る。もちろん、この場合、±π/2、±π/4、…、±π/Nの局部発振位相マニピュレーションの可能性を提供することが好ましい。そのような±π/N余剰位相変調除去を有する狭帯域非線形定数包絡変調器は、一般的な場合、図19に示されている。
【0060】
図6に示されている増幅器200と同様、C−HPA(時として簡単のために増幅器として参照する)400のアームの一つ(以下では、時として第一のアームとして参照する)は、Nを整数として、余剰位相モジュレーション、たとえば±π/Nの大きさを有する位相を除去する第一のプロセッサ402a、ローパスフィルタ(LPF)104a、第一のデジタル−アナログ変換器(DAC)106a、直交変調器108a、位相選択器404、第一の位相マニピュレータ406a、局部発振器208、第一の高電力増幅器(HPA)、および加算器114を含む。
【0061】
LINC変調器450は、第一および第二のプロセッサ402aおよび402b、LPF104aおよび104b、DAC106aおよび106b、直交変調器108aおよび108b、位相選択器404、第一および第二の位相マニピュレータ406aおよび406b、および局部発振器208を含む。
【0062】
第一および第二のプロセッサ402aおよび402bは、第一および第二の定数包絡信号x(t)およびx(t)を受け、第一および第二の定数包絡信号x(t)およびx(t)から、Nを整数としてπ/Nの余剰位相変調を除去し出力信号を生成する。また、第一および第二のプロセッサ402aおよび402bは、たとえば±π/N、±π/2N、±π/3N、…といった複数の余剰位相変調を除去することが可能である。
【0063】
位相選択器404ならびに第一の位相マニピュレータ406aおよび第二の位相マニピュレータ406bの構成および機能は、余剰位相変調の値を変えることによって、図6に示されている位相選択器204ならびに第一の位相マニピュレータ206aおよび第二の位相マニピュレータ206bの構成および機能から容易に得ることができる。
【0064】
非線形LINC変調器(または複合高電力増幅器(C−HAP))400の構成は、狭帯域非線形LINC変調器200の構成と同一の効果および利点を有する。
【0065】
(第三の実施形態)
図20〜図25を参照して、そのような位相平滑化方法を実装するように構成された本発明の第三の実施形態を説明する。
【0066】
前述の実施形態にしたがう、それぞれ、LINC変調器250および450を有する増幅器200および400は、不連続位相ジャンプ、すなわち余剰位相マニピュレーションのみを除去する。大きなNに対して、そのような余剰位相マニピュレーションは、C−HPAアーム中の信号xおよびxに対する位相を平滑化することと等価である。
【0067】
よって、C−HPAアーム中の信号xおよびxのスペクトルを、その位相軌跡を平滑化することで狭くする可能性が存在する。
【0068】
本実施形態の詳細な記載の前に、本実施形態の変調器の基本動作を以下で説明する。
【0069】
図20は、本発明の第三の実施形態にしたがう増幅器700のLINC変調器750のアーム500を示す機能図である。
【0070】
図20に示されているように、増幅器700のアーム500は、過剰位相変調を除去するためにプロセッサ502を含む。つまり、変調器750の経路を通過する信号は、入力信号(x(t)、x(t))の帯域幅より狭い帯域幅を有する。つまり、本実施形態では、入力信号(x(t)、x(t))の位相からガウシアンフィルタを通過した信号の位相を引くことによって、入力信号(x(t)、x(t))の同相軌跡から除去された位相ジャンプが生成される。
【0071】
図21は、過剰位相変調を除去するためのプロセッサ502を示す機能図である。プロセッサ502は、位相検知器602、ガウシアンフィルタ604、変換器606、および引算器608を含む。
【0072】
位相検出器602は入力信号Sの位相を検知する。
ガウシアンフィルタ604は、プロセッサ202a、202b、402a、402bを、Nを十分に大きな整数、mを整数として、離散位相ジャンプ±π/Nまたは±mπ/Nを除去する代替のものへの一般化と考えられよう。このGフィルタは、GSM変調で用いられるフィルタと類似している。一般的に言えば、それは入力信号位相を十分に平滑化することができる任意のフィルタである。
