説明

外構照明体感用設備

【課題】夜間のみならず屋外が明るい時間帯においても、住宅の外構部分に植設された植栽をライトアップした際の、種々のエクステリア照明器具による屋外光の印象の違いを体感することのできる外構照明体感用設備を提供する。
【解決手段】複数種類の照明器具15a〜15fが照度を調整可能に設けられた屋内スペース部11と、屋内スペース部11との間に透明な仕切りガラス16を挟んで配設された、複数種類のエクステリア照明器具14a〜14dが照度を調整可能に設けられた屋外スペース部12と、これらの全体を覆って設置された外郭窓部17を備える外郭構造体32とからなる。屋外スペース部12には、植栽13と、植栽13の外側に設置された外弊18とが設けられている。外郭構造体32は、外郭窓部17を屋外スペース部12に近接配置して設置される。外郭窓部17は、暗幕部材19によって開閉可能に覆われて、外部からの光を遮断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外構照明体感用設備に関し、特に、住宅の外構部分に設置されるエクステリア照明器具による照明の状態を体感させる外構照明体感用設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の住宅では、照明器具として、例えばシーリングライト、ペンダントライト、スポットライト、ダウンライト、ブラケットライト、スタンド、足元灯等の多種多様のものが使用されている。また、これらの照明器具の光源は、蛍光灯と白熱灯とに大別することができるが、省エネ用の光源として、LEDが採用されることも多くなっている。
【0003】
これらの照明器具を選択して住宅の屋内に設置する場合、例えばユーザが、各種の照明器具のカタログを見ながら、専門業者や営業者のアドバイスを受けて、照明器具の種類や個数、照明器具を設置すべき位置等を決定していたが、カタログを見ただけでは、選択した照明器具が所定の位置に設置された際に実際に体感される明るさや、醸し出される雰囲気等を感じ取ることは困難である。したがって、例えばユーザが住宅に居住した後に、カタログを見て予想していた所望の照明の状態が得られない場合も多いことから、このような弊害を回避するために、照明器具による照明の状態を実際に近いかたちで体感できるようにした、照明体感用の設備が種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の照明体感用の設備によれば、住宅の照明器具について学習するための照明器具コーナが設けられており、この照明器具コーナには、形式または光源の種類の異なる多数の照明器具が配置された照明体験ルームや、光源の光量を連続的に変化させることで、室内の明るさを連続的に変化させることが可能な明るさ可変ルームが設けられており、ユーザは、各々の照明器具を点消灯したり、光量を調整することによって、種々の照明器具やこれの照らし方による屋内光の印象の違いを体感できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−149654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、近年、住宅の屋外領域に設けられる、庭、エントランスアプローチ等の外構部分には、各種の植栽が植設される他、種々のエクステリア照明器具が設置されて、夜間にライトアップすることで、美観に富んだ照明効果が得られるようになっている。また、例えばリビングルーム等の屋内のスペースから、例えば掃出し窓やテラス戸等に設置されることで広い面積で壁面に配設された、透明な仕切りガラスを介して、夜間にライトアップされた外構部分の植栽を眺めることによって、安らぎや癒しの時間が得られるものと考えられる。
【0007】
しかしながら、従来の照明体感用の設備では、住宅の屋内に設置される種々の照明器具や、これの照らし方による屋内光の印象の違いを体感することは可能であるが、住宅の屋外領域の外構部分に植設された植栽をライトアップした際の、種々のエクステリア照明器具や、これの照らし方による屋外光の印象の違いを体感することは困難である。また、ユーザは、夜間以外の屋外が明るい時間帯において、専門業者や営業者からアドバイスを受けることが多いため、夜間以外の屋外が明るい時間帯においても、植栽をライトアップした際の種々のエクステリア照明器具による屋外光の印象の違いを、効果的に体感できるようにする必要がある。
