外科切開器具
【課題】外科医の両手を占有せずにハンドピースに対して切開窓の回転を実行可能な外科切開器具が必要とされている。
【解決手段】第一管状部材312、第二管状部材316、ハンドピース308、第一ハブ330、第二ハブ350、第三ハブ392及びアクチュエータアセンブリ310を含む外科切開器具。第一管状部材は、切開先端314を有し、切開先端が切開窓318で露出するように、第二管状部材内に同軸で配置される。第一ハブは第一管状部材に装着され、ハンドピースと動作自在に結合する。第二ハブは第二管状部材に装着され、ハブ軸を画定する。アクチュエータアセンブリは、第二ハブをハンドピースに回転自在に結合し、アクチュエータを含む。アクチュエータの動作は、切開窓を空間的に回転するように、第二ハブの回転運動に変換される。
【解決手段】第一管状部材312、第二管状部材316、ハンドピース308、第一ハブ330、第二ハブ350、第三ハブ392及びアクチュエータアセンブリ310を含む外科切開器具。第一管状部材は、切開先端314を有し、切開先端が切開窓318で露出するように、第二管状部材内に同軸で配置される。第一ハブは第一管状部材に装着され、ハンドピースと動作自在に結合する。第二ハブは第二管状部材に装着され、ハブ軸を画定する。アクチュエータアセンブリは、第二ハブをハンドピースに回転自在に結合し、アクチュエータを含む。アクチュエータの動作は、切開窓を空間的に回転するように、第二ハブの回転運動に変換される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外科切開器具(surgical cutting instrument)に関する。特に、切開窓(cutting window)の回転を容易にする構成である外科切開器具に関する。
【背景技術】
【0002】
手術部位へのアクセスが狭い門戸又は通路を介して獲得される外科的措置(surgical procedures)において、細長い内部部材(つまりシャフト又は管)を細長い外部管状部材内で回転させる外科切開器具がかなり受容されるようになった。通常、外部管状部材は、切開窓又はポートを画定する開口を形成する遠位端を含み、内部部材は、窓にて身体組織を切開する切開先端を形成する遠位端を含む。内部及び外部部材の近位端は通常、ハブに固定され、これは外部管状部材に対して内部部材を回転及び/又は振動させるために動力付きハンドピースに取り付けられる。
【0003】
内部部材の切開先端は、問題の外科的措置(例えば切開、切除、掻爬、剪毛など)に特定の様々な構成を有することができ、切開窓は、切開先端の特定の構成と協働するために適切に構成される。切開、切除、又は掻爬措置の結果として分離した組織を、内部部材の中空管腔を通して吸引できるように、内部部材は往々にして管状である。洞手術、咽頭扁桃切除、咽頭手術などのENT(つまり耳、鼻、及び喉)の用途に特に言及すると、所望の措置を実現するために、極めて鋭利で微小の切除刃又は切開先端を通常は使用する。
【0004】
上述した外科切開器具を使用すると、通常、切開窓/切開先端を目標部位に与えて、切開先端が所望の組織に「曝露」するように切開窓を位置決めする必要がある。そのために、従来の外科切開器具では、内部部材が、従って切開先端がハンドピースに対して回転可能である一方、外部管状部材、従って切開窓は回転可能でない。つまり、ハンドピースに対する切開窓の回転又は空間的位置が、大部分の入手可能な外科切開器具では固定されている。その結果、切開先端を所望の組織に曝露するように切開窓を空間的に位置決めするために、外科医はハンドピースを物理的に移動するか、回転しなければならない。多くの場合、外科医は苦しい位置へと自分の手をねじ曲げねばならない。更に、多くの外科的措置は、特定の目標部位にて様々な空間的位置の組織に切開先端で作用する必要がある。
【0005】
従って、目標部位に最初に配置して、措置の第一部分のために切開窓を適切に配向することができるが、異なる空間的位置の組織も除去しなければならず、従って切開窓の空間的位置を変更するか、回転しなければならない。この場合も、従来の外科切開器具では、この措置仕様は外科医がハンドピースの方向を物理的に変化させる必要があり、従って外科医の手に負担をかけるか、外科医が措置を一時的に中断し、患者に対して異なる物理的位置へと移動する必要があるか、その両方である。この要件に対応するために、外科医が多種多様な回転方向でハンドピースを容易に把持できるように、ハンドピースが構成されることが多い。この最終使用を容易にするものの、その結果のハンドピースは人間工学的に最適ではない。つまり、その結果のハンドピースは、どの回転位置でも外科医の手に適合しない。
【0006】
外科切開器具が、画像誘導手術(IGS)システムとの組合せで使用される場合は、追加の懸念が生じることがある。特に、IGSは通常、目標部位に展開すると、切開窓/切開先端を見当合わせする必要がある。措置中に切開窓の空間的方向を変更しなければならない場合、外科医は一般的に、ハンドピースを、従って切開窓を更に容易に方向転換するために、患者から器具を取り出す。これを実行する場合は、切開器具を再度挿入した後、切開窓/切開先端をIGSシステムに対して再度見当合わせしなければならず、従って外科措置の時間が延長される。
【0007】
外科切開器具がその長手方向の長さに沿って1つ又は複数の曲げ部を含む場合は、日常的に、切開窓の空間的方向を変更するために外科医措置中に外科切開器具を取り出す必要性に遭遇する。評価基準として、幾つかの外科切開器具、特にその外部管状部材は、長手方向の長さに沿って直線又は線形である。予想される目標部位の組織に対して切開先端の位置決めを容易にするために、特定の措置に従って湾曲するものもある。湾曲又は曲げ部がある構成では、切開窓は、ハンドピースの回転とともに不規則な状態で動作し、曲げ部又は長手方向の曲率点の周囲で効果的に回転する。従って、このような状況で、外科医は、最初に外科切開器具を患者から取り出さないと、切開窓の位置を正確に変更することが実質的に不可能である。
【0008】
以上の懸念に対応するために幾つかの取り組みがなされてきた。特に、外科医が外部管状部材を、従って切開窓をハンドピースに対して手動で回転できるハンドピースの設計を有する外科切開器具が考案されている。例えば、米国特許第5,620,447号は、このような既知の器具の1つについて記述している。しかし残念ながら、このハンドピースの設計を手動で操作することは最適ではない。特に、ハンドピースに対する切開窓の回転を容易にする既知の外科医的切開器具は、外科医が両手で切開窓の回転を実行する必要がある。外科医の片手がハンドピースの基部を把持し、外科医の他方の手が、外部管状部材(従って切開窓)に固定されたノブを把持する。従って、適切に保持されたら、外科医は両手を反対方向に強制的に回転することにより、ノブ/基部にトルクを加える。このように両手を必要とすることは、特に外科医がIGSシステム器具も保持する必要がある場合に、ひいき目で見ても煩わしい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
外科切開器具は、引き続き極めて有用である。しかし、目標部位で切開窓の回転方向を容易かつ便利に変更できないことには、十分に対応されていない。従って、外科医の両手を占有せずにハンドピースに対して切開窓の回転を実行可能な外科切開器具が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様は、第一細長部材、第二管状部材、ハンドピース、第一ハブ、第二ハブ、及びアクチュエータ駆動アセンブリを含む外科切開器具に関する。第一細長部材は近位区間(proximal section)及び遠位区間(distal section)を有し、遠位区間は切開先端(cutting tip)を含む。第二管状部材は近位領域及び遠位領域を含み、遠位領域が切開窓を形成する。第一細長部材は、切開先端が切開窓にて露出するように、第二管状部材内に同軸状に配置される。第一ハブは、第一細長部材の近位区間に装着され、動作自在(moveably)にハンドピースに結合される。第二ハブは第二管状部材の近位領域に装着され、回転自在にハンドピースに結合される。これに関して、第二ハブはハブの軸線を画定する。
【0011】
最後に、アクチュエータアセンブリは、第二ハブをハンドピースに回転自在に結合し、アクチュエータを含む。これに留意し、アクチュエータアセンブリは、切開窓の空間的回転を実行するように、アクチュエータの動作をハンドピースに対する第二ハブの回転動作に変換するような構成である。これに関して、アクチュエータの動作はハブの軸線と同軸ではない。例えば、1つの実施形態では、アクチュエータの動作は線形であり、アクチュエータアセンブリはこの線形動作をハンドピースに対する第二ハブの回転動作に変換する。代替実施形態では、アクチュエータの動作(movement)は、ハブの軸線と同軸ではない回転軸を中心とする回転運動である。例えば、回転軸はハブの軸線と非平行でよいか、ハブの軸線に平行で、それに対してずれていてもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、第一及び第二手を有する使用者によって患者の目標部位から内視鏡で組織を除去する方法に関する。方法は、切開先端を有する第一細長部材、切開窓を形成する第二管状部材、及びハンドピースを含む外科切開器具を提供することを含む。第一細長部材は、第二管状部材内に同軸で配置され、従って切開先端が切開窓にて露出し、それと組み合わせられて切開用具を画定する。更に、管状部材がハンドピースに結合される。ハンドピースは、使用者の第一手で把持する。次に、切開窓がハンドピースに対して第一空間的方向にて位置決めされた状態で、切開用具が目標部位に隣接するように、外科的切開用具を展開する。切開窓がハンドピースに対して第二空間的方向にて位置決めされる用に、切開用具を目標部位にて維持しながら、切開窓をハンドピースに対して回転する。そのために、使用者の第二手は、切開窓の回転を実行する必要がない。
【0013】
特に、使用者の第一手がハンドピースを把持し続け、使用者の第二手は外科的器具に回転力を手で加えない。最後に、切開先端が目標部位から組織を除去するように、第一細長部材を第二管状部材に対して移動する。1つの実施形態では、切開窓の回転は、例えばハンドピース上に配置されたホィール、スライド、又は電子スイッチを操作することによって、ハンドピースを把持し続けながら、使用者の第一手でアクチュエータを操作することによって達成される。あるいは、足踏みスイッチを操作して、切開窓の回転を実行する。
【0014】
別の実施形態では、方法は更に、画像誘導手術(IGS)システムを使用することを備え、切開窓を回転する前に目標部位を観察可能にするために可視化器具を位置決めすることを含む。目標部位に対する切開用具の位置は、第一空間的方向にある切開窓で可視化器具を介して見当合わせされる。これに留意し、切開窓を回転するステップは、切開窓を第二空間的方向に位置決めする間、及びその後に可視化器具の見当合わせを維持することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による外科切開器具30の1つの好ましい実施形態が、図1に図示されている。外科切開器具30は第一刃部材又はアセンブリ32、第二刃部材又はアセンブリ34、ハンドピース36、及びアクチュエータアセンブリ38を含む(図1で全体に参照番号が付けられる)。構成要素について、以下で更に詳細に説明する。しかし、一般的用語では、第一刃アセンブリ32は第一管状部材40及び切開先端42を含む。第二刃アセンブリ34は、切開窓46を形成する第二管状部材44を含む。
【0016】
第一管状部材40は、切開先端42が切開窓46にて露出するように、第二管状部材44内で同軸状に配置される。ハブ(図示せず)は第一及び第二刃アセンブリ32、34を伴い、管状部材40、44が相互に対して、及びハンドピース36に対して回転可能であるように、第一及び第二管状部材40、44をそれぞれハンドピース36に結合する。これに関して、アクチュエータアセンブリ38は、ハンドピース36に対する第二管状部材44、従って切開窓46の回転を容易にする。
【0017】
A.刃アセンブリ32、34
第一刃アセンブリ32は、図2で更に詳細に図示され、第一管状部材40、切開先端42、及び第一ハブ50を含む。この場合も、第一ハブ50は、第一ハブ50、従って第一管状部材40がハンドピース36に対して回転自在であるように、第一管状部材40をハンドピース36に結合する。これに留意して、第一管状部材40は、近位区間52、遠位区間54、及びその間に延在する中心管腔56を画定する。遠位区間54は切開先端42を形成し、これは切除又は剪毛などの当技術分野で知られているような所望の切開措置を実行するために最適に構成される。
【0018】
1つの実施形態では、切開先端42は、管腔56を流体接続した開口62を囲む鋸歯状縁部60を画定する。あるいは、切開先端42はバー(bur)など、様々な他の形態をとることができる。バーの構成では、第一管状部材40が中心管腔56を含む必要がなく、従って第一管状部材40が細長いシャフトである。従って、第一管状部材40を単に、細長部材と呼ぶことができる。とにかく、1つの実施形態では、第一管状部材40が304ステンレス鋼のような剛性材料で形成され、長手方向の範囲で線形である。あるいは、以下で更に詳細に説明するように、第一管状部材40は、例えば可撓性継手(図示せず)などによってその曲げを実行するように構成することができる。
【0019】
第一ハブ50が近位区間52に装着される。管状部材40、44(図2)を除去した状態で外科切開器具を示す図3Aを追加的に参照すると、第一ハブ50は中心通路70を形成し、遠位部分72及び近位部分74を含む。図示を容易にするために、図3Aでは一部の構成要素が斜線付きで図示されている。近位部分74における通路70の直径は、遠位部分72における直径より大きい。特に、遠位部分72における中心通路70は、第一管状部材40の近位部分52に装着するようにサイズ決定される。以下で更に詳細に説明するように、遠位部分74は、別個の駆動構成要素とインタフェースをとるように構成され、スプライン76を形成する。更に、近位部分74における中心通路70は、Oリングのようなガスケット(図示せず)を維持するようにサイズ決定される。
【0020】
第二刃アセンブリ34は、切開窓46を形成する第二管状部材44、及び第二ハブ90(図3Aで最もよく図示)を含む。第二管状部材44は近位領域92、遠位領域94、及びその間に延在する管腔96を画定する。1つの実施形態では、遠位領域94は、管腔96と流体接続する切開窓46と一体形成される。あるいは、切開窓46を形成する先端部材を別個に製造し、第二管状部材44に組み付けることができる。とにかく、切開窓46は鋸歯状縁部98によって画定することが好ましい。1つの実施形態では、第二管状部材44は剛性であり、長手方向に直線又は線形である。
【0021】
以下で説明する代替実施形態では、第二管状部材44は、1つ又は複数の曲げ部を組み込むか、強制的にその形状をとることができる。とにかく、第二管状部材44、特に管腔96は、第二管状部材44に対する第一管状部材40の回転及び/又は振動を可能にし、更に内部灌注用の路を提供する方法で、第一管状部材40を同軸状に受け取るようにサイズ決定される。そのために、以下で更に詳細に説明するように、第二管状部材44の管腔96は、第一管状部材40の対応する部分の外径よりわずかに大きい直径を有し、管腔96と流体接続する灌注入口100(図2で全体に参照番号が付けられる)を画定することが好ましい。
【0022】
図3Aで最もよく図示されるように、第二ハブ90は近位ゾーン102及び遠位ゾーン104を含む。近位ゾーン102は、以下で更に詳細に説明するように第二ハブ90をハンドピース36に結合するような構成である内面106を画定する。遠位ゾーン104は、第二管状部材44が第二ハブ90の回転とともに回転するように、第二管状部材44(図2)の近位領域92(図2)を受け取るようにサイズ決定された通路108を形成する。
【0023】
1つの実施形態では、第二刃アセンブリ34は更に、灌注ハブ(irrigation hub)110を含む。灌注ハブ110は、第二ハブ90の近位ゾーン102内に位置決めされ、組み合わせられて内腔116を形成する遠位区画112及び近位区画114によって画定される。内腔116は、遠位区画112に沿って、第二管状部材44の管腔96と流体接続する第二管状部材44(図2)の外径と一致する直径を有する。更に、内腔116は、第一管状部材40が灌注ハブ110に対して自由に回転可能であるように、第一管状部材40を同軸で受け取るようにサイズ決定される。遠位区画112は、1つの実施形態では、第二ハブ90の対応する表面と対合するような構成であるフランジ118で終了して、更に周方向スロット119a、119bを形成し、それぞれがOリングのような密封部材(図示せず)を受け取るようにサイズ決定される。以下で更に詳細に説明するように、遠位区画112の外面は更に、装着リング120を受け取るような構成である。
【0024】
内腔116は、近位区画114に沿って拡大した直径を有し、半径方向スロット122によって灌注ハブ110の外部と流体接続する。これに関して、近位区画114は半径方向スロット122の対向する側にある周方向の溝124a、124b、及び複数の口又は回り止め126を形成する。周方向の溝124a、124bはそれぞれ、Oリングのような密封部材(図示せず)を受け取るようにサイズ決定される。口126はそれぞれ、以下で説明するような玉(図示せず)を受け取るようにサイズ決定される。最後に、1つの実施形態では、軸受けリング128を近位区画114に組み付ける。(例えばバー措置を実行するような構成である外科器具30の場合のような)特定の用途では、軸受けリング128が、回転する第一ハブ50が当たる耐摩耗性軸受け表面を提供することができる。
【0025】
第二刃アセンブリ34は、第二ハブ90を灌注ハブ110上に装着することによって組み立てられる。1つの実施形態では、装着リング120を使用して、ハブ90、110間に所望のインタフェースを確立し、これによって第二ハブ90が灌注ハブ110に対して回転することができる。例えば、装着リング120は外部ハブ90に接着され、灌注ハブ110上に位置決めされる。特に、装着リング120が灌注ハブ110の遠位区画112に突き当たり、フランジ118の近位側(番号なし)に対して入れ子状になる。フランジ118の遠位側は、第二ハブ90の内面106に対して入れ子状になる。フランジ118は、装着リング120と内面106の間に効果的に緩やかに捕捉され、従ってハブ90、110を相互に回転自在に固定する。灌注入口100が灌注ハブ110の近位側に位置決めされた状態で、第二管状部材44が第2ハブ90に装着される。この配置構成は、灌注ハブ110の内腔116、特に半径方向スロット122と第二管状部材44の管腔96との間の流体接続を確立する。とにかく、第二管状部材44は第二ハブ90の回転とともに回転する。
【0026】
B.ハンドピース36
引き続き図3Aを参照すると、1つの実施形態では、ハンドピース36はハウジング130、モータ132(図3Aで概略的に図示)、駆動継手134(図3Aで全体に参照番号が付けられる)、スリーブ136、及び捕捉リング137を含む。以下で更に詳細に説明するように、ハウジング130はモータ132と駆動継手134を維持する。スリーブ136及び捕捉リング137は、ハブ50、90及びアクチュエータアセンブリ38をハンドピース36に固定する。
【0027】
ハウジング130は、様々な形態をとることができるが、吸引通路138及び灌注経路140を画定することが好ましい(図3Bに図示)。吸引通路138は、(以下で説明するような)駆動継手134の一部と流体接続し、これは第一ハブ50の中心通路70と流体接続する。従って、吸引通路138は、切開先端42から物質を吸引するために第一管状部材40(図2)に流体接続する。
【0028】
これに関して、1つの実施形態では、ハンドピース36は更に、吸引通路138と流体連絡するハウジング130に組み付けられた吸引ポート142を含む。あるいは、吸引ポート142はハウジング130によって一体形成することができる。とにかく、吸引ポート142は、管(図示せず)に接続するような構成であり、これは吸引通路138に、従って第一管状部材40に真空を適用するために真空源(図示せず)に接続される。あるいは、外科切開器具30が、第一管状部材40を介した内部吸引が必要でないような構成である場合(例えば第一管状部材40が管ではない場合)、吸引通路138を省略することができる。
【0029】