【0073】
変換機606は、周波数領域に属するガウシアンフィルタ604からの出力信号を、時間領域波形S’を有する信号に変換する。一般に、時間領域波形S’は、コサインおよび/またはサイン波の和として表現され得る。
【0074】
図21に示されているように、入力信号Sは、位相検出器602に入る。入力信号Sの位相についての情報は、引算器608で離散位相ΔSを有する信号を生成するために利用される。離散位相ΔSは、元々のS信号位相とガウシアンフィルタで平滑化された位相S’の間の位相差ΔS=Sの位相−S’の位相として定義される。
【0075】
変換機606からの信号出力は、過剰な位相不連続は、ガウシアンフィルタ(以下では時としてGフィルタとして参照される)604により除去されているので、非常にコンパクトな、すなわち狭帯域スペクトルを有する。図22は、プロセッサ502の入力端子における信号スペクトル、すなわち信号S(NO HPA NO LPF)に対するスペクトルと出力S’の信号スペクトル(点線)を示している。図22から分かるように、ガウシアンフィルタ604の出力端子における信号スペクトルは、非常にコンパクトな形状を有している。ガウシアンフィルタリングされた信号S’のスペクトルは狭帯域であり、したがってDAC506の出力端子においてLPF504は、信号Sの大きな周波数歪みを引き起こさないであろう。これは、ガウシアンフィルタ604の出力信号SはLPF通過帯域と合致しているからである。したがって、直交変調器508の入力端子での信号包絡は、実質的に定数である。図22に、元々の信号(NO LPF LINC SG1)およびガウシアンフィルタ604の出力端子における信号のスペクトルを示す。
【0076】
図23は、図21および22を参照して議論した機構を用いるLINC変調器750を有するC−HPA700を示す機能図である。
【0077】
狭帯域非線形定数包絡変調器700は、アームの各々は図20に示されている構成を有する、2つのアームにより構成されるアーキテクチャを有する。
【0078】
C−HPA700のアームの一つ(以下では、時として第一のアームとして参照される)は、信号成分分離器(SCS)102、第一のプロセッサ702a、ローパスフィルタ(LPF)104a、直交変調器108a、第一の位相変調器704a、局部発振器208、第一の高電力増幅器112a(HPA)、および加算器114を含む。同様に、C−HPA700のアームの別の一つ(以下では、時として第二のアームとして参照される)は、SCS102、第二のプロセッサ702b、LPF104b、直交変調器108a、第二の位相変調器704b、局部発振器208、第二の高電力増幅器112b(HPA)、および加算器114を含む。
【0079】
LINC変調器750は、分離器102、第一および第二のプロセッサ702aおよび702b、LPF104aおよび104b、DAC106aおよび106b、直交変調器108aおよび108b、第一および第二の位相変調器704aおよび704b、および局部発振器208を含む。
【0080】
第一および第二のプロセッサ702aおよび702bは、SCS102から第一および第二の定数包絡信号x(t)およびx(t)を受け、平滑化された狭帯域信号をLPF104aおよび104bに、離散位相ΔS’およびΔS’を有する信号を第一および第二の位相変調器704aおよび704bに出力する。
【0081】
第一の位相変調器704aおよび第二の位相変調器704bは、直交変調器108aにおいて第一の定数包絡信号x(t)を、および直交変調器108bにおいて第二の定数包絡信号x(t)を再構成するための信号を生成する。特に、第一の位相変調器704aは、離散位相ΔS’を有する信号を出力し、第一のプロセッサ202aで除去された成分を補償する。同様に、第二の位相変調器704bは、離散位相ΔS’を有する信号を出力し、第一のプロセッサ202bで除去された成分を補償する。
【0082】
第一のプロセッサ702aにおいて第一の定数包絡信号x(t)の除去された成分は、第一の定数包絡信号x(t)がHPA112aに入力される前に補償されなくてはならない。よって、直交変調器108aで、元々の信号xは再構成され得る。同様に、直交変調器108bで、元々の信号xは再構成され得る。