【0008】
本発明は、夜間のみならず夜間以外の屋外が明るい時間帯においても、住宅の屋外領域の外構部分に植設された植栽をライトアップした際の、種々のエクステリア照明器具や、これの照らし方による屋外光の印象の違いを効果的に体感することのできる外構照明体感用設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、住宅の屋外領域に設けられる庭などの外構部分に設置される、エクステリア照明器具による照明の状態を体感させる外構照明体感用設備であって、複数種類の照明器具が照度を調整可能に設けられた屋内スペース部と、該屋内スペース部との間に透明な仕切りガラスを挟んで配設された、複数種類のエクステリア照明器具が照度を調整可能に設けられた屋外スペース部と、該屋外スペース部及び前記屋内スペース部の全体を覆って設置された、採光及び通風が可能な外郭窓部を備える外郭構造体とからなり、前記屋外スペース部には、前記エクステリア照明器具が照らす対象となる植栽と、該植栽の前記屋内スペース部とは反対側の部分の外側に設置された、前記エクステリア照明器具が照らす対象となる外弊とが設けられており、前記植栽は、木と草とを含んで構成されており、前記外郭構造体は、前記外郭窓部を前記屋外スペース部に近接配置して設置されていると共に、前記外郭窓部は、暗幕部材によって開閉可能に覆われて、外部からの光を遮断できるようになっている外構照明体感用設備を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明の外構照明体感用設備は、前記屋外スペース部には、前記仕切りガラスと前記植栽との間に介在して、ウッドデッキが、前記屋内スペース部の室内床レベルに合わせた高さで前記屋内スペース部から連続するように設置されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の外構照明体感用設備は、前記複数種類のエクステリア照明器具が、複数のスポットライトと、複数のブラケットライトと、複数のアッパーライトと、複数のフットライトとを含んで構成されていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の外構照明体感用設備は、前記複数のスポットライト、前記複数のブラケットライト、前記複数のアッパーライト、及び前記複数のフットライトが、各々蛍光灯によるライトと、白熱灯によるライトと、LEDによるライトとを含んで構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の外構照明体感用設備によれば、夜間のみならず夜間以外の屋外が明るい時間帯においても、住宅の屋外領域の外構部分に植設された植栽をライトアップした際の、種々のエクステリア照明器具や、これの照らし方による屋外光の印象の違いを効果的に体感することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る外構照明体感用設備の構成を説明する略示平断面図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る外構照明体感用設備を構成する屋外スペース部の平面図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る外構照明体感用設備を構成する屋外スペース部の側面図である。