特に図3B(図示を簡単にするために、ハウジング130のみに斜線を付けて図示)を参照すると、灌注通路140がハウジング130内に形成され、灌注ポート144から灌注ハブ110に隣接する開口146へと延在する。灌注ポート144は、流体源(図示せず)に接続された管(図示せず)に流体接続するような構成である。従って、ハンドピース36は内部灌注を提供する。1つの実施形態では、灌注通路140は、ハウジング130内に延在する管によって画定される。あるいは、ハウジング130は、別個の管なしで灌注通路140を画定する内腔を形成することができる。逆に、以下で更に詳細に説明するように、本発明の外科切開器具は、外部灌注を使用するような構成でもよい。
【0030】
図3Aに戻ると、モータ132は、当技術分野で知られているタイプであり、ハウジング130内に封入される。図示を容易にするために、モータ132は図面では概略的に図示され、駆動シャフト146を含む。1つの実施形態では、ハウジング130は導管148及び関連するポート149を形成し、これを通してモータ132を電源(図示せず)に電気的に接続する配線(図示せず)を維持することができる。あるいは、外科切開器具30は、モータ132をハウジング130の外部に設けるように構成することができる。とにかく、駆動シャフト146は、モータ132によって回転自在に駆動され、以下で説明するように駆動継手134に接続される。
【0031】
駆動継手134は継手リング150、出力シャフト152、運動用シール154、及び玉軸受けアセンブリ155(その1つを図3Aに概略的に図示)を含む。継手リング150は駆動シャフト136に固定され、歯付き外面(図示せず)を提供する。出力シャフト152は、結合リング150と相互作用するために対応する歯付き表面を形成し、玉軸受けアセンブリ155を介してハウジング130に対して回転自在に維持される。説明を容易にするために、継手リング150/出力シャフト152のインタフェースの近位側にある玉軸受けアセンブリ155のみを図3Aで示し、第二玉軸受けアセンブリ(図示せず)は、継手リング150/出力シャフト152のインタフェースの遠位側で出力シャフト152をハウジング130に装着することが理解される。この構成で、駆動シャフト146の回転は、継手リング150を介して出力シャフト152に伝達され、第一ハブ50を介して第一管状部材40を回転させる。
【0032】
図3Aの実施形態では、出力シャフト152は、近位端158から遠位端160へと延在する中心通路156を画定する。近位端158は、出力シャフト152の中心通路156が吸引通路138に流体接続するように吸引通路の領域でハウジング130に密封状態で対合するような構成である。逆に、遠位端160は、第一ハブ50の近位部分72に装着するような構成である。特に、出力シャフト152は、出力シャフト152の回転が第一ハブ50に回転運動を与えるように、第一ハブ50にしっかり接続される。例えば、出力シャフト152は、第一ハブ50のスプライン76と係合するような構成である取り付け形体161を形成するか、それに組み付けることができる。最後に、中心通路156は、第一管状部材40の切開先端42(図2)と吸引ポート142の間に流体経路を確立するように、第一ハブ50の中心通路70と流体接続する。運動用シール154が、出力シャフト152の中心通路156を第一ハブ50の吸引通路138及び中心通路70に対して流体密封する。
【0033】
スリーブ136が、アクチュエータアセンブリ38及び灌注ハブ110をハウジング130に対して支持し、維持する。1つの実施形態では、図3C(図示を容易にするために、一部の構成要素が斜線付きで図示されている)で最もよく図示されているように、スリーブ136は遠位肩152、内部係合面164、及び近位フランジ166を形成する。遠位肩162は、捕捉リング137を受け取るような構成である。内部係合面164は、以下で説明するように、アクチュエータアセンブリ38の構成要素を受け取り、支持するような構成である。近位フランジ166は、ハウジング130によって形成された突起168に対して入れ子状になるように構成される。あるいは、スリーブ136は様々な他の形態をとるか、ハウジング130を幾つかの異なる技術で様々な構成要素に組み付ける、あるいはその両方を実行することができる。
【0034】
C.アクチュエータアセンブリ38
引き続き図3Cを参照すると、アクチュエータアセンブリ38は、外科切開器具の通常の操作を容易にし、更に第二管状部材44(図2)、特に切開窓46(図2)のハンドピース36に対する回転を更に都合良くするような構成である。これに留意して、アクチュエータアセンブリ38は、アクチュエータ機構170(全体的な参照番号)及びコレット(collet;円筒形の固定具)174を含む。図3Cの1つの実施形態では、アクチュエータ機構170を操作すると、第二ハブ90がコレット174に対して、従ってハンドピース36に対して回転する。
【0035】
1つの実施形態では、アクチュエータ機構170はアクチュエータ180、シャフト182、第一組の歯184、及び第二組の歯186を含む。図3Cの1つの実施形態では、アクチュエータ180は、シャフト182及び第一組の歯184に装着されたホィールである。1つの実施形態では、ホィール180、シャフト182、及び第一組の歯184は、別個の構成要素として提供され、あるいは一体構造を提供することができる。とにかく、シャフト182はホィール180から軸方向に延在し、第一組の歯184がサムホィール180の反対側に形成される。更に、シャフト182は、例えばハウジング130によって形成されたアーム188及びハウジング130内に維持されたブッシュ190を介して、ホィール180及び第一組の歯184をハウジング130に対して回転自在に接続する。
【0036】
とにかく、第一組の歯184は、シャフト182によって画定された軸線の周囲でアクチュエータ180の回転とともに回転する。第一組の歯184は、第二組の歯186と噛み合い係合する。1つの実施形態では、第二組の歯186は、他の方法で第二ハブ90に装着されたリング192によって形成される。あるいは、第二ハブ90は、第二組の歯186と同質で、又は一体で形成するように構成することができる。とにかく、第一及び第二組の歯184、186は傘歯車又はマイタ歯車を形成する。従って、この構造で、ホィールアクチュエータ180の回転は、第一組の歯184を介して第二組の歯186に変換され、これによって第二ハブ90を回転させる。
【0037】
コレット174は、灌注ハブ110、従ってそれに接続されている様々な構成要素をハウジング130に捕捉するような構成であり、近位領域200及び遠位領域202を含み、これは組み合わせられてコレット174の長さだけ延在する通路204を形成する。近位領域200に沿った通路204の直径は、第一ハブ50がコレット174に対して自由に回転できるようにする方法で、第一ハブ50を同軸状に受け取るようにサイズ決定される。
【0038】
1つの実施形態では、ハウジング130に対してコレット174を支持するために、近位領域200の外部に隔置された周方向のリブ206a、206bが形成される。そのために、コレット174は、リブ206a、206bがコレット174をハウジング130に対してロックする働きをするように、近位領域200が最終アセンブリに対して半径方向外側へのバイアスを付与するように構成することが好ましい。特に、公差リング(図示せず)がリブ206a、206b間に位置決めされ、相互に押しつけられると、公差リングはコレット174をハウジング130へと効果的に圧入する。あるいは、コレット174をハウジング130に固定するために、様々な他のコレット構成を使用することができる。
【0039】
遠位領域202に沿った通路204は、コレット174を灌注ハブ110上に組み付けるようにサイズ決定される。1つの実施形態では、遠位領域202が捕捉リング137を受け取るねじ山208を形成し、捕捉リング137は対応するねじ山を形成する。従って、この1つの構成で、スリーブ136をコレット174に組み付けると、灌注ハブ110をコレット174に固定することが容易になる。更に、1つの実施形態では、コレット174が複数の玉210(その1つを図3Bで図示)を維持する。玉210は、灌注ハブ110の対応する口126(図3A)内で選択的にロックし、それによって灌注ハブ110をコレット174にロックするようにサイズ決定され、位置決めされる。そのために、スリーブ136の内部係合面164が、玉210を対応する口126と強制的に係合させる。あるいは、コレット174は他の組立技術を容易にするような構成でよい。
【0040】
図3Bで最もよく図示するように、1つの実施形態では、コレット174は更に、遠位領域202の口214で終了する内部スロット212を形成する。内部スロット212は、管140を受け取るようにサイズ決定されるか、他の方法で灌注ポート144(図3A)と流体接続する。とにかく、口214は灌注ハブ110の半径方向スロット122(図3A)に流体接続し、灌注ポート144を灌注ハブ110の管腔116に流体接続する。
【0041】
D.外科切開器具30のアセンブリ
図2から図3Cは、ハンドピース36、アクチュエータアセンブリ38、第一刃アセンブリ32、及び第二刃アセンブリ34のアセンブリを示す。出力シャフト152が、玉軸受け155を介してハウジング130内に回転自在に装着され、継手リング150を介してモータ132の駆動シャフト146に接続する。出力シャフト152の中心通路158は、ハウジング130の吸引通路138に流体接続し、運動用シール154は継手ハブ152と吸引通路158の間の密封を実行することが好ましい。
【0042】
アクチュエータ機構170を図示のようにハウジング130に組み付けるが、第二組の歯186には、1つの実施形態では他の方法で第二ハブ90が設けられる。従って、第二組の歯186を第一組の歯184に組み付けることについては、以下で更に詳細に説明する。公差リング(図示せず)が構成要素の間の圧入を達成する状態で、コレット174をハウジング130に組み付ける。スリーブ136をコレット174上に同軸で位置決めする。ばね(図示せず)がコレット174上に位置決めされ、ハウジング130の突起168とスリーブ136の近位フランジ166との間に画定されたギャップ内に存在する。ばねは、軸方向でハウジング130から離れる方向へとコレット174にバイアス付与する働きをする。
【0043】
逆に、捕捉リング137がコレット174のねじ山208にねじ込まれ、スリーブ136の遠位肩162に対して入れ子状になる。捕捉リング137をコレット174上で回転すると、スリーブ136が遠位肩162とのインタフェースを介して軸方向にハウジング130に向かって押しやられ、ハウジングの突起168とスリーブ136の近位フランジ166との間に他の方法で位置決めされたばねのバイアスを克服する。従って、捕捉リング137及びばねは、スリーブ136をハウジングに対してロックする働きをする。最終的に組み立てると、コレット174は灌注通路140を受け取る(又は他の方法でそれと流体接続する)ように回転自在に位置決めされる。
【0044】
第一刃アセンブリ32は、その近位部分で第一ハブ50に組み付けられた第一管状部材40を含む。特に図3A(明快さのために第一管状部材40は図示されていない)を参照すると、第一ハブ90を出力シャフト152に装着することにより、第一刃アセンブリ32がハンドピース36に組み付けられる。1つの実施形態では、2つの構成要素の間で摩擦嵌めが達成された状態で、第一ハブ90のスプライン76が出力シャフト152の係合形体161と噛み合う。更に、第一管状部材(図2)が、出力シャフト152の中心通路156内に延在し、ガスケット(図示せず)が第一ハブ50の通路70内に配置され、密封を実行する。あるいは、他の組立技術を使用して、第一管状部材40の管腔56を吸引ポート152と流体接続することができる。とにかく、第一刃アセンブリ32は、第一管状部材40が第一ハブ50を介して出力シャフト152の回転とともに回転するように組み立てられる。
【0045】
第二刃アセンブリ34は第二管状部材44、第二ハブ90、及び灌注ハブ110を含む。特に図3A及び図3C(明快さのために第二管状部材44は図示されていない)を参照すると、第二ハブ90及び灌注ハブ110を同時に装着することにより、第二刃アセンブリ34がハンドピース36に組み付けられる。第二ハブ90が、前述したように装着リング120を介して灌注ハブ110に緩やかに接続される。灌注ハブ110は、第一管状部材40(図2)上に同軸で配置され、コレット174にロックされる。これに関して、スリーブ136が最初に近位方向に後退して、玉210(図3B)を解放し、これによって灌注ハブ110がコレット174内で滑動することができる。
【0046】
灌注ハブ110は、口126がコレット174によって他の方法で維持された個々の玉210に対して位置合わせされるように位置決めされる。スリーブ136が次に解放され、従って内部係合面164が玉210を口126に強制的に入れ、それによって灌注ハブ110をコレット174にロックする。とにかく、灌注ハブ110の半径方向スロット122が灌注ハブ110の管腔116と流体接続する。Oリング(図示せず)が溝124a、124b内に配置され、完全な密封を実行する。
【0047】
第二ハブ90(第二管状部材44(図2)が取り付けられる)が同様に、第一管状部材40(図2)上で同軸で受け取られる。灌注ハブ110をコレット174に最終的に組み付けると、第二組の歯186(他の方法で第二ハブ90に装着される)が第一組の歯184と噛み合う。追加的に図2を参照すると、第二管状部材44の入口100が灌注ハブ110の管腔116に、従って灌注ポート144(図3B)に流体接続する。Oリング(図示せず)が周方向スロット119a、119b内に配置され、流体が灌注ポート144から第二管状部材44の管腔56へと流れ、第二ハブ90と灌注ハブ110の外部との間で外側に流れないことを保証する。とにかく、第二ハブ90は灌注ハブ110に対して回転することができる。
【0048】
刃アセンブリ32、34が切開動作を実行する(例えば切開先端42が鋸歯状縁部を有し、切開窓46が鋸歯状縁部を有する)ような構成である場合、切開先端42は第二管状部材44の内部遠位端に対して入れ子状になり、従って図3Cで最もよく図示されているように、第一ハブ50と灌注ハブ110の間にわずかなギャップが生成される。あるいは、例えば切開先端42がバーを形成するバー用途のように他の刃の構成/使用法では、灌注ハブ110が第一ハブ90に接触して、切開窓46に対する切開先端42の所望の位置を確立し、軸受けリング128は、第一ハブ50が接触し、回転する低磨耗表面を提供する。
【0049】
E.一般的動作
最終的に組み立てると、第一管状部材40によって提供される切開先端42が、切開窓46で選択的に露出する。そのために、図4Aは切開先端42を含む第一管状部材40の遠位部分56の拡大断面図を提供し、図4Bは、切開窓46を含む第二管状部材44の遠位領域94を示す。最終的に組み立てると、図2で最もよく図示されているように、2つの構成要素が相互に対して回転可能である状態で、切開先端42が切開窓46に位置決めされる。説明のために、図2は、切開先端42が切開窓46を介して露出する位置へと回転した第一管状部材40を示す。第一管状部材40を第二管状部材44に対して、又は逆に回転すると、第一管状部材40の反対側が切開窓46に位置決めされ、従って第一管状部材40の中心管腔56が切開窓46に対して閉じる。とにかく、切開先端42と切開窓46が組み合わされて、切開用具230を画定する。
【0050】
外科切開器具によって容易になる特定の外科的技術については、代替実施形態の設計に関して以下で説明する。しかし、概して使用中に使用者(図示せず)の手(図示せず)は、ハンドピース36、特にハウジング130を把持するのに使用される。これに関して、1つの実施形態では、ハウジング130が、例えばアーム188(図3c)に隣接したハウジング130を把持することによって、使用者の手の中に人間工学的に填るような構成である外部輪郭を形成する。とにかく、使用者は次に切開用具230を展開し、ハンドピース36を操作して、切開用具230を図5Aで概略的に示すように目標部位Tへと展開する。基準点として、図5Aの非常に単純化された目標部位Tは、第一表面F及び第二表面Sを含む。
【0051】
更に、図示を容易にするために、第二管状部材44に関連する切開窓46は、切開先端42をより良く図示するために、鋸歯状縁部(図3Aの98)なしに図示されている。これに留意すると、図5Aの目標部位Tへと最初に展開した後、切開窓46は目標部位T及びハンドピース36(図1)に対して第一空間的方向を有する。特に、図5Aの方向では、切開窓46は目標部位Tの第一表面Fに面するか、これに対して開く。更に、ハンドピース36、特にハウジング130は、図1で特定されたように第一側240及び第二側242を画定するものと全体的に言うことができる。側240、242は、第一側240が使用者の手のひらの中に位置決めされた状態で、使用者の手で自然に把持すると、ハウジング130の方向と一致し、従ってホィールアクチュエータ180が使用者の親指又は人差し指(図示せず)に最も近い。さらなる例示のために、切開用具230は、ハウジング120の第一側240が第二側240の上にあり、切開窓46がハウジング130の第一側240に「面する」、又はそれに対して開いた状態で、図5Aの方向に展開される。
【0052】
以上の慣習に留意し、次に外科的切開用具30を操作して、目標部位Tの第一表面Fから組織を除去することができる。問題の外科措置は、次に第二表面Sから組織を除去する(又は第二表面Sのみから組織を除去する)必要がある。図5Aの方向で、切開窓46は第二表面Sから離れ、切開先端42が第二表面Sと相互作用できるように、切開窓46を動作させる必要がある。切開窓46の空間的方向を変更するために、追加的に図3Aを参照すると、使用者(図示せず)は所望の方向でホィールアクチュエータ180を回転する。特に、他の方法でハウジング130を把持している使用者の手の親指(図示せず)及び/又は人差し指(図示せず)を使用して、ホィールアクチュエータ180を回転する。ホィールアクチュエータ180の回転は、歯184、186を介して第二ハブ90に変換される。第二ハブ90の回転は、第二管状部材44、従って切開窓46を目標部位T及びハンドピース36に対して回転させる。
【0053】
ホィール180の回転は、切開窓46が図5Bで示す第二空間的方向になるまで継続する。明らかに、切開窓46を図5Aの空間的方向から図5Bの空間的方向へと変換する場合、ハンドピース36、特にハウジング130の回転方向を変更する必要はない。つまり、図5Bの位置で、切開窓46は第二表面Sばかりでなくハウジング130の第二側242にも面するか、これに対して開く。
【0054】
切開窓46の図5Aの空間的方向から図5Bの空間的方向への遷移は、1つの実施形態では使用者の片手のみで遂行される。外科切開器具30は、使用者の両手が他の方法で2つの別個の位置でハンドピースを把持し、捻り又はトルクを生成する動作を加える必要なく、切開窓46をハンドピース36に対して空間的に回転できるように構成される。1つの実施形態では、ホィールアクチュエータ180の運動軸が第二ハブ90の軸線からずれるようにアクチュエータアセンブリ38を構成することにより、片手での切開窓の回転が遂行される。つまり、ホィールアクチュエータ180は、第二ハブ90の軸と同軸でない軸又は面の周囲で動作し(例えば回転し)、代わりにホィールアクチュエータ180の動作は、第二ハブ90の軸を中心とする第二ハブ90の回転に変換される。従って、このアプローチで、以前の設計とは異なりサムホィールアクチュエータ180を、片手操作を促進するようにハウジング130に対して任意の所望の位置に配置することができる。
【0055】
明らかに、切開先端42は図5Bでは切開窓46を介して露出しているように図示されているが、本発明の外科切開器具30は更に、第二管状部材44に対して切開先端42を容易に「閉鎖」するように動作することができる。特に、図5Cは図5Aの配置構成からの遷移を示し、これによって第一管状部材40、従って第二管状部材44が、従って切開窓46が前述の方法で回転しても、切開先端42(図5A)が静止したままである。切開先端42はこのように、切開窓46に対して「閉鎖」し、従って組織又は他の物質が第一管状部材40の管腔56(図2)に入らない。
【0056】
外科切開器具30を、直線又は線形の管状部材40、44を使用するものとして説明してきたが、代替構造も同等に許容可能である。例えば、第一及び第二管状部材40、44は、1つ又は複数の曲げ部又は湾曲部を提供するような構成でよい。これに留意して、曲げ又は湾曲がある管状部材40、44を、前述したのと同じ方法でハンドピース36に組み付ける。使用中に、図6Aで示すように、その結果の切開用具230’が、他の方法で第一表面F及び第二表面Sを有する目標部位Tへと展開する。参照により、図6Aは、曲げ部を画定し、切開先端42’を有する第一管状部材(図示せず)を維持する第二管状部材44’を他の方法で含む代替切開器具30’の遠位部分を示す。以前の実施形態と同様に、切開先端42’は、第二管状部材44’によって形成された切開窓46’(鋸歯状縁部なしに図示)を介して選択的に露出する。このような慣習に留意して、展開後、切開窓46’は図6Aの第一表面Fに面するか、それに対して開く。
