説明

外科処置および外科用器具

【課題】流動性材料の適用に好適な外科用器具を提供すること。
【解決手段】本発明においては、外科用器具および外科処置方法が提供される。本発明の1つの見地によれば、組織の開口内へと固定デバイスを固定し得るような方法が提供される。この方法においては、開口内へと流動可能な状態でもって材料を搬送し、この材料の状態を変化させ、これにより、この材料が、開口内へと固定デバイスを固定させるような着座作用をもたらす。ハンドピース上に取り付けられ得るよう構成されているとともに、骨内の開口に対して流動可能材料を搬送するための搬送デバイスは、流動可能材料を流動可能状態へと加熱するための加熱部材を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年12月31日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第10/335,491号明細書の一部継続出願であってこの出願の優先権を主張するものである。その先願自体は、2000年6月27日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第09/604,387号明細書の一部継続出願である。これら文献の記載内容は、参考のため、ここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、外科処置および外科用器具に関するものである。
【背景技術】
【0003】
多くの外科処置、例えば回旋筋腱板修復および不安定性修復などの肩の外科手術の分野において特に、軟組織を骨へ固定することが必要とされる。一般に、これらの処置において、外科医は手術部位に侵入するため切開を行い、次いで軟組織を再付着するため以下の技術のうちの1つを用いる。
【0004】
技術の1つにおいて、外科医は、縫合糸を通すための骨トンネルを穿つ。縫合糸は、軟組織を通して結ばれ、次いで骨に再接合される。
【0005】
他の技術では、外科医は骨に穴を穿ち、骨アンカーを挿入する。通常、骨アンカーは、金属、プラスチック、または吸収性材料で形成され、外部に展開するウィングまたは逆棘、ねじ、もしくは放射状伸長により所定の位置に保持される。アンカーは、縫合糸を通す小穴を含む。アンカーを配置した後、外科医は軟組織を通して縫合糸を結び、それを骨アンカーの小穴に結合させることによって軟組織を骨に再接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第02/00119号
【特許文献2】特表2002−526192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
軟組織を付着させるのに多数の縫合糸が必要であれば、別々の結び目を各部位で結んで、どちらかの技術を骨の異なる部位に複数回繰り返して行う。一般に、上記の技術を用いて形成された一連のアンカーを結合するのは、アンカー間において縫合糸を締めるのが難しいため不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の観点の1つによると、軟組織の骨または他の軟組織への固定は、従来の骨アンカーの代わりに、もしくは骨アンカーとともに、流動性材料(すなわち、流動可能材料)、例えばポリマーを用いて行われる。流動性材料は、一般に多孔性の海面骨(小柱網(trabecular network)としても知られる)に浸潤するので、より強い皮質骨の下方に伸びるアンカーを効果的に形成する。その結果、このようにして形成されたアンカーは、通常強い引き抜き強度を示す。好ましい実施態様において、骨片は、自己充填剤(あるいは、骨片が他の患者から採取される場合には、同種充填剤)として流動性材料に組み込まれ、自然治癒の間、骨が物質中に再生されるのを促進する。
【0009】
本発明の好ましい外科処置および外科用器具を用いれば、開放外科処置よりむしろ内視鏡を用いて固定することが可能であり、結果として侵襲性の処置がより少なく、患者への外傷も最小限ですむ。好ましい実施態様においては、軟組織の穿刺、穴の形成、縫合糸および/または骨アンカー(使用されれば)の搬送、および流動性材料の穴への注入は、単一の内視鏡的外科用器具を用いて行われる。好ましい実施態様のいくつかにおいては、かなりの技能と器用さを要する傾向があるとともに一般に時間のかかる結び目形成は、不要である。このように、本発明の外科処置は一般に比較的速く、外傷が少なくてすみ、比較的実施しやすいものである。いくつかの実施態様において、本発明の方法により連続した縫い目をつないで引っ張って軟組織の部位を骨に固定できる。
【0010】
従来の骨アンカーが流動性材料と共に使用されない実施態様においては、そのような骨アンカーに伴うことがあるいくつかのリスクが排除される。例えば、もし縫合糸が使用されれば、縫合糸が小穴を通ることがなく、縫合糸と小穴の間の摩擦により縫合糸が顕微鏡視的に損傷することもない。また、流動性材料を用いて形成されたアンカーは、配置される骨の質および密度に大きく頼ることがないため、傷つけた低密度の骨に設置してもなお優れた保持力を示すことがある。
【0011】
一見地においては、本発明は、組織固定のための外科用器具であって、(a)固定手順時に外科医によって保持され得るよう構成されたハンドピースと;(b)このハンドピース上に取り付けられているとともに、管腔が形成されている、カニューレ状チューブと;(c)ハンドピース上に取り付けられ得るよう構成されているとともに、骨内の開口に対して流動可能材料を搬送するための搬送デバイスと;(d)縫合糸材料の供給源からカニューレ状チューブの先端までにわたって縫合糸材料を搬送するための縫合糸制御デバイスと;を具備していることを特徴とする。
【0012】
いくつかの実施態様においては、以下の様々な特徴点のうちの1つまたは複数の特徴点を備えている。流動可能材料は、管腔を通して搬送することができる。搬送デバイスは、流動可能材料を流動可能状態へと加熱するために加熱部材を備えている。搬送デバイスは、さらに、流動可能材料の供給源を収容しているリザーバを備えている。加熱部材は、リザーバの少なくとも一部に対して熱を伝達し得るよう構成されている。加熱部材は、リザーバの少なくとも一部に対して隣接して配置されている。搬送デバイスは、さらに、リザーバと連通した搬送チューブを備え、この搬送チューブは、搬送デバイスをハンドピース上に取り付ける際にカニューレ状チューブ内に配置され得るよう構成されている。加熱部材は、搬送チューブに対して熱を伝達し得るよう構成されている。加熱部材は、搬送チューブの先端に隣接したところに、ターミナル部分を備え、加熱部材の残部に対しての熱伝達を継続しつつも、このターミナル部分については熱伝達を停止し得るようになっており、これにより、搬送チューブの先端のところにおいては、流動可能材料を凝固させることができ、搬送チューブからの流出を防止し得るようになっている。搬送デバイスは、縫合糸の一部を受領し得るよう構成された先端部を有した長尺ノズルと、カニューレ状チューブの先端からノズルを延出させ得るよう構成され、さらに、縫合糸の一部を開口内へと押し込み得るよう構成され、さらに、縫合糸の搬送後にはノズルを引き込み得るよう構成された、機構と、を備えている。長尺ノズルには、開口に対して流動可能材料を搬送するための経路をなす管腔が形成されている。外科用器具の最初の使用前には、搬送チューブは、流動可能材料の供給源を収容している。搬送デバイスは、流動可能材料の量を所定量へと計量するための機構を備えている。
【0013】
これに代えて、加熱部材は、チップを有した長尺部材を備え、チップは、開口に対して管腔を通してポリマーペレットを搬送し得るよう構成され、チップは、ポリマーペレットを融解させ得るような熱を伝達し得る領域を有している。搬送デバイスは、さらに、搬送デバイスをハンドピース上に取り付ける際にカニューレ状チューブ内に配置され得るよう構成されたプランジャーチューブを備え、長尺部材は、プランジャーチューブを通して挿入可能であるように構成されている。搬送デバイスは、さらに、延出位置と退避位置との間にわたって、プランジャーチューブおよび/または長尺部材を移動させるための機構を備えている。プランジャーチューブを移動させるための機構と、長尺部材を移動させるための機構とを、互いに個別に設けておくことができ、これら機構は、外科医によって同時的に駆動可能とされ、互いに対応して動作する。加熱部材は、金属チューブと、この金属チューブ内に配置されかつ絶縁された電流導通ワイヤと、を備え、このワイヤとチューブとが先端部のところにおいて接続されていて、回路を形成しており、金属チューブは、比較的低抵抗の第1部分と、この第1部分よりも先端側に位置しかつ比較的高抵抗の第2部分と、を有している。搬送デバイスは、流動可能材料を開口内へと押し込み得るよう、カニューレ状チューブを通して延出され得るよう構成された長尺プランジャーを備えている。長尺プランジャーは、加熱部材を貫通させつつ開口内へと挿入させ得るような管腔を形成している。
【0014】
加熱部材は、開口に対する搬送前に、材料を融解させ得るように構成することができる。これに代えて、加熱部材は、開口に対する搬送の最中にあるいは搬送後に、材料を融解させ得るよう構成することができる。搬送デバイスは、ハンドピースに対して着脱可能なものとすることができる。
【0015】
縫合糸制御デバイスは、縫合糸の自由端に印加される張力を制御し得るよう構成される。縫合糸材料の供給源は、ハンドピースの内部に配置される。縫合糸制御デバイスは、カニューレ状チューブを囲む複数の入れ子型チューブを備え、これらチューブは、供給源から先端までにわたって縫合糸を供給するための経路を構成している。複数の入れ子型チューブは、外側チューブと、この外側チューブとカニューレ状チューブとの間に配置された中間チューブと、を備え、経路は、中間チューブの長手方向に沿って延在するグルーブによって形成されている。縫合糸制御デバイスは、外科医によって駆動可能とされた縫合糸ロックを備え、この縫合糸ロックは、カニューレ状チューブの先端にところの適所に縫合糸を保持することができる。縫合糸制御デバイスは、先端にところにおける縫合糸の位置を制御し得る縫合糸変位デバイスを備えている。縫合糸制御デバイスは、縫合糸に対する張力を維持し得る張力付与デバイスを備えている。張力付与デバイスは、縫合糸によって形成された縫い目を締め付け得るよう構成されている。張力付与デバイスは、スプリング機構を備えている。張力付与デバイスは、外科医によって手動で駆動し得るよう構成されている。
【0016】
外科用器具は、手術サイトからカニューレ状チューブを取り外すことなく、手術サイトにおいて固定手順を完了し得るよう構成されている。外科用器具は、内視鏡的手順において使用し得るよう構成される。
【0017】
他の見地においては、本発明は、組織固定のための外科用器具であって、(a)固定手順時に外科医によって保持され得るよう構成されたハンドピースと;(b)このハンドピース上に取り付けられているとともに、管腔が形成されている、カニューレ状チューブと;(c)骨内の開口に対して管腔を通して流動可能材料を搬送するための搬送デバイスと;を具備し、搬送デバイスは、流動可能材料を流動可能状態へと加熱するための加熱部材を備えていることを特徴としている。加熱部材は、開口内において流動可能材料を加熱し得るよう構成されており、流動可能材料は、非流動可能状態でもってすなわち固体状態でもって、開口に対して搬送され得る。搬送デバイスは、計量された量の流動可能材料を搬送し得るよう構成することができる。
【0018】
さらに他の見地においては、本発明は、組織固定のための外科用器具であって、(a)固定手順時に外科医によって保持され得るよう構成されたハンドピースと;(b)このハンドピース上に取り付けられているとともに、管腔が形成され、さらに、剛直な縫合糸付帯デバイスを受領して付帯し得るよう構成されたチップ部分を備えているような、カニューレ状チューブと;(c)このカニューレ状チューブの内部に配置された加熱デバイスと;を具備していることを特徴とする。
【0019】
この見地における様々な実施態様においては、本発明は、以下の様々な特徴点のうちの1つまたは複数の特徴点を備えている。チップ部分は、このチップ部分内における縫合糸付帯デバイスの回転を禁止し得るよう構成されたキー溝構造を備えている。チップ部分は、このチップ部分の外表面に凹所を備え、これら凹所は、縫合糸付帯デバイスによって付帯された縫合糸を受領し得るよう構成されている。外科用器具においては、さらに、流動可能材料の一部は、非液体状態でもって、カニューレ状チューブ内に配置されている。流動可能材料の一部は、例えば、ポリマーペレットを備えることができる。流動可能材料の一部は、カニューレ状チューブのチップに隣接して配置することができる。加熱デバイスは、フレキシブルな回路、および/または、1つまたは複数のサーミスタを備えている。加熱デバイスは、フレキシブルな回路に沿って配置された熱伝導性チューブを備えている。カニューレ状チューブは、加熱デバイスを囲んでいる絶縁チューブを備えている。加熱デバイスは、直列でもって配置された一対をなすサーミスタを備えている。外科用器具は、さらに、双方のサーミスタから受領した信号どうしを比較するとともに、それら信号間に所定以上の差異が存在する場合には、加熱デバイスに対する電力を停止させるよう構成された電子回路を備えている。外科用器具は、さらに、縫合糸付帯デバイスを具備している。縫合糸付帯デバイスは、縫合糸の一部を受領し得るよう構成された小穴またはグルーブを備えている。縫合糸付帯デバイスは、全体的に円筒状とされ、1つまたは複数の周縁リッジを備えている。縫合糸付帯デバイスは、縫合糸付帯デバイスの先端部から径方向に延出された一対をなすウィングを備えている。
【0020】
他の見地においては、本発明は、組織固定のための外科用器具であって、(a)固定手順時に外科医によって保持され得るよう構成されたハンドピースと;(b)このハンドピース上に取り付けられたカニューレ状チューブと;(c)ハンドピース内の供給源からカニューレ状チューブの先端までにわたって縫合糸材料を搬送するとともに、縫合糸の自由端に対して印加される張力を制御し得るような、縫合糸制御デバイスと;を具備していることを特徴とする。
【0021】
本発明は、また、骨に対して組織を固定するための方法であって、この方法においては、(a)骨の第1位置に開口を形成し、(b)この開口に対して、流動可能材料と、縫合糸と、を搬送し、(c)流動可能材料を少なくとも部分的に凝固させ、これにより、開口内において縫合糸の一部を固定する。場合によっては、この方法においては、さらに、(d)縫合糸のうちの、固定部分から延出した自由部分を、軟組織を横切って第2位置にまで引っ張り、(e)その第2位置において骨に第2開口を形成し、(f)この第2開口に対して、流動可能材料と、縫合糸の一部と、を搬送し、(g)流動可能材料を少なくとも部分的に凝固させ、これにより、縫合糸によって、第1位置と第2位置との間に縫い目を形成する。ステップ(d)〜(e)を繰り返すことにより、一連をなす複数の縫い目を形成することができる。縫合糸は、縫合糸材料の供給源から、連続したものとして供給することができる。ステップ(d)とステップ(e)との間においては、縫合糸の自由端に対して張力を付与することができる。
【0022】
さらに他の見地においては、本発明は、骨に対して軟組織を固定するための方法であって、この方法においては、(a)第1位置において軟組織を穿刺し、(b)軟組織の直下の骨に開口を形成し、(c)穿刺組織を通して開口に対して固定デバイスを搬送し、(d)開口の近傍に対して、非液体状態とされた流動可能材料を搬送し、(e)搬送後に流動可能材料を液化させさらに再凝固させ、これにより、開口内において固定デバイスの少なくとも一部をアンカー止めする。
【0023】
本発明は、また、骨に対して軟組織を固定するための方法であって、この方法においては、(a)軟組織の一部を貫通してあるいは軟組織の一部の周囲に縫合糸を通し、(b)骨に開口を形成し、(c)縫合糸付帯デバイス上に縫合糸の延出部分を取り付け、(d)開口内に縫合糸付帯デバイスを挿入し、(e)液体状態でもって、開口内へと流動可能材料を搬送し、(f)流動可能材料を少なくとも部分的に凝固させ、これにより、開口内に縫合糸付帯デバイスを固定する。
【0024】
この方法における様々な実施態様においては、以下の様々な特徴点のうちの1つまたは複数の特徴点を備えることができる。縫合糸付帯デバイスは、非金属材料から形成することができる。例えば、ポリカプロラクトン(PCL)といったような生分解性ポリマーから形成することができる。縫合糸付帯デバイスは、小穴を備え、取付ステップにおいては、小穴にわたって縫合糸を貫通させる。これに代えて、縫合糸付帯デバイスは、この縫合糸付帯デバイスの先端部にグルーブを備えたものとされ、取付ステップにおいては、グルーブ内に縫合糸を着座させる。この方法においては、さらに、開口内に縫合糸付帯デバイスを着座させる。この方法においては、さらに、挿入ステップと搬送ステップとの間において、例えば手動によって、縫合糸に対して張力を付与する。挿入ステップにおいては、縫合糸付帯デバイスは、カニューレ状チューブの端部に取り付けるとともに、開口内にチューブを挿入する。この方法においては、さらに、非液体状態でもって流動可能材料を供給し、流動可能材料を加熱することによって流動可能材料に流動性を付与する。加熱ステップにおいては、流動可能材料に対して隣接配置された加熱部材に対して電力を供給する。加熱部材と流動可能材料とは、カニューレ状チューブ内に配置し、このカニューレ状チューブ上に、縫合糸付帯デバイスを取り付ける。
【0025】
本発明は、また、上述し方法における各ステップを行い得るよう構成された他の外科用器具を特徴とする。好ましい器具は、方法におけるすべてのステップを内視鏡的に行い得るよう構成される。
【0026】
本発明は、また、上述された様々な特徴点の任意の所望の組合せを備えている。例えば、ここに記述された縫合糸制御デバイスは、開口内において材料を加熱し得るよう構成された加熱部材と一緒に使用することができる。同様に、上述した様々な特徴点の他の組合せも、本発明の範囲内である。
【0027】
さらに、上述したものと組み合わせて、他の方法やデバイスを利用することができる。
【0028】
例えば、上述したデバイスを使用することにより、組織の穴内に固定デバイスを固定するための方法を実施することができる。この方法においては、(a)開口に対して流動可能材料を搬送し、(b)材料の状態を変更することにより、開口内に固定デバイスを固定し得るよう材料によって固着(あるいは、干渉留め)を行う。固定デバイスは、また、他の補足手段によって、例えばネジ山付き係合によって、開口内に固定することができる。しかしながら、固定の少なくとも一部は、固着によって行われる。固定デバイスは、例えば、縫合糸や、アンカーや、縫合糸付帯デバイスや、ねじ、を備えることができる。
【0029】
この方法の様々な実施態様は、以下の様々な特徴点のうちの1つまたは複数の特徴点を備えることができる。組織は、骨および/または軟組織を備えている、例えば、開口を有した組織は、骨とすることができ、第2組織は、軟組織とすることができる。変更ステップにおいては、材料を、少なくとも部分的に硬化させる。変更ステップにおいては、材料を、少なくとも部分的に架橋させる。材料は、ポリマーとされ、例えば熱可塑性ポリマーとされる。材料は、ヒドロゲルを備えている。この方法においては、固定デバイスを使用することによって、開口を有した組織に対して、第2組織を固定する。この方法においては、さらに、材料の搬送に先立って、軟組織を穴開けし;骨の直下領域に開口を形成し;穴開けした組織を通して固定デバイスを搬送し;固定デバイスによって、骨に対する適所に軟組織を保持する。固定デバイスが縫合糸を備えている場合には、縫合糸は、例えば結び目や逆棘や編込領域やボール部材や形状部材といったように、表面積が増大された領域を備えることができる。これにより、アンカー止めを増強することができる。