【図4】(a)〜(d)は、エクステリア照明器具を例示して説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい一実施形態に係る外構照明体感用設備10は、図1に示すように、例えば住宅展示場に設置された、住宅建築物における様々な環境を体感させるための環境体感用建物30の一部として設けられたものである。すなわち、環境体感用建物30は、他の模擬住宅と共に、光環境体感用模擬住宅31の全体を、外殻構造体32で覆って形成されており、本実施形態の外構照明体感用設備10は、光環境体感用模擬住宅31の東側部分に設けられた、屋内スペース部11と、屋外スペース部12と、環境体感用建物30の外殻構造体32とによって構成されている。本実施形態の外構照明体感用設備10は、屋外スペース部12に、植栽13を設けると共に、植栽13を照らす各種のエクステリア照明器具14a〜14d(図4(a)〜(d)参照)を設けて、夜間におけるエクステリア照明器具14a〜14dによる多種多様な照明効果や、雰囲気の違いを、実際に近いかたちで効果的に体感させることが可能な設備として設けられている。
【0016】
そして、本実施形態の外構照明体感用設備10は、住宅の屋外領域に設けられる庭などの外構部分に設置される、エクステリア照明器具による照明の状態を体感させる照明体感用の設備であって、複数種類の照明器具15a〜15fが照度を調整可能に設けられた屋内スペース部11と、屋内スペース部11との間に透明な仕切りガラス16を挟んで配設された、複数種類のエクステリア照明器具14a〜14d(図4(a)〜(d)参照)が照度を調整可能に設けられた屋外スペース部12と、屋外スペース部12及び屋内スペース部11の全体を覆って設置された、採光及び通風が可能な外郭窓部17を備える外郭構造体32とからなる。屋外スペース部12には、エクステリア照明器具14a〜14dが照らす対象となる植栽13と、植栽13の屋内スペース部11とは反対側の部分の外側に設置された、エクステリア照明器具14a〜14dが照らす対象となる外弊18とが設けられている。植栽13は、木13aと草13bとを含んで構成されており、外郭構造体32は、外郭窓部17を屋外スペース部12に近接配置して設置されていると共に、外郭窓部17は、暗幕部材19によって開閉可能に覆われて、外部からの光を遮断できるようになっている。
【0017】
また、本実施形態では、屋外スペース部12には、仕切りガラス16と植栽13との間に介在して、ウッドデッキ20が、屋内スペース部11の室内床レベルに合わせた高さで屋内スペース部11から連続するように設置されている。
【0018】
本実施形態では、外構照明体感用設備10は、環境体感用建物30の一部として、これの南東部分に設けられる。外構照明体感用設備10は、屋内スペース部11と、屋外スペース部12と、外郭構造体32とによって構成される。
【0019】
屋内スペース部11は、環境体感用建物30において、外殻構造体32によって周囲を覆われて設置された光環境体感用模擬住宅31の東側部分の、例えばリビングルームとして設けられる。本実施形態では、リビングルーム(屋内スペース部)11は、西側に隣接する例えば玄関ホール33等から出入り可能な8畳程度の広さのリビング本体部11aと、リビング本体部11aの東側に連続して設けられた、例えば4畳半程度の広さの屋外鑑賞スペース部11bとからなる。屋外鑑賞スペース部11bの上方部分は吹抜け部となっている。
【0020】
本実施形態では、リビングルーム11のリビング本体部11aや屋外鑑賞スペース部11bには、複数種類の照明器具15a〜15fが、その照度を調整可能に設けられている。例えばリビング本体部11aには、蛍光灯シーリングライト等によるシーリングライト15aや、ダイクロイックハロゲン、LED、蛍光灯、ミニクリプトン、ピンスポット等によるダウンライト15bや、調光機能付きのシームレスラインコーニス照明15cなどが設けられている。
【0021】
また、例えば屋外鑑賞スペース部11bには、ペンダント照明器具15dや、蛍光灯、ミニクリプトン、ウォールウォッシャー等によるダウンライト15eや、上向型、下向型、透過型、不透過型等によるブラケット照明器具15fなどが設けられている。
【0022】
これらの照明器具は、例えばリビング本体部11aの南側の内壁面に取り付けた操作パネル21と、例えば有線又は無線のネットワークを介して各々接続されており、操作パネル21からの操作によって、各照明器具を照射させたり、その照度を調整したりすることができるようになっている。操作パネル21を、例えばコンピュータを用いた制御部等と接続しておき、所定のプログラムに従って、所定の順序で各照明器具を自動的に照射させたり、照度を自動的に調整させたりすることも可能である。