【0057】
所望により、片手を使用してアクチュエータホィール180(図3A)を操作する使用者(図示せず)によって、切開窓46’の空間的方向を変更することができる。前述したように、アクチュエータホィール180の回転が第一ハブ90(図3A)に変換され、これによって第二管状部材44’がハンドピース36(図2)に対して回転する。第二管状部材44’の好ましい剛性構造のせいで、第二ハブ90が回転すると、第二管状部材44’の遠位領域94’が曲げ点Bの効果的に周囲で空間的に回転し、図6Bの空間的方向へと遷移する。その後に切開先端42’が動作するために、切開窓46が第二表面Sに面するか、それに対して開くまで、サムホィール180が回転し続ける。しかし、この場合も切開窓46’の望ましい空間的再位置決めを遂行するために、ハンドピース36(図1)の回転方向を変更する必要はなく、使用者の片手しか必要ない。
【0058】
特に図2及び図3Aを参照すると、外科切開器具30を2つの管状部材40、44を含むものとして説明してきたが、代替実施形態では、追加的に第三管状部材(図示せず)を含むことができる。この代替実施形態では、第一及び第二管状部材40、44は基本的に、前述したものと同一であるが、第二管状部材44は、内部に切開先端42が配置された切開窓46を形成する。しかし、3本管の実施形態では、第二管状部材44がハブ90を通って延在し、灌注ハブ110に装着される。この構成に留意して、第三管状部材が第二管状部材44上に同軸で配置され、第二ハブ90に取り付けられる。更に、第三管状部材の遠位端が、第二管状部材44の切開窓46の近位側で終了する。第三管状部材を形成して、剛性曲げ部を形成することにより、この構成は図6Aで示す曲げ部を更に容易に達成することができる。使用中に、第一管状部材40が第二管状部材44に対して回転して、切開窓46にて切開先端42を介して組織を除去する。切開窓46の空間的回転位置は、例えばホィール180(図3C)を操作することによって変更することができ、これによって第三管状部材が曲げ点の周囲で効果的に回転する。これによって、切開窓46が例えば図6の空間的方向から図6Bの空間的方向へと遷移する。
【0059】
F.好ましい代替外科切開器具
上述した外科切開器具30は、直線又は屈曲した管構成を使用することができる。本発明による他の代替実施形態は更に、湾曲した管構成の実現を容易にすることができる。例えば、図7は、第一刃アセンブリ302(図7で全体に参照番号が付けられる)、第二刃アセンブリ304(図7で全体に参照番号が付けられる)、支持管アセンブリ306、灌注アセンブリ307、ハンドピース308、及びアクチュエータアセンブリ310(図7で全体に参照番号が付けられる)を含む好ましい代替外科切開器具300を示す。様々な構成要素の詳細について、以下で説明する。
【0060】
しかし、概して第一刃アセンブリ302は第一管状部材312及び切開先端314(図7で全体に参照番号が付けられる)を含む。第二刃アセンブリ304は、切開窓318(図7で全体に参照番号が付けられる)を形成する第二管状部材316を含む。第一管状部材312は、切開先端314が切開窓318にて選択的に露出するように、第二管状部材316内に同軸で配置される。第二管状部材316は、少なくとも1つの曲げ部を形成する支持管アセンブリ306内に同軸で配置される。灌注アセンブリ307は流体源(図示せず)を第二刃アセンブリ304に接続する。支持管アセンブリ306、第一管状部材312、及び第二管状部材316はハンドピース308に装着される。これに関して、アクチュエータアセンブリ310は、支持管306が静止したままである間に、ハンドピース308に対する切開窓318の回転を容易にするような構成である。
【0061】
第一刃アセンブリ302は図8Aで更に詳細に図示され、切開先端314を形成する第一管状部材312、及び第一ハブ330を含む。第一管状部材312は、近位区間332、遠位区間334、及びその間に延在する管腔336を画定する。この場合も、切開先端314は図8Aで示した鋸歯状縁部の構成以外の様々な形態をとることができる。例えば、切開先端314はバーでよく、第一管状部材312は管である必要はなく、代わりに中実シャフトでもよい。1つの実施形態では、第一管状部材312は、管腔336に流体接続する遠位開口338を画定する。更に、管状部材312は、支持管アセンブリ306(以下で説明)によって画定された曲げ部と一致するように構成される。
【0062】
例えば、1つの実施形態では、第一管状部材312は予想される曲げ部(図8Aの「B」で全体に参照番号が付けられる)の領域で長手方向の長さの一部に沿ってばち形切り欠き(図示せず)を有する。あるいは、第一管状部材312が曲げ部Bに従い、外科措置中に第一管状部材312が高速回転できるようにする他の構成を使用することができる。とにかく、近位区間332は、ハンドピース308に装着された第一ハブ330に装着される。1つの実施形態では、第一ハブ330は前述した第一ハブ50(図3A)に非常に類似し、通路338を画定する。
【0063】
第二刃アセンブリ304は、切開窓318を形成する第二管状部材316、及び第二ハブ350を含む。第二管状部材316は近位領域352、遠位領域354、管腔356、及び半径方向通路358を画定する。管腔356は、遠位領域354に形成された切開窓318から近位側の開放端360へと延在する。半径方向通路358は、近位端360に隣接して近位領域352に形成され、管腔356を第二管状部材316の外部に流体接続する。これに関して、管腔356は、第一管状部材312の外径よりわずかに大きい直径を画定し、従って第一管状部材312は管腔356で同軸に受け取り、更に第一管状部材312と第二管状部材316との間に液体が流れるのに十分な空間を提供する。
【0064】
第一管状部材312と同様に、第二管状部材316は、支持管アセンブリ306によって画定された曲げ部Bと一致するように構成され、従ってその長手方向の長さの一部に沿って一連のばち形切り欠き(図示せず)を組み込むことができる。1つの実施形態では、第二管状部材316の少なくとも遠位領域354にコーティング(図示せず)を適用し、第一管状部材312の回転/振動時に支持管アセンブリ306に対する第二管状部材316の望ましくない回転又は振動を最小限に抑える。コーティングは様々な形態をとることができ、ポリエステルの収縮管(shrink tube)であることが好ましい。あるいは、コーティングを削除することができる。
【0065】
第二ハブ350は、第二管状部材の近位領域352の周囲に装着される。支持管306、第一管状部材312、及び第二管状部材316が除去された外科切開器具300を示し、容易に理解するためにその一部のみを斜線付きで示す図8Bを追加的に参照すると、第二ハブ350は、前述した灌注ハブ110(図3A)と同様であり、近位部分370、遠位部分372、中心通路374、及び灌注通路376を画定する。中心通路374が遠位部分370から遠位部分372へと延在する。1つの実施形態では、中心通路374は近位部分370に、遠位部分372と比較すると拡大した直径を有する。とにかく、中心通路374は、遠位部分372にて第二管状部材316の近位領域352上に装着されるようにサイズ決定される。灌注通路376は、中心通路374を第二ハブ350の外部に流体接続する。1つの実施形態では、遠位部分372は更に、周方向の溝382を画定する対向の支持フランジ378、380を含む。
【0066】
以下で更に詳細に説明するように、周方向の溝382は灌注通路376と流体接続し、灌注アセンブリ307への流体経路を提供する。スロット384、386が溝382の遠位側及び近位側に形成され、溝382を密封するOリング(図示せず)を受け取るようにサイズ決定される。1つの実施形態では、近位部分370は、特定の刃アセンブリの構成(例えばバー用途)で回転する、第一ハブ330が当たる低磨耗軸受け表面を提供するリング387を受け取るような構成である。更に、近位部分370は、複数の外部回り止め388(図8Bに1つを図示)及び周方向のリブ389を形成する。以下で更に詳細に説明するように、回り止め388及びリブ389は、第二ハブ350のアクチュエータアセンブリ310への組付けを容易にする。
【0067】
引き続き図8A及び図8Bを参照すると、支持管アセンブリ306は第三管状部材390及び第三ハブ392を含む。第三管状部材390は近位部分394、遠位部分396、及びその間に延在する管腔398を画定する。管腔398は、第二管状部材316を同軸で受け取るようにサイズ決定される。1つの好ましい実施形態では、第三管状部材390は剛性構造であり、その長手方向の長さに沿って曲げ部Bを画定する。上述したように、第一及び第二管状部材312、316に伴う可撓性ゾーンによって、第一及び第二管状部材312、316は、最終的組付け後に曲げ部Bに一致することができ、第三管状部材312、316は遠位端400で終了する。
【0068】
第三管状部材390の近位部分394は、第三ハブ392に装着される。これに関して、特に図8Bを参照すると、第三ハブ392は近位区間410及び遠位区間412を含む。近位区間410は口414を形成し、遠位区間412は通路416を画定する。口414は、第二ハブ350が第三ハブ392に対して回転可能であるように、アクチュエータアセンブリ310に装着するようにサイズ決定される。通路416は、第三管状部材390が第三ハブ392に取り付けられるように、第三管状部材390(図8A)の外径に従ってサイズ決定される。
【0069】
灌注アセンブリ307は灌注ハブ420及び灌注ポート422を含む。灌注ハブ420は、以下で更に詳細に説明するように第二ハブ350の周囲に装着するようにサイズ決定された通路424を画定する。灌注ポート422は灌注ハブ420から延在し、以下で説明するように第二管状部材316へと液体を送出するために通路424に流体接続された灌注経路426を形成する。
【0070】
ハンドピース308は、ハウジング430、モータ432(図8Bで概略的に図示)、駆動継手434、及び装着アセンブリ436(全体に参照番号が付いている)を含む。以前の実施形態と同様に、モータ432はハウジング430内に固定される。これに関して、ハウジング430は導管437を形成し、それを通してモータ432の動力を提供する配線(図示せず)が延在することができる。更に、ハウジング430は、以下で説明するように第一ハブ330の通路338を真空源(図示せず)に流体接続する吸引ポート438を形成することが好ましい。
【0071】
1つの実施形態では、駆動継手434はモータ432の駆動シャフト440を第一ハブ330に機械的に接続し、駆動リング442、出力シャフト444、運動用シール446、玉軸受けアセンブリ448(その1つを図8Bに図示)を含む。駆動リング442は駆動シャフト440に装着され、歯車450を形成する。逆に、出力シャフト444は、歯車450と噛み合う歯452を形成する。出力シャフト444は、玉軸受けアセンブリ448によってハウジング430内に回転自在に装着される。図示を容易にするために、出力シャフト444を歯452の近位側でハウジング430に装着する玉軸受けアセンブリが、図8A及び図8Bの図から削除されている。とにかく、出力シャフト444は通路454を形成する。最終組付け後、通路454は、流体が漏れない密封を保証する運動用シール446で、吸引ポート438と第一ハブ330の管腔338を流体接続する。あるいは、他の構造を使用することができる。
【0072】
図8C(図示を容易にするために、一部のみを斜線付きで図示)で最もよく図示されるように、1つの実施形態では、装着アセンブリ436は第一及び第二捕捉リング450、452、第一及び第二スリーブ454、456を含む。以下で更に詳細に説明するように、捕捉リング450は内部ねじ付き表面458を画定し、スリーブ454をアクチュエータアセンブリ310の構成要素に結合するような構成である。同様に、捕捉リング452はねじ付き表面459を画定し、スリーブ456をアクチュエータアセンブリ310の構成要素に結合するような構成である。
【0073】
アクチュエータアセンブリ310は、以下で説明するように第二管状部材316の回転を容易にし、アクチュエータ機構460、コレットアセンブリ462、及びロック機構464を含む。アクチュエータ機構460はアクチュエータ470、シャフト472、第一組の歯474、及び第二組の歯476を含む。アクチュエータ470はホィールであることが好ましい。シャフト472はホィール470の中心軸から延在し、ハウジング430によって形成されたアーム478など、ハウジング430へのホィール470の組付けを容易にする。
【0074】
第一組の歯474は、ホィール470の反対側でシャフト472上に、又はそれによって形成される。1つの実施形態では、第一組の歯474はかさ歯車を画定する。第二組の歯476は、第一組の歯474と噛み合い係合する。図8Cの1つの実施形態では、第二組の歯476は、以下で更に詳細に説明するように、コレットアセンブリ462の構成要素の一部として提供される。あるいは、第二組の歯476は、対応するコレットアセンブリ462の構成要素と別個に形成し、それに組み付けることができる。
【0075】
コレットアセンブリ462はコレット480及び玉軸受け(図示せず)を含む。コレット480は、ハウジング430に対して第二ハブ350を捕捉するように構成され、その近位端482に第二組の歯476を一体形成することが好ましい。コレット480は更に、第一ハブ330がコレット480に対して自由に回転できるような方法で第一ハブ330上に受け取るようにサイズ決定された流路484を形成する。コレット480の遠位区間486は、内部フランジ488及び複数の穴490(その1つを図8Cで図示)を形成することが好ましい。内部フランジ488は、第二ハブ350のリブ389と突き当たるようにサイズ決定される。穴490は、第二ハブ350の対応する回り止め388内で部分的に受け取られる個々の球面軸受けを捕捉するようにサイズ決定される。従って、コレット480は軸受けを介して第二ハブ350に装着される。
【0076】
ロック機構464は基部492、フィンガ494及びバイアス付与器具(図示せず)を含む。基部492は、ハウジング430に回転又は旋回自在に装着される。フィンガ494は基部492から延在し、コレット480上に設けられた第二組の歯476と選択的に係合するような構成である。バイアス付与器具は、基部492にバイアス付与して図8Bの回転位置にし、ここでフィンガ492が第二組の歯476と係合し、従ってコレット480の回転を防止する。以下で説明するように、コレット480が回転することが望ましい場合は、基部492が旋回又は回転して、フィンガ494を変位させ、第二組の歯476から離す。あるいは、ロック機構464は他の形態をとるか、削除することができる。
【0077】
外科切開器具300の組立ては通常、アクチュエータアセンブリ310をハンドピース308に組み付け、その後に第一刃アセンブリ302、第二刃アセンブリ304、及び支持管アセンブリ306を連続的に装着する必要がある。刃アセンブリ302、304及び支持管アセンブリ306はそれぞれ、通常はハンドピース308に装着する前に予め組み立てる(例えば、第一ハブ330をハンドピース308に組み付ける前に、第一管状部材312を第一ハブ330に組み付ける)。しかし、明快さのために、以下の説明は、管状部材312、316、309が対応するハブ330、350、392から別個であるものとして外科器具300の組立てを提示する。図8Aから図8Cを参照すると、外科切開器具300の組立ては、モータ432をハウジング430内の駆動継手434に結合することを含む。
【0078】
特に、出力シャフト444が駆動シャフト440の回転とともに回転するように、駆動シャフト440が駆動リング442及び歯452を介して出力シャフト444に接続される。更に、出力シャフト444の通路454が吸引ポート438に流体接続される。通路338、454が流体連絡するように、第一ハブ330が出力シャフト444に密封状態で装着される。1つの実施形態では、第一ハブ330及び出力シャフト444が、ハブ330と出力シャフト444の間のロックを実行する対応の係合形体(496で全体に参照番号が付けられている)を画定し、ばね498が第一ハブ330にバイアス付与してロック位置にする。とにかく、第一ハブ330は出力シャフト444の回転とともに回転する。
【0079】
ホィールアクチュエータ470及びシャフト472は、アーム478にてハウジング430に組み付けられる。コレット480が第一スリーブ454に対して回転できるような方法で、第一スリーブ454がその近位端482に隣接してコレット480と接触するように、コレット480は、第一スリーブ454内に同軸で配置される。第一捕捉リング450は第一スリーブ454上に配置され、ねじ付き表面458を介して第一スリーブ454/コレット480をハウジング430に装着する。これに関して、第一ハブ330がコレット480に対して回転できるように、第一ハブ330をコレット480の流路484内で受け取る。
【0080】
第二ハブ350のリブ389がコレット480の内部フランジ488に対して入れ子状になる状態で、第二ハブ350がコレット480に装着される。更に、個々の玉軸受け(図示せず)がコレット480の穴490内に捕捉され、第二ハブ350の個々の回り止め388内に延在する。この構成で、第二ハブ350がコレット480の回転とともに回転するように、第二ハブ350がコレット480に効果的にロックされる。更に、第二ハブ350の中心通路374が第一ハブ330の通路338と位置合わせされる。図8Cの1つの実施形態では、(第一管状部材312の遠位端が第二管状部材316の遠位端に内部で突き当たる切開設計の場合のように)第一ハブ330と第二ハブ350の間にギャップが確立される。あるいは、他の刃の設計(例えばバー)では、第一ハブ330が、第二ハブ350の近位部分370に組み付けられたリング387に寄りかかる。とにかく、図8Aから図8Cの1つの実施形態では、コレット480上に設けられた第二組の歯476が、第一組の歯474と噛み合う。
【0081】
灌注経路426が周方向の溝382を介して第二ハブ350の灌注通路376と流体接続するように、灌注ハブ420が第二ハブ350の遠位部分372上に組み付けられる。1つの実施形態では、Oリング(図示せず)がスロット384、386それぞれの内部に配置され、周方向の溝382の近位側及び遠位側で灌注ハブ420に対して第二ハブ350を密封する。灌注ハブ420は更に、第二スリーブ456を介して第二ハブ350に対して支持され、これはねじ付き表面459で第二スリーブ456に接続された第二捕捉リング452を介して第一スリーブ454に突き当たる。最後に、第三ハブ392は、接着剤又は他の許容可能な装着技術によって灌注ハブ420に装着される。
【0082】
図8Aで最もよく図示されるように、第一管状部材312の近位区間332が第一ハブ330に装着され、第一管状部材312の中心管腔336が結合ハブ444の通路454に流体接続される。第二管状部材316の近位領域352が第二ハブ350に装着され、第一管状部材312が第二管状部材316内に同軸で延在する。1つの実施形態では、図8Bを追加的に参照すると、ガスケット(図示せず)が第二ハブ350の近位部分370内で第一管状部材312の周囲に配置され、第一管状部材312の外部に対して第二管状部材316の開放端360を密封する。これに関して、第二管状部材316の管腔356が、灌注ポート422によって画定された灌注経路426と流体接続するように、第二管状部材316の半径方向通路358は、第二ハブ350の灌注通路376と流体位置合わせされる。最後に、第三管状部材390の近位部分394が第三ハブ392に装着される。第二管状部材316が、第三管状部材390内に同軸で配置される。前述したように、第一及び第二管状部材312、316は、第三管状部材390によって画定された曲げ部Bに一致する。
【0083】
最終組付け後、第三管状部材390の遠位端400は、切開先端314及び切開窓318の近位側で終了する。つまり、切開先端314及び切開窓318が、第三管状部材390に対して遠位側で露出する。
【0084】
使用中に、外科切開器具300は、外科切開器具30(図1)に関して前述したものと非常に類似した方法で動作する。使用者(図示せず)はハンドピース308を把持し、図9Aで示すように切開先端314/切開窓318(集合的に切開用具500と呼ぶ)を目標部位Tへと誘導する。第三管状部材390の曲げ部Bによって、切開用具500を目標部位Tへと都合良く送出することが容易になる。図9Aで示すように、最初に目標部位Tへと送出すると、切開窓318は目標部位Tの第一表面Fに面するか、それに対して開く。