【0030】
骨に対して軟組織をアンカー止めさせる他の方法においては、(a)軟組織を穴開けし;(b)骨の直下領域に開口を形成し;(c)開口に対して流動可能材料を搬送し;(d)開口内に位置していない材料の一部をモールドし、これにより、材料の状態を流動可能状態から比較的流動しない状態へと変更させた後には、固定デバイスによって、骨に対する適所に軟組織を保持する。モールドステップにおいては、例えば、材料の一部を、開口を囲む軟組織の一部上にわたって径方向に延在する形状とすることができる。軟組織上にわたって径方向に延在する形成部分は、開口内の材料と同延のものとすることができ、ボルト状アンカーを形成することができる。
【0031】
他の方法においては、(a)第1位置において軟組織を穴開けし;(b)軟組織の直下の骨に開口を形成し;(c)穴開け組織を通して開口へと固定デバイスを搬送し;(d)開口へと、流動状態でもって流動可能材料を搬送し;(e)比較的流動性の小さな状態へと材料の状態を変更させ、開口内へと固定デバイスの少なくとも一部をアンカー止めする。固定デバイスは、縫合糸とアンカーとねじとからなるグループの中から選択される。これらの方法においては、さらに、(f)第2位置に対して軟組織を横切って縫合糸を引っ張り、(g)第2位置においてステップ(a)〜(e)を繰り返すことによって、第1位置と第2位置との間にわたって縫合糸による縫い目を形成し、この縫い目によって、骨に対して軟組織を固定する。この方法においては、さらに、骨に対する適所に軟組織を保持し得るよう、軟組織を把持することができる。この方法においては、また、(h)縫合糸をカットすることができる。ステップ(a)および(h)は、単一のツールを使用して行うことができ、ステップ(a)〜(d)は、内視鏡的に行うことができる。この方法においては、さらに、次なる位置において、ステップ(f)(g)をの繰返し的に行い、これにより、複数の縫い目からなるラインを形成することができる。ステップ(c)および(d)は、実質的に同時に行うことができる、あるいは、あるいはこれに代えて、ステップ(c)を行った後にステップ(d)を行うことができる。この方法においては、縫合糸材料の供給源から連続的な長さのものとして縫合糸を供給することができる。材料は、ペレット、粉末、チップ、フレーク、あるいは、ロッド、という形態のものとして提供することができる。この方法においては、さらに、材料の搬送の前においても搬送最中においてもまた搬送後においても、材料を融解させることができる。
【0032】
ここに記述されたすべての方法は、以下の様々な特徴点のうちの1つまたは複数の特徴点を備えることができる。方法のすべてのステップは、内視鏡的に行われる。例えば、複数のステップは、多くの付属物を有した単一の内視鏡的外科手術ツールを使用して行われる。ツールは、すべてのステップが完了するまでは、患者から取り除かれない。この方法においては、さらに、骨の破片を、例えば成形ステップ時に形成された骨の破片を、搬送ステップ前にあるいは搬送ステップ時に、材料内へと組み込む。この方法においては、さらに、材料を、小柱網内へと侵入させる。材料は、骨伝導性フィラーを備えている。開口は、ミクロツールを使用して形成される。開口は、約3mm未満という直径を有している。成形ステップにおいては、穿孔や蒸発を行うことができる。すべてのステップは、内視鏡的に行われる。成形ステップにおいては、消費可能な切断ツールを使用して、開口を形成し、搬送ステップにおいては、成形ステップ時に生成された摩擦熱に応じて切断ツールを融解させる。成形ステップにおいては、着脱可能部分を有した切断ツールを使用して開口を形成する。この方法においては、さらに、成形ステップの完了後に、開口内において着脱可能部分を分離する。これにより、固定デバイスとして機能させることができる。成形ステップは、人間の肩の骨内で行われる。
【0033】
ここに記述された組織固定法で使用される他の外科用器具は、例えば、(a)固定手順時に外科医によって保持され得るよう構成されたハンドピースと;(b)このハンドピース上に取り付けられた固定器具と;を具備し、固定器具は、(i)組織を穴開けし得るよう構成され組織内に開口を形成し得る穿孔部材と、(ii)開口に対して、流動可能状態とされた材料と、固定デバイスと、を搬送し得るものとされた管腔と、を備えている。
【0034】
このような外科用器具の様々な実施態様は、以下の様々な特徴点のうちの1つまたは複数の特徴点を備えることができる。固定デバイスは、縫合糸を備えている。外科用器具は、さらに、管腔を通して開口にまで縫合糸を搬送し得るよう構成された縫合糸供給機構を備えている。外科用器具は、内視鏡的に使用し得るよう構成されている。外科用器具は、さらに、溶融状態へと材料を加熱するための加熱部材を備えている。加熱部材は、固定器具上に取り付けられる。縫合糸供給機構は、移動可能な針を備えている。外科用器具は、さらに、縫合糸によって形成された縫い目を締め付け得るよう構成されたプローブを備えている。例えば、固定器具の外表面上に取り付けられたプローブを備えている。プローブは、内視鏡的手術時に外科医によって手動で駆動され得るよう構成される。ハンドピースは、固体の形態で材料を受領するためのリザーバを備えている。リザーバは、材料ペレットの供給源を収容し得るよう構成されている。ハンドピースは、さらに、リザーバから管腔へとペレットを搬送し得る機構を備えている。これに代えて、リザーバは、粉末材料の供給源を収容し得るよう構成され、ハンドピースは、さらに、リザーバから管腔へと所定量の粉末材料を搬送し得る機構を備えている。固定器具は、ハンドピースに対して着脱可能とされている。外科用器具は、さらに、開口に対する搬送の前に、穿孔操作時に生成された骨の破片および残骸を材料に対して混合し得るよう構成された混合デバイスを備えている。外科用器具は、さらに、穿孔部材を駆動し得るよう構成された駆動機構と、縫合糸を使用する場合には、縫合糸供給機構と、を備えている。駆動機構は、ハンドピース内に配置される。外科用器具は、さらに、穿孔部材の駆動源および縫合糸供給機構の駆動源の係合および係合開状態を外科医が選択し得るようなクラッチ機構を備えている。ハンドピースは、固定器具以外の付属物を受領し得るよう構成されている。穿孔部材は、縫合糸をカットし得るよう構成されている。固定器具は、外科手術サイトから固定器具を取り外すことなく、完全な固定手順を行い得るよう構成されている。
【0035】
ここに記述された方法およびデバイスを使用することによって、2つの組織を互いに固定することができる。例えば、(a)2つの組織間にわたって延在する開口を形成し、(b)開口に対して、流動可能状態で、材料を搬送し、(c)材料の状態を、比較的より流動性の小さな状態へと変更し、これにより、材料をアンカーとして機能させて、2つの組織を互いに固定することができる。いくつかの実施形態においては、アンカーは、ボルト状アンカーとされる。2つの組織は、双方とも軟組織とすることができる。
【0036】
ここに記述された方法およびデバイスは、また、他の目的のために、ポリマーの内視鏡的使用を含む外科手術において、使用することができる。例えば、骨欠損の修復や、骨プラグが回収される際に残される穴の充填や、離断性骨軟骨炎外傷の修復や、微少移動を示すACL移植の修復または修正や、脊椎固定や、半月版修復や、骨折の修復、といったような他の目的のために、使用することができる。内視鏡的デバイスおよび技術の使用は、侵襲性を著しく減少させ、その結果、一般的に外傷を少なくし回復を早める。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態による内視鏡的処置における手術環境を概略的に示す斜視図である。
【図2】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図2A】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図2B】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図2C】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図2D】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図2E】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図2F】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図2G】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図2H】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図2I】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図2J】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図2K】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーを形成するという処置を概略的に示す図である。
【図3】図3〜図3Eは、図2〜図2Kに示された方法を行うのに適した外科用器具を示す様々な図であって、図3は、外科用器具の側面図である。
【図3A】図3における領域Aを拡大して詳細に示す斜視図である。
【図3B】図3の外科用器具を示す断面図である。
【図3C】図3の外科用器具を示す分解断面図である。
【図3D】図3Cにおける領域Dを示す分解図である。
【図3E】器具のポリマーカートリッジを拡大して示す分解断面図である。
【図4】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーの代替可能な形成処置を概略的に示す図である。
【図4A】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーの代替可能な形成処置を概略的に示す図である。
【図4B】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーの代替可能な形成処置を概略的に示す図である。
【図4C】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーの代替可能な形成処置を概略的に示す図である。
【図4D】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーの代替可能な形成処置を概略的に示す図である。
【図4E】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーの代替可能な形成処置を概略的に示す図である。
【図4F】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーの代替可能な形成処置を概略的に示す図である。
【図4G】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーの代替可能な形成処置を概略的に示す図である。
【図4H】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーの代替可能な形成処置を概略的に示す図である。
【図4I】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーの代替可能な形成処置を概略的に示す図である。
【図4J】縫合によって連結される一連のポリマーアンカーの代替可能な形成処置を概略的に示す図である。
【図5】軟組織を骨に固定するために縫合糸を使用しないポリマーアンカーを形成する方法を概略的に示す図である。
【図5A】軟組織を骨に固定するために縫合糸を使用しないポリマーアンカーを形成する方法を概略的に示す図である。
【図5B】軟組織を骨に固定するために縫合糸を使用しないポリマーアンカーを形成する方法を概略的に示す図である。
【図5C】軟組織を骨に固定するために縫合糸を使用しないポリマーアンカーを形成する方法を概略的に示す図である。
【図5D】軟組織を骨に固定するために縫合糸を使用しないポリマーアンカーを形成する方法を概略的に示す図である。
【図5E】軟組織を骨に固定するために縫合糸を使用しないポリマーアンカーを形成する方法を概略的に示す図である。
【図5F】軟組織を骨に固定するために縫合糸を使用しないポリマーアンカーを形成する方法を概略的に示す図である。
【図6】図5〜図5Fの処置での使用に適した外科用器具付属物を示す分解断面図である。
【図6A】図6の外科用器具付属物を組み込んだ時の断面図である。
【図7】ハンドピースと、このハンドピースに対して取付可能とされたないくつかの交換可能付属物と、を示す概略的な断面図である。
【図8】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための処置を示す概略的な図である。
【図8A】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための処置を示す概略的な図である。
【図8B】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための処置を示す概略的な図である。
【図8C】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための処置を示す概略的な図である。
【図8D】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための処置を示す概略的な図である。
【図8E】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための処置を示す概略的な図である。
【図8F】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための処置を示す概略的な図である。
【図8G】完成したアンカーの一部を示す斜視図である。
【図9】図8〜図8Fの処置での使用に適した外科用器具付属物を示す断面図である。
【図10】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための代替可能な処置を概略的に示す図である。
【図10A】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための代替可能な処置を概略的に示す図である。
【図10B】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための代替可能な処置を概略的に示す図である。
【図10C】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための代替可能な処置を概略的に示す図である。
【図10D】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための代替可能な処置を概略的に示す図である。
【図10E】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための代替可能な処置を概略的に示す図である。
【図10F】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための代替可能な処置を概略的に示す図である。
【図10G】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための代替可能な処置を概略的に示す図である。
【図10H】ポリマーアンカーを用いて、軟組織を軟組織に固定するための代替可能な処置を概略的に示す図である。
【図11】図10〜図10Hの処置での使用に適した外科用器具付属物を示す断面図である。
【図12】軟組織を骨に固定するための他の処置を概略的に示す図である。
【図12A】軟組織を骨に固定するための他の処置を概略的に示す図である。
【図12B】軟組織を骨に固定するための他の処置を概略的に示す図である。
【図12C】軟組織を骨に固定するための他の処置を概略的に示す図である。
【図12C1】図12Cにおける一部を拡大して詳細に示す図である。
【図12D】軟組織を骨に固定するための他の処置を概略的に示す図である。
【図12E】軟組織を骨に固定するための他の処置を概略的に示す図である。
【図12F】軟組織を骨に固定するための他の処置を概略的に示す図である。
【図12G】軟組織を骨に固定するための他の処置を概略的に示す図である。
【図12H】軟組織を骨に固定するための他の処置を概略的に示す図である。
【図12I】軟組織を骨に固定するための他の処置を概略的に示す図である。
【図13】軟組織を骨に固定するためのさらに他の処置を概略的に示す図である。
【図13A】軟組織を骨に固定するためのさらに他の処置を概略的に示す図である。
【図13B】軟組織を骨に固定するためのさらに他の処置を概略的に示す図である。
【図13C】軟組織を骨に固定するためのさらに他の処置を概略的に示す図である。
【図13D】軟組織を骨に固定するためのさらに他の処置を概略的に示す図である。
【図13E】軟組織を骨に固定するためのさらに他の処置を概略的に示す図である。
【図13E1】図13Eにおける一部を拡大して詳細に示す図である。
【図13E2】図13Eにおける一部を拡大して詳細に示す図である。
【図13F】軟組織を骨に固定するためのさらに他の処置を概略的に示す図である。
【図13F1】図13Fにおける一部を拡大して詳細に示す図である。
【図13G】軟組織を骨に固定するためのさらに他の処置を概略的に示す図である。
【図13H】軟組織を骨に固定するためのさらに他の処置を概略的に示す図である。
【図13I】軟組織を骨に固定するためのさらに他の処置を概略的に示す図である。
【図13I1】図13Iにおける一部を拡大して詳細に示す図である。
【図13J】軟組織を骨に固定するためのさらに他の処置を概略的に示す図である。
【図14】消耗ドリルビットを用いて穿たれる穴を概略的に示す図であって、右上部分の図は、一部を拡大して詳細に示す図である。
【図14A】消耗ドリルビットを用いて穿たれれる穴を概略的に示す図である。
【図14B】消耗ドリルビットを用いて穿たれれる穴を概略的に示す図である。
【図14C】消耗ドリルビットを用いて穿たれれる穴を概略的に示す図である。
【図14D】消耗ドリルビットを用いて穿たれれる穴を概略的に示す図である。
【図15】代替可能な切削工具を示す斜視図である。
【図15A】その代替可能な切削工具を示す側面図である。
【図16】代替可能な切削工具を示す斜視図である。
【図16A】その代替可能な切削工具を示す側面図である。
【図17】閉鎖状態でもって代替可能な切削工具を示す斜視図である。
【図17A】開放状態でもって代替可能な切削工具を示す斜視図である。
【図18】代替可能な切削工具を示す斜視図である。
【図18A】その代替可能な切削工具を示す正面図である。
【図19】代替可能な切削工具を示す斜視図である。
【図20】切削工具を示す斜視図である。