【0023】
また、本実施形態では、リビングルーム11のリビング本体部11aや屋外鑑賞スペース部11bには、照度検出センサ(図示せず)が、例えば床部分に嵌め込まれるようにして設けられている。これらの照度検出センサは、例えば操作パネル21に設けられた表示部と、例えば有線又は無線のネットワークを介して各々接続されており、照度検出センサによる照度の検出結果を、表示部に表示することができるようになっている。
【0024】
さらに、本実施形態では、操作パネル21の表示部は、例えば有線又は無線のネットワークを介して各照明器具15a〜15fに電力を供給する際の電力計と接続しており、これによって表示部に、表示された照度を得るための電力使用量を表示できるようになっている。すなわち、各照明器具15a〜15fには、これらの照明器具15a〜15fへの配線の途中に電力計が各々取り付けられており、各照明器具15a〜15fに供給された電力を電力計からの出力信号として表示部に出力することで、所定の照度を得るための電力使用量を表示できるようになっている。
【0025】
ここで、操作パネル21は、携帯可能なポータブルタイプのリモコン装置に設けることもできる。操作パネル21をポータブルタイプのリモコン装置に設けることによって、例えばユーザや営業者が屋内スペース部11や屋外スペース部12を移動しながら、手元の操作によってリアルタイムで任意の照明器具を照射させたり、リアルタイムで照明器具の照度を調整することが可能になり、利便性が向上すると共に、任意の明るさに変化した各部屋や各部位の照度や電力使用量を、手元で容易に確認することが可能になる。
【0026】
そして、本実施形態では、屋外スペース部12は、透明な仕切りガラス16を挟んで屋内スペース部11の東側部分に設けられる。本実施形態では、屋外スペース部12は、図2及び図3に示すように、ウッドデッキ20と、植栽13と、外弊18とを含んで構成される。
【0027】
ウッドデッキ20は、屋内スペース部であるリビングルーム11の屋外鑑賞スペース部11bの東側に隣接して設けられた、例えば3畳程度の広さを有する矩形形状のデッキ部分である。ウッドデッキ20は、木製の角材や板材を用いて組み付けられて、室内床レベルに合わせた高さで屋内スペース部12から連続するように張り出した状態で設けられる。
【0028】
また、本実施形態では、ウッドデッキ20の表面には、例えばLEDによる埋込み式の複数の足元灯22が取り付けられている。これらの埋込み式の足元灯22は、仕切りガラス16と垂直な方向に2列、ウッドデッキ20の先端部側における仕切りガラス16と平行な方向に1列、各列に5箇所づつ配置されて設けられている。
【0029】
植栽13は、ウッドデッキ20の東側に隣接して、移動可能な複数のボックス形状の緑化コンテナ23に植設された状態で設けられている。植栽13は、高木、潅木等の木13aと草13bとを含んで構成されている。高木としては、例えばシマトネリコ等を植設することができる。潅木としては、例えばフイリサカキ等を植設することができる。草13bとしては、例えばクリーピングタイムや芝草等を植設することができる。植栽13は、緑化コンテナ23と共に移動可能となっており、また複数の緑化コンテナ23の組合わせを適宜変更したり、交換したりすることによって、異なる配置や組合せの植栽13を形成することができるようになっている。
【0030】
外弊18は、例えば隣戸との境界として、植栽13のリビングルーム11とは反対側の部分である東側部分の外側に、ウッドデッキ20の端部との間に例えば900mm程度の間隔をおいた状態で設置される。外弊18は、本実施形態では、例えば900mm程度の高さの基礎パネル18aの天端面から、900mm程度の高さのウッドフェンス18bを立設させて、合計1800mm程度の高さとなるように設けられている。また、外弊18は、ウッドデッキ20の南側の端部から仕切りガラス16と平行な北側に向けて、例えば3500mm程度の長さで延設されると共に、北側の端部で西側に折れ曲った後に、例えば1800mm程度の長さで延設されて、植栽13の外側にL字形の平面形状を備えるように設置されている。
【0031】