【0085】
次に、外科切開器具300を操作して、例えば切開窓318内で切開先端314を回転又は振動することによって、第一表面Fから組織を除去することができる(図示のために、第二管状部材316の切開窓318が、図9A及び図9Bでは鋸歯状縁部なしで図示されていることが分かる)。所望に応じて、目標部位Tの第二表面Sにおける組織の除去は、外科切開器具300によって同様に実行することができる。そのために、図9Aの空間的方向で、切開窓318が第二表面Sに対向するか、これに対して閉じる。従って、切開窓318は、目標部位Tに対して空間的に回転しなければならない。外科切開器具300は、使用者が両手を使用する必要がない方法でこの空間的方向の変化を容易にし、ハンドピース308に対する切開窓318の空間的回転を達成する。
【0086】
特に、図8Bを追加的に参照すると、ホィールアクチュエータ470は、ハウジング430を把持する使用者の手の親指及び/又は人差し指によって操作される。ホィールアクチュエータ470の回転は、アクチュエータアセンブリ310を介して第二ハブ350の回転へと変換される。特に、サムホィールアクチュエータ470の回転はシャフト472を回転させ、これは相応して第一組の歯474を回転する。第一組の歯474は、コレット480によって提供される第二組の歯476と噛み合う。歯474、476間のインタフェースがコレット480に伝達され、コレット480を回転する。コレット480は第二ハブ350を回転し、これが第二管状部材316の回転を実行する。その結果、ホィールアクチュエータ470の回転が、ハンドピース308に対して切開窓318を回転する。
【0087】
明らかに、第三管状部材390は、第二管状部材316の回転中に、ハンドピース308に対する自身の空間的位置決めを維持する。特に、曲げ部Bの空間的位置が静止したままであるように、第二管状部材316が第三管状部材390内で回転する。ホィールアクチュエータ470は、切開窓318が図9Bで示す空間的方向になるまで、更に操作される。その後、外科切開器具300を動作させて、切開用具500と第二表面Sのある組織との間の相互作用を容易にすることができる。
【0088】
湾曲又は曲がった刃アセンブリを組み込んだ従来の外科切開器具では、目標部位Tに対して切開窓の空間的方向を変更すると、通常は目標部位から刃アセンブリを取り出し、刃アセンブリを再度挿入する前に、外科医の手中でハンドピースの所望の切開動作及び/又は再位置決めを実行するために効果的な切開窓の方向を有する異なる刃アセンブリで交換する必要がある。IGSシステムも使用する場合は、切開先端の再見当合わせが必要である。本発明の外科器具300は、この懸念を克服する。特に、切開用具500を図9Aで示すように目標部位Tに配置すると、切開器具500が可視化システム(図示せず)に対して見当合わせされる。この見当合わせは、その後に切開窓318を図9Bの空間的方向へと操作しても、そのままである。つまり、切開窓318の空間的方向は、目標部位Tから切開器具500を取り外さなくても変更することができ、従って再見当合わせが必要ない。
【0089】
上述した外科切開器具300は、湾曲した刃構成で使用するのに非常に効果的である。あるいは、管状部材312、316は直線又は線形でよい。明らかに、直線の構成では、支持管390(図8A)を削除することができる。
【0090】
前述した外科切開器具30(図2)、300(図7)は、それぞれ回転される管状部材の軸に対して直角である軸の周囲で回転するホィールアクチュエータ(図2Aのホィールアクチュエータ180など)を使用するアクチュエータアセンブリとして説明されている。代替のアクチュエータアセンブリの構成が同等に許容可能であり、本発明の範囲に入る。例えば、図10は、前述した外科切開器具30、300で有用な代替アクチュエータアセンブリ550を示す。アクチュエータアセンブリ550はアクチュエータ552、第一組の歯554、及び第二組の歯556を含む。図10の実施形態に伴うアクチュエータ552はホィールであり、その外周に沿って第一組の歯554を形成する。第二組の歯556が第一組の歯554と噛み合い、ウォーム歯車構成を画定する。図10の1つの実施形態では、第二組の歯556が、コレット560に装着したリング558上に形成される。
【0091】
コレット560は、前述したコレット480(図8B)と類似している。あるいは、図2の外科切開器具30に関して、第二組の歯556は、第二ハブ90(図3B)によって形成するか、それに取り付けることができる。とにかく、ホィールアクチュエータ552は外科切開器具ハウジング(例えば図3Aのハウジング130又は図8Aのハウジング430)に固定され、従って使用者の親指及び/又は人差し指(図示せず)が、ホィールアクチュエータ552に容易にアクセスし、これを回転することができる。ホィールアクチュエータ552が回転すると、第一組と第二組の歯554、556間の相互作用を介して、コレット560が回転する。コレット560が回転すると、所望のハブ(図8Aの第二ハブ350など)が回転する。
【0092】
本発明で有用な更に別の代替実施形態のアクチュエータアセンブリ570が、図11に図示されている。アクチュエータアセンブリ570はアクチュエータ572、第一組の歯574、及び第二組の歯576を含む。図11の実施形態では、滑動アクチュエータ572が(図11の方向に対して)水平及び垂直に動作できるように、アクチュエータ572はハウジング(図8Aのハウジング430など)に滑動結合される。第一組の歯574がフィンガ滑動アクチュエータ572上に形成される。第二組の歯576は、第一組の歯574と噛み合い係合する。これに関して、1つの実施形態では、第二組の歯576が、コレット580に取り付けられたリング578によって形成される。
【0093】
コレット580は、前述したコレット480(図8B)に類似し、ハブ(図示せず)に装着される。あるいは、第二組の歯576は、該当するハブ(図3Aの外科切開器具30に関連する第二ハブ90など)によって形成されるか、それに直接取り付けることができる。とにかく、水平運動(つまり図11の方向に対して左から右、又は右から左への運動)によって、第一組の歯574が、隣接する第二組の歯576間に画定されたギャップ内で滑動する。リング578の中心軸に対する第二組の歯576の角度方向のせいで、滑動アクチュエータ572の水平又は軸方向の運動がリング578を回転させる。リング578の回転はコレット580に与えられ、これによってそれに接続されたハブ(図示せず)が回転する。滑動アクチュエータ572は、第一ギャップから水平方向に持ち上げ、引き続き回転できるように、異なる隣接した第二組の歯576間に形成された別のギャップ内に再位置決めするか、割り出すことができる。
【0094】
本発明で有用な更に別の代替実施形態のアクチュエータアセンブリ590が、図12に図示されている。アクチュエータアセンブリ590はアクチュエータ592、シャフト594、第一組の歯596、第二組の歯598、第三組の歯600、及び遊星歯車602を含む。図12の実施形態では、アクチュエータ592はサムホィールである。シャフト594がサムホィールアクチュエータ592の中心軸から延在し、第一組の歯596が、サムホィールアクチュエータ592の反対側でシャフト594によって形成されるか、それに取り付けられる。第一組の歯596は、リング604上に形成された第二組の歯598と噛み合う。第三組の歯600は、遊星歯車602を介して第二組の歯598と間接的に結合する。更に、第三組の歯600は、該当するハブ604(図3Aの第二ハブ90など)又はコレット(図8Aのコレット480など)によって形成されるか、それに取り付けられる。図12の構成では、使用者が切開窓を空間的に回転する能力を更に向上させるために、歯数比を減少させる。
【0095】
図13は、本発明の範囲内で代替実施形態のアクチュエータアセンブリ622(全体に参照番号が付けられている)を含む代替実施形態の外科切開器具620の一部を示す。外科切開器具620は、前述した外科切開器具300(図8A)に非常に類似し、同様の要素には同様の番号が付けられる。更に、図示を容易にするために、外科切開器具620は、管状部材及び支持管を削除した状態で図示されている。これに留意して、外科切開器具620は通常、アクチュエータアセンブリ622、ハウジング624、第一ハブ330、第二ハブ350、及び第三ハブ392を含む。アクチュエータアセンブリ622はスイッチ機構626、配線628、2次モータ630、第一組の歯632、及び第二組の歯634を含む。
【0096】
概して、配線628はスイッチ機構626をモータ630に電気的に接続する。モータ630が動作すると、第一組の歯632が回転する。第二組の歯634は第一組の歯632と噛み合い係合し、コレット480に取り付けられるか、それによって形成される。前述したように、コレット480が回転すると、第二ハブ350が回転し、その結果、切開窓318(図8A)がハウジング624に対して回転する。
【0097】
スイッチ機構626は様々な形態をとることができ、ハウジング624に対して密封されていることが好ましい。1つの実施形態では、スイッチ機構626は、第一及び第二キー又はボタン638、640を有するキーパッド636を含む。この1つの構成では、第一ボタン638を起動すると、モータ630が第一方向に回転し、第二ボタン640を起動すると、モータ630が反対方向に回転する。とにかく、キーパッド636はハウジング624の外側642に形成することが好ましく、自然にハウジング624を把持する使用者の手(図示せず)によって容易にアクセス可能であるように配置される。つまり、ハウジング624は、使用者の手のひら(図示せず)が(図13の方向に対して)上側644に配置される自然な方向を提供する。これに留意して、キーパッド636は、ハウジング624を把持する使用者の手の親指及び/又は人差し指とのインタフェースを容易にするように上側644に沿って配置することが好ましい。あるいは、スイッチ機構626の他の構成も同等に許容可能である。
【0098】
前述したように、配線628はスイッチ機構626をモータ630に電気的に接続する。1つの実施形態では、配線628は、スイッチ機構626からハウジング624から離れて配置された別個の制御器具(図示せず)へと延在する第一配線区画646、及び制御器具からモータ630へと延在する第二配線区画648を含むことにより、間接的接続を提供する。あるいは、配線628はスイッチ機構をモータ630に直接接続することができる。
【0099】
2次モータ630はハウジング624内に維持され、第一ハブ330を回転するために動作する1次モータ432とは別個である。これに留意して、モータ630は様々な形態をとることができ、駆動シャフト650を回転するように動作する。第一組の歯632が駆動シャフト650上に形成される。1つの実施形態では、第二組の歯634が前述したようにコレット480上に形成される。ハウジング624に対してモータ630を密封するように、第一組の歯632とモータ630の間に運動用シール652を形成することが好ましい。
【0100】
使用中に外科切開器具620は、前述したものと非常に類似した方法で動作する。所望に応じて、スイッチ機構626を動作させて、ハウジング624に対する切開窓(図示せず)の空間的方向を変更する。以前の実施形態と同様に、使用者は、片手しか使用せず、ハウジング624の回転運動がない状態で、この切開窓の方向転換を遂行することができる。
【0101】
本発明の外科切開器具及び関連する使用方法は、以前の設計に対して著しい改良点を提供する。特に、ハンドピース及び目標部位に対する切開窓の回転は、使用者の両手を必要とせずに、使用者によって容易に達成される。そのために、それぞれが記載のアクチュエータアセンブリを含む図示の各実施形態で、1次アクチュエータは使用者によって第一方向に、及び/又は回転軸の周囲で動作する。この動作はハブに変換され、これはこのハブがハブ軸を有する状態で、切開窓を形成する管状部材を維持する。アクチュエータアセンブリは、アクチュエータの動作(movement)がハブ軸と同軸ではなく、従って切開窓の位置決めを変更するために使用者が両手を使用する必要をなくすようなものである。1つの実施形態では、刃アセンブリが湾曲を画定し、外科切開器具は、曲げ部の空間的位置を変更せずにハンドピース(及び目標部位)に対する切開窓の回転を実行するような構成である。
【0102】
外科切開器具、特に外科切開器具300及び空間的に回転可能な窓と組み合わせて曲がった管を組み込んだ他の同様の設計は、幾つかの外科措置にとって非常に有用である。例えば、外科切開器具は、洞フィステル形成に上方、下方及び後方からアクセスするために、(ハンドピースの明白な動作及び/又は目標部位からの切開用具の除去を必要とせずに)切開窓を再位置決めする鉤切除術(uncinectomy)及び上顎洞フィステル形成術に容易に使用することができる。
【0103】
同様に、本発明の外科切開器具は、上顎フィステル形成又は前方上顎頭蓋開口術を通して、上顎ポリープ切除術又は上顎洞の菌類、嚢胞又は他の病理の除去に非常に適している。外科切開器具は、回転可能な切開窓によって外側、内側及び後方から切除することができる外側及び内側前頭洞切除措置にも有用である。本発明の外科切開器具が有用である他の外科措置は、ほんの一部ではあるが、聴神経腫瘍、喉頭、気管、及び気管支病巣の減量術、及び椎間板空間核開口術を含む。
【0104】
本発明を好ましい実施形態に関して説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく形態及び細部を変更できることが、当業者には認識される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明による外科切開器具の1つの実施形態の斜視図である。
【図2】拡大形で示した遠位形体を含む図1の器具の一部の部分断面図である。
【図3A】図2の器具の一部の断面図である。
【図3B】灌注路を示す図2の器具の一部の断面図である。
【図3C】図3Aの器具の一部の拡大断面図である。
【図4A】図4Aは図1の器具の内部管状部材の一部の拡大断面図である。
【図4B】図4Bは図1の器具の外部管状部材の一部の拡大断面図である。
【図5A】図5Aは器具の使用を示す目標部位に展開された図1の器具の一部の単純化した側面図である。
【図5B】図5Bは器具の使用を示す目標部位に展開された図1の器具の一部の単純化した側面図である。
【図5C】図5Cは器具の使用を示す目標部位に展開された図1の器具の一部の単純化した側面図である。
【図6A】図6Aは器具の使用を示す目標部位に展開された代替実施形態の器具の単純化した側面図である。
【図6B】図6Bは器具の使用を示す目標部位に展開された代替実施形態の器具の単純化した側面図である。
【図7】本発明による代替実施形態の外科切開器具の斜視図である。
【図8A】一部を拡大した図7の器具の部分断面図である。
【図8B】図7の器具の一部の部分断面図である。
【図8C】図8Bの一部の拡大断面図である。
【図9A】図9Aは器具の使用を示す目標部位に展開された図7の器具の一部の単純化した側面図である。
【図9B】図9Bは器具の使用を示す目標部位に展開された図7の器具の一部の単純化した側面図である。
【図10】本発明による外科切開器具とともに使用する代替実施形態のアクチュエータアセンブリの側面図である。
【図11】本発明の外科切開器具とともに使用する別の代替実施形態のアクチュエータアセンブリの側面図である。
【図12】本発明の外科切開器具とともに使用する別の代替実施形態のアクチュエータアセンブリの側面図である。
【図13】代替実施形態のアクチュエータアセンブリを組み込んだ本発明による外科切開器具の断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は外科切開器具(surgical cutting instrument)に関する。特に、切開窓(cutting window)の回転を容易にする構成である外科切開器具に関する。
【背景技術】
【0002】
手術部位へのアクセスが狭い門戸又は通路を介して獲得される外科的措置(surgical procedures)において、細長い内部部材(つまりシャフト又は管)を細長い外部管状部材内で回転させる外科切開器具がかなり受容されるようになった。通常、外部管状部材は、切開窓又はポートを画定する開口を形成する遠位端を含み、内部部材は、窓にて身体組織を切開する切開先端を形成する遠位端を含む。内部及び外部部材の近位端は通常、ハブに固定され、これは外部管状部材に対して内部部材を回転及び/又は振動させるために動力付きハンドピースに取り付けられる。
【0003】
内部部材の切開先端は、問題の外科的措置(例えば切開、切除、掻爬、剪毛など)に特定の様々な構成を有することができ、切開窓は、切開先端の特定の構成と協働するために適切に構成される。切開、切除、又は掻爬措置の結果として分離した組織を、内部部材の中空管腔を通して吸引できるように、内部部材は往々にして管状である。洞手術、咽頭扁桃切除、咽頭手術などのENT(つまり耳、鼻、及び喉)の用途に特に言及すると、所望の措置を実現するために、極めて鋭利で微小の切除刃又は切開先端を通常は使用する。
【0004】
上述した外科切開器具を使用すると、通常、切開窓/切開先端を目標部位に与えて、切開先端が所望の組織に「曝露」するように切開窓を位置決めする必要がある。そのために、従来の外科切開器具では、内部部材が、従って切開先端がハンドピースに対して回転可能である一方、外部管状部材、従って切開窓は回転可能でない。つまり、ハンドピースに対する切開窓の回転又は空間的位置が、大部分の入手可能な外科切開器具では固定されている。その結果、切開先端を所望の組織に曝露するように切開窓を空間的に位置決めするために、外科医はハンドピースを物理的に移動するか、回転しなければならない。多くの場合、外科医は苦しい位置へと自分の手をねじ曲げねばならない。更に、多くの外科的措置は、特定の目標部位にて様々な空間的位置の組織に切開先端で作用する必要がある。
【0005】
従って、目標部位に最初に配置して、措置の第一部分のために切開窓を適切に配向することができるが、異なる空間的位置の組織も除去しなければならず、従って切開窓の空間的位置を変更するか、回転しなければならない。この場合も、従来の外科切開器具では、この措置仕様は外科医がハンドピースの方向を物理的に変化させる必要があり、従って外科医の手に負担をかけるか、外科医が措置を一時的に中断し、患者に対して異なる物理的位置へと移動する必要があるか、その両方である。この要件に対応するために、外科医が多種多様な回転方向でハンドピースを容易に把持できるように、ハンドピースが構成されることが多い。この最終使用を容易にするものの、その結果のハンドピースは人間工学的に最適ではない。つまり、その結果のハンドピースは、どの回転位置でも外科医の手に適合しない。
【0006】
外科切開器具が、画像誘導手術(IGS)システムとの組合せで使用される場合は、追加の懸念が生じることがある。特に、IGSは通常、目標部位に展開すると、切開窓/切開先端を見当合わせする必要がある。措置中に切開窓の空間的方向を変更しなければならない場合、外科医は一般的に、ハンドピースを、従って切開窓を更に容易に方向転換するために、患者から器具を取り出す。これを実行する場合は、切開器具を再度挿入した後、切開窓/切開先端をIGSシステムに対して再度見当合わせしなければならず、従って外科措置の時間が延長される。
【0007】
外科切開器具がその長手方向の長さに沿って1つ又は複数の曲げ部を含む場合は、日常的に、切開窓の空間的方向を変更するために外科医措置中に外科切開器具を取り出す必要性に遭遇する。評価基準として、幾つかの外科切開器具、特にその外部管状部材は、長手方向の長さに沿って直線又は線形である。予想される目標部位の組織に対して切開先端の位置決めを容易にするために、特定の措置に従って湾曲するものもある。湾曲又は曲げ部がある構成では、切開窓は、ハンドピースの回転とともに不規則な状態で動作し、曲げ部又は長手方向の曲率点の周囲で効果的に回転する。従って、このような状況で、外科医は、最初に外科切開器具を患者から取り出さないと、切開窓の位置を正確に変更することが実質的に不可能である。
【0008】
以上の懸念に対応するために幾つかの取り組みがなされてきた。特に、外科医が外部管状部材を、従って切開窓をハンドピースに対して手動で回転できるハンドピースの設計を有する外科切開器具が考案されている。例えば、米国特許第5,620,447号は、このような既知の器具の1つについて記述している。しかし残念ながら、このハンドピースの設計を手動で操作することは最適ではない。特に、ハンドピースに対する切開窓の回転を容易にする既知の外科医的切開器具は、外科医が両手で切開窓の回転を実行する必要がある。外科医の片手がハンドピースの基部を把持し、外科医の他方の手が、外部管状部材(従って切開窓)に固定されたノブを把持する。従って、適切に保持されたら、外科医は両手を反対方向に強制的に回転することにより、ノブ/基部にトルクを加える。このように両手を必要とすることは、特に外科医がIGSシステム器具も保持する必要がある場合に、ひいき目で見ても煩わしい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