【0083】
図23から分かるであろうように、元々のS信号位相とガウシアンフィルタで平滑化された位相S’の間の位相差ΔS=Sの位相−S’の位相は、直交変調器508で、または同じことであるが、個々のHPA112aおよび112bの入力端子で、元々の信号x(t)およびx(t)を復元するために、追加の局部発振(LO)変調位相として用いられる。そのようなアーキテクチャゆえに、LPF104a、104bの帯域外スペクトルレベルへの影響は、大きく減少し得る。
【0084】
図24は、従来のLINC変調器および通過帯40MHzを有するLPF104a、104bを有する変調器700からの出力信号のスペクトルを示す図であり、図25は、従来のLINC変調器および通過帯60MHzを有するLPF104a、104bを有する変調器700からの出力信号のスペクトルを示す図である。
【0085】
図23に示されているブロック図を有する変調器が、シミュレーションで用いられている。通過帯40MHzおよび60MHzを有する2つのLPFは、アームスペクトル制限での信号に対して用いられている。図1に示されているLINC変調器に対するスペクトルは、図24および25中で、“LINC”として記されている。
【0086】
図24および25から分かるであろうように、提案のアプローチは、C−HPA出力において、より良好な信号再構成を与える。よって、提案の変調器実装による帯域外放出のレベルは、最も制限された近スペクトル領域で20〜25dBも低減され得る。
【0087】
(付記)
上述の実施形態に関連して幾つかの追加の付記を追加する。
(付記1)
ソース信号から複数の定数包絡信号を生成する分離器と、
入力信号を受け、前記入力信号の位相軌跡中の位相ジャンプを検知および除去し、連続位相軌跡を有する第一の信号および不連続位相軌跡を有する第二の信号を生成するプロセッサと、
前記第一および第二の信号を混合し、前記入力信号を再構成する直交変調器と、
を含む非線形コンポーネントを有する線形増幅(LINC)変調器。
(付記2)
前記プロセッサは、mおよびNを整数として、π/(mN)の前記位相ジャンプを除去する、付記1の変調器。
(付記3)
前記入力信号の同相軌跡から除去された前記位相ジャンプは、ガウシアンフィルタを通過した信号の位相を前記入力信号の位相から引くことにより生成される、付記1のLINC変調器。
(付記4)
さらに、
前記入力信号の帯域幅より狭い帯域幅を有し、前記分離器から出力される前であり且つ前記乗算器に入力する前に、前記第一の信号により通過されるデジタル−アナログ変換器と
を含む付記2または3のLINC変調器。
(付記5)
ソース信号から複数の定数包絡信号を生成する分離器と、
複数のアームであって、前記複数のアームのそれぞれは前記複数の定数包絡信号の対応する一つによって通過され、前記複数のアームの対応する一つを通過する複数の入力信号の一つを出力する複数のアームであり、
前記複数の定数包絡信号の前記対応する一つを受け、前記複数の定数包絡信号の前記対応する一つの位相軌跡中の位相ジャンプを除去し、連続位相軌跡を有する第一の信号の一つおよび不連続位相軌跡を有する第二の信号の一つを生成するプロセッサと、
前記第一の信号の一つと前記第二の信号の一つを混合し、前記複数の定数包絡信号を再構成する直交変調器と、を含む複数のアームと、
複数の電力増幅器であって、各々は前記複数の定数包絡信号の対応する一つを増幅し、増幅された信号を生成する複数の電力増幅器と、
前記増幅された信号の全てを加え合わせる加算器と、
を含む増幅器。
(付記6)
前記プロセッサは、mおよびNを整数として、π/(mN)の前記位相ジャンプを除去する、付記5の増幅器。
(付記7)
前記入力信号の同相軌跡から除去された前記位相ジャンプは、ガウシアンフィルタを通過した信号の位相を前記入力信号の位相から引くことにより生成される、付記5の増幅器。
(付記8)
さらに、
前記入力信号の帯域幅より狭い帯域幅を有し、前記分離器から出力される前であり且つ前記乗算器に入力する前に、前記第一の信号により通過されるデジタル−アナログ変換器と
を含む付記6または7の増幅器。
(付記9)
ソース信号から複数の定数包絡信号を生成することと、
前記複数の定数包絡信号の対応する一つを受けることと、