そして、本実施形態では、屋外スペース部12には、上述のウッドデッキ20の足元灯22と共に、複数種類のエクステリア照明器具14a〜14dが、植栽13が植設された緑化コンテナ23や外弊18に取り付けて設置されている。エクステリア照明器具としては、図4(a)〜(e)に示すように、狭い範囲に光を集中させる照明であり、例えば高木などの特定の対象物や場所を照らすために用いるスポットライト14a、壁面に設置して用いる照明であるブラケットライト14b、地面や床に差し込んで下から上へ照らし上げるために用いる照明であるアッパーライト14c、例えば地盤に差し込むことで低い位置に設置されて足元を照らすために用いる照明であるポール型のフットライト14dを、各々複数含んで構成することが好ましい。これらのエクステリア照明器具14a〜14dは、スポットライト14aやブラケットライト14bやアッパーライト14cやフットライト14dとしての、複数の機能を兼ね備えることもできる。
【0032】
また、本実施形態では、これらの複数のスポットライト14a、複数のブラケットライト14b、複数のアッパーライト14c、及び複数のフットライト14dは、好ましくは、各々蛍光灯によるライトと、白熱灯によるライトと、LEDによるライトとを含んで構成されている。
【0033】
これらのエクステリア照明器具14a〜14dは、上述の屋内スペース部11の照明器具15a〜15fと同様に、操作パネル21や、操作パネル21が設けられた携帯可能なポータブルタイプのリモコン装置に、例えば有線又は無線のネットワークを介して各々接続しておくことができる。これによって、上述の屋内スペース部11の照明器具15a〜15fと同様に、操作パネル21やリモコン装置からの操作によって、各照明器具を照射させたり、その照度を調整したりすることが可能になると共に、所定のプログラムに従って、所定の順序で各照明器具を自動的に照射させたり、照度を自動的に調整させたりすることが可能になる。また、任意の明るさに変化した屋外スペース部12の照度や電力使用量を、照度検出センサや電力計を介して手元で容易に確認することが可能になる。
【0034】
屋内スペース部11及び屋外スペース部12と共に、本実施形態の外構照明体感用設備10を構成する外郭構造体32は、上述のように、環境体感用建物30の建屋部分である外郭構造体32を、屋外スペース部12及び屋内スペース部11の全体を覆って設置される外郭構造体32としてそのまま利用することができる。なお、外郭構造体32は、屋内スペース部11及び屋外スペース部12が設けられた光環境体感用模擬住宅31の部分だけを覆う、専用の外郭構造体として形成することもできる。
【0035】
本実施形態では、外郭構造体32は、複数の箇所に採光及び通風が可能な窓部を備えており、これらの窓部のうち、特に外郭構造体32の南東部分に配置された窓部を、本実施形態の外郭窓部17として、当該外郭窓部17が屋外スペース部12に近接配置されるようになっている。屋外スペース部12に近接配置される外郭窓部17が外郭構造体32の南東部分に配置されることで、日照や植栽13の蒸散作用を促して、植栽13をより好ましい環境下におくことが可能になる。
【0036】
また、外郭窓部17の内側には、外郭構造体32の他の窓部と同様に、開閉可能な暗幕部材19が取り付けられている。外郭構造体32の他の窓部と共に、必要に応じて外郭窓部17を暗幕部材19で覆うことで外部からの光を遮断することにより、屋外が明るい時間帯においても、外郭構造体32の内部を、夜間の暗い環境下におくことができるようになっている。
【0037】
そして、上述の構成を備える本実施形態の外構照明体感用設備10によれば、夜間のみならず夜間以外の屋外が明るい時間帯においても、住宅の屋外領域の外構部分に植設された植栽をライトアップした際の、種々のエクステリア照明器具やこれの照らし方による屋外光の印象の違いを効果的に体感することが可能になる。
【0038】