外科切開器具は、引き続き極めて有用である。しかし、目標部位で切開窓の回転方向を容易かつ便利に変更できないことには、十分に対応されていない。従って、外科医の両手を占有せずにハンドピースに対して切開窓の回転を実行可能な外科切開器具が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様は、第一細長部材、第二管状部材、ハンドピース、第一ハブ、第二ハブ、及びアクチュエータ駆動アセンブリを含む外科切開器具に関する。第一細長部材は近位区間(proximal section)及び遠位区間(distal section)を有し、遠位区間は切開先端(cutting tip)を含む。第二管状部材は近位領域及び遠位領域を含み、遠位領域が切開窓を形成する。第一細長部材は、切開先端が切開窓にて露出するように、第二管状部材内に同軸状に配置される。第一ハブは、第一細長部材の近位区間に装着され、動作自在(moveably)にハンドピースに結合される。第二ハブは第二管状部材の近位領域に装着され、回転自在にハンドピースに結合される。これに関して、第二ハブはハブの軸線を画定する。
【0011】
最後に、アクチュエータアセンブリは、第二ハブをハンドピースに回転自在に結合し、アクチュエータを含む。これに留意し、アクチュエータアセンブリは、切開窓の空間的回転を実行するように、アクチュエータの動作をハンドピースに対する第二ハブの回転動作に変換するような構成である。これに関して、アクチュエータの動作はハブの軸線と同軸ではない。例えば、1つの実施形態では、アクチュエータの動作は線形であり、アクチュエータアセンブリはこの線形動作をハンドピースに対する第二ハブの回転動作に変換する。代替実施形態では、アクチュエータの動作(movement)は、ハブの軸線と同軸ではない回転軸を中心とする回転運動である。例えば、回転軸はハブの軸線と非平行でよいか、ハブの軸線に平行で、それに対してずれていてもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、第一及び第二手を有する使用者によって患者の目標部位から内視鏡で組織を除去する方法に関する。方法は、切開先端を有する第一細長部材、切開窓を形成する第二管状部材、及びハンドピースを含む外科切開器具を提供することを含む。第一細長部材は、第二管状部材内に同軸で配置され、従って切開先端が切開窓にて露出し、それと組み合わせられて切開用具を画定する。更に、管状部材がハンドピースに結合される。ハンドピースは、使用者の第一手で把持する。次に、切開窓がハンドピースに対して第一空間的方向にて位置決めされた状態で、切開用具が目標部位に隣接するように、外科的切開用具を展開する。切開窓がハンドピースに対して第二空間的方向にて位置決めされる用に、切開用具を目標部位にて維持しながら、切開窓をハンドピースに対して回転する。そのために、使用者の第二手は、切開窓の回転を実行する必要がない。
【0013】
特に、使用者の第一手がハンドピースを把持し続け、使用者の第二手は外科的器具に回転力を手で加えない。最後に、切開先端が目標部位から組織を除去するように、第一細長部材を第二管状部材に対して移動する。1つの実施形態では、切開窓の回転は、例えばハンドピース上に配置されたホィール、スライド、又は電子スイッチを操作することによって、ハンドピースを把持し続けながら、使用者の第一手でアクチュエータを操作することによって達成される。あるいは、足踏みスイッチを操作して、切開窓の回転を実行する。
【0014】
別の実施形態では、方法は更に、画像誘導手術(IGS)システムを使用することを備え、切開窓を回転する前に目標部位を観察可能にするために可視化器具を位置決めすることを含む。目標部位に対する切開用具の位置は、第一空間的方向にある切開窓で可視化器具を介して見当合わせされる。これに留意し、切開窓を回転するステップは、切開窓を第二空間的方向に位置決めする間、及びその後に可視化器具の見当合わせを維持することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による外科切開器具30の1つの好ましい実施形態が、図1に図示されている。外科切開器具30は第一刃部材又はアセンブリ32、第二刃部材又はアセンブリ34、ハンドピース36、及びアクチュエータアセンブリ38を含む(図1で全体に参照番号が付けられる)。構成要素について、以下で更に詳細に説明する。しかし、一般的用語では、第一刃アセンブリ32は第一管状部材40及び切開先端42を含む。第二刃アセンブリ34は、切開窓46を形成する第二管状部材44を含む。
【0016】
第一管状部材40は、切開先端42が切開窓46にて露出するように、第二管状部材44内で同軸状に配置される。ハブ(図示せず)は第一及び第二刃アセンブリ32、34を伴い、管状部材40、44が相互に対して、及びハンドピース36に対して回転可能であるように、第一及び第二管状部材40、44をそれぞれハンドピース36に結合する。これに関して、アクチュエータアセンブリ38は、ハンドピース36に対する第二管状部材44、従って切開窓46の回転を容易にする。
【0017】
A.刃アセンブリ32、34
第一刃アセンブリ32は、図2で更に詳細に図示され、第一管状部材40、切開先端42、及び第一ハブ50を含む。この場合も、第一ハブ50は、第一ハブ50、従って第一管状部材40がハンドピース36に対して回転自在であるように、第一管状部材40をハンドピース36に結合する。これに留意して、第一管状部材40は、近位区間52、遠位区間54、及びその間に延在する中心管腔56を画定する。遠位区間54は切開先端42を形成し、これは切除又は剪毛などの当技術分野で知られているような所望の切開措置を実行するために最適に構成される。
【0018】
1つの実施形態では、切開先端42は、管腔56を流体接続した開口62を囲む鋸歯状縁部60を画定する。あるいは、切開先端42はバー(bur)など、様々な他の形態をとることができる。バーの構成では、第一管状部材40が中心管腔56を含む必要がなく、従って第一管状部材40が細長いシャフトである。従って、第一管状部材40を単に、細長部材と呼ぶことができる。とにかく、1つの実施形態では、第一管状部材40が304ステンレス鋼のような剛性材料で形成され、長手方向の範囲で線形である。あるいは、以下で更に詳細に説明するように、第一管状部材40は、例えば可撓性継手(図示せず)などによってその曲げを実行するように構成することができる。
【0019】
第一ハブ50が近位区間52に装着される。管状部材40、44(図2)を除去した状態で外科切開器具を示す図3Aを追加的に参照すると、第一ハブ50は中心通路70を形成し、遠位部分72及び近位部分74を含む。図示を容易にするために、図3Aでは一部の構成要素が斜線付きで図示されている。近位部分74における通路70の直径は、遠位部分72における直径より大きい。特に、遠位部分72における中心通路70は、第一管状部材40の近位部分52に装着するようにサイズ決定される。以下で更に詳細に説明するように、遠位部分74は、別個の駆動構成要素とインタフェースをとるように構成され、スプライン76を形成する。更に、近位部分74における中心通路70は、Oリングのようなガスケット(図示せず)を維持するようにサイズ決定される。
【0020】
第二刃アセンブリ34は、切開窓46を形成する第二管状部材44、及び第二ハブ90(図3Aで最もよく図示)を含む。第二管状部材44は近位領域92、遠位領域94、及びその間に延在する管腔96を画定する。1つの実施形態では、遠位領域94は、管腔96と流体接続する切開窓46と一体形成される。あるいは、切開窓46を形成する先端部材を別個に製造し、第二管状部材44に組み付けることができる。とにかく、切開窓46は鋸歯状縁部98によって画定することが好ましい。1つの実施形態では、第二管状部材44は剛性であり、長手方向に直線又は線形である。
【0021】
以下で説明する代替実施形態では、第二管状部材44は、1つ又は複数の曲げ部を組み込むか、強制的にその形状をとることができる。とにかく、第二管状部材44、特に管腔96は、第二管状部材44に対する第一管状部材40の回転及び/又は振動を可能にし、更に内部灌注用の路を提供する方法で、第一管状部材40を同軸状に受け取るようにサイズ決定される。そのために、以下で更に詳細に説明するように、第二管状部材44の管腔96は、第一管状部材40の対応する部分の外径よりわずかに大きい直径を有し、管腔96と流体接続する灌注入口100(図2で全体に参照番号が付けられる)を画定することが好ましい。
【0022】
図3Aで最もよく図示されるように、第二ハブ90は近位ゾーン102及び遠位ゾーン104を含む。近位ゾーン102は、以下で更に詳細に説明するように第二ハブ90をハンドピース36に結合するような構成である内面106を画定する。遠位ゾーン104は、第二管状部材44が第二ハブ90の回転とともに回転するように、第二管状部材44(図2)の近位領域92(図2)を受け取るようにサイズ決定された通路108を形成する。
【0023】
1つの実施形態では、第二刃アセンブリ34は更に、灌注ハブ(irrigation hub)110を含む。灌注ハブ110は、第二ハブ90の近位ゾーン102内に位置決めされ、組み合わせられて内腔116を形成する遠位区画112及び近位区画114によって画定される。内腔116は、遠位区画112に沿って、第二管状部材44の管腔96と流体接続する第二管状部材44(図2)の外径と一致する直径を有する。更に、内腔116は、第一管状部材40が灌注ハブ110に対して自由に回転可能であるように、第一管状部材40を同軸で受け取るようにサイズ決定される。遠位区画112は、1つの実施形態では、第二ハブ90の対応する表面と対合するような構成であるフランジ118で終了して、更に周方向スロット119a、119bを形成し、それぞれがOリングのような密封部材(図示せず)を受け取るようにサイズ決定される。以下で更に詳細に説明するように、遠位区画112の外面は更に、装着リング120を受け取るような構成である。
【0024】
内腔116は、近位区画114に沿って拡大した直径を有し、半径方向スロット122によって灌注ハブ110の外部と流体接続する。これに関して、近位区画114は半径方向スロット122の対向する側にある周方向の溝124a、124b、及び複数の口又は回り止め126を形成する。周方向の溝124a、124bはそれぞれ、Oリングのような密封部材(図示せず)を受け取るようにサイズ決定される。口126はそれぞれ、以下で説明するような玉(図示せず)を受け取るようにサイズ決定される。最後に、1つの実施形態では、軸受けリング128を近位区画114に組み付ける。(例えばバー措置を実行するような構成である外科器具30の場合のような)特定の用途では、軸受けリング128が、回転する第一ハブ50が当たる耐摩耗性軸受け表面を提供することができる。
【0025】
第二刃アセンブリ34は、第二ハブ90を灌注ハブ110上に装着することによって組み立てられる。1つの実施形態では、装着リング120を使用して、ハブ90、110間に所望のインタフェースを確立し、これによって第二ハブ90が灌注ハブ110に対して回転することができる。例えば、装着リング120は外部ハブ90に接着され、灌注ハブ110上に位置決めされる。特に、装着リング120が灌注ハブ110の遠位区画112に突き当たり、フランジ118の近位側(番号なし)に対して入れ子状になる。フランジ118の遠位側は、第二ハブ90の内面106に対して入れ子状になる。フランジ118は、装着リング120と内面106の間に効果的に緩やかに捕捉され、従ってハブ90、110を相互に回転自在に固定する。灌注入口100が灌注ハブ110の近位側に位置決めされた状態で、第二管状部材44が第2ハブ90に装着される。この配置構成は、灌注ハブ110の内腔116、特に半径方向スロット122と第二管状部材44の管腔96との間の流体接続を確立する。とにかく、第二管状部材44は第二ハブ90の回転とともに回転する。
【0026】
B.ハンドピース36
引き続き図3Aを参照すると、1つの実施形態では、ハンドピース36はハウジング130、モータ132(図3Aで概略的に図示)、駆動継手134(図3Aで全体に参照番号が付けられる)、スリーブ136、及び捕捉リング137を含む。以下で更に詳細に説明するように、ハウジング130はモータ132と駆動継手134を維持する。スリーブ136及び捕捉リング137は、ハブ50、90及びアクチュエータアセンブリ38をハンドピース36に固定する。
【0027】
ハウジング130は、様々な形態をとることができるが、吸引通路138及び灌注経路140を画定することが好ましい(図3Bに図示)。吸引通路138は、(以下で説明するような)駆動継手134の一部と流体接続し、これは第一ハブ50の中心通路70と流体接続する。従って、吸引通路138は、切開先端42から物質を吸引するために第一管状部材40(図2)に流体接続する。
【0028】
これに関して、1つの実施形態では、ハンドピース36は更に、吸引通路138と流体連絡するハウジング130に組み付けられた吸引ポート142を含む。あるいは、吸引ポート142はハウジング130によって一体形成することができる。とにかく、吸引ポート142は、管(図示せず)に接続するような構成であり、これは吸引通路138に、従って第一管状部材40に真空を適用するために真空源(図示せず)に接続される。あるいは、外科切開器具30が、第一管状部材40を介した内部吸引が必要でないような構成である場合(例えば第一管状部材40が管ではない場合)、吸引通路138を省略することができる。
【0029】
特に図3B(図示を簡単にするために、ハウジング130のみに斜線を付けて図示)を参照すると、灌注通路140がハウジング130内に形成され、灌注ポート144から灌注ハブ110に隣接する開口146へと延在する。灌注ポート144は、流体源(図示せず)に接続された管(図示せず)に流体接続するような構成である。従って、ハンドピース36は内部灌注を提供する。1つの実施形態では、灌注通路140は、ハウジング130内に延在する管によって画定される。あるいは、ハウジング130は、別個の管なしで灌注通路140を画定する内腔を形成することができる。逆に、以下で更に詳細に説明するように、本発明の外科切開器具は、外部灌注を使用するような構成でもよい。
【0030】
図3Aに戻ると、モータ132は、当技術分野で知られているタイプであり、ハウジング130内に封入される。図示を容易にするために、モータ132は図面では概略的に図示され、駆動シャフト146を含む。1つの実施形態では、ハウジング130は導管148及び関連するポート149を形成し、これを通してモータ132を電源(図示せず)に電気的に接続する配線(図示せず)を維持することができる。あるいは、外科切開器具30は、モータ132をハウジング130の外部に設けるように構成することができる。とにかく、駆動シャフト146は、モータ132によって回転自在に駆動され、以下で説明するように駆動継手134に接続される。
【0031】
駆動継手134は継手リング150、出力シャフト152、運動用シール154、及び玉軸受けアセンブリ155(その1つを図3Aに概略的に図示)を含む。継手リング150は駆動シャフト136に固定され、歯付き外面(図示せず)を提供する。出力シャフト152は、結合リング150と相互作用するために対応する歯付き表面を形成し、玉軸受けアセンブリ155を介してハウジング130に対して回転自在に維持される。説明を容易にするために、継手リング150/出力シャフト152のインタフェースの近位側にある玉軸受けアセンブリ155のみを図3Aで示し、第二玉軸受けアセンブリ(図示せず)は、継手リング150/出力シャフト152のインタフェースの遠位側で出力シャフト152をハウジング130に装着することが理解される。この構成で、駆動シャフト146の回転は、継手リング150を介して出力シャフト152に伝達され、第一ハブ50を介して第一管状部材40を回転させる。
【0032】
図3Aの実施形態では、出力シャフト152は、近位端158から遠位端160へと延在する中心通路156を画定する。近位端158は、出力シャフト152の中心通路156が吸引通路138に流体接続するように吸引通路の領域でハウジング130に密封状態で対合するような構成である。逆に、遠位端160は、第一ハブ50の近位部分72に装着するような構成である。特に、出力シャフト152は、出力シャフト152の回転が第一ハブ50に回転運動を与えるように、第一ハブ50にしっかり接続される。例えば、出力シャフト152は、第一ハブ50のスプライン76と係合するような構成である取り付け形体161を形成するか、それに組み付けることができる。最後に、中心通路156は、第一管状部材40の切開先端42(図2)と吸引ポート142の間に流体経路を確立するように、第一ハブ50の中心通路70と流体接続する。運動用シール154が、出力シャフト152の中心通路156を第一ハブ50の吸引通路138及び中心通路70に対して流体密封する。
【0033】
スリーブ136が、アクチュエータアセンブリ38及び灌注ハブ110をハウジング130に対して支持し、維持する。1つの実施形態では、図3C(図示を容易にするために、一部の構成要素が斜線付きで図示されている)で最もよく図示されているように、スリーブ136は遠位肩152、内部係合面164、及び近位フランジ166を形成する。遠位肩162は、捕捉リング137を受け取るような構成である。内部係合面164は、以下で説明するように、アクチュエータアセンブリ38の構成要素を受け取り、支持するような構成である。近位フランジ166は、ハウジング130によって形成された突起168に対して入れ子状になるように構成される。あるいは、スリーブ136は様々な他の形態をとるか、ハウジング130を幾つかの異なる技術で様々な構成要素に組み付ける、あるいはその両方を実行することができる。
【0034】
C.アクチュエータアセンブリ38
引き続き図3Cを参照すると、アクチュエータアセンブリ38は、外科切開器具の通常の操作を容易にし、更に第二管状部材44(図2)、特に切開窓46(図2)のハンドピース36に対する回転を更に都合良くするような構成である。これに留意して、アクチュエータアセンブリ38は、アクチュエータ機構170(全体的な参照番号)及びコレット(collet;円筒形の固定具)174を含む。図3Cの1つの実施形態では、アクチュエータ機構170を操作すると、第二ハブ90がコレット174に対して、従ってハンドピース36に対して回転する。
【0035】
1つの実施形態では、アクチュエータ機構170はアクチュエータ180、シャフト182、第一組の歯184、及び第二組の歯186を含む。図3Cの1つの実施形態では、アクチュエータ180は、シャフト182及び第一組の歯184に装着されたホィールである。1つの実施形態では、ホィール180、シャフト182、及び第一組の歯184は、別個の構成要素として提供され、あるいは一体構造を提供することができる。とにかく、シャフト182はホィール180から軸方向に延在し、第一組の歯184がサムホィール180の反対側に形成される。更に、シャフト182は、例えばハウジング130によって形成されたアーム188及びハウジング130内に維持されたブッシュ190を介して、ホィール180及び第一組の歯184をハウジング130に対して回転自在に接続する。
【0036】
とにかく、第一組の歯184は、シャフト182によって画定された軸線の周囲でアクチュエータ180の回転とともに回転する。第一組の歯184は、第二組の歯186と噛み合い係合する。1つの実施形態では、第二組の歯186は、他の方法で第二ハブ90に装着されたリング192によって形成される。あるいは、第二ハブ90は、第二組の歯186と同質で、又は一体で形成するように構成することができる。とにかく、第一及び第二組の歯184、186は傘歯車又はマイタ歯車を形成する。従って、この構造で、ホィールアクチュエータ180の回転は、第一組の歯184を介して第二組の歯186に変換され、これによって第二ハブ90を回転させる。
【0037】
コレット174は、灌注ハブ110、従ってそれに接続されている様々な構成要素をハウジング130に捕捉するような構成であり、近位領域200及び遠位領域202を含み、これは組み合わせられてコレット174の長さだけ延在する通路204を形成する。近位領域200に沿った通路204の直径は、第一ハブ50がコレット174に対して自由に回転できるようにする方法で、第一ハブ50を同軸状に受け取るようにサイズ決定される。