【図20A】その代替可能な切削工具を示す断面図である。
【図20B】使用時の図20および図20Aの切削工具を概略的に示す断面図である。
【図21】様々なタイプの強化型縫合糸を概略的に示す図である。
【図21A】様々なタイプの強化型縫合糸を概略的に示す図である。
【図21B】様々なタイプの強化型縫合糸を概略的に示す図である。
【図21C】様々なタイプの強化型縫合糸を概略的に示す図である。
【図21D】様々なタイプの強化型縫合糸を概略的に示す図である。
【図21E】様々なタイプの強化型縫合糸を概略的に示す図である。
【図21F】様々なタイプの強化型縫合糸を概略的に示す図である。
【図21G】様々なタイプの強化型縫合糸を概略的に示す図である。
【図22】本発明の代替可能な実施形態による外科用器具を示す斜視図である。
【図23】図22の外科用器具における縫合糸制御アセンブリを示す側面図である。
【図23A】図23に示す縫合糸制御アセンブリを拡大して示す断面図である。
【図24】図23の縫合糸制御アセンブリを拡大して示す斜視図であって、ハウジングを取り外した状態で図示がなされている。
【図25】図23の縫合糸制御アセンブリの先端部を大いに拡大して示す斜視図である。
【図25A】図23の縫合糸制御アセンブリの先端部を大いに拡大して、図25とは違う角度から、示す斜視図である。
【図26】縫合糸制御アセンブリにおける縫合糸搬送チューブを示す側面図である。
【図26A】縫合糸搬送チューブの先端部を大いに拡大して示す斜視図である。
【図27】縫合糸制御アセンブリにおける縫合糸変位チューブを示す平面図である。
【図27A】縫合糸変位チューブの先端部を大いに拡大して示す斜視図である。
【図28】縫合糸制御アセンブリの先端部を概略的に示す端面図であって、縫合糸の第1位置を示している。
【図28A】縫合糸制御アセンブリの先端部を概略的に示す端面図であって、第2位置への縫合糸の移動を示している。
【図29】図22に示す外科用器具におけるポリマー搬送アセンブリを拡大して示す断面図である。
【図30】ポリマー搬送アセンブリの先端部を、一部断面を含めて、概略的に示す斜視図であって、ノズルを使用することによって、縫合糸制御アセンブリから骨の穴内へと縫合糸を延出させるとともに、ポリマーを穴内へと注入する様子を示している。
【図30A】ポリマー搬送アセンブリの先端部を、一部断面を含めて、概略的に示す斜視図であって、ノズルを使用することによって、縫合糸制御アセンブリから骨の穴内へと縫合糸を延出させるとともに、ポリマーを穴内へと注入する様子を示している。
【図31】縫合糸制御アセンブリのノズル先端部および内部を大いに拡大して示す斜視図であって、図29の状態を示している。
【図31A】縫合糸制御アセンブリのノズル先端部および内部を大いに拡大して示す斜視図であって、図29Aの状態を示している。
【図32】図29に示すポリマー搬送アセンブリにおけるポリマー搬送デバイスを拡大して示す斜視図であって、ハウジングを取り外した状態で図示されており、アセンブリの内部部材が露出して図示されている。
【図33】図22の外科用器具の先端部を、一部断面でもって、大いに拡大して示す斜視図である。
【図34】ポリマーアンカーの形成手順における各ステップを示す概略的なフローチャートである。
【図35】図23に示す縫合糸制御アセンブリと一緒に使用可能であるような代替可能なポリマー搬送アセンブリを一部断面でもって示す斜視図である。
【図35A】図35のポリマー搬送アセンブリを示す平面図である。
【図35B】図35のポリマー搬送アセンブリを示す側面図である。
【図36】図35のポリマー搬送アセンブリにおいて使用可能であるような加熱部材を示す側面図である。
【図36A】図36における領域36Aを大いに拡大して詳細に示す図である。
【図37】図35〜図35Bに示すポリマー搬送アセンブリと一緒に使用するのに好適であるようなポリマーペレットを示す斜視図である。
【図38】図37に示すポリマーペレットを示す側面図である。
【図38A】図37に示すポリマーペレットを、図38における38A−38Aに沿って示す矢視断面図である。
【図38B】図37に示すポリマーペレットを示す端面図である。
【図39】ポリマーアンカーの代替可能な形成手順における各ステップを示す概略的な図である。
【図39A】ポリマーアンカーの代替可能な形成手順における各ステップを示す概略的な図である。
【図39B】ポリマーアンカーの代替可能な形成手順における各ステップを示す概略的な図である。
【図39C】ポリマーアンカーの代替可能な形成手順における各ステップを示す概略的な図である。
【図40】ハンドピースを示す側面図である。
【図41】ポリマーアンカーを形成するに際してポリマーを搬送するためのデバイスに関し、使い捨て部分を示す側面図である。
【図41A】図41に示す使い捨て部分を示す断面図である。
【図41B】図41Aにおける領域Bを拡大して詳細に示す図である。
【図41C】図41Aにおける領域Cを拡大して詳細に示す図である。
【図42】図41に示す使い捨て部分における内部加熱チューブを示す側面図である。
【図42A】図42における領域Aを拡大して詳細に示す図である。
【図43】図42に示す加熱チューブにおいて使用し得るプリント回路を示す正面図である。
【図44】図41に示す使い捨て部分において使用し得るポリマーペレットを示す側面図である。
【図45】図41Cにおける領域Aを大いに拡大して詳細に示す図である。
【図46】図39〜図39Eに示す方法において使用し得る縫合糸キャリアを示す斜視図である。
【図46A】図39〜図39Eに示す方法において使用し得る縫合糸キャリアを示す正面図である。
【図46B】図39〜図39Eに示す方法において使用し得る縫合糸キャリアを示す側面図である。
【図47】図42Aと同様の図であって、代替可能な実施形態を示しており、この場合には、加熱チューブは、2つのサーミスタを備えている。
【図48】代替可能な縫合糸キャリアを示す側面図である。
【図48A】縫合糸キャリアを、図48におけるA−A線に沿って示す矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1において、手術部位10は、内視鏡装置が挿入されるいくつかの入口12を含む。外科医は、外科用器具16を用いて、以下に詳細に記載されるように、ポリマーアンカーを配置する間、関節鏡14を用いて手術部位を見ることができる。外科用器具16は、一般に、ポリマーアンカーを配置するための器具を示す。本発明の様々な方法での使用に適した具体的な器具の例が以下にさらに詳しく記載される。図1に示される最初のステップにおいて、外科医は以下に記載される外科処置の準備として、シェバー18を用いて軟組織20の一部を取り除き、骨22の表面24を露出させ、出血骨床を作り出す。シェバー18は独立した器具として図1に示されるが、外科用器具16に組み込んでもよい。
【0039】
軟組織を骨に固定する処置が図2から2Kに示される。この処置において、ある領域にわたって骨に軟組織を固定するために、ひと針以上縫う。図2から2Kに示されるステップは、図1に示される環境において内視鏡的に行われる。しかし、理解しやすいように、図2から2Kには、外科用器具16、骨および軟組織しか示されていない。
【0040】
図2から2Kに示されるステップは、縫合処理を行うために構成された内視鏡的外科用器具16を用いて行われる。一般に、外科用器具16は、カニューレ状チューブ、カニューレ管内の切削工具、および、軟組織を穿刺して直下の骨に穴を形成するため切削工具に動力を供給するよう構成された駆動機構、を含む。駆動機構は、以下に記載される理由により、切削工具が所望により回転または往復振動(すなわち、連続する周期の間前後に回転し、各回転周期は360°以下である)できるようにプログラム可能になっている。外科用器具はまた、例えば糸巻きのような縫合糸材料の供給源、カニューレ状チューブを通して縫合糸材料を進めるための機構、固形のポリマー(例えば、粉末またはペレット)の供給源を含むチャンバ、および溶融状態で送りをするためポリマーを溶融させる加熱要素を含む。切削工具が引っ込められると、以下に記載されるように縫合糸およびポリマーがカニューレ状チューブを通って送られ、穴に縫合糸の一部を固定する。任意に、外科用装置は穴に縫合糸を配置するためのカニューレ針を含んでもよい。
【0041】
縫合処置は、外科用器具16を用いて以下のように行われる。最初に、軟組織20が外科用器具16の近位端(すなわち、基端部)19によって適所で保持され、切削工具26(図2A)により穿刺される。切削工具26は、さらに、骨22に穴を形成する(図2A)。次に、切削工具は引っ込められ、縫合糸70が、例えば外科用器具の縫合糸材料(図示せず)のリールから外科用器具16のカニューレ17を通って送られる。図2Bに示されるように、縫合糸が送られる時に通過するカニューレを有するカニューレ針72を穴へ進めることにより、縫合糸70は穴中に配置されてもよい。あるいは、縫合糸は重力またはあらゆる適した方法によって配置されてもよい。
【0042】
縫合糸が配置された後、針(すなわち、ニードル)72は引っ込められ、溶融ポリマー28が縫合糸70の周りの穴に注入される(図2C)。ポリマー28は穴の側壁および底部を通って領域30の小柱網(海面骨)に浸透する。
【0043】
ポリマー28が少なくとも部分的に凝固し、縫合糸を穴に固定したら、外科用器具16は引っ込められ(図2D)、外科用器具が第二部位に移動するのに従って縫合糸70は外科用器具から送出される(図2E)。図3Aに示され、以下にさらに詳しく記載されるとおり、縫合糸70は、器具から送出される時、外科用器具の側面74に伸び上がる逆さL型チャネル69を通って器具を出て行くため、縫合糸は軟組織を穿刺する間も切断されない。
【0044】
外科用器具が第二部位に配置されると、外科用器具は再び軟組織20を所定の位置に保持し、切削工具26は再び軟組織20を穿刺する(図2E)。図2Fに示されるように、切削工具26は次に、往復振動し、第二の穴を形成する。(この段階では切削工具は360°回転できない、というのは縫合糸が切断または損傷されるか、もしくは切削工具に巻きついてしまうためである。したがって、外科医はプログラム可能駆動機構を振動モードに設定する。第一の穴を形成するには〔図2A〕、外科医は、好みにより回転か振動運動のどちらかを使用できる。)縫合糸70は、図2Gに示されるとおり、供給リールから新しい穴に送出され、針72を穴に進めることで配置される(上記のとおり、縫合糸は重力によって配置されてもよい)。
【0045】
プローブ71は、第二の穴付近の骨の表面に対して軟組織を圧縮し、穴の間を通る縫合糸材料を引っ張り、穴の間に形成される「縫い目」を締めて、軟組織を通る縫合糸を締めるのに使用される。針72は縫合糸材料のループ(図示せず)を穴に残して引っ込められ、溶融ポリマー28は縫合糸70(図2H)の周りの第二穴に注入される。
【0046】
第二穴のポリマーが少なくとも部分的に凝固されると、外科用器具16は再び引っ込められる(図2I)。この段階で、縫合糸の「縫い目」76は第一および第二の穴の間を延び、軟組織20の領域20Aを骨22に対してしっかりと保持する。縫合処置は次に、図2Jに示されるとおり、縫合糸を切断することにより終了するか、または図2Kに示されるように、継続して上記の処置を繰り返すことにより縫合の線を形成してもよい。縫い目は一定の長さのものまたは異なる長さのもの(すなわち、d1はd2と等しくても等しくなくてもよい)であってよい。縫合糸は、外科用器具16または別の工具、例えば内視鏡のカニューレを通って挿入されるメスを用いて、処置の最後に切断することができる。
【0047】
上記の処置で使用されるポリマーは、複数のペレットまたは粉末の形で提供されることが好ましく、以下に詳しく記載されるとおり、手術前に外科用器具にあらかじめ充填される。各穴をふさぐのに1つのペレットまたは一回の粉末が使用される。ペレットまたは粉末は注入の直前に溶解し、溶融ポリマーを形成する。
【0048】
図2から2Kに関する上記の処置において、多くの種類の器具が外科用器具16としての使用に適しているであろう。適切な外科用器具の一例である縫合器具50が図3から3Eに示される。
【0049】
器具50は、ハンドピース52および取り外し可能な付属装置54を含む。図7に示され、以下にさらに記載されるとおり、付属装置54は、ハンドピース52に交換可能に取り付けられてもよい多くのモジュラー付属装置の1つである。付属装置は使い捨てのものであってもよい。ハンドピース52は滅菌可能であり、繰り返し、例えば100回以上使用できるよう設計されている。付属装置は、Smith & Nephew,Andover,MAからDYONICSTM(登録商標)というの商品名で市販されているものなど、交換可能な付属物を有する内視鏡的外科用器具で公知であるとおり、ベアリング上でハンドピースにはめ込まれる。
【0050】
図3に関して、ハンドピース52は、外科処置中に外科医によって持たれるよう構成され、以下に記載されるように、外科用器具の機能を制御するため、外科医によって簡単に作動できるよう配置されるスイッチ56a、56b、および56cを含む。ハンドピース52は、アダプタコード39(例えばSmith & Nephewから入手可能なDyonics EP1(登録商標)電源コード)によって電源に接続される。ハンドピース52は、交換可能な成型ノブ、例えばハンドピース52を覆ってパチンとはまり、スイッチ56を出すくぼみを含む二部品式ハウジングなどを備えていてもよく、これによって、よりカスタマイズされたノブが外科医に提供される。
【0051】
図3Bおよび3Cに関して、ハンドピース52は、手術前にポリマーペレット45(図3E)の供給源があらかじめ装填される除去可能なポリマーカートリッジ40、およびポリマーカートリッジを収容するチャンバ41(図3C)を含む。ポリマーカートリッジ40は、並んだスロット42a、42bを含み、このスロットからペレットが穴へと送り出すことができる。
【0052】
送出(すなわち、搬送)のためにカートリッジからペレットを押し出すのに、外科医はスイッチ56aを引く。これにより、歯状カム57がブロック60の傾斜面59にロッド58を押して、ブロック60をスロット42aを経て下方へ移動させることにより、ペレットをスロット42bを通して移動させ、図3Bの断面図に示されていない穴を経てチャンバ43に入れる。ペレットは次いで、穴44(図3D)を通って付属物54の管腔に移っていく。ペレットが投与された後、ブロック60はスプリング61により元の場所へ戻され、偏向する。これによりロッド58および歯状カム57の運動が逆転し、スイッチ56aを通常位置に戻す。ペレットはカートリッジの近位端に進み、スプリング47(図3E)によって、新しいペレットを送出のための所定の位置にスロット42bを経て移動させる。
【0053】
ポリマーペレットは、あらかじめ充填された貯蔵部62aおよび62bから送られた圧縮ガスにより、器具50の送出口61(図3B)へ移動される。ペレットを移動させるのに空気を送り込むため、外科医は、スイッチ56bを前に押して、チャンバ63内の水硬性の液をスプリング64に対して動かし、貯蔵部から付属物54の管腔に圧縮ガスを放出するためバルブ(図示せず)を空にする。
【0054】
切削工具(切削装置176、以下に記載)および縫合糸送出機構は、ともに単一のモータで駆動し、クラッチ機構およびスイッチは、以下に記載されるように、外科医が切削装置の穿刺/穿孔機能および縫合糸送り機能(縫合糸送出機構により実施される)を選択的に作動できるよう提供される。モータは通常OFFになっており、外科医がスイッチ56cを上に押し(図3B、矢印A)コンタクト65をモータ68のコンタクト66に係合させることで作動する。スイッチはキャッチ(図示せず)により係合位置で保持されているので、モータを停止するには、外科医はスイッチを再び上に押さなければならない。その時点でスプリング67はスイッチを通常位置に戻す。
【0055】
外科医は、スイッチ56cを軸に沿って前後に動かすことにより(図3B、矢印B)穿刺/穿孔機能および縫合糸送出機能を選択できる。これにより、部材76が軸方向に移動し、以下にさらに記載されるように、これらの機能の1つを駆動させる一組のギアを係合させ、もう1つの機能を駆動させる一組のギアの係合をはずす。
【0056】
縫合糸送出機能が選択される時、すなわちスイッチ56cが図3Bに示される位置(左側の位置)にある時、モータの駆動軸154に取り付けられたかさ歯車166は、かさ歯車168と係合され、このかさ歯車168は縫合糸供給はめ歯170aを駆動させ、これによって縫合糸172(図3B)は、リール173から送り出される。連続するベアリング174は、外科用器具の送出口61に縫合糸を進める縫合糸供給はめ歯170bから170dを動かす。
【0057】
穿刺/穿孔機能が選択される時、すなわちスイッチ56cが図3Bで右に動く時、はめ歯150の中心のスプライン(図示せず)はモータの駆動軸154の末端152と係合する。同時に、はめ歯150の歯がはめ歯156の歯と係合し、軸158を回転させ、付属物54の切削管164上のかさ歯車162と係合するかさ歯車160を駆動する。かさ歯車160および162の係合は切削装置176を回転させる(または、プログラム可能駆動装置の設定によって切削装置を振動させる)。モータは、穿刺/穿孔機能の選択が解除された時に、ポリマーカートリッジの穴42bとそろうハンドピースのポリマー送り穴と穴44がそろう位置で、回転を停止するようプログラムされる。
【0058】
図3Dに関して、付属物54は、外科用器具が使用のため組み立てられる時に、外側ガイド/加熱装置178に滑り込む内側切削装置176を含む。図3Cに示されるように、器具の組み立て時に、ガイド/過熱装置178は、ハンドピース52にスナップ嵌めされ、切削装置176は、ハンドピース52とガイド/加熱装置174の間にはさまれる。
【0059】
切削装置176は、切削先端180、チャンバ43およびガス吸気口184を形成する部材182、およびかさ歯車162を有するカニューレ切削管164を含む。切削管の末端181は、フラップ弁183を含み、末端181から圧縮ガスが漏れるのを防ぐ。縫合糸送出機能が選択される時は前進する縫合糸の末端の圧力で弁183が開放され、縫合糸は、円錐部185により末端181の穴を通り抜ける。
【0060】
ガイド/加熱装置174は、カニューレガイド管186およびガイド管内にポリマーペレットを溶融するための加熱要素188を含む。ガイド管186は、上記のとおり、縫合糸172を軟組織に押しつけるため、ノブ190を用いて、外科医により軸に沿って(図3および3A、矢印C)動かせる可動プローブ部71を含む。プローブ部は、図3Aにおいてその上方位置にあり、縫合糸が先端から供給される時の隙間を見込む。縫合糸は、ポリマーが投与される前に下げられ(ポリマーがチャネル69を通って漏れるのを防ぐため)、縫い目が形成されると縫合糸を締める。ガイド管186は、軟組織に押し付けられた時に圧力下で引っ込むようばねの力が加えられ、切削先端がばねの力の度合いによって決定される所望の深さまで骨を貫くことを可能にしている。圧力がゆるめられた時、ガイド管は、ばねの力により偏向し、通常の伸長位置に戻る。ガイド/加熱装置はさらに、取り外し可能にハンドピースにスナップ嵌めされる付属物200を含む。
【0061】