すなわち、本実施形態の外構照明体感用設備10は、複数種類の照明器具15a〜15fが照度を調整可能に設けられた屋内スペース部11と、屋内スペース部11との間に透明な仕切りガラス16を挟んで配設された、植栽13や外弊18と共に複数種類のエクステリア照明器具14a〜14dが照度を調整可能に設けられた屋外スペース部12と、屋外スペース部12及び屋内スペース部11の全体を覆って設置された、採光及び通風が可能な外郭窓部17を備える外郭構造体32とからなるので、夜間のみならず夜間以外の屋外が明るい時間帯においても、外郭構造体32の他の窓部と共に、外郭窓部17を暗幕部材19で覆うことで外部からの光を遮断することによって、外郭構造体32の内部を、夜間の暗い環境下におくことが可能になる。また、外郭構造体32の内部を暗くした状態で、例えば種々のエクステリア照明器具14a〜14dを用いて植栽13や外弊18をライトアップした際の、屋外スペース部12における明るさの状態や照明効果を、屋内スペース部11から仕切りガラス16を介して実際に観察することで、屋外スペース部12における屋外光の印象の違いを効果的に体感することが可能になる。
【0039】
より具体的には、例えば以下のような光環境を体感することができる。
【0040】
すなわち、例えば屋内スペース部11と屋外スペース部12との間の相対的な明るさの違いを調整して、例えば屋内スペース部11が明るく、屋外スペース部12が真っ暗な場合には、仕切りガラス16がミラーとなって、室内の全ての光を反射し、屋内スペース部11が閉ざされた印象となるのを体感することができる。例えば屋内スペース部11がうす暗く、屋外スペース部12がやや明るい場合には、仕切りガラス16の透明感が生かされて、室内から屋外スペース部12が良く見え、室内から屋外スペース部12が広がって行く印象となるのを体感することができる。
【0041】
例えば、光源の種類や設置位置(高木足元、庭中央、庭端部等)による庭の印象の違いを体感することができ、例えば白熱灯はLEDに比べて光の拡散性が低いことや、LEDは高木の足元に設置して上向きに照射することで、高木の足元から頂部まで、鮮やかな色で照らし得ることを体感することができる。またLEDの設置位置を、例えば庭の端部とすることで、高木だけでなく外弊18も照らすことになって庭の端部を明るくできることや、例えば庭の中央とすることで、高木のライトアップは十分だが、庭全体を照らすまでには到らないことを体感することができる。さらに、LEDの設置位置を、例えば庭の手前側とすることで、高木を効果的にライトアップすることができるが、近隣への光漏れを生じる恐れがあることや、例えば庭の後部側とすることで、近隣への光漏れを防ぐことができるが、直接光源が室内に居る人の目に入ってまぶしくなるのを体感することができる。
【0042】
例えば、ブラケットライトの光源(白熱灯、蛍光灯、LEDランプ)による光の拡がりの相違によって、庭の印象が異なることを体感することができ、例えば電球型白熱灯の場合には光源そのものがまぶしいことや、例えばLEDランプの場合には庭やウッドデッキを全体的に照らすことができることや、例えば白熱灯の場合には光の拡がりはLEDランプに比べて小さいが、木の温かみを表現できることを体感することができる。
【0043】
例えば、ウッドデッキ20の表面に設置したLEDによる足元灯22の向きによる庭の印象の違い体感することができ、例えば開口部(仕切りガラス16)と平行な方向に設置した場合には、ウッドデッキの端部か強調されることになり、例えば開口部(仕切りガラス16)と垂直な方向に設置した場合には、ウッドデッキに奥行きが生まれること体感することができる。
【0044】
例えば、フットライトの光源(蛍光灯、LEDランプ)や位置(庭中央、庭端部)による光の拡がりの相違によって、庭の印象が異なることを体感することができ、例えば電球型蛍光灯の場合には足元から庭全体を照らすことや、例えばLEDランプの場合にはウッドデッキを部分的に照らすことを体感することができる。また、例えば電球型蛍光灯の設置位置を、庭の左側(北側)端部とすることで、外壁のL字形に折れ曲がった側壁まで照らして拡がりがでることや、庭の中央とすることで、庭全体を照らすことや、庭の右側(南側)端部とすることで、側壁部が無いため光が抜けることを体感することができる。さらに、例えばLEDランプの設置位置を、庭の手前側とすることで、下草、潅木をやさしく照らすことや、庭の後部側とすることで、ウッドデッキをやさしく照らすことを体感することができる。