【0038】
1つの実施形態では、ハウジング130に対してコレット174を支持するために、近位領域200の外部に隔置された周方向のリブ206a、206bが形成される。そのために、コレット174は、リブ206a、206bがコレット174をハウジング130に対してロックする働きをするように、近位領域200が最終アセンブリに対して半径方向外側へのバイアスを付与するように構成することが好ましい。特に、公差リング(図示せず)がリブ206a、206b間に位置決めされ、相互に押しつけられると、公差リングはコレット174をハウジング130へと効果的に圧入する。あるいは、コレット174をハウジング130に固定するために、様々な他のコレット構成を使用することができる。
【0039】
遠位領域202に沿った通路204は、コレット174を灌注ハブ110上に組み付けるようにサイズ決定される。1つの実施形態では、遠位領域202が捕捉リング137を受け取るねじ山208を形成し、捕捉リング137は対応するねじ山を形成する。従って、この1つの構成で、スリーブ136をコレット174に組み付けると、灌注ハブ110をコレット174に固定することが容易になる。更に、1つの実施形態では、コレット174が複数の玉210(その1つを図3Bで図示)を維持する。玉210は、灌注ハブ110の対応する口126(図3A)内で選択的にロックし、それによって灌注ハブ110をコレット174にロックするようにサイズ決定され、位置決めされる。そのために、スリーブ136の内部係合面164が、玉210を対応する口126と強制的に係合させる。あるいは、コレット174は他の組立技術を容易にするような構成でよい。
【0040】
図3Bで最もよく図示するように、1つの実施形態では、コレット174は更に、遠位領域202の口214で終了する内部スロット212を形成する。内部スロット212は、管140を受け取るようにサイズ決定されるか、他の方法で灌注ポート144(図3A)と流体接続する。とにかく、口214は灌注ハブ110の半径方向スロット122(図3A)に流体接続し、灌注ポート144を灌注ハブ110の管腔116に流体接続する。
【0041】
D.外科切開器具30のアセンブリ
図2から図3Cは、ハンドピース36、アクチュエータアセンブリ38、第一刃アセンブリ32、及び第二刃アセンブリ34のアセンブリを示す。出力シャフト152が、玉軸受け155を介してハウジング130内に回転自在に装着され、継手リング150を介してモータ132の駆動シャフト146に接続する。出力シャフト152の中心通路158は、ハウジング130の吸引通路138に流体接続し、運動用シール154は継手ハブ152と吸引通路158の間の密封を実行することが好ましい。
【0042】
アクチュエータ機構170を図示のようにハウジング130に組み付けるが、第二組の歯186には、1つの実施形態では他の方法で第二ハブ90が設けられる。従って、第二組の歯186を第一組の歯184に組み付けることについては、以下で更に詳細に説明する。公差リング(図示せず)が構成要素の間の圧入を達成する状態で、コレット174をハウジング130に組み付ける。スリーブ136をコレット174上に同軸で位置決めする。ばね(図示せず)がコレット174上に位置決めされ、ハウジング130の突起168とスリーブ136の近位フランジ166との間に画定されたギャップ内に存在する。ばねは、軸方向でハウジング130から離れる方向へとコレット174にバイアス付与する働きをする。
【0043】
逆に、捕捉リング137がコレット174のねじ山208にねじ込まれ、スリーブ136の遠位肩162に対して入れ子状になる。捕捉リング137をコレット174上で回転すると、スリーブ136が遠位肩162とのインタフェースを介して軸方向にハウジング130に向かって押しやられ、ハウジングの突起168とスリーブ136の近位フランジ166との間に他の方法で位置決めされたばねのバイアスを克服する。従って、捕捉リング137及びばねは、スリーブ136をハウジングに対してロックする働きをする。最終的に組み立てると、コレット174は灌注通路140を受け取る(又は他の方法でそれと流体接続する)ように回転自在に位置決めされる。
【0044】
第一刃アセンブリ32は、その近位部分で第一ハブ50に組み付けられた第一管状部材40を含む。特に図3A(明快さのために第一管状部材40は図示されていない)を参照すると、第一ハブ90を出力シャフト152に装着することにより、第一刃アセンブリ32がハンドピース36に組み付けられる。1つの実施形態では、2つの構成要素の間で摩擦嵌めが達成された状態で、第一ハブ90のスプライン76が出力シャフト152の係合形体161と噛み合う。更に、第一管状部材(図2)が、出力シャフト152の中心通路156内に延在し、ガスケット(図示せず)が第一ハブ50の通路70内に配置され、密封を実行する。あるいは、他の組立技術を使用して、第一管状部材40の管腔56を吸引ポート152と流体接続することができる。とにかく、第一刃アセンブリ32は、第一管状部材40が第一ハブ50を介して出力シャフト152の回転とともに回転するように組み立てられる。
【0045】
第二刃アセンブリ34は第二管状部材44、第二ハブ90、及び灌注ハブ110を含む。特に図3A及び図3C(明快さのために第二管状部材44は図示されていない)を参照すると、第二ハブ90及び灌注ハブ110を同時に装着することにより、第二刃アセンブリ34がハンドピース36に組み付けられる。第二ハブ90が、前述したように装着リング120を介して灌注ハブ110に緩やかに接続される。灌注ハブ110は、第一管状部材40(図2)上に同軸で配置され、コレット174にロックされる。これに関して、スリーブ136が最初に近位方向に後退して、玉210(図3B)を解放し、これによって灌注ハブ110がコレット174内で滑動することができる。
【0046】
灌注ハブ110は、口126がコレット174によって他の方法で維持された個々の玉210に対して位置合わせされるように位置決めされる。スリーブ136が次に解放され、従って内部係合面164が玉210を口126に強制的に入れ、それによって灌注ハブ110をコレット174にロックする。とにかく、灌注ハブ110の半径方向スロット122が灌注ハブ110の管腔116と流体接続する。Oリング(図示せず)が溝124a、124b内に配置され、完全な密封を実行する。
【0047】
第二ハブ90(第二管状部材44(図2)が取り付けられる)が同様に、第一管状部材40(図2)上で同軸で受け取られる。灌注ハブ110をコレット174に最終的に組み付けると、第二組の歯186(他の方法で第二ハブ90に装着される)が第一組の歯184と噛み合う。追加的に図2を参照すると、第二管状部材44の入口100が灌注ハブ110の管腔116に、従って灌注ポート144(図3B)に流体接続する。Oリング(図示せず)が周方向スロット119a、119b内に配置され、流体が灌注ポート144から第二管状部材44の管腔56へと流れ、第二ハブ90と灌注ハブ110の外部との間で外側に流れないことを保証する。とにかく、第二ハブ90は灌注ハブ110に対して回転することができる。
【0048】
刃アセンブリ32、34が切開動作を実行する(例えば切開先端42が鋸歯状縁部を有し、切開窓46が鋸歯状縁部を有する)ような構成である場合、切開先端42は第二管状部材44の内部遠位端に対して入れ子状になり、従って図3Cで最もよく図示されているように、第一ハブ50と灌注ハブ110の間にわずかなギャップが生成される。あるいは、例えば切開先端42がバーを形成するバー用途のように他の刃の構成/使用法では、灌注ハブ110が第一ハブ90に接触して、切開窓46に対する切開先端42の所望の位置を確立し、軸受けリング128は、第一ハブ50が接触し、回転する低磨耗表面を提供する。
【0049】
E.一般的動作
最終的に組み立てると、第一管状部材40によって提供される切開先端42が、切開窓46で選択的に露出する。そのために、図4Aは切開先端42を含む第一管状部材40の遠位部分56の拡大断面図を提供し、図4Bは、切開窓46を含む第二管状部材44の遠位領域94を示す。最終的に組み立てると、図2で最もよく図示されているように、2つの構成要素が相互に対して回転可能である状態で、切開先端42が切開窓46に位置決めされる。説明のために、図2は、切開先端42が切開窓46を介して露出する位置へと回転した第一管状部材40を示す。第一管状部材40を第二管状部材44に対して、又は逆に回転すると、第一管状部材40の反対側が切開窓46に位置決めされ、従って第一管状部材40の中心管腔56が切開窓46に対して閉じる。とにかく、切開先端42と切開窓46が組み合わされて、切開用具230を画定する。
【0050】
外科切開器具によって容易になる特定の外科的技術については、代替実施形態の設計に関して以下で説明する。しかし、概して使用中に使用者(図示せず)の手(図示せず)は、ハンドピース36、特にハウジング130を把持するのに使用される。これに関して、1つの実施形態では、ハウジング130が、例えばアーム188(図3c)に隣接したハウジング130を把持することによって、使用者の手の中に人間工学的に填るような構成である外部輪郭を形成する。とにかく、使用者は次に切開用具230を展開し、ハンドピース36を操作して、切開用具230を図5Aで概略的に示すように目標部位Tへと展開する。基準点として、図5Aの非常に単純化された目標部位Tは、第一表面F及び第二表面Sを含む。
【0051】
更に、図示を容易にするために、第二管状部材44に関連する切開窓46は、切開先端42をより良く図示するために、鋸歯状縁部(図3Aの98)なしに図示されている。これに留意すると、図5Aの目標部位Tへと最初に展開した後、切開窓46は目標部位T及びハンドピース36(図1)に対して第一空間的方向を有する。特に、図5Aの方向では、切開窓46は目標部位Tの第一表面Fに面するか、これに対して開く。更に、ハンドピース36、特にハウジング130は、図1で特定されたように第一側240及び第二側242を画定するものと全体的に言うことができる。側240、242は、第一側240が使用者の手のひらの中に位置決めされた状態で、使用者の手で自然に把持すると、ハウジング130の方向と一致し、従ってホィールアクチュエータ180が使用者の親指又は人差し指(図示せず)に最も近い。さらなる例示のために、切開用具230は、ハウジング120の第一側240が第二側240の上にあり、切開窓46がハウジング130の第一側240に「面する」、又はそれに対して開いた状態で、図5Aの方向に展開される。
【0052】
以上の慣習に留意し、次に外科的切開用具30を操作して、目標部位Tの第一表面Fから組織を除去することができる。問題の外科措置は、次に第二表面Sから組織を除去する(又は第二表面Sのみから組織を除去する)必要がある。図5Aの方向で、切開窓46は第二表面Sから離れ、切開先端42が第二表面Sと相互作用できるように、切開窓46を動作させる必要がある。切開窓46の空間的方向を変更するために、追加的に図3Aを参照すると、使用者(図示せず)は所望の方向でホィールアクチュエータ180を回転する。特に、他の方法でハウジング130を把持している使用者の手の親指(図示せず)及び/又は人差し指(図示せず)を使用して、ホィールアクチュエータ180を回転する。ホィールアクチュエータ180の回転は、歯184、186を介して第二ハブ90に変換される。第二ハブ90の回転は、第二管状部材44、従って切開窓46を目標部位T及びハンドピース36に対して回転させる。
【0053】
ホィール180の回転は、切開窓46が図5Bで示す第二空間的方向になるまで継続する。明らかに、切開窓46を図5Aの空間的方向から図5Bの空間的方向へと変換する場合、ハンドピース36、特にハウジング130の回転方向を変更する必要はない。つまり、図5Bの位置で、切開窓46は第二表面Sばかりでなくハウジング130の第二側242にも面するか、これに対して開く。
【0054】
切開窓46の図5Aの空間的方向から図5Bの空間的方向への遷移は、1つの実施形態では使用者の片手のみで遂行される。外科切開器具30は、使用者の両手が他の方法で2つの別個の位置でハンドピースを把持し、捻り又はトルクを生成する動作を加える必要なく、切開窓46をハンドピース36に対して空間的に回転できるように構成される。1つの実施形態では、ホィールアクチュエータ180の運動軸が第二ハブ90の軸線からずれるようにアクチュエータアセンブリ38を構成することにより、片手での切開窓の回転が遂行される。つまり、ホィールアクチュエータ180は、第二ハブ90の軸と同軸でない軸又は面の周囲で動作し(例えば回転し)、代わりにホィールアクチュエータ180の動作は、第二ハブ90の軸を中心とする第二ハブ90の回転に変換される。従って、このアプローチで、以前の設計とは異なりサムホィールアクチュエータ180を、片手操作を促進するようにハウジング130に対して任意の所望の位置に配置することができる。
【0055】
明らかに、切開先端42は図5Bでは切開窓46を介して露出しているように図示されているが、本発明の外科切開器具30は更に、第二管状部材44に対して切開先端42を容易に「閉鎖」するように動作することができる。特に、図5Cは図5Aの配置構成からの遷移を示し、これによって第一管状部材40、従って第二管状部材44が、従って切開窓46が前述の方法で回転しても、切開先端42(図5A)が静止したままである。切開先端42はこのように、切開窓46に対して「閉鎖」し、従って組織又は他の物質が第一管状部材40の管腔56(図2)に入らない。
【0056】
外科切開器具30を、直線又は線形の管状部材40、44を使用するものとして説明してきたが、代替構造も同等に許容可能である。例えば、第一及び第二管状部材40、44は、1つ又は複数の曲げ部又は湾曲部を提供するような構成でよい。これに留意して、曲げ又は湾曲がある管状部材40、44を、前述したのと同じ方法でハンドピース36に組み付ける。使用中に、図6Aで示すように、その結果の切開用具230’が、他の方法で第一表面F及び第二表面Sを有する目標部位Tへと展開する。参照により、図6Aは、曲げ部を画定し、切開先端42’を有する第一管状部材(図示せず)を維持する第二管状部材44’を他の方法で含む代替切開器具30’の遠位部分を示す。以前の実施形態と同様に、切開先端42’は、第二管状部材44’によって形成された切開窓46’(鋸歯状縁部なしに図示)を介して選択的に露出する。このような慣習に留意して、展開後、切開窓46’は図6Aの第一表面Fに面するか、それに対して開く。
【0057】
所望により、片手を使用してアクチュエータホィール180(図3A)を操作する使用者(図示せず)によって、切開窓46’の空間的方向を変更することができる。前述したように、アクチュエータホィール180の回転が第一ハブ90(図3A)に変換され、これによって第二管状部材44’がハンドピース36(図2)に対して回転する。第二管状部材44’の好ましい剛性構造のせいで、第二ハブ90が回転すると、第二管状部材44’の遠位領域94’が曲げ点Bの効果的に周囲で空間的に回転し、図6Bの空間的方向へと遷移する。その後に切開先端42’が動作するために、切開窓46が第二表面Sに面するか、それに対して開くまで、サムホィール180が回転し続ける。しかし、この場合も切開窓46’の望ましい空間的再位置決めを遂行するために、ハンドピース36(図1)の回転方向を変更する必要はなく、使用者の片手しか必要ない。
【0058】
特に図2及び図3Aを参照すると、外科切開器具30を2つの管状部材40、44を含むものとして説明してきたが、代替実施形態では、追加的に第三管状部材(図示せず)を含むことができる。この代替実施形態では、第一及び第二管状部材40、44は基本的に、前述したものと同一であるが、第二管状部材44は、内部に切開先端42が配置された切開窓46を形成する。しかし、3本管の実施形態では、第二管状部材44がハブ90を通って延在し、灌注ハブ110に装着される。この構成に留意して、第三管状部材が第二管状部材44上に同軸で配置され、第二ハブ90に取り付けられる。更に、第三管状部材の遠位端が、第二管状部材44の切開窓46の近位側で終了する。第三管状部材を形成して、剛性曲げ部を形成することにより、この構成は図6Aで示す曲げ部を更に容易に達成することができる。使用中に、第一管状部材40が第二管状部材44に対して回転して、切開窓46にて切開先端42を介して組織を除去する。切開窓46の空間的回転位置は、例えばホィール180(図3C)を操作することによって変更することができ、これによって第三管状部材が曲げ点の周囲で効果的に回転する。これによって、切開窓46が例えば図6の空間的方向から図6Bの空間的方向へと遷移する。
【0059】
F.好ましい代替外科切開器具
上述した外科切開器具30は、直線又は屈曲した管構成を使用することができる。本発明による他の代替実施形態は更に、湾曲した管構成の実現を容易にすることができる。例えば、図7は、第一刃アセンブリ302(図7で全体に参照番号が付けられる)、第二刃アセンブリ304(図7で全体に参照番号が付けられる)、支持管アセンブリ306、灌注アセンブリ307、ハンドピース308、及びアクチュエータアセンブリ310(図7で全体に参照番号が付けられる)を含む好ましい代替外科切開器具300を示す。様々な構成要素の詳細について、以下で説明する。
【0060】
しかし、概して第一刃アセンブリ302は第一管状部材312及び切開先端314(図7で全体に参照番号が付けられる)を含む。第二刃アセンブリ304は、切開窓318(図7で全体に参照番号が付けられる)を形成する第二管状部材316を含む。第一管状部材312は、切開先端314が切開窓318にて選択的に露出するように、第二管状部材316内に同軸で配置される。第二管状部材316は、少なくとも1つの曲げ部を形成する支持管アセンブリ306内に同軸で配置される。灌注アセンブリ307は流体源(図示せず)を第二刃アセンブリ304に接続する。支持管アセンブリ306、第一管状部材312、及び第二管状部材316はハンドピース308に装着される。これに関して、アクチュエータアセンブリ310は、支持管306が静止したままである間に、ハンドピース308に対する切開窓318の回転を容易にするような構成である。
【0061】
第一刃アセンブリ302は図8Aで更に詳細に図示され、切開先端314を形成する第一管状部材312、及び第一ハブ330を含む。第一管状部材312は、近位区間332、遠位区間334、及びその間に延在する管腔336を画定する。この場合も、切開先端314は図8Aで示した鋸歯状縁部の構成以外の様々な形態をとることができる。例えば、切開先端314はバーでよく、第一管状部材312は管である必要はなく、代わりに中実シャフトでもよい。1つの実施形態では、第一管状部材312は、管腔336に流体接続する遠位開口338を画定する。更に、管状部材312は、支持管アセンブリ306(以下で説明)によって画定された曲げ部と一致するように構成される。
【0062】
例えば、1つの実施形態では、第一管状部材312は予想される曲げ部(図8Aの「B」で全体に参照番号が付けられる)の領域で長手方向の長さの一部に沿ってばち形切り欠き(図示せず)を有する。あるいは、第一管状部材312が曲げ部Bに従い、外科措置中に第一管状部材312が高速回転できるようにする他の構成を使用することができる。とにかく、近位区間332は、ハンドピース308に装着された第一ハブ330に装着される。1つの実施形態では、第一ハブ330は前述した第一ハブ50(図3A)に非常に類似し、通路338を画定する。
【0063】
第二刃アセンブリ304は、切開窓318を形成する第二管状部材316、及び第二ハブ350を含む。第二管状部材316は近位領域352、遠位領域354、管腔356、及び半径方向通路358を画定する。管腔356は、遠位領域354に形成された切開窓318から近位側の開放端360へと延在する。半径方向通路358は、近位端360に隣接して近位領域352に形成され、管腔356を第二管状部材316の外部に流体接続する。これに関して、管腔356は、第一管状部材312の外径よりわずかに大きい直径を画定し、従って第一管状部材312は管腔356で同軸に受け取り、更に第一管状部材312と第二管状部材316との間に液体が流れるのに十分な空間を提供する。
【0064】
第一管状部材312と同様に、第二管状部材316は、支持管アセンブリ306によって画定された曲げ部Bと一致するように構成され、従ってその長手方向の長さの一部に沿って一連のばち形切り欠き(図示せず)を組み込むことができる。1つの実施形態では、第二管状部材316の少なくとも遠位領域354にコーティング(図示せず)を適用し、第一管状部材312の回転/振動時に支持管アセンブリ306に対する第二管状部材316の望ましくない回転又は振動を最小限に抑える。コーティングは様々な形態をとることができ、ポリエステルの収縮管(shrink tube)であることが好ましい。あるいは、コーティングを削除することができる。