このように、図2から2Kに示される上記の処置において縫合器具50を使用するには、外科医は、まず、ポリマーカートリッジ40を取り付けることによりポリマーの供給源を器具50にあらかじめ装填し、プログラム可能駆動機構を所望通りにあらかじめプログラムし、プローブ部71をその下方位置に移動させる。外科医は次いで、装置の送出口61を軟組織に押し付け、スイッチ56cを適切な位置に動かして穿刺/穿孔機能を選択し、軟組織を穿刺して穴を形成する。次に、外科医はスイッチ56cを動かして縫合糸送出機能を選択し、望ましい量の縫合糸材料を穴に送る。縫合糸の送出の後、外科医はスイッチ56cを動かして駆動モータを停止し(穿刺/穿孔機能および縫合糸送出機能をともに切る)、スイッチ56aを引き、スイッチ56bを前に押してポリマーを穴に送る。ポリマーが少なくとも部分的に凝固すれば、外科医は、プローブ部71を引き上げ、スイッチ56cを動かして縫合糸送出機能を選択し、器具50を第二部位に移動させながら縫合糸を送り出す。第二部位において、外科医はスイッチ56cを動かして穿刺/穿孔機能を選択し、第二の穴を形成する。外科医は、さらにスイッチ56cを動かして縫合糸送出機能を選択し、望ましい量の縫合糸を穴に送り、スイッチ56cを動かして駆動モータを停止させ、プローブ部71を下げて穴間の「縫い目」を締め、スイッチ56aおよび56bを動かしてポリマーを穴に送る。これらのステップを所望の数の縫い目を形成するのに繰り返す。
【0062】
所望であれば、外科用器具は、切削処置を全く行わずにポリマーを送るのに使用されてもよい。
【0063】
縫い目の並びを形成する別の処置が、図4から4Gに示される。この処置において、穴の形成中に発生した骨片および破片は充填剤としてポリマーに組み込まれる。骨片および破片はここに記載されるすべての処置において同様にポリマーに組み込まれることができることに留意されたい。図4から4Gに示される処置は、骨片および破片を穴から抽出するための吸引装置ならびに骨片および破片をポリマーに導入するための混合室および混合装置をさらに含む点以外は外科用器具16に類似する外科用器具116を用いて行われる。
【0064】
図4および4Aに関して、上記のとおり、外科用器具116を用いて軟組織20が穿刺され、穴が骨22に穿孔される。この実施態様において、切削工具はのこぎり状先端82を有する有孔ドリル80(おろし金に類似する)である。ドリルの先端がのこぎり状のため、外科用器具は、軟組織20が穿刺されるまで、軟組織20の表面に垂直よりも図4の角度Aに示されるようにある程度の傾斜をもって手に持たれるのが好ましい。図4Bに概略的に示されるように、穿孔中、生じた骨片および破片84は穴から吸い出されドリルのカニューレを吸い上げられる。骨片/破片は次に、円筒状切削工具の胴と、処置のこの時点は膨らまされ(図4C、矢印A)、針90で浮かせたバルーン隔壁88とにより形成される一時的チャンバ86内に保持される。図4Dに示されるとおり、外科医は次いで針90を通して縫合糸70を送出し、同時にポリマーをチャンバ86に添加し、ポリマーを骨片/破片84と混合する(矢印A)。ポリマーは、手術前にあらかじめ充填された貯蔵部から粉末形状で給気を使用してチャンバ86に送り込まれる。混合は、例えば針90に取り付けられたメビウスの帯89のようないかなる所望の混合装置を用いて行うことができる。ポリマーは、混合中または後に加熱される。ポリマーが溶融すれば、重力の力によってポリマー混合物が穴に流れ込むよう隔壁88をしぼませることにより(図4E)、ポリマー/骨片混合物92は一時的チャンバ86から穴へと送られる。外科医は、従来バルーンカテーテルを作動させるのと同様の方法で、隔壁をふくらませたりしぼませる外科用装置のスイッチを操作することにより隔壁をしぼませる。図4Fから4Jに示されるこの処置の残りのステップは、穿孔される度に骨片および破片が回収され、ポリマーに混合される以外は、図2Eから2Jに示される上記のステップと同様に行われる。
【0065】
単一のボルトのようなポリマーアンカーを形成するために利用される、代わりの外科処置が図5から5Fに示される。この処置は、軟組織を穿刺し、骨に穴を形成するための切削工具;ポリマーの供給源およびポリマーを溶融するための加熱要素;切削工具を導き、ポリマーを穴に送るためのカニューレ状チューブ;およびボルト様アンカーの「ヘッド」を形づくるための成型孔を形成するよう構成された複合物(compounder)を含む外科用器具216を利用する。
【0066】
図5から5Fに関して、外科用器具216は、軟組織20に押し当てられ、軟組織は次に骨表面24に押し当てられ(図5)、例えばドリルビット26のような切削工具は軟組織20を穿刺し、骨22に穴を形成するのに使用される(図5A)。切削工具は次に引っ込められ(図5B、矢印A)、溶融ポリマー28(例えば上記のように溶融される)が外科用器具216のカニューレを通って穴に注入される(図5B、矢印B)。
【0067】
次に、複合物(コンパウンダ)34(前のステップで引っ込められた外科用器具16の一部)が伸ばされて(図5C、矢印A)、コンパウンダの先端36を軟組織20に押し当て、軟組織20を骨表面24に接して維持する。その間、ポリマーが通り送られる外科用器具16のカニューレ頭部32は少しだけ引っ込められ、コンパウンダの円筒形の壁で小さい成型用チャンバを形成する。ポリマーは外科用器具のカニューレを通って送られ続け、成型用チャンバに充填され、ポリマーの「ボルトヘッド」38(図5D)を形成する。ボルトヘッド38は、軟組織20を通って伸びる穴内のポリマーと一体化している。このように、ポリマーは、軟組織を骨に固定するボルトのようなアンカーを形成する(図5Eおよび5F)。
【0068】
図5Eおよび5Fに示されるとおり、この処置は、外科用器具16を取り除き(図5E、矢印A)、ボルトヘッドの頂部の余分なポリマーを切り取ることにより完了する。ポリマーを切り取る方法は示していないが、もしこのステップが必要であれば、外科用器具16に付属するはさみを用いて、またはメスなどの別個の装置を用いて行うことができる。
【0069】
図5から5Fに示されるこの処置は、図3から3Dに示される上記のハンドピース52に取り付けられ、図6に示される付属物225を用いて行うことができる。ハンドピース52は、本発明の様々な処置での使用に適している、多様な交換可能な付属物と使用することができる。例えば、図7に示されるとおり、ハンドピースは、縫合処置を行うための付属物54と使用されてもよいし、図5から5Fに示される処置を用いてボルトのようなポリマーアンカーを形成するための付属物225と使用されてもよいし、以下に記載される軟組織の軟組織への固定処置を行うための付属物250および300と使用されてもよい。
【0070】
付属物225は、ポリマーペレットを収容するためのチャンバまたは穴を含まないという点以外は上記の付属物54と類似している。代わりに、ポリマーロッド226(図6A)が縫合糸送出機能を用いてハンドピース内を進む。ポリマーロッド226は、その遠位端228にグロメット(図示せず)を含み、末端181’からガスが漏れるのを防ぐ。また、ガイド/加熱装置178’は上記のとおり成型用チャンバ229を形成するコンパウンダ227を含む。コンパウンダ227は、図5Cから5Eに関して上記に記載のように、外科医により軸方向に移動される。
【0071】
別の実施態様において、固定方法が、軟組織を軟組織に付着させるために提供される。これらの固定方法は、例えば腹腔鏡的手術での使用に適している。軟組織の軟組織への固定処置および装置は図8から11に示され、以下に記載される。
【0072】
ポリマー「リベット」を形成する第一の処置が図8から8Fに示される。この処置は、軟組織を穿刺するための鋭い先端を有する、軸に沿って可動な内管、および内管から温気および冷気を送出するためのいくつかの開口部とつながるカニューレーションを一般的に含む外科用器具316を用いる。外科用装置は、リベットを形成するため送られる空気によって軟化および成型されるポリマーシースが取り付けられた外管、および空気を導き、リベット形にポリマーシースを成型するためのフランジを含み、外管を囲むコンパウンダを含む。
【0073】
図8に関して、軟組織の2つの部分20a、20bは、公知の外科技術を用いて共に加圧される(図8、矢印A)。次に、外科用装置316の軸に沿って移動可能な内管253(図9)の先端251が軟組織を穿孔する(図8A)。ポリマーシース252は、外管257に取り付けられ、ポリマーシースの一部分252aが軟組織を通って反対側から外にでる。ポリマーシースは、外管257上の隆起255によって所定の位置に維持される。外管257は、以下に記載する機能を有するコンパウンダ259によって囲まれる。
【0074】
次いで、温気(図8B、矢印H)が先端251の側開口部254から外に導かれ、冷気(図8B、矢印C)は先端開口部256から外に導かれる。温気はポリマーシースを溶融し、冷気はそれを軟組織(図8D)に対して押し下げる(図8B、矢印D)。先端から押し出される気圧と側開口部254の大きさとの関係により、温気は先端で発生する。
【0075】
次いで、側開口部254がポリマーシースの一部分252bと並ぶまで、器具250の内管253がポリマーシースの中を引っ込める(図8C)。温気は側開口部254を通って導き出され(図8D、矢印H)、部分252bを溶融する。次いで、コンパウンダ259のフランジ260が部分252bに押し当てられる一方、冷気が先端開口部256を通って導き出され(図8E)、軟組織に対して所定の位置で部分252bを凝固する(図8F)間、空気は、部分252bを軟組織に押し当てるものとしても使用されるフランジ260によって導かれる。外科用器具316は、次いで、軟組織をしっかりと一緒に保持するリベットのようなアンカー262(図8G)を残して引き抜かれる(図8F)。
【0076】
図8から8Fに示される上記の処置を行うのに適した外科用器具316を形成するため、ハンドピース52と使用される外科用器具付属物250が図9に示される。付属物250は、図8から8Fについて上記に記載した要素を含み、上記の付属物54と同様の方法でハンドピース52に取り付けることができる。
【0077】
軟組織を軟組織に固定するための別の処置が、図10から10Hに示される。この処置は、軟組織を穿刺するための鋭い先端を有する内管およびポリマーを送るためのカニューレーションを一般に含む外科用器具416を用いて行われる。外科用器具416は、内管に多孔性のシースを離脱可能に取り付けるための装置も含む。
【0078】
図8および8Aについて上記に記載したように、最初に、軟組織は加圧され、外科用装置416の鋭い先端によって穿刺される(図10、10A)。例えば編み組みまたはメッシュなどの多孔質のシース302の遠位端306は離脱可能なチャック304によってつかまれる。シースの遠位端(すなわち、先端)306付近の小さいポリマー溶接部(図示せず)は、穿刺ステップ中にシースが押し戻されるのを防ぐ。
【0079】
内管308は次いで、わずかに引っ込められて(図10B)、ポリマー溶接部を壊し、シース302を所定の位置に残し、溶融ポリマー28が内管308の中央カニューレーションを下って先端開口部310から外に送られる(図10C、10D)。ポリマーは、シース302から開放末端から流れ出て、さらにメッシュまたは編み組みの開放構造を抜け通って、軟組織の上面にポリマーの「小塊」312a形成し、シースの側壁を軟組織の開口部の側壁に付着させる(図10D)。次いで内管308はさらに引っ込められる一方、開口部310を通してポリマーを送り続け、シースをポリマーで充填し、小塊312aの反対側の軟組織にポリマーの「小塊」312bが形成される。このように、ポリマーは軟組織を貫通して伸びるボルトのようなアンカーを形成する。
【0080】
処置を完了するために、チャック304(図10G)からシースがはずされ、付属物300が取り外され、余分なシース材料が切り取られる(図10H)。
【0081】
外科用器具416を形成するためにハンドピース52と一緒に使用されるのに適した付属物300が図11に示される。付属物300は図10から10Hに関して上に記載された要素を含み、上記の付属物54と同様の方法でハンドピース52に取り付けられることができる。
【0082】
軟組織を骨に固定する別の処置が図12から12Iに示される。この処置において、骨芯はポリマーアンカー内に骨伝導性媒体を提供するため使用される。この処置は、開口部の底部から上方に伸びる骨芯を残しながら骨に形成することが可能な切削工具を含む外科用器具516を用いて行われる。外科用器具516は、管状縫合糸を芯上に配置し、ポリマーを開口部へ送るよう構成されている。
【0083】
最初に、軟組織が穿刺され、穴が穿たれる(図12から12B)。穴は、骨芯330を穴に残すよう構成されたカニューレ切削工具331(図12C)を用いて穿たれる。例えば編み組み中空縫合糸のような可撓性スリーブ332は、図12Cに示されるように、芯330上に配置される。次いで、ポリマー28が、スリーブ332および芯330の周囲の穴(図12D、12E)へ送られ、スリーブ332に含浸される。外科用器具(図12F、12G)を引っ込めながら、より多くのポリマーを送り、軟組織の表面上に小塊334を形成して、軟組織を骨に固定する(図12H)。余分な材料は次いで切り落とされる(図12I)。アンカー内での骨芯の存在は、骨の再建を増進させる傾向があるため、骨芯が存在しない場合より、縫合糸はより速く骨に埋め込まれるかもしれない。
【0084】
軟組織の骨へのもう1つ別の固定処置が図13から13Jに示される。この処置において、縫合糸はポリマーを用いて穴に固定され、固定装置340は、軟組織の上の縫合糸の周囲に配置され、そして付着されて軟組織を所定の位置で機械的に締め付ける。この処置は、クリアランスが少ない部分で衝突を防ぐのに有用な高さの低いアンカーを提供する。この処置は、軟組織を穿刺し、その下の骨に穴を形成するための切削工具、縫合糸およびポリマーを穴に送り、固定装置の縫合糸の周囲への展開するためのカニューレ状チューブ、および軟組織を骨に押し当て、固定装置を軟組織に押し当てるためのコンパウンダを含む外科用器具616を用いて行われる。
【0085】
図13から13Cに示されるように、例えば図2から2Kに示される処置に関して上記に記載のとおり、軟組織は穿刺され、穴が形成され、縫合糸およびポリマーは送られる。次に、軟組織をコンパウンダ335(図13D)で押さえつけながら、伸展可能固定装置340は縫合糸の周囲に配置され、軟組織を所定の位置(図13Eから13G)に締め付ける。伸展可能固定装置340は、穴346を有する中央領域341と、この中央領域から放射状に伸びる複数のウィング354を含む。ウィング354は、開放位置(図13F)に向かってウィングを偏向させる復原力を有する一方で、この装置がカニューレを通過して配置できるように圧縮位置(図13E)にウィングが移動できるプラスチックの蝶番によって中央領域341に接合される。こうして固定装置340は、縫合糸347を中央の穴346に通して、圧縮され送り管339中に入れられ、カニューレプローブ343で固定装置340を押し下げることによって設置される(図13Eから13G)。固定装置がコンパウンダ335を出ると、ウィング354が通常位置(図13F)へと外側に広がり、コンパウンダ335が固定装置340を押し下げて軟組織に対して固定装置が平らになるようにする(図13G)。ウィング354の逆棘342は、固定装置340を軟組織に対して適所に平らな状態で保存する。縫合糸347は次いで切られ(図13H)、ポリマー344の小塊は固定装置の頂部に送られ、小塊346を覆い、縫合糸に付着し、固定装置を所定の場所に固定する(図13Iおよび13J)。固定装置340は、吸収性プラスチックで形成されるのが好ましい。
【0086】
多くの異なる種類の切削工具が本発明の処置に使用されてもよい。一般に、ポリマーの穴の周囲の小柱網への浸潤を妨げることがあるため、切削工具は骨片および破片を穴の側壁に詰め込まないのが好ましい。したがって、例えば圧縮型ドリルよりツイストドリルが一般的に好まれる。使用されてもよいいくつかの種類の切削工具が以下に記載される。
【0087】
図14から14Dに関して、切削工具は消耗しうるドリルビット94であってもよい。すなわち、ドリルビットは、穴を充填するために摩擦によって生じる熱のため穿孔中に溶融されるポリマーで形成される(図14Bから14C)。縫合糸95は、ポリマーと共に送出され、外科用器具が引き抜かれる時は残されるようドリルビット94に取り付けられる(図14D)。この場合、ドリルビットは、皮質骨を貫くのに十分な硬さおよび穿刺中にポリマーが溶融されるのに十分な薄さをドリルに提供するために必要な厚さの多孔性セラミックの極薄層でコーティングされるのが一般的に好ましい。セラッミクは焼成、プラズマコーティング、沈着、または他の適切な方法によって塗布される。あるいは、薄い中空の予備成型物が形成され、ポリマーで充填されてもよい。好ましいポリマーは、穿孔摩擦下で溶融されるのに十分に低い溶融点、およびドリルビットに機械的強度を与えるのに十分な強度を有する。縫合糸95は、穿孔が十分に熱を生じなければ、ポリマー溶融を助ける加熱要素として使用できるよう熱伝導性であってよい。
【0088】
図15から20は各種の適切な切削工具の形状を示す。
【0089】
図15および15Aは開口部96およびシース98を含む孔つきドリル100を示す。孔つきドリル100は、ポリマーへの導入のために骨片/破片が回収される時(図4から4Jに関して上記に記載したように)、および切削工具が回転よりむしろ振動する必要がある時(例えば縫い目間で縫合糸が切断または破損するのを防ぐため)に有用である。
【0090】
図16から16Aは、送出のために縫合糸を通すことができる開口部104を含むブレード103と、縫合糸およびポリマー送出のための管腔106を形成する筒105とを有する形成先端部102を示す。管腔106は、通常、実質的に開口部104と同軸である。
【0091】
図17から17Aは、突き錐110を示す。突き錐110は、閉鎖時に(図17に示す)ドリル型先端を形成する複数の収納式「花弁(petal)」112を含む。開放時には(図17Aに示す)、花弁112はポリマーおよび縫合糸を管腔114を通して送ることができる。花弁は、スプリング機構(図示せず)または他の適切なアクチュエータを用いて開けたり閉じたりされてもよい。
【0092】
図18から18Aは、開放管腔124に交差するように放射状に伸びるブレード122を有する切削頭部120を示す。ブレード先端の間の開放部分は結び目のある縫合糸の送出を可能にする小穴126を形成する。
【0093】
図19は、複数の鋸歯状切削/研磨管128、ポリマーおよび縫合糸を通過させて送ることができる中央管腔130、および吸引により骨片/破片を切削部位から取り出すための抽出管を含む穿孔器を示す。所望であれば、抽出管の内容物は穿孔器の筒、または外科用器具の他の場所、骨片/破片をポリマーの送り前にポリマーに混合できる部位に送り込まれてもよい。
【0094】
図20から20Bは、ポリマーおよび縫合糸のための送り経路136を有するツイストドリルビット134を示す。送り経路の内壁138は、ドリルビットの先端140近傍で骨「芯」142(図20B)が所望でない場合、これを分解させるよう表面があらくてもよい。
【0095】
切削はレーザー、超音波、またはウォータージェット切削のような他の技術を用いても遂行されることができる。例えば、ウォータージェット切削は、手術室にある生理食塩水を用いて行われてもよい。この実施態様において、外科用器具にはウォータージェットに動力を供給するための動力発生機、および生理食塩水の供給を外科用器具に差し込むことができるアダプタが含まれる。他の適切な技術は、粉砕圧痕、熱針ドリリング、例えばRF剥離および骨の熱分離ならびに低温凍結破砕を含む。いくつかの実施態様において、切削方法は例えば2 mm以下、好ましくは1.5 mm以下の極小直径の穴を形成可能であるのが好ましい。そのような小さな直径の穴を形成するために、切削は微小工具加工を用いて行われてもよい。本発明の多くの処置において通常の骨アンカーは不要なため、穴はそのようなアンカーの直径より小さく作られてもよく、それによってより多くの皮質骨を保存し、外傷を制限し、アンカーの引き抜き強度を潜在的に向上させる。例えば3mm以下の極小直径の穴が使用される時、皮質骨は穴の上に再び成長し、アンカーの強度をさらに向上させる。