【0045】
これらによって、それぞれのエクステリア照明器具14a〜14dには、長所、短所があり、同じエクステリア照明器具でも設置位置等によっては同じ照明効果が得られないことが判明する。また、例えば、LEDランプは、光が直線的なので、アップライトで高木を照らしたり、ポールライトでポイント的に照らすのに有効であり、電球蛍光灯は、光が拡散的なため、ブラケットで庭全体を照らしたり、ポールライトで庭全体を照らすのに有効であり、白熱灯は、光の温かみがあるため、ウッドデッキやウッドフェンスを美しく照らすのに有効であることが判明する。さらに、ウッドデッキの表面に埋め込まれたLEDは、LEDの特徴を生かしたエクステリアライトアップといえることが判明する。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、外構照明体感用設備は、住宅建築物における様々な環境を体感させるための環境体感用建物の一部として設けられる必要は必ずしもなく、外構照明体感用の単独の設備として設けることもできる。また、仕切りガラスと植栽との間に介在して、屋外スペース部にウッドデッキを設ける必要は必ずしもない。
【符号の説明】
【0047】
10 外構照明体感用設備
11 屋内スペース部(リビングルーム)
11a リビング本体部
11b 屋外鑑賞スペース部
12 屋外スペース部
13 植栽
13a 木
13b 草
14a スポットライト(エクステリア照明器具)
14b ブラケットライト(エクステリア照明器具)
14c アッパーライト(エクステリア照明器具)
14d フットライト(エクステリア照明器具)
15a〜15f 照明器具
16 仕切りガラス
17 外郭窓部
18 外弊
18a 基礎パネル
18b ウッドフェンス
19 暗幕部材
20 ウッドデッキ
21 操作パネル
22 足元灯(エクステリア照明器具)
23 緑化コンテナ
30 環境体感用建物
31 光環境体感用模擬住宅
32 外殻構造体
33 玄関ホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の屋外領域に設けられる庭などの外構部分に設置される、エクステリア照明器具による照明の状態を体感させる外構照明体感用設備であって、
複数種類の照明器具が照度を調整可能に設けられた屋内スペース部と、該屋内スペース部との間に透明な仕切りガラスを挟んで配設された、複数種類のエクステリア照明器具が照度を調整可能に設けられた屋外スペース部と、該屋外スペース部及び前記屋内スペース部の全体を覆って設置された、採光及び通風が可能な外郭窓部を備える外郭構造体とからなり、
前記屋外スペース部には、前記エクステリア照明器具が照らす対象となる植栽と、該植栽の前記屋内スペース部とは反対側の部分の外側に設置された、前記エクステリア照明器具が照らす対象となる外弊とが設けられており、
前記植栽は、木と草とを含んで構成されており、
前記外郭構造体は、前記外郭窓部を前記屋外スペース部に近接配置して設置されていると共に、前記外郭窓部は、暗幕部材によって開閉可能に覆われて、外部からの光を遮断できるようになっている外構照明体感用設備。
【請求項2】
前記屋外スペース部には、前記仕切りガラスと前記植栽との間に介在して、ウッドデッキが、前記屋内スペース部の室内床レベルに合わせた高さで前記屋内スペース部から連続するように設置されている請求項1記載の外構照明体感用設備。
【請求項3】
前記複数種類のエクステリア照明器具は、複数のスポットライトと、複数のブラケットライトと、複数のアッパーライトと、複数のフットライトとを含んで構成されている請求項1又は2記載の外構照明体感用設備。
【請求項4】
前記複数のスポットライト、前記複数のブラケットライト、前記複数のアッパーライト、及び前記複数のフットライトは、各々蛍光灯によるライトと、白熱灯によるライトと、LEDによるライトとを含んで構成されている請求項3記載の外構照明体感用設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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