【0065】
第二ハブ350は、第二管状部材の近位領域352の周囲に装着される。支持管306、第一管状部材312、及び第二管状部材316が除去された外科切開器具300を示し、容易に理解するためにその一部のみを斜線付きで示す図8Bを追加的に参照すると、第二ハブ350は、前述した灌注ハブ110(図3A)と同様であり、近位部分370、遠位部分372、中心通路374、及び灌注通路376を画定する。中心通路374が遠位部分370から遠位部分372へと延在する。1つの実施形態では、中心通路374は近位部分370に、遠位部分372と比較すると拡大した直径を有する。とにかく、中心通路374は、遠位部分372にて第二管状部材316の近位領域352上に装着されるようにサイズ決定される。灌注通路376は、中心通路374を第二ハブ350の外部に流体接続する。1つの実施形態では、遠位部分372は更に、周方向の溝382を画定する対向の支持フランジ378、380を含む。
【0066】
以下で更に詳細に説明するように、周方向の溝382は灌注通路376と流体接続し、灌注アセンブリ307への流体経路を提供する。スロット384、386が溝382の遠位側及び近位側に形成され、溝382を密封するOリング(図示せず)を受け取るようにサイズ決定される。1つの実施形態では、近位部分370は、特定の刃アセンブリの構成(例えばバー用途)で回転する、第一ハブ330が当たる低磨耗軸受け表面を提供するリング387を受け取るような構成である。更に、近位部分370は、複数の外部回り止め388(図8Bに1つを図示)及び周方向のリブ389を形成する。以下で更に詳細に説明するように、回り止め388及びリブ389は、第二ハブ350のアクチュエータアセンブリ310への組付けを容易にする。
【0067】
引き続き図8A及び図8Bを参照すると、支持管アセンブリ306は第三管状部材390及び第三ハブ392を含む。第三管状部材390は近位部分394、遠位部分396、及びその間に延在する管腔398を画定する。管腔398は、第二管状部材316を同軸で受け取るようにサイズ決定される。1つの好ましい実施形態では、第三管状部材390は剛性構造であり、その長手方向の長さに沿って曲げ部Bを画定する。上述したように、第一及び第二管状部材312、316に伴う可撓性ゾーンによって、第一及び第二管状部材312、316は、最終的組付け後に曲げ部Bに一致することができ、第三管状部材312、316は遠位端400で終了する。
【0068】
第三管状部材390の近位部分394は、第三ハブ392に装着される。これに関して、特に図8Bを参照すると、第三ハブ392は近位区間410及び遠位区間412を含む。近位区間410は口414を形成し、遠位区間412は通路416を画定する。口414は、第二ハブ350が第三ハブ392に対して回転可能であるように、アクチュエータアセンブリ310に装着するようにサイズ決定される。通路416は、第三管状部材390が第三ハブ392に取り付けられるように、第三管状部材390(図8A)の外径に従ってサイズ決定される。
【0069】
灌注アセンブリ307は灌注ハブ420及び灌注ポート422を含む。灌注ハブ420は、以下で更に詳細に説明するように第二ハブ350の周囲に装着するようにサイズ決定された通路424を画定する。灌注ポート422は灌注ハブ420から延在し、以下で説明するように第二管状部材316へと液体を送出するために通路424に流体接続された灌注経路426を形成する。
【0070】
ハンドピース308は、ハウジング430、モータ432(図8Bで概略的に図示)、駆動継手434、及び装着アセンブリ436(全体に参照番号が付いている)を含む。以前の実施形態と同様に、モータ432はハウジング430内に固定される。これに関して、ハウジング430は導管437を形成し、それを通してモータ432の動力を提供する配線(図示せず)が延在することができる。更に、ハウジング430は、以下で説明するように第一ハブ330の通路338を真空源(図示せず)に流体接続する吸引ポート438を形成することが好ましい。
【0071】
1つの実施形態では、駆動継手434はモータ432の駆動シャフト440を第一ハブ330に機械的に接続し、駆動リング442、出力シャフト444、運動用シール446、玉軸受けアセンブリ448(その1つを図8Bに図示)を含む。駆動リング442は駆動シャフト440に装着され、歯車450を形成する。逆に、出力シャフト444は、歯車450と噛み合う歯452を形成する。出力シャフト444は、玉軸受けアセンブリ448によってハウジング430内に回転自在に装着される。図示を容易にするために、出力シャフト444を歯452の近位側でハウジング430に装着する玉軸受けアセンブリが、図8A及び図8Bの図から削除されている。とにかく、出力シャフト444は通路454を形成する。最終組付け後、通路454は、流体が漏れない密封を保証する運動用シール446で、吸引ポート438と第一ハブ330の管腔338を流体接続する。あるいは、他の構造を使用することができる。
【0072】
図8C(図示を容易にするために、一部のみを斜線付きで図示)で最もよく図示されるように、1つの実施形態では、装着アセンブリ436は第一及び第二捕捉リング450、452、第一及び第二スリーブ454、456を含む。以下で更に詳細に説明するように、捕捉リング450は内部ねじ付き表面458を画定し、スリーブ454をアクチュエータアセンブリ310の構成要素に結合するような構成である。同様に、捕捉リング452はねじ付き表面459を画定し、スリーブ456をアクチュエータアセンブリ310の構成要素に結合するような構成である。
【0073】
アクチュエータアセンブリ310は、以下で説明するように第二管状部材316の回転を容易にし、アクチュエータ機構460、コレットアセンブリ462、及びロック機構464を含む。アクチュエータ機構460はアクチュエータ470、シャフト472、第一組の歯474、及び第二組の歯476を含む。アクチュエータ470はホィールであることが好ましい。シャフト472はホィール470の中心軸から延在し、ハウジング430によって形成されたアーム478など、ハウジング430へのホィール470の組付けを容易にする。
【0074】
第一組の歯474は、ホィール470の反対側でシャフト472上に、又はそれによって形成される。1つの実施形態では、第一組の歯474はかさ歯車を画定する。第二組の歯476は、第一組の歯474と噛み合い係合する。図8Cの1つの実施形態では、第二組の歯476は、以下で更に詳細に説明するように、コレットアセンブリ462の構成要素の一部として提供される。あるいは、第二組の歯476は、対応するコレットアセンブリ462の構成要素と別個に形成し、それに組み付けることができる。
【0075】
コレットアセンブリ462はコレット480及び玉軸受け(図示せず)を含む。コレット480は、ハウジング430に対して第二ハブ350を捕捉するように構成され、その近位端482に第二組の歯476を一体形成することが好ましい。コレット480は更に、第一ハブ330がコレット480に対して自由に回転できるような方法で第一ハブ330上に受け取るようにサイズ決定された流路484を形成する。コレット480の遠位区間486は、内部フランジ488及び複数の穴490(その1つを図8Cで図示)を形成することが好ましい。内部フランジ488は、第二ハブ350のリブ389と突き当たるようにサイズ決定される。穴490は、第二ハブ350の対応する回り止め388内で部分的に受け取られる個々の球面軸受けを捕捉するようにサイズ決定される。従って、コレット480は軸受けを介して第二ハブ350に装着される。
【0076】
ロック機構464は基部492、フィンガ494及びバイアス付与器具(図示せず)を含む。基部492は、ハウジング430に回転又は旋回自在に装着される。フィンガ494は基部492から延在し、コレット480上に設けられた第二組の歯476と選択的に係合するような構成である。バイアス付与器具は、基部492にバイアス付与して図8Bの回転位置にし、ここでフィンガ492が第二組の歯476と係合し、従ってコレット480の回転を防止する。以下で説明するように、コレット480が回転することが望ましい場合は、基部492が旋回又は回転して、フィンガ494を変位させ、第二組の歯476から離す。あるいは、ロック機構464は他の形態をとるか、削除することができる。
【0077】
外科切開器具300の組立ては通常、アクチュエータアセンブリ310をハンドピース308に組み付け、その後に第一刃アセンブリ302、第二刃アセンブリ304、及び支持管アセンブリ306を連続的に装着する必要がある。刃アセンブリ302、304及び支持管アセンブリ306はそれぞれ、通常はハンドピース308に装着する前に予め組み立てる(例えば、第一ハブ330をハンドピース308に組み付ける前に、第一管状部材312を第一ハブ330に組み付ける)。しかし、明快さのために、以下の説明は、管状部材312、316、309が対応するハブ330、350、392から別個であるものとして外科器具300の組立てを提示する。図8Aから図8Cを参照すると、外科切開器具300の組立ては、モータ432をハウジング430内の駆動継手434に結合することを含む。
【0078】
特に、出力シャフト444が駆動シャフト440の回転とともに回転するように、駆動シャフト440が駆動リング442及び歯452を介して出力シャフト444に接続される。更に、出力シャフト444の通路454が吸引ポート438に流体接続される。通路338、454が流体連絡するように、第一ハブ330が出力シャフト444に密封状態で装着される。1つの実施形態では、第一ハブ330及び出力シャフト444が、ハブ330と出力シャフト444の間のロックを実行する対応の係合形体(496で全体に参照番号が付けられている)を画定し、ばね498が第一ハブ330にバイアス付与してロック位置にする。とにかく、第一ハブ330は出力シャフト444の回転とともに回転する。
【0079】
ホィールアクチュエータ470及びシャフト472は、アーム478にてハウジング430に組み付けられる。コレット480が第一スリーブ454に対して回転できるような方法で、第一スリーブ454がその近位端482に隣接してコレット480と接触するように、コレット480は、第一スリーブ454内に同軸で配置される。第一捕捉リング450は第一スリーブ454上に配置され、ねじ付き表面458を介して第一スリーブ454/コレット480をハウジング430に装着する。これに関して、第一ハブ330がコレット480に対して回転できるように、第一ハブ330をコレット480の流路484内で受け取る。
【0080】
第二ハブ350のリブ389がコレット480の内部フランジ488に対して入れ子状になる状態で、第二ハブ350がコレット480に装着される。更に、個々の玉軸受け(図示せず)がコレット480の穴490内に捕捉され、第二ハブ350の個々の回り止め388内に延在する。この構成で、第二ハブ350がコレット480の回転とともに回転するように、第二ハブ350がコレット480に効果的にロックされる。更に、第二ハブ350の中心通路374が第一ハブ330の通路338と位置合わせされる。図8Cの1つの実施形態では、(第一管状部材312の遠位端が第二管状部材316の遠位端に内部で突き当たる切開設計の場合のように)第一ハブ330と第二ハブ350の間にギャップが確立される。あるいは、他の刃の設計(例えばバー)では、第一ハブ330が、第二ハブ350の近位部分370に組み付けられたリング387に寄りかかる。とにかく、図8Aから図8Cの1つの実施形態では、コレット480上に設けられた第二組の歯476が、第一組の歯474と噛み合う。
【0081】
灌注経路426が周方向の溝382を介して第二ハブ350の灌注通路376と流体接続するように、灌注ハブ420が第二ハブ350の遠位部分372上に組み付けられる。1つの実施形態では、Oリング(図示せず)がスロット384、386それぞれの内部に配置され、周方向の溝382の近位側及び遠位側で灌注ハブ420に対して第二ハブ350を密封する。灌注ハブ420は更に、第二スリーブ456を介して第二ハブ350に対して支持され、これはねじ付き表面459で第二スリーブ456に接続された第二捕捉リング452を介して第一スリーブ454に突き当たる。最後に、第三ハブ392は、接着剤又は他の許容可能な装着技術によって灌注ハブ420に装着される。
【0082】
図8Aで最もよく図示されるように、第一管状部材312の近位区間332が第一ハブ330に装着され、第一管状部材312の中心管腔336が結合ハブ444の通路454に流体接続される。第二管状部材316の近位領域352が第二ハブ350に装着され、第一管状部材312が第二管状部材316内に同軸で延在する。1つの実施形態では、図8Bを追加的に参照すると、ガスケット(図示せず)が第二ハブ350の近位部分370内で第一管状部材312の周囲に配置され、第一管状部材312の外部に対して第二管状部材316の開放端360を密封する。これに関して、第二管状部材316の管腔356が、灌注ポート422によって画定された灌注経路426と流体接続するように、第二管状部材316の半径方向通路358は、第二ハブ350の灌注通路376と流体位置合わせされる。最後に、第三管状部材390の近位部分394が第三ハブ392に装着される。第二管状部材316が、第三管状部材390内に同軸で配置される。前述したように、第一及び第二管状部材312、316は、第三管状部材390によって画定された曲げ部Bに一致する。
【0083】
最終組付け後、第三管状部材390の遠位端400は、切開先端314及び切開窓318の近位側で終了する。つまり、切開先端314及び切開窓318が、第三管状部材390に対して遠位側で露出する。
【0084】
使用中に、外科切開器具300は、外科切開器具30(図1)に関して前述したものと非常に類似した方法で動作する。使用者(図示せず)はハンドピース308を把持し、図9Aで示すように切開先端314/切開窓318(集合的に切開用具500と呼ぶ)を目標部位Tへと誘導する。第三管状部材390の曲げ部Bによって、切開用具500を目標部位Tへと都合良く送出することが容易になる。図9Aで示すように、最初に目標部位Tへと送出すると、切開窓318は目標部位Tの第一表面Fに面するか、それに対して開く。
【0085】
次に、外科切開器具300を操作して、例えば切開窓318内で切開先端314を回転又は振動することによって、第一表面Fから組織を除去することができる(図示のために、第二管状部材316の切開窓318が、図9A及び図9Bでは鋸歯状縁部なしで図示されていることが分かる)。所望に応じて、目標部位Tの第二表面Sにおける組織の除去は、外科切開器具300によって同様に実行することができる。そのために、図9Aの空間的方向で、切開窓318が第二表面Sに対向するか、これに対して閉じる。従って、切開窓318は、目標部位Tに対して空間的に回転しなければならない。外科切開器具300は、使用者が両手を使用する必要がない方法でこの空間的方向の変化を容易にし、ハンドピース308に対する切開窓318の空間的回転を達成する。
【0086】
特に、図8Bを追加的に参照すると、ホィールアクチュエータ470は、ハウジング430を把持する使用者の手の親指及び/又は人差し指によって操作される。ホィールアクチュエータ470の回転は、アクチュエータアセンブリ310を介して第二ハブ350の回転へと変換される。特に、サムホィールアクチュエータ470の回転はシャフト472を回転させ、これは相応して第一組の歯474を回転する。第一組の歯474は、コレット480によって提供される第二組の歯476と噛み合う。歯474、476間のインタフェースがコレット480に伝達され、コレット480を回転する。コレット480は第二ハブ350を回転し、これが第二管状部材316の回転を実行する。その結果、ホィールアクチュエータ470の回転が、ハンドピース308に対して切開窓318を回転する。
【0087】
明らかに、第三管状部材390は、第二管状部材316の回転中に、ハンドピース308に対する自身の空間的位置決めを維持する。特に、曲げ部Bの空間的位置が静止したままであるように、第二管状部材316が第三管状部材390内で回転する。ホィールアクチュエータ470は、切開窓318が図9Bで示す空間的方向になるまで、更に操作される。その後、外科切開器具300を動作させて、切開用具500と第二表面Sのある組織との間の相互作用を容易にすることができる。
【0088】
湾曲又は曲がった刃アセンブリを組み込んだ従来の外科切開器具では、目標部位Tに対して切開窓の空間的方向を変更すると、通常は目標部位から刃アセンブリを取り出し、刃アセンブリを再度挿入する前に、外科医の手中でハンドピースの所望の切開動作及び/又は再位置決めを実行するために効果的な切開窓の方向を有する異なる刃アセンブリで交換する必要がある。IGSシステムも使用する場合は、切開先端の再見当合わせが必要である。本発明の外科器具300は、この懸念を克服する。特に、切開用具500を図9Aで示すように目標部位Tに配置すると、切開器具500が可視化システム(図示せず)に対して見当合わせされる。この見当合わせは、その後に切開窓318を図9Bの空間的方向へと操作しても、そのままである。つまり、切開窓318の空間的方向は、目標部位Tから切開器具500を取り外さなくても変更することができ、従って再見当合わせが必要ない。
【0089】
上述した外科切開器具300は、湾曲した刃構成で使用するのに非常に効果的である。あるいは、管状部材312、316は直線又は線形でよい。明らかに、直線の構成では、支持管390(図8A)を削除することができる。
【0090】
前述した外科切開器具30(図2)、300(図7)は、それぞれ回転される管状部材の軸に対して直角である軸の周囲で回転するホィールアクチュエータ(図2Aのホィールアクチュエータ180など)を使用するアクチュエータアセンブリとして説明されている。代替のアクチュエータアセンブリの構成が同等に許容可能であり、本発明の範囲に入る。例えば、図10は、前述した外科切開器具30、300で有用な代替アクチュエータアセンブリ550を示す。アクチュエータアセンブリ550はアクチュエータ552、第一組の歯554、及び第二組の歯556を含む。図10の実施形態に伴うアクチュエータ552はホィールであり、その外周に沿って第一組の歯554を形成する。第二組の歯556が第一組の歯554と噛み合い、ウォーム歯車構成を画定する。図10の1つの実施形態では、第二組の歯556が、コレット560に装着したリング558上に形成される。
【0091】
コレット560は、前述したコレット480(図8B)と類似している。あるいは、図2の外科切開器具30に関して、第二組の歯556は、第二ハブ90(図3B)によって形成するか、それに取り付けることができる。とにかく、ホィールアクチュエータ552は外科切開器具ハウジング(例えば図3Aのハウジング130又は図8Aのハウジング430)に固定され、従って使用者の親指及び/又は人差し指(図示せず)が、ホィールアクチュエータ552に容易にアクセスし、これを回転することができる。ホィールアクチュエータ552が回転すると、第一組と第二組の歯554、556間の相互作用を介して、コレット560が回転する。コレット560が回転すると、所望のハブ(図8Aの第二ハブ350など)が回転する。
【0092】
本発明で有用な更に別の代替実施形態のアクチュエータアセンブリ570が、図11に図示されている。アクチュエータアセンブリ570はアクチュエータ572、第一組の歯574、及び第二組の歯576を含む。図11の実施形態では、滑動アクチュエータ572が(図11の方向に対して)水平及び垂直に動作できるように、アクチュエータ572はハウジング(図8Aのハウジング430など)に滑動結合される。第一組の歯574がフィンガ滑動アクチュエータ572上に形成される。第二組の歯576は、第一組の歯574と噛み合い係合する。これに関して、1つの実施形態では、第二組の歯576が、コレット580に取り付けられたリング578によって形成される。
【0093】
コレット580は、前述したコレット480(図8B)に類似し、ハブ(図示せず)に装着される。あるいは、第二組の歯576は、該当するハブ(図3Aの外科切開器具30に関連する第二ハブ90など)によって形成されるか、それに直接取り付けることができる。とにかく、水平運動(つまり図11の方向に対して左から右、又は右から左への運動)によって、第一組の歯574が、隣接する第二組の歯576間に画定されたギャップ内で滑動する。リング578の中心軸に対する第二組の歯576の角度方向のせいで、滑動アクチュエータ572の水平又は軸方向の運動がリング578を回転させる。リング578の回転はコレット580に与えられ、これによってそれに接続されたハブ(図示せず)が回転する。滑動アクチュエータ572は、第一ギャップから水平方向に持ち上げ、引き続き回転できるように、異なる隣接した第二組の歯576間に形成された別のギャップ内に再位置決めするか、割り出すことができる。