【0096】
上記の実施態様において、ポリマーは、粉末またはペレットの形で通常供給されるが、いかなる所望の形で提供されてもよい。例えば、ポリマーは、例えばオートクレーブまたは熱浴などの手術室で使用できる装置を用いて加熱可能なカートリッジに含まれてもよい。このように、カートリッジは手術前に余熱されてもよく、その後にポリマーの送りのためにカートリッジに穴を開けるようにした外科用器具(図示せず)に挿入される。表面積を増やすことによって溶融時間を減らすため、ポリマーはロッド、または繊維(ファイル)もしくはストランドの形で提供されてもよい。
【0097】
ポリマーは、いかなる適切な方法を用いて加熱することができる。好ましい方法は、送出部位の組織および骨への過熱および起こりうる熱傷を避けるため、溶解温度よりわずかに高い温度まで制御された方法で、ポリマーを加熱するものである。外科的処置を早めるため、ポリマーがカートリッジで提供され、予熱(例えばオートクレーブ内で)されていなければ、加熱は2分以下であることが好ましい。適切な方法の1つは上記のように手術部位に加熱要素を備える。加熱要素は、ポリマーの過熱を防ぐため、サーモスタットで制御されるのが好ましい。他の適切な加熱要素は、超音波(穴を形成するのにも用いられてもよい)、外科用器具の駆動機構のポリマーを加熱するための使用、ポリマーに埋め込まれた伝導性縫合糸の加熱フィラメントとしての使用、レーザー(例えばポリマー中に標識染料を含み、送出部位の組織を燃やさずポリマーを溶融させるレーザ周波数を用いることにより)、および電子加熱、ならびに誘導加熱を含む。
【0098】
縫合糸材料は、もし使用されるのであれば、吸収性または非吸収性であってよい。引き抜き強度を上げるため、より大きい表面および際立った表面あらさを得るため、縫合糸材料は一般に、モノフィラメント状よりも編み組みされたものであるのが好ましい。しかし、所望であれば、モノフィラメントを使用してもよい。編み組み中の隙間がポリマーの浸潤を促進するためゆるい編み組みが一般的に好まれる。縫合糸の「鳥の巣」配列は、縫合糸を穴に送り込み、それをゆるく穴に積み上げることにより形成される。縫合糸はポリマーコーティングを含まないのが好ましい。適切な縫合糸材料はポリエステル、例えばナイロン(登録商標)のようなポリアミド、ポリブテステル(polybutester)、ポリグリコール酸、ポリグリコネート、ポリ−L−乳酸およびポリジオキサノンを含む。縫合糸は、高い引き張り強さ、すなわち引き出し試験中の破損モードが未熟な縫合糸の破損にならないよう十分な強度を有するのが一般的に好ましい。
【0099】
縫合糸は、さらにいかなる所望の特性または増強物を含んでもよい。例えば、縫合糸は、図21から21Gに示される1つ以上の縫合糸増強物;すなわち結び目400または結び目束402(図21および21D);球体404(図21Cおよび21E);例えばより大きい直径部分のような造形要素406(図21A);可撓性四方コネクタ408(図21B)またはt−バー412(図21G)、もしくは複数の逆棘410(図21F)を含んでもよい。もし縫合糸が所定の位置に固定された後、図21から21Gに示される縫合糸増強物が軟組織の上面に位置していれば、軟組織を骨に対して所定の位置に固定するであろう。もし穴に位置し、ポリマーに囲まれれば、これらの特性は、縫合糸の引き抜きの耐性を上げる。これらの機能または他の機能を提供する他の特性もまた使用されてもよい。
【0100】
他の多くのタイプの外科用器具を使用することによって、上述した手順を行うことができる。例えば、代替可能な外科用器具420は、図22〜32の中で示され、詳細に後述される。この外科用器具を使用すると、縫合糸を、縫い目どうしの間において容易に引っ張り得るとともに、制御された態様で外科用器具から供給することができ、さらに、骨穴内に正確に位置決めすることができる。
【0101】
図22においては、外科用器具420は、縫合糸制御アセンブリ422と、ポリマー搬送アセンブリ424と、を備えている。縫合糸制御アセンブリ422は、(図23に示されているように)ポリマー搬送アセンブリ424なしで、単独で使用され、これにより、位置決めや張力付与や縫合糸材料供給を行うことができる。縫合糸制御アセンブリ422は、縫合糸張力付与デバイス426を備えている。この縫合糸張力付与デバイス426は、縫合糸の張力を所望レベルに維持するとともに、縫合糸の位置を制御する。縫合糸制御アセンブリ422は、さらに、供給用チューブアセンブリ428を備えている。この供給用チューブアセンブリ428は、縫合糸を通過させて穴へと案内する。供給用チューブアセンブリ428は、図22に示すように、後述するように、外側チューブ430と、この外側チューブ430内に配置された他の複数のチューブと、を備えている。
【0102】
ポリマー搬送アセンブリ424は、外科医によって縫合糸制御アセンブリ422上に取り付けられるものであって、骨穴内において縫合糸の位置決めを行うことができ、穴に対してポリマーを供給することができる。供給用チューブアセンブリ428は、管腔432を形成する。この管腔432は、図22に示すように、ポリマー搬送アセンブリが縫合糸制御アセンブリ上に取り付けられる場合に、ポリマー搬送アセンブリ424の搬送チューブアセンブリ522(図29)を受領し得るような寸法とされている。管腔432は、また、骨内に穴を開けるためのドリルビット(示されない)を受領し得るような寸法とされている。縫合糸制御アセンブリおよびポリマー搬送アセンブリの構造および機能については、後述する。
【0103】
図23においては、縫合糸制御アセンブリ422は、ハウジング434を備えている。このハウジング434は、外科医によって保持され得るものとされかつ縫合糸ロック/変位ノブ436が設けられたハンドル部分433と、手動張力付与ノブ438と、を備えている。ハウジング434は、さらに、取付部分435を備えている。この取付部分435から、軟組織を穿孔して保持するための複数のポイント442を有した先端440のところまでにわたって、供給用チューブアセンブリ428が、延在している。外側チューブ430は、取付部分435上に固定される。
【0104】
図23Aおよび図25Aにおいては、供給用チューブアセンブリ428は、さらに、外側チューブ430内に入れ子状として、縫合糸搬送チューブ444(図26および図26A)と、縫合糸変位チューブ446(図27および図27A)と、を備えている。縫合糸搬送チューブ444は、縫合糸変位チューブ446と外側チューブ430との間に介装されている。搬送チューブ444および変位チューブ446は、外側チューブ430に対して移動可能なものとして、取り付けられている。縫合糸搬送チューブ444は、供給用チューブアセンブリを通して縫合糸を案内し得るとともに、先端部440の所定位置に縫合糸をロックし得るように、構成されている。縫合糸変位チューブ446は、先端部440のところにおける縫合糸の位置を制御し得るものとして構成されている。これらの機能については、詳細に後述する。
【0105】
縫合糸は、スプリング制御デバイス448によって、張力が付与される。図23Aおよび図24に示すように、スプリング制御デバイス448は、供給されるべき縫合糸452が巻回されている縫合糸スプール450と、スプリングスプール454と、縫合糸スプールの張出部分458とスプリングスプール454との間に延在する一定力スプリング456と、を備えている。スプリングスプール456は、縫合糸452が縫合糸制御アセンブリから供給される際には、縫合糸452に対して一定の張力を維持する。外科医は、縫合糸スプール450上に取り付けられた手動張力付与ノブ438を回転させることによって、手動で補足的に張力を印加することができる。
【0106】
図24に示されているように、縫合糸452は、縫合糸スプール450から、取付部分435の開口460を通して、さらに、縫合糸搬送チューブ444(図26)の基端部のところにおいて取付部分464の開口462を通して、上向きに、縫合糸搬送チューブ444の長手方向に延在しているガイドチャネル466内へと、供給される。縫合糸452は、ガイドチャネル466に沿って移動し、縫合糸制御アセンブリ422の先端部440のところから導出される(図25Aおよび図33)。先端部440から導出される場合、外科医は、縫合糸を、図28および図33に示すように、管腔430の中心を横切るようにして引っ張ることができ、表面470(図25)の滑らかな半径によってガイドされつつ、外側チューブ430(図25および図25A)のスロット468内へと引っ張ることができる。スロット468の角度は、縫合糸452を所定位置に保持することを補助する。
【0107】
縫合糸は、縫合糸搬送チューブ444を先端側へと(図23A、矢印A)進めることにより、適所に(スロット468の中で捕らえられた適所に)ロックされる。その結果、搬送チューブ444(図25および図26A)のリップ472は、スロット468(図25および図28)の上端474と接触する。縫合糸のこのロックは、スプリング制御デバイス448によって印加された張力によって、縫合糸が、縫合糸搬送アセンブリ内へと引き込まれてしまうことを、防止する。この特徴により、外科医は、縫合途中においておよび/または縫合完了後に、縫合糸を見失うことなく縫合糸をカットすることができる。重要なことには、ロック機能は、さらに、外科医が、縫い目どうしの間に所望の張力をロックすること可能とする。例えば、手動張力付与ノブ438を使用して張力を手動でセットした後において、所望の張力をロックすること可能とする。さらに、ロック機能は、縫合糸がスロット468から逸脱しないように、縫合糸を維持する。
【0108】
図23Aおよび図26に示すように、搬送チューブ444は、45°いう円弧に沿って縫合糸ロック/変位ノブ436を回転させることによって、先端側へと進められる。搬送チューブ444の基端部のところに位置した取付部材464は、ピン留め(示されない)されており、このため、回転することができない。ピン(示されない)は、取付部材464(図26)の螺旋形スロット461内へと、ノブ436から、延出されている。したがって、ノブ436が45°だけ回転する場合、ピンは、螺旋形スロットのアーチ形カム表面463と係合し、搬送チューブ444を前方側へと駆動する。ノブ436が逆向きに回転駆動された場合には、カム表面463に対してのピンの係合が、搬送チューブの引込を引き起こす。
【0109】
外科医が骨に穴を開けるに際しては、管腔432の中央から縫合糸252を変位させる必要がある。これにより、ドリル用ビットを、管腔を通して挿入することができる。縫合糸は、図28Aにおいては、この変位位置でもって示されている。縫合糸を変位させるには、縫合糸変位チューブ446を、180°にわたって回転させる(図28、矢印B)。これにより、図28Aに示されているように、縫合糸変位チューブ(図27A)のリップ476が、縫合糸452に対して接触し、縫合糸452を上向きに押し上げる。
【0110】
図23Aおよび図27に示すように、縫合糸変位チューブ446は、縫合糸ロック/変位ノブ436をさらに180°にわたって回転駆動させることにより、回転駆動される。搬送チューブのスロット461内へとノブ436から延出されてる同じピンは、変位チューブ446の基端部に位置した取付部材476内のスロット475の中へと、さらに延出されている。スロット475は、上述したように縫合糸をロックするために必要とされる最初の45°の分だけノブを回転させた後にピンがスロットの一端から逸脱し得るよう、周縁回りにおいて十分に短いものとされている。ピンがスロットから逸脱した後には、ピンは、スロットの底部に対して係合し、変位チューブ446を回転駆動する。ノブ436が45°にわたって回転したことやまた180°にわたって回転したことを外科医に知らせるために、凹所(図示せず)が設けられる。
【0111】
リターンスプリング445は、縫合糸変位チューブをその通常位置(図28の中で示される位置)へと付勢するような回転バイアス力を提供する。バイアススプリングが無ければ、ノブ436が180°にわたって戻り回転駆動されたときには、「ロックされ、かつ、変位していない」ものとされ、縫合糸変位チューブは、その通常位置から45°だけ後方側へと変位することとなる。スプリング445は、非ロック位置にまでずっとノブ436を移動させることなく、縫合糸変位チューブをその通常位置へと戻すのに必要な付加的な力を提供する。その結果、縫合糸は、図28Aに示す位置から図28に示す位置へと、縫合糸をロックすることなく、移動することができる。この特徴の利点は、以下においては縫合手順について説明する際に、明瞭となるであろう。
【0112】
図29に示すように、ポリマー搬送アセンブリ424は、搬送デバイス520(図32に詳細に示される)と、搬送チューブアセンブリ522と、を備えている。これら構成部材につき、以下、順に説明する。
【0113】
図30〜図31Aは、アセンブリの様々な構成部材の図示のために、一部の部材を取り除いた状態でもって、搬送チューブアセンブリ522の先端部524を詳細に示す図である。外科用器具の使用時に搬送チューブアセンブリ522を取り囲むこととなる縫合糸供給用チューブアセンブリ428は、図示の明瞭化のために、図30〜図31Aにおいては、図示が省略されている。搬送チューブアセンブリ522は、図33の中で、供給用チューブアセンブリ428内の適所において図示されている。
【0114】
図30〜図31Aに示すように、搬送用チューブアセンブリ522は、外側ガイドチューブ526と、内側ポリマー搬送チューブ528と、これらの2本のチューブ間に配置されたような、例えばエッチングされた箔から形成されたチューブといったような、加熱部材530と、を備えている。絶縁シールド532が、ガイドチューブ526の先端部に配置されている。ノズル534は、搬送チューブ528の先端部のところにおいて、付属部材536上に取り付けられている。外科用器具の使用時には、ノズル534は、詳細に後述するように、延出位置(図30および図31)と退避位置(図30Aおよび図31A)との間にわたって移動する。
【0115】
図31および図31Aに示すように、ノズル534は、中空であって、搬送チューブ528を通って流れるポリマーを受領するとともに、ポリマーを導出し得る開口538を備えている。ノズルは、さらに、長手方向グルーブ540を備えている。このグルーブ540は、ノズルを、絶縁シールド532上の対応するリッジ542によってスライド移動させるように、案内することができる。グルーブ540は、さらに、図30および図33に示されているように、縫合糸452を付帯するようにも機能する。
【0116】
図29および図32に詳細に示すように、ポリマー搬送デバイス520は、ノズルを延出させこれにより縫合糸を穴内へと進めるための機構と、計量された量のポリマーを搬送するための機構と、を備えている。
【0117】
ノズルの延出に関して、外側ガイドチューブ526の基端部525は、スプリングを備えたカバー部材544上に取り付けられる。このカバー部材544は、このカバー部材544に対して印加された圧力に応答して、外側ガイドチューブ526を、ノズル534に対して引っ込めることを可能にする。図22に示されているように、外科医が、ポリマー搬送アセンブリ424を、縫合糸制御アセンブリ422上に取り付ける場合、カバー部材544は、縫合糸制御アセンブリ422(図23A)の受領部材546内に着座する。外科医が、2つのアセンブリを互いに押し込んだときには、カバー部材544内のスプリング548(図32)は、圧縮され、その結果、外側ガイドチューブ526を退避させ、これにより、ガイドチューブに対してノズル534を延出させることができる。
【0118】
さて、計量された量のポリマーを搬送ための機構に関し、図29および図32を参照して説明する。ポリマー搬送デバイス520は、ハウジング550と、このハウジング上に取り付けられたトリガ552と、を備えている。トリガ552は、外科医が握り締め操作を行うことによって駆動される。トリガを握り締めると(図29、矢印A)、シャフト552が押圧され、これにより、歯付きギヤラック554が押圧される。ギヤラックが下向きに移動したときには、ギヤラックは、一対をなすピン(図示せず)によって、前向きに押し込まれる(図32、矢印B)。その一対をなすピン(図示せず)は、ラックの側部から突出していて、ハウジング内の、対応する角度付きガイドスロット556(図32)に対して係合している。この前向き移動は、ギヤラックを、同時的に、ギヤ558に対して係合させる。シャフト560は、この回転を、ギヤ562に対して伝達し、これにより、ギヤ564を逆向きに回転させる。ギヤラック554およびギヤ558、562、564は、トリガを完全に握り締めることによって各ギヤが完全に1回転し得るように、構成されている。
【0119】
ギヤ564は、ネジ山付き内表面を有しているとともに、ネジ山付き外表面を有したプランジャー566上に取り付けられている。ギヤ566は、並進運動することなく回転し得るよう、保持手段(図示せず)によって適所に保持されている。プランジャー566は、回転し得ないよう、適所にピン留めされている。しかしながら、プランジャーの両サイドから突出しているピン(示されない)は、周囲のヒータースリーブ567内の対応スロット内に配置されており、プランジャーを軸方向に移動させることができる。その結果、ギヤ564の回転により、プランジャー566が、軸方向に前進駆動される。
【0120】
プランジャー566の前方に位置したリザーバ568は、加熱源570によって融解されたポリマー供給源を収容している。したがって、プランジャー566が前進する際には、リザーバ568から、搬送チューブアセンブリ522の搬送チューブ528内へと、ポリマーが供給される。プランジャーは、ポリマーに関するシールを形成するためのo−リング溝(示されない)を備えている。リザーバおよび搬送チューブは、ポリマーの供給源に対して予め収容されている。その結果、ポリマーは、トリガが初めて圧搾される時でも、搬送チューブの先端から直ちに流れることとなる。プランジャー566が、トリガ552の個々の完全な圧搾時に所定距離だけ移動することにより、外科医は、各圧搾ごとに、計量された所定量のポリマーを供給することができる。ポリマーの供給が使い尽くされたときには、ポリマー搬送デバイスが廃棄される。
【0121】
加熱源570は、加熱部材530の基端部とすることができる、あるいは、個別の部材とすることができる。いずれの場合においても、様々なレベルの加熱を、リザーバのところにおいて、搬送チューブの長手方向に沿って印加することができる。例えば、より多くの熱を、搬送チューブの長手方向に沿ってよりも、リザーバのところに印加することができる。加熱部材530の先端部に対する加熱を停止するためのスイッチ(示されない)を設けることが、望ましい。その結果、搬送チューブ528の先端部におけるポリマーは、各搬送後に凝固し、そのため、ポリマーの流れを止めることができる。光インジケータまたは他のインジケータ(示されない)を、ハウジング550上に設けることができる。これにより、供給のためにポリマーが十分に融解したかどうかを、外科医に対して知らせることができる。
【0122】