前記複数の定数包絡信号の位相軌跡中の位相ジャンプを検出することと、
前記位相ジャンプを除去し、連続位相軌跡を有する第一の信号の一つおよび不連続位相軌跡を有する第二の信号の一つを生成することと、
前記第一の信号の一つと前記第二の信号の一つを混合し、前記複数の定数包絡信号を再構成することと、
前記複数の定数包絡信号の対応する一つを増幅し、増幅された信号を生成することと、
前記増幅された信号の全てを加え合わせることと、
を含む入力信号を増幅する方法。
(付記10)
前記プロセッサは、mおよびNを整数として、π/(mN)の前記位相ジャンプを除去する、付記9の方法。
(付記11)
前記入力信号の同相軌跡から除去された前記位相ジャンプは、ガウシアンフィルタを通過した信号の位相を前記入力信号の位相から引くことにより生成される、付記10の方法。
(付記12)
さらに、
前記第一の信号を前記第二の信号の対応する一つと混合する前に第一の信号を変換し、前記複数の定数包絡信号を再構成すること、を含む付記10または11の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース信号から複数の定数包絡信号を生成する分離器と、
入力信号を受け、前記入力信号の位相軌跡中の位相ジャンプを検知および除去し、連続位相軌跡を有する第一の信号および不連続位相軌跡を有する第二の信号を生成するプロセッサと、
前記第一および第二の信号を混合し、前記入力信号を再構成する直交変調器と、
を含む変調器。
【請求項2】
前記プロセッサは、mおよびNを整数として、π/(mN)の前記位相ジャンプを除去する、請求項1の変調器。
【請求項3】
前記入力信号の同相軌跡から除去された前記位相ジャンプは、ガウシアンフィルタを通過した信号の位相を前記入力信号の位相から引くことにより生成される、請求項1の変調器。
【請求項4】
さらに、
前記入力信号の帯域幅より狭い帯域幅を有し、前記分離器から出力される前であり且つ前記乗算器に入力する前に、前記第一の信号により通過されるデジタル−アナログ変換器と
を含む請求項2または3の変調器。
【請求項5】
ソース信号から複数の定数包絡信号を生成する分離器と、
複数のアームであって、前記複数のアームのそれぞれは前記複数の定数包絡信号の対応する一つによって通過され、前記複数のアームの対応する一つを通過する複数の入力信号の一つを出力する複数のアームであり、
前記複数の定数包絡信号の前記対応する一つを受け、前記複数の定数包絡信号の前記対応する一つの位相軌跡中の位相ジャンプを除去し、連続位相軌跡を有する第一の信号の一つおよび不連続位相軌跡を有する第二の信号の一つを生成するプロセッサと、
前記第一の信号の一つと前記第二の信号の一つを混合し、前記複数の定数包絡信号を再構成する直交変調器と、を含む複数のアームと、
複数の電力増幅器であって、各々は前記複数の定数包絡信号の対応する一つを増幅し、増幅された信号を生成する複数の電力増幅器と、
前記増幅された信号の全てを加え合わせる加算器と、
を含む増幅器。
【請求項6】
ソース信号から複数の定数包絡信号を生成することと、
前記複数の定数包絡信号の対応する一つを受けることと、
前記複数の定数包絡信号の位相軌跡中の位相ジャンプを検出することと、
前記位相ジャンプを除去し、連続位相軌跡を有する第一の信号の一つおよび不連続位相軌跡を有する第二の信号の一つを生成することと、
前記第一の信号の一つと前記第二の信号の一つを混合し、前記複数の定数包絡信号を再構成することと、
前記複数の定数包絡信号の対応する一つを増幅し、増幅された信号を生成することと、
前記増幅された信号の全てを加え合わせることと、
を含む入力信号を増幅する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−48308(P2013−48308A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−184921(P2011−184921)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
2.GSM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】