【0094】
本発明で有用な更に別の代替実施形態のアクチュエータアセンブリ590が、図12に図示されている。アクチュエータアセンブリ590はアクチュエータ592、シャフト594、第一組の歯596、第二組の歯598、第三組の歯600、及び遊星歯車602を含む。図12の実施形態では、アクチュエータ592はサムホィールである。シャフト594がサムホィールアクチュエータ592の中心軸から延在し、第一組の歯596が、サムホィールアクチュエータ592の反対側でシャフト594によって形成されるか、それに取り付けられる。第一組の歯596は、リング604上に形成された第二組の歯598と噛み合う。第三組の歯600は、遊星歯車602を介して第二組の歯598と間接的に結合する。更に、第三組の歯600は、該当するハブ604(図3Aの第二ハブ90など)又はコレット(図8Aのコレット480など)によって形成されるか、それに取り付けられる。図12の構成では、使用者が切開窓を空間的に回転する能力を更に向上させるために、歯数比を減少させる。
【0095】
図13は、本発明の範囲内で代替実施形態のアクチュエータアセンブリ622(全体に参照番号が付けられている)を含む代替実施形態の外科切開器具620の一部を示す。外科切開器具620は、前述した外科切開器具300(図8A)に非常に類似し、同様の要素には同様の番号が付けられる。更に、図示を容易にするために、外科切開器具620は、管状部材及び支持管を削除した状態で図示されている。これに留意して、外科切開器具620は通常、アクチュエータアセンブリ622、ハウジング624、第一ハブ330、第二ハブ350、及び第三ハブ392を含む。アクチュエータアセンブリ622はスイッチ機構626、配線628、2次モータ630、第一組の歯632、及び第二組の歯634を含む。
【0096】
概して、配線628はスイッチ機構626をモータ630に電気的に接続する。モータ630が動作すると、第一組の歯632が回転する。第二組の歯634は第一組の歯632と噛み合い係合し、コレット480に取り付けられるか、それによって形成される。前述したように、コレット480が回転すると、第二ハブ350が回転し、その結果、切開窓318(図8A)がハウジング624に対して回転する。
【0097】
スイッチ機構626は様々な形態をとることができ、ハウジング624に対して密封されていることが好ましい。1つの実施形態では、スイッチ機構626は、第一及び第二キー又はボタン638、640を有するキーパッド636を含む。この1つの構成では、第一ボタン638を起動すると、モータ630が第一方向に回転し、第二ボタン640を起動すると、モータ630が反対方向に回転する。とにかく、キーパッド636はハウジング624の外側642に形成することが好ましく、自然にハウジング624を把持する使用者の手(図示せず)によって容易にアクセス可能であるように配置される。つまり、ハウジング624は、使用者の手のひら(図示せず)が(図13の方向に対して)上側644に配置される自然な方向を提供する。これに留意して、キーパッド636は、ハウジング624を把持する使用者の手の親指及び/又は人差し指とのインタフェースを容易にするように上側644に沿って配置することが好ましい。あるいは、スイッチ機構626の他の構成も同等に許容可能である。
【0098】
前述したように、配線628はスイッチ機構626をモータ630に電気的に接続する。1つの実施形態では、配線628は、スイッチ機構626からハウジング624から離れて配置された別個の制御器具(図示せず)へと延在する第一配線区画646、及び制御器具からモータ630へと延在する第二配線区画648を含むことにより、間接的接続を提供する。あるいは、配線628はスイッチ機構をモータ630に直接接続することができる。
【0099】
2次モータ630はハウジング624内に維持され、第一ハブ330を回転するために動作する1次モータ432とは別個である。これに留意して、モータ630は様々な形態をとることができ、駆動シャフト650を回転するように動作する。第一組の歯632が駆動シャフト650上に形成される。1つの実施形態では、第二組の歯634が前述したようにコレット480上に形成される。ハウジング624に対してモータ630を密封するように、第一組の歯632とモータ630の間に運動用シール652を形成することが好ましい。
【0100】
使用中に外科切開器具620は、前述したものと非常に類似した方法で動作する。所望に応じて、スイッチ機構626を動作させて、ハウジング624に対する切開窓(図示せず)の空間的方向を変更する。以前の実施形態と同様に、使用者は、片手しか使用せず、ハウジング624の回転運動がない状態で、この切開窓の方向転換を遂行することができる。
【0101】
本発明の外科切開器具及び関連する使用方法は、以前の設計に対して著しい改良点を提供する。特に、ハンドピース及び目標部位に対する切開窓の回転は、使用者の両手を必要とせずに、使用者によって容易に達成される。そのために、それぞれが記載のアクチュエータアセンブリを含む図示の各実施形態で、1次アクチュエータは使用者によって第一方向に、及び/又は回転軸の周囲で動作する。この動作はハブに変換され、これはこのハブがハブ軸を有する状態で、切開窓を形成する管状部材を維持する。アクチュエータアセンブリは、アクチュエータの動作(movement)がハブ軸と同軸ではなく、従って切開窓の位置決めを変更するために使用者が両手を使用する必要をなくすようなものである。1つの実施形態では、刃アセンブリが湾曲を画定し、外科切開器具は、曲げ部の空間的位置を変更せずにハンドピース(及び目標部位)に対する切開窓の回転を実行するような構成である。
【0102】
外科切開器具、特に外科切開器具300及び空間的に回転可能な窓と組み合わせて曲がった管を組み込んだ他の同様の設計は、幾つかの外科措置にとって非常に有用である。例えば、外科切開器具は、洞フィステル形成に上方、下方及び後方からアクセスするために、(ハンドピースの明白な動作及び/又は目標部位からの切開用具の除去を必要とせずに)切開窓を再位置決めする鉤切除術(uncinectomy)及び上顎洞フィステル形成術に容易に使用することができる。
【0103】
同様に、本発明の外科切開器具は、上顎フィステル形成又は前方上顎頭蓋開口術を通して、上顎ポリープ切除術又は上顎洞の菌類、嚢胞又は他の病理の除去に非常に適している。外科切開器具は、回転可能な切開窓によって外側、内側及び後方から切除することができる外側及び内側前頭洞切除措置にも有用である。本発明の外科切開器具が有用である他の外科措置は、ほんの一部ではあるが、聴神経腫瘍、喉頭、気管、及び気管支病巣の減量術、及び椎間板空間核開口術を含む。
【0104】
本発明を好ましい実施形態に関して説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく形態及び細部を変更できることが、当業者には認識される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明による外科切開器具の1つの実施形態の斜視図である。
【図2】拡大形で示した遠位形体を含む図1の器具の一部の部分断面図である。
【図3A】図2の器具の一部の断面図である。
【図3B】灌注路を示す図2の器具の一部の断面図である。
【図3C】図3Aの器具の一部の拡大断面図である。
【図4A】図4Aは図1の器具の内部管状部材の一部の拡大断面図である。
【図4B】図4Bは図1の器具の外部管状部材の一部の拡大断面図である。
【図5A】図5Aは器具の使用を示す目標部位に展開された図1の器具の一部の単純化した側面図である。
【図5B】図5Bは器具の使用を示す目標部位に展開された図1の器具の一部の単純化した側面図である。
【図5C】図5Cは器具の使用を示す目標部位に展開された図1の器具の一部の単純化した側面図である。
【図6A】図6Aは器具の使用を示す目標部位に展開された代替実施形態の器具の単純化した側面図である。
【図6B】図6Bは器具の使用を示す目標部位に展開された代替実施形態の器具の単純化した側面図である。
【図7】本発明による代替実施形態の外科切開器具の斜視図である。
【図8A】一部を拡大した図7の器具の部分断面図である。
【図8B】図7の器具の一部の部分断面図である。
【図8C】図8Bの一部の拡大断面図である。
【図9A】図9Aは器具の使用を示す目標部位に展開された図7の器具の一部の単純化した側面図である。
【図9B】図9Bは器具の使用を示す目標部位に展開された図7の器具の一部の単純化した側面図である。
【図10】本発明による外科切開器具とともに使用する代替実施形態のアクチュエータアセンブリの側面図である。
【図11】本発明の外科切開器具とともに使用する別の代替実施形態のアクチュエータアセンブリの側面図である。
【図12】本発明の外科切開器具とともに使用する別の代替実施形態のアクチュエータアセンブリの側面図である。
【図13】代替実施形態のアクチュエータアセンブリを組み込んだ本発明による外科切開器具の断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科切開器具であって、
近位区間、及び切開先端を有する遠位区間を有する第一管状部材と、
近位領域、及び切開窓を形成する遠位領域を有する第二管状部材と、
近位領域、及び遠位端で終了する遠位領域を有する第三管状部材と、
ハンドピースと、
前記第一管状部材の前記近位区間の外方に装着され、前記ハンドピースに回転自在に結合された第一ハブと、
前記第二管状部材の前記近位領域に装着され、前記ハンドピースに回転自在に結合され、ハブ軸を画定する第二ハブと、
前記第三管状部材の前記近位領域に装着され、前記ハンドピースに結合された第三ハブと、
前記第二ハブを前記ハンドピースに結合するアクチュエータアセンブリと、を備え、
前記切開先端が前記切開窓にて露出するように、前記第一管状部材が前記第二管状部材内に同軸で配置され、
前記第二管状部材が前記第三管状部材内に同軸で配置され、
前記アクチュエータアセンブリがアクチュエータ本体を含み、該アクチュエータ本体は、該アクチュエータ本体の一部分が使用者による手動操作のため外方に露出され且つ回転軸のまわりに回転されるようにハンドピースに回転可能に取付けられ、
前記アクチュエータアセンブリが、前記アクチュエータの動作を前記ハンドピースに対する前記第二ハブ(90)の回転運動へ変換し、前記切開窓の空間的回転を実行するような構成であり、前記回転軸が前記ハブ軸に垂直であり、
更に最終的に組み立てると、前記第二管状部材の前記切開窓が前記第三管状部材の前記遠位端の遠位側に延在する、外科切開器具。
【請求項2】
前記アクチュエータアセンブリが更に、前記第二ハブに接続された第一組の歯、及び前記第一組の歯と噛み合い係合する第二組の歯を含み、
前記ホィールアクチュエータの動作が前記第一組の歯に伝達され、前記第二ハブの回転運動を引き起こし、前記第二組の歯が前記アクチュエータ本体に接続される、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項3】
更に、前記ハンドピースに回転自在に結合され、前記第二ハブが自身の回転とともに回転するように、前記第二ハブを捕捉するコレットを備え、前記第一組の歯が前記コレットに接続される、請求項2に記載の外科切開器具。
【請求項4】
前記アクチュエータ本体がホィールであり、前記アクチュエータアセンブリが、更に前記ホィールから延在して前記回転軸を画定するシャフトを備え、更に前記シャフトが前記第二組の歯に接続される、請求項3に記載の外科切開器具。
【請求項5】
前記第二組の歯が前記ホィールとは反対側で前記シャフト上に形成される、請求項4に記載の外科切開器具。
【請求項6】
更に、前記シャフトを前記第二組の歯に接続する遊星歯車装置を備える、請求項5に記載の外科切開器具。
【請求項7】
前記モータが前記ハンドピースに結合され、前記アクチュエータアセンブリが更に、
前記モータの動作を制御するために前記モータに電気的に接続されたスイッチを備える、請求項6に記載の外科切開器具。
【請求項8】
前記アクチュエータアセンブリが更にコレットを含み、前記外科切開器具が更に、
前記第二ハブを介して前記第二管状部材の管腔と流体接続する灌注ハブを備え、
前記コレットが前記灌注ハブを前記ハンドピースに結合し、前記第二ハブが前記灌注ハブに回転自在に結合される、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項9】
更に、前記第二ハブに流体接続された灌注ポートを含む灌注ポートアセンブリを備える、請求項8に記載の外科切開器具。
【請求項10】
前記第三ハブが前記第二ハブの遠位側に延在する、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項11】
前記第三ハブが前記ハンドピースに対して回転しないように、前記第三ハブが前記ハンドピースに対して空間的に固定される、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項12】
前記第二ハブが前記第三ハブに回転自在に装着される、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項13】
前記第三管状部材がその長手方向の長さに沿って曲げ部を画定する、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項14】
前記第一管状部材及び前記第二管状部材が、前記第三管状部材によって画定された曲げ部と一致するような構成である、請求項13に記載の外科切開器具。
【請求項15】
前記外科切開器具は、前記第二管状部材が回転しても前記曲げ部が空間的に固定されたままであるように、前記第三ハブが前記第二ハブの回転に固定されたままであるような構成である、請求項14に記載の外科切開器具。
【請求項16】
更に、前記第一管状部材が前記第二管状部材に対して回転した状態で、前記第三管状部材に対する前記第二管状部材の動作を最小限に抑えるために、前記第二管状部材の外部に施したコーティングを備える、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項17】
前記コーティングが収縮管である、請求項16に記載の外科切開器具。
【請求項1】
外科切開器具であって、
近位区間、及び切開先端を有する遠位区間を有する第一管状部材と、
近位領域、及び切開窓を形成する遠位領域を有する第二管状部材と、
近位領域、及び遠位端で終了する遠位領域を有する第三管状部材と、
ハンドピースと、
前記第一管状部材の前記近位区間の外方に装着され、前記ハンドピースに回転自在に結合された第一ハブと、
前記第二管状部材の前記近位領域に装着され、前記ハンドピースに回転自在に結合され、ハブ軸を画定する第二ハブと、
前記第三管状部材の前記近位領域に装着され、前記ハンドピースに結合された第三ハブと、
前記第二ハブを前記ハンドピースに結合するアクチュエータアセンブリと、を備え、
前記切開先端が前記切開窓にて露出するように、前記第一管状部材が前記第二管状部材内に同軸で配置され、
前記第二管状部材が前記第三管状部材内に同軸で配置され、
前記アクチュエータアセンブリがアクチュエータ本体を含み、該アクチュエータ本体は、該アクチュエータ本体の一部分が使用者による手動操作のため外方に露出され且つ回転軸のまわりに回転されるようにハンドピースに回転可能に取付けられ、
前記アクチュエータアセンブリが、前記アクチュエータの動作を前記ハンドピースに対する前記第二ハブ(90)の回転運動へ変換し、前記切開窓の空間的回転を実行するような構成であり、前記回転軸が前記ハブ軸に垂直であり、
更に最終的に組み立てると、前記第二管状部材の前記切開窓が前記第三管状部材の前記遠位端の遠位側に延在する、外科切開器具。
【請求項2】
前記アクチュエータアセンブリが更に、前記第二ハブに接続された第一組の歯、及び前記第一組の歯と噛み合い係合する第二組の歯を含み、
前記ホィールアクチュエータの動作が前記第一組の歯に伝達され、前記第二ハブの回転運動を引き起こし、前記第二組の歯が前記アクチュエータ本体に接続される、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項3】
更に、前記ハンドピースに回転自在に結合され、前記第二ハブが自身の回転とともに回転するように、前記第二ハブを捕捉するコレットを備え、前記第一組の歯が前記コレットに接続される、請求項2に記載の外科切開器具。
【請求項4】
前記アクチュエータ本体がホィールであり、前記アクチュエータアセンブリが、更に前記ホィールから延在して前記回転軸を画定するシャフトを備え、更に前記シャフトが前記第二組の歯に接続される、請求項3に記載の外科切開器具。
【請求項5】
前記第二組の歯が前記ホィールとは反対側で前記シャフト上に形成される、請求項4に記載の外科切開器具。
【請求項6】
更に、前記シャフトを前記第二組の歯に接続する遊星歯車装置を備える、請求項5に記載の外科切開器具。
【請求項7】
前記モータが前記ハンドピースに結合され、前記アクチュエータアセンブリが更に、
前記モータの動作を制御するために前記モータに電気的に接続されたスイッチを備える、請求項6に記載の外科切開器具。
【請求項8】
前記アクチュエータアセンブリが更にコレットを含み、前記外科切開器具が更に、
前記第二ハブを介して前記第二管状部材の管腔と流体接続する灌注ハブを備え、
前記コレットが前記灌注ハブを前記ハンドピースに結合し、前記第二ハブが前記灌注ハブに回転自在に結合される、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項9】
更に、前記第二ハブに流体接続された灌注ポートを含む灌注ポートアセンブリを備える、請求項8に記載の外科切開器具。
【請求項10】
前記第三ハブが前記第二ハブの遠位側に延在する、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項11】
前記第三ハブが前記ハンドピースに対して回転しないように、前記第三ハブが前記ハンドピースに対して空間的に固定される、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項12】
前記第二ハブが前記第三ハブに回転自在に装着される、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項13】
前記第三管状部材がその長手方向の長さに沿って曲げ部を画定する、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項14】
前記第一管状部材及び前記第二管状部材が、前記第三管状部材によって画定された曲げ部と一致するような構成である、請求項13に記載の外科切開器具。
【請求項15】
前記外科切開器具は、前記第二管状部材が回転しても前記曲げ部が空間的に固定されたままであるように、前記第三ハブが前記第二ハブの回転に固定されたままであるような構成である、請求項14に記載の外科切開器具。
【請求項16】
更に、前記第一管状部材が前記第二管状部材に対して回転した状態で、前記第三管状部材に対する前記第二管状部材の動作を最小限に抑えるために、前記第二管状部材の外部に施したコーティングを備える、請求項1に記載の外科切開器具。
【請求項17】
前記コーティングが収縮管である、請求項16に記載の外科切開器具。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−235121(P2011−235121A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149844(P2011−149844)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【分割の表示】特願2007−515265(P2007−515265)の分割
【原出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(504101304)メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【分割の表示】特願2007−515265(P2007−515265)の分割
【原出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(504101304)メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】
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