トリガ552が解放された場合、トリガ552は、カートリッジ572内に設けられたリターンスプリング(示されない)によって、通常の非圧縮位置へと復帰する。ギヤラック554が上向きに移動する際には、ギヤラック554は、ギヤ558との係合を解除し、これにより、ギヤ558が逆向きに回転することを防止する。ギヤラック554とギヤ558との係合解除は、非係合状態に向けてラックを付勢するリターンスプリング(示されない)によって、容易なものとされる。
【0123】
外科医が容易に正確に2つのアセンブリを位置合わせし得るよう、縫合糸制御アセンブリおよびポリマー搬送アセンブリは、位置合わせ手段(例えば、図示されていないものの、一方のアセンブリ上に設けられた位置決めピン、および、他方のアセンブリ上に設けられた対応受領スロット)を備えている。正確な位置合わせは、図33に示すように、ノズル534を正確に位置決めして縫合糸452を確実に採取し得るという点において、重要である。2つのアセンブリは、また、一般に、ロック手段を備えている。例えば、2つのアセンブリを着脱可能に互いにロックし得るような、対応するボールプランジャおよび凹所(図示せず)といったような、ロック手段を備えている。
【0124】
外科用器具420を使用した手順が、図34に概略的に示されている。
【0125】
外科医は、図23に示されているように、縫合糸制御アセンブリ422を単独で使用して、手順を開始する。外科用器具を使用する前に、外科医は、45°という円弧に沿って縫合糸ロック/変位ノブ436を回転させることにより、適所に縫合糸をロックし、ノブ436をさらに180°にわたって回転させることにより、縫合糸を変位させて、縫合糸が外科用器具(図28Aの中で示されたように)の管腔を横切って延在しないものとする(ステップ1)。その後、外科医は、外科手術サイトに器具を配置し、第1縫い目のための所望位置において軟組織に接近させる。
【0126】
その後、外科医は、管腔を通してドリルを挿入し、骨内に穴を開ける。穴開け後に、外科医は、ノブ436を逆向きに回転させ、縫合糸を「ポンと弾いて」、縫合糸を、再度、管腔(図28)を横切るようにして延在させる。外科医は、ノブ436を180°だけ回転させ、これにより、縫合糸を「弾く」とともに、なおも適所にロックする。所望に応じて、その後、外科医は、手動張力付与ノブ438を回転させることにより、手動で縫合糸に張力を付与することができる(ステップ2)。
【0127】
この段階で、図22に示されているように、外科医は、縫合糸制御アセンブリ422上に、ポリマー搬送アセンブリ424を組み立てる。上述したように、外科医が2つのアセンブリを互いに押圧することによって、ノズル534が、ガイドチューブ526(図31)から延出され、穴(図30)内へと縫合糸を導入する。その後、外科医は、ポリマー搬送アセンブリ424のトリガ552を圧搾し(すなわち、握り締め)、これにより、計量された量のポリマーを穴に対して供給する(ステップ3)。外科医が、より多くのポリマーが必要であると判断した場合には、外科医は、トリガを再度圧搾することによって、追加のポリマーを供給することとなる。ポリマーの供給後には、ノズル534を、引っ込める。その後の手順を行う前に、外科医は、ポリマーが少なくとも部分的に凝固するのを待つ。例えば、約30秒間だけ待つ。
【0128】
追加の縫い目を形成するには、外科医は、ノブ436を、逆向きにさらに45°にわたって回転させ、これにより、縫合糸のロックを解除する。その後、外科医は、外科用器具の先端440を軸方向に引っ張り、これにより、スロット468から縫合糸を除去する。これにより、外科医は、凝固したポリマーから器具を引き出すことができる。その後、外科医は、縫合糸を再度スロット468に対して係合させ、先端440を所望の向きに横方向に移動させ、これにより、縫合糸452を、スプール450から解けさせる(ステップ4)。このステップの間、縫合糸に対しては、スプリング制御デバイス448によって印加された摩擦力によって、張力が付与される。縫合糸は、摩擦係合によって、あるいは、他の手段によって、例えば、上述したような45°の凹所に類似したような45°未満の付加的凹所といったような他の手段によって、スロット内の適所に保持することができる。
【0129】
外科医が、次の縫い目のための所望位置へと到着した場合、もし望まれれば、外科医は、手動で縫合糸の張力を調節し、適所に縫合糸をロックする(ステップ5)。その後、外科医は、上述した各ステップを繰り返すことができる。
【0130】
外科医が、縫合糸をカットしたい場合には、外科医は、縫合糸をロックされた位置に配置し、例えば一般に利用可能な切断ツールといったような個別デバイスを使用して、縫合糸をカットする。
【0131】
代替可能なポリマー搬送デバイス620は、骨穴に対してポリマーペレットを供給しポリマーを生体内で融解するためのものであって、図35〜図35Bを参照して、詳細に後述する。このポリマー搬送デバイスは、上述したポリマー搬送アセンブリ422の代わりとして使用することができ、同じあるいは同様の縫合糸制御アセンブリと一緒に使用することができる。
【0132】
ポリマー搬送デバイス620は、ハウジング621と、このハウジングから突出しているコックレバー622および駆動624と、を備えている。ハウジングは、長尺の加熱部材628(図36の中で示され、後述される)を受領するための開口626と、クランプ627と、加熱部材628が貫通して延在している搬送チューブ630に関する適所に長尺加熱部材628をクランプするためのセットネジ629と、を形成している。
【0133】
プランジャーチューブ632は、ハウジングから先端側へと延出されており、加熱部材628を受領するための管腔を形成している。プランジャーチューブは、基端部635のところにスプリング636が設けられているラム634上に、取り付けられている。プランジャーチューブは、コックレバー622を矢印Aの向きに軸方向に引くことにより、スプリング636による付勢力に抗して、「コック」位置へと移動することができる。
【0134】
レバー622は、コック位置(図示されている)と解除された前方位置(図示されていない)との間にわたって、スロット638内をスライドする。コック位置においては、ラムが、スプリング636による付勢力に抗して、後方向きに駆動され、駆動ボタン624が取り付けられているアーム645によって、適所に保持される。通常は、アーム645は、アームの自由端のところに位置したリップ654がラム634のスロット656に対して係合した状態へと、スプリング646によって付勢されている。リップは、ボタン624を押下することにより、スロットから係合解除することができる。これにより、ラムが、スプリング636による付勢力に基づいて、前方側へと(矢印B)付勢される。これにより、プランジャーチューブ632が、延出位置へと、前進駆動される。
【0135】
搬送チューブ630の先端部640は、ラム634の先端部に形成された穴内へとスライド可能に取り付けられる。その結果、搬送チューブは、ラム634とは無関係に、軸方向に移動することができる。搬送チューブは、スプリング642によって基端向きに付勢される。搬送チューブ630は、搬送チューブ上の受領スロット648と係合しているフィンガー644によって、スプリング642による付勢力に抗した位置において、適所に軸方向に保持される。フィンガー644は、スプリング646によってスロットに向けて付勢されており、駆動ボタン624を押下することによって、スロット648から持ち上げ得るようになっている。ボタン624に対して印加された圧力は、ピボット647回りにおいて、フィンガー644とアーム645とを外向きに挟み付け、これにより、ラムと搬送チューブとの双方を同時に解放する。フィンガー644が持ち上げられたときには、搬送チューブ630は、ハウジング内において軸方向に自由にスライドすることができ、その結果、搬送チューブ630は、スプリング642による付勢力を受けて、後方向きに(矢印C)スライドする。したがって、ラムとプランジャーチューブとが、前方側に付勢され、加熱部材628が内部に保持されている搬送チューブが、同時に引っ込められる。
【0136】
外科医が、プランジャーチューブを引っ込めて加熱部材を延出したいと思った場合には、外科医は、コックレバー622を引っ張る。コックレバーは、リップ654が再度スロット656内に係合したコック位置に向けて、ラムと一緒に前方側に駆動される。外科医は、また、搬送チューブ630を前方向きに押す。これにより、スロット648内にフィンガー644を係合させることができる。
【0137】
搬送チューブ630およびラム634の軸方向移動は、ピン650によって案内される。ピン650は、ハウジングの内壁上に取り付けられており、搬送チューブおよびラムの中の位置合わせされた複数のスロットを貫通している(搬送チューブのスロットは、スロット652として図示されている。一方、ラムのスロットは、図示されていない)。ポリマー搬送アセンブリ620は、位置決めピン658および660によって、縫合糸制御アセンブリに対して位置合わせされている。
【0138】
図36に示す加熱部材628は、長尺部分662を備えている。この長尺部分662は、プランジャーチューブ632の管腔内へと挿入され得るような寸法とされている。長尺部分662の基端部は、一対をなす電流導通ワイヤ664に対して接続されており、長尺部分662の先端部は、加熱部分666に対して接続されている。長尺部分662は、ステンレススチールチューブ661(図36A)を備え、このチューブ内に、例えば磁石ワイヤといったような非常に導電性の大きな絶縁されたワイヤ(図36および図36Aには、図示されていない)を有している。ステンレススチールチューブ661は、例えばヒートシンク材料といったような、絶縁カバー663によって覆われている。ステンレスチューブは、高抵抗の非メッキ部分670を除いて、長さ全体にわたってメッキされている(図36Aにおいては、露出したメッキ部分668によって示されている)。ステンレスチューブは、クリンプチップ領域672のところにおいて、クリンプによって、ワイヤに対して接続され、これにより、回路を完成させ、メッキしたチューブを、電流の戻り経路として機能させる。非メッキ部分670においては、電流は、ステンレススチールの導電性が小さいことにより、高抵抗に遭遇し、その結果、この部分を加熱することとなる。チューブの長手方向の残部は、メッキ部分の導電性が大きいことによりすなわちメッキ部分の電気抵抗が小さいことにより、顕著には加熱されることがない。
【0139】
加熱部材628のクリンプチップ672は、チップ672を受領するための対応開口673および穴675を有した長尺ポリマーペレット671(図37〜図38B)を受領し得るような形状とされている。高抵抗部分の長さは、ポリマーペレットの長さとほぼ同じであるように選択されている。その結果、熱は、ペレットの長さ全体に沿って一様に伝達される。ペレットは、上述したノズル534内のグルーブ540と同様であるようなグルーブ677を備えており、グルーブ677は、縫合糸を受領して付帯し得るような寸法とされている。
【0140】
ポリマー搬送デバイス620は、ステップ3を例外として、図34に関して上述したのと同様の手順で使用される。ステップ3においては、融解したポリマーの注入を行うことに代えて、外科医は、ポリマーのペレットを供給する。ペレットは、加熱部材628のチップ672上に配置されることによって、さらに、ポリマー搬送デバイス620の開口626内へと、搬送チューブ630の管腔とプランジャーチューブ632の管腔とを貫通させて、加熱部材628を挿入することにより、搬送される。加熱部材が挿入されたときには、外科医は、コックレバー622を引き戻す。これにより、プランジャーチューブを、リップ654が再度スロット656内に係合している退避位置へと、引っ込める。外科医は、さらに、搬送チューブ630を前方側に押し込む。これにより、スロット648内にフィンガー644を係合させる。
【0141】
上述したように、ペレット671のチップ(先端)は、ノズル534上のグルーブ540と同様であるようなグルーブ677を備えている。加熱部材が延出される場合、グルーブ677は、縫合糸を採取して、上述された手順におけるノズル534と同じ態様で、穴に対してペレットを搬送する。その後、外科医は、加熱部材628の加熱部分670を活性化し、これにより、ポリマーペレットを融解させる。
【0142】
ペレットを融解させた後に、外科医は、ポリマー搬送デバイス上の駆動ボタンを押下する。これにより、穴から加熱部材628が取り出され、プランジャーチューブ632が前方側へと弾き出され、これにより、穴内において融解ポリマーを圧縮させる。
【0143】
骨に対して軟組織を固定するための他の代替可能な方法が、図39〜図39Eに示されている。この方法によれば、外科医は、まず最初に、例えばカニューレ状チューブ702(図39)を通して挿入された従来的縫合糸通し(図示せず)を使用することによって、縫合糸700を、軟組織701の回りに通すあるいはその軟組織701を貫通させる。縫合糸は、このステップの間には、カニューレ状チューブ702内に保持されることができる。その後、ドリルガイド704を、カニューレ状チューブ内に挿入する。縫合糸700の自由端706は、ドリルガイド(図39A)上の栓708に対して固定される。次に、ドリルガイド704を通して挿入されたドリル712を使用して、骨710内に、穴が開けられる。ドリル712は、穿孔時に損傷を受けないよう、縫合糸を保護するためのスリーブ(図示せず)を備えることができる。
【0144】
穴が開けられた後、ドリルが、取り出される。縫合糸キャリア714(例えば図46〜図46Bの中で示されかつ詳細に後述するような縫合糸キャリア)が、縫合糸700(図39C)の両自由端706上に通され、カニューレ状チューブ702(図39D)内にに挿入される。縫合糸キャリア714は、搬送デバイス718のチューブアセンブリ716の先端によって運ばれつつ、縫合糸をスライドさせる。適切な搬送デバイスの例は、図40〜図42の中で示され、詳細に後述する。もし望まれれば、外科医は、搬送デバイス(図39D、矢印A)の平らな表面720を軽く叩くことができ、これにより、骨710の穴内に縫合糸キャリアを着座させることができる。その後、外科医は、適切な負荷でもって骨に対して組織に接近させるよう、縫合糸に張力を付与するとともに、栓708上において、縫合糸の端部をロックする。
【0145】
次に、ポリマーは、搬送デバイス718によって、例えば詳細に後述するようにチューブアセンブリ716内に付帯されたポリマーペレットを溶かすことによって、穴に対して搬送される。上述したように、ポリマーを、少なくとも部分的に凝固させることができ、その後、縫合糸を、ポリマー(図39E)に接近させて、カットすることができる。縫合糸は、従来の縫合糸切断ツール722を使用してカットすることができる。
【0146】
図40〜図42は、例えば図39〜図39Eに図示されかつ上述した方法における使用に適したような、搬送デバイスを示している。搬送デバイス718は、使い捨て部分726が着脱可能に取り付けられているハンドピース724(図40)を備えている。
【0147】
ハンドピースは、安全ロックレバー725を有したトリガ723を備えている。ポリマーの搬送を開始するには、外科医は、ロックレバー725を変位させ、これにより、トリガを解放し、その後、トリガ(図40、矢印A)を圧搾する。トリガの圧搾によって、ハンドピース内の機構(図示せず)を駆動させることができ、例えばギヤラックを駆動させることができ、これにより、骨穴へと融解ポリマーを注入することができる。駆動の後に、ロックレバー725は、自動的に再ロックする、例えばリターンスプリング(示されない)によって、自動的に再ロックする。ハンドピース724は、さらに、ハンドピースを押し込んで上述したように骨穴内に縫合糸キャリアを着座させる場合に外科医がパームレストとして使用することができるレスト727と、例えばLEDといったようなものであって、ポリマーの状態を示すことができるようなインジケータライト729と、を備えている。例えば、LEDは、外科医に対して様々な信号を供給することができる。例えば、
デバイスが暖気中であることを示す際には、安定したアンバーライトを示すことができ、ポリマーが十分に溶けたことを示す際には、安定した緑色ライトを示すことができ、また、機能不調を示す際には、点滅アンバーライトを示すことができる(この場合には、ヒーターに対する電力が自動的に停止されることとなる)。
【0148】
使い捨て部分は、チューブアセンブリ716と、アダプタ728と、を備えている。アダプタ728は、ハンドピースに対してチューブアセンブリ716を接続し得るよう構成されているとともに、ハンドピースから使い捨て部分に対して電力を伝達し得るよう構成されている。例えば、ハンドピース上のピン(図示せず)を、アダプタ上の電気的ピンレセプタクル729(図41B)に対して係合させることによって、電力を伝達し得るよう構成されている。アダプタは、さらに、ハンドピース上の対応するリードスイッチあるいは近接スイッチと係合する磁石を備えることができる。また、ハンドピースは、スイッチが磁石を検出した場合にのみ電力が伝達されるように、構成することができる。これにより、使い捨て部分が適所にない場合には、ハンドピース上には「導通した」が存在しないこととなる。アダプタは、さらに、キー溝という特徴点を備えることができる。これにより、アダプタに対してハンドピースが捻れることを防止することができ、これにより、ピンが損傷してしまう可能性を低減することができる。
【0149】
図41Cに示されているように、チューブアセンブリ716は、例えばポリスルホンといったような絶縁性プラスチックから形成された外側絶縁チューブ730と、内側加熱チューブ732と、押込ロッド739と、を備えている。ポリマーペレット734は、加熱チューブ732内に配置される。図44に詳細に示されるように、ポリマーペレットは、全体的に円筒状であるとともに、複数の突起733を備えることができる。これら突起733は、クラッシュリブとして機能し、摩擦によって加熱チューブ732内の適所にペレットを保持することを可能とする。加熱チューブ732は、後述するように、ポリマーを融解させる。押込ロッド739は、加熱チューブ732からの融解済みポリマーを押し込み得るよう構成されており、骨穴に対して融解済みポリマーを搬送することができる。押込ロッド739は、片持ち部分(スナップフィットビームに対して、構造的に類似している)を有したリターンスプリング743を備えている。これにより、トリガが解除された後に、すなわち、穴に対してポリマーが供給された後に、プッシュロッドをわずかに引っ込めることができる。この引込は、プッシュロッドの引込によって全体的に加熱チューブ732内へと過剰分の融解ポリマーが戻り吸収される際に、チューブアセンブリ716の開口した先端のところにポリマーストリングが形成されることを防止する傾向がある。
【0150】
図42Aに詳細に示すように、加熱チューブ732は、金属チューブ(例えばステンレススチール)736と、チューブ736を囲む加熱部材738と、を備えている。加熱部材738は、熱収縮ラップ740によって保護されている。熱収縮ラップ740の一部は、図42Aにおいては、明瞭化のために図示が省略されている。サーミスタ742は、熱収縮ラップと加熱部材との間で配置されており、これにより、使用時には、加熱部材の温度を測定することができる。サーミスタからのデータは、ハンドピース内の電子回路に対して伝達される。電子回路は、過度の加熱が検出されたときには、加熱部材に対して供給される電流を調節するあるいは停止させる。もし望まれれば、2つ以上のサーミスタを、例えば図47に示されているようにして、直列接続することができる。これにより、一方のサーミスタが故障した場合であっても、バックアップを提供することができる。これにより、ポリマー過熱や組織損傷といったようなリスクを低減または除去することができる。ハンドピース内の電子回路は、2つのサーミスタからの信号を連続的に比較し実質的な違いが検出された場合には加熱部材への電力供給を停止させるような回路を備えることができる。サーミスタと加熱部材との間に、箔を配置することができる。これにより、サーミスタの位置におけるポイント的な値ではなく、箔の表面全体にわたっての「平均値」を提供することができる。
【0151】
加熱部材として好適に使用し得るフレキシブルな回路744の一例が、図43に示されている。この回路は、例えばデュポン社から市販されているKAPTON(登録商標)フィルムといったような絶縁性フィルムから、形成することができる。あるいは、例えばInconel(登録商標)といったような導電性材料によってエッチングやプリントすることができる。回路は、異なるワット密度およびしたがって異なる加熱レベルを有した複数のゾーンを提供し得るように、構成されている。図43および図42の双方において、加熱チューブ内のポリマーペレットの位置に対して全体的に対応した、ゾーンA〜Cは、ポリマーを融解し得る程度に十分に高温である。加熱チューブの先端に最も接近しているゾーンAは、最も高温であり、ゾーンB,Cの各々は、ゾーンAよりもわずかに低温である。ゾーンD(加熱チューブのうちの、ポリマーが配置されない部分に対応したゾーン)は、比較的低温である。加熱チューブの先端の近く(ゾーンA)は、比較的大きく加熱される。これにより、外側絶縁チューブによって断熱性が小さなこの領域におけるポリマーの凝固を制限することができる。ソルダーパッド746が、ソルダー領域S内に配置されている。このソルダー領域Sには、リード線が接続されていて、回路に対して電力を供給し得るとともに、サーミスタから信号を受領することができる。リード線は、上述したように、ピンレセプタクル729に対して接続される。
【0152】
適切な縫合糸キャリア714の一例が、図46〜図46Bに示されている。図45は、チューブ716の先端の形状を拡大して示している。それは、縫合糸キャリア714を付帯し得るよう構成されている。一般に、縫合糸キャリア714は、修理に関する長期的な強度をもたらすことを意図したものではなく、その代わりに、穴へ縫合糸を運びこと、および、外科医が縫合糸に張力を与え得ること、を意図したものである。したがって、縫合糸キャリアは、例えば金属といったような高強度材料から形成される必要はなく、実際、、ポリマーやあるいは他の生体適合性非金属材料から形成されることが一般に好まれる。場合によっては、縫合糸キャリア714は、生分解性材料から形成することができる。好ましくは、縫合糸キャリアは、図示されているように、複数の周縁リッジ749を備えている。これにより、ある程度のアンカー止め強度をもたらすことができる(少なくとも、縫合糸に対する張力付与時に、縫合糸キャリアが穴から引き抜かれることを防止し得る程度に十分であるような、アンカー止め強度をもたらすことができる)。
【0153】
外科医が、縫合糸キャリア714内にわたって縫合糸を糸通しし得るよう、縫合糸キャリアは、小穴748を備えている。もし望まれれば、この開口を省略することができ、縫合糸キャリアの先端に形成されかつ縫合糸を着座させ得るグルーブ(例えば、図48および図48Aに示すような、縫合糸キャリア804内のグルーブ802)によって代替することができる。この場合、グルーブは、グルーブ802の基部のところに拡径領域806(図48)を備えることができ、この中に、縫合糸を捕捉することができる。
【0154】
図46〜図46Bを再び参照すると、一対をなすチャネル750は、縫合糸キャリアの基端部に向けて小穴から基端向きに延在している。これにより、縫合糸を受領することができる。これらチャネルは、さらに、融解ポリマーが縫合糸キャリアのまわりで流れるために経路を提供することができる。縫合糸キャリアの先端上のウィング753は、さらに、ポリマーの流通のための空間を提供することができる、および/または、外科医が縫合糸に対して張力を付与し得るスペースを骨穴内に形成することができる。
【0155】
各チャネルの基端領域754は、チューブ716(図45)の先端のリップ758上のフラット領域756に対応したような、キー溝という特徴点を提供する。このようなキー溝特徴物の係合は、チューブの先端内の縫合糸キャリアの回転を制限する。縫合糸キャリアの曲面761上に配置されたクラッシュリブ759は、チューブ716の先端内に摩擦によって固定的に適所に縫合糸キャリアを保持することを補助する。チューブ716の先端の外表面762上の傾斜部分760は、縫合糸をチャネル750から延出させる際に縫合糸を受領する。一方、対向穴764は、チューブ716内において縫合糸キャリアの基端面に当接する。この基端面は、係合表面をなす。これにより、外科医は、縫合糸キャリアに対して押圧することができ、骨穴内に着座させることができる。
【0156】
上述した各種方法において使用するのに適切なポリマーは、体内での使用が許容でき、手術部位へ溶融状態で送ることができる熱可塑性物質である。ポリマーは、注入中の組織および骨への熱損傷を防ぐため、比較的低い溶融温度を有するのが好ましい。最適な送出性のために、ポリマーは、0.6dl/gより大きいような、好ましくは約0.6から0.7dl/gというような、本来的な粘度、および約60,000Mwより大きい、好ましくは約60,000〜70,000Mwという平均分子量を有するのが一般的に好ましい。本来的な粘度は、米国特許第5,679,723号明細書の第4カラム、第33〜36行目に記載の試験を用いてクロロホルム中で測定される。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。
【0157】
好ましくは、使用されるポリマーは、例えばポリカプロラクトン(PCL)のような、自然治癒過程中にゆっくりと再吸収される吸収性ポリマーを含む。ポリマーは、また、例えばポリプロピレン、ポリアセタール、ポリエチレンまたはポリウレタンなどの非吸収性ポリマーを含んでもよい。ポリマーは、また、異なる割合で再吸収される異なる吸収性ポリマーの混合物、例えば以下のポリマー2つ以上の混合物を含んでもよい:ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ−l−乳酸、ポリ−DL−乳酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリグリコネート、ポリトリメチレンカーボネート、および、ポリ−L−乳酸、ポリ−DL−乳酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリグリコネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ(ヒドロキシアルコネート)(PHB、PHO、PHV)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(擬似アミノ酸)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(エステル−無水物)、ポリオキサレート、およびポリサッカリドのコポリマー。他の適切なポリマーは、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(4PHB)およびポリ(アルキレンオキサレート)を含む。
【0158】
ポリマーが吸収されると、残りの多孔性ポリマーが小柱網に類似するので、ポリマーの分解を起こす破骨細胞および新しい骨を生む骨芽細胞の浸潤を促進する。ポリマーへの骨の成長を促進するために、ポリマーは骨伝導性充填剤、例えばヒドロキシアパタイト(HA)、硫酸カルシウム、燐酸三カルシウム、対生物作用ガラス、アラレ石、方解石、およびこれら充填剤の混合物などを含むのが好ましい。適切なレベルの骨伝導性充填剤は、ポリマーの送出性を許容できないほど減少させることなく、骨の成長を促進する。好ましいレベルは一般的に、約0から40体積%、最も好ましくは約30から40体積%である。従来の骨伝導性充填剤の代わり、もしくはそれに加えて、ポリマーは上記のとおり骨片および破片を含んでもよい。もし骨片が別の充填剤無しで使用されれば、ポリマーは約0から60重量%、より好ましくは約20から50重量%の骨片を含むのが一般的に好ましい。
【0159】
上記の処置は、回旋筋腱板の修復;肩の不安定性の修復(例えば、SLAP、バンカート障害、関節リップ再付着);ACL自家移植片および同種移植片(例えば骨−膝蓋骨腱−骨、大腿半薄筋〔semigracilis〕、腱筋〔tendinosis〕、大腿四頭筋自家移植片)を付着させるためのアンカー、ねじ、および締まり嵌めねじの修復または補充;およびACL修復または修正手術(例えば、固定手段のゆるみによる微小移動、および続いて起こる移植片の移動がある場合、またはACL修復における骨空洞に滑膜液が流れるのを防ぐためシーラントとして)を含む多くの種類の軟組織固定に使用されてもよい。
【0160】
ポリマーの内視鏡的送出は、軟骨修復、モザイク形成における採取部位欠損の充填術、自家移植片の希釈剤、小さい骨の破片の再固着、離断性骨軟骨炎(OCD)(すなわち、剥片を所定の位置に留めないで、注入可能なポリマーを用いて、内視鏡的に骨または軟骨の離れた剥片を再付着させる)、脊椎固定のため、半月板修復、負荷のかからない骨の骨折修復、特に傷つけた骨または欠陥のある骨における長い骨の骨折のための海綿骨/皮質螺子の補充または増強、軟組織を軟組織に再付着させる、または軟組織を骨に再付着させるための腹腔鏡的処置における縫合糸固定装置の補充または増強、および顔の再建を助ける形成外科などの他の用途に使用されてもよい。
【0161】
本発明によるアンカーは、一般に、優れた引き抜き強度を提供する。引き抜き強度は、縫合糸、縫合糸増強物、縫合糸の数および使用されるポリマーによって異なる。例えば、もし比較的弱い縫合糸材料が使用され、破損のモードが縫合糸の切断である場合、引き抜き強度の減少が観察される。しかし、以下に記載される試験手順のいずれか(試験処置1および2)に従って試験される時、本発明の好ましいアンカーは一般的に少なくとも150ニュートンの引き抜き強度を提供し、一部のアンカーは300ニュートンを超える強度を提供する。引き抜き強度は、以下の試験処置を用いて、死体サンプル(肩)および鋸歯状骨ブロック(人工骨)で測定される。
【0162】
引き抜き試験手順
試験手順1:死体サンプル
使用される全ての肩は新鮮な標本、すなわち保存加工がされておらず、試験に必要とされるまでほぼ−10℃で保管されるものから回収される。試験前に、標本は、切開および試料調整される前に室温に暖められる。
【0163】
上腕骨は、骨部位での回旋筋腱板断裂の修復のため準備される。直径3.3mmのツイストドリルビットを用いて深さ約10mmの深さの穴が穿たれる。例えばスペクトル糸(Spectra thread)または同様の縫合糸材料などの縫合糸は穴に送られ、穴はポリマーで充填される。ポリマーは、固められ/硬化され、その後試験機によって加えられた力に対して平行な方向に縫合糸を向けて、標本はインストロン(Instron)サーボ水圧試験機に配置される。
【0164】
標本は、それ自体が3−軸万力に取り付けられた適切な万力/クランプに支持され、排水量8.5mm/秒で適切なインストロンサーボ水圧試験機および付属のインストロンマックスソフトウェアを用いて、試験される標本の正確な方向付けが可能になる。
【0165】
試験手順2:ソウボーン(鋸歯状骨、Sawbone(登録商標))ブロック標本
標本は、死体の上腕骨の代わりに、アンカーがソウボーンブロックに形成されるという点以外は上記の試験手順1に記載のとおり調整され、試験される。適切なソウボーンブロック材料は、「ソウボーン(Sawbones)」(登録商標)という商品名でパシフィックリサーチ社から市販されるものである。
【0166】
他の実施態様も請求項の範囲中である。
【0167】
例えば、上記の実施態様のほとんどにおいて、ポリマーは従来の骨アンカーの代用として使用されているが、いくつかのケースにおいて、従来のアンカーによって提供される固定術を補足するためにポリマーを使用するのが望ましいことがある。例えば、アンカーが設置される場合、ポリマーをアンカーの上または周りに塗布する。このオプションは、例えば外科医が従来のアンカーの使用を選ぶケースや患者が積極的なリハビリテーション計画に参加するようなケースにおいて有用であり得る。
【0168】
また、いくつかの適用において、1つの部位で回収された骨片をポリマーと混合し、同じ患者の第二部位で注入してもよい。この処置は、例えば注入部位の骨に疾患または傷があって、新鮮な骨が自己充填剤として望まれるケースに用いられてもよい。また、骨片は、上記のように最初に抽出されないで、形成中の穴の中でポリマーに混合することもできる。これは例えばドリルビットが消耗可能である時に起こる。
【0169】
さらに、いくつかの状況において、軟組織の領域を骨に付着させるのに連続する縫合糸の並びを使用するよりむしろ多数の「ボルトのような」ポリマーアンカーを使用することもできる。
【0170】
その上、内視鏡的処置の侵襲性がより低いため、上記の内視鏡的処置は一般に開放処置より好まれるが、所望であれば、同様の技術が開放手術環境において使用されてもよい。
【0171】
さらにまた、熱可塑性ポリマーが上記に記載される一方、ポリマーは液状、非溶融形態で送られ、もとの場所で硬化または乾燥される。例えば、ポリマーは、例えばUVまたはレーザー硬化可能材料のような熱硬化性ポリマーでもよく、電解ゲル化性、もしくはヒドロゲル(例えばpH感受性、またはイオン感受性)、プルロニック、またはポリキサメール ポリオール(polyxamer polyol)のようなゾル−ゲルシステムの形であってもよい。
【0172】
その上、非ポリマー流動性材料、例えば、ポリアクリル酸/二価金属イオンセメントなどの注入可能骨セメントをポリマーの代わりに使用してもよい。
【符号の説明】
【0173】
420 外科用器具
422 縫合糸制御アセンブリ
424 ポリマー搬送アセンブリ
426 縫合糸張力付与デバイス
428 供給用チューブアセンブリ
430 外側チューブ
432 管腔
444 縫合糸搬送チューブ
446 縫合糸変位チューブ
448 スプリング制御デバイス
450 縫合糸スプール
452 縫合糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織固定のための外科用器具であって、
固定手順時に外科医によって保持され得るよう構成されたハンドピースと;
このハンドピース上に取り付けられているとともに、管腔が形成されている、カニューレ状チューブと;
前記ハンドピース上に取り付けられ得るよう構成されているとともに、骨内の開口に対して流動可能材料を搬送するための搬送デバイスであり、前記流動可能材料を流動可能状態へと加熱するための加熱部材を備えた搬送デバイスと;
縫合糸材料の供給源から前記カニューレ状チューブの先端までにわたって縫合糸材料を搬送するための縫合糸制御デバイスと;
を具備していることを特徴とする外科用器具。
【請求項2】
請求項1記載の外科用器具において、
前記縫合糸制御デバイスが、縫合糸の自由端に対して印加される張力を制御し得るものとして構成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項3】
請求項1または2記載の外科用器具において、
縫合糸材料の前記供給源が、前記ハンドピースの内部に配置されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項4】
請求項1記載の外科用器具において、
前記搬送デバイスが、さらに、前記流動可能材料の供給源を収容したリザーバを備え、
前記加熱部材が、前記リザーバの少なくとも一部に対して熱を伝達し得るよう構成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項5】
請求項1記載の外科用器具において、
前記加熱部材が、前記リザーバの少なくとも一部に対して隣接して配置されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項6】
請求項1または4記載の外科用器具において、
前記搬送デバイスが、さらに、前記リザーバと連通した搬送チューブを備え、
この搬送チューブが、前記搬送デバイスを前記ハンドピース上に取り付ける際に前記カニューレ状チューブ内に配置され得るよう構成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項7】
請求項6記載の外科用器具において、
前記加熱部材が、前記搬送チューブに対して熱を伝達し得るよう構成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項8】
請求項7記載の外科用器具において、
前記加熱部材が、前記搬送チューブの先端に隣接したところに、ターミナル部分を備え、
前記加熱部材の残部に対しての熱伝達を継続しつつも、このターミナル部分については熱伝達を停止し得るようになっており、
これにより、前記搬送チューブの前記先端のところにおいては、前記流動可能材料を凝固させることができ、前記搬送チューブからの流出を防止し得るようになっていることを特徴とする外科用器具。
【請求項9】
請求項1記載の外科用器具において、
前記加熱部材が、チップを有した長尺部材を備え、
前記チップが、前記材料を融解させ得るような熱を伝達し得る領域を有していることを特徴とする外科用器具。
【請求項10】
請求項9記載の外科用器具において、
前記搬送デバイスが、さらに、前記搬送デバイスを前記ハンドピース上に取り付ける際に前記カニューレ状チューブ内に配置され得るよう構成されたプランジャーチューブを備え、
前記長尺部材が、前記プランジャーチューブを通して挿入可能であるように構成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項11】
請求項10記載の外科用器具において、
前記搬送デバイスが、さらに、延出位置と退避位置との間にわたって前記プランジャーチューブを移動させるための機構を備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項12】
請求項9、10、または11記載の外科用器具において、
前記搬送デバイスが、さらに、延出位置と退避位置との間にわたって前記長尺部材を移動させるための機構を備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項13】
請求項12記載の外科用器具において、
前記プランジャーチューブを移動させるための前記機構と、前記長尺部材を移動させるための前記機構とが、外科医によって同時的に駆動可能とされ、互いに対応して動作することを特徴とする外科用器具。
【請求項14】
請求項1に記載のまたは請求項6〜9のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記加熱部材が、金属チューブと、この金属チューブ内に配置されかつ絶縁された電流導通ワイヤと、を備え、
このワイヤと前記チューブとが先端部のところにおいて接続されていて、回路を形成しており、
前記金属チューブが、比較的低抵抗の第1部分と、この第1部分よりも先端側に位置しかつ比較的高抵抗の第2部分と、を有していることを特徴とする外科用器具。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記搬送デバイスが、縫合糸の一部を受領し得るよう構成された先端部を有した長尺ノズルと、前記カニューレ状チューブの前記先端から前記ノズルを延出させ得るよう構成され、さらに、前記縫合糸の前記一部を前記開口内へと押し込み得るよう構成され、さらに、前記縫合糸の搬送後には前記ノズルを引き込み得るよう構成された、機構と、を備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項16】
請求項15記載の外科用器具において、
前記長尺ノズルには、前記開口に対して前記流動可能材料を搬送するための経路をなす管腔が形成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項17】
請求項6記載の外科用器具において、
前記外科用器具の最初の使用前には、前記搬送チューブが、前記流動可能材料の供給源を収容していることを特徴とする外科用器具。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記縫合糸制御デバイスが、前記カニューレ状チューブを囲む複数の入れ子型チューブを備え、
これらチューブが、前記供給源から前記先端までにわたって前記縫合糸を供給するための経路を構成していることを特徴とする外科用器具。
【請求項19】
請求項18記載の外科用器具において、
前記複数の入れ子型チューブが、外側チューブと、この外側チューブと前記カニューレ状チューブとの間に配置された中間チューブと、を備え、
前記経路が、前記中間チューブの長手方向に沿って延在するグルーブによって形成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記縫合糸制御デバイスが、外科医によって駆動可能とされた縫合糸ロックを備え、
この縫合糸ロックが、前記カニューレ状チューブの前記先端にところの適所に前記縫合糸を保持することができることを特徴とする外科用器具。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記縫合糸制御デバイスが、前記先端にところにおける前記縫合糸の位置を制御し得る縫合糸変位デバイスを備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記縫合糸制御デバイスが、前記縫合糸に対する張力を維持し得る張力付与デバイスを備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項23】
請求項22記載の外科用器具において、
前記張力付与デバイスが、前記縫合糸によって形成された縫い目を締め付け得るよう構成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項24】
請求項22または23記載の外科用器具において、
前記張力付与デバイスが、スプリング機構を備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項25】
請求項22、23、または24記載の外科用器具において、
前記張力付与デバイスが、外科医によって手動で駆動し得るよう構成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記外科用器具が、手術サイトから前記カニューレ状チューブを取り外すことなく、前記手術サイトにおいて固定手順を完了し得るよう構成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項27】
組織固定のための外科用器具であって、
固定手順時に外科医によって保持され得るよう構成されたハンドピースと;
このハンドピース上に取り付けられているとともに、管腔が形成されている、カニューレ状チューブと;
骨内の開口に対して前記管腔を通して流動可能材料を搬送するための搬送デバイスと;
を具備し、
前記搬送デバイスが、前記流動可能材料を流動可能状態へと加熱するための加熱部材を備え、
前記加熱部材が、非流動可能状態でもって前記開口に対して搬送された後に前記流動可能材料を流動可能状態へと加熱し得るよう構成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項28】
組織固定のための外科用器具であって、
固定手順時に外科医によって保持され得るよう構成されたハンドピースと;
このハンドピース上に取り付けられているとともに、管腔が形成され、さらに、剛直な縫合糸付帯デバイスを受領して付帯し得るよう構成されたチップ部分を備えているような、カニューレ状チューブと;
このカニューレ状チューブの内部に配置された加熱デバイスと;
を具備していることを特徴とする外科用器具。
【請求項29】
請求項28記載の外科用器具において、
前記チップ部分が、このチップ部分内における前記縫合糸付帯デバイスの回転を禁止し得るよう構成されたキー溝構造を備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項30】
請求項28または29記載の外科用器具において、
前記チップ部分が、このチップ部分の外表面に凹所を備え、
これら凹所が、前記縫合糸付帯デバイスによって付帯された縫合糸を受領し得るよう構成されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項31】
請求項28〜30のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記流動可能材料の一部が、非液体状態でもって、前記カニューレ状チューブ内に配置されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項32】
請求項31記載の外科用器具において、
前記流動可能材料の前記一部が、ポリマーペレットを備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項33】
請求項31または32記載の外科用器具において、
前記流動可能材料の前記一部が、前記カニューレ状チューブの前記チップに隣接して配置されていることを特徴とする外科用器具。
【請求項34】
請求項28〜33のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記加熱デバイスが、フレキシブルな回路を備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項35】
請求項28〜34のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記加熱デバイスが、サーミスタを備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項36】
請求項34記載の外科用器具において、
前記加熱デバイスが、前記フレキシブルな回路に沿って配置された熱伝導性チューブを備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項37】
請求項28〜36のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記カニューレ状チューブが、前記加熱デバイスを囲んでいる絶縁チューブを備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項38】
請求項28〜37のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記加熱デバイスが、直列でもって配置された一対をなすサーミスタを備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項39】
請求項38記載の外科用器具において、
さらに、前記双方のサーミスタから受領した信号どうしを比較するとともに、それら信号間に所定以上の差異が存在する場合には、前記加熱デバイスに対する電力を停止させるよう構成された電子回路を備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項40】
請求項28〜39のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記外科用器具が、さらに、前記縫合糸付帯デバイスを具備していることを特徴とする外科用器具。
【請求項41】
請求項40記載の外科用器具において、
前記縫合糸付帯デバイスが、縫合糸の一部を受領し得るよう構成された小穴またはグルーブを備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項42】
請求項40または41記載の外科用器具において、
前記縫合糸付帯デバイスが、全体的に円筒状とされ、1つまたは複数の周縁リッジを備えていることを特徴とする外科用器具。
【請求項43】
請求項40〜42のいずれか1項に記載の外科用器具において、
前記縫合糸付帯デバイスが、前記縫合糸付帯デバイスの先端部から径方向に延出された一対をなすウィングを備えていることを特徴とする外科用器具。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図11】
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【図12】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12C1】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図12H】
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【図12I】
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【図13】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13E1】
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【図13E2】
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【図13F】
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【図13F1】
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【図13G】
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【図13H】
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【図13I】
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【図13I1】
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【図13J】
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【図14】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15】
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【図15A】
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【図16】
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【図16A】
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【図17】
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【図17A】
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【図18】
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【図18A】
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【図19】
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【図20】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図21E】
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【図21F】
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【図21G】
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【図22】
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【図23】
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【図23A】
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【図24】
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【図25】
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【図25A】
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【図26】
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【図26A】
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【図27】
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【図27A】
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【図28】
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【図28A】
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【図29】
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【図30】
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【図30A】
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【図31】
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【図31A】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図35A】
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【図35B】
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【図36】
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【図36A】
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【図37】
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【図38】
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【図38A】
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【図38B】
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【図39】
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【図39A】
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【図39B】
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【図39C】
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【図40】
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【図41】
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【図41A】
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【図41B】
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【図41C】
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【図42】
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【図42A】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図46A】
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【図46B】
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【図47】
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【図48】
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【図48A】
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【公開番号】特開2010−131428(P2010−131428A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29322(P2010−29322)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【分割の表示】特願2004−564961(P2004−564961)の分割
【原出願日】平成15年12月30日(2003.12.30)
【出願人】(397071355)スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド (186)
【Fターム(参考)】